本発明の一実施形態を図1から図8によって説明する。本実施形態の冷温蔵装置1(温蔵装置)は、図1に示すように、カート10(断熱カート)と、カート10を出し入れ可能に格納するステーション30と、を備えている。カート10は、貯蔵室11B(断熱室)を構成する断熱箱11Aを有するカート本体11と、トレイ40を収納するフレームカート20と、を備えている。カート本体11は前後両面が開放され、前後の開口をそれぞれ開閉する観音開き式の断熱扉12が装着されている。なお、図1では前側の開口の右側の開閉扉については図示を省略している。また、断熱箱11Aの底面にはキャスタ13が設けられている。
フレームカート20は、キャスタ22を設けた底板21の左右の側縁から金属製のフレーム23が立ち上げられた構造である。フレームカート20は、カート本体11内に前面側から出し入れ可能となっている。フレームカート20の左右方向の略中央部分には前後方向全域に亘って断熱製の仕切壁24が設けられている。仕切壁24は複数の単位仕切壁24Aを積み上げた形状である。トレイ40は前後両面から上下の単位仕切壁24Aの間を貫通しつつ複数段に亘って収納される。図2に示すように、フレームカート20がカート本体11内に収納されると仕切壁24によって貯蔵室11Bが左右に仕切られることにより、左側に冷温蔵室25Hが形成され、右側に冷蔵室25Cが形成される。
カート本体11の内側には左側の断熱壁に対して対向配置される形で左側インナーパネル14Aが設けられており、左側の断熱壁と左側インナーパネル14Aによって空気循環通路41が形成されている。また、図2では省略しているが、カート本体11の内側には右側の断熱壁に対して対向配置される形で右側インナーパネルが左側インナーパネル14Aと同様に設けられており、右側の断熱壁と右側インナーパネルとによって空気循環通路42が形成されている。左側インナーパネル14A及び右側インナーパネルには、カート本体11内に空気を流入させるための複数の孔14B(図1参照)が形成されている。
図1に示すように、断熱箱11Aの天井壁部15(貯蔵室を構成する壁部)には複数の開口17A,17B,17C,17Dが形成されている。開口17Aは、図2に示すように、空気循環通路41の上方に形成されており、開口17Bは冷温蔵室25Hの上方に形成されている。また、開口17Cは冷蔵室25Cの上方に形成されており、開口17Dは空気循環通路42の上方に形成されている。また、開口17B,17Cはシャッター18(図3の破線参照)によって開閉可能となっている。シャッター18の構成については後述する。
ステーション30は正面に開口された格納室30Aを有する略箱形をなしている。格納室30Aには、カート10が格納可能となっている。ステーション30の上部には機械室36が区画形成されている。機械室36には冷却装置37を構成する圧縮機38や凝縮器(図示せず)などが収容されている。図2に示すように、機械室36の下には熱交換室31と熱交換室32とが左右に並んで区画形成されている。熱交換室31は冷温蔵室25Hの上方に配されている。熱交換室31には蒸発器33A(冷却器)、ヒータ34、及び循環ファン35Aが収容されている。蒸発器33Aは冷却装置37の一部を構成するものである。
熱交換室32は冷蔵室25Cの上方に配されている。熱交換室32には蒸発器33B(冷却器)、及び、循環ファン35Bが収容されている。蒸発器33Bは冷却装置37の一部を構成するものである。蒸発器33A及び蒸発器33Bは、冷媒管や開閉弁(図示せず)を介して圧縮機38や凝縮器と並列接続されている。制御部80(後述、図5参照)は開閉弁を切り替えることにより、蒸発器33A、33Bに対する冷媒の供給を制御することができる。これにより、制御部80は、蒸発器33Aと蒸発器33Bとが両方作動している状態、蒸発器33Aのみが作動している状態、及び、蒸発器33Bのみが作動している状態を切り替えることができる。また、熱交換室31には、冷温蔵室25Hの温度を検知する温度センサ61Hが配され、熱交換室32には、冷蔵室25Cの温度を検知する温度センサ61Cが配されている。なお、温度センサ61Hは、循環ファン35Aの吸入側に隣接する形で配され、循環ファン35Aによって吸入された冷温蔵室25Hの空気の温度を検知可能となっている。温度センサ61Cは、循環ファン35Bの吸入側に隣接する形で配され、循環ファン35Bによって吸入された冷蔵室25Cの空気の温度を検知可能となっている。
図2に示すように、熱交換室31,32の下方には、ダクト機構50が配されている。ダクト機構50は、4つのダクト52,53,54,55と、各ダクト52,53,54,55を保持するダクト保持部材51と、バネ部材56と、各ダクト52〜55を伸縮させるための操作レバー57(切替部)と、を備えている。熱交換室31,32と、貯蔵室11Bとは、ダクト52〜55を介して連通される構成となっている。
ダクト52〜55は、熱交換室31(又は熱交換室32)から下方(貯蔵室11B側)に延びている。ダクト52〜55は、例えば、ゴム材で形成された蛇腹状の部材であり、上下方向に伸縮可能となっている。ダクト53〜55は、その上端において対応する熱交換室の底壁に固定されている。操作レバー57は、ステーション30の正面に設けられている。作業者は、操作レバー57を回動操作することで、操作レバー57に設けられたカム(図示せず)によってダクト保持部材51を押し下げることができる。図2に示すように、ダクト保持部材51が押し下げられた状態では、ダクト52〜55の全長が伸び、各ダクト52〜55の下端部がカート10の貯蔵室11B側に延びることで、各ダクト52〜55の下端部(ラッパ状の部分)が断熱箱11Aの天井壁部15の各開口17A〜17Dを囲むようにして天井壁部15に当接する。
これにより、ダクト52によって熱交換室31と空気循環通路41とが連通され、ダクト53によって熱交換室31と冷温蔵室25Hとが連通される。この結果、ダクト52,53を介して、熱交換室31と冷温蔵室25Hとの間で空気を循環させるための空気循環路が形成される。また、ダクト54によって熱交換室32と冷蔵室25Cとが連通され、ダクト55によって熱交換室32と空気循環通路42とが連通される。この結果、ダクト54,55を介して、熱交換室32と冷蔵室25Cとの間で空気を循環させるための空気循環路が形成される。
また、図2に示す状態から作業者が操作レバー57を反時計回りに回動操作すると、操作レバー57のカムによるダクト保持部材51の押圧が解除される結果、バネ部材56が弾性復帰することで、ダクト保持部材51が引き上げられる。これにより、ダクト52〜55が縮むことで、各ダクト52〜55の下端が天井壁部15から離間する。このように、本実施形態では、操作レバー57を操作することで、ダクト52〜55を伸縮させることができ、貯蔵室11Bに対するダクト52〜55の接続及び非接続を切り替えることができる。これにより、カート10に対してステーション30を出し入れする際に、ダクト52〜55とカート10とが干渉する事態を抑制することができる。
上述した空気循環路が形成されている状態で循環ファン35Aが回転すると、冷温蔵室25H内の空気がダクト53から熱交換室31に吸い込まれる。熱交換室31に吸い込まれた空気は、蒸発器33Aによって冷却され(又はヒータ34によって加熱され)、ダクト52から空気循環通路41に送り込まれる。空気循環通路41に送り込まれた空気は左側インナーパネル14Aに形成されている複数の孔から冷温蔵室25Hに流入する。このように、本実施形態では、循環ファン35Aの動作によって、ダクト52,53を介して、冷温蔵室25Hと熱交換室31との間で空気を循環させることができる。
また、上述した空気循環路が形成されている状態で循環ファン35Bが回転すると、冷蔵室25C内の空気がダクト54から熱交換室32に吸い込まれる。熱交換室32に吸い込まれた空気は蒸発器33Bによって冷却され、ダクト55から空気循環通路42に送り込まれる。空気循環通路42に送り込まれた空気は右側インナーパネルに形成されている複数の孔から冷蔵室25Cに流入する。このように、本実施形態では、循環ファン35Bの動作によって、ダクト54,55を介して、冷蔵室25Cと熱交換室32との間で空気を循環させることができる。
次に、シャッター18の構成について、図3及び図4によって説明する。シャッター18は、図3及び図4に示すように、略方形状をなす板材とされ、天井壁部15に対して下方から重なる形で配されている。シャッター18には、開口17B,17Cとほぼ同じ形状のシャッター側開口18B,18Cが形成されている。また、シャッター18は、左右方向の両端部において、天井壁部15に設けられた一対のガイドレール16,16に対して、それぞれ取り付けられており、シャッター18は、前後方向(図3の上下方向)に沿ってスライド移動が可能な構成となっている。これにより、シャッター18は、開口17B,17Cを閉じる閉位置(図3に示す位置)と、開口17B,17Cとシャッター側開口18B,18Cとがそれぞれ重なる開位置(図4に示す位置)の間で変位可能となっている。つまり、シャッター18が開位置にある状態では、開口17B,17Cが開放された状態となっている。なお、閉位置においては、図3に示すように、シャッター側開口18B,18Cが開口17B,17Cに対して後側(図3の上側)に配される。
また、シャッター18の後端部には、ピン19が形成されている。ピン19は、天井壁部15に形成された長手状の貫通孔15Aを通じて、天井壁部15の上方に突出されている。図4に示すように、ステーション30の奥壁30Bの内面には、ブラケット71が前側(図4の左側)に突出する形で設けられている。ブラケット71は、ピン19と同じ高さに配されており、左右方向(図4の紙面貫通方向)においてピン19と同じ位置に配されている。使用者が、ステーション30の格納室30Aにカート10を格納する際には、カート10を前方から格納室30Aに差し入れる。この時、ブラケット71の前端部によってピン19は後側から押圧される。これにより、閉位置にあるシャッター18が開位置に変位する構成となっている。つまり、ピン19及びブラケット71は、カート10が格納室30Aに格納されることに連動して、閉位置にあるシャッター18を開位置に変位させるシャッター変位機構26を構成するものとされる。
また、ブラケット71には、カート10が正規の格納位置に格納されたことを検知するカート検知部70が取り付けられている。カート10が正規の格納位置に格納されると、カート検知部70の当接部72がカート10(断熱箱11A)の上部に押されることで、カート検知部70がオンとなる。なお、カート10の正規の格納位置とは、ダクト52〜55の下方に、対応する開口17A〜17Dがそれぞれ配される位置のことである。
(冷温蔵装置の電気的構成)
次に、冷温蔵装置1の電気的構成について説明する。図5に示すように、冷温蔵装置1は、制御部80を備える。制御部80には、操作部81A、表示部81B、温度センサ61C,61H、循環ファン35A,35B、ヒータ34、冷却装置37(より具体的には圧縮機38や開閉弁)、計時部62、記憶部63、カート検知部70、ダクト検知部60が電気的に接続されている。なお、ダクト検知部60は、ダクト52〜55が貯蔵室11B側に伸ばされているか否かを検知するものであり、磁気近接センサなどによって構成されている。
制御部80は、例えばCPUを主体に構成され、記憶部63は、例えばROMやRAMなどによって構成されている。制御部80は、記憶部63に記憶されたプログラムを実行することで、制御部80に接続された表示部81B、循環ファン35A,35B、ヒータ34、冷却装置37(ひいては蒸発器33A,33B)の動作をそれぞれ制御することが可能となっている。なお、制御部80及び記憶部63は、例えば、機械室36内に配置された電装箱内に収容されているが、これに限定されない。
また、図1に示すように、ステーション30の前壁部には、タッチパネル81(より詳しくはタッチパネル付き液晶パネル)が設けられている。タッチパネル81は、操作部81A及び表示部81B(報知部)を構成するものとされる。作業者は、タッチパネル81に表示されるスイッチを操作することで、冷温蔵装置1の運転に関する操作や各種設定(例えば、調理完了時刻や目標温度などの入力)、及び運転履歴の確認などを行うことができる。計時部62(内蔵時計)は、現在時刻を計時するものとされ、制御部80は、計時部62の現在時刻に基づいて、各機器の制御を行うことが可能となっている。
(冷温蔵装置の使用形態の一例)
次に、本実施形態の冷温蔵装置1の使用形態の一例を説明する。まず、調理等の準備をした温食と冷食とをトレイ40に分けて盛り付けて、各トレイ40をフレームカート20に収納し、フレームカート20をカート本体11に収納してカート10を構成する(盛付け工程)。次にカート10がステーション30内に入れられ、運転スイッチがオンされると、冷蔵モードが実行される。
冷蔵モードでは、両熱交換室31,32において蒸発器33A,33B及び循環ファン35A、35Bが作動状態とされ、冷温蔵室25Hと冷蔵室25Cには共に冷気が循環供給されることで、トレイ40に載せられた温食と冷食が共に冷蔵保存(チルド保存)される。この冷蔵モードでは、冷温蔵室25Hの庫内温度が温度センサ61Hによって検知され、冷蔵室25Cの庫内温度が温度センサ61Cで検知される。温度センサ61H,61Cの各検知温度が予め設定された各設定温度と比較され、その比較に基づいて、冷却装置37が備える開閉弁の開閉切替や、圧縮機38のオンオフ切替を行うことで、各室25C,25Hに対応した各熱交換室31,32の蒸発器33A,33Bの作動、又は非作動が制御される。これにより、冷温蔵室25Hと冷蔵室25Cの庫内温度がほぼ設定温度に維持されるようになっている。
そして、冷温蔵装置1に内蔵された計時部62の現在時刻が、予め設定された所定時刻(加熱開始時刻)となったら、再加熱モードに切り替わる。なお、このような加熱開始時刻は、例えば、予め入力された配膳時刻(食品を配膳する時刻)から食品の加熱に必要な時間などを逆算することで決定される。なお、作業者が加熱開始時刻を直接的に入力する構成としてもよい。再加熱モードにおいては、熱交換室31では、蒸発器33Aが非作動とされ、ヒータ34の作動に切り替わる。一方、熱交換室32では、引き続き蒸発器33Bが作動された状態が維持される。これにより、冷温蔵室25H内には循環ファン35Aの作用によって暖気が循環されて温食が再加熱される一方、冷蔵室25Cには引き続き冷気が循環供給されてチルド保存される。
(ヒータに係る制御部の処理)
再加熱モードにおいて、シャッター18が開位置にある状態(正常状態)の温度センサ61Hの検知温度T1と時間推移の一例を図6に示す。図6に示す横軸は、再加熱モードの開始時刻を基準(0分)とした時間であり、縦軸は、温度センサ61Hの検知温度T1である。図6に示すように、再加熱モードでは、制御部80は、予め設定された設定温度T2(図6では115℃)を目標値として、ヒータ34による加熱運転を実行する。具体的には、制御部80は、温度センサ61Hの検知温度T1が設定温度T2に達するとヒータ34を停止させ、温度センサ61Hの検知温度T1が設定温度T2よりも低くなると、ヒータ34を動作させる。これにより、冷温蔵室25Hの温度が設定温度T2付近で維持されるようになっている。なお、設定温度T2は、例えば記憶部63に記憶されている。また、本実施形態では、設定温度T2を115℃としているが、この値に限定されない。
ところで、制御部80がヒータ34を停止した(ヒータ34への通電を停止)直後には、ヒータ34の余熱によって熱交換室31の温度がわずかに上昇する。ここで、シャッター18が閉位置にある状態では、熱交換室31と冷温蔵室25Hの間の空気の循環が正しく行われない。この状態で再加熱モードが実行されると、ヒータ34の余熱によって生じた暖気が冷温蔵室25Hに向かうことがないから、シャッター18が開位置にある状態と比べて熱交換室31の温度がより上昇し易くなる。このため、本実施形態の制御部80は、ヒータ34を停止した後の温度センサ61Hの検知温度T1に基づいてシャッター18が閉位置にあるか否かを判定する判定処理を行う。
なお、本実施形態では、シャッター変位機構26を備えているから、カート10をステーション30に格納する際に、シャッター18は開位置に変位する。このため、シャッター18が閉位置にある状態で再加熱モードが実行される原因としては、シャッター変位機構26の故障や、ステーション30とカート10の相対的な高さ位置がずれていることによって、ピン19がブラケット71に押圧されない事態などが考えられる。また、シャッター18が開位置にある場合でも、トレイ40に設置された食札などによって、熱交換室31と冷温蔵室25Hの間の空気循環路(例えばステーション30に設けられた図示しないフィルタなど)が部分的に塞がれることによって、シャッター18が閉じている場合と同様の現象が起こり得る。
再加熱モードにおいて、シャッター18が閉位置にある状態(異常状態)の温度センサ61Hの検知温度T1と時間推移の一例を図7に示す。再加熱モードでは、設定温度T2(図7では115℃)に達した時点(図7のA1)でヒータ34が停止する。しかしながら、シャッター18が閉位置にある状態では、熱交換室31と冷温蔵室25Hの間の空気循環路が形成されることがないから、ヒータ34の余熱によって生じた暖気が冷温蔵室25Hに向かうことがなく、熱交換室31の温度が上昇する。この結果、図7に示すように、(最初に)ヒータ34が停止した後の温度センサ61Hの検知温度T1は、設定温度T2(115℃)よりも10℃以上高くなる。
このため、本実施形態では、制御部80は、ヒータ34を停止した後の検知温度T1に基づいて、シャッター18が閉位置にあるか否かを判定し、閉位置にあると判定した場合に報知処理を行う。具体的には、再加熱モードにおいては、制御部80は、図8に示すように、ヒータ34を動作させる(ステップS11)。そして、循環ファン35A及びヒータ34の動作中に、温度センサ61Hの検知温度T1が予め設定された設定温度T2になる(ステップS12がYES)と、制御部80は、ヒータ34を停止させる(ステップS13、ヒータ停止処理)。次に、制御部80は、循環ファン35Aの動作を継続した状態で、温度センサ61Hの検知温度T1が予め設定された設定温度T2よりも所定温度T3以上高くなった場合には、シャッター18が閉位置にあると判定する(ステップS14、判定処理)。制御部80は、シャッター18が閉位置にあると判定した場合(ステップS14がYES)には、表示部81Bを作動させて報知処理(ステップS15)を行う。なお、所定温度T3は、例えば10℃とされ、例えば記憶部63に予め記憶されている。
報知処理においては、制御部80は、例えば「庫内温度の異常を検出しました」という警告メッセージを表示部81B(タッチパネル81)に表示すると共に、その異常の原因として考えられる事項を使用者に提示するメッセージを表示部81Bに表示する。表示部81Bに表示されるメッセージとしては「加熱中に扉を開けませんでしたか?」、「カートは正しくセットされていますか?」、「フィルタに食札などがついていませんか?」、「カートのシャッターが閉じていませんか?」などの文言を例示することができる。なお、上記庫内温度とは、冷温蔵室25H内の温度である。
これにより、使用者は、シャッター18の開閉状況(天井壁部15の各開口が閉じていないか)を迅速に確認することができる。つまり、表示部81Bは、シャッター18が閉位置にある可能性を使用者に報知する機能を担っている。なお、報知処理が実行された場合には、制御部80は再加熱モードを継続して実行するが、報知処理と同時に再加熱モードを停止させてもよい。
次に本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、シャッター18が開位置にある状態で、ヒータ34及び循環ファン35Aを作動させると、ダクト52,53を介して冷温蔵室25Hと熱交換室31との間で空気が循環する。これにより、ヒータ34で発生した暖気によって冷温蔵室25H内の貯蔵物を加熱することができる。また、シャッター18が閉位置にある状態では、冷温蔵室25Hと熱交換室31との間で空気が循環されることがない。このため、シャッター18が閉位置にある状態で、ヒータ34の動作が停止した場合には、ヒータ34の余熱によって生じた暖気が冷温蔵室25Hに向かうことがないから、熱交換室31の温度が上昇し易くなる。このため、ヒータ34を停止した後、温度センサ61Hの検知温度T1が、設定温度T2よりも所定温度T3以上高くなった場合には、制御部80は、シャッター18が閉位置にあると判定することができる。
このような場合には、制御部80が報知処理を行うことで、シャッター18が閉位置にあることを冷温蔵装置1の使用者に知らせることができる。また、本実施形態では、温度センサ61Hの検知温度に基づいて、シャッター18が閉位置にあるか否かを判定することができるから、例えば、シャッター18の位置を検知するための位置センサなどを設ける必要がなく好適である。なお、温度センサ61Hは、冷蔵モードや再加熱モードの際に、冷温蔵室25Hの温度を検知するためのものであるため、シャッター18の閉位置にあるか否かを判定するための温度センサを新たに設ける必要がない。
また、本実施形態では、制御部80は、温度センサ61Hの検知温度T1が設定温度T2よりも10℃以上高くなった場合に、シャッター18が閉位置にあると判定する。これにより、シャッター18が開位置にある場合において、温度センサ61Hの検知温度T1がわずかに上昇した際に、シャッター18が閉位置にあると判定する事態を抑制でき、シャッター18が閉位置にある事態をより確実に判定することができる。なお、本願発明者によれば、シャッター18が開位置にある場合であっても、ヒータ34停止後にヒータ34の余熱によって、検知温度T1が設定温度T2よりも6℃程度上昇する場合があることが確認されている。このため、所定温度T3を10℃で設定することで、このような場合のシャッター18の開閉に係る誤判定を防止することができる。
また、ステーション30及びシャッター18には、カート10が格納室30Aに格納されることに連動して、閉位置にあるシャッター18を開位置に変位させるシャッター変位機構26が設けられている。シャッター変位機構26を備えることで、使用者がカート10を格納室30Aに格納する際にシャッター18を手動で開く必要がない。しかしながら、使用者がシャッター18の開閉を意識する必要がないことから、仮にシャッター変位機構26が正しく作動しない場合には、使用者は、シャッター18が閉位置にあることに気づきにくい。上記構成では、表示部81Bによって、シャッター18が閉位置にある可能性を使用者に伝えることができるから、シャッター変位機構26を備える構成において、特に好適である。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、温蔵装置として、冷却機能及び加熱機能を備える冷温蔵装置を例示したが、冷却機能を備えていなくてもよい。
(2)上記実施形態では、報知部として、タッチパネルの表示部を例示したが、これに限定されない。報知部としてブザーやランプなどを用いてもよく、ブザー音やランプの点灯によって、シャッター18が閉位置にあることを報知してもよい。
(3)所定温度T3は10℃に限定されず、ヒータ34の出力や設定温度T2などに基づいて適宜設定可能である。シャッター18が開位置にある状態でのヒータ34停止直後の温度上昇と、シャッター18が閉位置にある状態でのヒータ34停止直後の温度上昇とを試験を行うことで測定し、この試験結果に基づいて所定温度T3を決定すればよい。