JP7461598B2 - 灯具カバー - Google Patents

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本発明は、乗物に搭載され、かつ光源及び近赤外線センサが内蔵された灯具に用いられ、光源及び近赤外線センサを乗物の外側から覆う灯具カバーに関する。
車両の前照灯等の灯具として、光源に加え、近赤外線センサが内蔵されたものが、例えば、特許文献1に記載されている。この灯具は、光源及び近赤外線センサを車外側から覆う灯具カバーを備えている。
上記灯具において、近赤外線センサから近赤外線が送信されると、その近赤外線は灯具カバーを透過する。車外の物体に当たり、反射されて戻ってきた近赤外線は、灯具カバーを透過した後に近赤外線センサで受信される。近赤外線センサでは、送信した近赤外線と受信した近赤外線とに基づき、車外の上記物体が認識されるとともに、車両と上記物体との距離、相対速度等が検出される。
上記灯具では、灯具カバーによる近赤外線の吸収や減衰が問題となる。この問題に対処するために、灯具カバーの骨格部分を構成する基材の車内側の面(内面)に、近赤外線の反射を抑制する反射抑制層を形成することが考えられる。こうすると、近赤外線センサから送信された近赤外線が灯具カバーの内面で反射されることが反射抑制層によって抑制され、灯具カバーを透過する近赤外線の量が多くなる。
特開2019-164916号公報
ところが、上記特許文献1に記載された灯具では、近赤外線センサから送信される近赤外線の波長と、光源から出射される光の波長とが異なる。また、上記灯具では、共通の灯具カバーによって光源及び近赤外線センサを覆っている。このことから、基材の形成後に、同基材の内面のうち、近赤外線の透過領域に対し上記のような反射抑制層を形成しようとすると、同基材の内面の該当する部分に対してのみ、真空蒸着、スパッタリング、WETコーティング等を行なう必要が生じ、その作業が大変である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、反射抑制層を付加する作業を行なわずに、近赤外線の反射を抑制する機能を付与することのできる灯具カバーを提供することにある。
上記課題を解決する灯具カバーは、乗物に搭載され、かつ光源及び近赤外線センサが内蔵された灯具に用いられ、前記光源及び前記近赤外線センサを前記乗物の外側から覆う灯具カバーであって、前記光源からの光の透過性と、前記近赤外線センサからの近赤外線の透過性とを有する樹脂材料により形成された基材を備え、前記基材において、前記乗物の内側の面である内面のうち、前記近赤外線が透過する領域には、凹凸形状をなす反射抑制構造部が形成され、前記凹凸形状は、前記近赤外線センサから送信される前記近赤外線の送信方向に対し傾斜して同近赤外線の反射を抑制する反射抑制面を備えている。
上記の構成によれば、凹凸形状をなし、その凹凸形状が反射抑制面を備える反射抑制構造部は、いわゆるモスアイ構造による反射抑制機能を発揮する。そのため、近赤外線センサから近赤外線が送信されると、その近赤外線は、灯具カバーに対し乗物の内側から照射される。この際、反射抑制構造部に照射された近赤外線は、反射されることを反射抑制面によって抑制される。この抑制の分、反射抑制構造部と、灯具カバーにおいて近赤外線の送信方向における反射抑制構造部よりも前側部分(乗物の外側部分)とを透過する近赤外線の量が多くなる。
上記灯具カバーでは、上述したように、近赤外線の反射抑制が、基材の内面であって、近赤外線が透過する領域に形成された反射抑制構造部によってなされる。反射抑制構造部は、基材の一部によって構成される。従って、灯具カバーの製造に際し、基材の内面であって、近赤外線が透過する領域に別途反射抑制層を付加しなくてもすむ。
上記灯具カバーにおいて、前記反射抑制構造部は、前記基材の前記内面であって、前記光源からの前記光が透過する領域とは異なる領域に形成されていることが好ましい。
反射抑制構造部が仮に基材の内面のうち、光源からの光が透過する領域にも形成されると、光源から出射された光の透過が反射抑制構造部によって妨げられるおそれがある。これに対し、上記の構成によるように、反射抑制構造部が、基材の内面のうち、光源からの光が透過する領域とは異なる領域に形成されることで、反射抑制構造部による上記弊害が生じにくくなる。
上記灯具カバーにおいて、前記反射抑制構造部は、親水化膜により前記乗物の内側から被覆されていることが好ましい。
近赤外線センサが作動に伴い熱を帯びた場合、その熱によって反射抑制構造部が結露して曇る懸念がある。しかし、上記の構成によるように、反射抑制構造部が、乗物の内側から親水化膜によって覆われることで、結露した水が親水化膜上で拡がるため、曇ることが抑制される。
上記灯具カバーにおいて、前記基材の前記内面のうち、前記近赤外線が透過する領域であって、前記反射抑制構造部が形成された箇所とは異なる箇所には、通電により発熱する線状の発熱体により構成されるヒータ部が設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、ヒータ部における線状の発熱体は通電されると発熱する。ここで、灯具カバーにおいて、乗物の外側の面を外面とすると、上記熱の一部は、灯具カバーの外面に伝達される。そのため、灯具カバーの外面に雪が付着しても、その雪は、発熱体から伝わる熱によって溶かされる。
上記灯具カバーによれば、反射抑制層を付加する作業を行なわずに、近赤外線の反射を抑制する機能を付与することができる。
一実施形態における灯具の内部構成を示す平断面図。 図1の2-2線に沿った灯具カバーの部分断面図。 (a)は、図1の3a-3a線に沿った灯具カバーの部分断面図、(b)は図3(a)における反射抑制構造部を拡大して示す部分断面図。 一実施形態における反射抑制構造部を車内側から見た部分正面図。 反射抑制構造部の第1変形例を示す図であり、図3(b)に対応する部分断面図。 図4に対応する図であり、図5の反射抑制構造部を車内側から見た部分正面図。 反射抑制構造部の第2変形例を示す部分斜視図。 図7の8-8線に沿った反射抑制構造部の部分断面図。 図7の9-9線に沿った反射抑制構造部の部分断面図。
以下、車両用の灯具カバーに具体化した一実施形態について、図1~図4を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって車両の前進時の左右方向と一致するものとする。
また、図1~図4では、灯具カバーにおける各部を認識可能な大きさとするために、縮尺を適宜変更して各部を示している。この点は、変形例を示す図5~図9についても同様である。
車両の左前角部及び右前角部には、それぞれ前照灯として灯具が搭載されている。図1は、車両10の右前角部に搭載された本実施形態の灯具11の内部構成を模式的に示している。図示を省略するが、車両10の左前角部に搭載される灯具は、図1の灯具11と左右対称の構成を有している。
灯具11の外殻部分は、ハウジング12と、同ハウジング12よりも車外側に配置された灯具カバー20とを備えている。ハウジング12及び灯具カバー20によって囲まれた空間は、灯室14を構成している。灯室14内には、光源15,16,17及び近赤外線センサ18が配置されている。図1では、光源が3つ配置されているが、同光源は1つ、2つ又は4つ以上配置されてもよい。また、光源15~17及び近赤外線センサ18は、図1とは異なる態様で配置されてもよい。光源15~17としては、ランプ光源、半導体発光素子等が挙げられる。ランプ光源としては、白熱ランプ、ハロゲンランプ、放電ランプ、ネオンランプ等が挙げられる。半導体発光素子としては、発光ダイオード、レーザダイオード、有機EL素子等が挙げられる。
各光源15~17から出射される光の波長の少なくとも一部は、可視光域に含まれている。各光源15~17から出射された光は、灯具カバー20のうち、光の出射方向における前方部分を透過し、車両10の外部における所定の領域を照明する。
近赤外線センサ18は、900nm付近の波長を有する近赤外線を送信し、かつ先行車両、歩行者等を含む車外の物体に当たって反射された近赤外線を受信する。
図2及び図3(a)に示すように、灯具カバー20の骨格部分は、基材23によって構成されている。基材23は、各光源15~17が出射した光の透過性を有するとともに、近赤外線センサ18が送信した近赤外線の透過性を有する透明な樹脂材料によって形成されている。ここでの透明には、無色透明のほか、着色透明(有色透明)も含まれる。本実施形態では、基材23はPC(ポリカーボネート)によって形成されているが、そのほかにも、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、COP(シクロオレフィンポリマー)等によって形成されてもよい。
ここで、灯具カバー20及びその構成部材において、車外側の面を外面といい、車内側の面を内面というものとする。
基材23の外面には、上記光源15~17からの光の透過性と、近赤外線の透過性とを有するとともに、基材23よりも高い硬度を有するハードコート層24が積層されている。ハードコート層24は、基材23の外面に公知の表面処理剤を塗布することにより形成されている。表面処理剤としては、例えば、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系等の有機系ハードコート剤、無機系ハードコート剤、有機無機ハイブリッド系ハードコート剤等が挙げられる。また、ハードコート剤として、紫外線(UV)の照射によって硬化されるタイプが用いられてもよいし、熱が加えられることによって硬化されるタイプが用いられてもよい。
図1中、一点鎖線で示される範囲Sは、灯具カバー20において、近赤外線が透過される範囲を示している。灯具カバー20において、各光源15~17からの光が透過する領域と、近赤外線センサ18からの近赤外線が透過する領域とは、重複しておらず、互いに独立している。灯具カバー20において、前者の領域を有する部分を第1透過部21といい、後者の領域を有する部分を第2透過部22というものとする。第1透過部21は、灯具カバー20のうち、第2透過部22とは異なる部分の全部によって構成されてもよいし、一部によって構成されてもよい。
図3(a)に示すように、第2透過部22における基材23の内面には、ヒータ部25が設けられている。ヒータ部25は、通電により発熱する発熱体26によって構成されている。発熱体26の材料は、銀、銅等の金属、ITO(酸化インジウムスズ)、酸化スズ等の酸化金属系導電性材料、カーボン発熱体、導電性ペースト等である。発熱体26は、上記の材料を第2透過部22における基材23の一部の内面に対し、スパッタリング、印刷等することによって、又はディスペンサー(液体定量吐出装置)等を用いて塗布することによって形成されている。導電性ペーストとしては、例えば、樹脂材料中に銀粒子等をフィラーとして分散したものが用いられる。
発熱体26は、線状をなしており、例えば、互いに平行に延びる複数の直線部と、隣り合う直線部の端部同士を連結する複数の連結部とを備えている。
図3(a),(b)に示すように、第2透過部22における基材23のうち、上記ヒータ部25が設けられた箇所とは異なる箇所は、近赤外線センサ18から送信された近赤外線の反射を抑制する反射抑制構造部30によって構成されている。
図4は、車内側から見た反射抑制構造部30を拡大して示している。図3(a),(b)及び図4に示すように、反射抑制構造部30は、互いに同一の断面形状を有する複数の微細な突条部31によって構成されている。本実施形態における各突条部31の断面形状は直角三角形である。複数の突条部31は、互いに隣り合った状態で平行に形成されている。各突条部31の底部から頂部までの高さH1は、同突条部31の延びる方向に一定である。隣り合う突条部31間の空間は、断面三角形状をなす微細な溝部32となっている。突条部31及び溝部32の組合せが、同突条部31の配列方向である上下方向に繰り返されることにより、すなわち、均一(規則的)に配列されることにより、微細な凹凸形状をなすモスアイ(Moth-eye:蛾の目)構造を有する反射抑制構造部30が構成されている。モスアイ構造は、蛾の目の表面に見られるような、光線(本実施形態では近赤外線)の波長よりも短い平均周期を有する凹凸構造である。各突条部31は、近赤外線の送信方向に対し傾斜して、その近赤外線を反射する反射抑制面33を備えている。各突条部31の上記高さH1は150nm~400nmに設定されている。また、突条部31の配列方向における同突条部31の底部の寸法A1は170nm~200nmに設定されている。反射抑制構造部30の断面は、全体として三角波状、すなわち、のこぎり歯状をなしている。
上記反射抑制構造部30は、成形用金型を用いた射出成形等の樹脂成形法によって形成されている。成形用金型としては、成形面に、反射抑制構造部30を反転した微細な凸凹形状が形成されたものが用いられる。成形用金型の成形面における微細な凸凹形状は、同成形面に対し、精密かつ微細な機械加工を行なうこと、例えば、微細加工装置における刃具を微細振動させながら成形用金型を移動させて切削等の機械加工を行なうことによって形成される。この成形用金型が用いられて樹脂成形が行なわれることで、同成形用金型表面の微細な凸凹形状が樹脂に転写され、微細な凹凸形状をなす反射抑制構造部30を有する基材23が形成される。
図3(a),(b)に示すように、上記ヒータ部25及び反射抑制構造部30は、それらに対し、車内側から形成された親水化膜34によって被覆されている。親水化膜34には、金属酸化物からなるナノオーダーの微粒子(ナノ粒子)が均一に分散されている。金属酸化物としては、例えば、SiO2 (シリカ)を用いることができる。さらに、本実施形態では、水に対する接触角が10度以下となるように親水化膜34が形成されている。なお、親水化膜34は、金属酸化物からなるナノオーダーの微粒子(ナノ粒子)を混合吸着(交互吸着)させることによって形成されたものであってもよい。なお、図4では、親水化膜34の図示が省略されている。
そして、上記のように構成された灯具カバー20における近赤外線の透過率は60%以上であり、灯具カバー20の内面での近赤外線の反射率は10%以下である。
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
本実施形態では、反射抑制面33を備える反射抑制構造部30は、いわゆるモスアイ構造による反射抑制機能を発揮する。そのため、図1に示す近赤外線センサ18から近赤外線が送信されると、その近赤外線は、灯具カバー20における第2透過部22の内面に照射される。この際、図3(a),(b)に示すように、親水化膜34を介して反射抑制構造部30に照射された近赤外線は、反射されることを反射抑制面33によって抑制される。すなわち、モスアイ構造により、各突条部31の頂部から底部にかけて連続的に擬似的な屈折率が変化していくことで、第2透過部22の内面での近赤外線の反射が効果的に抑制される。
特に、反射抑制構造部30では、透過する近赤外線の波長の半分よりも小さくなるよう各突条部31の高さH1が150nm~400nmに設定され、各突条部31の寸法A1が170nm~200nmに設定されていることから、近赤外線の反射を抑制する効果が一層高められる。
上記反射抑制構造部30により、近赤外線の反射率は10%以下に抑制される。この抑制の分、反射抑制構造部30を透過する近赤外線の量が多くなる。
反射抑制構造部30を透過した近赤外線は、基材23において反射抑制構造部30よりも上記送信方向における前側(車外側)の部分、及びハードコート層24を順に透過する。このようにして、近赤外線が第2透過部22を透過する。
第2透過部22を透過した近赤外線は、先行車両、歩行者等を含む物体に当たって反射される。反射された近赤外線は、再び第2透過部22におけるハードコート層24、反射抑制構造部30を有する基材23及び親水化膜34を順に透過する。灯具カバー20を透過した近赤外線は、図1に示す近赤外線センサ18によって受信される。近赤外線センサ18では、送信した近赤外線と受信した近赤外線とに基づき、上記物体の認識や、車両10と同物体との距離、相対速度等の検出が行われる。
上述したように、反射抑制構造部30で近赤外線の反射が抑制される分、第2透過部22を透過する近赤外線の量が多くなり、透過率が60%以上となる。そのため、灯具カバー20は近赤外線の透過の妨げとなりにくい。近赤外線のうち、灯具カバー20によって減衰される量を許容範囲にとどめることができる。従って、近赤外線センサ18は、上記物体認識機能や、上記検出機能等を発揮しやすい。
また、灯具カバー20よりも車内側に配置された近赤外線センサ18が作動に伴い熱を帯びた場合、その熱によって反射抑制構造部30が結露して曇る懸念がある。しかし、本実施形態では、図3(a),(b)に示すように、反射抑制構造部30が親水化膜34によって覆われていて、水に対する接触角が10度以下である。結露した水が親水化膜34上で拡がる。そのため、反射抑制構造部30が曇ることが抑制される。従って、反射抑制構造部30に、近赤外線の反射を抑制する機能を十分発揮させることができる。
さらに、図2及び図3(a)に示すように、灯具カバー20では、基材23の外面に形成されたハードコート層24が、灯具カバー20の耐衝撃性を高める。従って、灯具カバー20の外面に飛び石等により傷が付くのをハードコート層24によって抑制することができる。また、ハードコート層24は、灯具カバー20の耐候性を高める。従って、太陽光、風雨、温度変化等が原因で、灯具カバー20が変質したり劣化したりするのをハードコート層24によって抑制することができる。この点でも、近赤外線センサ18は、上記物体認識機能、上記検出機能等を発揮しやすい。
一方、図3(a)に示すように、ヒータ部25を構成する線状の発熱体26は、通電されると発熱する。この熱の一部は、主として第2透過部22の外面に伝達される。そのため、第2透過部22の外面に雪が付着しても、通電により発熱体26が発熱されることで、その雪は、発熱体26から伝わる熱によって溶かされる。降雪時でも近赤外線センサ18に、上記物体認識機能や、上記検出機能等を発揮させることができる。
また、本実施形態の灯具カバー20では、上述したように、第2透過部22の内面での近赤外線の反射抑制が、同第2透過部22における基材23の内面を含む車内側の部分の一部に形成された反射抑制構造部30によってなされる。反射抑制構造部30は、基材23の一部によって構成されている。従って、灯具カバー20の形成に際し、第2透過部22の内面に別途反射抑制層を付加しなくてもすむ。成形用金型に直接微細加工を施して、同成形用金型を用いた射出成形等による成形のみを行なうことで、微細な凹凸形状をなし、反射抑制機能を有する反射抑制構造部30を基材23の車内側の部分の一部に簡易に形成することができる。このように、本実施形態によると、反射抑制層を付加する作業を行なわずに、近赤外線の反射を抑制する機能を灯具カバー20に付与することができる。
さらに、図1における各光源15~17は通電されると、光を出射する。この光は、灯具カバー20の第1透過部21を透過し、車両10の外部における所定の領域を照明する。
ここで、仮に、上記反射抑制構造部30が第1透過部21にも形成されると、各光源15~17から出射された光の透過が反射抑制構造部30によって妨げられるおそれがある。これに対し、本実施形態では図3(a)に示すように、反射抑制構造部30が、第1透過部21とは異なる箇所に設定された第2透過部22に形成されている。そのため、各光源15~17からの光は、反射抑制構造部30に照射されず、反射抑制構造部30による上記弊害が生じにくい。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
<ハードコート層24について>
・ハードコート層24をフラクタル構造によって構成し、同ハードコート層24に撥水機能を持たせてもよい。
<ヒータ部25について>
・光源15~17として、通電に伴う発熱量の少ない種類、例えば、発光ダイオードが用いられると、第1透過部21の外面に付着した雪を、光源が発する熱によって溶かすことが難しい。そのため、この場合には、第1透過部21にもヒータ部25が設けられてもよい。このようにすると、第1透過部21の外面に付着した雪を、ヒータ部25の発した熱によって溶かすことができる。
・ヒータ部25としてヒータフィルムが用いられてもよい。ヒータフィルムは、一般に、一対の透明基材、発熱体、接着層等を積層することによって構成されていて、多層構造をなしている。この場合、ヒータフィルムは基材23に貼付けられる。
・上記実施形態において、第2透過部22からヒータ部25が適宜省略されてもよい。後述する各変形例についても同様である。
<反射抑制構造部30について>
・図5及び図6は、反射抑制構造部30の第1変形例を示している。第1変形例では、反射抑制構造部30が複数の角錐状の突部35によって構成されている。
図6は、車内側から見た反射抑制構造部30を拡大して示している。この図6では、親水化膜34の図示が省略されている。図5及び図6に示すように、複数の突部35は、それぞれ四角錐状をなしている。複数の突部35は、同突部35において隣り合い、かつ互いに直交する2つの底辺36,37に沿って配列されている。各突部35は、二等辺三角形の断面を有するとともに、近赤外線の送信方向に対し傾斜する反射抑制面38を備えている。各突部35の底部から頂部までの高さH2は150nm~400nmに設定されている。底辺36の長さL1は170nm~200nmに設定され、底辺37の長さL2は170nm~200nmに設定されている。
そして、第1変形例でも上記実施形態と同様に、第2透過部22における近赤外線の透過率は60%以上であり、同第2透過部22の内面での近赤外線の反射率は10%以下である。
上記以外の構成は、上記実施形態と同様である。そのため、第1変形例において上記実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第1変形例では、反射抑制面38を備える反射抑制構造部30が、いわゆるモスアイ構造による反射抑制機能を発揮する。そのため、近赤外線センサ18から近赤外線が送信されると、その近赤外線は、図5及び図6に示す第2透過部22の内面に照射される。この際、親水化膜34を介して反射抑制構造部30に照射された近赤外線は、反射されることを、反射抑制面38によって抑制される。すなわち、モスアイ構造により、突部35の頂部(頂点)から底部にかけて連続的に擬似的な屈折率が変化していくことで、第2透過部22の内面での近赤外線の反射が効果的に抑制される。
特に、各突部35の高さH2が150nm~400nmとなり、底辺36の長さL1と底辺37の長さL2とがいずれも170nm~200nmとなるように反射抑制構造部30が形成されていることにより、近赤外線の反射を抑制する効果が一層高められる。
上記反射抑制構造部30により、第2透過部22の内面での近赤外線の反射率は10%以下に抑制される。この抑制の分、反射抑制構造部30、ひいては第2透過部22を透過する近赤外線の量が多くなる。
従って、第1変形例でも、上記実施形態と同様の作用及び効果が得られる。そのほかにも第1変形例では、各突部35が角錐状をなしているため、上記実施形態よりも多くの方向に対する近赤外線の反射を抑制することができる。すなわち、入射される近赤外線の角度依存に対応することができる。
・図7~図9は、反射抑制構造部30の第2変形例を示している。なお、図7では親水化膜34の図示が省略されている。これらの図7~図9に示すように、各突条部31は、二等辺三角形の断面形状を有している。各突条部31には、同突条部31の頂部から底部に向けて円弧状に凹み、かつ同突条部31の延びる方向に深さが変化する複数の凹部39が、同突条部31の延びる方向に繋がった状態で形成されている。すなわち、隣り合う凹部39は、最も浅い箇所、表現を変えると、突条部31が最も高い箇所(底部から最も遠い箇所)で繋がっている。各突条部31は、近赤外線の送信方向に対し傾斜して近赤外線を反射する反射抑制面33を備えている。
各突条部31の底部から頂部までの高さH1は、同突条部31の延びる方向に異なっている。各突条部31の底部から頂部の最も高い箇所までの高さH1は、150nm~400nmに設定されている。また、突条部31の配列方向における同突条部31の底部の寸法A1は、150nm~400nmに設定されている。
各凹部39の半径は1mm~10mmに設定されている。ここで、突条部31の延びる方向における各凹部39の寸法をピックフィードP1とし、同凹部39の深さをスキャロップS1とする。各凹部39は、ピックフィードP1が30μm~90μmとなり、スキャロップS1が0.01μm~0.1μmとなるように形成されている。ピックフィードP1は、反射抑制構造部30を形成するための成形用金型の成形面に対し機械加工を行なう際の加工工具の移動量である。
なお、反射抑制構造部30が親水化膜34によって車内側から被覆されている点は、上記実施形態と同様である。
このように、円弧状をなす複数の凹部39が、突条部31の延びる方向に繋がった状態で形成されている第2変形例でも、上記実施形態と同様、反射抑制構造部30がモスアイ構造による反射抑制機能を発揮する。すなわち、モスアイ構造により、各突条部31の頂部から底部にかけて連続的に擬似的な屈折率が変化していくことで、灯具カバー20の内面での近赤外線の反射が効果的に抑制される。
特に、各突条部31の高さH1、底部の寸法A1、各凹部39の半径、ピックフィードP1及びスキャロップS1が上記の条件を満たすように、反射抑制構造部30が形成されることにより、近赤外線の反射を抑制する効果を一層高めることができる。
・上記灯具11が車両10の前後に設けられる場合には、上記実施形態及び上記第2変形例では、各突条部31に平行な方向を水平方向とするのが好ましい。このようにすると、垂直方向とする場合に比べ、角度依存性が低く、より広角で、広い範囲の近赤外線を検出することができる。
・上記実施形態における突条部31の断面形状が、直角三角形から第1変形例及び第2変形例と同様の二等辺三角形に変更されてもよい。
上記断面形状としては、直角三角形よりも二等辺三角形が好ましい。ここで、断面形状において、頂部を構成する二辺がなす角を挟角とすると、二等辺三角形において直角三角形におけるよりも挟角を大きくでき、生産性が向上し、また、反射抑制構造部30が損傷しにくい。
・上記実施形態及び各変形例における反射抑制構造部30は、第2透過部22のうち、ヒータ部25が設けられた箇所とは異なる箇所の全部を構成するものであってもよいし、一部を構成するものであってもよい。
・第1変形例における反射抑制構造部30は、四角錐状とは異なる角錐状、例えば三角錐状、六角錐状等をなす複数の突部35によって構成されてもよい。また、反射抑制構造部30は、角錐状とは異なる錐状、例えば円錐状をなす複数の突部35によって構成されてもよい。
<親水化膜34について>
・第2透過部22では、ヒータ部25を車内側から被覆する親水化膜34が省略されて、反射抑制構造部30のみが親水化膜34によって被覆されてもよい。
・第1透過部21にも、第2透過部22と同様の親水化膜が形成されてもよい。この場合には、第2透過部22だけでなく第1透過部21が曇るのを親水化膜によって抑制することができる。
<その他>
・上記灯具カバー20は、車両10に搭載される各種の灯具のうち、前照灯とは異なる灯具に用いられる灯具カバーにも適用可能である。該当する灯具としては、例えば、車両10の前部に設けられるポジションランプ、車両10の後部に設けられるリヤコンビネーションランプ、車両10の前部又は側部に設けられるターンシグナルランプ、歩行者や他車両の運転者に自車両の状況を知らせる各種ランプ等が挙げられる。
・図3(a),(b)において、灯具カバー20の第2透過部22のうち、近赤外線の送信方向における近赤外線センサ18の前方となる箇所であって、基材23の内面に、図示しない黒押え層が形成されてもよい。黒押え層は、ヒータ部25が設けられている箇所では、基材23とヒータ部25との間に形成される。黒押え層は、ヒータ部25が設けられていない箇所では、基材23と親水化膜34との間に形成される。
黒押え層は、可視光の透過を抑制しつつ、近赤外線を透過するための層であり、黒色の塗膜層によって構成される。この場合には、車両10の外方から灯具カバー20を介して近赤外線センサ18が透けて見えるのを黒押え層によって抑制することができる。
<適用範囲について>
・上記灯具カバーは、自家用車以外の車両、例えば、各種産業車両に搭載される灯具に用いられる灯具カバーにも適用可能である。
・上記灯具カバーは、車両に限らず、航空機、船舶等の他の乗物に搭載される灯具に用いられる灯具カバーにも適用可能である。
10…車両(乗物)
11…灯具
15,16,17…光源
18…近赤外線センサ
20…灯具カバー
23…基材
25…ヒータ部
26…発熱体
30…反射抑制構造部
33,38…反射抑制面
34…親水化膜

Claims (3)

  1. 乗物に搭載され、かつ光源及び近赤外線センサが内蔵された灯具に用いられ、前記光源及び前記近赤外線センサを前記乗物の外側から覆う灯具カバーであって、
    前記光源からの光の透過性と、前記近赤外線センサからの近赤外線の透過性とを有する樹脂材料により形成された基材を備え、
    前記基材において、前記乗物の内側の面である内面のうち、前記近赤外線が透過する領域には、凹凸形状をなす反射抑制構造部が形成され、前記凹凸形状は、前記近赤外線センサから送信される前記近赤外線の送信方向に対し傾斜して同近赤外線の反射を抑制する反射抑制面を備え、
    前記基材の前記内面のうち、前記近赤外線が透過する領域であって、前記反射抑制構造部が形成された箇所とは異なる箇所には、通電により発熱する線状の発熱体により構成されるヒータ部が設けられている灯具カバー。
  2. 前記反射抑制構造部は、前記基材の前記内面であって、前記光源からの前記光が透過する領域とは異なる領域に形成されている請求項1に記載の灯具カバー。
  3. 前記反射抑制構造部は、親水化膜により前記乗物の内側から被覆されている請求項1又は2に記載の灯具カバー。
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