JP6821426B2 - ディフューザ、タービン及びガスタービン - Google Patents
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タービンの下流側にはディフューザが設けられている(例えば、特許文献1参照)。このディフューザとしては、内筒と外筒とストラットとを有しているものがある。内筒は、ディフューザの内周側に配置されており、外筒は、この内筒を外周側から覆うことで内筒との間に排気流路を形成している。ストラットは、周方向に間隔をあけて複数設けられ、それぞれ内筒の外周面からタービンの径方向に延びている。これらストラットを介して、内筒及び外筒が接続されている。
ディフューザの排気流路は、燃焼ガスの流れる方向の上流から下流に向かうにしたがって次第に流路面積が増加するように形成されている。タービンを駆動した燃焼ガス(排気ガス)は、このように形成された排気流路を通過することで静圧回復される。ディフューザの性能が向上すると、実質的なガスタービンの圧力比を増加させるので、ディフューザの性能向上は、ガスタービン全体の効率向上にも寄与する。
この発明の第一態様によれば、ディフューザは、軸線回りに回転するタービンの下流側に設けられるディフューザであって、前記軸線に沿って延びる内筒と、前記内筒を外周側から覆うとともに、前記内筒との間に排気流路を形成する外筒と、前記排気流路内で周方向に間隔をあけて設けられ、前記内筒と前記外筒とを接続するとともに、径方向内側から外側に向かうにしたがって前記タービンの回転方向前方側に延びる複数のストラットと、前記内筒の外周面に形成され、前記周方向で隣り合う一対のストラット間の中央に配置されるとともに、前記ストラットの軸線方向一方側の前縁の位置を基準として前記ストラットの軸線方向の全長の±10%の領域内に配置された凸部と、を備え、前記凸部は、前記軸線に沿って形成されて軸線方向一方側である上流側から、軸線方向他方側である下流側に向かうにしたがって、径方向の外側に向かう突出量が増加するように、軸線を中心とする径方向の外側に向かうにしたがって先細りに形成され、前記軸線を中心とした周方向で前記凸部と同位置で、前記凸部の下流側に間隔をあけて軸線方向に延びるガイド板を更に備えている。
ディフューザにおいて、軸線を中心とした周方向で隣り合うストラットの間の流れは、一般に、内筒の外周面において境界層を形成する。ディフューザ流れは、逆圧力勾配であるため、境界層流れにおいて運動量が低下し易い。そのため、局所的な運動量欠損による剥離領域が生じると、流れの下流に向けて剥離が進展して大規模化する可能性がある。
一般に、ストラットよりも上流側では、回転体とディフューザとの隙間からのシールガスの流入により、境界層に擾乱が発生し、不安定となる。また、流れ方向に対して垂直方向の渦度が増した状態となる。この境界層内に、上記の凸部を配置することで、境界層内の流体が凸部に巻きつく形となり、凸部の周方向両側に流体の流れ方向に渦軸を有する縦渦が形成される。この縦渦は、凸部よりも下流側に延びて渦管(馬蹄渦)を形成する。これにより、内筒の外周面において、安定した縦渦を生成できるため、縦渦により境界層内の流体に運動量を与えて、境界層の発達による剥離が生じることを抑制できる。その結果、圧力損失を抑制して性能向上を図ることができる。
さらに、ディフューザの主流に対して形状抵抗が増加することを抑制できる。その結果、圧力損失を低減できる。
このように構成することで、ストラットの前縁の位置により近い位置に凸部を配置することができる。これにより、境界層が発達する前に、凸部によって縦渦を生じさせて、境界層内の流体に対して運動量を与えることができる。その結果、境界層の発達を安定して抑制できる。
このように構成することで、ディフューザにおける流体の剥離を抑制できるため、タービンの圧力損失を抑制できる。その結果、タービンから排出される排気ガスの運動エネルギーを効率よく圧力エネルギーに変換することができる。
このように構成することで、タービンの圧力損失を抑制できるため、ガスタービンの性能を向上することができる。
次に、この発明の第一実施形態のタービン及びガスタービンを図面に基づき説明する。
図1は、この発明の第一実施形態におけるガスタービンの概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、この第一実施形態に係るガスタービン100は、圧縮機1と、燃焼器3と、タービン2Aと、を備えている。
タービンロータ21は、軸線Amに沿って延びている。このタービンロータ21の外周面には、軸線Am方向に間隔をあけて配列された複数のタービン動翼段23が設けられている。これらタービン動翼段23は、複数のタービン動翼24をそれぞれ備えている。各タービン動翼段23のタービン動翼24は、タービンロータ21の外周面上で軸線Amの周方向に間隔をあけて配列されている。
ガスタービンロータ91は、ガスタービンケーシング92の内部で軸線Am回りに一体に回転可能とされている。
図2に示すように、ディフューザ4Aは、タービンケーシング22(ガスタービンケーシング92)に一体に設けられている。このディフューザ4Aは、内筒41と、外筒42と、第一ストラット43と、第二ストラット44と、凸部50(図3参照)と、を備えている。
図3に示すように、ディフューザ4Aは、軸線Amを中心とした周方向で隣り合う第一ストラット43(ストラットカバー45)の間に、凸部50を備えている。凸部50は、周方向に並んで配置された複数の第一ストラット43の間にそれぞれ一つずつ設けられている。凸部50は、内筒41の外周面41Aから突出している。この第一実施形態における凸部50は、外周面41Aから軸線Amを中心とした径方向の外側に向けて突出している。
図4に示すように、縦渦V3は、隣り合う馬蹄渦V1と逆方向に回転する。このように縦渦V3と馬蹄渦V1との回転方向が互いに逆方向となることで、上記の縦渦V3の流れと馬蹄渦V1の流れとが、隣接する場所において同方向に流れるため、互いの回転を阻害せず促進する方向に作用し、縦渦V3と馬蹄渦V1とが安定する。そのため、第一ストラット43の下流においても縦渦V3と馬蹄渦V1とが維持され易くなり、より一層、境界層の発達を抑制できる。
次に、この発明の第二実施形態を図面に基づき説明する。この第二実施形態は、上述した第一実施形態にガイド板を設けた点でのみ相違する。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
この第二実施形態のガスタービン100は、上述した第一実施形態と同様に、圧縮機1と、燃焼器3と、タービン2Bと、を備えている。さらに、タービン2Bは、タービンロータ21と、タービンケーシング22と、ディフューザ4Bと、を有している。
図5に示すように、この第二実施形態におけるディフューザ4Bは、内筒41と、外筒42(図5に図示せず)と、第一ストラット43と、第二ストラット44と、凸部50と、ガイド板51と、を備えている。
凸部50は、第一実施形態と同様の構成であり、軸線Amを中心とする周方向に並んで配置された複数の第一ストラット43の間にそれぞれ一つずつ設けられている。これら凸部50は、内筒41の外周面41Aからそれぞれ突出している。
なお、図5に破線で示すように、ガイド板51は、後縁43bの位置よりも下流側まで延びていても良い。このようにすることで、第一ストラット43の後縁43bの位置よりも下流側において、排気ガスの流路断面積が急拡大することを抑制できる。また、第二実施形態におけるガイド板51の軸線Am方向における上流側の端部と下流側の端部との各位置は一例であって、凸部50により形成された縦渦V3を案内できる位置であれば上記の位置に限られない。
次に、この発明の第三実施形態を図面に基づき説明する。この第三実施形態は、上述した第二実施形態の凸部とガイド板とを一体に設けた点でのみ相違する。そのため、上述した第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
この第三実施形態のガスタービン100は、上述した第一実施形態と同様に、圧縮機1と、燃焼器3と、タービン2Cと、を備えている。さらに、タービン2Cは、タービンロータ21と、タービンケーシング22と、ディフューザ4Cと、を有している。
図6に示すように、この第三実施形態におけるディフューザ4Cは、内筒41と、外筒42(図6に図示せず)と、第一ストラット43と、第二ストラット44と、ガイド凸部52と、を備えている。
この第三実施形態におけるガイド凸部52は、軸線Amを中心とした周方向において、隣り合う第一ストラット43の間の距離を100%とすると、隣り合う第一ストラット43の中央(50%)の位置から、±30%の範囲に形成することができる。さらに、ガイド凸部52は、軸線Amを中心とした周方向において、上記中央(50%)の位置から±20%の位置に配置しても良い。さらに、凸部50は、軸線Amを中心とした周方向において、上記中央(50%)の位置から±10%の位置に配置しても良い。
例えば、上述した第二、第三実施形態では、ガイド板51、ガイド凸部52がそれぞれ板状の場合について説明した。しかし、板状に限られず、例えば、翼型を有していたり、軸線Amを中心とする径方向外側に向かって先細りに形成されていたりしてもよい。
さらに、ガイド板51、ガイド凸部52が、軸線Am方向の一方側(上流側)から他方側(下流側)に向かって徐々に突出量が増加するように形成されている場合について説明したが、この形状に限られない。例えば、突出量が上流側から下流側に向かって均一であっても良い。
2A,2B,2C タービン
3 燃焼器
4A,4B,4C ディフューザ
11 圧縮機ロータ
12 圧縮機ケーシング
13 圧縮機動翼段
14 圧縮機動翼
15 圧縮機静翼段
16 圧縮機静翼
21 タービンロータ
22 タービンケーシング
23 タービン動翼段
24 タービン動翼
25 タービン静翼段
26 タービン静翼
30 軸受装置
31 軸受
32 軸受ハウジング
41 内筒
41A 外周面
42 外筒
42A 内周面
43 第一ストラット(ストラット)
43a 前縁
43b 後縁
44 第二ストラット
45 ストラットカバー
50 凸部
51 ガイド板
52 ガイド凸部
91 ガスタービンロータ
91A 軸端部
92 ガスタービンケーシング
100 ガスタービン
Am 軸線
C 排気流路
G 発電機
V1 馬蹄渦
V2 渦
V3 縦渦
Claims (4)
- 軸線回りに回転するタービンの下流側に設けられるディフューザであって、
前記軸線に沿って延びる内筒と、
前記内筒を外周側から覆うとともに、前記内筒との間に排気流路を形成する外筒と、
前記排気流路内で周方向に間隔をあけて設けられ、前記内筒と前記外筒とを接続するとともに、径方向内側から外側に向かうにしたがって前記タービンの回転方向前方側に延びる複数のストラットと、
前記内筒の外周面に形成され、前記周方向で隣り合う一対のストラット間の中央に配置されるとともに、前記ストラットの軸線方向一方側の前縁の位置を基準として前記ストラットの軸線方向の全長の±10%の領域内に配置された凸部と、
を備え、
前記凸部は、
前記軸線に沿って形成されて軸線方向一方側である上流側から、軸線方向他方側である下流側に向かうにしたがって、径方向の外側に向かう突出量が増加するように、軸線を中心とする径方向の外側に向かうにしたがって先細りに形成され、
前記軸線を中心とした周方向で前記凸部と同位置で、前記凸部の下流側に間隔をあけて軸線方向に延びるガイド板を更に備えているディフューザ。 - 前記凸部は、前記ストラットの軸線方向一方側の前縁の位置を基準として、前記ストラットの軸線方向の全長の±5%の領域内に配置されている請求項1に記載のディフューザ。
- 軸線に沿って延びるとともに、前記軸線の周方向一方側に向かって回転可能なタービンロータと、
前記タービンロータを外周側から覆うタービンケーシングと、
前記タービンロータの外周面上で前記軸線の周方向に配列された複数のタービン動翼と、
前記タービンケーシングの内周面上で前記タービン動翼に対して前記軸線方向に隣り合うように設けられるとともに、周方向に配列された複数のタービン静翼と、
請求項1又は2に記載のディフューザと、
を備えるタービン。 - 空気を圧縮した圧縮空気を生成する圧縮機と、
前記圧縮空気に燃料を混合させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、
前記燃焼ガスにより駆動される請求項3に記載のタービンと、
を備えるガスタービン。
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