JP6812936B2 - 近赤外線センサ用カバー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、近赤外線センサから送信される近赤外線の送信方向の前方側を覆うように配置される近赤外線センサ用カバー装置に関するものである。
車両の分野では、近赤外線センサから近赤外線を車両周囲へ向けて送信し、先行車両や歩行者などを含む障害物に当たって反射された近赤外線を受信することで、障害物との距離や相対速度を検出する技術の開発が進められている。
また、障害物検出用のセンサが設けられた車両に、同センサによる信号の送信方向における前方側を覆うカバーを設けることが提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、上記カバーとして、上記信号を透過する樹脂材料によって形成された板材が設けられている。このカバーは、上記信号を透過するため、障害物を検出する機能が確保される。そして、上記カバーを設けることにより、障害物検出用のセンサ(レーザーレーダーや超音波センサ)が車外側から見えないように隠すことが可能になるため、車両の見栄えが向上する。
特開2016−179752号公報
上記カバーには、車両の更なる意匠性の向上のために、単に車外側から見えないように近赤外線センサを隠す機能だけでなく、同センサの配設部分の意匠性を向上させるような付加価値の付与が求められている。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、近赤外線センサの検出機能を確保しながら、意匠性の更なる向上を図ることのできる近赤外線センサ用カバー装置を提供することにある。
上記課題を解決するための近赤外線センサ用カバー装置は、近赤外線センサから送信される近赤外線の送信方向の前方を覆うように配置される近赤外線センサ用カバー装置であり、板状をなし、且つ、前記近赤外線センサから送信される近赤外線が前記板状の厚み方向に透過する態様で車両に配置されるものであり、且つ、入射される可視光の一部を反射するとともに近赤外線を透過する光輝加飾層によって前記厚み方向の一部が構成されており、且つ、可視光の光線透過率よりも近赤外線の光線透過率が高くなっているカバーと、前記カバーに可視光を照射する発光部と、を有する。
上記構成によれば、近赤外線センサから送信される近赤外線の送信方向の前方を覆うようにカバーが設けられているとはいえ、同カバーの近赤外線の光線透過率が比較的高いため、カバーが近赤外線の送受信を阻害することが抑えられており、近赤外線センサによる障害物の検出機能を確保することができる。しかも、車両外部からカバーに太陽光(可視光)が入射された場合には、その可視光の一部が反射して同カバーが光るようになるため、カバーの配設部分の意匠性を高くすることができる。また、発光部からカバーに可視光を照射することにより、照射された可視光の一部を透過(あるいは反射)させて同カバーの車両外部側を光らせることができ、これによってもカバーの配設部分の意匠性を向上させることができる。このように上記構成によれば、近赤外線センサの検出機能を確保しながら、意匠性の更なる向上を図ることができる。
上記装置において、前記カバーを、可視光の光線透過率が5%以上であり且つ50%以下のものにすることができる。
上記装置において、前記カバーは前記厚み方向の主要部が透明または半透明の基材により構成されており、前記光輝加飾層は前記基材よりも前記近赤外線センサ側に配置されている。
上記構成によれば、光輝加飾層が基材よりも近赤外線センサから遠い側(車両外部側)に配置されたものと比較して、車両外部側からの障害物の接触に対してカバーの光輝加飾層が傷つき難い構造にすることができる。したがって、光輝加飾層に傷が付くことに起因する意匠性の低下や障害物の検出精度の低下を抑えることができるようになる。
上記装置において、前記カバーは前記厚み方向の主要部が透明または半透明の基材により構成されており、前記光輝加飾層は前記基材よりも前記近赤外線センサから遠い側に配置されている。
上記構成によれば、光輝加飾層が基材よりも車両外部側に配置されるため、光輝加飾層が基材よりも近赤外線センサ側(車両内部側)に配置されたものと比較して、光輝加飾層を車両外部から見え易い構造にすることができる。そのため、光輝加飾層を光らせることによって、カバーの意匠性を好適に高くすることができる。
上記装置において、前記発光部は、前記光輝加飾層における前記近赤外線センサ側の面に前記可視光を照射するように配置されている。
上記構成によれば、発光部から照射された可視光の一部が光輝加飾層を透過するようになるため、この透過する可視光によって光輝加飾層を光らせることができる。
上記装置において、前記発光部は、前記光輝加飾層における前記近赤外線センサから遠い側の面に前記可視光を照射するように配置されている。
上記構成によれば、発光部から照射された可視光の一部が光輝加飾層で反射するようになるため、この反射する可視光によって光輝加飾層を光らせることができる。
本発明によれば、近赤外線センサの検出機能を確保しながら、意匠性の更なる向上を図ることができる。
近赤外線センサ用カバー装置の第1実施形態が適用される車両の斜視図。 第1実施形態の近赤外線センサ用カバー装置の側断面図。 第1実施形態のカバーにおける電磁波の波長と光線透過率との関係を示すグラフ。 第1実施形態の近赤外線センサ用カバー装置の作用図。 第1実施形態の近赤外線センサ用カバー装置の作用図。 第2実施形態の近赤外線センサ用カバー装置の側断面図。 第2実施形態のカバーにおける電磁波の波長と光線透過率との関係を示すグラフ。 第2実施形態の近赤外線センサ用カバー装置の作用図。 第2実施形態の近赤外線センサ用カバー装置の作用図。 他の実施形態の近赤外線センサ用カバー装置の側断面図。 他の実施形態の近赤外線センサ用カバー装置の側断面図。
(第1実施形態)
以下、近赤外線センサ用カバー装置の第1実施形態について説明する。
図1または2に示すように、車両10の平面視における四隅(右前方、左前方、右後方、左後方)には、近赤外線センサ11およびカバー20が取り付けられている。なお、図1には車両10の左前方に設けられたカバー20のみを示している。また、4箇所の近赤外線センサ11(図2)およびカバー20は同一のものであるため、以下では車両10の左前方に設けられた近赤外線センサ11およびカバー20のみを説明し、他の3箇所の近赤外線センサ11およびカバー20についての説明は割愛する。
図2に示すように、近赤外線センサ11は略直方体形状であり、車両10のボディに固定されている。カバー20は、五層構造の板状をなしており、車両10の外装部材として同車両10のボディに固定されている。このカバー20は、近赤外線センサ11から送信される近赤外線(図2中に白抜きの矢印で示す)が同カバー20の厚み方向(図2の左右方向)に透過する態様で、近赤外線センサ11から送信される近赤外線の送信方向の前方を覆うように配置されている。
カバー20の各層は、車両外部側(図2の左側)から反射抑制層21、ハードコート層22、基材23、光輝加飾層24、反射抑制層25といった順に並んでいる。なお図2では、理解を容易にするために、反射抑制層21,25の厚さやハードコート層22の厚さ、光輝加飾層24の厚さを実際の厚さよりも誇張して示している。
反射抑制層21は、均一で規則的な細孔を有する二酸化ケイ素(いわゆるメソポーラスシリカ)によって形成されている。この反射抑制層21は、車両外部側(図2の左側)からカバー20に入射される可視光(太陽光など)の反射を抑える機能を有している。
ハードコート層22は、硬質の樹脂材料からなり、飛び石などの障害物との接触によるカバー20の傷つきを抑制する。なお、このハードコート層22は、基材23の表面に表面処理剤(例えば、アクリレート系のハードコート剤)を塗布することによって形成される。
基材23は透明な樹脂材料(ポリカーボネート)によって形成されて、カバー20の厚み方向における主要部を構成している。
光輝加飾層24は、高屈折率材料(本実施形態では、二酸化チタン[TiO2 ])によって形成された誘電体薄膜と、これよりも屈折率の低い低屈折率材料(本実施形態では、二酸化ケイ素[SiO2 ])によって形成された誘電体薄膜とを交互に積層(本実施形態では、合計25層)することによって形成された誘電体多層膜によって構成されている。
一般に、屈折率の高い誘電体薄膜と屈折率の低い誘電体薄膜とを交互に積み重ねると、反射率の高い反射薄膜が得られる。誘電体多層膜の内部において隣り合う誘電体薄膜の境界では僅かな反射が生ずる。誘電体多層膜では、全ての層で誘電体薄膜の厚さがλ/4の光路長(屈折率n×膜厚d)に調整されている。そのため、誘電体多層膜の各層で反射した光は位相が揃って強め合うようになる。その一方で、誘電体多層膜において多重反射して透過方向に進む光は打ち消し合うようになる。誘電体多層膜では吸収が殆どないため、透過率および反射率を広範囲で設定することが可能である。本実施形態では、こうした誘電体多層膜を用いることにより、光輝加飾層24が、入射される可視光(波長=0.36μm〜0.83μm)の一部を反射するとともに残りの殆どを透過させる一方で、入射される近赤外線(0.83μm〜3.00μm)の殆どを透過させる構造になっている。
本実施形態では、こうした光輝加飾層24の特性により、カバー20における可視光の光線透過率よりも近赤外線の光線透過率が高くなっている。具体的には、図3に示すように、カバー20では、可視光(詳しくは、太陽光[波長=0.40μm〜0.70μm])の光線透過率が「50%」になるとともに近赤外線の光線透過率が「90%」になるように、カバー20の各層の特性(材質や構造、形状など)が定められている。本実施形態では、より詳しくは、カバー20における太陽光の波長領域(0.40μm〜0.70μm)における光線透過率の平均値が「50%」になっている。
図2に示すように、反射抑制層25は、前記反射抑制層21と同様に、メソポーラスシリカによって形成されている。この反射抑制層25は、近赤外線センサ11から送信された近赤外線がカバー20において反射することを抑える機能を有している。
車両10におけるカバー20よりも上記近赤外線センサ11側(図2の右側)の位置には発光部30が配置されている。この発光部30は、カバー20の外縁に沿って延びる環状のケース31と、同ケース31の底部に固定された複数(図2には二つのみ図示)の発光ダイオード32とを有している。ケース31は、カバー20の外縁に向けて開口する断面コの字状で延びており、車両10のボディに固定されている。発光ダイオード32は、カバー20の外縁に沿って間隔を置いて並ぶようにケース31の内部に配置されている。発光部30は、ケース31内部の発光ダイオード32を点灯させることにより、カバー20の上記近赤外線センサ11側の面(裏面20A)に向けて可視光を照射することの可能な構造になっている。
車両10には、例えばマイクロコンピュータを中心に構成される電子制御装置12が設けられている。この電子制御装置12には、車両10の運転状態を検出するための各種センサや車載機器を操作するための操作スイッチ、発光部30の各発光ダイオード32などが接続されている。そして電子制御装置12は、各種センサや操作スイッチの出力信号を取り込むとともに同信号に基づき各種の演算を行い、その演算県結果をもとに発光部30(詳しくは、発光ダイオード32)の作動(点灯/消灯)を制御する。
発光部30の作動制御では、例えば車両10の前照灯の点灯時には発光ダイオード32を点灯させる一方で同前照灯の消灯時には発光ダイオード32を消灯させるといったように、前照灯の点灯に連動させるかたちで発光ダイオード32が点灯される。なお、自動運転機能を有する車両における発光部30の作動制御では、自動運転が実行されないときには発光ダイオード32を消灯させる一方で自動運転が実行されるときには発光ダイオード32を点灯させるといったように、自動運転の実行に連動させるかたちで発光ダイオード32を点灯させるようにしてもよい。
以下、本実施形態の近赤外線センサ用カバー装置による作用効果について説明する。
図4および図5に示すように、車両10には、近赤外線センサ11から送信される近赤外線(図4中および図5中に白抜きの矢印で示す)の送信方向の前方を覆うようにカバー20が設けられている。とはいえ、このカバー20の近赤外線の光線透過率(本実施形態では90%)は比較的高く設定されている。そのため、近赤外線センサ11から照射される近赤外線や障害物に反射して戻ってくる近赤外線がカバー20を透過するようになる。このように近赤外線センサ11による近赤外線の送受信をカバー20が阻害することが抑えられるため、近赤外線センサ11による障害物の検出機能は確保されるようになる。
その一方で、本実施形態のカバー20では、可視光(図4中および図5中に黒塗りの矢印で示す)の光線透過率(本実施形態では、太陽光の光線透過率「50%」)が比較的低く設定されている。
そのため、図4中に黒塗りの矢印で示すように、車両外部からカバー20に可視光(太陽光)が入射された場合には、その太陽光の一部が光輝加飾層24の車両外部側の面で反射するようになる。これにより、車両外部から近赤外線センサ11を見え難くすることができるため、近赤外線センサ11がむき出しの状態で車両10に取り付けられる場合と比べて、近赤外線センサ11の配設部分の見栄えを良くして意匠性の向上を図ることができる。また、このとき太陽光の反射を利用してカバー20を光らせることができるため、これによっても同カバー20の配設部分の意匠性を高くすることができる。なお、可視光(太陽光)の反射時におけるカバー20の色と、同カバー20の周辺に配置される外装部材(詳しくは、バンパー)の色とを同一にすることにより、カバー20を目立たなくすることもできる。
さらに、図5中に黒塗りの矢印で示すように、発光ダイオード32が点灯されて発光部30からカバー20の裏面20Aに向けて可視光が照射された場合には、照射された可視光の一部が光輝加飾層24を透過して、同光輝加飾層24を含むカバー20の車両外部側の面が光るようになる。したがって本実施形態では、車両10の夜間運転時や自動運転時などの任意のタイミングで発光ダイオード32を点灯してカバー20を光らせることができ、これによってもカバー20の配設部分の意匠性を向上させることができる。
本実施形態のカバー20では、光輝加飾層24が基材23よりも上記近赤外線センサ11側、すなわち多層構造のカバー20の中でも車両内部側に配置されている。そのため、光輝加飾層24が基材23よりも近赤外線センサ11から遠い側(車両外部側)に配置されたものと比較して、カバー20を、車両外部側からの障害物の接触に対して光輝加飾層24が傷つき難い構造にすることができる。したがって、光輝加飾層24に傷が付くことに起因する意匠性の低下や障害物の検出精度の低下を好適に抑えることができるようになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)板状のカバー20が、近赤外線センサ11から送信される近赤外線が厚み方向において透過する態様で、車両10に配置されている。カバー20における厚み方向の一部は可視光の一部を反射するとともに近赤外線を透過する光輝加飾層24によって構成されており、同カバー20は太陽光の光線透過率よりも近赤外線の光線透過率が高くなっている。カバー20に可視光を照射する発光部30が設けられている。そのため、近赤外線センサ11の検出機能を確保しながら、意匠性の更なる向上を図ることができる。
(2)カバー20の光輝加飾層24が基材23よりも上記近赤外線センサ11側(車両内部側)に配置されている。そのため、光輝加飾層24に傷が付くことに起因する意匠性の低下や障害物の検出精度の低下を抑えることができる。
(3)発光部30は、光輝加飾層24における近赤外線センサ11側の面に可視光を照射するように配置されている。そのため、発光部30から照射された可視光の一部が光輝加飾層24を透過するようになるため、この透過する可視光によって光輝加飾層24を光らせることができる。
(第2実施形態)
以下、近赤外線センサ用カバー装置の第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、以下では第1実施形態と同一機能の構成には同一の符号を付して示し、その詳細な説明は割愛する。
本実施形態と先の第1実施形態とは、大きくは、カバーに対する発光部の配設位置が異なる。第1実施形態では発光部30(図2参照)が光輝加飾層24の前記近赤外線センサ11側の面に可視光を照射するように配置されているのに対して、本実施形態では、発光部が光輝加飾層の上記近赤外線センサ11から遠い側の面に可視光を照射するように配置されている。
以下、本実施形態の近赤外線センサ用カバー装置について詳しく説明する。
図6に示すように、カバー40は五層構造の板状をなしており、車両10の外装部材として同車両10のボディに固定されている。カバー40の各層は、車両外部側(図6の左側)から反射抑制層21、ハードコート層22、基材23、光輝加飾層44、反射抑制層25といった順に並んでいる。なお図6では、理解を容易にするために、反射抑制層21,25の厚さやハードコート層22の厚さ、光輝加飾層44の厚さを実際の厚さよりも誇張して示している。
本実施形態の光輝加飾層44は、高屈折率材料(本実施形態では、二酸化チタン[TiO2 ])からなる誘電体薄膜と低屈折率材料(本実施形態では、二酸化ケイ素[SiO2 ])からなる誘電体薄膜とが交互に積層された誘電体多層膜によって構成されている。この光輝加飾層44は、入射される可視光の一部を反射するとともに残りの殆どを透過させる一方で、入射される近赤外線の殆どを透過させる構造になっている。
本実施形態では、上記光輝加飾層44の特性により、カバー40における可視光の光線透過率よりも近赤外線の光線透過率が高くなっている。具体的には、図7に示すように、カバー40(詳しくは、光輝加飾層44が設けられた部分)では、可視光(詳しくは、太陽光[波長=0.40μm〜0.70μm])の光線透過率が「5%」になるとともに近赤外線の光線透過率が「90%」になるように、カバー40の各層の特性(材質や構造、形状など)が定められている。本実施形態では、より詳しくは、カバー40における太陽光の波長領域(0.40μm〜0.70μm)における光線透過率の平均値が「5%」になっている。
カバー40の外周縁は、近赤外線センサ11側(車両内部側)に向かうほど同近赤外線センサ11側の位置になるように傾斜した傾斜部47になっている。傾斜部47の外周には、基材23の一部が外周方向に突出した突出部48が設けられている。この突出部48は、傾斜部47の周囲全周に渡って環状で延びている。
車両10には、カバー40の外周面(詳しくは、環状の突出部48の突端)に沿って延びる環状の発光部50が配置されている。この発光部50は、突出部48の突端に沿って延びる環状のケース51と、同ケース51の底部に固定された複数(図6には二つのみ図示)の発光ダイオード32とを有している。ケース51は、突出部48の突端に向けて開口する断面コの字状で延びており、車両10のボディに固定されている。発光ダイオード32は、カバー40の外周面に沿って間隔を置いて並ぶようにケース51の内部に配置されている。
発光部50は、ケース51内部の発光ダイオード32を点灯させることにより、上記突出部48を介して、カバー40における基材23の内部に向けて、ひいては光輝加飾層44における上記近赤外線センサ11から遠い側の面44Aに向けて可視光を照射することの可能な構造になっている。
以下、本実施形態の近赤外線センサ用カバー装置による作用効果について説明する。
図8および図9に示すように、本実施形態では、近赤外線センサ11から送信される近赤外線(図8中および図9中に白抜きの矢印で示す)の送信方向の前方を覆うようにカバー40が設けられている。とはいえ、このカバー40の近赤外線の光線透過率(本実施形態では90%)は比較的高く設定されている。そのため、近赤外線センサ11から照射される近赤外線や障害物に反射して戻ってくる近赤外線がカバー40を透過するようになる。このように近赤外線センサ11による近赤外線の送受信をカバー40が阻害することが抑えられるため、近赤外線センサ11による障害物の検出機能は確保されるようになる。
その一方で、本実施形態のカバー40では、可視光(図8中および図9中に黒塗りの矢印で示す)の光線透過率(本実施形態では、太陽光の光線透過率「5%」)が比較的低く設定されている。
そのため、図8中に黒塗りの矢印で示すように、車両外部からカバー40に可視光(太陽光)が入射された場合には、その太陽光の一部が光輝加飾層44の車両外部側の面44Aで反射するようになる。これにより、車両外部から近赤外線センサ11を見え難くすることができ、近赤外線センサ11がむき出しの状態で車両10に取り付けられる場合と比べて、近赤外線センサ11の配設部分の見栄えを良くして意匠性の向上を図ることができる。また、このとき太陽光の反射を利用してカバー40を光らせることができるため、これによっても同カバー40の配設部分の意匠性を高くすることができる。
さらに、図9中に黒塗りの矢印で示すように、発光ダイオード32が点灯されて発光部50からカバー40に向けて可視光が照射された場合には、その可視光が突出部48および基材23を介して光輝加飾層44の近赤外線センサ11から遠い側(車両外部側)の面44Aに到達するようになる。そして、その到達した可視光の一部が光輝加飾層44の車両外部側の面44Aで反射することによって同面44Aが光るようになる。また、この場合には照射された可視光が導光体としての基材23の内部を通過するため、その通過に際して同基材23が光るようになる。したがって本実施形態では、車両10の夜間運転時や自動運転時などの任意のタイミングで発光ダイオード32を点灯してカバー40を光らせることができ、これによってもカバー40の配設部分の意匠性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、先の(1)および(2)に記載の効果に準じた効果に加えて、以下の(4)に記載の効果が得られる。
(4)発光部50を、光輝加飾層44における近赤外線センサ11から遠い側(車両外部側)の面44Aに可視光を照射するように配置した。そのため、発光部50から照射された可視光の一部が光輝加飾層44の車両外部側の面44Aで反射するようになるため、この反射する可視光によって光輝加飾層44を光らせることができる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・光輝加飾層24,44が基材23よりも近赤外線センサ11から遠い側(車両外部側)に配置されたカバーを採用してもよい。こうした構成によれば、光輝加飾層24,44が基材23よりも車両外部側に配置されるため、光輝加飾層24,44が基材23よりも近赤外線センサ11側(車両内部側)に配置されたものと比較して、光輝加飾層24,44を車両外部から見え易い構造にすることができる。そのため、光輝加飾層24,44を光らせることによって、カバーの意匠性を好適に高くすることができる。図10および図11は、そうした近赤外線センサ用カバー装置の具体例を示している。
図10に示す例では、カバー60が五層構造の板状をなしている。なお、以下では第1実施形態(図2参照)と同一機能の構成には同一の符号を付して示し、その詳細な説明は割愛する。また図10では、理解を容易にするために、反射抑制層21,25の厚さやハードコート層22の厚さ、光輝加飾層24の厚さを実際の厚さよりも誇張して示している。カバー60の各層は、車両外部側(図10の左側)から反射抑制層21、ハードコート層22、光輝加飾層24、基材23、反射抑制層25といった順に並んでいる。また、発光部30が、カバー60の裏面に可視光を照射するように設けられている。この場合には、カバー60における近赤外線の光線透過率を「90%」に設定し、太陽光の光線透過率を「50%」に設定することが望ましい。こうした構成によれば、先の(1)および(3)に記載の効果に準じた効果が得られる。
図11に示す例では、カバー70が五層構造の板状をなしている。なお、以下では第2実施形態(図6参照)と同一機能の構成には同一の符号を付して示し、その詳細な説明は割愛する。また図11では、理解を容易にするために、反射抑制層21,25の厚さやハードコート層22の厚さ、光輝加飾層44の厚さを実際の厚さよりも誇張して示している。カバー70の各層は、車両外部側(図11の左側)から反射抑制層21、ハードコート層22、光輝加飾層44、基材23、反射抑制層25といった順に並んでいる。また、発光部50が、カバー70外周の突出部48の突端に可視光を照射するように設けられている。この場合には、カバー70における近赤外線の光線透過率を「90%」に設定し、太陽光の光線透過率を「50%」に設定することが望ましい。
こうした構成によれば、先の(1)に記載の効果に準じた効果に加えて、次の作用効果が得られる。発光ダイオード32が点灯されて発光部50からカバー70に向けて可視光が照射された場合には、その可視光が基材23の内部を通過するようになる。そして、基材23内部を通過する可視光の一部が光輝加飾層44を透過することによって、光輝加飾層44の車両外部側の面(図11の左側)が光るようになる。したがって、車両の夜間運転時や自動運転時などの任意のタイミングで発光ダイオード32を点灯してカバー70を光らせることができるため、同カバー70の配設部分の意匠性を向上させることができる。
・光輝加飾層24,44を構成する各誘電体薄膜の形成に用いられる高屈折率材料や低屈折率材料は任意に変更することができる。高屈折率材料としては酸化アルミニウム(Al2 O3 )や酸化ジルコニウム(ZrO2 )などを用いることができ、低屈折率材料としては過酸化亜鉛(ZnO2 )やフッ化マグネシウム(MgF2 )などを用いることができる。
・カバー20,40,60,70における近赤外線の光線透過率や可視光の光線透過率は任意に変更することができる。近赤外線センサ11の検出機能が確保される程度に近赤外線の光線透過率を高くするとともに、近赤外線の光線透過率を可視光(詳しくは、近赤外線領域との境界付近の波長の可視光を除く殆どの波長領域の可視光)の光線透過率よりも高くすればよい。なお、発明者等による各種の実験やシミュレーションの結果から次の事項が分かった。近赤外線センサ11の検出機能を確保しながらカバー20,40,60,70の意匠性を向上させるためには、カバー20,40,60,70における上述した殆どの波長領域の可視光の光線透過率を「5%〜50%」の範囲に設定することが好ましい。
・発光部30,50の発光ダイオード32を常時点灯させるようにしてもよい。
・発光ダイオード32に代えて、白熱灯等の他の発光体を用いることができる。
・反射抑制層21,25を、メソポーラスシリカ以外の任意の材料によって形成するようにしてもよい。そうした材料としては、例えば蛾の目構造の反射防止フィルム(いわゆるモスアイフィルム)や、単層または多層の誘電体膜などを挙げることができる。
・ハードコート層22を省略してもよい。
・反射抑制層21,25を省略することができる。
・基材23の形成材料として、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やシクロオレフィンポリマー(COP)を採用することができる。また、基材23を半透明な樹脂材料によって形成してもよい。
10…車両、11…近赤外線センサ、12…電子制御装置、20,40,60,70…カバー、20A…裏面、21…反射抑制層、22…ハードコート層、23…基材、24,44…光輝加飾層、44A…面、25…反射抑制層、30,50…発光部、31,51…ケース、32…発光ダイオード、44…光輝加飾層、47…傾斜部、48…突出部。

Claims (3)

  1. 近赤外線センサから送信される近赤外線の送信方向の前方を覆うように配置される近赤外線センサ用カバー装置であり、
    板状をなし、且つ、前記近赤外線センサから送信される近赤外線が前記板状の厚み方向に透過する態様で車両に配置されるものであり、且つ、入射される可視光の一部を反射するとともに近赤外線を透過する光輝加飾層によって前記厚み方向の一部が構成されており、且つ、可視光の光線透過率よりも近赤外線の光線透過率が高くなっているカバーと、
    前記カバーに可視光を照射する発光部と、
    を有し、
    前記カバーは、車両外部側から順に並ぶように、硬質の樹脂材料で形成されたハードコート層と、透明または半透明の樹脂材料で形成されて前記厚み方向の主要部を構成する基材と、前記光輝加飾層と、前記近赤外線センサから送信される近赤外線の反射を抑制する近赤外線反射抑制層と、を備え、
    前記発光部は、前記カバーよりも前記近赤外線センサ側の位置で、前記カバーの外縁に沿って延びるように配置されて、前記光輝加飾層における前記近赤外線センサ側の面に前記可視光を照射する近赤外線センサ用カバー装置。
  2. 前記カバーは、前記ハードコート層の外側に、車両外部側から入射される可視光の反射を抑制する可視光反射抑制層を備えている請求項1に記載の近赤外線センサ用カバー装置。
  3. 前記カバーは、可視光の光線透過率が5%以上であり且つ50%以下である
    請求項1または2に記載の近赤外線センサ用カバー装置。
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