JP6823741B2 - 水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、水廻り用防汚積層体、及びその製造方法、並びに水廻り用物品 - Google Patents

水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、水廻り用防汚積層体、及びその製造方法、並びに水廻り用物品 Download PDF

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本発明は、水廻りで使用可能な防汚積層体、及びその製造方法、前記防汚積層体の防汚性樹脂層の形成に適用可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、並びに物品に関する。
浴室、洗面所、トイレ、キッチンなどの水廻りで使用される部材においては、水道水、石けん、皮脂、油性インクなどの油汚れの付着とその付着物の乾燥とが繰り返されて、前記部材には、水垢、石けんカス、皮脂汚れ、油性インクが固着する。また、毛染め剤などの水廻りで使用される薬品が前記部材に付着すると、前記部材は、染まってしまう。これらは、通常の清掃では除去が難しく、外観と衛生を損ねてしまう。
そのため、水廻り部材の表面に汚れが残ることを防ぐために、前記水廻り部材の表面に防汚性を付与する工夫が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
しかし、これらの提案の技術では、水垢の除去性、皮脂汚れの除去性、油性インクの除去性、及び耐薬品性を両立することが難しいという問題があった。
特開2012−144695号公報 特許第6133022号公報 特開2016−172923号公報 特開2009−243233号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、水垢の除去性、皮脂汚れの除去性、油性インクの除去性、及び耐薬品性の全てに優れる水廻り用防汚積層体、及びその製造方法、前記水廻り用防汚積層体を備える水廻り用物品、並びに前記水廻り用防汚積層体の防汚性樹脂層の形成に適用可能な水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 水廻り用基材と、前記水廻り用基材上に防汚性樹脂層とを有し、
前記防汚性樹脂層の水転落角が、40°未満であり、
前記防汚性樹脂層の表面エネルギーが、25mJ/m以下であり、
前記防汚性樹脂層が、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレート(ただし、ポリシロキサン由来の構造を有するウレタン(メタ)アクレートを除く。)を、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、55質量%〜80質量%含有することを特徴とする水廻り用防汚積層体である。
<2> 前記防汚性樹脂層が、撥水性分子構造を有する前記<1>に記載の水廻り用防汚積層体である。
<3> 前記撥水性分子構造が、パーフルオロポリエーテル構造である前記<2>に記載の水廻り用防汚積層体。
<4> 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、撥水性分子構造を有する撥水性モノマーを、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、0.01質量%〜5.0質量%含有する<1>から<3>のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体である。
<5> 前記撥水性モノマーが、パーフルオロポリエーテル構造を有する(メタ)アクリレートである前記<4>に記載の水廻り用防汚積層体である。
<6> 前記防汚性樹脂層のマルテンス硬度が、200N/mm以上である前記<1>から<5>のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体である。
<7> 前記防汚性樹脂層の動摩擦係数が、0.40以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体である。
<8> 前記水廻り用基材と、前記防汚性樹脂層との間に、プライマー層を有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体を有することを特徴とする水廻り用物品である。
<10> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体を製造する水廻り用防汚積層体の製造方法であって、
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から形成される未硬化層に対して、酸素濃度1体積%未満の雰囲気下で活性エネルギー線照射を行い、前記防汚性樹脂層を形成する工程を含む、ことを特徴とする水廻り用防汚積層体の製造方法である。
<11> 水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
撥水性分子構造を有する撥水性モノマーを含有し、
ウレタン(メタ)アクリレート(ただし、ポリシロキサン由来の構造を有するウレタン(メタ)アクレートを除く。)を、前記水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、55質量%〜80質量%含有し、
前記水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、酸素濃度1体積%未満の雰囲気下で活性エネルギー線照射を行い硬化して防汚性樹脂層を作製した際の、前記防汚性樹脂層の水転落角が、40°未満であり、表面エネルギーが、25mJ/mm以下であることを特徴とする水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
<12> 前記撥水性分子構造が、パーフルオロポリエーテル構造である前記<11>に記載の水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
<13> 前記撥水性モノマーが、パーフルオロポリエーテル構造を有する(メタ)アクリレートである前記<11>から<12>のいずれかに記載の水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
<14> 前記撥水性モノマーを、前記水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、0.01質量%〜5.0質量%含有する前記<11>から<13>のいずれかに記載の水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、水垢の除去性、皮脂汚れの除去性、油性インクの除去性、及び耐薬品性の全てに優れる水廻り用防汚積層体、及びその製造方法、前記水廻り用防汚積層体を備える物品、並びに前記水廻り用防汚積層体の防汚性樹脂層の形成に適用可能な水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することができる。
図1は、本発明の水廻り用防汚積層体の一例の概略断面図である。 図2は、本発明の水廻り用防汚積層体の他の一例の概略断面図である。
(水廻り用防汚積層体)
本発明の水廻り用防汚積層体は、水廻り用基材と、防汚性樹脂層とを少なくとも有し、更に必要に応じて、プライマー層などのその他の部材を有する。
<水廻り用防汚積層体の特徴>
前記水廻り用防汚積層体は、以下の特徴を兼ね備える。
前記防汚性樹脂層の水転落角は、40°未満である。
前記防汚性樹脂層の表面エネルギーは、25mJ/m以下である。
前記防汚性樹脂層が、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物である。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレート(ただし、ポリシロキサン由来の構造を有するウレタン(メタ)アクレートを除く。)(以下、「ウレタン(メタ)アクリレート」と称することがある)を、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、55質量%〜80質量%含有する。
前記防汚性樹脂層の前記水転落角が小さいと、水道水が前記防汚性樹脂層の表面にかかっても水道水はコロコロと転がり落ちるため、水垢の付着量自体を抑えることができる。
また、前記防汚性樹脂層の前記表面エネルギーが小さいと、例え、前記防汚性樹脂層の表面に汚れが残っても、固着しにくく、取り除きやすい。そのため、水道水を利用した布やスポンジによる清掃で容易に除去できる。加えて、前記水転落角が小さいと、付着した油汚れをシャワーで除去でき清掃性が格段に優れる。
また、加えて、前記防汚性樹脂層が、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートを、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、55質量%〜80質量%含有すると、耐薬品性に優れ、例えば、表面に毛染め剤が付着しても染まらない。また、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレートを、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、55質量%〜80質量%含有すると、耐傷性が高まる傾向にある。繰り返しの払拭で表面に傷がつくと、そこに染料がしみ込んで拭き取れなくなり耐薬品性が低下する。その点で、耐傷性が高まることは好ましい。
そのため、前記水廻り用防汚積層体は、上記特徴を兼ね備えることにより、水垢の除去性、皮脂汚れの除去性、油性インクの除去性、及び耐薬品性の全てに優れる。
<水廻り用基材>
前記水廻り用基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂製基材、無機製基材などが挙げられる。
前記水廻り用基材は、水廻りに使用される基材である。そのような前記水廻り用基材が使用される水廻り用機器としては、給水機能、排水機能、給排水機能などを備え、衛生に保たれることが求められている機器であって、例えば、水洗便器、食器洗浄機、洗濯機、キッチンシンク、手洗器、洗面器、浴槽などが挙げられる。
<<無機製基材>>
前記無機製基材としては、例えば、金属製基材、ガラス製基材、セラミックス製基材、などが挙げられる。
前記金属製基材の金属としては、例えば、銅、銅合金、亜鉛、鉄鋼などが挙げられる。
前記ガラス製基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケイ酸ガラス(ケイ酸塩ガラス)、ソーダ石灰ガラス、カリガラスなどが挙げられる。
また、前記ガラス製基材は、強化ガラス、合せガラス、耐熱ガラスなどであってもよい。
前記ガラス製基材の形状は、通常、板状であるが、シート状、湾曲状等のどのような形状であってもよい。
<<樹脂製基材>>
前記樹脂製基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、PC/ABSアロイなどが挙げられる。
前記水廻り用基材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記水廻り用基材の表面(前記防汚性樹脂層側の表面)は、光沢を有していてもよい。
また、前記水廻り用基材の表面には、梨地模様、ヘアライン、スピン、ダイアカットが施されていてもよい。
また、前記水廻り用基材の表面には、メッキが施されていてもよい。前記メッキとしては、例えば、ニッケルメッキ、クロムメッキ、スズメッキ、スズ合金メッキ、亜鉛メッキ、銅メッキ、金メッキ、銀メッキなどが挙げられる。これらは、単層で設けてもよいし、複数層を組み合わせて設けてもよい。
<プライマー層>
前記防汚性樹脂層と前記水廻り用基材との密着性を向上させるために、前記プライマー層を前記水廻り用基材と前記防汚性樹脂層との間に設けてもよい。
前記プライマー層は、薄いと密着性向上効果が不十分であることから、前記プライマー層の平均厚みは、0.5μm以上が好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜10μmが更により好ましく、2μm〜5μmが特に好ましい。
前記プライマー層の平均厚みが、前記好ましい範囲内であることで、高温蒸気(例えば60℃以上)、熱衝撃(例えば−20℃から80℃への急激な変化)、アルカリ性洗剤に曝されても密着性が低下しにくく防汚性樹脂層の剥離を防止できる。
平均厚みは、以下の方法により求められる。
プライマー層の厚みは、フィルメトリクス株式会社製F20膜厚測定システムで任意の10箇所で測定する。その平均値を平均膜厚とする。
前記プライマー層は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布することにより形成できる。即ち、前記プライマー層は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が活性エネルギー線により硬化した硬化物である。前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートと、光重合開始剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、溶剤などのその他の成分を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物などが挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
前記光重合開始剤の具体例としては、例えば、後述する前記防汚性樹脂層の説明において例示する前記光重合開始剤の具体例が挙げられる。
前記溶剤の具体例としては、例えば、後述する前記防汚性樹脂層の説明において例示する前記溶剤の具体例が挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、更に、3官能以上の(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。前記3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルコキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ここで、アルコキシとしては、例えば、エトキシ、プロポキシなどが挙げられる。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイヤーバーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースロールコーティング、ダイコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、カーテンコーティング、コンマコート法、ディッピング法などが挙げられる。
<防汚性樹脂層>
前記防汚性樹脂層の水転落角は、40°未満である。
前記防汚性樹脂層の表面エネルギーは、25mJ/m以下である。
前記防汚性樹脂層のマルテンス硬度は、200N/mm以上が好ましい。
前記防汚性樹脂層の動摩擦係数は、0.40以下が好ましい。
前記防汚性樹脂層は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物である。
前記防汚性樹脂層は、撥水性分子構造を有することが好ましい。前記撥水性分子構造としては、パーフルオロポリエーテル構造が挙げられる。
<<水転落角>>
前記防汚性樹脂層の水転落角は、40°未満であり、例えば、5°〜30°であり、10°〜25°である。前記水転落角が、40°以上であると、皮脂汚れの除去性が低下する。
前記防汚性樹脂層の水転落角は、30°以下が好ましく、25°以下がより好ましい。
前記水転落角は、例えば、以下の方法で測定できる。
前記水転落角は協和界面化学株式会社製自動接触角計DM−501を用いて下記の条件で測定する。
蒸留水の滴下量=20μL
測定温度=25℃
試験片に水を滴下して5秒経過後連続的に傾斜させていき水滴が落ちはじめる角度を測定する。試験片の任意の10か所で測定しその平均値を水転落角とする。
<<表面エネルギー>>
前記防汚性樹脂層の表面エネルギーは、25mJ/m以下であり、例えば、5mJ/m〜20mJ/mであり、10mJ/m〜20mJ/mである。前記表面エネルギーが、25mJ/mを超えると、油性インクの除去性が低下する。
前記防汚性樹脂層の表面エネルギーは、20mJ/m以下が好ましい。
前記表面エネルギーは、例えば、以下の方法で測定できる。
前記表面エネルギーは協和界面化学株式会社製自動接触角計DM−501を用いて水とヘキサデカンの接触角を測定しKaelble−Uyの方法で算出する。
<<<水接触角>>>
水接触角は下記の条件で測定する。
蒸留水の滴下量=2μL
測定温度=25℃
水を滴下して5秒経過後の接触角を試験片の任意の10か所で測定しその平均値を水接触角とする。
<<<ヘキサデカン接触角>>>
ヘキサデカン接触角は下記の条件で測定する。
ヘキサデカンの滴下量=1μL
測定温度=25℃
ヘキサデカンを滴下して20秒経過後の接触角を試験片の任意の10か所で測定しその平均値をヘキサデカン接触角とする。
Kaelble−Uyの理論式は、固体の表面エネルギーγを定量的に求める方法である。
Kaelble−Uyの理論式では、表面エネルギーγが分散成分γ、極性成分γからなると仮定し、トータル表面自由エネルギーγを下記式(1)で表す。
γ=γ+γ ・・・式(1)
また、液体の表面の表面エネルギーをγ、固体の表面エネルギーをγ、接触角をθで表すと、下記式(2)が成り立つ。
γ(1+cosθ)=2√γ γ +2√γ γ ・・・式(2)
したがって、γの成分が既知である液体を2種類用いてそれぞれの接触角θを測定し、γ 、γ に関する連立方程式を解くことによりγが求められる。
<<マルテンス硬度>>
前記防汚性樹脂層のマルテンス硬度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200N/mm以上が好ましく、例えば、200N/mm〜300N/mmである。
前記防汚性樹脂層のマルテンス硬度は、例えば、以下の方法で測定できる。
前記水廻り用防汚積層体における前記防汚性樹脂層のマルテンス硬度はフィッシャー・インストルメンツ社製PICODENTOR HM500を用いて下記の条件で測定する。
荷重=1mN/20s
針=面角136°のダイアモンド錐体
任意の10か所で測定しその平均値をマルテンス硬度とする。
<<動摩擦係数>>
前記防汚性樹脂層の動摩擦係数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.40以下が好ましく、例えば、0.10〜0.40、0.20〜0.35、0.25〜0.30などが挙げられる。
前記防汚性樹脂層の動摩擦係数は、例えば、以下の方法で測定できる。
協和界面科学株式会社製Triboster TS501を用いて測定する。面接触子に旭化成株式会社製BEMCOT(登録商標) M−3IIを両面テープで貼り付け測定荷重50g/cm、測定速度1.7mm/s、測定距離20mmとして12回測定しその平均値を動摩擦係数とする。
前記防汚性樹脂層において、前記マルテンス硬度が200N/mm以上、かつ前記動摩擦係数が0.40以下であると、前記防汚性樹脂層が傷つきにくい。そのため、長期間繰り返し清掃しても傷や跡がつきにくく防汚性、及び外観が変わらず耐久性が高い。その結果、耐傷性が優れるとともに、毛染め剤の汚れも固着しにくい。
<<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>>
前記防汚性樹脂層は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物である。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート(ただし、ポリシロキサン由来の構造を有するウレタン(メタ)アクレートを除く。)を含有する。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、撥水性分子構造を有する撥水性モノマーを好ましくは含有し、更に必要に応じて、その他のモノマー、重合開始剤、溶剤などを含有する。
<<<ウレタン(メタ)アクリレート>>>
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサン由来の構造を有さない。
前記ウレタン(メタ)アクリレートとは、一分子中にウレタン結合と(メタ)アクリロイル基を有する材料のことをいい、かかる材料を特に制限なく用いることができる。
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシ化合物とイソシアネートとの反応によって得られる。
前記イソシアネートとしては、例えば、ポリイソシアネートが挙げられる。
前記脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシ化合物と脂肪族イソシアネートとの反応によって得られる。前記脂肪族イソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香族ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシ化合物と芳香族イソシアネートとの反応によって得られる。前記芳香族イソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、芳香族トリイソシアネートなどが挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における、前記ウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、55質量%〜80質量%であり、55質量%〜70質量%が好ましい。
<<<撥水性モノマー>>>
前記撥水性モノマーは、撥水性分子構造を有する。本発明における撥水性分子構造としては、フッ素又はケイ素を有する構造が挙げられ、例えば、フルオロアルキル構造、パーフルオロポリエーテル構造、ジメチルシロキサン構造などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロポリエーテル構造が、前記水転落角、及び前記動摩擦係数を低くできる点で、好ましい。前記撥水性モノマーの中で前記パーフルオロポリエーテル構造を有する撥水性モノマーが、表面エネルギーを低くできるだけでなく分子鎖が柔軟で動きやすいため水転落角と動摩擦係数を低くできる点で好ましい。
なお、ポリシロキサン由来の構造を有するウレタン(メタ)アクレートは、前記ウレタン(メタ)アクリレート及び前記撥水性モノマーのうち、前記撥水性モノマーに属する。
また、前記撥水性モノマーは、例えば、(メタ)アクリレートである。即ち、前記撥水性モノマーは、例えば、撥水性分子構造を有する(メタ)アクリレートである。
前記撥水性モノマーとしては、パーフルオロポリエーテル基を含有する(メタ)アクリレートが好ましく、パーフルオロポリエーテル基として、−(O−CFCF)−、−(O−CFCFCF)−、又は−(O−CFC(CF)F)−の繰り返し構造を含む化合物が好ましい。市販品としてはたとえばダイキン工業株式会社製DAC−HP、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製フルオロリンクAD1700、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製フルオロリンクMD700、サートマー社製CN4000、信越化学工業株式会社製KY−1203などが挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記撥水性モノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.001質量%〜5.0質量%がより好ましく、0.01質量%〜5.0質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.001質量%未満であると、水転落角、及び表面エネルギーが低くなりにくいことがあり、更に、動摩擦係数も低くなりにくい。前記含有量が多いほど、防汚性と耐久性はともに高まるが、あるところでピークとなりそれ以上含有しなくてよい。ただし、前記含有量が、5.0質量%を超えると、前記防汚性樹脂層が白化やすく外観が損なわれたり、マルテンス硬度が好ましい範囲を外れて繰り返しの清掃で傷や跡がつき耐久性が不十分となることがある。
<<<その他のモノマー>>>
前記その他のモノマーとしては、前記撥水性モノマー以外のモノマーであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、単官能モノマーであってもよいし、多官能モノマーであってもよい。
また、前記その他のモノマーとしては、3官能以上の(メタ)アクリレートなどが挙げられる。前記3官能以上の(メタ)アクリレートは、架橋剤であり、硬化物の架橋密度を高めることができる。前記3官能以上の(メタ)アクリレートしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルコキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ここで、アルコキシとしては、例えば、エトキシ、プロポキシなどが挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における、前記3官能以上の(メタ)アクリレートの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、20質量%〜45質量%が好ましく、30質量%〜40質量%がより好ましい。ただし、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量は100質量%を超えない。
<<<光重合開始剤>>>
前記光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤、光酸発生剤、ビスアジド化合物、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシグリコユリルなどが挙げられる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の化合物が挙げられる。
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
・2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン
・2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン
・2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
・1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン
・オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルと、オキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン
・エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)
前記光重合開始剤は、外観における黄変を防止する点から、構成元素に窒素原子を含まないことが好ましい。
他方、前記光重合開始剤は、外観における黄変を防止する点から、C、H、及びOのみを構成元素とするか、又はC、H、P、及びOのみを構成元素とすることが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記光重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましく、1質量%〜5質量%が特に好ましい。
<<<溶剤>>>
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶剤が挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えば、芳香族系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、グリコールエーテルエステル系溶媒、塩素系溶媒、エーテル系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
前記溶剤としては、より良好な外観の防汚性樹脂層を得る観点から、沸点が80℃以上の溶剤が好ましい。
沸点が80℃以上の溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記溶剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線が照射されることにより硬化する。前記活性エネルギー線としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線等)、マイクロ波、高周波などが挙げられる。
<<平均厚み>>
前記防汚性樹脂層の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上が好ましく、1μm以上15μm以下がより好ましい。
平均厚みは、以下の方法により求められる。
防汚性樹脂層の厚みは、フィルメトリクス株式会社製F20膜厚測定システムで任意の10箇所で測定する。その平均値を平均膜厚とする。
ここで、前記水廻り用防汚積層体の一例を説明する。
図1は、本発明の水廻り用防汚積層体の一例の概略断面図である。
図1の水廻り用防汚積層体は、水廻り用基材1と、防汚性樹脂層3とを有する。
図2は、本発明の水廻り用防汚積層体の他の一例の概略断面図である。
図2の水廻り用防汚積層体は、水廻り用基材1と、プライマー層2と、防汚性樹脂層3とを有する。
(水廻り用防汚積層体の製造方法)
本発明の水廻り用防汚積層体の製造方法は、防汚性樹脂層形成工程を少なくとも含み、好ましくは、プライマー層形成工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記水廻り用防汚積層体の製造方法は、本発明の前記水廻り用防汚積層体の好適な製造方法である。
<プライマー層形成工程>
前記プライマー層形成工程としては、前記プライマー層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記水廻り用基材上に、プライマー層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布し、紫外線照射を行って前記プライマー層を形成する工程などが挙げられる。
<防汚性樹脂層形成工程>
前記防汚性樹脂層形成工程としては、前記水廻り用基材上又は前記プライマー層上の、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から形成される未硬化層に対して、酸素濃度1体積%未満の雰囲気下で活性エネルギー線照射を行い、前記防汚性樹脂層を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記防汚性樹脂層を形成する際に、酸素濃度1体積%未満の雰囲気下で活性エネルギー線照射を行うことで、表面の硬化阻害が抑えられて、硬化性が優れる結果、防汚性と、耐久性とがともに高まる。
前記酸素濃度1体積%未満の雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気などの不活性ガス雰囲気が挙げられる。
(水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
本発明の水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、撥水性分子構造を有する撥水性モノマーとウレタン(メタ)アクリレートとを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他のモノマー、重合開始剤、溶剤などのその他の成分を含有する。
前記水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、酸素濃度1体積%未満の雰囲気下で活性エネルギー線照射を行い硬化して防汚性樹脂層を作製した際の、前記防汚性樹脂層の水転落角は、40°未満であり、表面エネルギーは、25mJ/mm以下である。
前記水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、前記ウレタン(メタ)アクリレートを、前記水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、55質量%〜80質量%含有する。
前記撥水性モノマー、前記ウレタン(メタ)アクリレート、前記その他のモノマー、前記光重合開始剤、及び前記溶剤の詳細は、前記水廻り用防汚積層体の前記防汚性樹脂層の説明における前記撥水性モノマー、前記ウレタン(メタ)アクリレート、前記その他のモノマー、前記光重合開始剤、及び前記溶剤の詳細と同じであり、好ましい態様も同じである。
前記水転落角の詳細、及び好ましい態様は、本発明の前記水廻り用防汚積層体の前記防汚性樹脂層の前記水転落角の詳細、及び好ましい態様と同じである。
前記表面エネルギーの詳細、及び好ましい態様は、本発明の前記水廻り用防汚積層体の前記防汚性樹脂層の前記表面エネルギーの詳細、及び好ましい態様と同じである。
(水廻り用物品)
本発明の水廻り用物品は、本発明の前記水廻り用防汚積層体を有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記水廻り用物品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明の前記水廻り用防汚積層体がその効果を発揮できる水廻り機器であることが好ましい。前記水廻り機器としては、給水機能、排水機能、給排水機能などを備え、衛生に保たれることが求められている機器であって、例えば、水洗便器、食器洗浄機、洗濯機、キッチンシンク、手洗器、洗面器、浴槽などが挙げられる。
前記水廻り用防汚積層体は、前記水廻り用物品の一部に形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<平均厚み>
防汚性樹脂層、及びプライマー層それぞれの膜厚を、フィルメトリクス株式会社製F20膜厚測定システムで任意の10箇所で測定した。その平均値をそれぞれの平均膜厚とした。
<密着性>
JIS K5400に準拠してクロスカット試験を行った。100マス中剥がれずに残った数を数えた。
剥がれない(100マス中100マス残る)場合を、「100/100」と表し、すべて剥がれる(100マス中1マスも残らない)場合を「0/100」と表す。
<水転落角>
水転落角は協和界面化学株式会社製自動接触角計DM−501を用いて下記の条件で測定した。
蒸留水の滴下量=20μL
測定温度=25℃
試験片に水を滴下して5秒経過後連続的に傾斜させていき水滴が落ちはじめる角度を測定した。試験片の任意の10か所で測定しその平均値を水転落角とした。
<表面エネルギー>
表面エネルギーは協和界面化学株式会社製自動接触角計DM−501を用いて水とヘキサデカンの接触角を測定しKaelble−Uyの方法で算出した。
<<水接触角>>
水接触角は下記の条件で測定した。
蒸留水の滴下量=2μL
測定温度=25℃
水を滴下して5秒経過後の接触角を試験片の任意の10か所で測定しその平均値を水接触角とした。
<<ヘキサデカン接触角>>
ヘキサデカン接触角は下記の条件で測定した。
ヘキサデカンの滴下量=1μL
測定温度=25℃
ヘキサデカンを滴下して20秒経過後の接触角を試験片の任意の10か所で測定しその平均値をヘキサデカン接触角とした。
<マルテンス硬度>
試験片のマルテンス硬度はフィッシャー・インストルメンツ社製PICODENTOR HM500を用いて下記の条件で測定した。
荷重=1mN/20s
針=面角136°のダイアモンド錐体
任意の10か所で測定しその平均値をマルテンス硬度とした。
<動摩擦係数>
協和界面科学株式会社製Triboster TS501を用いて測定した。面接触子に旭化成株式会社製BEMCOT(登録商標) M−3IIを両面テープで貼り付け測定荷重50g/cm、測定速度1.7mm/s、測定距離20mmとして12回測定しその平均値を動摩擦係数とした。
<水垢の除去性>
試験片に水道水を噴霧して50℃で乾燥させる工程を60回繰り返した。きれいな布で乾拭きしたのち目視で観察して下記の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○:水垢をきれいに除去できた。傷もなかった。
×:水垢が残っていたり傷がついていた。
<油性マジックの除去性>
Sharpie PROFESSIONAL(黒の油性マジック、商品名、Newell Rubbermaid社製)で試験片を汚した。これをティッシュペーパー(大王製紙株式会社製、エリエール)で10回円を描くように乾拭き後目視で観察して下記の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○: マジックのインクをよくはじき2〜5回の払拭で汚れがなくなっていた。
△: マジックのインクを弱くはじく。6〜10回の払拭で汚れがなくなっていた。
×: マジックのインクをはじかず10回払拭しても汚れが残っていた。
<皮脂の除去性>
立てかけた試験片に指で皮脂を押しつけた。ここにスポイトで水道水をかけたのち目視で観察して下記の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○: 皮脂がなくなっていた。
×: 皮脂が残っていた。
<耐傷性>
試験片をメラミンスポンジ(レック株式会社製劇落ちくん)で荷重300gf/4cmをかけて500往復こすった後目視で観察して下記の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○:変化なし。
×:傷ついてしまった。
<耐毛染め剤性>
試験片をメラミンスポンジ(レック株式会社製劇落ちくん)で荷重300gf/4cmをかけて500往復こすった後ここにホーユー株式会社製メンズビゲンスピーディーIISを塗布して24時間放置した。水洗いした後、きれいな布で拭き目視で観察して下記の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○:変化なし。
×:色が染まってしまった。
(実施例1)
<水廻り用基材>
水廻り用基材には浴室ドア面材に使うシボ付きPS板(厚み=3mm)(基材No.A)を用いた。
<防汚性樹脂層の形成>
下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を乾燥及び硬化後の平均厚みが2μmとなるように水廻り用基材上に塗布した。塗布後、80℃のオーブンで2分間乾燥させた。メタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気下、照射量500mJ/cmで紫外線を照射して防汚性樹脂層を硬化させ防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製) 0.13質量部
・KRM8200(ダイセル・オルネクス株式会社製) 65質量部
・A−DPHA(新中村化学工業株式会社製) 35質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−1に示した。
(比較例1)
実施例1で使用した浴室ドア面材のシボ付きPS板(厚み=3mm)(基材No.A)を、防汚性樹脂層を形成せずに評価した。結果を表1−1に示した。
(実施例2)
<水廻り用基材>
水廻り用基材には水洗金具に使うニッケルクロムメッキ処理したABS板(厚み=3mm)(基材No.B)を用いた。
<プライマー層の形成>
防汚性樹脂層の密着性を高めるため、水廻り用基材と防汚性樹脂層との間にプライマー層を設けた。具体的には以下の方法でプライマー層を設けた。
下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を乾燥及び硬化後の平均厚みが2μmとなるように水廻り用基材上に塗布した。塗布後、80℃のオーブンで2分間乾燥させた。メタルハライドランプを用いて、空気雰囲気下、照射量500mJ/cmで紫外線を照射してプライマー層を形成した。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・UT5181(日本合成株式会社製)65質量部
・A−TMM−3L(新中村化学工業株式会社製) 35質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
<防汚性樹脂層の形成>
下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を乾燥及び硬化後の平均厚みが2μmとなるようにプライマー層上に塗布した。塗布後、80℃のオーブンで2分間乾燥させた。メタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気下、照射量500mJ/cmで紫外線を照射して防汚性樹脂層を硬化させ防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製) 0.13質量部
・KRM8200(ダイセル・オルネクス株式会社製) 65質量部
・A−DPHA(新中村化学工業株式会社製) 35質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−1に示した。
(比較例2)
実施例2で使用した水洗金具のニッケルクロムメッキ処理したABS板(厚み=3mm)(基材No.B)をプライマー層及び防汚性樹脂層を形成せずに評価した。結果を表1−1に示した。
(実施例3)
実施例1において、水廻り用基材を便座部材に使うABS板(厚み=3mm)(基材No.C)に代えた以外は、実施例1と同様にして、防汚積層体を得た。
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−1に示した。
(比較例3)
便座部材に使う撥水性粒子が添加されたPP板(厚み=3mm)(基材No.D)を評価した。結果を表1−1に示した。
(比較例4)
浴室に使うDLC(ダイヤモンドライクカーボン)がコートされたガラス(厚み=5mm)(基材No.E)を評価した。結果を表1−1に示した。
(実施例4)
実施例1の防汚性樹脂層の形成において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製) 0.5質量部
・KRM8200(ダイセル・オルネクス株式会社製) 65質量部
・A−DPHA(新中村化学工業株式会社製) 35質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−2に示した。
(実施例5)
実施例1の防汚性樹脂層の形成において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製) 1.5質量部
・KRM8200(ダイセル・オルネクス株式会社製) 65質量部
・A−DPHA(新中村化学工業株式会社製) 35質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−2に示した。
(実施例6)
実施例1の防汚性樹脂層の形成において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製) 0.05質量部
・KRM8200(ダイセル・オルネクス株式会社製) 65質量部
・A−DPHA(新中村化学工業株式会社製) 35質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−2に示した。
(実施例7)
実施例1の防汚性樹脂層の形成において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用い、乾燥及び硬化後の平均厚みが10μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして、防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製) 0.01質量部
・KRM8200(ダイセル・オルネクス株式会社製) 65質量部
・A−DPHA(新中村化学工業株式会社製) 35質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−2に示した。
(実施例8)
実施例7において、防汚性樹脂層の平均厚みを5μmに変更した以外は、実施例7と同様にして、防汚積層体を得た。
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−2に示した。
(実施例9)
実施例1において、防汚性樹脂層を形成する際の活性エネルギー硬化性樹脂組成物を、下記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に変えた以外は、実施例1と同様にして、防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・KY−1203(信越化学工業株式会社製) 0.13質量部
・KRM8200(ダイセル・オルネクス株式会社製) 65質量部
・A−DPHA(新中村化学工業株式会社製) 35質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−2に示した。
(比較例5)
実施例1の防汚性樹脂層の形成において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・KRM8200(ダイセル・オルネクス株式会社製) 65質量部
・A−DPHA(新中村化学工業株式会社製) 35質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−3に示した。
(比較例6)
実施例1の防汚性樹脂層の形成において、空気雰囲気で紫外線を照射した以外は、実施例1と同様にして、防汚積層体を得た。
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−3に示した。
(実施例10)
実施例3の防汚性樹脂層の形成において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例3と同様にして、防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・KY−1203(信越化学工業株式会社製) 0.10質量部
・KRM8200(ダイセル・オルネクス株式会社製) 55質量部
・A−DPHA(新中村化学工業株式会社製) 45質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−3に示した。
(実施例11)
実施例3の防汚性樹脂層の形成において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例3と同様にして、防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・KY−1203(信越化学工業株式会社製) 0.20質量部
・MU9500(Miwon Specialty Chemical社製)
80質量部
・EBECRYL 40(ダイセル・オルネクス株式会社製) 20質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−3に示した。
(実施例12)
実施例3の防汚性樹脂層の形成において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例3と同様にして、防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・KY−1203(信越化学工業株式会社製) 0.10質量部
・CN975(サートマー社製) 70質量部
・A−TMM−3(新中村化学工業株式会社製) 30質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−3に示した。
(比較例7)
実施例2の防汚性樹脂層の形成において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例2と同様にして、防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・KY−1203(信越化学工業株式会社製) 0.10質量部
・EBECRYL 40(ダイセル・オルネクス株式会社製) 20質量部
・SR9035(サートマー社製) 80質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−3に示した。
(比較例8)
実施例1の防汚性樹脂層の形成において、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物−
・KY−1203(信越化学工業株式会社製) 0.10質量部
・KRM8200(ダイセル・オルネクス株式会社製) 20質量部
・SR9035(サートマー社製) 80質量部
・Irgacure 184(BASF社製) 3質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 200質量部
作製した防汚積層体を前述の評価に供した。結果を表1−3に示した。
表1−1〜表1−3中、撥水性モノマー含有量(質量%)は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対する、撥水性モノマーの含有量(質量%)である。ウレタン(メタ)アクリレート含有量(質量%)は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対する、ウレタン(メタ)アクリレートの含有量(質量%)である。
水廻り用基材の詳細は、以下の通りである。
・水廻り用基材No.A:浴室ドア面材に使うシボ付きPS板(厚み=3mm)
・水廻り用基材No.B:水洗金具に使うニッケルクロムメッキ処理したABS板(厚み=3mm)
・水廻り用基材No.C:便座部材に使うABS板(厚み=3mm)
・水廻り用基材No.D:便座部材に使う撥水性粒子が添加されたPP板(厚み=3mm)
・水廻り用基材No.E:浴室に使うDLC(ダイヤモンドライクカーボン)がコートされたガラス(厚み=5mm)
表1−1〜表1−3に記載の材料の詳細は以下の通りである。
<防汚性樹脂層材料>
・オプツールDAC−HP:ダイキン工業株式会社製、(メタ)アクリル基含有パーフルオロポリエーテル(PFPE)
・KY−1203:信越化学工業株式会社製、(メタ)アクリル基含有パーフルオロポリエーテル(PFPE)
・KRM8200:ダイセル・オルネクス株式会社製、脂肪族ウレタンアクリレート
・MU9500:Miwon Specialty Chemical社製、脂肪族ウレタンアクリレート
・CN975:サートマー社製、芳香族ウレタンアクリレート
・A−DPHA:新中村化学工業株式会社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
・EBECRYL 40:ダイセル・オルネクス株式会社製、四官能アクリレートモノマー
・A−TMM−3:新中村化学工業株式会社製、三官能アクリレートモノマー
・SR9035:サートマー社製、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
・Irgacure 184:BASF社製、光開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
・PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
<プライマー層材料>
・UT5181:日本合成株式会社製、ウレタンアクリレート
・A−TMM−3L:新中村化学工業株式会社製、ペンタエリスリトールトリアクリレート(トリエステル約55%)
・Irgacure 184:BASF社製、光開始剤、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
・PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
実施例1〜12の防汚積層体は、水垢の除去性、皮脂汚れの除去性、油性インクの除去性、及び耐薬品性(耐毛染め剤性)の全てに優れていた。更に、耐傷性にも優れていた。
実施例8に比べ、実施例1〜7及び9〜12は、防汚性樹脂層の水転落角及び表面エネルギーが小さく、水転落角が30°以下かつ表面エネルギーが20mJ/m以下であったため、油性インクの除去性がより優れていた。
一方、比較例1及び3では、水垢の除去性、皮脂汚れの除去性、油性インクの除去性、耐傷性、及び耐薬品性(耐毛染め剤性)の全てにおいて劣っていた。
比較例2では、耐傷性、及び耐薬品性(耐毛染め剤性)には優れるものの、水垢の除去性、皮脂汚れの除去性、及び油性インクの除去性が劣っていた。
比較例4及び5では、水垢の除去性、耐傷性、及び耐薬品性(耐毛染め剤性)には優れるものの、皮脂汚れの除去性、及び油性インクの除去性が劣っていた。
比較例6では、水垢の除去性、皮脂汚れの除去性、耐傷性、及び耐薬品性(耐毛染め剤性)には優れるものの、油性インクの除去性が劣っていた。
比較例7及び8では、水垢の除去性、皮脂汚れの除去性、油性インクの除去性、及び耐傷性には優れるものの、耐薬品性(耐毛染め剤性)が劣っていた。
本発明の水廻り用防汚積層体は、水廻り(洗面室、浴室、キッチン、便所、厨房、食品工場、など)機器である水洗便器、便座部材(便座、便蓋、ノズル、ノズルカバー)、食器洗浄機、洗濯機、キッチンシンク、キッチンフード用部材、作業台、手洗器、洗面器、浴槽本体、浴槽エプロン、窓材、間仕切り、壁材、床材、水栓金具、カラン、シャワーヘッド、シャワーバー、ホース、ラック類、ホルダー類、手すり、窓サッシ、ドアサッシ、排水金具、排水口、鏡などに好適に用いることができる。
1 水廻り用基材
2 プライマー層
3 防汚性樹脂層

Claims (16)

  1. 水廻り用基材と、前記水廻り用基材上に防汚性樹脂層とを有し、
    前記防汚性樹脂層の水転落角が、40°未満であり、
    前記防汚性樹脂層の表面エネルギーが、25mJ/m以下であり、
    前記防汚性樹脂層が、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、ウレタン(メタ)アクリレート(ただし、ポリシロキサン由来の構造を有するウレタン(メタ)アクレートを除く。)と、3官能以上の(メタ)アクリレートと、撥水性分子構造を有する撥水性モノマーであるパーフルオロポリエーテル構造を有する(メタ)アクリレート(ただし、以下の(1)〜(3)の含フッ素アクリル化合物を除く。)とを含有し〔ただし、下記一般式(A)で表されるシリコーンポリオールと、末端に水酸基と反応可能な官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーと、を用いて得られるジメチルシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び帯電制御剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を除く。〕、
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、前記ウレタン(メタ)アクリレート(ただし、ポリシロキサン由来の構造を有するウレタン(メタ)アクレートを除く。)を、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、55質量%〜80質量%含有することを特徴とする水廻り用防汚積層体。
    (1):[Rf−Z−Q−[Z−SiR3−c
    (2):[X3−cSi−Z−Q−Z−Rf−Z−Q−[Z−SiR3−c
    (3):ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に2価の連結基を介してシクロポリシロキサン構造が結合し、前記シクロポリシロキサン構造に2価の連結基を介して(メタ)アクリロイル基が結合した構造を有する含フッ素アクリル化合物
    (式(1)及び(2)中、Rfは独立に炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基と酸素原子によって構成される分子量400〜20,000の1価のパーフルオロポリエーテル基であり、Rfは炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基と酸素原子によって構成される分子量400〜20,000の2価のパーフルオロポリエーテル基であり、Zは独立に炭素数1〜20の酸素原子、窒素原子及びケイ素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基であり、途中環状構造を含んでいてもよい。Zは独立に炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。Qは少なくとも(a+b)個のケイ素原子を含む(a+b)価の連結基であり、環状構造をなしていてもよい。Qは独立に少なくとも(b+1)個のケイ素原子を含む(b+1)価の連結基であり、環状構造をなしていてもよい。aは1〜10の整数であり、bは独立に1〜10の整数であり、cはそれぞれ独立に0、1又は2である。式(1)における[ ]で括られたa個のZもしくは式(2)におけるZ及びb個のZはすべてそれぞれQ又はQ構造中のケイ素原子と結合している。Rは独立に1〜6の1価の炭化水素基である。Xはそれぞれ独立にCH=CR−COO−Z−SiR−O−で示される基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜8の1価の炭化水素基であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜8の1価の炭化水素基である。Zは炭素数1〜8の2価の炭化水素基であり、途中環状構造を含んでいてもよい。)
    但し、前記一般式(A)中、nは、前記ジメチルシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量が700〜40000となるように任意に選択される整数を表し、Rは、総炭素数1〜30のアルキレン基、又は、エーテル結合を有する総炭素数1〜30の官能基を表す。
  2. 前記防汚性樹脂層が、前記撥水性分子構造を有する請求項1に記載の水廻り用防汚積層体。
  3. 前記撥水性分子構造が、パーフルオロポリエーテル構造である請求項2に記載の水廻り用防汚積層体。
  4. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、前記撥水性分子構造を有する撥水性モノマーを、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、0.01質量%〜5.0質量%含有する請求項1から3のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体。
  5. 前記防汚性樹脂層のマルテンス硬度が、200N/mm 以上である請求項1から4のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体。
  6. 前記防汚性樹脂層の動摩擦係数が、0.40以下である請求項1から5のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体。
  7. 前記水廻り用基材と、前記防汚性樹脂層との間に、プライマー層を有する請求項1から6のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体。
  8. 前記3官能以上の(メタ)アクリレートが、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールアルコキシテトラ(メタ)アクリレート、及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートの少なくともいずれかである請求項1から7のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体。
  9. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、前記3官能以上の(メタ)アクリレートを、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、20質量%〜45質量%含有する請求項1から8のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体を有することを特徴とする水廻り用物品。
  11. 請求項1から9のいずれかに記載の水廻り用防汚積層体を製造する水廻り用防汚積層体の製造方法であって、
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から形成される未硬化層に対して、酸素濃度1体積%未満の雰囲気下で活性エネルギー線照射を行い、前記防汚性樹脂層を形成する工程を含む、ことを特徴とする水廻り用防汚積層体の製造方法。
  12. 水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
    ウレタン(メタ)アクリレート(ただし、ポリシロキサン由来の構造を有するウレタン(メタ)アクレートを除く。)と、3官能以上の(メタ)アクリレートと、撥水性分子構造を有する撥水性モノマーであるパーフルオロポリエーテル構造を有する(メタ)アクリレート(ただし、以下の(1)〜(3)の含フッ素アクリル化合物を除く。)とを含有し〔ただし、下記一般式(A)で表されるシリコーンポリオールと、末端に水酸基と反応可能な官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーと、を用いて得られるジメチルシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び帯電制御剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を除く。〕、
    前記ウレタン(メタ)アクリレート(ただし、ポリシロキサン由来の構造を有するウレタン(メタ)アクレートを除く。)を、前記水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、55質量%〜80質量%含有し、
    前記水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、酸素濃度1体積%未満の雰囲気下で活性エネルギー線照射を行い硬化して防汚性樹脂層を作製した際の、前記防汚性樹脂層の水転落角が、40°未満であり、表面エネルギーが、25mJ/mm 以下であることを特徴とする水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
    (1):[Rf −Z −Q −[Z −SiR 3−c
    (2):[X 3−c Si−Z −Q −Z −Rf −Z −Q −[Z −SiR 3−c
    (3):ポリ(パーフルオロアルキレンエーテル)鎖の両末端に2価の連結基を介してシクロポリシロキサン構造が結合し、前記シクロポリシロキサン構造に2価の連結基を介して(メタ)アクリロイル基が結合した構造を有する含フッ素アクリル化合物
    (式(1)及び(2)中、Rf は独立に炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基と酸素原子によって構成される分子量400〜20,000の1価のパーフルオロポリエーテル基であり、Rf は炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基と酸素原子によって構成される分子量400〜20,000の2価のパーフルオロポリエーテル基であり、Z は独立に炭素数1〜20の酸素原子、窒素原子及びケイ素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基であり、途中環状構造を含んでいてもよい。Z は独立に炭素数2〜8の2価の炭化水素基である。Q は少なくとも(a+b)個のケイ素原子を含む(a+b)価の連結基であり、環状構造をなしていてもよい。Q は独立に少なくとも(b+1)個のケイ素原子を含む(b+1)価の連結基であり、環状構造をなしていてもよい。aは1〜10の整数であり、bは独立に1〜10の整数であり、cはそれぞれ独立に0、1又は2である。式(1)における[ ]で括られたa個のZ もしくは式(2)におけるZ 及びb個のZ はすべてそれぞれQ 又はQ 構造中のケイ素原子と結合している。Rは独立に1〜6の1価の炭化水素基である。Xはそれぞれ独立にCH =CR −COO−Z −SiR −O−で示される基であり、R は水素原子又は炭素数1〜8の1価の炭化水素基であり、R 及びR はそれぞれ独立に炭素数1〜8の1価の炭化水素基である。Z は炭素数1〜8の2価の炭化水素基であり、途中環状構造を含んでいてもよい。)
    但し、前記一般式(A)中、nは、前記ジメチルシリコーン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量が700〜40000となるように任意に選択される整数を表し、Rは、総炭素数1〜30のアルキレン基、又は、エーテル結合を有する総炭素数1〜30の官能基を表す。
  13. 前記撥水性分子構造が、パーフルオロポリエーテル構造である請求項12に記載の水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  14. 前記撥水性モノマーを、前記水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、0.01質量%〜5.0質量%含有する請求項12から13のいずれかに記載の水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  15. 前記3官能以上の(メタ)アクリレートが、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールアルコキシテトラ(メタ)アクリレート、及びジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートの少なくともいずれかである請求項12から14のいずれかに記載の水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  16. 前記水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、前記3官能以上の(メタ)アクリレートを、前記水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、20質量%〜45質量%含有する請求項12から15のいずれかに記載の水廻り用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
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