JP6821870B2 - チューブ成型体及びこれを用いたカテーテル - Google Patents

チューブ成型体及びこれを用いたカテーテル Download PDF

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Description

本発明は、チューブ成型体及びこれを用いたカテーテルに関する。
近年の医療においては、患者の体内の所定の個所に外部から薬液又は造影剤を注入したり、体内から体液等を排出したり、更には患部を処置したりするために、カテーテルと称される可橈性のチューブ構造の医療器具が使用されている。特に心臓血管の疾患の治療においては、従来、外科医による手術によって患部を開き、メス等の医療器具を用いて疾患部を切除、洗浄していた。しかし、近年、カテーテルを循環器系内へ挿入し、治療処置具を挿通させて、内部を検査したり、患部を治療したりする事例が増えてきている。
このような医療用カテーテルにおいては、医師等の操作者が手元で操作する部分(基端部)と、実際に治療を行う部分(先端部)とでは求められる部材の要求特性が異なる。すなわち、基端部には、カテーテルを血管等の循環器系内に送り込みやすい特性(優れた押し込み性(プッシャビリティ性))が求められる。一方、先端部には、血管の内壁や他の循環器(生体器官)等を傷付けずに、体内の深くに到達するまでキンク(折れ曲がり)しない柔軟性(耐キンク性)が求められる。一旦キンクすると、先端部にキンク痕が残存して操作性や安全性に問題が残る。
このようなカテーテルに用いるチューブとして、例えば、特許文献1には、2重構造のシャフトであって、基端部分を複合ポリイミド/ステンレス鋼編み組んだ管で形成し、先端部分をポリエチレンで形成した外管を有する拡張カテーテルが記載されている。また、特許文献2には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成した内層の上に、編組構造の補強層を設け、更にポリアミドエラストマーからなるチューブを被覆した医療用カテーテルチューブが記載されている。
米国特許第5533987号明細書 特開2007−82802号公報
しかし、ポリイミド樹脂やポリアミドエラストマーを用いて形成したチューブの場合、金属線で形成した編組体を設けても、カテーテルに用いるチューブ全体に亘って十分なプッシャビリティ性及び耐キンク性を付与できないことが多い。
本発明は、基端部及び先端部に求められる、優れたプッシャビリティ性と耐キンク性とを実現するチューブ成型体、及びこれを用いたカテーテルを提供することを課題とする。
本発明者らは、金属線を編み込んだ編組体を補強層として表面に設けたポリイミド樹脂製の内層に、脂肪族ポリアミド樹脂を含む外層を設けた上で、内層の厚さを特定の割合を満たす厚さに設定することにより、1本のチューブ成型体であっても、プッシャビリティ性と耐キンク性とをバランスよく両立できることを見出した。これらの知見に基づき本発明者等は更に研究を重ね、本発明をなすに至った。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>ポリイミド樹脂からなる管状の内層と、該内層の外周に金属線の編組体と、該編組体を被覆する外層とを備え、前記内層と前記外層との間に接着剤層を備えていない、カテーテル用のチューブ成型体であって、
前記ポリイミド樹脂が芳香族テトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンとの重合物であり、
前記金属線の編組体が、軸線に垂直な断面形状が円形であって該円形の直径が0.02〜0.05mmである金属線、又は、軸線に垂直な断面形状が平角形状であって該平角形状の厚さが0.010〜0.025mmであり、幅が0.04〜0.15mmである金属線を編組ピッチPPI(ピッチ パー インチ)30〜200で8〜32本編み組んだ編組体であり、
前記外層が脂肪族ポリアミド樹脂を含有し、
前記内層の厚さが前記外層との合計厚さに対して70%以下である、チューブ成型体。
<2>前記脂肪族ポリアミド樹脂が、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、及び、主鎖中に1,4−シクロヘキシレン基を含むナイロンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>に記載のチューブ成型体。
<3>前記外層が、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーを含有する<1>又は<2>に記載のチューブ成型体。
<4>前記ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーのショア硬度が、60〜85である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のチューブ成型体。
<5>前記内層の厚さが、外層との合計厚さに対して55%以上である<1>〜<4>のいずれか1項に記載のチューブ成型体。
<6>前記金属線が、ステンレス鋼からなる線である<1>〜<5>のいずれか1項に記載のチューブ成型体。
<7>前記外層が、押出成形体である<1>〜<6>のいずれか1項に記載のチューブ成型体。
<8>上記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のチューブ成型体を用いたカテーテル。
<9>前記チューブ成型体の一端側に設けられたバルーンと、前記チューブ成型体の他端にコネクタを介して接続された吸引シリンジ又は圧縮シリンジとを有する<8>に記載のカテーテル。
本発明において、「管状」とは、輪郭線が、例えば、円形、楕円形、多角形等の輪環状断面形状を有し、軸線方向に延びる内孔を有する中空体形状をいう。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明は、基端部及び先端部に求められる、プッシャビリティ性と耐キンク性とを実現するチューブ成型体、及びこれを用いたカテーテルを提供できる。
図1は、本発明のカテーテルの一例を示す概略側面図である。 図2は、本発明のチューブ成型体を示す一部切欠概略斜視図である。 図3は、プッシャビリティ性試験に用いた装置を示す正面図である。
本発明のチューブ成型体は、ポリイミド樹脂からなる内層と、補強層としての金属線の編組体(金属編組体ともいう。)と、特定の脂肪族ポリアミド樹脂を含有する外層とを有し、内層の厚さを外層との合計厚さに対して70%以下に設定してなるチューブ成型体である。このチューブ成型体は、プッシャビリティ性と耐キンク性とに優れ、しかも、1本のチューブであっても、例えば医療用カテーテルの先端部と基端部に求められる優れた両特性をバランスよく発現する。上記構成を有する本発明は、このような優れた特性を、従来のカテーテルチューブ、例えば、特許文献2のように、ゴム製の外層を設けなくても、また、特許文献1のように、硬度の異なるチューブ片を連結しなくても、発現させることができる。
また、本発明のチューブ成型体は、プッシャビリティ性が高く、カテーテルを引き抜く際の伸び及び内径縮小を抑制できる。しかも、上述の優れた特性を1本のチューブで実現できるため、複数のチューブを接続してなるチューブ成型体に比べて高い信頼性を示す。
このような特性を有する本発明のチューブ成型体は、種々の用途に用いることができ、例えば、各種カテーテルのチューブ(好ましくは医療用カテーテルのチューブ)、内視鏡のルーメンとして挿入されるチューブ、気管チューブ等、人工透析器若しくは医療用機器に装着されるチューブ、又は、高速液体クロマトグラフ装置用カラム等の分析機器用チューブが挙げられる。中でも、本発明のチューブ成型体は、優れたプッシャビリティ性と耐キンク性とが要求される医療用カテーテルのチューブに好適に用いられ、血管、抹消神経血管内に挿入される医療用カテーテルのチューブとしてより好適である。このような医療用カテーテルとしては、例えば、マイクロカテーテル、ガイディングカテーテル、造影用カテーテル、血栓吸引用カテーテル、狭窄貫通用カテーテル、薬液注入用カテーテル等が挙げられる。
本発明のカテーテルは、本発明のチューブ成型体を用いたものであれば特に制限されず、上述の各種カテーテルが挙げられる。
以下に、本発明のチューブ成型体を用いた医療用カテーテルについて説明する。
医療用カテーテルは、チューブ成型体を少なくとも1本有していれば、それ以外のカテーテル構成部材は特に制限されない。例えば、バルーン又はステントを有していてもいなくてもよい。
本発明のカテーテルの一例は、図1に示されるように、長尺状のチューブ成型体4と、チューブ成型体4の一端側に設けられたバルーン3と、チューブ成型体4の他端にコネクタ5(例えば、樹脂製)を介して接続された吸引シリンジ又は圧縮シリンジ6と、バルーン3の、チューブ成型体4と反対側に接続された短尺状のチューブ成型体2とを有している。チューブ成型体2、バルーン3及びチューブ成型体4は例えば接着材により連結されている。吸引シリンジ又は圧縮シリンジ6には、薬剤、例えばX線造影剤又はバルーン3を膨張させるための流体等が収納されている。また、医療用カテーテル1はチューブ成型体2、4内に金属製等のステント(図示しない。)を備えている。なお、バルーン3はゴム製で流体(液体又は気体)の圧入等によって膨張可能になっている。医療用カテーテル1は、例えば、基端側のチューブ成型体4、バルーン3及び先端側のチューブ成型体2が合計で1〜1.8mmの長さを有している。
このような医療用カテーテル1において、基端側のチューブ成型体4として本発明のチューブ成型体が好適に用いられ、一方、先端側のチューブ成型体2としては、本発明のチューブ成型体以外にも公知の各種チューブ成型体を用いることができる。
本発明のチューブ成型体は、その一例が図2に示されるように、ポリイミド樹脂からなる管状の内層11と、この内層11の外周に金属線12aを編み組んで管状に形成した金属編組体12と、この金属編組体12を被覆する外層13とを備えている。
チューブ成型体において、内層11及び外層13は、それぞれ、単層構造でも複層構造でもよい。本発明において、含有される樹脂及び添加物が同じ層を隣接して積層した場合、これらの層を合わせて1つの層とする。一方、含有される樹脂及び添加物が同じ層であっても隣接して積層していない場合、すなわち他の層を介して積層した場合、それぞれの層を1つの層とする。また、同じ樹脂で構成されていても添加物の種類又は含有量が異なる層を積層した場合、隣接しているか否かに関わらず、それぞれの層を1つの層とする。
本発明のチューブ成型体は、用途等に応じて適宜の寸法を有している。チューブ成型体の最大外径(以下、単に外径という。)は、用途等に応じて適宜に設定され、特に制限されるものではないが、例えば、通常のチューブ成型体であれば0.6mm以上2.3mm以下であり、細径のチューブ成型体であれば0.6mm以下に設定される。
また、チューブ成型体の最大内径(以下、単に内径という。)も、用途等に応じて適宜に設定され、特に制限されるものではないが、例えば、0.4mm以上に設定される。他方、内径は、通常、2.0mm以下に設定される。
本発明のチューブ成型体は、内層をポリイミド樹脂で形成しているから、外層及び金属編組体と相俟って、チューブ成型体の強度(プッシャビリティ性)及び柔軟性を保持しつつも上述の外径まで細径化が可能であり、しかも実質的に均一な厚さで薄肉化できる。本発明において、チューブ成型体の厚さの均一性は、例えば、チューブ成型体の最も厚い部分と最も薄い部分の厚さの比率(最も厚い部分/最も薄い部分)が好ましくは1.5以下であり、より好ましくは1.1〜1.4である。
本発明のチューブ成型体は、上述のような外径及び内径を有しており、その壁面の合計厚さは、上述の外径及び内径を満たす範囲内に設定される。例えば、汎用的なカテーテルに用いられる場合、壁面の合計厚さは、チューブ成型体のプッシャビリティ性に優れ、キンクが発生しにくい点、更には仕上外径で制限を受ける場合を考慮すると、200μm以下が好ましく、100〜180μmがより好ましい。
内層11は、物理的強度等に優れたポリイミド樹脂で形成され、後述する外層13、金属編組体12等と相俟って、チューブ成型体10にプッシャビリティ性と耐キンク性とを高い水準でバランスよく付与できる。
このような内層11を形成するポリイミド樹脂としては、特に制限されないが、熱硬化性(非熱可塑性ということもある)の樹脂が好ましく、市販のものでも、また適宜合成したものでも、使用できる。このようなポリイミド樹脂の化学構造及び合成方法は特には制限されない。このようなポリイミド樹脂は、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとを重合してなるものが好ましく、合成方法としては、一般に芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物の縮合反応からなるポリアミック酸の脱水閉環反応による合成法が挙げられる。閉環方法としては触媒を添加する方法及び加熱する方法が挙げられるが、本発明では加熱法を用いてポリイミド層を芯金上に形成するのが好ましい。
熱硬化性のポリイミド樹脂を形成する芳香族酸二無水物は芳香族テトラカルボン酸無水物が好ましく、芳香族テトラカルボン酸無水物としては、特に制限はなく、通常用いられるものが使用できる。例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及びこれらの誘導体等が挙げられる。入手しやすい点においてはピロメリット酸二無水物が最も好ましい。
熱硬化性のポリイミド樹脂を形成する芳香族ジアミンも、特に制限はなく、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。容易に入手できる点で4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
すなわち、熱硬化性のポリイミド樹脂は、ピロメリット酸二無水物と芳香族ジアミンとを重合してなるものが好ましい。
市販のポリイミド樹脂としては、例えば、代表例なものとして、「Pyre−ML(I.S.T社製、商品名)」及び「ユーピレックスS(宇部興産社製、製品名)」等が挙げられる。
内層11は、ポリイミド樹脂以外の樹脂、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーを含有していてもよいが、ポリイミド樹脂で形成されることが好ましい。
内層11の内径は、特に制限されないが、例えば、0.4〜2.0mm、好ましくは0.6〜1.8mmであり、厚さは、後述する比率を満たす限り特に制限されないが、例えば、20〜100μm、好ましくは30〜60μmである。
内層11と外層13との合計厚さに対する内層11の厚さの比率(内層の厚さ比率)は、70%以下である。本発明のチューブ成型体において、内層の厚さ比率を70%以下に設定すると、優れた耐キンク性を維持しつつもプッシャビリティ性の改善効果が高くなり、チューブ成型体の耐キンク性とプッシャビリティ性とをより一層高い水準で両立できる。更には、外層13の形成も可能となり、外表面に凹凸の発生を抑制して良好な外観となる。耐キンク性、更には外層13の形成容易性及び外観の点で、内層の厚さ比率は、65%以下が好ましく、60%以下がより好ましい。内層の厚さ比率の下限値は、0%を超えていれば特に制限されないが、プッシャビリティ性の向上効果に優れる点で、35%以上が好ましく、55%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましい。
金属編組体12は、内層11の外周面に直接(接着剤層等を介することなく)設けられている。この金属編組体は、本発明のチューブ成型体10を補強して、チューブ成型体10がバランスよいプッシャビリティ性と耐キンク性とを両立するのに、貢献する。この金属編組体12は、公知の構成を特に制限されずに適用することができる。例えば、金属編組体12は、複数の金属線(ブレードワイヤ)12aを、例えば螺旋状に編み組んで、内層11の外周上に全体として管状に形成したものが挙げられる。このような金属編組体12は、例えば、編み込み本数、編み込み密度(例えば、後述するPPIや、長さ1インチ当たりの金属線12aの交点数(PIC))等を適宜に設定して、作製される。金属編組体12に用いられる金属線12aの編み込み本数は、特に制限されないが、例えば、8〜32本が挙げられ、通常は8本又は16本である。
金属編組体12において、金属線12aの編組の間の隙間は、編む場合の矩形例えば菱形の面積で換算され、金属線12aの直径とPICによって決まる。本発明においては、この隙間としての面積に、特に指定はなく、チューブ成型体10における、プッシャビリティ性と耐キンク性のバランス、更には操作性等によって、自由に設計できる。例えば、長さ1インチ当たりの、同方向に編み組みされた金属線12aの隙間の数を規定するPPIの一例を挙げると、30〜200に設定でき、50〜100であることが好ましい。
金属線12aは、金属で形成されたものであれば特に制限されないが、ステンレス鋼(以下、SUS鋼という。)、ニッケル−チタン(Ni−Ti)合金、タングステン等の各種金属で形成されるものが好適に用いられ、中でも、SUS鋼が更に好適に用いられる。
金属線12aの、金属線12aの軸線に垂直な断面形状は、特に制限されないが、例えば、断面形状が円形の所謂「丸線」、断面形状が平角形状(長方形)の所謂「平線」等が挙げられる。丸線の直径は、特に制限されないが、例えば、0.02〜0.05mmが好ましい。一方、平線の寸法は、特に制限されないが、厚さは0.01〜0.025mmが好ましく、幅は0.04〜0.15mmが好ましく、その厚さと幅との比は適宜に設定できる。
外層13は、内層11の外周面に、金属編組体12を被覆(埋設)するように設けられている。この外層13は、後述する脂肪族ポリアミド樹脂を含有し、熱硬化性のポリイミド樹脂製の内層11及び金属編組体12等と相俟って、チューブ成型体10に優れたプッシャビリティ性及び耐キンク性をバランスよく付与できる。
外層13に含有される脂肪族ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂の分子構造において、主鎖(幹となるポリアミド高分子鎖)中に芳香族基が組み込まれていない(2つの隣接するアミド結合の間に芳香族基が組み込まれていない、すなわち脂肪族基からなる)ポリアミド樹脂を意味する。この脂肪族ポリアミド樹脂は、芳香族基を有しないポリアミド樹脂に加えて、主鎖中に芳香族基が組み込まれていない限り、この主鎖を形成する構成成分や、側鎖(枝となる分子鎖(例えばグラフト鎖))に、芳香族基を含む態様を包含する。本発明において、主鎖中に芳香族基が組み込まれていないとは、主鎖に芳香族基が1つも組み込まれていない態様に加えて、本発明の作用効果を損なわない範囲で主鎖中に芳香族基が組み込まれている態様を包含する。
本発明において、脂肪族ポリアミド樹脂の主鎖は、通常、ポリアミド樹脂を形成する高分子鎖のうちで最も長鎖のものをいう。この主鎖は、直鎖であっても、分岐鎖でもよく、脂肪族の環状構造を含んでいてもよい。
金属編組体を設けたポリイミド樹脂製の内層11に、このような脂肪族ポリアミド樹脂を含む外層13を設けると、高い水準でプッシャビリティ性及び耐キンク性を両立でき、しかも外層13の押出成形性に優れる。
本発明に用いる脂肪族ポリアミド樹脂としては、特に制限されることなく、公知の各種のポリアミド樹脂が挙げられ、中でも、プッシャビリティ性及び耐キンク性の点で、炭素数が6以上の脂肪族基を含む繰り返し単位を有するポリアミド樹脂が好ましく、炭素数が10以上の脂肪族基を含む繰り返し単位を有するポリアミド樹脂がより好ましい。中でも、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1010等の直鎖状ポリアミド樹脂、主鎖中に1,4−シクロヘキシレン基を含むナイロン等の脂環式ポリアミド樹脂が好ましい。
脂肪族ポリアミド樹脂は、市販品又は適宜合成したものを、特に制限することなく使用できる。ナイロン11は、11−アミノウンデカン酸を重縮合して、又は、ウンデカンラクタムを開環重縮合して、得られるポリアミド樹脂であり、その市販品としては、例えば、「リルサン」(商品名、アルケマ社製)が挙げられる。ナイロン12は、ω−ラウリルラクタムを開環重縮合して得られるポリアミド樹脂であり、その市販品としては、例えば、「リルサミッド」(商品名、アルケマ社製)、「ダイアミドL1940」(商品名、ダイセルエボニック社製)等が挙げられる。ナイロン610は、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸とを共縮重合して得られるポリアミド樹脂であり、その市販品としては、例えば、「アミランCM2001」(商品名、東レ社製)が挙げられる。ナイロン612は、ヘキサメチレンジアミンとドデカン酸とを共縮重合して、又は、カプロラクタムとラウリルラクタムとを共縮重合して得られるポリアミド樹脂であり、その市販品としては、例えば、「ザイテル158」(商品名、デュポン社製)が挙げられる。ナイロン1010は、1,10−デカメチレンジアミンとセバシン酸とを共重縮合して得られるポリアミド樹脂であり、その市販品としては、例えば、「ベスタミドDS」(商品名、ダイセルエボニック社製)が挙げられる。
脂環式ポリアミド樹脂は、通常、脂環式ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とを公知の方法で脱水重縮合して、合成される。原料としての脂環式ジアミンとしては、特に制限されるものではなく、例えば、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−シクロヘキサンジアミンが挙げられ、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンが好ましい。原料としての脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限されるものではなく、例えば、ドデカン二酸、セバシン酸、アジピン酸が挙げられ、ドデカン二酸が好ましい。脂環式ポリアミド樹脂の市販品としては、例えば、「グリルアミドTR55」(商品名、エムス・ケミー社製)、「トロガミドCX7323」(商品名、ダイセルエボニック社製)が挙げられる。
外層13は、脂肪族ポリアミド樹脂に加えて、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーを含有することができる。外層13が、脂肪族ポリアミド樹脂に加えて、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーを含有していると、優れた柔軟性を維持しつつ、ゴム弾性による復元回復性にも優れる。このエラストマーは、通常、プラスチックの性質を持つハードセグメントとしてのポリアミドセグメントと、ゴムの性質を持つトセグメントとしてのポリエーテルブロック(セグメント)とを有するエラストマー(共重合体)である。ポリアミドセグメントとしては、上述の、脂肪族ポリアミド樹脂からなるセグメントが好ましく、ナイロン12の合成に使用されるω−ラウリルラクタムの開環反応によって得られるポリアミドオリゴマー(セグメント)がより好ましい。ポリエーテルブロックとしては、特に制限されないが、ポリアルキレンエーテルグリコールが好ましく、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)がより好ましい。好ましいポリエーテルブロックポリアミドエラストマーとしては、ω−ラウリルラクタムの開環反応によって得られるポリアミドオリゴマーと、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとの共重縮合によって得られるコポリマーである。
ポリアミドエラストマーのショア硬度は、HSD60〜85であることが好ましく、HSD69〜84であることがより好ましい。ここで、ショア硬度は、JIS Z 2246(ショア硬度計 D型)に基づいて測定される値である。ポリアミドエラストマーのショア硬度は、ソフトセグメント及び/又はハードセグメントの種類、ソフトセグメントとハードセグメントとの比率等によって調整できる。
ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーとしては、市販品又は適宜合成したものを、特に制限することなく使用できる。エラストマーの市販品としては、例えば、「ペバックス」(商品名、アルケマ社製)、「ベスタミド」(商品名、ダイセルエボニック社製)、「UBESTA XPA」(商品名、宇部興産社製)が挙げられる。
外層13は、脂肪族ポリアミド樹脂及びポリエーテルブロックポリアミドエラストマー以外の、その他の樹脂(例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー)を含有していてもよい。ただし、外層13は、ポリイミド樹脂を含有していないこと(例えば、外層13中の含有率が30質量%以下であること)が好ましい。
外層13中の、脂肪族ポリアミド樹脂の含有率は、70〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましい。
外層13がポリエーテルブロックポリアミドエラストマーを含有する場合、外層13中の、脂肪族ポリアミド樹脂の含有率は、70質量%以上100質量%未満であることが好ましく、80質量%以上100質量%未満であることがより好ましく、外層13中の、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーの含有率は、0質量%を越え30質量%以下であることが好ましく、0質量%を越え20質量%以下であることがより好ましい。外層13中の含有率の比[脂肪族ポリアミド樹脂/ポリエーテルブロックポリアミドエラストマー]は、各含有率が上記範囲を満たす限り特に制限されないが、例えば、100/0〜70/30が好ましく、100/0〜80/20がより好ましい。
外層13中の、その他の樹脂の含有率は、特に制限されず、例えば、30質量%以下とすることができる。
内層11及び外層13は、それぞれ、公知の各種添加剤を含有していてもよく、各層中の含有率は例えば0〜10質量%とすることができる。
外層13の厚さ(内層11の表面から外層13の表面までの厚さをいい、金属編組体12を被覆している厚さ)は、上述の、内層の厚さ比率を満たす限り特に制限されないが、例えば、40〜150μmが好ましく、60〜130μmがより好ましい。
外層13のショア硬度は、特に制限されないが、例えば、HSD60〜81であることが好ましく、HSD60〜70であることがより好ましい。外層13のショア硬度は、外層13からサンプリングした樹脂を用いて、JIS Z 2246(ショア硬度計 D型)に基づいて測定される値である。
外層13のロックウェル硬度は、特に制限されないが、例えば、100〜120であることが好ましく、100〜115であることがより好ましい。外層13のロックウェル硬度は、外層13からサンプリングした樹脂を用いて、「JIS K 7202−2 プラスチック、硬さの求め方―第2部:ロックウエル硬さ」に規定の方法に基づいて、常温(10〜35℃)条件の下で、直径12.7mmの圧子を用いて試験荷重588.4Nの条件で測定される値である。
本発明のカテーテル及びチューブ成型体は、上述の一例に限定されることはなく、この発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、チューブ成型体10は内層11と外層13との間に接着剤層を備えていないが、本発明のチューブ成型体は内層と外層の間に接着剤層を備えていてもよい。
本発明のチューブ成型体は、内層、金属編組体及び外層を順次形成して、製造できる。例えば、上述のチューブ成型体10は、次のようにして、製造できる。
まず、内層11を形成する。内層11は、所望の内径及び厚さを有する管状に形成されていればよく、例えば、所定の外径を有するマンドレルと呼ぶ金属製の芯金の外周面に、上述のポリイミド樹脂又はポリイミド樹脂を溶剤に溶解したワニス(塗料)を規定厚さ分塗布し、焼き付けて、形成できる。このとき用いる芯金としては、特に制限はないが、ステンレス鋼線、銀めっき銅線が好適である。このようにしてポリイミド樹脂製の内層11を形成できる。
次いで、内層11の外周面に金属編組体12を形成(金属線12aを網み組み)する。金属線12aを編み組む方法としては、特に制限されず、編組機を用いて、規定のピック率と長さを指定して、公知の方法で、編み込むことにより、設けることができる。
次いで、金属編組体12上に外層13を形成する。外層13は、押し出し被覆装置を用いて、押出成形体として形成することが好ましい。このときの押出成形方法は、特に制限されないが、口金から溶融した脂肪族ポリアミド樹脂、又はこの樹脂を含有する組成物を、指定金型(ダイス)で加圧して皮膜を金属編組体12上に形成する方法が用いられる。
以下に本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、図2に示されるチューブ成型体10を製造した。
ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.0mmの芯金上にポリイミド樹脂塗料(商品名:パイヤー−ML(型番RC−5057)、I.S.T社製)を塗布し、450℃で焼付けした。この塗布焼付けを18回繰り返して、芯金の上に0.090mmの厚さの内層11を形成した。
上述のポリイミド樹脂塗料は、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを重合してなるポリイミド樹脂を含有している。
この内層11上に、編組機を用いて、ステンレス鋼(SUS304)で断面円形に形成された直径0.03mmの金属線(丸線)12aをPPI80に設定して16本編み組みして、金属編組体12を形成した。
次いで、この金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.320mmの金型を用い、脂肪族ポリアミド樹脂(商品名:リルサミッド、ナイロン12、アルケマ社製)を押し出して、被覆厚(厚さ)0.06mmの外層13を形成した。
このようにして、内径1.0mm、外径1.300mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて伸長させて芯金を抜き、実施例1のチューブ成型体10を製造した。
(実施例2)
金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.320mmの金型を用い、脂肪族ポリアミド樹脂(商品名:アミランCM2001、ナイロン610、東レ社製)を押し出して、被覆厚0.06mmの外層13を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のチューブ成型体10を製造した。
(実施例3)
金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.320mmの金型を用い、脂肪族ポリアミド樹脂(商品名:リルサン、ナイロン11、アルケマ社製)を押し出して、被覆厚0.06mmの外層13を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3のチューブ成型体10を製造した。
(実施例4)
金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.320mmの金型を用い、脂肪族ポリアミド樹脂(商品名:ザイテル158、ナイロン612、デュポン社製)を押し出して、被覆厚0.06mmの外層13を形成したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のチューブ成型体10を製造した。
(実施例5)
金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.320mmの金型を用い、脂肪族ポリアミド樹脂(商品名:トロガミドCX7323、脂環式ポリアミド樹脂、ダイセルエボニック社製)を押し出して、被覆厚0.06mmの外層13を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5のチューブ成型体10を製造した。
トロガミドCX7323は、脂環式ポリアミド樹脂として、ドデカン二酸と4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとの重縮合体を含有する。
(実施例6)
金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.320mmの金型を用い、脂肪族ポリアミド樹脂(商品名:リルサミッド、ナイロン12、アルケマ社製)とポリエーテルブロックポリアミドエラストマー(商品名:ぺバックス7233、ショア硬度HSD69、アルケマ社製)との混合物を押し出して、被覆厚0.06mmの外層13を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のチューブ成型体10を製造した。
ポリエーテルブロックポリアミドエラストマー:ぺバックス7233におけるハードセグメントはポリアミド12であり、ソフトセグメントはポリテトラメチレングリコールである。
外層13中の、脂肪族ポリアミド樹脂の含有率は80質量%であり、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーの含有率は20質量%であった。
(実施例7)
金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.320mmの金型を用い、脂肪族ポリアミド樹脂(商品名:リルサミッド、ナイロン12、アルケマ社製)とポリエーテルブロックポリアミドエラストマー(商品名:ぺバックス6333、ショア硬度HSD64、アルケマ社製)との混合物を押し出して、被覆厚0.06mmの外層13を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のチューブ成型体10を製造した。
ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーぺバックス6333におけるハードセグメントはポリアミド12であり、ソフトセグメントはポリテトラメチレングリコールである。
外層13中の、脂肪族ポリアミド樹脂の含有率は80質量%であり、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーの含有率は20質量%であった。
(実施例8)
金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.320mmの金型を用い、脂肪族ポリアミド樹脂(商品名:リルサミッド、ナイロン12、アルケマ社製)とポリエーテルブロックポリアミドエラストマー(商品名:ぺバックスRnew80、ショア硬度HSD80、アルケマ社製)の混合物を押し出して、被覆厚0.06mmの外層13を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8のチューブ成型体10を製造した。
ポリエーテルブロックポリアミドエラストマー:ぺバックスRnew80におけるハードセグメントはポリアミド11であり、ソフトセグメントはポリテトラメチレングリコールである。
外層13中の、脂肪族ポリアミド樹脂の含有率は80質量%であり、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーの含有率は20質量%であった。
(実施例9)
内層1の厚さを0.105mm、外層13の厚さを0.045mmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9のチューブ成型体10を製造した。
(実施例10)
内層1の厚さを0.0825mm、外層13の厚さを0.0675mmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例10のチューブ成型体10を製造した。
(実施例11)
内層1の厚さを0.0525mm、外層13の厚さを0.0975mmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例11のチューブ成型体10を製造した。
(実施例12)
内層1の厚さを0.030mm、外層13の厚さを0.120mmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例12のチューブ成型体10を製造した。
(実施例13)
ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.4mmの芯金上にポリイミド樹脂塗料(商品名:パイヤー−ML(型番RC−5057)、I.S.T社製)を塗布し、450℃で焼付けした。この塗布焼付けを18回繰り返して、芯金の上に0.095mmの厚さの内層1を形成した。
この内層11上に、編組機を用いて、ステンレス鋼(SUS304)で断面平角形状に形成された、厚さ0.01mm及び幅0.075mmの金属線(平線)12aをPPI80に設定して16本編み組みして、金属編組体12を形成した。
次いで、この金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.770mmの金型を用い、脂肪族ポリアミド12樹脂(商品名:リルサミッド、ナイロン12、アルケマ社製)を押し出して、被覆厚0.065mmの外層13を形成した。
このようにして、内径1.4mm、外径1.720mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて伸長させて芯金を抜き、実施例13のチューブ成型体10を製造した。
(比較例1)
ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.0mmの芯金上にポリイミド樹脂塗料(商品名:パイヤー−ML(型番RC−5057)、I.S.T社製)を塗布し、450℃で焼付けした。この塗布焼付けを18回繰り返して、芯金の上に0.090mmの厚さの内層11を形成した。
この内層11上に、編組機を用いて、ステンレス鋼(SUS304)で断面円形に形成された直径0.03mmの金属線(丸線)12aをPPI80に設定して16本編み組みして、金属編組体12を形成した。
次いで、この金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.320mmの金型を用い、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233、ショア硬度HSD69、アルケマ社製)を押し出して、被覆厚0.06mmの外層13を形成した。
このようにして、内径1.0mm、外径1.300mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて伸長させて芯金を抜き、比較例1のチューブ成型体を製造した。
(比較例2)
内層1の厚さを0.105mm、外層13の厚さを0.045mmに変更したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2のチューブ成型体を製造した。
(比較例3)
内層1の厚さを0.0825mm、外層13の厚さを0.0675mmに変更したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例3のチューブ成型体を製造した。
(比較例4)
内層1の厚さを0.0525mm、外層13の厚さを0.0975mmに変更したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例4のチューブ成型体を製造した。
(比較例5)
内層1の厚さを0.030mm、外層13の厚さを0.120mmに変更したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例5のチューブ成型体を製造した。
(比較例6)
ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.4mmの芯金上にポリイミド樹脂塗料(商品名:パイヤーML(型番RC−5057)、I.S.T社製)を塗布し、450℃で焼付けした。この塗布焼付けを18回繰り返して、芯金の上に0.095mmの厚さの内層11を形成した。
この内層11上に、編組機を用いて、ステンレス鋼(SUS304)で断面平角形状に形成された、厚さ0.01mmで幅0.075mmの金属線(平線)12aをPPI80に設定して16本編み組みして、金属編組体12を形成した。
次いで、この金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.770mmの金型を用い、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233、ショア硬度HSD69、アルケマ社製)を押し出して、被覆厚0.065mmの外層13を形成した。
このようにして、内径1.4mm、外径1.720mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて伸長させて芯金を抜き、比較例6のチューブ成型体を製造した。
(比較例7)
内層1の厚さを0.120mm、外層13の厚さを0.030mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7のチューブ成型体を製造した。
(比較例8)
ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.0mmの芯金上にポリイミド樹脂塗料(商品名:パイヤーML(型番RC−5057)、I.S.T社製)を塗布し、450℃で焼付けした。この塗布焼付けを18回繰り返して、芯金の上に0.090mmの厚さの内層11を形成した。
この内層11上に、編組機を用いて、ステンレス鋼(SUS304)で断面円形に形成された直径0.03mmの金属線(丸線)12aをPPI80に設定して16本編み組みして、金属編組体12を形成した。
次いで、金属編組体13上に、内層11の材料と同じポリイミド樹脂塗料を再び塗布焼付けして、金属編組体と外層の合計厚さが0.060mmの厚さ外層13を形成した。
このようにして、内径1.0mm、外径1.300mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて伸長させて芯金を抜き、比較例8のチューブ成型体を製造した。
(比較例9)
ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.0mmの芯金上に、ポリテトラフルオロエチレン粉末(商品名:KTL500F、喜多村社製)を水中に分散した塗料を、塗布し焼成することで膜厚0.010mmのPTFE製の内層を作製した。このPTFE製内層が形成された芯金体をブラスト処理して表面を荒らした。
次いで、PTFE製内層上に、編組機を用いて、ステンレス鋼(SUS304)で断面円形に形成された直径0.03mmの金属線(丸線)12aをPPI80に設定して16本編み組みして、金属編組体12を形成した。
次いで、この金属編組体12上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.320mmの金型を用い、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233、ショア硬度HSD69、アルケマ社製)を押し出して、被覆厚0.140mmの外層13を形成した。
このようにして、内径1.0mm、外径1.300mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて伸長させて芯金を抜き、比較例9のチューブ成型体を製造した。
製造した実施例1〜13及び比較例1〜9のチューブ成型体における、内径、外径、内層及び外層の厚さ、内層の厚さ比率を表1及び表2に示す。更に、表1及び表2には、上述の測定方法で測定した、外層13のショア硬度及びロックウェル硬度を示す。
表1及び表2中、「−」は未測定又は測定不能であることを示す。
(プッシャビリティ性試験)
製造した実施例1〜13及び比較例1〜9のチューブ成型体のプッシャビリティ性を、図3に示す装置20を用いて、評価し、その結果を表1及び表2に示す。
この装置20は、錘(荷重)21と、ロボシリンダ23が設置されたロボシリンダ滑り台24とを、それぞれ水平台22上に、同方向に前後進可能に設置したものである。
ロボシリンダ23の一端にチャックによりチューブ成型体の試験片25(長さ:170mm)を取り付けた。また、試験片25の他端を試験片25の外径応じた穴をあけた荷重21に挿入して固定した。この状態で、10mm/秒の速度でロボシリンダ23を(荷重5に向かって(図3の矢印方向)に移動させて、試験片25を介して荷重21を移動させた。荷重21を順次増加させ、この試験を繰り返して、試験片25が撓んで、荷重21を移動させることができなくなる最小の荷重を求めた。
この試験を、試験片につき2回繰り返して行い、最小荷重の平均値を記録した。この最小荷重の平均値が大きいほど、プッシャビリティ性に優れることを意味する。
本試験においては、チューブ成型体の下記内径により下記荷重であると、特に実用上優れていると判断する。
− 評価基準 −
チューブ成型体の内径が0.6mmを超え1.0mm以下である場合:50gf以上(0.5N)
チューブ成型体の内径が1.0mmを超え2.0mm以下である場合:100gf以上(1N)
(耐キンク性試験)
耐キンク性は、直径の異なるマンドレルを準備し、チューブ成型体を1ターン巻き付けて、チューブ成型体が折れてキンクした最小のマンドレル半径を測定して、評価した。
耐キンク性試験において、チューブ成型体の内径に応じて下記のマンドレル半径であると、耐キンク性に優れると判断する。
− 評価基準 −
チューブ成型体の内径が0.6mmを超え1.0mm以下である場合:マンドレルの半径が6mm以下
チューブ成型体の内径が1.0mmを超え2.0mm以下である場合:マンドレルの半径が12mm以下
(総合評価)
上記プッシャビリティ性試験及び耐キンク性試験の結果から、チューブ成型体を総合評価した。
− 評価基準 −
◎:プッシャビリティ性と耐キンク性とに特に優れており、カテーテルとして最適な特性を示すもの。
○:プッシュ性に優れ、耐キンク性に特に優れており、カテーテルとして適するもの。
△:プッシュが十分ではなく、カテーテルとして手元操作性に不安が残るもの。
×:プッシュが不足し、体内に押し込むことができないか、キンクするもの。
XX:プッシュは満たしているが、キンクして血管を走行させると折れるもの。
Figure 0006821870
Figure 0006821870
表1及び表2に示されるように、ポリアミド樹脂製の内層及び金属編組体に脂肪族ポリアミド樹脂製の外層を併有しない比較例のチューブ成型体は、いずれも、プッシャビリティ性と耐キンク性とを両立できない。
これに対して、ポリアミド樹脂製の内層、金属編組体及び脂肪族ポリアミド樹脂製の外層を有する実施例のチューブ成型体は、いずれも、プッシャビリティ性と耐キンク性とを高い水準で両立でき、総合評価に優れるものである。
1 医療用カテーテル
2 先端側のチューブ成型体
3 バルーン
4 基端側のチューブ成型体
5 樹脂製コネクタ
6 吸引シリンジ又は圧縮シリンジ
10 チューブ成型体
11 内層
12 金属編組体
12a 金属線
13 外層
20 装置
21 荷重
22 水平台
23 ロボシリンダ
24 ロボシリンダ滑り台
25 試験片

Claims (9)

  1. ポリイミド樹脂からなる管状の内層と、該内層の外周に金属線の編組体と、該編組体を被覆する外層とを備え、前記内層と前記外層との間に接着剤層を備えていない、カテーテル用のチューブ成型体であって、
    前記ポリイミド樹脂が芳香族テトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンとの重合物であり、
    前記金属線の編組体が、軸線に垂直な断面形状が円形であって該円形の直径が0.02〜0.05mmである金属線、又は、軸線に垂直な断面形状が平角形状であって該平角形状の厚さが0.010〜0.025mmであり、幅が0.04〜0.15mmである金属線を編組ピッチPPI(ピッチ パー インチ)30〜200で8〜32本編み組んだ編組体であり、
    前記外層が脂肪族ポリアミド樹脂を含有し、
    前記内層の厚さが前記外層との合計厚さに対して70%以下である、チューブ成型体。
  2. 前記脂肪族ポリアミド樹脂が、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、及び、主鎖中に1,4−シクロヘキシレン基を含むナイロンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のチューブ成型体。
  3. 前記外層が、ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーを含有する請求項1又は2に記載のチューブ成型体。
  4. 前記ポリエーテルブロックポリアミドエラストマーのショア硬度が、60〜85である請求項1〜3のいずれか1項に記載のチューブ成型体。
  5. 前記内層の厚さが、前記外層との合計厚さに対して55%以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のチューブ成型体。
  6. 前記金属線が、ステンレス鋼からなる線である請求項1〜5のいずれか1項に記載のチューブ成型体。
  7. 前記外層が、押出成形体である請求項1〜6のいずれか1項に記載のチューブ成型体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のチューブ成型体を用いたカテーテル。
  9. 前記チューブ成型体の一端側に設けられたバルーンと、前記チューブ成型体の他端にコネクタを介して接続された吸引シリンジ又は圧縮シリンジとを有する請求項8に記載のカテーテル。
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