JP6813313B2 - 熱硬化性接着剤 - Google Patents
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Description
[1]
熱硬化性接着剤であって、
前記熱硬化性接着剤を80℃、60分間で硬化させた硬化物が、次の(1)〜(3)を満たす、熱硬化性接着剤:
(1)液晶ポリマーを相手材としたせん断接着強度が25℃において8MPa〜15MPaである;
(2)3点曲げ弾性率が25℃において0.05GPa〜3.0GPaである;
(3)平面ひずみ破壊靱性値が25℃において0.5MPa・m-0.5〜4.0MPa・m-0.5である。
[2]
(A)液状エポキシ樹脂と、(B)可撓性エポキシ樹脂と、(C)チオール系化合物と、(D)アミン系潜在性硬化剤と、を含み、
前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、前記(B)成分が15質量部〜85質量部であり、
前記(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対して、前記(C)成分のチオール基が0.6当量〜1.5当量であり、
前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、前記(D)成分が10質量部〜40質量部である[1]に記載の熱硬化性接着剤。
[3]
前記(A)成分が分子内に2個以上の芳香環を有する液状エポキシ樹脂であり、当該芳香環の立体構造が面平行状態にある、[1]又は[2]に記載の熱硬化性接着剤。
[4]
カメラモジュールの組立用である、[1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性接着剤。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性接着剤の硬化物からなる、成形体。
(1)液晶ポリマーを相手材としたせん断接着強度が、25℃において8MPa〜15MPaである;
(2)3点曲げ弾性率が、25℃において、0.05GPa〜3.0GPaである;
(3)平面ひずみ破壊靱性値が、25℃において、0.5MPa・m-0.5〜4.0MPa・m-0.5である。
上記のとおりであるため、本実施形態の熱硬化性接着剤は耐衝撃性に優れる。そのため、本実施形態の熱硬化性接着剤は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ドライブレコーダー、車載カメラなどのカメラモジュールの組立用一液性熱硬化性接着剤として好適に用いることができる。また、各種電子部品接着、液状封止剤としても利用できる。
(1)液晶ポリマーを相手材としたせん断接着強度が25℃において8MPa〜15MPaである。好ましくは8.2MPa〜15MPaであり、さらに好ましくは8.4MPa〜15MPaである。
上記せん断接着強度は、25℃の条件下、JIS K6850に準拠したせん断接着強度測定により得ることができる。また、上記せん断接着強度は、例えば、後述する好ましい成分の含有量を調整すること等により、上記範囲に調整することができる。具体例としては、後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(B)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対する(C)成分のチオール基の当量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(D)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること等により、上記範囲に調整できる。
なお、本実施形態の用途において相手材となる液晶ポリマーとしては、特に限定されず、種々公知のものを使用できる。その具体例としては、「ラペロス」(ポリプラスチックス株式会社:商品名)、「ザイダー」(JXエネルギー株式会社:商品名)、「スミカスーパーLCP;E4008、E4006L、E5006L、E5008L、E5008、E5204L、E6006L、E6008、E6007LHF、E6807LHF、E6808LHF、E6908UHF、E6810LHF」(住友化学株式会社:商品名)、「ベクスター」(株式会社クラレ:商品名)、「BIAC、STABIAX」(株式会社プライマテック:商品名)等が挙げられる。
(2)3点曲げ弾性率が25℃において0.05GPa〜3.0GPaである。
3点曲げ弾性率が0.05GPa未満であると、十分に低い弾性率であるものの、強度が低くなり十分な靱性が得られないため、平面ひずみ破壊靱性値から求められる耐クラック性に劣る。一方、3点曲げ弾性率が3.0GPaを超えると、十分に低い弾性率が得られず、衝撃や熱膨張および収縮などの外部応力を緩和することができず、衝撃や熱膨張および収縮により接着層の破壊に至る。
上記と同様の観点から、本実施形態において、3点曲げ弾性率は0.12GPa〜1.5GPaであることが好ましく、より好ましくは0.2GPa〜2.0GPaである。
上記3点曲げ弾性率は、25℃の条件下、JIS K7244−5に準拠した3点曲げ弾性率測定により得ることができる。また、上記3点曲げ弾性率は、例えば、後述する好ましい成分の含有量を調整すること等により、上記範囲に調整することができる。具体例としては、後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(B)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対する(C)成分のチオール基の当量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(D)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること等により、上記範囲に調整できる。
(3)平面ひずみ破壊靱性値が25℃において0.5MPa・m-0.5〜4.0MPa・m-0.5である。
平面ひずみ破壊靱性値が0.5MPa・m-0.5未満であると、十分な耐クラック性を得られない。一方、平面ひずみ破壊靱性値が4.0MPa・m-0.5を超えると、硬化物の強度が低くなり十分な接着力が得られないため、液晶ポリマーとの接着強度が大幅に低下する。
上記と同様の観点から、本実施形態において、平面ひずみ破壊靱性値は0.8MPa・m-0.5〜3.5MPa・m-0.5であることが好ましく、より好ましくは1.0MPa・m-0.5〜3.0MPa・m-0.5である。
上記平面ひずみ破壊靱性値は、25℃の条件下、ASTM D−5045−99に準拠した平面ひずみ破壊靱性値測定により得ることができる。また、上記平面ひずみ破壊靱性値は、例えば、後述する好ましい成分の含有量を調整すること等により、上記範囲に調整することができる。具体例としては、後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(B)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対する(C)成分のチオール基の当量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(D)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること等により、上記範囲に調整できる。
液状エポキシ樹脂は、25℃における粘度が100Pa・s以下であり、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するものであることが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、テトラブロモビフェニル型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、フェニルベンゾエート型エポキシ樹脂、ジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルスルホキシド型エポキシ樹脂、ジフェニルスルホン型エポキシ樹脂、ジフェニルジスルフィド型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、メチルヒドロキノン型エポキシ樹脂、ジブチルヒドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン型エポキシ樹脂等の2官能型エポキシ樹脂類;N,N−ジグリシジルアミノベンゼン型エポキシ樹脂、o−(N,N−ジグリシジルアミノ)トルエン型エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジアミノベンゼン型エポキシ樹脂等の4官能型エポキシ樹脂類;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ブロモ化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂類;及び脂環式エポキシ樹脂類が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。さらに、これらをイソシアネート等で変性したエポキシ樹脂等も併用することができる。
可撓性エポキシ樹脂は[(A)液状エポキシ樹脂]以外のエポキシ樹脂であり、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有し、且つ可撓性が発現するものであることが好ましい。例えば、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、ポリスルフィド変性エポキシ樹脂など柔軟成分変性型のエポキシ樹脂、またはエラストマー添加型エポキシ樹脂、ウレタン樹脂添加型エポキシ樹脂など靱性成分添加型のエポキシ樹脂が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。低弾性、平面ひずみ破壊靱性の観点から、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂が好ましく、液晶ポリマーとの接着性の観点から、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂がより好ましい。具体的には、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂や1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが好ましく用いられる。
チオール系化合物は、1分子中に2個以上のチオール基を含有するものであることが好ましい。例えば、3,3’−ジチオジプロピオン酸、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,3,4,6−テトラキス(2−メルカプトエチル)グリコールウリル、4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオールなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。低弾性、平面ひずみ破壊靱性の観点から、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)が好ましく、低温硬化性の観点から、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)がより好ましい。
アミン系潜在性硬化剤は、以下に限定されないが、例えば、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド及びその誘導体、アミン−エポキシアダクト類、アミン−尿素アダクト類、またはこれらを被覆してなる硬化剤、包摂化合物と錯形成してなる硬化剤、多孔質体に吸着させてなる硬化剤などが挙げられる。その具体例としては、以下に限定されないが、ノバキュア HX−3721、HX−3722、HX−3613、HX−3921HP、HXA4922HP、HXA5945HP(旭化成株式会社製)、アミキュア PN−23J、PN−40J、MY−24(味の素ファインテクノ株式会社製)、フジキュアー FXR−1020、FXR−1030(富士化成工業株式会社製)などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。低温硬化性と保存安定性の観点から、ノバキュアHXA5945HPが好ましい。
(1)落錘衝撃試験
後述する硬化物を対象とし、JIS K7211に準拠して、50%破壊エネルギーを測定した。
後述する硬化物を対象とし、JIS K6850に準拠して、引張せん断接着強度を測定した。
相手材にはスミカスーパーE6007LHF(住友化学株式会社製)を用いた。
後述する硬化物を対象とし、JIS K7244−5に準拠して、25℃での弾性率を測定した。
後述する硬化物を対象とし、ASTM D5045−99に準拠して、平面ひずみ破壊靱性を測定した。
後述するエポキシ樹脂を対象とし、JIS K7236に準拠して、エポキシ当量を測定した。
以下の表1〜3に示す配合比率で、後述する(A)〜(D)成分を計量後、ノンバブリングニーダーで2分間の撹拌および3分間の脱泡を行い、混合し、熱硬化性接着剤を調製した。なお、表1〜3における(A)〜(D)の各成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量を100質量部としたときの質量部表示で示されている。
調製した熱硬化性接着剤をテフロン(登録商標)製の型に流し入れ、加熱炉にて80℃で60分間硬化させた。硬化後にテフロン(登録商標)型を外し、3cm×5cm×2mmの硬化板を得た。得られた硬化板からステップカッターを用いて各測定に準拠した大きさのサンプル(硬化物)に切り出し、測定を行った。
[エポキシ樹脂]
A−1:ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:170)
A−2:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:190)
A−3:ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(エポキシ当量:870)
B−1:アルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(可撓性エポキシ樹脂;エポキシ当量:380)
B−2:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(可撓性エポキシ樹脂;エポキシ当量:160)
[(C)チオール系化合物]
C−1:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(チオール当量:122)
C−2:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(チオール当量:136)
C−3:1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(チオール当量:150)
[(D)アミン系潜在性硬化剤]
D−1:ノバキュア HX−3722(イミダゾール系潜在性硬化剤)
D−2:ノバキュア HXA5945HP(イミダゾール系潜在性硬化剤)
(A)成分を含まない比較例1、(A)成分がエポキシ樹脂中の10質量%以下である比較例2、(A)成分の分子中において存在する複数の芳香環の立体構造が面平行状態にないビスフェノールA型エポキシ樹脂である比較例3、(A)成分が液状ではないビスフェノールA型固形エポキシ樹脂である比較例4、(B)成分を含まない比較例5、及び(B)成分がエポキシ樹脂中の10質量%以下である比較例6はせん断接着強度が8MPa未満であり、耐衝撃性に劣っていた。
(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対して、(C)成分のチオール基が0.6当量未満である比較例7、(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対して、(C)成分のチオール基が1.5当量を超える比較例8はせん断接着強度が8MPa未満であり、耐衝撃性に劣っていた。
(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)成分が10質量部未満である比較例9、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)成分が40質量部を超える比較例10はせん断接着強度が8MPa未満であり、耐衝撃性に劣っていた。
Claims (4)
- (A)液状エポキシ樹脂と、(B)可撓性エポキシ樹脂と、(C)チオール系化合物と、(D)アミン系潜在性硬化剤と、を含む熱硬化性接着剤であって、
前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、前記(B)成分が15〜85質量部であり、
前記(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対して、前記(C)成分のチオール基が0.6〜1.5当量であり、
前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、前記(D)成分が10〜40質量部であり、
前記熱硬化性接着剤を80℃、60分間で硬化させた硬化物が、次の(1)〜(3)を満たす、熱硬化性接着剤:
(1)液晶ポリマーを相手材としたせん断接着強度が25℃において8MPa〜15MPaである;
(2)3点曲げ弾性率が25℃において0.05GPa〜3.0GPaである;
(3)平面ひずみ破壊靱性値が25℃において0.5MPa・m-0.5〜4.0MPa・m-0.5である。 - 前記(A)成分が分子内に2個以上の芳香環を有する液状エポキシ樹脂であり、当該芳香環の立体構造が面平行状態にある、請求項1に記載の熱硬化性接着剤。
- カメラモジュールの組立用である、請求項1又は2に記載の熱硬化性接着剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性接着剤の硬化物からなる、成形体。
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