JP6815917B2 - 廃水処理システム - Google Patents

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Description

本発明は、廃水処理システムに関する。
下水などの廃水を処理する上で、廃水中の固形成分(浮遊性固形物やコロイドなど)を除去する処理を行う場合がある。この固形成分の除去は、一般的には、凝集処理を加えることで効率的に行うことができる。凝集処理では、処理対象となる廃水に対して凝集剤を添加して、廃水中の固形成分を凝集剤中の成分で粗大化してフロックを形成させる。固形成分は、フロック化することで沈降性が高くなるため、フロックを沈殿させることで、廃水から分離、除去している。
凝集処理を加える場合、凝集剤が添加された廃水を撹拌して、凝集剤を廃水に混合する。例えば、特許文献1には、凝集反応槽内で下水に凝集剤を添加して撹拌混合する技術が記載されている。また、凝集剤には様々な種類があるが、その一つとして、エマルション型の高分子凝集剤がある。エマルション型の高分子凝集剤は、懸濁物質を凝集するためのポリマーが、液(油)中に分散している形態となっている。エマルション型の高分子凝集剤を用いる際には、通常、処理対象に添加する前に固形成分を含まない溶解用水に添加して、10分程度撹拌することで、溶解用水内に高分子凝集剤を分散及び希釈して、溶解用水内に高分子凝集剤を溶解させることが必要である。そして、高分子凝集剤が溶解した溶解用水を処理対象に加え、撹拌することで、凝集処理を行っている。すなわち、従来では、廃水以外の溶媒(溶解用水)で高分子凝集剤を溶解させた後に、処理対象の廃水に添加される。従来では、溶解用水として、例えば水道水や下水二次処理水が用いられている。
特開2007−229658号公報
ところで、廃水は、多量に発生することがある。従って、エマルション型の高分子凝集剤を廃水に用いる場合、先に溶解用水と混合する処理を行うと、溶解用水が大量に必要となり、溶解用水の準備のための設備規模が大きくなるなどのおそれがある。従って、溶解用水を用いることなく、エマルション型の高分子凝集剤により廃水の凝集処理を行うことが求められている。一方、エマルション型の高分子凝集剤を溶解用水と混合せずに廃水に加えた場合、高分子凝集剤(ポリマー)を廃水中に適切に分散させることも求められる。例えば、下水中にポリマーが分散しない状態でポリマーと固形成分との凝集反応が進むと、ポリマーは、近傍の固形成分のみを凝集して、近傍以外の固形成分を適切に凝集できなくなるおそれがある。この場合、未凝集の固形成分が多量に残存し、あるいはフロックが十分に粗大化せず、凝集処理が適切に行われなくなる。特許文献1には、下水に凝集剤を添加して撹拌混合する旨のみが記載されており、エマルション型の高分子凝集剤を廃水中に適切に分散させる旨については記載がない。従って、エマルション型の高分子凝集剤を廃水に用いる際に、溶解用水を用いることなく、かつ、高分子凝集剤を廃水中に適切に分散させる技術が求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エマルション型の高分子凝集剤を廃水に用いる際に、溶解用水を用いることなく、かつ、高分子凝集剤を廃水中に適切に分散させる廃水処理システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の廃水処理システムは、廃水が流れる水路と、前記水路を流れる廃水の一部が導入される撹拌槽と、前記撹拌槽内の廃水にエマルション型の高分子凝集剤を添加する凝集剤添加部と、前記撹拌槽内の廃水を撹拌して、前記高分子凝集剤を分散させる撹拌部と、前記水路を流れる廃水のうちの前記撹拌槽に導入された一部以外の廃水と、前記撹拌槽内で前記高分子凝集剤が分散された廃水とが流入して、前記高分子凝集剤によって前記廃水からフロックを生成させ、前記フロックを沈殿分離する分離槽と、を有する。
前記廃水処理システムは、前記撹拌槽に接続され、前記撹拌槽で高分子凝集剤が分散された廃水を前記水路に導出して、前記高分子凝集剤が分散された廃水を、前記水路を流れる廃水に合流させる導出路を更に有し、前記分離槽には、前記高分子凝集剤が分散された廃水と合流した廃水が流入することが好ましい。
前記撹拌槽に流入した前記廃水の前記撹拌槽内での滞留時間は、5分以下であることが好ましい。
前記高分子凝集剤は、4質量%食塩水に濃度0.5質量%で含有させた際の粘度が、40mPa・s以上、120mPa・s以下であることが好ましい。
前記廃水処理システムは、前記撹拌槽内の廃水に電解質を添加する電解質添加部を有することが好ましい。
前記廃水処理システムは、前記水路に接続され、前記水路を流れる廃水を前記撹拌槽へ導入させる導入路と、前記導入路に設けられ、前記廃水内の固形成分を捕集する捕集部と、を有することが好ましい。
前記廃水処理システムは、前記分離槽でフロックが分離された廃水が導入され、導入した前記廃水に生物処理を行って、前記廃水を浄化する生物反応槽を更に有することが好ましい。
前記廃水処理システムは、前記水路を流れる廃水の流量を測定する流量測定部と、前記水路を流れる廃水の流量が所定の閾値以上である場合に、前記分離槽でフロックが分離された廃水の一部を、前記生物反応槽を経ずに外部に流出させる制御部と、を更に有することが好ましい。
本発明によれば、エマルション型の高分子凝集剤を廃水に用いる際に、溶解用水を用いることなく、かつ、高分子凝集剤を廃水中に適切に分散させることができる。
図1は、本実施形態に係る廃水処理システムの模式図である。 図2は、高分子凝集剤による固形成分の凝集の原理を説明する模式図である。 図3は、高分子凝集剤による固形成分の凝集の原理を説明する模式図である。 図4は、高分子凝集剤による固形成分の凝集の原理を説明する模式図である。 図5は、高分子凝集剤による固形成分の凝集の原理を説明する模式図である。 図6は、本実施形態に係る撹拌槽ユニットの構成を示す模式図である。 図7は、変形例に係る廃水処理システムの模式図である。 図8は、濁度及びSS除去率の測定結果を示す表である。 図9は、濁度及びSS除去率の測定結果を示す表である。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
(廃水処理システムについて)
図1は、本実施形態に係る廃水処理システムの模式図である。図1に示すように、本実施形態に係る廃水処理システム1は、水路10と、導入路12と、撹拌槽ユニット14と、導出路16と、分離槽18と、生物反応槽20と、最終沈殿槽22と、排出路24と、バイパス路25と、流量測定部26と、バイパス弁27と、制御部28とを有する。廃水処理システム1は、廃水Wを処理するシステムであり、水路10から流入してくる原水W0に対して以下説明する処理を実行して浄化し、処理済み水W6として外部環境に排出する。なお、以下、廃水処理システム1を経る過程で、原水W0、原水W1、分散水W2、混合水W3、上澄み水W4、処理水W5、処理済み水W6について説明するが、これらを区別しない場合は、廃水Wと記載する。
水路10は、導水渠であり、外部から流入してくる原水W0が流れる。原水W0は、廃水であり、より詳しくは下水である。また、原水W0は、例えば雨天時などには、下水に雨水が混合したものとなる。原水W0は、固形成分Sを含有する。また、水路10は、通常、内部に原水W0が流れている際にも満管とならずに、内部が原水W0で完全に満たされない。すなわち、水路10の内部の原水W0の水面は、水路10の上面よりも下方に位置している。ただし、水路10は、原水W0に満たされていても(満管であっても)よい。
導入路12は、水路10に接続される水路、ここでは配管である。導入路12は、水路10から分岐された水路であり、一方の端部12aが水路10に接続されている。導入路12は、水路10を流れる原水W0の一部を、一方の端部12aから、原水W1として導入する。導入路12は、他方の端部12bが、撹拌槽ユニット14の鉛直方向上方に設けられ、導入した原水W1を、他方の端部12bから撹拌槽ユニット14内に導入する。
撹拌槽ユニット14は、導入路12から導入された原水W1に対し、高分子凝集剤Pを添加して撹拌することで、高分子凝集剤Pが内部に分散した分散水W2を生成する。本実施形態において、高分子凝集剤Pは、エマルション型の高分子凝集剤である。さらに言えば、高分子凝集剤Pは、カチオン系の凝集剤であり、すなわち、含有する高分子がプラスの電荷のイオン基を有するものである。撹拌槽ユニット14の詳細な構造や処理については、後述する。
導出路16は、撹拌槽ユニット14と水路10とに接続される水路、ここでは配管である。導出路16は、一方の端部16aが撹拌槽ユニット14と接続されている。導出路16は、撹拌槽ユニット14で生成された分散水W2を、一方の端部16aから内部に導入する。導出路16は、他方の端部16bが、水路10に接続されている。導出路16は、撹拌槽ユニット14から導出した分散水W2を、水路10内に導出する。これにより、水路10内を流れる原水W0は、水路10内で分散水W2と合流して、分散水W2と混合される。以下、分散水W2と混合された原水W0を、混合水W3とする。
なお、水路10は、導出路16の他方の端部16bとの接続箇所が、導入路12の一方の端部12aとの接続箇所よりも、原水W0の流れの下流側に位置している。従って、水路10においては、水路10に導入された原水W0のうち、導入路12に導入された一部の原水W1以外の原水W0が、分散水W2と合流、混合され、混合水W3となる。水路10では、混合水W3による水流が生じており、この水流により、分散水W2に含まれていた高分子凝集剤Pが混合水W3中に分散される。
分離槽18は、水路10に接続されている。水路10の分離槽18との接続箇所は、導出路16の他方の端部16bとの接続箇所よりも、原水W0(混合水W3)の流れの下流側となっている。従って、分離槽18には、混合水W3が導入される。分離槽18と水路10との接続箇所は、通常、流量を調整するためのゲート(図示せず)が設けられており、前記ゲートを通過する際に、混合水W3は乱流状態に置かれる。これにより、混合水W3中の高分子凝集剤Pは、さらに混合水W3中に分散及び溶解される。分離槽18では、混合水W3内の固形成分Sを、混合水W3内に分散する高分子凝集剤Pにより、成長、粗大化させ、フロックFを形成する。分離槽18では、形成したフロックFを沈殿させることで、混合水W3中の液体成分(上澄み水W4)とフロックFとを分離する。なお、分離槽18では、攪拌機による強制的な撹拌は行われておらず、混合水W3の流入による緩やかな水流が生じている。
生物反応槽20は、水路19により分離槽18と接続されている。生物反応槽20は、分離槽18で生成された上澄み水W4が、水路19を経て流入する。生物反応槽20は、内部に活性汚泥Slを貯留している。生物反応槽20は、この活性汚泥Slにより、上澄み水W4に対して生物処理を実行し、上澄み水W4を浄化して処理水W5を生成する。なお、生物反応槽20は、上澄み水W4に対する生物処理の一例として、硝化処理、及び脱窒処理を行うことができる。図1の例では、生物反応槽20は、1つであるが、例えば、硝化処理を行う硝化槽と脱窒処理を行う脱窒槽との、複数の槽を備えていてもよい。
最終沈殿槽22は、水路21により生物反応槽20と接続されている。最終沈殿槽22は、生物反応槽20で生成された処理水W5が、水路21を経て流入する。最終沈殿槽22は、重力沈降により処理水W5中の固形成分を沈降させ、処理水W5中の液体成分(処理済み水W6)と固形成分とを分離する。最終沈殿槽22には、排出路24が接続されている。最終沈殿槽22で分離された処理済み水W6は、浄化後の廃水Wとして、排出路24から外部に排出される。
なお、上述のように、水路10には、原水W0として、雨水も流入する。雨水量が大きい場合、水路10に流入する原水W0の流量が大きくなる。この場合、流入する全ての原水W0に対し、生物反応槽20での生物処理や、最終沈殿槽22での分離処理が、間に合わなくなるおそれがある。この場合に備えて、廃水処理システム1には、バイパス路25が設けられている。
バイパス路25は、一方の端部25aが分離槽18に接続され、他方の端部25bが排出路24に接続されている。バイパス路25は、一方の端部25aから分離槽18内の上澄み水W4が流入し、流入した上澄み水W4を、他方の端部25bから排出路24に導出する。この上澄み水W4は、排出路24で処理済み水W6と合流して、外部に排出される。すなわち、バイパス路25は、生物反応槽20及び最終沈殿槽22を経ることなく、上澄み水W4を排出路24に排出する。ただし、バイパス路25は、上澄み水W4を、生物反応槽20及び最終沈殿槽22を経ることなく外部に排出する構成であれば、他方の端部25bが排出路24に接続されていなくてもよい。
より詳しくは、水路10には、流量測定部26が設けられ、バイパス路25には、バイパス弁27が設けられている。流量測定部26は、水路10内において、導入路12の一方の端部12aとの接続箇所よりも、原水W0の流れの上流側に配置されている。流量測定部26は、水路10に流入する原水W0の流量を測定する。制御部28は、流量測定部26が測定した原水W0の流量の値を取得する。制御部28は、原水W0の流量の値が所定の閾値より小さい場合は、バイパス弁27を閉じたままとする。従って、水路10内の原水W0の流量が閾値より小さい通常時においては、上澄み水W4がバイパス路25から流出せず、上澄み水W4の全量は、生物反応槽20に流出する。
一方、制御部28は、水路10に流入する原水W0の流量が所定の閾値以上である場合、バイパス弁27を開く。これにより、分離槽18内の上澄み水W4の一部が、生物反応槽20及び最終沈殿槽22を経ることなく、バイパス路25を介して外部に放出される。また、バイパス路25に流出した以外の上澄み水W4は、生物反応槽20に流入する。このように、水路10内の原水W0の流量が閾値以上となる緊急時(豪雨時など)においては、上澄み水W4の一部は、バイパス路25から、生物反応槽20を経ずに外部に流出する。従って、原水W0の流量が過度になった場合においても、生物反応槽20の処理能力を超える原水W0が生物反応槽20に流入することを制限し、処理不良となることを抑制する。また、この場合においても、水路10に流入する原水W0は、全量が分離槽18に導入され、固形成分Sの多くがフロックFとして除去されている。従って、この場合においても、分離槽18でフロックFが分離された後の上澄み水W4をバイパスして流出させても、排出する水による周辺環境の水質悪化をより好適に抑制できる。
(高分子凝集剤による凝集について)
以下に、高分子凝集剤Pによる固形成分Sの凝集の原理について説明する。図2から図5は、高分子凝集剤による固形成分の凝集の原理を説明する模式図である。まず、従来技術である溶解用水L1を用いた場合について説明する。溶解用水L1は、固形成分Sを含有しない水であり、例えば水道水などである。図2は、高分子凝集剤Pを溶解用水L1に添加する前の添加前状態の高分子凝集剤Pの様子を示している。添加前状態において、高分子凝集剤Pは、溶媒である油P1中に、水P2の相が複数分散している。水P2の相内には、高分子である複数のポリマーP3が含まれている。また、水P2の相の周囲には、界面活性剤P4が存在している。
図2の状態の高分子凝集剤Pを溶解用水L1に添加し、適切に撹拌すると、高分子凝集剤Pが溶解用水L1に分散して、図3に示す分散状態となる。図3に示すように、高分子凝集剤Pを溶解用水L1に添加すると、界面活性剤P4が転相(親水基と疎水基との向きが変わる)して、油P1と水P2とが入れ替わり、ポリマーP3は、界面活性剤P4の周囲の水相、すなわち溶解用水L1内に放出される。分散状態は、ポリマーP3が溶解用水L1中に放出され、溶解用水L1の全体に分散した状態を指す。
その後、溶解用水L1内に放出されたポリマーP3は、自身のプラス電荷のイオン基同士が反発し合うことで、図4に示すように、分子鎖が伸展する溶解状態へと時間をかけて移行する。また、ポリマーP3は、他のポリマーP3のプラス電荷のイオン基同士が反発し合うことで、分子鎖の伸展が一定程度に抑制されるとともに、溶解用水L1の粘度が高くなる。すなわち、分散状態は、ポリマーP3が溶解用水L1中に放出されているが、分子鎖が伸展する前の状態であり、溶解状態は、ポリマーP3の分子鎖が伸展した状態である。
十分な時間をかけて高分子凝集剤Pを溶解用水L1に溶解させた(溶解状態が十分に進んだ)後、すなわち、例えば全てのポリマーP3が溶解状態となった後、高分子凝集剤Pを溶解させた溶解用水L1を廃水L2に添加する。廃水L2は、原水W1と同様に固形成分Sを含む水である。この場合、伸展したポリマーP3は、図5に示すように、廃水L2中のマイナスに帯電した固形成分Sを引き付け(結合し)、ポリマーP3を介して固形成分Sが凝集される(凝集状態)。このように固形成分Sが凝集されることにより、固形成分Sが粗大化して、フロックFを形成する。なお、固形成分Sを介してポリマーP3同士も引き付け合うことで、フロックFをより粗大化することも可能である。
次に、本実施形態で示すように、原水W1に高分子凝集剤Pを添加した場合の機構を説明する。図2の添加前状態は、高分子凝集剤Pの様子を示すものであり、本実施形態においても同様である。
本実施形態においては、撹拌槽ユニット14において、溶解用水L1に代わって、原水W1中に高分子凝集剤Pを添加する。原水W1に高分子凝集剤Pを添加しても、ポリマーP3は、原水W1中に放出される。そして、本実施形態においては、詳しくは後述するが、撹拌槽ユニット14によって、この原水W1を撹拌する。これにより、図3に示すように、ポリマーP3が原水W1の全体に分散した分散状態となり、分散水W2が生成される。高分子凝集剤Pの分散は、従来技術と同じく、適切な撹拌がなされていれば達せられる。また、界面活性剤P4の転相は分散と同時にただちに達せられるため、原水W1による影響はなく、溶解用水L1に分散させる場合と同じ効果が得られる。本実施形態では、このように、最初に分散水W2を生成することで、後で原水W0に再混合した場合に、適切にポリマーP3を分散させることができる。
その後、高分子凝集剤Pは、時間をかけて、図4に示す溶解状態に移行する。溶解状態では、ポリマーP3の分子鎖が時間とともに伸展するが、同時に原水W1中の固形成分Sを引き付け、ポリマーP3を介して固形成分Sを凝集することが可能となり、溶解時間が長いほどその効果は顕著となる。言い換えれば、原水W1中での溶解時間(分散状態から溶解状態への移行)が長くなるほど、原水W1中の固形成分SによってポリマーP3が消費される。この場合、高分子凝集剤Pを分散させた原水W1、すなわち分散水W2を原水W0に混合しても、すでにポリマーP3が消費されているため、原水W0との混合後の凝集反応効果が低下するおそれがある。したがって、撹拌槽ユニット14での滞留時間、すなわち溶解状態を保つ時間は、後段の凝集効果に影響を与える。なお、撹拌槽ユニット14での滞留時間とは、原水W1に高分子凝集剤Pを添加してから、分散水W2を原水W0に再混合するまでの時間と言い換えることもできる。
また、上述のように、図4に示すポリマーP3の伸展時には、時間とともに粘度が増加する。すなわち、溶解状態を長く保つほど分散水W2の粘度が増加することになる。一般的に、高粘度の溶液と低粘度の溶液の混合は困難であり、分散水W2の粘度を増加させすぎると原水W0との混合が困難となる。特に、本実施形態に係る廃水処理システム1のように、水路10、もしくは水路10と分離槽18の接合部において原水W0と分散水W2を混合させる、すなわち水が流れることによって生じる水流によってのみ混合させる場合には、分散水W2と原水W0との混合が、著しく困難となる。この場合、原水W0と分散水W2が混合されポリマーP3の集中する箇所では、図5に示すように固形成分Sの凝集が始まるが、それ以外の箇所では、固形成分Sを凝集させることが困難となる。すなわち、ポリマーP3が原水W1内に十分に分散していない場合、フロックFの成長が阻害され、適切に凝集処理を行うことができなくなるおそれがある。したがって、本実施形態においては、ポリマーP3の分子鎖が十分に進展し、分散水W2の粘度が増加する前に、分散水W2を原水W0に添加する。
本実施形態に係る廃水処理システム1は、撹拌槽ユニット14により、原水W1中に高分子凝集剤P(ポリマーP3)を分散させて分散水W2を生成し、その分散水W2を原水W0に混合させることで、混合水W3の全体に高分子凝集剤P(ポリマーP3)を分散させている。すなわち、分散水W2中では高分子凝集剤Pは分散している(分散状態になっている)ものの、ポリマーP3の溶解は完全にはなされていない(全てのポリマーP3が溶解状態になっていない)。したがって、ポリマーP3と固形成分Sの凝集反応は抑制されており、かつ分散水W2の粘度の増加が抑制されている状態で、分散水W2が原水W0に混合される。混合水W3中では、ポリマーP3の溶解がさらに進行するとともに、混合水W3中の固形成分Sとの凝集反応が進行する。これにより、本実施形態に係る廃水処理システム1は、凝集処理を適切に行っている。以下、撹拌槽ユニット14について詳細に説明する。
(撹拌槽ユニットについて)
図6は、本実施形態に係る撹拌槽ユニットの構成を示す模式図である。図6に示すように、撹拌槽ユニット14は、撹拌槽30と、凝集剤添加部32と、撹拌部34と、電解質添加部36と、制御部38とを有する。
撹拌槽30は、原水W1が導入される槽である。撹拌槽30は、上部が開口しており、上方に導入路12の他方の端部12bが設けられている。撹拌槽30は、導入路12の他方の端部12bから、原水W1が導入される。また、撹拌槽30には、導出路16の一方の端部16aが接続されている。撹拌槽30は、内部で原水W1と高分子凝集剤Pとが混合された分散水W2を、導出路16の一方の端部16aから排出する。ただし、撹拌槽30は、導入路12の他方の端部12bから原水W1が導入されるように構成されていれば、導入路12の他方の端部12bが上方に配置されていなくてもよい。例えば、撹拌槽30は、導入路12の他方の端部12bが接続されていてもよい。同様に、撹拌槽30は、導出路16の一方の端部16aから分散水W2を排出可能な構造であれば、導出路16との接続位置は任意である。
凝集剤添加部32は、撹拌槽30内に高分子凝集剤Pを添加する装置である。凝集剤添加部32は、例えば撹拌槽30の上方に設けられ、撹拌槽30内の原水W1に対し、高分子凝集剤Pを注入する。ただし、凝集剤添加部32は、撹拌槽30内の原水W1に対し高分子凝集剤Pを添加可能であれば、その配置や構造は任意である。
本実施形態において、高分子凝集剤Pは、4質量%食塩水に濃度0.5質量%で含有させた際の粘度が、40mPa・s(パスカル・秒)以上、120mPa・s以下であるものが好ましい。4質量%食塩水とは、食塩水の全体質量に対し、食塩の質量が4%となっている状態の食塩水を指す。そして、4質量%食塩水に濃度0.5質量%で含有させるとは、この食塩水に高分子凝集剤Pを添加した際の全体の質量に対して、添加した高分子凝集剤Pの質量が、0.5%となっている状態を指す。なお、このような粘度で指定される高分子凝集剤Pは、ポリマーP3の推定分子量が、300万程度以上、1000万程度以下となる。また、高分子凝集剤Pは、原水W1への添加前の状態で、ポリマーP3の濃度、すなわち全質量に対するポリマーP3の質量が、10%以上60%以下であることが好ましく、40%以上60%以下であることがより好ましい。ただし、ポリマーP3の粘度、分子量及びポリマーP3の濃度は、これらの範囲に限られず、任意に設定してもよい。ポリマーP3の種類としては、例えば、アクリレート系、メタアクリレート系、アクリレート系またはメタアクリレート系とアクリル酸およびアクリルアミドの共重合物系、アクリル酸とアクリルの共重合物系、等が挙げられる。
撹拌部34は、撹拌槽30内の原水W1を撹拌する装置である。本実施形態において、撹拌部34は、軸部34A及び撹拌翼34Bを有する。軸部34Aは、軸状の部材であり、延在する軸方向を回転軸として、方向Rに回転可能である。撹拌翼34Bは、軸部34Aの先端に設けられる翼状部材であり、軸部34Aの回転に伴い回転する。撹拌部34は、撹拌翼34Bが撹拌槽30内に位置しており、撹拌槽30内の原水W1内に沈められている。撹拌部34は、軸部34Aの回転により、撹拌翼34Bで原水W1を撹拌する。撹拌槽30内の原水W1は、凝集剤添加部32により高分子凝集剤Pが添加されている。従って、撹拌部34は、撹拌翼34Bにより原水W1を撹拌することにより、高分子凝集剤Pを撹拌槽30内の原水W1中に分散させる。
電解質添加部36は、撹拌槽30内に電解質Eを添加する装置である。電解質添加部36は、例えば撹拌槽30の上方に設けられ、撹拌槽30内の原水W1に対し、電解質Eを添加する。この電解質Eは、原水W1に溶解して、陽イオンと陰イオンとに電離する。ただし、電解質添加部36は、撹拌槽30内の原水W1に対し電解質Eを添加可能であれば、その配置や構造は任意である。ただし、撹拌槽ユニット14は、必ずしも電解質添加部36を有していなくてもよく、撹拌槽30内の原水W1に対し電解質Eを添加しなくてもよい。
本実施形態において、電解質Eは、塩化物であり、例えば塩化ナトリウムや塩化カルシウムであることが好ましい。ただし、電解質Eは、原水W1に溶解して、陽イオンと陰イオンとに電離する物質であれば、これらの物質に限られない。
制御部38は、導入制御部12A、凝集剤添加部32、撹拌部34、及び電解質添加部36の動作を制御する。導入制御部12Aは、導入路12に設けられている。導入制御部12Aは、本実施形態では開閉弁であり、制御部38により開閉制御される。制御部38は、導入制御部12Aを開閉制御することで、撹拌槽30へ流入する原水W1の流量を制御する。なお、導入制御部12Aは、制御部38により撹拌槽30へ流入する原水W1の流量を制御するものであれば、開閉弁に限られず、例えばポンプであってもよい。
本実施形態においては、制御部38は、撹拌槽30へ流入する原水W1の流量を一定に保っている。より詳しくは、制御部38は、撹拌槽30へ流入する原水W1の流量を制御することで、撹拌槽30に流入した原水W1の、撹拌槽30内での滞留時間を制御している。すなわち、滞留時間とは、原水W1が撹拌槽30内に留まる時間である。この滞留時間は、5分以下(すなわち0秒より大きく5分以下)であることが好ましく、10秒以上、5分以下であることがより好ましく、30秒以上1分以下であることがさらに好ましい。なお、制御部38は、滞留時間が、この時間の範囲内における一定の時間に保たれるように、流入する原水W1の流量を制御している。また、撹拌槽30内の原水W1は、高分子凝集剤Pが添加されつつ、撹拌部34によって撹拌されている。従って、滞留時間とは、高分子凝集剤Pが添加された原水W1が、撹拌槽30内で撹拌部34により撹拌されている時間であるということもできる。滞留時間は、高分子凝集剤Pが原水W1内に分散されるのに必要な時間以上であり、かつ、原水W1内の固形成分Sと高分子凝集剤Pとが過剰に反応する時間より短い時間(又は全てのポリマーP3が溶解状態となる時間より短い時間)であれば、上述の数値範囲には限られない。
なお、本実施形態では、導入制御部12Aの制御によって撹拌槽30へ流入する原水W1の流量を制御することで、滞留時間を制御している。ただし、滞留時間の制御は、これに限られない。例えば、撹拌槽ユニット14は、導入路12の管径などの構造によって、原水W1の流入量が、滞留時間を上記の時間とするように設定(制御)されていてもよい。また、例えば、導出路16からの分散水W2の排出量を制御する導出制御部を導出路16に設け、導出制御部を制御部38で制御することで、滞留時間を制御してもよい。また、制御部38は、導入制御部12Aとこの導出制御部との両方を制御してもよい。
また、制御部38は、凝集剤添加部32による高分子凝集剤Pの添加を制御している。制御部38は、凝集剤添加部32に、所定量の高分子凝集剤Pを添加させ続けている。ここで、添加する高分子凝集剤Pの量(所定量)は、外部から流入してくる原水W0の量と質、すなわち、原水W0の流量測定部26ならびに水質測定器(図示せず)の測定結果に基づき、制御部38によって決定(制御)される。さらに、制御部38は、高分子凝集剤Pが原水W1に添加された後におけるポリマーP3の濃度、すなわち撹拌槽30内の原水Wと高分子凝集剤Pとの全質量に対するポリマーP3の質量が、0.01%以上1.0%以下となるように、高分子凝集剤Pの添加量を設定している。また、このポリマーP3の濃度は、0.1%以上0.5%以下であることがより好ましい。
また、制御部38は、電解質添加部36による電解質Eの添加を制御している。制御部38は、電解質添加部36に、所定量の電解質Eを添加させ続けている。ここで、添加する電解質Eの量(所定量)は、制御部38によって添加される高分子凝集剤Pの量に応じて制御される。制御部38は、電解質Eが原水W1に添加された後において、電解質Eの濃度、すなわち撹拌槽30内の原水W1と電解質Eとの全質量に対する電解質Eの質量が、0.05%以上1.0%以下となるように、電解質Eの添加量を設定している。また、この電解質Eの濃度は、0.05%以上0.2%以下であることがより好ましい。
上述のように、高分子凝集剤Pにより固形成分Sを凝集してフロックFを生成する場合、凝集反応が活発になる前に、ポリマーP3を原水W1内に分散させ、かつ原水W0と混合しておくことが、より凝集反応の効果を向上させる。本実施形態においては、撹拌槽30内に原水W1を取り込み、その原水W1に高分子凝集剤Pを添加しつつ攪拌部34で撹拌することで、高分子凝集剤Pを原水W1内に適切に分散させながら、高分子凝集剤Pを原水W0内に溶解させることで、分散水W2を生成している。そして、分散水W2でポリマーP3による凝集が活発になる前に、分散水W2を導出路16から排出する。
導出路16から排出された分散水W2は、水路10に導入され、水路10を流れている原水W0と合流する。分散水W2は、水路10を流れる原水W0の水流により、原水W0に適切に混合され、混合した原水W0中にも高分子凝集剤P(ポリマーP3)を分散させる。分散水W2と混合された原水W0は、混合水W3として、分離槽18に流入する。この混合水W3は、原水W0(W1)中に、高分子凝集剤P(ポリマーP3)が分散した状態となっている。すなわち、本実施形態においては、凝集が活発になる前に、分散水W2を原水W0に混合している。従って、分散水W2内の高分子凝集剤P(ポリマーP3)は、原水W0の全体に適切に分散する。従って、混合水W3内のポリマーP3は、分離槽18において、混合水W3中の固形成分Sを適切に捕集して、フロックFを生成させることができる。
なお、導出路16から排出された分散水W2は、水路10に導入されるが、水路10と分離槽18との接続部に導入されてもよい。言い換えれば、分散水W2は、分離槽18よりも上流で、原水W0に混合される。すなわち、分離槽18には、撹拌槽30に導入された原水W1以外の原水W0と分散水W2とが、混合された状態で流入する。この場合でも、分離槽18において、分散水W2内の高分子凝集剤P(ポリマーP3)が、原水W0内に分散して、フロックFを適切に生成することができる。
また、撹拌槽30においては、原水W1に電解質Eが添加される。電解質Eは、マイナス電荷のイオン基が、伸展状態のポリマーP3のプラス電荷のイオン基に引き付けられる。従って、電解質Eを添加することで、伸展状態において、ポリマーP3同士が反発し合うことを抑制して、粘度の増加を抑制する。これにより、高分子凝集剤Pを原水W1内により適切に分散させることが可能となる。また、ポリマーP3のプラス電荷のイオン基に電解質Eのイオン基が引き付けられることで、固形成分SがポリマーP3に引き付けられることを抑制し、撹拌槽30内において凝集が始まることを抑制して、後段の分離槽18における凝集処理の効率の低下を抑制する。なお、電解質Eが添加された原水W1は、後段で原水W0と混合して希釈されるため、分離槽18における凝集処理の抑制は解消される。
以上説明したように、本実施形態に係る廃水処理システム1は、水路10と、撹拌槽30と、凝集剤添加部32と、撹拌部34と、分離槽18とを有する。水路10は、廃水W(原水W0)が流れる水路である。撹拌槽30は、水路10を流れる廃水Wの一部(原水W1)が導入される。凝集剤添加部32は、撹拌槽30内の廃水(原水W1)に高分子凝集剤Pを添加する。高分子凝集剤Pは、エマルション型の高分子凝集剤である。撹拌部34は、撹拌槽30内の廃水(原水W1)を撹拌して、高分子凝集剤Pを分散させる。分離槽18は、水路10を流れる廃水W(原水W0)のうちの撹拌槽30に導入された一部以外の廃水W(原水W0)と、撹拌槽30内で高分子凝集剤Pが分散された廃水W(分散水W2)とが流入して、高分子凝集剤Pによって廃水W(混合水W3)からフロックを生成させ、フロックを沈殿分離する。
この廃水処理システム1は、原水W0の一部を撹拌槽30に取り込んで、この一部の原水W1に対して高分子凝集剤Pを添加して撹拌する。これにより、原水W0の一部に高分子凝集剤Pが分散した分散水W2を生成する。その後、この分散水W2を、水路10を流れる原水W0と混合して、混合した原水W0にも高分子凝集剤Pを分散させる。そして、分離槽18内で、混合した原水W0から、高分子凝集剤Pにより固形成分Sを成長させ、フロックFを形成する。すなわち、この廃水処理システム1は、原水W0の一部を用いて撹拌槽30で一度高分子凝集剤Pを希釈、分散させ、その分散させた分散水W2を、原水W0に混合させることで、原水W0の全体に適切に高分子凝集剤Pを分散させることができる。従って、この廃水処理システム1によると、エマルション型の高分子凝集剤Pを廃水Wに用いて凝集処理を行う際に、溶解用水を用いることなく、かつ、高分子凝集剤を廃水中に適切に分散させることが可能となる。
また、この廃水処理システム1は、導出路16を更に有する。導出路16は、撹拌槽30に接続され、撹拌槽30で高分子凝集剤Pが分散された廃水W(分散水W2)を水路10に導出して、高分子凝集剤Pが分散された廃水W(分散水W2)を、水路10を流れる廃水W(W0)に合流させる。この廃水処理システム1は、高分子凝集剤Pが分散した分散水W2を、水路10に戻すことで、水路10の廃水Wの水流により、高分子凝集剤Pを、廃水Wの全体に適切に分散させることが可能となる。従って、廃水処理システム1によると、高分子凝集剤Pを廃水中により適切に分散させる事が可能となる。
また、この廃水処理システム1において、撹拌槽30に流入した廃水W(原水W1)の撹拌槽30内での滞留時間は、5分以下である。この廃水処理システム1は、撹拌槽30内での滞留時間、すなわち高分子凝集剤Pが添加された原水W1が撹拌槽30内に留まる時間を、このように短くしている。それにより、この廃水処理システム1は、高分子凝集剤Pが分散した分散水W2を、迅速に原水W0と混合することが可能となる。従って、この廃水処理システム1によると、高分子凝集剤Pが原水W0の全体に分散する前に凝集反応が活発になることを抑制して、凝集処理の効率低下を抑制する。
また、この廃水処理システム1において、高分子凝集剤Pは、4質量%食塩水に濃度0.5質量%で含有させた際の粘度が40mPa・s以上、120mPa・s以下である。この場合、高分子凝集剤Pは、ポリマーP3の推定分子量が、300万程度以上、1000万程度以下である。この廃水処理システム1は、このようにポリマーP3の分子量が高い高分子凝集剤Pを用いることで、フロックFの生成を促進して、凝集処理をより適切に行う事が可能となる。
また、この廃水処理システム1は、撹拌槽30内の廃水W(原水W1)に電解質Eを添加する電解質添加部36を有する。この廃水処理システム1は、原水W1に電解質Eを添加することで、分散水W2が原水W0に混合される前に粘度が上昇したり凝集反応が活発になったりすることを抑制して、分散状態の悪化や、凝集処理の効率低下を抑制する。
また、この廃水処理システム1は、生物反応槽20を更に有する。生物反応槽20は、分離槽18でフロックFが分離された廃水W(上澄み水W4)が導入され、導入した廃水W(上澄み水W4)に生物処理を行って、廃水W(上澄み水W4)を浄化する。この廃水処理システム1は、フロックFを除去した後の廃水Wを生物処理により浄化することで、廃水Wの浄化を適切に行うことができる。
また、この廃水処理システム1は、流量測定部26と、制御部28とを有する。流量測定部26は、水路10を流れる廃水W(原水W0)の流量を測定する。制御部28は、水路10を流れる廃水Wの流量が所定の閾値以上である場合に、分離槽18でフロックFが分離された廃水W(上澄み水W4)の一部を、生物反応槽20を経ずに外部に流出させる。この廃水処理システム1は、例えば豪雨時などにおいて廃水Wの量が増加した場合に、一部を生物反応槽20に送らずバイパスして外部に排出することで、生物反応槽20の処理不良などを抑制することができる。さらに、この場合、より多くのフロックFが除去された廃水Wを排出するため、排出する廃水Wによる周辺環境の水質悪化を軽減することができる。
(変形例)
次に、本実施形態の変形例について説明する。変形例に係る廃水処理システム1は、捕集部13を有する以外は、第1実施形態に係る廃水処理システム1と同様である。
図7は、変形例に係る廃水処理システムの模式図である。図7に示すように、変形例に係る廃水処理システム1は、導入路12に、捕集部13が設けられている。捕集部13は、導入路12において、一方の端部12aと他方の端部12bとの間であって、導入制御部12Aよりも一方の端部12a側に設けられている。捕集部13は、導入路12を流れる廃水W(原水W1)に含有される固形成分を捕集するフィルタであり、例えばストレーナやスクリーンである。廃水W(原水W1)の固形物の濃度が大きい場合、それに対して高分子凝集剤Pを添加した場合、凝集処理が速く進行しすぎて、高分子凝集剤Pを適切に分散できなくなるおそれがある。変形例では、予めある程度の固形物を捕集しておくことで、廃水W(原水W1)の固形物の濃度が大きくなり過ぎることを抑制して、高分子凝集剤Pを適切に分散することを可能としている。また、図7に示すように、導出路16に分散水W2の導出量を制御する導出制御部16Aが設けられていてもよい。導出制御部16Aは、導入制御部12Aと同様の構成であってよい。導出制御部16Aは、上述の実施形態に係る廃水処理システムに設けられてもよいし、必ずしも設けられていなくてもよい。
(実施例)
次に、実施例について説明する。実施例においては、複数のサンプルを用いて高分子凝集剤Pを添加、撹拌した後に凝集処理を行い、フロックFを除去した後の上澄み水の濁度(NTU)及びSS(Suspended Solid 懸濁物質)除去率を計測した。比較例では、ポリマー濃度が50%のエマルション型の高分子凝集剤Pを、イオン交換水(溶解用水)に添加し、10分間撹拌して、分散水を生成した。この分散水におけるポリマー濃度は、0.3%となっている。その後、この分散水を下水に混合、撹拌して、ポリマー濃度が1ppmの混合水を生成した。そして、この混合水を5分間静置した後、上澄み水を採取し、その上澄み水の濁度及びSS除去率を計測した。
実施例1においては、ポリマー濃度が50%のエマルション型の高分子凝集剤Pを、下水に添加し、30秒間撹拌して、分散水を生成した。この分散水におけるポリマー濃度は、0.3%となっている。その後の処理は、比較例と同様である。また、実施例2では、分散水に、濃度が0.1%となるように塩化ナトリウム(電解質E)を添加した以外は、実施例1と同様である。また、実施例3では、分散水に、濃度が0.1%となるように塩化カルシウム(電解質E)を添加した以外は、実施例1と同様である。また、実施例4では、分散水に、濃度が0.2%となるように塩化ナトリウム(電解質E)を添加した以外は、実施例1と同様である。
図8は、濁度及びSS除去率の測定結果を示す表である。図8に示すように、比較例において、濁度(NTU)は、71であり、SS除去率は、84%であった。実施例1において、濁度(NTU)は、69であり、SS除去率は、86%であった。実施例2において、濁度(NTU)は、73であり、SS除去率は、86%であった。実施例3において、濁度(NTU)は、78であり、SS除去率は、86%であった。実施例4において、濁度(NTU)は、86であり、SS除去率は、83%であった。以上より、各実施例に示すように、下水(廃水)を用いて分散水を生成した場合においても、従来のように清浄な水を用いて分散水を生成した場合に対して、凝集処理の処理性能が低下しないことが分かる。
また、以下に、ポリマーP3の分子量が異なる高分子凝集剤PA、PB、PCを用いた実験結果について説明する。実施例5は、高分子凝集剤PAを用いた結果であり、実施例6は、高分子凝集剤PBを用いた結果であり、実施例7は、高分子凝集剤PCを用いた結果である。実施例5、6、7は、高分子凝集剤Pとしてそれぞれ高分子凝集剤PA、PB、PCを用いた以外は、実施例1と同じ方法を用いて実験を行った。高分子凝集剤PA、PBは、ポリマーP3の分子量が、数十万であり、高分子凝集剤PCは、ポリマーP3の分子量が、数百万である。高分子凝集剤PA、PB、PCのうち、高分子凝集剤PCが、ポリマーP3の分子量が最も高く、高分子凝集剤PBが、ポリマーP3の分子量が2番目に高い。
図9は、濁度及びSS除去率の測定結果を示す表である。図9に示すように、実施例5において、濁度(NTU)は、85であり、SS除去率は、64.3%であった。実施例6において、濁度(NTU)は、72であり、SS除去率は、74.2%であった。実施例7において、濁度(NTU)は、44であり、SS除去率は、88.5%であった。以上より、実施例5−7によると、ポリマーP3の分子量が大きいほど、凝集処理の処理性能を向上させることが分かる。従って、本実施形態のように、高分子凝集剤Pとして、4質量%食塩水に濃度0.5質量%で含有させた際の粘度が、40mPa・s以上、120mPa・s以下のもの、すなわちポリマーP3の推定分子量が300万程度以上、1000万程度以下の高分子量のものを用いると、凝集処理の処理性能を向上させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
1 廃水処理システム
10 水路
12 導入路
14 撹拌槽ユニット
16 導出路
18 分離槽
20 生物反応槽
22 最終沈殿槽
24 排出路
30 撹拌槽
32 凝集剤添加部
34 撹拌部
36 電解質添加部
W 廃水
W0、W1 原水
W2 分散水
W3 混合水

Claims (6)

  1. 下水である廃水が流れる水路と、
    前記水路を流れる廃水の一部が導入される撹拌槽と、
    前記撹拌槽内の廃水にエマルション型の高分子凝集剤を添加する凝集剤添加部と、
    前記撹拌槽内の廃水を撹拌して、前記高分子凝集剤を分散させる撹拌部と、
    前記水路を流れる廃水のうちの前記撹拌槽に導入された一部以外の廃水と、前記撹拌槽内で前記高分子凝集剤が分散された廃水とが流入して、前記高分子凝集剤によって前記廃水からフロックを生成させ、前記フロックを沈殿分離する分離槽と、
    を有し、
    前記撹拌槽に流入した前記廃水の前記撹拌槽内での滞留時間は、5分以下であり、
    前記撹拌槽内の廃水に電解質を添加する電解質添加部を更に有する、廃水処理システム。
  2. 前記撹拌槽に接続され、前記撹拌槽で高分子凝集剤が分散された廃水を前記水路に導出して、前記高分子凝集剤が分散された廃水を、前記水路を流れる廃水に合流させる導出路を更に有し、
    前記分離槽には、前記高分子凝集剤が分散された廃水と合流した廃水が流入する、請求項1に記載の廃水処理システム。
  3. 前記高分子凝集剤が、4質量%食塩水に濃度0.5質量%で含有させた際の粘度が、40mPa・s以上、120mPa・s以下である、請求項1又は請求項2に記載の廃水処理システム。
  4. 前記水路に接続され、前記水路を流れる廃水を前記撹拌槽へ導入させる導入路と、
    前記導入路に設けられ、前記廃水内の固形成分を捕集する捕集部と、を有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の廃水処理システム。
  5. 前記分離槽でフロックが分離された廃水が導入され、導入した前記廃水に生物処理を行って、前記廃水を浄化する生物反応槽を更に有する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の廃水処理システム。
  6. 前記水路を流れる廃水の流量を測定する流量測定部と、
    前記水路を流れる廃水の流量が所定の閾値以上である場合に、前記分離槽でフロックが分離された廃水の一部を、前記生物反応槽を経ずに外部に流出させる制御部と、を更に有する、請求項に記載の廃水処理システム。
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