JP6820735B2 - タービン及びガスタービン - Google Patents
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Description
タービンの下流側にはディフューザが設けられている(例えば、特許文献1参照)。このディフューザとしては、内筒と外筒とストラットとを有しているものがある。内筒は、ディフューザの内周側に配置されており、外筒は、この内筒を外周側から覆うことで内筒との間に排気流路を形成している。ストラットは、周方向に間隔をあけて複数設けられ、それぞれ内筒の外周面からタービンの径方向に延びている。これらストラットを介して、内筒及び外筒が接続されている。
ディフューザの排気流路は、燃焼ガスの流れる方向の上流から下流に向かうにしたがって次第に流路面積が増加するように形成されている。タービンを駆動した燃焼ガス(排気ガス)は、このように形成された排気流路を通過することで静圧回復される。ディフューザの性能が向上すると、実質的なガスタービンの圧力比を増加させるので、ディフューザの性能向上は、ガスタービン全体の効率向上にも寄与する。
この発明の第一態様によれば、タービンは、軸線に沿って延びるとともに、前記軸線の周方向一方側に向かって回転可能なタービンロータと、前記タービンロータを外周側から覆うタービンケーシングと、前記タービンロータの外周面上で前記軸線の周方向に配列され、少なくとも軸線方向の他方側の部分が周方向一方側から他方側に向かって湾曲している複数のタービン動翼と、前記タービンケーシングの内周面上で前記タービン動翼に対して前記軸線方向に隣り合うように設けられるとともに、周方向に配列された複数のタービン静翼と、前記タービン動翼の軸線方向他方側に設けられ、軸線方向の一方側から他方側に向かって排気ガスが流れる排気流路を形成するディフューザと、を備え、前記ディフューザは、前記軸線に沿って延びる内筒と、前記内筒を外周側から覆うとともに、前記内筒との間に前記排気流路を形成する外筒と、前記排気流路内で周方向に間隔をあけて設けられ、前記内筒と前記外筒とを接続するとともに、径方向内側から外側に向かうにしたがって前記タービンロータの回転方向前方に配置される複数のストラットと、周方向で隣り合う前記ストラットの間に配置されて、前記内筒の外周面から突出して、軸線方向の一方側の前端部から軸線方向の他方側の後端部に至る範囲で軸線方向に延びて前記タービンロータの軸線に沿って形成されている突条と、を備え、前記突状は、前記軸線の周方向の幅寸法が径方向外側に向かって漸次減少して、軸線方向に延びて前記前端部から前記後端部に至る稜線を有し、前記突条の軸線方向一方側の前端部は、前記ストラットの軸線方向一方側の前縁と前記ストラットの軸線方向他方側の後縁との間に配置され、前記突条の軸線方向他方側の後端部は、前記後縁よりも軸線方向他方側に配置されている。
一般に、流体の流れの中に構造体が存在する場合、いわゆる馬蹄渦が生成される。この馬蹄渦は、構造体の両側に生じた渦が渦管となり構造体に巻き付くように延びたものである。
このように構成することで、軸線方向に流れる排気ガスの主流に対する形状抵抗を低減することができる。
このように構成することで、凸部の両側に上述した馬蹄渦と同様に渦を形成することができる。この凸部によって形成した渦は、旋回流によりストラットの負圧面に形成される剥離渦に干渉する。そのため、剥離渦の発達を抑制することができる。つまり、剥離渦によって、内筒の境界層が巻き上げられることを低減できる。
このように構成することで、特に旋回流によって剥離渦が形成され易い径方向の中央よりも内筒に近い位置に、凸部によって剥離渦に干渉する渦を形成させることができる。そのため、効率よく剥離渦の発生を抑制できる。
このように構成することで、タービンのディフューザにおける圧力回復を効率よく行うことができるため、性能向上を図ることができる。
次に、この発明の第一実施形態のタービン及びガスタービンを図面に基づき説明する。
図1は、この発明の第一実施形態におけるガスタービンの概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、この第一実施形態に係るガスタービン100Aは、圧縮機1と、燃焼器3と、タービン2と、を備えている。
タービンロータ21は、軸線Amに沿って延びている。このタービンロータ21の外周面には、軸線Am方向に間隔をあけて配列された複数のタービン動翼段23が設けられている。これらタービン動翼段23は、複数のタービン動翼24をそれぞれ備えている。各タービン動翼段23のタービン動翼24は、タービンロータ21の外周面上で軸線Amの周方向に間隔をあけて配列されている。
ガスタービンロータ91は、ガスタービンケーシング92の内部で軸線Am回りに一体に回転可能とされている。
図1、図2に示すように、ディフューザ4Aは、タービンケーシング22(ガスタービンケーシング92)に一体に設けられている。このディフューザ4Aは、内筒41と、外筒42と、第一ストラット43Aと、第二ストラット44と、を備えている。
第一ストラット43Aは、複数のタービン動翼段23のうちで軸線Am方向の最も他方側に位置する最終段のタービン動翼段23に対して、軸線Am方向で隣り合うように配置されている。
図3に示すように、第一ストラット43Aは、排気流路C内で軸線Amを中心とした周方向に間隔をあけて複数設けられている。この第一実施形態では、内筒41を中心として外周側に向かって放射状に延びる6つの第一ストラット43Aが設けられている場合を例示している。これら第一ストラット43Aは、軸線Amを中心とした周方向に等間隔で配置されている。
なお、この第一実施形態における第一ストラット43A及び第二ストラット44は、排気ガスに対する形状抵抗を低減可能な形状となっている。排気ガスに対する形状抵抗を低減可能な形状としては、例えば、排気ガスの流れる方向に長い断面長円形状や、排気ガスの流れる方向に翼弦が延びる翼型を例示できる。
図4に示すように、ディフューザ4Aは、軸線Amを中心とした周方向で隣り合う第一ストラット43Aの間に、突条50を備えている。突条50は、周方向に並んで配置された複数の第一ストラット43Aの間にそれぞれ一つずつ設けられている。突条50は、内筒41の外周面41Aから突出するとともに軸線Am方向に延びている。この第一実施形態における突条50は、外周面41Aから軸線Amを中心とした径方向の外側に向けて突出している。
この図5において、横軸は、旋回流の旋回角度、縦軸は、排気流路C入口の径方向位置を示している。横軸のプラス(+)側は、旋回流が周方向他方側から一方側に向かって流れている状態を示し、横軸のマイナス(−)側は、旋回流が周方向一方側から他方側に向かって流れている状態を示している。さらに、縦軸は、内筒41の外周面41Aの位置を原点として、軸線Amを中心にした径方向外側における排気流路C内の位置を表している。タービン動翼24が上述したように湾曲している場合、タービン2から排出される排気ガスは、軸線Amの周方向に旋回する旋回流成分を含んでいる。
そのため、回転方向前方の第一ストラット43Aの正圧面S1側(回転方向後方)に形成された馬蹄渦V1により、軸線Am方向における第一ストラット43Aの中央から第一ストラット43Aの後縁43bに渡って、内筒41の外周面41Aに形成される境界層が不安定になることを抑制できる。
このように縦渦V3と馬蹄渦V1との回転方向が互いに同方向となることで、上記の縦渦V3と馬蹄渦V1とには互いに周方向で離間する方向に力が作用する。つまり、縦渦V3と馬蹄渦V1との配置が維持され易くなる。そのため、第一ストラット43Aの下流においても縦渦V3と馬蹄渦V1とが維持され易くなり、境界層の発達を抑制できる。
その結果、タービン2及びガスタービン100Aの性能向上を図ることが可能となる。
次に、この発明の第二実施形態を図面に基づき説明する。この第二実施形態のガスタービンは、上述した第一実施形態のガスタービンと、ディフューザの構成のみが異なる。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
図7、図8に示すように、この第二実施形態におけるガスタービン100Bのディフューザ4Bは、上述した第一実施形態のディフューザ4Aと同様に、タービンケーシング22(ガスタービンケーシング92)に一体に設けられている。
なお、この第二実施形態のガスタービン100Bは、第一実施形態のガスタービン100Aと同様に圧縮機1と、燃焼器3と、タービン2と、をそれぞれ備えている。
第一ストラット43Bは、上述した第一ストラット43Aと同様に、排気流路Cの中に配置され、内筒41と外筒42とを接続している。外筒42は、第一ストラット43B及び第二ストラット44によって内筒41に対して固定・支持されている。第一ストラット43Bは、複数のタービン動翼段23のうちで軸線Am方向の最も他方側に位置する最終段のタービン動翼段23に対して、軸線Am方向で隣り合うように配置されている。
上述した凸部53は、一つの第一ストラット43Bに対して一つだけ設けた場合について説明した。しかし、凸部53は、一つの第一ストラット43Bに対して複数設けたりしても良い。
さらに、凸部53は、軸線Amを中心とした径方向で、内筒41の外周面41Aから外筒42の内周面42Aまでの距離を100%とした場合、50%の位置よりも内筒41の外周面41Aに近い側に配置しても良い。さらに、凸部53は、上記軸線Amを中心とした径方向で、30%の位置よりも内筒41の外周面41Aに近い側に配置しても良い。このようにすることで、特に排気ガスのマイナスの旋回角度が大きくなる位置に配置できるため、効率よく剥離渦V2の発達を阻害できる。
なお、凸部53の形状は、負圧面S2から突出していればよく、図7、図8に示す形状に限られない。
例えば、上述した各実施形態では、一つのディフューザ4A又は一つのディフューザ4Bに設けられる複数の突条50が全て同一の構成である場合について説明した。しかし、これら複数の突条50は、それぞれ異なる構成(形状、配置等)であっても良い。例えば、突条50の前端部51及び後端部52の位置、高さ、幅は、それぞれ上記複数の突条50毎に異なっていても良い。
2 タービン
3 燃焼器
4A,4B ディフューザ
11 圧縮機ロータ
12 圧縮機ケーシング
13 圧縮機動翼段
14 圧縮機動翼
15 圧縮機静翼段
16 圧縮機静翼
21 タービンロータ
22 タービンケーシング
23 タービン動翼段
24 タービン動翼
25 タービン静翼段
26 タービン静翼
41 内筒
41A 外周面
42 外筒
42A 内周面
43 第一ストラット(ストラット)
43a 前縁
43b 後縁
44 第二ストラット
50 突条
51 前端部
52 後端部
53 凸部
91 ガスタービンロータ
91A 軸端部
92 ガスタービンケーシング
100A,100B ガスタービン
Am 軸線
C 排気流路
G 発電機
S1 正圧面
S2 負圧面
V1 馬蹄渦
V2 剥離渦
V3 縦渦
V4 縦渦
Claims (5)
- 軸線に沿って延びるとともに、前記軸線の周方向一方側に向かって回転可能なタービンロータと、
前記タービンロータを外周側から覆うタービンケーシングと、
前記タービンロータの外周面上で前記軸線の周方向に配列され、少なくとも軸線方向の他方側の部分が周方向一方側から他方側に向かって湾曲している複数のタービン動翼と、 前記タービンケーシングの内周面上で前記タービン動翼に対して前記軸線方向に隣り合うように設けられるとともに、周方向に配列された複数のタービン静翼と、
前記タービン動翼の軸線方向他方側に設けられ、軸線方向の一方側から他方側に向かって排気ガスが流れる排気流路を形成するディフューザと、
を備え、
前記ディフューザは、
前記軸線に沿って延びる内筒と、
前記内筒を外周側から覆うとともに、前記内筒との間に前記排気流路を形成する外筒と、
前記排気流路内で周方向に間隔をあけて設けられ、前記内筒と前記外筒とを接続するとともに、径方向内側から外側に向かうにしたがって前記タービンロータの回転方向前方に配置される複数のストラットと、
周方向で隣り合う前記ストラットの間に配置されて、前記内筒の外周面から突出して、軸線方向の一方側の前端部から軸線方向の他方側の後端部に至る範囲で軸線方向に延びて、前記タービンロータの軸線に沿って形成されている突条と、を備え、
前記突条は、前記軸線の周方向の幅寸法が径方向外側に向かって漸次減少して、軸線方向に延びて前記前端部から前記後端部に至る稜線を有し、
前記突条の軸線方向一方側の前端部は、前記ストラットの軸線方向一方側の前縁と前記ストラットの軸線方向他方側の後縁との間に配置され、
前記突条の軸線方向他方側の後端部は、前記後縁よりも軸線方向他方側に配置されているタービン。 - 前記突条は、軸線を中心とした径方向外側から見て軸線方向一方側に向かって先細りに形成されるとともに、軸線方向他方側に向かって先細りに形成されている請求項1に記載のタービン。
- 前記ストラットの負圧面から突出する凸部を備える請求項1に記載のタービン。
- 前記凸部は、軸線を中心とした径方向の中央よりも前記内筒に近い側に配置されている請求項3に記載のタービン。
- 空気を圧縮した圧縮空気を生成する圧縮機と、
前記圧縮空気に燃料を混合させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、
前記燃焼ガスにより駆動される請求項1から4の何れか一項に記載のタービンと、
を備えるガスタービン。
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