JP6811367B2 - 排気ガス浄化装置 - Google Patents
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Description
ところで,排気ガス浄化装置において,エンジンから排出される排気ガスの温度を上げるには,シースヒータ等を触媒入口に設置すれば良いが,大きな電力が必要になる。排気ガス浄化装置において,予熱により電力を小さくしようとしても,フィルタの熱容量が小さいので,十分な熱量を蓄熱することは困難である。排気ガス浄化装置において,ヒータの周囲に熱容量の大きい蓄熱体を置くことは可能であるが,蓄えた熱量を排気ガスに伝達するには大きな伝熱面積の確保が必要になる。排気ガス浄化装置において,煤を含んだ排気ガスに触れると,伝熱面が煤で覆われ,熱伝達が徐々に低下することが知られている。以上の理由から,現状では起動時の白煙臭気を除去する浄化装置は実用化されていないのが現状である。例えば,上記特許文献3に開示された排気ガス浄化装置の制御装置は,黒煙を捕集できるが白煙,臭気の除去はできないものである。
前記フィルタの後流の前記排気ガス通路に配設された白煙臭気浄化用の酸化触媒,前記フィルタに空気を送り込むエアコンプレッサ,及び前記フィルタに設けたヒータのON・OFF制御と前記排気開閉弁の開閉制御を行う制御装置を有し,前記フィルタは,多数の通孔を備えた熱容量の大きい金属板から成る内側の円筒体,前記内側の円筒体の外周面に巻き付けられた内側の絶縁耐熱通気性部材,前記絶縁耐熱通気性部材に巻き付けられた前記ヒータ,前記ヒータの外側に巻き付けられた外側絶縁耐熱フェルト,及び前記外側絶縁耐熱フェルトの外側を覆うように巻き付けられたフェルト飛散防止用の金網又は多数の通孔を備えた金属板から成る外側の円筒体から構成されており,前記エンジンのエンジン始動に先立って,前記ヒータに通電して前記フィルタを300℃〜800℃に予熱し,前記エンジン始動時に,前記開閉弁を作動させて前記排気ガスを前記フィルタに流入させて前記排気ガス中の黒煙を捕集し,前記排気ガス通路の温度を前記酸化触媒の反応温度以上に上昇させ,前記排気ガスを前記酸化触媒を通過させることにより白煙,臭気を除去することを特徴とする排気ガス浄化装置に関する。
この発明による排気ガス浄化装置は,比較的に小型のディーゼルエンジンに適用した実施例を説明するが,ガスタービンエンジンに適用することもできるものである。
図1〜図3に示すように,エンジン1から排出される排気ガスは,サイレンサ2,排気ガス通路3又はバイパス通路27を通って大気に排出されるように構成されている。この排気ガス浄化装置は,排気ガス通路3及びバイパス通路27には,排気ガスを外気に排出するため排気開閉弁4が設置され,白煙臭気除去装置10へ排気ガスを送り込むため排気開閉弁5が配設されている。排気開閉弁4,5は,制御装置31の指令によってエアシリンダ6,7が作動して開閉作動されるように構成されている。この排気ガス浄化装置は,特に,エンジン1の始動時に,排気ガスを白煙臭気除去装置10を通過させ,始動時の白煙と臭気を除去することに特徴を有している。フィルタ9を構成するパンチングメタルは,多数の通孔26が形成された耐熱鋼板の金属板から成る円筒体11に形成されている。フィルタ9は,主として,円筒体11,円筒体11の外周に配設された絶縁耐熱通気性部材としての内側絶縁耐熱フェルト13と外側絶縁耐熱フェルト15,及び両フェルト13,15間に配設された耐熱金網製のヒータ14から構成されている。この排気ガス浄化装置では,絶縁耐熱通気性部材として,厚さ3mmから60mmのアルミナ繊維,炭化ケイ素繊維等の耐熱材から成るフェルト13,15が使用されているが,内側フェルト13に換えてアルミナ繊維を使用した通気性のテープを用いることもできる。ヒータ14は,金網又は金属線部材から構成されている。ヒータ14には,制御装置31の指令によって,フィルタ9にに近接して設けられた電極端子21を通じて通電される。フィルタ9の後流には,円筒体11に挿通された出口側の排気ガス通路17内に位置する酸化触媒22が配設されている。この排気ガス浄化装置は,概して,フィルタ9と酸化触媒22を断熱材20を組み込んだ筒状のケース19内に収容している。フィルタ9は,ケース19に支持機構18で支持してケース19内に排気ガスが通る通路を空けて配設されている。また,図示していないが,フェルト13,15の端部のシール性確保のため,フェルト13,15の両端を耐熱金属バンドで締め付ける構造を採用することもできるものである。
この排気ガス浄化装置では,フェルト13,15の温度分布を均一にするために円筒体のケース19は,縦置きが望ましいものである。この排気ガス浄化装置では,ヒータ14への通電電力,通電時間は,エンジン1の運転時間,排気ガス温度等により,最適な値に設定されている。この排気ガス浄化装置を作動するのに,必要電力が大きい場合は,ヒータ14の過熱を防止するため,円筒体11及びケース19の内側円筒体23の熱容量を大きく取り,ヒータ14の過熱を防止することができる。ディーゼルエンジンの無負荷運転時の排気ガス温度は80℃前後であるが,エンジン始動直後は排気ガス通路3を構成する排気管12等が低温であるために,排気ガス浄化装置への排気ガスの流入時のガス温度は,図6に示すように,数秒間常温が続き,フェルト13に蓄熱した熱量を持ち去る。図7には,排気ガス流量12kg/minで20℃の排気ガスを3秒間以上加熱するのに,必要なフェルト13の熱容量を示す。
排ガス流量1kg/minあたり排気ガス通路3を構成する排気管12が短い場合には,以下に示すように,0.005kCal/℃以上の熱容量が必要となる。
必要な熱量:12×180×0.24×3÷60=25.92kCal
フェルトを600℃まで加熱し,200℃まで温度が下がると考えると,熱容量は
必要な熱容量:25.92÷(600−200)=0.06kCal/℃
図8には,エンジン始動後の白煙の濃さを透過式スモークメータで計測した遮光率で表示されている。エンジンにより差が有るが,白煙が少ない場合では,約3分間後には,気にならないレベルの遮光率10%以下になる。この間の熱量は金属製円筒体11に蓄えた熱量を排気ガスに伝えることにより酸化触媒の活性に必要な排気温度を確保する。
図9に示されるように,12kg/minのガス流量で3分間で100℃に排気ガスを加熱するには以下に示すように,2.16kCal/minの熱容量が必要となる。
流量1kg/minあたりで,必要な熱容量は0.18kCal/℃以上となる。
必要な熱量:12×100×0.24×3=864kCal
金属円筒を600℃まで加熱し,200℃まで温度が下がると考えると,熱容量は,
必要な熱容量:864÷(600−200)=2.16kCal/℃
まず,図4に示すように,起動ボタン43を押してONすることにより,制御装置31が作動を開始する(ステップS1)。エンジン排気ガス閉止用ソレノイド35に通電し,制御装置31の指令で排気開閉弁閉止用ソレノイド35を付勢してエンジン排気ガス閉止用エアシリンダ6を作動させ,エンジン排気ガス閉止弁4を閉止する(ステップS2)。同時に,開閉弁開放用ソレノイド34を付勢して,除去装置流入弁開放用除去装置開閉シリンダ7を作動させ,除去装置開閉弁5を開放する(ステップS3)。次いで,ヒータ通電用リレー37を昇温モードで通電し,ヒータ14に通電して予熱表示灯44を点灯してフィルタの加熱を開始する(ステップS4)。ヒータ14の加熱時間を計測し(ステップS5),加熱時間が設定予熱時間を超えると(ステップS6),予熱表示灯44を消灯すると共に,起動準備完了ランプ45を点灯して(ステップS7),ヒータ14を所定の温度に保つ定温モードで通電する(ステップS8)。フィルタの入口開口30に近接して設置された圧力取り出し管42の圧力を圧力センサ39で測定し,入口開口30の圧力が設定値を超えた時に(ステップS9),エンジン1が起動したと判定し(ステップS10),起動準備完了灯45を消灯し,除去運転表示灯46を点灯する。
2 サイレンサー
3 排気ガス通路
4,5 排気開閉弁
9 フィルタ
10 白煙臭気除去装置
11 円筒体
12 排気管
13 内側耐熱フェルト
14 ヒータ
15 外側絶縁耐熱フェルト
16 飛散防止用金網
17 出口側排気ガス通路
19 ケース
22 酸化触媒
24 入口側遮断プレート
25 出口側遮断プレート
26 通孔
27 バイパス通路
28 出口開口
29 入口側プレート
30 入口開口
31 制御装置
37 ヒータ通電電流通電用リレー
38 ヒータ電流用変圧器
41 温度検知用センサ
44 予熱表示灯
45 起動準備完了表示灯
46 除去運転表示灯
47 再生運転表示灯
Claims (8)
- エンジンからの排気ガスを排出する排気ガス通路に配設されたフィルタ,及び前記排気ガス通路に設けられた排気開閉弁の作動によって前記フィルタをバイパスして前記排気ガスを排出するバイパス通路を備えていることから成る排気ガス浄化装置において,
前記フィルタの後流の前記排気ガス通路に配設された白煙臭気浄化用の酸化触媒,前記フィルタに空気を送り込むエアコンプレッサ,及び前記フィルタに設けたヒータのON・OFF制御と前記排気開閉弁の開閉制御を行う制御装置を有し,
前記フィルタは,熱容量の大きい多数の通孔を備えた金属板から成る内側の円筒体,前記内側の円筒体の外周面に巻き付けられた内側の絶縁耐熱通気性部材,前記絶縁耐熱通気性部材に巻き付けられた前記ヒータ,前記ヒータの外側に巻き付けられた外側絶縁耐熱フェルト,及び前記外側絶縁耐熱フェルトの外側を覆うように巻き付けられたフェルト飛散防止用の金網又は多数の通孔を備えた金属板から成る外側の円筒体から構成され,
前記エンジンのエンジン始動に先立って,前記ヒータに通電して前記フィルタを300℃〜800℃に予熱し,前記エンジン始動時に,前記開閉弁を作動させて前記排気ガスを前記フィルタに流入させて前記排気ガス中の黒煙を捕集し,前記排気ガス通路の温度を前記酸化触媒の反応温度以上に上昇させ,前記排気ガスを前記酸化触媒を通過させることにより白煙,臭気を除去することを特徴とする排気ガス浄化装置。 - 前記エンジンは定置型ディーゼルエンジン又はガスタービンエンジンであり,前記円筒体はパンチングメタルであり,前記絶縁耐熱通気性部材は絶縁耐熱フェルト又はアルミナ繊維を使用した通気性テープであり,前記ヒータは金網又は金属線部材であることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
- 前記排気ガスの浄化終了後に,前記排気開閉弁を切り換えて前記排気ガスを前記バイパス通路に流して前記エアコンプレッサを作動させて前記フィルタを600℃以上に加熱し,前記フィルタに付着した煤やパティキュレートを焼却することを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化装置。
- 前記ヒータは前記絶縁耐熱通気性部材と前記外側絶縁耐熱フェルトによって挟み込まれており,前記ヒータは前記絶縁耐熱通気性部材と前記外側絶縁耐熱フェルトによって電気絶縁されると共に外部への放熱が低減されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置。
- 前記フィルタは両端部を閉鎖する遮断プレートがそれぞれ取り付けられ且つ中空状のケース内に配設されており,前記排気ガス通路は前記ケースの一端面に取り付けられた入口側プレートの中央に形成された入口開口に連通されており,前記ケースの他端面に取り付けられた前記遮断プレートを兼用する出口側プレートの中央に形成された出口開口に密接嵌合された出口側排気ガス通路は入口側の前記遮断プレートの近傍まで延びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置。
- 前記白煙臭気浄化用の酸化触媒は,前記フィルタ内に位置して前記出口側排気ガス通路内に配設されていることを特徴とする請求項5に記載の排気ガス浄化装置。
- 前記フィルタの前記入口開口から送り込まれた前記排気ガスは,前記フィルタの外周から内周へと前記フィルタを通過し,前記フィルタの前記内側の円筒体内に位置する前記出口側排気ガス通路の入口側端部から前記出口側排気ガス通路内の前記白煙臭気浄化用の酸化触媒を通って前記排気ガス通路へ排出されることを特徴とする請求項5又は6に記載の排気ガス浄化装置。
- 前記フィルタには,前記制御装置で制御されるヒータ電流用変圧器とヒータ通電用リレー,前記フィルタの上流側の前記排気ガス通路の温度を検知するセンサー,圧力を検知するセンサー,並びに前記フィルタの予熱状態,前記エンジン始動状態,前記フィルタの粒子状物質捕集運転,及び前記フィルタの再生運転を表示する表示灯が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置。
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