JP6816697B2 - 電極板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、帯状の集電箔と、この集電箔上に形成され、活物質粒子を含む活物質層とを備える電極板の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ等の蓄電デバイスに用いられる電極板として、帯状の集電箔とこの集電箔上に形成された活物質層とを備える電極板が知られている。このような電極板は、例えば以下の手法によって製造することが知られている。即ち、活物質粒子等に溶媒を加えて混合し造粒して、湿潤粒子からなる粒子集合体を得る。一方で、Aロールと、このAロールに間隙を介して平行に配置されたBロールと、このBロールに間隙を介して平行に配置されたCロールとを備えるロールプレス機を用意する。そして、上述の粒子集合体をAロールとBロールとの間に通して、Bロール上に湿潤粒子からなる湿潤粒子膜を造膜する。続いて、BロールとCロールとの間で、Cロールに巻き付けられ搬送される集電箔上に、この湿潤粒子膜を転写して、集電箔上に未乾燥活物質層を形成する。その後、集電箔上の未乾燥活物質層を加熱乾燥させて、活物質層を形成する。なお、これに関連する従来技術として、例えば特許文献1(特許文献1の図1(a)等を参照)が挙げられる。
特開2013−215688号公報
しかしながら、上述の製造方法によって集電箔上に活物質層を形成すると、活物質層の幅方向の両端縁に凹凸が生じて、両端縁を直線状に形成できない場合があることが判ってきた。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、活物質粒子及び溶媒を含み造粒された湿潤粒子を用いて活物質層を形成しながらも、活物質層の幅方向の両端縁に凹凸が生じるのを抑制した電極板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、帯状の集電箔と、この集電箔上に形成され、活物質粒子を含む活物質層とを備える電極板の製造方法であって、軸方向寸法L1が上記集電箔の幅方向寸法Wよりも短く(L1<W)された第1ロール、及び、上記第1ロールに間隙を介して平行に配置され、軸方向寸法L2が上記集電箔の幅方向寸法Wよりも長く(L2>W>L1)、自身の両端部が上記第1ロールよりも軸方向の両外側にそれぞれ位置する第2ロールを用い、上記第1ロール上に造膜された、上記活物質粒子及び溶媒を含み造粒された湿潤粒子からなる湿潤粒子膜を、上記集電箔の幅方向の両端部を上記第1ロールよりも軸方向の両外側にそれぞれ位置させ、上記第2ロールに巻き付けて搬送した上記集電箔上に、転写して未乾燥活物質層を形成する転写工程と、上記集電箔上の上記未乾燥活物質層を乾燥させて、上記活物質層を形成する乾燥工程と、を備え、上記転写工程は、上記第1ロールの軸方向の両外側、かつ、上記第2ロールで搬送される上記集電箔の上方にそれぞれ配置した一対の規制部材で、上記未乾燥活物質層の幅方向の両端縁の位置をそれぞれ規制しつつ行い、上記一対の規制部材を、上記第1ロールの両端面と、それぞれ軸方向に第1間隙C1a,C1bを介して離間し、しかも、上記第1ロールが回転しても、上記第1間隙C1a,C1bが最大で上記活物質粒子の平均粒径Dの4倍以下(max(C1a)≦4D,max(C1b)≦4D)となる軸方向位置に、かつ、上記第2ロール上の上記集電箔の表面と、それぞれ上記第2ロールの径方向に第2間隙C2a,C2bを介して離間し、しかも、上記第2ロールが回転しても、上記第2間隙C2a,C2bが最大で上記活物質粒子の上記平均粒径Dの4倍以下(max(C2a)≦4D,max(C2b)≦4D)となる径方向位置に、それぞれ配置する電極板の製造方法である。
上述の電極板の製造方法では、一対の規制部材を、第1ロールの軸方向の両外側、かつ、第2ロールで搬送される集電箔の上方にそれぞれ配置して、これらの規制部材で未乾燥活物質層の幅方向の両端縁の位置をそれぞれ規制しつつ、転写工程を行う。これにより、未乾燥活物質層及びこれを乾燥させた活物質層の幅方向の両端縁に凹凸が生じるのを抑制できる。
ここで、上述の転写工程において、一対の規制部材を第1ロールの両端面にそれぞれ当接させて、これらの規制部材で未乾燥活物質層の幅方向の両端縁の位置をそれぞれ規制する手法が考えられる。しかし、規制部材を第1ロールの端面に当接させると、規制部材が摩耗する。これに対し、上述の製造方法では、一対の規制部材を、第1ロールの両端面とそれぞれ軸方向に第1間隙C1a,C1bを介して離間する軸方向位置に配置している。このため、転写工程中に規制部材が第1ロールの端面に接触して規制部材が摩耗するのを防止できる。
但し、上述の第1間隙C1a,C1bを大きくし過ぎると、具体的には、第1間隙C1a,C1bを活物質粒子の平均粒径Dの4倍よりも大きくすると、転写工程において未乾燥活物質層の一部が第1間隙C1a,C1bを通じて外側に漏れ出す場合があることが判ってきた。なお、第1ロールの端面の軸方向位置は、第1ロールの回転と共に変動する(いわゆる振れが生じる)。このため、第1ロールの回転と共に第1間隙C1a,C1bの大きさもそれぞれ変動する。そこで、上述の製造方法では、一対の規制部材を、第1間隙C1a,C1bが最大で活物質粒子の平均粒径Dの4倍以下(max(C1a)≦4D,max(C1b)≦4D)となる軸方向位置に配置している。このため、転写工程において未乾燥活物質層の一部が第1間隙C1a,C1bを通じて外側に漏れ出すのを防止できる。
また、転写工程において、一対の規制部材を第2ロールで搬送される集電箔の表面に当接させて、これらの規制部材で未乾燥活物質層の幅方向の両端縁の位置をそれぞれ規制する手法が考えられる。しかし、規制部材を集電箔の表面に当接させると、規制部材が摩耗する。これに対し、上述の製造方法では、一対の規制部材を、集電箔の表面とそれぞれ第2ロールの径方向に第2間隙C2a,C2bを介して離間する径方向位置に配置している。このため、転写工程中に規制部材が集電箔の表面に接触して規制部材が摩耗するのを防止できる。
但し、上述の第2間隙C2a,C2bを大きくし過ぎると、具体的には、第2間隙C2a,C2bを活物質粒子の平均粒径Dの4倍よりも大きくすると、転写工程において未乾燥活物質層の一部が第2間隙C2a,C2bを通じて外側に漏れ出す場合があることが判ってきた。なお、第2ロールに巻き付けられた集電箔の表面の径方向位置は、第2ロールの回転と共に変動する(いわゆる振れが生じる)。このため、第2ロールの回転と共に第2間隙C2a,C2bの大きさもそれぞれ変動する。そこで、上述の製造方法では、一対の規制部材を、第2間隙C2a,C2bが最大で活物質粒子の平均粒径Dの4倍以下(max(C2a)≦4D,max(C2b)≦4D)となる径方向位置に配置している。このため、転写工程において未乾燥活物質層の一部が第2間隙C2a,C2bを通じて外側に漏れ出すのを防止できる。
実施形態に係る負極板の斜視図である。 実施形態に係る負極板の製造方法のフローチャートである。 実施形態に係る負極板の製造方法のうち、電極板製造装置を用いて集電箔上に第1未乾燥活物質層を形成する様子を示す説明図である。 実施形態に係る負極板の製造方法のうち、図3の第1未乾燥活物質層を形成する様子を上方から見た説明図である。 実施形態に係る負極板の製造方法のうち、第1転写工程で集電箔上に第1未乾燥活物質層を形成する場合における、第1,第2規制部材とB,Cロール等との関係を示す説明図である。 実施形態に係る負極板の製造方法のうち、第2転写工程で集電箔上に第2未乾燥活物質層を形成する場合における、第1,第2規制部材とB,Cロール等との関係を示す説明図である。 集電箔上に形成された第1未乾燥活物質層の幅方向の端縁を示す部分拡大平面図であり、(a)は比較形態に係る第1未乾燥活物質層を示し、(b)は実施形態に係る第1未乾燥活物質層を示す。 活物質粒子の平均粒径Dと、許容できる最大第1間隙max(C1a)との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に、本実施形態に係る負極板(電極板)1の斜視図を示す。なお、以下では、負極板1の長手方向EH、幅方向FH及び厚み方向GHを、図1に示す方向と定めて説明する。この負極板1は、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、電気自動車等の車両などに搭載される角型で密閉型のリチウムイオン二次電池を製造するのに、具体的には、扁平状捲回型の電極体を製造するのに用いられる帯状の負極板である。
負極板1は、長手方向EHに延び、幅方向寸法WがW=240mmの帯状の銅箔からなる集電箔3を有する。この集電箔3の第1主面3aのうち、幅方向FHの中央でかつ長手方向EHに延びる領域上には、第1活物質層5が帯状に形成されている。また、集電箔3の反対側の第2主面3bのうち、幅方向FHの中央でかつ長手方向EHに延びる領域上にも、第2活物質層6が帯状に形成されている。負極板1のうち幅方向FHの両端部は、それぞれ、厚み方向GHに第1活物質層5及び第2活物質層6が存在せず、集電箔3が厚み方向GHに露出した露出部1m,1mとなっている。
第1活物質層5及び第2活物質層6は、それぞれ、活物質粒子11と結着剤13とから構成されている。本実施形態では、活物質粒子11は、黒鉛粒子であり、その平均粒径DはD=10μmである。また、結着剤13はカルボシキメチルセルロース(CMC)である。
次いで、上記負極板1の製造方法について説明する(図2〜図6参照)。まず「粒子集合体形成工程S1」において、湿潤粒子21からなる粒子集合体22を形成する。この湿潤粒子21は、多数の活物質粒子11(本実施形態では黒鉛粒子)、結着剤13(本実施形態ではCMC)及び溶媒17(本実施形態では水)からなる湿潤状態の粒子である。
粒子集合体形成工程S1においては、材料の混合及び造粒を行うことが可能な攪拌式混合造粒装置(不図示)を用意する。そして、この攪拌式混合造粒装置内に活物質粒子11を投入し、更に結着剤13を加えて混合し、その後、溶媒17を加えて混合して造粒する。これにより、湿潤粒子21からなる粒子集合体22を得る。
次に、「第1造膜工程S2」において、上述の粒子集合体22を用いて、湿潤粒子21からなる湿潤粒子膜23を後述するBロール120上に造膜する。この第1造膜工程S2及び後述する第1転写工程S3は、図3〜図5に概略を示す電極板製造装置100を用いて行う。
この電極板製造装置100は、3本のロールを有する。具体的には、電極板製造装置100は、Aロール110と、このAロール110にロール間隙KG1を介して平行に配置されたBロール120と、このBロール120にロール間隙KG2を介して平行に配置されたCロール130とを有する。これらAロール110〜Cロール130には、それぞれロールを回転駆動させるモータ(不図示)が連結されている。なお、本実施形態では、Bロール120が前述の「第1ロール」に該当し、Cロール130が前述の「第2ロール」に該当する。
このうちBロール120の軸方向寸法L1は、L1=200mmであり、前述の集電箔3の幅方向寸法W=240mmよりも短く(L1<W)されている。一方、Cロール130の軸方向寸法L2は、L2=300mmであり、集電箔3の幅方向寸法Wよりも長く(L2>W>L1)されている。Cロール130は、その軸方向AHの両端部131,132がBロール120よりも軸方向AHの両外側(一方側AH1及び他方側AH2)にそれぞれ位置するように配置されている。即ち、Cロール130の一方の端部131は、Bロール120よりも軸方向AHの一方側AH1(図4中、下側、図5中、右側)に配置され、Cロール130の他方の端部132は、Bロール120よりも軸方向AHの他方側AH2(図4中、上側、図5中、左側)に配置されている。
このCロール130は、後述するように、集電箔3を搬送する。Cロール130には、集電箔3の幅方向FHの両端部3c,3dが、Bロール120よりも軸方向AHの両外側(一方側AH1及び他方側AH2)にそれぞれ位置するように、集電箔3が巻き付けられる。即ち、集電箔3の一方の端部3cは、Bロール120よりも軸方向AHの一方側AH1(図4中、下側、図5中、右側)に配置され、集電箔3の他方の端部3dは、Bロール120よりも軸方向AHの他方側AH2(図4中、上側、図5中、左側)に配置される。
また、電極板製造装置100は、Aロール110とBロール120とのロール間隙KG1の上方に、湿潤粒子21からなる粒子集合体22をこのロール間隙KG1に向けて供給する集合体供給部140を有する。
更に、電極板製造装置100は、一対の規制部材(第1規制部材150及び第2規制部材160)を備える。これら第1規制部材150及び第2規制部材160は、樹脂からなり、概略直方体形状を有する。これら第1規制部材150及び第2規制部材160は、Bロール120の軸方向AHの両外側(一方側AH1及び他方側AH2)、かつ、Cロール130で搬送される集電箔3の上方にそれぞれ配置されている。
具体的には、第1規制部材150の第1規制面150aをBロール120の一方の端面120cに向けて、Bロール120を回転させた状態でも、Bロール120の端面120cと軸方向AHに第1間隙C1aを介して離間する軸方向位置に、第1規制部材150を配置する。
なお、Bロール120を回転させると、その端面120cの位置が軸方向AHに変動する(いわゆる振れが生じる)ため、これに伴って第1間隙C1aの大きさも変動する。この変動に対し、第1間隙C1aの最大値である最大第1間隙max(C1a)が、前述の活物質粒子11の平均粒径D=10μmの4倍(40μm)以下となる軸方向位置(本実施形態では、最大第1間隙max(C1a)=30μmとなる軸方向位置)に、第1規制部材150を配置する。これにより、第1規制部材150は、Bロール120を回転させても、Bロール120の端面120cに接触することがなく、かつ、Bロール120の端面120cから平均粒径Dの4倍(40μm)以上離れることもない。
また、第1規制部材150は、第1規制部材150の第2規制面150bをCロール130上の集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bに向けて、Cロール130を回転させた状態でも、集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bとCロール130の径方向KHに第2間隙C2aを介して離間する径方向位置に配置する。
なお、Cロール130を回転させると、Cロール130で搬送される集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bの位置が径方向KHに変動する(いわゆる振れが生じる)。また、集電箔3の厚みも変化する。このため、これらによって集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bと第1規制部材150との径方向の第2間隙C2aの大きさも変動する。この変動に対し、第2間隙C2aの最大値である最大第2間隙max(C2a)が、前述の活物質粒子11の平均粒径D=10μmの4倍(40μm)以下となる径方向位置(本実施形態では、最大第2間隙max(C2a)=30μmとなる径方向位置)に、第1規制部材150を配置する。これにより、第1規制部材150は、Cロール130を回転させても、Cロール130上の集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bに接触することがなく、かつ、集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bから平均粒径Dの4倍(40μm)以上離れることもない。
一方で、第2規制部材160の第1規制面160aをBロール120の他方の端面120dに向けて、Bロール120を回転させた状態でも、Bロール120の端面120dと軸方向AHに第1間隙C1bを介して離間する軸方向位置に、第2規制部材160を配置する。
なお、Bロール120を回転させると、その端面120dの位置が軸方向AHに変動する(いわゆる振れが生じる)ため、これに伴って第1間隙C1bの大きさも変動する。この変動に対し、第1間隙C1bの最大値である最大第1間隙(C1b)が、前述の活物質粒子11の平均粒径D=10μmの4倍(40μm)以下となる軸方向位置(本実施形態では、最大第1間隙max(C1b)=30μmとなる軸方向位置)に、第2規制部材160を配置する。これにより、第2規制部材160は、Bロール120を回転させても、Bロール120の端面120dに接触することがなく、かつ、Bロール120の端面120dから平均粒径Dの4倍(40μm)以上離れることもない。
また、第2規制部材160は、第2規制部材160の第2規制面160bをCロール130上の集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bに向けて、Cロール130を回転させた状態でも、集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bとCロール130の径方向KHに第2間隙C2bを介して離間する径方向位置に配置する。
なお、Cロール130を回転させると、Cロール130で搬送される集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bの位置が径方向KHに変動する(いわゆる振れが生じる)。また、集電箔3の厚みも変化する。このため、これらによって集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bと第2規制部材160との径方向の第2間隙C2bの大きさも変動する。この変動に対し、第2間隙C2bの最大値である最大第2間隙max(C2b)が、前述の活物質粒子11の平均粒径D=10μmの4倍(40μm)以下となる径方向位置に(本実施形態では、最大第2間隙max(C2a)=30μmとなる軸方向位置)に、第2規制部材160を配置する。これにより、第2規制部材160は、Cロール130を回転させても、Cロール130上の集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bに接触することがなく、かつ、集電箔3の第1主面3aまたは第2主面3bから平均粒径Dの4倍(40μm)以上離れることもない。
第1造膜工程S2及び後述する第1転写工程S3を行うにあたり、Aロール110〜Cロール130を、図3中に矢印で示す回転方向にそれぞれ回転させる。即ち、Aロール110及びCロール130は、同じ回転方向(本実施形態では時計回り)に回転させ、Bロール120は、これらとは逆方向(本実施形態では反時計回り)に回転させる。また、Aロール110の周速VaよりもBロール120の周速Vbを速くし、更にBロール120の周速VbよりもCロール130の周速Vcを速くする(Va<Vb<Vc)。
そこで、集合体供給部140に前述の湿潤粒子21からなる粒子集合体22を投入すると、投入された粒子集合体22は、Aロール110とBロール120のロール間隙KG1に向けて供給され、Aロール110とBロール120との間を通って膜状の湿潤粒子膜23となって図3中、下方に押し出され、Bロール120上に造膜される。このBロール120上の湿潤粒子膜23は、Cロール130側に向けて搬送される。
続いて、「第1転写工程S3」において、Bロール120上に造膜された湿潤粒子膜23を、Cロール130で搬送される集電箔3上に転写して、第1未乾燥活物質層5xを形成する。具体的には、集電箔3の幅方向FHの両端部3c,3dがBロール120よりも軸方向AHの両外側(一方側AH1及び他方側AH2)にそれぞれ位置するように、供給ロール(不図示)から引き出した集電箔3をCロールに巻き付けて、Cロール130で集電箔3を搬送する。そして、Bロール120とCロール130との間に集電箔3を通過させつつ、Bロール120とCロール130との間で、Bロール120上の湿潤粒子膜23を集電箔3の第1主面3a上に転写する。
Cロール130によって搬送された集電箔3は、Bロール120とCロール130との間でBロール120上の湿潤粒子膜23と接触する。そして、Bロール120とCロール130との間で、湿潤粒子膜23が集電箔3の第1主面3a上に転写され、集電箔3の第1主面3a上に第1未乾燥活物質層5xが形成される。なお、この第1転写工程S3は、第1規制部材150及び第2規制部材160により、第1未乾燥活物質層5xの幅方向FHの両端縁5xc,5xdの位置をそれぞれ規制しつつ行う。
電極板製造装置100が第1規制部材150及び第2規制部材160を有しない場合、第1未乾燥活物質層5xの幅方向FHの両端縁5xc,5xdに凹凸が生じて、両端縁5xc,5xdを直線状に形成できないことがあった(図7(a)参照)。これに対し、本実施形態では、第1規制部材150及び第2規制部材160により、第1未乾燥活物質層5xの幅方向FHの両端縁5xc,5xdの位置を規制しているため、第1未乾燥活物質層5xの両端縁5xc,5xdは、凹凸のない直線状に形成される(図7(b)参照)。
なお、この第1転写工程S3で形成された、集電箔3上に第1未乾燥活物質層5xを有する負極板を「未乾燥片側負極板1x」ともいう。この未乾燥片側負極板1xは、Cロール130によって図3及び図4中、右方に向けて搬送される。
次に、「第1乾燥工程S4」において、集電箔3上の第1未乾燥活物質層5xを乾燥させて、第1活物質層5を形成する。具体的には、未乾燥片側負極板1xを乾燥装置(不図示)内に搬送し、未乾燥片側負極板1xのうち第1未乾燥活物質層5xに熱風を吹き付け、第1未乾燥活物質層5x中に残っている溶媒17を蒸発させて、第1活物質層5を形成する。なお、この集電箔3上に第1活物質層5を有する負極板を「片側負極板1y」ともいう。
電極板製造装置100が第1規制部材150及び第2規制部材160を有しない場合、前述のように、第1未乾燥活物質層5xの幅方向FHの両端縁5xc,5xdに凹凸が生じるため、これを乾燥させた第1活物質層5の幅方向FHの両端縁5c,5dにも凹凸が残る(図7(a)参照)。これに対し、本実施形態では、前述のように、第1未乾燥活物質層5xの両端縁5xc,5xdが、凹凸のない直線状に形成されるため、これを乾燥させた第1活物質層5の両端縁5c,5dも、凹凸のない直線状に形成される(図7(b)参照)。
次に、「第2造膜工程S5」において、前述の粒子集合体22を用いて、Bロール120上に湿潤粒子21からなる湿潤粒子膜23を造膜する。この湿潤粒子膜23の形成も、前述の電極板製造装置100を用いて、前述の第1造膜工程S2と同様に行う。
続いて、「第2転写工程S6」において、Bロール120上に造膜された湿潤粒子膜23を、Cロール130で搬送される片側負極板1yのうち、集電箔3の第2主面3bに転写して、第2主面3b上に第2未乾燥活物質層6xを形成する(図3及び図4のほか、図6も参照)。この第2未乾燥活物質層6xの形成も、前述の第1転写工程S3と同様に行い、この第2転写工程S6においても、第1規制部材150及び第2規制部材160により、第2未乾燥活物質層6xの幅方向FHの両端縁6xc,6xdの位置をそれぞれ規制しつつ行う。
電極板製造装置100が第1規制部材150及び第2規制部材160を有しない場合、第2未乾燥活物質層6xの幅方向FHの両端縁6xc,6xdに凹凸が生じて、両端縁6xc,6xdを直線状に形成できないことがあった(図7(a)参照)。これに対し、本実施形態では、第1規制部材150及び第2規制部材160により、第2未乾燥活物質層6xの幅方向FHの両端縁6xc,6xdの位置を規定しているため、第2未乾燥活物質層6xの両端縁6xc,6xdは、凹凸のない直線状に形成される(図7(b)参照)。
なお、この時点では、集電箔3の第1主面3a上には乾燥済みの第1活物質層5が形成され、集電箔3の第2主面3b上に未乾燥の第2未乾燥活物質層6xが形成されている。この負極板を「片乾燥両側負極板1z」ともいう。
次に「第2乾燥工程S7」において、集電箔3上の第2未乾燥活物質層6xを乾燥させて、第2活物質層6を形成する。具体的には、第1乾燥工程S4と同様に、片乾燥両側負極板1zを乾燥装置(不図示)内に搬送し、片乾燥両側負極板1zのうち第2未乾燥活物質層6xに熱風を吹き付けて、第2活物質層6を形成する。これにより、集電箔3、第1活物質層5及び第2活物質層6を有する負極板1wが形成される。
電極板製造装置100が第1規制部材150及び第2規制部材160を有しない場合、前述のように、第2未乾燥活物質層6xの幅方向FHの両端縁6xc,6xdに凹凸が生じるため、これを乾燥させた第2活物質層6の幅方向FHの両端縁6c,6dにも凹凸が残る(図7(a)参照)。これに対し、本実施形態では、前述のように、第2未乾燥活物質層6xの両端縁6xc,6xdが、凹凸のない直線状に形成されるため、これを乾燥させた第2活物質層6の両端縁6c,6dも、凹凸のない直線状に形成される(図7(b)参照)。
次に、「プレス工程S8」において、上述の負極板1wをロールプレス機(不図示)でプレスして、第1活物質層5及び第2活物質層6の密度をそれぞれ高める。かくして、図1に示した負極板1が完成する。
(試験結果)
次いで、本発明の効果を検証するために行った試験の結果について説明する。活物質粒子11として、平均粒径Dが異なる3種類(D=5μm、10μm、11μm)の活物質粒子を用意した。そして、これらの活物質粒子11を用いて、前述の粒子集合体形成工程S1、第1造膜工程S2、第1転写工程S3及び第1乾燥工程S4を行い、集電箔3上に第1活物質層5を形成した。
具体的には、まず、平均粒径D=5μmの活物質粒子11を用い、第1転写工程S3において、第1規制部材150を軸方向AHに移動させて、第1規制部材150の第1規制面150aとBロール120の端面120cとの最大第1間隙max(C1a)の大きさを変化させた。なお、前述のように、Bロール120を回転させると、Bロール120の端面120cの位置が軸方向AHに変動する。このため、第1規制部材150の軸方向位置が固定されていても、第1間隙C1aの大きさも変動する。上述の最大第1間隙max(C1a)は、この変動により、第1間隙C1aの大きさが最大となったときの値である。
最大第1間隙max(C1a)が大きくなり過ぎると、第1間隙C1aを通じて第1未乾燥活物質層5xの一部(第1未乾燥活物質層5xをなす活物質粒子11の一部)が外側(図5中、上側)に漏れ出し始める。第1規制部材150を軸方向AHに移動させて、許容できる最大第1間隙max(C1a)を調査した。その結果、平均粒径D=5μmの活物質粒子11を用いた場合は、許容できる最大第1間隙max(C1a)が18μmであった。
また、平均粒径D=10μmの活物質粒子11についても同様に調査を行ったところ、許容できる最大第1間隙max(C1a)は39μmであった。また、平均粒径D=11μmの活物質粒子11についても同様に調査を行ったところ、許容できる最大第1間隙max(C1a)は44μmであった。これらの結果を図8に示す。
なお、第1規制部材150の第2規制面150bとCロール130上の集電箔3の第1主面3aとの第2間隙C2aについても、上述の第1間隙C1aの場合と同様な調査を行ったところ、第1間隙C1aの場合と同様な結果が得られた。
図8のグラフから明らかなように、第1規制部材150とBロール120との第1間隙C1aの最大第1間隙max(C1a)を、活物質粒子11の平均粒径Dの4倍以下(max(C1a)≦4D)とすれば、第1転写工程S3において第1未乾燥活物質層5xの一部が第1間隙C1aを通じて外側(図5中、上側)に漏れ出すのを防止できる。また、第1規制部材150と集電箔3との第2間隙C2aの最大第2間隙max(C2a)を、活物質粒子11の平均粒径Dの4倍以下(max(C2a)≦4D)とすれば、第1転写工程S3において第1未乾燥活物質層5xの一部が第2間隙C2aを通じて外側(図5中、右側)に漏れ出すのを防止できる。
また、この結果から、第2規制部材160とBロール120との第1間隙C1bの最大第1間隙max(C1b)についても、活物質粒子11の平均粒径Dの4倍以下(max(C1b)≦4D)とするのが良いことが判る。また、第2規制部材160と集電箔3との第2間隙C2bの最大第2間隙max(C2b)についても、活物質粒子11の平均粒径Dの4倍以下(max(C2b)≦4D)とするのが良いことが判る。
以上で説明したように、負極板1の製造方法では、一対の第1規制部材150及び第2規制部材160を、Bロール120の軸方向AHの両外側(一方側AH1及び他方側AH2)、かつ、Cロール130で搬送される集電箔3の上方にそれぞれ配置して、これら第1規制部材150及び第2規制部材160で第1未乾燥活物質層5x及び第2未乾燥活物質層6xの幅方向FHの両端縁5xc,5xd,6xc,6xdの位置をそれぞれ規制しつつ、第1転写工程S3及び第2転写工程S6を行う。これにより、第1未乾燥活物質層5x及び第2未乾燥活物質層6xの幅方向FHの両端縁5xc,5xd,6xc,6xd、並びに、これらを乾燥させた第1活物質層5及び第2活物質層6の幅方向FHの両端縁5c,5d,6c,6dに凹凸が生じるのを抑制できる。
更に、負極板1の製造方法では、第1規制部材150及び第2規制部材160を、Bロール120の両端面120c,120dとそれぞれ軸方向AHに第1間隙C1a,C1bを介して離間する軸方向位置に配置している。このため、第1転写工程S3及び第2転写工程S6中に第1規制部材150及び第2規制部材160がBロール120の両端面120c,120dに接触して、第1規制部材150及び第2規制部材160が摩耗するのを防止できる。
一方で、第1規制部材150及び第2規制部材160を、第1間隙C1a,C1bが最大で活物質粒子11の平均粒径Dの4倍以下となる軸方向位置に配置している。このため、第1転写工程S3及び第2転写工程S6において第1未乾燥活物質層5x及び第2未乾燥活物質層6xの一部が第1間隙C1a,C1bを通じて外側に漏れ出すのを防止できる。
また、負極板1の製造方法では、第1規制部材150及び第2規制部材160を、集電箔3の第1主面3a及び第2主面3bとそれぞれCロール130の径方向KHに第2間隙C2a,C2bを介して離間する径方向位置に配置している。このため、第1転写工程S3及び第2転写工程S6中に第1規制部材150及び第2規制部材160が集電箔3の第1主面3a及び第2主面3bに接触して、第1規制部材150及び第2規制部材160が摩耗するのを防止できる。
一方で、第1規制部材150及び第2規制部材160を、第2間隙C2a,C2bが最大で活物質粒子11の平均粒径Dの4倍以下となる径方向位置に配置している。このため、第1転写工程S3及び第2転写工程S6において第1未乾燥活物質層5x及び第2未乾燥活物質層6xの一部が第2間隙C2a,C2bを通じて外側に漏れ出すのを防止できる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態では、電極板として、負極板1を例示したが、正極板の製造方法に本発明を適用することもできる。
1 負極板(電極板)
3 集電箔
3a 第1主面(表面)
3b 第2主面(表面)
3c,3d (集電箔の幅方向の)端部
W (集電箔の)幅方向寸法
5 第1活物質層
5c,5d (第1活物質層の幅方向の)端縁
5x 第1未乾燥活物質層
5xc,5xd (第1未乾燥活物質層の幅方向の)端縁
6 第2活物質層
6c,6d (第2活物質層の幅方向の)端縁
6x 第2未乾燥活物質層
6xc,6xd (第2未乾燥活物質層の幅方向の)端縁
11 活物質粒子
17 溶媒
21 湿潤粒子
22 粒子集合体
23 湿潤粒子膜
EH 長手方向
FH 幅方向
100 電極板製造装置
110 Aロール
120 Bロール(第1ロール)
120c,120d (Bロールの)端面
L1 (Bロールの)軸方向寸法
130 Cロール(第2ロール)
131,132 (Cロールの)端部
L2 (Cロールの)軸方向寸法
150 第1規制部材
160 第2規制部材
AH 軸方向
AH1 一方側(外側)
AH2 他方側(外側)
KH (Bロールの)径方向
C1a,C1b 第1間隙
C2a,C2b 第2間隙
S1 粒子集合体形成工程
S2 第1造膜工程
S3 第1転写工程
S4 第1乾燥工程
S5 第2造膜工程
S6 第2転写工程
S7 第2乾燥工程

Claims (1)

  1. 帯状の集電箔と、この集電箔上に形成され、活物質粒子を含む活物質層とを備える電極板の製造方法であって、
    軸方向寸法L1が上記集電箔の幅方向寸法Wよりも短く(L1<W)された第1ロール、及び、
    上記第1ロールに間隙を介して平行に配置され、軸方向寸法L2が上記集電箔の幅方向寸法Wよりも長く(L2>W>L1)、自身の両端部が上記第1ロールよりも軸方向の両外側にそれぞれ位置する第2ロールを用い、
    上記第1ロール上に造膜された、上記活物質粒子及び溶媒を含み造粒された湿潤粒子からなる湿潤粒子膜を、上記集電箔の幅方向の両端部を上記第1ロールよりも軸方向の両外側にそれぞれ位置させ、上記第2ロールに巻き付けて搬送した上記集電箔上に、転写して未乾燥活物質層を形成する
    転写工程と、
    上記集電箔上の上記未乾燥活物質層を乾燥させて、上記活物質層を形成する乾燥工程と、を備え、
    上記転写工程は、
    上記第1ロールの軸方向の両外側、かつ、上記第2ロールで搬送される上記集電箔の上方にそれぞれ配置した一対の規制部材で、上記未乾燥活物質層の幅方向の両端縁の位置をそれぞれ規制しつつ行い、
    上記一対の規制部材を、
    上記第1ロールの両端面と、それぞれ軸方向に第1間隙C1a,C1bを介して離間し、しかも、上記第1ロールが回転しても、上記第1間隙C1a,C1bが最大で上記活物質粒子の平均粒径Dの4倍以下(max(C1a)≦4D,max(C1b)≦4D)となる軸方向位置に、かつ、
    上記第2ロール上の上記集電箔の表面と、それぞれ上記第2ロールの径方向に第2間隙C2a,C2bを介して離間し、しかも、上記第2ロールが回転しても、上記第2間隙C2a,C2bが最大で上記活物質粒子の上記平均粒径Dの4倍以下(max(C2a)≦4D,max(C2b)≦4D)となる径方向位置に、それぞれ配置する
    電極板の製造方法。
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