本明細書に開示されるのは、例えば、ヒトの色知覚に関する色の見え方に対して、向上および/または調整をもたらす、光学フィルタを設計するためのフィルタ生成方法である。本方法によって生み出された光学フィルタ設計は、例えば、光学基板上への複数の層の誘電材料の物理蒸着によって、例えば、干渉フィルタとして、光学フィルタを加工するために使用される、作成仕様の基礎として使用され得る。干渉フィルタはさらに、吸収性である金属材料の層を備えてもよい。そのような金属減衰コーティングは、例えば、物理蒸着によって、加工されてもよい。光学基板は、透明であってもよく、あるいは吸収性、フォトクロミック、または偏光フィルタ材料を組み込んでもよく、組み込みは、そのような材料による基板のドープ、複数の基板間へのそのような材料の積層、あるいは基板の片側または両側へのそのような材料のコーティングによって、達成される。アセンブリへの内部および外部両方の境界表面は、例えば、適切な反射防止フィルタの組み込みによって、屈折率整合され、透過損失を低減させ、概して、組み立てられたフィルタの光学品質を改善させ得る。フィルタは、例えば、眼鏡類(例えば、眼鏡、サングラス、保護眼鏡、片眼鏡、安全眼鏡、コンタクトレンズ、または任意の他の好適な眼科用レンズ)内に組み込まれてもよく、あるいは発光体(例えば、照明器具アセンブリ)内に組み込まれてもよい。眼科用レンズは、眼と併用するためのレンズである。眼科用レンズは、光学(集束)補正を眼に提供してもよく、または0パワーであって、そのような補正を提供しなくてもよい。眼鏡レンズ(例えば、サングラスレンズ)およびコンタクトレンズは、眼科用レンズの実施例である。
一側面では、所望の態様で、色視に影響を及ぼす、光学フィルタを設計するためのコンピュータ実装方法は、コンピュータを使用して、下記式によって与えられる線形プログラムを解くことを含み、
制約条件 Ax≦b および
制約条件 1≧x≧0 のもとで
cTx を最小化する
この方法において、線形プログラムは、ベクトルxについて解かれ、波長毎のフィルタの透過率f(λ)は、下記式によって算出され、
E=[e1…ei…eN] が与えられ、
p が与えられると、
q(λ)=i=1…Nxiei(λ) および
f(λ)=p(λ)×q(λ) が得られる
本方法では、fは、設計された光学フィルタであり、f(λ)は、波長λ毎のfの透過率であり、Eは、行列eiの列が、基本フィルタ毎の波長の関数としての光の透過率となるような基本フィルタの行列であり、基本フィルタの数は、Nである。q(λ)を定義する式は、基本フィルタの加重総和であり、加重係数は、対応する要素xiである。加重総和は、基本フィルタ行列Eと線形プログラム解ベクトルxとの間の行列ベクトル積式q=Exに相当する。さらに、p(λ)×q(λ)は、第1のフィルタqと第2のフィルタpの波長毎の乗算による一連の2つの光学フィルタ内の構成を示し、式中、p(λ)は、波長λ毎のpの透過率であり、pはまた、概して、本開示では、「前置フィルタ」と称されるが、成分フィルタは、概して、任意の順序で構成されてもよい。線形プログラム制約条件1≧x≧0は、iが1〜Nの場合、1≧xi≧0であるという制約条件に相当する。さらに、上記式におけるcは、所望の態様で色視に影響を及ぼすフィルタfを提供する解に向かって線形プログラムソルバーを導く、コストベクトルである。解と関連付けられた総コストは、転置行列cとxとの間のベクトルドット積を示すcTxによって算出される。より低い総コストを提供する解xは、概して、フィルタの所望の関数(例えば、色弁別向上)に関して、より好ましいが、他の品質の評価基準もまた、特定の解の妥当性を決定するために採用されてもよい。上記式におけるAは、行列であり、上記式におけるbは、ベクトルである。Axは、行列Aとベクトルxとの間の行列積である。行列Aの要素の少なくとも一部およびベクトルbの要素の少なくとも一部は、1つ以上の光の波長における、フィルタfによる透過の最小または最大レベル、フィルタ白色点に関する制約条件、あるいはフィルタを通して視認または照明される1つ以上の基準光の色の見え方に関する制約条件、および/または1つ以上の入射角における、フィルタfによるそのような透過制約条件に関連する。
上記式における波長λ毎のフィルタの透過率の仕様(ei,p,f)は、波長スケール(例えば、ステップサイズ1ナノメートルを使用して)、または実質的に同等である別のスケール(例えば、周波数または対数波数)に基づいて、均等サンプリングによって集計されてもよい。サンプリングはまた、サンプル点間の非均等間隔を有する、任意のスケールに基づいて定義され得る。
本方法によって設計されたフィルタfは、本質的に、多帯域フィルタとして説明され得るスペクトル透過率を有し、多帯域フィルタは、遮断帯域と交互配置された複数の通過帯域である。特に、色視に影響を及ぼすためのフィルタは、2つ以上の遮断帯域によって分離される、3つ以上の通過帯域を有し、各遮断帯域および各通過帯域は、中心および幅を有し、中心は、約400ナノメートル〜約700ナノメートルの間の可視スペクトル内に位置し、幅は、約10ナノメートル〜約110ナノメートルの範囲に及び得る。帯域の下方境界は、中心から幅の半分を除算したものとして定義され、帯域の上方境界は、中心に幅の半分を加算したものとして定義される。帯域の平均透過率は、帯域境界の内部の光の平均スペクトル透過率である。交互配置された遮断帯域は、上方および下方境界を隣接する通過帯域の相補的境界と共有する。多帯域フィルタは、遮断帯域およびその隣接する通過帯域の平均透過率に関する最小コントラスト比によって特徴付けられ得る。例えば、多帯域フィルタは、各交互配置された遮断帯域が、例えば、隣接する通過帯域の平均透過率の1/2以下である平均透過率を有するように、コントラスト比下限に準拠し得る。多帯域フィルタはさらに、色視と併用するために、多帯域フィルタのいくつかの実施形態に望ましいコントラスト比上限への準拠によって特徴付けられ得る。
眼科用レンズ等の装置内に組み込まれるフィルタはさらに、CIE 1924明順応視比光度関数によって加重されたフィルタを通る光の平均スペクトル透過率として定義される光透過率によって特徴付けられ得る。眼科用レンズ(サングラス等)において使用するためのフィルタは、典型的には、少なくとも8%の光透過率を有する。加えて、フィルタ白色点は、好適な色空間内の平均的な昼光(すなわち、発光体D65)の色度座標として定義され、(u’,v’)色度座標は、CIELUV色空間内の位置を指し、(x,y)色度座標は、CIE xyY色空間内の位置を指す。フィルタの白色点は、フィルタが視野にわたってもたらす、主観的に、見掛けの色合いに対応し、中性として説明される白色点は、わずかな量のそのような色合いをもたらす。
いくつかの変形例では、フィルタ通過帯域は、本質的に、矩形、すなわち、帯域境界における波長毎の透過率の変化は、瞬間的またはほぼ瞬間的である。矩形通過帯域の幅は、短波長境界と長波長境界との間の距離によって特徴付けられ得る。矩形帯域幅は、周波数スケールに基づいて、等価的に測定され得る。
いくつかの変形例では、フィルタ通過帯域は、本質的に、ガウシアン、すなわち、帯域境界における波長毎の透過率の変化は、段階的または本質的に平滑である。ガウシアン通過帯域の幅は、短波長境界に関する半値透過率と長波長境界に関する半値透過率との間の距離(半値全幅(FWHM)とも呼ばれる)によって特徴付けられ得る。半値帯域幅は、周波数スケールに基づいて、等価的に測定され得る。
いくつかの変形例では、通過帯域のうちの1つ以上は、不規則形状を有し得る(すなわち、矩形でも、ガウシアンでもない)。例えば、通過帯域は、双峰分布を有し得る、または通過帯域の1つ以上の側に肩を有し得る、または歪曲分布として説明され得、波長毎の透過率における、通過帯域の2つの側の間の勾配比は、約4:1〜約1:4である。
非ガウシアン通過帯域を有する変形例では、そのような通過帯域は、例えば、本質的に、不規則性および/または急勾配遷移を除去するだけに十分な幅である、ガウシアンカーネルによって平滑化されてもよく、その場合、通過帯域は、本質的に、対応する平滑化された通過帯域の帯域中心および半値幅を有するとして説明され得る。
基本フィルタは、例えば、約1ナノメートルの通過帯域幅を有する、単一通過帯域フィルタであってもよく、各基本フィルタは、異なる通過帯域中心波長を有する。そのようなフィルタはまた、単色フィルタと呼ばれ、以下のスペクトル透過率を有するとして定義され得、
eμ(λ)=δ(λ−μ)
式中、δは、ディラックのデルタ関数であって、μは、典型的には、1組の基本フィルタにわたって約400ナノメートル〜約700ナノメートルの間で変動するフィルタによって透過される波長であって、1組の中のそのような基本フィルタの数は、約300である。代替として、基本フィルタは、単一通過帯域フィルタであってもよく、各々、約1ナノメートルを超える幅を有し、各基本フィルタは、異なる通過帯域中心波長を有する。いくつかのそのような変形例では、通過帯域は、矩形であってもよく(箱形関数とも呼ばれる)、基本フィルタのスペクトル透過率は、以下のように定義される。
e(μ,σ)(λ)=H(λ−(μ−σ/2))−H(λ−(μ+σ/2))
式中、μは中心波長であり、σは矩形帯域幅であり、Hは、ヘビサイドの階段関数である。そのような変形例では、通過帯域は、例えば、約10ナノメートルの幅を有し得、帯域位置は、そのような基本フィルタの数が、例えば、約60であるように、約5ナノメートルのステップサイズずつ、例えば、約400ナノメートル〜約700ナノメートルの間で変動する。いくつかの変形例では、通過帯域は、ガウシアンまたは本質的にガウシアンであるスペクトル透過率を有し得、例えば、以下によって定義される、スペクトル透過率を有し、
e(μ,σ)(λ)=exp(−(λ−μ)2/(2σ2))
式中、μは、中心波長であり、半値帯域幅は、以下であり、
2σsqrt(2ln(2))
式中、exp()は、指数関数であり、sqrt()は、平方根関数であり、ln()は、自然対数である。さらに他の変形例では、基本フィルタは、2つ以上の通過帯域を有する、多帯域フィルタであってもよく、各基本フィルタは、異なる組み合わせの中心位置および/または帯域幅の2つ以上の通過帯域を有する。任意の好適な1組の基本フィルタが、フィルタ設計方法において使用されてもよい。
コストベクトルcは、例えば、色弁別を改善する、フィルタに向かって、線形プログラムソルバーを導くように選択されてもよい。いくつかの変形例では、コストベクトルは、赤色および緑色の見掛けの色純度を増加させることによって、赤色と緑色との間の弁別を向上させるように選択される。そのような赤色−緑色向上フィルタはまた、青色の見掛けの純度も増加させ得、したがって、全般的に、色弁別を増大させるとして説明され得る。代替として、コストベクトルは、青色および黄色の見掛けの色純度を増加させることによって、青色と黄色との間の弁別を向上させるように選択されてもよい。そのような青色−黄色向上フィルタはまた、赤色および緑色の見掛けの純度を低下させる傾向にあり得る。加えて、または代替として、コストベクトルは、約380ナノメートル〜約450ナノメートルの間の短波長の青色光の透過を低減させるように選択されてもよい。加えて、または代替として、コストベクトルは、約450ナノメートル〜約500ナノメートルの間の短波長のシアン色光の透過を低減させるように選択されてもよい。任意の好適なコストベクトルが、フィルタ設計方法において使用されてもよい。
いくつかの変形例では、コストベクトルcおよび/またはAおよびbの要素は、フィルタによって提供される色の弁別が、正常である(すなわち、色の見え方が、実質的に、ニュートラルデンシティフィルタによって提供されるであろうものと同一である)ように選択されてもよい。
いくつかの変形例では、フィルタ設計方法は、線形プログラムを解き、試験的フィルタfを生成し、次いで、性能基準、作成基準、または性能および作成基準に対して、試験的フィルタを評価するステップを含む。いくつかのそのような変形例はまた、行列A、ベクトルb、コストベクトルc、基本フィルタ行列E、前置フィルタp、または任意のそれらの組み合わせを調節し、次いで、再び、線形プログラム式を解き、別の試験的フィルタを提供するステップを含んでもよい。コストベクトルcは、例えば、(すなわち、現在の試験的フィルタと比較して、次の試験的フィルタの)色弁別をさらに改善するように調節されてもよい。
フィルタの性能を評価するステップは、色空間内の色度平面において、第1の等値線によって包囲された面積を算出することによって、第1の色域面積を決定するステップであって、第1の等値線が、試験的フィルタを通して視認または照明される1組の基準色の観察者への見え方に対応する、ステップと、色空間内の色度平面において、第2の等値線によって包囲された面積を算出することによって、第2の色域面積を決定するステップであって、第2の等値線が、基準フィルタを通して視認または照明される1組の基準色の観察者への見え方に対応する、ステップと、第1の色域面積を第2の色域面積と比較するステップとによって、色弁別に及ぼすその影響を査定するステップを含んでもよい。
フィルタの性能を評価するステップは、代替として、または加えて、色空間内の色度平面において、軸上に射影された第1の分布の第1の標準偏差を決定するステップであって、第1の分布が、試験的フィルタを通して視認または照明される1組の基準色の観察者への見え方に対応する、ステップと、色空間内の色度平面において、軸上に射影された第2の分布の第2の標準偏差を決定するステップであって、第2の分布が、基準フィルタを通して視認または照明される1組の基準色の観察者への見え方に対応する、ステップと、第1の標準偏差を第2の標準偏差と比較するステップとによって、色弁別に及ぼすその影響を査定するステップを含んでもよい。分析のための有用軸は、第1色視異常混同線、第2色視異常混同線、および第3色視異常混同線によって定義されるものを含む。
いくつかの変形例では、フィルタの性能を評価するステップは、法線入射からずれた入射角のある範囲にわたって、フィルタの性能の平均または加重平均をとるステップを含んでもよい。角度の範囲は、例えば、約0度〜少なくとも約20度、または、例えば、約0度〜少なくとも約30度の間にあってもよい。
いくつかの変形例では、フィルタによって調整および/または向上されるべき色は、マンセル値の色見本帳からの色見本のスペクトル反射率によって規定される。
いくつかの変形例では、フィルタによって調整および/または向上されるべき色は、マンセル値の色見本帳からの見本の代替として、またはそれに加えて、ファルンスワースD−15からの色キャップのスペクトル反射率によって規定される。
いくつかの変形例では、フィルタによって調整および/または向上されるべき色は、マンセル値の色見本帳からの見本の代替として、またはそれに加えて、例えば、葉および花を含む、自然オブジェクトのスペクトル反射率によって規定される。
いくつかの変形例では、前述の線形プログラム式における行列Aおよびベクトルbの要素のうちの少なくとも一部は、フィルタを通して視認される、青色、赤色、緑色、または黄色交通信号の見え方に関する制約条件に関連する。これらの制約条件は、例えば、工業または規制基準に基づいてもよく、例えば、信号機の色が、フィルタを通して視認されるとき、具体的色彩および発光限界内にあることを要求し得る。本方法は、そのような制約条件を満たす一方、色弁別を改善する、または別様に、色の見え方を向上させる、フィルタを提供し得る。
いくつかの変形例では、前述の線形プログラム式における行列Aおよびベクトルbの要素のうちの少なくとも一部は、フィルタへの光の入射角の変化に関して、フィルタを通して視認または照明される、色の見え方の安定性を提供する制約条件に関連する。安定性は、設計されたフィルタの白色点が、2つ以上の入射角において、不変、または実質的に、不変であるような制約条件の構成によって提供される。さらに、そのような変形例では、フィルタfは、吸収前置フィルタpと干渉フィルタqの構成を備えてもよく、pの入射角毎の透過率の変化は、ランベルト・ベールの法則に準拠し、Exの入射角毎の透過率の変化は、表面法線ベクトルからずれた入射角θにおけるfの透過率弧度が、fθ(λ)で示され、下記式によって近似され得るように、スネルの法則に準拠し、
fθ(λ)=p(λ)(1/cos(θ)) i=1...Nxiei(λ/sqrt(1−sin2(θ)/n2))
式中、有効屈折率eiは、約1.85の値を有するnであって、近似度は、約0度〜約45度のθに対して十分である。
いくつかの変形例では、前述の線形プログラム式における行列Aおよびベクトルbの要素のうちの少なくとも一部は、フィルタによる約380ナノメートル〜約450ナノメートルの間の青色光の透過に関する制約条件に関連し、例えば、そのような透過を最小にする。
いくつかの変形例では、上記式における行列Aおよびベクトルbの要素のうちの少なくとも一部は、約450ナノメートル〜約650ナノメートルの間のフィルタによって最小透過率を規定する制約条件に関連する。
いくつかの変形例では、上記式における行列Aおよびベクトルbの要素のうちの少なくとも一部は、約580ナノメートル〜約620ナノメートルの間のフィルタによる最小透過率を規定する制約条件に関連する。
いくつかの変形例では、上記式における行列Aおよびベクトルbの要素のうちの少なくとも一部は、電子表示装置、例えば、発光ダイオード(LED)バックライトを有する液晶ディスプレイ(LCD)によって放出される原色光の光透過に関する制約条件に関連する。
いくつかの変形例では、上記式における行列Aおよびベクトルbの要素のうちの少なくとも一部は、フィルタへの入射角、例えば、約0度〜約30度にわたる、正常な色弁別および安定した色の見え方と組み合わせて、可視レーザ、例えば、周波数倍増Nd:YAGレーザ(532ナノメートルおよび1064ナノメートルにおいて、レーザ出力パワーを有する)からの放射線眼保護を提供する、制約条件に関連する。
いくつかの変形例では、上記式における行列Aおよびベクトルbの要素のうちの少なくとも一部は、フィルタへの入射角、例えば、約0度〜約30度にわたる、安定した色の見え方と組み合わせて、ナトリウムフレア(約589ナノメートルに集中されたパワーを有する)からの放射線眼保護を提供する、制約条件に関連する。
いくつかの変形例では、上記式における行列Aおよびベクトルbの要素のうちの少なくとも一部は、選択された発光体に対して、フィルタを通した透過後に視認される、発光体の色の見え方が、フィルタによって反射後、視認されると発光体の色の見え方と一致するようにもたらし、フィルタによって透過されたフィルタリングされた発光体が、選択された基準色の弁別の向上をもたらし、フィルタによって透過されない光の部分が、フィルタによって反射される制約条件に関連する。
別の側面では、前述の方法における線形プログラムは、同等の数値最適化手法と置換される。そのような変形例では、同等の手法は、推定値のある範囲にわたって、帯域位置と帯域幅との全組み合わせを集計し、次いで、各多帯域フィルタを制約条件基準および性能基準に対して評価し、次いで、制約条件基準に合格するフィルタのサブセットを選択し、次いで、サブセットの中の最良フィルタを試験的フィルタとして選択するステップを含んでもよい。そのような変形例はさらに、試験的フィルタを性能基準、作成基準、または性能および作成基準に対して評価するステップを含んでもよい。いくつかのそのような変形例はまた、制約条件基準、性能基準、または任意のそれらの組み合わせを調節し、次いで、再び、数値最適化手法を実行し、別の試験的フィルタを提供するステップを含んでもよい。制約条件基準または性能基準は、例えば、(すなわち、現在の試験的フィルタと比較して、次の試験的フィルタの)色弁別をさらに改善するように、調節されてもよい。
別の側面では、試験的フィルタの色視に及ぼす効果を評価するためのコンピュータ実装方法は、コンピュータを使用するステップと、色空間内の色度平面において、第1の等値線によって包囲された面積を算出することによって、第1の色域面積を決定するステップであって、第1の等値線が、試験的フィルタを通して視認または照明される1組の基準色の観察者への見え方に対応するステップと、色空間内の色度平面において、第2の等値線によって包囲された面積を算出することによって、第2の色域面積を決定するステップであって、第2の等値線が、基準フィルタを通して視認または照明される1組の基準色の観察者への見え方に対応するステップと、第1の色域面積を第2の色域面積と比較するステップとを含む。
いくつかの変形例では、フィルタの性能を評価するステップは、法線入射からずれた入射角のある範囲にわたって、フィルタによって提供される色域面積の平均または加重平均をとるステップを含んでもよい。角度の範囲は、例えば、約0度〜少なくとも約20度であってもよい。いくつかのそのような変形例では、重要度加重関数は、フィルタが、ヒトの眼および典型的眼鏡フレーム内の面上に位置するフィルタの幾何学的モデルに従って、特定の角度で視認される確率を推定することによって、導出される。
いくつかの変形例では、第1の色域面積を第2の色域面積と比較するステップは、第1の色域面積と第2の色域面積との比をとるステップを含む。
いくつかの変形例では、基準色の少なくとも一部は、マンセル表色系から選択される。代替として、または加えて、基準色の少なくとも一部は、ファルンスワースD−15から選択される。代替として、または加えて、基準色の少なくとも一部は、試験的フィルタが、色視に影響を及ぼすように使用されることができる環境内に存在する色から選択される。後者の場合、いくつかの変形例では、基準色の少なくとも一部は、屋外環境内において自然に出現する色から選択される。
いくつかの変形例では、基準色は、色度平面内の白色点の周囲の中程度の飽和度の等値線を形成するように選択される。加えて、または代替として、基準色は、色度平面内の白色点の周囲の高飽和度の等値線を形成するように選択される。
基準フィルタは、例えば、広帯域透過率を有するように選択されてもよい。いくつかの変形例では、基準フィルタは、選択された発光体、例えば、昼光に関して、試験的フィルタと同一の白色点を有するように選択される。いくつかの変形例では、試験的フィルタへの最良適合を有するマンセル表色系は、基準フィルタを定義するために使用され、マンセル表色系見本の測定されたスペクトル反射率は、基準フィルタのスペクトル透過率であるように定義される。
別の側面では、試験的フィルタの色視に及ぼす効果を評価するためのコンピュータ実装方法は、コンピュータを使用するステップと、色空間内の色度平面において、軸上に射影された第1の分布の第1の標準偏差を決定するステップであって、第1の分布が、試験的フィルタを通して視認または照明される1組の基準色の観察者への見え方に対応する、ステップと、色空間内の色度平面における軸に沿って射影された第2の分布の第2の標準偏差を決定するステップであって、第2の分布が、基準フィルタを通して視認または照明される1組の基準色の観察者への見え方に対応する、ステップと、第1の標準偏差を第2の標準偏差と比較するステップとを含む。
いくつかの変形例では、軸は、第1色視異常混同線であると定義される。
いくつかの変形例では、軸は、第2色視異常混同線であると定義される。
いくつかの変形例では、軸は、第3色視異常混同線であると定義される。
いくつかの変形例では、フィルタの性能を評価するステップは、法線入射からずれた入射角のある範囲にわたって、フィルタによって提供される色域面積の平均または加重平均をとるステップを含んでもよい。角度の範囲は、例えば、約0度〜少なくとも約20度であってもよい。いくつかのそのような変形例では、重要度加重関数は、フィルタが、ヒトの眼および典型的眼鏡フレーム内の面上に位置するフィルタの幾何学的モデルに従って、特定の角度で視認される確率を推定することによって、導出される。
いくつかの変形例では、第1の標準偏差を第2の標準偏差と比較するステップは、第1の標準偏差と第2の標準偏差との比をとるステップを含む。
いくつかの変形例では、基準色の少なくとも一部は、マンセル表色系から選択される。代替として、または加えて、基準色の少なくとも一部は、ファルンスワースD−15から選択される。代替として、または加えて、基準色の少なくとも一部は、試験的フィルタが、色視に影響を及ぼすように使用されることができる環境内に存在する色から選択される。後者の場合、いくつかの変形例では、基準色の少なくとも一部は、屋外環境内において自然に出現する色から選択される。
いくつかの変形例では、基準色は、色度平面内の白色点の周囲の中程度の飽和度の等値線を形成するように選択される。加えて、または代替として、基準色は、色度平面内の白色点の周囲の高飽和度の等値線を形成するように選択される。
基準フィルタは、例えば、広帯域透過率を有するように選択されてもよい。いくつかの変形例では、基準フィルタは、選択された発光体、例えば、昼光に関して、試験的フィルタと同一の白色点を有するように選択される。いくつかの変形例では、試験的フィルタに対して最良適合を有するマンセル表色系が、基準フィルタを定義するために使用され、マンセル表色系見本の測定されたスペクトル反射率は、基準フィルタのスペクトル透過率であると定義される。
別の側面では、色視に影響を及ぼすための多帯域フィルタは、2つの遮断帯域によって分離された第1、第2、および第3の通過帯域を備える。通過帯域および遮断帯域は、正常観察者にとって、色弁別を増大させるように構成される(例えば、フィルタの機能性能評価は、CIE 1931 2度標準観察者に対して、色視に及ぼすその影響を考慮してもよい)。第1の通過帯域は、約435ナノメートル〜約465ナノメートルの間に位置する中心を有し、第2の通過帯域は、約525ナノメートル〜約555ナノメートルの間に位置する中心を有し、第3の通過帯域は、約610ナノメートル〜約660ナノメートルの間に位置する中心を有する。通過帯域幅は各々、約20ナノメートル〜約80ナノメートルの間であり、遮断帯域幅は各々、少なくとも、約40ナノメートルにある。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが表面法線ベクトルから約0度〜少なくとも約30度外れた入射角に対して、安定した色の見え方を提供し、平均的な昼光の白色点が、入射角の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV(u’,v’)色空間上の約0.02単位の半径を有する領域およびCIE 1931 2度標準観察者内に含有され
るように構成される(例えば、適切に配置および/または成形される)。いくつかのそのような変形例では、領域は、約0.01単位の半径を有する。さらなる変形例では、色度座標は、CIE 1931 2度標準観察者に加えて、またはその代替として、CIE 1964 10度標準観察者を使用して計算されてもよい。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが表面法線ベクトルから約0度〜少なくとも約30度外れた入射角に対して、安定した色の見え方を提供し、平均的な昼光の白色点が、入射角の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV(u’,v’)1964 2度標準観察者色度図上の約0.02単位の半径を有する領域の内側に含有されるように構成される。いくつかのそのような変形例では、領域は、約0.01単位の半径を有する。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、青色−黄色弁別を増大させるように構成される。そのような変形例では、第1の通過帯域は、約450ナノメートル〜約475ナノメートルの間に位置する中心を有し、第2の通過帯域は、約545ナノメートル〜約580ナノメートルの間に位置する中心を有し、第3の通過帯域は、約650ナノメートル〜約690ナノメートルの間に位置する中心を有する。そのような変形例では、通過帯域幅は各々、約20ナノメートル〜約60ナノメートルの間にある。
いくつかのそのような変形例では、フィルタは、その規格によって許容される限り、非飽和化またはほぼ非飽和化される、工業規格ANSI Z80.3−2010によって定義された緑色交通信号のための色度座標を提供するように構成される。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、約8%〜約40%の光透過率を有し、帯域は、フィルタが工業規格ANSI Z80.3−2010に従って、「強く着色されていない」と見なされるように構成される。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、フィルタの白色点が中性またはほぼ中性であり、フィルタが工業規格ANSI Z80.3−2010第4.6.3.1節に従って定義される平均昼光色限定領域の境界上の任意の点から少なくとも約0.05単位だけ外れている(x,y)色度座標を提供するように構成される。さらなる変形例では、フィルタは、白色点が平均昼光色限定領域上またはほぼその上にあるように構成される。
いくつかの変形例では、遮断帯域は、光透過率の約1/5である最小透過率を有する。最小透過率は、遮断帯域の境界内のスペクトル透過率の最低値である。
いくつかの変形例では、フィルタは、少なくとも約440ナノメートルを下回る短波長の光の抑制と組み合わせて、色弁別を増大させるように構成される。そのような変形例では、第1の通過帯域は、約450ナノメートル〜約470ナノメートルの間に位置する中心を有し、および約10ナノメートル〜約40ナノメートルの間の幅を有し、第2の通過帯域は、約545ナノメートル〜約575ナノメートルの間に位置する中心および約30ナノメートル〜約60ナノメートルの間の幅を有し、第3の通過帯域は、約630ナノメートル〜約670ナノメートルの間の中心位置および約40ナノメートル〜約90ナノメートルの間の幅を有する。いくつかのそのような変形例では、フィルタは、約20%〜約35%の光透過率を有する。いくつかのそのような変形例では、ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、角度0度〜少なくとも約25度に対して0を超える。白色点が中性である、いくつかのそのような変形例では、ファルンスワースD−15色に関する重要度加重パーセント色域面積増加は、少なくとも20%であってもよい。いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、約8%〜約40%の光透過率を有し、帯域は、フィルタの白色点が工業規格ANSI Z80.3−2010に従って、強く着色されていないと見なされるフィルタに対する限界を定義する境界上またはほぼその上にあるように構成される。
いくつかの変形例では、フィルタは、干渉フィルタと組み合わせて、減光吸収フィルタの組み込みによって作成される。いくつかの変形例では、干渉フィルタのスペクトル透過率は、有意に平滑化され、干渉フィルタは、誘電材料の約50未満の層を備え、および/または約3ミクロン未満の総厚を有する。さらなる変形例では、フィルタは、干渉フィルタに加え、ネオジム含有基板の組み込みによって作成される。フィルタはさらに、ニュートラルデンシティフィルタを備えてもよい。いくつかの変形例では、減光吸収フィルタは、干渉フィルタの層内に組み込まれ得る金属減衰コーティングを備える。ニュートラルデンシティフィルタは、ほぼ平坦スペクトル透過率を有するので、ニュートラルデンシティフィルタと併用するように構成されるフィルタは、多くの本質的に等価である選択肢によって構成されてもよい。例えば、円形偏光フィルタが、金属減衰コーティングに対して交換され、同一またはほぼ同一のスペクトル透過率を有するフィルタを達成してもよい。
好適なものとして、前述の変形例のいずれかのフィルタが、眼鏡類内に組み込まれてもよい。そのような眼鏡類として、例えば、眼鏡(例えば、サングラス)、ゴーグル、コンタクトレンズ、または任意の他の好適な眼科用レンズが挙げられ得る。
別の側面では、色視に影響を及ぼすための多帯域フィルタは、2つの遮断帯域によって分離される第1、第2、および第3の通過帯域を備える。通過帯域および遮断帯域は、約450ナノメートルを下回る短波長の抑制と組み合わせて、正常な色弁別を提供するように構成される。
いくつかの変形例では、フィルタは、3つの通過帯域を有し、第1の通過帯域は、約465ナノメートルの中心波長および約20ナノメートルの半値幅を有し、第1の遮断帯域は、約14%の最小透過率を有し、第2の通過帯域は、約550ナノメートルの中心波長および約40ナノメートルの半値幅を有し、第2の遮断帯域は、約580ナノメートル〜約610ナノメートルの間に約50%の最小透過率を有し、第3の通過帯域は、約660ナノメートルの中心波長および約80ナノメートルの半値幅を有する。
いくつかの変形例では、フィルタは、4つの通過帯域を有し、第1の通過帯域は、約465ナノメートルの中心波長および約20ナノメートルの半値幅を有し、第1の遮断帯域は、約17%の最小透過率を有し、第2の通過帯域は、約550ナノメートルの中心波長および約35ナノメートルの半値幅を有し、第2の遮断帯域は、約560ナノメートルに位置し、約40%の最小透過率を有し、第3の通過帯域は、約595ナノメートルに位置し、約35ナノメートルの半値幅を有し、第4の通過帯域は、約660ナノメートルに位置し、約80ナノメートルの半値幅を有する。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが、表面法線ベクトルから約0度〜約40度外れた入射角に対して、安定した色の見え方を提供し、平均的な昼光の(u’,v’)色度座標が、入射角の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV色空間1931 2度標準観察者色度(u’,v’)スケール上で約0.01単位の半径を有する領域の内側に含有されるように、配置および/または成形される。
いくつかの変形例では、ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、角度0度〜少なくとも約25度に対して、0を超える。いくつかの変形例では、白色点は、中性であって、重要度加重ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、約0%〜約10%である。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、約8%〜約40%の光透過率を有し、帯域は、フィルタの白色点が、工業規格ANSI Z80.3−2010に従って、強く着色されていないと見なされるフィルタに対して、限界を定義する境界上またはほぼその上にあるように構成される
いくつかの変形例では、フィルタは、干渉フィルタと組み合わせて、減光吸収フィルタの組み込みによって作成される。いくつかのそのような変形例では、減光吸収フィルタは、線形偏光子である。さらなる変形例では、フィルタは、吸収要素を伴わずに作成される。いくつかの変形例では、フィルタは、フォトクロミック基板上への干渉フィルタの蒸着によって作成される。
好適なものとして、前述の変形例のいずれかのフィルタが、眼鏡類内に組み込まれてもよい。そのような眼鏡類は、例えば、眼鏡(例えば、サングラス)、ゴーグル、コンタクトレンズ、または任意の他の好適な眼科用レンズを含んでもよい。
別の側面では、色視に影響を及ぼす多帯域フィルタは、2つの遮断帯域によって分離される第1、第2、および第3の通過帯域を備える。通過帯域および遮断帯域は、赤色−緑色視異常を有する観察者のために、赤色−緑色弁別を増大させるように構成される。対応して、そのようなフィルタの性能測定基準の評価は、そのような観察者の生理学的特性を考慮してもよい。第1の通過帯域は、約440ナノメートル〜約455ナノメートルの中心波長を有し、第2の通過帯域は、約530ナノメートル〜約545ナノメートルの中心波長を有し、第3の通過帯域は、約610ナノメートル〜約640ナノメートルの中心波長を有する。通過帯域幅は各々、約10ナノメートル〜約60ナノメートルであり、遮断帯域幅は各々、少なくとも約40ナノメートルであり、帯域の幅は、フィルタの所望の光透過率および白色点の色合いに従って選択されてもよい。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが、表面法線ベクトルから約0度〜約30度外れた入射角に対して、安定した色の見え方を提供し、昼光の白色点が、入射角の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV 1931 2度標準観察者色度(u’,v’)スケール上で約0.02単位の半径を有する領域の内側に含有されるように、配置および/または成形される。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが、表面法線ベクトルから約0度〜約35度外れた入射角に対して安定した色の見え方を提供し、昼光の白色点が、入射角の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV 1931 2度標準観察者色度(u’,v’)スケール上で約0.04単位の半径を有する領域の内側に含有されるように、配置および/または成形される。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが、安定した色の見え方を提供し、白色点が、0度の入射角に対して、その位置からシフトする入射角依存距離が、角度約20〜約40度の入射角において、極小値を有し、極小値における白色点シフトが、CIELUV 1931 2度標準観察者色度(u’,v’)スケール上で0.02単位未満であるように、配置および/または成形される。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが、安定した色の見え方を提供し、白色点が、0度の入射角に対して、その位置からシフトする入射角依存距離が、約20〜約40度の角度において、極小値を有し、極小値における白色点シフトが、CIELUV 1931 2度標準観察者色度(u’,v’)スケール上で0.01単位未満であるように、配置および/または成形される。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、光透過率約8%〜約40%を有し、帯域は、フィルタが、工業規格ANSI Z80.3−2010に従って、強く着色されていないと見なされるように構成される。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、約8%〜約40%の光透過率を有し、帯域は、フィルタの白色点が、中性またはほぼ中性であって、白色点の(x,y)色度座標が、発光体D65に関して、CIE xyY 1931 2度標準観察者色空間上で約0.05単位(0.31、0.33)内であるように構成される。
いくつかの変形例では、遮断帯域は、約450ナノメートル〜約650ナノメートルの光透過率の約1/5である最小透過率を有する。
いくつかの変形例では、遮断帯域は、約580ナノメートル〜約650ナノメートルの光透過率の約1/5である最小透過率を有する。
いくつかの変形例では、通過帯域のうちの1つ以上は、歪曲分布を有し、通過帯域の両側の波長毎の透過率の勾配比は、4:1〜1:4である。
いくつかの変形例では、通過帯域のうちの1つ以上は、不規則分布を有し、通過帯域は、本質的に、通過帯域の片側または両側に肩を有するように説明され得る。
いくつかの変形例では、通過帯域のうちの1つ以上は、双峰分布を有し、2つのモードの中心波長は、約+/−10%以内にあって、モードの周囲の分布は、部分的に重複している。そのような構成はまた、通過帯域を隣接する部分的に重複しているサブ帯域に分割するように説明され得る。
いくつかの変形例では、第1の通過帯域は、双峰分布を有し、第1のモードは、約435ナノメートルであって、第2のモードは、約455ナノメートルである。そのような変形例では、第1のモードのピーク透過率は、第2のモードのピーク透過率以上であってもよい。
いくつかの変形例では、第2の通過帯域中心波長が、約525ナノメートル〜約535ナノメートルの間にある入射角に関して、フィルタは、その規格によって許容される限り、赤褐色またはほぼ赤褐色である工業規格ANSI Z80.3−2010によって定義される黄色交通信号に対する色度座標を提供するように構成される。
いくつかの変形例では、フィルタは、緑色弱を有する観察者のために、赤色−緑色弁別を増大させるように構成される。好ましい変形例では、第3の通過帯域は、約620ナノメートル〜約640ナノメートルの間の中心波長を有する。いくつかのそのような変形例では、第1の通過帯域は、約445ナノメートルに位置する中心を有し、第2の通過帯域は、約535ナノメートルの中心波長を有し、第3の通過帯域は、約635ナノメートルの中心波長を有する。
いくつかの変形例では、フィルタは、軽度緑色弱を有する患者のために、赤色−緑色弁別を増大させるように構成される。いくつかのそのような変形例では、白色点は、中性であって、重要度加重ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、少なくとも約30%である。さらなるそのような変形例では、ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、0度〜少なくとも約25度の角度に対して、0を越えている。
いくつかの変形例では、フィルタは、中程度緑色弱を有する観察者のために、赤色−緑色弁別を増大させるように構成される。いくつかのそのような変形例では、白色点は、中性であって、重要度加重ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、少なくとも約35%である。さらなるそのような変形例では、ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、0度〜少なくとも約25度の角度に対して0を超える。
いくつかの変形例では、フィルタは、重度緑色弱を有する観察者のために、赤色−緑色弁別を増大させるように構成される。そのような変形例では、遮断帯域は、約580ナノメートル〜約650ナノメートルの間の光透過率の約1/5であって、かつ約475ナノメートル〜約580ナノメートルの間の光透過率の約1/5未満、例えば、約1/10の最小透過率を有してもよい。いくつかのそのような変形例では、白色点は、中性であって、重要度加重ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、少なくとも約40%である。さらなるそのような変形例では、ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、角度0度〜少なくとも約25度に対して、0を超える。
いくつかの変形例では、フィルタは、第1色弱を有する観察者のために、赤色−緑色弁別を増大させるように構成される。いくつかのそのような変形例では、第3の通過帯域は、約605ナノメートル〜約620ナノメートルの間の中心波長を有する。いくつかのそのような変形例では、第1の通過帯域は、約440ナノメートルの中心波長を有し、第2の通過帯域は、約530ナノメートルの中心波長を有し、第3の通過帯域は、約615ナノメートルの中心波長を有する。いくつかのそのような変形例では、白色点は、中性であって、法線入射においてフィルタによって提供される、ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、少なくとも約40%である。さらなるそのような変形例では、ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、0度〜少なくとも約25度の角度に対して0を超える。
いくつかの変形例では、フィルタは、干渉フィルタと組み合わせて、減光吸収フィルタの組み込みによって作成される。さらなる変形例では、フィルタは、干渉フィルタと組み合わせて、減光吸収フィルタに加え、ネオジム含有基板の組み込みによって作成される。
好適なものとして、前述の変形例のいずれかのフィルタが、眼鏡類内に組み込まれてもよい。そのような眼鏡類は、例えば、眼鏡(例えば、サングラス)、ゴーグル、コンタクトレンズ、または任意の他の好適な眼科用レンズを含んでもよい。
別の側面では、多帯域フィルタは、2つ以上の遮断帯域によって分離される3つ以上の通過帯域を備える。通過帯域および遮断帯域は、光が、ほぼ等しい輝度で現れるように、電子表示装置の青色、赤色、および緑色原色光を透過するように構成され、原色光の光透過率は、昼光の光透過率の少なくとも約15%を超える。いくつかのそのような変形例では、白色点は、中性であって、ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、角度0度〜少なくとも約25度に対して、0を超える。いくつかのそのような変形例では、重要度加重ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、少なくとも約20%である。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、約8%〜約40%の光透過率を有し、帯域は、フィルタの白色点が、中性またはほぼ中性であって、白色点の(x,y)色度座標が、発光体D65に関して、CIE xyY 1931 2度標準観察者色空間上で、約0.05単位(0.31、0.33)内であるように構成される。
いくつかの変形例では、フィルタは、3つの通過帯域を有し、第1の通過帯域は、約450ナノメートルの中心波長および約20ナノメートルの幅を有し、第2の通過帯域は、約535ナノメートルの中心波長および約25ナノメートルの幅を有し、第3の通過帯域は、約615ナノメートルの中心波長および約30ナノメートルの幅を有する。
いくつかの変形例では、フィルタは、4つの通過帯域を有し、第1の通過帯域は、約455ナノメートルの中心波長および約20ナノメートルの幅を有し、第2の通過帯域は、約540ナノメートルの中心波長および約25ナノメートルの幅を有し、第3の通過帯域は、約615ナノメートルの中心波長および約25ナノメートルの半値幅を有し、第4の通過帯域は、約680ナノメートルの中心波長および約25ナノメートルの半値幅を有する。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが、表面法線ベクトルから約0度〜約40度外れた入射角に対して、安定した色の見え方を提供し、平均的な昼光の白色点が、入射角の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV 1931 2度標準観察者色度(u’,v’)スケール上で約0.01単位の半径を有する領域の内側に含有されるように、配置および/または成形される。
いくつかの変形例では、フィルタが構成される、コンピュータディスプレイは、発光ダイオード(LED)バックライトを有する液晶ディスプレイ(LCD)である。
いくつかの変形例では、白色点は、中性であって、フィルタによって提供されるファルンスワースD−15色に関する重要度加重パーセント色域面積増加は、少なくとも約20%である。
いくつかの変形例では、フィルタは、干渉フィルタと組み合わせて、減光吸収フィルタの組み込みによって作成される。
好適なものとして、前述の変形例のいずれかのフィルタが、眼鏡類内に組み込まれてもよい。そのような眼鏡類は、例えば、眼鏡(例えば、サングラス)、ゴーグル、コンタクトレンズ、または任意の他の好適な眼科用レンズを含んでもよい。
別の側面では、眼の安全性の向上をもたらす多帯域フィルタは、正常色の見え方を提供し、また、遮断帯域を提供し(遮断帯域は、約450ナノメートル〜約650ナノメートルの1つ以上の波長における可視放射線から眼を保護する)、フィルタの表面法線ベクトルから約0度〜約30度の入射角の範囲にわたって、遮断を提供するように構成される。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、8%〜約40%の光透過率約を有し、帯域は、フィルタの白色点が、中性またはほぼ中性であって、白色点の(x,y)色度座標が、CIE xyY 1931 2度標準観察者色空間上の発光体D65に関して、約0.05単位(0.31、0.33)内にあるように構成される。
いくつかの変形例では、保護遮断帯域は、約530ナノメートルにおいて、短波長境界を有し、約560ナノメートルにおいて、長波長境界を有し、約532ナノメートルにおける可視放射線からの保護を提供する。そのような変形例では、フィルタは、3つの遮断帯域によって分離される4つの通過帯域を備えてもよく、中間遮断帯域は、保護帯域である。第1の通過帯域は、約440ナノメートルの中心波長および約20ナノメートルの幅を有し、第2の通過帯域は、約515ナノメートルの中心波長および約25ナノメートルの幅を有し、第3の通過帯域は、約570ナノメートルの中心波長および約25ナノメートルの幅を有し、第4の通過帯域は、約635ナノメートルの中心波長および約25ナノメートルの幅を有する。
そのような変形例では、ファルンスワースD−15色に関する重要度加重パーセント色域面積増加は、約0である。いくつかの変形例では、ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、角度0度〜少なくとも約25度に対して、約0である。
いくつかの変形例では、遮断帯域は、約585ナノメートルにおいて、短波長境界を、および約620ナノメートルにおいて、長波長境界を有し、したがって、約589ナノメートルにおいて、可視放射線からの保護を提供する。そのような変形例では、フィルタは、2つの遮断帯域によって分離される4つの通過帯域を備えてもよく、長波長遮断帯域は、保護を提供する。いくつかの変形例では、第1の通過帯域は、約455ナノメートルの中心波長および約20ナノメートルの幅を有し、第2の通過帯域は、約540ナノメートルの中心波長および約20ナノメートルの幅を有し、第3の通過帯域は、約570ナノメートルの中心波長および約20ナノメートルの幅を有し、第4の通過帯域は、約635ナノメートルの中心波長および約30ナノメートルの幅を有する。
いくつかのそのような変形例では、白色点は、中性であって、ファルンスワースD−15色に関する重要度加重パーセント色域面積増加は、約0%〜約15%である。いくつかのそのような変形例では、ファルンスワースD−15色に関するパーセント色域面積増加は、角度0度〜少なくとも約25度に対して、0を超える。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが、表面法線ベクトルから約0度〜約35度外れた入射角に対して、安定した色の見え方を提供し、平均的な昼光の白色点が、入射角の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV 1931 2度標準観察者色度(u’,v’)スケール上で約0.01単位の半径を有する領域の内側に含有されるように、配置および/または成形される。
いくつかの変形例では、フィルタは、干渉フィルタと組み合わせて、減光吸収フィルタの組み込みによって作成される。
好適なものとして、前述の変形例のいずれかのフィルタが、眼鏡類内に組み込まれてもよい。そのような眼鏡類は、例えば、眼鏡(例えば、サングラス)、ゴーグル、コンタクトレンズ、または任意の他の好適な眼科用レンズを含んでもよい。
別の側面では、色視に影響を及ぼす多帯域フィルタは、2つ以上の遮断帯域によって分離される3つ以上の通過帯域を備える。通過帯域および遮断帯域は、正常な色弁別と組み合わせて、網膜神経節細胞による青色光の受光を最大にするように構成される。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、2つの遮断帯域によって分離される3つの通過帯域を有し、第1の通過帯域は、約485ナノメートルに位置する中心および約90ナノメートルの半値幅を有し、第2の通過帯域は、約580ナノメートルの中心波長および約25ナノメートルの半値幅を有し、第3の通過帯域は、約630ナノメートルの中心波長および約25ナノメートルの半値幅を有する。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、3つの遮断帯域によって分離される4つの通過帯域を有し、第1の通過帯域は、約430ナノメートルの中心波長および約30ナノメートルの半値幅を有し、第2の通過帯域は、約495ナノメートルの中心波長および約50ナノメートルの半値幅を有し、第3の通過帯域は、約565ナノメートルの中心波長および約20ナノメートルの半値幅を有し、第4の通過帯域は、約630ナノメートルの中心波長および約20ナノメートルの半値幅を有する。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが、表面法線ベクトルから約0度〜約30度外れた入射角に対して、安定した色の見え方を提供し、平均的な昼光の白色点が、入射角の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV 1931 2度標準観察者色度(u’,v’)スケール上で約0.01単位の半径を有する領域の内側に含有されるように、配置および/または成形される。
いくつかの変形例では、白色点は、中性であって、ファルンスワースD−15色に関する重要度加重パーセント色域面積増加は、約0%〜約−10%である。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、約8%〜約40%の光透過率を有し、帯域は、フィルタの白色点が、工業規格ANSI Z80.3−2010に従って、強く着色されていないと見なされるフィルタのための限界を定義する境界上またはそのほぼ上にあるように構成される。
いくつかの変形例では、フィルタは、干渉フィルタと組み合わせて、減光吸収フィルタの組み込みによって作成される。さらなる変形例では、フィルタは、干渉フィルタと組み合わせて、減光吸収フィルタに加え、ネオジム含有基板の組み込みによって作成される。いくつかの変形例では、フィルタ仕様は、干渉フィルタが、約50未満の材料層を伴って作成され得るように有意に平滑化される。
好適なものとして、前述の変形例のいずれかのフィルタが、眼鏡類内に組み込まれてもよい。そのような眼鏡類は、例えば、眼鏡(例えば、サングラス)、ゴーグル、コンタクトレンズ、または任意の他の好適な眼科用レンズを含んでもよい。
別の側面では、多帯域フィルタは、3つ以上の通過帯域および2つ以上の遮断帯域を備え、帯域は、ヒトの視覚による光の色の見え方を調整および/または向上させるように構成される。波長λ毎のフィルタfのスペクトル透過率f(λ)は、実質的に、下記式によって近似され得、
f(λ)=ε+i=1...Nwiui(λ)
上記式において、uiは、通過帯域であり、wiは、通過帯域をスケーリングする加重係数であり、εは、フィルタの最小透過率である。
上記式における、波長λ毎のフィルタの透過率の仕様(f,u)は、波長スケール(例えば、1ナノメートルのステップサイズを使用して)、または実質的に同等である別のスケール(例えば、周波数または対数波数)に基づいて、均等サンプリングによって、集計されてもよい。サンプリングはまた、サンプル点間に非均等間隔を有する任意のスケールに基づいて定義され得る。
いくつかの変形例では、フィルタは、3つの通過帯域および2つの遮断帯域を備える(すなわち、上記式において、N=3)。
いくつかの変形例では、フィルタは、4つの通過帯域および3つの遮断帯域を備える(すなわち、上記式において、N=4)。
いくつかの変形例では、フィルタ通過帯域は、本質的に矩形である、すなわち、帯域境界における波長毎の透過率の変化が、瞬間的またはほぼ瞬間的である。矩形通過帯域の幅は、短波長境界と長波長境界との間の距離によって特徴付けられ得る。矩形帯域幅は、周波数スケールに基づいて、等価的に測定されてもよい。矩形通過帯域のスペクトル透過率は、下記式によって定義され得、
u(μ,σ)(λ)=H(λ−(μ−σ/2))−H(λ−(μ+σ/2))
式中、μは、中心波長であり、σは、矩形帯域幅であり、Hは、ヘビサイドの階段関数である。
いくつかの変形例では、フィルタ通過帯域は、本質的にガウシアンである、すなわち、帯域境界における波長毎の透過率の変化は、段階的または本質的に平滑である。ガウシアン通過帯域の幅は、短波長側の半値透過率と長波長境界上の半値透過率との間の距離(半値全幅(FWHM)とも呼ばれる)によって特徴付けられ得る。半値帯域幅は、周波数スケールに基づいて、等価的に測定されてもよい。ガウシアン通過帯域のスペクトル透過率は、下記式によって定義され得、
e(μ,σ)(λ)=exp(−(λ−μ)2)/(2σ2))
式中、μは中心波長であって、半値帯域幅は、
2σsqrt(2ln(2))
である。
いくつかの変形例では、通過帯域のうちの1つ以上は、不規則形状(すなわち、矩形でもなく、ガウシアンでもない)を有してもよい。例えば、通過帯域は、双峰分布を有してもよく、または通過帯域の1つ以上の側に肩を有してもよく、または波長毎の透過率の通過帯域の両側間の勾配比が、約4:1〜約1:4である、歪曲分布として説明されてもよい。
非ガウシアン通過帯域を有する変形例では、そのような通過帯域は、本質的に、不規則性および/または急激な遷移を除去するために十分に広範囲に及ぶガウシアンカーネルによって平滑化されてもよく、その場合、通過帯域は、対応する平滑化された通過帯域の帯域中心および半値幅を有するように説明され得る。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが、表面法線ベクトルから約0度〜約35度外れた入射角に対して、安定した色の見え方を提供するように配置および/または成形され、それにより、昼光の白色点は、入射角の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV 1931 2度標準観察者色度図上で約0.01単位の半径を有する領域の内側に含有される。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが表面法線ベクトルから約0度〜約40度外れた入射角に対して、安定した色の見え方を提供するように配置および/または成形され、それにより、昼光の白色点は、入射角の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV 1931 2度標準観察者色度図上で約0.01単位の半径を有する領域の内側に含有される。
いくつかの変形例では、通過帯域は、表面法線ベクトルから約0度〜約45度外れた入射角に対して、フィルタが安定した色の見え方を提供するように配置および/または成形され、それにより、昼光の白色点は、入射角の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV 1931 2度標準観察者色度図上で約0.01単位の半径を有する領域の内側に含有される。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが安定した色の見え方を提供するように、配置および/または成形され、それにより、白色点が0度の入射角に対するその位置からそれによってシフトする入射角依存距離が、約20〜約45度の間の角度の入射角において極小値を有し、極小値における白色点シフトは、CIELUV 1931 2度標準観察者色度(u’,v’)スケールで0.02単位未満である。
いくつかの変形例では、通過帯域は、フィルタが安定した色の見え方を提供するように、配置および/または成形され、それにより、白色点が0度の入射角に対するその位置からそれによってシフトする入射角依存距離が、約20〜約45度の間の角度の入射角において極小値を有し、極小値における白色点シフトは、CIELUV 1931 2度標準観察者色度(u’,v’)スケールで0.01単位未満である。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、干渉フィルタとして作成される。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、干渉フィルタおよび1つ以上の減光吸収フィルタを備えるように作成され、干渉フィルタは、通過帯域および遮断帯域を提供する。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、干渉フィルタおよび1つ以上の広帯域吸収フィルタを備えるように作成され、干渉フィルタは、通過帯域および遮断帯域を提供する。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、干渉フィルタおよび1つ以上の狭帯域吸収フィルタを備えるように作成され、干渉フィルタおよび吸収フィルタは共同して、通過帯域および遮断帯域を提供するように構成される。
前述の変形例のいずれかでは、多帯域フィルタfは、吸収フィルタpとともに干渉フィルタqを備えてもよく、表面法線ベクトルから弧度θだけ外れた入射角におけるfの透過率が、fθ(λ)で表され、下記式によって近似され得るように、pの入射角毎の透過率の変化は、ランベルト・ベールの法則に従い、qの入射角毎の透過率の変化は、スネルの法則に従い、
q(λ)=f(λ)/p(λ),
fθ(λ)=p(λ)(1/cos(θ))q(λ/sqrt(1−sin2(θ)/n2))
式中、干渉フィルタqの有効屈折率は、約1.85の値を有するnであり、法線入射におけるpのスペクトル透過率は、p(λ)であり、法線入射におけるfのスペクトル透過率は、f(λ)であり、法線入射におけるqのスペクトル透過率は、q(λ)であり、近似度は、約0度〜約30度のθに対して十分である。
いくつかのそのような変形例では、qのスペクトル透過率は、下記式によって算出されるように、より長い波長に向かってシフトされ得、
q’(λ)=q(αλ)
1.0>α>1.03
式中、αは、シフトの量を決定する係数であり、αは、入射角のある範囲にわたってフィルタの性能基準を最大にするように選択される。
いくつかの変形例では、フィルタは、干渉フィルタを備え、干渉フィルタのスペクトル透過率は、有意に平滑化され、平滑化カーネルの幅は、フィルタの性能を過度に劣化させないように選択される一方、フィルタはまた、誘電材料の低次スタックとして作成されることを可能にする。
好適なものとして、前述の変形例のいずれかのフィルタが眼鏡類内に組み込まれてもよい。そのような眼鏡類は、例えば、眼鏡(例えば、サングラス)、ゴーグル、コンタクトレンズ、または任意の他の好適な眼科用レンズを含んでもよい。
別の側面では、表面上のフィルタの物理的な厚さの分布を決定するためのコンピュータ実装方法は、コンピュータを使用するステップと、フィルタのスペクトル透過率を定義するステップと、入射角のある範囲にわたってフィルタのスペクトル透過率を定義するステップと、表面の幾何学モデルを定義するステップと、ヒトの眼の幾何学モデルを定義するステップと、幾何学モデルを構成し、眼鏡類フレームの幾何学形状に近似させるステップであって、表面がフレーム内に搭載され眼の正面に位置するレンズである、ステップと、表面上の各位置に対して、眼の網膜上で結像される位置を通過する光の入射角を算出するステップと、各位置毎の物理的な厚さを規定するステップであって、スペクトル透過率が、算出された入射角に関して、表面上の全位置またはほぼ全位置において、不変または実質的に不変であるように、物理的な厚さが構成される、ステップとを含む。
別の側面では、表面上のフィルタの物理的な厚さの分布を決定するためのコンピュータ実装方法は、コンピュータを使用するステップと、フィルタのスペクトル透過率を定義するステップと、入射角のある範囲にわたって、フィルタのスペクトル透過率を定義するステップと、表面の幾何学モデルを定義するステップと、表面上に蒸着されたフィルタの相対的物理的な厚さの幾何学モデルを定義するステップと(例えば、特定の作成プロセスによって達成される物理的な厚さ分布の予測または測定の結果として)、ヒトの眼の幾何学モデルを定義するステップと、幾何学モデルを構成し、眼鏡類フレームの幾何学形状に近似させるステップであって、表面がフレーム内に搭載され、眼の正面に位置するレンズである、ステップと、視野の中心に対応する表面上の位置を算出するステップと、中心位置を通過する光の入射角を算出するステップと、中心位置に対して、位置毎の重要度分布を定義するステップと、中心位置における物理的な厚さを規定するステップであって、中心位置を通過し、網膜上で結像される光が、定義されたスペクトル透過率に従って、フィルタリングされるように、物理的な厚さが選択される、ステップと、規定された中心の物理的な厚さの+/−10%以内の物理的な厚さの変化の範囲と関連付けられたレンズの表面にわたって、色視に及ぼす重要度加重平均効果を算出し、次いで、色視に及ぼす重要度加重平均効果が最大にされるように、その範囲内でバイアスがかけられた中心の物理的な厚さを選択するステップとを含む。
別の側面では、多帯域フィルタを組み込む眼鏡類のためのレンズは、光学基板、1つ以上の反射干渉フィルタ、および反射フィルタの片側または両側に配置される1つ以上の吸収フィルタを備え、吸収フィルタは、レンズの片側または両側で反射される光の光度を低減させるように構成される。
いくつかの変形例では、干渉フィルタは、約12〜約50の誘電材料層を有する、または約1〜約3ミクロンの厚さである、低次スタックを備える、あるいは約12〜約50の誘電材料層を有し、約1〜約3ミクロンの厚さである、低次スタックを備える。
いくつかの変形例では、干渉フィルタは、約50〜少なくとも約200の誘電材料層を有する、または約6〜少なくとも約12ミクロンの厚さである、高次スタックを備える、あるいは、約50〜少なくとも約200の誘電材料層を有し、約6〜少なくとも約12ミクロンの厚さである、高次スタックを備える。
干渉フィルタを備える誘電材料層は、例えば、二酸化チタンおよび二酸化ケイ素の薄膜を含んでもよい。材料層は、例えば、マグネトロンスパッタリング機械内において、例えば、物理蒸着によって、加工されてもよい。代替として、または加えて、誘電材料層は、例えば、スピンコート蒸着によって、加工されてもよい。
いくつかの変形例では、減光吸収フィルタは、金属減衰コーティングによって提供される。金属材料層は、例えば、物理蒸着によって、加工されてもよい。そのような変形例では、金属層は、干渉フィルタの誘電層と交互配置される、または部分的に、交互配置されてもよい。
いくつかの変形例では、光活性減光吸収フィルタが、ガラスまたはポリマー基板内へのフォトクロミック材料の組み込みによって、提供される。そのような変形例では、干渉フィルタは、レンズの凸表面上に蒸着されてもよい。
いくつかの変形例では、線形偏光減光吸収フィルタが、偏光フィルタを積層された複合レンズ内へ組み込むことによって、またはレンズの表面上へコーティングすることによって、提供される。そのような変形例では、偏光子が、干渉フィルタと眼に向いたレンズの側との間に位置してもよい。
いくつかの変形例では、吸収フィルタは、ポリマー基板内の有機色素によって提供される。ポリマー材料は、例えば、光学基板媒体内への組み込み、2つの光学基板間の膜の積層、または光学基板の表面のスピンコーティングまたは浸漬染色によって等、任意の好適な手段によって、レンズ内に組み込まれてもよい。
いくつかの変形例では、吸収フィルタが、ガラスまたはポリマー基板内への無機材料の組み込みによって提供される。そのような変形例のうちのいくつかでは、無機材料は、プラセオジム、ホルミウム、ネオジム、またはそれらのいずれかの混合物の希土類イオンを含んでもよい。
いくつかの変形例では、1つ以上の吸収フィルタは、レンズの外側表面(眼から最も遠い表面)によって反射される昼光の色の見え方に影響を及ぼすように構成され、色の見え方は、審美的理由のように構成される。
いくつかの変形例では、吸収フィルタは、干渉フィルタの片側に配置され、干渉フィルタによって反射される光を吸収するように構成される、第1の円形偏光子と、第1の円形偏光子の干渉フィルタの反対側に配置され、干渉フィルタによって反射される光を吸収するように構成される、第2の円形偏光子とを備え、第1および第2の円形偏光子は、干渉フィルタを通して、光を透過させるように構成される。
いくつかの変形例では、眼に最も近いレンズの側の吸収フィルタは、干渉フィルタの片側に固定され、干渉フィルタによって反射される光を吸収するように構成される、第1の円形偏光子によって提供される。
1つ以上の円形偏光子、線形偏光子を備える円形偏光子、および4分の1波長位相差板を組み込む変形例では、線形偏光子要素は、部分的偏光効率、例えば、約60%〜約90%を提供するように構成されてもよい。
線形偏光子を含有する変形例では、線形偏光子は、ブルースター角現象に従って、水平平面によって反射される太陽光からのグレアを低減させるように、水平に偏光された光を減衰させるように構成されてもよい。
いくつかの変形例では、フィルタの全機能層が、光学基板の片側に配置され、基板の反対側は、光学基板内で反射される光の散乱および共鳴を低減させる、反射防止コーティングを有し、反射防止コーティングの光度加重反射率は、約0.5%未満である。
いくつかの変形例では、フィルタの全機能層は、2つの光学基板間に挟着され、光学基板の外側表面は、光学基板内で反射される光の散乱および共鳴を低減させるように反射防止コーティングされる。
いくつかの変形例では、レンズの縁は、屈折率整合された吸収ポリマーコーティングによって密閉されてもよく、縁コーティングは、光学基板内の迷光の透過および散乱を低減させ、加えて、フィルタの層を汚染(例えば、誘電または金属材料層内への水または溶媒の浸透)から保護する。
いくつかの変形例では、フィルタの全機能層は、物理蒸着による加工と互換性があるように、金属または金属酸化物コーティングである。
いくつかの変形例では、光学基板は、化学的強化ガラスである。そのような変形例では、ガラスは、例えば、紫外線光約280ナノメートル〜約400ナノメートルを吸収してもよい。
いくつかの変形例では、干渉フィルタは、光学厚さが、表面上の2つ以上の位置において、不変または実質的に不変であるように、誘電材料層の物理的な厚さが構成され、2つ以上の位置における、フィルタに対する光の有効入射角が、少なくとも20度異なり、光の有効入射角が、レンズを通過し、眼の網膜上に結像される、光線に対応するように、表面上に蒸着される。
いくつかの変形例では、光学基板は、湾曲され、曲率半径は、約50ミリメートル〜約200ミリメートルである。そのような変形例では、干渉フィルタおよび/または減衰コーティングは、表面の凹側に配置されてもよい。
好適なものとして、前述の変形例のいずれかのレンズが、例えば、眼鏡(例えば、サングラス)、ゴーグル、またはコンタクトレンズを含む、眼鏡類内に組み込まれてもよい。
別の側面では、光源は、発光体、第1のビーム形成要素、多帯域干渉フィルタ、および第2のビーム形成要素を備える。発光体から放射された光は、実質的に、第1のビーム形成要素によってコリメートされる。コリメートされたビームは、多帯域フィルタに入射し、透過および反射部分に分割される。光の透過および反射部分は、選択された発光体に関して、同じまたは実質的に同じ白色点を有する。光の透過部分は、赤色および緑色の見掛けの純度を向上させる、照明を提供し、光の反射部分は、青色および黄色の見掛けの純度を向上させる、照明を提供する。第2のビーム形成要素は、光の透過および反射部分を出力ビーム内に結合し、透過および反射光は、少なくとも部分的に、出力ビーム内で空間的に分離される。
いくつかの変形例では、出力ビームは、主に、多帯域フィルタによって透過される光を備える、中心部分と、主に、多帯域フィルタによって反射される光を備える、外側部分とを有する。
いくつかの変形例では、第1および第2のビーム形成要素の機能は、単一ビーム形成要素内に結合される。
いくつかの変形例では、発光体から多帯域フィルタに入射する光のビームコリメーション角度は、約20度である。そのような変形例では、発光体に関するフィルタの白色点は、例えば、コリメートされたビーム内の位置の全部またはほぼ全部に対して、CIELUV 1931 2度標準観察者色度図上で約0.01単位の半径を有する領域の内側に含有されてもよい。
いくつかの変形例では、多帯域フィルタは、2つの遮断帯域によって分離される3つの通過帯域を備え、第1の通過帯域は、約450ナノメートルの中心波長および約15ナノメートルの帯域幅を有し、第2の通過帯域は、約535ナノメートルの中心波長および約20ナノメートルの帯域幅を有し、第3の通過帯域は、約625ナノメートルの中心波長および約30ナノメートルの帯域幅を有する。
いくつかの変形例では、遮断帯域は、約10%の最小透過率を有する。さらなる変形例では、遮断帯域は、約1%の最小透過率を有する。
いくつかの変形例では、発光体は、1つ以上の蛍光体ベースの白色発光ダイオードおよび1つ以上の赤色発光ダイオードを備える。発光体によって放出される白色発光ダイオードおよび赤色発光ダイオードからの光の広帯域組み合わせは、約5000K〜約7000Kの間および約80〜90の間のCRIの等価色温度を有する。
いくつかの変形例では、発光体は、蛍光体ベースの白色発光ダイオード、シアン色発光ダイオード、および赤色発光ダイオードを備える。組み合わせられたダイオードによって放出される光は、約5000K〜約7000Kの間および約90〜100の間のCRIの相互相関色温度を有する広帯域スペクトル放射束を有する。いくつかのそのような変形例では、発光体のスペクトル放射束は、平均的な昼光の最良適合近似値(D65)であるように構成される。
光学フィルタ、眼鏡類、眼科用レンズ、発光体、および他の光学成分またはデバイスを設計、評価、または別様に査定するために、本明細書に開示される方法およびその変形例は全て、ステップが、特定の方法、物品、またはその変形例の説明に明示的に記載されるかどうかにかかわらず、そのような物品を作成するか、他者にそのような物品を作成してもらうか、または物品のための作成仕様を他者に提供するステップを含んでもよい。
本発明のこれらおよび他の側面、実施形態、変形例、特徴、ならびに利点は、最初に簡単に説明される、添付の図面と併せて、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、当業者により明白となるであろう。
以下の発明を実施するための形態は、同じ参照番号が異なる図を通して類似要素を指す図面を参照して熟読されたい。必ずしも、正確な縮尺ではない図面は、選択的実施形態を描写しており、発明の範囲を限定することを意図するものではない。発明を実施するための形態は、限定としてではなく、一例として、本発明の原理を図示する。本説明は、当業者が、本発明を作製および使用することを明確に可能にし、本発明を実施するための最良の形態であると現在考えられるものを含め、本発明のいくつかの実施形態、適応、変形例、代替、および使用を説明する。本明細書および添付の請求項において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって別様に明確に示されない限り、複数参照も含む。
本開示の教示は、光学の科学、ヒトの色視の科学、測色の科学、および関連主題の一般的理解とともに、有益に熟読され得る。これらの主題に関する一般的参照については、例えば、Guenter Wyszecki and W.S.Stiles,“Color Science:Concepts and Methods,Quantitative Data and Formulae”,Wiley,1982,ISBN #0471021067を参照されたい。
一般性を失うことなく、本開示は、ヒト視覚系の従来の構成を前提とし、具体的には、別様に記載されない限り、2度の視野を有する正常なヒト観察者の明所視色視の構成を前提とし得る。明所視色視は、照明のレベルが十分に高く、桿体光受容器細胞が活性化しないとき、例えば、平均表面照明が約10ルクス以上であるときに生じる。本開示では、色の見え方モデルは、別様に記載されない限り、2度視野を有するCIE 1931標準観察者を使用して、CIE 1976 L*u’v’(LUV)色空間を用いて計算される。この計算の詳細は、CIE規格S014−5/E:2009によって与えられる。色度図は、CIE 1976均等色度図(UCS)を使用して、図に示され、色度座標は、その規格によって算出される(u’,v’)値である。当業者にとって、これらの教示は、例えば、CIE 1964 10度標準観察者の使用を含む代替条件に、さらに、観察者の眼および網膜生理機能(例えば、光色素スペクトル吸収率および/または中間透光体および黄斑色素を含む、光受容器前眼成分の相違を導入することによって、例えば、色視異常、年齢、および/または眼科病理を考慮するため)、視野角サイズ、および分析において使用される色の見え方モデルの選択肢の変動にこの教示を適用するために十分な教授をもたらす。
本開示では、発光体D65(D65)は、相関色温度6500ケルビンを有する典型的な昼光のスペクトル放射束を有する光を指し、共同ISO/CIE規格ISO 10526:1999/CIE S005/E−1998によって定義されている。「昼光」、「太陽光」、または「平均的な昼光」への言及は、本開示では、発光体D65を指す。発光体Eは、波長毎に等パワーを有するとして定義される理想的な光を指す。発光体Aは、光、典型的には、2848Kの相関色温度を有するプランクの法則に従う理想黒体放射体のスペクトル放射束を有するとして定義される白熱電球の光を指す。典型的なタイプの蛍光照明器具のスペクトル放射束を表す、発光体FL1〜FL12を備える光群は、CIE Publication 15:2004によって定義されている。マンセル表色系は、スペクトル領域において定義される、色に対する規格を確立するための具体的色素によって編成される1組の色見本である。マンセル表色系は、The Munsell Book of Color,Glossy Edition,ISBN #9994678620,1980から印刷して利用可能である。マンセル表色系のスペクトル反射率の測定値は、Parkkinen J.P.S.,Hallikainen J.and Jaaskelainen T.,“Characteristic spectra of Munsell colors.”,Journal of the Optical Society of America A,vol.6,no.2,1989,pp.318−322によって出版されている。ファルンスワースD−15は、マンセルスケールで彩度2〜4を有する等値線を形成する、15のマンセル表色系サンプルを備える標準化された色弁別試験である。ファルンスワースD−15は、刊行物“The Farnsworth dichotomous test for color blindness panel D15 manual.”,New York:Psych Corp;1947,Farnsworth Dによって説明されている。
本開示に含まれる図は、オブジェクトを処理および生成する一般化されたオブジェクトおよび動作のフローを視覚的に描写するプロセスフロー図であり得る。図58は、視覚的言語の理解を支援するためのプロセスフロー図の実施例を描写する。この略図では、丸いボックス(例えば、5801および5803)は、物理的エンティティ、数値データ等の仮想エンティティ、または成分オブジェクトの異種集合体を含有する複合オブジェクトとして理解され得るオブジェクトを描写する。オブジェクトの同種集合体を含有する複合オブジェクトは、例えば、5808および5811に示されるように、二重線境界を有する丸いボックスによって描写される。複合オブジェクトから抽出される成分オブジェクトは、例えば、エンティティ5801および5803を接続して示されるように、点線矢印とともに描写される。プロセス内のオブジェクトのフローは、例えば、エンティティ5801および5802を接続して示される実線矢印によって示される。正方形のボックス(例えば、5802および5805)は、動作を繰り返す。動作は、オブジェクトを生成し、オブジェクトを変換し、またはオブジェクトを分析してもよい。動作の出力は、そのボックスから指向される矢印によって示される。動作の出力は、そのボックスに通じる全矢印を辿ることによって追跡され得るその入力に依存する。動作は、例えば、5806に示されるように、別のプロセス略図をカプセル化することによって、複合動作として形成されてもよい。本構造は、プロセスフロー図が、複数のページにわたって延在することを可能にし、ある略図に定義される複合動作は、別の略図において参照することによって起動され得る。動作は、直列または並列にともに接続されてもよく、具体的動作が行われる順序の詳細は、必ずしも、プロセスフロー図構文によって定義されず、付随の説明によって推測されなければならない。二重線矢印は、例えば、5808および5809を接続して示されるように、複数の同種オブジェクトのフローの反復を表す。反復される動作は、例えば、5809に、二重線の正方形境界を伴って示される。反復動作は、各反復オブジェクトに関するその入力を変動させるが、例えば、5807および5809を接続するフロー矢印に沿って示されるように、非反復オブジェクトに関しては、一定入力を保持してもよい。本開示において使用されるプロセスフロー図は、付随の発明を実施するための形態とともに解釈されることによって、理解を支援するために提供される。
色彩感覚は、概して、網膜に入射する光のスペクトル放射束と網膜光受容器細胞のスペクトル吸収率の相互作用から生じると理解され得る。明所視色視のプロセスおよび色彩感覚に影響を及ぼす光学フィルタの適用は、図1のプロセスフロー図に描写される。ここでは、標準光101(昼光等)が、光学系102中に放射される。発光体によって放出される光は、概して、白色光と見なされ得る。光学系102内において、白色光は、基準色104の表面から反射される103。反射された光は、次いで、着色光として表現され、基準色は、中性ではない(すなわち、グレーの色合いではない)と想定され得る。着色光は、その後、光学フィルタ106を通過することにより、波長選択的透過105によって変換され得る。エネルギー保存が保持されなければならないので、透過されない光の部分は、この分岐点において、フィルタによって反射または吸収されるかのいずれかでなければならない。102における光学系は、その内部動作の並べ替えに対して不変である、すなわち、フィルタは、基準色が照明される前またはその後に、等価的に適用され得る。
続いて、フィルタリングされた光は、視覚的光情報伝達115のプロセスにより、観察者によって知覚され得る。明所視条件下の視覚的光情報伝達において、光は、107、109、および111において、S錐体108、M錐体110、およびL錐体112を含む3種類の網膜光受容器細胞によって吸収される。各細胞によって吸収されるエネルギーの総量は、神経興奮に変換され、視神経を介して視覚野に伝達され、最終的に、色彩感覚をもたらす。色の見え方のモデル化の目的のために、錐体細胞の入力−出力応答が、吸収されたエネルギーの量に線形的に比例すると推定することは十分である。この線形応答は、三刺激値と呼ばれ得、非負成分を有する3次元空間内のベクトルとして見なされ得る。説明されるような三刺激値の空間は、時として、SML色空間または錐体興奮空間と呼ばれる。
三刺激空間内の点間の距離は、必ずしも、対の色刺激間の知覚された不同性と良好に対応するわけではなく、したがって、3次元三刺激ベクトルを、明度または強度とも呼ばれる光度117の1次元成分と、光度から独立した刺激の見掛けの色を表す色度116の2次元成分とに変換する、色の見え方モデル118を採用することが有用である(図3を参照して以下にさらに論じられる)。色度は、2次元におけるベクトル値と見なされ得、その場合、色度座標と呼ばれ得る。色度は、色相および飽和度(本質的に、色刺激と白色刺激との間の知覚不同性である、純度とも呼ばれる)にさらに分離され得る。108、110、および112(図1)における、網膜光受容器細胞のスペクトル吸収率は、観察者に依存し、有意な変動が、ヒト母集団内に存在することに留意されたい。さらに、色の見え方モデル118の編成はまた、観察者113に依存し得、しかしながら、標準的モデルが、一般性を失うことなく、後述の説明において使用され得る。
正常なヒトの眼に対する網膜錐体細胞光色素のスペクトル吸収率のグラフは、図2Aに示されており、S錐体201、M錐体202、およびL錐体203細胞を含む。しかしながら、前述のように、網膜光受容器細胞のスペクトル吸収率は、ヒト母集団において有意に変動し得る。これらの変動は、いくつかの形態の色視異常の根底にある原因である。例えば、緑色弱を有する個人は、より長い波長に向かってシフトされるスペクトル吸収率を有するM錐体光色素を有し、第1色弱を有する個人は、より短い波長に向かってシフトされるスペクトル吸収率を有するL錐体光色素を有する。緑色弱を有する個人は、正常な個人と比較して、赤色と緑色とを弁別する際により困難を経験する。第1色弱を有する個人もまた、赤色と緑色とを弁別する際に正常者より困難を経験し、また、低光度として、赤色を見る傾向にある。異常網膜光色素のスペクトル吸収率は、例えば、Stockman,A.,& Sharpe,L.T.,“Spectral sensitivities of the middle− and long−wavelength sensitive cones derived from measurements in observers of known genotype.”in Vision Research,Issue 40,2000,pp.1711−1737によって出版されたテンプレートを使用して、対数波数スケール上で光色素テンプレートをシフトさせることによって近似され得る。
図2Bにおける表は、ヒト母集団における公知の遺伝子型変異および最大光色素吸収率の関連付けられた波長を列挙し、表の最左列は、遺伝子型204の表示(詳細については、Asenjo, A.B.and Rim,J.and Oprian,D.D.,“Molecular determinants of human red/green color discrimination” in Neuron,1994,volume 12,pages 1131−1138を参照されたい)を含有し、次の列は、正常、緑色弱または第1色弱であり得る分類205を示し、異常タイプはさらに、軽度、中程度、または重度であり得る重症度によって分類され、残りの列は、S錐体206、M錐体207、およびL錐体208光色素の最大吸収率の波長をナノメートルで示している。本表は、最も一般的タイプの遺伝的色視異常を含む。緑色弱は、世界的有病率約4%(男性約8%および女性1%未満)で、第1色弱は、有病率約0.5%(男性約1%および女性0.1%未満)で生じる。男性における色視異常の有病率の増加は、遺伝性の異常遺伝子のX染色体連鎖劣性性質によるものである。S錐体光色素の異常は、第3色弱と呼ばれる。遺伝的第3色弱は、稀であるが、しかしながら、後天的第3色弱色視異常は、例えば、水銀等の毒素への暴露によって、網膜錐体細胞(特に、S錐体)が損傷されると生じ得る。第3色弱を有する個人は、正常者より、青色と黄色との弁別の際に困難を経験し得る。
色視に対する標準観察者モデルは、正常母集団に対して、最良適合であるように編成され得、必ずしも、任意の特定の個人または下位母集団の色知覚の良好なモデルを提供するわけではない。しかしながら、生理学的に関連する観察者モデルは、その生理機能の適正な特性評価が利用可能であることを条件として、任意の個人に対して構築することができる。
三刺激モデルに従う、知覚される光の色の見え方は、図3に図式的に示されるように表され得、グラフの軸は、S錐体310、M錐体306、およびL錐体301の神経興奮に対応し、三刺激値は、規定された光の色の見え方(例えば、基準色によって反射される、または発光体によって放出される)に対応する点302である。三刺激値は、その次元が、各種類の錐体細胞によって吸収される光学エネルギーの部分に対応する3次元の点である。光自体は、本質的に、無限次元ベクトルと見なされ得、そのスペクトルは、分光光度計を使用して測定され得るが、しかしながら、三刺激値は3次元でしかない。したがって、多くの異なる光は、三刺激空間内の同一の点にマップされ得、三刺激空間内の同一の点にマップする1組の光は、メタマーと呼ばれる。
光のスペクトル領域から色の見え方の三刺激領域への射影は、線形マップであって、したがって、光の加算およびスカラー乗算が保存される。この特性は、三刺激値の幾何学形状に関する暗示を有する。例えば、複合光が、光の集合の非負付加混合物(すなわち、凸線形結合)によって形成される場合、複合光の三刺激値は、凸多面体の内側に含有されなければならず、その角は、成分光の三刺激値である。
再び、図3を参照すると、軸307の原点における点は、黒色の見え方(すなわち、光の不在および0神経興奮)に対応する。スペクトル軌跡は、1組の単色光(すなわち、単一波長のみにおいて、エネルギーを有する理想的光)の色の見え方に対応する等値線309を形成する1組の三刺激値である。任意の光は、1組の単色光の凸線形結合と見なされ得るので、三刺激値は、常に、一般化された錐体内に含有され、その頂点は、原点307にあり、その境界は、スペクトル軌跡309によって定義される。
光学フィルタの後続分析の目的のために、前述で概略されたように、三刺激表現は、光度の1次元成分および色度の2次元成分に有効に分離され得る。これらの変換もまた、線形マップである。光度応答は、発光体Eの原点および三刺激値に一致する、三刺激空間内の線である。知覚された光の光度は、三刺激値を光度応答線303上に射影し、次いで、射影305のベクトルノルムを測定することによって計算され得る。光度線はまた、等照度三刺激値の平面に直交し(垂直である)この略図において、また、スペクトル軌跡309によって輪郭が描かれ、知覚された光の色度は、三刺激値をこの平面304上に射影することによって計算され得る。続いて、色度射影はさらに、空間内の2次元値である色度座標をもたらすアフィンマップによって変換され得、色度座標間の距離は、例えば、CIE 1974均等色度図(UCS)におけるような均等色度図と呼ばれる等照度光間の知覚される不同性にほぼ比例する。
均等色度図では、白色(例えば、発光体E)からスペクトル軌跡への距離が、波長によって変動することが観察され得る。特に、黄色単色光(例えば、単一波長、公称上、約585ナノメートルにおいて、スペクトル放射束を有する)およびシアン色単色光(例えば、特性波長約490ナノメートルを有する単色光)は、主観的に、青色、緑色、または赤色である単色光よりも白色により類似し、対応して、UCS略図において、白色により近接して現れ得る。したがって、実質的に黄色および/またはシアン色波長を遮断するフィルタは、色の見掛けの純度を改善し得、一般的形態のそのようなフィルタは、少なくとも3つの通過帯域および少なくとも2つの遮断帯域を備える。
波長λ毎の多帯域フィルタfのスペクトル透過率f(λ)は、実質的に、下記式によって近似され得、
f(λ)=ε+i=1…Nwidi(λ)
上記式において、diは通過帯域であり、wiは、通過帯域をスケーリングする加重係数であり、εはフィルタの最小透過率であり、Nは3つ以上に相当する通過帯域の数である。
上記式における波長λ毎のフィルタの透過率の仕様(f,d)は、波長スケール(例えば、1ナノメートルのステップサイズを使用して)、または実質的に同等である別のスケール(例えば、周波数または対数波数)に基づいて、均等サンプリングによって集計されてもよい。サンプリングはまた、サンプル点間の非均等間隔を有する任意のスケールに基づいて定義され得る。
いくつかの変形例では、フィルタ通過帯域(d)は、本質的に、矩形、すなわち、帯域境界における波長毎の透過率の変化は、瞬間的またはほぼ瞬間的である。矩形通過帯域の幅は、短波長境界と長波長境界との間の距離によって特徴付けられ得る。矩形帯域幅は、周波数スケールに基づいて、等価的に測定され得る。矩形通過帯域のスペクトル透過率は、下記式によって定義され得、
d(μ,σ)(λ)=H(λ−(μ−σ/2))−H(λ−(μ+σ/2))
式中、μは中心波長であり、σは矩形帯域幅であり、Hはヘビサイドの階段関数である。
いくつかの変形例では、フィルタ通過帯域は、本質的に、ガウシアン、すなわち、帯域境界における波長毎の透過率の変化が段階的または本質的に平滑である。ガウシアン通過帯域の幅は、短波長側に関する半値透過率と長波長境界に関する半値透過率との間の距離(半値全幅(FWHM)とも呼ばれる)によって特徴付けられ得る。半値帯域幅は、周波数スケールに基づいて、等価的に測定され得る。ガウシアン通過帯域のスペクトル透過率は、下記式によって定義され得、
e(μ,σ)(λ)=exp(−(λ−μ)2)/(2σ2))
式中、μは中心波長であり、半値帯域幅は、
2σsqrt(2ln(2))
である。
いくつかの変形例では、通過帯域のうちの1つ以上は、不規則な形状を有し得る(すなわち、矩形でも、ガウシアンでもない)。例えば、通過帯域は、双峰分布を有し得るか、または通過帯域の1つ以上の側に肩を有し得るか、または歪曲分布として説明され得、波長毎の透過率における通過帯域の2つの側の間の勾配比は、約4:1〜約1:4である。
非ガウシアン通過帯域を有する変形例では、そのような通過帯域は、本質的に、不規則性および/または急勾配遷移を除去するだけに十分な幅である、ガウシアンカーネルによって平滑化されてもよく、その場合、通過帯域は、(本質的に)対応する平滑化された通過帯域の帯域中心および半値幅を有するとして説明され得る。
フィルタの性能を評価するための一般的方法は、可能性として考えられるどのフィルタ構成が、色視を有する具体的用途に好ましいかを決定するために有用である。そのようなランク付け方法は、1組の基準色に関して、2つのフィルタ間の相対的色域面積を測定することによって可能である。本明細書で使用されるように、色域面積は、色度図内の1組の基準色の座標によって定義される等値線の内側の面積である。色度図内の基準色の位置、ひいては、色域面積は、フィルタ依存性である。相対的色域面積の計算のためのプロセスフロー図は、図4に現れる。
図4に示される方法では、相対的色域面積は、試験的フィルタ401、基準フィルタ405、発光体402、観察者404、および1組の基準色403に関して定義される。試験的フィルタと基準フィルタとは、好ましくは、同一の白色点を有する、すなわち、フィルタリングされた発光体の三刺激値は、両方のフィルタに対して同一である。この制限は、結果をバイアスし得る色彩適応のモデル(von Kriesモデル等)を採用する必要性を排除する。本方法は、図6Aおよび図6Bを参照して本開示で後述されるように、1組の基準色の好適な選択肢から恩恵を受け得る。加えて、基準フィルタは、好ましくは、基準フィルタが、最小の色の見え方の歪曲をもたらすか、またはほとんどもたらさないように、広帯域スペクトル透過率を有するよう選択される。任意の所与の試験的フィルタに対して、好適な基準フィルタが、例えば、試験的フィルタをマンセル表色系の1組のスペクトル反射率と比較し、次いで、最良適合のマンセル表色系(例えば、選択された発光体に関して、最も類似する白色点を有するもの)を基準フィルタとすることによって見出され得、選択されたマンセル表色系の反射率は、基準フィルタの透過率であると定義される。色域面積は、動作406において試験的フィルタに対して、および動作407において基準フィルタに対して計算される。結果として生じる色域面積408および409は、例えば、比410を使用して比較され、相対的色域面積411に至る。1.0の相対的色域面積は、試験的フィルタが色の見え方に歪曲をもたらさず、試験的フィルタが正常な色弁別を提供すると言い得ることを含意する。1.0を超える相対的色域面積は、試験的フィルタが基準色の間に知覚される不同性を増加させることを含意する。概して、そのような不同性の増加は、赤色と緑色との間でより大きく、したがって、試験的フィルタは、赤色−緑色弁別の向上をもたらすと言い得る。1.0未満の相対的色域面積は、試験的フィルタが、基準色の間で知覚される不同性を減少させることを含意し、概して、そのような作用は、青色と黄色との間の不同性の増加と関連付けられ、したがって、試験的フィルタは、青色−黄色弁別の向上をもたらすと言い得る。基準色の色度座標の分析に基づく相対的色域面積測定は、基準色の知覚される光度から独立し、例えば、色刺激の間の見掛けの不同性の増加は、ある色が異常に暗く現れ、他が異常に明るく現れるという事実に基づくものではないことが理解され得る。
代替として、そのような増加または減少は、下記式によって定義されるパーセント色域面積増加(PGAI)によって記述され得、
γ=GA(f,S,I,O)
γREF=GA(fREF,S,I,O)
PGAI(f,fREF)=100×(γ/γREF−1.0)
式中、GA()は、試験的フィルタf、基準色S、発光体Iおよび観察者Oに関する色域面積計算(図5とともに後述される)であり、γREFは、基準フィルタfREFおよび類似条件に関する色域面積である。本開示では、以下、フィルタを評価する目的のために、パーセント色域面積増加を計算するための2つの方法のうちの一方または他方が使用される。
一方の方法では、発光体Iは、発光体D65、観察者Oは、CIELUV(u’,v’)均等色度図と組み合わせて、CIE 1931 2度標準観察者であると定義され、基準
色Sは、ファルンスワースD−15 Panelのいずれかとして規定され、パーセント色域面積増加は、下記式によって与えられ、
PGAI(f,fREF,D15)=100×(γ/γREF−1.0)
他方の方法では、基準色は、図6Bとともに開示される、選択された自然界サンプルによって与えられ、パーセント色域面積増加は、下記式によって与えられ、
PGAI(f,fREF,NWS)=100×(γ/γREF−1.0)
上記式の両方において、色域面積は、所与の条件に関して算出される。
図4中の動作406および407における色域面積の計算は、例えば、図5のプロセスフロー図に詳述されるように実装されてもよい。規定された発光体502、フィルタ503、および1組の基準色501を前提として、光学相互作用505が、各基準色に対して生じる。図1の動作102に関して前述されたように、光学相互作用は、例えば、フィルタリングされた光を発光体から反射する基準色、または基準色によって反射された発光体からの光をフィルタリングするフィルタであってもよい。光学相互作用は、観察者507(すなわち、観察者モデル)によって受光され、前述のように、例えば、図1の動作115に関して、視覚的光情報伝達506によって、1組の三刺激値に変換される1組の着色およびフィルタリングされた光をもたらす。1組の三刺激値はさらに、色の見え方モデル508により変換され、1組の色度座標509に換算される。2次元色度図上の点であるこれらの座標を前提として、メッシュが、例えば、ドローネー三角分割法アルゴリズム510を使用して形成され得る。結果として生じるメッシュは、メッシュ内の各三角形の面積を総和することによって、面積に変換され得、計算の最終結果は、色域面積512となる。
色域面積の計算は、1組の基準色の好適な仕様から恩恵を受け、ひいては、少なくとも部分的に、フィルタの意図された使用に依存する。基準色は、少なくとも3つの構成要素を含むはずであって、その色度座標は、白色点を包囲する三角形(すなわち、発光体の色度座標)を形成する。好ましくは、1組の基準色は、十分に大きな数(例えば、少なくとも5つ)を備え、色域面積計算が、フィルタの透過率の変化に関して安定するように、スペクトル反射率の十分な多様性を備え、フィルタ設計を過大に特殊化する危険性を低減させる。ある場合には、基準色のスペクトル透過率を平滑化し、所望の安定性を達成することが、好ましくあり得る。
例えば、1組のマンセル表色系は、その色度座標が、近似的に白色点の周囲に中程度の飽和度の円形を形成するように、色域面積計算に対して厳選され得る。マンセル表色系のスペクトル反射率は、広帯域であり、色相に関して制御された態様で変動する。これは、図6Aのグラフから容易に分かり得、マンセル表色系の選択は、601におけるMunsell 5B 5/4、602におけるMunsell 5G 5/4、603におけるMunsell 5Y 5/4、604におけるMunsell 5R 5/4、および605におけるMunsell 5P 5/4を含むように示される。さらなる変形例では、高い飽和度を有する1組のマンセル表色系を選択することが望ましくあり得る。
代替として、または加えて、基準色の一部または全部は、また、本明細書では、D−15とも称されるファルンスワースD−15から得られてもよい。D−15は、白色点の周囲に中程度の飽和の等値線を形成する1組の15のMunsell基準色を備える。D−15色に関して、色域面積の増加をもたらすフィルタはまた、観察者がフィルタを通してサンプルを視認しながら試験を行うとき、D−15キャップ配列試験に従って、増加スコアを提供する傾向となるであろう。
代替として、または加えて、基準色の一部または全部は、直接、フィルタが使用されるであろう環境からサンプリングされてもよい。特に、続いて示される、いくつかの実施形態は、サングラス内に有効に組み込まれ得、サングラスは、概して昼光による照明下にある屋外で装着されるので、基準色は、好ましくは、葉および花等の自然着色オブジェクトのスペクトル反射率を測定することによって見出され得る。図6Bのグラフは、青色の花606、緑色の葉607、黄色の花608、赤色の花609、および紫色の花610のものを含む、そのような自然オブジェクトのスペクトル反射率を示す。これらの自然色は、Parkkinen,J.,Jaaskelainen,T.and Kuittinen,M.,“Spectral representation of color images”,IEEE 9th International Conference on Pattern Recognition,Rome,Italy,14−17 November,1988,Vol.2,pp.933−935によって出版されている218の測定されたサンプルのデータベースから導出される。
図6Aおよび図6Bのグラフから、自然界の色がマンセル表色系と比較して、より変動した分布を有し、さらに、ある注目に値する特徴を含有することが容易に観察され得る。例えば、自然界における緑色607は、約540ナノメートルにおいて特性ピークを有する葉緑素のスペクトル反射率によって決定される一方、人工的に作成された色素であるマンセル表色系に関して、緑色として記述される色は、典型的には、約525ナノメートルにおいてピーク反射率を有する。
前述のような相対的色域面積の計算および色の見え方の色彩側面に及ぼす多帯域フィルタの効果は、図7A−7Cおよび図8A−8Cの略図に示されるように、便宜的に視覚化され得る。図7Cでは、基準フィルタのスペクトル透過率は、711に示され、これは、また、712に示される試験的フィルタの白色点に対する最良適合合致として選択されるマンセル表色でもある。発光体は、発光体D65であると規定され、そのスペクトル放射束710は、図7Bにグラフ化される。
図7Aでは、色度図は、所与の発光体と異なるフィルタ条件下において視認される選択されたマンセル表色系の色度座標をプロットするために使用される。色度図では、709における実線の包囲線は、単色スペクトル光の色度座標に対応するスペクトル軌跡であって、708における線区画は、紫色結合と呼ばれる。フィルタの白色点は、実質的に同じであって、706における点に示される。基準フィルタ711を通して視認される選択されたマンセル表色系の色度座標は、破線の等値線701および705に沿った開放円形に示される。試験的フィルタ712を通して視認される、選択されたマンセル表色系の色度座標は、実線の等値線702および703に沿った実線の円形に示される。内側の等値線は、中程度の飽和度の選択されたマンセル表色系に対応し、外側等値線は、高飽和度の選択されたマンセル表色系に対応する。等値線の検証によって、試験的フィルタを通して視認される色の色度座標が、色度図のより大きな面積を網羅し、特に、赤色から緑色の軸に沿った色度座標の分離において、有意な増加を示すことが理解され得る(緑色は、主に、左上角(約(0.,0.5)における軌跡の「鼻」の周囲に生じ、および赤色は、本質的に、軌跡の右上角(0.5,0.5)において生じる)。基準フィルタと比較して、1.0を超える相対的色域面積を有する試験的フィルタは、したがって、赤色−緑色弁別を増大させるとして説明され得る。
図7Aの実施例では、704における点から開始し、時計回りに進む、内側等値線の基準色は、Munsell 10B 5/4、Munsell 10BG 5/4、Munsell 10G 5/4、Munsell 10GY 5/4、Munsell 10Y 5/4、Munsell 10YR 5/4、Munsell 10R 5/4、Munsell 10RP 5/4、Munsell 10P 5/4、Munsell 10P 5/4、およびMunsell 10PB 5/4である。807における点から開始し、時計回りに進む、外側等値線の基準色は、Munsell 7.5B 5/10、Munsell 10BG 5/8、Munsell 2.5BG 6/10、Munsell 2.5G 6/10、Munsell 7.5GP 7/10、Munsell 7.5GY 7/10、Munsell 2.5GY 8/10、Munsell 5Y 8.5/12、Munsell 10YR 7/12、Munsell 5YR 6/12、Munsell 10R 6/12、Munsell 2.5R 4/10、Munsell 7.5RP 4/12、Munsell 2.5RP 4/10、Munsell 7.5P 4/10、Munsell 10PB 4/10、およびMunsell 5PB 4/10である。
色域面積の可視化を継続すると、図8A−8Cの略図は、自然界の色に関して、同一の試験的フィルタおよび基準フィルタの効果を示す。図8Cでは、基準フィルタのスペクトル透過率が810に、試験的フィルタのスペクトル透過率が811に現れている。発光体のスペクトル放射束809は、図8Bに示されている。
図8Aでは、フィルタの白色点は、804に示される。807および808における点線の等値線は、基準フィルタを通して視認される選択された自然色の色度座標に対応し、実線の等値線802および803は、試験的フィルタを通して視認される同一の自然色の色度に対応する。内側の等値線は、5つの自然色の見え方に対応し、そのスペクトル反射率もまた、各々、点807から、反時計回りの順序において、606、607、608、609、および610で、図6Bのグラフに現れる。外側の等値線は、前述に引用されたデータベース内で利用可能な自然色の最も飽和した実施例の見え方に対応する。自然色は、屋外状況におけるフィルタの利用の分析のため(例えば、サングラス内への組み込みのため)のより好ましい選択肢であり得るが、マンセル表色系は、より容易に解釈される可視化を提供し、したがって、本開示における残りの図は、この目的を達成するために、マンセル表色系を採用する。
したがって、例えば、図7Cおよび8Cにおいて、色の見え方を向上させるための多帯域フィルタの実施例は、3つの矩形通過帯域および2つの遮断帯域を有する構造を有する。そのようなフィルタは、6自由度を与える、各帯域の開始および終了波長を列挙することによって、一意的に規定され得る。したがって、コンピュータを使用して、1組の可能性として考えられるフィルタ全部を完全に列挙し、次いで、前述のような相対的色域面積測定基準を使用して、そのようなフィルタ毎の性能をランク付けし、次いで、所望の効果(赤色−緑色弁別の向上、または青色−黄色弁別の向上、または正常な色弁別の維持等)に対する最良フィルタを選択してもよい。フィルタを特性評価する自由度の数を増加させることは、例えば、透過率を帯域内で変動させることによって、または可能性として考えられる帯域の数を増加させることによって、より大きな一式へと検索を拡張させ得る。
これらの線に沿って、所望の態様で色視に影響を及ぼす光学フィルタを設計することへのあるコンピュータ実装アプローチは、以下の通りである。所望のフィルタは、光学構成において前置フィルタおよび多帯域干渉フィルタを備えると想定される。主な問題として、以下が規定される。可視スペクトル全体を通した前置フィルタの透過率、光学フィルタに対する所望の白色点、光学フィルタの所望の最小総光透過、発光体、複数の基準色、ならびに可視スペクトルを網羅する複数の連続的な遮断および通過波長帯域を備える初期の試験的多帯域干渉フィルタ。次に、1つ以上の新たな試験的多帯域干渉フィルタが、初期の試験的多帯域干渉フィルタの遮断および通過波長帯域の境界、透過率、または境界および透過率を変動させることによって生成される。次に、光学フィルタの白色点および光透過全体が、前置フィルタと新たな試験的多帯域干渉フィルタのうちの1つとの各組み合わせに対して決定される。次に、前置フィルタと新たな試験的多帯域フィルタのうちの1つとの各組み合わせに対する光学フィルタの色視に及ぼす効果が、規定された発光体および基準色を使用して評価される。次に、光学フィルタが、規定された白色点および規定された最小総光透過を満たし、所望の態様で、色視に影響を及ぼす新たな試験的多帯域干渉フィルタのうちの1つが、多帯域干渉フィルタとして光学フィルタを使用するために選択される。
本方法では、前置フィルタは、可視スペクトル全体を通して、約100%の透過率を有し得る。すなわち、前置フィルタは、随意である。初期の試験的干渉フィルタは、例えば、合計5つ以上の遮断および通過帯域を備えてもよい。新たな試験的干渉フィルタを生成するステップは、例えば、初期の試験的干渉フィルタ内の通過帯域の数、遮断帯域の数、または通過帯域の数および遮断帯域の数を変動させるステップを含んでもよい。加えて、または代替として、新たな試験的干渉フィルタを生成するステップは、遮断または通過帯域のうちの1つ以上の形状を変動させるステップを含んでもよい。色視に及ぼす効果を評価するステップは、本明細書に開示される評価方法のいずれかを備えてもよい。本方法はまた、光学フィルタを通して視認または照明される基準色の見え方を制約する色制約条件を規定するステップと、前置フィルタと新たな試験的多帯域フィルタのうちの1つとの各組み合わせの基準色の色の見え方に及ぼす効果を評価するステップと、多帯域干渉フィルタとして光学フィルタを使用するために、光学フィルタが規定された色制約条件を満たす新たな試験的多帯域干渉フィルタのうちの1つを選択するステップとを含んでもよい。本明細書に開示される色制約条件のいずれかは、本方法と併用されてもよい。
前述の方法に対して可能性として考えられる短所として、所望の効果を達成するための最良フィルタは、ある場合には、検証される1組のフィルタの構成要素ではない場合がある。さらに、前述の戦略は、評価するための可能性として考えられるフィルタの数が、各付加的な自由変数によって乗算的に増加するので、解決困難となり得る。
別の関連アプローチは、準ニュートン適合法を使用して、可能性として考えられるフィルタの下位集合間を検索し、所望のフィルタに向かって推定される最適方向に漸増的に移動するものである。しかしながら、このタイプの方法によって見出される解は、ある場合には、局所的にのみ最適であり得る。
直接列挙および局所検索を含む、そのような方法に関するさらなる困難は、例えば、選択された発光体に関するフィルタ白色点の仕様等、フィルタに制約条件を課すことが困難または不可能であることである。代わりに、典型的には、各試験的フィルタは、そのような制約条件を満たすかどうかを決定するように評価されなければならない。
白色点を制約するために、白色点のメタマーの線形結合として、例えば、1組の3色メタマー(すなわち、本質的に、3つの個別の光の波長を備える)にわたる加重結合としてフィルタを表すことが可能性として考えられるが、しかしながら、これは、そのようなメタマーの数が大きいので、数千の自由度を有する表現を要求し得、および準ニュートン検索法は、概して、検索空間がそのような多次元を有する場合、非合理的に遅速であり得る。さらに、そのような方法は、フィルタ白色点に加え、付加的な制約条件の仕様を容易には可能にしない。
計算的に効率的であって、複数の制約条件基準(以下に詳細に説明される)の仕様を可能にするフィルタ設計の方法は、線形プログラミングの方法を採用することである。本方法は、いくつかのそれぞれの利点を呈し得る。すなわち、線形プログラムソルバーは、一連の漸増的ステップを使用して、最適解を迅速に特定するが、しかしながら、線形プログラムに対する解は、入力に関して、一意的かつ全体的に最適である。さらに、解は、色の見え方の色彩および発光側面に関する有用基準を満たすように制約することができる。市販の線形プログラムソルバーは、1組の所与の制約条件が解を有しない(実行不可能である)かどうか迅速に決定することができ、そのようなソルバーはまた、数千の自由変数および数百の制約条件を有する線形プログラムに対する最適解を迅速に決定することができる。線形プログラミングは、ある問題が線形の制約条件および線形のコスト関数を前提とする線形システムとして表すことができる場合に利用され得る。どのように色視に影響を及ぼすフィルタに対する設計基準を編成し、その設計基準を線形プログラムに変換するかに関する詳細が次に詳述される。
以下に開示される方法に関するフィルタは、概して、線形コスト関数に関して、線形制約条件を受けるリソース配分問題に対する最適解を決定するための方法として説明され得る線形プログラムソルバー(LPと略される)を組み込む。色視に対するフィルタを設計する問題に適用されるとき、配分されるリソースは、フィルタの波長毎の透過率であると理解され得、線形制約条件は、フィルタの使用要件から導出され、線形コスト関数は、本質的に、線形プログラムソルバーが実行可能解の空間内の好ましい解に向かって誘導されるために用いられ得る技法である。線形プログラミングによるフィルタ生成方法は、コンピュータを使用して、下記式で与えられる線形プログラムを解くことによって実践され得、
制約条件 Ax≦b および
制約条件 1≧x≧0 のもとで
cTx を最小化する
この方法において、線形プログラムは、ベクトルxについて解かれ、波長毎のフィルタの透過率f(λ)は、下記式によって算出され、
E=[e1...ei...eN] が与えられ、
p が与えられると、
q(λ)=i=1...Nxiei(λ) および
f(λ)=p(λ)×q(λ) が得られる
この方法において、fは、設計された光学フィルタであり、f(λ)は、波長λ毎の透過率fである。Eは、行列の列eiが基本フィルタ毎の波長の関数としての光の透過率であるような基本フィルタの行列であり、基本フィルタの数はNである。q(λ)を定義する式は、基本フィルタの加重総和であり、加重係数は、対応する要素xiである。加重総和は、基本フィルタ行列Eと線形プログラム解ベクトルxとの間の行列ベクトル積q=Exに相当する。さらに、p(λ)×q(λ)は、第1のフィルタqと第2のフィルタpの波長毎の乗算による、2つの光学フィルタの級数の成分を示し、式中、p(λ)は、波長λ毎のpの透過率であって、pはまた、概して、本開示では、「前置フィルタ」と称されるが、フィルタは、概して、任意の順序で構成されてもよい。線形プログラム制約条件1≧x≧0は、iが1〜Nの場合、1≧xi≧0であるという制約条件に相当する。さらに、上記式におけるcは、所望の態様で、色視に影響を及ぼすフィルタfを提供する解に向かって、線形プログラムソルバーを導くコストベクトルである。解と関連付けられた総コストは、転置行列cとxとの間のベクトルドット積を示すcTxによって算出される。より低い総コストを提供する解xは、概して、所望の関数に関してより好ましいが、他の品質の評価基準もまた、特定の解の妥当性を決定するために採用されてもよい。上記式におけるAは、行列であり、上記式におけるbは、ベクトルである。Axは、行列Aとベクトルxとの間の行列積である。行列Aの要素の少なくとも一部およびベクトルbの要素の少なくとも一部は、1つ以上の光の波長における、フィルタfによる透過の最小または最大レベル、フィルタ白色点に関する制約条件、あるいはフィルタを通して視認または照明される1つ以上の基準光の色の見え方に関する制約条件、および/または1つ以上の入射角における、フィルタfによるそのような透過制約条件に関連する。
上記式における波長λ毎のフィルタの透過率の仕様(ei,p,f)は、波長スケール(例えば、1ナノメートルのステップサイズを使用して)、または実質的に同等である別のスケール(例えば、周波数または対数波数)に基づいて、均等サンプリングによって、集計されてもよい。サンプリングはまた、サンプル点間の非均等間隔を有する任意のスケールに基づいて定義され得る。
基本フィルタは、例えば、約1ナノメートルの通過帯域幅を有する単一の通過帯域フィルタであってもよく、各基本フィルタは、異なる通過帯域中心波長を有する。そのようなフィルタはまた、単色フィルタと呼ばれ、以下のスペクトル透過率を有するとして定義され得、
eμ(λ)=δ(λ−μ)
式中、δは、ディラックのデルタ関数であり、μは、典型的には、1組の基本フィルタに関して約400ナノメートル〜約700ナノメートルの間で変動する、フィルタによって透過される波長である。この場合、基本フィルタ行列Eは、本質的に、サイズ301×301の識別行列である。代替として、基本フィルタは、単一通過帯域フィルタであってもよく、各々、約1ナノメートルを超える幅を有し、各基本フィルタは、異なる通過帯域中心波長を有する。いくつかのそのような変形例では、通過帯域は、矩形(箱形関数とも呼ばれる)であり、基本フィルタのスペクトル透過率は、以下のように定義され、
e(μ,σ)(λ)=H(λ−(μ−σ/2))−H(λ−(μ+σ/2))
式中、μは中心波長であり、σは矩形帯域幅であり、Hはヘビサイドの階段関数である。矩形帯域の幅の典型的選択肢は、約10ナノメートルであり、その場合、基本フィルタの数もまた、隣接するフィルタ間に5ナノメートル間隔があるように低減され得る。いくつかの変形例では、通過帯域は、例えば、以下によって定義されるガウシアンまたは本質的にガウシアンであるスペクトル透過率を有し得、
e(μ,σ)(λ)=exp(−(λ−μ)2)/(2σ2))
式中、μは中心波長であり、半値帯域幅は、以下のようであり、
2σsqrt(2ln(2))
さらに他の変形例では、基本フィルタは、2つ以上の通過帯域を有する多帯域フィルタであってもよく、各基本フィルタは、異なる組み合わせの中心波長および/または帯域幅の2つ以上の通過帯域を有し、その場合、基本フィルタの数は、大きくあり得る(例えば、何千もの組み合わせ)。多帯域通過基本フィルタは、例えば、帯域幅および/または帯域透過率レベルの調節によって、発光体904および基準フィルタ912(図9)に関して、条件等色であるように構成されてもよい。任意の好適な1組の基本フィルタが、フィルタ設計方法において使用されてもよく、好適な基本フィルタは、少なくとも、物理的に実現可能な透過率スペクトル(例えば、0〜1の透過率値を有する)を有していなければならず、さらに、図12Aおよび12Bの議論とともに後述される、フィルタと関連付けられたコストの算出を可能にしなければならない。好ましくは、基本フィルタは、コンパクトサポートを有する、すなわち、透過率は、疎な線形代数のための数値算出方法が、線形プログラムを解くための内部点法を含め、適用され得るように、有限間隔の外側において0である。
上記式において定義されるfは、基本フィルタの加重総和を含み、基本フィルタが、概して、単一または多通過帯域フィルタ(例えば、前述のような1つ以上の矩形またはガウシアン通過帯域を備える)であることに関して、設計されたフィルタfは、多帯域フィルタとして理解され得ると結論付けられ得るが、しかしながら、通過帯域の数は、本質的に非常に大きく(例えば、少なくとも60)、成分通過帯域は、部分的に重複している場合がある。したがって、本方法によって設計され得る、可能性として考えられるフィルタfの範囲は、3または4つの帯域を有する多帯域フィルタならびにより複雑な透過率曲線を有するものを含む。しかしながら、実際は、最も有用なフィルタ設計は、典型的には、本質的に帯域として記述可能な3または4つの特徴を有することが示されるであろうが、それらの帯域の基本形状は、いくつかの事例では、不規則、すなわち、矩形でもなく、ガウシアンでもない場合がある。例えば、1つ以上の通過帯域は、双峰分布を有するとして説明され得るか、または通過帯域の1つ以上の側に肩を有し得るか、または歪曲分布として記述され得、波長毎の透過率の通過帯域の両側の間の勾配比は、約4:1〜1:4である。
非ガウシアン通過帯域を有する変形例では、そのような通過帯域は、例えば、本質的に、不規則性および/または急勾配遷移をちょうど除去することに十分な幅であるガウシアンカーネルによって平滑化されてもよく、その場合、通過帯域は、本質的に、対応する平滑化された通過帯域の帯域中心および半値幅を有するとして記述され得る。
図9は、設計基準の仕様を前提として、フィルタ生成のプロセスを記述する、プロセスフロー図を含有する。以下により詳細に記述される、コンピュータ実装フィルタジェネレータ動作は、ボックス903内に現れる。同様に以下により詳細に記述される、フィルタジェネレータ動作への設計基準入力は、例えば、コストベクトル901(前述の線形プログラム式におけるベクトルc)、スペクトル透過率制約条件902、色の見え方制約条件915、フィルタ白色点制約条件908、発光体904、基準フィルタ912、観察者918、基本フィルタ913(前述の式における行列E)、随意の前置フィルタ(効果的にバイパスするために1に設定され得る、前述の式におけるp)919、随意の平滑化カーネル920、および随意のバイアス係数923を含んでもよい。
依然として、図9を参照すると、基本フィルタおよび種々の他の設計基準が、三刺激制約条件計算動作910(図11に関して以下にさらに詳細に記述される)に入力され、制約条件射影限界906(線形プログラム式におけるベクトルb)および制約条件射影ノルム909(線形プログラム式における行列A)を生成する。線形プログラム907(前述の線形プログラム式によって記述される)は、次いで、制約条件射影限界906、制約条件射影ノルム909、およびコストベクトル901から編成される。線形プログラムは、次いで、線形プログラムソルバー905によって解かれ、解ベクトル911として、線形プログラムの解を提供する。解ベクトル911は、前述の線形プログラム式における最適化されたベクトルxである。解ベクトル911の要素は、1組の基本フィルタ913を表す行列Eの列である対応する基本フィルタeiのための加重係数を提供する係数xiである。動作914は、次いで、基本フィルタの総和を行い、解ベクトル911の対応する要素によって加重され、第1のフィルタq(λ)を提供し、次いで、(随意に)平滑化916され、次いで、(随意に)バイアス922され、第2のフィルタ(前置フィルタ)p(λ)919と組み合わされ917、設計されたフィルタ仕様f(λ)921を生成する。
複合設計フィルタf(λ)921は、例えば、吸収前置フィルタp(λ)と干渉フィルタq(λ)を組み合わせることによって作成されてもよく、干渉フィルタ成分は、動作914および/または動作916の出力によって規定される。前置フィルタは、本質的に透明であり得る、すなわち、p(λ)は、1またはほぼ1であるか、または減光であり得る、すなわち、p(λ)は、定数またはほぼ定数であるか、または広帯域透過率を有し得る、すなわち、p(λ)は、波長毎に平滑かつゆっくり変動するか、あるいは狭帯域および/または多帯域透過率を有し得る。本方法は、結果として生じるフィルタfが、入力設計基準を満たすように、q(λ)の仕様におけるpのそのような特性を考慮する。好ましい前置フィルタp(λ)の選択は、図24A、24B、28A、および28Bとともに、詳細に記述される。特に、狭帯域吸収率を有する前置フィルタの使用は、いくつかの用途に対して好ましくあり得、図20Aおよび20Bとともに実証され、詳細に記述される。
干渉フィルタ(例えば、非4分の1波長光学監視を使用する)の設計および作成のための現在の方法は、ほぼ任意のスペクトル透過率曲線を有するフィルタを加工することを可能にする。しかしながら、特定のフィルタ仕様を実装するために要求される誘電材料層の数は、変動する。誘電材料層の総数に関する任意の要求される限定は、例えば、スペクトル透過率曲線が、限定された複雑性を有することを要求し得る。例えば、波長毎の透過率の勾配が連続的かつ有界であることが必要であり得る。
作成可能性を改善するための平滑化動作916は、加重総和動作914によって提供されるフィルタ仕様に基づいて行われ得る。例えば、平滑化カーネル920は、916における周波数領域の畳み込みによって、動作914において提供される最適化されたフィルタに提供され得る。平滑化カーネルは、例えば、中心波長の2%の半値幅を有するガウシアンカーネルであってもよい。さらなる実施例では、平滑化カーネルは、フィルタ仕様が、低次誘電スタック(例えば、約50未満の材料層)によって実現され得るように、中心波長の約10%の半値幅を有するガウシアンカーネルであってもよい。代替として、または加えて、基本フィルタが平滑化されてもよい(例えば、矩形フィルタではなく、ガウシアンフィルタとしての仕様によって)。平滑化動作916から出力された平滑化されたフィルタ記述は、次いで、(例えば、干渉)フィルタの作成のための仕様として利用され得る。一般に、平滑化の量は、フィルタの所望の関数(例えば、色視に及ぼすその影響)が、平滑化によって有意に劣化されないという要件を条件として、作成可能性を改善するように調整され得る。例えば、平滑化カーネルの幅は、フィルタの通過帯域内のピーク透過が、有意に減少されないように、最も広範囲に及ぶカーネルであるように選択されてもよい。平滑化は、随意であるが、前述の線形プログラム方法によって設計される、本明細書に説明される全フィルタ実施形態は、約10ナノメートル〜約25ナノメートルの間の半値幅を有する平滑化カーネルを採用する。
特に、フィルタを通過する光の入射角が、ある範囲にわたって変動する条件下においてフィルタ性能を改善するために、バイアス係数923を使用して、より長い波長922に向かってフィルタ仕様をバイアスしてもよい。バイアス係数の選択は、図29A−29Bおよび図30A−30Bとともにさらに詳細に説明される。
次に、フィルタジェネレータ動作903(図9)への種々の入力を参照すると、コストベクトル901(前述の線形プログラミング式におけるc)は、コストが、各基本フィルタと関連付けられ得るように規定されなければならない。例えば、基本フィルタが各々、単一通過帯域フィルタである場合、波長毎のコストは、関数c(λ)によって規定され、次いで、基本フィルタ毎のコストは、下記式によって算出され得、
ci=∫λ=400…700c(λ)ei(λ)p(λ)dλ
代替として、基本フィルタが3帯域通過フィルタであり、各基本フィルタが、3つ以上の通過帯域を有する場合、コストベクトル901は、例えば、基本フィルタの相対的色域面積の関数であり得、例えば、基本フィルタと関連付けられたコストは、以下のように定義され得、
ci=(γi/γREF)-2
式中、γiは、基本フィルタによって提供される色域面積であり、γREFは、最良適合基準フィルタによって提供される色域面積である。コストベクトル901は、フィルタ設計プロセスの最初に規定され、フィルタの設計の間、さらに変更されなくてもよい。代替として、コストベクトル901は、例えば、図12に関して、以下により詳細に説明されるもの等の反復設計プロセスにおける設計プロセスの間に、変動させられてもよい。
コストベクトルの仕様は、線形プログラムソルバーが、1つ以上の制約条件を満たすために必要でない限り、高い相対的コストを有する基本フィルタ(すなわち、その正加重)の組込みを回避するので、フィルタ生成方法は、線形プログラムソルバーを好ましいフィルタ設計に向かって誘導することができる手段を提供する。好ましくは、フィルタの標的用途に応じて変動し得、したがって、コスト関数の仕様もまた、適切に変動するはずである。例えば、図12Aは、波長毎のコストの2つの関数を示し(例えば、前述のような1組の単一通過帯域基本フィルタと併用するため)、コスト関数は、フィルタ設計の相対的色域面積を最大にするように選択され、それによって、本方法に、赤色−緑色弁別を増大させるフィルタを設計させる。青色−黄色弁別を増大させるフィルタを設計するために、これらのコスト関数は、例えば、マイナス1を乗算することによって、反転され得る。1201におけるコスト関数は、601、602、603、604、および605で、図6Aに示されるように、選択されたマンセル表色系に関して、相対的色域面積を最大にするように構成される。1202におけるコスト関数は、606、607、608、609、および610において、図6Bに示されるように、自然界の選択された色に関して、相対的色域面積を最大にするように構成される。その他の点では同じ設計基準を前提として、マンセル表色系のためのコスト関数は、1204(図12B)においてフィルタをもたらし、自然色のためのコスト関数は、1203(同様に、図12B)においてフィルタをもたらす。自然界フィルタ1203のための中間通過帯域は、マンセル表色系1204のためのフィルタと比較して、約10ナノメートル赤方シフトされ、より長い波長に対する類似選好もまた、短波長通過帯域において見出されることに留意されたい。これらの詳細は、些事ではなく、例えば、自然界フィルタ1203は、緑色の色相歪曲をほとんど生じさせず、そのスペクトル反射率は、概して、植物中の葉緑素の含有によって決定され、葉緑素は、人工色素の緑色と比較して、明らかにより長いピーク波長の反射率を有し、これは、図6Aおよび6Bとともに前述で議論されたような2つの異なる1組の基準色の分析と整合している。
再び、図9を参照すると、観察者918は、概して、正常視覚を有する標準観察者である。フィルタ設計が、十分極端な欠損を補正することを意図する場合、特定の欠損観察者が選択されてもよい。発光体904が、フィルタのための意図された使用および環境に応じて選択され、例えば、本明細書に開示される任意の好適な発光体であってもよい。基準フィルタ912は、設計されたフィルタの意図された白色点を設定するように選択され、白色点は、基準フィルタを通して視認される選択された発光体の色度座標であって、設計されたフィルタは、同一の白色点によって特徴付けられるであろう。基準フィルタはまた、相対的色域面積計算(前述のような)において使用され、例えば、図13に関して後述される、設計されたフィルタを基準フィルタと比較してもよい。
図9に示される残りの設計基準入力は、スペクトル透過率制約条件902、フィルタ白色点制約条件908、および色の見え方制約条件915である。各色の見え方制約条件は、基準光(そのスペクトル放射束によって定義される)、結果として生じるフィルタが、フィルタを通して視認される基準光の光度が境界間隔内にあるようもたらさなければならないような光度制約条件、および結果として生じるフィルタがフィルタを通して視認される基準光の色度座標が、境界色度座標の凸包内に含有されるようもたらさなければならないような随意の色度制約条件を備える。前述の視認条件はまた、観察者918および前置フィルタ919に関して規定される。
さらに、スペクトル透過率902およびフィルタ白色点908に関する制約条件は、点線フロー矢印によって示されるように、色の見え方制約条件915の特殊例である。スペクトル透過率制約条件は、色の見え方制約条件として表され得、基準光は、規定された波長における単色光であり、単色光の光度は、ある光度間隔内に拘束される(単色光の色度は、任意のフィルタによって変更することができないことに留意されたい)。いくつかのスペクトル透過率制約条件が要求され、例えば、透過率は、各可視波長において、0.0%〜100.0%に拘束され、受動的光学フィルタを生成しなければならない。フィルタの白色点制約条件は、選択された発光体である基準光を備え、さらに、発光等価制約条件および色度境界を提供する。概して、色度境界は、本質的に白色点が正確に設定されるように、微小サイズを有し得る。代替として、色度境界は、例えば、基準フィルタの白色点上に中心があるほぼ円形の領域を含む、より広い境界を有し得る。色視ニーズに対して、フィルタ白色点は、概して、強く着色されていないと見なされる色に対応する色度図の中心領域の内側であるように設定または別様に制約条件される。サングラス内で使用されるべきフィルタの設計に対して、発光体は、好ましくは、昼光(例えば、発光体D65)を表し、発光体に関する光度限界は、約8%〜約40%である。
色の見え方制約条件は、前述のように、色度座標に関する境界および基準光の色の見え方の光度に関する境界間隔として規定される。これらのデータは、幾何学的に、図10Aおよび図10Bの略図に示されるように、三刺激モデル内の制約条件多面体として理解され得る。より具体的には、制約条件を満たす色の見え方を提供するフィルタは、フィルタを通して視認される基準光の三刺激値が、本質的に錐体形状である凸多面体(1001、1002)内に含有されるように構成され、色度境界は、壁状表面(例えば、1005)の閉鎖等値線を形成し、光度境界間隔は、光度下限1007および光度上限1006を含む2つのキャップ状表面を定義する。キャップ状表面は、等照度平面1004に平行であり、各々、対応する光度上限および下限によって、原点から変位させられ、各々、平面内に含有される。壁状表面は各々、原点を交差して平面内に含有される。色度境界は、1組の色度座標の凸包によって規定され、三刺激値に変換されると、錐体1005の壁を定義する。1003における例示的三刺激値は、全壁の内方に指向する表面法線ベクトル(図示せず)上への三刺激値の射影のベクトルノルムが非負である場合、かつその場合にのみ、色度境界を満たす。さらに、1003における例示的三刺激値は、上方および下方キャップの内方に指向する表面法線ベクトル(図示せず)上への三刺激値の射影のベクトルノルムが、各々、光度下限および上限超/未満である場合、かつその場合のみ、光度限界を満たす。表面法線ベクトルは、定義によれば表面を含有する平面に垂直である三刺激空間内のベクトルである。光度に関する下限が0である場合、錐体は、原点の頂点に到達する。光度に関する上限が存在しない場合、錐体は、光度応答線と同一の方向に無限に延在する。この一般化された錐体の幾何学的構造は、以下にさらに詳細に説明されるように、色の見え方制約条件の線形制約条件のシステムへの変換を可能にする。
再び、図9を参照すると、色の見え方制約条件915は、各色の見え方制約条件915および各基本フィルタ913に関して、反復的に動作し、線形制約条件射影限界906のベクトルおよび制約条件射影ノルム909の行列をもたらす、910における計算を介して、1組の線形制約条件に変換される。
色の見え方制約条件の線形制約条件のシステムへの変換は、図11のプロセスフロー図によってさらに詳述され、三刺激制約条件計算1102は、図9における動作910に対応する。本明細書では、色の見え方制約条件1101は、基準光1105、色度境界1106、および光度境界間隔1104として規定され得る。これらの限界は、図10Aおよび図10Bの説明とともに詳述されるように、観察者1103の三刺激空間内の一般化された凸多面錐(動作1109)に変換され得る。動作1109は、結果として生じる幾何学形状から、多面体の面に直交(垂直)し、かつそこから内方に指向するベクトルを備える行列1112と、前述のように、壁状面に対して0であり、かつキャップ状面に対して、上方および下方光度に等しい、面1113を含有する各平面の原点からのオフセットのベクトルとを提供する。
次に、色制約条件に対する境界幾何学形状と各基本フィルタ1107との間の相互作用が、以下のように決定される。基本フィルタ1107を通る基準光1105の透過率1108が計算され、次いで、前置フィルタ1210を通る透過率1111が、計算され、次いで、観察者1114によって受光される、フィルタリングされた光の網膜光色素吸収率1115(すなわち、視覚的光情報伝達)が計算され、前置フィルタと組み合わせて、基本フィルタを通して視認される基準光に対応する三刺激値1117をもたらす。三刺激値1117は、次いで、行列ベクトル積1116を使用して、制約条件多面体の表面法線ベクトル上に投射され(行列1112において)、制約条件多面体の面毎の三刺激値の1組のベクトル長(ノルム)1119と、色の見え方制約条件に関する含有を保証するであろう、対応する限界1118とをもたらす。これらの制約条件射影ノルムは、制約条件に関する基本フィルタの線形属性である。例えば、面法線ベクトル上に射影される三刺激値が、長さ0を有する場合、その基本フィルタは、制約条件に有効に直交し、任意の量のフィルタが、その特定の境界の違反を生じさせることなく、解内に組み込まれ得る。制約条件射影ノルムが非ゼロである場合、ノルムの大きさは、設計されたフィルタを、制約条件境界に向かって、またはそこから離れるように移動させる、基本フィルタの線形加重当たりの比を与える。
再び、図9を参照すると、これらの結果は、制約条件射影ノルム行列(前述の線形プログラム式におけるA)909および制約条件射影限界ベクトル(前述の線形プログラム式におけるb)906内に蓄積され、それらは、現時点において、線形プログラム907内に組み込むために互換性のある好適な形式にある。
いくつかの実施形態では、色の見え方制約条件1101(図11)はまた、基本フィルタ1107に関して、基準光1105の入射角を含んでもよく、その場合、適切な変形が、前置フィルタと組み合わせて、基準光基本フィルタを通して視認される三刺激値もまた、基準光の入射角を考慮するように、1108および1111において、結果として生じる光の透過を正確に計算するために適用され得る。例えば、フィルタが、干渉フィルタとして作成されるべき場合、入射角は、スネルの法則に従って、波長における%バイアスに基づいて、基本フィルタをシフトさせるために使用され得る(例えば、図16Aにおける曲線1601参照)。さらに、前置フィルタが、吸収タイプである場合、計算は、ランベルト・ベールの法則に従って、経路長差を考慮してもよい。複合フィルタfは、次いで、表面法線ベクトルから弧度θ外れた入射角におけるfの透過率が、fθ(λ)で示され、下記式によって近似され得るように、成分q=Exおよびpの構成によって表され得、
fθ(λ)=p(λ)(1/cos(θ)) i=1…Nxiei(λ/sqrt(1−sin2(θ)/n2))
式中、eiの有効屈折率は、約1.85の値を有するnであり、近似度は、約0度〜約45度のθに対して十分である。非ゼロ入射角における色の見え方制約条件の組み込みは、特に、理想的でない視認条件下において、色安定性が改善されたフィルタ設計を提供するために有用である。本開示におけるフィルタを評価する目的のために、入射角θに関する、フィルタfの白色点シフトは、下記式によって定義され、
WPS(f,θ)=sqrt((u0−uθ)2+(v0−vθ)2)
上記式において、(u0,v0)および(u0,v0)は、CIE 1931 2度標準観察者に関する、法線入射およびθ度だけ法線からずれた入射において、フィルタを通して視認される発光体D65のCIELUV(u’,v’)色度座標である。代替として、白色点シフトは、CIE 1964 10度標準観察者に関して計算される。
次に、図13のプロセスフロー図を参照すると、いくつかの実施形態では、フィルタ設計プロセスは反復される。そのような反復プロセスは、設計プロセス1302において、フィルタジェネレータ1303に入力されるフィルタ設計基準1301の初期仕様から開始し得る。設計基準1301は、例えば、図9に示される設計入力の一部または全部を含んでもよい。作成プロセスに関する付加的情報1309もまた、同様に、設計プロセス1302における、随意の作成分析プロセス1308(以下にさらに説明される)に入力されてもよい。そのような作成情報は、例えば、作成機器使用、作成コスト、または予算に関する時間制限、および、例えば、厚さ、厚さの均等性、構成、またはフィルタを作成するために利用される材料層の構成の均等性に関する制限等のフィルタ構造に関する物理的制限を含んでもよい。
フィルタジェネレータ1303は、例えば、図9を参照して前述のフィルタジェネレータ903と同じかまたは実質的に同じであってもよい。フィルタジェネレータ1303は、例えば、波長または周波数の関数として、透過の観点からの最適化されたフィルタ記述(例えば、図9における動作914によって出力される)、波長または周波数の関数として、透過の観点からの平滑化された最適化フィルタ記述(例えば、図9における動作916によって出力される)、あるいは随意の前置フィルタを組み込む複合フィルタ設計(例えば、図9における動作917によって出力される)であり得る試験的フィルタ1305を生成する。
随意に、試験的フィルタ1305(図13)の光学性能が、動作1307において分析されてもよい。そのような性能分析は、例えば、基準フィルタ1304、発光体1306、および1組の基準色1301に関する相対的色域面積1314の計算(その全ては、設計プロセス1302への随意の付加的入力である)を含んでもよい。相対的色域面積は、例えば、図4を参照して前述のプロセスを使用して計算されてもよい。相対的色域面積が、望ましくない(すなわち、高過ぎるまたは低過ぎるかのいずれか)場合、次いで、コストベクトルは、動作1315において、調節され、フィルタ設計基準1301は、設計プロセス1302を通して、さらなる反復に先立って、適宜、更新されてもよい。
コスト関数が、すぐ上で説明されたように調節される実施形態では、設計プロセス1302の最初の反復は、例えば、各々、中心波長、幅、および振幅によって特徴付けられる、(例えば、2つの)ガウシアン関数の総和の形態において、波長毎のコストの初期関数を利用してもよい。コスト関数はさらに、任意の単調関数の加算または乗算によって組み込まれる単調バイアスを含んでもよい。単調関数は、例えば、線形であってもよい。設計プロセスが反復されるにつれて、相対的色域面積が反復毎に計算されるのに伴って、コスト関数は、コスト関数を調節し、色域面積を増加(または、代替として、減少)させる任意の好適な従来の最大化方法を使用して調節され得る。コスト関数の調節は、例えば、ガウシアンを特徴付けるパラメータを改変するステップ、存在する任意の単調バイアスを特徴付けるパラメータを改変するステップ、またはガウシアンを特徴付けるパラメータを改変し、かつバイアスを特徴付けるパラメータを改変するステップを含んでもよい。コスト関数のための任意の他の好適な形態またはコスト関数のパラメータ化、およびコスト関数を調節するための任意の他の好適な方法もまた、使用されてもよい。
相対的色域面積を使用して、色弁別に関する試験的フィルタの性能を査定する代替として、いくつかの実施形態では、色空間内の基準色の分布が、分布の1つ以上の標準偏差を計算することによって特徴付けられる。標準偏差は、色空間の赤色−緑色および青色−黄色軸に沿って、または方向または軸の任意の他の好適な選択肢に沿って、分布の射影のために計算されてもよい。第2色視異常混同線上への射影は、第2色弱観察者によって使用されるべきフィルタを評価するために好ましくあり得る。第1色視異常混同線上への射影は、第1色弱観察者によって使用されるべきフィルタを評価するために好ましくあり得る。第3色視異常混同線上への射影は、第3色弱観察者によって使用されるべきフィルタを評価するために好ましくあり得るか、または青色−黄色弁別が、赤色−緑色弁別の垂直またはほぼ垂直軸に沿って、標準偏差における相補的増加によって悪影響を受けないことを保証するために、フィルタを評価するために有用であり得る。基準フィルタと比較して、1つ以上のそのような標準偏差を増加させる試験的フィルタは、色空間内の1つ以上の対応する方向に沿って、色弁別を増大させるように視認され得る。基準フィルタと比較して、1つ以上のそのような標準偏差を減少させる試験的フィルタは、色空間内の1つ以上の対応する方向に沿って、色弁別を減少させるように視認され得る。相対的色域面積に関して前述のものと同様に、いくつかの実施形態では、設計プロセス1302において使用されるコスト関数は、反復的に調節され、試験的フィルタを通して視認される、色空間内の基準色分布の1つ以上の標準偏差を最大または最小にしてもよい。
次に、設計プロセス1302(図13)における性能分析動作1307を参照すると、動作1307は、随意に、また、例えば、American National規格Institute,Inc.ANSI Z80.3−2010(2010年6月7日承認)またはANSI Z87.1−2010(2010年4月13日承認)(両方とも、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる)等の工業または政府規制基準に準拠するために、試験的フィルタを査定してもよい。この分析は、例えば、試験的フィルタが、意図された用途(例えば、自動車を運転している間)に対して、ヒト観察者によって使用するために安全であることを保証するために行われ得る。この規格準拠分析の結果1313に基づいて、動作1316は、フィルタ設計基準1301のための付加的または修正された色の見え方制約条件を編成し、設計フィルタプロセス1302を規格に準拠するように仕向けてもよい。
性能分析1307に加え、またはその代替として、試験関数1305が、動作1308において、作成可能性のために分析されてもよい。この動作は、例えば、推定される作成コスト1312や、公差および/または機械加工指示を提供する作成仕様1311を生成してもよい。推定される作成コスト1312は、例えば、総作成時間、総財務コスト、または両方として表されてもよい。推定される作成コスト1312に基づいて、動作1317は、随意に、色制約条件、平滑化(例えば、図9における動作916)、または色制約条件および平滑化を調節し、設計フィルタプロセス1302をより低い推定される作成コストを有するフィルタに仕向けてもよい。例えば、平滑化カーネル920(図9)の幅が、増加されてもよく、あるいはある領域の内側のスペクトル透過率に関する制約条件が、必要に応じて緩和または緊縮されてもよい。
動作1316または1317において追加または修正された制約条件が、実行不可能設計基準(すなわち、線形プログラミング問題に対して解が存在しない設計基準)を生成する場合、線形プログラムソルバー(例えば、図9における905)は、この状況を検出してもよい。制約条件は、次いで、実行可能性が復元されるまで、緩和または緊縮されてもよい。
フィルタ設計および分析プロセス1302全体は、満足のゆく(例えば、最も好ましい)フィルタ設計に到達するまで繰り返されてもよく、その時点において、作成仕様1311が得られ、光学フィルタを作成するために使用され得る。
本明細書に開示されるようなフィルタは、例えば、光の吸収、反射、または吸収および反射に基づく、光をフィルタリングしてもよい。フィルタは、例えば、干渉フィルタ、吸収フィルタ、および偏光フィルタ(偏光フィルタは、典型的には、波長選択的偏光回転子を封入する一対の線形偏光子を含む)の任意の好適な組み合わせを含んでもよい。本明細書に開示されるような干渉フィルタおよび複合フィルタの干渉フィルタ部分は、例えば、約12〜200の層を使用し、100層当たり約6ミクロンの総厚および約1.8〜約1.9の典型的有効屈折率を有する誘電コーティングとして加工されてもよい。これらの多層干渉コーティングは、例えば、0〜約10ジオプターのベースカーブを有するガラスまたは光学ポリマー基板上に塗布されてもよく、ジオプターは、1.523の屈折率に較正されたレンズクロックによる球面曲率の測定値として定義される。
本明細書に開示され、眼鏡類のために意図された干渉フィルタ設計はまた、円形偏光子を有する構成において使用するために規定されてもよく、その詳細は、図24Aおよび図24Bならびに付随の説明に与えられる。
本明細書に開示され、眼鏡類のために意図された干渉フィルタのためのさらなる設計はまた、減光吸収体、または広帯域吸収体、または狭帯域吸収体を有する構成において使用するために規定されてもよく、その詳細は、図28Aおよび図28Bならびに付随の説明に与えられ、その具体的実施例は、図20Aおよび図20Bの議論とともに開示される。
概して、以下、作成プロセスは、(少なくとも)干渉フィルタを形成するために、可変の厚さおよび屈折率の一連のコーティング層内に、誘電材料の物理蒸着を含むと想定される。工業用機械およびプロセスは、容易に利用可能であって、部分的透過率の領域および/または通過帯域の不規則構成を有するフィルタを含め、そのようなフィルタの高処理量高精度作成を可能にする。任意の他の好適な作成プロセスも同様に、そのような物理蒸着プロセスの代わりに、またはそれと組み合わせて、使用されてもよい。
別様に制約されない限り、赤色−緑色弁別を増大させるために設計されるフィルタは、黄色光の透過を低下させる傾向にあり得、これは、黄色交通信号をより暗く、かつ赤色により類似して見せ得る(例えば、橙色または赤褐色)。同様に、青色−黄色弁別を増大させるフィルタは、緑色光を青色または白色により類似して見せる傾向にあり得る(例えば、非飽和化される)。この問題および類似の潜在的問題を回避するために、例えば、サングラス等の汎用眼鏡類に組み込まれるべきフィルタは、結果として生じる眼鏡類が、ある色、特に、平均的な昼光および交通信号光の色の調整された見え方を提供するように構成されてもよい。いくつかの眼鏡類に対して、これは、例えば、工業または政府規制基準を満たすために必要であり得る。満足のゆく構成は、例えば、好適な制約条件をフィルタ設計に適用することによって、前述の方法を使用して設計されてもよい。光度制約条件は、そのような光(例えば、昼光、交通信号光)が、フィルタリング眼鏡類を通して視認されるとき、合理的に明るく見えることを保証し得る。色度座標内の凸境界として規定される色度制約条件は、そのような光が制約条件境界内にあり、その結果、観察者によって正確な標準色名を有する色相を有すると見なされるであろう、すなわち、昼光が、本質的に白色であり、交通信号が、例えば、交通信号緑色、交通信号黄色、および交通信号赤色のインジケータ光として正確に識別されることを保証し得る。
図14Aは、汎用眼鏡類に対するそのような「一般的使用」制約条件の実施例を示す。例示的色彩境界1401は、黄色信号が橙色または赤色に見えないことをもたらす。点1402は、非制約の赤色−緑色弁別向上フィルタを通して視認された黄色信号の色度を示し、点1401は、準拠した赤色−緑色弁別向上フィルタの下での黄色信号の色度を示す。例示的色彩境界1406は、緑色信号が、黄色、青色、または過度に非飽和化されて見えないことをもたらす。点1404は、本質的に、両フィルタの下で同じである緑色信号の色度を示す。例示的色彩境界1405は、昼光が、強く着色されて見えないことをもたらす。点1403は、昼光の色度が、本質的に両フィルタの下で同じであることを示す。
図14Bは、昼光のスペクトル放射束1408、緑色交通信号1407、および黄色交通信号1409のグラフを示す。図14Cは、非制約フィルタの透過率1411および制約フィルタの透過率1410を示す。フィルタ1410において、制約条件の効果は、長い通過帯域が本質的に2つの通過帯域に分割され、4つの通過帯域フィルタを形成するという点が明白である。本実施例に示されるような限定制約条件は、黄色度境界の最も赤色側にある。しかしながら、図15Aおよび15Bとともに、さらなる説明に示されるように、分割された通過帯域は、より好ましくは、短波長側に分割されたサブ帯域を有する代わりに肩を有する等、不規則形状を有する単一通過帯域に強制され得るか、または本質的にサブ帯域を単一通過帯域に融合する程に十分に広い範囲に及ぶカーネルによって平滑化され得る。
眼鏡類内への多帯域フィルタの組み込みに関するさらなる懸念は、遮断帯域が、いくつかの狭帯域光(発光ダイオード、レーザ、およびナトリウム灯から等)の光度を有意に抑制し得ることである。いくつかの実施形態では、フィルタの最小透過率に関する下限を設定し、全単色光の最小明度を保証することが好ましい。図15Aにおいて、例えば、1501のグラフは、約450ナノメートル〜約650ナノメートルの間で約7%の透過率であるスペクトル透過率下限を示す。制約条件を組み込むフィルタは、図15Bにおける1504のそのスペクトル透過率グラフによって示される。
フィルタ1504は、4通過帯域フィルタであって、第4の通過帯域は、黄色信号の制約条件(図14A−14Cとともに説明される)を満たすために追加されている。いくつかの実施形態では、この付加的通過帯域を長波長通過帯域の短波長側の帯域肩に変換することが好ましくあり得る。この変更は、多帯域フィルタが、以下にさらに説明されるように、法線入射以外の入射角におけるスペクトル透過率の青方シフトによって特徴付けられる干渉フィルタを組み込むことを想定して、結果として生じるフィルタが、入射角の変化に関して、黄色光(特に、狭帯域黄色光に対して)のより安定した見え方を提供し得るために好ましくあり得る。第4の通過帯域に対する肩の置換は、例えば、図15Aにおけるグラフ1502によって示されるように、例えば、所望の領域の内側の最小スペクトル透過率制約条件を増加させることによって、達成され得る。グラフ1502では、最小透過率は、約580ナノメートル〜約635ナノメートルの間で約18%に設定される必要がある。結果として生じる修正されたフィルタ透過率は、グラフ1503(図15B)によって示され、長波長通過帯域の短波長側に説明される肩を示す。
すぐ上で説明されたような肩を有する通過帯域はまた、3つの通過帯域フィルタ内の他の位置においても有用であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、入射角誘発青方シフト下における狭帯域蛍光照明器具(FL10〜FL12等)の色歪曲を低減させるために、中間波長通過帯域の長波長側に肩を生じさせる最小透過率制約条件を追加する際に有用性があり得る。さらなる実施例では、いくつかの実施形態は、短波長通過帯域の短波長または長波長側に肩を有し、これは、図16Aおよび16Bとともにより詳細に説明される。さらなる実施例では、通過帯域は、本質的に双峰分布である構成を伴い、2つのモードが、少なくとも部分的に重複している不規則形状(すなわち、矩形でもなく、ガウシアンでもない)を有してもよく、または通過帯域の1つ以上の側に肩を有してもよく、または歪曲分布として記述されてもよく、波長毎の透過率における通過帯域の両側の間の勾配比は、約4:1〜1:4である。
そのようなフィルタに適用可能であるさらなる制約条件は、白色点、すなわち、昼光等の典型的発光体の色度座標に関する。白色点が、中性点(すなわち、フィルタリングされていない昼光に対応する色度座標)の合理的半径内にあることを条件として、フィルタは、強く着色されていないと見なされ得る。したがって、色彩適応の視覚機構は、観察者が、数分間、眼鏡類を装着後、新しい色均衡に調節することを可能にするであろう。いくつかの実施形態では、例えば、白色点が中性である、すなわち、昼光の色度座標が、領域1405(図14)の中心またはほぼ中心にあるように構成することによって、この調節待機時間を最小にすることが好ましい。白色点が、中性であることが所望される、そのような場合には、制約条件領域は、昼光の見え方に対して与えられてもよく、例えば、発光体D65の(x,y)色度座標は、約(0.31、0.33)であって、最も好ましいフィルタは、その点の約0.05単位内に白色点を提供し得る。ある場合には、特に、例えば、コスト関数が、青色光の透過を最大または最小のいずれかにするように構成されるとき、白色点が、より大きな領域、例えば、領域1405(図14)内の任意の場所内で変動することを可能にすることが好ましくあり得る。さらなる状況では、白色点の特定の色合いは、審美性を含む他の理由から規定されてもよい。
前述のように、多帯域干渉フィルタの透過スペクトルは、入射光の入射角の逸脱に敏感である。具体的には、スペクトル透過率は、干渉フィルタの有効光学厚さ(すなわち、相殺的干渉が、フィルタ内の屈折率境界において生じる波長)が、入射光の角度が、法線入射からずれて増加するにつれて減少するので、より短い波長に向かってシフト(青方シフト)を受ける。法線入射は、干渉フィルタが蒸着された表面に垂直なベクトルによって定義される。ここでは、法線入射は、0度入射角と称され得る、すなわち、角度は、法線ベクトルからずれた傾斜を指す。さらに、吸収フィルタを組み込む多帯域フィルタは、ランベルト・ベールの法則に従って、透過率が変化し得、吸収は、入射光の角度が、法線入射からずれるように増加するにつれて、吸収媒体を通るより大きな有効経路長のため、増加する傾向にある。前述の変形例のいずれかでは、多帯域フィルタfは、吸収フィルタpとともに、干渉フィルタqを備えてもよく、表面法線ベクトルから弧度θだけ外れた入射角におけるfの透過率が、fθ(λ)で示され、下記式によって近似され得るように、pの角度毎の透過率の変化は、ランベルト・ベールの法則に従い、qの角度毎の透過率の変化は、スネルの法則に従い、
q(λ)=f(λ)/p(λ)、
fθ(λ)=p(λ)(1/cos(θ))q(λ/sqrt(1−sin2(θ)/n2))
上記式において、qの有効屈折率は、約1.85の典型的値を有するnであり、法線入射におけるpのスペクトル透過率は、p(λ)であり、法線入射におけるfのスペクトル透過率は、f(λ)であり、法線入射におけるqのスペクトル透過率は、q(λ)であり、近似度は、約0度〜約45度のθに対して十分である。フィルタの入射角感度は、眼鏡類等の装置内へのその組み込みに関する影響を有し、光の有効入射角は、レンズの表面上の位置毎に有意な変動を有し(図29A〜29Bおよび図30A〜30Bによって詳細に説明される)、また、照明器具アセンブリ等の装置内へのそのようなフィルタの組み込みに関する影響も有し、発光体の完全ビームコリメーションを達成することは不可能である。
入射角毎のフィルタのスペクトル透過率の変化は、フィルタの物理的特性である。しかしながら、主要な着目点は、入射角毎のフィルタを通して視認される基準光の色彩および発光変化量を測定することによって定量化され得るという、そのような変化の知覚的影響である。特に、発光体の色度座標、すなわち、フィルタ白色点に関するそのような変化を検討することは、入射角毎の白色点の変化が、概して、その標準光の下で視認される1組の基準色全体へのそのような変化と相関するので有用である。さらに、前述のようなフィルタ生成方法において、付加的な色の見え方制約条件を採用することによって、発光体の色度座標が、規定された角度および中間角度において、実質的に不変であるように、2つ以上の入射角(例えば、0度および法線軸から25度外れた入射角、または0度、25度および35度の入射角)における白色点を制約することが可能である。
図17Cでは、グラフ1707(図8Cのグラフ811に類似)は、赤色−緑色弁別の向上をもたらす、例示的フィルタのスペクトル透過を示す。グラフ1707は、法線入射における、フィルタのスペクトル透過を示し、グラフ1706および1705は、各々、法線入射から、約20度および30度外れた、(青方シフトされた)フィルタのスペクトル透過を示す。図17Aはまた、3つのフィルタを通して視認される、マンセル表色系の選択された等値線の見え方に及ぼす効果を示す。等値線1703は、法線フィルタ(0度入射角)に対応し、等値線1702は、第1のシフトされたフィルタ(約20度入射角)に対応し、等値線1701は、第2のシフトされたフィルタ(約30度入射角)に対応する。これらの等値線から、フィルタ下の色の見え方が、そのような入射角の変化に関して安定していないことが明白である。さらに、我々は、赤色−緑色弁別において、最大増加を有するフィルタが、1つ以上の網膜光色素の波長毎の吸収率の変化が最大になる場所に、通過帯域を配置る傾向にあることを観察している。したがって、色弁別向上(特に、赤色−緑色向上)のために最も好ましいフィルタはまた、安定した色の見え方を提供するために最も好ましくない。
図16Bでは、グラフ1603(図15Bのグラフ1503に類似)は、赤色−緑色弁別の向上をもたらす、例示的フィルタのスペクトル透過を示す。グラフ1604は、色の見え方の向上をもたらし、加えて、法線入射および法線から約30度外れた入射において、実質的に同じであるように、白色点を制約することにより、安定した色の見え方を提供する、1603のものと同様の例示的フィルタのスペクトル透過を示す。安定した色の見え方を提供する多帯域フィルタは、その安定性を、例えば、安定している基準光を視認するとき、3種類の網膜錐体細胞の各々に対する刺激の変化が、角度の範囲にわたって、ほぼ線形であって、3つの種類間の変化が、本質的に、最大でも、1自由度を有するシステムを記述し、その自由度が、光度の方向においてのみ作用するように、配置および/または成形される、帯域を有することから導出し得る。例えば、いくつかの実施形態では、帯域は、好ましくは、網膜光色素吸収率のうちの1つ以上のピーク感度の波長近傍に位置してもよく、または所望の範囲にわたって、入射角毎の刺激変化を不変またはほぼ不変にするように作用する、双峰分布または他の不規則形状を有してもよい。さらなる実施形態では、通過帯域(例えば、長波長通過帯域)の形状は、長波長錐体への刺激の変化が、入射角毎の中間波長錐体の刺激の変化に反比例し、したがって、一定色度を維持するために、自由度に関する必要限界を保証するように構成されてもよい。しかしながら、そのような帯域位置および/または形状は、概して、色弁別の向上のための最適下限であることが見出され、したがって、線形プログラム方法の可用性は、色弁別向上を可能にすることに向かって、最も対立しない、色安定性制約条件を満たす解を提供するという事実にあり得る。具体的には、フィルタ帯域位置に対するそのような改変は、好ましくは、最外帯域上で生じる。例えば、S錐体に対する刺激の変化率は、短波長帯域を約450ナノメートルに配置することによって、実質的に一定にされ得る。代替として、ある場合には、短波長通過帯域は、好ましくは、S錐体吸収率(例えば、グラフ1605に示される)のピークの付近で分割され得、それによって、通過帯域は、約435ナノメートルにおける第1のモードと、約455ナノメートルにおける第2のモードとを有する、双峰分布を有するとして説明され得る。さらなる実施例では、長波長通過帯域は、約620ナノメートルにおける第1のモードと、約650ナノメートルにおける第2のモードとを有する、双峰分布によって特徴付けられ得る、あるいは歪曲分布、肩(典型的には、短波長側)、または他の不規則(すなわち、非ガウシアン)分布を有し得る。
入射角の範囲に関して、安定した白色点を有するフィルタの挙動は、図18A−18Cの略図に示される。図18Cは、グラフ1807内の法線入射における、フィルタの透過率と、グラフ1806内の約20度入射における、フィルタの透過率とを示す。これらのグラフでは、参照番号1805によって識別される、短波長領域の内側の分割サブ帯域構造が、本質的に、波長シフトを前提として、安定するように同調される、コムフィルタとして挙動していることが観察され得る。
その色の見え方が安定化された発光体は、図18Bにおけるグラフ1804に示されるような昼光のものである。図18Aの色度図では、発光体の色度座標1803は、両入射角度下、同じである。図18Aはまた、マンセル表色系の選択された等値線の見え方に及ぼす効果を示す。等値線1801は、法線フィルタ(0度入射角)に対応し、等値線1802は、シフトされたフィルタ(約30度入射角)に対応する。これらの等値線の位置から、フィルタが、これらの基準色の合理的に安定した見え方を提供し、飽和における損失の大部分が、主に、最も高度に飽和した色(例えば、図8Aとともに前述のような外側マンセル等値線)と関連付けられることが理解され得る。本フィルタによって実証される色彩安定性は、レンズの中心における「ホットスポット」(入射角誘発青色シフトから生じる)の見え方を有意に低減し、概して、視覚的快適性の増加に寄与し得る。
例えば、図18Cに示されるような色安定性を提供するフィルタは、課された制約条件の影響のため、赤色−緑色向上をあまりもたらし得ない。いくつかの実施形態では、狭帯域吸収率を有する前置フィルタを組み込むことが望ましくあり得、吸収帯域は、遮断帯域が、フィルタ設計内に予期される場所の周囲に位置する。したがって、干渉フィルタと組み合わせて、狭帯域吸収フィルタを備える、複合フィルタは、所望の色向上の劣化をほとんど伴わずに、所望の色安定性を達成し得る。そのようなフィルタの2つの実施例が、図20Aおよび20Bに示される。図20Aでは、2001における実線曲線は、ガラス基板内にネオジムを備える、吸収フィルタのスペクトル透過率を示す。ネオジムは、約520ナノメートルにおける二次吸収帯域に加え、約590ナノメートルにおける強吸収帯域によって特徴付けられる、希土類材料である。図20Bでは、2002における実線曲線は、ネオジム吸収フィルタと組み合わせられるとき、0度〜30度の入射角にわたって、安定した色の見え方と組み合わせて、赤色−緑色弁別の向上をもたらす、干渉フィルタの透過率を示す。再び、図20Aを参照すると、2001における破線曲線は、ポリマー基板内に狭帯域有機色素Exciton P491およびExciton ABS584を備える、吸収フィルタのスペクトル透過率を示す。Exciton P491は、約491ナノメートルにおける強吸収帯域によって特徴付けられ、Exciton ABS584は、約584ナノメートルにおける強吸収帯域によって特徴付けられる。図20Bでは、2002における破線曲線は、有機色素フィルタと組み合わせられるとき、0度〜30度の入射角にわたって、安定した色の見え方と組み合わせて、赤色−緑色弁別の向上をもたらす、干渉フィルタの透過率を示す。これらの実施例は、吸収フィルタ透過率を前置フィルタとして組み込むことにより、前述のような線形プログラミングの方法によって設計されてもよい。
正常観察者のための色安定性を提供するために、概して、白色点シフトが、角度約0〜約35度に対して、CIELUV(u’,v’)色空間およびCIE 1931 2度観察者に関して、約0.01単位未満であるように、色度座標を制約することが望ましい。ある場合には、角度の範囲は、約0〜約45度まで増加され得る。色シフトにあまり敏感ではなく、その色知覚が、必ずしも、標準観察者モデルによって良好に特徴付けられないため、緑色弱を有する観察者に対して、シフト公差は、約0.02単位まで増加されることができ、第1色弱または重度緑色弱を有する観察者に対して、公差はさらに、約0.04単位まで増加されることができる。さらに、そのような異常観察者に対して、その色整合関数は、CIE 1931 2度標準観察者のものと有意に異なり、色安定性を可能にする制約条件基準は、観察者特異的色整合関数を使用して計算されてもよい。そのような場合、結果として生じるフィルタは、CIE 1931 2度観察者に従って、白色点シフト安定性に対して分析されると、白色点シフト関数が、角度約20〜約40度の入射角において、極小値を有し、極小値における法線白色点までの距離が、約0.02単位未満であるという特性を有し得る。
そのようなフィルタが、眼鏡類内に組み込まれるとき、法線入射および法線から外れた入射におけるフィルタ性能の相対的重要度を特徴付けるために、レンズおよび眼の幾何学モデル(例えば、レンズが、眼鏡類内に組み込まれ、眼の正面に位置する)を使用して、レンズ位置毎の有効入射角ならびに有効入射角毎の相対的重要度を計算してもよい。有効入射角は、本明細書によって、レンズ位置におけるレンズの法線ベクトルと、眼の網膜上に結像される、レンズ位置を通過する光線の法線ベクトルとの間の角度として定義される。前述のような幾何学モデルは、図29A(上面図)および図29B(斜視図)に図示される。ここでは、左および右眼の幾何学形状が、各々、2904および2905において、半球によって表される。ヒト(典型的には、成人)の眼は、曲率半径約12.5ミリメートル、および瞳孔間距離約60ミリメートルを有する。色彩感覚は、主に、視覚の中心10度から導出されるが、しかしながら、眼はまた、その眼窩内で回転し得、したがって、色知覚が必要とされる角度の範囲は、10度を超える。左および右レンズの幾何学形状(典型的には、眼鏡類の形状を有する)は、球状区画2901および2902によって表される。点線矢印2906は、レンズ上の中心位置を通過する光線を図示し、2909は、レンズ上の遠位位置を通過する光線を図示する。光線はまた、概して、網膜の中心および遠位位置上に結像される。光線が通過する位置における、レンズの表面法線ベクトルは、2907および2908に示される。眼鏡類内のレンズは、曲率半径約50ミリメートル〜約150ミリメートル(本実施例では、曲率半径は、87ミリメートルである)を有し得る。この半径は、眼の半径を有意に上回るため、入射光線と対応するレンズ位置における表面法線ベクトルとの間の角度は、その位置が、2907と2906との間のものと比較して、2908と2909との間の角度の増加によって、図29Aおよび29Bに図示されるように、中心からの距離を増加させるにつれて、増加する傾向にある。
任意のフレームスタイル(例えば、眼に対して配置するレンズまたは複数のレンズの縁外形)および任意のレンズ曲率を前提として、(例えば、コンピュータを使用して)レンズ位置毎に、レンズ上に位置する点にわたって反復させ、表面法線ベクトルおよび網膜像光線を構築し、次いで、表面位置における2つのベクトル間の角度を計算することによって、すぐ上で説明された幾何学モデルからの有効入射角を計算することが可能である。そのような計算の結果は、図30Aの等値線プロットに示され、3004における境界は、レンズの縁を示し、内部等値線は、前述のような有効入射角を示し、例えば、有効入射角は、等値線3001に沿って約10度、等値線3002において約20度、等値線3003において約30度である。
次に、有効入射角毎の相対的重要度を計算することが有用である。次に、図30Bを参照すると、有効入射角毎の相対的重要度の関数は、2つの部分:特定の角度において視認される、レンズ表面積の割合の第1の推定値と、眼が、特定の角度においてレンズを通して見ているように、軸に沿って配向される確率の第2の推定値の乗法積を備える。本明細書では、ガウシアン統計モデルを使用して、例えば、約10度の標準偏差を有する曲線3007によって示されるように配向分布を推定する。したがって、眼は、法線入射角に沿って見ている可能性が最も高い。しかしながら、レンズ上には、入射角が、法線である単一点のみ存在する(例えば、図30Aにおける点3005)一方、レンズの表面積は、例えば、10度〜15度である(例えば、図30Aにおける等値線3001と3006との間)ことに留意されたい。典型的レンズの表面にわたって、入射角は、最大でも法線から約35度ずれており、この範囲にわたって、1度当たりのレンズ表面の面積割合は、図30Bにおける曲線3009によって表されるように、ほぼ線形的に増加する。面積加重曲線および配向分布曲線の積は、例えば、曲線3008に示されるように、重要度加重関数を与える。したがって、重要度加重PGAIは、下記式によって定義され得、
PGAIIW(f,fREF)=(1/k)θexp(−(θ2/(2σ2)))PGAI(fθ,fREF)
k=∫θ=0…45θexp(−(θ2/(2σ2)))dθ
式中、exp()は、指数関数であり、θは、範囲0...30度を有する有効入射角であり、PGAI(fθ、fREF)は、入射角θにおいて視認または照明される試験的フィルタfおよび基準フィルタfREFのPGAIであり、σは、典型的には、約10度の値を有
する眼配向分布の標準偏差であり、kは、加重正規化係数である。本開示におけるフィルタを評価する目的のために、重要度加重パーセント色域面積増加の2つの具体的公式が、与えられ、眼配向角度における標準偏差は、約σ=10度に設定され、基準色は、D15または自然界サンプルとして規定される。公式は、各々、下記式によって与えられ、
PGAIIW(f,fREF,D15)=(1/k)θexp(−(θ2/(200)))PGAI(fθ,fREF,D15), PGAIIW(f,fREF,NWS)=(1/k)θexp(−(θ2/(200)))PGAI(fθ,fREF,NWS)
k=∫θ=0…45θexp(−(θ2/(200)))dθ
式中、PGAI(fθ,fREF,D15)およびPGAI(fθ,fREF,NWS)の計算のための条件は、本開示において前述されている。
特に、式PGAIIW(f,fREF,D15)によって前述で定義された性能測定基準は、フィルタfの特性を分類するために使用されてもよく、フィルタの白色点が、中性であり、さらに、白色点が、入射角の合理的範囲にわたって中性のままであることを前提として、百分率増加または減少における絶対性能が、そのようなフィルタ群の間で比較されてもよい。本明細書では、PGAIIW計算の使用は、中性であり、かつそのような角度変化に関して安定している白色点を有するフィルタに制限される。PGAIIWの約−10%〜約10%の値に対して、フィルタは、本質的に正常な色弁別を提供すると説明され得る。約10%〜約40%の値に対して、フィルタは、赤色−緑色弁別を増大させると説明され得、値が高いほど、より優れた性能に対応する。−約10%未満の値に対して、フィルタは、青色−黄色弁別を増大させると説明され得る。前述の値は、フィルタが、本質的に、中性(すなわち、発光体D65の(x,y)色度座標が、0〜約30度の間の全入射角またはほぼ全入射角に対して、約(0.31,0.33)である白色点を提供すると想定する。前述のように、色域面積の評価は、白色点によって変動し得、したがって、白色点シフトが安定化されていないフィルタは、重要度加重PGAI測定基準によって有意義に評価されることができない。さらに、白色点のいくつかの色合い(特に、緑色を帯びた色合い)は、より大きな値のPGAIを提供し得るが、しかしながら、そのような増加は、必ずしも色弁別の増加に対応しない。
さらなる実施形態では、計算はまた、作成プロセスから生じる物理的な厚さの変化を考慮してもよい。例えば、湾曲基板上への物理蒸着において、コーティング厚さは、スパッタリング源からの距離および/または放出される粒子と湾曲基板の表面法線との間の有効入射角によって減少する傾向にある。なおもさらなる実施形態では、すぐ上で説明されたような有効入射角の計算は、フィルタが、湾曲基板上に加工され、フィルタが、例えば、レンズの縁に向かって厚さが増加する(例えば、中心における正常物理的な厚さから、レンズの縁における+約10%の物理的な厚さへと線形的に増加する)分布を有することによって、有効入射角を補償する物理的な厚さプロファイルを有するように、作成仕様のバイアスとして使用されてもよい。干渉フィルタは、レンズ上の全位置またはほぼ全位置において、有効入射角に関して不変または実質的に不変である光学厚さを達成するように加工されてもよい。
いくつかの実施形態では、フィルタの性能分析は、眼鏡類内に組み込まれるとき、フィルタの重要度加重平均性能を決定するために、相対的重要度データの使用を含んでもよい。重要度加重平均性能は、フィルタのスペクトル透過率仕様を調節することによって、特に、仕様を赤方シフトさせることによって改善され得る。例えば、rのスペクトル透過率は、下記式によって算出されるように、より長い波長に向かってシフトされ得、
q’(λ)=q(αλ)
α>1.0
式中、αは、シフトの量を決定する係数であり、αは、重要度加重平均相対的色域面積の増加および/または減少ならびに/あるいは色空間の軸に沿った標準偏差を最大にするように選択される。代替として、αは、いくつかの他の性能測定基準を改善する、例えば、重要度加重平均太陽青色光透過率を低減させるために選択されてもよい。最適バイアス係数αは、要求されるバイアスの典型的量が、通常、約1%〜約4%(α=1.01〜1.04)の間にあるので、約1.0〜約1.1の間の値を集計することによって、効率的に決定され得る。例えば、約530ナノメートルの中間波長通過帯域を有する赤色−緑色向上フィルタは、好ましくは約535ナノメートル(α=1.01)に赤方シフトされ、重要度加重平均相対的色域面積を改善してもよい。
特に、そのような干渉フィルタを備えるフィルタは、眼鏡類内への多帯域フィルタの組み込みに関する別の側面は、レンズの片側または両側における反射率の管理である。透過率q(λ)を有する理想的干渉フィルタの反射率は、下記式によって定義されるその補数q*(λ)であり、
q*(λ)=1.0−q(λ)
例えば、サングラス内に組み込まれるフィルタは、約20%の光透過率を有し得、したがって、干渉フィルタのみで加工される場合、約80%の光反射率を有するであろう。そのような高反射率は、ユーザが、レンズ内で反射されたそれらの背後のオブジェクトまたはその自身の眼の像が見えるにつれて、有意な視覚的不快感を生じさせ得る。一般的使用に対して、レンズの内部表面上の光反射率は、最大でもレンズの光透過率の約1/5であるべきであるが、ある場合には、光透過率の最大約1/2の光反射率が、容認可能であってもよい。高反射率は、部分的に、フレームの周囲の遮蔽を改善することによって軽減され得る(例えば、眼鏡のつる上の側面遮蔽によって)。吸収フィルタ(例えば、前述のような成分p(λ))の組み込みは、有意に、レンズの片側または両側における反射率を改善させ得る、例えば、レンズの片側に位置するp(λ)によって、反射率は、干渉フィルタq(λ)および吸収フィルタpから成るフィルタfの反射率を計算するための下記式によって示されるように、吸収フィルタを2回通過しなければならないため、その側で有意に低減され、
f(λ)=q(λ)×p(λ)
f′(λ)=p(λ)×q*(λ)×p(λ)
上記式において、f′(λ)は、フィルタのスペクトル反射率である。色弁別の向上のためのそのような複合フィルタに関して、好ましくは、ピーク透過率と複合フィルタfの平均透過率との間の比は、可能な限り高くあるべきである。さらなる実施例では、p(λ)は、レンズの両側に位置する2つの成分吸収フィルタ、次いで、2つの吸収フィルタに組み込まれ得る。例えば、以下となり、
f(λ)=pa(λ)×q(λ)×pb(λ)
fa *(λ)=pa(λ)×q*(λ)×pa(λ)
fb *(λ)=pb(λ)×q*(λ)×pb(λ)
上記式において、fa *(λ)は、レンズの片側(例えば、外部表面)のスペクトル反射率を与え、fb *(λ)は、レンズの他方側(例えば、内部表面)のスペクトル反射率を与える。
いくつかの実施例では、p(λ)は、約40%の透過率の灰色ガラス等のニュートラルデンシティフィルタであってもよい。例えば、そのような組み合わせは、約20%の光透過率、約40%のピーク透過率、およびレンズの片側の約8%の光反射率を達成し得る(すなわち、q(λ)は、約50%の光透過率を有する)。さらなる実施例では、p(λ)は、両方とも着色されている2つの吸収フィルタから成るニュートラルデンシティフィルタであってもよく、例えば、組み合わせられ、約40%の中間透過率をもたらす茶色を帯びたガラスおよび青色を帯びたガラスである。そのような色は、例えば、審美的理由から、レンズの外側表面上に反射される光の色に影響を及ぼすように厳選されてもよい。減光および着色吸収体はまた、有機色素から形成され、ポリマー基板内に組み込まれ、および/またはレンズの1つ以上の表面へのコーティングとして塗布されてもよい(例えば、スピンコーティングまたは浸漬コーティングによって)。
好ましくは、p(λ)は、f(λ)のスペクトル透過率に相補的であって、したがって、複合フィルタの平均透過率に対するより高い(例えば、減光吸収によって可能であるであろうものより高い)比のピークを可能にする、狭帯域選択的吸収体を使用して形成されてもよい。例えば、各々、約491ナノメートルおよび約584ナノメートルにおいて吸収する、狭帯域有機色素Exciton P491およびExciton ABS584が採用され、本明細書に開示されるような赤色−緑色弁別向上フィルタと併用するために好適である、そのような相補的吸収体を形成してもよい。代替として、ネオジム、プラセオジム、およびホルミウム等のある希土類元素は、視覚スペクトル内に狭帯域吸収率を有し、同様に、採用され得る。例えば、Barberini GmbHによって作成されたネオジム含有ガラスレンズACE Improvedが、干渉フィルタの蒸着のための光学基板として使用されてもよい。加えて、狭帯域吸収体(干渉フィルタと組み合わせて)の組み込みは、図20Aおよび図20Bとともに前述のような白色点に関する色安定性制約条件を組み込む、フィルタ設計の品質を改善し得、特に、狭帯域吸収体は、法線軸から20度超外れた入射角において、そのようなフィルタによって提供される、色弁別を改善する。
代替として、または加えて、p(λ)は、1つ以上の円形偏光子の組み込みにより、反射された光を吸収してもよい。いくつかの実施形態では、円形偏光子が、レンズの内側に位置し、そうでなければ、ユーザの眼に可視であるであろう、反射を減衰させる。円形偏光子はまた、レンズの外側に位置し、正面側反射率を減衰させてもよい。円形偏光子を組み込むレンズは、レンズの片側または両側において、約40%のピーク透過率、約20%の光透過率、および約2%の光反射率を達成し得る。6ジオプター以上の球面曲線を有する円形偏光子が、例えば、熱形成することによって作成され、例えば、積層によって、レンズ内に組み込まれてもよい。加えて、円形偏光子は、部分的偏光(例えば、約70%の偏光効率)のみ達成する、線形偏光子を使用して形成され、それによって、レンズの片側または両側における光反射率の増加を犠牲にして、より高いピーク透過率を可能にしてもよい。
円形偏光子を組み込むレンズの例示的構成は、図24Aおよび図24Bに描写され、層(正面から背面)は、垂直に配向された線形偏光子2401、4分の1波長位相差板2402、光学的に透明な基板2403、基板の表面上に蒸着された多層干渉コーティング2404、4分の1波長位相差板2405、および(例えば、垂直に配向された)偏光子2406である。
図24Bでは、複合レンズの外側に入射する光は、2413における矢印に沿って示される。入射光は、偏光フィルタを通って、次いで、4分の1波長位相差板を通って通過し(その結果、円形に偏光された状態になる)、次いで、干渉フィルタによって、最終的に、眼2409によって受光され、網膜によって吸収される透過成分2412と、光源に向かって逆進行するが、複合レンズから出射する前に吸収される反射成分2414とに分割される。反射成分2414は、円形に偏光されるが、しかしながら、干渉フィルタ2404における反射は、円形偏光子2402を通って逆進行するとき、水平に偏光されて出現し、線形偏光子2401によって吸収されるように、例えば、右から左に、その左右像を反転させる。依然として、図24Bを参照すると、反射−吸収の類似プロセスは、2408における光線に沿って示されるように、レンズの背面に進入する迷光に対しても生じ、眼に到達する前に、反射光2411の吸収をもたらし得る。
別の実施形態では、p(λ)は、物理蒸着を使用して、金属減衰コーティングによって加工されるニュートラルデンシティフィルタであってもよい。好ましくは、そのような吸収フィルタは、干渉フィルタとともに、物理蒸着によって加工され得(すなわち、同一のプロセスにおいて)、したがって、減衰層は、誘電層を封入するか、および/または誘電層のうちのいくつかと交互配置または部分的に交互配置されてもよい。干渉フィルタ内に組み込まれるときの金属相の特性のため、そのような減衰コーティングは、等価体積の中間減光吸収体より優れた反射減衰を提供し得る。例えば、そのような設計は、レンズの片側において、約35%のピーク透過率、約20%の光透過率、および約2%の光反射率を達成し得る。代替として、そのような設計は、レンズの両側において、約35%のピーク透過率、約20%の光透過率、および約4%の光反射率を達成し得る。代替として、そのような設計は、レンズの片側において、約50%のピーク透過率、約20%の光透過率、および約4%の光反射率を達成し得る。代替として、そのような設計は、レンズの片側において、約60%のピーク透過率、約20%の光透過率、および約8%の光反射率を達成し得る。そのような設計は、加えて、光学基板の片側に配置されるフィルタの全機能層(例えば、干渉コーティングおよび減衰コーティング)を有することによって特徴付けられ得る。そのような設計では、基板の反対側は、反射防止コーティングされ、光学基板内の光の散乱および共鳴(例えば、複数の内部反射)を低減させてもよい。そのような設計では、より低品質の反射防止コーティング(例えば、約1%以上の光反射率を有する)が、屋外の一般的使用条件下、特に、典型的屋外場面において、金属表面によって反射される太陽光の閃光等の非常に明るい輝点を視認するとき、内部反射アーチファクトの可視性を完全に排除するわけではないが、低減させ得るため、反射防止コーティングは、好ましくは、0.5%未満の光反射率を提供する。
減衰コーティングを組み込むレンズの例示的構成は、図28Aおよび図28Bに描写され、層(正面から背面)は、反射防止コーティング2801、光学基板(例えば、ガラス)2802、第1の減衰コーティング2803、多層干渉コーティング2804、および第2の減衰コーティング2805である。
図28Bでは、レンズの外側に入射する光は、2811において、矢印に沿って示される。入射光は、反射防止コーティングおよび光学基板を通って、次いで、第1の減衰コーティングを通って通過し、次いで、干渉フィルタによって、最終的に、眼2807によって受光され、網膜2809によって吸収される透過成分と、光源に向かって逆進行するが、第1の減衰コーティングを通って、第2の通過の間、実質的に吸収される、反射成分2812とに分割される。依然として、図28Bを参照すると、反射−吸収の類似プロセスは、2806における光線に沿って示されるようなレンズの背面に進入する迷光に対しても生じ、眼に到達する前に、反射光2810の吸収をもたらし得る。いくつかの実施例では、減衰コーティングは、干渉コーティングの誘電層と交互配置または部分的に交互配置される。いくつかの実施例では、減衰コーティングは、背面のみに位置する、すなわち、第1の減衰コーティング2815は、含まれない。
次に、眼鏡類内への組み込みのために可用性がある例示的多帯域フィルタを備える、いくつかの実施形態が、図31A−42E、図45A−45E、図48A−53E、および図55A−57Eの発明を実施するための形態とともに開示される。これらの図は全てその共通のレイアウトによって、容易に明らかな一般的形式に適合する。形式の詳細が、最初に、実施例として、概して、図31A−31Eならびに図59A−59Bを使用して説明される。各対応する実施形態の設計に関連する詳細が、次いで、各特定の図およびその中にある要素の参照とともに、さらなる議論において説明される。
図31Aのグラフでは、曲線は、実線曲線3101における波長毎の最小透過率と、破線曲線3102における波長毎の最大透過率とを含む透過率制約条件を示し、さらに、曲線は、同一のグラフ上の破線曲線3103において、波長毎のコスト関数(無単位数量)を示す。透過率制約条件は、付加的な色の見え方制約条件(グラフによって図示せず)と組み合わせて、かつコスト関数と組み合わせて、線形プログラムソルバーへの入力を形成し、それらの入力は、そのような制約条件およびコスト関数を正準形式線形プログラムに変換する方法に関して、本開示で前述のように処理される。図31Bのグラフでは、曲線は、所望の態様で、色視に影響を及ぼすように設計されるフィルタfの成分のスペクトル透過率を示し、フィルタは、図31Aによって説明されるように、制約条件に従って、かつコスト関数を導くように設計された。前述のように、線形プログラム方法によって生成される「理想的」フィルタは、f(λ)=q(λ)×p(λ)によって規定される。3104における実線曲線は、前述のような線形プログラミングの方法によって選択される基本フィルタqの加重組み合わせを定義し、点線曲線3106は、本実施例では、ニュートラルデンシティフィルタである、選択された前置フィルタpの透過率を定義する。3105における破線曲線は、(随意に)平滑化され、かつ(随意に)バイアスされた線形プログラム解q’を示す。フィルタのスペクトル透過率成分は、5番目から8番目の列(各々、q’、q、p、およびf)において、図59Bに集計される。図59Bに集計された2番目、3番目、および4番目の列は、フィルタ物品を生成するための作成仕様の波長毎の最小、標的、および最大透過率(各々、fMIN、fT、fMAX)を与える。9番目、10番目、および11番目の列(各々、tMIN、tMIN、およびc)は、フィルタ設計において採用される、最小スペクトル透過率、最大スペクトル透過率、およびコスト関数を与える。表の各行に対応する波長は、5ナノメートルのステップで1番目の列に集計され、適正なスペクトル分解能を提供し、本明細書に開示される実施形態のいずれかを再現する。
図31Cのグラフは、3つの曲線を備え、3107における実線曲線は、作成フィルタ設計標的fT=q’(λ)×p(λ)(q(λ)の代わりに、随意に、バイアスされ、かつ随意に、平滑化された線形プログラム解q’(λ)を代入する)であって、3108における破線曲線は、最小透過率限界であって、3109における点線曲線は、最大透過率限界である。最小および最大透過限界は、標的フィルタの加工のための公差の仕様において採用されることができる。標的、最小透過率、および最大透過率は、下記式によって算出され得る。
は、カーネル関数kとフィルタq(αλ)との間の周波数領域の畳み込みを示し、αは、前述のようなバイアス係数である。カーネル関数kは、概して、約10ナノメートル〜約25ナノメートルの間の半値幅を有することによって特徴付けられ、本実施形態の場合、幅は、約25ナノメートルであるが、幅は、さらなる実施形態では、所与の範囲内で変動してもよい。さらに、f
MINおよびf
MAXの定義では、スケーリング係数(0.97および1.03)は、約+/−3%の相対的透過率公差を提供し、付加係数(0.03)は、約+3%の付加的絶対公差を提供し、式min(f
T(λ),f
T(λ±1),f
T(λ±2))、およびmax(f
T(λ),f
T(λ±1),f
T(λ±2))は、約+/−2の波長シフト公差ナノメートル(400ナノメートルにおいて、約+/−0.5%に相当する)を提供する。これらの公差は、高精度物理蒸着プロセスと併用するための合理的結果を生成するように、実験的に選択されたが、しかしながら、公差の具体的選択肢は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。これらのパラメータおよび結果として生じる公差に対する任意の好適な値もまた、使用されてもよい。
図31Dでは、入射角θ毎の最良適合広帯域基準フィルタfREFと比較した、フィルタのパーセント相対的色域面積増加(PGAI)が、実線曲線3110に沿って、また、破線曲線3111に沿って示され、実線曲線は、ファルンスワースD−15サンプルに関して算出されたPGAI(fθ,fREF,D15)を示し、破線曲線は、自然界サンプル(NWS)に関して算出されたPGAI(fθ,fREF,NWS)を示す。重要度加重パーセント相対的色域面積増加(例えば、PGAIIW(fθ,fREF,D15))は、図29A−30Bとともに前述された眼モデルに従って、加重平均PGAIを算出し、眼配向の標準偏差が10度であると想定することによって、これらのデータのいずれかから算出され得る。図31Eは、入射角度毎のフィルタの白色点シフトの実線曲線3112に、プロットを与え、白色点は、CIE 1931 2度標準観察者に関して、フィルタを通して視認される、発光体D65のCIELUV(u’,v’)色度座標に対応し、入射角度毎の白色点シフトは、0度の入射角(すなわち、法線入射)における白色点色度座標と法線から外れた入射角における白色点色度座標との間の距離として定義される。本計算は、フィルタ成分q’が、約1.85の有効屈折率を有する干渉フィルタであって、成分pは、吸収フィルタであると想定して行われる。さらに、図59Aの表は、フィルタfTに関して評価された種々の付加的性能基準を列挙し、性能基準は、前述の本開示の発明を実施するための形態に分類されたもの、ならびに工業規格ANSI Z80.3−2010によって定義される、選択された測定基準を含む。特に、いくつかの実施形態に対して、「PGAIIW D15」と標識された行は、フィルタによって提供される色向上の一般的品質のロバスト推定を評価するために有用であり得る。本数量の増加は、ファルンスワースD−15キャップ配列試験に関するスコアの改善と関連付けられ、また、概して、色向上として説明され得る、視覚経験と関連付けられる。
以下、本明細書に開示される線形プログラミングの方法によって設計されたフィルタのいくつかの付加的実施形態が、図59A−80Bに現れる対応する表に加え、図31A−42E、45A−45E、48A−53E、および55A−57Eを参照して説明される。これらの図では、参照番号xx01−xx12によって表される要素の詳細な説明(「xx」は、図番号、例えば、図31A−31Eにおける31)は、図31A−31Eに関して前述のものに対応し、各個々の例に対して、必要に応じて、さらなる精緻化が提供される。
一実施形態では、3通過帯域の赤色−緑色弁別向上多帯域フィルタの設計基準、成分のスペクトル透過率、成分、作成仕様、および性能評価が、図31A−31Eのグラフに示され、図59Aおよび59Bに集計される。図31Cのグラフの3107に示され、図59Bの列fTに集計されるフィルタ作成標的は、約40ナノメートルの半値帯域幅を有する約450ナノメートルの第1の通過帯域中心、約35ナノメートルの半値帯域幅を有する約530ナノメートルの第2の通過帯域中心、および約40ナノメートルの半値帯域幅を有する約615ナノメートルの第3の通過帯域中心を有する。フィルタ作成仕様は、フィルタを生成するために使用され得る。フィルタは、減光吸収フィルタ(p)に加え、干渉フィルタ(q)を備え、減光吸収フィルタは、約40%の透過率を有する。フィルタ設計は、本明細書に開示されるような線形プログラミングの方法によって達成され、基本フィルタは、1組の約60個の矩形通過帯域フィルタであり、各々、10ナノメートルの単一通過帯域幅を有し、5ナノメートルずつ増分する中心波長を有する(これは、さらに、以下に説明される全実施形態に該当する)。干渉フィルタ成分が、誘電材料の低次スタック(例えば、約50未満の材料層)によって作成され得るように、作成可能性を改善するために、フィルタ設計(q’)は、約20ナノメートルの半値幅を有するガウシアンカーネル(k)によって平滑化される。さらに、結果として生じるフィルタ(f)は、3101において、図31Aに示されるように、最小透過率限界に準拠することに留意されたい。本実施形態の作成において採用されるフィルタ設計基準は、昼光の光透過率が、約18%であるように構成され、これは、中程度の陰影を有するサングラス内におけるフィルタの使用に適切である。本明細書に開示されるさらなる実施形態は、同一のまたはほぼ同一の光透過率を採用してもよい。しかしながら、本明細書に開示される方法は、任意の合理的光透過率を有するフィルタの加工のために適正であって、例えば、サングラスの濃い陰影に対応する約8%ほども低い、またはサングラスの薄い陰影に対応する40%ほども高いか、またはある場合には、40%を超える。さらに、フィルタは、図59Aの表(D65色度座標)に示されるように、実質的に中性であると見なされるであろう白色点を提供する。白色点の中性構成を有するフィルタは、全体的な視覚的快適性および全色の均衡がとれた明度のために好ましくあり得るが、しかしながら、白色点の他の構成も可能であって、但し、強く着色された白色点は、そのようなフィルタが、概して、色域全体の適正な明度を提供することができないため、回避されるべきである。図31Eにおける3112の入射角度毎の白色点シフトのプロットによって実証されるように、入射角のある範囲にわたって視認される、本実施形態の白色点に関して、白色点は、大幅に(例えば、35度で0.03単位を超える)移動し、したがって、そのようなフィルタは、フィルタがある範囲の角度を通して視認され得る眼鏡類内に組み込まれるとき、有意な色シフトがンズの周縁に向かって観察され得る。加えて、図31Dにおけるグラフ3110および3111に示されるように、フィルタの色向上は、約20度において、0を下回り、したがって、フィルタは、所望の色向上関数が有効である比較的に狭視野のみを提供し、例えば、自然界において緑色を帯びた色(葉等)は、入射角が20度に接近するか、またはそれを超えるにつれて、茶色を帯びた見え方に向かう傾向にあり得る。
前述の図31A−31Eに示されたものに関連するさらなる実施形態は、図60Aおよび60Bにおける対応する表を有する、図32A−32Eにおいて特徴付けられる。本実施形態は、前述と同じ条件に関して設計されたフィルタを開示するが、図32Aにおいて、3203に示されるコスト関数は、色弁別をさらに改善するように修正される。結果として生じるフィルタ設計は、より優れた性能を提供する通過帯域位置の代替選択肢によって特徴付けられる。本構成は、現在、PGAI測定基準のみに関して、任意の3通過帯域フィルタのための最良可能性能を与える、通過帯域位置の選択肢であると考えられている(しかしながら、さらなる議論に示されるように、この測定基準は、例えば、眼鏡類内におけるそのようなフィルタの実践的用途に対して、必ずしも、適正ではない)。図32Cにおいて3207のグラフに示され、図60Bの列fTに集計されるフィルタ作成標的は、約30ナノメートルの半値帯域幅を有する約440ナノメートルの第1の通過帯域、約35ナノメートルの半値帯域幅を有する約535ナノメートルの第2の通過帯域、および約80ナノメートルの半値帯域幅を有する約650ナノメートルの第3の通過帯域を有する。本実施形態の改善された色向上効果は、部分的に、第1の帯域と第3の帯域とのより広い間隔から生じる。前述のように、色弁別は、最も広い可能性として考えられるスペクトル開口を有する多帯域フィルタから恩恵を受け、したがって、450ナノメートルよりも短い波長を有する第1の帯域を有するフィルタが好ましくあり得、610ナノメートルよりも長い中心波長を有する第3の通過帯域を有するものも同様である。しかしながら、440ナノメートルおよび650ナノメートルは、それらの限界を超える帯域位置が、青色および赤色を容認不可能なほど暗くする傾向にあり得るので、この所望の効果を有するフィルタ内の通過帯域位置に対する最大外側限界である。さらに、本実施形態は、530ナノメートルより長い波長における中間通過帯域の配置によって恩恵を受ける。530ナノメートル未満の波長における中間通過帯域の構成は、緑色を帯びた色を容認不可能なほど暗く見せるフィルタを提供し得る。ちょうど530ナノメートルにおける中間通過帯域の構成は、ファルンスワースD−15サンプルおよびマンセル表色系に関して、PGAI性能測定基準を最大にする傾向にあるが、しかしながら、これらの色は、人工色素に基づき、そのようなフィルタは、自然界の緑色を帯びた色を不自然に緑色を帯びて見せる傾向にあり得る。葉緑素の自然彩色(前述のような)は、より正確に、黄色を帯びた緑色と見なされる。約540ナノメートルにおける中間通過帯域の構成は、自然界サンプルに関して、PGAI性能を最大にする傾向にある。約545ナノメートルまたはより長い波長における中間通過帯域の構成は、青色−黄色弁別の増加をもたらし、対応して、赤色−緑色弁別のより抑えた増加をもたらし、その均衡は、さらにより長い波長の選択を有する青色−黄色に向かうほど増大するフィルタを提供する傾向にある(さらなる実施形態において、より詳細に論じられる)。したがって、約535ナノメートルの中心波長を有する中間通過帯域の構成は、人工および自然色サンプルの両方の間の性能の最適均衡を達成し得、約545ナノメートルの中心波長を有する中間通過帯域の選択は、色空間の赤色−緑色および青色−黄色軸に関して、性能の最適均衡を達成し得る。以下に開示される赤色−緑色弁別を増大させるためのフィルタのさらなる実施形態は、約535ナノメートル〜約545ナノメートルの間の中心の選択肢と整合する(別様に記載されない限り)が、しかしながら、示される実施例は、中間帯域位置の選択肢が、色弁別を改善するそのようなフィルタに対して、約530ナノメートル〜約545ナノメートルの間で有効に変動し得るので、発明の範囲を限定するように意図されない。
図32A〜32Eの議論に戻ると、各々、3210および3211において、図32Dに示されるように、ファルンスワースD−15サンプルおよび自然界サンプルにおけるPGAI測定基準に関するフィルタの性能は、前述の実施形態と比較して、有意な改良点を示す。特に、PGAIは、最大約30度の入射角に対して0を超え、したがって、フィルタは、眼鏡類内に組み込まれると、所望の色向上をもたらす、より広い視野を提供し得る。さらに、法線入射におけるPGAIは、前述の実施形態を有意に上回る。しかしながら、対照的に、本実施形態は、3212において、図32Eに示されるように、複数の入射角にわたって白色点の安定性に関して、有意に劣化した性能を呈し、35度における白色点シフトは、約0.05単位である。長波長帯域の広帯域幅のため、白色点は、赤褐色の色合いに向かって、急シフトする傾向にある。利用可能な作成方法を使用して、層は、視認角度が、法線からずれることが予期されるレンズの領域にわたって意図的に変動される物理的な厚さを有するように、干渉フィルタを蒸着させることによって、部分的に、望ましくない白色点シフトを緩和することが可能であるが、しかしながら、そのような方法は、桁違いの費用がかかり得る。例えば、物理蒸着による作成の方法に関して、必要厚勾配を達成することは、大量生産の利用を妨害する、非常に高度なツール類の配列を要求する。さらに、レンズ上の干渉コーティングの適切な物理的分布を伴っても、入射角に対してそのような感度を有するフィルタは、眼鏡類性能が、フレームスタイル、頭部サイズ、および類似幾何学的要因における変動に関して、ロバストであるように、眼鏡類のフレーム内に確実に整合することは困難であり得る。
前述の図31A−31Eに示されるものおよび図32A−32Eのものに関連する、さらなる実施形態は、図61Aおよび61Bにおける対応する表を有する、図33A−33Eに特徴付けられる。本実施形態は、前述のような同じ条件に関して設計されたフィルタを開示する。しかしながら、設計基準はさらに、白色点が、広範囲の角度にわたって、実質的に、不変に見えるような色の見え方制約条件を含み、コスト関数が、加えて、最も広い可能性として考えられる角度範囲にわたって、フィルタの性能を最大にするように調節される。結果として生じるフィルタ設計は、PGAI測定基準に関して、良好な性能を提供する、通過帯域位置のさらなる代替選択肢によって特徴付けられるが、加えて、視野全体にわたって、一貫した色の見え方を保証し、それによって、フィルタが、眼鏡類内に組み込まれると、ロバストな性能および改良された視覚的快適性を可能にする。特に、中間通過帯域は、約535ナノメートルにあるが、上側および下側通過帯域は、図31A−31Eの実施形態および図32A−32Eの実施形態の両方の中間位置を伴って構成される。3207において、図32Cのグラフに示され、図60Bの列fTに集計されるフィルタ作成標的は、約25ナノメートルの半値帯域幅を有する約445ナノメートルの第1の通過帯域、約30ナノメートルの半値帯域幅を有する約535ナノメートルの第2の通過帯域、および約40ナノメートルの半値帯域幅を有する約630ナノメートルの第3の通過帯域を有する。
フィルタの性能に関して、図33Dでは、PGAIが、最大約25度の入射角に対して、0を超えることが観察され得る。したがって、フィルタは、眼鏡類内に組み込まれると、合理的広視野を提供し、所望の色向上をもたらし得る。前述の実施形態と比較して、複数の入射角にわたる白色点の安定性に関するフィルタの性能は、有意に改善される。3312において、図33Eに示されるように、0〜35度の間の白色点シフトは、約0.01単位未満である。さらなる実施形態では、白色点シフトが、同一の限界を留保しながら、45度程度の大きな角度まで延在され得ることが実証される。以下に開示される全実施形態では、白色点安定化制約条件は、そのような制約条件が、概して、干渉フィルタ成分を備える、任意のそのようなフィルタの作成に有益であると見なされるため、いくつかの形態において採用される(別様に記載されない限り)。実際は、白色点安定性制約条件を組み込む、そのようなフィルタは、主観的に、レンズが、入射角に関して大幅に変動するスペクトル透過率をもたらす、誘電干渉フィルタを組み込み得るという事実にもかかわらず、周辺視覚における色の有意な歪曲を有することなく、快適な視野を提供することが観察されている。一般に、安定化された白色点を提供するように構成される3つの通過帯域を有する赤色−緑色向上多帯域フィルタは、本明細書に開示される方法を使用して見出され得、フィルタは、約440および450ナノメートルに位置する第1の通過帯域、約530ナノメートル〜約545ナノメートルの間に位置する第2の通過帯域、および約610〜約635ナノメートルの間に位置する第3の通過帯域を有する。赤色−緑色向上フィルタの好ましい実施形態は、最短波長通過帯域の最小可能中心位置、最長波長通過帯域の最大可能中心位置、最狭可能帯域幅、ならびに隣接する通過帯域および遮断帯域の平均透過率間の最大可能コントラスト比を伴うものである。しかしながら、全そのような構成は、例えば、眼鏡類内に組み込まれるとき、適切な制約条件によって調整され、フィルタの可用性を保証し得る。本明細書に開示されるフィルタの実施形態(例えば、図36A−36E、37A−37E、38A−38E、39A−39Eに開示されるものおよびその関連実施形態を含む)は、意図された用途に対する実践的関連を条件として、そのような限定の適切な最大化に関する教授を提供する。
図33A−33Eのものに関連する、さらなる実施形態では、青色−黄色−向上フィルタは、図34A−34Eならびに図62Aおよび62Bにおける対応する表に特徴付けられる。本実施形態は、関連実施形態のものと本質的に同じ基準に関して設計されたフィルタを開示するが、コスト関数は、3403において、図34Aに示されるように、赤色−緑色弁別ではなく、青色−黄色弁別を最大にするように構成される。そのようなフィルタは、青色と黄色との間の弁別における困難によって特徴付けられる色視異常の形態である、第3色弱を有する個人に有用であり得る。そのようなフィルタはまた、緑色の見え方のある抑制が所望される、主に緑色(例えば、ゴルフ場のグリーン)の背景を有する、ある環境における眼鏡類の使用のために、または緑色間の変動の抑制が、以前に見えなかった特徴を露顕させ得る、森林景色内でカモフラージュされたオブジェクトを特定する際の光学的支援のために、好ましくあり得る。3407において、図34Cのグフラに示され、図62Bの列fTに集計される、フィルタ作成標的は、約45ナノメートルの半値幅を有する約455ナノメートルに位置する第1の通過帯域を有し、第2の通過帯域は、約560ナノメートルに位置し、約50ナノメートルの半値幅を有し、第3の通過帯域は、約675ナノメートルに位置し、約60ナノメートルの半値幅を有する。PGAI測定基準に関するフィルタの性能分析は、図34Dに示され、PGAIは、主に、最大約20度の入射角に対して、負値であることが観察され得る。さらに、図34Eに示されるような白色点シフトは、法線入射から最大45度外れた入射角に対して、約0.01単位未満の総シフトを有する優れた安定性を呈する。加えて、図62Aの表に記載されるように、フィルタは、ANSI Z80.3−2010によって定義されるような交通信号の色度に関する制限に準拠する。特に、そのような青色−黄色向上フィルタに関して、赤色−緑色軸に沿った色弁別抑制の量は、緑色交通信号の色度座標によって制限される。準拠を維持しながら、青色−黄色弁別を最大に向上させるこのフィルタに関して、緑色交通信号色度座標は、本質的に、緑色交通信号が、その規格によって許容される限り、非飽和化されるように(すなわち、白色を帯びたように)見えるように、準拠領域の境界上またはそのほぼ上にある。
再び、図33A−33Eならびに図34A−34Eのものに関連する、別の実施形態では、色向上フィルタは、図35A−35Eならびに図63Aおよび63Bにおける対応する表に特徴付けられ、フィルタはさらに、実質的に、短波長光、例えば、約380ナノメートル〜約450ナノメートルの間の光の透過を抑制するように構成される。そのようなフィルタは、概して、赤色−緑色および青色−黄色軸の両方に沿って、色弁別において、均衡がとれた改良をもたらし得る。さらに、短波長光の抑制は、焦点の絞り込みを改善し、眼によって受光される光子の総エネルギーを低減させ得、これは、波長に反比例して、エネルギーを増加させる。本実施形態は、設計が、好ましくは、約450ナノメートルにおいて、反射と透過の急発生を特徴とするため、低次干渉フィルタを使用して作成することが困難であり得る。したがって、干渉フィルタ成分(q’)は、半値幅約10ナノメートルを有するカーネルによって平滑化される。青色遮断関数を達成するために、コスト関数は、3503において、図35Aに示されるように、上昇勾配に伴って構成されてもよい。フィルタの白色点は、ANSI Z80.3−2010に従って、白色点が、「強く着色された」と見なされない制約条件を条件として、黄色を帯びた色合いに向かって構成されてもよい。フィルタが、透過率約50%を有する減光吸収フィルタ(p)を組み込むべきであると想定する、フィルタ作成標的は、3507において、図35Cのグラフに示され、図63Bの列fTに集計される。フィルタ作成標的は、約15ナノメートルの半値幅を有する約455ナノメートルに位置する第1の通過帯域、約45ナノメートルの半値幅を有する約550ナノメートルに位置する第2の通過帯域、および約70ナノメートルの半値幅を有する約645ナノメートルに位置する第3の通過帯域を有する。フィルタは、光透過率約35%(薄く着色されたサングラスに対応する)を有するが、より濃い色合いも、吸収フィルタ要素の強度を増加させることによって、可能である。フィルタは、図35Dに示されるように、入射角30度までにわたって、PGAIの中程度の正値を提供する。色安定性性能に関して、白色点シフトは、図35Eに実証されるように、0〜35度入射角において、0.01単位未満に制限される。加えて、図63Aの表に示されるように、太陽の青色光透過率(約15%)は、光透過率の半分未満であって、したがって、フィルタは、また、色の見え方の良好な品質を維持しながら、改善された青色遮断関数を提供すると描写され得る。
次に論じられるさらなる一連の3つの実施形態では、赤色−緑色弁別向上多帯域フィルタが、開示され、フィルタは、緑色と赤色との間の判別困難によって特徴付けられる色視異常の形態である、緑色弱を有する観察者によって使用するように構成される。赤色−緑色向上フィルタの本明細書の前述で開示された実施形態と比較して、これらの実施形態は、実質的に、赤色−緑色軸に沿って、色弁別のさらなる増加をもたらす。これらの実施形態のために開示される作成仕様は、ニュートラルデンシティフィルタと干渉フィルタの組み合わせとして生成されるフィルタを提供し、ニュートラルデンシティフィルタは、透過率約40%〜約55%を有する。さらに、干渉フィルタは、隣接する通過帯域と遮断帯域との間の急峻な遷移が、概して、色弁別向上を最大にするために好ましいため、概して、高次コーティングスタックとして規定される。急峻な帯域遷移を有するそのようなフィルタは、発光ダイオード、ならびにナトリウム灯およびいくつかの蛍光灯を含む、いくつかのタイプのガス放電照明器具等、ある狭帯域光源の不安定な色の見え方を提供し得る。そのような不安定性を緩和するために、これらのフィルタは、典型的には、約450ナノメートル〜約650ナノメートルの間の波長に関して、フィルタの光透過率の約1/5に等しい下限として規定される最小透過率制約条件を組み込む。これらの実施形態の遮断帯域は、適宜、この最小透過率によって制限される。そのようなフィルタはまた、好ましくは、フィルタによって提供される交通信号の色度座標に関して、ANSI Z80.3−2010に準拠し、特に、赤色−緑色弁別における増加を最大にするそのようなフィルタのいくつかの実施形態は、その準拠境界に関する制限位置にある、黄色交通信号の色度座標を提供し得、制限位置は、許容される限りの赤褐色またはほぼ赤褐色であるように、その光の見え方を提供する。
そのようなフィルタの設計に関する付加的複雑性は、第2色弱観察者の色整合関数が、CIE標準観察者モデルによって良好に特徴付けられないことである。したがって、白色点安定性に関する制約条件は、好ましくは、修正された観察者モデルに関して算出され得る。その計算の詳細は、十分に裏付けされており、当業者に利用可能である。しかしながら、本明細書における白色点シフトの分析は、CIE 2度標準観察者の使用を留保し、したがって、そのような設計における、入射角度毎の計算された白色点シフトは、より広い公差(例えば、0〜35度において、約0.02単位)によって特徴付けられ得る。これらの設計の白色点シフト関数は、典型的には、約20度〜約40度の間の角度において極小値を呈し、白色点シフトの量は、典型的には、最大でも、約0.01単位の極小値において、測定される。
第2色弱観察者のためのフィルタの第1の実施形態は、図36A−36Eならびに図64Aおよび64Bの対応する表とともに開示される。3607において、図36Cのグラフに示され、図64Bの列fTに集計される、フィルタ作成標的は、約25ナノメートルの半値幅を有する約450ナノメートルに位置する第1の通過帯域、約35ナノメートルの半値幅を有する約535ナノメートルに位置する第2の通過帯域、および約35ナノメートルの半値幅を有する約635ナノメートルに位置する第3の通過帯域を有する。フィルタの作成仕様は、約45%の透過率の減光吸収体の組み込みのために与えられる。フィルタによって提供されるPGAIは、図36Dに示されるように、最大約27度の入射角に対して、0を超える。図64Aの表に記載されるように、ファルンスワースD−15色に関する重要度加重PGAIは、少なくとも約30%であって、これは、軽度緑色弱を有する観察者に好ましくあり得る。本質的に、中性色合いである、フィルタの白色点は、第2色弱観察者モデルに関して安定化され、3612において、図36Eに示されるように、約32度において、0.01単位未満の白色点シフト曲線における極小値によって特徴付けられる。
第2色弱観察者のためのフィルタの第2の実施形態は、図37A−37Eならびに図65Aおよび65Bの対応する表とともに開示される。3707において、図37Cのグラフに示され、図65Bの列fTに集計される、フィルタ作成標的は、半値幅約25ナノメートルの半値幅を有する約445ナノメートルに位置する第1の通過帯域、約35ナノメートルの半値幅を有する約535ナノメートルに位置する第2の通過帯域、および約40ナノメートルの半値幅を有する約635ナノメートルに位置する第3の通過帯域を有する。フィルタの作成仕様は、約50%透過率の減光吸収体の組み込みのために与えられる。フィルタによって提供されるPGAIは、図37Dに示されるように、最大約25度の入射角に対して、0を超える。図65Aの表に記載されるように、ファルンスワースD−15色に関する重要度加重PGAIは、少なくとも約35%であり、これは、中程度緑色弱を有する観察者に好ましくあり得る。本質的に、中性色合いである、フィルタの白色点は、第2色弱観察者モデルに関して安定化され、3712において、図37Eに示されるように、約40度において、0.01単位未満の白色点シフト曲線における極小値によって特徴付けられる。
第2色弱観察者のためのフィルタの第3の実施形態が、図38A−38Eならびに図66Aおよび66Bの対応する表とともに開示される。本実施形態では、フィルタ設計基準は、最小スペクトル透過率限界(光透過率の1/5に等しい)のみ、3801において、図38Aに示されるように、黄色から赤色波長、例えば、約580ナノメートル〜約650ナノメートルにわたって実施されるように修正される。結果として生じるフィルタ設計は、したがって、帯域の短波長側に「肩」を有する第3の通過帯域を有するように描写され得る。3807において、図38Cのグラフに示され、図66Bの列fTに集計される、フィルタ作成標的は、約20ナノメートルの半値幅を有する約445ナノメートルに位置する第1の通過帯域、約30ナノメートルの半値幅を有する約535ナノメートルに位置する第2の通過帯域、および約30ナノメートルの半値幅を有する約635ナノメートルに位置する第3の通過帯域を有する。フィルタの作成仕様は、約55%透過率の減光吸収体の組み込みのために与えられる。フィルタによって提供されるPGAIは、図38Dに示されるように、約25度までの入射角に対して、0を超える。図66Aの表に記載されるように、ファルンスワースD−15色に関する重要度加重PGAIは、少なくとも約40%であって、これは、重度緑色弱を有する観察者に好ましくあり得る。本質的に中性の色合いである、フィルタの白色点は、第2色弱観察者モデルに関して安定化され、3812において、図38Eに示されるように、約40度において、約0.01単位の白色点シフト曲線における極小値によって特徴付けられる。
図36A−38Eに示される一連のものに関連する、さらなる実施形態が、図39A−39Eならびに図67Aおよび67Bの対応する表とともに開示される。実施形態は、第1色弱観察者のための赤色−緑色弁別を向上させる、フィルタを提供する。赤色−緑色向上フィルタの前述の実施例と比較して、そのようなフィルタは、第1色弱観察者のために設計されると、概して、第2および第3の通過帯域のより短い波長構成を好む。これは、第3色視異常混同線の配向、ならびに第1色弱が、長波長錐体細胞内の網膜光色素のスペクトル吸収率の青方シフトと関連付けられるという事実に一致する。第2および第3の通過帯域のより短い波長構成の結果、そのようなフィルタの総スペクトル幅は、対応して、赤色が、合理的に明るく見えるように、低減されなければならない。3907において、図39Cのグラフに示され、図67Bの列fTに集計される、フィルタ作成標的は、約20ナノメートルの半値幅を有する約440ナノメートルに位置する第1の通過帯域、約25ナノメートルの半値幅を有する約530ナノメートルに位置する第2の通過帯域、および約25ナノメートルの半値幅を有する約615ナノメートルに位置する第3の通過帯域を有する。フィルタの作成仕様は、約55%透過率の減光吸収体の組み込みのために与えられる。フィルタによって提供されるPGAIは、図39Dに示されるように、約20度までの入射角に対して0を超える。そのようなフィルタの白色点安定性は、加えて、設計に考慮されてもよいが、しかしながら、標準観察者モデルに従う、白色点安定性の分析は、本質的に、このフィルタの意図された使用(例えば、第1色弱観察者による)に不適正であり得る。
別の実施形態では、電子表示装置(発光ダイオードバックライトを有する液晶ディスプレイのもの等)の原色光の輝度コントラストの改善に加え、正常観察者のための色向上をもたらす、フィルタが、図40A−40Eならびに図68Aおよび68Bの対応する表とともに開示される。フィルタは、典型的には、3つの原色光:約610ナノメートル〜約630ナノメートルの間のピーク波長を有し、約20ナノメートル〜約50ナノメートルの間の半値幅を有する赤色原色、約530ナノメートル〜約535ナノメートルの間のピーク波長を有し、約20ナノメートル〜約50ナノメートルの間の半値幅を有する緑色原色、および約450ナノメートル〜約460ナノメートルの間のピーク波長を有し、約20ナノメートルの半値幅を有する青色原色を使用して、電子ディスプレイとの併用のために意図される。フィルタは、赤色、緑色、および青色原色に対してほぼ等しい、原色光の光透過率を提供する(したがって、ディスプレイの白色点は、保存される)。さらに、光透過率は、フィルタによって提供される昼光の光透過率を少なくとも約15%上回る。したがって、フィルタは、例えば、屋外条件で視認されると、そのようなディスプレイの改善されたコントラスト比を提供し得る。
4007において、図40Cのグラフに示され、図68Bの列fTに集計される、フィルタ作成標的は、最大45度入射角において、安定化された白色点を提供する、4つの通過帯域によって特徴付けられる。フィルタは、白色点の色安定性を達成し、図40Eにおける曲線4012によって実証されるように、約0度〜約45度において、0.01単位未満である、白色点シフトを提供する。さらに、フィルタは、色弁別に対して、中程度増加をもたらし、表68Aに記載されるように、ファルンスワースD−15に関する重要度加重パーセント色域面積は、約20%を超える。
同様の性能を果たすフィルタはまた、約35度まで延在する安定した角度範囲を有する、3つの通過帯域を有するように設計され得る。各々、そのような輝度コントラスト利得を達成する3通過帯域フィルタの変形例、および4通過帯域フィルタの別の変形例は、2105および2106において、図21Bに示される。2105におけるフィルタは、約15ナノメートルの半値幅を有する約455ナノメートルにおける第1の通過帯域、約20ナノメートルの半値幅を有する約535ナノメートルにおける第2の通過帯域、および約25ナノメートルの半値幅を有する約620ナノメートルにおける第3の通過帯域を有する3つの通過帯域を有する。図21Bの2106におけるフィルタは、約15ナノメートルの半値幅を有する約455ナノメートルにおける第1の通過帯域、約20ナノメートルの半値幅を有する約540ナノメートルにおける第2の通過帯域、約20ナノメートルの半値幅を有する、約610ナノメートルにおける第3の通過帯域、および半値幅約20ナノメートルを有する約650ナノメートルにおける第4の通過帯域を有する4つの通過帯域を有する。2106におけるフィルタは、単純3帯域フィルタ2105と比較して、入射角の変化に関して、改善された色安定性を提供する。図21Aは、昼光2103のスペクトル放射束、ならびにLED、すなわち、バックライト付LCDディスプレイから測定される、青色2101、緑色2102、および赤色2104原色光のスペクトル放射束を示す。有機LED系ディスプレイ(OLED)のスペクトル束は、本実施形態のフィルタもまた、同様に、それらのディスプレイに対して、輝度コントラスト利得を提供するであろうように、十分に類似する。
別の実施形態では、正常観察者のための多帯域フィルタは、遮断帯域約530ナノメートル〜約560ナノメートルと組み合わせて、実質的に、正常な色弁別を提供するように設計される。遮断帯域は、例えば、周波数倍増Nd:YAGレーザによって放射されるような、532ナノメートルにおけるレーザ放射から、眼に対して保護を提供する。そのようなレーザは、種々の医療手技における使用を含め、多くの用途を有する。例えば、約532ナノメートルにおいて、可視レーザ放射を遮断する、従来通りに設計されたフィルタは、典型的には、また、眼鏡類内で使用されると、不良品質の色弁別を生じさせる。例えば、吸収材料とともに作製されたフィルタは、同様に、広スペクトル帯域を吸収せず、十分な遮断を達成することができない。単一遮断帯域を備える干渉フィルタ(例えば、Rugateタイプフィルタ)は、眼に対して、十分な保護を提供することができるが、色の見え方に有意な変化を生じさせ、法線から外れた入射角において、白色点の有意なシフトを呈する。対照的に、多帯域干渉フィルタは、可視レーザに対して十分な保護を提供することができ、前述に開示されたようなフィルタ生成方法を使用して設計されると、また、正常色の見え方を維持し、複数の角度において、色の安定性を維持し、広範囲の角度にわたって、可視レーザから眼に対する保護を提供することができる。
532ナノメートル遮断フィルタの実施形態は、図41A−41Eならびに図69Aおよび69Bにおける対応する表に開示される。4107において、図41Cのグラフに示され、図69Bの列fTに集計される、フィルタ作成標的は、3つの遮断帯域によって分離される、4つの通過帯域によって特徴付けられ、中間遮断帯域は、レーザ保護遮断帯域である。第1の通過帯域は、約440ナノメートルにあり、半値幅約30ナノメートルを有し、第2の通過帯域は、約510ナノメートルにあり、半値幅約30ナノメートルを有し、第3の通過帯域は、約570ナノメートルにあり、半値幅約20ナノメートルを有し、第4の通過帯域は、約630ナノメートルにあって、半値幅約30ナノメートルを有する。概して、類似フィルタは、所与の位置の+/−10ナノメートル内の帯域および種々の帯域幅を有することが見出され得るが、全てのそのようなフィルタは、少なくとも4つの通過帯域を特徴とする。
工業または医療用途に対して、遮断帯域(約530ナノメートル〜約560ナノメートルの間)は、OD6以上に定格された保護レベルを提供し得る(OD6は、光学密度6を示し、10-6倍の透過光の減衰をもたらす)。迷惑レベルの保護(例えば、532ナノメートル出力を有する緑色レーザポインタに対して)に対しては、保護レベルは、より低い、例えば、約OD2であってもよい。本保護は、図22Aに示されるように、最大透過率制約条件2201として、フィルタジェネレータ設計仕様に規定されてもよい。加えて、図41Eに示されるように、そのような4つの通過帯域フィルタは、最大35度の入射角において、0.01単位未満の白色点の良好な安定性を提供し得る。図41Dに示されるように、そのようなフィルタはまた、PGAIが、最大約25度の入射角に対してほぼ0であるという事実によって証明されるように、角度の広い範囲にわたって本質的に正常である色の見え方を提供し得る。
そのようなフィルタは、工業または医療用の使用のための安全眼鏡類内に組み込まれてもよい。特に、医療手技におけるレーザのいくつかの用途では、ユーザが、手術下にある生物学的組織の彩色を正確に知覚することが可能であること、オペレータが、コンピュータディスプレイおよび/または機器上のインジケータ光を正確に解釈することが可能であり得るように、ある着色光の正確な色度の見え方を知覚することが可能であることが有益であり得る。そのようなフィルタは、いくつかの蛍光照明器具またはRGB発光ダイオードアレイ等、狭帯域スペクトル出力を有する照明源下での使用に対して、互換性がない場合があることに留意することは有用であり得る。
図41A−41Eに示される実施形態に関連する、別の実施形態は、図42A−42Eならびに図70Aおよび70Bにおける対応する表に開示される。4207において、図42Cのグラフに示され、図70Bの列fTに集計される、フィルタ作成標的は、3つの遮断帯域によって分離される4つの通過帯域によって特徴付けられ、長波長遮断帯域は、589ナノメートルナトリウム輝線に対して、保護を提供する、遮断帯域である。本波長からの眼の保護は、ガラス加工、すなわち、遮断帯域の短波長側またはその近傍における出力パワーを有するレーザによる加工等、あるプロセスにおいて、工業用途を有し得る。フィルタ設計仕様は、図23Aにおける最大透過率制約条件2301によって示されるように、スペクトル透過率制約条件として、遮断帯域を組み込む。本実施形態は、前述の関連実施形態によって実証されるように、色の見え方の類似品質および白色点安定性を提供し得る。本実施形態に関する変形例は、3つのみの通過帯域を備えてもよいが、しかしながら、そのような変形例は、PGAI測定基準に関して、実質的低下をもたらす傾向にあり、したがって、正常な色弁別が所望される用途における使用には、幾分、好ましくない。
図35A−35Eに示される実施形態に関連する、別の実施形態は、図45A−45Eならびに図71Aおよび71Bにおける対応する表に開示される。本実施形態は、再び、実質的に、正常な色の見え方と組み合わせて、青色遮断関数を提供する。また、ナトリウム灯による照明(例えば、一般に、街灯に見出されるような)が、予期される、薄暗い照明条件、特に、夜間における使用に好適であることが意図される。フィルタ設計基準は、4501において、図45Aに示されるように、589ナノメートル光が、フィルタによって透過されることを保証する、最小透過率制約条件を組み込む。そのようなフィルタは、次いで、フィルタが、眼鏡類内に組み込まれると、ある範囲の照明レベル下で使用され得るように、例えば、フォトクロミック要素と組み合わせて、作成されてもよい。本実施形態は、図45Dに示されるように、実質的に、正常な色の見え方を提供し、PGAIは、入射角45度までにわたって、0と有意に異ならない。
さらに、図43Aのグラフに示されるように、フィルタは、各々、実線曲線4302および破線曲線4301に示されるスペクトル最小および最大透過率制約条件に準拠する。最大スペクトル透過率制約条件は、設計されたフィルタが、450ナノメートルを下回る波長を有する光を透過させないよう提供する。最小スペクトル透過率制約条件は、設計されたフィルタが、450ナノメートル〜650ナノメートルの間の全遮断帯域にわたって、少なくとも15%透過率を通過させ、さらに、設計されたフィルタが、波長580ナノメートル〜610ナノメートルを有する光の最大可能部分を通過させるよう提供する。4303において、図43Bの実線曲線に示される、設計されたフィルタ(図45A−45Dに示されるものと同一)は、図43Aのスペクトル透過率制約条件に準拠し、破線曲線4304に示される平滑化されたフィルタは、意図された用途に対する制約条件に十分に準拠する。具体的には、フィルタは、一般に、街灯に使用される、低圧および高圧ナトリウム照明器具等、エネルギーを約589ナノメートルに集中させる、ナトリウム蒸気励起に基づく、高光度の人工光を提供する。
短波長青色光(例えば、約380ナノメートル〜約450ナノメートルの間の近紫外線波長における)は、概して、グレアと称される、視覚現象の範囲と関連付けられ、その寄与要因として、(特に、部分的に、UVおよび近UV光に敏感である、眼内の有機物質の)蛍光性、中間透光体を通過する光による分散性散乱(特に、網膜生理機能が、加齢性の影響から劣化するにつれて)、および眼用レンズの色収差(特に、短波長光は、網膜上にあまり精密に集束されない)が挙げられ得る。したがって、選択的に、短波長青色光の透過を遮断する、フィルタは、グレアを減少させ、視力を改善するための有用性を有し得る。標準的青色遮断フィルタ(カットオフフィルタとも呼ばれる)は、例えば、点線曲線1904において、図19Bの透過率曲線によって示されるように、レンズ内への短波長吸収体の組み込みによって生成され得る。しかしながら、多帯域青色遮断フィルタは、例えば、実線曲線1902(約35%光透過率を提供する)、破線曲線1903(約60%光透過率を提供する)において、図19Bの透過率曲線、ならびに図45Aおよび43Bに示されるフィルタ設計によって示される、改善された色弁別を提供し得る。そのようなフィルタによって提供される色弁別は、図44A−44Cにさらに詳細に示される。従来の青色遮断カットオフフィルタのスペクトル透過率は、図44Cの4405に、青色遮断多帯域フィルタのスペクトル透過率は、4404に示される。フィルタによって提供される選択されたマンセル表色系の色の見え方は、破線等値線4401におけるカットオフフィルタと、実線等値線4402における多帯域フィルタとによって提供されるものを含め、図44Aの色度図に示される。カットオフフィルタによって提供される色の見え方は、本質的に、赤色−緑色軸に沿って、2色性である、すなわち、等値線は、見掛けの不同性の青色−黄色軸が、長さ0を有するように崩壊する。比較として、多帯域フィルタによって提供される色の見え方は、3色性である(崩壊しない)。
減衰コーティングおよび吸収光学基板を組み込む、レンズの例示的構成は、図46Aおよび図46Bに描写され、層(正面から背面)は、反射防止コーティング4601、吸収光学基板(例えば、ネオジムを含有するガラス)4602、多層干渉コーティング4604、および減衰コーティング4605である。
図46Bでは、レンズの外側に入射する光は、4611において、矢印に沿って示される。入射光は、反射防止コーティングおよび吸収光学基板を通って通過し、次いで、干渉フィルタによって、最終的に、眼4607によって受光され、網膜4609によって吸収される透過成分と、光源に向かって逆進行するが、第1の減衰コーティングを通る第2の通過の間、さらに吸収される反射成分4612とに分割される。依然として、図46Bを参照すると、反射−吸収の類似プロセスは、4606における光線に沿って示されるように、レンズの背面に進入する迷光に対しても生じ、眼に到達する前に、反射光4610の吸収をもたらし得る。いくつかの実施例では、減衰コーティングは、干渉コーティングの誘電層と交互配置または部分的に交互配置される。
ネオジムを含有するガラスレンズは、色弁別に対して、軽度向上をもたらすことが知られている。例えば、1.5ミリメートル厚ACE Improvedレンズ(Barberini GmbHs製)のスペクトル透過率は、図47Cにおける実線曲線4705によって示される。フィルタの色弁別特性は、図47Cの4704におけるスペクトル透過率曲線によって与えられる、最良適合基準フィルタMunsell 7.5B 8/4との比較によって分析されてもよい。ACE Improvedレンズによって提供される、選択されたマンセル表色系の見え方は、4702において、図47Aの色度図内の実線等値線に沿って示され、基準フィルタの選択されたマンセル表色系の見え方は、4701において、破線等値線に沿って示される。ネオジム含有フィルタは、等値線によって包囲された色域面積の増加をもたらす。しかしながら、増加は、主に、赤褐色の色サンプルの周囲に集中され、これは、緑色を帯びた色サンプルの見掛けの純度の増加によって均衡化されない。より好ましくは、ネオジムを備えるレンズは、例えば、図46Aおよび46Bに説明されるように、干渉フィルタおよび/または減衰コーティングの蒸着のための光学基板として使用され得る。結果として生じる複合フィルタは、次いで、狭帯域吸収フィルタと連動するための干渉フィルタの構成によって、通過帯域および遮断帯域を提供し得る。そのような複合フィルタは、構造内で使用されるべき光学基板のスペクトル透過率を有する、前置フィルタpの適切な構成によって、本明細書に開示されるような線形プログラミングの方法を使用して、設計されてもよい。そのような複合フィルタは、平均して、PGAIまたはPGAIIW測定値によって、より優れた性能をもたらし得、概して、干渉フィルタのみによって提供される通過帯域を有する多帯域フィルタと比較して、入射角の変化にあまり敏感ではない。
ネオジム含有吸収要素を組み込む、フィルタ設計のいくつかの実施形態は、図48A−53E、加えて、図57A−57Eの詳細な説明とともに、以下に開示される。これらの実施形態は全て、前述に開示される実施形態に関する変形例を表し、したがって、有意な付加的詳細な議論を要求しない。そのような変形例に関する一般的観察は、ネオジムを含有する多帯域フィルタが、色向上が提供される、視野の角度幅の幾分の改善をもたらし得ることである。例えば、PGAIが、最大約25度において0を超える、減光タイプの吸収フィルタのみ備える実施形態に対して、加えて、ネオジムを備える、そのようなフィルタに関する変形例は、最大約30度において、PGAI0超をもたらし得る。しかしながら、そのような変形例は、他の面積内に妥協を招く傾向にあり、例えば、いくつかの変形例では、そのようなフィルタを組み込む眼科用レンズは、眼に向かうレンズ側により多くの光反射率を有し得る。
図33A−33Eに示される設計に関する変形例である、ネオジム吸収要素を組み込む、フィルタの第1の実施形態は、図48A−48Eならびに図72Aおよび72Bにおける対応する表に開示される。フィルタは、正常観察者のための赤色−緑色弁別の増加をもたらす。本変形例は、約5度、色向上が効果的である、より広い視野を提供する。しかしながら、重要度加重パーセント色域面積増加は、実質的に、変形例とその関連実施形態との間で同じである。
図34A−34Eに示される設計に関する変形例である、ネオジム吸収要素を組み込む、フィルタのさらなる実施形態は、図49A−49Eならびに図73Aおよび73Bにおける対応する表に開示される。フィルタは、正常観察者のための青色−黄色弁別の増加をもたらす。本変形例は、約5度、色向上が効果的である、より広い視野を提供する。しかしながら、重要度加重パーセント色域面積増加は、実質的に、変形例とその関連実施形態との間で同じである。
図36A−36Eに示される設計に関する変形例である、ネオジム吸収要素を組み込む、フィルタのさらなる実施形態は、図50A−50Eならびに図74Aおよび74Bにおける対応する表に開示される。フィルタは、軽度緑色弱を有する観察者のための赤色−緑色弁別の増加をもたらす。この変形例は、約5度、色向上が効果的である、より広い視野を提供する。しかしながら、重要度加重パーセント色域面積増加は、実質的に、変形例とその関連実施形態との間で同じである。
図37A−37Eに示される設計に関する変形例である、ネオジム吸収要素を組み込む、フィルタのさらなる実施形態は、図51A−51Eならびに図75Aおよび75Bにおける対応する表に開示される。フィルタは、中程度緑色弱を有する観察者のための赤色−緑色弁別の増加をもたらす。本変形例は、約5度、色向上が効果的である、より広い視野を提供する。しかしながら、重要度加重パーセント色域面積増加は、実質的に、変形例とその関連実施形態との間で同じである。
図38A−38Eに示される設計に関する変形例である、ネオジム吸収要素を組み込む、フィルタのさらなる実施形態は、図52A−52Eならびに図76Aおよび76Bにおける対応する表に開示される。フィルタは、重度緑色弱を有する観察者のための赤色−緑色弁別の増加をもたらす。本変形例は、約5度、色向上が効果的である、より広い視野を提供する。しかしながら、重要度加重パーセント色域面積増加は、実質的に、変形例とその関連実施形態との間で同じである。
図39A−39Eに示される設計に関する変形例である、ネオジム吸収要素を組み込む、フィルタのさらなる実施形態は、図53A−53Eならびに図77Aおよび77Bにおける対応する表に開示される。フィルタは、第1色弱を有する観察者のための赤色−緑色弁別の増加をもたらす。本変形例は、シフト安定性制約条件に関して、好ましい条件を提供する、一次吸収帯域の最適配置のため、実質的に、改善された色弁別関数をもたらし、長波長通過帯域は、約10ナノメートル、効果的に赤方シフトされ、それによって、他の設計基準を妥協することなく、スペクトル開口を広げることができる。
多帯域フィルタのさらなる用途は、眼による青色およびシアン色光の吸収を増加させることに、その有用性を考慮する。特に、約450ナノメートル〜約490ナノメートルの間の光の受光は、網膜神経節細胞を刺激し得る。これらの細胞は、色視に関与しないが、むしろ、メラトニンの抑制および昼光の位相に対する概日リズムの同期に関与する。そのような光の受光は、例えば、季節性情動障害、睡眠障害、および他の健康上の問題の治療において、治療利点を有し得る。網膜神経節細胞の推定されるスペクトル吸収は、5401において、図54Aに示され、吸収プロファイルは、網膜光色素テンプレートを約480ナノメートルのピーク波長にシフトさせることによって導出される。神経節細胞の強力な刺激に及ぼすフィルタの効果をより理解するために、図54Bのグラフに示される実施例は、有益である。最初に、5404に示されるニュートラルデンシティフィルタは、本質的に、神経節細胞吸収に効果を及ぼさない。すなわち、フィルタのそのような光透過率の合理的範囲、例えば、約20%〜約100%に対して、瞳孔の拡張または収縮が、網膜に到達する光の量(すなわち、1秒当たりの光子の数)が、ほぼ一定となることを保証する(例えば、開いた瞳孔と縮小瞳孔との間の面積比は、約5:1である)。例えば、5403に示されるような広帯域の青色で薄く色が付けられたフィルタは、フィルタの光透過率を上回る、約460ナノメートル〜約490ナノメートルの間の平均透過率を有する。光(例えば、昼光)の光度は、瞳孔拡張に影響を及ぼし、光感度が、約555ナノメートルにおいて最大である一方、網膜神経節細胞吸収率は、約460ナノメートル〜約490ナノメートルにおいて最大であって、実質的に、約555ナノメートルにおける透過率に対して、約480ナノメートルにおいてより多くの光を透過させるフィルタは、神経節細胞によって吸収される光子の数が増加されるように、瞳孔を拡張させ得ることができる。しかしながら、示される青色で薄く色が付けられた実施例等の広帯域フィルタは、実質的利得をもたらさない。そのような青色で薄く色が付けられたフィルタは、約30%、神経節細胞刺激を改善させ得る。しかしながら、増加は、実質的に、例えば、5402に示されるように、多帯域フィルタによって増加され得る。そのようなフィルタは、最大約80%、神経節細胞刺激を改善させ得る。
神経節細胞刺激を改善するための第1の実施形態は、図55A−55Eならびに図78Aおよび78Bにおける対応する表に開示される。本実施形態は、約80%の神経節細胞刺激のそのような増加をもたらす、すなわち、フィルタの光透過率に対する460ナノメートル〜490ナノメートルの間の平均透過率の比は、約1.8である。しかしながら、本実施形態は、安定した白色点を特徴としない。5512において、図55Eのグラフによって示されるように、白色点の見え方は、入射角の増加に伴って、青色に向かって急速にシフトする。
神経節細胞刺激を改善するためのさらなる実施形態は、図56A−56Eならびに図79Aおよび79Bにおける対応する表に開示される。本実施形態は、約50%の神経節細胞刺激のそのような増加をもたらす。本実施形態はまた、5612において、図56Eのグラフによって示されるように、安定した白色点を特徴とする。白色点シフトは、最大約30度の入射角に対して、約0.01単位未満である。加えて、図56Dに示されるように、PGAIは、約30度までの入射角に対して、本質的に0であって、フィルタが本質的に正常な色の見え方を提供することを実証する。しかしながら、フィルタ設計は、4つの通過帯域を有して、比較的に複雑であって、神経節細胞刺激の改善は、顕著ではない。
神経節細胞刺激を改善するためのさらなる実施形態は、図57A−57Eならびに図80Aおよび80Bにおける対応する表に開示される。本実施形態は、安定した白色点と組み合わせて、約65%の神経節細胞刺激のそのような増加をもたらす。これらの条件下で改善された性能は、ネオジム吸収要素を組み込むためのフィルタの設計によって支援される。5712において、図57Eのグラフによって示されるように、白色点シフトは、最大約30度の入射角に対して、約0.01単位未満である。加えて、図57Dに示されるように、PGAIは、最大約30度の入射角に対して、本質的に0であり、フィルタが、本質的に、正常な色の見え方を提供することを実証する。
さらなる実施形態では、フィルタは、照明器具アセンブリ内に組み込むために設計されてもよく、例えば、多層誘電コーティングとして作成されたフィルタは、ビーム分割機能を提供し、照明器具内の光源によって放出される光の透過および反射成分は、同じ白色点を有するように構成される。
反射および透過される白色点の整合は、照明のための両ビーム成分の使用を可能にし得、したがって、フィルタリングによって、エネルギーを無駄にしない。さらに、ビームの透過成分は、例えば、ビームの中心領域が光の品質の向上をもたらす、照明器具アセンブリが構築され得るように、色向上効果をもたらすように構成されてもよい(図27Bに関する以下の付加的議論参照)。色の見え方に及ぼす反作用が、反射された光に観察され得、そこでは、反射された発光体によってレンダリングされるような相対的色域面積は、透過された発光体によってレンダリングされるような相対的色域面積の増加と比較して、反対作用が低減され得る、すなわち、再結合されたビームの平均色域面積は、1である。
そのようなフィルタを含有する照明器具アセンブリは、好ましくは、広帯域発光体を含む。一実施形態では、照明のために、発光ダイオードを使用することが好ましくあり得る。LED駆動蛍光体を備える白色LEDが、単独で、良好な色の見え方のために、十分に広帯域放出を提供しない場合、白色および赤色LEDが、公称上、例えば、比約4:1において、組み合わせられ、昼光とほぼ同一の色温度およびスペクトル幅の広帯域発光体を生成してもよい。そのような複合発光体のスペクトル放射束2501は、白色LEDのスペクトル放射束2502および赤色LEDのスペクトル放射束2503とともに、図25Aに示される。そのような発光体は、約5000K〜約7000Kの間およびCRI約80〜90の間のの色温度を有し得る。さらなる実施例では、昼光を模倣するLEDを備える発光体は、例えば、比約4:1:2において、白色、赤色、および青色またはシアン色LEDを含み、約5000K〜約7000Kの間のおよびCRI約90〜100の間の色温度を有する、広帯域発光体を生成してもよい。
図25Bに示されるようなスペクトル透過率2504を有するフィルタは、説明されるスペクトルビーム分割を行ってもよい。そのようなフィルタはまた、2色性フィルタまたは2色性反射体とも称される。本フィルタのための設計基準は、例えば、相対的色域面積を最大にするように構成されるコストベクトル、発光体として前述のようなLED混合物、ならびにフィルタ下の発光体の白色点が、中性フィルタ下の発光体および反射されたフィルタの白色点と同じであるように、中性フィルタである、基準フィルタを含んでもよい。加えて、白色点制約条件は、好ましくは、最大約20度の法線から外れた入射角において、白色点を規定してもよい。これは、入射光を完全にコリメートする際の潜在的困難点に対応する。20度ビーム幅は、小専有面積コリメートレンズによって、容易に達成可能である。さらに、可視波長にわたって、最小スペクトル透過率約10%を有するフィルタを規定することが好ましくあり得、これは、色域面積増加の量を調整し、空間的に再結合されるとき、分割ビームの混合領域の内側の色の見え方の非均等性の出現を低減させる役割を果たし得る。
発光体ビーム分割フィルタのスペクトル透過率2605は、再び、その逆特性(反射)2606とともに、図26Cに現れる。LED発光体2604の混合物のスペクトル放射束は、再び、図26Bに示される。フィルタおよび逆フィルタの白色点の色度座標は、図26Aの色度図における点2603に示される。選択されたマンセル表色系の色度座標は、フィルタに対する2601と、逆フィルタに対する2602である。色域面積に及ぼす逆効果は、これらの等値線において、容易に認められ、フィルタを通して透過された発光体は、色域面積を増加させるが、フィルタを通して反射される発光体は、それに応答して、色域面積を減少させる。
そのようなビーム分割フィルタを含む、照明器具アセンブリを形成するための成分の可能性として考えられる配列は、図27Aおよび図27Bに示される。ここでは、アセンブリは、金属回路基板等の熱的に伝導性である基板2701、発光ダイオード2702、ビーム形成光学光導体2703、およびガラス等の光学的に透明な基板の表面上に蒸着され得る、多層干渉コーティングを含む、スタックとして配列され得る。
次に、特に、図27Bを参照すると、一例示的配列では、LED2702によって放出される光線は、光学(例えば、光導体)2703によって、ビーム幅約20度にコリメートされ、次いで、干渉フィルタ3004上に入射する。その後、光の透過成分は、出力ビーム3008の中心部分に出現し、反射部分は、光導体によって、例えば、2709に沿って示される境界における内部反射によって、再指向され、次いで、出力ビーム2707の環状部分に沿って放出される。示されるような配列は、フィルタによって透過されない光が、依然として、一般的照明のために有用である、環境内に逆放射される一方、吸収フィルタが、照明器具の効率を低減させ、干渉フィルタが、ほぼ1の効率を有するため、照明器具アセンブリが、発光効率を妥協せずに、色向上フィルタを組み込むことを可能にする。
そのような発光体は、第2色弱および第1色弱観察者のための改善された色弁別をもたらすために、屋内で有効に採用され得る。そのような構成では、発光体はまた、前述で開示されるように、眼鏡類内に組み込まれたフィルタと併用されてもよい。
本明細書において前述に開示された任意のフィルタの波長毎のスペクトル透過率を前提として、通過帯域および遮断帯域の中心位置および幅を計算するための方法は、ガウシアン平滑化カーネルをスペクトル透過率曲線に適用するステップ(例えば、透過率データシリーズによるカーネルの畳み込みによって)であって、カーネルの幅が、曲線内のいかなる重要でない変動(例えば、着目フィルタに不可欠と見なされない、過渡状態、リップル、ノイズ、または他のアーチファクト等)も本質的に除去するために十分に広い、ステップと、次いで、最大透過率が100%に等しくなるように曲線を正規化し、次いで、丸めた値が0%である各連続的スペクトル領域が遮断帯域の帯域境界に対応し、丸めた値が100%である各連続的スペクトル領域が通過帯域の帯域境界に対応するように、各透過率値を0%または100%のいずれかに丸めるステップとを含む。
本方法に従って計算された帯域境界を前提として、各通過帯域および各遮断帯域内の平均透過率は、元の曲線に関して計算され得る。通過帯域または遮断帯域の幅は、下側帯域境界と上側帯域境界との間の距離に等しく、通過帯域または遮断帯域の中心は、下側帯域境界と上側帯域境界との間の中間点に等しい。
好ましくは、通過帯域および遮断帯域境界の任意のそのような計算集合に対して、各交互配置された遮断帯域の場合、遮断帯域の平均透過率は、最大でも、隣接する通過帯域の平均透過率の1/2である。本条件が当てはまらない場合、通過帯域および遮断帯域間の変動は、本質的に、わずかであり得、その場合、平滑化カーネルの幅は、増加され、好適な平滑化幅が決定されるまで、計算が、反復的に実行されてもよい。
本開示における着目フィルタの大部分に対して、半値幅約20ナノメートルを有する平滑化カーネルは、本計算の目的のために適正である。
本開示に説明されるフィルタの大部分に対して、帯域境界位置、帯域中心位置、および帯域幅に関して記載された値は、5ナノメートル単位まで丸められた波長の単位において与えられ得る。本明細書における教示は、より優れたスペクトル分解能を有するフィルタを規定するために十分である。しかしながら、より優れたスペクトル分解能は、必ずしも、本発明を実践するために要求されない。
本明細書の前述の部分は、フィルタの意図された使用に関連する制約条件を満たす、フィルタ仕様を設計する方法、フィルタの仕様の性能を評価し、設計を調節し、そのようなフィルタの好ましい実施形態のための仕様に到達するために、所望の効果に関して、さらにフィルタの性能仕様を改善するための方法、フィルタを作成する、および/またはフィルタを他者によって作成させるために適正な機械仕様を提供する方法、ならびにフィルタを眼科用レンズまたは照明器具アセンブリ内に組み込み、色視に及ぼす所望の効果を提供するデバイスの好ましい実施形態を生成する方法を含め、所望の態様で、色視に影響を及ぼすための多帯域光学フィルタを生成するための方法を開示する。
本開示の発明によって可能にされる、色視に及ぼす効果の範囲は、正常な色弁別の維持(また、本開示では、「良好な色弁別」を提供するとも称される)、さらなる必要条件を伴わずに、青色と黄色との間とほぼ等しい赤色と緑色との間の色弁別に改良をもたらすと想定され得る、色弁別の増加(また、時として、本開示では、色弁別を「向上」または「改善」するとも称される)、所望の効果が、赤色と緑色との間の弁別の改良を最大にする、赤色−緑色弁別の増加、ならびに所望の効果が、青色と黄色との間の弁別の改良を最大にする、青色−黄色弁別の増加を含む。
正常な色弁別の維持は、概して、フィルタが、また、可視スペクトル内の1つ以上の領域にわたって規定された最小および/または最大スペクトル透過率等、付加的機能を提供することが望ましく、従来の方法によって、等価スペクトル透過率限界を達成することは、不良な品質の色弁別を提供するフィルタをもたらすであろう。例えば、干渉フィルタとして生成される従来のノッチフィルタまたはカットフィルタは、フィルタが、眼鏡類内に組み込まれると、視認者に不快である態様で、可変視認角度に伴って、ある色の色彩の見え方に有意な変化を生じさせ得る、および/またはいくつかの色の見え方を変化させ得る。さらなる実施例では、スペクトル透過率に影響を及ぼす吸収手段は、スペクトル透過率限界を達成するために必要とされる吸収材料の濃度が、可視スペクトルの広領域にわたって、透過率に有意に影響を及ぼし得るため、低光透過率および/または強く着色された白色点を有するフィルタをもたらし得る。
本明細書に開示される方法は、スペクトル透過率に関して、有用限界を提供することに加え、視認角度の広い範囲にわたって、正常な色弁別を維持するフィルタの設計、仕様、および作成を可能にする。本明細書に開示されるそのようなフィルタの具体的変形例およびそのようなフィルタを組み込む製品は、約380ナノメートル〜約450ナノメートルの間の青色光を遮断するフィルタ、約380ナノメートル〜約450ナノメートルの間の青色光を遮断する一方、同時に、視認角度の広い範囲にわたって、約589ナノメートルにおける光の高スペクトル透過率を保証するフィルタ、視認角度の広い範囲にわたって、約532ナノメートルにおける緑色光を遮断するフィルタ、および光の光透過率に対して、約460ナノメートル〜約490ナノメートルの間の光の高平均透過率を提供するフィルタを含む。本実施形態群内のフィルタは全て、2つの遮断帯域と交互配置された3つの通過帯域を備える。しかしながら、多くのそのようなフィルタは、3つの遮断帯域と交互配置された4つの通過帯域を備え、遮断帯域のうちの1つ以上および/または通過帯域のうちの1つ以上は、所望のスペクトル透過率限界を提供する。
本明細書に開示される方法に関するさらなる変形例は、赤色−緑色弁別を増大させるフィルタ、青色−黄色弁別を増大させるフィルタ、または両方を含め、視認角度の広い範囲にわたって、色弁別を増大させるフィルタの設計、仕様、および作成を可能にする。フィルタは、正常色視を有する観察者のための色弁別を増大させるように構成されてもよく、または第2色弱色視異常、第1色弱色視異常、および第3色弱色視異常を含む、色視異常を有する観察者のための色弁別を増大させるように構成されてもよい。特定の観察者によって使用することを対象とするフィルタの構成は、所望の態様で、色視に影響を及ぼすためのフィルタの好ましい実施形態を提供し得る。しかしながら、そのような構成は、必ずしも、他の観察者が、意図された効果の一部または全部を経験しないように妨害するものではない。
赤色−緑色弁別を増大させるフィルタの用途は、第2色弱および第1色弱観察者のための光学支援としての使用を含む。これらの形態の色視異常は、正常観察者のものより低い、赤色および緑色間の変動に対する感度によって特徴付けられる。赤色−緑色弁別を増大させるフィルタはまた、正常観察者のための汎用眼鏡類(例えば、サングラス)、ならびにゴルフを含む、あるスポーツと併用するため等のアクティビティ特有の眼鏡類を含め、他の用途において使用されてもよい。
青色−黄色弁別を増大させるフィルタは、第3色弱観察者に対して有用であり得、また、輝度コントラストの向上、赤色−緑色視異常のシミュレーション、およびカモフラージュされたオブジェクトの検出を含め、他の用途も有する。
赤色と緑色および青色と黄色両方間の色弁別の均衡化された増加を提供するフィルタは、正常色視を有する観察者によって使用するために好ましくあり得、そのようなフィルタは、眼鏡類内に組み込まれると、見え方の質に全体的改善をもたらす。
これらの実施形態群内のフィルタは全て、2つの遮断帯域と交互配置された3つの通過帯域を備える。しかしながら、いくつかのそのようなフィルタは、3つの遮断帯域と交互配置された4つの通過帯域を備えてもよい。典型的には、第4の通過帯域は、約660ナノメートル超に位置する中心を有し、フィルタが、極端な入射角において、実質的に、不変白色点を維持するように構成される。
色弁別を増大させるように構成されるフィルタは、第2の通過帯域の中心位置に従って分類され得る。約520ナノメートル〜約540ナノメートルの間の中心位置に対して、フィルタは、主に、赤色と緑色との間の弁別の改善に強調を提供する。約545ナノメートル〜約550ナノメートルの間の中心位置に対して、フィルタは、赤色と緑色および青色と黄色の弁別にほぼ等しい改善を提供する。約555ナノメートル〜約580ナノメートルの間の中心位置に対して、フィルタは、青色と黄色との間の弁別の改善に強調を提供する。
青色−黄色弁別を増大させるように構成されるフィルタに対して、第2の通過帯域の好ましい中心位置は、約580ナノメートルであって、これは、一意的に、大部分の観察者によって、黄色と見なされる単色波長に対応する。しかしながら、580ナノメートルの第2の通過帯域中心位置を有するフィルタは、色の見え方を2色性にさせ得、対応して、赤色と緑色との間の全弁別が喪失されるであろうため、非実践的であり得る。したがって、例えば、緑色交通信号の色度座標が、その許容限界を与える定義された境界内にあることを保証することによって、そのようなフィルタを制約することが有用である。したがって、赤色と緑色との間の色弁別を犠牲にして、青色と黄色との間の弁別を最大にするための最も好ましいフィルタは、約560ナノメートル以下の第2の通過帯域位置を有することが見出され得る。
赤色と緑色との間の弁別を増加させるように構成されるフィルタに対して、第2の通過帯域の最も好ましい中心位置は、着目色集合に応じて、変動する。マンセル表色系サンプルおよび/またはファルンスワースD−15色に関して、中心位置の最適選択肢は、約530ナノメートルである。しかしながら、自然界のサンプルに関して、より好ましい位置は、約540ナノメートルである。したがって、535ナノメートルの選択肢は、混合環境において使用され得る、そのようなフィルタに対する、最良平均例選択肢を与え得る。
第2色弱観察者のための赤色−緑色弁別を増大させるように構成されるフィルタに関して、好ましい実施形態は、本タイプの観察者間のサブクラスに依存し得る。軽度第2色弱観察者に対して、通過帯域平均透過率と遮断帯域平均透過率との間の中程度コントラスト比は、例えば、約4:1が適正であり得る。中程度第2色弱観察者に対して、少なくとも約6:1の比が、好ましくあり得る。重度第2色弱観察者に対して、少なくとも8:1の比が、好ましくあり得る。
通過帯域と遮断帯域コントラスト比約6:1超を有するフィルタに対して、光透過率約580ナノメートル〜約620ナノメートルおよび/または約560ナノメートル〜約580ナノメートルの少なくとも約1/5の最小スペクトル透過率を提供するように、フィルタ使用を制限することが望ましくあり得る。これは、フィルタが、一般的使用、例えば、発光ダイオードおよび低圧ナトリウム照明器具を含む、ある狭帯域黄色光の適正な可視性が要求される、自動車を運転中に適正であることを保証する場合に該当し得る。そのような変形例では、そのような光が、例えば、橙色または赤色に間違えられないように、特定の領域の内側の黄色交通信号の色度座標を制約するように、フィルタを制限することが好ましくあり得る。
第1色弱観察者のための赤色−緑色弁別を増大させるように構成されるフィルタに関して、前述の範囲に関する相違が、第2の通過帯域中心位置に関しても適用される。異常と関連付けられた網膜生理機能のため、好ましい波長は全て、約5ナノメートルだけ青方シフトされ、例えば、535ナノメートルの選択肢は、約530ナノメートルに修正される。さらに、第1色弱観察者による使用のためのフィルタの構成に関して、より長い波長の使用は、そのような観察者による赤色の可視性の低減を生じさせ得るため、第3の通過帯域の中心位置は、好ましくは、最大でも、約610ナノメートル〜約625ナノメートルの間であることに留意されたい。
色弁別を向上させるための前述の実施形態群内のフィルタは全て、2つの遮断帯域と交互配置された3つの通過帯域を備える。
色視のためのフィルタの構成に関して、そのようなフィルタは、好ましくは、概して、ある合理的範囲内の光透過率、例えば、少なくとも約8%を提供し、好ましくは、また、強く着色されていない白色点(すなわち、フィルタを通して視認される、平均的な昼光の色度座標)を提供する。
本質的に、中性色合いを提供するための制約条件白色点領域の選択は、中程度または強く着色されている、白色点を有するフィルタが、いくつかの色の適正な明度を提供し得ないため、好ましくあり得る。さらに、白色点が視認角度のある範囲にわたって、比較的に小さい領域の内側にとどまるような制限を課すことは、そのようなフィルタが、眼鏡類内に組み込まれると、最も快適な視認経験を提供し、照明器具アセンブリ内に組み込まれると、不整合およびビーム発散に対する公差を可能にするため、好ましい。
そのような計算のためのCIELUV(u’,v’)色度座標の使用は、本スケールに従って、色間の丁度可知差異を定義する楕円形が、着目白色点の範囲に対してほぼ円形で
あるため、好ましい。(u’,v’)座標は、CIE 1931 2度標準観察者またはCIE 1964 10度標準観察者のいずれかに関して計算され得、前者は、ある距離
におけるオブジェクトに対する見掛けの色のより優れた予測を与え、後者は、視野のより大きな部分に内在するオブジェクトの見掛けの色のより優れた予測を与える。
正常色視を有する観察者による使用のように構成されるフィルタに関して、白色点制約条件領域は、(u’,v’)色度図上に約0.02単位の半径を有し得る。より好ましくは、領域は、約0.01単位の半径を有し得、さらにより好ましくは、フィルタ白色点が
限界に準拠する入射角の範囲は、0度〜少なくとも約25度、より好ましくは、0度〜少なくとも約35度に延在し得る。
色視異常を有する観察者による使用のように構成されるフィルタに関して、制約条件領域を楕円形領域であるように定義することが好ましくあり得、例えば、楕円形の主軸は、色視異常のタイプに対応する混同線に沿って配向される。したがって、そのようなフィルタの特性は、円形制約条件領域に従って分析されるとき、中間角度のある範囲にわたって、制約条件領域から出て、次いで、より急峻角度において、再び、制約条件領域に入る、白色点によって特徴付けられ得、より急峻角度は、典型的には、約20度〜約40度である。いくつかの実施形態では、これは、意図された観察者によって視認されるとき、白色点の良好な安定性を提供すると考えられる、フィルタを提供し得るが、正常色視を有する観察者は、同程度の安定性を知覚しない場合がある。軽度および中程度の第2色弱観察者に関して、白色点制約条件領域は、好ましくは、約0.01単位の半径に制限され得る。重度の第2色弱観察者に関して、約0.02単位の半径を有する緩和領域が、好ましくあり得る。第1色弱観察者に関して、制約条件が考慮される角度の範囲は、例えば、0度〜約20度に低減され得る。
色弁別を増大させるためのフィルタを設計するための第1の方法は、前述に説明されるような所望の効果に従って、第2の通過帯域の所望の中心位置を選択するステップと、フィルタの所望の光透過率に適切である、第2の通過帯域の最小の必要幅を選択するステップと(本選好はまた、第2の通過帯域の平均透過率が、可能な限り高いことを含意することに留意されたい)、次いで、第1および第3の通過帯域の適切な中心位置および幅を選択するステップとを含む。第1の通過帯域の中心は、好ましくは、最短可能波長に位置し、第3の通過帯域の中心は、好ましくは、最長可能波長に位置し、中心位置および幅の可能性として考えられる範囲は、法線入射における白色点の所望の色度座標と、白色点の色度座標が、法線から外れた入射角における、ある範囲の視認条件に関して含有されるべき領域とを含め、フィルタの白色点に関する制限によって制約条件される。次に、3つの通過帯域内の平均透過率が、好ましくは、最大可能値(フィルタが、例えば、吸収フィルタとともに組み込むために規定される場合、100%未満であり得る)に選択され、交互配置遮断帯域の平均透過率は、好ましくは、通過帯域と遮断帯域間の平均透過率のコントラスト比約2:1〜約10:1以上に対応するある範囲の値にわたって、選択され得る。より高いコントラスト比は、色弁別において、より強い向上をもたらし得る。そのような高比率はまた、狭帯域照明器具等のある光の異常および/または不安定な色の見え方と関連付けられ得る。
通過帯域中心位置および通過帯域と遮断帯域のコントラスト比の好ましい選択に関する前述の説明は、本明細書に開示されるフィルタを設計する方法と組み合わせて、前述で識別された群の構成要素である、フィルタを設計するための適正な教示を提供する。例えば、包括的検索手順によって、そのようなフィルタに到達するために、第2の通過帯域の中心位置および幅は、例えば、前述のような色視に及ぼす効果と関連付けられて呼び出される範囲に従って、通過帯域と遮断帯域のコントラスト比とともに、固定され、次いで、第1および第3の通過帯域の中心位置および幅の全ての可能性として考えられる組み合わせが、列挙され、次いで、コンピュータを使用して、列挙された一式内の各フィルタが、評価され、好ましい構成要素を選択してもよい。好ましい構成要素は、色弁別に関して、性能測定基準を最大にすることを条件として、所望の設計制約条件を満たす。列挙された一式は、何千もの構成要素を備え得、結果として生じる計算は、検討下の帯域の数および計算のスペクトル分解能に応じて、著しい算出時間を要求し得る。
より好ましくは、線形プログラムを解くことにより、そのようなフィルタを設計するための本明細書に開示される方法が、採用され得、設計制約条件は、一般化された多次元凸多面体として最良に描写される、幾何学的抽象概念として、実行可能フィルタ設計に関する制限を定義する、整形式線形プログラムに変換される。本発明の教示に説明されるように、コストベクトルを使用する教授によって、線形プログラムソルバーは、コストベクトルによって示される方向に、所与の制約条件を最大にする、実行可能集合の境界上に、フィルタ構成要素を迅速に特定し得る。本明細書に開示されるような線形プログラミングの方法は、試験的フィルタ仕様が、本発明を実践する最も好ましい方法が、コストベクトルおよび/または設計制約条件を双方向に導き、特定の試験的フィルタに関与する性能トレードオフが、オペレータによって、リアルタイムで評価され得るように、ほぼ瞬間的に決定されることを可能にする。線形プログラミング方法はまた、例えば、干渉フィルタおよびネオジム含有光学基板等の狭帯域吸収フィルタを備える、複合フィルタの設計を可能にし、線形プログラムソルバーは、吸収フィルタと協働し、所望の効果をもたらすための干渉フィルタのための透過率仕様を決定する。線形プログラムソルバーによって検討される1組の実行可能フィルタは、本質的に、帯域の列挙または反復局所検索手順によって到達が困難または不可能である、任意のスペクトル透過率曲線を備えてもよい。線形プログラムソルバーは、厳密には、遮断帯域によって交互配置された一連の通過帯域である、多帯域フィルタの設計に限定されないため、別の規定されたフィルタと組み合わせて使用されるとき、入射角のある範囲にわたって、そのような複合フィルタの特性に関する制約条件基準を考慮することを含め、多帯域スペクトル透過率を達成するフィルタを設計するために使用されてもよい。
例えば、すぐ上に説明された方法によって生成されるような任意の試験的フィルタ仕様を前提として、本明細書に開示されるさらなる方法は、色弁別に及ぼす試験的フィルタの効果の予測を可能にする。
例えば、一実施形態では、方法は、最良適合広帯域基準フィルタを決定するステップと、次いで、試験的フィルタを通して、かつ基準フィルタを通して視認される、1組の基準色の色度座標を計算するステップと、両条件下において、座標によって包囲された面積内の比を比較するステップとを有する。
別の実施形態では、最良適合広帯域基準フィルタが、決定され、次いで、試験的フィルタを通して、かつ基準フィルタを通して視認される、1組の基準色の色度座標を計算し、次いで、色度座標を色空間の軸上に射影し、その軸に沿って、1組の座標の相対的標準偏差を比較する。好ましくは、軸は、算出された比が、対応する方向において、色弁別の増加、減少、または維持に対応するように、第3色視異常、第2色視異常、および第1色視異常混同線のうちの1つ以上を含んでもよく、第3色視異常混同線は、概して、青色と黄色との間の弁別に対応し、第2色視異常および第1色視異常混同線は、概して、赤色と緑色との間の弁別に対応する。
より好ましくは、そのような性能分析計算は、約0度〜少なくとも約25度法線から外れた入射角の範囲にわたって視認される、試験的フィルタに関して、実行される。それらの角度にわたる平均性能は、例えば、フィルタ性能が、視認角度の広い範囲にわたって検討されなければならないような眼科用レンズ内に組み込まれるとき、製品の全体的有効性を推定するために使用され得る。さらにより好ましくは、そのような分析は、眼鏡フレーム内のレンズの曲率ならびに配向、および/または眼の幾何学形状、および/または眼窩内で回転し得る、眼の配向の推定される分布を考慮してもよい。
好ましくは、基準色に関するそのような性能評価は、例えば、眼鏡類とともに、製品が使用され得る条件を表す、色を検討してもよく、基準色は、自然界からのサンプルならびに人工色素の両方を含むべきである一方、屋内照明器具アセンブリ内に組み込むように構成されるフィルタに対して、基準色は、人工色素のみを備えてもよい。
好ましい試験的フィルタ仕様を前提として、フィルタは、例えば、光学基板上への誘電材料のスタックの物理蒸着によって加工される干渉フィルタとして作成されてもよい。試験的フィルタ仕様は、最小および最大透過率曲線によって境界され、例えば、フィルタが、そのような生産方法の当業者であるオペレータによって作成されることを可能にするために適正である整合公差仕様を提供してもよい。
本明細書に開示されるフィルタのいくつかの実施形態は、例えば、約100層の誘電材料を備え、約6ミクロンの総厚を有する、高次干渉フィルタとして作成されてもよい。
いくつかの実施形態、特に、例えば、比約2:1〜約4:1を有する、通過帯域および遮断帯域の平均透過率間の中程度コントラスト比のみ、所望されるものに関して、層の数および厚さは、例えば、最大でも、約50の層を要求する、および/または約3ミクロンの総厚を有するように有意に減少され得、そのような制限は、平滑化カーネルをフィルタ仕様に適用することによって達成されてもよく、例えば、そのようなカーネルは、好ましくは、ガウシアン形状および少なくとも約20ナノメートルの半値を有する。結果として生じる簡略化された設計は、次いで、より短い整合時間、より低い精度のプロセスとの互換性、およびより低い全体的生産コストから恩恵を受け得る。
本明細書に開示されるフィルタ実施形態によって表される種類のいくつかは、例えば、干渉フィルタおよび吸収フィルタを備えるような、複合フィルタ設計としての構造から恩恵を受け得、吸収フィルタは、ネオジムを備える。例えば、ある範囲の角度にわたって、制約条件白色点を有する赤色−緑色向上フィルタに関して、そのような複合設計が、可能であって、第3の通過帯域の位置は、ネオジム吸収成分を伴わずに、同一の制約条件基準を前提として、可能となるであろう、より長い波長に選択されてもよい。より長い波長中心位置は、前述のように、好ましいが、これは、色弁別をさらに増加させる、複合フィルタ設計を生じさせ得る。さらに、そのような複合設計は、色の改善された安定性を提供し得、例えば、ある範囲の角度にわたって、性能が分析されるとき、ネオジムを備える複合設計は、ネオジムを備えない等価フィルタ設計の角度を5度上回る角度まで、色域面積比1:1超を留保し得る。しかしながら、改善された角度安定性は、典型的には、ネオジム含有フィルタ内に存在する望ましくない二次吸収帯域から生じる、若干低いピーク性能によって損なわれることが見出され、そのような結果として生じるフィルタの第2の通過帯域は、最も好ましいものより若干広い。さらに、ネオジムを備えるそのような複合設計は、全体的視覚的快適性が、要因となる、眼鏡類内に組み込まれるフィルタに好ましくあり得る。
他の狭帯域吸収体が、狭帯域有機色素ならびにプラセオジムおよびホルミウム等の他の希土類元素を含め、ネオジムの代替として、またはそれに加え、使用されてもよく、いくつかのそのような組み合わせの狭帯域吸収体は、改善された角度安定性および/または光反射率の低減を呈する、干渉フィルタを備える、複合フィルタ設計を提供し得る。そのような組み合わせは、例えば、本明細書に開示されるような線形プログラミングの方法を使用して、設計されてもよい。
開示されるフィルタのいずれかが、干渉フィルタとして作成されるとき、そのようなフィルタの高反射率が、考慮されなければならない。眼鏡類内への組み込みのために、レンズの内部表面上での光透過率と光反射率の比は、最大でも、約2:1であることが好ましい。干渉フィルタが、例えば、60%を超える高光透過率を有するフィルタに関して、干渉フィルタの反射率は、重要ではないほど十分に小さくあり得る。そのようなフィルタは、好ましくは、線形偏光子またはフォトクロミック吸収フィルタと組み合わせられてもよく、両方とも、干渉フィルタと組み合わせて配置されると、潜在的に、光反射率を有意に低減させない、吸収フィルタを形成する。干渉フィルタが、約60%未満の光透過率を有するフィルタに関して、レンズの内部表面上の反射率の管理は、重要な問題である。第1のアプローチは、減光吸収体をレンズの背面に適用し、反射される光が、吸収体を2回通過しなければならないという事実を利用するものであって、これは、コントラスト比を容認可能レベルに復元させ得る。しかしながら、減光吸収体はまた、レンズの最大スペクトル透過率を減少させ、ひいては、通過帯域および遮断帯域間の平均透過率コントラスト比の必要低下を含意し、これは、例えば、もたらされる有効色弁別改善を低減させ得る。
一実施形態では、円形偏光子は、内部表面に適用され、線形偏光要素が、背面反射を吸収するように構成されてもよい。本構造は、非常に高いコントラスト比を達成し得る。代替として、金属減衰コーティングが、干渉フィルタ内に組み込まれてもよく、例えば、干渉フィルタは、酸化チタンおよび酸化ケイ素(TiO2およびSiO2)の層を備え、金属層は、純チタンを備える。そのような金属層の特性のため、干渉フィルタ内に組み込まれると、配列は、反射率の減衰に関して、有意に、等価ニュートラルデンシティフィルタに勝り得る。さらに、金属と金属酸化物との間の良好な材料相溶性のため、そのような配列は、また、色視に及ぼす所望の効果を生成かつ提供するために経済的である、ロバストな製品を提供し得る。
干渉フィルタの反射率に関連するさらなる懸念は、眼科用レンズアセンブリ内におけるその設置に関するものであって、そのようなフィルタが、内部表面上に配置される場合、基板内の内部反射によって生じる、可視アーチファクトが、存在し得る。これらは、好ましくは、レンズの反対表面上の高品質反射防止コーティングによって軽減される。
照明器具アセンブリ内への色弁別を増大させるように構成されるフィルタの組み込みに関して、それらはまた、2色性反射体とも称され得、その最も好ましい実施形態は、そのようなアセンブリの効率ならびに発光体の透過および反射成分の両方によって提供される色弁別の品質を考慮し得る。いくつかの実施形態では、発光体は、広帯域源であってもよく、例えば、透過成分は、赤色と緑色との間の弁別を向上させ、反射成分は、青色と黄色との間の弁別を向上させる。より好ましくは、発光体は、透過成分が、色弁別の増加をもたらし、反射成分が、正常な色弁別を維持するように、赤色、緑色、および青色発光ダイオードのアレイ等、多帯域源であり得る。光の透過および反射成分の両方が、照明のために使用される、照明器具アセンブリの好ましい配列が存在する。
本明細書に開示されるフィルタ設計方法は、例えば、2.3 GHz Intel Core i7プロセッサおよび8GBのRAMを有する、コンピュータ上において、Wolfram Research,Inc.から利用可能な市販の計算ソフトウェアプログラムMathematica(登録商標)(その線形プログラムソルバーを含む)を使用して、実装され得る。しかしながら、当業者であれば、本明細書に開示される方法は、前述の実装に限定されず、コンピュータ/システムアーキテクチャから独立することを理解されたい。故に、本方法は、等しく、他のコンピューティングプラットフォーム上に実装され、他の計算ソフトウェア(市販またはフィルタ設計方法専用にコードされているかどうかにかかわらず)を使用してもよく、また、回路または他の計算構成要素内に有線配線されてもよい。
本開示は、限定ではなく、例証である。さらなる修正が、本開示に照らして、当業者に明白となるであろう。例えば、前述の方法およびステップが、ある順序で生じるある事象を示す場合、当業者は、あるステップの順序が、修正されてもよく、そのような修正が、本明細書に開示される本発明に従うことを認識するであろう。加えて、あるステップは、可能である場合、並行プロセスにおいて、同時に行われてもよく、前述のように、連続して行われてもよい。方法またはプロセスにおける動作として、本明細書で言及される作用はまた、方法またはプロセスにおける「ステップ」として理解され得る。したがって、本開示または本明細書に開示される本発明の均等物の精神内にある、本明細書に開示される本発明の変形例が存在する範囲内において、本開示およびそれが支持する請求項は、それらの変形例も同様に網羅することを意図する。本開示に引用される全刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願が、具体的かつ個々に、本明細書に記載されるように、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。