JP2013224627A - 軸流ファン - Google Patents

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Takashi Moriyama
貴司 森山
Kiyonori Koga
清訓 古賀
Masao Akiyoshi
雅夫 秋吉
Seiji Nakajima
誠治 中島
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Abstract

【課題】ディフューザの広がり角を大きくしていった場合でも、ディフューザでの空気流れの剥離を抑制してエネルギー損失を抑制することができ、ディフューザでの静圧回復量も大きくできる軸流ファンを得る。
【解決手段】軸流ファン1は、回転軸3と、回転軸3の外周面を所定の間隙を介して覆うシュラウド6と、シュラウド6内に設けられ、回転軸3と共に回転する複数の動翼2、及び、動翼2の下流側に並設された複数の静翼5を有する圧縮ステージ20と、圧縮ステージ20の下流側に設けられたディフューザ30と、を備えている。そして、複数の静翼5のうちの少なくとも1つは、半径方向内側端部12から半径方向外側端部11にかけて食い違い角が徐々に大きくなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、筒状ケース内に流入した空気を圧縮する圧縮ステージ、及び該圧縮ステージで圧縮された空気を減速させるディフューザを有する軸流ファンに関する。
回転電機やジェットエンジン等の圧縮機構として、従来より軸流ファンが用いられている。このような軸流ファンは、回転軸の外周面を所定の間隙を介して覆い、内周部に回転軸の軸方向に沿った環状流路が形成される筒状ケースと、該筒状ケース内に単段で配置された、あるいは回転軸の軸方向に沿って複数段並設された圧縮ステージと、を備えている。また、上記圧縮ステージは、環状流路内において回転軸の周方向に等間隔に並設され、回転軸と共に回転する複数の動翼と、これら動翼の下流側となる環状流路内にいて回転軸の周方向に等間隔に並設された複数の静翼と、を備えている。このような軸流ファンは、回転軸と共に動翼を回転させることにより、筒状ケース内の環状流路に流入した空気を圧縮し、静翼及び筒状ケースによって圧縮空気を静止させて、圧縮空気の静圧を回復させる。
また、このような軸流ファンは、最も下流側に配置された圧縮ステージの下流側に、当該圧縮ステージから流出した空気を減速させるディフューザを備えている。このディフューザは、上流側から下流側にかけてその外壁が半径方向(回転軸と垂直な方向)に広がった形状をしている。つまり、このディフューザは、上流側から下流側にかけて半径方向の断面積が拡大する環状流路が形成されている。このディフューザによって圧縮ステージで圧縮された空気が減速され、当該空気は下流の流路や燃焼室に送り出される。
このような単段又は複数段の圧縮ステージとディフューザとを備えた従来の軸流ファンは、ディフューザの下流に向かう広がり角(つまり、ディフューザ外壁の広がり方)を大きくすることにより、静圧回復量を増加させることができる。一方で、ディフューザの長さの抑制(換言すると、軸流ファンの小型化)を図る等の理由によって当該広がり角を大きくしすぎると、ディフューザの外壁近傍から空気の流れが剥離してしまう。このため、従来の軸流ファンは、ディフューザでの静圧回復量を増加させるためにディフューザの広がり角を大きくしようとしても、広がり角が所定値以上になってしまうとディフューザの外壁近傍から空気の流れが剥離してしまい、ディフューザでのエネルギー損失が増大してしまうという問題点が発生したり、ディフューザでの静圧回復量が逆に減少してしまうという問題点があった。
そこで、従来の軸流ファンには、ディフューザでのエネルギー損失を抑制するという観点から、ディフューザの外壁近傍からの空気流れの剥離の抑制を図った軸流ファンが提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の軸流ファン(特許文献1ではジェットエンジン用圧縮機と記載)は、「コア流路7の径方向内側の壁面における最終段の高圧圧縮機ステータ23の静翼47の前縁から後縁にかけての部位は、凹形状の第1曲面FRから凸形状の第2曲面SRに遷移しており、第1曲面FRから第2曲面SRに遷移する変曲点IPは、最終段の高圧圧縮機ステータ23の静翼47の前縁から70〜85%コード長だけ離れた点である」(特許文献1参照)という構成により、ディフューザの外壁近傍から空気流れが剥離することを抑制している。
特開2011−94500号公報(要約、図1)
特許文献1に記載された軸流ファン(特許文献1ではジェットエンジン用圧縮機と記載)は、ディフューザでの空気流れの剥離を抑制した分だけ、ディフューザでのエネルギー損失を抑制できる。また、ディフューザでの空気流れの剥離を抑制した分だけ、ディフューザの広がり角を大きくできるので、ディフューザでの静圧回復量を大きくすることができる。しかしながら、特許文献1に記載された軸流ファンは、ディフューザの内壁(半径方向内側の壁)の径を半径方向に拡大することにより、ディフューザの外壁近傍から空気の流れが剥離することを抑制している。このため、当該内壁の径が半径方向に拡大している箇所において流路断面積が縮小されるので、ディフューザ内の空気流れは、軸方向に縮流して流速が増加してしまい、その動圧の上昇分だけ静圧が減少してしまう。したがって、特許文献1に記載の軸流ファンは、ディフューザの広がり角を大きくできるものの、ディフューザ全体としては静圧回復量を十分に増加させることができないという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ディフューザの広がり角を大きくしていった場合でも、ディフューザでの空気流れの剥離を抑制してエネルギー損失を抑制することができ、ディフューザでの静圧回復量も大きくできる軸流ファンを得ることを目的とする。
本発明に係る軸流ファンは、回転軸と、前記回転軸の外周面を所定の間隙を介して覆い、内周部に前記回転軸の軸方向に沿った第1の環状流路が形成される筒状ケースと、前記第1の環状流路内において前記回転軸の周方向に等間隔に並設され、前記回転軸と共に回転する複数の動翼、及び、前記動翼の下流側となる前記第1の環状流路内にいて前記回転軸の周方向に等間隔に並設された複数の静翼を有する圧縮ステージと、を備え、前記圧縮ステージを、単段で配置し、あるいは、前記回転軸の軸方向に沿って複数段並設し、最も下流側に配置された前記圧縮ステージの下流側に、上流側から下流側にかけて外壁が前記回転軸と垂直な方向である半径方向に広がり、上流側から下流側にかけて流路断面積が拡大する第2の環状流路が前記回転軸の軸方向に沿って形成されるディフューザを有する軸流ファンであって、最も下流側に配置された前記圧縮ステージにおける複数の前記静翼のうちの少なくとも1つは、前記半径方向の内側となる端部から前記半径方向の外側となる端部にかけて、食い違い角が徐々に大きくなっているものである。
本発明は、最も下流側に配置された圧縮ステージにおける複数の静翼のうちの少なくとも1つを、半径方向の内側となる端部から半径方向の外側となる端部にかけて食い違い角を徐々に大きくしている。ここで、静翼の食い違い角が大きくなると、静翼の後流の円周方向成分(回転軸の周方向に沿った速度成分)が増加し、円周方向に旋回する流れの遠心力も増加する。そして、当該遠心力の増加によって、ディフューザを流れる空気の流路である第2の環状流路では、半径方向外向きの流れが強くなる。このため、本発明においては、第2の環状流路の外側(ディフューザの外壁側)へ向かう流れが第2の環状流路の外側において強くなるので、ディフューザの外壁近傍から空気の流れが剥離することを防止できる。したがって、本発明は、ディフューザの広がり角を大きくしていった場合でも、ディフューザの外壁近傍から空気の流れが剥離することを防止でき、ディフューザでのエネルギー損失を抑制することができる。このとき、本発明は、第2の環状流路の途中で流路断面積を縮小させることなく(つまり、縮流を発生させることなく)ディフューザの外壁近傍から空気の流れが剥離することを防止できるので、ディフューザ全体としての静圧回復量を増大させることもできる。
本発明の実施の形態1に係る軸流ファンを回転軸の軸方向に切断した断面図である。 ディフューザの外壁近傍の流れを説明するため断面図である。 本発明の実施の形態1に係る軸流ファンの静翼を円周方向に切断した断面の展開図である。 本発明の実施の形態1に係る軸流ファンにおいて、同一の静翼の半径方向外側端部及び半径方向内側端部を円周方向に切断した断面図である。 本発明の実施の形態2に係る軸流ファンにおいて、同一の静翼の半径方向外側端部及び半径方向内側端部を円周方向に切断した断面図である。 本発明の実施の形態3に係る軸流ファンを回転軸の軸方向に切断した断面図である。 本発明の実施の形態4を示す軸流ファンの断面図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る軸流ファンを回転軸の軸方向に切断した断面図である。なお、図中の白抜き矢印は空気の流れ方向を示すものである。また、軸流ファン1は、回転軸3の軸方向に沿った断面で軸流ファン1を切断した場合、回転軸3の軸に対して略対象となる。このため、図1では、回転軸3より下方の図示を省略している。
軸流ファン1は、例えば、回転電機やジェットエンジン等の圧縮機構として、回転電機やジェットエンジン等に搭載されるものである。この軸流ファン1は、回転軸3、該回転軸3の外周面を所定の間隙を介して覆う筒状のシュラウド6、該シュラウド6の内部に設けられた圧縮ステージ20、及び、該圧縮ステージ20の下流側に設けられるディフューザ30を備えている。ここで、シュラウド6が、本発明における筒状ケースに相当する。
圧縮ステージ20は、複数の動翼2、及び複数の静翼5を備えている。複数の動翼2は、回転軸3に取り付けられたハブ4の外周面に設けられている。また、各動翼2は、ハブ4の外周面、つまり回転軸3の周方向(以下、回転軸の周方向を円周方向ともいう)に沿って等間隔に並設されている。複数の静翼5は、複数の動翼2の下流側において、回転軸3の周方向に沿って等間隔に並設されている。これら各静翼5の半径方向外側端部11(回転軸3の軸方向と垂直な方向において外側となる静翼5の端部)は、シュラウド6に接続されている。また、本実施の形態1では、各静翼5の半径方向の内側に、回転軸3の外周面に対して所定の間隙を介するように、筒状の静翼環7が設けられている。そして、各静翼5の半径方向内側端部12(回転軸3の軸方向と垂直な方向において内側となる静翼5の端部)は、この静翼環7に接続されている。
つまり、本実施の形態1に係る軸流ファン1は、シュラウド6の内部の圧縮ステージ20が設けられた範囲に、シュラウド6が外壁となりハブ4及び静翼環7が内壁となる環状流路が形成される構成となっている。また、駆動装置(図示せず)によって回転軸3を駆動することにより、各動翼2は、この環状流路内を回転する構成となっている。また、各静翼5は、この環状流路内に固定配置された構成となっている。
ここで、シュラウド6の内部に形成される当該環状流路が、本発明における第1の環状流路に相当する。
ディフューザ30は、外壁13及び内壁14を備えており、外壁13と内壁14との間に環状流路が形成されている。このディフューザ30の環状流路は、シュラウド6に形成される環状流路と連通する構成となっている。つまり、ディフューザ30側の環状流路における入口側の流路断面積(半径方向に切断した断面積)は、シュラウド6側の環状流路における出口側の流路断面積と略同等となっている。また、ディフューザ30の外壁13は上流側から下流側にかけて半径方向に広がっており、ディフューザ30の環状流路は、上流側から下流側にかけて流路断面積が拡大する形状となっている。
ここで、ディフューザ30の環状流路が、本発明における第2の環状流路に相当する。なお、本実施の形態1では、ディフューザ30の外壁13とシュラウド6とを一体形成した構成となっているが、ディフューザ30の外壁13とシュラウド6とを別体で構成してもよい。同様に、本実施の形態1では、ディフューザ30の内壁14と静翼環7とを一体形成した構成となっているが、ディフューザ30の内壁14と静翼環7とを別体で構成してもよい。
このように構成された軸流ファン1は、回転軸3と共に動翼2を回転させることにより、シュラウド6内の環状流路に流入した空気を吸入し、当該空気を圧縮させる。そして、軸流ファン1は、動翼2によって圧縮された空気を静翼5、シュラウド6及び静翼環7によって静止させて、圧縮空気の静圧を回復させる。その後、軸流ファン1は、ディフューザ30において、圧縮ステージ20で圧縮された空気を減速させてさらに静圧を回復させ、当該空気を下流の流路や燃焼室に送り出す。
ここで、ディフューザ30の外壁13の半径方向の広がり方を大きくすることにより、つまり、図2に示す広がり角θs を大きくすることにより、ディフューザ30での静圧回復量を増加させることができる。このため、ディフューザ30の長さを抑制したい場合(換言すると、軸流ファン1を小型化したい場合)、広がり角θs を大きくすることによってディフューザ30の長さを抑制することが試みられる。しかしながら、広がり角θs を大きくしすぎると、ディフューザ30の外壁13近傍において当該外壁13から剥離する境界層流れ15が発生し、ディフューザ30でのエネルギー損失が増大してしまう。また、外壁13から剥離する境界層流れ15が発生すると、ディフューザ30での静圧回復量も低下してしまう。
そこで、本実施の形態1では、各静翼5を以下のような形状にすることにより、外壁13から剥離する境界層流れ15が発生することを防止している。
図3は、本発明の実施の形態1に係る軸流ファンの静翼を円周方向に切断した断面の展開図である。また、図4は、本発明の実施の形態1に係る軸流ファンにおいて、同一の静翼の半径方向外側端部及び半径方向内側端部を円周方向に切断した断面図である。
ここで、V1zは、流入速度9の軸方向成分(回転軸3の軸方向に沿った成分)を示している。Vは、流入速度9の円周方向成分を示している。β1 は、流入角を示している。tは、静翼5の翼幅を示している。i1 は、入口角を示している。i2 は、出口角を示している。θc は、反り(=入口角i1 −出口角i2 )を示している。lは、弦長を示している。γは、回転軸3の軸方向と翼弦線16とがなす角度である食い違い角を示している。V2zは、流出速度10の軸方向成分を示している。Vは、流出速度10の円周方向成分を示している。β2 は、流出角を示している。
図3に示す流出速度10の円周方向成分Vが大きくなると、静翼5の後方では、円周方向に旋回する流れによって遠心力が大きくなり、半径方向外側に流れが傾く。なお、この流出速度10は、流入速度9、食い違い角γ、反りθc (=入口角i1 −出口角i2 )、弦節比(=弦長l/翼幅t)から公知の計算式を用いて求めることが出来る。
また、食い違い角γと流出速度10の円周方向成分Vとの間には、食い違い角γが大きくなると、流れの転向角(β1 −β2 )が小さくなり、流出速度10の円周方向成分Vが大きくなるという関係が有る。つまり、食い違い角γが大きくなるにしたがって、静翼5の後方、つまりディフューザ30内では、半径方向外側へ流れが傾いていく。
そこで、本実施の形態1に係る軸流ファン1では、各静翼5の形状を図4に示すように形成している。詳しくは、同一の静翼5において、半径方向外側端部11の翼断面11aにおける食い違い角γs は、半径方向内側端部12の翼断面12aにおける食い違い角γh よりも大きくなっている。つまり、各静翼5は、半径方向内側端部12から半径方向外側端部11にかけて、食い違い角γが徐々に大きくなっている。各静翼5の形状をこのように形成することにより、ディフューザ30内では、内壁14から外壁13側にかけて静翼後流の半径方向成分が徐々に大きくなり、外壁13側へ流れが向く。これにより、外壁13から剥離する境界層流れ15を抑制することができる。このため、本実施の形態1に係る軸流ファン1は、ディフューザ30の広がり角θs を大きくした場合でも、ディフューザ30でのエネルギー損失を抑制でき、ディフューザ30での静圧回復量も大きくできる。このとき、本実施の形態1に係る軸流ファン1は、ディフューザ30の環状流路の途中で流路断面積を縮小させることなく(つまり、縮流を発生させることなく)ディフューザ30の外壁13近傍から空気の流れが剥離することを防止できるので、ディフューザ30全体としての静圧回復量を増大させることもできる。
なお、本実施の形態1では、単段(1つ)の圧縮ステージ20を備えた軸流ファン1について説明したが、圧縮ステージ20を回転軸3の軸方向に複数段並設して軸流ファン1を構成してもよい。この場合、空気の流れ方向に沿って見た場合に最も下流側となる圧縮ステージ20の静翼5を、上記のような形状に形成すればよい。これにより、外壁13から剥離する境界層流れ15を抑制することができるので、ディフューザ30の広がり角θs を大きくした場合でも、ディフューザ30でのエネルギー損失を抑制でき、ディフューザ30全体としての静圧回復量を増大させることもできる。
また、本実施の形態1では、最下流側の圧縮ステージ20の各静翼5(つまり全ての静翼5)を上記の構成とした。しかしながら、これに限らず、最下流側の圧縮ステージ20の各静翼5のうちの少なくとも1つを上記の形状に形成すればよい。このように構成しても、ディフューザ30内では、内壁14から外壁13側にかけて静翼後流の半径方向成分が徐々に大きくなり、外壁13側へ流れが向く。このため、ディフューザ30の広がり角θs を大きくした場合でも、ディフューザ30でのエネルギー損失を抑制でき、ディフューザ30全体としての静圧回復量を増大させることもできる。なお、最下流側の圧縮ステージ20の全ての静翼5を上記の形状に形成した方が、当該効果がより大きくなる。このため、本実施の形態1では、最下流側の圧縮ステージ20の全ての静翼5を上記の形状に形成している。
また、各静翼5周りの空気流れが不均一になることに起因する回転軸3の負荷変動や駆動装置の消費電力の増加を防止するという観点からも、各静翼5を同一形状にすることが好ましく、各静翼5を等間隔に設けることがさらに好ましい。動翼2も同様に、各動翼2を同一形状にすることが好ましく、各動翼2を等間隔に設けることがさらに好ましい。
実施の形態2.
静翼5を以下のように形成することにより、ディフューザ30でのエネルギー損失をより抑制でき、ディフューザ30全体としての静圧回復量をより増大させることもできる。なお、本実施の形態2で特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図5は、本発明の実施の形態2に係る軸流ファンにおいて、同一の静翼の半径方向外側端部及び半径方向内側端部を円周方向に切断した断面図である。
同一の静翼5における半径方向外側端部11の翼断面11a及び半径方向内側端部12の翼断面12aからわかるように、本実施の形態2に係る軸流ファン1は、同一の静翼5において、半径方向外側端部11の弦長ls が半径方向内側端部12の弦長lh よりも小さくなっている。また、隣接する静翼5において、半径方向外側端部11間の翼幅ts と半径方向内側端部12間の翼幅th とが、略同等となっている。つまり、本実施の形態2の各静翼5は、半径方向内側端部12から半径方向外側端部11にかけて弦節比(=弦長l/翼幅t)が徐々に小さくなっている。
弦節比(=弦長l/翼幅t)が小さくなると、流れの転向角(β1 −β2 )が小さくなり、流出速度10の円周方向成分Vが大きくなる関係が有る。つまり、弦節比(=弦長l/翼幅t)が小さくなるにしたがって、静翼5の後方、つまりディフューザ30内では、半径方向外側へ流れが傾いていく。このため、図5のように半径方向内側端部12から半径方向外側端部11にかけて弦節比(=弦長l/翼幅t)が徐々に小さくなるように各静翼5を形成することにより、ディフューザ30内では、内壁14から外壁13側にかけて静翼後流の半径方向成分が徐々に大きくなり、外壁13側へ流れが向く。外壁13から剥離する境界層流れ15を抑制することができる。このため、本実施の形態2に係る軸流ファン1は、ディフューザ30の広がり角θs を大きくした場合でも、ディフューザ30でのエネルギー損失を抑制でき、ディフューザ30での静圧回復量も大きくできる。このとき、本実施の形態2に係る軸流ファン1も、ディフューザ30の環状流路の途中で流路断面積を縮小させることなく(つまり、縮流を発生させることなく)ディフューザ30の外壁13近傍から空気の流れが剥離することを防止できるので、ディフューザ30全体としての静圧回復量を増大させることもできる。
以上、本実施の形態2に係る軸流ファン1においては、最下流側の圧縮ステージ20の各静翼5の形状を、実施の形態1で示した形状(図4参照)とし、さらに図5に示した形状としている。このため、本実施の形態2に係る軸流ファン1においては、ディフューザ30の広がり角θs を大きくした場合でも、ディフューザ30でのエネルギー損失をさらに抑制でき、ディフューザ30全体としての静圧回復量をさらに増大させることもできる。
なお、本実施の形態2では、最下流側の圧縮ステージ20の各静翼5(つまり全ての静翼5)を図5に示す構成とした。しかしながら、これに限らず、最下流側の圧縮ステージ20の各静翼5のうちの少なくとも1つを図5に示す形状に形成すればよい。このように構成しても、ディフューザ30内では、内壁14から外壁13側にかけて静翼後流の半径方向成分が徐々に大きくなり、外壁13側へ流れが向く。このため、ディフューザ30の広がり角θs を大きくした場合でも、ディフューザ30でのエネルギー損失を抑制でき、ディフューザ30全体としての静圧回復量を増大させることもできる。また、最下流側の圧縮ステージ20の各静翼5のうちの少なくとも1つを実施の形態1で示した形状(図4参照)とし、最下流側の圧縮ステージ20の各静翼5のうちの少なくとも1つを実施の形態2で示した形状(図5参照)とする場合、どちらか一方の形状でそれぞれ異なる静翼5を形成してもよい。
実施の形態3.
実施の形態1及び実施の形態2では、ディフューザ30の内壁14を、入口側から出口側まで同一直径となるように形成していた。これに限らず、ディフューザ30の内壁14を次のような形状に形成してもよい。なお、本実施の形態3で特に記述しない項目については実施の形態1又は実施の形態2と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図6は、本発明の実施の形態3に係る軸流ファンを回転軸の軸方向に切断した断面図である。なお、図6では、圧縮ステージ20の静翼5部分からディフューザ30までを図示し、圧縮ステージ20の動翼2部分の図示を省略している。
図6に示すように、本実施の形態3に係るディフューザ30は、内壁14が入口側から出口側にかけて広がり角θh で徐々に広がる構成となっている。また、内壁14の広がり角θh は外壁13の広がり角θs よりも小さくなっており、ディフューザ30の環状流路は、上流側から下流側にかけて流路断面積が拡大する形状となっている。
実施の形態1〜本実施の形態3に示す軸流ファン1はいずれも、最下流側の圧縮ステージ20の静翼5により流出速度10の円周方向成分Vを大きくし、ディフューザ30内の流れを半径方向外側へ傾け、外壁13から剥離する境界層流れ15を抑制している。このため、ディフューザ30の外壁13の広がり角θs が大きくなるほど、流出速度10の円周方向成分Vを大きくし、ディフューザ30内の流れをより半径方向外側へ傾けることとなる。しかしながら、流出速度10の円周方向成分Vが所定量よりも大きくなり、ディフューザ30内の流れの半径方向外側への傾き方が大きくなりすぎると、ディフューザ30の内壁14近傍において当該内壁14から剥離する境界層流れが発生し、ディフューザ30での静圧回復量も低下してしまうことが懸念される。
しかしながら、本実施の形態3では、内壁14が入口側から出口側にかけて広がり角θh で徐々に広がる構成となっているので、流出速度10の円周方向成分Vが所定量よりも大きくなっても、ディフューザ30の内壁14近傍において当該内壁14から剥離する境界層流れが発生することを防止でき、ディフューザ30での静圧回復量を大きくできる。
なお、ディフューザ30の環状流路における出口側の流路断面積が実施の形態1〜実施の形態3で示したディフューザ30の環状流路における出口側の流路断面積と同等以上となるように外壁13の広がり角θs を大きくすると、実施の形態1〜実施の形態3よりもディフューザ30での静圧回復量を増加させることができる。
実施の形態4.
実施の形態1〜実施の形態3においては、圧縮ステージ20が配置された環状流路の内壁をハブ4及び静翼環7で構成した。また、ディフューザ30の環状流路の内壁を静翼環7で構成した。しかしながら、これら環状流路の内壁を次のように構成してもよい。なお、本実施の形態4で特に記述しない項目については、実施の形態1〜実施の形態3のいずれかと同様とする。また、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図7は、本発明の実施の形態4に係る軸流ファンを回転軸の軸方向に切断した断面図である。
図7に示すように、本実施の形態4に係る軸流ファン1は、動翼2が設けられたハブ4をディフューザ30の出口側まで延設している。つまり、実施の形態1〜実施の形態3では、シュラウド6内の環状流路の内壁のうち、動翼2が設けられる範囲の内壁はハブ4で構成されていた。また、シュラウド6内の環状流路の内壁のうち、静翼5が設けられる範囲の内壁は静翼環7で構成されていた。一方、本実施の形態4においては、シュラウド6内の環状流路の内壁のうち、静翼5が設けられる範囲の内壁もハブ4で構成している。さらに、実施の形態1〜実施の形態3では、ディフューザ30の環状流路の内壁を静翼環7で構成していたが、本実施の形態4では、ディフューザ30の環状流路の内壁もハブ4で構成している。このため、本実施の形態4では、静翼5が設けられる範囲の当該内壁となるハブ4が回転するので、静翼5の半径方向内側端部12をハブ4に接続していない。
以上、本実施の形態4のように構成された軸流ファン1においても、上記の実施の形態1〜実施の形態3で示した効果と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態4に係る軸流ファン1は、静翼環7が不要となるので、部品点数の削減及び組み立て工数の削減等ができ、軸流ファン1を安価に製造することもできる。
1 軸流ファン、2 動翼、3 回転軸、4 ハブ、5 静翼、6 シュラウド、7 静翼環、9 流入速度、10 流出速度、11 半径方向外側端部、11a 翼断面、12 半径方向内側端部、12a 翼断面、13 外壁、14 内壁、15 剥離する境界層流れ、16 翼弦線、20 圧縮ステージ、30 ディフューザ。

Claims (5)

  1. 回転軸と、
    前記回転軸の外周面を所定の間隙を介して覆い、内周部に前記回転軸の軸方向に沿った第1の環状流路が形成される筒状ケースと、
    前記第1の環状流路内において前記回転軸の周方向に等間隔に並設され、前記回転軸と共に回転する複数の動翼、及び、前記動翼の下流側となる前記第1の環状流路内にいて前記回転軸の周方向に等間隔に並設された複数の静翼を有する圧縮ステージと、
    を備え、
    前記圧縮ステージを、単段で配置し、あるいは、前記回転軸の軸方向に沿って複数段並設し、
    最も下流側に配置された前記圧縮ステージの下流側に、上流側から下流側にかけて外壁が前記回転軸と垂直な方向である半径方向に広がり、上流側から下流側にかけて流路断面積が拡大する第2の環状流路が前記回転軸の軸方向に沿って形成されるディフューザを有する軸流ファンであって、
    最も下流側に配置された前記圧縮ステージにおける複数の前記静翼のうちの少なくとも1つは、前記半径方向の内側となる端部から前記半径方向の外側となる端部にかけて、食い違い角が徐々に大きくなっていることを特徴とする軸流ファン。
  2. 最も下流側に配置された前記圧縮ステージにおける複数の前記静翼のうちの少なくとも1つは、前記半径方向の内側となる端部から前記半径方向の外側となる端部にかけて、弦節比が徐々に小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の軸流ファン。
  3. 前記ディフューザは、上流側から下流側にかけて内壁が前記半径方向に広がっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軸流ファン。
  4. 前記圧縮ステージは、前記回転軸に取り付けられ、外周面に複数の前記動翼が設けられたハブを備え、
    当該ハブは、当該ハブに設けられた前記動翼と同じ前記圧縮ステージの前記静翼の下方まで延設され、
    当該ハブの外周面が前記第1の環状流路の内壁となっていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の軸流ファン。
  5. 最も下流側に配置された前記圧縮ステージは、前記回転軸に取り付けられ、外周面に複数の前記動翼が設けられたハブを備え、
    当該ハブは、前記ディフューザの出口側まで延設され、
    当該ハブの外周面が前記第2の環状流路の内壁となっていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の軸流ファン。
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