以下、図面を参照しつつ、実施形態における電線張替方法、および、電線張替作業用ローラユニット(R1)について、詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
(第1の実施形態)
図1乃至図4を参照して、第1の実施形態における電線張替方法について説明する。図1は、第1の実施形態における電線張替方法を実行する前の状態と、第1の実施形態における電線張替方法を実行した後の状態とを模式的に示す概略平面図である。図1の上側には、電線張替方法を実行前の状態が示され、図1の下側には、電線張替方法を実行後の状態が示されている。図2Aおよび図2Bは、第1の実施形態における電線張替方法の一例を示すフローチャートである。図3および図4は、第1の実施形態における電線張替方法の各工程を模式的に示す概略平面図である。
図1に示されるように、第1の実施形態では、既設電線(Wp1、Wp2、Wp3)が、新設電線(Wn1、Wn2、Wn3)に張り替えられる。図1には、3本の既設電線を3本の新設電線に張り替える例が記載されている。代替的に、2本の既設電線が2本の新設電線に張り替えられてもよく、N本(「N」は、4以上の任意の自然数)の既設電線がN本の新設電線に張り替えられてもよい。
図1には、4本の電柱(C1、C2、C3,C4)に架設された既設電線Wpが、新設電線Wnに張り替えられる例が記載されているが、張り替えられる電線は、3本以下の電柱に架設された電線であってもよいし、5本以上の電柱に架設された電線であってもよい。なお、図1において、電柱間の間隔、電柱に支持された腕金M(電線支持部92)のサイズ等は、説明をわかりやすくする目的で、現実の間隔、サイズ等を反映していない。
図1に記載の例では、第1電柱C1に第1電線支持部92−1(腕金)が設けられ、第2電柱C2に第2電線支持部92−2(腕金)が設けられ、第3電柱C3に第3電線支持部92−3(腕金)が設けられ、第4電柱C4に第4電線支持部92−4(腕金)が設けられている。そして、各電線支持部92は、既設第1電線Wp1、既設第2電線Wp2、既設第3電線Wp3を支持している。
図1に記載の例では、既設第1電線Wp1と既設第2電線Wp2とが、電線連結部材CNによって連結されている。電線連結部材CNは、可撓性の線材である。電線連結部材CNは、いずれかの既設電線Wpが切れた際に、当該切れた電線が地面に向けて大きく垂れさがるのを防止する。電線支持部92に3本の既設電線Wpが配置されている場合には、電線連結部材CNは、当該3本の既設電線(Wp1、Wp2、Wp3)を連結する。後述されるように、第1の実施形態では、電線連結部材CNを、既設電線Wpとともに回収することが可能である(図1の下側の図を参照)。
図1に記載の例では、第2電柱C2と第3電柱C3との間に電線連結部材CNが配置されている。代替的に、あるいは、付加的に、第1電柱C1と第2電柱C2との間に電線連結部材CNが配置されていてもよく、第3電柱C3と第4電柱C4との間に電線連結部材CNが配置されていてもよい。また、2つの隣接する電柱間に配置される電線連結部材CNの数は、2個以上であってもよい。
(電線張替方法に使用される装置の概要)
図1に記載の例では、電線張替方法が実行される場所に、電線回収装置3、電線繰出装置5、非電線線材繰出装置7が配置されている。
図1に記載の例では、電線回収装置3は、第1車両V1に搭載されており、電線回収装置3は、電線回収ドラム3aを含む。
図1に記載の例では、電線繰出装置5は、電線繰出ドラム5aを含む。電線繰出装置5(電線繰出ドラム5a)には、予め、新設電線Wnが巻回されている。電線繰出装置5は、例えば、地面に設置される。
図1に記載の例では、非電線線材繰出装置7は、第2車両V2に搭載されており、非電線線材繰出装置7は、非電線線材繰出ドラム7aを含む。非電線線材繰出装置7(非電線線材繰出ドラム7a)には、予め、非電線線材Qが巻回されている。
(電線張替方法)
続いて、第1の実施形態における電線張替方法について説明する。第1ステップST1において、電線張替方法が実行される場所に、電線張替方法を実行するための装置が配置される。図3(a)に記載の例では、電線張替方法を実行するための装置に、電線回収装置3、電線繰出装置5、非電線線材繰出装置7が含まれている。電線張替方法を実行するための装置には、複数本の線材を案内可能な第1ローラユニットR1、1本または複数本の線材を案内可能な第2ローラユニットR2、および、案内される線材にブレーキ力を付与する抵抗付与ローラユニットR3のうちの少なくとも1つが含まれていてもよい。図3(a)に記載の例では、第1電線支持部92−1に、第2ローラユニットR2、および、抵抗付与ローラユニットR3が配置されている。また、第2電線支持部92−2乃至第4電線支持部92−4の各々に、第1ローラユニットR1が配置されている。
図3(b)に示されるように、第2ステップST2において、新設第1電線Wn1が既設第1電線Wp1に連結される。なお、新設第1電線Wn1は、例えば、第1電線繰出装置5−1(第1電線繰出ドラム5a−1)から繰り出された電線である。新設第1電線Wn1と既設第1電線Wp1との間の連結は、スリーブ等の接続具S1を介して行われてもよい。図3(b)に記載の例では、新設第1電線Wn1の第1端部E1と、既設第1電線Wp1の端部(切断端部)とが、接続具S1を介して連結されている。
付加的に、図3(b)に示されるように、第2ステップST2において、既設電線牽引用線材Yが、既設第1電線Wp1に連結されてもよい。
図3(b)に記載の例では、電線張替方法は、既設第1電線Wp1を第1ローラユニットR1に挿通する第1挿通工程を備える。第1挿通工程は、第2ステップST2の前に実行されてもよいし、第2ステップST2の後に実行されてもよい。第1挿通工程において、既設第1電線Wp1は、例えば、第2電線支持部92−2に配置された第1ローラユニットR1−2、第3電線支持部92−3に配置された第1ローラユニットR1−3、および、第4電線支持部92−4に配置された第1ローラユニットR1−4に挿通される。
図3(b)に示されるように、第3ステップST3において、第1非電線線材Q1が既設第2電線Wp2に連結される。なお、第1非電線線材Q1は、例えば、第1非電線線材繰出装置7−1(第1非電線線材繰出ドラム7a−1)から繰り出された線材である。第1非電線線材Q1は、例えば、ロープである。第1非電線線材Q1と既設第2電線Wp2との間の連結は、スイベル(swivel)等の接続具S2を介して行われてもよい。図3(b)に記載の例では、第1非電線線材Q1の第1端部と、既設第2電線Wp2の端部(切断端部)とが、接続具S2を介して連結されている。
付加的に、図3(b)に示されるように、第3ステップST3において、既設電線牽引用線材Yが、既設第2電線Wp2に連結されてもよい。
図3(b)に記載の例では、電線張替方法は、既設第2電線Wp2を第1ローラユニットR1に挿通する第2挿通工程を備える。第2挿通工程は、第3ステップST3の前に実行されてもよいし、第3ステップST3の後に実行されてもよい。第2挿通工程において、既設第2電線Wp2は、例えば、第2電線支持部92−2に配置された第1ローラユニットR1−2、第3電線支持部92−3に配置された第1ローラユニットR1−3、および、第4電線支持部92−4に配置された第1ローラユニットR1−4に挿通される。
第3ステップST3は、第2ステップST2の前に実行されてもよいし、第2ステップST2の後に実行されてもよい。図3(b)に記載の例では、第2ステップST2および第3ステップST3の実行後、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2は、同一の第1ローラユニットR1に挿通された状態となっている。より具体的には、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2の両方が、第2電線支持部92−2に配置された1つの第1ローラユニットR1−2に挿通され、第3電線支持部92−3に配置された1つの第1ローラユニットR1−3に挿通され、第4電線支持部92−4に配置された1つの第1ローラユニットR1−4に挿通された状態となっている。
3本の既設電線(Wp1、Wp2、Wp3)を同時に回収する場合には、電線張替方法は、以下において説明される第4ステップST4を含む。
第4ステップST4では、第2非電線線材Q2が既設第3電線Wp3に連結される。なお、第2非電線線材Q2は、例えば、第2非電線線材繰出装置7−2(第2非電線線材繰出ドラム7a−2)から繰り出された線材である。第2非電線線材Q2は、例えば、ロープである。第2非電線線材Q2と既設第3電線Wp3との間の連結は、スイベル(swivel)等の接続具S3を介して行われてもよい。図3(b)に記載の例では、第2非電線線材Q2の第1端部EL1と、既設第3電線Wp3の端部EL2(切断端部)とが、接続具S3を介して連結されている。
付加的に、図3(b)に示されるように、第4ステップST4において、既設電線牽引用線材Yが、既設第3電線Wp3に連結されてもよい。
図3(b)に記載の例では、電線張替方法は、既設第3電線Wp3を第1ローラユニットR1に挿通する第3挿通工程を備える。第3挿通工程は、第4ステップST4の前に実行されてもよいし、第4ステップST4の後に実行されてもよい。第3挿通工程において、既設第3電線Wp3は、例えば、第2電線支持部92−2に配置された第1ローラユニットR1−2、第3電線支持部92−3に配置された第1ローラユニットR1−3、および、第4電線支持部92−4に配置された第1ローラユニットR1−4に挿通される。
上述の第4ステップST4では、第2非電線線材Q2が既設第3電線Wp3に連結される。しかし、既設第3電線Wp3に連結される線材は、第2非電線線材Q2ではなく、新設電線(新設第3電線)であってもよい。この場合、上述の第4ステップST4は、以下において説明される第5ステップST5に置換される。
第5ステップST5では、新設第3電線が既設第3電線Wp3の端部EL2(第1切断端部)に連結される。付加的に、既設電線牽引用線材Yが、既設第3電線Wp3の端部(第2切断端部)に連結されてもよい。電線張替方法は、既設第3電線Wp3を第1ローラユニットR1に挿通する第3挿通工程を備える。第3挿通工程については、上述の第4ステップST4の説明において既に説明済みであるため、第3挿通工程についての繰り返しとなる説明は省略する。
第4ステップST4(または、第5ステップST5)は、第2ステップST2の前に実行されてもよいし、第2ステップST2の後に実行されてもよい。また、第4ステップST4(または、第5ステップST5)は、第3ステップST3の前に実行されてもよいし、第3ステップST3の後に実行されてもよい。なお、2本の既設電線(Wp1、Wp2)のみを同時に回収する場合には、上述の第4ステップST4および第5ステップST5は不要である。また、3本の既設電線(Wp1、Wp2、Wp3)に電線連結部材CNが配置され、2本の既設電線(Wp1、Wp2)のみを同時に回収する場合は、回収前に既設第2電線Wp2および既設第3電線Wp3の間で、電線連結部材CNを切断すればよい。
第6ステップST6において、新設第1電線Wn1が電線支持部92上に配置される。第6ステップST6は、第1配線工程を含む。以下、第1配線工程について詳細に説明する。
第6ステップST6において、図3(b)および図3(c)に示されるように、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2(並びに、既設第3電線Wp3)が第1方向に牽引される。当該牽引により、電線支持部92上に配置されていた既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2(並びに、既設第3電線Wp3)が回収される。牽引および回収は、電線回収装置3(電線回収ドラム3a)によって行われる。なお、牽引は、電線回収装置3に接続された既設電線牽引用線材Yが、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2(並びに、既設第3電線Wp3)を引っ張ることにより行われてもよい。
既設第1電線Wp1は、新設第1電線Wn1に連結されている。このため、既設第1電線Wp1が回収されると、新設第1電線Wn1は、自動的に、電線支持部92上(より具体的には、電線支持部92に取り付けられた第1ローラユニットR1上)に配置されることとなる(図3(c)を参照。)。
図3(b)に記載の例では、新設第1電線Wn1は、抵抗付与ローラユニットR3上に配置されている。抵抗付与ローラユニットR3の抵抗力に抗するように電線回収装置3を駆動すると(換言すれば、電線回収ドラム3aを回転駆動すると)、新設第1電線Wn1は、第1方向に移動する。また、電線回収装置3の駆動を停止すると(換言すれば、電線回収ドラム3aの回転を停止すると)、新設第1電線Wn1は、抵抗付与ローラユニットR3のブレーキ力により、第1方向への移動を停止する。このため、電線回収装置3の駆動が停止したときに、新設第1電線Wn1が慣性力によって第1方向に移動することが抑制され、新設第1電線Wn1が下方に弛むことが抑制される。
既設第1電線Wp1と既設第2電線Wp2との間に電線連結部材CNが配置されている場合には、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2が回収されると、電線連結部材CNも自動的に回収される。換言すると、N本の既設電線を同時に回収する場合は、電線連結部材CNも自動的に回収される。したがって、電線連結部材CNの回収に余分な手間がかからない。
図3(b)に記載の例では、既設第2電線Wp2は、第1非電線線材Q1に連結されている。このため、既設第2電線Wp2が回収されると、第1非電線線材Q1は、自動的に、電線支持部92上(より具体的には、電線支持部92に取り付けられた第1ローラユニットR1上)に配置されることとなる(図3(c)を参照。)。
また、図3(b)に記載の例では、上述の第4ステップST4において、既設第3電線Wp3が、第2非電線線材Q2に連結されている。このため、第2非電線線材Q2が連結された既設第3電線Wp3が、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2とともに第1方向に牽引されると、第2非電線線材Q2は、自動的に、電線支持部92上(より具体的には、電線支持部92に取り付けられた第1ローラユニットR1上)に配置されることとなる(図3(c)を参照。)。
代替的に、上述の第5ステップST5において、既設第3電線Wp3が、第3新設電線に連結されている場合を想定する。この場合には、第3新設電線が連結された既設第3電線Wp3が、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2とともに第1方向に牽引されると、第3新設電線は、自動的に、電線支持部92上(より具体的には、電線支持部92に取り付けられた第1ローラユニットR1上)に配置されることとなる。第3新設電線を、電線支持部92上に配置する工程のことを、第3配線工程と呼ぶ。
図3(b)に記載の例では、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2(並びに、既設第3電線Wp3)が、第2電線支持部92−2上の1つの第1ローラユニットR1−2に挿通されている。このため、2本(あるいは、3本)の既設電線Wpの回収を円滑に行うことができる。同様に、図3(b)に記載の例では、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2(並びに、既設第3電線Wp3)が、第3電線支持部92−3上の1つの第1ローラユニットR1−3に挿通され、第4電線支持部92−4上の1つの第1ローラユニットR1−4に挿通されている。このため、2本(あるいは、3本)の既設電線Wpの回収を円滑に行うことができる。
第7ステップST7において、新設第1電線Wn1と既設第1電線Wp1との間の連結が解除される(換言すれば、新設第1電線Wn1と既設第1電線Wp1とが互いに分離される。)。また、第7ステップST7において、新設第1電線Wn1が、第1ローラユニットR1から取り外される(図3(c)における矢印AR1を参照。)。例えば、新設第1電線Wn1が、第2電線支持部92−2に取り付けられた第1ローラユニットR1−2、第3電線支持部92−3に取り付けられた第1ローラユニットR1−3、および、第4電線支持部92−4に取り付けられた第1ローラユニットR1−4から取り外される。第1ローラユニットR1から取り外された新設第1電線Wn1は、電線支持部92に仮固定されてもよい。
第7ステップST7は、第6ステップST6の実行後に行われる。
第8ステップST8において、第1非電線線材Q1と既設第2電線Wp2との間の連結が解除される(換言すれば、第1非電線線材Q1と既設第2電線Wp2とが互いに分離される。)。また、第8ステップST8において、新設第2電線Wn2が、既設第2電線Wp2から分離された第1非電線線材Q1に連結される(図4(a)を参照。)。なお、新設第2電線Wn2は、第2電線繰出装置5−2(第2電線繰出ドラム5a−2)から繰り出された電線である。新設第2電線Wn2と第1非電線線材Q1との間の連結は、スイベル等の接続具を介して行われてもよい。
第8ステップST8は、第6ステップST6の後に実行される。
上述の第4ステップST4において第2非電線線材Q2が既設第3電線Wp3に連結されている場合には、第9ステップST9において、第2非電線線材Q2と既設第3電線Wp3との間の連結が解除される(換言すれば、第2非電線線材Q2と既設第3電線Wp3とが互いに分離される。)。また、第9ステップST9において、新設第3電線Wn3が、既設第3電線Wp3から分離された第2非電線線材Q2に連結される(図4(a)を参照。)。なお、新設第3電線Wn3は、第3電線繰出装置5−3(第3電線繰出ドラム5a−3)から繰り出された電線である。新設第3電線Wn3と第2非電線線材Q2との間の連結は、スイベル等の接続具を介して行われてもよい。
付加的に、第9ステップST9において、第2非電線線材Q2が、第1ローラユニットR1から、第1ローラユニットR1とは異なる第2ローラユニットR2に移載されるようにしてもよい。図4(a)に記載の例では、第2非電線線材Q2が、第2電線支持部92−2に取り付けられた第1ローラユニットR1−2から第2電線支持部92−2に取り付けられた第2ローラユニットR2−2に移載され、第2非電線線材Q2が、第3電線支持部92−3に取り付けられた第1ローラユニットR1−3から第3電線支持部92−3に取り付けられた第2ローラユニットR2−3に移載されている。なお、第2非電線線材Q2が、第2ローラユニットR2に移載されるのに先立ち、第2ローラユニットR2は、電線支持部92に取り付けられる。
第9ステップST9は、第6ステップST6の後に実行される。なお、第9ステップST9は、第8ステップST8の前に実行されてもよいし、第8ステップST8の後に実行されてもよい。
代替的に、上述の第5ステップST5において新設第3電線が既設第3電線Wp3に連結されている場合には、第10ステップST10において、新設第3電線と既設第3電線Wp3との間の連結が解除される(換言すれば、新設第3電線と既設第3電線Wp3とが互いに分離される。)。また、第10ステップST10において、新設第3電線が、第1ローラユニットR1から取り外される。例えば、新設第3電線が、第2電線支持部92−2に取り付けられた第1ローラユニットR1−2、第3電線支持部92−3に取り付けられた第1ローラユニットR1−3、および、第4電線支持部92−4に取り付けられた第1ローラユニットR1−4から取り外される。第1ローラユニットR1から取り外された新設第3電線は、電線支持部92に仮固定されてもよい。
第10ステップST10は、第6ステップST6の実行後に行われる。
第11ステップST11において、新設第2電線Wn2が電線支持部92上に配置される。第11ステップST11は、第2配線工程を含む。以下、第2配線工程について詳細に説明する。
第11ステップST11において、図4(a)および図4(b)に示されるように、第1非電線線材Q1が第2方向に牽引される。第2方向は、第1方向とは異なる方向であり、より具体的には、第1方向とは反対の方向である。当該牽引により、電線支持部92上に配置されていた第1非電線線材Q1が回収される。牽引および回収は、非電線線材繰出装置7(非電線線材繰出ドラム7a)を第1非電線線材Q1の繰り出し時とは逆方向に回転させることによって行われる。この場合、非電線線材繰出装置7(非電線線材繰出ドラム7a)は、非電線線材回収装置(非電線線材回収ドラム)として機能する。
第1非電線線材Q1は、新設第2電線Wn2に連結されている。このため、第1非電線線材Q1が回収されると、新設第2電線Wn2は、自動的に、電線支持部92上(より具体的には、電線支持部92に取り付けられた第1ローラユニットR1上)に配置されることとなる。
図4(b)に記載の例では、新設第2電線Wn2は、電線支持部92(より具体的には、第4電線支持部92−4)に取り付けられた抵抗付与ローラユニットR3上に配置されている。抵抗付与ローラユニットR3の抵抗力に抗するように非電線線材繰出装置7を第1非電線線材Q1の繰り出し時とは逆方向に回転させると、新設第2電線Wn2は、第2方向に向かって移動する。また、非電線線材繰出装置7の駆動を停止すると(換言すれば、非電線線材繰出ドラム7aの回転を停止すると)、新設第2電線Wn2は、抵抗付与ローラユニットR3のブレーキ力により、第2方向への移動を停止する。このため、非電線線材繰出装置7の駆動が停止したときに、新設第2電線Wn2が慣性力によって第2方向に移動することが抑制され、新設第2電線Wn2が下方に弛むことが抑制される。
第9ステップST9において第2非電線線材Q2に新設第3電線Wn3が連結されている場合、第12ステップST12において、第2非電線線材Q2が第2方向に牽引される。当該牽引により、電線支持部92上に配置されていた第2非電線線材Q2が回収される。牽引および回収は、第2非電線線材繰出装置7−2(第2非電線線材繰出ドラム7a−2)を第2非電線線材Q2の繰り出し時とは逆方向に回転させることによって行われる。
第2非電線線材Q2は、新設第3電線Wn3に連結されている。このため、第2非電線線材Q2が回収されると、新設第3電線Wn3は、自動的に、電線支持部92上(より具体的には、電線支持部92に取り付けられた第2ローラユニットR2上)に配置されることとなる(図4(b)を参照。)。よって、第12ステップST12の実行により、新設第3電線Wn3は、電線支持部92上に配置される(第3配線工程)。
第13ステップST13において、図4(c)に示されるように、新設第2電線Wn2と第1非電線線材Q1との間の連結が解除される(換言すれば、新設第2電線Wn2と第1非電線線材Q1とが互いに分離される。)。また、第13ステップST13において、新設第2電線Wn2が、第1ローラユニットR1から取り外される(図4(b)における矢印AR2を参照。)。例えば、新設第2電線Wn2が、第2電線支持部92−2に取り付けられた第1ローラユニットR1−2、および、第3電線支持部92−3に取り付けられた第1ローラユニットR1−3から取り外される。第1ローラユニットR1から取り外された新設第2電線Wn2は、電線支持部92に仮固定されてもよい。
第13ステップST13は、第11ステップST11の実行後に行われる。
第9ステップST9において第2非電線線材Q2に新設第3電線Wn3が連結されている場合、図4(c)に示されるように、新設第3電線Wn3と第2非電線線材Q2との間の連結が解除される(換言すれば、新設第3電線Wn3と第2非電線線材Q2とが互いに分離される。)。また、新設第3電線Wn3が、第2ローラユニットR2から取り外される(図4(b)における矢印AR3を参照。)。例えば、新設第3電線Wn3が、第2電線支持部92−2に取り付けられた第2ローラユニットR2−2、および、第3電線支持部92−3に取り付けられた第2ローラユニットR2−3から取り外される。第2ローラユニットR2から取り外された新設第3電線Wn3は、電線支持部92に仮固定されてもよい。
以上のとおり、第1の実施形態では、既設電線Wpを新設電線Wnに張り替える作業が効率的に実行される。特に、第1の実施形態では、2本の既設電線(Wp1、Wp2)あるいは3本の既設電線(Wp1、Wp2、Wp3)が同時に回収されるため、作業効率が高い。なお、第1の実施形態において、4本以上の既設電線が同時に回収されてもよいことは言うまでもない。
また、第1の実施形態では、既設電線間を連結する電線連結部材CNを、既設電線Wpとともに回収することが可能である。従来の電線張替方法では、既設電線の回収が1本ずつ行われていたため、既設電線の回収に先立ち、電線連結部材を切断する必要があった。これに対し、第1の実施形態では、既設電線(Wp1、Wp2)の回収に先立ち、必ずしも、電線連結部材CNを切断する必要がない。更に、第1の実施形態では、既設電線を第1方向に牽引する際に、既設電線の少なくとも1本に非電線線材を連結している。その理由は、N本の電線を電線張替作業用ローラユニット(R1)に纏めて牽引すると電線同士が混線するおそれがある。その場合、電線は癖があることから、牽引後に混線した電線を分離して取り外すために時間を要し、電線の張り替え作業効率が悪化する。一方、既設電線の少なくとも1本に非電線線材を連結すると、牽引後の電線の取り外しが容易になる。
(第2の実施形態)
図5および図6を参照して、第2の実施形態における電線張替方法について説明する。図5は、電柱Cに、上段の既設電線Wp−U、および、下段の既設電線Wp−Lが配設された様子を模式的に示す図である。図6は、第2の実施形態における電線張替方法の一工程を模式的に示す概略平面図である。
第2の実施形態における電線張替方法は、既設電線切断工程、および、既設電線再接続工程を備える点で、第1の実施形態における電線張替方法とは異なる。第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第1の実施形態で説明済みの事項を、第2の実施形態において採用可能であることは言うまでもない。
図5に示されるように、上段に配置された既設電線Wp−Uを、電柱Cの上方を横切るように移動させることは比較的容易である(矢印AR4を参照。)。これに対し、下段に配置された既設電線Wp−Lを、電柱Cの上方を横切るように移動させることは困難である(矢印AR5を参照。)。このため、下段に配置された複数の既設電線Wp−Lを回収する場合において、下段に配置された複数の既設電線Wp−Lを、電柱Cの一方側(例えば、第1ローラユニットR1側)に集めること、換言すれば、図3(a)に記載の状態から図3(b)に記載の状態になるように、既設電線(Wp3)を電柱Cを横切って移動させることは難しい。
そこで、第2の実施形態では、同一の第1ローラユニットR1に既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2(並びに、既設第3電線Wp3)を挿通する挿通工程の実行前に、既設電線切断工程が実行される。
図6(a)に示されるように、既設電線切断工程では、既設電線Wpのうち、電柱Cからみて第1ローラユニットR1が配置される側とは反対側に配置された既設電線(Wp3)が切断される。既設電線切断工程の実行により、既設電線(Wp3)には、第1切断端部E4と、第2切断端部E5とが形成される。
既設電線切断工程の実行後、第1切断端部E4と第2切断端部E5とを再接続する既設電線再接続工程が実行される。図6(b)に示されるように、既設電線再接続工程では、電柱Cからみて第1ローラユニットR1が配置されている側で、第1切断端部E4と第2切断端部E5とが再接続される。なお、第1切断端部E4と第2切断端部E5の間の再接続は、例えば、接続スリーブ等の接続具S4を介して行われる。
図6(a)に記載の例では、既設電線(Wp3)が第2電柱C2を横切ることが可能なように、既設電線(Wp3)が第2電柱C2に対応する部分で切断されている。付加的に、既設電線(Wp3)が第3電柱C3(および/または第4電柱C4)を横切ることが可能なように、既設電線(Wp3)が第3電柱C3(および/または第4電柱C4)に対応する部分で切断されてもよい。図6(c)には、既設電線切断工程が複数回実行され、既設電線再接続工程が複数回実行された後の状態が示されている。より具体的には、図6(c)には、接続具S4乃至接続具S6が配置されている位置に対応する位置で、それぞれ、既設電線切断工程が実行され、かつ、既設電線再接続工程が実行された後の状態が示されている。
図3(a)に記載の状態から図3(b)に記載の状態になるように、下段に配置された既設電線(Wp3)を、電柱Cの上方を横切って移動させることが難しいのと同様に、図4(b)に記載の状態から図4(c)に記載の状態になるように、下段に配置された新設電線(Wn3)を、電柱Cの上方を横切って移動させることも難しい。
そこで、第2の実施形態は、新設電線(例えば、新設第3電線Wn3)を電線支持部92上(より具体的には、電線支持部92に取り付けられた第1ローラユニットR1または第2ローラユニットR2上)に配置する配線工程の後に、新設電線を切断する新設電線切断工程を備えていてもよい。
新設電線切断工程では、電柱Cからみて第1ローラユニットR1が配置されている側に配置された新設電線(例えば、新設第3電線Wn3)が切断される。当該新設電線切断工程の実行により、新設電線には、第1切断端部と、第2切断端部とが形成される。
新設電線切断工程の実行後、新設電線の第1切断端部と新設電線の第2切断端部とを再接続する新設電線再接続工程が実行される。新設電線再接続工程では、電柱Cからみて第1ローラユニットR1が配置されている側とは反対側で、新設電線の第1切断端部と新設電線の第2切断端部とが再接続される。なお、第1切断端部と第2切断端部の間の再接続は、例えば、接続スリーブ等の接続具を介して行われる。
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。加えて、第2の実施形態における電線張替方法は、既設電線切断工程(および/または、新設電線切断工程)、および、既設電線再接続工程(および/または、新設電線再接続工程)を備える。このため、電柱の上方を横切るように、既設電線(および/または、新設電線)を移動させることが困難である場合においても、電線張替方法を円滑に実行することができる。
(第1ローラユニットR1)
続いて、実施形態における電線張替方法において使用可能な第1ローラユニットR1、換言すれば、電線張替作業用ローラユニットの一例について説明する。
図7は、第1ローラユニットR1を模式的に示す概略3面図である。図7の上側には平面図が記載され、図7の左下側には正面図が記載され、図7の右下側には側面図が記載されている。図8は、図7のA−A矢視断面図である。
第1ローラユニットR1は、ローラユニット本体1と、電線支持部92に取り付け可能な取付部2とを備える。
図7に示されるように、ローラユニット本体1は、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2を囲むように配置可能な複数のローラ80を含む。複数のローラ80のうちの少なくとも1つは、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2の下側に配置可能な底部ローラ80bである。底部ローラ80bは、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2の延在方向に垂直な回転軸AX1まわりに回転可能である。
図7に記載の例では、複数のローラ80のうちの少なくとも1つは、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2の上側に配置可能な頂部ローラ80uである。頂部ローラ80uの回転軸は、底部ローラ80bの回転軸と平行である。頂部ローラ80uは、開放位置と閉鎖位置との間で、ローラユニット本体1の側壁81に対して移動可能(例えば、矢印AR6で示されるように、回動可能)である。頂部ローラ80uが開放位置にあるとき、ローラユニット本体1の受容空間SP中に、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2を挿入することが可能である。他方、頂部ローラ80uが閉鎖位置にあるとき、受容空間SP中に位置する既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2が、受容空間SPから離脱することが防止される。
図7に記載の例では、ローラユニット本体1は、複数のサイドローラ80sを含む。サイドローラ80sは、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2の側方に配置されるローラである。図7に記載の例では、ローラユニット本体1は、4本のサイドローラ80sを含む。各サイドローラの回転軸は、例えば、鉛直軸と平行である。図7に記載の例では、平面視で、4本のサイドローラ80sが、四角形の4つの頂点に対応する位置に、それぞれ配置されている。
また、図7に記載の例では、正面視で、受容空間SPが、底部ローラ80b、頂部ローラ80u、および、複数のサイドローラ80sによって360度囲まれるように、複数のローラ80が配置されている。このため、複数のローラ80は、既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2を円滑に案内することが可能である。
取付部2は、電線支持部92(例えば、腕金M)に取り付け可能な部分である。取付部2は、例えば、枠部材21と、締結部材22とを含む。枠部材21は、電線支持部92の少なくとも一部を覆う。図7に記載の例では、枠部材21は、側面視で、略コ字形(換言すれば、側方に開口を有する略U字形状)を有する。締結部材22は、操作部22aと、押圧部22bとを含む。操作部22aが操作されることによって、電線支持部92が、枠部材21と押圧部22bとによって挟持され、取付部2が電線支持部92に固定される。なお、図7に記載の例では、操作部22aを操作することにより、押圧部22bが上下方向に沿って移動するように構成されている。
図7に記載の例では、枠部材21には、側方開口21cが形成されている。そして、枠部材21には、側方開口21cを開放または閉鎖可能な閉鎖部材23が取り付けられている。より具体的には、閉鎖部材23は、揺動軸AX2まわりを揺動可能なように、枠部材21に取り付けられている。なお、揺動軸AX2は、底部ローラ80bの回転軸AX1と平行である。
閉鎖部材23が開放位置にあるとき、取付部2は、側方開口21cを介して、取付部2(より具体的には、枠部材21)の電線支持部受容空間SP1(図8を参照。)に電線支持部92を受け入れることができる。また、閉鎖部材23が閉鎖位置にあるとき、電線支持部92は、電線支持部受容空間SP1から離脱することができない。
図8に記載の例では、底部ローラ80bの直径D1が、取付部2の電線支持部受容空間SP1の前後方向の長さD2(換言すれば、電線支持部92の前後方向の長さ)と等しいか、あるいは、長さD2よりも大きい。なお、本明細書では、「前後方向」とは、既設第1電線Wp1の延在方向、換言すれば、底部ローラ80bの回転軸AX1に垂直な方向であって水平面に平行な方向を意味する。なお、図8に記載の例では、電線支持部受容空間SP1は、底部ローラ80bの直下(鉛直下方)に配置されている。
底部ローラ80bの直径D1が、長さD2以上であることにより、底部ローラ80b上を電線連結部材CN等が通過するときに、底部ローラ80bから垂下する電線連結部材CN等が、電線支持部92に引っ掛かることが抑制され、電線支持部92と第1ローラユニットR1との間に挟まることが抑制される。
電線支持部92の前後方向の長さは、4.5cmまたは7.5cmであることが一般的である。よって、底部ローラ80bの直径D1は、7.5cm以上であることが好ましい。
従来、既設電線の下側に配置される底部ローラの直径が小さかったため、底部ローラから垂下した既設電線の付属部品が、腕金等に引っ掛かることがあった。これに対し、図7および図8に記載の例では、底部ローラ80bの直径D1が大きいため、既設電線の付属部品が電線支持部92(例えば、腕金M)等に引っ掛かりにくい。
底部ローラ80bから垂下した既設電線の付属部品が、電線支持部92等に引っ掛かることを防止する観点から、第1ローラユニットR1は、取付部2を覆うスカート部8を備えていてもよい。
図8に記載の例では、第1ローラユニットR1は、取付部2の前方を覆う前側スカート部8fと、取付部2の後方を覆う後側スカート部8bとを有する。図8に記載の例では、前側スカート部8fは、取付部2の前方を覆う前側板部材を含み、後側スカート部8bは、取付部2の後方を覆う後側板部材を含む。図7および図8から把握されるように、前側スカート部8f(前側板部材)の幅W1は、前側スカート部8f(前側板部材)の高さH1よりも大きく、後側スカート部8b(後側板部材)の幅は、後側スカート部8b(後側板部材)の高さよりも大きい。
前側スカート部8f(前側板部材)は、ローラユニット本体1または取付部2に取り付けられ、後側スカート部8b(後側板部材)は、ローラユニット本体1または取付部2に取り付けられる。
図8に記載の例では、前側スカート部8f(前側板部材)の下端位置は、枠部材21の下端位置よりも低く、後側スカート部8b(後側板部材)の下端位置は、枠部材21の下端位置よりも低い。また、前側スカート部8f(前側板部材)の下端位置は、操作部22aの下端位置よりも高く、後側スカート部8b(後側板部材)の下端位置は、操作部22aの下端位置よりも高い。このため、電線支持部92等への既設電線の付属部品の引っ掛かりが防止されつつ、操作部22aの操作性の悪化が抑制される。
なお、前側スカート部8fと後側スカート部8bのうちの少なくとも一方は、取付部2を覆う作動位置と、取付部2を露出させる退避位置との間で位置変更可能であることが好ましい。前側スカート部8fおよび/または後側スカート部8bが退避位置にあるとき、取付部2を電線支持部92に取り付ける作業を容易に実行することが可能である。なお、図8に記載の例では、前側スカート部8fと後側スカート部8bとが、取付部2に対して揺動自在であり(矢印AR7および矢印AR8を参照。)、揺動によって、作動位置と退避位置との間で位置変更可能である。
図7および図8に記載の例では、ローラユニット本体1の受容空間SP中に、2本の既設電線(既設第1電線Wp1および既設第2電線Wp2)を挿通可能な例について説明された。しかし、実施形態において、ローラユニット本体1の受容空間SP中に、3本の既設電線、あるいは、4本以上の既設電線を挿通可能であってもよい。
本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形または変更され得ることが明らかである。また、各実施形態で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態において任意の構成要素を省略することも可能である。