JP6818025B2 - テンショナ - Google Patents

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Description

本発明は無端状のベルトやチェーン等の相手部材の張力を一定に保つために用いられるテンショナに関し、特に部品点数を削減した簡単な構造とすることが可能なテンショナに関する。
テンショナは、例えば2輪車や4輪車等の自動車のエンジンに使用されるものであり、エンジンのタイミングチェーンやタイミングベルトを所定の力で押すことにより、これらに伸びや緩みが生じた場合に、その張力を一定に保つように作用する。
図52は、自動車のエンジン本体300にテンショナ200を実装した状態を示す。エンジン本体300の内部には、一対のカムスプロケット310とクランクスプロケット320とが配置されており、これらのスプロケット310、320の間にタイミングチェーン330が無端状となって掛け渡されている。タイミングチェーン330の移動路には、チェーンガイド340が揺動可能に配置されており、タイミングチェーン330はチェーンガイド340を摺動しながら移動する。テンショナ200はエンジン本体300に形成された取付穴360を貫通するようにエンジン本体300を挿通した状態でエンジン本体300に固定される。
テンショナにおいては、従来より第1シャフト部材及び第2シャフト部材をねじ部によって組み付けてケース内に収容し、第1シャフト部材をばねによって回転付勢し、この回転力によって第2シャフト部材を推進させる構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
図53は上述した従来のテンショナ200の構造を示す。筒状の第2シャフト部材210と、ねじ部220によって第2シャフト部材210と螺合した第1シャフト部材230と、第1シャフト部材230に回転トルクを付与するコイルばね等のばね240と、これらを収容するケース250とを備えており、ケース250がボルト止め等によってエンジン本体300に固定される。第2シャフト部材210はケース250の先端部分に取り付けられた軸受260によって回転が拘束されている。軸受260には小判形状や平行カットされた非円形の摺動穴261が形成されており、第2シャフト部材210が摺動穴261を貫通することにより回転が拘束されるため、第1シャフト部材230の回転力が直線運動に変換され、第2シャフト部材210が直線的に進出する。ケース250には皿状のシャフト受け270が設けられ、このシャフト受け270に第1シャフト部材230の基端部が挿入されている。
このようなテンショナ200においては、第2シャフト部材210はねじ部220を介して伝達された第1シャフト部材230の回転力によってケース250に対して進出してチェーンガイド340(すなわちタイミングチェーン330)を押圧する。一方、タイミングチェーン330の張力が大きくなると、第2シャフト部材210が第1シャフト部材230を逆方向に回転させながら後退する。これらの動作によってタイミングチェーン330の張力を一定に保つことができる。
特許第4521624号公報
従来のテンショナ200においては、シャフト受け270及び軸受260がケース250に設けられるものである。シャフト受け270は第1シャフト部材230を回転可能に支持する必要があるため、軸受260は第1シャフト部材230の回転力を第2シャフト部材210の推進力に変換する必要があるために設けられる。
このように従来のテンショナでは、第1シャフト部材を回転可能に支持するためのシャフト受け270及び第2シャフト部材を直線的に進出させるための軸受260が必要となっている。又、これらを取り付けるためのケース250も必要となっている。これにより従来のテンショナは、部品点数が多く、構造が複雑、組み立てが面倒となる問題がある。
本発明はこのような従来の問題点を考慮してなされたものであり、部品点数を大幅に削減でき、構造を簡単とし、組み立てが容易なテンショナを提供することを目的とする。
本発明のテンショナは、非回転状態で支持部材に固定された第1シャフト部材と、前記第1シャフト部材に螺合状態で取り付けられ、軸方向に進出することにより相手部材を直接又は間接的に押圧する第2シャフト部材と、前記第2シャフト部材に直接に回転力を付与するばねとを備え、前記第2シャフト部材は前記ばねが付与する回転力によって回転しながら進出して前記相手部材を押圧することを特徴とする。
本発明において、前記第2シャフト部材の進出は第2シャフト部材が前記第1シャフト部材に螺合した状態でのみ支持される。
又、本発明では、前記第2シャフト部材の先端面と直接又は間接的に接触して第2シャフト部材に対して回転可能となっているキャップをさらに備え、前記キャップが前記相手部材に当接しているもの。
又、前記第2シャフト部材と前記相手部材又は前記第2シャフト部材と前記キャップとが接触する接触平均径が第2シャフト部材の進出寸法に合わせて設定される。
又、前記ばねは一端が前記第1シャフト部材に係止され、他端が前記第2シャフト部材に係止されたねじりばねである。
さらに、前記ばねは一端が前記第1シャフト部材に係止され、他端が前記第2シャフト部材に係止されたぜんまいばねである。
さらに、又、本発明では、後端部が前記支持部材又は前記第1シャフト部材に係合して回転拘束され、先端部が前記第2シャフト部材に直接又は間接的に係合して第2シャフト部材の回転をロックするストッパ部材が前記第2シャフト部材の軸方向に挿脱可能に挿入される。
又、前記第2シャフト部材に係脱可能に係合して第2シャフト部材の軸方向の移動をロックするストッパ部材が前記支持部材又は前記第1シャフト部材に着脱自在となっている。
本発明の別のテンショナは、非回転状態で支持部材に固定された第1シャフト部材と、前記第1シャフト部材に螺合状態で取り付けられ、軸方向に進出することにより相手部材を直接又は間接的に押圧する第2シャフト部材と、前記第2シャフト部材に回転力を付与するばねとを備え、前記第2シャフト部材は前記ばねが付与する回転力によって回転しながら進出して前記相手部材を押圧する構造であって、軸方向移動が拘束された状態で回転可能なコネクタ部材が前記ばねと前記第2シャフト部材とに係合した状態で配置され、前記第2シャフト部材は前記コネクタ部材を介してばねの回転力が付与されることにより前記軸方向に進出することを特徴とする。
この発明において、前記ばねは一端部が前記第1シャフト部材又は前記支持部材に係止され、他端部が前記コネクタ部材に係止されたぜんまいばねである。
又、この発明においては、前記コネクタ部材に係合してコネクタ部材の回転をロックするストッパ部材が前記支持部材又は前記第1シャフト部材に着脱可能となっている。
又、前記第2シャフト部材に対して回転可能なキャップが第2シャフト部材の先端面に接触した状態で取り付けられている。
さらに前記コネクタ部材及び前記第2シャフト部材に、相互に係合することにより前記回転力を伝達する回転力伝達手段が形成されている。
又、前記第2シャフト部材は前記回転力伝達手段が相互に係合した状態のままで前記軸方向に進出する。
さらに、前記回転力伝達手段は、前記第2シャフト部材の軸方向に沿って形成された摺動面部と、この摺動面部に対面して係合し当該係合状態で前記摺動面部が摺動するように前記コネクタ部材に形成された対面爪部とによって形成される。
本発明のテンショナでは、第1シャフト部材が支持部材に非回転状態で固定されており、第2シャフト部材が第1シャフト部材に螺合した状態でばねのばね力で回転しながら進出して相手部材を押圧する。従って第1シャフト部材が回転しないため、第1シャフト部材の回転を支持するためのシャフト受けが不要となる。又、第2シャフト部材が回転しながら進出するため、回転拘束する必要がなく、第2シャフト部材の回転を拘束するための軸受が不要となる。シャフト受け及び軸受が不要となるため、これらを取り付けるためのケースも不要となり、部品点数を大幅に削減して簡単な構造で、組み立てが容易で軽量化も可能となる。
本発明の別のテンショナにおいても、第1シャフト部材が支持部材に非回転状態で固定され、この第1シャフト部材に第2シャフト部材が螺合する。第2シャフト部材にはコネクタ部材を介してばねの回転力が伝達されるため、第2シャフト部材は回転しながら進出して相手部材を押圧する。このように第1シャフト部材が回転しないことから第1シャフト部材の回転を支持するためのシャフト受けが不要となる。又、第2シャフト部材が回転しながら進出するため、回転拘束する必要がなく、第2シャフト部材の回転を拘束するための軸受が不要となる。シャフト受け及び軸受が不要となるため、これらを取り付けるためのケースも不要となり、部品点数を大幅に削減して簡単な構造で、組み立てが容易で軽量化も可能となる。
本発明の第1実施形態のテンショナの右側面からの断面図であり、図3におけるE6−E6線断面図である。 本発明の第1実施形態のテンショナの左側からの側面図である。 図1におけるE1−E1線断面図である。 第1実施形態のテンショナの押圧状態を示す断面図である。 (A)、(B)は支持部材の側面図及びE2−E2線断面図である。 (A)、(B)は第1シャフト部材の正面図及びE3−E3線断面図である。 (A)、(B)、(C)は第2シャフト部材の正面図、側面図及びE4−E4線断面図である。 (A)、(B)、(C)はばねの左側面図、正面図、右側面図である。 (A)、(B)はストッパ部材の正面図及び右側面図である。 第1実施形態の変形例のテンショナを示す断面図である。 第1実施形態の別の変形例のテンショナを示す断面図である。 第1実施形態のさらに別の変形例のテンショナを示す断面図である。 第1実施形態の変形形態を示す断面図である。 本発明の第2実施形態のテンショナの右側からの側面図である。 本発明の第2実施形態のテンショナの左側からの側面図である。 図14のF1−F1線断面図である。 図16の要部を示す拡大断面図である。 (A)、(B)は第2実施形態のテンショナにおけるストッパ部材の作動を示す側面図である。 第2実施形態のテンショナの押圧状態を示す断面図である。 図18の要部を示す拡大断面図である。 (A)、(B)は第2実施形態に用いる第2シャフト部材の側面図、F2−F2線断面図である。 (A)、(B)はカップリングを示す側面図、縦断面図である。 キャップを示す側面図である。 (A)、(B)は止め輪を示す正面図、縦断面図である。 第2実施形態に用いるストッパ部材の正面図、右側面図である。 本発明の第3実施形態のテンショナの右側からの側面図である。 第3実施形態のテンショナの左側からの側面図である。 図26におけるG1−G1線断面図である。 図28の要部を示す拡大断面図である。 (A)、(B)は第3実施形態のストッパ部材の作動を示す端面図である。 本発明の第4実施形態のテンショナの右側面からの側面図である。 第4実施形態のテンショナの図33におけるH2−H2線断面図である。 図31のH1−H1線断面図であり、第4実施形態のテンショナの一時ロック状態を示す。 第4実施形態のテンショナにおける押圧状態を示す断面図である。 第4実施形態のテンショナ押圧状態の拡大断面図である。 (A)、(B)は第4実施形態に用いる支持部材の側面図及びH3−H3線断面図である。 (A)、(B)は第4実施形態に用いる第2シャフト部材の正面図及び右側面図である。 (A)、(B)は第4実施形態に用いる第1シャフト部材の正面図及びH4−H4線断面図である。 (A)、(B)、(C)は第4実施形態に用いるばねの左側面図、正面図及び右側面図である。 (A)、(B)は第4実施形態に用いるキャップの左側面図、部分破断断面図である。 (A)、(B)は第4実施形態に用いるストッパ部材を示す正面図及び右側面図である。 本発明の第5実施形態のテンショナの一時ロック状態を示す図43におけるM2−M2線断面図である。 第5実施形態の図42におけるM1−M1線断面図である。 第5実施形態のロック解除状態を示す図45におけるM3−M3線断面図である。 第5実施形態のロック解除状態を示す縦断面図である。 (A)、(B)は第5実施形態に用いる支持部材の側面図及びM4−M4線断面図である。 (A)、(B)は第5実施形態に用いる第1シャフト部材の左側面図及び正面図である。 (A)、(B)は第5実施形態に用いる第2シャフト部材の部分破断断面及び右側面図である。 (A)、(B)、(C)、(D)は第5実施形態に用いるコネクタ部材を示す左側面図、右側面図、上面図、部分破断断面図である。 (A)、(B)は第5実施形態に用いるキャップの側面図及び部分破断断面図である。 (A)、(B)は第5実施形態に用いるストッパ部材の上面図、正面図である。 テンショナをエンジン本体に組み付けた状態を示す側面図である。 従来のテンショナを示す断面図である。
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。なお、各実施形態において同一の部材には同一の符号を付して対応させてある。本発明のテンショナは、構成部品を収容するケースを省いた構造とし、この構造でエンジン本体に直付けすることにより部品点数を削減したものである。
[第1実施形態]
図1〜図12は本発明の第1実施形態のテンショナ1を示し、図1〜図4はテンショナ1の全体、図5〜図9はそれぞれの部品であり、図10〜図12は変形例である。図1及び図2はテンショナ1の図3のE6−E6線に沿った右側面からの断面図及び左側面図、図3は図1のE1−E1線断面図、図4は動作時の断面図を示す。テンショナ1は、支持部材2と、第1シャフト部材3と、第2シャフト部材4と、ばね5と、ストッパ部材6とによって形成される。
支持部材2はテンショナ1をエンジン本体300(図52参照)に取り付ける際の取り付け部材となる。又、支持部材2は第1シャフト部材3を支持する。図1〜図3及び図5に示すように、支持部材2は雲形平板状のフランジ部21と、フランジ部21に形成された固定部22とを有している。フランジ部21はエンジン本体300にボルト等によって固定される部位であり、ボルトが貫通する取付穴部24が固定部22を挟んだ2箇所に形成されている。
固定部22は第1シャフト部材3を立ち上がり状に固定する部位であり、フランジ部21の中央部分に短筒状となって立ち上がり状に形成されている。第1シャフト部材3の後端部に固定部22を挿入し、この挿入状態で固定部22を加締めることにより第1シャフト部材3を立ち上がり状に固定することができる(図3参照)。短筒状となっている固定部22は操作穴部23を有している。操作穴部23は後述するストッパ部材6を挿入するためのものである。さらに図5に示すように、フランジ部21の後端面には、回転止め凸部25が形成されている。回転止め凸部25は後述するストッパ部材6の回転を阻止するためのものである。
図3及び図6に示すように、第1シャフト部材3は所定長さの筒体によって形成されている。第1シャフト部材3は支持部材2の固定部22に非回転状態で直接に固定される。第1シャフト部材3の外面には、雄ねじ部31が形成されており、後述する第2シャフト部材4が螺合可能となっている。第1シャフト部材3の後端部(図6における左端部)には、支持部材2の固定部22が加締められる加締め部32が内側に突出するように形成されており、この加締め部32によって第1シャフト部材3が支持部材2に非回転状態で直接に固定される。又、後端部に近接した部位には、ばね5の一端が係止されるフック穴33が形成されている。
本発明において、第1シャフト部材3の支持部材2への固定構造については、図示した構造以外によっても可能である。例えば、第1シャフト部材3の後端部の加締め部を外側に突出するように形成し、この加締め部に対して支持部材2のフランジ部21の固定部22を加締めても良い。又、第1シャフト部材3の後端部をねじによって支持部材2のフランジ部21に固定しても良く、第1シャフト部材3の後端部をスポット溶接によって支持部材2のフランジ部21に固定しても良い。さらには、第1シャフト部材3の後端部及び支持部材2におけるフランジ部21の固定部22に相互に螺合するねじ部を形成し、このねじ部を結合させることにより固定しても良い。
第2シャフト部材4は軸方向に進出することにより相手部材としてのチェーンガイド340(タイミングチェーン330)を押圧する(図4参照)。図3、図4、図7に示すように、第2シャフト部材4は後端側(図7における左端側)が開口され、先端側がヘッド部42によって封鎖された筒状体41によって形成されている。ヘッド部42の先端面は相手部材(図4におけるチェーンガイド340)と直接に接触する接触面44となる。
筒状体41の内面には、第1シャフト部材3の雄ねじ部32に螺合する雌ねじ部43が形成されている。ヘッド部42における接触面44との反対側には、ストッパ部材6の先端部が差し込まれることによりストッパ部材6と係合する係合穴45が形成されている。係合穴45は非円形穴(図示例では、角穴)に形成されてストッパ部材6との係合が行われる。さらに筒状体41の先端側の外面には、ばね5の他端が係止されるフック穴46が形成されている。
以上の第2シャフト部材4はばね5のばね力が作用することにより回転する。このとき第2シャフト部材4は第1シャフト部材3に螺合しているため、第2シャフト部材4は回転しながら第1シャフト部材3の軸方向に進出する。すなわち第2シャフト部材4は雌ねじ43が第1シャフト部材3の雄ねじ32に螺合し、この螺合状態でのみ第1シャフト部材3に支持される。そして、この第1シャフト部材3の支持状態で回転しながら進出する。かかる第2シャフト部材4は相手部材から設定以上の反力があると、第2シャフト部材4は逆方向に回転しながら後退する。なお、設定未満の反力では、第2シャフト部材4は後退することはない。
図3及び図4に示すように、ばね5は第2シャフト部材4の外側に配置される。ばね5としては、図8に示すようにコイル部51の両端部にフック部52、53が形成されたねじりばねが用いられる。このねじりばね5はコイル部51が第2シャフト部材4に外挿され、この外挿状態で一端のフック部52が第1シャフト部材3のフック穴33に係止され、他端のフック部53が2シャフト部材4のフック穴46に係止される。ねじりばねは第2シャフト部材4が回転する回転力を蓄えた状態となっており、この状態でテンショナ1がエンジン本体300にセットされる。
ストッパ部材6は第2シャフト部材4の回転を一時的にロックするものである。この一時ロックはテンショナ1をエンジン本体300に取り付ける前に行われ、エンジン本体300への取り付け後には一時ロックが解除される。図9に示すように、ストッパ部材6は断面矩形の薄い板状からなり、長さ方向がT字形となるように形成されている。ストッパ部材6は第2シャフト部4の軸方向に延びたストッパ本体部61と、ストッパ本体部61の後端部(図9における左端部)の第1係合部62と、先端部(図9における右端部)の第2係合部63とを有している。ストッパ本体部61は支持部材2の操作穴部23から第2シャフト部材4の内部に挿入される。
ストッパ部材6の第1係合部62は支持部材2のフランジ部21に形成されている回転止め凸部25の間に入り込んで係合する。この係合によりストッパ部材6は回転が拘束される。第2係合部63は第2シャフト部材4の係合穴45に係合する。第2係合部63が係合した状態では、第2シャフト部材4の回転が一時ロックされる。この一時ロックの解除はストッパ部材6を第2シャフト部材4から引き抜いて第2係合部63の係合を解除することによりなされる。
図3はストッパ部材6が支持部材2の操作穴部23から第2シャフト部材4内に挿入されることによりストッパ部材6の第2係合部63が第2シャフト部材4の係合穴45に係合し、第1係合部62が支持部材2の回転止め凸部25に係合した状態を示す。これらのストッパ部材6の係合によって第2シャフト部材4の回転が一時ロックされており、第2シャフト部材4は回転及び進出することがない。この一時ロック状態でテンショナ1をエンジン本体300に取り付けて固定する。エンジン本体300への取り付けは、支持部材2のフランジ部21をボルト止めすることによりなされる。
図4はテンショナ1をエンジン本体300へ取り付けた後、ストッパ部材6をテンショナ1から引き抜いた状態を示す。ストッパ部材6の引き抜きによってストッパ部材6による一時ロックが解除されるため、第2シャフト部材4は第1シャフト部材3に螺合した状態でばね5の回転力により回転しながら軸方向に進出し、その接触面44によってチェーンガイド340を押圧する。これによりタイミングチェーン330の張力を付与することができる。一方、エンジンからの振動(入力荷重)が大きく、タイミングチェーン330に設定以上の張力が発生すると、第2シャフト部材4は逆方向に回転しながら軸方向に後退する。
以上の実施形態のテンショナ1では、第1シャフト部材3に螺合した第2シャフト部材4がばね5からの回転力によって回転しながら軸方向に進出して相手部材(チェーンガイド340)を押圧してタイミングチェーン330に張力を付与するため、タイミングチェーン330の張力を一定に保つことができる。この構造のテンショナ1は、第1シャフト部材3が支持部材2に非回転状態で直接に固定されており、第2シャフト部材4が第1シャフト部材3に螺合した状態でばね5のばね力で回転しながら進出して相手部材を押圧する。このような構造では、第1シャフト部材が回転しないため、第1シャフト部材の回転を支持するためのシャフト受けが不要となる。又、第2シャフト部材は回転しながら進出することから、回転拘束する必要がなく、第2シャフト部材の回転を拘束するための軸受が不要となる。このようにシャフト受け及び軸受が不要となるため、これらを取り付けるためのケースも不要となり、ケースレスのテンショナとすることができる。従って、部品点数を大幅に削減して簡単な構造で、組み立てが容易で軽量化も可能なテンショナとすることができる。
次に、テンショナ1の設計例を説明する。図4において、φDは第2シャフト部材4の接触面44とチェーンガイド340の受け面344との接触径(接触平均径)である。ここでチェーンガイド340には凸状の受け部341が形成されており、チェーンガイド340の受け面344は受け部341における第2シャフト部材4に臨んだ面となっている。
本実施形態のテンショナ1は上記構造とすることにより、以下の3つのトルクが作用し、これらのトルクの釣り合いによって第2シャフト部材4の進出寸法(出代寸法)が決まる。
トルク1・・・タイミングチェーン330の張力変動に伴うエンジン振動(交番荷重)が第2シャフト部材4に入力されることにより、ねじ部(雄ねじ部31及び雌ねじ部43)に発生する第2シャフト部材4の後退(戻り)方向への回転トルク
トルク2・・・回転する第2シャフト部材4の接触面44がチェーンガイド340の受け面344を摺動することによる摺動摩擦の抵抗トルク
トルク3・・・ばね5が付勢する第2シャフト部材の進出方向のトルク
以上の3つのトルクにおいて、トルク2が小さいと第2シャフト部材4の出代位置が後退傾向となり、トルク2が大きいと第2シャフト部材4が進出傾向となる。かかるトルク2は第2シャフト部材4の接触径(接触平均径)φDによって決まる。このため、エンジン振動の強弱によって接触径(接触平均径)φDを適切に選定することにより第2シャフト部材4の出代寸法(進出寸法)を調整することが可能となる。
図10〜図12は本実施形態の変形例を示す。
図10に示す変形例のテンショナ1は、第2シャフト部材4の先端の接触面44を先細り状としてチェーンガイド340の受け面344と接触するものであり、これにより接触径φDを小さくすることが可能となる。
図11に示す変形例のテンショナ1は、チェーンガイド340の受け面344を先細り状として第2シャフト部材4の接触面44と接触するものであり、同様に接触径φDを小さくすることが可能となる。
図12に示す変形例のテンショナ1は、チェーンガイド340の受け部341に回転ピース343を回転可能に取り付け、この回転ピース343と第2シャフト部材4の接触面44とを接触させるものである。回転ピース343は第2シャフト部材4とチェーンガイド340との間で回転しながら第2シャフト部材4の押圧力を受けるように作動する。回転ピース343を設けることにより第2シャフト部材4がチェーンガイド340と直接に擦れることなく接触径φDを調整することができる。
図13はこの実施形態の変形形態のテンショナ1を示す。この形態のテンショナ1では、第2シャフト部材4に対して回転力を付与するばねとして、ぜんまいばね55を用いるものである。ぜんまいばね55はばね性を有した薄板材を渦巻き状に巻くことにより形成されるばねであり、巻き上げることにより復元力が蓄積され、この復元力によって第2シャフト部材4に回転力を付与する。ぜんまいばね55は渦巻き状のばね本体部56と、ばね本体部56の両端部となる一端部57及び他端部58を有しており、ばね本体部56が第2シャフト部材4の後部側に外挿され、一端部57が第1シャフト部材3に係止され、他端部58が第2シャフト部材4に係止される。これらの係止によりぜんまいばね55は第2シャフト部材4に対して直接に回転力を付与する。
[第2実施形態]
図14〜図25は、本発明の第2実施形態のテンショナ1Aであり、図14〜図17はテンショナ1Aの全体、図18〜図20はテンショナ1Aの動作、図21〜図25はそれぞれの部品を示している。
本実施形態のテンショナ1Aにおいては、第1実施形態に対し、支持部材2、第2シャフト部材4及びストッパ部材6が変更される。又、第2シャフト部材4の先端部にはキャップ7がカップリング8を介して間接的に取り付けられる。
支持部材2においては、そのフランジ部21における回転止め凸部25が第1実施形態の回転止め凸部25と直交する位置に形成されており、ストッパ部材6の第1係合部62がこの回転止め凸部25に係合するようになっている。第1シャフト部材3はその後端部の加締め部32に支持部材2のフランジ部21からの固定部22を加締めることにより固定されているが、この固定はこれ以外の構造であっても良い。例えば、第1実施形態と同様に、第1シャフト部材3の後端部の加締め部を外側に突出するように形成し、この加締め部に対して支持部材2のフランジ部21の固定部22を加締めても良く、第1シャフト部材3の後端部をねじによって支持部材2のフランジ部21に固定しても良く、第1シャフト部材3の後端部をスポット溶接によって支持部材2のフランジ部21に固定しても良い。さらには、第1シャフト部材3の後端部及び支持部材2におけるフランジ部21の固定部22に相互に螺合するねじ部を形成し、このねじ部を結合させることにより固定しても良い。
図16及び図17に示すように、第2シャフト部材4の先端部(図16、図17における右端部)には、カップリング8を介してキャップ7が取り付けられる。キャップ7はカップリング8を介して第2シャフト部材4の先端部に取り付けられる。カップリング8を介することからキャップ7は第2シャフト部材4に間接的に接触する。
カップリング8は図17及び図22に示すように、後端部(図22の左端部)の脚部81と、脚部81に一体に形成されたカップリング本体部82とを備え、全体が短筒状に形成されている。カップリング8は後端部の脚部81が第2シャフト部材4の先端部に挿入され、この挿入状態で割りピンからなるストッパピン9を軸方向と交差する方向に差し込んで第2シャフト部材4及び脚部81に貫通させることにより第2シャフト部材4の先端部に取り付けられる。これによりカップリング8は第2シャフト部材4と一体的に回転する。
このカップリング8に対応するため、図17、図20及び図21に示すように、第2シャフト部材4の筒状部41は第1実施形態のヘッド部42が削除された形状となっている。第2シャフト部材4の筒状部41には、ストッパピン9が挿入されるピン穴47が形成されている。
図16、図17及び図23に示すように、キャップ7はカップリング8の先端部を覆うキャップ本体部71と、キャップ本体部71から後方側に伸びる脚部72とを備えており、脚部72がカップリング本体部82を貫通するように挿入される。脚部72には、リング状の抜け止め溝73が形成されており、カップリング本体部82を貫通した脚部72の抜け止め溝73に対し止め輪10を取り付けることによりキャップ7がカップリング8の先端部に回転可能に取り付けられる。止め輪10としては、図24に示すCリングを用いることができる。かかるキャップ7は第2シャフト部材4の先端部(すなわちカップリング8の先端部)で回転可能となっており、この状態で先端側の接触面74がチェーンガイド340における受け部341の受け面345と接触する。このような構造では、第2シャフト部材4はキャップ7を介してチェーンガイド340に間接的に接触して同ガイド340を押圧する。
図25に示すように、ストッパ部材6は断面矩形の薄い板状からなり、長さ方向がT字形となるように形成されている。ストッパ部材6は第2シャフト部材4の軸方向に延びたストッパ本体部61と、ストッパ本体部61の後端部(図25における左端部)の第1係合部62と、先端部(図25における右端部)の第2係合部63とを有している。本実施形態における第2係合部63は二股状に形成されることにより係合凹部64が形成されている。この係合凹部64内にストッパピン9が入り込むことによりストッパ部材6が第2シャフト部材4に係合する。
かかるストッパ部材6の第1係合部62は支持部材2のフランジ部21に形成されている回転止め凸部25の間に入り込んで係合する。この係合によりストッパ部材6は回転が拘束される。又、第2係合部63の係合凹部64にストッパピン9が入り込むことにより第2係合部63がストッパピン9を介して第2シャフト部材4に係合する。これらの係合状態では、第2シャフト部材4の回転が一時ロックされる。この一時ロックはストッパ部材6を第2シャフト部材4から引き抜いて第2係合部63のストッパピン9への係合を解除することによりなされる(図18参照)。
図16は第2シャフト部材4が最も後退した位置に対する操作を示し、ストッパ部材6を第2シャフト部材4の内部に挿入して先端部の係合凹部64をストッパピン9に係合させると共に後端部の第1係合部62を支持部材2の回転止め凸部25に係合させている。これにより第2シャフト部材4の進出が一時ロックされた状態となる。この状態でテンショナ1Aをエンジン本体300に取り付ける。この取り付けの後、ストッパ部材6を引き抜くことにより、一時ロックを解除する。
一時ロックの解除により、第2シャフト部材4はばね5が付与する回転力により回転しながら第1シャフト部材3の軸方向に進出する。このとき、カップリング8は第2シャフト部材4と共に回転しながら進出する。図19はこの状態を示し、カップリング8を介して第2シャフト部材4に取り付けられたキャップ7は先端の接触面74がチェーンガイド340の受け面345に接触して同ガイド340を押圧する。これにより、タイミングチェーン330に張力を付与することができる。
本実施形態のテンショナ1Aでは、第1シャフト部材3に螺合した第2シャフト部材4がばね5からの回転力によって回転しながら軸方向に進出し、キャップ7を介して相手部材(チェーンガイド340)を押圧してタイミングチェーン330に張力を付与するため、タイミングチェーン330の張力を一定に保つことができる。この構造のテンショナ1Aは、第1シャフト部材3が支持部材2に非回転状態で直接に固定されており、第2シャフト部材4が第1シャフト部材3に螺合した状態でばね5のばね力により回転しながら進出し、この進出によって第2シャフト部材4に取り付けたキャップ7が相手部材を押圧する。このような構造では、第1実施形態と同様に第1シャフト部材が回転しないため、第1シャフト部材の回転を支持するためのシャフト受けが不要となる。又、第2シャフト部材は回転しながら進出することから、回転拘束する必要がなく、第2シャフト部材の回転を拘束するための軸受が不要となる。このようにシャフト受け及び軸受が不要となるため、これらを取り付けるためのケースも不要となり、ケースレスのテンショナとすることができる。従って、部品点数を大幅に削減して簡単な構造で、組み立てが容易で軽量化も可能なテンショナとすることができる。
図20は第2シャフト部材4が進出することにより、キャップ7の接触面74がチェーンガイド340(チェーンガイド340のキャップ受け面345)に接触した状態を示す。第2シャフト部材4と一体的に回転するカップリング8のキャップ摺動面83と、キャップ7のカップリング摺動面75とによって接触平均径φDが決定される。接触平均径φDは(摺動面における接触面の外径+摺動面における接触面の内径)/2によって算出される。かかる接触平均径φDは回転するカップリング8のキャップ摺動面83がキャップ7のカップリング摺動面75を摺動することによる摺動摩擦の抵抗トルクを決めるパラメータとなっていることから(第1実施形態におけるトルク2に相当)、この接触平均径φDを調整することにより、第1実施形態と同様に第2シャフト部材4の進出寸法(出代寸法)を設定することができる。
この実施形態では、キャップ7がチェーンガイド340のキャップ受け面345と接触するガイド接触面74と、このガイド接触面74と接触するチェーンガイド340のキャップ受け面345とによって接触面積が決定される。この接触面積を調整することにより、チェーンガイド340のキャップ受け面345に与える面圧を調整することができる。この場合、接触面積を大きくすることにより、チェーンガイド340のキャップ受け面345の面圧を下げることができる。
[第3実施形態]
図26〜図30は、本発明の第3実施形態のテンショナ1Bを示し、図26〜図28はテンショナ1Bの全体、図29は部分拡大断面、図30はストッパ部材の動作である。
本実施形態のテンショナ1Bにおいては、第2実施形態に対し、支持部材2、ストッパ部材6及びキャップ7が変更される。ここで第1シャフト部材3はその後端部の加締め部32に支持部材2のフランジ部21からの固定部22を加締めることにより固定されているが、この固定はこれ以外の構造であっても良い。例えば、第1実施形態と同様に、第1シャフト部材3の後端部の加締め部を外側に突出するように形成し、この加締め部に対して支持部材2のフランジ部21の固定部22を加締めても良く、第1シャフト部材3の後端部をねじによって支持部材2のフランジ部21に固定しても良く、第1シャフト部材3の後端部をスポット溶接によって支持部材2のフランジ部21に固定しても良い。さらには、第1シャフト部材3の後端部及び支持部材2におけるフランジ部21の固定部22に相互に螺合するねじ部を形成し、このねじ部を結合させることにより固定しても良い。
テンショナ1Bにおいては、図28に示すようにキャップ7の脚部72が第2シャフト部材4における筒状部41の先端部に挿入されることにより、キャップ7が第2シャフト部材4に直接取り付けられる。このとき、キャップ7の抜け止め溝73及び第2シャフト部材4の抜け止め溝48に止め輪10を取り付けることにより、キャップ7は第2シャフト部材4から抜け落ちることなく、第2シャフト部材4に対し回転可能に取り付けられる。
この実施形態において、支持部材2のフランジ部21に回転止め凸部25が形成されることがなく、ストッパ部材6の後端部側の第1係合部62はこの支持部材2のフランジ部21に当接することにより支持部材2に係合する。このようにストッパ部材6の第1係合部62が支持部材2のフランジ部21に係合した状態に対しては、係合を解除することによりストッパ部材6は第2シャフト部材4に対して回転操作可能となる。また、ストッパ部材6の先端部の第2係合部63に対し、キャップ7には第2係合部63が係合する係合穴部49が形成される。係合穴部49は図30に示すように、円形部49aと、円形部49aにおける対向部分を直線的に切り欠いた切り欠き部49bとによって形成されている。切り欠き部49bはストッパ部材6の第2係合部63の挿通を許容し、円形部49aが第2係合部63の抜け止めを行う。この抜け止めによりストッパ部材6がキャップ7と係合した状態となる。一方、ストッパ部材6の第1係合部62は支持部材2のフランジ部21に係合しているため、ストッパ部材6は第2シャフト部材4が進出する動作をキャップ7を介して一時ロックすることができる。なお、第1及び第2実施形態と同様に、支持部材2のフランジ部21に回転止め凸部25を形成し、この回転止め凸部25によってストッパ部材6を回転止め状態で係合するようにしても良い。
本実施形態のテンショナ1Bにおいても、第1シャフト部材3に螺合した第2シャフト部材4がばね5からの回転力によって回転しながら軸方向に進出し、キャップ7を介して相手部材(チェーンガイド340)を押圧してタイミングチェーン330に張力を付与するため、タイミングチェーン330の張力を一定に保つことができる。このテンショナ1Bにおいても、第1シャフト部材3が支持部材2に非回転状態で直接に固定されており、第2シャフト部材4が第1シャフト部材3に螺合した状態でばね力により回転しながら進出し、この進出によって第2シャフト部材4に取り付けたキャップ7が相手部材を押圧する。このような構造では、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第1シャフト部材が回転しないため、第1シャフト部材の回転を支持するためのシャフト受けが不要となる。又、第2シャフト部材は回転しながら進出することから、回転拘束する必要がなく、第2シャフト部材の回転を拘束するための軸受が不要となる。このようにシャフト受け及び軸受が不要となるため、これらを取り付けるためのケースも不要となり、ケースレスのテンショナとすることができる。従って、部品点数を大幅に削減して簡単な構造で、組み立てが容易で軽量化も可能なテンショナとすることができる。
この実施形態において、第2シャフト部材4におけるキャップ7に対するキャップ摺動面401とキャップ7における第2シャフト部材4に対するシャフト摺動面77とによって接触平均径φDが決定される。又、キャップ7がチェーンガイド340のキャップ受け面345と接触するガイド摺動面74と、このガイド摺動面74と接触するチェーンガイド340のキャップ受け面345(図20参照)とによって接触面積が決定される。従って、第2実施形態と同様に、この実施形態においても、接触平均径φDを調整することにより、第2シャフト部材4の進出寸法(出代寸法)を設定することができる。又、接触面積を調整することにより、チェーンガイド340のキャップ受け面345に与える面圧を調整することができる。
以上の第1〜第3実施形態においては、種々変形が可能である。
例えば、ストッパ部材6は支持部材2と係合することにより回転拘束されているが、支持部材2に第1シャフト部材3が非回転状態で取り付けられることから、この第1シャフト部材3にストッパ部材6を係合して回転拘束しても良い。また、第2シャフト部材4に回転力を付与するばね5を第2シャフト部材4の内側又は第1シャフト部材3の内側に配置しても良い。さらに第1シャフト部材3は板材等の中間部材(図示省略)を介して支持部材2に間接的に取り付けて非回転状態としても良い。
[第4実施形態]
図31〜図41は、本発明の第4実施形態のテンショナ1Cを示し、図31〜図35はテンショナ1Cの全体、図36〜図41はそれぞれの部品である。図31〜図34に示すように、テンショナ1Cは、支持部材110と、第1シャフト部材120と、第2シャフト部材130と、ばね140と、ストッパ部材150と、キャップ160とを備えている。
支持部材110はテンショナ1Cをエンジン本体300(図52参照)に取り付ける際の取り付け部材となると共に、第1シャフト部材120を非回転状態で支持する。図31〜図34及び図36に示すように、支持部材110は雲形平板状のフランジ部111と、フランジ部111に形成された固定部112とを有している。フランジ部111はエンジン本体300にボルト等によって固定される部位であり、ボルトが貫通する取付穴部113が固定部112を挟んだ2箇所に形成されている。
固定部112は第1シャフト部材120を立ち上がり状に固定する。固定部112はフランジ部111の中央部分に円筒状となって窪むように形成され、この固定部112に第1シャフト部材120が挿入されて立ち上がり状に固定される。第1シャフト部材120の固定は、その後端部(図33及び図34における左端部)を支持部材110の固定部112に圧入することにより行うことができる。又、圧入に加えて固定部112を径方向に加締めても良く、これによりさらに確実に固定することができる。第1シャフト部材120の固定はねじ止め、溶接、ねじ螺合等の圧入以外の手段によっても可能である。円筒状の固定部112の底壁部115には、後述する第2シャフト部材130の後端部のストッパ受け部131が抜け出される抜け出し穴部114が形成される。
第1シャフト部材120は図33、図34及び図38に示すように、所定長さの円筒体によって形成されており、円筒状の筒状本体部121を有している。第1シャフト部材120は支持部材110の固定部112に非回転状態で直接に固定される。すなわち第1シャフト部材120は筒状本体部121の後端側(左端側)が固定筒部122となっており、この固定筒部122が支持部材110の固定部112に圧入や圧入後の加締め等により固定される。これにより第1シャフト部材120が支持部材110に非回転状態で支持される。
第1シャフト部材120には、第2シャフト部材130を螺合状態で取り付けるための雌ねじ部123が形成される。雌ねじ部123は円筒状の筒状本体部121における先端側(右端側)の内面に軸方向への所定長さで形成される。又、第1シャフト部材120の外周面には、ばね140の一側フック部141が係止されるDカット部124が形成される。Dカット部124は第1シャフト部材120の外周面の一部を軸方向と交差する方向に直線状に切り欠くことにより窪み状に形成され、このDカット部124にばね140の一側フック部141が入り込むことによりばね140の一側フック部141が係止される(図32参照)。
第2シャフト部材130は軸方向に進出することにより相手部材としてのチェーンガイド340(タイミングチェーン330)を押圧する(図34参照)。第2シャフト部材130は図33、図34及び図37に示すように、後端側(左端側)から先端側(右端側)に向かってストッパ受け部131、シャフト部132、キャップ取付部133が軸方向に順に形成された中実のシャフト状となっている。この第2シャフト部材130は第1シャフト部材120の内部に挿入され、第1シャフト部材120への挿入状態で回転しながら軸方向に進出する。
第2シャフト部材130のストッパ受け部131は後述するストッパ部材150が係合する部位であり、支持部材110の抜け出し穴部114から抜け出され、この抜け出し状態でストッパ部材150が係合する。ストッパ部材150が係合するため、ストッパ受け部131には周溝134が形成される。
図33及び図34に示すように、第2シャフト部材130のストッパ受け部131には、止めリング138が固定されている。止めリング138はCリング等からなり、周溝134よりもシャフト部132側に位置するように第2シャフト部材13のストッパ受け部131に形成されたリング用溝139(図37参照)に嵌められる。止めリング138は第1シャフト部材120の雌ねじ部123のねじ山に当接し、この当接により第2シャフト部材130が第1シャフト部材120から抜け出ることを防止するものである。
第2シャフト部材130のシャフト部132は第1シャフト部材120の雌ねじ部123に螺合する部位である。シャフト部132は軸方向に長くなっており、その外周面の全長にわたって雄ねじ部135が形成され、この雄ねじ部135が第1シャフト部材120の雌ねじ部123に螺合する。第2シャフト部材130は雄ねじ部135が第1シャフト部材120の雌ねじ部123に螺合することにより第1シャフト部材120に支持され、この支持状態で回転しながら軸方向に進出する。一方、相手部材(チェーンガイド340)から設定以上の反力があると、第2シャフト部材130は逆方向に回転しながら軸方向に後退する。なお、設定未満の反力では、第2シャフト部材130は後退することはない。
第2シャフト部材130のキャップ取付部133は後述するキャップ160を取り付けるための部位である。キャップ取付部133は第2シャフト部材130の先端部位に形成されており、キャップ160を介して相手部材としてのチェーンガイド340を間接的に押圧する。又、キャップ取付部133はばね140の他側フック部142を係止する部位でもあり、このためばね140の他側フック部142が挿入されて係止されるスリット状のすり割り溝136が軸方向に沿って形成されている。
ばね140は第2シャフト部材130に回転力を付与するものである。ばね140は図39に示すように、コイル部143の両端部に一側フック部141及び他側フック部142が形成されたねじりばねが用いられる。ねじりばねからなるばね140はコイル部143が第1シャフト部材120に外挿され、この外挿状態で一側フック部141が第1シャフト部材120のDカット部124に係止され、他側フック部142が第2シャフト部材130のすり割り溝136に係止される。ばね140は第2シャフト部材130が回転する回転力を蓄えた状態となっており、この状態でテンショナ1Cがエンジン本体300に取り付けられる。そして、第2シャフト部材130は第1シャフト部材120との螺合状態を保ったままでばね140の回転力によって回転し、回転しながら軸方向に進出する。
ストッパ部材150は第2シャフト部材130の回転を一時的にロックする。ストッパ部材150による一時ロックはテンショナ1Cをエンジン本体300に取り付ける前に行われ、エンジン本体300への取り付け後には、ストッパ部材150を取り外して一時ロックが解除される。この実施形態のストッパ部材150は、図41に示すように薄板材を四角形のクリップ状に屈曲加工することにより形成されている。
図41に示すように、ストッパ部材150の側面部分の一部は開口されており、開口された開口部151によって第2シャフト部材130のストッパ受け部131を挟むことによりストッパ部材150が第2シャフト部材130に係合する。かかる係合は図33に示すように、第2シャフト部材130のストッパ受け部131が支持部材110の抜き出し穴部114から抜き出された状態のときに行われ、この係合によってストッパ部材150が支持部材110の外側から第2シャフト部材130をロックする。このことにより第2シャフト部材130の軸方向移動が一時的にロックされる。第2シャフト部材130の移動がロックされるため、第2シャフト部材130はばね140による回転力によっても回転することがロックされる。かかる一時ロック状態でテンショナ1Cをエンジン本体300に取り付けて固定する。
ストッパ部材150による係合解除は、テンショナ1Cをエンジン本体300へ取り付けた状態でストッパ部材150を第2シャフト部材130から取り外すことにより行われる。ストッパ部材150の取り外しによってストッパ部材150による一時ロックが解除される。これにより第2シャフト部材130は第1シャフト部材120に螺合した状態でばね140の回転力によって回転しながら軸方向に進出し、チェーンガイド340を押圧する(図34参照)。
キャップ160は図33及び図34に示すように、第2シャフト部材130の先端部位のキャップ取付部133に取り付けられる。図40に示すように、キャップ160は円形の接触面部161と、接触面部161の後側(左側)に延びる脚部162とによって形成されている。
キャップ160の脚部162は筒片状となっており、筒片状の脚部162を第2シャフト部材130のキャップ取付部133に外挿することによりキャップ160がキャップ取付部133を覆うように被せられる。そして、キャップ取付部133に被した後、脚部162の後端開口部分を縮径させる。これによりキャップ160が第2シャフト部材130のキャップ取付部133から抜け止めされた状態で、且つ回転可能となって第2シャフト部材130取り付けられる。なお、キャップ160は第2シャフト部材130に回転しないように取り付けられていても良い。
キャップ160の接触面部161は チェーンガイド340に対面するものであり、第2シャフト部材130が軸方向に進出したとき、接触面部161はチェーンガイド340の受け面344に接触する(図34参照)。この接触状態で第2シャフト部材130がチェーンガイド340(タイミングチェーン330)を押圧する。
この実施形態のテンショナ1Cにおいても、第1シャフト部材120に螺合した第2シャフト部材130がばね140からの回転力によって回転しながら軸方向に進出し、回転可能なキャップ160を介して相手部材としてのチェーンガイド340を押圧してタイミングチェーン330に張力を付与するため、タイミングチェーン330の張力を一定に保つことができる。
この構造のテンショナ1Cは、第1シャフト部材120が支持部材110に非回転状態で直接に固定されており、第2シャフト部材130が第1シャフト部材120に螺合した状態でばね140のばね力により回転しながら進出し、この進出によって第2シャフト部材130に取り付けたキャップ160が相手部材を押圧する。このような構造では、第1シャフト部材120が回転しないため、第1シャフト部材120の回転を支持するためのシャフト受けが不要となる。又、第2シャフト部材130は回転しながら進出することから、回転拘束する必要がなく、第2シャフト部材130の回転を拘束するための軸受が不要となる。このようにシャフト受け及び軸受が不要となるため、これらを取り付けるためのケースも不要となり、ケースレスのテンショナとすることができる。従って、部品点数を大幅に削減して簡単な構造で、組み立てが容易で軽量化も可能となる。
図35は第2シャフト部材130が進出することにより、キャップ160の接触面部161がチェーンガイド340(チェーンガイド340のキャップ受け面344)に接触した状態を示す。
この実施形態において、第2シャフト部材130におけるキャップ160に対するキャップ摺動面137とキャップ160における第2シャフト部材130に対するシャフト摺動面163によって接触平均径φDが決定される。又、キャップ160がチェーンガイド340のキャップ受け面344と接触する接触面部161と、この接触面部161と接触するチェーンガイド340のキャップ受け面344とによって接触面積が決定される。従って、この実施形態においても、接触平均径φDを調整することにより、第2シャフト部材130の進出寸法(出代寸法)を設定することができる。又、接触面積を調整することにより、チェーンガイド340のキャップ受け面344に与える面圧を調整することができる。そして接触面積を大きくすることにより、チェーンガイド340のキャップ受け面344の面圧を下げることができる。
[第5実施形態]
図42〜図51は、本発明の第5実施形態のテンショナ1Dを示す。図42〜図45は、テンショナ1Dの全体を示し、図46〜図51は、テンショナ1Dのそれぞれの部品を示す。
この実施形態のテンショナ1Dは、非回転状態で支持部材に固定された第1シャフト部材520と、第1シャフト部材520に螺合状態で取り付けられ、軸方向に進出することにより相手部材を直接又は間接的に押圧する第2シャフト部材530と、記第2シャフト部材530に回転力を付与するばね540とを備え、第2シャフト部材530はばね540が付与する回転力によって回転しながら進出して相手部材を押圧する構造であって、軸方向移動が拘束された状態で回転可能なコネクタ部材570がばね540と第2シャフト部材530とに係合した状態で配置され、第2シャフト部材530はコネクタ部材570を介してばね540の回転力が付与されることにより軸方向に進出する構造となっている。以上のテンショナ1Dは図42〜図45に示すように、支持部材510と、第1シャフト部材520と、第2シャフト部材530と、ばね540と、ストッパ部材550と、キャップ560と、コネクタ部材570とを備えている。
支持部材510はテンショナ1Dをエンジン本体300(図52参照)に取り付けるための取り付け部材になるとともに、第1シャフト部材510を非回転状態で支持する。支持部材510は図42〜図45及び図46に示すように、雲形平板状のフランジ部511と、フランジ部511に形成された固定部512とを有している。フランジ部511はエンジン本体300にボルト等によって固定される部位であり、ボルトが貫通する取付穴部513が固定部512を挟んだ両側に形成されている。図44及び図46において、符号514はストッパ用穴部であり、後述するストッパ部材550のピン状部551が挿入される。ストッパ用穴部514に挿入されたストッパ部材のピン状部551がコネクタ部材570に係止され(図42、図43参照)、この係止によりコネクタ部材570の回転が一時的にロックされる。
固定部512は第1シャフト部材520を立ち上がり状に固定する部位である。固定部512はフランジ部511の中央部分に円筒状となって凹むように形成され、この固定部512に第1シャフト部材520が挿入されて固定される。第1シャフト部材520はその後端部(図43及び図45における左端部)の固定軸部521を支持部材510の固定部512に圧入することにより固定される。この場合、圧入に加えて固定部512を縮径するように加締めても良く、これによりさらに確実に第1シャフト部材520を固定することができる。なお、第1シャフト部材520の固定はねじ止め、溶接、ねじ螺合等の手段によっても行うことができる。
第1シャフト部材520は図43、図45及び図47に示すように固定軸部521と、シャフト部522とが軸方向に一体的に形成された中実のシャフト状となっている。
固定軸部521はその後端部(左端部)が支持部材510の固定部512に圧入される。これにより第1シャフト部材520が非回転状態で支持部材510に立ち上がり状に支持される。固定軸部521には後述するばね540の一端部542が挿入されて係止されるすり割り溝524が軸方向に沿って形成される。
第1シャフト部材520のシャフト部522は固定軸部521よりも大径となった状態で固定軸部521に連設される。シャフト部522の外周面には雄ねじ部523が全長にわたって形成されている。又、シャフト部522が固定軸部521よりも大径となることによりこれらの境界部分には係合段差部525が形成される。かかる係合段差部525は後述するコネクタ部材570が軸方向に移動することを拘束するように作用する。
第2シャフト部材530は軸方向に進出することにより相手部材としてのチェーンガイド340(タイミングチェーン330)を押圧する。第2シャフト部材530は図43、図45及び図48に示すように、全体が円筒状に形成されており、その内部に第1シャフト部材520のシャフト部522が挿入される。このため第2シャフト部材530は軸方向に延びた円筒状の筒本体部531を備え、この筒本体部531の内部に第1シャフト部材520が挿入される。
このような第2シャフト部材530は第1シャフト部材520に外挿され、この外挿状態で回転しながら軸方向に進出する。かかる第2シャフト部材530の筒本体部531の内面には雌ねじ部532が形成される。雌ねじ部532は筒本体部531に挿入された第1シャフト部材520の雄ねじ部523が螺合するものであり、この螺合により第2シャフト部材530が回転しながら進出する。この実施形態において、第2シャフト部材530は後述するように、コネクタ部材570と共回りしながら進出するものである。なお、この実施形態において、雌ねじ部532は筒本体部531内における後端部(左端部)に所定の長さで形成される。
第2シャフト部材530の先端部には、図43及び図45に示すように後述するキャップ560が回転可能に取り付けられる。キャップ560を取り付けるため、第2シャフト部材530の筒本体部531の外面には、周溝からなるキャップ係止溝533が形成されている。
図42、図44及び図48に示すように、第2シャフト部材530の筒本体部531には摺動面部534が形成される。摺動面部534は円形となっている筒本体部531の両側に対して平行カット(いわゆるDカット)を施すことにより形成される。この摺動面部534は筒本体部531に対し、軸方向に沿った所定の長さとなるように形成される。かかる摺動面部534は後述するコネクタ部材570の対面爪部576と共に回転力伝達手段590を構成する。回転力伝達手段590については後述する。
なお、第2シャフト部材530の筒本体部531における後端部(左端部)には、径方向外側に突出した外れ止め凸部535が形成されている。外れ止め凸部535は第2シャフト部材530が軸方向に進出したときにコネクタ部材570から外れることを防止する。
第2シャフト部材530に回転力を付与するばね540は、ぜんまいばねが用いられる。ぜんまいばね540はばね性を有した薄板材を渦巻き状に巻くことにより形成されるばねであり、巻き上げることにより復元力が蓄積され、この復元力により第2シャフト部材530に回転力を付与する。ぜんまいばねはねじりばねに比べてばね定数を低くすることができ、安定した回転力を付与することができるメリットがある。
かかるぜんまいばね540は渦巻き状のばね本体部541と、ばね本体部541の両端部となる一端部(内端部)542と、他端部(外端部)543とを有している。図42〜図45に示すように、ぜんまいばね540はばね本体部541が第1シャフト部材520の固定軸部521に外挿され、一端部(内端部)542が第1シャフト部材520のすり割り溝524に係止され、他端部(外端部)543がコネクタ部材570の脚部573に係止されて組み付けられる。
ストッパ部材550は第2シャフト部材530の回転を一時的にロックする部材である。この実施形態において、第2シャフト部材530にコネクタ部材570が組み付けられる構造となっており、ストッパ部材550はコネクタ部材570に係合することにより、第2シャフト部材530の回転をロックする。図51に示すようにストッパ部材550はピン状に形成されてコネクタ部材570(コネクタ部材570のストッパ受け部572)に係合するピン状部551と、ピン状部551と一体に形成されたストッパ基部552とによって形成されている。ストッパ基部552は支持部材510のフランジ部511に当接してストッパ部材550の支持部材510への取り付け状態を保持する。
かかるストッパ部材550によって第2シャフト部材530の回転がコネクタ部材570を介して一時的にロックされる。ストッパ部材550による一時ロックはテンショナ1Dをエンジン本体300に取り付ける前に行われ、エンジン本体300への取り付け後には、ストッパ部材550を支持部材510から引き抜く。これによりストッパ部材550による一時ロックが解除される。
キャップ560は図43及び図45に示すように第2シャフト部材530の先端面に取り付けられる。図50に示すように、キャップ560は円形の接触面部561と、接触面部561の後側(左側)に延びる脚部562とによって形成されている。
キャップ560の脚部562は筒状となっており、この脚部562を第2シャフト部材530の先端部(右端部)に外挿することによりキャップ560が第2シャフト部材530の先端部を覆うように被せられる。その後、脚部562の後端開口部分を縮径させる。これによりキャップ560が第2シャフト部材530の先端部から抜け止めされた状態で、且つ回転可能となって第2シャフト部材530の先端部に取り付けられる。なお、キャップ560は第2シャフト部材530に回転しないように取り付けられていても良い。
キャップ560の接触面部561はチェーンガイド340に対面するものであり、第2シャフト部材530が軸方向に進出したとき、接触面部561がチェーンガイド340の受け面344に接触する(図34参照)。この接触状態で第2シャフト部材530がチェーンガイド340(タイミングチェーン330)を押圧する。図50において、符号563は第2シャフト部材530の先端面が摺動可能に接触するシャフト摺動面である。
コネクタ部材570は軸方向移動が拘束された状態で、ぜんまいばね540と第2シャフト部材530とに係合するように配置される。このようなコネクタ部材570はぜんまいばね540の回転力を中継して第2シャフト部材530に伝達するように作用する。
図49はコネクタ部材570を示す。コネクタ部材570はストッパ受け部572と、脚部573と、対面爪部576とを有している。このコネクタ部材570は側面から見て鞍形状に形成されたコネクタ板部571を備えている。このコネクタ板部571には、第1シャフト部材520の固定軸部521が挿通するシャフト穴部574が形成される。かかるコネクタ板部571は第1シャフト部材520が挿通した状態で第1シャフト部材520の係合段差部525にセットされる。これによりコネクタ部材570が軸方向の移動が拘束された状態で組み付けられる。
ストッパ受け部572はコネクタ板部571の幅方向両端部の2箇所を凹ませることにより形成されている。このストッパ受け部572にはストッパ部材550のピン状部551が係止される。
脚部573はコネクタ板部571の周辺の複数箇所(4箇所)に形成されている。脚部573はコネクタ板部571を後側(左側)に向かって部分的に屈曲させることにより形成されるものであり、複数の内のいずれか1つの脚部573にぜんまいばね540の外端部543が係止される(図42、図43参照)。これによりぜんまいばね540の回転力がコネクタ部材570に伝達されるため、コネクタ部材570が回転する。
コネクタ板部571には、対向した状態で同板部571の前側(右側)に延びる一対の延設板部575が形成されている。一対の延設板部575は延設終端部で相互に接近するように屈曲されており、対面爪部576はこの延設終端部に一体的に形成される。これにより対面爪部576は一対となってコネクタ部材570に形成される。
一対の対面爪部576は第2シャフト部材530に形成された摺動面部534に対面し、この対面状態で摺動面部534に係合するように設けられるものである。各対面爪部576は摺動受け面部577と、摺動受け面部577の両側の係爪部578とによって形成されている。摺動受け面部577は平面状に形成されており、第2シャフト部材530の摺動面部534が接触し、この接触状態で摺動面部534が摺動する。係爪部578は摺動受け面部577の両側で第2シャフト部材530の摺動面部534を挟むように係合し、この係爪部578の係合によって対面爪部576が第2シャフト部材530の摺動面部534から外れることが防止され、対面爪部576と第2シャフト部材530の摺動面部534との係合状態を保持することができる。かかる係合によってコネクタ部材570の回転が第2シャフト部材530に伝達され、第2シャフト部材530はコネクタ部材570と共回りする。このとき第2シャフト部材530は第1シャフト部材520と螺合しているため、共回りによって回転することにより第2シャフト部材530は軸方向に進出して相手部材を押圧する。このようなコネクタ部材570の対面爪部576及び第2シャフト部材530の摺動面部534によってぜんまいばね540の回転力を第2シャフト部材530に伝達する回転力伝達手段590が形成される。
次に、この実施形態のテンショナ1Dの動作を説明する。図42及び図43は、第2シャフト部材530の進出が一時ロックされた状態であり、ストッパ部材550を支持部材510に差し込むことにより、ストッパ部材550のピン状部551がコネクタ部材570のストッパ受け部572に係止されている。この状態では、ぜんまいばね540の回転力はコネクタ部材570に作用しても、コネクタ部材570が回転することがなく第2シャフト部材530の進出がロックされている。
図44及び図45は、ストッパ部材550を支持部材510から引き抜いた状態であり、ストッパ部材550のピン状部551がコネクタ部材570のストッパ受け部572との係止から抜け出る。この状態では、ぜんまいばね540の回転力によりコネクタ部材570が回転する。このときコネクタ部材570の対面爪部576が第2シャフト部材530の摺動面部534と係合しているため、第2シャフト部材530はコネクタ部材570と共回りする。第2シャフト部材530は、第1シャフト部材520と螺合しているため、第2シャフト部材530は回転に伴って軸方向に進出する。これにより、第2シャフト部材530の先端面に取り付けられているキャップ560が相手部材としてのチェーンガイド340と接触し、第2シャフト部材530によるチェーンガイド340への押圧が行われる。一方、相手部材から設定以上の反力があると、第2シャフト部材530は逆方向に回転しながら軸方向に後退する。なお、設定未満の反力では、第2シャフト部材530は後退することはない。
このようなテンショナ1Dでは、第1シャフト部材520に螺合した第2シャフト部材530がぜんまいばね540からの回転力によってコネクタ部材570と共回りするため、回転しながら軸方向に進出し、回転可能なキャップ560を介して相手部材としてのチェーンガイド340を押圧してタイミングチェーン330に張力を付与するため、タイミングチェーン330の張力を一定に保つことができる。
このテンショナ1Dは、第1シャフト部材520が支持部材510に非回転状態で直接に固定されており、第2シャフト部材530が第1シャフト部材520に螺合した状態でコネクタ部材570を介したぜんまいばね540のばね力により回転しながら進出し、この進出によって第2シャフト部材530に取り付けたキャップ560が相手部材を押圧する。このような構造では、第1シャフト部材520が回転しないため、第1シャフト部材520の回転を支持するためのシャフト受けが不要となる。又、第2シャフト部材530は回転しながら進出することから、回転拘束する必要がなく、第2シャフト部材530の回転を拘束するための軸受が不要となる。このようにシャフト受け及び軸受が不要となるため、これらを取り付けるためのケースも不要となり、ケースレスのテンショナとすることができる。従って、部品点数を大幅に削減して簡単な構造で、組み立てが容易で軽量化も可能となる。
この実施形態においては、ぜんまいばね540の一端部542が第1シャフト部材520のすり割り溝524に係止されているが、この一端部542は固定側に係止されていれば良く、支持部材510に係止しても良い。
又、ストッパ部材550が支持部材510に取り付けられるが、これに限らずストッパ部材550を固定側である第1シャフト部材520に取り付けても良い。
さらに、コネクタ板部571が第1シャフト部材520の係合段差部525に係合することによりコネクタ部材570の軸方向への移動が拘束されているが、これに限らず第1シャフト部材520にスリットを形成し、このスリットにコネクタ部材570(コネクタ板部571)を係止しても良い。さらに、第2シャフト部材530の先端部に回転可能に取り付けられるキャップ560を省略しても良い。
1、1A、1B、1C、1D テンショナ
2、110、510 支持部材
3、120、520 第1シャフト部材
4、130、530 第2シャフト部材
5、140、540 ばね
6、150、550 ストッパ部材
7、160、560 キャップ
8 カップリング
300 エンジン本体
340 チェーンガイド
534 摺動面部
570 コネクタ部材
576 対面爪部
590 回転力伝達手段

Claims (15)

  1. 非回転状態で支持部材に固定された第1シャフト部材と、
    前記第1シャフト部材に螺合状態で取り付けられ、軸方向に進出することにより相手部材を直接又は間接的に押圧する第2シャフト部材と、
    前記第2シャフト部材に直接に回転力を付与するばねとを備え、
    前記第2シャフト部材は前記ばねが付与する回転力によって回転しながら進出して前記相手部材を押圧し、
    前記ばねは前記第1シャフト部材及び前記第2シャフト部材に外挿されていることを特徴とするテンショナ。
  2. 非回転状態で支持部材に固定された第1シャフト部材と、
    前記第1シャフト部材に螺合状態で取り付けられ、軸方向に進出することにより相手部材を直接又は間接的に押圧する第2シャフト部材と、
    前記第2シャフト部材に直接に回転力を付与するばねとを備え、
    前記第2シャフト部材は前記ばねが付与する回転力によって回転しながら進出して前記相手部材を押圧し、
    前記第2シャフト部材と前記相手部材とが接触する接触平均径が前記第2シャフト部材の進出寸法に合わせて設定されることを特徴とするテンショナ。
  3. 非回転状態で支持部材に固定された第1シャフト部材と、
    前記第1シャフト部材に螺合状態で取り付けられ、軸方向に進出することにより相手部材を直接又は間接的に押圧する第2シャフト部材と、
    前記第2シャフト部材に直接に回転力を付与するばねとを備え、
    前記第2シャフト部材は前記ばねが付与する回転力によって回転しながら進出して前記相手部材を押圧し、
    前記第2シャフト部材の先端面と直接又は間接的に接触して前記第2シャフト部材に対して回転可能となっているキャップをさらに備え、前記キャップが前記相手部材に当接しており、
    前記第2シャフト部材と前記キャップとが接触する接触平均径が前記第2シャフト部材の進出寸法に合わせて設定されることを特徴とするテンショナ。
  4. 非回転状態で支持部材に固定された第1シャフト部材と、
    前記第1シャフト部材に螺合状態で取り付けられ、軸方向に進出することにより相手部材を直接又は間接的に押圧する第2シャフト部材と、
    前記第2シャフト部材に直接に回転力を付与するばねとを備え、
    前記第2シャフト部材は前記ばねが付与する回転力によって回転しながら進出して前記相手部材を押圧し、
    後端部が前記支持部材又は前記第1シャフト部材に係合して回転拘束され、先端部が前記第2シャフト部材に直接又は間接的に係合して前記第2シャフト部材の回転をロックするストッパ部材が前記第2シャフト部材の軸方向に挿脱可能に挿入されることを特徴とするテンショナ。
  5. 非回転状態で支持部材に固定された第1シャフト部材と、
    前記第1シャフト部材に螺合状態で取り付けられ、軸方向に進出することにより相手部材を直接又は間接的に押圧する第2シャフト部材と、
    前記第2シャフト部材に直接に回転力を付与するばねとを備え、
    前記第2シャフト部材は前記ばねが付与する回転力によって回転しながら進出して前記相手部材を押圧し、
    前記第2シャフト部材に係脱可能に係合して前記第2シャフト部材の軸方向の移動をロックするストッパ部材が前記支持部材又は前記第1シャフト部材に着脱自在となっていることを特徴とするテンショナ。
  6. 前記第2シャフト部材の進出は前記第2シャフト部材が前記第1シャフト部材に螺合した状態でのみ支持されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のテンショナ。

  7. 前記ばねは一端が前記第1シャフト部材に係止され、他端が前記第2シャフト部材に係止されたねじりばねであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のテンショナ。
  8. 前記ばねは一端が前記第1シャフト部材に係止され、他端が前記第2シャフト部材に係止されたぜんまいばねであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のテンショナ。
  9. 非回転状態で支持部材に固定された第1シャフト部材と、
    前記第1シャフト部材に螺合状態で取り付けられ、軸方向に進出することにより相手部材を直接又は間接的に押圧する第2シャフト部材と、
    前記第2シャフト部材に回転力を付与するばねとを備え、
    前記第2シャフト部材は前記ばねが付与する回転力によって回転しながら進出して前記相手部材を押圧する構造であって、
    軸方向移動が拘束された状態で回転可能なコネクタ部材が前記ばねと前記第2シャフト部材とに係合した状態で配置され、前記第2シャフト部材は前記コネクタ部材を介してばねの回転力が付与されることにより前記軸方向に進出することを特徴とするテンショナ。
  10. 前記ばねは一端部が前記第1シャフト部材又は前記支持部材に係止され、他端部が前記コネクタ部材に係止されたぜんまいばねであることを特徴とする請求項9記載のテンショナ。
  11. 前記コネクタ部材に係合してコネクタ部材の回転をロックするストッパ部材が前記支持部材又は前記第1シャフト部材に着脱可能となっていることを特徴とする請求項9記載のテンショナ。
  12. 前記第2シャフト部材に対して回転可能なキャップが第2シャフト部材の先端面に接触した状態で取り付けられていることを特徴とする請求項9記載のテンショナ。
  13. 前記コネクタ部材及び前記第2シャフト部材に、相互に係合することにより前記回転力を伝達する回転力伝達手段が形成されていることを特徴とする請求項9記載のテンショナ。
  14. 前記第2シャフト部材は前記回転力伝達手段が相互に係合した状態のままで前記軸方向に進出することを特徴とする請求項13記載のテンショナ。
  15. 前記回転力伝達手段は、前記第2シャフト部材の軸方向に沿って形成された摺動面部と、この摺動面部に対面して係合し当該係合状態で前記摺動面部が摺動するように前記コネクタ部材に形成された対面爪部とによって形成されることを特徴とする請求項14載のテンショナ。
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