JP6824088B2 - 炭化珪素のエピタキシャル成長方法 - Google Patents

炭化珪素のエピタキシャル成長方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6824088B2
JP6824088B2 JP2017059480A JP2017059480A JP6824088B2 JP 6824088 B2 JP6824088 B2 JP 6824088B2 JP 2017059480 A JP2017059480 A JP 2017059480A JP 2017059480 A JP2017059480 A JP 2017059480A JP 6824088 B2 JP6824088 B2 JP 6824088B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ratio
epitaxial
growth
silicon carbide
single crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017059480A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018162178A (ja
Inventor
伊藤 渉
伊藤  渉
崇 藍郷
崇 藍郷
藤本 辰雄
辰雄 藤本
泰三 星野
泰三 星野
昭義 立川
昭義 立川
昌芳 清水
昌芳 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko KK
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2017059480A priority Critical patent/JP6824088B2/ja
Publication of JP2018162178A publication Critical patent/JP2018162178A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6824088B2 publication Critical patent/JP6824088B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Description

この発明は、炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶薄膜を成長させる炭化珪素のエピタキシャル成長方法に関するものである。
炭化珪素(以下、SiCと表記する場合がある)は、耐熱性及び機械的強度に優れ、物理的、化学的に安定なことから、耐環境性半導体材料として注目されている。また、近年、パワーデバイスの基板としてエピタキシャルSiCウェハの需要が高まっている。
SiC単結晶基板(以下、単にSiC基板という場合がある)からパワーデバイスや高周波デバイス等を作製する場合には、通常、SiC基板上に熱CVD法(熱化学蒸着法)によってSiC単結晶薄膜(単にSiC薄膜やエピタキシャル膜という場合もある)をエピタキシャル成長させたエピタキシャルSiCウェハが用いられる。SiC基板上に更にSiCのエピタキシャル成長膜を形成する理由は、ドーピング密度が制御された層を使ってデバイスを作り込むためである。ドーピング密度制御が不十分であると、デバイス特性が安定しないという問題が引き起こされるため、SiC単結晶薄膜は面内で均一なドーピング密度となるように形成する必要がある。
これに加え、SiCを用いたデバイスの信頼性を向上させるためには、エピタキシャル膜における各種結晶欠陥や積層欠陥の密度を極力抑える必要がある。
SiC単結晶は、4面体の4隅にC、重心にSi(あるいはこの逆)を基本骨格としている。この4面体は180°回転した双晶が存在するため、積層方法によって幾多の結晶構造が存在することになる。双晶が混在しない3層の積層はFCC格子に対応し、閃亜鉛鉱構造となり、3C−SiCと称する立方晶となる。一方、積層方法がHCP格子に対応したものはウルツ鉱構造となり2H−SiCと称する六方晶となる。これらに対し、双晶が混在する場合には、閃亜鉛鉱構造が3層ずつ積層して6層構造となったものが6H−SiCであり、ウルツ鉱構造が2層ずつ積層して4層構造となったものが4H−SiCである。また、ここで挙げた4種に加えて、15層構造の菱面体晶である15R−SiCを含めた5種が比較的安定で、発生確率が高く、応用上重要とされている構造である。
このように多くの結晶構造が存在するのは、SiCは積層の不整合が起きやすいためであり、エピタキシャル成長時にも多くの積層欠陥が導入される。以下、エピタキシャル成長時の各種欠陥について整理する。
エピタキシャル膜には、表面欠陥と称される目で見える欠陥と、フォトルミネッセンスで評価しなければ分からない目に見えない欠陥が存在している。前者の代表的な欠陥は、キャロット欠陥、コメット欠陥、三角欠陥、点状欠陥などがあり、例えば、SiC基板中のらせん転位が起点となりエピタキシャル膜の成長時にキャロット欠陥に変換することが知られている。また、パーティクルの付着位置から三角欠陥が成長することもある。但し、これら目で見える欠陥は、近年、存在密度として1個/cm以下のレベルにまで改善している。一方、後者は積層欠陥として知られているもので、まだ、存在密度は決して満足できるレベルまで低減できていない。
SiC基板の結晶中の転位の中で、基底面転位は、エピタキシャル成長初期の界面で刃状転位に変換することが知られているが、バーガースベクトルがステップフローの方向に延びている場合は、刃状転位に変換せずエピタキシャル膜の中に伸張する場合がある。この時、完全転位である基底面転位は2つの部分転位に分裂し、この2つに挟まれた領域に積層欠陥が生成することが知られている。この積層欠陥は、シングルショックレー型の積層欠陥としてフォトルミネッセンスでは波長420nm付近にピークを有して発光するため、容易にその存在を知ることができる。SiCが主に使われるパワーデバイスでは、電流が縦方向に流れるため、積層欠陥があるとこの部分を流れる抵抗が大きくなり、電圧異常に繋がる。
従って、基底面転位自体を減少させたSiC基板を用いることや、刃状転位への変換効率を上げたエピタキシャル成長技術が重要となる。一方、シングルショックレー(以降、SSFと略す)以外に、ダブルショックレー(同、2SSF)、トリプルショックレー(同、3SSF)、クアドルプルショックレー(同、4SSF)、フランク型など、数多くの積層欠陥が知られている。いずれの積層欠陥もデバイスの信頼性を損なう原因になるため、積層欠陥の少ないエピタキシャル膜が切望されてきた。
例えば、SSFを低減する方法として、特許文献1では、SiC基板とエピタキシャル膜の間にバッファー層を設け、バッファー層のドーピング密度を規定して界面の応力を低減することで、積層欠陥への拡張を防ぐ方法を開示している。しかしながら、この特許文献1ではSSF以外の積層欠陥については何ら開示されていない。
また、特許文献2では、SiC基板に存在している基底面転位の密度を元にエピタキシャル膜中の積層欠陥密度を推定することで、SSFの少ないエピタキシャル膜を得る方法を開示している。しかしながら、この特許文献2でも一般的な積層欠陥の抑制については触れておらず、また、エピタキシャル成長技術で積層欠陥を減らす方法については一切記述がない。
更に、特許文献3では、珪素系原料ガスとしてクロロシランを用いることで各種積層欠陥が抑制できることを開示している。しかしながら、クロロシラン系のガスは、熱CVD法によるエピタキシャル装置の配管内を腐食させ、また配管内に堆積した粉体が完全に失活せず、空気や水分と爆発的に反応する可能性があることから、装置管理費用の負担などが原因となり、一般的な手法とはなっていない。
特開2012-33618号公報 特開2013-58709号公報 特許第5445694号公報
本発明は、炭化珪素のエピタキシャル成長時に生成する積層欠陥について、例えばハロゲンを含む特殊な原料ガスを使用することなく、効果的に低減させてエピタキシャルSiCウェハを製造することができるようにするためになされたものである。
本発明者らは、SiC単結晶薄膜のエピタキシャル成長中に成長条件を変化させてエピタキシャル成長を行うと、積層欠陥を効果的に抑制できることを見出し、発明を完成させた。そのため、本発明によれば、積層欠陥の少ないエピタキシャルSiCウェハを提供することができるようになる。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)炭化水素原料ガス、珪素原料ガス、及びドーピングガスを供給して、熱CVD法により、反応容器内の炭化珪素単結晶基板のシリコン面上にドーピングされた炭化珪素単結晶薄膜を形成する炭化珪素のエピタキシャル成長方法であって、前記炭化珪素単結晶薄膜を形成する際に、炭化水素原料ガスに含まれるCと珪素原料ガスに含まれるSiとの比であるC/Si比を成長条件として少なくとも3回変更し、変更毎にC/Si比を段階的に大きくなるようにして、炭化珪素単結晶薄膜の表面での積層欠陥の密度を10個/cm以下とすると共に、ダブルショックレー積層欠陥を5個/cm以下とすることを特徴とする炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
(2)前記炭化珪素単結晶薄膜を形成する際の成長条件として、前記C/Si比が0.5以上0.8以下の範囲である第一の成長条件と、前記C/Si比が0.8以上1.2以下の範囲である第二の成長条件と、前記C/Si比が1.2以上1.5以下の範囲である第三の成長条件とを少なくとも備えて、エピタキシャル成長中に第一、第二、及び第三の成長条件の順で切り替えてC/Si比を少なくとも3回変更し、段階的に大きくなるようにすることを特徴とする(1)に記載の炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
本発明によれば、簡便に、かつ製造管理が負担とならずに、積層欠陥の少ないエピタキシャルSiCウェハが得られるようになり、得られたエピタキシャルSiCウェハを使用することで、製造されるパワーデバイスの信頼性を高めることができる。
図1は、本発明の方法を使って製造されたエピタキシャルSiCウェハのフォトルミネッセンス画像の一例である。 図2は、従来の方法を使って製造されたエピタキシャルSiCウェハのフォトルミネッセンス画像の一例である。
以下、本発明について詳細に説明する。
図2は、従来の技術で炭化珪素のエピタキシャル成長を行って、得られたエピタキシャルSiCウェハをフォトルミネッセンス測定した画像である。この画像は、C/Si比を成長途中で変えて段階的に大きくするようなことはせずに、炭化珪素のエピタキシャル成長を行った場合のものであり、波長750nm以上の発光のみを検出できるフィルターを使用しており、画像領域は、縦2.6mm、横2.6mmの9つの領域を並べたもの(タイル9個分)を示している。この画像の中に、横棒状の発光領域が認められるが(画像中で白く点在している複数の短い横棒)、これはSiC基板からエピタキシャル膜中に延伸した基底面転位に由来した部分転位である。この部分転位は、電流が流れることでシングルショックレー型積層欠陥に変換するため、積層欠陥としてカウントするのが妥当である。一方、黒色の三角形状が多く認められる。これは、波長750nm未満のある波長域で発光した積層欠陥の存在を示しており、実際にどこの波長で発光したかを調べることによって、その積層欠陥の構造が分かる。
具体的には、発光波長と積層構造の関係は以下の通りである。
420nm・・SSF
460nm・・4SSF
480nm・・3SSF
500nm・・2SSF
図2から分かるように、従来の方法でエピタキシャル成長させると、基底面転位に由来した発光と各種積層欠陥の存在が多く認められる。そこで、図2の黒色三角形状の積層欠陥について、上記のフォトルミネッセンス測定において420nm、460nm、480nm及び500nmの各波長のバンドパスフィルターを用いて、発光波長を調査したところ、波長500nmで数多く発光していることが分かった。つまり、このエピタキシャル膜の黒色三角形状の多くはダブルショックレイ(2SSF)であることを示しているが、同時に、他の波長でも発光していることが確認され、複数種の積層欠陥も共存していることが分かった。
積層欠陥の生成は、エピタキシャル成長を行うSiC基板の表面の結晶構造の乱れや凹凸形状にも影響されると考えられるが、積層欠陥生成の最大の原因は、エピタキシャル成長していく過程での温度むらによる内部応力が影響していることも推測される。このような温度むらは熱CVD法によるエピタキシャル装置に強く依存するため、試行錯誤で改善していくのは困難であるが、内部応力が発生してもそれを緩和する方法があれば、積層欠陥を抑制できるのではないかと考えられる。
そのため、鋭意検討した結果、本発明者らは、エピタキシャル膜(炭化珪素単結晶薄膜)を所定の成長条件で成長させた積層構造にすることで、この応力が緩和できることを見出した。
具体的には、SiC基板(炭化珪素単結晶基板)のシリコン面上に、この基板に近い層から、成長条件の重要パラメータであるC/Si比(炭化水素原料ガスに含まれるカーボンと珪素原料ガスに含まれるシリコンの比)を少なくとも3回、段階的に大きくなるように変更してエピタキシャル膜を成長させることで、積層欠陥の生成を最も有効に抑制でき、最終的に得られる炭化珪素単結晶薄膜の表面での積層欠陥の密度を10個/cm以下、ダブルショックレー積層欠陥を5個/cm以下とできることを突き止めた。
C/Si比を変えて成長させたエピタキシャル膜の積層構造が積層欠陥抑制に有効な理由は、エピタキシャル成長中のドーピング効率がC/Si比によって変わるため、格子定数がわずかに変化すること、及び、異なるC/Si比で成長させたエピタキシャル膜の積層界面での界面転位の生成が効果的に出ているものと考えられ、これにより最終的に得られたエピタキシャル膜の内部応力が結果として緩和されるためと推察される。従って、成長条件を変えたときのエピタキシャル膜の各層の厚さが積層欠陥の抑制の程度に直接影響を与えることはないと考えられるが、成長条件を変更することによる上記のような効果が発現するためには、それぞれの成長条件において成長させる膜厚が1μm以上あれば十分であると言える。また、それぞれの成長条件で成長させるエピタキシャル膜の膜厚の上限については、効果が飽和することによる経済的な理由や、成長条件を変更して各層の合計からエピタキシャル膜が形成されることなどを考慮すると、それぞれの成長条件で成長させる各膜厚の上限は100μm以下であるのがよいと言うことができる。なお、前記膜厚は、エピタキシャル成長の成長条件と時間で調整できる。
また、C/Si比を成長条件として変更し、その変更毎にC/Si比を段階的に大きくなるようにして形成するエピタキシャル膜については、成長条件を変えて成長させたエピタキシャル層の積層数は少なくとも3層必要である。2層ではエピタキシャル層の中に発生する内部応力の緩和が不十分であり、積層欠陥の発生を抑えることができない。従って、C/Si比を少なくとも3回、段階的に大きくなるように変更する必要がある。一方、このようなエピタキシャル層の積層数を増やすことは積層欠陥を減らす上では特に不都合にならないが、積層数を4層以上にして本発明のようにC/Si比を段階的に大きくしても積層欠陥の削減効果はそれほど顕著なものではなくなってくるので、多層に形成する手間やコスト等を考えると、3層構造で十分であると言える。
すなわち、本発明においては、第一の成長条件のC/Si比で第一のエピタキシャル層を形成し、第二の成長条件のC/Si比で第二のエピタキシャル層を形成し、第三の成長条件のC/Si比で第三のエピタキシャル層を形成するのがよいが、これら第一、第二、及び第三の成長条件について、以下、具体的にC/Si比の好ましい範囲を述べる。先ず、SiC単結晶基板のシリコン面(Si面)上に第一のエピタキシャル層を成長させるときの第一の成長条件のC/Si比は0.5以上0.8以下の範囲であるのがよい。
第二のエピタキシャル層、第三のエピタキシャル層と順次C/Si比を段階的に大きくすることが積層欠陥の抑制に有効であることから、第一のエピタキシャル層のC/Si比は大きくても0.8以下にするのが望ましい。0.8を超えるとその後のエピタキシャル成長でC/Si比の増大の程度をそれほど大きくすることができず、効果が限られてくるためである。一方、第一のエピタキシャル層のC/Si比が0.5より小さくなるとSiの量が増えすぎて、Siの凝集が起きやすくなり、結果として各種欠陥やバンチングと呼ばれる表面荒れが生じてしまう。また、第一のエピタキシャル層の形成においてC/Si比をこのような範囲にすると、SiC単結晶基板に存在する貫通孔(マイクロパイプ)を閉塞する効果も同時に期待できる。
第一のエピタキシャル層に隣接する第二のエピタキシャル層を成長させるときのC/Si比は0.8以上1.2以下の範囲であるのがよい。0.8より小さくすると、第一のエピタキシャル層に対するC/Si比の増大効果が限られてしまい、同様に1.2を超えると第三のエピタキシャル層に対するC/Si比の増大効果が限られてしまうからである。
第二のエピタキシャル層に隣接する第三のエピタキシャル層を成長させるときのC/Si比は1.2以上1.5以下の範囲であるのがよい。1.2より小さくすると、第二のエピタキシャル層に対するC/Si比の増大効果が限られてしまう。反対に、1.5を超えると過剰なカーボンの析出を引き金として結晶欠陥が増大してしまうおそれがある。
このように、本発明においては、エピタキシャル成長中に第一、第二、及び第三の成長条件の順で切り替えてC/Si比を少なくとも3回変更し、第一のエピタキシャル層を成長させるときに比べて第二のエピタキシャル層を成長させるときのC/Si比を大きくし、第二のエピタキシャル層を成長させるときに比べて第三のエピタキシャル層を成長させるときのC/Si比を大きくするが、好ましくは、いずれの切り替えにおいてもC/Si比が0.2以上大きくなるようにするのがよく、より好ましくは0.3以上大きくなるようにするのがよい。これにより各層でのC/Si比の増大効果を確実に発現させることができ、最終的に得られる炭化珪素単結晶薄膜の表面、すなわち第三のエピタキシャル層について、その積層欠陥の密度を好適には5個/cm以下、より好適には4個/cm以下、更に好適には3個/cm以下にすることができ、また、ダブルショックレー積層欠陥を好適には4個/cm以下、より好適には3個/cm以下にすることができる。
また、本発明においては、上記のようにC/Si比を少なくとも3回変更して3層構造のエピタキシャル層を形成する前に、SiC単結晶基板の表面にバッファー層を形成するようにしてもよい。バッファー層は、一般的なSiC単結晶基板におけるドーピング密度が5×1018/cm程度と比較的高く、これらのエピタキシャル層からなるSiC単結晶薄膜のドーピング密度がおおよそ1×1015/cm台と2桁以上異なるために、これを緩衝させる役割を有する。
本発明において用いる炭化水素原料ガスは、熱CVD法によるSiC単結晶薄膜の炭素源として用いられるものであれば特に制限はなく、一般的にプロパンが用いられるが、メタン、エタン、エチレン、アセチレンなどでも同様にエピタキシャル成長ができ、積層欠陥の抑制を目的とする本発明はいずれのガスでも問題なく用いられ、これらのガスを組み合わせて使用してもよい。
一方、珪素源として用いる珪素原料ガスは、同様に熱CVD法によるSiC単結晶薄膜の珪素源となるものであれば特に制限はないが、高純度ガスが容易に入手可能な汎用ガスという観点から、例えば、シラン、ジシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、四塩化珪素等を挙げることができ、これらのガスを組み合わせて使っても差し支えない。なお、本発明における方法は原料ガスによって積層欠陥を抑制する方法とは違うため、塩素を含まないシランガスでも積層欠陥を抑制することは可能であるが、塩素を含んだからといって積層欠陥の抑制効果が減ずることはない。
また、ドーピングガスについても特に制限はないが、SiCをn型半導体として使うには窒素を使うのが一般的である。また、Al等を用いてp型のSiC単結晶薄膜を形成する場合にも、本発明を適用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の内容に制限されるものではない。
下記の実施例、比較例で使用したエピタキシャル装置は、熱CVD法で用いられる一般的な構造のものであり、反応容器の内部には誘導加熱によって発熱するサセプターが置かれ、その内側にSiC基板が収容されるホルダーが配置される。反応容器の外側には、まわりを取り囲むように加熱用誘導コイルが取り付けられており、サセプターを加熱することでホルダー全体を所定の温度まで加熱することができる。また、反応容器の一方からは、ホルダーに対して略水平となるように、炭化水素原料ガス、珪素原料ガス、及びドーピングガスが、水素ガス(キャリアガス)と共に横からSiC基板に対して略水平方向に供給されるようになっており、他方からはエピタキシャル成長に使われた後のガスが排気ガスとして排出されるようになっている。
(実施例1)
4インチSiC基板をホルダーに搭載し、(0001)面(=Si面)上にSiC単結晶薄膜のエピタキシャル成長を行った。用いた基板は、<11−20>方向に4度傾斜させものである。SiC基板はホルダーごと反応容器の内部(成長室)に配置され、1650℃に加熱した。そして、先ず、第一のエピタキシャル層(第一層)を形成する第一の成長条件としては、プロパンの供給量を20cc/分、シランの供給量を100cc/分、ドーピングガスとしての窒素の供給量を5cc/分、キャリアガスとして水素の供給量を100リットル/分として、30分間エピタキシャル成長させた。プロパンは1分子の中に炭素が3個入っているため、ここでのC/Si比は、20×3/100=0.6となる。
第一の成長条件によるエピタキシャル成長を30分間行った後、次に、第二のエピタキシャル層(第二層)を形成する第二の成長条件として、プロパンの供給量を30cc/分として他の成長パラメータを変えないで30分間エピタキシャル成長させた。この時のC/Si比は、30×3/100=0.9となる。
第二の成長条件によるエピタキシャル成長を30分間行った後、次に、第三のエピタキシャル層(第三層)を形成する第三の成長条件として、プロパンの供給量を45cc/分として他の成長パラメータを変えないで1時間エピタキシャル成長させて、実施例1に係るエピタキシャルSiCウェハを得た。この時のC/Si比は、45×3/100=1.35となる。
以上によって得られた3層構造のエピタキシャル層の膜厚は、3層合計で21μmであることをナノメトリックス社製FT−IR装置で確認した。また、ドーピング密度は、1.2×1016/cmであることをフォーディメンジョン社製CV装置で確認した。次に、得られた3層構造のエピタキシャル層の積層欠陥を評価するため、フォトルミネッセンス測定を行った。光源には、水銀系UV光源(波長313nm)を用い、750nmより長い波長を透過させるハイパスフィルターと、420nm、460nm、480nm及び500nmの各波長のバンドパスフィルターを用いた。
750nmハイパスフィルターを用いてCCD検出器で得られた画像を図1に示す。先に示した図2とは対照的に、本発明に従って3層構造のエピタキシャル成長を行うと、最終的に得られたSiC単結晶薄膜の表面、すなわち第三のエピタキシャル層では、基底面転位の存在を示す横棒状の発光や積層欠陥の存在を示す黒色三角形状は劇的に減少することが確認された。
また、この第三のエピタキシャル層では、発光の数と積層欠陥の数から、ウェハ全体の平均の積層欠陥密度は2.3個/cmであり、500nmで発光する数からダブルショックレーは2.0個/cmであった。
(実施例2〜6、比較例1〜5)
実施例1と同じ成長温度で、エピタキシャル層の構造と各層のC/Si比を種々変えた以外は実施例1と同様にして、それぞれエピタキシャルSiCウェハを得た。そして、実施例1と同様にして、最終的に得られたエピタキシャル層(最表層)の積層欠陥合計とダブルショックレーの密度を評価した。結果を表1にまとめて示す。なお、実施例4及び6では、第三の成長条件によるエピタキシャル成長を1時間行った後、第四のエピタキシャル層(第四層)を形成する第四の成長を1時間行った。この第四の成長では、成長条件としてプロパンの供給量を変えて表1に示した成長条件のC/Si比となるようにし、4層構造のエピタキシャル層を有するエピタキシャルSiCウェハとした。
Figure 0006824088
表1から分かるように、本発明の製造方法に従えば、積層欠陥の合計やダブルショックレーの発生密度を減らしたエピタキシャル成長を行うことができるようになる。

Claims (1)

  1. 炭化水素原料ガス、珪素原料ガス、及びドーピングガスを供給して、熱CVD法により、反応容器内の炭化珪素単結晶基板のシリコン面上にドーピングされた炭化珪素単結晶薄膜を形成する炭化珪素のエピタキシャル成長方法であって、前記炭化珪素単結晶薄膜を形成する際に、炭化水素原料ガスに含まれるCと珪素原料ガスに含まれるSiとの比であるC/Si比を成長条件として少なくとも3回変更し、変更毎にC/Si比を段階的に大きくなるようにして、炭化珪素単結晶薄膜の表面での積層欠陥の密度を10個/cm以下とすると共に、ダブルショックレー積層欠陥を5個/cm以下とし、
    前記炭化珪素単結晶薄膜を形成する際の成長条件として、前記C/Si比が0.5以上0.8以下の範囲である第一の成長条件と、前記C/Si比が0.8以上1.2以下の範囲である第二の成長条件と、前記C/Si比が1.2以上1.5以下の範囲である第三の成長条件とを少なくとも備えて、エピタキシャル成長中に第一、第二、及び第三の成長条件の順で切り替えてC/Si比を少なくとも3回変更し、段階的に大きくなるようにすることを特徴とする炭化珪素のエピタキシャル成長方法。
JP2017059480A 2017-03-24 2017-03-24 炭化珪素のエピタキシャル成長方法 Active JP6824088B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017059480A JP6824088B2 (ja) 2017-03-24 2017-03-24 炭化珪素のエピタキシャル成長方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017059480A JP6824088B2 (ja) 2017-03-24 2017-03-24 炭化珪素のエピタキシャル成長方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018162178A JP2018162178A (ja) 2018-10-18
JP6824088B2 true JP6824088B2 (ja) 2021-02-03

Family

ID=63860755

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017059480A Active JP6824088B2 (ja) 2017-03-24 2017-03-24 炭化珪素のエピタキシャル成長方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6824088B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7393900B2 (ja) * 2019-09-24 2023-12-07 一般財団法人電力中央研究所 炭化珪素単結晶ウェハ及び炭化珪素単結晶インゴットの製造方法
JPWO2021153351A1 (ja) * 2020-01-29 2021-08-05
CN113913931A (zh) * 2021-09-30 2022-01-11 瀚天天成电子科技(厦门)有限公司 一种具有p型缓冲层的外延结构及其制备方法
JPWO2023058491A1 (ja) 2021-10-05 2023-04-13

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007269627A (ja) * 2002-03-19 2007-10-18 Central Res Inst Of Electric Power Ind 基板から継続するマイクロパイプを低減させるSiC結晶の製造方法およびSiC結晶、SiC単結晶膜、SiC半導体素子、SiC単結晶基板および電子デバイス、ならびにSiCバルク結晶の製造方法
JP4987792B2 (ja) * 2008-04-17 2012-07-25 新日本製鐵株式会社 エピタキシャル炭化珪素単結晶基板の製造方法
JP4887418B2 (ja) * 2009-12-14 2012-02-29 昭和電工株式会社 SiCエピタキシャルウェハの製造方法
JP2012033618A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Kansai Electric Power Co Inc:The バイポーラ半導体素子
JP5961357B2 (ja) * 2011-09-09 2016-08-02 昭和電工株式会社 SiCエピタキシャルウェハ及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018162178A (ja) 2018-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6824088B2 (ja) 炭化珪素のエピタキシャル成長方法
JP6436538B2 (ja) ε−Ga2O3単結晶、ε−Ga2O3の製造方法、および、それを用いた半導体素子
JP5445694B2 (ja) エピタキシャル炭化珪素単結晶基板の製造方法
JP6835113B2 (ja) 窒化ガリウム基板、および、窒化物半導体結晶の製造方法
JP5821164B2 (ja) GaN基板および発光デバイス
JP2016155714A (ja) α−Ga2O3単結晶、α−Ga2O3の製造方法、および、それを用いた半導体素子
JP4952547B2 (ja) GaN基板、エピタキシャル層付き基板、半導体装置、およびGaN基板の製造方法
WO2014077039A1 (ja) 炭化珪素半導体装置の製造方法
JP2006321696A (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法
JP2017028076A (ja) Iii族窒化物発光素子の製造方法
JP6832240B2 (ja) SiCエピタキシャルウェハ及びその製造方法
JP6149931B2 (ja) 炭化珪素半導体装置の製造方法および炭化珪素半導体装置
JP5997258B2 (ja) オフ角を備えているシリコン単結晶とiii族窒化物単結晶の積層基板と、その製造方法
JP6618216B2 (ja) α−Ga2O3単結晶、α−Ga2O3の製造方法、および、それを用いた半導体素子
JP5957179B2 (ja) 炭化アルミニウム薄膜、炭化アルミニウム薄膜を形成した半導体基板及びそれらの製造方法
KR102071161B1 (ko) SiC 에피택셜 웨이퍼의 제조 방법
US10329689B2 (en) Silicon carbide epitaxial wafer and process for producing same
JP2014043388A (ja) 第13族窒化物結晶の製造方法
JP4658233B2 (ja) 窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法、および半導体発光素子の製造方法
JP2020073424A (ja) α−Ga2O3単結晶、その製造装置、および、それを用いた半導体素子
CN106129201B (zh) 一种发光二极管的外延片及其制备方法
WO2020203541A1 (ja) GaN基板ウエハおよびGaN基板ウエハの製造方法
WO2020241760A1 (ja) GaN基板ウエハおよびその製造方法
WO2024135744A1 (ja) GaN基板
Tanikawa et al. HVPE growth of a‐plane GaN on a GaN template (110) Si substrate

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20180227

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20180621

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20180628

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200811

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200901

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201020

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201215

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210112

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6824088

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350