JP6518374B2 - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、積層体、及びその製造方法、並びに物品 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、積層体、及びその製造方法、並びに物品 Download PDF

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Description

本発明は、建築用途、産業用途、自動車用途、光学用途、太陽電池パネルなどの広範囲に使用できる、防曇性及び防汚性の少なくともいずれかを備える積層体、及びその製造方法、前記積層体を用いた物品、並びに前記積層体のプライマー層の形成に適用可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
種々の物品には、その表面を装飾及び保護するために、その表面に樹脂フィルム、ガラスなどが貼り付けられている。
しかし、物品の表面を装飾及び保護する樹脂フィルム、ガラスなどが曇ることにより物品の視認性及び美観が低下することがある。
そのため、そのような物品の視認性及び美観の低下を防ぐために、前記樹脂フィルム及びガラスには、防曇処理又は防汚処理が施されている。
例えば、防曇性及び防汚性を備え、特定の組成を有する電子線硬化型ハードコートシートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば、防曇層を備える防曇積層体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
これらの積層体の製造方法は、一般的に、基材上に、防曇性又は防汚性を有する樹脂組成物を塗布した後に、硬化して、防曇性又は防汚性を有する機能層を形成することで、積層体を得る方法である。その際、基材と前記機能層との密着性を向上させるために前記基材と前記機能層との間にプライマー層が形成されることがある。その場合、積層体の端部において、前記積層体の透過像又は反射像がゆがみ、それらの像の視認性が低下するという問題がある。
特許第3760669号公報 特開2017−81148号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、防曇性及び防汚性の少なくともいずれかを有し、プライマー層が設けられた積層体において、端部の視認性にも優れる積層体、及びその製造方法、前記積層体を用いた物品、並びに、前記積層体の前記プライマー層の形成に適用可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 基材と、前記基材上にプライマー層と、前記プライマー層上に防曇性及び防汚性の少なくともいずれかの機能を有する機能層とを有する積層体であって、
前記積層体の端部の前記機能層側の表面が、前記端部の端辺に沿った頂辺部を有する凸部を有し、
前記端辺の方向、及び前記表面の面方向に直交する断面において、前記凸部の高さが10μm以下であり、前記凸部の幅が15mm以下であり、かつ前記端辺と前記頂辺部との間の長さが5.0mm以下であることを特徴とする積層体である。
<2> 前記凸部の高さが、1μm〜10μmである前記<1>に記載の積層体である。
<3> 前記機能層の表面の純水接触角が、80°以上であり、かつヘキサデカン接触角が、35°以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の積層体である。
<4> 前記プライマー層の平均厚みが、0.5μm〜5μmである前記<1>から<3>のいずれかに記載の積層体である。
<5> 前記機能層の平均厚みが、10μm以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載の積層体である。
<6> 前記機能層の動摩擦係数が、0.40以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の積層体である。
<7> 前記プライマー層が、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、界面活性剤を含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の積層体である。
<8> 前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかである前記<7>に記載の積層体である。
<9> 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記界面活性剤の含有量が、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.0001質量%〜5.0質量%である前記<7>から<8>のいずれかに記載の積層体である。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の積層体を表面に有することを特徴とする物品である。
<11> 鏡である前記<10>に記載の物品である。
<12> 浴室用及び洗面台用の少なくともいずれかである前記<11>に記載の物品である。
<13> 鏡表面からその法線方向に1m離れた位置に目開き1cmの金網を持って立ち、映った金網の像を目視で評価した際に、前記金網の像にゆがみが生じない前記<11>から<12>のいずれかに記載の物品である。
<14> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の積層体の前記プライマー層の形成に使用される活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
界面活性剤を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
<15> 前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかである前記<14>に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
<16> 前記界面活性剤の含有量が、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.0001質量%〜5.0質量%である前記<14>から<15>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
<17> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、
界面活性剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、前記基材上に塗布し、硬化して、前記プライマー層を形成するプライマー層形成工程を含むことを特徴とする積層体の製造方法である。
<18> 前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかである前記<17>に記載の積層体の製造方法である。
<19> 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記界面活性剤の含有量が、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.0001質量%〜5.0質量%である前記<17>から<18>のいずれかに記載の積層体の製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、防曇性及び防汚性の少なくともいずれかを有し、プライマー層が設けられた積層体において、端部の視認性にも優れる積層体、及びその製造方法、前記積層体を用いた物品、並びに、前記積層体の前記プライマー層の形成に適用可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することができる。
図1は、積層体の断面プロファイルの一例の模式図である。 図2は、本発明の積層体の一例の概略断面図である。 図3は、本発明の物品の一例の概略断面図である。 図4Aは、蒸気による曇り性試験の方法を説明するための模式図である。 図4Bは、蒸気による曇り性試験の方法を説明するための模式図である。
(積層体)
本発明の積層体は、基材と、プライマー層と、機能層とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
基材の表面に防曇性、防汚性などの機能を有する機能層を塗布法により形成した場合、端部で像がゆがみ、視認性が低下する。視認性の低下は、前記機能層の平均厚みが厚いほど(例えば、平均厚みが10μm以上であると)顕著になる。
本発明者らは、係る問題点を解決するために鋭意検討した。そして、本発明者らは、視認性が低下する原因が、端部に形成された凸部であることを確認した。更に、本発明者らは、前記機能層を塗布法により形成した際に、前記基材の端部に塗布された塗料が表面張力で盛り上がり、端部に凸部が形成されることを確認した。
そして、本発明者らは、更に鋭意検討を重ね、プライマー層を形成する際の組成物に、界面活性剤を含有させることで、端部の凸部の形成を抑制できることを見出し、本発明の完成に至った。
<積層体の特徴>
前記積層体は、以下の特徴を兼ね備える。
前記プライマー層と、前記機能層とを有する。
前記積層体の端部の前記機能層側の表面は、前記端部の端辺に沿った頂辺部を有する凸部を有する。
前記端辺の方向、及び前記表面の面方向に直交する断面において、前記凸部の高さが10μm以下であり、前記凸部の幅が15mm以下であり、かつ前記端辺と前記頂辺部との間の長さが5.0mm以下である。
ここで、「端部」とは、端辺を含む、端辺とその近傍の領域を意味する。
ここで、前記断面における各長さは、例えば、前記積層体の断面プロファイルを測定することにより、求めることができる。
ここで、断面プロファイルの一例の模式図を図1に示す。
図1は、断面プロファイルの一例の模式図である。
図1は、積層体における端辺の方向、及び機能層側の表面の面方向に直交する断面のプロファイルの模式図である。凸部を有する実線(f)は、機能層の表面を表す。符号(t)は山の頂点(頂辺部)を示し、符号(a)は端辺を示し、符号(h)は山の高さを示し、符号(w)は山の幅を示し、符号(l)は端辺(a)と山の頂点(t)との間の水平距離(端辺と頂辺部との間の長さ)を示す。
山の高さ(h)は、頂辺部(t)から機能層側の表面の水平面(f1)の延長線(i)までの距離である。
凸部の幅(w)は、凸部における前記表面の中央部側の裾点(f2)から、端辺(a)及び前記機能層側の表面と直交する線(ii)までの距離である。
水平距離は(l)は、前記線(ii)と、頂辺部(t)から延長線(i)に引いた垂線(iii)との距離である。
本発明において、端部の凸部は、高さが小さければそれだけで良いというわけではない。加えて、凸部の幅が短いことが必要である。即ち、高さが低くても凸部の幅が大きい凸部、言い換えればなだらかに幅広な凸部では、視認性が劣る。また、凸部の頂点の位置も重要であり、端辺から離れすぎると、たとえ高さが小さくかつ幅狭であっても、視認性が劣る。
そのため、視認性が良好になる条件として、以下の(1)〜(3)の全てが必要となる。
(1)凸部の高さ〔山の高さ(h)〕が10μm以下である。
(2)凸部の幅(w)が15mm以下である。
(3)端辺と頂辺部との間の長さ〔水平距離(l)〕が5.0mm以下である。
凸部の高さが10μmを超えると屈折により像のゆがみが強く視認されてしまう。そのため、凸部の幅、及び端辺と頂辺部との間の長さが上記(2)、及び(3)をそれぞれ満たしても、凸部の高さが上記(1)を満たさないと、視認性の劣化を抑えられない。
端辺と頂辺部との間の長さは視認される像のゆがみの幅(=端辺から像のゆがみがなくなるまでの中心方向への長さ)と相関がある。凸部の高さが上記(1)を満たすと屈折の程度はそれほど強くなく像のゆがみもそれほど強くない。しかし、端辺と頂辺部との間の長さが5.0mmを超えると、ゆがんだ領域として視認されてしまう。
凸部の幅が15mmを超えると、視認される像のゆがみの幅(=端辺から像のゆがみがなくなるまでの中心方向への長さ)が大きくなる。そのため、凸部の高さ、及び端辺と頂辺部との間の長さが上記(1)、及び(3)をそれぞれ満たしても、凸部の幅が上記(2)を満たさないと屈折の程度はそれほど強くなく像のゆがみもそれほど強くないもののゆがんだ領域として視認されてしまう。
<<凸部の高さ>>
前記凸部の高さは、10μm以下であり、8.0μm以下が好ましく、7.0μm以下がより好ましく、5.5μm以下が特に好ましい。前記凸部の高さの下限値は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記凸部の高さは、1.0μm以上であってもよいし、2.0μm以上であってもよいし、4.0μm以上であってもよい。
<<凸部の幅>>
前記凸部の幅は、15mm以下であり、14mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、6.0mm以下が特に好ましい。前記凸部の幅の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記凸部の幅は、1.0mm以上であってもよいし、3.0mm以上であってもよいし、5.0mm以上であってもよい。
<<端辺と頂辺部との間の長さ>>
前記長さ(端辺と頂辺との間の長さ)は、5.0mm以下であり、4.5mm以下が好ましく、3.5mm以下がより好ましく、3.0mm以下が特に好ましい。前記長さの下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記長さは、0.5mm以上であってもよいし、1.0mm以上であってもよいし、2.0mm以上であってもよい。
即ち、端部の視認性に優れる条件としては、前記凸部の高さは、5.5mm以下が特に好ましく、前記凸部の幅は、6.0mm以下が特に好ましく、前記長さ(端辺と頂辺との間の長さ)は、3.0mm以下が特に好ましい。
積層体の断面プロファイルは、例えば、以下の方法で測定できる。
KLA−Tencor社製Stylus Surface Profilometer P−15を用い端部における表面の断面プロファイルを以下の測定条件で測定する。
〔測定条件〕
・X scan size = 10〜100mm
・Scan Speed = 200μm/sec
・Sampling Rate = 200Hz
・Multi−Scan Average = 1
・Applied Force = 2.00mg
・Stylus Radius = 2.00μm
<基材>
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂製基材、無機製基材などが挙げられる。
<<無機製基材>>
前記無機製基材としては、例えば、ガラス製基材、石英製基材、サファイア製基材などが挙げられる。
前記ガラス製基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケイ酸ガラス(ケイ酸塩ガラス)、ソーダ石灰ガラス、カリガラスなどが挙げられる。
また、前記ガラス製基材は、強化ガラス、合せガラス、耐熱ガラスなどであってもよい。
前記ガラス製基材は、自動車用の窓ガラス、建築用の窓ガラス、レンズ、鏡、ゴーグルなどいずれの用途に用いられるものであってもよい。
前記ガラス製基材の形状は、通常、板状であるが、シート状、湾曲状等のどのような形状であってもよい。
<<樹脂製基材>>
前記樹脂製基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル(TPEE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、PC/PMMA積層体、ゴム添加PMMAなどが挙げられる。
前記基材は、透明性を有することが好ましい。
前記基材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フィルム状であることが好ましい。
前記基材がフィルム状の場合、前記基材の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜1,000μmが好ましく、50μm〜500μmがより好ましい。
前記基材の表面には、文字、模様、画像などが印刷されていてもよい。
前記基材の表面には、前記積層体を成形加工時、前記基材と成形材料との密着性を高めるため、又は成形加工時の成形材料の流動圧から前記文字、前記模様、及び前記画像を保護するために、バインダー層を設けてもよい。前記バインダー層の材質としては、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、エチレンブチルアルコール系、エチレン酢酸ビニル共重合体系等の各種バインダーの他、各種接着剤を用いることができる。なお、前記バインダー層は2層以上設けてもよい。使用するバインダーは、成形材料に適した感熱性、感圧性を有するものを選択できる。
前記機能層側と反対側の前記基材の表面は、シワ模様を有していてもよい。そうすることで、複数の前記積層体を重ねたときのブロッキングが防止され、後工程でのハンドリング性が向上し、物品を効率よく製造できる。
前記シワ模様は、例えば、シボ加工により形成できる。
ここで、ブロッキングとは、複数のシートを重ねた際に、各シートの引き離しが困難になることをいう。
<プライマー層>
前記機能層は、前記基材との密着性が十分ではないことがある。そこで、前記積層体においては、前記基材と、前記機能層との間に、前記基材への前記機能層の密着性を向上させるプライマー層が配されている。
前記プライマー層は、薄いと密着性向上効果が不十分であることから、前記プライマー層の平均厚みは、その点において、0.5μm以上が好ましい。
更に、前記プライマー層の平均厚みとしては、0.5μm〜20μmがより好ましく、0.5μm〜10μmが更により好ましく、0.5μm〜5μmが特に好ましい。
前記プライマー層の平均厚みがより好ましい範囲内であることで、高温蒸気(例えば、60℃以上)、熱衝撃(例えば、−20℃から80℃への急激な変化)、アルカリ性洗剤に曝されても、密着性が低下しにくく、前記機能層の剥離を防止できる。
平均厚みは、以下の方法により求められる。
プライマー層の厚みは、積層体の断面を、電界放出形走査電子顕微鏡S−4700(商品名;株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察することで測定できる。任意の10箇所で測定し、その平均値を、平均厚みとする。なお、この場合、前記積層体の端部を除いた箇所で測定する。
前記プライマー層は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布することにより形成できる。即ち、前記プライマー層は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が活性エネルギー線により硬化した硬化物である。
<<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>>
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、例えば、界面活性剤を含有し、更に必要に応じて、ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤、溶剤などのその他の成分を含有する。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、前記界面活性剤を含有することで、得られるプライマー層の端部の凸部の高さ、凸部の幅、及び端辺と頂辺部との間の長さが小さく抑えられる。その結果、前記プライマー層上に形成される前記機能層の端部の凸部の高さ、凸部の幅、及び端辺と頂辺部との間の長さも小さくすることができる。
<<<界面活性剤>>>
前記界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、表面張力を大幅に低下させることができることから、シリコーン系界面活性剤が好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等の変性シリコーンを用いることができる。これらの中でも、表面張力を大幅に低下させることができる点で、ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
前記ポリエーテル変性シリコーンとしては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが好ましく用いられる。
前記ポリエステル変性シリコーンとしては、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンが好ましく用いられる。
前記シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3530、BYK−UV3570(以上、BYK社製商品名)、KP323(信越化学工業株式会社製商品名)等が挙げられる。これらの中でも、前記機能層を形成する組成物(塗料)の濡れ広がり性が一層優れたものとなるため、BYK−UV3500、BYK−UV3510、KP323が好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキル基を有する構造のものが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF−470、F−471、F−472SF、F−474、F−475、R−30、F−477、F−478、F−479、BL−20、R−61、R−90(以上、株式会社DIC製商品名)、FC−170C、FC−4430、FC−4432(以上、住友スリーエム株式会社製商品名)などが挙げられる。
前記界面活性剤は、(メタ)アクリロイル基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.0001質量%〜5.0質量%が好ましく、0.0001質量%〜3.0質量%がより好ましく、0.005質量%〜1.0質量%が特に好ましい。前記特に好ましい範囲内であると、密着性と、表面張力の低下とを高度に両立できる。
<<<ウレタン(メタ)アクリレート>>>
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記ウレタン(メタ)アクリレートの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、40質量%〜80質量%が好ましく、50質量%〜75質量%がより好ましく、60質量%〜70質量%が特に好ましい。
<<<光重合開始剤>>>
前記光重合開始剤の具体例としては、例えば、後述する前記機能層の説明において例示する光重合開始剤の具体例が挙げられる。
<<<溶剤>>>
前記溶剤の具体例としては、例えば、後述する前記機能層の説明において例示する溶剤の具体例が挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、更に、アルキレンオキサイド構造を有する(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。前記アルキレンオキサイド構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリセリンアルコキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルコキシテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルコキシトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルコキシジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルコキシトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどが挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記アルキレンオキサイド構造を有する(メタ)アクリレートの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、15質量%〜50質量%が好ましく、20質量%〜45質量%がより好ましく、25質量%〜38質量%が特に好ましい。
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワイヤーバーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、リバースロールコーティング、ダイコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、リップコーティング、エアーナイフコーティング、カーテンコーティング、コンマコート法、ディッピング法などが挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線が照射されることにより硬化する。前記活性エネルギー線としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線等)、マイクロ波、高周波などが挙げられる。
<機能層>
前記機能層は、防曇性及び防汚性の少なくともいずれかを有する。
<<純水接触角>>
前記機能層の表面の純水接触角は、80°以上が好ましく、90°以上がより好ましく、100°以上が特に好ましい。前記純水接触角の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記純水接触角は、例えば、130°以下、150°以下、170°以下などが挙げられる。
前記純水接触角は、接触角計であるPCA−1(協和界面化学株式会社製)を用いて、下記条件で測定する。蒸留水をプラスチックシリンジに入れて、その先端にステンレス製の針を取り付けて評価面(機能層表面)に滴下する。
水の滴下量:2μL
測定温度:25℃
水を滴下して5秒経過後の接触角を、機能層表面の任意の10か所で測定し、その平均値を純水接触角とする。
<<ヘキサデカン接触角>>
前記機能層の表面のヘキサデカン接触角は、35°以上が好ましく、40°以上がより好ましく、60°以上が特に好ましい。前記ヘキサデカン接触角の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記純水接触角は、例えば、100°以下、120°以下、150°以下などが挙げられる。
前記ヘキサデカン接触角は、接触角計であるPCA−1(協和界面化学株式会社製)を用いて、下記条件で測定する。ヘキサデカンをプラスチックシリンジに入れて、その先端にテフロンコートステンレス製の針を取り付けて評価面(機能層表面)に滴下する。
ヘキサデカンの滴下量:1μL
測定温度:25℃
ヘキサデカンを滴下して20秒経過後の接触角を、機能層表面の任意の10か所で測定し、その平均値をヘキサデカン接触角とする。
純水接触角が上記好ましい範囲内であり、且つヘキサデカン接触角が上記好ましい範囲内であると、マジックインキ、指紋、汗、化粧品(ファンデーション、UVプロテクターなど)等の水性汚れ及び/又は油性汚れが付着した場合でも、それらの汚れがバルクの下層に浸透することが防止され、防曇性に加え、防汚性にも優れる。
<<動摩擦係数>>
前記機能層の動摩擦係数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.40以下が好ましく、0.37以下がより好ましく、0.30以下が特に好ましい。前記動摩擦係数が、0.40以下であることで、払拭材料のすべり性がよく汚れが付着しても拭き取りやすい。また、力を逃がす効果が生じ、前記機能層が傷つきにくい。
前記機能層の動摩擦係数の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記機能層の動摩擦係数は、例えば、0.10以上が好ましい。
動摩擦係数は、以下の方法により求められる。
動摩擦係数は、Triboster TS501(商品名;協和界面科学株式会社製)を用いて測定する。面接触子にBEMCOT(登録商標) M−3II(商品名;旭化成株式会社製)を両面テープで貼り付け、測定荷重50g/cm、測定速度1.7mm/s、測定距離20mmとし、任意の12箇所で測定し、その平均値を動摩擦係数とする。
<<平均厚み>>
高温高湿度(たとえば35℃85%RH)の雰囲気で一定時間以上(たとえば10分以上)曇りを抑えるには、機能層の厚みを一定以上にすることが有効である。
その観点から、前記機能層の平均厚みは、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上が特に好ましい。
前記機能層の平均厚みが厚いと、その分、端部の凸部の高さも高くなるため、前記平均厚みは、45μm未満が好ましく、40μm以下がより好ましい。
平均厚みは、以下の方法により求められる。
機能層の厚みは、積層体の断面を、電界放出形走査電子顕微鏡S−4700(商品名;株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察することで測定できる。任意の10箇所で測定し、その平均値を、平均厚みとする。なお、この場合、前記積層体の端部を除いた箇所で測定する。
<<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>>
前記機能層は、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物である。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、撥水性分子構造を有する撥水性モノマー、界面活性剤を好ましくは含有し、更に必要に応じて、その他のモノマー、重合開始剤、溶剤などを含有する。
<<<撥水性モノマー>>>
前記撥水性モノマーは、撥水性分子構造を有する。本発明における撥水性分子構造としては、フッ素又はケイ素を有する構造が挙げられ、例えば、フルオロアルキル構造、パーフルオロポリエーテル構造、ジメチルシロキサン構造などが挙げられる。
前記撥水性モノマーとしては、パーフルオロポリエーテル基を含有する(メタ)アクリレートが好ましく、パーフルオロポリエーテル基として、−(O−CFCF)−、−(O−CFCFCF)−、又は−(O−CFC(CF)F)−の繰り返し構造を含む化合物が好ましい。市販品としてはたとえばダイキン工業株式会社製DAC−HP、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製フルオロリンクAD1700、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製フルオロリンクMD700、サートマー社製CN4000、信越化学工業株式会社製KY−1203などが挙げられる。
前記撥水性モノマーが、パーフルオロポリエーテル基(パーフルオロポリエーテル構造)を有すると、前記機能層の表面エネルギーを低くできるだけでなく分子鎖が柔軟で動きやすいため汚れが拭き取りやすい。また前記機能層の動摩擦係数を低くできて耐傷性が高まる。その点で、前記撥水性モノマーは、パーフルオロポリエーテル基(パーフルオロポリエーテル構造)を有することが好ましい。
また、前記撥水性モノマーは、例えば、(メタ)アクリレートである。即ち、前記撥水性モノマーは、例えば、撥水性分子構造を有する(メタ)アクリレートである。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記撥水性モノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.001質量%〜5.0質量%がより好ましく、0.01質量%〜5.0質量%が特に好ましい。
<<<界面活性剤>>>
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その詳細、及び好ましい態様は、前記プライマー層の説明における前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の成分としての前記界面活性剤の詳細、及び好ましい態様と同じである。
前記プライマー層を形成するための前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が前記界面活性剤を含有するとともに、前記機能層を形成するための前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が前記界面活性剤を含有することで、前記プライマー層上に形成される前記機能層の端部の凸部の高さ、凸部の幅、及び端辺と頂辺部との間の長さを更に小さくすることができる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.0001質量%〜5.0質量%が好ましく、0.0001質量%〜3.0質量%がより好ましく、0.005質量%〜1.0質量%が特に好ましい。
<<<その他のモノマー>>>
前記その他のモノマーとしては、例えば、親水性モノマー、架橋剤などが挙げられる。
−親水性モノマー−
前記親水性モノマーは、例えば、アルキレンオキシド当量が100未満でありかつアクリル当量が200〜500である。
ここで、アルキレンオキシド当量とは、アルキレンオキシド基1molあたりのモノマー質量であり、モノマーの分子量を、当該モノマー1分子当りのアルキレンオキシドの数で除して得られる。
アクリル当量とは、(メタ)アクリル基1molあたりのモノマー質量であり、モノマーの分子量を、当該モノマー1分子当りの(メタ)アクリル基〔(メタ)アクリロイル基ともいう〕の数で除して得られる。
前記アルキレンオキシドにおけるアルキレン基の炭素数としては、1〜12が好ましく、1〜4がより好ましい。
前記アルキレンオキシドとしては、例えば、メチレンオキシド(炭素数1)、1,2−エチレンオキシド(炭素数2)、1,3−プロピレンオキシド(炭素数3)、1,2−プロピレンオキシド(炭素数3)、1,4−ブチレンオキシド(炭素数4)などが挙げられる。
前記親水性モノマーにおける前記アルキレンオキシド当量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記アルキレンオキシド当量としては、例えば、30以上、40以上などが挙げられる。
前記親水性モノマーは、(メタ)アクリロイル基を有する。前記親水性モノマーにおける前記(メタ)アクリロイル基の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。
前記(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
前記親水性モノマーとしては、例えば、アルキレンオキシド当量が100未満でありかつアクリル当量が200〜500であるかぎり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルコキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、アルコキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。前記アルコキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記親水性モノマーの分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300〜2,500が好ましく、400〜2,000がより好ましく、600〜1,500が特に好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記親水性モノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、55質量%〜90質量%が好ましく、60質量%〜75質量%がより好ましい。前記含有量が、好ましい範囲内であると、前記機能層は、より曇りにくくなり、より傷つきにくくなり、より薬品におかされにくくなる。
−架橋剤−
前記架橋剤は、前記親水性モノマーとは異なり、例えば、アルキレンオキシド当量が100以上である。更に、前記架橋剤は、例えば、アクリル当量が400未満である。
本発明においては、アルキレンオキシドを有していない架橋剤も、前記架橋剤に含まれる。
前記架橋剤は、例えば、非脂環式である。即ち、前記架橋剤は、脂環式構造を有さない。脂環式構造とは、3つ以上の炭素からなる環構造である。
前記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシドなどが挙げられる。
前記架橋剤における前記アクリル当量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記アクリル当量としては、例えば、100以上などが挙げられる。
前記架橋剤は、(メタ)アクリロイル基を有する。前記架橋剤における前記(メタ)アクリロイル基の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜6が好ましい。
前記架橋剤としては、アルキレンオキシド当量が100以上でありかつアクリル当量が400未満であるかぎり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ペンタエリスリトールアルコキシテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(ウレタン)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレートなどが挙げられる。
前記架橋剤の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300〜2,500が好ましく、400〜2,000がより好ましく、500〜1,900が特に好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、5質量%〜40質量%が好ましく、20質量%〜35質量%がより好ましく、20質量%〜30質量%が特に好ましい。前記含有量が、5質量%未満であると、耐傷性、耐薬品性が低下することがある。前記含有量が、40質量%を超えると、防曇性が低下することがある。
ここで、前記親水性モノマー及び前記架橋剤の一例と、それらのアルキレンオキシド当量、及びアクリル当量を以下に挙げる。
表1中「AO」はアルキレンオキシドを表す。
表1に記載のモノマーの詳細は以下の通りである。
〔親水性モノマー〕
・SR9035:サートマー社製、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート
なお、(15)は、1モルあたりに含まれるエチレンオキサイド基の平均数が15であることを表す。
・ATM−35E:新中村化学工業株式会社製、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート
・A−GLY−20E:新中村化学工業株式会社製、エトキシ化グリセリントリアクリレート
・A−600:新中村化学工業株式会社製、ポリエチレングリコールジアクリレート
・A−GLY−9E:新中村化学工業株式会社製、エトキシ化グリセリントリアクリレート
・A−400:新中村化学工業株式会社製、ポリエチレングリコールジアクリレート
〔架橋剤〕
・EBECRYL40:ダイセルオルネクス株式会社製、ペンタエリスリトールアルコキシテトラアクリレート
・PU610:Miwon社製、脂肪族ウレタンアクリレート(アクリル基数6、分子量:1800)
・ABE−300:新中村化学工業株式会社製、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート
<<<光重合開始剤>>>
前記光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤、光酸発生剤、ビスアジド化合物、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシグリコユリルなどが挙げられる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の化合物が挙げられる。
・1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
・2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン
・2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン
・2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
・1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン
・オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルと、オキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
前記光重合開始剤は、外観における黄変を防止する点から、構成元素に窒素原子を含まないことが好ましい。
他方、前記光重合開始剤は、外観における黄変を防止する点から、C、H、及びOのみを構成元素とするか、又はC、H、P、及びOのみを構成元素とすることが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記光重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましく、1質量%〜5質量%が特に好ましい。
<<<溶剤>>>
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶剤が挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えば、芳香族系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、グリコールエーテル系溶媒、グリコールエーテルエステル系溶媒、塩素系溶媒、エーテル系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
前記溶剤としては、より良好な外観の機能層を得る観点から、沸点が80℃以上の溶剤が好ましい。
沸点が80℃以上の溶剤としては、例えば、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−エチル−1−ヘキサノール、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1,4−ジオキサン、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどが挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記溶剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線が照射されることにより硬化する。前記活性エネルギー線としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線等)、マイクロ波、高周波などが挙げられる。
ここで、前記積層体の一例を説明する。
図2は、本発明の積層体の一例の概略断面図である。
図2の積層体は、基材11と、プライマー層12と、機能層13とを有する。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、界面活性剤を含有し、更に必要に応じて、ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤、溶剤などのその他の成分を含有する。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、本発明の前記積層体の前記プライマー層の形成に使用される。
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の成分の詳細、及び好ましい態様は、前記積層体の前記プライマー層の説明における前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の成分の詳細、及び好ましい態様と同じである。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体の製造方法は、プライマー層形成工程を少なくとも含み、好ましくは、機能層形成工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記積層体の製造方法は、本発明の前記積層体の好適な製造方法である。
<プライマー層形成工程>
前記プライマー層形成工程としては、前記基材上に、プライマー層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化して前記プライマー層を形成する工程などが挙げられる。
前記プライマー層形成用活性エネルギー硬化性樹脂組成物の成分の詳細、及び好ましい態様は、前記積層体の前記プライマー層の説明における前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の成分の詳細、及び好ましい態様と同じである。
<機能層形成工程>
前記機能層形成工程としては、例えば、前記プライマー層上の、機能層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から形成される未硬化層に対して、酸素濃度1体積%未満の雰囲気下で紫外線照射を行い、前記機能層を形成する工程などが挙げられる。
前記機能層形成用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の成分の詳細、及び好ましい態様は、前記積層体の前記機能層の説明における前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の成分の詳細、及び好ましい態様と同じである。
前記機能層を形成する際に、酸素濃度1体積%未満の雰囲気下で紫外線照射を行うことで、硬化性が優れる結果、低い動摩擦係数、及び高い接触角の機能層が得られる。
前記酸素濃度1体積%未満の雰囲気としては、例えば、窒素雰囲気などの不活性ガス雰囲気が挙げられる。
(物品)
本発明の物品は、本発明の前記積層体を表面に有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
前記物品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス窓、冷蔵・冷凍ショーケース、自動車のウインドウ等の窓材、浴室内の鏡、自動車サイドミラー等の鏡、浴室の床及び壁、太陽電池パネル、防犯監視カメラなどが挙げられる。好適には鏡であり、更には浴室用、洗面台用の鏡が特に好ましい。
ここで、本発明の物品である鏡の一例を、図3を用いて説明する。
図3の物品は、基材11と、プライマー層12と、機能層13とをこの順で有する。更に基材11のプライマー層12側と反対側に、金属層14と、裏面保護層15とをこの順で有する。
基材11は、例えば、フロート法などで作製されたソーダ石灰ケイ酸塩ガラスであり、その裏面に、銀鏡反応、キャタライザーアクセレータ法、センシタイザーアクチベーター法、真空蒸着法等で金属層14が形成される。基材11と金属層14との組合せは、これに限定されず、例えば、真空蒸着法やゾルゲル法等で誘電体の多層膜が形成されたガラス製鏡、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等のプラスチック製鏡、ステンレスや青銅等による金属鏡であってもよい。
裏面保護層15は、金属層14に隣接し、金属層14の腐食や変質を防ぐ目的で設けられる。裏面保護層15は、1層であってもよいし、多層であってもよい。裏面保護層15の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属(例えば、銅等)、樹脂(例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等)などが挙げられる。
前記物品が鏡の場合、鏡表面からその法線方向に1m離れた位置に目開き1cmの金網を持って立ち、映った金網の像を目視で評価した際に、前記金網の像にゆがみが生じないことが好ましい。
前記積層体は、前記物品の表面の一部に形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<平均厚み>
機能層、及びプライマー層の厚みは、積層体の断面を、電界放出形走査電子顕微鏡S−4700(商品名;株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察することで測定した。端部以外の任意の5箇所で測定し、その平均値を、平均厚みとした。
<端部における表面の断面プロファイル>
KLA−Tencor社製Stylus Surface Profilometer P−15を用い端部における表面の断面プロファイルを以下の測定条件で測定した。
〔測定条件〕
・X scan size = 10〜100mm
・Scan Speed = 200μm/sec
・Sampling Rate = 200Hz
・Multi−Scan Average = 1
・Applied Force = 2.00mg
・Stylus Radius = 2.00μm
<視認性>
鏡表面からその法線方向に50cm又は1m離れた位置に目開き1cmの金網を持って立ち、映った金網の像を目視で下記評価基準で評価した。
〔評価基準〕
◎: 鏡表面からその法線方向に50cm離れた位置に目開き1cmの金網を持って立ち、映った金網の像を目視で評価したところ、鏡の端部で像のゆがみは気にならなかった。
○: 鏡表面からその法線方向に50cm離れた位置に目開き1cmの金網を持って立ち、映った金網の像を目視で評価したところ、鏡の端部で像のゆがみは認められたが、1m離れた位置に目開き1cmの金網を持って立ち、映った金網の像を目視で評価したところ、鏡の端部で像のゆがみは気にならなかった。
×: 鏡表面からその法線方向に1m離れた位置に目開き1cmの金網を持って立ち、映った金網の像を目視で評価したところ、鏡の端部で像がゆがみ、煩わしかった。
<純水接触角>
純水接触角は、接触角計であるPCA−1(協和界面化学株式会社製)を用いて、下記条件で測定した。蒸留水をプラスチックシリンジに入れて、その先端にステンレス製の針を取り付けて評価面(機能層表面)に滴下した。
水の滴下量:2μL
測定温度:25℃
水を滴下して5秒経過後の接触角を、機能層表面の任意の10か所で測定し、その平均値を純水接触角とした。
<ヘキサデカン接触角>
ヘキサデカン接触角は、接触角計であるPCA−1(協和界面化学株式会社製)を用いて、下記条件で測定した。ヘキサデカンをプラスチックシリンジに入れて、その先端にテフロンコートステンレス製の針を取り付けて評価面(機能層表面)に滴下した。
ヘキサデカンの滴下量:1μL
測定温度:25℃
ヘキサデカンを滴下して20秒経過後の接触角を、機能層表面の任意の10か所で測定し、その平均値をヘキサデカン接触角とした。
<動摩擦係数>
Triboster TS501(商品名;協和界面科学株式会社製)を用いて測定した。面接触子にBEMCOT(登録商標) M−3II(商品名;旭化成株式会社製)を両面テープで貼り付け、測定荷重50g/cm、測定速度1.7mm/s、測定距離20mmとし、任意の12箇所で測定し、その平均値を動摩擦係数とした。
<防曇性>
試験片を、常温環境下に2時間放置後35℃85%RHに暴露した。表面を目視で観察し下記評価基準で防曇性を評価した。
〔評価基準〕
◎: 15分後も曇りや水滴で視認性の悪い面積が3割以下。
○: 10分後まで曇りや水滴で視認性の悪い面積が3割以下。
△: 5分後まで曇りや水滴で視認性の悪い面積が3割以下。
×: 5分で曇りや水滴で視認性の悪い面積が3割より大きい。
<加温後の防曇性>
容器の約半分に水を入れた。入れた水をヒーターにより加熱して55℃に保持し、かつ、容器内の上部空間の大気温度を35℃に保持した。その容器に、積層体(サンプル)を、水(お湯)に接しないように設置した(図4A)。そして、積層体(サンプル)の機能層に約40℃のお湯をかけた(図4B)。その後、図4Aの状態に戻し、10分後に目視で曇りの様子を観察した。下記評価基準で評価した。
〔評価基準〕
◎: 機能層表面に外観変化が全くなかった。
○: 機能層表面の一部において、白い曇り、水膜形成などの、外観変化が確認された。
×: 機能層表面が全体的に、白い曇り、水膜形成など、外観変化した。
<防汚性>
Sharpie PROFESSIONAL(黒の油性マジック、商品名、Newell Rubbermaid社製)で機能層の表面を汚した。その後、これをティッシュ(大王製紙株式会社製、エリエール)で10回、円を描くように払拭後に、目視で表面を観察し、下記評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○: よくはじき2〜5回の払拭で汚れがなくなっていた。
△: 弱くはじく。6〜10回の払拭で汚れがなくなっていた。
×: はじかず10回払拭しても汚れが残っていた。
<耐傷性>
メラミンスポンジ(商品名:劇落ちくん)を水道水で湿らせ機能層の表面に置き、荷重300gf/cmにて10,000往復摺動(摺動ストローク:3cm、摺動速度:6cm/s)した後、下記評価基準で耐傷性を評価した。
〔評価基準〕
○: 外観に傷付きや白濁などの変化がなかった。
×: 外観に傷付きや白濁などの変化があった。
<耐薬品性>
アセトンで10分間湿布した後、下記評価基準で耐薬品性を評価した。
〔評価基準〕
○: 外観に変化がなかった。
×: 外観にただれや白濁などの変化があった。
<コート密着性>
下記の環境にさらしたのちそれぞれについてJIS K5600−5−6(クロスカット試験法)に準拠してクロスカット密着試験を行い、下記評価基準でコート密着性を評価した。
〔暴露条件〕
1.80℃のお湯からでる蒸気に5分間さらす。
2.カビキラー(ジョンソン&ジョンソン社)に1時間浸漬する。
〔評価基準〕
○: いずれの条件ののちも剥がれなかった。
×: 1つ以上の条件で剥がれてしまった。
<鉛筆硬度>
JIS K 5600−5−4に従って測定した。
(実施例1)
<基材>
鏡(フロート板ガラスに銀を成膜した鏡、平均厚み5mm)を基材として用いた。
<プライマー層の形成>
前記基材に下記プライマー層形成用樹脂組成物を、乾燥及び硬化後平均厚みが2μmとなるように、前記鏡上に塗布した。塗布後、80℃のオーブンで3分間乾燥させた。高圧水銀ランプを用いて、空気雰囲気下、照射量500mJ/cmで紫外線を照射して、プライマー層を得た。
−プライマー層形成用樹脂組成物−
・UT5181(日本合成株式会社製) 65.0質量部
・EBECRYL 40(ダイセルオルネクス株式会社製) 35.0質量部
・UV3500(BYK社製) 0.05質量部
・イルガキュア 184D(BASF社製) 3.0質量部
・溶剤 PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 900質量部
材料の詳細は以下のとおりである。
・UT5181:ウレタンアクリレート
・イルガキュア 184D:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
・EBECRYL40:ペンタエリスリトールアルコキシテトラアクリレート
・UV3500:シリコーン系界面活性剤
<機能層の形成>
次にプライマー層上に、下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を乾燥及び硬化後の平均厚みが35μmとなるように塗布した。塗布後、80℃のオーブンで2分間乾燥させた。メタルハライドランプを用いて、窒素雰囲気下、照射量500mJ/cmで紫外線を照射して防曇防汚コート層(機能層)を硬化させ防曇防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物〔防曇防汚コート層(機能層)形成用樹脂組成物〕−
・SR9035(サートマー社製) 67.9質量部
・EBECRYL 40(ダイセルオルネクス株式会社製) 29.1質量部
・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製) 0.1質量部
・イルガキュア 184D(BASF社製) 2.9質量部
・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 100質量部
材料の詳細は以下のとおりである。
・SR9035:エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート
・オプツールDAC−HP:UV硬化型パーフルオロポリエーテル(PFPE)
得られた防曇防汚積層体について、上記の評価を行った。結果を表3−1に示した。
(実施例2)
下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて防曇防汚コート層(機能層)を形成した以外は、実施例1と同様にして、防曇防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物〔防曇防汚コート層(機能層)形成用樹脂組成物〕−
・SR9035(サートマー社製) 67.9質量部
・EBECRYL 40(ダイセルオルネクス株式会社製) 29.1質量部
・オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社製) 0.1質量部
・UV3500(BYK社製) 0.05質量部
・イルガキュア 184D(BASF社製) 2.9質量部
・PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 100質量部
得られた防曇防汚積層体について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3−1に示した。
(比較例1)
下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いてプライマー層を形成し、かつ防曇防汚コート層(機能層)の平均厚みを45μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、防曇防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(プライマー層形成用樹脂組成物)−
・UT5181(日本合成株式会社製) 65.0質量部
・EBECRYL 40(ダイセルオルネクス株式会社製) 35.0質量部
・イルガキュア 184D(BASF社製) 3.0質量部
・溶剤 PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 900質量部
得られた防曇防汚積層体について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3−1に示した。
(比較例2)
防曇防汚コート層の平均厚みを45μmとした以外は、実施例1と同様にして、防曇防汚積層体を得た。
得られた防曇防汚積層体について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3−1に示した。
(比較例3)
市販の洗面化粧台用防曇鏡を評価した。結果を表3−1に示した。
(実施例3)
下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いてプライマー層を形成した以外は、実施例1と同様にして、防曇防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(プライマー層形成用樹脂組成物)−
・UT5181(日本合成株式会社製) 65.0質量部
・EBECRYL 40(ダイセルオルネクス株式会社製) 35.0質量部
・UV3500(BYK社製) 0.01質量部
・イルガキュア 184D(BASF社製) 3.0質量部
・溶剤 PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 900質量部
得られた防曇防汚積層体について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3−1に示した。
(実施例4)
下記組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いてプライマー層を形成した以外は、実施例1と同様にして、防曇防汚積層体を得た。
−活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(プライマー層形成用樹脂組成物)−
・UT5181(日本合成株式会社製) 65.0質量部
・EBECRYL 40(ダイセルオルネクス株式会社製) 35.0質量部
・UV3500(BYK社製) 1.0質量部
・イルガキュア 184D(BASF社製) 3.0質量部
・溶剤 PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 900質量部
得られた防曇防汚積層体について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3−1に示した。
(実施例5〜9)
実施例1において、プライマー層形成用樹脂組成物、及び機能層形成用樹脂組成物、並びにプライマー層の平均厚み、及び機能層の平均厚みを、表2−2に記載のプライマー層形成用樹脂組成物、及び機能層形成用樹脂組成物、並びにプライマー層の平均厚み、及び機能層の平均厚みとした以外は、実施例1と同様にして、防曇防汚積層体を得た。
得られた防曇防汚積層体について、実施例1と同様に評価を行った。結果を表3−2に示した。
実施例1〜4、及び比較例1〜3におけるプライマー層形成用樹脂組成物、及び機能層形成用樹脂組成物、並びにプライマー層の平均厚み、及び機能層の平均厚みを表2−1にまとめた。
表2−1、及び表2−2において配合量の単位は、質量部である・
表2−1、及び表2−2中の未説明の材料の詳細は、以下のとおりである。
・KP323:信越化学工業株式会社製、シリコーン系界面活性剤
・UV3510:BYK社製、シリコーン系界面活性剤
・KY−1203:信越化学工業株式会社製、撥水性モノマー
実施例1〜9では、比較例と比べて鏡の端部において像のゆがみが小さかった。実施例のなかでも実施例2は、凸部の高さ(h)が5.5μm以下、凸部の幅(w)が6.0mm以下、端辺と頂辺との間の長さ(l)が3.0mm以下であったことから、鏡の端部における像のゆがみは特に気にならなかった。
一方で、比較例1〜3では、端部において像のゆがみが気になった。
本発明の積層体は、ガラス窓、冷蔵・冷凍ショーケース、自動車のウインドウ等の窓材、浴室や洗面など水廻りの鏡、自動車サイドミラー等の鏡、浴室の床及び壁、太陽電池パネル表面、防犯監視カメラなどに用いることができ、更には浴室用、洗面台用の鏡に好適に用いることができる。
11 基材
12 プライマー層
13 機能層
14 金属層
15 裏面保護層

Claims (18)

  1. 基材と、前記基材上にプライマー層と、前記プライマー層上に防曇性及び防汚性の少なくともいずれかの機能を有する機能層とを有する積層体であって、
    前記機能層の平均厚みが、20μm以上45μm未満であり、
    前記機能層が、撥水性モノマーを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、
    前記撥水性モノマーが、撥水性分子構造であるパーフルオロポリエーテル構造を有し、
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記撥水性モノマーの含有量が、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のモノマー全量に対して、0.001質量%〜5.0質量%であり、
    前記積層体の端部の前記機能層側の表面が、前記端部の端辺に沿った頂辺部を有する凸部を有し、
    前記端辺の方向、及び前記表面の面方向に直交する断面において、前記凸部の高さが10μm以下であり、前記凸部の幅が15mm以下であり、かつ前記端辺と前記頂辺部との間の長さが5.0mm以下であることを特徴とする積層体。
  2. 前記凸部の高さが、1μm〜10μmである請求項1に記載の積層体。
  3. 前記機能層の表面の純水接触角が、80°以上であり、かつヘキサデカン接触角が、35°以上である請求項1から2のいずれかに記載の積層体。
  4. 前記プライマー層の平均厚みが、0.5μm〜5μmである請求項1から3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記機能層の動摩擦係数が、0.40以下である請求項1から4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記プライマー層が、第2の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、
    前記第2の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、界面活性剤を含有する請求項1から5のいずれかに記載の積層体。
  7. 前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかである請求項6に記載の積層体。
  8. 前記第2の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記界面活性剤の含有量が、前記第2の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.0001質量%〜5.0質量%である請求項6から7のいずれかに記載の積層体。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の積層体を表面に有することを特徴とする物品。
  10. 鏡である請求項9に記載の物品。
  11. 浴室用及び洗面台用の少なくともいずれかである請求項10に記載の物品。
  12. 鏡表面からその法線方向に1m離れた位置に目開き1cmの金網を持って立ち、映った金網の像を目視で評価した際に、前記金網の像にゆがみが生じない請求項10から11のいずれかに記載の物品。
  13. 請求項1から5のいずれかに記載の積層体の前記プライマー層の形成に使用される活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
    界面活性剤を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  14. 前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかである請求項13に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  15. 前記界面活性剤の含有量が、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.0001質量%〜5.0質量%である請求項13から14のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  16. 請求項1から5のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、
    界面活性剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、前記基材上に塗布し、硬化して、前記プライマー層を形成するプライマー層形成工程を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
  17. 前記界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかである請求項16に記載の積層体の製造方法。
  18. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における前記界面活性剤の含有量が、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の不揮発分に対して、0.0001質量%〜5.0質量%である請求項16から17のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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