JP6810322B2 - 碾茶乾燥炉 - Google Patents

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本発明は抹茶の原料となる碾茶を製造する装置に関するものである。
碾茶とは、覆い下で栽培された茶生葉を蒸した後、揉まずに乾燥したものであり、抹茶の原料となる。形状は葉が展開して透き通るように薄く、色沢は鮮緑色、香味は独特の炉の香りがある。
従来の碾茶の製造は、蒸熱71→散茶冷却72→乾燥73→葉と茎の分離→仕上げ乾燥となっている。乾燥は炉でおこなうことも特徴であり、独特の香りはこの乾燥炉によってつけられる。乾燥をおこなう乾燥炉は、長さ約10〜15メートル、幅約2メートル、高さ約2〜4メートルの大型である(図6参照)。更に、燃焼部74を地下に備えているため、長さ約10〜15メートル、幅約2メートル、深さ約1メートル程度のピット75(くぼみ)を設けている。
上記の乾燥炉は、200度を超える高温となるため、耐熱性と保温性のあるレンガによって側壁を構成している。そのため、乾燥炉の製造は、乾燥炉を設置する製茶工場(現場)に部品(レンガを含む)を運搬して、製茶工場で部品の組立てや側壁のレンガの積み上げをしている。
上記の乾燥炉は、地下に燃焼部を備えており、燃焼部の燃焼空気を煙道にて乾燥炉内を通過させる。煙道は、地下の燃焼部から徐々に上へ向かうように配置されており、茶葉を最下段に投入し、最下段で乾燥した茶葉を最上段へ吹き上げて、更に乾燥している。
本出願人は、特許文献1のような碾茶用乾燥装置を考案していた。この碾茶用乾燥装置は、送風による乾燥であった。
実開平4−80382号公報
従来の乾燥炉は、燃焼部が最下段で地下のためピットが必要となるが、ピットを掘ることは大掛かりな作業であった。また、側壁がレンガであるため、レンガを積み上げるという製茶工場での作業が多かった。そして、装置が大型のために更に施工時間が長くかかるとともに、特別な技術を要する作業者(職人)が必要であった。
特許文献1は、送風による乾燥であり、仕上げ乾燥には良好であるが、従来の乾燥炉とは茶葉の乾燥具合い、茶製品の色や香りが異なるという問題があった。
本発明では、碾茶の乾燥に適した碾茶乾燥炉を提供することを課題としており、製茶工場で長時間かけてレンガを積み上げて組立作業をすることなく、完成品を据え付けることができ、独特の炉の香りがある碾茶を製造する装置を提供することを課題としている。
本発明の第1手段は、
燃焼空気を生成する燃焼部と、
該燃焼部で生成した燃焼空気を導入する煙道と、
通気性の無端輸送体と、
これらを囲う乾燥室とから構成し、
煙道の輻射熱により茶葉を乾燥することを特徴とする碾茶乾燥炉。
本発明の第2手段は、前記第1手段において、
並行する無端輸送体を複数段設け、茶葉を複数段に分割して乾燥する。
本発明の第3手段は、前記第1または2手段において、
散茶給葉部を設ける。
本発明の第4手段は、前記第1、2または3手段において、
乾燥室を複数設け、茶葉は上から下へ落下移動する。
本発明の第5手段は、前記第1、2、3または4手段において、
前記煙道に調節ダンパを設ける。
従来は製茶工場で組み立て作業をしており、製茶工場での作業時間がかかっていたが、本発明の碾茶乾燥炉により、移動可能となり、現地では据え付け、調整作業のみで済み、作業時間が短縮される。床面より上方に配置することで、ピット工事が不要となり、メンテナンス、操作性がよい。本発明により、乾燥処理能力に必要な装置の省スペース化を図ることができる。また、熱を有効に利用することができ、効率よく乾燥できる。製造された茶製品には、しっかりと良い炉の香りがつく。
図1は本発明の碾茶乾燥炉の一例を示した斜視図である。 図2は本発明の碾茶乾燥炉の一例を示した正面一部断面図である。 図3は本発明の碾茶乾燥炉の茶葉の流れの一例を示した説明図である。 図4は本発明の碾茶乾燥炉の茶葉の流れの一部を示した説明図である。 図5は本発明の碾茶乾燥炉の燃焼空気の流れの一例を示した説明図である。 図6は本発明の碾茶乾燥炉の一例を示した側面一部断面図である。 図7は従来の碾茶の製造を示した説明図である。
碾茶乾燥炉は下部の輻射熱乾燥部1と、上部の熱風乾燥部3とに分かれている。輻射熱乾燥部1は、更に第1乾燥室11と第2乾燥室21とに分かれており、第1乾燥室11は上段、第2乾燥室21は下段となっており、各乾燥室の温度を調整するため、仕切板2により分けられている。乾燥室の数はこの限りではなく、増加する場合には、下段に増加するとよい。
第1乾燥室11への茶葉の供給のため、散茶給葉部4を設ける。散茶給葉部4は、茶葉Tを受け入れるホッパー42と、ホッパー42内の茶葉を風送するための送風ファン41と、茶葉の散茶室43を備えている。散茶室43は、送風ファン41からの送風が抜けるように、通気性の良い側壁(本実施例では金網44)となっている。
第1乾燥室11には通気性を有する無端輸送体を上下に2段設けてあり、茶葉は散茶給葉部4によりこれら2段の無端輸送体に分けられて搬送される(本実施例では2段であるが、1段でも3段以上でもよい)。本実施例では、無端輸送体としてネットコンベヤ12、13を用いる。2段に分けて茶葉を搬送すると、ネットコンベヤ12、13の全長は、通常の半分でよく、本実施例では約6m、第1乾燥室の全長は約5m、幅は約2mとなる。ネットコンベヤ12、13の終端下部には、ネットコンベヤ12、13に接するように回転ブラシ12A、13Aが設けられている。第1乾燥室11には、バーナーを備えた燃焼部16を設け、煙道14、15内を燃焼空気で満たす。燃焼部16に用いるバーナーは重油バーナーよりガスバーナーの方が燃焼調整や排気調整が容易であり、本実施例では幅方向に並列2基設けているが、ガスバーナーの数はこの限りではない。煙道14は、燃焼部16から水平に4〜6本設け、第1乾燥部室11の空気を輻射熱により十分加熱するため、上下に2本の煙道14、15を設ける。第1乾燥室11が均等に十分加熱されれば、煙道14、15の本数はこの限りではない。燃焼部16による直接の燃焼空気は煙道14を通り、煙道14の終端の燃焼空気は機外に配設した煙道51を通って、煙道15に導かれる。煙道14の終端の燃焼空気の一部は、機外に配設した煙道52を通って、第2乾燥室21の煙道24へ導かれる。第1乾燥室11内の温度を監視するため、温度計18を設ける。第1乾燥室11のネットコンベヤ12、13の終端の茶葉は、第2乾燥室21のネットコンベヤ22上へ自然落下する。
第2乾燥室21は、通気性を有する無端輸送体を1段、煙道24を水平方向に6本設けてあり、ここでも、本実施例では無端輸送体としてネットコンベヤ22を用いる。ネットコンベヤ22は、第1乾燥室11のネットコンベヤ12、13に対し、逆行する。ネットコンベヤ22の終端下部に接するように回転ブラシ22Aを設ける。第2乾燥室21内の煙道24は機外に配設された煙道52により第1乾燥室11の煙道14と接続されており、第1乾燥室11の煙道14を通った燃焼空気を第2乾燥室22の煙道24へ導く。機外に配設された煙道52、53には、燃焼空気の導入量を調節するため、調節ダンパ54を適宜、配置する。本実施例では、煙道52、53に設けたが、この限りではなく、煙道51に設けてもよい。燃焼空気の導入量を調節することにより、第2乾燥室22の温度が調整される。第2乾燥室21内の温度を監視するため、温度計23を設ける。第2乾燥室21のネットコンベヤ22の終端には、取出用のトラフコンベヤ25を設け、トラフコンベヤ25の終端にホッパー26を設け、ホッパー26内の茶葉を熱風乾燥炉3の上部のシュート29へ送るための送風ファン27および風送管28を設ける。この部分の搬送は、他の搬送装置でもよい。
燃焼部16で生成する燃焼空気を各ネットコンベヤ12、13、22の上方や下方に配置した煙道14、15、24内を通過させる。これにより、機内の温度を保つことに効果があり、煙道14、15、24から発する熱をネットコンベヤ12、13、22上の茶葉に放射させることができる。
煙道14、15、24の表面または第1乾燥室11、第2乾燥室21の側壁の内側へ、遠赤外線を放射することができる塗料を塗布する。すると、塗料により、遠赤外線の効果による無理のない効率の良い乾燥がおこなわれ、茶葉は色落ちや風味を落とすことなく乾燥できる。
第1乾燥室11のネットコンベヤ12、13から第2乾燥室21のネットコンベヤ22へ茶葉が自然落下する部分は仕切板2がなく、第1乾燥室11と第2乾燥室21はつながっており、風洞17を形成し、茶葉から蒸散する湿気を帯びた空気は上昇し、上部の排気ファン38により排出される。(図5において、破線矢印で茶葉から蒸散する湿気を帯びた空気の動きを示す)
熱風乾燥部3は、シュート29から出た茶葉を薄く広げるためのかきならし具35を備え、熱風乾燥室31内に通気性を有する無端輸送体32A、32B、33A、33Bを4段設けている。無端輸送体の段数はこの限りではない。第1乾燥室11または第2乾燥室21を通過した燃焼空気を機外の煙道53より熱風乾燥部3との間の排煙調整室36へ導き、排煙調整室36内の燃焼空気を供給ファン37により下方から熱風乾燥室31へ導入している。この排煙調整室36は、第1乾燥室11と熱風乾燥室31の間で、第1乾燥室11の上面かつ熱風乾燥室31の下面にあり、第1乾燥室11全域にわたっているとよい。これにより、第1乾燥室11は上面からあたためられ、熱風乾燥室31は下面からあたためられる。熱風乾燥室31に導入する熱風温度を調整するため、排熱調整室36に外気導入口(図示しない)を設け、必要に応じて外気を導入してもよい。一度、燃焼空気を排熱調整室36に導入することで、安定した熱風を熱風乾燥室31に導入することができる。熱風乾燥室31の上方には、乾燥に使用した熱風を排気するための排気ファン38を設ける。供給ファン37と排気ファン38は、それぞれインバータ(図示しない)にて出力調整する。これにより機内の温度を調節することができる。無端輸送体33Bの終端には、茶葉を取り出すためのスクリューコンベヤ29を設ける。
それぞれの無端輸送体12、13、22、32A、32B、33A、33Bには、インバータ(図示しない)を設け、それぞれのスピード、処理時間を得られるようにして、調整する。
次に、この碾茶乾燥炉を起動し、茶葉を投入した動きを説明する。蒸熱し、冷却した茶葉Tを散茶給葉部4のホッパー42へ搬送する。ホッパー42に入った茶葉Tは、送風ファン41の送風により、散茶室43へ飛ばされ、落下するときに、上段のネットコンベヤ12または下段のネットコンベヤ13へのる。ネットコンベヤ12、13上では、煙道14、15からの輻射熱や対流した熱、塗料から放射される遠赤外線などにより乾燥される。このとき、第1乾燥室11の温度は、約120〜200度である。第1乾燥室11のネットコンベヤ12、13上で乾燥された茶葉は、第2乾燥室21のネットコンベヤ22上へ自然落下する。落下時に、茶葉の上下、隣の茶葉との位置、ネットコンベヤへの接触などが変化する。
第2乾燥室21のネットコンベヤ22上でも、第1乾燥室11と同様に、煙道24からの輻射熱や塗料から放射される遠赤外線などにより乾燥される。このとき、第2乾燥室21の温度は、約80〜130度である。この温度を上げたいときは、調整ダンパ54を開き、この温度を下げたいときは、調整ダンパ54を閉じる。ネットコンベヤ22上で乾燥された茶葉は、トラフコンベヤ25上へ取り出され、ホッパー26へ回収される。ホッパー26内の茶葉へ送風ファン27により送風し、風送管28内を通過して、シュート29により給葉部34へ茶葉を投入する。
給葉部34内の茶葉をかきならし具35により薄く平らにして、無端輸送体32A上へのせる。供給ファン37により排煙調整室36内の熱風を熱風乾燥室31内へ取り込み、熱風により乾燥する。このときの熱風乾燥室31の温度は約80〜90度であり、この温度は、供給ファン37の回転数により変更することができる。茶葉から蒸散する湿気を帯びた空気は上昇し、上部の排気ファン38により排気される。熱風乾燥室31内で乾燥した茶葉をスクリューコンベヤ39へ排出し、スクリューコンベヤ39により、次の機械(または搬送装置)へ搬送する。
以上のような流れで、ネットコンベヤ12、13上を約1分から約2分30秒、ネットコンベヤ22上を約2分30秒から約5分、無端輸送体32A、32B、33A、33Bは約10分から約40分程度で茶葉を良好に乾燥することができる。
本実施例では、第1乾燥室11を2本のネットコンベヤ12、13にしたため、茶葉の量をネットコンベヤが1本の場合と比べて、それぞれのネットコンベヤ12、13の上にのる茶葉を約半分にすることができる。そのため、ネットコンベヤ12、13の移送速度を約2倍に遅くすることができ、ネットコンベヤ12、13上で茶葉を乾燥する時間は、ネットコンベヤが1本の場合とほぼ同じとなる。第1乾燥室11のネットコンベヤを3本以上にしても同様である。
T 茶葉
1 輻射熱乾燥部
2 仕切板
3 熱風乾燥部
4 散茶給葉部
11 第1乾燥室
12 ネットコンベヤ
12A 回転ブラシ
13 ネットコンベヤ
13A 回転ブラシ
14 煙道
15 煙道
16 燃焼部
17 風洞
18 温度計
21 第2乾燥室
22 ネットコンベヤ
22A 回転ブラシ
23 温度計
24 煙道
25 トラフコンベヤ
26 ホッパー
27 送風ファン
28 風送管
29 シュート
31 熱風乾燥室
32A 無端輸送体
32B 無端輸送体
33A 無端輸送体
33B 無端輸送体
34 給葉部
35 かきならし具
36 排煙調整室
37 供給ファン
38 排気ファン
39 スクリューコンベヤ
40 温度計
41 送風ファン
42 ホッパー
43 散茶室
44 金網
51 煙道
52 煙道
53 煙道
54 調節ダンパ
71 蒸熱
72 散茶冷却
73 乾燥
74 燃焼部
75 ピット
76 吹上

Claims (5)

  1. 燃焼空気を生成する燃焼部と、
    該燃焼部で生成した燃焼空気を導入する煙道と、
    通気性の無端輸送体と、
    これらを囲う乾燥室とから構成し、
    煙道の輻射熱により茶葉を乾燥することを特徴とする碾茶乾燥炉。
  2. 並行する無端輸送体を複数段設け、茶葉を複数段に分割して乾燥することを特徴とする請求項1記載の碾茶乾燥炉。
  3. 散茶給葉部を設けることを特徴とする請求項1または2記載の碾茶乾燥炉。
  4. 乾燥室を複数設け、茶葉は上から下へ落下移動することを特徴する請求項1、2または3記載の碾茶乾燥炉。
  5. 前記煙道に調節ダンパを設けることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の碾茶乾燥炉。
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