JP6818226B2 - 油脂の製造方法 - Google Patents

油脂の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6818226B2
JP6818226B2 JP2016029432A JP2016029432A JP6818226B2 JP 6818226 B2 JP6818226 B2 JP 6818226B2 JP 2016029432 A JP2016029432 A JP 2016029432A JP 2016029432 A JP2016029432 A JP 2016029432A JP 6818226 B2 JP6818226 B2 JP 6818226B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
raw material
weight
fatty acid
fat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016029432A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017145354A (ja
Inventor
慎平 渡邊
慎平 渡邊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Oil Co Ltd
Original Assignee
Fuji Oil Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Oil Co Ltd filed Critical Fuji Oil Co Ltd
Priority to JP2016029432A priority Critical patent/JP6818226B2/ja
Priority to SG11201706749QA priority patent/SG11201706749QA/en
Priority to MYPI2017702972A priority patent/MY173788A/en
Priority to US15/552,948 priority patent/US10385369B2/en
Priority to PCT/JP2016/055279 priority patent/WO2016136751A1/ja
Publication of JP2017145354A publication Critical patent/JP2017145354A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6818226B2 publication Critical patent/JP6818226B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)

Description

本発明は、1,3位エステル交換反応を用いたUSUに富む油脂の製造法に関する。但し、SはC16〜C24の飽和脂肪酸、UはC18の不飽和脂肪酸、USUは1位及び3位の脂肪酸がUであり、2位の脂肪酸がSであるトリグリセリドを示す。
特許文献1には構成脂肪酸として炭素数16〜22の飽和脂肪酸をグリセリンの2位に、炭素数16〜18で1つの不飽和結合を有する不飽和脂肪酸をグリセリンの1,3位に結合した混酸基型トリグリセリドを40〜100重量%含有するカカオ代用脂が開示されている。
前記該混酸基型トリグリセリドはカカオバターと特異な結晶構造を形成し、かつこれをチョコレートの原料として配合することで、テンパリング作業を実施せずとも、ブルームが一切観察されず、また通常のチョコレートと比較して融点がほぼ同じであるにも関わらず、圧力に対しての結晶の抵抗性が著しく小さいという特異な物理的性質を示すことが開示されている。
前記該混酸基型トリグリセリドの一種であるOStO(ただしStはステアリン酸、Oはオレイン酸)の製造法としては特許文献2の実施例1に大豆極度硬化油とオレイン酸エチルを1,3位選択的酵素を用いてエステル交換反応、分子蒸留、分別、精製することにより得られた例が開示されている。
特開平4−135453号公報 特開2002−65162号公報
油脂と脂肪酸又はその低級アルコールエステル(以下「脂肪酸エステル等」という。)を原料としたエステル交換反応によって目的とするトリグリセリドに富む油脂を製造する方法において、S主体の油脂とU主体の脂肪酸エステル等を原料とし1,3位エステル交換反応を用いてUSUを含む油脂を製造するときには、高価な原料である高濃度のUを大量に使用しなければならない。しかしながらエステル交換反応後に副生する、濃度が低下してしまったU主体の脂肪酸エステル等を元の原料レベルまで濃縮する簡便で有効な手段がないため、これを循環再使用することができずに、他の低付加価値用途に使用するか又は廃棄することになってしまう。これにより製造コストが極めて高くなるとの問題点を本発明者らは見出した。つまり本発明の課題は、USUを含む油脂の製造法において、商業的に使用できるレベルのUSU含有油脂を提供するために、簡便な方法でUSU含有油脂を効率良く製造する方法を提供することである。
本発明者らはエステル交換反応の原料油脂にパルミチン酸を含む油脂を使えば、エステル交換反応後に原料油脂に由来して遊離するパルミチン酸と未反応のUがそれぞれの沸点の差を利用して蒸留によって簡単に分離できること及び分離によって濃縮されたUはエステル交換反応の原料脂肪酸として有効に循環再使用できることを見出した。そしてこれらの知見により簡便に商業的に使用できるレベルの効率の良いUSU含有油脂の製造法を完成した。さらに原料油脂にパーム中融点の極度硬化油を、原料脂肪酸にオレイン酸エチルを使用したときに、OPO(Pはパルミチン酸、Oはオレイン酸)を少量しか含まない純粋なOStOが得られることを見出し、商業的に使用できるレベルの効率の良い高純度OStO脂の製造法を完成した。
すなわち本発明の第1は、
(1)構成脂肪酸中C16〜C24の飽和脂肪酸(S)を80重量%以上含みかつ、パルミチン酸を10〜70重量%含む原料油脂(a)と、C18の不飽和脂肪酸(U)を主成分とする原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)を混合する工程、
(2)工程(1)で得られた原料混合物を1,3位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、
(3)トリグリセリド画分としてUSUを30重量%以上含有する油脂組成物と、脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を分離する工程、及び
(4)未反応の原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)を分離し、その一部又は全部を工程(1)の(b)に循環再使用する工程、を含むことを特徴とするUSUを含有する油脂組成物の製造方法。
但し、USUは1位及び3位の脂肪酸がUであり、2位の脂肪酸がSであるトリグリセリドを示す。
本発明の第2は、前記工程(3)の分離又は工程(4)の分離の内、少なくとも一つの分離を蒸留にて行う第1に記載の油脂組成物の製造方法。
本発明の第3は、前記工程(1)における原料油脂(a)の一部又は全部がパーム中融点の極度硬化油であり、原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)がオレイン酸を70重量%以上含む第1又は2に記載の油脂組成物の製造方法。
本発明の第4は、前記工程(3)において分離されたトリグリセリド画分を分別し、得られた高融点部の一部又は全部を工程(1)の(a)に循環再使用する第1乃至3の何れかに記載の油脂組成物の製造方法。
本発明の第5は、前記工程(3)において分離されたトリグリセリド画分を分別し、低融点部又は中融点部としてUSUを40重量%以上含有する油脂組成物を得る1乃至4の何れかに記載の油脂組成物の製造方法。
本発明によると比較的安価にUSUに富む油脂特にOStOに富む油脂が製造できるため、これまで高コストのため用途開発が進まなかったOStOに富む油脂脂の食品への幅広い応用が可能となる。また脂肪酸エステル等が循環再使用できるため、環境に優しい油脂の製造法となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の原料油脂(a)は、Sを80重量%以上含みかつパルミチン酸を10〜70重量%含むことが必要である。さらにSを90重量%以上含むことが好ましく、より好ましくは95重量%以上さらに好ましくは98重量%以上である。またパルミチン酸は20重量%以上であれば好ましく、さらに好ましくは30重量%以上最も好ましくは40重量%以上である。そして60重量%以下であれば好ましく、さらに好ましくは55重量%以下である。本発明の原料油脂(a)の構成脂肪酸中Sが80重量%未満の場合はUSUを含有する油脂組成物中の当該トリグリセリド含量が低くなることがある。また本発明の原料油脂(a)の構成脂肪酸中パルミチン酸が10重量%未満の場合は系外に排出するパルミチン酸の量が少なく十分なレベルのUSU油脂生産効率が得られない。一方OStO脂の生産を目的とした場合はパルミチン酸が70重量%を超えると相対的にStの含量が低下するので十分なレベルのOStO油脂生産効率が得られないことがある。
また本発明の目的とするUSU油脂が高純度のOStO油脂である場合、原料油脂(a)は1,3位にパルミチン酸を多く含み2位にパルミチン酸をほとんど含まない油脂であるのが好ましい。この観点では原料油脂(a)構成脂肪酸中の全パルミチン酸の内、80重量%以上が1,3位に存在していることが好ましく、より好ましくは90重量%以上であり、更に好ましくは95重量%以上であり、最も好ましくは98重量%以上である。かかる原料油脂を使用すれば、エステル交換反応後に原料油脂に由来して遊離するパルミチン酸と未反応のUのそれぞれの沸点の差を利用して、蒸留によって簡単に分離できる。分離によって濃縮されたUはエステル交換反応の原料脂肪酸として有効に循環再使用することができる。
本発明の原料油脂(a)の構成脂肪酸において、S含量に対するパルミチン酸含量比は好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.4以上であり、好ましくは0.85以下、より好ましくは0.75以下、更に好ましくは0.70以下である。当該含量比が下限未満であると排出するパルミチン酸の量が少なく十分なレベルのUSU油脂生産効率が得られないことがある。また上限を超えると相対的にStの含量が低下するので、OStO脂の生産を目的とした場合は十分なレベルのOStO油脂生産効率が得られないことがある。
本発明の原料油脂(a)としては前記脂肪酸組成の要件を満たしていれば特に限定されないが、パーム中融点部の極度硬化油、南京ハゼ油の極度硬化油及びそれらから選ばれる1つ以上の油脂を原料の一部に用いたエステル交換油や分別油などが例示できる。そして原料油脂(a)はパーム中融点部の極度硬化油であるのが最も好ましい。
本発明の原料脂肪酸(b)は炭素数18の不飽和脂肪酸を主成分とする原料脂肪酸エステル等であれば特に制限はないが、天然に多く存在し容易に入手できる観点からオレイン酸又はその低級アルコールエステルが好ましく、オレイン酸エチルがさらに好ましい。そしてそのオレイン酸含量は70重量%以上であることが望ましく、75重量%以上であるとさらに望ましい。
本発明の工程(1)においては本発明の効果を損ねない範囲で原料油脂(a) 及び原料脂肪酸エステル等(b)以外の原料を原料混合物に加えることもで
きる。原料混合物中に占める原料油脂(a)と原料脂肪酸エステル等(b)の合計は好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは98重量%以上である。
本発明の工程(2)における1,3位特異性リパーゼを用いた選択的なエステル交換にはリゾプス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属の微生物が生産するリパーゼを使用することができ、また、少なくともこれらと同様な性質をもつリパーゼであれば上記以外のものでもよく、何ら差支えない。このようなリパーゼは市販されており、例えばアマノA(天野製薬)、リポザイム(NOVO社製)などが用いられる。上記リパーゼの使用形態は、特に制限されないが、効率の観点から公知の方法で担体に固定化して用いることが好ましく、また、有機溶媒下で
用いる場合は化学修飾酵素を用いるのが好ましい。またこの反応は、撹拌タンクを用いた回分法や、充填反応器を用いた連続法で実施できる。
本発明の工程(2)における1,3位特異性リパーゼを用いた選択的なエステル交換反応において酵素反応に供する原料混合物は、酵素失活をできるだけ抑制する目的でその反応前に既知の方法で脱色・脱臭することが望ましい。また原料混合物の水分含量は、加水分解反応をできる限り抑制し、ジグリセリドの生成を抑制する目的では低く調整することが望ましく、反応速度を高める目的では高く調整することが望ましいが10〜300ppm、好ましくは20〜200ppm、さらに好ましくは30〜100ppmに調整することが望ましい。また酵素反応の時間は十分なエステル交換反応率が達成できれば特に限定されないが2時間から4日間が好適である。また酵素反応の温度は、十分な酵素反応速度を確保しつつ酵素活性を長く維持する観点及び異性体トリグリセリドの生成をできるだけ抑制する観点から、30〜80℃であることが望ましく、35〜65℃であることがより好ましく、40〜55℃であることがさらに好ましい。一方充填反応器を用いた連続法を本発明の工程(2)に採用する場合には反応器内の閉塞を避けるために、反応中に結晶析出が生じないような反応温度であることが好ましいが、比較的融点が高い飽和脂肪酸主体の原料油脂(a)と逆に融点の低い不飽和脂肪酸主体の原料脂肪酸エステル等(b)の混合比率によりこの結晶析出温度は変動する。その意味で工程(1)における混合比率は原料脂肪酸エステル等(b)が多い方が有利であり、原料混合物中の原料脂肪酸エステル等(b)の比率は、好ましくは35重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。また逆に原料油脂(a)が少ないと工程(3)で得られるトリグリセリド画分としての油脂組成物の製造量が少なくなり生産効率が劣る。この意味では原料混合物中の原料油脂(a)の比率は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上である。
本発明の工程(3)におけるトリグリセリド画分と脂肪酸エステル等画分の分離には分別や蒸留を用いることができ、好ましくは蒸留である。この場合の蒸留の条件は、トリグリセリド画分と脂肪酸エステル等画分を分離できるような条件であれば特に限定されないが、蒸留温度は好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは210℃以上、最も好ましくは220℃以上である。また好ましくは280℃以下、より好ましくは270℃以下、さらに好ましくは260℃以下、最も好ましくは250℃以下である。真空度は好ましくは0.2トール以上、より好ましくは0.5トール以上、さらに好ましくは1トール以上である。また好ましくは10トール以下、より好ましくは7トール以下、さらに好ましくは5トール以下、最も好ましくは3トール以下である。
本発明の工程(3)にて得られるトリグリセリド画分はUSUを30重量%以上含有する油脂組成物である。工程(1)における原料脂肪酸(b)の混合比率を上げること及び工程(2)におけるエステル交換反応率を高くすることでこのUSU含量は高めることができ、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上である。
本発明の工程(3)にて得られる脂肪酸エステル等画分は、未反応の原料脂肪酸エステル等と原料油脂(a)の1,3位由来の脂肪酸エステル等が混在した混合物となるが、続く工程(4)にて未反応の原料脂肪酸エステル等(b)を分離する。分離の方法としては沸点の差を利用した分離である蒸留を用いるか又は蒸留に先立ち、分別にて融点の差を利用した粗い分離を予め行う等蒸留と他の分離法を併用することもできる。蒸留温度は好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、さらに好ましくは210℃以上、最も好ましくは220℃以上である。また好ましくは280℃以下、より好ましくは270℃以下、さらに好ましくは260℃以下、最も好ましくは250℃以下である。真空度は好ましくは0.2トール以上、より好ましくは0.5トール以上、さらに好ましくは1トール以上である。また好ましくは10トール以下、より好ましくは7トール以下、さらに好ましくは5トール以下、最も好ましくは3トール以下である。
本発明の工程(4)の蒸留により、未反応の原料脂肪酸エステル等であるC18の不飽和脂肪酸エステル等及び前記原料油脂(a)由来の脂肪酸のうちC16を超える脂肪酸(飽和脂肪酸が主体)又はその低級アルコールエステルは高沸点画分に分離回収される。当該高沸点画分のC18の不飽和脂肪酸エステル等含量が原料脂肪酸エステル等(b)に比べ著しく低くなければその一部又は全部を工程(1)の原料混合物に循環再使用するが、著しく低ければこの循環再使用に先立ち混在するC16を超える脂肪酸(飽和脂肪酸が主体)又はその低級アルコールエステルを分別、吸着といった既知の方法で除去しC18の不飽和脂肪酸エステル等の純度を高めてから工程(1)の原料混合物に循環再使用することもできる。一方前記原料油脂(a)由来の脂肪酸のうちパルミチン酸の脂肪酸エステル等は低沸点画分に回収される。
本発明の工程(3)と工程(4)の蒸留の順序はは特に限定されないが、まず沸点差の大きいトリグリセリド画分と脂肪酸エステル等の画分を蒸留分離となる工程(3)の蒸留を行い、後者の画分をさらに、沸点差の比較的小さい、原料油脂1,3位由来の副生脂肪酸エステル等の画分と未反応脂肪酸エステル等の画分に蒸留分離することとなる工程(4)の蒸留を行うことが好ましい。ただし当該蒸留の工程の都合によっては、工程(4)の後に工程(3)を行ったり、工程(3)、(4)を同時に行ったりすることもできる。また工程(3)と(4)の蒸留としては単蒸留、水蒸気蒸留、薄膜蒸留、分子蒸留及び精留が例示されるが、この工程(4)の蒸留には精留が好適に用いられる。
本発明の工程(3)において分離したトリグリセリド画分を溶剤分別等の既知の方法で分別して、低融点部又は中融点部とすることでUSU含量を40重量%以上に高めることができ、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上に高めることができる。
さらに前記分別の際に副生する分別高融点部は、その一部又は全部を工程(1)の原料混合物に循環再使用することが出来る。この場合さらに生産効率が高まったUSU脂の生産方法となる。
また原料油脂(a)としてパーム中融点極度硬化油を使用し、原料脂肪酸(b)としてオレイン酸を70重量%以上含む脂肪酸エステル等を使用すると、OPOを少量しか含まない高純度のOStO脂が得られるため、商業的に使用できるレベルの生産効率を有する高純度のOStO脂の製造法という観点では特に有利である。
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%および部はいずれも重量基準を意味する。
(実施例1)
原料油脂(a)としてパーム中融点極度硬化油(構成脂肪酸中C16〜C24の飽和脂肪酸が99重量%、パルミチン酸が57重量%、1,3位のパルミチン酸含量82.7%)30部と、原料脂肪酸(b)としてオレイン酸エチルエステル(オレイン酸エチルエステル含量81重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異的リパーゼを用いてエステル交換反応を実施した。エステル交換反応は原料混合物の水分含量90ppm、反応時間24時間、反応温度53℃、固定化リパーゼ量を対原料混合物1%とした回分反応にて実施した。
反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度235〜240℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分のUSU含量は43重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより低融点部としてUSUを87重量%、OStOを67重量%含有する油脂組成物(OStO脂)を得た。また副生成物として高融点部を得た。この高融点部は前記原料混合物の一部として循環再使用した。一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は、続く精留工程で、低沸点画分と高沸点画分に分離した。精留の条件は218〜221℃ 真空度1.1〜1.3torrであった。得られた高沸点画分はオレイン酸エチルエステル含量が83重量%であり、オレイン酸エチル含量が81重量%の前記原料脂肪酸(b)とほぼ同等な品質として次回のエステル交換反応の原料脂肪酸エチルエステル(b)の一部に置換して再使用できた。すなわち未反応のオレイン酸エチルを循環再使用することにより、OStO脂の効率の良い製造が可能であった。一方得られた低沸点画分はパルミチン酸エチルエステルを88重量%含有していた。
(比較例1)
原料油脂(a)として菜種極度硬化油(全脂肪酸中C16〜C24の飽和脂肪酸が99重量%、パルミチン酸が4重量%)30部と、オレイン酸エチルエステル(オレイン酸エチルエステル含量81重量%)70部を混合した原料混合物を既知の方法にて脱色・脱水を実施したのちに、1,3位特異的リパーゼを用い、実施例1と同様の条件でエステル交換反応を実施した。反応後、得られた反応生成物をトリグリセリド画分と脂肪酸エチルエステル画分に蒸留により分離した。蒸留条件は温度245〜250℃、真空度0.5〜1.0torrであった。得られたトリグリセリド画分のUSU含量は43重量%であったが、さらにN−ヘキサンを用いて溶剤分別を実施することにより低融点部としてUSUを87重量%、OStOを58重量%含有する油脂組成物(OStO脂)を得た。一方前記蒸留にて得られた脂肪酸エチルエステル画分は、オレイン酸エチルを65重量%含んでいたが、パルミチン酸を実質的に含んでいないので、続く精留工程で、低沸点画分と高沸点画分に分離できず、オレイン酸エチルエステル含量は65重量%のままであった。すなわち前記原料脂肪酸(b)とは品質的に違いがあるため、次回のエステル交換反応の原料脂肪酸(b)には置換して再使用できず、OStO脂の効率の良い製造ができなかった。

Claims (5)

  1. (1)構成脂肪酸中C16〜C24の飽和脂肪酸(S)を80重量%以上含みかつ、パル
    ミチン酸を30〜70重量%含む極度硬化油である原料油脂(a)と、オレイン酸を70重量%以上含む原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)を混合する工程、
    (2)工程(1)で得られた原料混合物を1,3位置特異性を有するリパーゼを用いてエステル交換反応させる工程、
    (3)トリグリセリド画分としてUSUを30重量%以上含有する油脂組成物と、脂肪酸又はその低級アルコールエステル画分を蒸留により分離する工程、及び
    (4)未反応の原料脂肪酸又はその低級アルコールエステル(b)を蒸留により分離し、その一部又は全部を工程(1)の(b)に循環再使用する工程、を含むことを特徴とするUSUを含有する油脂組成物の製造方法。
    但し、SはC18〜C24の飽和脂肪酸、UはC18の不飽和脂肪酸、USUは1位及び3位の脂肪酸がUであり、2位の脂肪酸がSであるトリグリセリドを示す。
  2. 前記工程(1)における原料油脂(a)の一部又は全部がパーム中融点部の極度硬化油又は南京ハゼ油の極度硬化油である請求項1に記載の油脂組成物の製造方法。
  3. 前記工程(1)における原料油脂(a)の一部又は全部がパーム中融点の極度硬化油である請求項1に記載の油脂組成物の製造方法。
  4. 前記工程(3)において分離されたトリグリセリド画分を分別し、得られた高融点部の一部又は全部を工程(1)の(a)に循環再使用する請求項1乃至3の何れか一項に記載の油脂組成物の製造方法。
  5. 前記工程(3)において分離されたトリグリセリド画分を分別し、低融点部又は中融点部としてUSUを40重量%以上含有する油脂組成物を得る請求項1乃至4の何れか一項に記載の油脂組成物の製造方法。
JP2016029432A 2015-02-26 2016-02-19 油脂の製造方法 Active JP6818226B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016029432A JP6818226B2 (ja) 2016-02-19 2016-02-19 油脂の製造方法
SG11201706749QA SG11201706749QA (en) 2015-02-26 2016-02-23 Production method for oil and fat
MYPI2017702972A MY173788A (en) 2015-02-26 2016-02-23 Production method for oil and fat
US15/552,948 US10385369B2 (en) 2015-02-26 2016-02-23 Production method for oil and fat
PCT/JP2016/055279 WO2016136751A1 (ja) 2015-02-26 2016-02-23 油脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016029432A JP6818226B2 (ja) 2016-02-19 2016-02-19 油脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017145354A JP2017145354A (ja) 2017-08-24
JP6818226B2 true JP6818226B2 (ja) 2021-01-20

Family

ID=59681137

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016029432A Active JP6818226B2 (ja) 2015-02-26 2016-02-19 油脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6818226B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6557798B1 (ja) * 2017-09-13 2019-08-07 日清オイリオグループ株式会社 油脂の製造方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2161241A1 (en) * 1993-05-13 1994-11-24 Paul Thomas Quinlan Process for production of human milk fat replacers
ATE532846T1 (de) * 2005-09-08 2011-11-15 Loders Croklaan Bv Verfahren zur herstellung von triglyceriden
JP2007176973A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Lion Corp 軽油代替燃料用の脂肪酸低級アルキルエステルの製造方法
JP2007254305A (ja) * 2006-03-20 2007-10-04 Nippon Shokubai Co Ltd 脂肪酸アルキルエステル及び/又はグリセロールの製造方法
JP4986595B2 (ja) * 2006-12-11 2012-07-25 株式会社Adeka 気泡含有油脂性菓子
JP4697150B2 (ja) * 2007-01-26 2011-06-08 株式会社カネカ 油脂組成物
JP5228791B2 (ja) * 2008-10-22 2013-07-03 日油株式会社 油中水型乳化油脂組成物
JP6204074B2 (ja) * 2013-05-31 2017-09-27 株式会社Adeka アイシング用油脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017145354A (ja) 2017-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10385369B2 (en) Production method for oil and fat
JP4290162B2 (ja) 対称型トリグリセリドの製造方法
JP5289051B2 (ja) ジオレオイルパルミトイルグリセリドの製造方法
EP3139770B1 (en) Fatty acid composition, method for the production thereof and use thereof
JP4894975B2 (ja) 可塑性油脂用改質剤
JP5072258B2 (ja) 油脂の製造方法
JP2010209147A (ja) 油脂の製造方法
JP2012070655A (ja) 可塑性油脂用改質剤
KR101344491B1 (ko) 카카오 버터 대용지 또는 카카오 버터 특성 향상제용 유지조성물의 제조방법
JP6818226B2 (ja) 油脂の製造方法
JP4079516B2 (ja) トリグリセリドの製造方法
JP6715586B2 (ja) 高度不飽和脂肪酸の製造方法
CN105754982B (zh) 固定化脂肪酶以及固定化脂肪酶的制备方法
JP6194908B2 (ja) 油脂の製造方法
JP5782130B2 (ja) ジアシルグリセロール富化な油又は油脂の製造プロセス
JP3785467B2 (ja) 油脂組成物の製造方法
US10590443B2 (en) Method for producing multiple oil/fat compositions by complex transesterification reaction system
KR102520377B1 (ko) 단경로 증류 또는 습식 분별을 이용하여 고순도의 트리글리세리드를 제조하는 방법
JPWO2019167331A1 (ja) 2位がパルミチン酸に富む油脂組成物の製造方法
JP4168933B2 (ja) 加工グリセリド油脂の製造法
EP1486569B1 (en) Method of transesterification of fat or analogue
US20230323245A1 (en) A process for making a vegetable fat composition with an increased amount of sn2 positioned palmitic acid
WO2024030062A1 (en) Enzymatic process for increasing the sos triglyceride content of a vegetable oil
JP2004305155A (ja) トコフェロール及びトコトリエノールの製造方法
KR20210035942A (ko) 분별 부산물을 활용한 트리글리세리드의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200204

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200603

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201209

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6818226

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150