JP6168886B2 - チューブ構造体及びそれを用いたカテーテル - Google Patents

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Description

本発明は、チューブ構造体及びそれを用いたカテーテルに関し、さらに詳しくは、曲げ加工時の金属編組体の編組ピッチ(単に、ピッチともいう)の変化及びチューブ切断時の金属編組体のほつれを防止して取扱性及び組み付け性に優れるチューブ構造体及びそれを用いたカテーテルに関する。
近年の医療においては、患者の体内の所定の個所に外部から薬液あるいは造影剤を注入したり、体内から体液等を排出したり、さらには患部を処置したりするために、カテーテルと称される可橈性のチューブ構造の医療器具が使用されている。特に心臓血管の疾患の治療においては、従来、外科医による手術によって患部を開き、メス等の医療器具を用いて疾患部を切除、洗浄していた。しかし、近年、カテーテルを体内へ挿入し、治療処置具を挿通させて患部を治療する事例が増えてきている。
このような医療用のカテーテルは、細い血管、あるいは尿道等を利用して患者の体内に挿入されるため、挿入の過程で血管の壁あるいは生体器官等を傷付けないための安全性と、正確に所定の部位にキンク(折れ曲がって内部流路が閉塞すること)することなく到達できる高い操作性とを有していなければならない。
また、これらに加え、薬液、造影剤の注入、あるいは他のカテーテルの挿入に対しても、スムーズにこれらを受け入れるための潤滑性を備えていることが重要となる。
上述の操作性に関する要求に応えるために、従来、樹脂製の中空成形体に金属線を編み込んだいわゆる補強層を備えたカテーテルチューブが使用されている。例えば、特許文献1には、「高分子材料からなる樹脂層と、螺旋状に巻回された金属製の線材を複数本編組してなり、前記樹脂層に埋設された管状の編組体と、を備えたカテーテルチューブ」が「薄肉に構成しても十分な剛性を有し、キンクが高度に防止できる」と記載されている(請求項1及び段落[0012])。特許文献1に記載されたカテーテルチューブは、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製チューブと編組体とポリアミド系エラストマーとから形成されている(例えば実施例参照。)。
また、特許文献2には、「高分子材料からなる基層と、前記基層を構成する高分子材料より圧縮弾性率が低い高分子材料からなり、前記基層に積層された柔軟層と、所定の厚みを有し、前記基層と前記柔軟層との境界位置に埋設された網状体と、を備え、前記基層および前記柔軟層が、それぞれ実質的に均一な厚みを有していて、前記網状体が、前記基層と前記柔軟層との境界面に対して、傾斜をもって埋設されているカテーテルチューブ」、及び、網状体を外周面上に設けた内管を加熱されているダイに速度を変化させながら通過させて、内管に網状体の一部を埋め込むステップを有する、カテーテルチューブの製造方法が記載されている。
特開2005−312952号公報 特開2005−270507号公報
しかしながら、特許文献1に記載のチューブは編組体を高分子材料からなる樹脂層に埋設しているにもかかわらず、チューブ切断時に編組体がほつれてカテーテル作製時の取扱性(単に、取扱性ということがある)及びチューブを接続させるときの接続性(組み付け性ということがある)が十分ではない場合がある。また、曲げ加工時には、金属線がずれて編組体が動き、ピッチに変化が現れることがある。編組体のピッチが変化すると、編組体による補強性が不均一になって、仮にカテーテルに作製できたとしても、キンクしやすく、カテーテルとしての操作性が損なわれる場合がある。
本発明は、曲げ加工時の金属編組体の編組ピッチの変化及びチューブ切断時の金属編組体のほつれを防止して取扱性及び組み付け性に優れるチューブ構造体と、それを用いたカテーテルを提供することを、課題にする。
チューブ構造体の作製において、内層を形成する樹脂としてポリテトラフルオロエチレンを用いる場合には、その摩擦係数が小さいため、金属線を所定の位置に配置することが困難でずれてしまい、金属線を適切に編み込んで編組体を形成することができない。このため、ポリテトラフルオロエチレンで形成された内層の表面を薬品で粗化させ、又は、内層自体を軟化させることで、金属線を所定の位置に配置することができる。また、特許文献2に記載されているように、内管の樹脂が実質上熱可塑性の高分子材料であれば金属線の編み組み後に加熱処理を施すことで内層を軟化させることも可能である。
しかし、内層を形成する樹脂としてポリイミド樹脂を用いる場合には、ポリイミド樹脂は特性として化学的に安定なため表面を薬品で粗化させることは一般に困難である。また、ポリイミド樹脂は、一般に耐熱性が高く、しかも熱硬化性であるから、加熱処理によって軟化させることも困難である。このように、内層を形成する樹脂として熱硬化性のポリイミド樹脂を用いる場合には、薬品処理にて表面を粗化させ、又は、加熱処理して軟化させることで、金属編組体を所定の位置に配置することは困難であるという問題があった。
このような状況の下、本発明者らは、物理的強度、耐薬品性等に優れる熱硬化性のポリイミド樹脂からなる内層と金属編組体と樹脂又はエラストマー製の外層とを備えた、剛直性と柔軟性(可撓性、曲げ性ともいう)とをバランスよく両立したチューブ構造体を開発するため、金属線(金属編組体)を内層上に固定する手段について、鋭意検討した。その結果、内層と外層との間に内層と外層とを接着させうる接着層を設け、しかも金属編組体の少なくとも一部(金属編組体の内層側の厚み方向の一部)を、この接着層に埋没させて内層と外層との間に配置すると、内層、金属編組体及び外層が一体性を持って接合したチューブ構造体を形成し、曲げ加工時に金属編組体のピッチが変化しにくくなると共にチューブ切断時にも金属編組体がほつれにくくなることを見出した。しかも、このチューブ構造体は、製作しやすく、かつ剛直性と柔軟性とをバランスよく両立しうることを見出した。
これらの知見に基づき本発明者等はさらに研究を重ね、本発明をなすに至った。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
(1)熱硬化性のポリイミド樹脂からなる管状の内層と、該内層の外周に形成された接着層と、前記接着層の外周上に金属線を編み組んで管状に形成され、かつ前記接着層側一部が、前記内層の軸線方向にわたって前記接着層に埋没した金属編組体と、該金属編組体を被覆する外層とを備えてなるチューブ構造体。
(2)前記ポリイミド樹脂が、ピロメリット酸二無水物と芳香族ジアミンとを重合してなる(1)に記載のチューブ構造体。
(3)前記接着層が、ホットメルト型接着剤からなる(1)又は(2)に記載のチューブ構造体。
(4)前記接着層の厚さが、前記金属線の厚さ方向の寸法の1/2倍以上2倍以下である(1)〜(3)のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
(5)前記ホットメルト型接着剤が、100℃以上200℃以下の融点を有する(3)又は(4)に記載のチューブ構造体。
(6)前記ホットメルト型接着剤は、160℃で荷重2.16kgを掛けたときのメルトボリュームフローレート(Melt Volume Flow Rate、ISO1133)が5cm/10分以上100cm/10分以下である(3)〜(5)のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
(7)前記金属線が、ステンレス鋼、白金、銀、チタン合金及びニッケル−チタン合金から選ばれる少なくとも1種の金属で形成されてなる(1)〜(6)のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
(8)前記金属線が、2300MPa以上3000MPa以下の引っ張り強度を有している(1)〜(7)のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
(9)前記金属線は、軸線に垂直な断面形状が平角形状である(1)〜(8)のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
(10)前記接着層の厚さが、前記金属線の厚さ方向の寸法の1倍以上3/2倍以下である(9)に記載のチューブ構造体。
(11)前記外層が、ポリイミド樹脂からなる請求項(1)〜(10)のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
(12)前記外層が、電着塗装によって形成されてなる(11)に記載のチューブ構造体。
(13)前記外層が、熱可塑性エラストマーからなる(1)〜(10)のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
(14)前記外層が、押出成形によって形成されてなる(13)に記載のチューブ構造体。
(15)前記外層を形成する樹脂が、30以上72以下のショアD硬度を有している(1)〜(14)のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
(16)外径が0.6mm以上2.3mm以下で、内径が0.4mm以上2.0mm以下である(1)〜(15)のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
(17)前記金属編組体を形成する前記接着層側の前記金属線が、前記金属線の厚さ方向の寸法の1/2倍以上1倍以下の割合で、前記接着層に埋没している(1)〜(16)のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
18)カテーテル用である(1)〜(17)のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
19)(1)〜(18)のいずれか1項に記載のチューブ構造体を用いたカテーテル。
20)前記チューブ構造体の一端側に設けられたバルーンと、前記チューブ構造体の他端にコネクタを介して接続された吸引シリンジ又は圧縮シリンジとを有する(19)に記載のカテーテル。
本発明において、「管状」とは、輪郭線が、例えば、円形、楕円形、多角形等の断面形状を有し、軸線方向に延びる内孔を有する中空体形状をいう。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明によれば、金属編組体を埋設して固定し、内層、金属編組体及び外層を一体性を持って接合する接着層を有しているから、曲げ加工時の金属編組体のピッチが変化しにくく、またチューブ切断時の金属編組体がほつれにくく、取扱性及び組み付け性に優れるチューブ構造体、及び、それを用いたカテーテルを提供できる。
図1は、本発明のカテーテルの一例を説明する概略側面図である。 図2は、接着層上に編み組みした金属編組体の一例(外層は未形成)を示す、本発明のチューブ構造体の一部切欠概略斜視図である。 図3は、本発明のチューブ構造体の一例の断面を示す概略断面図である。 図4は、本発明のチューブ構造体の一例の断面を示す概略断面拡大図である。
本発明のチューブ構造体は、接着層側の少なくとも一部が接着層に埋設された金属線で金属編組体が形成されているから、金属編組体が内層上の所定の位置に配置固定され、金属編組体による補強性が均一になって折り曲げに弱い箇所が本発明のチューブ構成体に形成されにくくなる。加えて、金属編組体を埋設した接着層が熱硬化性のポリイミド樹脂で形成された内層と金属編組体と外層とを一体性を持って接合させて、所定の位置に配置固定された金属編組体と相俟って、本発明のチューブ構造体に剛直性と柔軟性とをバランスよく発揮させると考えられる。したがって、本発明のチューブ構造体は、曲げ加工時の金属編組体のピッチが変化しにくく、またチューブ切断時の金属編組体がほつれにくく、取扱性及び組み付け性に優れる。しかも、本発明のチューブ構造体は、バランスよく両立した剛直性と柔軟性とを有しており、例えばカテーテル等に用いられたときに、カテーテル等に高い操作性を発現させることができる。
このような特性を有する本発明のチューブ構造体は、種々の用途に用いることができ、例えば、医療用のカテーテル、内視鏡のルーメンとして挿入されるチューブ、気管チューブ等、人工透析器、医療用機器に装着されるチューブ、もしくは高速液体クロマトグラフ装置用カラム等の分析機器用チューブが挙げられる。なかでも、本発明のチューブ構造体は、高い操作性が要求される医療用機器のチューブに好適に用いられ、特に高い操作性が要求される医療用のカテーテルのチューブとしてより好適に用いられ、血管、抹消神経血管内に挿入される、トルク伝達性、曲げ加工性に優れた医療用のカテーテルのチューブとしてさらに好適である。このような医療用のカテーテルとしては、例えば、マイクロカテーテル、ガイディングカテーテル、造影用カテーテル、血栓吸引用カテーテル、狭窄貫通用カテーテル、薬液注入用カテーテル等が挙げられる。
本発明のチューブ構造体を用いたカテーテルについて説明する。医療用のカテーテルは、チューブ構造体を少なくとも1本有していれば、それ以外のカテーテル構成部材は特に限定されない。例えば、バルーン又はステントを有していてもいなくてもよい。
本発明のカテーテルの一例は、図1に示されるように、長尺状のチューブ構造体4と、チューブ構造体4の一端側に設けられたバルーン3と、チューブ構造体4の他端にコネクタ5(例えば、樹脂製)を介して接続された吸引シリンジ又は圧縮シリンジ6と、バルーン3の、チューブ構造体4と反対側に接続された短尺状のチューブ構造体2とを有している。チューブ構造体2、バルーン3及びチューブ構造体4は例えば接着材により連結されている。吸引シリンジ又は圧縮シリンジ6には、薬剤、例えばX線造影剤又はバルーン3を膨張させるための流体等が収納されている。また、医療用のカテーテル1はチューブ構造体2、4内に金属製等のステント(図示しない。)を備えている。なお、バルーン3はゴム製で流体(液体又は気体)の圧入等によって膨張可能になっている。医療用のカテーテル1は、例えば、基端側のチューブ構造体4、バルーン3及び先端側のチューブ構造体2が合計で1〜1.8mmの長さを有している。
このような医療用のカテーテル1において、基端側のチューブ構造体4及び先端側のチューブ構造体2として本発明のチューブ構造体が好適に用いられる。
本発明のチューブ構造体は、その一例が図2(外層14は図示しない)〜図4に示されるように、ポリイミド樹脂からなる管状の内層11と、該内層11の外周に形成された接着層12と、接着層12の外周上に金属線13aを編み組んで管状に形成してなり、かつ、その接着層12側、すなわち内層11側の少なくとも一部が接着層12に埋没した金属編組体13と、該金属編組体13を被覆する外層14とを備えている。
なお、図2〜図4は、いずれも、チューブ構造体10の構成、特に金属編組体13の埋設状態を理解しやすくするための概略図であって、必ずしもチューブ構造体10の構成を正確に図示したものではない。例えば、外層14の厚さは金属編組体13の埋設状態を理解しやすくするために誇張して厚めに図示している。
本発明のカテーテルチューブは、例えば、内層としてポリイミド樹脂層、その外周に接着層を設け、この上に金属線を編み組して金属編組体を設け、加熱溶融させることにより、金属編組体を接着層に埋め込ませ、さらにこの金属編組体を覆う外層を設けた中空状の成形体ということもできる。
本発明のチューブ構造体は、用途等に応じて適宜の寸法を有している。チューブ構造体の最大外径(以下、単に外径という。)は、用途等に応じて適宜に設定され、特に限定されるものではなく、例えば、通常のチューブ構造体であれば0.6mm以上2.3mm以下であり、細径のチューブ構造体であれば0.6mm以下に設定される。
また、チューブ構造体の最大内径(以下、単に内径という。)も、用途等に応じて適宜に設定され、特に限定されるものではなく、例えば、0.4mm以上に設定される。他方、内径は、通常、2.0mm以下に設定される。
本発明のチューブ構造体は、内層を熱硬化性のポリイミド樹脂で形成しているから、外層及び例えば「断面平角型」の金属線と相俟って、チューブ構造体の強度(剛直性)及び柔軟性を保持しつつも上述の外径まで細径化が可能であり、しかも実質的に均一な厚みで薄肉化できる。本発明において、チューブ構造体の厚みの均一性は、例えば、チューブ構造体の最も厚い部分と最も薄い部分の厚みの比率(最も厚い部分/最も薄い部分)が好ましくは1.5以下であり、より好ましくは1.1〜1.4である。
本発明のチューブ構造体は、上述のような外径及び内径を有しており、その壁面の合計厚さは、上述の外径及び内径を満たす範囲内に設定される。例えば、汎用的なカテーテルに用いられる場合、壁面の合計厚さは、チューブ構造体の強度が高く剛直性に優れ、キンクが発生しにくい点および仕上外径で制限を受ける場合を考慮すると、150μm以下が好ましい。また近年内径を可能な限り大きくしてかつ外径を抑えるカテーテルが要求されている。この要求に答えるためには壁面の合計厚さを50〜100μmに抑えるのが好ましい。
内層11は、物理的強度等に優れた熱硬化性のポリイミド樹脂で形成され、後述する外層14、金属編組体13等と相俟って、チューブ構造体10に剛直性と柔軟性とをバランスよく付与できる。
このような内層11を形成するポリイミド樹脂としては、熱硬化性(非熱可塑性ということもある)のものであれば特に限定されず、市販のものでも、また適宜合成したものでも、使用できる。このようなポリイミド樹脂は、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとを重合してなるものが好ましく、合成方法としては、一般に芳香族ジアミンと芳香族酸二無水物の縮合反応からなるポリアミック酸の脱水閉環反応による合成法が挙げられる。閉環方法としては触媒を添加する方法及び加熱する方法が挙げられるが、本発明では加熱法を用いてポリイミド層を芯金上に形成するのが好ましい。
熱硬化性のポリイミド樹脂を形成する芳香族酸二無水物は芳香族テトラカルボン酸無水物が好ましく、芳香族テトラカルボン酸無水物としては、特に制限はなく、通常用いられるものが使用できる。例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及びこれらの誘導体等が挙げられる。入手しやすい点においてはピロメリット酸二無水物が最も好ましい。
熱硬化性のポリイミド樹脂を形成する芳香族ジアミンも、特に制限はなく、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。容易に入手できる点で4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
すなわち、熱硬化性のポリイミド樹脂は、ピロメリット酸二無水物と芳香族ジアミンとを重合してなるものが好ましい。
熱硬化性の、市販のポリイミド樹脂としては、例えば、代表例なものとして、「Pyre−ML(I.S.T社製、商品名)」及び「ユーピレックスS(宇部興産社製、製品名)」等が挙げられる。
内層11は、特に限定されないが、例えば0.4〜2.0mm、好ましくは0.6〜1.8mmの内径を有し、例えば20〜80μm、好ましくは30〜60μmの厚さを有している。
図3及び図4に示されるように、接着層12は、熱硬化性のポリイミド樹脂製の内層11の上に設けられ、後述する金属編組体13の金属線13aの接着層12側の少なくとも一部を埋没させ、すなわち金属編組体13を埋設して金属編組体13を固定する。また、接着層12は内層11と後述する外層14とを密着させる。したがって、接着層12を形成する接着剤は、このような機能を有するものであればよく、加熱溶融可能な材料を特に制限されることなく用いることができる。
接着層12を形成する接着剤は、融点が100〜200℃の範囲内にあるものが好ましく、105〜180℃の範囲内にあるものがさらに好ましい。接着剤の融点が100〜200℃の範囲内にあると、金属線13aを接着層12に埋め込む際の加熱温度が低く、エネルギーコストを低減でき、金属線13aを編み込む装置の樹脂系部材の熱劣化を防止でき、しかも外層14として被覆する時又は押し出し成型時に接着層の溶融による作業性の低下を防止できる。
接着層12を形成する接着剤は、160℃で荷重2.16kgを掛けたときのメルトボリュームフローレート(Melt Volume Flow Rate、ISO1133)が5〜100cm/10分であるのが好ましく、8〜90cm/10分であるのがさらに好ましい。接着剤のメルトボリュームフローレート(MVFRということがある)が上述の範囲内にあると、金属線13aを所望のように埋設しやすく、しかも強度に固定できる。
ここで、接着剤のMVFRは、ISO1133に記載の「B法」に準拠して、温度160℃で荷重2.16kgを掛け、さらに10分間で流出してくる樹脂の体積を測定して、求めることができる。
本発明で用いる接着剤は、ホットメルト型接着剤であるのが好ましい。ホットメルト型接着剤の樹脂成分は、熱可塑性樹脂であればよく、例えば、ポリアミド系、アクリル系、ポリオレフィン系、エチレン−酢酸ビニル系、クロロプレン系、反応系ウレタン樹脂等の合成樹脂系のものが挙げられる。これらの中でも、接着性が良好な点でポリアミド系のものが好ましい。ポリアミド系熱可塑性樹脂としては、6−ナイロン、12−ナイロン、6,10−ナイロン等の単独重合体又は共重合体が使用できる。共重合体の例としては市販のプラタミド(アルケマ社製 商品名)、アミラン(東レ社製 商品名)、ベスタメルト(ダイセルエポニック社製 商品名)が挙げられる。
接着層12の厚さは、編み組みする金属線13aの厚さ方向の寸法の1/2倍以上であるのが好ましく、2/3倍以上であるのがより好ましい。上限は特に限定しない。金属線13aの厚さ方向の寸法の1倍を越えてもよい。接着層12の厚さが1/2倍以上であると、金属線13aを所望のように埋設して強度に固定できる。一方、接着層12の厚さは、厚すぎると外径が大きくなるため、金属線13aの厚さ方向の寸法の2倍以下であるのが好ましく、3/2倍以下であるのがより好ましく、1倍以下であるのがさらに好ましい。金属線が断面平形の場合は上述の範囲内のうち1倍以上3/2倍以下が好ましい。金属線13aとこのような関係を有する接着剤12の具体的な厚さは、例えば金属線が断面丸型の場合0.03mmの寸法であると、0.015〜0.045mmである。なお、本発明において、接着層12の厚さは金属編組体13が埋設される前の厚さをいう。
また、「金属線13aの厚さ方向の寸法」とは、金属線13aの編み部(重なり部)以外の部分、すなわち材料としての金属線13aの寸法であり、金属線13aが所謂「断面丸型」である場合には「直径」を意味し、図3等に示されるように金属線13aが所謂「断面平角型」である場合には接着層12の厚さ方向に沿う「断面平角形状の厚さ(長さ)」を意味する。例えば、「接着層12の厚さが金属線13aの厚さ方向の寸法の1倍」とは、接着層12の厚さが金属線13aの直径(断面丸型)又は厚さ「断面平角型」と同じであることを意味する。
金属編組体13は、本発明のチューブ構造体を補強して、チューブ構造体10がバランスよい剛直性と柔軟性とを両立するのに、貢献する。この金属編組体13は、複数の金属線13aを、例えば螺旋状に、編み組んで接着層12の外周上に形成されるものであり、全体として管状になっている。このような金属編組体13として、例えば、編み込み本数(通常は8本、16本)、編み込み密度(単位長さあたりのピッチ数)等を変えることが出来る。図2に示されるように金属線13aで形成される隙間が矩形となる形状及び編み方で形成される金属編組体13が好ましい。金属編組体13に用いられる金属線13aの数は、特に限定されないが、例えば、8〜32本が挙げられる。金属線13aを編み組むときの張力は、特に限定されないが、例えば金属線13aの直径が0.03mmのステンレス線の場合、50g〜100gであるのが、金属線13aを接着層12に所望のように埋没させることができる点で、好ましい。ここで、「接着層の外周上に」とは、金属編組体を接着層に全て埋没させた場合も含む。
金属編組体13において、金属線13aの編組の間の隙間は、編む場合の矩形例えば菱形の面積で換算され、金属線13aの直径とピッチによって決まる。この隙間が小さくなればなるほど、チューブ構造体10の外面に占める金属線13a(金属編組体13)の割合が増大し、チューブ構造体10の強度が増す。本発明においては、この隙間としての面積に、特に指定はなく、チューブ構造体10における操作性等によって、自由に設計が可能である。同方向に編み組みされた隣接する金属線13a同士の間隔であるピッチも、特に限定されないが、その一例を挙げると、2〜8mmである。
金属線13aは、金属で形成されたものであれば特に限定されないが、ステンレス鋼(以下、SUS鋼という)、白金(Pt)、銀(Ag)、チタン(Ti)合金(Ni−Ti合金を除く)、ニッケル−チタン(Ni−Ti)合金等の各種金属で形成されるものが好適に用いられ、なかでも、SUS鋼がさらに好適に用いられる。
金属線13aの、金属線13aの軸線に垂直な断面形状は、特に限定されないが、例えば、断面形状が円形の所謂「断面丸型」、断面形状が平角(長方形)形状の所謂「断面平角型」等が挙げられ、特にチューブ構造体の肉厚を低減する場合は「断面平角型」が好適である。
「断面丸型」の金属線(「丸線」ともいう)の直径は、特に限定されないが、例えば、0.02〜0.05mmである。一方、「断面平角型」の金属線(平線ともいう)の寸法は、特に限定されないが、厚さ(縦)は0.01〜0.03mm、特に0.010mm、幅(横)は0.07〜0.12mm、特に0.08〜0.10mmであり、その縦横比は、特に限定されない。
金属線13aは、ポリイミド製の内層11上に編み込むときの張力変動によっても断線しにくい点で、引っ張り強度が2300MPa以上であることが好ましく、2500MPa以上であることがさらに好ましい。一方、金属線13aの引っ張り強度は、張力変動時の反り返り防止の点で、3000MPa以下であることが好ましく、2800MPa以下であることがさらに好ましい。ここで、金属線13aの引っ張り強度はJIS Z 2241に示される引っ張り試験における破断強度を測定する。金属線13aの引っ張り強度は、硬材を使用して伸線時のパススケジユール及び焼鈍条件によって、調整できる。
金属編組体13は、図3に示されるように、その一部が接着層12に埋没し、内層11側に好ましくは内層11に埋没することなく配置されている。これにより、金属編組体13が接着層12上の所定の位置に配置固定され、チューブ構造体10の曲げ加工時の金属編組体13のずれも、またチューブ切断時及び外層形成時に金属編組体13のほつれも防止できる。したがって、金属線13aは、その一部が接着層12に埋没されていればよく、金属編組体13のずれ及びほつれを高度に防止できる点で、例えば図3に示されるように金属線13aの厚さ方向の寸法の1/2倍以上が接着層12に埋没されているのが好ましく、例えば図4に示されるように2/3倍以上が接着層12に埋没されているのがさらに好ましい。一方、金属線13aの全体を大幅に超えて金属線13aを接着層12に埋没しても、金属編組体13のずれ及びほつれの防止効果の向上が期待できず、しかもチューブ構造体10が大径化する点で、金属線13aは、金属線13aの厚さ方向の寸法の1倍以下が接着層12に埋没されているのが好ましい。したがって、金属編組体13における金属線13aの編部(重なり部)は好ましくは接着層12に完全に埋没されることはない。
外層14は、後述する樹脂で形成され、熱硬化性のポリイミド樹脂製の内層11、金属編組体13等と相俟って、チューブ構造体10に剛直性と柔軟性とをバランスよく付与できる。
このような外層14を形成する樹脂としては、市販のものを特に限定することなく使用でき、また適宜合成したものも特に限定することなく使用できる。このような樹脂としては、特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーが挙げられる。具体的には、熱硬化性樹脂としてはポリイミド、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、熱可塑性エラストマーとしては、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。特に柔軟性が高く、内層11を形成する樹脂と協働して高い操作性をチューブ構造体10に付与できる点で、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーが好ましく、熱可塑性エラストマーがより好ましく、ポリアミドエラストマーがさらに好ましい。一方、熱硬化性樹脂に着目するのであればポリイミド樹脂が好ましい。
本発明のチューブ構造体の外層に用いられるポリイミド樹脂としては、熱硬化性であれば特に限定されず、電着塗装できるものであってもなくてもよく、例えば、上述した各成分で形成されるポリイミド樹脂を用いることができる。
また、外層に用いられる、上述のポリアミド樹脂としては、特に限定されないが、市販のポリアミド樹脂として「アミラン」(東レ社製 商品名)、「レオナ」(旭化成社製 商品名)等が挙げられる。同様に上述のポリウレタン樹脂としては、特に限定されないが、「ゾルディックス」(DIC社製 商品名)等が挙げられる。同様に上述のポリエチレン樹脂としては、特に限定されないが、「ノバテックLL」(日本ポリエチレン社製 商品名)等が挙げられる。同様に上述のポリ塩化ビニル樹脂としては、特に限定されないが、「カネビニール」(カネカ社製 商品名)等が挙げられる。同様に上述のポリアミドエラストマーとしては、特に限定されないが、代表例として、「ペバックス」(アルケマ社製、商品名)、「ダイアミド、ベスタミドE」(ダイセルエボニック社製 商品名)等が挙げられる。同様に上述のポリウレタンエラストマーとしては、特に限定されないが、「エラストラン」(BASF社製 商品名)等が挙げられる。同様に上述のポリエステルエラストマーとしては、特に限定されないが、「ベルプレン」(東洋紡社製 商品名)等が挙げられる。
外層14を形成する樹脂は、例えば上述のものを特に限定することなく用いることができるが、チューブ構造体10の柔軟性が高くキンク防止による作業性に優れる点で、樹脂単独のショアD硬度が72〜30であるのが好ましく、60〜40であるのがさらに好ましい。ここで、ショアD硬度はJIS Z 2246によって測定される値である。
外層14の厚さは、特に限定されないが、例えば、金属編組体13の、金属線13aが重なり合った部分に積層された厚さにおいて、0.02〜0.06mmが好ましく、0.03〜0.05mmがさらに好ましい。
このような構成を有する本発明のチューブ構造体は、内層、接着層、金属編組体及び外層を形成して製造できる。例えば、上述のチューブ構造体10は、次のようにして、製造できる。
まず、内層11を形成する。内層11は、所望の内径及び厚さを有する管状に形成されていればよく、例えば、所定の外径を有するマンドレルと呼ぶ金属製の芯金の外周面に、上述のポリイミド樹脂又はポリイミド樹脂を溶剤に溶解したワニス(塗料)を規定厚さ分塗布し、焼き付けて、形成できる。
このとき用いる芯金としては、特に制限はないが、ステンレス鋼線、銀めっき銅線が好適である。このようにしてポリイミド製の内層11を形成できる。
次いで、内層11の外周面に接着剤を塗布して接着層12を形成する。接着層12は、接着剤、好ましくはホットメルト型接着剤を所望により溶剤に溶解させた溶液を、内層11の上に塗布した後に、焼付して溶剤を除去することにより、接着剤層12を形成する。用いる溶剤としては、特に限定されず、例えば、クレゾール、フェノール、1−メチル−2−ピロリドン等の高沸点溶剤等が挙げられる。
接着剤又は溶液は、内層11の表面に塗布できれば、その粘度は特に限定されないが、例えば、25℃における粘度が5〜15Pa・sであるのが好ましい。
次いで、形成した接着層12に金属編組体13を埋設する。金属線13aを接着層12に埋設する方法については特に制限はない。例えば、接着層12を軟化させた状態で金属線13aを編み込む方法、金属編組体13を接着層12上に配置した後に接着層12に埋没させる方法、接着剤を硬化させる前に金属線13aを編み込む方法等が挙げられる。
接着層12を軟化させた状態で金属線13aを編み込む方法としては、具体的には、芯金の外周面に内層11を介して形成された接着層12上に、編組機により金属線13aを例えば上述の条件で編み込むが、編み込む前に加熱ヒータ等を用いて、芯金全体を接着剤の融点以上に加熱して接着層12、すなわち接着剤を軟化させた状態で編み込み作業を行った後、空冷又は水冷する方法が挙げられる。
金属編組体13を接着層12上に配置した後に接着層12に埋没させる方法としては、具体的には、接着剤12の外径よりも小さな内径となるように金属編組体13を編み込んだ後に加熱ヒータ等を用いて、芯金全体を接着剤の融点以上に加熱して接着層12を軟化させ、金属線13aを軟化した接着層12に埋め込ませて冷却する方法が挙げられる。
金属線13aを接着層12に埋設する方法は、上述した、編組ピッチが2〜4mmの場合は、接着層12を軟化させた状態で金属線13aを編み込む方法が好ましい。編組ピッチが2〜4mmの場合は、金属編組体13を接着層12上に配置した後に接着層12に埋没させる方法を実施すると、加熱ヒータによる熱のほとんどが金属線13aに奪われて接着層12に伝わらないため、金属線13aを埋め込むには大量のエネルギーを消費しやすくなる。
なお、接着層12を加熱する方法は、特に限定されず、例えば、ホットエアーガン、電熱炉、熱風循環炉、高周波誘導加熱炉等を用いて、実施できる。
このようにして、金属編組体13を構成する金属線13aの接着層12側の少なくとも一部を接着層12内に埋没させて、金属編組体13を接着層12に埋設できる。
次いで、接着層12に埋設した金属編組体13上に外層14を形成する。
具体的には、外層14を熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーで形成する場合には、押し出し被覆装置を用いて外層14を形成することができる。このときの押し出し成形方法は特に限定されないが、口金から溶融した熱可塑性樹脂を指定金型(ダイス)で加圧して皮膜を金属編組体13上に形成する方法が用いられる。
一方、外層14を熱硬化性樹脂で形成する場合には、一般に熱可塑性樹脂のように溶融成形が困難であることから、金属線13aを編み組みした上に熱硬化性樹脂、好適にはポリイミド樹脂塗料を塗布し、焼付ける方法、熱硬化性樹脂、好適にはポリイミド樹脂を水に分散させた塗料と対向電極の間に電圧を印加して電気分解作用によって樹脂層を形成する電着塗装法等によって、外層14を形成できる。熱硬化性樹脂で外層14を形成する場合に、熱硬化性樹脂を金属編組体13上に塗布し、焼付する方法においては、ダイス等の金型で塗料を絞り、一定の被覆厚で形成させることが重要であるが、金属線13aを編み込みした表面が不均一であるため均一な被覆層を形成しにくいことがある。したがって、上述の方法のなかでも、熱硬化性樹脂、好適にはポリイミド樹脂でより均一な外層14を形成する場合は、電着塗装法が好ましい。
このようにして外層14を形成するとき、金属編組体13は接着層12に埋設されて固定されているから、外層14を形成する樹脂又はその塗料を金属編組体13上に押出又は塗布して配置する際、特に熱可塑性樹脂を押出成形する際にも、金属編組体13の金属編組体13が変位しにくく、外層14を形成する作業性に優れる。したがって、所定のピッチで編み組された金属編組体13を備えた高い作業性を有するチューブ構造体10が得られる。
本発明のチューブ構造体は、上述の構成を有しているから、金属編組体、すなわち金属線が接着層に強固に固定され、しかも内層及び外層も強固に密着し、内層、金属編組体及び外層が一体的に密着形成されている。したがって、本発明のチューブ構造体は、曲げ加工時及びチューブ切断時はもちろん、コネクタ及びバルーン等のカテーテル構成部材との接着時にも、金属編組体がずれにくく、またほつれにくく、しかも金属編組体のずれ及びほつれによる損傷も少なく、取扱性及び組み付け性が優れる。
また、本発明のチューブ構造体は、その製造中にも金属編組体、すなわち金属線が変位しにくいから、所定のピッチで編み組された金属編組体を所定の位置に備え、バランスよく両立した剛直性と柔軟性とを発揮してキンクしにくい。
本発明のカテーテル及びチューブ構造体は、上述の一例に限定されることはなく、この発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、チューブ構造体は、内層、接着層及び外層がいずれも単層に形成されているが、本発明において、内層、接着層及び外層は各々独立に複層に形成されていてもよい。
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、図2に示される金属編組体13を用いて図3に示されるチューブ構造体10(ただし、金属線13aは丸線)を製造した。
ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.0mmの芯金上にポリイミド樹脂塗料(商品名:Pyre−ML(型番RC−5057)、株式会社I.S.T製)を塗布し、450℃で焼付し、これを10回繰り返して、芯金の上に0.040mmの厚みの内層11を形成した。
上述のポリイミド樹脂塗料は、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを重合してなるポリイミドを含有している。
次に、ホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドM−1276、アルケマ株式会社製、共重合ポリアミド系樹脂、融点105℃、MVFR8cm/10分)をクレゾールに濃度で15質量%となるように溶解させた接着塗料を作製した。
これを内層11上に塗布し、300℃で焼付し、これを5回繰り返して、内層11上に0.015mmの接着層12を形成した。
次いで、高周波誘導加熱炉で炉温200℃にて予備加熱して接着層12を軟化させた。接着層12が固化する前に、接着層12上から、編組機を用いて、ステンレス鋼(SUS304)で断面円形に形成された直径0.03mm(形成した接着層12の厚さは金属線13aの直径の1/2倍)の金属線(丸線、引っ張り強度2400MPa)13aをピッチ2mmで、張力を80gに設定して接着層12に埋め込みつつ(金属線13aの直径の1/2だけ、接着層12中に埋没した)16本編み組みして金属編組体13を形成した。
次いで、この金属編組体13上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.330mmの金型を用い、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233、アルケマ株式会社製、固形分100%でのショアD硬度72)を押し出して、被覆厚0.03mmの外層14を形成した。
このようにして、内径1.0mm、外径1.290mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて22%伸長させて芯金を抜き、実施例1のチューブ構造体10を製造した。
(実施例2)
実施例2では、図2に示される金属編組体13を用いて図4に示されるチューブ構造体10を製造した。
ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.0mmの芯金上にポリイミド樹脂塗料(商品名:Pyre−ML(型番RC−5057)、株式会社I.S.T製)を塗布し、450℃で焼付し、これを10回繰り返して、芯金の上に0.040mmの厚みの内層11を形成した。
次に、ホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドM−1276、アルケマ株式会社製、共重合ポリアミド系樹脂、融点105℃、MVFR8cm/10分)をクレゾールに濃度で15質量%となるように溶解した接着塗料を作製した。
これを内層11上に塗布し、300℃で焼付し、これを5回繰り返して、内層11上に0.010mmの接着層12を形成した。
次いで、高周波誘導加熱炉で炉温200℃にて予備加熱して接着層12を軟化させた。接着層12が固化する前に、接着層12上から、編組機を用いて、ステンレス鋼(SUS304)で断面平角(厚さ方向の長さが0.010mm(形成した接着層12の厚さは金属線13aの厚さ方向の長さと同じ(厚さ方向の長さの1倍))、幅方向長さが0.075mm)の金属線13a(平線、引っ張り強度2400MPa)13aをピッチ2mmで、張力を80gに設定して接着層12に埋め込みつつ(金属線13aの全体が接着層12中に埋没した)16本編み組みして金属編組体13を形成した。
次いで、この金属編組体13上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.240mmの金型を用い、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233、アルケマ株式会社製、固形分100%でのショアD硬度72)を押し出して、被覆厚0.03mmの外層14を形成した。
このようにして、内径1.0mm、外径1.200mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて22%伸長させて芯金を抜き、実施例2のチューブ構造体10を製造した。
(実施例3)
ホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドM−1276)に代えてホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドM−1425F、アルケマ株式会社製、共重合ポリアミド系樹脂、融点155℃)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、内径1.0mm、外径1.200mmのチューブ構造体を製造した。
(実施例4)
ホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドM−1276)に代えてホットメルト型接着剤(商品名:グリロンCR8、エムス・ジャパン株式会社製、共重合ポリアミド系(ナイロン6/12)樹脂、融点180℃、MVFR 測定不能)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、内径1.0mm、外径1.200mmのチューブ構造体を製造した。
(実施例5)
ホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドM−1276)に代えてホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドH038、アルケマ株式会社製、ポリアミド系樹脂、融点118℃、MVFR35cm/10分)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、内径1.0mm、外径1.200mmのチューブ構造体を製造した。
(実施例6)
ホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドM−1276)に代えてホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドH106、アルケマ株式会社製、ポリアミド系樹脂、融点117℃、MVFR90cm/10分)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、内径1.0mm、外径1.200mmのチューブ構造体を製造した。
(実施例7)
ホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドM−1276)に代えてホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドM−1757、アルケマ株式会社製、ポリアミド系樹脂、融点113℃、MVFR19cm/10分)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、内径1.0mm、外径1.200mmのチューブ構造体を製造した。
(実施例8)
実施例2と同様にして接着層12に埋め込みつつ形成した金属編組体13上に、内層11を形成した上述のポリイミド樹脂塗料(商品名:Pyre−ML(型番RC−5057))を7回塗布焼き付けして被覆厚0.030mmの外層14を形成した。このようにして、内径1.0mm、外径1.200mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて22%伸長させて芯金を抜き、実施例8のチューブ構造体10を製造した。
(実施例9)
実施例2と同様にして接着層12に埋め込みつつ形成した金属編組体13上に、電界脱脂処理を行いて金属線13a表面を清浄にした後、電着塗装用ポリイミド樹脂塗料(商品名:エレコート、シミズ株式会社製)を電着塗装し、被覆厚0.03mmの外層14を形成した。このようにして、内径1.0mm、外径1.200mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて22%伸長させて芯金を抜き、実施例9のチューブ構造体10を製造した。
(実施例10)
熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233)に代えて、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス6333、アルケマ株式会社製、固形分100%でのショアD硬度61)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、内径1.0mm、外径1.200mmのチューブ構造体を製造した。
(実施例11)
熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233)に代えて、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス5533、アルケマ株式会社製、固形分100%でのショアD硬度52)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、内径1.0mm、外径1.200mmのチューブ構造体を製造した。
(実施例12)
熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233)に代えて、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス4033、アルケマ株式会社製、固形分100%でのショアD硬度39)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、内径1.0mm、外径1.200mmのチューブ構造体を製造した。
(実施例13)
熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233)に代えて、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス3533、アルケマ株式会社製、固形分100%でのショアD硬度29)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、内径1.0mm、外径1.200mmのチューブ構造体を製造した。
(実施例14)
実施例2と同様にして、ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径0.6mmの芯金上に0.040mmの厚みのポリイミド樹脂製の内層11を形成し、次いで0.010mmの接着層12をホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドM−1276)で形成し、さらに金属編組体13を形成した。次いで、この金属編組体13上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径0.840mmの金型を用い、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233)を押し出して、被覆厚0.03mmの外層14を形成した。このようにして、内径0.6mm、外径0.800mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて22%伸長させて芯金を抜き、実施例14のチューブ構造体10を製造した。
(実施例15)
実施例2と同様にして、ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.8mmの芯金上に0.040mmの厚みのポリイミド樹脂製の内層11を形成し、次いで0.010mmの接着層12をホットメルト型接着剤(商品名:プラタミドM−1276)で形成し、さらに金属編組体13を形成した。次いで、この金属編組体14上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径2.040mmの金型を用い、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233)を押し出して、被覆厚0.03mmの外層14を形成した。このようにして、内径1.8mm、外径2.000mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて22%伸長させて芯金を抜き、実施例15のチューブ構造体10を製造した。
(実施例16)
ステンレス鋼(SUS304)で形成された断面平角(厚さ方向の長さが0.010mm(形成した接着層12の厚さは金属線13aの厚さ方向の長さと同じ(厚さ方向の長さの1倍))、幅方向長さが0.075mm)の金属線(平線、引っ張り強度2400MPa)13aをピッチ8mmで、張力を80gに設定して接着層12に埋め込みつつ(金属線13aの全体が接着層12中に埋没した)16本編み組みして金属編組体13を形成した以外は実施例2と同様にして内径1.0mm、外径1.200mmのチューブ構造体を製造した。
(比較例1)
ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.0mmの芯金上にポリイミド樹脂塗料(商品名:Pyre−ML(型番RC−5057)、株式会社I.S.T製)を塗布し、450℃で焼付し、これを12回繰り返して、芯金の上に0.055mmの厚みの内層11を形成した。
次に編組機を用いて、ステンレス鋼(SUS304)で断面円形に形成された直径0.03mmの金属線(丸線、引っ張り強度2400MPa)13aをピッチ2mmで、張力を80gに設定して内層11上に16本編み組みし、金属編組体13を形成した。
次いで、この金属編組体13上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.330mmの金型を用い、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233、アルケマ株式会社製、固形分100%でのショアD硬度72)を押し出して、被覆厚0.03mmの外層14を形成した。
このようにして、内径1.0mm、外径1.290mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて22%伸長させて芯金を抜き、比較例1のチューブ構造体を製造した。
(比較例2)
ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.0mmの芯金上にポリイミド樹脂塗料(商品名:Pyre−ML(型番RC−5057)、株式会社I.S.T製)を塗布し、450℃で焼付し、これを11回繰り返して、芯金の上に0.050mmの厚みの内層11を形成した。
次に編組機を用いて、ステンレス鋼(SUS304)で断面平角(厚さ方向の長さが0.010mm、幅方向長さが0.075mm)の金属線13a(平線、引っ張り強度2300MPa)13aをピッチ2mmで、張力を80gに設定して内層11の上に16本編み組みして金属編組体13を形成した。
次いで、この金属編組体13上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径1.240mmの金型を用い、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233、アルケマ株式会社製、固形分100%でのショアD硬度72)を押し出して、被覆厚0.03mmの外層14を形成した。
このようにして、内径1.0mm、外径1.200mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて22%伸長させて芯金を抜き、比較例2のチューブ構造体を製造した。
(比較例3)
実施例2と同様にして、ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径0.6mmの芯金上に0.050mmの厚みのポリイミド樹脂製の内層11を形成し、次いで、金属編組体13を形成した。次いで、この金属編組体13上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径0.840mmの金型を用い、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233)を押し出して、被覆厚0.03mmの外層14を形成した。このようにして、内径0.6mm、外径0.800mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて22%伸長させて芯金を抜き、比較例3のチューブ構造体を製造した。
(比較例4)
実施例2と同様にして、ステンレス鋼(SUS304)で形成された外径1.8mmの芯金上に0.050mmの厚みのポリイミド樹脂製の内層11を形成し、次いで、金属編組体13を形成した。次いで、この金属編組体14上に、加圧型押し出し機により、ダイス穴径2.040mmの金型を用い、熱可塑性ポリアミドエラストマー(商品名:ペバックス7233)を押し出して、被覆厚0.03mmの外層14を形成した。このようにして、内径1.8mm、外径2.000mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて22%伸長させて芯金を抜き、比較例4のチューブ構造体を製造した。
(比較例5)
ステンレス鋼(SUS304)で形成された断面平角(厚さ方向の長さが0.010mm、幅方向長さが0.075mm)の金属線(平線、引っ張り強度2300MPa)13aをピッチ8mmで、張力を80gに設定して内層11の上に16本編み組みして金属編組体13を形成したこと以外は比較例2と同様にして内径1.0mm、外径1.200mmの芯金入り被覆層成形体を得、これを伸長機にかけて22%伸長させて芯金を抜き、比較例5のチューブ構造体を製造した。
製造した実施例1〜16及び比較例1〜5のチューブ構造体における内径、外径及びピッチ、並びに、上述の測定方法で測定した、融点、MVFR、引っ張り強度及びショアD硬度を表1に示す。
(金属編組体のずれ及びほつれ)
製造した実施例1〜16及び比較例1〜5のチューブ構造体における金属編組体のずれ及びほつれを、曲げ加工時のずれ及びチューブ切断時のほつれについて、以下のようにして、評価した。その結果を表1に示す。
(1)曲げ加工時の金属編組体のずれ(表1において「曲げ加工時のずれ」と表記する)
製造した実施例1〜16及び比較例1〜5のチューブ構造体を規定の径のマンドレルに1回巻きつけて両端に引っ張り力を加えた。
評価は、チューブ構造体の巻き付け部を拡大鏡(8倍)で観察し、金属線13aがずれて金属線13a同士が接触しているか否か、また接触の程度を以下の基準で判定した。
○:巻き付け部で金属線13a同士の接触が全く確認されなかった
△:巻き付け部で金属線13a同士の接触が1か所または2か所確認されたものの、医療用のカテーテルのチューブとして実用上、許容可能であるもの
×:巻き付け部で金属線13a同士の接触が2か所を超えて確認された
(2)チューブ切断時の金属線のほつれ(表1において「切断時のほつれ」と表記する)
製造した実施例1〜16及び比較例1〜5のチューブ構造体を斜め方向に切断した。
評価は、チューブ構造体の切断面を拡大鏡(8倍)で観察し、金属線13aのほつれ具合及びほつれによる切断部の状態を以下の基準で判定した。
○:切断部で金属線13aがほつれることなく、良好であったもの
△:切断部で金属線13aがほつれているが切断部に浮き上がりは無く、医療用のカテーテルのチューブとして実用上、許容可能であるもの
×:切断部で金属線13aがほつれて切断部に浮き上がりが見られたもの
(剛直性と柔軟性)
製造した実施例1〜16及び比較例1〜5のチューブ構造体の剛直性と柔軟性を次のようにして評価し、その結果を表1に示す
すなわち、剛直性は、供試チューブ構造体(長さ:500mm)の一端をチャックで固定し、他端をチャックで固定するとともに、その先にトルクゲージを取りつけ、チューブ構造体の軸線を中心に一端を周方向に回転させたときに前記のトルクゲージに伝わるトルクをゲージで読み取って、評価した。
剛直性は、チューブ構造体の内径に応じて下記トルク値(cN/m)を有していると優れるとする。
(1)チューブ構造体の内径が0.4mm以上0.8mm以下のとき、トルクが0.07cN/m以上
(2−1)チューブ構造体の内径が0.8mmを超え1.5mm以下で金属線13aとして丸線を使用したときは0.23cN/m以上
(2−2)チューブ構造体の内径が0.8mmを超え1.5mm以下で金属線13aとして平線を使用したときは0.25cN/m以上
(3)チューブ構造体の内径が1.5mmを超え2.0mm以下のとき、トルクが0.30cN/m以上
柔軟性は、直径の異なるマンドレルを準備し、供試チューブ構造体を1ターン巻き付けて、チューブ構造体が折れてキンクした最小のマンドレル半径を測定して、評価した。
柔軟性は、チューブ構造体の内径に応じて下記のマンドレル半径であると優れるとする。
(1)チューブ構造体の内径が0.4mm以上0.6mm以下のとき、マンドレルの半径が7mm未満
(2)チューブ構造体の内径が0.6mmを超え1.0mm以下のとき、マンドレルの半径が10mm未満
(3)チューブ構造体の内径が1.0mmを超え2.0mm以下のとき、マンドレルの半径が17mm未満
(厚さの均一性)
製造した実施例1〜16及び比較例1〜5のチューブ構造体の厚さの均一性を次のようにして評価した。すなわち、チューブ構造体(長さ:20mm)を樹脂に埋めて研磨し、断面を出しマイクロスコープ(400倍)にて観察し、チューブ構造体の肉厚を測定した。最も厚い部分と最も薄い部分の厚みの比率(最も厚い部分/最も薄い部分)を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 0006168886
表1に示されるように、内層11と外層14との間に接着層12を設け、この接着層12に金属編組体13の一部を埋没させた実施例1〜16のチューブ構造体10は、いずれも、曲げ加工時の金属編組体13のずれも、チューブ切断時の金属編組体13のほつれも確認できなかった。しかも、実施例16のチューブ構造体10はピッチが8mmと大きくても、また実施例1〜16のチューブ構造体10は外層14を形成する際にも、金属編組体13が変位することもほつれることもなく、金属線13aがほぼ均一に編み組みされた状態で埋設されていた。したがって、取扱性及び組み付け性に優れることが分かった。
これに対して、比較例1〜4のチューブ構造体には、曲げ加工時の金属編組体13のずれ及びチューブ切断時の金属編組体13のほつれが確認されたが、医療用のカテーテルのチューブとして実用上許容可能の程度であった。また、剛直性、柔軟性及び厚さの均一性が実施例のチューブ構造体に比べて劣っていた。比較例5は、曲げ加工時に金属編組体がずれ、またチューブ切断時に金属編組体がほつれ、外層を形成する際にも金属編組体がほつれて、金属線が偏倚した状態に埋設されていた。このように、比較例5のチューブ構造体は、取扱性及び組み付け性に劣ることが分かった。また、比較例5のチューブ構造体は、剛直性、柔軟性及び厚さの均一性が実施例のチューブ構造体に比べて劣っていた。
(操作性)
実施例1〜16のチューブ構造体10は、いずれも、熱硬化性のポリイミド樹脂からなる内層11と金属編組体13と樹脂製の外層14とを備え、しかも、上述のように、金属編組体13はずれ及びほつれもなくほぼ均一に編み組みされた状態で接着層12に埋設されていた。さらに加えて、チューブ構造体10は、いずれも、剛直性、柔軟性及び厚さの均一性にも優れていた。したがって、これらのチューブ構造体10を用いて製造した医療用のカテーテルは、キンクしにくく、操作性に優れることが理解できる。
1 医療用のカテーテル
2 先端側のチューブ構造体
3 バルーン
4 基端側のチューブ構造体
5 樹脂製コネクタ
6 吸引シリンジ又は圧縮シリンジ
10 チューブ構造体
11 内層
12 接着層
13 金属編組体
13a 金属線
14 外層

Claims (20)

  1. 熱硬化性のポリイミド樹脂からなる管状の内層と、該内層の外周に形成された接着層と、前記接着層の外周上に金属線を編み組んで管状に形成され、かつ前記接着層側一部が、前記内層の軸線方向にわたって前記接着層に埋没した金属編組体と、該金属編組体を被覆する外層とを備えてなるチューブ構造体。
  2. 前記ポリイミド樹脂が、ピロメリット酸二無水物と芳香族ジアミンとを重合してなる請求項1に記載のチューブ構造体。
  3. 前記接着層が、ホットメルト型接着剤からなる請求項1又は2に記載のチューブ構造体。
  4. 前記接着層の厚さが、前記金属線の厚さ方向の寸法の1/2倍以上2倍以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
  5. 前記ホットメルト型接着剤が、100℃以上200℃以下の融点を有する請求項3又は4に記載のチューブ構造体。
  6. 前記ホットメルト型接着剤は、160℃で荷重2.16kgを掛けたときのメルトボリュームフローレート(Melt Volume Flow Rate、ISO1133)が5cm/10分以上100cm/10分以下である請求項3〜5のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
  7. 前記金属線が、ステンレス鋼、白金、銀、チタン合金及びニッケル−チタン合金から選ばれる少なくとも1種の金属で形成されてなる請求項1〜6のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
  8. 前記金属線が、2300MPa以上3000MPa以下の引っ張り強度を有している請求項1〜7のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
  9. 前記金属線は、軸線に垂直な断面形状が平角形状である請求項1〜8のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
  10. 前記接着層の厚さが、前記金属線の厚さ方向の寸法の1倍以上3/2倍以下である請求項9に記載のチューブ構造体。
  11. 前記外層が、ポリイミド樹脂からなる請求項1〜10のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
  12. 前記外層が、電着塗装によって形成されてなる請求項11に記載のチューブ構造体。
  13. 前記外層が、熱可塑性エラストマーからなる請求項1〜10のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
  14. 前記外層が、押出成形によって形成されてなる請求項13に記載のチューブ構造体。
  15. 前記外層を形成する樹脂が、30以上72以下のショアD硬度を有している請求項1〜14のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
  16. 外径が0.6mm以上2.3mm以下で、内径が0.4mm以上2.0mm以下である請求項1〜15のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
  17. 前記金属編組体を形成する前記接着層側の前記金属線が、前記金属線の厚さ方向の寸法の1/2倍以上1倍以下の割合で、前記接着層に埋没している請求項1〜16のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
  18. カテーテル用である請求項1〜17のいずれか1項に記載のチューブ構造体。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載のチューブ構造体を用いたカテーテル。
  20. 前記チューブ構造体の一端側に設けられたバルーンと、前記チューブ構造体の他端にコネクタを介して接続された吸引シリンジ又は圧縮シリンジとを有する請求項19に記載のカテーテル。
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