JP6816550B2 - 曲げ加工性に優れた黒色表面被覆高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Ti/C当量比=(Ti/48)/(C/12)・・・(1)
ただし、(1)式の元素記号の箇所には素材鋼板中における当該元素の含有量(質量%)が代入される。
その後、素材鋼板は、連続溶融めっきラインで、焼鈍温度を550℃から750℃で加熱された後、溶融めっき浴に浸漬される。このときのめっき浴のめっきの組成は、質量%でAl:1.0〜22.0%、Mg:1.3〜10.0%、Si:0〜2.0%、Ti:0〜0.10%、B:0〜0.05%、Fe:2.0%以下、残部がZnおよび不可避的不純物からなる。
Cは、Tiを含む炭化物を形成し、ベイニティックフェライトまたはフェライト組織中に微細析出し、高強度化に有効な元素である。C含有量が0.01%未満では780MPa以上の強度を得るのが困難であり、0.08%を越えて添加すると析出物の粗大化やセメンタイトの形成により、曲げ加工性が低下する。また、好ましくは、0.01〜0.06%、さらに好ましくは0.01〜0.04%である。
Siは、固溶強化に有効な元素である。しかし、過剰に添加すると、溶融めっきラインでの加熱時に鋼板表面に酸化物を形成し、めっき性を阻害するとともに製造コストの上昇を招くので、添加量の上限を0.8%とする。また、好ましくは、0.4%以下、さらに好ましくは0.2%以下である。
Mnは、高強度化に有効な元素である。0.5%未満では780MPa以上の強度を得るのが難しく、1.8%を超えて添加すると、偏析が生じやすくなり、曲げ加工性が低下する。また、製造コストの上昇を招く。したがって、添加量の上限を1.8%とする。また、好ましくは、1.0〜1.7%、さらに好ましくは、1.0〜1.5%である。
Pは固溶強化に有効な元素であるが、0.05%を超えて添加すると、偏析が生じやすくなり、曲げ加工性が低下する。したがって、添加量の上限を0.05%とする。また、好ましくは、0.03%以下、さらに好ましくは0.02%以下である。なお、Pの含有量は0を含まない。
SはMnと硫化物を形成し曲げ加工性を始めとする局部延性を劣化させる。このため、Sは極力低減すべき元素であるが、0.005%までは許容できるので、含有量の上限を0.005%に限定する。また、好ましくは、0.003%以下、さらに好ましくは0.002%以下である。なお、Sは不可避不純物であり、その含有量は0を含まない。
Nは、鋼中に固溶Nとして残存するとBNを生成し、耐溶融金属脆化割れ性に有効なB量の減少につながる。検討の結果、N含有量は0.005%以下に制限されるが、通常は0.001%程度のNが存在していても問題ない。N含有量の範囲は、好ましくは、0.001〜0.004%である。
TiはCと結合して、微細なTiの炭化物として析出し、高強度化とセメンタイトの析出抑制に有効な元素である。また、TiはNとの親和性が高く、鋼中のNをTiNとして固定するため、Tiを添加することは耐溶融金属脆化割れ性を高めるB量を確保する上で極めて有効である。これらの作用を十分得るためには0.02%以上の添加が必要である。一方、0.2%を超えて添加してもその効果は飽和するとともに、製造コストの上昇を招く。そのため、0.02から0.20%の範囲に限定する。Ti含有量は好ましくは、0.05〜0.20%、さらに好ましくは、0.08〜0.20%である。
Bは結晶粒界に偏析して原子間結合力を高め、溶融金属脆化割れの抑制に有効な元素である。また、Bは粒界に偏析して変態を抑制し、ベイニティックフェライト組織を通じた高強度化に有効な元素である。0.0005%未満ではこれらの効果が無く、0.01%を超えて添加してもその効果は飽和するとともに製造コストの上昇を招く。そのため、添加範囲を0.0005%から0.010%に限定する。
Alは、製鋼時に脱酸材として添加される。その効果を得るためには、0.005%以上の添加が必要である。一方、0.1%を超えて添加してもその効果は飽和するとともにかえって製造コストの上昇を招く。
Nb、Vは加熱および熱延中のγ粒の粗大化を防止し、フェライト粒の微細化に有効である。また、Tiと同様にCを含む複合炭化物を形成し、強度上昇にも寄与する。このため必要に応じてこれらの元素の1種以上を含有することができる。
Ti/C当量比は、曲げ加工性を向上させるのに重要な値である。Ti/C当量比は、(1)式によって定義される。
Ti/C当量比=(Ti/48)/(C/12)・・・(1)
ただし、(1)式の元素記号の箇所には素材鋼板中における当該元素の含有量(質量%)が代入される。
本発明では、建築用構造部材および自動車部品等に使用される高強度鋼板に関するものであり、780MPa以上の引張強度の鋼板を対象としている。しかしながら、引張強度が1100MPaを超えると135°曲げにて割れを生じる。したがって、引張強度の範囲は780〜1100MPaの範囲に規定する。
本発明に関わる高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板のミクロ組織は、転位密度が1.8×1014/m2〜5.7×1014/m2であるベイニティックフェライト相もしくはフェライト相のいずれかの単相またはベイニティックフェライト相とフェライト相を含む相を主相とするとともに、硬質第2相及びセメンタイトの面積率が3%以下であり、平均粒子径20nm以下のTiを含む炭化物が分散析出していることとしている。以下、これらについて説明する。
なお、「主相」とは、本発明の鋼板の金属組織において、硬質第2相およびセメンタイトを除いた残りの相を意味する。
上記の化学組成を有する基材鋼板の表面には、Zn−Al−Mg系被覆層を有している必要がある。その被覆層は、溶融Zn−Al−Mg系めっきにより形成されためっき層中のZnの一部が黒色酸化物として分布する構造を有する。この黒色酸化物は後述のベーキング処理によって生成する。本明細書では、ベーキング処理によって生成した黒色酸化物を含んだ、溶融Zn−Al−Mg系めっき層に由来する被覆層を「Zn−Al−Mg系被覆層」と称する。
水素脆化の要因となる基材鋼板中の水素濃度は、拡散性水素濃度を測定することによって評価することができる。拡散性水素濃度は、大気圧イオン化質量分析装置で、常温から300℃まで5℃/minの昇温速度で加熱した際に放出される水素量を測定することによって求めることができる。測定試料としては、Zn−Al−Mg系被覆層を研磨紙により除去した基材鋼板のみからなる試料を使用することができる。
上記加工性に優れた高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、例えば成分調整された鋼材(連続鋳造スラブなど)に、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、連続溶融めっきラインでの焼鈍、溶融Zn−Al−Mg系めっき及びベーキング処理を順次行う工程により製造することができる。以下、その場合の製造条件を例示する。
巻取温度が500℃未満では、Tiを含む炭化物の析出量が不十分となり強度が低下する。一方、巻取温度が650℃を超えるとTiを含む炭化物の粗大化が起こり、強度低下および曲げ加工性が低下する。
熱間圧延後は、連続酸洗ラインを通板して、表面のスケールを除去し、冷間圧延を施す。その際、冷間圧延の圧延率が30%未満では、連続溶融めっきラインでの焼鈍後の転位密度が1.8×1014/m2未満となり、780MPa以上の引張強度が得られなくなる場合がある。一方、60%を越えると転位密度が5.7×1014/m2を越えて延性の低下が大きくなり、曲げ加工性が劣化する場合がある。したがって、冷間圧延率は30%〜50%以下の範囲が好ましい。
従来一般的な手法で溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板を製造ればよい。大量生産現場における連続溶融めっきラインを使用することができる。具体的には、溶融めっき直前に施される表面還元処理を兼ねた熱処理は、水素と窒素の混合ガス中で550〜750℃に加熱することによって行う。加熱温度が550℃未満では鋼板表面が十分に還元せずめっき性が低下する。一方、焼鈍温度が750℃を超えると再結晶を生じて転位密度が1.8×1014/m2未満となり、強度低下を招く。すなわち、本発明は再結晶焼鈍以下の温度で焼鈍を施して、高い転位密度を維持することを特徴とするものであり、母材の金属組織は、熱延終了後時点の組織を基本としている。
ベーキング処理は、鋼材中に侵入した水素を外部に放出させることによって、鋼中水素濃度を減少させるための加熱処理である。ここでは、水蒸気雰囲気中でベーキング処理を行う。具体的には、前記の溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板を、大気から遮蔽された空間内において、水蒸気雰囲気中で70〜250℃に加熱保持する。水蒸気雰囲気中における不純物ガス成分(水蒸気以外のガス成分)の含有量は5体積%以下とすることが望ましい。
上記のベーキング処理によって改質されたZn−Al−Mg系被覆層の表面上に、無機系皮膜を形成させることができる。無機系皮膜としては溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板に従来から適用されている公知のものが種々適用可能である。なかでも、バルブメタルの酸化物、バルブメタルの酸素酸塩、バルブメタルの水酸化物、バルブメタルのリン酸塩およびバルブメタルのフッ化物からなる群から選ばれる1種類または2種類以上の化合物(以下「バルブメタル化合物」ともいう)を含むものが好適な対象として挙げられる。バルブメタルとしては、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Si、Alなどが例示できる。上記バルブメタル化合物は、これらのバルブメタルの1種以上を含有するものを適用することが望ましい。無機系皮膜は、公知の方法で形成させることができる。例えば、バルブメタル化合物などを含有する無機系塗料を、Zn−Al−Mg系被覆層の表面上にロールコート法、スピンコート法、スプレー法などで塗布する方法が採用できる。
上記のベーキング処理によって改質されたZn−Al−Mg系被覆層の表面上に、有機系皮膜を形成させることもできる。有機系樹脂皮膜も、溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板に従来から適用されている公知のものが種々適用可能である。例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、またはこれらの樹脂の組み合わせ、あるいはこれらの樹脂の共重合体または変性物などを含有する皮膜が挙げられる。有機系皮膜も、公知の方法で形成させることができる。例えば、上記の樹脂成分を含有する有機系塗料を、Zn−Al−Mg系被覆層の表面上にロールコート法、スピンコート法、スプレー法などで塗布する方法が採用できる。
Al:6.0%、Mg:3.0%、Ti:0.002%、B:0.0005%、Si:0.01%、Fe:0.1%、Zn:残部
採取した溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板サンプルから作製した薄膜を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、Ti含有炭化物が30個以上含まれる一定の領域内の当該炭化物の粒子径(長径)を測定し、その平均値をTi含有炭化物の平均粒子径とした。
採取した溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板サンプルから切出した試料の表層部から板厚の1/4まで機械研磨後、化学研磨を施して加工歪を除去し、X線解析により転位密度を計算により求めた。X線回折には、Co管球のKα1線を用い、<110>、<211>、<220>の3つの回折ピークの半価幅から局所歪ηを求め、次式を用いて転位密度を計算した。
ρ=14.4×η2/b2
ここで、ρが転位密度でbはバーガースベクトル(0.25nm)である。なお、転位密度の計算は、Modified Williamson−Hall/Warren−Averbach法を用いた。計算した転位密度は表2に併記する。
硬質第2相およびセメンタイトの面積率は、採取した溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板サンプルから切出した試料を圧延方向断面に研磨し、ピクラール試薬にてエッチングしてSEM観察し、観察された組織から画像解析によって算出した。測定された硬質第2相及びセメンタイトの面積率を表2に併記する。
試験片の長手方向が素材鋼板の圧延方向に対し直角になるように採取したJIS5号試験片を用い、JISZ2241に準拠して引張強さTS、全伸びT.Elを求めた。
溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板から圧延方向と直角方向に20×50mmのサンプルを採取し、これを135°曲げ試験に供した。即ち、採取したサンプルの長手方向の中央部で圧延方向が曲げの軸となるように先端R1.0mm、0.5mm、先端角度45°のV型パンチ、ダイスを用いて、20kNの押し付け力で曲げ加工を施し、曲げ加工部先端の外表面における割れの発生有無を○×で評価した。
溶融金属脆化特性は、次の手順により溶接試験を行って評価した。
溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板から100mm×75mmのサンプルを切り出し、これを溶融金属脆化に起因する最大割れ深さを評価するための試験片とした。溶接試験は、図1に示す外観のボス溶接材を作成する「ボス溶接」を行い、その溶接部断面を観察して割れの発生状況を調べた。すなわち、試験片3の板面中央部に直径20mm×長さ25mmの棒鋼(JISに規定されるSS400材)からなるボス(突起)1を垂直に立て、このボス1を試験片3にアーク溶接にて接合した。溶接ワイヤーはYGW12を用い、溶接開始点から溶接ビード6がボスの周囲を1周し、溶接始点を過ぎた後もさらに少し溶接を進めて溶接開始点を過ぎて溶接ビードの重なり部分8ができたところで溶接を終了とした。溶接条件は、190A,23V,溶接速度0.3m/min、シールドガス:Ar−20vol.%CO2、シールドガス流量:20L/minとした。
鋼板サンプル表層のZn−Al−Mg系被覆層を研磨紙で除去することによって、基材鋼板のみからなる試料を作製した。拡散性水素濃度の測定条件を以下に示す。
・試料加熱部:赤外線ゴールドイメージ炉(アルバック理工社製 RHL−E410P)
・分析計:APS−MS/大気圧イオン化質量分析装置(日本エイピーアイ社製 FLEX−MS400)
・分析試料:10mm×3mm寸法に切断したもの3枚を分析
・測定温度:常温〜300℃
・昇温速度:5℃/min
・測定雰囲気:Ar(1000mL/min)
分光型色差計(有限会社東京電色製;TC−1800)を用いて、JIS K5600に準拠した分光反射測定法で明度L*値を測定した。測定条件を以下に示す。
・光学条件:d/8°法(ダブルビーム光学系)
・視野:2度視野
・測定方法:反射光測定
・標準光:C
・表色系:CIELAB
・測定波長:380〜780nm
・測定波長間隔:5nm
・分光器:回折格子 1200/mm
・照明:ハロゲンランプ(電圧12V、電力50W、定格寿命2000時間)
・測定面積:7.25mmφ
・検出素子:光電子増倍管(R928;浜松ホトニクス株式会社)
・反射率:0−150%
・測定温度:23℃
・標準板:白色
2 クランプ
3 試験片
4 拘束板
5 実験台
6 溶接ビード
7 試験片全周溶接部の溶接ビード
8 溶接ビードの重なり部分
9 切断面
10 素材鋼板
20 還元炉
30 スナウト
40 めっき槽
50 溶融めっき浴
60 シンクロール
Claims (8)
- 素材鋼板の表面にZn−Al−Mg系被覆層を有するめっき鋼板であって、
素材鋼板が、質量%で、C:0.01〜0.08%、Si:0.8%以下、Mn:0.5〜1.8%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、N:0.001〜0.005%、Ti:0.02〜0.2%、B:0.0005〜0.010%、Al:0.005〜0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式で表されるTi/C当量比が0.4〜1.5であり、転位密度が1.8×1014/m2〜5.7×1014/m2である、ベイニティックフェライト相もしくはフェライト相のいずれかの単相またはベイニティックフェライト相とフェライト相を含む相を主相とし、硬質第2相およびセメンタイトの面積率が3%以下であり、平均粒子径20nm以下のTiを含む炭化物が分散析出しており、かつ拡散性水素濃度が0.30ppm以下であり、
該Zn−Al−Mg系被覆層が、質量%で、Al:1.0〜22.0%、Mg:1.3〜10.0%、Si:0〜2.0%、Ti:0〜0.10%、B:0〜0.05%、Fe:2.0%以下、残部Znおよび不可避的不純物からなり、該Zn−Al−Mg系被覆層中にZnの黒色酸化物が分布し、かつ、その表面の明度L*が60以下である、
引張強度が780〜1100MPaで、曲げ加工性に優れた黒色表面被覆高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板。
Ti/C当量比=(Ti/48)/(C/12)・・・(1)
ただし、(1)式の元素記号の箇所には素材鋼板中における当該元素の含有量(質量%)が代入される。 - 素材鋼板が、さらに、質量%で、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下の1種以上を含有する組成を有する請求項1に記載の、引張強度が780〜1100MPaの曲げ加工性に優れた黒色表面被覆高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板。
- 前記Zn−Al−Mg系被覆層の表面上にさらに無機系皮膜を有する、請求項1または2に記載の引張強度が780〜1100MPaの曲げ加工性に優れた黒色表面被覆高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板。
- 前記Zn−Al−Mg系被覆層の表面上にさらに有機系皮膜を有する請求項1または2に記載の引張強度が780〜1100MPaの曲げ加工性に優れた黒色表面被覆高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板。
- 素材鋼板を、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、連続溶融めっきラインでの焼鈍、溶融Zn−Al−Mg系めっき及びベーキング処理を順次行う、引張強度が780〜1100MPaで曲げ加工性に優れた黒色表面被覆高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法であって、
該素材鋼板が、質量で、C:0.01〜0.08%、Si:0.8%以下、Mn:0.5〜1.8%、P:0.05%以下、S:0.005%以下、N:0.001〜0.005%、Ti:0.02〜0.2%、B:0.0005〜0.010%、Al:0.005〜0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、下記(1)式で表されるTi/C当量比が0.4から1.5であり、
該熱間圧延での巻取温度を500℃から650℃とし、該冷間圧延での冷間圧延率を30%〜60%とし、
該素材鋼板は、連続溶融めっきラインで、焼鈍温度を550℃から750℃で加熱された後、溶融めっき浴に浸漬され、
該溶融めっき浴のめっきの組成が、質量%でAl:1.0〜22.0%、Mg:1.3〜10.0%、Si:0〜2.0%、Ti:0〜0.10%、B:0〜0.05%、Fe:2.0%以下、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、
該ベーキング処理では、めっきされた素材鋼板を、水蒸気雰囲気中で70〜250℃に加熱保持して、めっき層表面を水蒸気に接触させることにより、該素材鋼板中の拡散性水素濃度を0.30ppm以下に低減することを含み、
溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板は、転位密度が1.8×10 14 /m 2 〜5.7×10 14 /m 2 である、ベイニティックフェライト相もしくはフェライト相のいずれかの単相またはベイニティックフェライト相とフェライト相を含む相を主相とし、硬質第2相およびセメンタイトの面積率が3%以下であり、平均粒子径20nm以下のTiを含む炭化物が分散析出した金属組織を有する、
引張強度が780〜1100MPaで曲げ加工性に優れた黒色表面被覆高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法。
Ti/C当量比=(Ti/48)/(C/12)・・・(1)
ただし、(1)式の元素記号の箇所には素材鋼板中における当該元素の含有量(質量%)が代入される。 - 素材鋼板が、さらに質量%で、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下の1種以上を含有する、請求項5に記載の引張強度が780〜1100MPaで曲げ加工性に優れる黒色表面被覆高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法。
- 前記ベーキング工程において、基材鋼板中の拡散性水素濃度を0.20ppm以下に低減する、請求項5または6に記載の引張強度が780〜1100MPaで曲げ加工性に優れる黒色表面被覆高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法。
- 前記ベーキング処理工程に供するめっき鋼板の基材鋼板中の拡散性水素濃度が0.35ppm以上である請求項5または6に記載の引張強度が780〜1100MPaで曲げ加工性に優れる黒色表面被覆高強度溶融Zn−Al−Mg系めっき鋼板の製造方法。
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