JP6813313B2 - 熱硬化性接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、熱硬化性接着剤に関する。
携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ドライブレコーダー、車載カメラなどに搭載されているカメラモジュールは落下時や衝突時の衝撃に対する耐性が必要とされている。また、カメラモジュールを搭載する機器は小型化、軽量化が進み、カメラモジュールの組立に使用される接着剤も少量になってきている。例えば、特許文献1には、エポキシプレポリマーを含有させてなる耐衝撃性改質接着剤が示されている。また、カメラモジュールは熱によるレンズ等の変形を抑制するために低温での硬化が必要とされている。例えば、特許文献2および3にはチオール系硬化剤を用いることで低温硬化性を実現させている樹脂組成物が示されている。
特表2014−512436号公報 特開2015−218261号公報 国際公開公報第2015/141347号
しかしながら、特許文献1〜3に開示された樹脂組成物は、衝撃に強い接着剤を実現する観点から、なお改良の余地を有するものである。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、優れた耐衝撃性を発現する熱硬化性接着剤を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討した結果、下記の物性値を有する熱硬化性接着剤により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
熱硬化性接着剤であって、
前記熱硬化性接着剤を80℃、60分間で硬化させた硬化物が、次の(1)〜(3)を満たす、熱硬化性接着剤:
(1)液晶ポリマーを相手材としたせん断接着強度が25℃において8MPa〜15MPaである;
(2)3点曲げ弾性率が25℃において0.05GPa〜3.0GPaである;
(3)平面ひずみ破壊靱性値が25℃において0.5MPa・m-0.5〜4.0MPa・m-0.5である。
[2]
(A)液状エポキシ樹脂と、(B)可撓性エポキシ樹脂と、(C)チオール系化合物と、(D)アミン系潜在性硬化剤と、を含み、
前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、前記(B)成分が15質量部〜85質量部であり、
前記(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対して、前記(C)成分のチオール基が0.6当量〜1.5当量であり、
前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、前記(D)成分が10質量部〜40質量部である[1]に記載の熱硬化性接着剤。
[3]
前記(A)成分が分子内に2個以上の芳香環を有する液状エポキシ樹脂であり、当該芳香環の立体構造が面平行状態にある、[1]又は[2]に記載の熱硬化性接着剤。
[4]
カメラモジュールの組立用である、[1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性接着剤。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性接着剤の硬化物からなる、成形体。
本発明によれば、優れた耐衝撃性を発現する熱硬化性接着剤を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその趣旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、熱硬化性接着剤であって、当該熱硬化性接着剤を80℃、60分間で硬化させた硬化物が、次の(1)〜(3)を満たす:
(1)液晶ポリマーを相手材としたせん断接着強度が、25℃において8MPa〜15MPaである;
(2)3点曲げ弾性率が、25℃において、0.05GPa〜3.0GPaである;
(3)平面ひずみ破壊靱性値が、25℃において、0.5MPa・m-0.5〜4.0MPa・m-0.5である。
上記のとおりであるため、本実施形態の熱硬化性接着剤は耐衝撃性に優れる。そのため、本実施形態の熱硬化性接着剤は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ドライブレコーダー、車載カメラなどのカメラモジュールの組立用一液性熱硬化性接着剤として好適に用いることができる。また、各種電子部品接着、液状封止剤としても利用できる。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、80℃、60分間で硬化させた硬化物が、次の(1)を満たす。
(1)液晶ポリマーを相手材としたせん断接着強度が25℃において8MPa〜15MPaである。好ましくは8.2MPa〜15MPaであり、さらに好ましくは8.4MPa〜15MPaである。
上記せん断接着強度は、25℃の条件下、JIS K6850に準拠したせん断接着強度測定により得ることができる。また、上記せん断接着強度は、例えば、後述する好ましい成分の含有量を調整すること等により、上記範囲に調整することができる。具体例としては、後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(B)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対する(C)成分のチオール基の当量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(D)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること等により、上記範囲に調整できる。
なお、本実施形態の用途において相手材となる液晶ポリマーとしては、特に限定されず、種々公知のものを使用できる。その具体例としては、「ラペロス」(ポリプラスチックス株式会社:商品名)、「ザイダー」(JXエネルギー株式会社:商品名)、「スミカスーパーLCP;E4008、E4006L、E5006L、E5008L、E5008、E5204L、E6006L、E6008、E6007LHF、E6807LHF、E6808LHF、E6908UHF、E6810LHF」(住友化学株式会社:商品名)、「ベクスター」(株式会社クラレ:商品名)、「BIAC、STABIAX」(株式会社プライマテック:商品名)等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、80℃、60分間で硬化させた硬化物が、次の(2)を満たす。
(2)3点曲げ弾性率が25℃において0.05GPa〜3.0GPaである。
3点曲げ弾性率が0.05GPa未満であると、十分に低い弾性率であるものの、強度が低くなり十分な靱性が得られないため、平面ひずみ破壊靱性値から求められる耐クラック性に劣る。一方、3点曲げ弾性率が3.0GPaを超えると、十分に低い弾性率が得られず、衝撃や熱膨張および収縮などの外部応力を緩和することができず、衝撃や熱膨張および収縮により接着層の破壊に至る。
上記と同様の観点から、本実施形態において、3点曲げ弾性率は0.12GPa〜1.5GPaであることが好ましく、より好ましくは0.2GPa〜2.0GPaである。
上記3点曲げ弾性率は、25℃の条件下、JIS K7244−5に準拠した3点曲げ弾性率測定により得ることができる。また、上記3点曲げ弾性率は、例えば、後述する好ましい成分の含有量を調整すること等により、上記範囲に調整することができる。具体例としては、後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(B)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対する(C)成分のチオール基の当量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(D)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること等により、上記範囲に調整できる。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、80℃、60分間で硬化させた硬化物が、次の(3)を満たす。
(3)平面ひずみ破壊靱性値が25℃において0.5MPa・m-0.5〜4.0MPa・m-0.5である。
平面ひずみ破壊靱性値が0.5MPa・m-0.5未満であると、十分な耐クラック性を得られない。一方、平面ひずみ破壊靱性値が4.0MPa・m-0.5を超えると、硬化物の強度が低くなり十分な接着力が得られないため、液晶ポリマーとの接着強度が大幅に低下する。
上記と同様の観点から、本実施形態において、平面ひずみ破壊靱性値は0.8MPa・m-0.5〜3.5MPa・m-0.5であることが好ましく、より好ましくは1.0MPa・m-0.5〜3.0MPa・m-0.5である。
上記平面ひずみ破壊靱性値は、25℃の条件下、ASTM D−5045−99に準拠した平面ひずみ破壊靱性値測定により得ることができる。また、上記平面ひずみ破壊靱性値は、例えば、後述する好ましい成分の含有量を調整すること等により、上記範囲に調整することができる。具体例としては、後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(B)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対する(C)成分のチオール基の当量を後述する好ましい範囲に調整すること;後述する(A)成分と(B)成分の合計に対する(D)成分の含有量を後述する好ましい範囲に調整すること等により、上記範囲に調整できる。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、十分な耐衝撃性を有する。耐衝撃性は強接着力、低弾性、強靱性の3つ物性を満たすことで発現すると考えられる。そのメカニズムは、以下に限定する趣旨ではないが、次のとおりと考えられる。衝撃のエネルギーが接着層(すなわち、本実施形態の熱硬化性接着剤ないしその硬化物を含む層)に伝播した場合、振動としてこのエネルギーを緩和する。このとき、十分な接着強度を有していれば、接着層と相手材の界面で剥離は生じない。次に、振動だけではエネルギーを緩和できない場合は接着層が塑性変形することでそのエネルギーを緩和する。このとき、十分に低い弾性率を有していれば大きな塑性変形が可能となる。更に塑性変形でもエネルギーを緩和できず、接着層にクラックが生じた場合でも、十分な靱性を有していれば接着層が完全に破壊されることはなく、接着している部品が脱落することはない。従って、液晶ポリマーを相手材としたせん断接着強度、3点曲げ弾性率、及び平面ひずみ破壊靱性値を各々適切な範囲に設定した本実施形態の熱硬化性接着剤は、十分な耐衝撃性を発現することができる。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、(A)液状エポキシ樹脂(本明細書中、単に「(A)成分」ともいう。)と、(B)可撓性エポキシ樹脂(本明細書中、単に「(B)成分」ともいう。)と、(C)チオール系化合物(本明細書中、単に「(C)成分」ともいう。)と、(D)アミン系潜在性硬化剤(本明細書中、単に「(D)成分」ともいう。)と、を含むことが好ましい。各成分について、以下で詳述する。
[(A)液状エポキシ樹脂]
液状エポキシ樹脂は、25℃における粘度が100Pa・s以下であり、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有するものであることが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、テトラブロモビフェニル型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、フェニルベンゾエート型エポキシ樹脂、ジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルスルホキシド型エポキシ樹脂、ジフェニルスルホン型エポキシ樹脂、ジフェニルジスルフィド型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂、メチルヒドロキノン型エポキシ樹脂、ジブチルヒドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン型エポキシ樹脂等の2官能型エポキシ樹脂類;N,N−ジグリシジルアミノベンゼン型エポキシ樹脂、o−(N,N−ジグリシジルアミノ)トルエン型エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジアミノベンゼン型エポキシ樹脂等の4官能型エポキシ樹脂類;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ブロモ化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能型エポキシ樹脂類;及び脂環式エポキシ樹脂類が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。さらに、これらをイソシアネート等で変性したエポキシ樹脂等も併用することができる。
液晶ポリマーとの接着性の観点から、(A)成分が分子内に2個以上の芳香環を有する液状エポキシ樹脂であり、当該芳香環の立体構造が面平行状態にあることが好ましい。「面平行状態」とは、分子中に存在する各芳香環を、その面方向に延伸した仮想平面を想定した場合に、各芳香環に対応する仮想平面が一致する状態、すなわち、分子中に存在する各芳香環の面方向にずれがない状態を意味する。2つ以上の芳香環が芳香環周辺の置換基の立体障害等により、捻れて同一平面上に存在できない場合は面平行状態に該当しない。芳香環が面平行状態にあることで、液晶ポリマーなど全芳香族ポリエステルに対し、芳香環同士が強固なスタッキング相互作用を得られる傾向にある。芳香環が面平行状態にある液状エポキシ樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
[(B)可撓性エポキシ樹脂]
可撓性エポキシ樹脂は[(A)液状エポキシ樹脂]以外のエポキシ樹脂であり、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有し、且つ可撓性が発現するものであることが好ましい。例えば、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、ポリスルフィド変性エポキシ樹脂など柔軟成分変性型のエポキシ樹脂、またはエラストマー添加型エポキシ樹脂、ウレタン樹脂添加型エポキシ樹脂など靱性成分添加型のエポキシ樹脂が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。低弾性、平面ひずみ破壊靱性の観点から、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂が好ましく、液晶ポリマーとの接着性の観点から、ポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂がより好ましい。具体的には、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂や1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが好ましく用いられる。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(B)成分が15質量部〜85質量部の範囲にあることが好ましい。(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(B)成分が15質量部以上であることで、可撓性エポキシ樹脂の効果が十分に発現される傾向にあり、十分に低い弾性率と十分な靱性が得られる傾向にある。そのため、平面ひずみ破壊靱性値から求められる耐クラック性にも優れる傾向にある。一方、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(B)成分が85質量部以下であることで、柔軟性部位の過度な増加を抑制できるため、十分な強度を確保でき、十分な接着強度が得られる傾向にある。
[(C)チオール系化合物]
チオール系化合物は、1分子中に2個以上のチオール基を含有するものであることが好ましい。例えば、3,3’−ジチオジプロピオン酸、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,3,4,6−テトラキス(2−メルカプトエチル)グリコールウリル、4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオールなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。低弾性、平面ひずみ破壊靱性の観点から、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)が好ましく、低温硬化性の観点から、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)がより好ましい。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対して、(C)成分のチオール基が0.6当量〜1.5当量の範囲にあることが好ましい。(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対して、(C)成分のチオール基が0.6当量以上であると、十分に硬化が進行し、未反応のエポキシ末端が少なくなるため十分な接着強度と耐クラック性が得られる傾向にある。一方、(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対して、(C)成分のチオール基が1.5当量以下であると、未反応のチオール系化合物が少なくなり、十分な接着強度が得られる傾向にある。
[(D)アミン系潜在性硬化剤]
アミン系潜在性硬化剤は、以下に限定されないが、例えば、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド及びその誘導体、アミン−エポキシアダクト類、アミン−尿素アダクト類、またはこれらを被覆してなる硬化剤、包摂化合物と錯形成してなる硬化剤、多孔質体に吸着させてなる硬化剤などが挙げられる。その具体例としては、以下に限定されないが、ノバキュア HX−3721、HX−3722、HX−3613、HX−3921HP、HXA4922HP、HXA5945HP(旭化成株式会社製)、アミキュア PN−23J、PN−40J、MY−24(味の素ファインテクノ株式会社製)、フジキュアー FXR−1020、FXR−1030(富士化成工業株式会社製)などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。低温硬化性と保存安定性の観点から、ノバキュアHXA5945HPが好ましい。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)成分が10質量部〜40質量部の範囲にあることが好ましい。(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)成分が10質量部以上であると、十分に硬化が進行し、未反応のエポキシ末端が少なくなるため十分な接着強度と耐クラック性が得られる傾向にある。(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)成分が40質量部以下であると、アミン化合物による架橋点間距離の短い結合が増加せず、硬化物が脆くなることを防止し、十分な靱性が得られる傾向にある。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、必要に応じて無機充填剤を更に含有してもよい。無機充填剤の具体例としては、以下に限定されないが、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、タルク、窒化ケイ素、窒化アルミ等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性接着剤における無機充填剤の含有量は、本実施形態の効果が得られる範囲であれば特に限定されない。通常、本実施形態の熱硬化性接着剤の90質量%以下であることが好ましい。無機充填剤の含有量を上記範囲とすることにより、熱硬化性接着剤の粘度が十分低く、取扱性に優れる傾向にある。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、必要に応じて、難燃剤、シランカップリング剤、離型剤、顔料等の他の配合剤を更に含有してもよい。これらは、本実施形態の効果が得られる範囲であれば、適宜好適なものを選択することができる。例えば、難燃剤としては、以下に限定されないが、ハロゲン化物、リン原子含有化合物、窒素原子含有化合物、無機系難燃化合物等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性接着剤は、従来公知の方法等により熱硬化させることで硬化物とすることができる。例えば、本実施形態における(A)〜(D)成分、その他の硬化剤、硬化促進剤、更に必要に応じて無機充填剤、並びに配合剤等とを、押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合して熱硬化性接着剤を得ることができる。その後、熱硬化性接着剤を接着部位へ塗布又は挿入し、60℃〜200℃程度で1分〜10時間程度の条件で更に加熱することにより、硬化物を得ることができる。なお、その他の硬化剤・硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、ジシアンジアミド、有機酸ヒドラジド、酸無水物、イミダゾール類、フェノール、フッ化ホウ素錯体、スルホニウム塩等のカチオン性硬化剤等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性接着剤、及びその硬化物からなる成形体は、エポキシ樹脂が材料として用いられている種々の用途に使用できるが、中でも、カメラモジュールの組立用、すなわち、カメラモジュールの組立用一液性熱硬化性接着剤とすることが特に好ましい。また、アンダーフィルやモールディング等の半導体封止材、異方性導電フィルム(ACF)等の導電性接着剤、ソルダーレジストやカバーレイフィルム等のプリント配線基板等にも好適に用いられるが、これらに限定されない。
次に、本発明を、実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」及び「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
各物性の測定法は以下のとおりとした。
(1)落錘衝撃試験
後述する硬化物を対象とし、JIS K7211に準拠して、50%破壊エネルギーを測定した。
(2)液晶ポリマーを相手材とした引張せん断接着強度測定
後述する硬化物を対象とし、JIS K6850に準拠して、引張せん断接着強度を測定した。
相手材にはスミカスーパーE6007LHF(住友化学株式会社製)を用いた。
(3)3点曲げ弾性率測定
後述する硬化物を対象とし、JIS K7244−5に準拠して、25℃での弾性率を測定した。
(4)平面ひずみ破壊靱性測定
後述する硬化物を対象とし、ASTM D5045−99に準拠して、平面ひずみ破壊靱性を測定した。
(5)エポキシ当量
後述するエポキシ樹脂を対象とし、JIS K7236に準拠して、エポキシ当量を測定した。
(樹脂組成物の調製)
以下の表1〜3に示す配合比率で、後述する(A)〜(D)成分を計量後、ノンバブリングニーダーで2分間の撹拌および3分間の脱泡を行い、混合し、熱硬化性接着剤を調製した。なお、表1〜3における(A)〜(D)の各成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量を100質量部としたときの質量部表示で示されている。
(硬化物の作製)
調製した熱硬化性接着剤をテフロン(登録商標)製の型に流し入れ、加熱炉にて80℃で60分間硬化させた。硬化後にテフロン(登録商標)型を外し、3cm×5cm×2mmの硬化板を得た。得られた硬化板からステップカッターを用いて各測定に準拠した大きさのサンプル(硬化物)に切り出し、測定を行った。
以下の表1〜3に示す各成分は、以下のとおりである。
[エポキシ樹脂]
A−1:ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:170)
A−2:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量:190)
A−3:ビスフェノールF型固形エポキシ樹脂(エポキシ当量:870)
B−1:アルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(可撓性エポキシ樹脂;エポキシ当量:380)
B−2:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(可撓性エポキシ樹脂;エポキシ当量:160)
[(C)チオール系化合物]
C−1:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(チオール当量:122)
C−2:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(チオール当量:136)
C−3:1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(チオール当量:150)
[(D)アミン系潜在性硬化剤]
D−1:ノバキュア HX−3722(イミダゾール系潜在性硬化剤)
D−2:ノバキュア HXA5945HP(イミダゾール系潜在性硬化剤)
実施例1〜16及び比較例1〜10の評価結果を、表1〜3に示す。なお、表3の平面ひずみ破壊靱性値における「柔軟」は、測定サンプルが十分に柔らかく、グラフ化した際に極大点が現れず、これらについては数値化できなかったことを示す。
実施例1〜16は、いずれも、落錘衝撃試験の値が5.5J以上であった。
(A)成分を含まない比較例1、(A)成分がエポキシ樹脂中の10質量%以下である比較例2、(A)成分の分子中において存在する複数の芳香環の立体構造が面平行状態にないビスフェノールA型エポキシ樹脂である比較例3、(A)成分が液状ではないビスフェノールA型固形エポキシ樹脂である比較例4、(B)成分を含まない比較例5、及び(B)成分がエポキシ樹脂中の10質量%以下である比較例6はせん断接着強度が8MPa未満であり、耐衝撃性に劣っていた。
(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対して、(C)成分のチオール基が0.6当量未満である比較例7、(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対して、(C)成分のチオール基が1.5当量を超える比較例8はせん断接着強度が8MPa未満であり、耐衝撃性に劣っていた。
(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)成分が10質量部未満である比較例9、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、(D)成分が40質量部を超える比較例10はせん断接着強度が8MPa未満であり、耐衝撃性に劣っていた。
本発明によれば、衝撃に強い熱硬化性接着剤を提供することができ、特に、耐衝撃性を必要とするカメラモジュールの組立用一液性熱硬化性接着剤用途として有用であることから、産業上の有用性は高い。

Claims (4)

  1. (A)液状エポキシ樹脂と、(B)可撓性エポキシ樹脂と、(C)チオール系化合物と、(D)アミン系潜在性硬化剤と、を含む熱硬化性接着剤であって、
    前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、前記(B)成分が15〜85質量部であり、
    前記(A)成分と(B)成分の合計エポキシ基1当量に対して、前記(C)成分のチオール基が0.6〜1.5当量であり、
    前記(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、前記(D)成分が10〜40質量部であり、
    前記熱硬化性接着剤を80℃、60分間で硬化させた硬化物が、次の(1)〜(3)を満たす、熱硬化性接着剤:
    (1)液晶ポリマーを相手材としたせん断接着強度が25℃において8MPa〜15MPaである;
    (2)3点曲げ弾性率が25℃において0.05GPa〜3.0GPaである;
    (3)平面ひずみ破壊靱性値が25℃において0.5MPa・m-0.5〜4.0MPa・m-0.5である。
  2. 前記(A)成分が分子内に2個以上の芳香環を有する液状エポキシ樹脂であり、当該芳香環の立体構造が面平行状態にある、請求項に記載の熱硬化性接着剤。
  3. カメラモジュールの組立用である、請求項1又は2に記載の熱硬化性接着剤。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱硬化性接着剤の硬化物からなる、成形体。
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