JP6822028B2 - 蒸着用メタルマスクの補修装置、および、蒸着用メタルマスクの補修方法 - Google Patents

蒸着用メタルマスクの補修装置、および、蒸着用メタルマスクの補修方法 Download PDF

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Description

本発明は、蒸着用メタルマスクを補修する蒸着用メタルマスクの補修装置、および、蒸着用メタルマスクの補修方法に関する。
スマートフォンやタブレットなどが備える表示装置として、有機ELディスプレイが広く用いられつつある。有機ELディスプレイは、赤色、緑色、および、青色などの色を有した光を発する複数の有機EL素子を備えている。各有機EL素子は、有機材料製の層として、正孔輸送層、発光層、および、電子輸送層を含んでいる。有機材料製の各層は、蒸着法を用いて複数の有機EL素子を支持する基板の上に形成される。各層が蒸着法によって形成されるときには、基板における所定の位置に対して所定の形状を有した層を形成するために、蒸着用のマスクが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−209710号公報
ところで、高い位置精度が求められる蒸着用のマスクは、通常、金属製のシートを用いて形成される。こうした方法では、金属製のシートをエッチングすることによって、有機材料製の層を形成するためのマスク孔を金属製のシートに形成する。各マスク孔は、金属製のシートの表面と裏面とにそれぞれ開口を有する貫通孔である。
金属製のシートには多数のマスク孔が形成され、一部のマスク孔において、開口の面積や、マスク孔によって区画される空間が、設計された形状よりも大きくなる場合がある。このマスク孔の拡張は、蒸着用メタルマスクの歩留まりを低くする要因となっている。
なお、こうした事情は、金属製のシートのみを用いて形成された蒸着用メタルマスクに限らず、金属製のシートと、金属製のシートに積層される樹脂製のシートとから形成される蒸着用メタルマスクにおいても共通している。
本発明は、蒸着用メタルマスクの歩留まりを高めることを可能とした蒸着用メタルマスクの補修装置、および、蒸着用メタルマスクの補修方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための蒸着用メタルマスクの補修装置は、マスク部材において設計寸法で定められた凹部よりも大きい凹部である補修対象を検出する検出部と、前記マスク部材における前記補修対象に硬化性を有する樹脂を塗布する塗布部と、前記補修対象に塗布された前記樹脂を硬化させる硬化部と、前記補修対象にて硬化した前記樹脂のうち、前記設計寸法で定められた前記凹部から当該凹部の内側にはみ出す部分を取り除くことで、前記補修対象の形状を前記設計寸法で定められた前記凹部の形状に整合させる整形部と、を備える。
上記課題を解決するための蒸着用メタルマスクの補修方法は、マスク部材において、設計寸法で定められた凹部よりも大きい凹部である補修対象を検出することと、前記補修対象に硬化性を有した樹脂を塗布することと、前記補修対象に塗布された前記樹脂を硬化させることと、前記補修対象にて硬化した前記樹脂のうち、前記設計寸法で定められた前記凹部から当該凹部の内側にはみ出す部分を取り除くことで、前記補修対象の形状を前記設計寸法で定められた前記凹部の形状に整合させることと、を含む。
上記構成によれば、マスク部材に設計寸法に基づいて形成された凹部のうち、設計寸法よりも大きい補修対象の形状を、設計寸法を有した凹部の形状に整合させることによって、蒸着用メタルマスクの補修を行うことができる。これにより、蒸着用メタルマスクの歩留まりを高めることができる。
上記蒸着用メタルマスクの補修装置において、前記補修対象は、第1補修対象であり、前記整形部は、第1整形部であり、前記検出部は、前記設計寸法で定められた前記凹部よりも小さい前記凹部である第2補修対象を検出してもよい。前記第1補修対象および前記第2補修対象の各々が除去対象であり、前記各除去対象について、前記マスク部材のなかで前記除去対象を含む部分を前記マスク部材から取り除くことによって、前記除去対象よりも大きい空間を区画する塗布対象を前記マスク部材に形成する第2整形部を備えてもよい。前記塗布部は、前記各塗布対象を埋めるように前記塗布対象に前記樹脂を塗布し、前記第1整形部は、前記各塗布対象のなかにおいて硬化した前記樹脂のうち、前記設計寸法で定められた前記凹部からはみ出す部分を取り除くことで、前記各除去対象の形状を前記設計寸法で定められた前記凹部の形状に整合させてもよい。
上記構成によれば、第1補修対象および第2補修対象のそれぞれが有する形状を、設計寸法を有した凹部の形状に整えることによって、蒸着用メタルマスクの補修を行うことができ、結果として、蒸着用メタルマスクの歩留まりを高めることができる。
上記蒸着用メタルマスクの補修装置において、前記検出部は、前記マスク部材のなかで、前記設計寸法で定められた前記凹部とは異なる部位に位置する凹部である第3補修対象を検出してもよい。前記塗布部は、前記第3補修対象を埋めるように前記第3補修対象に前記樹脂を塗布し、前記硬化部は、前記第3補修対象に塗布された前記樹脂を硬化させてもよい。
上記構成によれば、蒸着用メタルマスクにおいてマスク孔が位置するべき部位とは異なる部位に形成された凹部を埋めることで、蒸着用メタルマスクを補修することができ、結果として、蒸着用メタルマスクの歩留まりを高めることができる。
上記蒸着用メタルマスクの補修装置において、前記マスク部材のなかで、前記樹脂が塗布される被塗布部分に、処理後の前記被塗布部分における硬化前の前記樹脂に対する濡れ性を、処理前の前記被塗布部分における硬化前の前記樹脂に対する濡れ性よりも高くする表面処理を施す表面処理部を備えてもよい。
上記構成によれば、被塗布部分における樹脂に対する濡れ性を高めることができるため、被塗布部分に塗布された樹脂が、被塗布部分の撥液性によって、被塗布部分以外の部分に動くことが抑えられる。
上記蒸着用メタルマスクの補修装置において、前記塗布部は、前記樹脂の出口を区画する端部を有し、前記検出部が前記補修対象を検出した後、かつ、前記塗布部が前記補修対象に前記樹脂を塗布する前に、前記端部を洗浄する洗浄部を備えてもよい。
上記構成によれば、出口に付着した不純物がマスク部材に塗布される樹脂に混ざったり、塗布部の出口に樹脂が詰まることによって、補修対象に所望する量の樹脂を塗布できなくなったりすることを抑えることができる。
上記蒸着用メタルマスクの補修装置において、前記塗布部は、前記洗浄部が前記端部を洗浄した後、かつ、前記補修対象に前記樹脂を塗布する前に、前記マスク部材とは異なる位置に前記樹脂を塗布してもよい。
上記構成によれば、端部の洗浄以降に出口に付着した物質が、出口から出た樹脂とともにマスク部材に付着することが抑えられる。
本発明によれば、蒸着用メタルマスクの歩留まりを高めることができる。
蒸着用メタルマスクの補修装置による補修の対象である蒸着用メタルマスクを備えるマスク装置の平面構造を示す平面図。 蒸着用メタルマスクが備えるマスク部材の平面構造の一部を拡大して示す部分拡大平面図。 マスク部材の断面構造の一部を拡大して示す部分拡大断面図。 蒸着用メタルマスクの補修装置の第1実施形態における補修装置の概略構成をマスク部材とともに示すブロック図。 第1補修対象を有するマスク部材の平面構造の一部を拡大して示す部分拡大平面図。 マスク部材の断面構造のうち、第1補修対象を含む部分を拡大して示す部分拡大平面図。 蒸着用メタルマスクの補修方法の第1の例における処理の手順を示すフローチャート。 第1の例における検出工程を説明するための工程図。 第1の例における塗布工程を説明するための工程図。 第1の例における硬化工程を説明するための工程図。 第1の例における整形工程を説明するための工程図。 マスク部材の断面構造のうち、補修後の第1補修対象を含む部分を拡大して示す部分拡大断面図。 第2補修対象を有するマスク部材の平面構造の一部を拡大して示す部分拡大平面図。 蒸着用メタルマスクの補修方法の第2の例における処理の手順を示すフローチャート。 第1整形工程を経た蒸着用メタルマスクの平面構造の一部を拡大して示す部分拡大平面図。 第1の変形例によって補修される第1補修対象を有するマスク部材の平面構造の一部を拡大して示す部分拡大平面図。 第2の変形例によって補修される第1補修対象を有するマスク部材の平面構造の一部を拡大して示す部分拡大平面図。 第3補修対象を有するマスク部材の平面構造の一部を拡大して示す部分拡大平面図。 変形例におけるマスク部材の断面構造の一部を拡大して示す部分拡大断面図。 蒸着用メタルマスクの補修装置を具体化した第2実施形態における補修装置の概略構成をマスク部材とともに示すブロック図。 蒸着用メタルマスクの補修方法の第2実施形態における処理の手順を示すフローチャート。
[第1実施形態]
図1から図18を参照して、蒸着用メタルマスクの補修装置、および、蒸着用メタルマスクの補修方法を具体化した第1実施形態を説明する。以下では、補修装置によって補修される蒸着用メタルマスクを含むマスク装置の構成、蒸着用メタルマスクの補修装置の構成、蒸着用メタルマスクの補修装置による蒸着用メタルマスクの補修方法、および、マスク部材の形成材料および樹脂を順番に説明する。
[マスク装置の構成]
図1から図3を参照してマスク装置の構成を説明する。図1は、蒸着用メタルマスクが備えるマスク部材の表面と対向する平面視における平面構造を示し、図2は、マスク部材の裏面と対向する平面視における平面構造を拡大して示している。
図1が示すように、マスク装置10は、メインフレーム20と、複数の蒸着用メタルマスク30とを備えている。メインフレーム20は、複数の蒸着用メタルマスク30を支持する枠板状を有し、蒸着を行うための蒸着装置に取り付けられる。メインフレーム20は、各蒸着用メタルマスク30が取り付けられる部位のほぼ全体にわたり、メインフレーム20を貫通するメインフレーム孔20Hを有している。
蒸着用メタルマスク30は、サブフレーム31と、例えば金属製のマスク部材32とを備えている。サブフレーム31は、1つのマスク部材32を支持する枠板状を有し、メインフレーム20に取り付けられている。各サブフレーム31は、マスク部材32が取り付けられる部位のほぼ全体にわたり、サブフレーム31を貫通するサブフレーム孔30Hを有している。各マスク部材32は、サブフレーム孔30Hの周囲に溶着や接着によって固定されている。蒸着用メタルマスク30のうち、各マスク部材32が補修装置による補修の対象である。
図2が示すように、マスク部材32は複数のマスク孔32Hを有し、各マスク孔32Hは、マスク部材32の表面と裏面32Rとの間を貫通している。マスク部材32の裏面32Rと対向する平面視において、複数のマスク孔32Hは、第1方向D1に沿って等間隔で並び、かつ、第1方向D1と直交する第2方向D2に沿って等間隔で並んでいる。なお、複数のマスク孔32Hは、マスク部材32の裏面32Rにおいて、千鳥配列状に並んでもよい。
図3が示すように、マスク部材32の表面32Fに垂直な断面において、各マスク孔32Hは、マスク部材32の表面32Fに開口する大開口32H1と、マスク部材32の裏面32Rに開口する小開口32H2とを有している。マスク孔32Hは大開口32H1を含む大孔32HBと、小開口32H2を含む小孔32HSとを有している。大孔32HBはマスク部材32の表面32Fから裏面32Rに向けて先細る形状を有し、小孔32HSはマスク部材32の裏面32Rから表面32Fに向けて先細る形状を有している。各マスク孔32Hに属する大孔32HBと小孔32HSとは、接続部32HCにて互いに接続されている。
各マスク孔32Hは、設計寸法に基づきマスク部材32に形成され、設計寸法は、マスク孔32Hの全体の形状を決定するための複数の寸法を含んでいる。設計寸法には、例えば、マスク部材32の裏面32Rと対向する平面視において、小開口32H2における第1方向D1に沿う長さ、および、小開口32H2における第2方向D2に沿う長さが含まれる。また例えば、設計寸法には、マスク部材32の表面32Fと対向する平面視において、大開口32H1における第1方向D1に沿う長さ、および、大開口32H1における第2方向D2に沿う長さが含まれる。また例えば、設計寸法には、マスク部材32の表面32Fに垂直な断面における接続部32HCの幅が含まれる。
また例えば、設計寸法には、第1方向D1において隣り合う2つのマスク孔32H間の距離、および、第2方向D2において隣り合う2つのマスク孔32H間の距離が含まれる。なお、各寸法には、設計値と、設計値に対して許容される範囲とが含まれている。
[蒸着用メタルマスクの補修装置の構成]
図4を参照して蒸着用メタルマスクの補修装置の構成を説明する。
図4が示すように、蒸着用メタルマスクの補修装置40は、撮像部41、塗布部42、硬化部43、および、整形部44を備え、補修装置40は、さらに、制御部45、および、載置部46を備えている。
制御部45は、撮像部41、塗布部42、硬化部43、整形部44、および、載置部46の各々と電気的に接続され、撮像部41、塗布部42、硬化部43、整形部44、および、載置部46の各々の駆動を制御する。制御部45は、撮像部41、塗布部42、硬化部43、整形部44、および、載置部46の各々の駆動を制御するための制御信号を生成し、制御信号を撮像部41、塗布部42、硬化部43、整形部44、および、載置部46の各々に出力する。
撮像部41は、制御部45とともに検出部の一例を構成し、検出部は、マスク部材32において設計寸法で定められたマスク孔32Hよりも大きいマスク孔32Hである補修対象を検出する。すなわち、検出部は、マスク部材32において、補修対象の位置を検出する。
制御部45は、所定のデータを記憶する記憶部45mを含み、記憶部45mの記憶するデータには、マスク部材32が載置部46における所定の位置に位置決めされたときの各マスク孔32Hの位置を示すデータが含まれている。
加えて、記憶部45mの記憶するデータには、マスク部材32の設計構造に関するデータが含まれている。設計構造に関するデータは、例えば、マスク部材32の表面32Fと対向する方向からマスク部材32を見たときの設計上の大開口32H1の縁の形状を定めるデータ、および、マスク部材32の裏面32Rと対向する方向からマスク部材32を見たときの設計上の小開口32H2の縁の形状を定めるデータを含んでいる。
また例えば、設計構造に関するデータは、小開口32H2における第1方向D1に沿う長さを定めるデータ、および、小開口32H2における第2方向D2に沿う長さを定めるデータを含んでいる。また例えば、設計構造に関するデータは、マスク部材32の表面32Fに垂直な断面における接続部32HCの幅を定めるデータを含んでいる。また例えば、設計構造に関するデータは、表面32Fにおける大開口32H1以外の部分の形状を定めるデータ、および、裏面32Rにおける小開口32H2以外の部分の形状を定めるデータを含んでいる。なお、設計構造に関するデータは、設計上のマスク孔32Hの形状を定めるデータであり、上述した設計寸法の値を定めるデータである。
撮像部41は、制御部45から入力される制御信号に応じて、各マスク孔32Hを撮像する。撮像部41は、マスク部材32の表面32Fと向かい合う状態で、言い換えれば、撮像部41の撮像範囲に表面32Fが含まれる状態で、各マスク孔32Hを撮像してもよい。あるいは、撮像部41は、マスク部材32の裏面32Rと向かい合う状態で、言い換えれば、撮像部41の撮像範囲に裏面32Rが含まれる状態で、各マスク孔32Hを撮像してもよい。さらには、撮像部41は、複数のマスク孔32Hを1つずつ撮像してもよいし、2つ以上のマスク孔32Hを一度に撮像してもよい。
また、撮像部41は、マスク部材32のうち、マスク孔32Hを含む部分だけでなく、第1方向D1あるいは第2方向D2において、2つのマスク孔32H間に位置する部位、言い換えればマスク孔32Hを含まない部分を撮像してもよい。
撮像部41は、制御部45から入力される制御信号に応じて、各マスク孔32Hに対応する撮像データを生成し、生成した撮像データを制御部45へ出力する。撮像部41は、例えばCCDカメラなどの各種のカメラであればよい。
制御部45は、撮像部41の出力した撮像データと、上述した設計構造に関するデータとに基づき、複数のマスク孔32Hの中から、補修対象を検出する。制御部45は、複数のマスク孔32Hのうち、設計構造に関するデータによって特定される形状、言い換えれば設計寸法で定められるマスク孔32Hよりも大きい形状を有したマスク孔32Hを補修対象として検出する。
また、検出部は、設計構造に関するデータと、撮像部41の撮像データとに基づいて、複数のマスク孔32Hのうち、設計寸法で定められるマスク孔32Hよりも小さいマスク孔32Hを検出することもできる。さらに、検出部は、設計構造に関するデータと、撮像部41の撮像データとに基づいて、マスク部材32において、設計寸法で定められるマスク孔32Hが位置する部位とは異なる部位に位置する凹部を検出することもできる。
設計寸法で定められるマスク孔32Hよりも大きいマスク孔32Hを補修対象として検出するとき、検出部は、以下の方法によって補修対象を検出する。すなわち、検出部は、例えば、複数のマスク孔32Hのうち、小開口32H2あるいは大開口32H1において、縁の一部が縁の形状を定めるデータによって特定される縁からはみ出す形状を有したマスク孔32Hを補修対象として検出する。検出部は、また例えば、複数のマスク孔32Hのうち、小開口32H2あるいは大開口32H1において、第1方向D1に沿う長さあるいは第2方向D2に沿う長さが、これらの長さを定めるデータによって特定される長さよりも大きいマスク孔32Hを補修対象として検出する。
設計寸法で定められるマスク孔32Hよりも小さいマスク孔32Hを補修対象として検出するとき、検出部は、以下の方法によって補修対象を検出する。すなわち、検出部は、例えば、複数のマスク孔32Hのうち、小開口32H2あるいは大開口32H1において、縁の一部が縁の形状を定めるデータによって特定される縁よりも内側に位置する形状を有したマスク孔32Hを補修対象として検出する。検出部は、また例えば、複数のマスク孔32Hのうち、小開口32H2あるいは大開口32H1において、第1方向D1に沿う長さあるいは第2方向D2に沿う長さが、これらの長さを定めるデータによって特定される長さよりも小さいマスク孔32Hを補修対象として検出する。
設計寸法で定められるマスク孔32Hが位置する部位とは異なる部位に位置する凹部を補修対象として検出するとき、検出部は、以下の方法によって補修対象を検出する。すなわち、検出部は、表面32Fにおける大開口32H1以外の部分の形状を定めるデータ、および、裏面32Rにおける小開口32H2以外の部分の形状を定めるデータ、および、各マスク孔32Hの位置に関するデータに基づき、凹部を補修対象として検出する。
載置部46は、制御部45から入力される制御信号に応じて、検出部によって検出された補修対象が、塗布部42が補修対象を処理する位置や、硬化部43が補修対象を処理する位置に到達するように移動する。載置部46は、例えば、2次元平面に設定される第1軸と第2軸とに沿って移動する。
塗布部42は、マスク部材32における補修対象に硬化性を有する樹脂を塗布する。塗布部42は、制御部45から入力される制御信号に応じて、検出部によって検出された補修対象に硬化性を有する樹脂を塗布する。塗布部42が塗布する樹脂は、硬化性を有していればよく、熱硬化性樹脂であってもよいし、紫外線硬化性樹脂であってもよい。これらの樹脂には、樹脂の粘度を調整する調整剤が含まれてもよい。塗布部42は、例えば、小孔32HSを補修するとき、小孔32HSの全体に充填される量の樹脂を補修対象に塗布し、大孔32HBを補修するとき、大孔32HBの全体に充填される量の樹脂を補修対象に塗布する。なお、塗布部42は、小孔32HSおよび大孔32HBのいずれかに樹脂を塗布するとき、各孔の一部のみに位置する量の樹脂を各孔に塗布してもよい。
塗布部42は、補修対象に樹脂を塗布するための機構として、例えば、塗布針、マイクロディスペンサー、インクジェット式のノズル、および、金属プローブを備えるマニピュレーターなどのいずれかを備えていればよい。
硬化部43は、補修対象に塗布された樹脂を硬化させる。硬化部43は、制御部45から入力される制御信号に応じて、補修対象に塗布された樹脂を硬化させる。塗布部42が補修対象に塗布する樹脂が熱硬化性樹脂であるとき、硬化部43は、例えば赤外線ヒーターなどの加熱部であればよい。この場合には、硬化部43は、マスク部材32のうち、樹脂の塗布された部分を含むマスク部材32の一部のみを加熱することができる構成でもよいし、マスク部材32の全体を一度に加熱することができる構成であってもよい。
一方で、塗布部42が補修対象に塗布する樹脂が紫外線硬化性樹脂であるとき、硬化部43は、例えば紫外線ランプなどの照射部であればよい。この場合には、硬化部43は、マスク部材32のうち、樹脂の塗布された部分を含むマスク部材32の一部のみに紫外線を照射することができる構成でもよいし、マスク部材32の全体に一度に紫外線を照射することができる構成でもよい。
整形部44は、補修対象にて硬化した樹脂のうち、設計寸法で定められたマスク孔32Hから当該マスク孔32Hの内側にはみ出す部分を取り除くことで、補修対象の形状を設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に整合させる。整形部44は、制御部45から入力される制御信号に応じて、マスク孔32Hにて硬化した樹脂のうち、設計寸法で定められたマスク孔32Hからマスク孔32Hの内側にはみ出す部分を取り除く。これにより、整形部44は、補修対象において孔を区画する面の形状が、設計寸法で定められたマスク孔32Hを区画する面の形状に適合した形状を有するように、補修対象の形状を整形する。整形部44は、例えばレーザーであればよく、樹脂の塗布された補修対象ごとにレーザー光線を照射する。
[蒸着用メタルマスクの補修方法]
上述した補修装置40が行う蒸着用メタルマスク30の補修方法を説明する。以下では、補修装置40が行う補修方法の例を、蒸着用メタルマスク30が有する補修対象の種類ごとに3つの例を説明する。
以下に説明する第1の例および第2の例では、補修対象における大孔32HBは、設計寸法で定められる形状を有する一方で、小孔32HSが、設計寸法で定められる形状に対するずれを有する例を説明する。なお、マスク部材32にマスク孔32Hが形成されるとき、小孔32HSと大孔32HBとは個別のエッチング工程によって形成される。そのため、補修対象では、小孔32HSおよび大孔32HBのいずれかの形状が、設計寸法で定められる形状に対するずれを有することが多いが、小孔32HSおよび大孔32HBの両方の形状が、設計寸法で定められる形状に対するずれを有することもある。
また、第1の例および第2の例では、補修方法によって補修される孔を、補修対象における小孔32HSとして示しているが、補修方法によって補修される孔を、補修対象における大孔32HBとすることも可能である。
これに対して、第3の例では、設計寸法で定められるマスク孔32Hとは異なる部位に位置し、かつ、裏面32Rのみに開口する凹部を補修する例を説明するが、こうした凹部は、表面32Fのみに開口する凹部、あるいは、表面32Fと裏面32Rとの間を貫通する孔である場合もある。第3の例では、補修方法によって補修される孔を、表面32Fのみに開口する凹部とすることも可能であるし、表面32Fと裏面32Rとの間を貫通する貫通孔とすることも可能である。
[第1の例]
図5から図12を参照して第1の例を説明する。第1の例では、補修装置40は、設計寸法で定められたマスク孔32Hよりも大きい補修対象を補修する。なお、図8から図12では、図示の便宜上、マスク部材には、補修対象の一例である第1補修対象が1つのみ図示されている。
図5が示すように、マスク部材32は第1補修対象32T1を有している。第1補修対象32T1における小開口32H2は、設計寸法によって定められたマスク孔32Hが有する小開口32H2よりも大きい。第1補修対象32T1において、小開口32H2の縁のなかで、第1方向D1に沿って延びる部分が、設計寸法によって定められたマスク孔32Hにおける小開口32H2の縁からはみ出ている。言い換えれば、第1補修対象32T1の小開口32H2における第2方向D2に沿う長さが、設計寸法によって定められたマスク孔32Hの小開口32H2における第2方向D2に沿う長さよりも長い。
図6が示すように、第1補修対象32T1は、設計寸法に沿う部分である第1部分T1aと、設計寸法からはみ出た部分である第2部分T1bとから構成されている。第2部分T1bは、小孔32HSに含まれ、マスク部材32のなかで、接続部32HCよりも裏面32R寄りに位置している。
図7が示すように、補修方法は、マスク部材32において、設計寸法で定められたマスク孔32Hよりも大きいマスク孔32Hである第1補修対象32T1を検出することと、第1補修対象32T1に硬化性を有した樹脂を塗布することとを含む。補修方法は、さらに、第1補修対象32T1に塗布された樹脂を硬化させることと、第1補修対象32T1にて硬化した樹脂のうち、設計寸法で定められたマスク孔32Hからその内側にはみ出す部分を取り除くことで、第1補修対象32T1の形状を設計寸法で定められた形状に整合させることとを含んでいる。
すなわち、補修方法は、検出工程(ステップS11)、塗布工程(ステップS12)、硬化工程(ステップS13)、および、整形工程(ステップS14)を含んでいる。
図8が示すように、検出工程では、制御部45が、撮像部41に各マスク孔32Hを撮像させる。制御部45は、一度の検出工程で複数のマスク孔32Hの全てを撮像部41に撮像させる。そして、制御部45は、撮像部41に撮像データを生成させるとともに、生成した撮像データを制御部45へ出力させる。そして、制御部45は、撮像部41が生成した撮像データと、記憶部45mに記憶された設計構造に関するデータとに基づいて、第1補修対象32T1を検出する。
図9が示すように、塗布工程では、制御部45が、第1補修対象32T1における小孔32HSの全体に樹脂Rが充填されるように、第1補修対象32T1に対して所定量の樹脂Rを塗布部42に塗布させる。すなわち、制御部45が、第1補修対象32T1の第1部分T1aにおいて、設計寸法によって定められたマスク孔32Hにおける小孔32HSに対応する部分と、第2部分T1bとの全体に樹脂Rが充填されるように、第1補修対象32T1に対して所定量の樹脂Rを塗布部42に塗布させる。1つのマスク部材32が複数の第1補修対象32T1を有するとき、制御部45は、一度の塗布工程で、全ての第1補修対象32T1に対して塗布部42に樹脂Rを塗布させる。上述したように、塗布部42は、熱硬化性樹脂、あるいは、紫外線硬化性樹脂を第1補修対象32T1に塗布する。
図10が示すように、硬化工程では、制御部45が硬化部43に第1補修対象32T1に塗布された樹脂Rを硬化させる。塗布部42が第1補修対象32T1に塗布した樹脂Rが熱硬化性樹脂であるとき、制御部45は、硬化部43に樹脂Rを加熱させる。一方で、塗布部42が第1補修対象32T1に塗布した樹脂Rが紫外線硬化性樹脂であるとき、制御部45は、硬化部43に樹脂Rに対して紫外線を照射させる。制御部45は、一度の硬化工程で全ての第1補修対象32T1に塗布された樹脂Rを硬化部43に硬化させる。
図11が示すように、整形工程では、制御部45は、整形部44に、設計構造に関するデータに基づき、樹脂Rのなかにおいて設計寸法で定められたマスク孔32Hからこのマスク孔32Hの内側にはみ出す部分を除去させる。整形部44がレーザーであれば、制御部45は、樹脂Rの一部に対して整形部44にレーザー光線を照射させる。制御部45は、一度のトリミング工程で、樹脂Rの塗布された全ての第1補修対象32T1を整形部44に整形させる。
第1補修対象32T1を補修するための樹脂Rは、第1部分T1aにおける小孔32HSに対応する部分と第2部分T1bとの全体に位置している。そのため、制御部45は、第1補修対象32T1のうち、裏面32Rにおける開口の縁が、設計寸法によって定められたマスク孔32Hの縁の範囲に含まれるように、整形部44に第1補修対象32T1の形状を設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に整合させる。加えて、制御部45は、裏面32Rに垂直な断面における接続部32HCの幅が、設計寸法で定められたマスク孔32Hにおける幅の範囲に含まれるように、整形部44に第1補修対象32T1の形状を設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に整合させる。
これにより、図12が示すように、第1補修対象32T1のなかで、第2部分T1bが樹脂Rによって補修されることによって、第1補修対象32T1の形状が、設計寸法で定められるマスク孔32Hの形状に整合される。
こうした補修方法によれば、マスク部材32に設計寸法に基づいて形成されたマスク孔32Hのうち、設計寸法よりも大きい第1補修対象32T1の形状を、設計寸法を有したマスク孔32Hの形状に整えることによって、蒸着用メタルマスク30の補修を行うことができる。そのため、蒸着用メタルマスク30の製造における歩留まりを高めることができる。
[第2の例]
図13から図15を参照して第2の例を説明する。第2の例では、補修装置40は、設計寸法で定められたマスク孔32Hよりも小さい補修対象である第2補修対象を補修する。
図13が示すように、マスク部材32は第2補修対象32T2を有している。上述したように、第2補修対象32T2は、設計寸法で定められたマスク孔32Hよりも小さいマスク孔32Hである。第2補修対象32T2における小開口32H2は、設計寸法によって定められたマスク孔32Hが有する小開口32H2よりも小さい。
第2補修対象32T2において、小開口32H2の縁の全体が、設計寸法で定められたマスク孔32Hにおける小開口32H2の縁よりも内側に位置している。言い換えれば、第2補修対象32T2の小開口32H2における第1方向D1に沿う長さが、設計寸法で定められたマスク孔32Hにおける第1方向D1に沿う長さよりも小さい。加えて、第2補修対象32T2の小開口32H2における第2方向D2に沿う長さが、設計寸法で定められたマスク孔32Hにおける第2方向D2に沿う長さよりも小さい。
なお、第2補修対象32T2の小開口32H2は、小開口32H2の縁の一部において、設計寸法で定められたマスク孔32Hにおける小開口32H2の縁よりも内側に位置してもよい。
図14が示すように、補修方法は、検出工程(ステップS21)、第1整形工程(ステップS22)、塗布工程(ステップS23)、硬化工程(ステップS24)、および、第2整形工程(ステップS25)を含んでいる。すなわち、補修方法の第2の例は、上述した補修方法の第1の例と比べて、検出工程と塗布工程との間に第1整形工程を含む点で異なっている。
このうち、検出工程では、第1の例と同様、制御部45が、撮像部41に各マスク孔32Hを撮像させる。そして、制御部45は、撮像部41に撮像データを生成させるとともに、生成した撮像データを制御部45へ出力させる。制御部45は、撮像部41が生成した撮像データと、記憶部45mに記憶された設計構造に関するデータとに基づいて、第2補修対象32T2を検出する。
第2補修対象32T2は除去対象の一例である。第1整形工程において、制御部45は、整形部44に、マスク部材32のなかで、除去対象を含む部分をマスク部材32から取り除かせる。
これによって、図15が示すように、制御部45は、整形部44に、除去対象の一例である第2補修対象32T2よりも大きい空間を区画する塗布対象32Aをマスク部材32に形成させる。言い換えれば、整形部44は第2整形部の一例であって、マスク部材32のなかで、第2補修対象32T2を含む部分をマスク部材32から取り除くことによって塗布対象32Aをマスク部材32に形成する。これにより、マスク部材32の表面32Fと裏面32Rとの間で、マスク部材32を貫通する塗布対象32Aを形成する。
塗布工程では、制御部45が、塗布部42に、各塗布対象32Aを埋めるように塗布対象32Aに樹脂Rを塗布させる。制御部45は、塗布部42に、塗布対象32Aの全体に充填される量の樹脂Rを塗布対象32Aに塗布させる。硬化工程では、制御部45が、硬化部43に、塗布対象32Aに塗布された樹脂Rを硬化させる。
第2整形工程では、制御部45は、第1整形部の一例である整形部44に、塗布対象32Aのなかにおいて硬化した樹脂のうち、設計寸法で定められたマスク孔32Hからはみ出す部分を取り除くことで、各除去対象の形状を設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に整合させる。
例えば、制御部45は、整形部44に出力させるレーザー光線のパワーを設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に応じて制御し、これにより、塗布対象32Aのなかにおいて硬化した樹脂のうち、設計寸法で定められたマスク孔32Hからはみ出た部分を整形部44に除去させる。整形部44は、マスク部材32の表面32Fと対向する状態でレーザー光線をマスク部材32に照射することによって大孔32HBを形成し、マスク部材32の裏面32Rと対向する状態でレーザー光線をマスク部材32に照射することによって小孔32HSを形成する。制御部45は、マスク孔32Hを区画する面のなかで、表面32Fあるいは裏面32Rからの距離が大きい部分を形成するときほど、整形部44に出力させるレーザー光線のパワーを大きくさせればよい。
また例えば、マスク孔32Hの形状に応じた多階調マスクを準備し、整形部44は、多階調マスクを介してマスク部材32にレーザー光線を照射することによって、塗布対象32Aのなかにおいて硬化した樹脂のうち、設計寸法で定められたマスク孔32Hからはみ出た部分を除去してもよい。多階調マスクには、大孔32HBを形成するための多階調マスクと、小孔32HSを形成するための多階調マスクとを準備すればよい。また、多階調マスクでは、マスク孔32Hを区画する面のなかで、表面32Fあるいは裏面32Rからの距離が大きい部分と重なる部分ほど、レーザー光線の透過率が高ければよい。
こうした補修方法によれば、マスク部材32に設計寸法に基づいて形成されたマスク孔32Hのうち、設計寸法よりも小さい第2補修対象32T2の形状を、設計寸法を有したマスク孔32Hの形状に整えることによって、蒸着用メタルマスク30の補修を行うことができる。結果として、蒸着用メタルマスク30の歩留まりを高めることができる。
なお、第2の方法は以下のように変更して実施することもできる。
[第1の変形例]
図16を参照して第1の変形例を説明する。
マスク部材32には、設計寸法で定められたマスク孔32Hよりも大きい第1補修対象32T1であって、設計寸法で定められたマスク孔32Hを2つ以上含む第1補修対象32T1が形成される場合がある。
例えば、図16が示すように、マスク部材32は、第1補修対象32T1を有し、第1補修対象32T1は、第2方向D2において互いに隣り合う2つのマスク孔32Hに対応する部分と、2つのマスク孔32Hの間に対応する部分とを含んでいる。
第1の変形例では、第1補修対象32T1が除去対象の一例であり、制御部45は、整形部44に、マスク部材32のなかで第1補修対象32T1を含む部分をマスク部材32から取り除くことによって、第1補修対象32T1よりも大きい空間を区画する塗布対象32Aをマスク部材32に形成させる。
次いで、制御部45が、塗布対象32Aに対して塗布対象32Aを埋めるように塗布部42に樹脂Rを塗布させ、塗布対象32Aに塗布された樹脂Rを硬化部43に硬化させ、かつ、第1補修対象32T1を整形部44に整形させる。すなわち、制御部45は、塗布対象32Aにおいて、設計寸法で定められる2つのマスク孔32Hから内側にはみ出す部分を取り除くことで、整形部44に第1補修対象32T1の形状を設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に整合させる。
[第2の変形例]
図17を参照して第2の変形例を説明する。
マスク部材32には、上述した第1の例で説明したように、設計寸法で定められたマスク孔32Hよりも大きい第1補修対象32T1であって、1つのマスク孔32Hのみを含む第1補修対象32T1が形成される場合がある。
例えば、図17が示すように、マスク部材32において、設計寸法で定められる複数のマスク孔32Hは第2方向D2に沿って等しい間隔を空けて並び、第2方向D2において互いに隣り合う2つのマスク孔32H間の距離がマスク孔間距離Dである。
マスク部材32は、第1補修対象32T1を有し、第1補修対象32T1における小開口32H2は、設計寸法によって定められたマスク孔32Hが有する小開口32H2よりも大きい。第1補修対象32T1において、小開口32H2の縁のなかで、第1方向D1に沿って延びる部分が、設計寸法によって定められたマスク孔32Hにおける小開口32H2の縁からはみ出ている。言い換えれば、第1補修対象32T1の小開口32H2における第2方向D2に沿う長さが、設計寸法によって定められたマスク孔32Hの小開口32H2における第2方向D2に沿う長さよりも大きい。
第2方向D2において、第1補修対象32T1の小開口32H2が、設計寸法で定められる小開口32H2からはみ出す幅の最大値が最大幅Wである。例えば、制御部45は、記憶部45mに記憶された設計構造に関するデータと、撮像部41の撮像データとに基づいて、最大幅Wがマスク孔間距離Dの1/2よりも大きいか否かを判断する。
制御部45が、マスク孔間距離Dの1/2よりも最大幅Wが大きいと判断したとき、制御部45は、整形部44に、マスク部材32のなかで第1補修対象32T1を含む部分をマスク部材32から除去させることで、塗布対象32Aを形成させる。制御部45は、整形部44に、例えば、マスク部材32のうち、第1補修対象32T1のなかで設計寸法からはみ出す部分と第2方向D2において隣り合うマスク孔32Hとの間に位置する部分を除去させる。これにより、整形部44は、第2方向D2において互いに隣り合う2つのマスク孔32Hを含む塗布対象32Aを形成する。
なお、制御部45が、最大幅Wがマスク孔間距離Dの1/2以下であると判断したときには、制御部45は、上述した第1の例によって、第1補修対象32T1を補修すればよい。また、最大幅Wがマスク孔間距離Dの1/2以下であっても、制御部45は、整形部44に、マスク部材32のなかで第1補修対象32T1を含む部分をマスク部材32から除去させることで、塗布対象32Aを形成させてもよい。
[第3の例]
図18を参照して第3の例を説明する。
マスク部材32には、マスク部材32のなかで、設計寸法で定められたマスク孔32Hとは異なる部位に位置する凹部である第3補修対象が形成される場合がある。
図18が示すように、マスク部材32は第3補修対象32T3を有し、第3補修対象32T3は、マスク部材32のなかで、複数のマスク孔32Hの各々が位置する部位とは異なる部位に位置する凹部である。第3補修対象32T3の区画する空間は、マスク孔32Hが区画する空間よりも小さい。
この場合には、制御部45および撮像部41は、マスク部材32のなかで、設計寸法で定められたマスク孔32Hとは異なる部位に位置する第3補修対象32T3を検出する。すなわち、制御部45は、撮像部41に、マスク部材32のうち、マスク孔32Hだけでなく、複数のマスク孔32H間に位置する部位も撮像させる。そして、制御部45は、撮像部41が生成した撮像データと、設計構造に関するデータとに基づき、第3補修対象32T3を検出する。
制御部45は、塗布部42に、第3補修対象32T3を埋めるように第3補修対象32T3に樹脂Rを塗布させる。制御部45は、塗布部42に、例えば、第3補修対象32T3の全体に充填される量の樹脂Rを第3補修対象32T3に塗布させる。制御部45は、硬化部43に、第3補修対象32T3に塗布された樹脂Rを硬化させる。
これにより、マスク部材32においてマスク孔32Hが位置するべき部位とは異なる部位に形成された凹部を埋めることで、蒸着用メタルマスク30を補修することができる。これにより、蒸着用メタルマスク30の歩留まりを高めることができる。
[マスク部材の形成材料および樹脂]
マスク部材32の形成材料は、鉄とニッケルとを主成分とする合金であることが好ましく、このうち、36質量%のニッケルを含む合金、すなわちインバーであることがより好ましい。インバーの熱膨張係数は、1.2×10−6/℃(1.2ppm/℃)程度である。
マスク部材32の形成材料がインバーであるとき、マスク部材32に塗布する樹脂は、ポリイミドまたはポリアミック酸であることが好ましい。これにより、蒸着用メタルマスク30が加熱されたときに、マスク部材32と樹脂Rとの熱膨張係数の差が、マスク部材32から樹脂Rが剥がれにくくなる程度に小さくなる。
なお、マスク装置10は、蒸着装置において冷却された状態で用いられることもある。この場合には、マスク装置10が蒸着装置において加熱される状態でも用いられる場合と比べて、マスク部材32の熱膨張係数と、樹脂Rの熱膨張係数との差が大きくとも、マスク部材32から樹脂Rが剥がれにくい。そのため、マスク部材32に塗布される樹脂Rとして、例えばアクリル樹脂などを用いてもよい。この場合には、マスク部材32に塗布する樹脂Rにおいて選択の自由度が高まる。
また、マスク部材32の形成材料は上述したインバーに限らず、複数の金属元素を主成分として含む合金であってもよいし、主成分として1つの金属元素を含む金属であってもよい。
以上説明したように、蒸着用メタルマスクの補修装置、および、蒸着用メタルマスクの補修方法の第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)第1の例によれば、マスク部材32に設計寸法に基づいて形成されたマスク孔32Hのうち、設計寸法よりも大きい第1補修対象32T1の形状を、設計寸法を有したマスク孔32Hの形状に整えることによって、蒸着用メタルマスク30の補修を行うことができる。これにより、蒸着用メタルマスク30の歩留まりを高めることができる。
(2)第2の例によれば、第1補修対象32T1および第2補修対象32T2のそれぞれが有する形状を、設計寸法を有したマスク孔32Hの形状に整えることによって、蒸着用メタルマスク30の補修を行うことができる。結果として、蒸着用メタルマスク30の歩留まりを高めることができる。
(3)第3の例によれば、蒸着用メタルマスク30においてマスク孔32Hが位置するべき部位とは異なる部位に形成された第3補修対象32T3を埋めることで、蒸着用メタルマスク30を補修することができる。結果として、蒸着用メタルマスク30の歩留まりを高めることができる。
なお、上述した第1実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・補修装置40は、第1の例に加えて、第2の例と第3の例のいずれかの補修方法のみによって蒸着用メタルマスク30の補修を行う構成であってもよい。あるいは、補修装置40は、補修方法における第1の例のみによって蒸着用メタルマスク30の補修を行う構成でもよい。こうした構成であれば、補修装置40が、第2の例および第3の例の少なくとも一方の補修方法に関する処理を行わない分だけ、補修装置40の構成を簡素化することが可能である。
・マスク孔32Hの形成において、小孔32HSを形成した後に大孔32HBを形成する場合には、大孔32HBを形成する前に、複数の小孔32HSのうちで、設計寸法で定められる形状に対するずれを有した小孔32HSを補修してもよい。あるいは、大孔32HBを形成する前に、裏面32Rに開口する第3補修対象32T3を補修してもよい。こうした構成であっても、上述した(1)から(3)と同等の効果を得ることはできる。
・マスク孔32Hの形成において、大孔32HBを形成した後に小孔32HSを形成する場合には、小孔32HSを形成する前に、複数の大孔32HBのうちで、設計寸法で定められる形状に対するずれを有した大孔32HBを補修してもよい。あるいは、小孔32HSを形成する前に、表面32Fに開口する第3補修対象を補修してもよい。こうした構成であっても、上述した(1)から(3)と同等の効果を得ることはできる。
・第2の例による蒸着用メタルマスク30の補修を行う補修装置40は、塗布対象32Aを形成するための整形部と、除去対象の形状を設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に整合させるための整形部とを各別に備えてもよい。こうした構成であれば、除去対象の形状を設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に整合させるための整形部は、整形部が処理を行う都度、設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に応じた処理を行えばよい。すなわち、制御部45は、整形部に、設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に応じた制御信号を出力すればよい。
そのため、制御部45が、設計寸法で定められたマスク孔32Hとは異なる形状に応じた制御信号によって、整形部に除去対象の形状に対する処理を行わせることを抑えることができる。言い換えれば、整形部が、本来整合させるべき形状とは異なる形状に除去対象の形状を整合させることを抑えることができる。
なお、補修装置の大型化を抑える上では、上述した第1実施形態のように、補修装置40が1つの整形部44を備え、1つの整形部44によって、塗布対象32Aを形成し、除去対象の形状を設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に整合させることが好ましい。
・マスク部材32が有するマスク孔32Hは、大孔32HBと小孔32HSとを有する構成に限らず、マスク部材32の表面32Fから裏面32Rに向けて先細りするとともに、表面32Fと裏面32Rとの両方に開口する1つの孔のみを有する構成であってもよい。こうした構成であっても、マスク部材における補修対象を検出し、この補修対象の形状を設計寸法で定められたマスク孔の形状に整合させることによって、蒸着用メタルマスクの歩留まりを高めることはできる。
・蒸着用メタルマスク30のマスク部材32は、金属あるいは合金を形成材料とする1つの層、すなわち金属製の層と、1つの樹脂製の層とが積層された積層体であってもよい。あるいは、2つの金属製の層と、1つの樹脂製の層とから構成される積層体であって、樹脂製の層が2つの金属製の層によって挟まれた構成であってもよい。こうした構成であっても、マスク部材における補修対象を検出し、この補修対象の形状を設計寸法で定められたマスク孔の形状に整合させることによって、蒸着用メタルマスク30の歩留まりを高めることは可能である。
・塗布部42および硬化部43は、それぞれ検出部によって検出された補修対象の位置に向けた移動が可能な構成であってもよい。こうした構成では、載置部46は、補修対象を移動させることが可能な構成であってもよいし、補修対象を所定の位置に固定させる構成であってもよい。
・第2の例では、塗布対象32Aに塗布した樹脂Rのパターニングを以下の方法で行うことによって、除去対象の形状を設計寸法で定められたマスク孔32Hの形状に整合させてもよい。すなわち、塗布対象32Aに塗布した樹脂Rが紫外線硬化性樹脂であるとき、マスク孔32Hが有する大孔32HBの形状、および、小孔32HSの形状に応じて、塗布対象32Aに塗布した樹脂Rの露光を行えばよい。
・図19が示すように、各マスク孔32Hにおける大孔32HBと、マスク孔32Hが並ぶ方向において互いに隣り合うマスク孔32Hの大孔32HBとは、大開口32H1において互いに繋がっていてもよい。
[第2実施形態]
図20および図21を参照して、蒸着用メタルマスクの補修装置、および、蒸着用メタルマスクの補修方法を具体化した第2実施形態を説明する。第2実施形態の蒸着用メタルマスクの補修装置は、第1実施形態の蒸着用メタルマスクの補修装置と比べて、表面処理部と洗浄部とを備える点が大きく異なっている。そのため、以下では、こうした相違点を詳しく説明する一方で、第2実施形態の蒸着用メタルマスクの補修装置のなかで、第1実施形態の蒸着用メタルマスクの補修装置と共通する構成には同一の符号を付すことで、その詳しい説明を省略する。また、以下では、蒸着用メタルマスクの補修装置の構成、および、蒸着用メタルマスクの補修方法を順番に説明する。
[蒸着用メタルマスクの補修装置の構成]
図20を参照して蒸着用メタルマスクの補修装置の構成を説明する。
図20が示すように、補修装置50は、第1実施形態の補修装置40と同様、撮像部41、塗布部42、硬化部43、整形部44、制御部45、および、載置部46を備えている。補修装置50は、表面処理部51と洗浄部52とをさらに備えている。
制御部45は、表面処理部51および洗浄部52の各々と電気的に接続され、表面処理部51および洗浄部52の各々の駆動を制御する。制御部45は、表面処理部51および洗浄部52の各々の駆動を制御するための制御信号を生成し、制御信号を表面処理部51および洗浄部52の各々に出力する。
表面処理部51は、制御部45から入力される制御信号に応じて、マスク部材32に表面処理を施す。表面処理部51は、マスク部材32のなかで、樹脂が塗布される被塗布部分に、処理後の被塗布部分における硬化前の樹脂に対する濡れ性を、処理前の被塗布部分における硬化前の樹脂に対する濡れ性よりも高くする表面処理を施す。上述した第1補修対象32T1、第2補修対象32T2、第3補修対象32T3、および、塗布対象32Aは、それぞれ被塗布部分の一例である。
表面処理部51は、被塗布部分を含むマスク部材32の全体に対して一度に表面処理を施すことができる構成でもよいし、マスク部材32の一部のみに一度に表面処理を施すことができる構成でもよい。表面処理部51は、例えば、マスク部材32に紫外線を照射する紫外線照射部であってもよいし、プラズマを照射するプラズマ照射部であってもよいし、マスク部材32の近傍にてコロナ放電を生じさせるコロナ放電部であってもよい。
塗布部42は、樹脂Rの出口を区画する端部を有している。上述したように、塗布部42が、例えば、マイクロディスペンサー、あるいは、インクジェット式のノズルを備えるとき、マイクロディスペンサー、および、インクジェット式のノズルの各々は、樹脂Rの出口を区画する端部を有し、端部から樹脂Rを塗布部42の外部に出す。
洗浄部52は、検出部が補修対象を検出した後、かつ、塗布部42が補修対象に樹脂Rを塗布する前に、塗布部42が有する端部を洗浄する。端部が有する樹脂Rの出口には、塗布部42による樹脂Rの塗布を行っていない間に、補修装置50が位置する環境中に含まれる塵や埃などの不純物が付着したり、出口の内部に位置する樹脂Rが出口の内部にて固まることで、出口に樹脂Rが詰まったりする。
出口に不純物が付着しているときには、マスク部材32に塗布した樹脂Rに不純物が混ざることがある。また、出口に樹脂Rが詰まるっているときには、補修対象に所望する量の樹脂Rを塗布できなくなることがある。
この点、洗浄部52によれば、端部の洗浄によって、出口に付着した不純物や樹脂が端部ら除かれるため、出口に付着した不純物がマスク部材32に塗布される樹脂Rに混ざったり、塗布部42の出口に樹脂Rが詰まることによって、補修対象に所望する量の樹脂Rを塗布できなくなったりすることを抑えることができる。
洗浄部52は、例えば、塗布部42の端部に洗浄液を掛けるシャワーと、洗浄液の掛けられた端部に気体を供給することによって、端部から洗浄液を取り除くエアナイフなどから構成されればよい。
補修装置50は、待機槽53と排出槽54とをさらに備えている。待機槽53は、液状または霧状の樹脂、あるいは、液状または霧状の溶剤が充填される空間を区画している。排出槽54は、マスク部材32とは異なる位置の一例であり、塗布部42から出される樹脂Rのうち、マスク部材32に塗布されない樹脂Rが塗布される空間を区画している。
塗布部42は、塗布部42が有する端部の位置を、マスク部材32に樹脂を塗布するための位置、待機槽53が区画する空間の内部に端部を配置させる位置、および、排出槽54に樹脂Rを塗布するための位置の間で移動させる機構を有する。制御部45は、塗布部42を駆動して、塗布部42が有する端部の位置を、上述した3つの位置の間で移動させる。
制御部45は、一度の塗布工程が終了するとき、塗布部42の端部を待機槽53の内部に位置させ、端部が待機槽53の内部に位置する状態で、塗布部42の駆動を一旦停止させる。すなわち、制御部45は、塗布部42がマスク部材32に樹脂Rを塗布する動作を行っていない間、塗布部42の端部を待機槽53の内部に位置させ続ける。これにより、塗布部42の端部にて樹脂Rが乾燥することが抑えられ、ひいては、端部が区画する樹脂Rの出口に樹脂Rが詰まることが抑えられる。
また、制御部45は、塗布部42に、洗浄部52が端部を洗浄した後、かつ、補修対象に樹脂Rを塗布する前に、排出槽54に樹脂Rを塗布させる。これにより、端部の洗浄以降に出口に付着した物質、例えば、不純物や洗浄液が、出口から出た樹脂Rとともにマスク部材32に付着することが抑えられる。
[蒸着用メタルマスクの補修方法]
図21を参照して、補修装置50によって行う蒸着用メタルマスク30の補修方法を説明する。以下では、蒸着用メタルマスク30の補修方法の一例として、上述した第1の例に複数の工程を追加した例を説明する。
図21が示すように、補修方法は、検出工程(ステップS31)、表面処理工程(ステップS32)、洗浄工程(ステップS33)、予備塗布工程(ステップS34)、塗布工程(ステップS35)、硬化工程(ステップS36)、および、整形工程(ステップS37)を備えている。
このうち、検出工程では、上述した第1の例と同様、制御部45が、撮像部41の生成した撮像データと、設計構造に関するデータとに基づいて、第1補修対象32T1の位置を検出する。
次いで、表面処理工程では、制御部45は、表面処理部51に、マスク部材32における第1補修対象32T1に表面処理を行わせる。制御部45は、表面処理部51に、一度の表面処理工程で、マスク部材32において検出された全ての第1補修対象32T1に表面処理を行わせる。
これにより、第1補修対象32T1における樹脂Rに対する濡れ性を高めることができるため、第1補修対象32T1に塗布された樹脂Rが、第1補修対象32T1の撥液性によって、第1補修対象32T1以外の部分に動くことが抑えられる。
洗浄工程では、制御部45は、洗浄部52に塗布部42の端部を洗浄させる。予備塗布工程では、制御部45は、塗布部42に、排出槽54に樹脂Rを塗布させることによって、排出槽54に樹脂Rを排出させる。このように、制御部45は、洗浄部52に端部の洗浄を行わせた後、塗布部42に樹脂Rの排出を行わせる。そのため、端部の洗浄に用いた洗浄液が端部の区画する出口や出口の付近に付着していても、端部に付着した洗浄液が樹脂Rとともに端部から排出され、これにより、洗浄液が樹脂Rとともにマスク部材32に塗布されることが抑えられる。
塗布工程、硬化工程、および、整形工程の各々では、上述した第1の例と同様、制御部45が、塗布部42、硬化部43、および、整形部44の各々を駆動することによって、各工程における処理を塗布部42、硬化部43、および、整形部44にそれぞれ行わせる。
以上説明したように、蒸着用メタルマスクの補修装置、および、蒸着用メタルマスクの補修方法の第2実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(4)第1補修対象32T1における樹脂Rに対する濡れ性を高めることができるため、第1補修対象32T1に塗布された樹脂Rが、第1補修対象32T1の撥液性によって、第1補修対象32T1以外の部分に動くことが抑えられる。
(5)出口に付着した不純物がマスク部材32に塗布される樹脂Rに混ざったり、塗布部42の出口に樹脂Rが詰まることによって、第1補修対象32T1に所望する量の樹脂Rを塗布できなくなったりすることを抑えることができる。
(6)端部の洗浄以降に出口に付着した物質が、出口から出た樹脂Rとともにマスク部材32に付着することが抑えられる。
なお、上述した第2実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・塗布部42は予備塗布工程を行わない構成でもよく、こうした構成によれば、予備塗布工程に関わる処理を割愛することができる分だけ、補修装置50における処理の負荷を減らすことができる。また、排出槽54が不要になる分だけ、補修装置50の構成を簡素化することもできる。
・補修装置50は洗浄部52を備えていなくてもよく、こうした構成によれば、洗浄部52を備えていない分だけ、補修装置50の構成を簡素化でき、かつ、洗浄工程に関わる処理を割愛できる分だけ、補修装置50における処理の負荷を減らすことができる。
・補修装置50は表面処理部51を備えていなくてもよく、こうした構成によれば、表面処理部51を備えていない分だけ、補修装置50の構成を簡素化でき、かつ、表面処理工程に関わる処理を割愛できる分だけ、補修装置50における処理の負荷を減らすことができる。
・蒸着用メタルマスクの補修方法では、洗浄工程および予備塗布工程を表面処理工程よりも前に行ってもよいし、洗浄工程、表面処理工程、および、予備塗布工程をこの順に行ってもよい。あるいは、表面処理工程を行っているときに、洗浄工程と予備塗布工程との少なくとも一方を表面処理工程と同時に行ってもよい。いずれの場合であっても、塗布工程よりも前に表面処理工程を行うことによって、上述した(4)と同等の効果を得ることができる。また、塗布工程よりも前に洗浄工程を行うことによって、上述した(5)と同等の効果を得ることはでき、かつ、洗浄工程の後であって、塗布工程の前に予備塗布工程を行うことによって、上述した(6)と同等の効果を得ることはできる。
・第2実施形態の蒸着用メタルマスクの補修方法は、第1の例に限らず、第2の例、第2の例における第1の変形例、第2の例における第2の変形例、および、第3の例のいずれかと組み合わせて実施してもよい。
・補修装置50は待機槽53を備えていない構成でもよく、こうした構成によれば、待機槽53を備えていない分だけ、補修装置50の構成を簡素化でき、かつ、塗布部42の端部を待機槽53に移動させるための処理を割愛できる分だけ、補修装置50における処理の負荷を減らすことができる。
なお、補修装置50が待機槽53を備えていない構成では、蒸着用メタルマスク30の補修方法において、洗浄工程を表面処理工程の後に行う代わりに、塗布工程の後に行ってもよい。これにより、塗布工程の後において、塗布部42の出口に樹脂Rが位置することが抑えられ、結果として、出口に樹脂Rが詰まることが抑えられる。この場合には、予備塗布工程を割愛してもよい。
・待機槽53は、制御部45から入力される制御信号に応じて、塗布部42の端部が位置する部位に到達するように移動することができる構成でもよい。また、排出槽54は、待機槽53と同様、制御部45から入力される制御信号に応じて、塗布部42の端部が位置する部位に到達するように移動することができる構成でもよい。これらの構成では、塗布部42は、塗布部42が有する端部の位置を、待機槽53が区画する空間の内部に端部を配置させる位置、および、排出槽54に樹脂Rを塗布するための位置に到達させることができる機構を有してもよいし、有していなくてもよい。
10…マスク装置、20…メインフレーム、20H…メインフレーム孔、30…蒸着用メタルマスク、30H…サブフレーム孔、31…サブフレーム、32…マスク部材、32A…塗布対象、32F…表面、32H…マスク孔、32H1…大開口、32H2…小開口、32HB…大孔、32HC…接続部、32HS…小孔、32R…裏面、32T1…第1補修対象、32T2…第2補修対象、32T3…第3補修対象、40,50…補修装置、41…撮像部、42…塗布部、43…硬化部、44…整形部、45…制御部、45m…記憶部、46…載置部、51…表面処理部、52…洗浄部、53…待機槽、54…排出槽、R…樹脂、T1a…第1部分、T1b…第2部分。

Claims (7)

  1. マスク部材において設計寸法で定められた凹部よりも大きい凹部である補修対象を検出する検出部と、
    前記マスク部材における前記補修対象に硬化性を有する樹脂を塗布する塗布部と、
    前記補修対象に塗布された前記樹脂を硬化させる硬化部と、
    前記補修対象にて硬化した前記樹脂のうち、前記設計寸法で定められた前記凹部から当該凹部の内側にはみ出す部分を取り除くことで、前記補修対象の形状を前記設計寸法で定められた前記凹部の形状に整合させる整形部と、を備え
    前記補修対象は、第1補修対象であり、
    前記整形部は、第1整形部であり、
    前記検出部は、前記設計寸法で定められた前記凹部よりも小さい前記凹部である第2補修対象を検出し、
    前記マスク部材のなかで前記第2補修対象を含む部分を前記マスク部材から取り除くことによって、前記第2補修対象よりも大きい空間を区画する第1塗布対象を前記マスク部材に形成する第2整形部を備え、
    前記塗布部は、前記第1塗布対象を埋めるように前記第1塗布対象に前記樹脂を塗布し、
    前記第1整形部は、前記第1塗布対象のなかにおいて硬化した前記樹脂のうち、前記設計寸法で定められた前記凹部からはみ出す部分を取り除くことで、前記第2補修対象の形状を前記設計寸法で定められた前記凹部の形状に整合させる
    蒸着用メタルマスクの補修装置。
  2. 前記検出部は、前記マスク部材のなかで、前記設計寸法で定められた前記凹部とは異なる部位に位置する凹部である第3補修対象を検出し、
    前記塗布部は、前記第3補修対象を埋めるように前記第3補修対象に前記樹脂を塗布し、
    前記硬化部は、前記第3補修対象に塗布された前記樹脂を硬化させる
    請求項1に記載の蒸着用メタルマスクの補修装置。
  3. 前記マスク部材のなかで、前記樹脂が塗布される被塗布部分に、処理後の前記被塗布部
    分における硬化前の前記樹脂に対する濡れ性を、処理前の前記被塗布部分における硬化前の前記樹脂に対する濡れ性よりも高くする表面処理を施す表面処理部を備える
    請求項1または2に記載の蒸着用メタルマスクの補修装置。
  4. 前記塗布部は、前記樹脂の出口を区画する端部を有し、
    前記検出部が前記第1補修対象を検出した後、かつ、前記塗布部が前記第1補修対象に前記樹脂を塗布する前に、前記端部を洗浄する洗浄部を備える
    請求項1からのいずれか一項に記載の蒸着用メタルマスクの補修装置。
  5. 前記塗布部は、前記洗浄部が前記端部を洗浄した後、かつ、前記第1補修対象に前記樹脂を塗布する前に、前記マスク部材とは異なる位置に前記樹脂を塗布する
    請求項に記載の蒸着用メタルマスクの補修装置。
  6. 前記マスク部材は、前記設計寸法で定められた前記凹部が開口するための面を有し、
    前記第1補修対象では、前記面と対向する平面視において、前記設計寸法で定められた前記凹部からはみ出す幅の最大値が所定値以下であり、
    前記検出部は、前記設計寸法で定められた前記凹部よりも大きい前記凹部である前記補修対象であって、かつ、前記面と対向する平面視において、前記設計寸法で定められた前記凹部からはみ出す幅の最大値が前記所定値を越える第4補修対象をさらに検出し、
    前記第2整形部は、前記マスク部材のなかで前記第4補修対象を含む部分を前記マスク部材から取り除くことによって、前記第4補修対象よりも大きい空間を区画する第2塗布対象を前記マスク部材に形成し、
    前記塗布部は、前記第2塗布対象を埋めるように前記第2塗布対象に前記樹脂を塗布し、
    前記硬化部は、前記第2塗布対象に塗布された前記樹脂を硬化させ、
    前記第1整形部は、前記第2塗布対象のなかにおいて硬化した前記樹脂のうち、前記設計寸法で定められた前記凹部からはみ出す部分を取り除くことで前記第4補修対象の形状を前記設計寸法で定められた前記凹部の形状に整合させる
    請求項1から5のいずれか一項に記載の蒸着用メタルマスクの補修装置。
  7. マスク部材において、設計寸法で定められた凹部よりも大きい凹部である補修対象を検出することと、
    前記補修対象に硬化性を有した樹脂を塗布することと、
    前記補修対象に塗布された前記樹脂を硬化させることと、
    前記補修対象にて硬化した前記樹脂のうち、前記設計寸法で定められた前記凹部から当該凹部の内側にはみ出す部分を取り除くことで、前記補修対象の形状を前記設計寸法で定められた前記凹部の形状に整合させることと、を含み、
    前記補修対象は、第1補修対象であり、
    前記設計寸法で定められた前記凹部よりも小さい前記凹部である第2補修対象を検出することと、
    前記マスク部材のなかで前記第2補修対象を含む部分を前記マスク部材から取り除くことによって、前記第2補修対象よりも大きい空間を区画する塗布対象を前記マスク部材に形成することと、
    前記塗布対象を埋めるように前記塗布対象に前記樹脂を塗布することと、
    前記塗布対象のなかにおいて硬化した前記樹脂のうち、前記設計寸法で定められた前記凹部からはみ出す部分を取り除くことで、前記第2補修対象の形状を前記設計寸法で定められた前記凹部の形状に整合させることと、を含む
    蒸着用メタルマスクの補修方法。
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