(本実施形態の概要)
初めに、本実施形態にて開示する技術の概要について説明する。
本明細書により開示される電源装置は、開口部を有する筐体と、前記筐体内の空間を前記開口部に近い手前側空間と前記開口部から遠い奥側空間とに仕切る仕切壁と、前記仕切壁における前記手前側空間側の面に設けられる第1電気部品と、前記奥側空間に収容され前記仕切壁と対向配置される対向壁と、前記対向壁における前記仕切壁側の面に設けられる第2電気部品と、を備え、前記仕切壁において前記第2電気部品と重なる箇所には、切欠部が形成されている。
仕切壁及び対向壁にそれぞれ電気部品を設けることで、第1電気部品と第2電気部品を開口部の開口方向に沿う方向に並べて配することができ、筐体内に電気部品をより効率よく配置することができる。ここで、第1電気部品は、手前側空間に配されているから、開口部を通じて容易に着脱を行うことができる。さらに、奥側空間に配されている第2電気部品は、仕切壁に形成された切欠部を通じて開口部側から容易に着脱を行うことができる。このため、第1電気部品及び第2電気部品の双方について、開口部側(一方向)からメンテナンス(電気部品の交換作業や点検作業)を容易に行うことができる。
また、前記対向壁の前記仕切壁側の面の面積は、前記切欠部の面積よりも大きいものとすることができる。切欠部の面積よりも大きい面である対向壁の仕切壁側の面に第2電気部品を配置することができ、より多くの第2電気部品を配置することができる。また、複数の第2電気部品を配置する場合には、第2電気部品同士の間隔を拡げることができる。
また、前記筐体を構成する壁部には、排気口が形成され、前記奥側空間と前記排気口の間には、前記奥側空間の空気を前記排気口から排気することが可能な冷却ファンが配されており、前記切欠部にはカバーが設けられているものとすることができる。
冷却ファンによって奥側空間内の空気を排気することができる。これにより、奥側空間に配されている第2電気部品を冷却することができる。また、切欠部にはカバーが設けられているため、冷却ファンによって生じた風が切欠部から手前側空間に漏れる事態を抑制でき、第2電気部品を効果的に冷却できるから、熱による第2電気部品の劣化の進行を抑制できる。
本明細書で開示される技術を電源装置10に適用した実施形態について図1から図18を参照して説明する。電源装置10は、図1に示すように、筐体11と、筐体11内に設けられた電気部品(詳しくは後述)と、を備える。本実施形態の電源装置10は、図15に示すように、太陽電池91及び蓄電池92に対して電気的に接続され、太陽電池91及び蓄電池92の直流電力を交流電力に変換する機能を有している。
筐体11は、図1及び図2に示すように、前側が開口された開口部11Aを有する縦長の箱形をなしており、複数枚の金属パネルを組み合わせることで構成されている。具体的には、筐体11は、底壁12と、上壁13と、一対の側壁14,14と、後壁15(図7参照)と、を有している。また、筐体11における開口部11Aの開口縁には、扉16が回動可能に取り付けられており、扉16によって開口部11Aを開閉可能となっている。なお、側壁14は、縦長の内側パネル14A(図6参照)と、内側パネル14Aを外側から覆う2枚の外側パネル14B(図2参照)によって構成されており、内側パネル14Aには、装置の組み立て作業用の切欠部14Dが形成されている。
筐体11内には、図5及び図6に示すように、水平方向に沿って延びる支持板21及び支持枠22と、上下方向に沿って延びる仕切壁30及び対向壁40とがそれぞれ配されている。支持板21は、平面視において方形状をなし、図7に示すように、底壁12に対して上下方向に間隔を空けて対向配置されている。支持枠22は、平面視において方形状をなし、支持板21に対して上下方向に間隔を空けて対向配置されている。
仕切壁30は、図4に示すように、正面視において縦長の方形状をなし、支持板21と支持枠22の間に設けられている。図7に示すように、仕切壁30によって筐体11内の空間が開口部11Aに近い手前側空間S1と、開口部11Aから遠い奥側空間S2とに仕切られている。また、図4に示すように扉16を開いた状態では、仕切壁30は、開口部11Aを通じて、その前面が露出されている。対向壁40は、図7に示すように、奥側空間S2に収容されており、仕切壁30と前後方向に距離を開けて対向配置されている。また、仕切壁30には、円形状の開口30C(図4参照)が複数箇所に形成されている。各開口30Cは、ケーブル(不図示)を通すために用いられる。
本実施形態では、上述した支持板21、支持枠22、仕切壁30、対向壁40にそれぞれ電気部品が設けられている。具体的には、図7に示すように、支持板21(支持部材)の上面によってトランス23やノイズフィルター24などの電気部品が支持されている。支持枠22の下面には冷却ファン25が設けられている。また、支持枠22の上面によって電力変換装置60(詳しくは後述)が支持されている。なお、支持板21及び支持枠22は、左右の各端部において、一対の側壁14,14(筐体11の一部)にそれぞれ取り付けられている。なお、上述したトランスは、重量部品であることから、筐体11の最下部(底壁12上)に配置されることが一般的である。
仕切壁30の前面30B(手前側空間S1側の面)には、比較的メンテナンスの頻度が高い電気部品(第1電気部品)が設けられている。具体的には、仕切壁30の前面30Bには、図4に示すように、遮断器31、ダイオード32、漏電遮断器33、電磁接触器34、タイマ35、LED36(表示灯)、ヒューズ38が設けられている。また、仕切壁30の後面には、図7に示すように、ヒートシンク37やノイズフィルター24が設けられている。
対向壁40における前面40A(仕切壁30側の面)には、仕切壁30の前面に設けられた電気部品に比べてメンテナンスの頻度が低い電気部品(第2電気部品)が設けられている。具体的には、対向壁40における前面40Aには、図8に示すように、コンデンサ41(例えばフィルムコンデンサ)、電流センサ42、分流器43、リレー44が設けられている。
また、図4及び図7に示すように、仕切壁30においてコンデンサ41と重なる箇所には、切欠部30Aが形成されている。切欠部30Aは、正面視において横長の方形状をなし、対向壁40の上部と重なる形で配されている。対向壁40における前面40A(対向壁40における仕切壁30側の面)の面積は、切欠部30Aの開口面積よりも大きい値で設定されている。また、切欠部30Aの開口面積は、例えば、作業者が手を通過させることが可能な大きさで設定されている。切欠部30Aには、これを前側から覆う形でカバー39(図4では2点鎖線で示す)が設けられている。カバー39は切欠部30Aの形状に倣う横長の板状をなし、例えば、ネジ止めなどによって仕切壁30に対して脱着可能に固定されている。カバー39は、例えばアクリル樹脂などの光透過性を有する材質とされるが、材質はこれに限定されない。
本実施形態において各電気部品の配置は、メンテナンスの頻度を考慮して設定されている。メンテナンスの頻度が比較的高い電気部品は、開口部11Aを通じて前側に露出されており、電気部品の着脱を容易に行うことが可能となっている。具体的には、電力変換装置60、冷却ファン25、及び仕切壁30の前面に設けられた各電気部品は、比較的メンテナンスの頻度が高い部品である。また、対向壁40における前面に設けられた各電気部品は、比較的メンテナンスの頻度が低い部品である。なお、例えば、物理的に動作する機械部品が内蔵された電気部品(本実施形態では、遮断器31、漏電遮断器33、電磁接触器34、タイマ35、ヒューズ38など)については、一般的にメンテナンスの頻度が高く設定される。
また、支持板21の上面に載置された部品及び仕切壁30の後面に設けられた部品については、メンテメンスが殆ど必要ないと想定される部品である。なお、図2に示すように、電力変換装置60、冷却ファン25、及び仕切壁30の前面は、3枚の前面パネル17A,17B,17Cによって覆われている。前面パネル17A,17B,17Cはネジ止めなどによって筐体11に固定されており、メンテナンス作業を行う際には、前面パネル17A,17B,17Cを容易に取り外すことができる。
本実施形態では、図7に示すように、外部機器(太陽電池91や交流側機器)との接続を行うための配線ケーブル51が各遮断器31の端子から下方に引き出されている。つまり、遮断器31は、筐体11内において支持板21よりも上方に配されると共に配線ケーブル51が接続されるケーブル接続部である。支持板21と底壁12の間(支持板21の下方)には、配線ケーブル51の一部を収容することが可能な収容空間S4(第2収容空間)が設けられている。つまり、収容空間S4は、底壁12によって構成されており、筐体11の最下部に配されている。底壁12には、図3に示すように、配線ケーブル51を筐体11の内外に挿通することが可能な底壁側挿通口12Aが形成されている。底壁側挿通口12Aは、図7に示すように、底壁12において遮断器31の直下に配されており、収容空間S4と連通されている。
また、図6及び図7に示すように、後壁15は、扉16に平行となる形で配され、対向壁40と後壁15の間には、上下方向に延びる配線ダクト52が設けられている。つまり、配線ダクト52は、手前側空間S1(ひいては遮断器31)に対して、後壁15に近い側に配されている。配線ダクト52は、遮断器31に対して前後方向(水平方向)について支持板21を挟む形で配される。配線ダクト52の内部空間は上下方向に延びており、配線ケーブル51を収容可能な収容空間S3(第1収容空間)とされる。上壁13において、配線ダクト52の上方となる箇所には、図6に示すように、配線ケーブル51を筐体11の内外に挿通することが可能な上壁側挿通口13Aが形成されている。収容空間S3は、上下方向に長い長手状をなし、その上部において上壁側挿通口13Aと連通され、その下部において収容空間S4と連通されている。
配線ダクト52は、例えば、四角筒形状をなすが、これに限定されず例えば円筒形状でもよい。また、配線ダクト52の側面には開口はなく、配線ケーブル51を通す際に引っ掛かるようなことがなく、通しやすい。配線ダクト52の材質は例えば、樹脂製であり、絶縁性を有しているため、配線ケーブル51を通した際に短絡防止の観点から好ましい。また、図6に示すように、支持板21には、配線ダクト52が嵌合される切欠部21Aが形成されている。また、収容空間S4は、図7に示すように、開口部11Aと連通されている。なお、収容空間S4は、例えば、作業者が開口部11A側から手を差し入れることが可能な大きさで設定されている。
また、収容空間S4は、配線ダクト52の下端よりも下方となる箇所に配されると共に遮断器31が収容される手前側空間S1と連通する形で設けられている。つまり、遮断器31(ケーブル接続部)は、収容空間S4よりも上方に配されている。なお、収容空間S4の高さは、例えば、250mmとされ、幅は、例えば、400mmとされるが、これに限定されない。収容空間S4の高さは、例えば、200mm〜500mmの範囲内で設定すると配線ケーブル51の配線作業のし易さなどの観点からより好ましい。
また、配線ケーブル51の種類は、接続機器によって適宜選択される。例えば、太陽電池91の入力に係る配線ケーブルとしては、14sq、WL1のケーブルが用いられ、蓄電池92及び交流の入出力に係る配線ケーブルとしては、22sq、WL1のケーブルが用いられ、交流系統93(図15参照)の入出力に係る配線ケーブルとしては、60sq、WL1のケーブルが用いられるが、配線ケーブルの種類は、これに限定されない。
また、図4に示すように、筐体11における右側の側壁14の上部には、蓄電池92と接続される端子19が設けられている。これに対して、図2に示すように、上壁側挿通口13Aは、上壁13における左側の端部に配されている。つまり、上壁側挿通口13Aは、蓄電池92から遠い側に配されている。これにより、上壁側挿通口13Aに配線ケーブル51を通す作業を行う際に、作業者は蓄電池92から遠い側から作業を行うことができ、作業性をより高くすることができる。
本実施形態では、配線ケーブル51を底壁側挿通口12A又は上壁側挿通口13Aのうち、いずれか一方から選択的に引き出すことが可能となっている。なお、図2に示すように、底壁側挿通口12Aを使用しない場合には、底壁側挿通口12Aは、閉塞部材12Bによって塞がれており、上壁側挿通口13Aを使用しない場合には、上壁側挿通口13Aは、閉塞部材13Cによって塞がれている。
なお、配線ケーブル51を上壁側挿通口13Aを通じて遮断器31に接続する際には、例えば、配線ケーブル51を上壁側挿通口13Aから筐体11内に差し入れる。この場合には、作業者は、配線ケーブル51の一端部を配線ダクト52の収容空間S3内において下方に変位させた後、収容空間S4内に露出した配線ケーブル51の一端部を開口部11Aを通じて把持し、前側に引っ張るようにする。これにより、配線ケーブル51の一端部を遮断器31の下方まで移動させた後、遮断器31に接続する。また、図4及び図7に示すように、収容空間S4において遮断器31の下方には、配線ケーブル51を固定するための長手板状の固定部53が設けられている。なお、配線ケーブル51は、固定部53に対して、例えば、クリップや結束バンドなどの固定具を介して固定される。固定部53には、その長手方向に沿って複数の取付孔53A(図4参照)が形成され、固定具は取付孔53Aに固定される。なお、固定部53が遮断器31の上方に配されていてもよい。なお、配線ケーブル51は、上壁側挿通口13Aから遮断器31までの間の区間で、図7に示すように、2箇所で屈曲されている(図7の屈曲部51A,51B参照)。
また、本実施形態では、配線ダクト52を対向壁40の奥側(開口部11Aから遠い側)に配置することで、対向壁40、仕切壁30、支持板21に配される電気部品のメンテナンスを妨げないようにした。しかしながら、配線ダクト52を奥側に配置すると配線ケーブル51を配線ダクト52の下方から遮断器31側(手前側)まで引き出す必要が生じる。そこで、支持板21と底壁12の間に収容空間S4を設け、収容空間S4内に配線ダクト52を通すことができるようにした。
図1及び図7に示すように扉16には、収容空間S4と重なる形で吸気孔16Aが形成されている。また、前面パネル17Cには、収容空間S4と重なる形で吸気孔17Dが形成されている。図6に示すように、支持板21には通気孔21Bが形成されている。そして、図2に示すように、筐体11の上壁13(筐体11を構成する壁部)には、排気口13Bが形成されている。冷却ファン25は、図7に示すように、電力変換装置60の下方、言い換えると奥側空間S2と排気口13Bの間に配されている。つまり、冷却ファン25は奥側空間S2に配された電気部品(トランス23を含む)の上方に配されている。これにより、冷却ファン25が駆動することで、吸気孔16Aから吸い込んだ空気は、収容空間S4、通気孔21B、奥側空間S2、電力変換装置60の内部(詳しくは後述)を経由して、排気口13Bから排気される。
図15に示すように、本実施形態の電源装置10は、直流側に太陽電池91及び蓄電池92が接続され、例えば、交流側に交流系統93、特定負荷95が接続されている。電源装置10は、太陽電池91及び蓄電池92の直流電力を交流電力に変換し、一般負荷94及び特定負荷95に供給する機能を有している。なお、一般負荷94は電源装置10の外部で交流系統93に接続されている負荷であり、特定負荷95は電源装置10から直接電力供給される負荷である。また、電源装置10は、交流系統93の交流電力を直流電力に変換し、蓄電池92に出力することで、蓄電池92を充電する機能を有している。
次に本実施形態の電力変換装置60の構成について説明する。電力変換装置60は、図5に示すように、コンデンサユニット61と、一対の電力変換ユニット62L,62Rとを備える。なお、電力変換ユニット62R及び電力変換ユニット62Lは同じ構成であり、互いに上下反転した姿勢で配置されている点が相違している。
図15に示すように、電力変換ユニット62L及び電力変換ユニット62Rは、それぞれ4つの半導体モジュール63と、リアクトル64と、ドライブ基板65と、を備える。半導体モジュール63は、図16に示すように、上アーム及び下アームを構成する一対の半導体素子66,66を備える。また、半導体素子66(スイッチング素子)には還流ダイオードとしてダイオード67が逆並列接続されている。なお、以下の説明では、電力変換ユニット62Lが備えるリアクトル64に符号64Lを付け、電力変換ユニット62Rが備えるリアクトル64に符号64Rを付けて区別する場合がある。
半導体モジュール63は、ドライブ基板65と接続される制御端子63Dを備える。半導体モジュール63の各半導体素子66は、電源装置10が備える制御基板18からの制御指令によって、ドライブ基板65を介して、それぞれ駆動制御される。なお、半導体素子66としては、例えば、SiC素子を用いることができるが、これに限定されず、例えばIGBTを用いてもよい。
また、電力変換装置60は、太陽電池91と接続される一対の端子91A,91Bと、蓄電池92と接続される一対の端子92A,92Bとを備える。本実施形態では、電力変換ユニット62Lにおける2つの半導体モジュール63が一対のリアクトル64L,64Lを介して太陽電池91の正極側と電気的に接続されている。これにより、電力変換ユニット62Lにおける2つの半導体モジュール63及び一対のリアクトル64L,64Lによって、太陽電池91の電圧を昇圧する直流電力変換器71Lが構成されている。なお、太陽電池91、蓄電池92、交流側U相、交流側V相の各々と接続される一対のリアクトル64,64は、それぞれ並列接続されている。
また、電力変換ユニット62Rにおける2つの半導体モジュール63が電力変換ユニット62Rにおける一対のリアクトル64R,64Rを介して蓄電池92の正極側と電気的に接続されている。これにより、電力変換ユニット62R側の2つの半導体モジュール63及び電力変換ユニット62R側の一対のリアクトル64R,64Rによって、蓄電池92の電圧を昇圧する直流電力変換器71Rが構成されている。なお、この直流電力変換器71Rは蓄電池92を充電する際には、降圧器として動作する。また、上述した対向壁40、仕切壁30、支持板21に配される各電気部品は、電力変換装置60の直流側及び交流側にそれぞれ適宜配置されている。また、電力変換装置60と太陽電池91の間には、逆流防止用のダイオード(図示せず)が介在されている。
コンデンサユニット61は、4つのコンデンサ73を備える。4つのコンデンサ73は、直流電力変換器71L又は直流電力変換器71Rによって昇圧された直流電圧を平滑化する機能を有する。また、電力変換ユニット62Lの2つの半導体モジュール63(符号72L)、及び電力変換ユニット62Rの2つの半導体モジュール63(符号72R)は、直流交流電力変換器72Aを構成する。直流交流電力変換器72Aは、例えばコンデンサ73によって平滑化された太陽電池91又は蓄電池92の直流電圧をスイッチング動作によって単相の交流電圧に変換する機能を有する。また、直流交流電力変換器72Aは、蓄電池92を充電する際には、単相の交流電圧を直流電圧に変換する動作を行う。
なお、電力変換ユニット62L側の直流交流電力変換器72Aを構成する2つの半導体モジュール63(72L)の端子63Cには、電力変換ユニット62Lが備える一対のリアクトル64L,64Lが接続されている。また、電力変換ユニット62R側の直流交流電力変換器72Aを構成する2つの半導体モジュール63(72R)の端子63C(交流側端子)には、電力変換ユニット62Rが備える一対のリアクトル64R,64Rが接続されている。また、交流側のリアクトル64Rは、交流側機器のU相と接続される端子96Aを備え、交流側のリアクトル64Lは、交流側機器のV相と接続される端子96Bを備えている。
なお、本実施形態の各リアクトル64は、電力変換時に発生する高調波電流やリプル電流を抑制して電流を平滑する機能を有する。
また、図16には、半導体モジュール63におけるリアクトル64との接続部に符号87L,88L,87R,88Rを付してある。具体的には、図16に示す半導体モジュール63の接続部87L(太陽電池91側の直流入力部)に太陽電池91側の一対のリアクトル64L,64Lが接続され、半導体モジュール63の接続部87R(蓄電池92側の直流入出力部)に蓄電池92側の一対のリアクトル64R,64Rが接続されている。また、半導体モジュール63の接続部88L(V相側の交流入出力部88L)にV相側の一対のリアクトル64L,64Lが接続され、半導体モジュール63の接続部88R(U相側の交流入出力部88R)にU相側の一対のリアクトル64R,64Rが接続されている。
なお、各接続部87L,88L,87R,88Rは、例えば、金属バーなどの導電部材によって形成されている(図9参照)。
図9に示すように、一対の電力変換ユニット62L,62Rは、コンデンサユニット61を左右から挟む形で配されている。電力変換ユニット62L(又は電力変換ユニット62R)は、図13、図14に示すように、概略直方体形状をなすケース68を備える。図14に示すように、ケース68の前側(図14では左側)には、ドライブ基板65が設けられている。半導体モジュール63は、ドライブ基板65におけるケース68側の面に実装されている。4つの半導体モジュール63は、上下方向に沿って等間隔で配列されている。また、リアクトル64は、ケース68内に収容されている。なお、図14ではケース68における右側の側壁を図示省略してある。
ケース68内において、半導体モジュール63側の端部には、ヒートシンク69が設けられている。ヒートシンク69は半導体モジュール63に対して当接されている。また、図13に示すように、ケース68における上壁部には開口部68Aが形成されている。なお、ケース68における下壁部にも、同様に開口部68Aが形成されている。これにより、上述した冷却ファン25の駆動によって生じた風がケース68内を通過することで、リアクトル64及びヒートシンク69(ひいては半導体モジュール63)が冷却される構成となっている。
コンデンサユニット61は、図10に示すように、略直方体形状のケース70と、4つのコンデンサ73と、一対の板状導電部材81,82と、を備える。コンデンサ73は、例えば電解コンデンサとされ、ケース70内において上下方向に等間隔で4つ配列されている。言い換えると、コンデンサ73は、一対の板状導電部材81,82の面方向に沿って複数配列されている。また、上述した複数の半導体モジュール63は、複数のコンデンサ73の配列方向に沿って配列されている。図16及び図17に示すように、コンデンサユニット61においては、直列接続された一対のコンデンサ73,73を2組備え、一対のコンデンサ73,73が半導体モジュール63に対して並列接続されている。
コンデンサ73は、図11に示すように、前後方向に長い円柱状をなすコンデンサ本体74と、コンデンサ本体74における前面74A(一対の板状導電部材側の面)に設けられた一対の電極端子75,76と、を備える。また、ケース70における上壁部及び下壁部には、図10に示すように、開口部70Aがそれぞれ形成されている。これにより、上述した冷却ファン25の駆動によって生じた風がケース70内を通過することで、コンデンサ73が冷却される。また、ケース70における左右の側壁部には、開口部70Bがそれぞれ形成されており、放熱性の向上及び軽量化を図ることができる。なお、電極端子75,76は、例えば、ネジ端子とされるが、これに限定されない。
一対の板状導電部材81,82は、例えば銅板とされ、互いに対向配置されている。一対の板状導電部材81,82は、複数の半導体モジュール63の各々とコンデンサ73とを電気的に接続する。具体的には、図17に示すように、板状導電部材81(一対の板状導電部材のうち一方の板状導電部材)は、複数の半導体モジュール63における上アーム側の各正極端子63A(第1共通電位となる各第1電極端子)と、コンデンサ73における正極側の電極端子75(一対の電極端子のうち一方の電極端子)とを電気的に接続する。より具体的には、直列接続された一対のコンデンサ73,73のうち高電位側のコンデンサ73の電極端子75に対して、板状導電部材81が接続されている。
図12に示すように、板状導電部材81(正極側共通接続部材)は、上下方向に長い板状の本体部81Aと、本体部81Aの幅方向における両側端部に複数形成された端子部81Bと、を有している。左側の各端子部81Bは、図9に示すように、電力変換ユニット62Lの各半導体モジュール63における正極端子63A(図17も参照)と接続される。右側の各端子部81Bは、電力変換ユニット62Rの各半導体モジュール63における正極端子63Aと接続される。
板状導電部材82(一対の板状導電部材のうち他方の板状導電部材)は、図9及び図17に示すように、複数の半導体モジュール63における各負極端子63B(第2共通電位となる各第2電極端子)と、コンデンサ73における負極側の電極端子76(一対の電極端子のうち他方の電極端子)とを電気的に接続する。より具体的には、直列接続された一対のコンデンサ73,73のうち低電位側のコンデンサ73の電極端子76に対して、板状導電部材82の電極端子76側の面が接続されている。なお、本実施形態では、直列接続された一対のコンデンサ73,73を一単位としたが、これに限定されない。例えば、一つのコンデンサ73の電極端子75,76に対して、板状導電部材81,82がそれぞれ接続されていてもよい。
図9に示すように、板状導電部材82(負極側共通接続部材)は、上下方向に長い板状の本体部82Aと、本体部82Aの幅方向における両側端部に複数形成された端子部82Bと、を有している。左側の各端子部82Bは、電力変換ユニット62Lの各半導体モジュール63における負極端子63B(図17も参照)と接続される。右側の各端子部82Bは、電力変換ユニット62Rの各半導体モジュール63における負極端子63Bと接続される。各端子部82Bは、本体部82Aから、半導体モジュール63側に向かって延びる形状をなしている。また、板状導電部材82は、コンデンサ73の電極端子76と接続される端子部82Cを有している。各端子部82Cは、本体部82Aから、コンデンサ73側に向かって延びる形状をなしている。
そして、図11に示すように、コンデンサ本体74における前面74Aと一対の板状導電部材81,82とは前後方向(図11の左右方向)について積層されている。具体的には、板状導電部材81は、絶縁性の支持部材83を介してケース70に対して間隔を空けて固定されており、板状導電部材82は、絶縁性の支持部材84を介して板状導電部材81に対して間隔を空けて固定されている。
なお、各半導体モジュール63の各電極端子63A,63Bは、その接続面が同一平面上となるように配置されている。また、図10、図11に示されるように、電極端子63A,63Bに接続可能となるように、板状導電部材81,82の各端子部81B,82Bは各接続面が組み立て状態において同一平面上になるように配されている。そして、一対の電力変換ユニット62L,62R及びコンデンサユニット61を筐体11内に固定した状態では、各端子部81B,82B、及び各電極端子63A,63Bの各接続面が、同一平面上に配されるように、一対の電力変換ユニット62L,62R及びコンデンサユニット61の各固定位置が設定されている。なお、各ユニット62L,62R、61を固定した状態において、各端子部81B,82Bの各接続面と各電極端子63A,63Bの各接続面との間に若干のクリアランスが設定されていてもよい。
また、図10及び図17に示すように、直列接続された一対のコンデンサ73,73同士は例えば銅板製の導電部材85によって電気的に接続されている。また、板状導電部材81の本体部81A及び板状導電部材82の本体部82Aには、導電部材85を配置するための切欠部86がそれぞれ形成されている。また、板状導電部材82の下部には、太陽電池91の負極側とケーブルを介して接続される端子91Bと、蓄電池92の負極側とケーブルを介して接続される端子92Bが設けられている(図9参照)。
図9に示すように、本体部81Aの左側に配される各端子部81Bと、右側に配される各端子部81Bとは、上下方向(高さ方向、半導体モジュールの配列方向)に位置がずれている。また、本体部82Aの左側に配される各端子部82Bと、右側に配される各端子部82Bとは、上下方向に位置がずれている。そして、左側の各端子部81Bと右側の各端子部82Bは、それぞれ同じ高さに配され、左側の各端子部82Bと右側の各端子部81Bは、それぞれ同じ高さに配されている。また、同じ高さに配される端子部81Bと端子部82Bとは左右対称な形状をなしている。つまり、本体部81A,82Aの左右の各々では、一対の端子部81B,82Bが、4組上下方向に配列されているが、一対の端子部81B,82Bにおける上下の並び順(極性の配置順)は、左右の列で逆になっている。
これに対して、本実施形態の電力変換ユニット(62R又は62L)の各半導体モジュール63における各一対の端子63A,端子63Bの配置態様は、次のようになっている。仮に電力変換ユニットを前後方向を軸として180度回転させた(上下反転させた)場合においては、回転前の電力変換ユニットの各正極端子63Aと回転後の電力変換ユニットの各負極端子63Bが同じ高さに配され、回転前の電力変換ユニットの各負極端子63Bと回転後の電力変換ユニットの各正極端子63Aが同じ高さに配される構成となっている。
これにより、本実施形態では、同じ構成の2つの電力変換ユニットのうち、一方(電力変換ユニット62L)を板状導電部材81,82の左側に接続し、他方(電力変換ユニット62R)を一方に対して上下反転させた姿勢とし、板状導電部材81,82の右側に接続した場合において、一方及び他方の各々について、各端子部81Bに半導体モジュール63の各正極端子63Aを接続し、各端子部82Bに半導体モジュール63における各負極端子63Bを接続することができる。つまり、本実施形態では、同じ構成の2つの電力変換ユニットを用いることができる。
また、図9に示すように、半導体モジュール63は、左右方向に延びる長方形状をなしており、図14に示すように、前後方向(図14の左右方向)の大きさが比較的小さくなるように配されている。上下方向に配列された4つの半導体モジュール63は、板状導電部材81,82の側端部に隣接する形で配列されている。
次に、電力変換ユニットにおけるケース68の構成及びケース68内におけるリアクトル64の配置態様について説明する。電力変換ユニット62R,62Lは同じ構成であるため、ここでは、電力変換ユニット62Rについて説明する。図13及び図14に示すように、電力変換ユニット62Rを構成するケース68は、下壁部68Bと、上壁部68Cと、後壁部68Eと、後壁部68Eと対向配置される対向壁部68Dと、一対の側壁部68L,68Lを備える。
下壁部68Bは、支持枠22に支持されており、下壁部68Bの後端部68Kは、支持枠22に形成された係止爪22Aが係止する構成となっている。後壁部68E(取付壁)は、上下方向に延び、前側の面は、2つのリアクトル64が上下方向に沿って並ぶ形で取り付けられる取付面68Fとなっている。対向壁部68Dにおける後側の面には、2つのリアクトル64が上下方向に沿って並ぶ形で取り付けられている。これにより、ケース68内における4つのリアクトル64は、上下方向に沿って並ぶ2つのリアクトル64からなる列が、前後方向に2列並ぶように配置されている。また、リアクトル64が取り付けられる各取付面(取付面68F及び対向壁部68Dにおける後側の面)は、上下方向に沿う面である。
そして、前後方向について隣り合う2つの列のリアクトル64については、上下方向における位置(高さ位置)が互いにずれている。また、対向壁部68Dは、上下方向に沿って延び、下壁部68B及び上壁部68Cにそれぞれ接続されている。これにより、ケース68内の空間は、対向壁部68Dによって、ヒートシンク69の収容空間とリアクトル64の収容空間に仕切られている。
図14に示すように、冷却ファン25は、下壁部68Bの下方に配されている。これにより、冷却ファン25が駆動することで、4つのリアクトル64及びヒートシンク69に向けて送風可能な構成となっている。つまり、上下方向(第1方向)は、冷却ファン25の送風方向に沿う方向であり、前後方向(第2方向、図14の左右方向)は、送風方向と直交する方向である。
リアクトル64は、図13及び図14に示すように、一対のコイル64A,64Aを備える。一対のコイル64A,64Aは、図13に示すように、左右方向(図14では紙面貫通方向、送風方向と直交する方向の一例)に並ぶ形で配されている。また、各コイル64Aを構成する巻線の軸方向は、上下方向に沿う方向と一致している。コイル64Aからは、導線64Bが延びている。この導線64Bは、コイル64Aを構成する導線(巻線)と一体的に設けられている。上下方向に並ぶ2列のリアクトル64は、前後方向に間隔を空けて配されている。つまり、前後方向に並ぶ2列のコイル64の間には空間S6が形成されている。導線64Bは、コイル64A(螺旋状をなし、コア部に巻回された部分)から空間S6側に延びている。
つまり、各リアクトル64における導線64Bの少なくとも一部は、2列のコイル64A,64Aの間の空間S6に配されている。また、導線64Bの延設端(コイル64Aから遠い側の端部)には、端子64Cが設けられている。なお、端子64Cは、太陽電池91側、蓄電池92側、半導体モジュール63、交流側機器のU相側、交流側機器のV相側のいずれかに接続される端子である。コイル64Aから引き出された導線64Bは、空間S6側に引き出された後、屈曲され、側壁部68Lに形成された切欠部68Jを通じてケース68外に引き出されている。また、図18に示すように、コイル64Aからは、一対の導線64Bが延びており、一方のコイル64Aの上端から延びる導線64Bと、他方のコイル64Aの下端から延びる導線64Bに共通の端子64Cが設けられている。なお、図18は、奥側のリアクトル64を手前側から見た図である。なお、リアクトル64のコア部は図示省略してある。
また、図14に示すように、冷却ファン25の後端部25Aは、後壁部68Eに対して、前側(図14の左側)に配されている。後壁部68Eの下端部(冷却ファン側の端部)は、後壁部68Eに対して傾斜する傾斜壁部68Gとされる。傾斜壁部68Gにおける前側の面は、取付面68Fに対して傾斜する傾斜面68Hとされ、この傾斜面68Hは、下側に向かうにつれて前側に向かうように傾斜している。言い換えると、傾斜面68Hは、冷却ファン25から遠ざかるにつれて、取付面68Fに近づくように傾斜している。また、ケース68は、上下対称な形状をなしており、後壁部68Eの上端部は、上側に向かうにつれて前側に向かう傾斜壁部68Mとなっている。この傾斜壁部68Mによって、冷却ファン25による冷却風を、上壁部68Cの開口部68A(排出孔、図13参照)までスムーズに導くことができる。
次に本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、一対の電極端子75,76がコンデンサ本体74における前面74Aに設けられている。仮にコンデンサ本体74の前後両面に電極端子がそれぞれ形成されている場合には、一方の板状導電部材をコンデンサ本体74の前面に配し、他方の板状導電部材をコンデンサ本体74の後面に配する必要がある。この場合、後面に配された板状導電部材は、コンデンサ本体74の側方を通って、半導体モジュール63側(前側)に延ばす必要がある。つまり、板状導電部材をコンデンサ本体74の側方に配する必要がある。
これに対して、本実施形態では、コンデンサ73の一対の電極端子75,76をコンデンサ本体74における前面74Aに設けると共に、コンデンサ本体74の前面74Aと一対の板状導電部材81,82とを積層することで、コンデンサ本体74の側方に板状導電部材が配される事態を抑制できる。このため、コンデンサ本体74の側方(本実施形態では左右両側)に板状導電部材を配置するためのスペースを確保する必要がなく、小型化を図ることができる。言い換えると、コンデンサ本体74と一対の板状導電部材81,82とを前後方向に積層することで、板状導電部材がコンデンサ本体74の側方に配される構成と比べて、コンデンサユニット61の左右方向の長さをより小さくすることができる。
また、コンデンサ73の一対の電極端子75,76をコンデンサ本体74における前面74A(一対の板状導電部材側の面)に設けると共に、コンデンサ本体74の前面74Aと一対の板状導電部材81,82とを積層する構成とすれば、コンデンサ73と一対の板状導電部材81,82の接続に係るメンテナンス作業については、コンデンサ本体74における前面側(即ち筐体11の開口部11A側)から全て行うことができる。このため、メンテナンス性をより高くすることができる。
また、複数の半導体モジュール63によって構成された一対の電力変換ユニット62L,62Rがコンデンサユニット61を挟む形で設けられている。一対の電力変換ユニット62L,62Rを備えることで、より多くの電力を変換することができる。また、一対の電力変換ユニット62L,62Rでコンデンサユニット61を挟むことで、コンデンサユニット61の一方側に一対の電力変換ユニット62L,62Rが配される構成と比べて、一対の電力変換ユニット62L,62Rの各々についてコンデンサユニット61までの距離(配線距離)をより均等に近づけることができる。
一対の電力変換ユニット62L,62Rの各々とコンデンサユニット61までの配線距離を均等に近づけることで、各配線における寄生インダクタンスをより均等に近づけることができ、各半導体モジュール63に加わるサージ電圧のばらつきをより小さくすることができる。これにより、特定の半導体モジュール63に過大なサージ電圧が印加される事態を抑制することができ、比較的耐圧が低い半導体モジュール63を用いることができる。また、各半導体モジュール63に加わるサージ電圧が均等化されることで、設計段階において保護部品の検討や電源装置10の性能評価を容易に行うことができる。また、一対の電力変換ユニット62L,62Rは、互いに同じ構成であるから、部品の共通化を図ることができる。
また、コンデンサ73は、一対の板状導電部材81,82の面方向に沿って複数配列されることでコンデンサユニット61を構成し、複数の半導体モジュール63は、複数のコンデンサ73の配列方向に沿って配列されている。複数のコンデンサ73を備えることで、容量をより大きくすることができる。複数の半導体モジュール63と複数のコンデンサ73の配列方向を揃えることで、各半導体モジュール63とコンデンサユニット61との全体的な配線経路長(即ち配線抵抗)をより均等に近づけることができる。
また、上記実施形態では、4つのコンデンサ73が2直列2並列で接続されている。2直列で接続することで定格電圧のより低いコンデンサを使用することができ、2並列によって容量を確保することができる。また、図16に示すように、4つのコンデンサ73においては、直列接続された2つのコンデンサ73の中間部同士が接続されている。これにより、2つの中間部が同電位となる。この結果、コンデンサ73の故障検知を行う際には、同電位となっている一か所(中間部)の電位を測定すればよいから、故障検知に係る回路を一つ設けるだけでよい。また、直列接続された2つのコンデンサ73の中間部同士を接続すれば、4つのコンデンサ73において直列の経路をより多く(本実施形態では、4つ)することができ、電気的な信頼性をより高くすることができる。
また、本実施形態では、一対の板状導電部材81,82によって半導体モジュール63と、コンデンサ73とを繋ぐ導電路が構成され、一対の板状導電部材81,82が積層されている。つまり、半導体モジュール63の正極端子63Aに接続される正極側導電路と、半導体モジュール63の負極端子63Bに接続される負極側導電路とが積層されている。仮に、正極側導電路及び負極側導電路が同一平面上にある場合には、両導電路が互いに干渉しないように両導電路を設計する必要がある。この点、本実施形態では、正極側導電路及び負極側導電路が同一平面上にないから、正極側導電路及び負極側導電路をそれぞれ最短経路に近い形で設けることができ、サージ電圧を低減することができる。
また、仕切壁30においてコンデンサ41と重なる箇所には、切欠部30Aが形成されている。仕切壁30及び対向壁40にそれぞれ電気部品を取り付けることで、電気部品を前後方向(開口部11Aの開口方向に沿う方向)に並べて配することができ、筐体11内に電気部品をより効率よく配置することができる。ここで、手前側空間S1に配されている電気部品は、開口部11Aを通じて容易に着脱を行うことができる。さらに、奥側空間S2に配されている電気部品は、仕切壁30に形成された切欠部30Aを通じて開口部11A側から容易に着脱を行うことができる。このため、手前側空間S1及び奥側空間S2に配された各電気部品について、開口部11A側(前方)からメンテナンス(電気部品の交換作業や点検作業)を容易に行うことができる。
なお、本実施形態では、コンデンサユニット61、電力変換ユニット62L,62Rは、開口部11Aを通じて出し入れが可能な構成となっている。これにより、コンデンサユニット61、電力変換ユニット62L,62Rを構成する電気部品についてもメンテナンスを容易に行うことができる。また、本実施形態では、複数の半導体モジュール63、複数のコンデンサ73、複数のリアクトル64はそれぞれユニット構造をなしており、それぞれ個別に脱着することが可能となっている。
なお、コンデンサユニット61及び電力変換ユニット62L,62Rを取り外す際には、例えば、次のようにする。まず、半導体モジュール63とコンデンサユニット61との接続(端子部81B、82B)を解除した後、コンデンサユニット61を取り外す。これにより、電力変換ユニット62L,62Rの間に空間が生じ、各リアクトル64の端子64Cに係る接続ケーブル外し作業を前方から行うことができる。続いて、各半導体モジュール63におけるリアクトル64への接続ケーブルの接続(接続部87L、88L、87R、88R)を解除することで、電力変換ユニット62L、62R(複数の半導体モジュール63及び複数のリアクトル64)を取り外すことができる。なお、本実施形態では、半導体モジュール63及びドライブ基板65はヒートシンク69に固定されてサブ組立品になっており、このサブ組立品のみを前方に取り出すことも可能になっている。また、本実施形態では、コンデンサ73、半導体モジュール63、リアクトル64、板状導電部材81,82の各部品間の接続は、例えば、ネジ締結によって行われているが、これに限定されない。
また、対向壁40の前面40Aの面積は、切欠部30Aの面積よりも大きいものとされる。切欠部30Aの面積よりも大きい面である対向壁40の前面40Aに電気部品を配置することができ、より多くの電気部品を配置することができる。また、複数の電気部品を配置する場合には、電気部品同士の間隔を拡げることができる。
また、筐体11の上壁13には、排気口13Bが形成され、奥側空間S2と排気口13Bの間には、奥側空間S2の空気を排気口13Bから排気することが可能な冷却ファン25が配されており、切欠部30Aにはカバー39が設けられている。
冷却ファン25によって奥側空間S2内の空気を排気することができる。これにより、奥側空間S2に配されている電気部品を冷却することができる。また、切欠部30Aにはカバー39が設けられているため、冷却ファン25によって生じた風が切欠部30Aから手前側空間S1に漏れる事態を抑制でき、電気部品を効果的に冷却できるから、熱による電気部品の劣化の進行を抑制できる。なお、仕切壁30に設けられている各開口30Cは、ケーブルによって大部分が塞がれるため冷却ファン25によって生じた風が開口30Cから手前側空間S1に漏れる程度は小さい。なお、ケーブルを通さない開口30Cはカバーで塞いでもよい。
また、本実施形態では、配線ケーブル51を、上壁側挿通口13A及び収容空間S3によって上下方向に配線することができ、収容空間S4において配線ケーブル51の一部を曲げることで遮断器31に向かわせることができる。また、収容空間S4は、配線ダクト52の下方にあることから、筐体11の下方から引き入れた配線ケーブル51を収容空間S4を通じて遮断器31に向かわせることも可能となる。これにより、配線の自由度を高くすることができる。
また、筐体11には電気部品を支持する支持板21が取り付けられ、支持板21の下方に収容空間S4が形成されている。電気部品を支持板21の上方に配置することで、収容空間S4の大きさを十分に確保することができる。
また、筐体11が有する開口部11Aを開閉可能な扉16を備え、収容空間S4は、開口部11Aと連通されている。このような構成とすれば、扉16を開いた状態において、開口部11Aを通じて収容空間S4に配された配線ケーブル51が露出される。これにより、作業者は、収容空間S4内の配線ケーブル51に対して容易に配線作業を行うことができる。
また、筐体11は、扉16に平行な後壁15を有し、配線ダクト52は、遮断器31に対して、後壁15に近い側に配されている。配線ダクト52を遮断器31に対して後壁15に近い側に配することで、筐体11内において手前側(扉16に近い側)の空間を比較的自由に用いることができ、開口部11Aを通じてアクセスすることが好ましい部品(例えばメンテナンスが必要な部品や作業者の操作が必要とされる部品)の配置の自由度をより高くすることができる。
また、筐体11内において遮断器31の下方には、配線ケーブル51を固定することが可能な固定部53が配されている。固定部53に配線ケーブル51を固定することで、遮断器31と配線ケーブル51との接続部分に過大な応力が作用する事態を抑制できる。
筐体11は底壁12を有し、底壁12には、配線ケーブル51を筐体11の内外に挿通することが可能な底壁側挿通口12Aが形成されている。底壁側挿通口12Aを通じて筐体11内に配線ケーブル51を通すことで、筐体11の下方から配線ケーブル51を引き入れることができる。
また、収容空間S4は、筐体11の底壁12によって構成されている。このような構成とすれば、収容空間S4を筐体11の最下部に配することができ、従来の配線構造である床下からの配線に対応させやすい。
また、遮断器31は、収容空間S4よりも上方に配されている。このような構成とすれば、収容空間S4を通じて配線ケーブル51を遮断器31に接続する際に、配線ケーブル51を曲げる作業を容易に行うことができる。
また、複数のリアクトル64と、複数のリアクトル64に向かって送風可能な冷却ファン25と、を備え、冷却ファン25の送風方向に沿う方向を第1方向とし、送風方向と直交する方向を第2方向とした場合において、複数のリアクトル64は、第1方向に並ぶ複数のリアクトル64からなる列が、第2方向に複数並ぶように配されており、さらに、複数のリアクトル64は、第1方向に沿う取付面68Fに取り付けられている。
第1方向に並ぶ複数(本実施形態では2つ)のリアクトル64からなる列が、第2方向に複数(本実施形態では2列)並ぶように配することで、複数(本実施形態では4つ)のリアクトル64が第1方向のみに配列されている構成と比べて、第1方向における冷却ファン25と各リアクトル64との距離を小さくすることができる。これにより、冷却ファン25からの距離の差によって生じる各リアクトル64の冷却のバラつきを小さくすることができる。また、リアクトル64が取り付けられる取付面68Fが第1方向に沿っているため、その取付面68Fが風路の一部となり、冷却を阻害することがない。
また、第2方向について隣り合う2つの列のリアクトル64については、第1方向における位置が互いにずれているものとすることができる。これにより、第2方向において隣り合う2つのリアクトル64が第1方向において同じ位置に配される構成と比べて、リアクトル64と隣接する空間をより大きくすることができる。これにより、例えば、コイル64Aから引き出される導線64Bを収容するための収容空間(空間S6)を確保することができる。
また、リアクトル64は、送風方向と直交する方向に並ぶ複数のコイル64Aを備え、コイル64Aを構成する巻線の軸方向は、送風方向に沿う方向とされる。仮に、複数のコイル64Aが送風方向に沿って並ぶ場合には、冷却ファン25から遠い側のコイル64Aは、近い側のコイル64Aによって冷却ファン25側から覆われることになり、冷却ファン25の風が当たり難い。上記構成のように、複数のコイル64Aを送風方向と直交する方向に並べることで、冷却ファン25の風を各コイル64Aに当て易くすることができる。
また、第1方向に並ぶリアクトル64においては、冷却ファン25から遠い側のリアクトル64は、近い側のリアクトル64によって冷却ファン25側から覆われることになる。巻線の軸方向(コイル64Aの長手方向)を送風方向に沿う方向にすることで、送風方向と直交する方向におけるリアクトル64のサイズをより小さくすることができる。このため、冷却ファン25から遠い側のリアクトル64に向かう風が冷却ファン25から近い側のリアクトル64によって妨げられる事態を抑制することができる。
また、取付面68Fを構成する後壁部68Eを備え、後壁部68Eにおける冷却ファン25側の端部は、取付面68Fに対して傾斜する傾斜面68Hを有しており、傾斜面68Hは、冷却ファン25から遠ざかるにつれて、取付面68Fに近づくように傾斜するものとすることができる。傾斜面68Hを有することで、例えば、冷却ファン25の周端部を取付面68Fから遠い側に配した場合であっても、冷却ファン25からの風を傾斜面68Hに沿って取付面68F側に向かわせることができ、取付面68Fに取り付けられたリアクトル64を効率よく冷却することができる。つまり、前後方向(送風方向と直交する方向)において、冷却ファン25の後端部と取付面68Fとを一致させる必要がなく、冷却ファン25をより小さくすることができる。なお、ケース68は、前後方向に沿う軸を中心として180°回転させた場合に回転前と同じ形状(切欠部68Jは除く)となるようになっている。このため、ケース68の傾斜壁部68Mは、電力変換ユニットを180°回転させた際には、傾斜壁部68Gと同じ働きをする。
また、リアクトル64は、コイル64Aと、コイル64Aから延びる導線64Bの端部に設けられる端子64Cと、を備え、第2方向(前後方向)について隣り合う2つの列のリアクトル64の各々については、導線64Bの一部が、第2方向について隣り合う2つのコイル64Aの間の空間S6に配されている。隣り合う2つの列のリアクトル64において、各導線64B及び各端子64Cを接近して配することができ、端子64Cを他部材に接続する作業を容易に行うことができる。
また、本実施形態のように、隣り合う2つの列の各リアクトル64が段違いとなっている場合には、各リアクトル64の各端子64Cも段違いとなる。このため、各端子64Cに対する他の機器の接続作業を容易に行うことができる。また、本実施形態では、ケース68の側壁部68Lに形成された切欠部68Jを通じてケース68内のリアクトル64の全ての端子64Cが引き出されている。これにより、全ての端子64Cに係る接続作業やメンテナンスを切欠部68J周辺で行うことができ、作業性が良好となる。
なお、電力変換ユニット62Rの切欠部68Jは、図14に示すように、ケース68の左側の側壁部68Lに形成されている。これに対して、電力変換ユニット62Lは、電力変換ユニット62Rを180°回転させたものであるから、その切欠部68Jは、ケース68の右側の側壁部68Lに形成されている。つまり、電力変換ユニット62R,62Lの一対の切欠部68J,68Jは、対向配置されている。これにより、電力変換ユニット62R,62Lの各リアクトル64の各端子64Cは、一対の電力変換ユニット62R,62L(より詳しくは一対のケース68,68)間の空間に全て引き出される。これにより、電力変換ユニット62R,62Lの各端子64Cに係る接続を一か所で行うことができる。
また、扉16には収容空間S4と重なる形で吸気孔16Aが形成され、支持板21には、通気孔21Bが形成され、筐体11の上壁13には、排気口13Bが形成され、底壁12に支持されている電気部品と排気口13Bの間には、吸気孔16Aから吸い込んだ空気を排気口13Bから排気する冷却ファン25が配されている。このような構成とすれば、冷却ファン25を駆動することで、吸気孔16Aから吸引された空気は、収容空間S4、通気孔21Bを通じて、支持板21の上方へ向かった後、排気口13Bから排気される。これにより、収容空間S4を空気の通り道として用いることができ、支持板21に支持された電気部品を冷却することができる。
また、収容空間S4は、底壁12と支持板21の間に形成されていることから、電気部品(トランス23やノイズフィルター24等)と配線ケーブル51が干渉することがなく、配線ケーブル51の配線作業を容易に行うことができる。
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)半導体モジュール63の個数は上記実施形態で例示したものに限定されない。例えば、インバータを3つの半導体モジュール63によって構成することで、直流電圧を三相の交流電圧に変換することが可能である。
(2)上記実施形態では、太陽電池91及び蓄電池92に接続される電源装置10を例示したが、これに限定されない。また、太陽電池91及び蓄電池92のうち、いずれか一方のみに接続されていてもよい。また、電力変換装置60が、一対の電力変換ユニット62L,62Rを備える構成を例示したが、これに限定されない。各半導体モジュール63の動作のさせ方によっては、電力変換ユニットを一基のみ備えた構成とすることも可能である。例えば、電力変換ユニット62Lの半導体モジュール63E(図16参照)に太陽電池昇圧、半導体モジュール63Fに蓄電池昇圧、半導体モジュール63GにU相変換、半導体モジュール63HにV相変換の各動作をさせる。
これに加えて、各半導体モジュール63と各リアクトル64との配線の態様を変える。具体的には、上記実施形態では並列接続された一対のリアクトル64,64を1組で運用していたが並列接続をせず、計4基のリアクトル64Lの各々を、太陽電池91と半導体モジュール63Eの間、蓄電池92と半導体モジュール63Fの間、U相と半導体モジュール63Gの間、V相と半導体モジュール63Hの間にそれぞれ介在させるように接続する。このようにすることで、1基の電力変換ユニットのみを用いて、上記実施形態の電力変換装置60と同じ機能を実現することができる。
しかしながら、上記実施形態では、2基の電力変換ユニットを備えることから、1基のみ用いた場合に比べて出力容量をより大きく(2倍に)することができる。言い換えると、本実施形態の電力変換ユニットは、設置数を増減させることで出力容量の変更に容易に対応することができる。
(3)上記実施形態では、前方に開口されている開口部11Aを有する筐体11を例示したが、これに限定されない。例えば、開口部11Aが後方や側方に開口されていてもよい。
(4)図7の2点鎖線に示すように、配線ダクト52の下方に前側に向かうにつれて下降傾斜する傾斜壁部54を設け、配線ダクト52から下方に向かう配線ケーブル51を前方に誘導する構成としてもよい。これにより、配線ケーブル51を配置する際に、配線ケーブル51を遮断器31に向かわせることができ、作業性をより高くすることができる。
(5)上記実施形態では、配線ケーブル51が接続されるケーブル接続部として遮断器31を例示したが、これに限定されない。
(6)上記実施形態では、4つのコンデンサ73を備えるコンデンサユニット61と、複数の半導体モジュール63の各々が接続されている構成を例示したが、これに限定されない。コンデンサ73の個数は適宜変更可能であり、例えば、コンデンサ73を一つのみ備えていてもよい。また、コンデンサ73の種類は上述したものに限定されず、例えば、極性のないコンデンサを用いてもよい。なお、コンデンサを1個のみ備える構成では、コンデンサが大型化し、デッドスペースが大きくなる場合もある。このため、上記実施形態のように、複数のコンデンサによってユニットを構成することがより好ましい。
(7)仕切壁30に設けられる電気部品(第1電気部品)及び対向壁40に設けられる電気部品(第2電気部品)は、上記実施形態で例示した電気部品に限定されず、適宜変更可能である。メンテナンスの頻度を考慮して仕切壁30又は対向壁40に対して電源装置10が備える電気部品を適宜配置することが可能である。
(8)板状導電部材81,82の材質は銅に限定されず、導電性を有する材質であればよい。
(9)上記実施形態では、排気口13Bが形成される壁部(筐体11を構成する壁部)として上壁13を例示したが、これに限定されない。排気口13Bは、側壁14や後壁15に形成されていてもよい。
(10)上記実施形態では、支持部材として支持板21を例示したが、支持部材は板状に限定されず、その形状は適宜変更可能であり、例えば、フレーム状やアングル状であってもよい。
(11)上記実施形態において、一対のコイル64A,64Aが冷却ファン25の送風方向に沿う形で配列され、各コイル64Aを構成する巻線の軸方向が横方向に沿う方向と一致していてもよい。
(12)上記実施形態では、コンデンサ本体における一対の板状導電部材側の面と一対の板状導電部材とがそれぞれ間隔を空けて積層されている構成を例示したが、これに限定されない。例えば、一対の板状導電部材側の面と一対の板状導電部材とが他の部材(例えば絶縁層など)を介して積層されていてもよい。
(13)上記実施形態では、第2収容空間(収容空間S4)が筐体の最下部にある構成を例示したが、これに限定されない。例えば、第2収容空間が筐体の上下方向における中間部に配されていてもよい。
(14)上記実施形態では、2列のリアクトル64のうち、一方の列のリアクトル64が後壁15に取り付けられ、他方の列のリアクトル64が対向壁部68Dに取り付けられている構成を例示したが、これに限定されない。例えば、2列のリアクトル64が一つの壁部(例えば側壁部68L)に取り付けられていてもよい。つまり、複数のリアクトル64が、冷却ファン25の送風方向に沿う複数の取付面に分けて取り付けられていてもよく、一つの取付面に全てのリアクトル64が取り付けられていてもよい。
(15)上記実施形態では、2個のリアクトル64からなる列が2列並ぶものを例示したが、リアクトル64の列数及び各列の個数は適宜変更可能である。また、第2方向について隣り合う2つの列のリアクトル64について、第1方向における位置が同じであってもよい。