JP6820215B2 - Fe基合金 - Google Patents

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Description

本発明は、化学研磨により、優れた表面平滑性と表面清浄性を有し、例えば、電子部品に用いられる、Fe基合金に関するものである。
Fe基合金は、低熱膨張係数を有するので、例えば、電子部品に用いられることがある。電子部品に用いられる合金は、研磨後にめっきが施されることが多いので、研磨後に表面平滑性と表面清浄性を有することが求められる。一方で、電子部品は複雑な構造をしていることが多いので、バフ研磨などの物理的研磨では研磨できない部位が生じることがある。そこで、電子部品に用いられる合金には、化学研磨が施されることが多い。
化学研磨は、合金表面の凹凸を溶解することにより平滑化したり、プレス打ち抜き等にて生じたバリを溶解させる研磨法であり、平滑性や生産性の観点から、化学研磨速度の向上、すなわち、溶解速度の向上が要求される。化学研磨速度は被研磨材料の耐食性で左右されるため、例えば、耐食性に有効な元素であるNi量を低減することで、化学研磨速度の向上、すなわち、化学研磨後の表面平滑性の向上を図ることができる。しかし、Ni量を低減させると、合金の熱膨張係数が大きく変化してしまうという問題があった。電子部品用途等、合金の用途によっては要求される熱膨張係数が決まっているため、熱膨張係数の変化を防止しつつ、生産性よく優れた表面平滑性を達成するためには、Ni等の主要元素の配合量で対応することは難しい。
また、化学研磨では、依然として、表面清浄性の向上も要求されている。そこで、リードフレーム用Fe−Ni合金に含有されるTi量を低減させることで、化学研磨後の酸化膜の形成が抑制、すなわち、化学研磨後の表面清浄性を向上させることで、後工程の電気めっき性を向上することができることが開示されている(特許文献1)。
しかし、特許文献1のFe−Ni合金では、化学研磨による表面平滑性が、依然として十分ではないという問題があった。
特開平8−293577号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、化学研磨による表面の速やかな溶解により得られる優れた表面平滑性と、化学研磨後における優れた表面清浄性とを有する、Fe基合金を提供することを目的とする。
本発明の態様は、C:0.001〜0.020質量%
Si:0.01〜0.40質量%
Mn:0.01〜0.80質量%
S:0.0005〜0.0050質量%
Al:0.001〜0.020質量%
を含み、かつ
Ni:25.0〜45.0質量%、
Co:0〜22.0質量%を
25.0質量%≦Ni+Co≦55.0質量%
の範囲で含み、かつ、
Au:0.0275質量%以下
Ag:0.0500質量%以下
Pd:0.0500質量%以下
Pt:0.0330質量%以下
Cu:0.300質量%以下
の1種または2種以上を
0.0020≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0500
の範囲で含み、かつ
残部がFeおよび不可避的不純物からなるFe基合金である。
上記態様では、母材である主要成分として、C、Si、Mn、S、Al、Ni、必要に応じてCoが含まれ、副成分として、母材に対して貴な金属であるAu、Ag、Pd、Pt及びCuからなる群から選択された金属の少なくとも1種が含まれている。また、本発明の合金は、上記した主要成分及び副成分以外には、不可避的不純物を除いてFeが含まれるので、Fe基合金とした。
本発明の態様は、Al:0.001〜0.010質量%であるFe基合金である。
本発明の態様によれば、C:0.001〜0.020質量%、S:0.0005〜0.0050質量%、Al:0.001〜0.020質量%であり、Au:0.0275質量%以下、Ag:0.0500質量%以下、Pd:0.0500質量%以下、Pt:0.0330質量%以下、Cu:0.300質量%以下の1種または2種以上を0.0020≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0500の範囲で含むことにより、化学研磨による表面の速やかな溶解により得られる優れた表面平滑性と化学研磨後における優れた表面清浄性を有する、化学研磨の容易なFe基合金を得ることができる。
以下に、本発明のFe基合金について詳細を説明する。本発明のFe基合金は、
C:0.001〜0.020質量%
Si:0.01〜0.40質量%
Mn:0.01〜0.80質量%
S:0.0005〜0.0050質量%
Al:0.001〜0.020質量%
を含み、かつ
Ni:25.0〜45.0質量%、
Co:0〜22.0質量%を
25.0質量%≦Ni+Co≦55.0質量%
の範囲で含み、かつ、
Au:0.0275質量%以下
Ag:0.0500質量%以下
Pd:0.0500質量%以下
Pt:0.0330質量%以下
Cu:0.300質量%以下
の1種または2種以上を
0.0020≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0500
の範囲で含み、かつ
残部がFeおよび不可避的不純物からなる。
まず、本発明のFe基合金の副成分である、母材に対して貴な金属であるAu、Ag、Pd、Pt、Cuについて説明する。
本発明のFe基合金では、Au:0.0275質量%以下、Ag:0.0500質量%以下、Pd:0.0500質量%以下、Pt:0.0330質量%以下、Cu:0.300質量%以下の1種以上を、0.0020≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0500の範囲で含まれる。すなわち、本発明のFe基合金では、母材と比べて貴な金属である、Au、Ag、Pd、Pt及びCuからなる群から選択された金属の少なくとも1種が、少量添加されている。
本発明のFe基合金では、上記貴な金属が配合されることで、上記貴な金属と母材との間で電池が形成されて母材の溶解が助長される、所謂ガルバニック腐食が生じることにより、母材の化学研磨速度が向上し、結果、優れた表面平滑性が得られるのではと、発明者は考えている。また、本発明のFe基合金の表面清浄性は、上記貴な金属の配合量が調整されることで、Fe基合金の化学研磨時における腐食生成物の発生が抑制されるためではないかと、発明者は考えている。
上記貴な金属以外の成分であるFe基合金の主要成分(母材)と上記貴な金属との電位差が大きいほどFe基合金の溶解速度が大きくなる。よって、上記式における5種の各貴な金属について、水溶液中における上記各貴な金属の標準電極酸化還元電位の大小に基づいて、Auの質量%に係数1.8、Ptの質量%に係数1.5、Cuの質量%に係数0.10を、それぞれ、乗じた。上記と同じ理由から、Agの質量%とPdの質量%については、係数を設けなかった。例えば、係数1.8のAuは、Ag及びPdと比較して標準電極酸化還元電位が高く、係数1.0のAgとPdに対して約1.8倍の溶解速度向上効果を有する。
1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cuの値の下限値は、優れた表面清浄性と表面平滑性を得る点から0.0020であり、表面平滑性をより向上させる点から0.0025が好ましく、表面平滑性をさらに向上させる点から0.0030が特に好ましい。一方で、1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cuの値の上限値は、優れた表面平滑性と表面清浄性を得る点から0.0500であり、表面清浄性をより向上させる点から0.0300が好ましく、表面清浄性をさらに向上させる点から0.0200が特に好ましい。
また、Fe基合金の表面清浄性を得る点から、さらに、Au:0.0275質量%以下、Ag:0.0500質量%以下、Pd:0.0500質量%以下、Pt:0.0330質量%以下、Cu:0.300質量%以下である。また、CuはFe基合金の熱膨張係数を大きくする作用も有するので、表面清浄性だけでなく、熱膨張係数の低減の点から0.30質量%以下である。
上記式中の係数から、Auの配合が最も研磨速度の向上に有効ではあるが、Fe基合金の製造コストの点から、AgやCu等と組み合わせて配合することが好ましい。
次に、本発明のFe基合金の母材である主要成分、C、Si、Mn、S、Al、Ni、Coについて説明する。
C:0.001〜0.020質量%
Cが含まれることで、Fe基合金に機械的強度を付与することができる。機械的強度を得る点から、Cは0.001質量%以上配合される。一方で、Cの配合量の上限値は、粗大な炭化物の析出により打ち抜き性等の機械的強度の低下を防止し、また、化学研磨後に大きな析出物が溶け残る、すなわち、化学研磨後の表面清浄性が低下して後工程であるめっき性が低下することを防止する点から0.020質量%であり、0.015質量%が好ましく、0.010質量%が特に好ましい。
Si:0.01〜0.40質量%
Siは、脱酸元素としてFe基合金に配合される。確実に脱酸の効果を得る点から、Siは0.01質量%以上配合される。一方で、Siの配合量の上限値は、Fe基合金の熱膨張係数の増加を防止する点から0.40質量であり、0.30質量%が好ましく、0.20質量%が特に好ましい。
Mn:0.01〜0.80質量%
Mnは、脱酸元素としてFe基合金に配合される。確実に脱酸の効果を得る点から、Mnは0.01質量%以上配合される。一方で、Mnの配合量の上限値は、熱膨張係数の増加を防止する点から0.80質量%であり、0.60質量%が好ましく、0.40質量%が特に好ましい。
S:0.0005〜0.0050質量%
SはMnと反応してMnSを形成することで、Fe基合金に電子部品等の製造に必要な打ち抜き性等の機械的強度を付与する。打ち抜き性等の機械的強度を得る点から、Sは0.0005質量%以上配合される。一方で、Sの配合量の上限値は、粗大なMnSが形成されて表面清浄性が低下するのを防止する点から0.0050質量%であり、0.0040質量%が好ましく、0.0030質量%が特に好ましい。
Al:0.001〜0.020質量%
Alは、脱酸元素としてFe基合金に配合される。確実に脱酸の効果を得る点から、Alは0.001質量%以上配合される。一方で、Alの配合量の上限値は、粗大な介在物を形成することで、打ち抜き性等の機械的強度が低下し、また、化学研磨時の腐食生成物の付着の起点となって、結果、表面清浄性が低下してしまうことを防止する点から0.020質量%であり、0.015質量%が好ましく、0.010質量%が特に好ましい。
Ni:25.0〜45.0質量%
Niは、Fe基合金の熱膨張係数を決定する上で重要な元素である。Niの配合量の下限値は、室温(25℃)での組織を安定させて熱膨張係数の増加を防止する点から25.0質量%であり、26.0質量%が好ましく、27.0質量%が特に好ましい。一方で、Niの配合量の上限値は、低熱膨張係数を維持する点から45.0質量%であり、40.0質量%が好ましく、35.0質量%が特に好ましい。
Co:0〜22.0質量%
Coは、上記Niとの組み合わせによって、Fe基合金に低熱膨張係数を付与するために配合する元素である。従って、Coは、必須成分ではなく、必要に応じて配合すればよい。Coの配合量は、熱膨張係数の増加を防止する点から22.0質量%以下であり、5.0〜20.0質量%が好ましく、10.0〜18.0質量%が特に好ましい。
25.0質量%≦Ni+Co≦55.0質量%
NiとCoは、それぞれ、Fe基合金に低熱膨張係数を付与するために添加する元素であり、その合計値の制御は低熱膨張係数を得るために重要である。NiとCoの合計値が25.0質量%未満でも55.0質量%超でも、Fe基合金の熱膨張係数が増加する。よって、Fe基合金に低熱膨張係数を付与する点から25.0質量%≦Ni+Co≦55.0質量%であり、35.0質量%≦Ni+Co≦52.0質量%が好ましく、40.0質量%≦Ni+Co≦48.0質量%が特に好ましい。
本発明のFe基合金では、上記した各主要成分及び各副成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、特に限定されないが、例えば、P、非金属介在物などが挙げられる。また、必要に応じて、合金元素として、Cr、Mo、N、Ti、Nbなどを含んでもよい。
本発明のFe基合金の製造方法は、特に限定されず、例えば、各主要成分と各副成分とが所定の比率となるように金属屑等の原料を用意し、加熱炉で上記原料を溶解し、精錬、鋳造することで製造することができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
実施例1
高周波誘導炉を用いてマグネシア坩堝中で、大気中で溶解し、CaO−SiO−Al−MgO−F系スラグを形成して脱硫した後、鋳型に鋳込んで、下記表1に示す20kg鋼塊(インゴット)を作製した。次いで、上記インゴットを、1250℃にて熱間鍛造し、10mmの板状とした後に、硝弗酸にて酸洗し、室温(25℃)にて冷間圧延を施すことで、板厚1mmの冷間圧延板を作製した。その後、該冷間圧延板を切り出し、#240湿式研磨を施して表面に凹凸を形成したものを試験用サンプルとした。化学研磨液として、過酸化水素(10質量%)、硫酸(0.5質量%)、一水素二フッ化二アンモニウム(1.5質量%)及びフェノール(0.3質量%)を混合した混合酸水溶液を用いた。試験用サンプルを、前記化学研磨液に、25℃にて60秒浸漬して、化学研磨後の表面平滑性及び化学研磨後の表面清浄性を評価した。
なお、下記表1の各成分の配合量は、質量%であり、また、母材の主要成分として、本発明のFe基合金の熱膨張係数を決定する上で重要な元素であるNiの配合量のみを記載した。
(1)表面平滑性
上記試験用サンプルの表面に形成された凹凸が、化学研磨液によってどの程度平滑化されたかで評価した。具体的には、化学研磨液による研磨前後の凹凸の低減の程度を算術平均粗さRaの比(Ra(試験後)/Ra(試験前))から算出し、その結果を下記4段階にて評価することで、表面平滑性を評価した。なお、算術平均粗さRaの測定には、KEYENCE社製の3Dレーザー顕微鏡VK−9710を用いた。
表面平滑性極めて良好(◎):Ra(試験後)/Ra(試験前)=0.40未満
表面平滑性良好(○):Ra(試験後)/Ra(試験前)=0.40以上0.45未満
表面平滑性有り(△):Ra(試験後)/Ra(試験前)=0.45以上0.49未満
表面平滑性なし(×):Ra(試験後)/Ra(試験前)=0.49以上
(2)表面清浄性
上記試験用サンプル表面について、化学研磨後の腐食生成物の発生の程度を、光学顕微鏡(500倍)で観察し、下記4段階で評価した。
表面清浄性極めて良好(◎):腐食生成物無し
表面清浄性良好(○):若干の腐食生成物が観察
表面清浄性有り(△):ある程度の腐食性生物が観察されたが、許容できる程度
表面清浄性なし(×):おびただしく腐食性生物が観察
化学研磨後の表面平滑性と表面清浄性の結果を下記表1に示す。
Figure 0006820215
上記表1から、42質量%のNiを含むFe基合金について、0.0022≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0490にて、化学研磨後の表面平滑性と表面清浄性が得られた。特に、0.0026≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0490にて、表面清浄性を損なうことなく、表面平滑性がより向上し、0.0035≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0490にて、表面清浄性を損なうことなく、表面平滑性がさらに向上した。
また、0.0022≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0264にて、表面平滑性を損なうことなく、表面清浄性がより向上し、0.0035≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0193にて、表面清浄性、表面平滑性ともに極めて優れたFe基合金が得られた。
一方で、1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0017では表面平滑性が得られず、0.0530≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cuでは表面清浄性が得られなかった。
実施例2
鉄屑、フェロニッケル、Fe−Ni合金屑、Fe−Ni−Co合金屑などを所定の比率に調整した原料を、電気炉にて溶解した。その後、AOD(Argon Oxygen Decarburization)炉またはVOD(Vacuum Oxygen Decarburization)炉で二次精錬して、下記表2に示す種々の成分組成を有するFe基合金を調製した。その後、調製したFe基合金を連続鋳造して鋼片(スラブ)とした。次いで、上記スラブを1250℃にて熱間圧延、焼鈍、硝弗酸にて酸洗し、室温(25℃)にて冷間圧延を実施して、板厚1mmの冷間圧延板を作製した。その後、該冷間圧延板を切り出し、#240湿式研磨を施して、表面に凹凸を形成したものを試験用サンプルとした。
なお、下記表2中に示したC、Sの組成は、炭素・硫黄同時分析装置(酸素気流中燃焼−赤外線吸収法)を用いて、Au、Ag、Pd、Ptの組成は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置を用いて、それぞれ、分析した値である。また、上記以外の各組成は、蛍光X線分析を用いて分析した値である。なお、下記表2の各成分の配合量は、質量%である。
表面に凹凸を形成した試験用サンプルについて、上記実施例1と同様にして、化学研磨後の表面平滑性及び化学研磨後の表面清浄性を評価した。
表面平滑性と表面清浄性の結果を下記表2に示す。なお、表面平滑性と表面清浄性がともに「△」以上の試験用サンプルが、総合評価「○」の発明例、表面平滑性と表面清浄性のいずれかが「×」の試験用サンプルが、総合評価「×」の比較例である。
Figure 0006820215
上記表2から、主要成分の含有量が上記本発明の範囲内であり、且つ0.0021≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0497であるサンプルNo1〜28(発明例)は、化学研磨後において、表面平滑性と表面清浄性が得られた。特に、0.0026≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0497にて、表面清浄性を損なうことなく、表面平滑性がより向上し、0.0041≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0497にて、表面清浄性を損なうことなく、表面平滑性がさらに向上した。
また、0.0021≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0292にて、表面平滑性を損なうことなく、表面清浄性がより向上し、0.0041≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0197にて、表面清浄性、表面平滑性ともに極めて優れたFe基合金が得られた。
一方で、主要成分の含有量が上記本発明の範囲内であっても、1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu=0.0018(サンプルNo29)では表面平滑性が得られず、0.0508≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu(サンプルNo30〜35)では表面清浄性が得られなかった。
また、C:0.025質量%(サンプルNo36)、S:0.0052質量%(サンプルNo37)、Al:0.021質量%(サンプルNo38)では、いずれも、表面清浄性が得られなかった。
本発明のFe基合金は、化学研磨後の表面平滑性と表面清浄性に優れる、すなわち、優れた化学研磨性を有しているので、広汎な分野で利用可能であり、例えば、化学研磨後の表面平滑性と表面清浄性が特に要求される、リードフレーム等、電子部品用材料として、利用価値が高い。

Claims (2)

  1. C:0.001〜0.020質量%
    Si:0.01〜0.40質量%
    Mn:0.01〜0.80質量%
    S:0.0005〜0.0050質量%
    Al:0.001〜0.020質量%
    を含み、かつ
    Ni:25.0〜45.0質量%、
    Co:4.8〜22.0質量%
    i+Co≦55.0質量%
    の範囲で含み、かつ、
    Au:0.0275質量%以下
    Ag:0.0500質量%以下
    Pd:0.0500質量%以下
    Pt:0.0330質量%以下
    Cu:0.300質量%以下
    の1種または2種以上を
    0.0020≦1.8×質量%Au+質量%Ag+質量%Pd+1.5×質量%Pt+0.10×質量%Cu≦0.0500
    の範囲で含み、かつ
    残部がFeおよび不可避的不純物からなるFe基合金。
  2. Al:0.001〜0.010質量%である請求項1に記載のFe基合金。
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