JP6808942B2 - インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物 - Google Patents

インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物 Download PDF

Info

Publication number
JP6808942B2
JP6808942B2 JP2016026140A JP2016026140A JP6808942B2 JP 6808942 B2 JP6808942 B2 JP 6808942B2 JP 2016026140 A JP2016026140 A JP 2016026140A JP 2016026140 A JP2016026140 A JP 2016026140A JP 6808942 B2 JP6808942 B2 JP 6808942B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
resin
mass
pigment
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016026140A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016183326A (ja
Inventor
由紀子 ▲高▼村
由紀子 ▲高▼村
前川 勉
勉 前川
佑樹 横濱
佑樹 横濱
昭子 坂内
昭子 坂内
翔介 青合
翔介 青合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Publication of JP2016183326A publication Critical patent/JP2016183326A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6808942B2 publication Critical patent/JP6808942B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/32Inkjet printing inks characterised by colouring agents
    • C09D11/322Pigment inks
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • B41J2/17503Ink cartridges
    • B41J2/1752Mounting within the printer
    • B41J2/17523Ink connection
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/17Ink jet characterised by ink handling
    • B41J2/175Ink supply systems ; Circuit parts therefor
    • B41J2/17503Ink cartridges
    • B41J2/17553Outer structure
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/02Printing inks
    • C09D11/10Printing inks based on artificial resins
    • C09D11/102Printing inks based on artificial resins containing macromolecular compounds obtained by reactions other than those only involving unsaturated carbon-to-carbon bonds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/32Inkjet printing inks characterised by colouring agents
    • C09D11/324Inkjet printing inks characterised by colouring agents containing carbon black
    • C09D11/326Inkjet printing inks characterised by colouring agents containing carbon black characterised by the pigment dispersant

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Description

本発明は、インク、並びにインクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物に関する。
インクの小滴をインクジェットやスプレーで媒体に吹き付けて媒体表面にインク画像を形成したり、インク塗装を施したりすることは従来から行われている。
特に、インクジェット記録方式は、種々の機構によりインクの小滴を吐出し、記録用紙上に付着させることによりドットを形成し記録を行なうものできわめて簡便な記録方法である。また、インクジェット記録方式は本体が小型で価格が安く、記録時の騒音が少なく、カラー化、高密度化、高速化が進み、近年急速に普及している。
インクジェット記録に使用されるインクは水を主成分とし、これに着色剤及び目詰まり防止等の目的でグリセリン等の湿潤剤を含有したものが一般的である。着色剤としては、優れた発色性や安定性から主に染料が用いられているが、染料系インクを用いて得られる画像の耐光性、耐水性等は劣るものである。耐水性については、インク吸収層を有するインクジェット専用記録紙の改善によってある程度向上しているが、普通紙については満足できるものではない。
これらの欠点を補うため、近年では着色剤として顔料を用いたインクが使用され始めている。しかしながら、顔料を用いると染料の欠点である画像の耐光性、耐水性等は大きく改善されるものの、顔料内部で光の多重反射などによる異なった波長・位相の光が干渉し 合うことにより、光沢度の低下などの問題が発生していた。
また、顔料を着色剤とするインクにより得られた画像は、着色成分が記録媒体表面近くに残りやすい。このため、着色剤の記録媒体表面への定着が十分でないと、画像を指や紙で擦った際の耐擦過性が悪く、顔料が紙から剥がれ落ちて汚れてしまう。特にコート紙のような普通紙に比べてインクを吸収しにくい紙の場合は紙表面にインク中の顔料が留まりやすく耐擦過性の悪化が顕著であった。
この耐擦過性を改善する目的として、特許文献1では前処理液を塗布した記録媒体にインク画像を形成してインクを記録媒体へ強固に定着させ、さらにその上から後処理液を吐出することで画像の表面摩擦を低減させる提案がなされている。この提案では確かに画像の耐擦過性は改善傾向にあるものの、インクに添加されている樹脂の種類や顔料の種類によっては記録媒体との強固な接着性が得られない場合がある。また光沢性については記録媒体表面に留まった顔料の凹凸の影響を受けてしまうため、改善はされていない。
画像の光沢性や耐擦過性の両方を補うのに効果的な方法として従来よりインク組成物に樹脂エマルジョンを添加する提案がなされている。しかし光沢性は染料に及ぶものではなく、また耐擦過性も十分ではなかった。
特許文献2では、インク組成物中に最低造膜温度が20℃以下という低い温度の樹脂エマルジョンを添加して、画像表面を加熱乾燥することなく室温で自動的に膜化させ記録媒体に強固に定着させる提案がなされている。しかし該特許では光沢性は改善されるものの、顔料と樹脂の親和性が低く、耐擦過性は不十分である。また造膜温度が低いため、ノズルにキャップをしないまま長時間放置しているとノズルのメニスカス部において造膜してしまいメンテナンス性が劣るという欠点がある。
特許文献3ではインク組成物中にアクリル系樹脂をコアとし、ポリカーボネート系ウレタン樹脂のシェルで被覆した構造を持つ樹脂微粒子を添加して、耐擦過性を向上させる提案がなされている。しかしコアシェル型樹脂微粒子であるため内包されたアクリル系樹脂の高い造膜性が効率的に発揮できず、十分な耐擦過性は得られていない。
特許文献4では樹脂を添加した際に問題となる吐出安定性と耐擦過性を両立させるため、インク組成物中に平均粒径0.5μm以下の樹脂微粒子を添加し、さらに樹脂微粒子の貯蔵弾性率を1×10−1Pa以下にする提案がなされている。この技術では確かに樹脂微粒子を添加した際の吐出安定性を向上させることができる。しかし、該特許はラインマーカーを用いたときの耐擦過性については述べられているものの、画像を指や紙で擦った際の耐擦過性については言及されていない。
このように、顔料を着色剤とするインクにおいて、耐擦過性、光沢性、画像濃度が良好で、樹脂微粒子を含有した際に問題になりやすい経時安定性、吐出安定性、メンテナンス性を解消したインク及びその関連技術は未だ得られておらず、開発が望まれているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、顔料を着色剤とするインクにおいて、耐擦過性、光沢性、画像濃度が良好で、さらに経時安定性、吐出安定性、メンテナンス性に優れたインクを提供することを目的とする。
本発明は下記(1)のインクに係るものである。
(1)少なくとも、水、水溶性有機溶剤、樹脂(A)で表面を被覆された樹脂被覆顔料、及び樹脂(B)を含む樹脂エマルジョンを含有するインクであって、
前記インクにおける前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有率が2質量%以上11質量%以下であり、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)は組成が同一の樹脂であり、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有量に対する前記樹脂(B)の含有量の割合が30質量%以上55質量%以下であり、
前記樹脂(B)を含むエマルジョンの体積平均粒径が8〜19nmであることを特徴とするインク。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、顔料を着色剤とするインクにおいて、耐擦過性、光沢性、画像濃度が良好で、さらに経時安定性、吐出安定性、メンテナンス性に優れたインクを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の全体図である。 本発明の一実施形態に係る前処理液塗布装置の拡大図である。 本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッドを示す図である。 本発明の一実施形態に係る液滴吐出ヘッド拡大図である。 液滴吐出ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図である。 液滴吐出ヘッドの液室短手方向の断面説明図である。 本発明の一実施形態に係るインクカートリッジの一例の外観斜視説明図である。 インクカートリッジのインク供給口部分のキャップ部材装着前の斜視説明図である。 同インク供給口部分の分解斜視説明図である。 キャップ部材の詳細な説明に供する同キャップ部材の初期状態の斜視説明図である。 同じく分離状態の斜視説明図である。
(インク)
本発明のインクは、水、水溶性有機溶剤、及び着色剤を少なくとも含有し、必要に応じて界面活性剤、浸透剤、その他の成分を含有してなる。
本発明のインクの用途は特に限定されず、インクジェット記録用、スプレー塗工用などの用途で使用できる。特に、インクジェット記録用インクとして使用することが好ましい。
以下では、本発明のインクをインクジェット記録用インクとして用いる場合を例にとって説明する。
<樹脂>
本発明のインクは少なくとも、水、水溶性有機溶剤、樹脂(A)で表面を被覆された樹脂被覆顔料、及び樹脂(B)を含む樹脂エマルジョンを含有するインクであって、前記インクにおける前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有率が2質量%以上11質量%以下であり、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)は組成が同一の樹脂であり、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有量に対する前記樹脂(B)の含有量の割合が30質量%以上55質量%以下であり、前記樹脂(B)を含むエマルジョンの体積平均粒径が8〜19nmであることを特徴とする。
上記樹脂被覆顔料とは、顔料が樹脂に覆われてコアシェル構造になっているもののことを意味する。ただし、樹脂が顔料を完全に覆っているものでなくても良く、コア部の顔料が一部露出しているものであってもよい。顔料を樹脂によってインク中に分散させる手段としては、高分子分散剤を用いた方法もあるが、これは顔料と樹脂との相互作用が弱く、経時での分散安定性に劣るという欠点があるため、顔料の周囲を強固に覆っている顔料被覆型の構成であることが好ましい。
本発明のインク中には、顔料を被覆する樹脂(A)のほかに、樹脂(A)と同一組成の樹脂エマルジョン(B)を含有している。従来より、インクジェット記録画像の耐擦過性(画像を指や紙で擦ると紙面から顔料が剥がれて汚れてしまうこと)や光沢性を改善させるために、インク組成物に樹脂エマルジョンを添加する提案がなされていた。しかし、顔料または顔料を取り囲んでいる樹脂とエマルジョンとして添加された樹脂との相互作用が弱く、顔料を強固に用紙上にとどめておくことができず、擦った際に剥がれ落ちてしまい、耐擦過性としては不十分であった。また、相互作用が弱いために、エマルジョン樹脂がきれいに顔料のすきまを埋めることができず、光沢性も十分ではなかった。
一方、本発明においては顔料を被覆している樹脂(A)とエマルジョン樹脂(B)が同一組成の樹脂である。それにより顔料を被覆している樹脂とエマルジョン樹脂の相互作用を強くでき、エマルジョン樹脂が、樹脂被覆顔料間に入って架け橋の役割をし、強固に顔料同士を接着させるため、画像を擦った際も剥がれ落ちることがない。また、樹脂被覆顔料の隙間をきれいにうめることができるので、光沢性も向上させることができる。
ここで、樹脂(A)と樹脂(B)の組成が同一であるとは、樹脂(A)及び樹脂(B)の重合に用いるモノマー種が同一であることを意味しており、重合形態(ランダム、ブロック等)、分子量は異なっていても良い。また樹脂(A)及び樹脂(B)の重合に用いる各種モノマーの比率は同一であることが好ましい。なお、モノマー種が同一とは、樹脂(A)及び樹脂(B)の重合に用いるモノマーのうち1質量%以上を占めるモノマーにおいて判断するが、樹脂(A)及び樹脂(B)の重合に用いるモノマー全てが同一であることがより好ましい。
また樹脂(B)はエマルジョンとしてインク中に添加したものでもよいが、樹脂(A)と樹脂(B)が同一組成であればよいため、顔料被覆樹脂(A)が顔料から脱離してインク中に遊離したものでもよい。しかし遊離量や粒径を制御することが比較的難しいため、樹脂エマルジョンとしてインク中に添加する方が作業効率の観点から好ましい。
前記樹脂(A)と樹脂(B)の合計の含有量は、インク全量に対して2〜11質量%であり、さらに好ましくは6〜11質量%である。合計の樹脂含有量が2質量%未満であると樹脂被覆顔料同士の接着力を低下させたり、樹脂被覆顔料の隙間を十分にうめきれなくなるため、耐擦過性、光沢性が低下する。また顔料を被覆している樹脂の量が減るため、分散安定性が悪化する。一方、合計の樹脂含有量が11質量%を超えると、樹脂に対する顔料の割合が少なくなり、インクジェット記録物の画像濃度が低下する。
本発明では前記樹脂(B)の含有量が前記樹脂(A)及び樹脂(B)の合計の含有量に対して30質量%以上55質量%以下である。樹脂(B)の含有量が30質量%未満であると、樹脂被覆顔料同士の接着性力を低下させたり、樹脂被覆顔料の隙間を十分にうめきれなくなるため、耐擦過性、光沢性が低下したりする。一方、樹脂(B)の含有量が55質量%を超えると、インクジェットヘッドのノズル内部に樹脂が付着して堆積したり、溶剤の蒸発によりノズルのメニスカス部で樹脂膜を形成しやすくなったりするため、吐出安定性やヘッドリフレッシングの際のメンテナンス性が悪化する。またインク中の樹脂エマルジョンが経時で凝集しやすくなり、粘度変化が起きてしまう可能性がある。
前記樹脂(A)及び樹脂(B)の合計の含有量に対する樹脂(B)の含有量は下記方法にて算出することができる。
インクを所定の容器に入れ、遠心分離機(himac CS150GX、日立工機株式会社製)にて回転数58000rpmの条件で、6.5時間遠心分離し、容器中のインクの透明な上澄み液全量を採取した。採取した上澄み液を20mg計量し、TG−DTA(Thermo plus TG8120、株式会社リガク製)にて、試料をN500ml/minで25℃から500℃まで10℃/minで昇温し、その後Air 500ml/minで500℃で30minホールドして、TG曲線を求めた。得られたTG曲線より上澄み液中の樹脂(B)分の質量%を求め、インク全量に対する樹脂(B)の質量%に換算した。この値をαとする。
また遠心分離をする前のインクを20mg採取し、上記と同様の測定条件にてTG曲線を取得し、インク中の全樹脂量(樹脂(A)+樹脂(B))を質量%で算出し、これをβとする。
上記算出したα及びβより、α/βを行い、前記樹脂(A)及び(B)の合計の含有量に対する樹脂(B)の含有量を算出する。
前記樹脂(A)及び樹脂(B)に用いられる樹脂としてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマーが上げられる。その中でもポリウレタン系ポリマーが好ましい。ポリウレタン系ポリマーは樹脂の硬度が比較的硬く、弾性も高いので耐擦過性を向上することができる。
−ビニル系ポリマー−
前記ビニル系ポリマーとしては、(a)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びスチレン系モノマーからなる群より選ばれた1種以上のビニル系モノマーと、(b)塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと、(c)前記ビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能な成分とを含有するモノマー組成物を共重合させて得られたポリマーが好ましい。
前記(a)のビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−アミル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−アミル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン等のスチレン系モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(b)の塩生成基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、塩生成基を有するカチオン性モノマー、塩生成基を有するアニオン性モノマーなどが挙げられる。
前記塩生成基を有するカチオン性モノマーとしては、例えば、3級アミン含有不飽和モノマー、アンモニウム塩含有不飽和モノマーなどが挙げられる。その好ましい例としては、例えば、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
前記塩生成基を有するアニオン性モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマーなどが挙げられる。その好ましい例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
前記(c)のビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能な成分としては、例えば、アクリルアミド系モノマー、メタクリルアミド系モノマー、水酸基含有モノマー、片末端に重合性官能基を有するマクロマーなどが挙げられる。
前記片末端に重合性官能基を有するマクロマーとしては、例えば、シリコーンマクロマー、スチレン系マクロマー、ポリエステル系マクロマー、ポリウレタン系マクロマー、ポリアルキルエーテルマクロマー、一般式:CH=C(R)COO(RO)pR(ただし、前記一般式中、Rは水素原子又は低級アルキル基、Rはヘテロ原子を有していてもよい炭素数1以上30以下の2価の炭化水素基、Rは水素原子又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1以上30以下の1価の炭化水素基、pは1以上60以下の整数を示す)で表されるマクロマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、これらのモノマーは例示であってこれに限定されるものではない。前記低級アルキル基としては、例えば、炭素数1以上4以下のアルキル基などが挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
前記CH2=C(R)COO(RO)pRのマクロマーとしては、ポリエチレングリコール(2以上30以下)(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(1以上30以下)(メタ)アクリレートが好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを示す。
前記共重合可能な成分の中では、マクロマーが好ましく、シリコーンマクロマー、スチレン系マクロマー及びポリアルキルエーテルマクロマーがより好ましい。
前記モノマー組成物における前記ビニル系モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上の観点から、1質量%以上75質量%以下が好ましく、5質量%以上60質量%以下がより好ましく、10質量%以上50質量%以下が特に好ましい。
前記モノマー組成物における前記塩生成基を有する重合性不飽和モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上の観点から、2質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
前記モノマー組成物における前記ビニル系モノマー及び前記塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能なモノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上の観点から、5質量%以上90質量%以下が好ましく、10質量%以上85質量%以下がより好ましく、20質量%以上60質量%以下が特に好ましい。
−ポリエステル系ポリマー−
前記ポリエステル系ポリマーは、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られる。
〔アルコール成分〕
原料モノマーであるアルコール成分は、インクの高温での画像保存性及び乾燥後の定着性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むことが好ましい。
なお、本発明において、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物とは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンにオキシアルキレン基を付加した構造全体を意味するものである。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、具体的には下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006808942
一般式(1)において、OR、ROはいずれもオキシアルキレン基であり、好ましくは、それぞれ独立に炭素数1〜4のオキシアルキレン基であり、より好ましくは、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基である。
x及びyは、アルキレンオキサイドの付加モル数に相当する。さらに、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は2〜7が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜3がさらに好ましい。
また、x個のORとy個のROは、各々同一であっても異なっていてもよいが、インクの高温での画像保存性及び乾燥後の定着性の観点から、同一であることが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。このビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物がより好ましく、これらを併用することが更に好ましい。
原料モノマーであるアルコール成分中におけるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、インクの記録媒体への初期定着性及び高温での画像保存性の観点から、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは60モル%以上であり、更に好ましくは70モル%以上である。また、初期定着性及び高温での画像保存性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、好ましくは90モル%以下であり、より好ましくは85モル%以下であり、更に好ましくは80モル%以下である。
原料モノマーであるアルコール成分には、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外に以下のアルコール成分を含有することができる。
具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)等が挙げられる。前記アルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、初期定着性の観点から、好ましくは1,2−プロパンジオール及び水素添加ビスフェノールAの1種又は2種であり、吐出性の観点から、より好ましくは1,2−プロパンジオールであり、高温での画像保存性の観点から、より好ましくは水素添加ビスフェノールAである。
以上のアルコール成分の中でも、初期定着性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物と水素添加ビスフェノールAを併用することが好ましく、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物と水素添加ビスフェノールAを併用することがより好ましく、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物と水素添加ビスフェノールAを併用することが更に好ましい。
〔カルボン酸成分〕
原料モノマーとして、アルコール成分以外にカルボン酸成分が用いられる。
例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、コハク酸、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸、アリルアルコール等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸類、デカリンジカルボン酸類等の脂環族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
インクの吐出性、記録媒体への定着性及び高温での画像保存性の向上の観点から、芳香族ジカルボン酸及び脂環族ジカルボン酸が好ましく、シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸がより好ましい。これらの中でも、インクの高温での画像保存性及び乾燥後の定着性の観点から、芳香族ジカルボン酸が好ましく、イソフタル酸がより好ましい。前記カルボン酸成分は、単独で又は2種以上が含まれていてもよい。
また、カルボン酸成分は、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有するカルボン酸、例えば不飽和脂肪族カルボン酸及び/又は不飽和脂環式カルボン酸を含むことが好ましい。
非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有するカルボン酸(不飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂環式カルボン酸)としては、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和脂肪族カルボン酸;テトラヒドロフタル酸等の不飽和脂環式カルボン酸等が挙げられる。反応性の観点から、フマル酸、マレイン酸及びテトラヒドロフタル酸が好ましく、フマル酸がより好ましい。
カルボン酸成分中、非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有するカルボン酸の含有量は、好ましくは5〜30モル%、より好ましくは7〜25モル%、更に好ましくは8〜20モル%、より更に好ましくは12〜18モル%である。
カルボン酸成分中、芳香族ジカルボン酸の含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、より更に好ましくは82モル%以上であり、また、好ましくは95モル%以下、より好ましくは92モル%以下、更に好ましくは88モル%以下である。
樹脂粒子の粒径を適切に調整し、定着性及び高温での画像保存性を向上させる観点から、アルコール成分の水酸基とカルボン酸成分のカルボキシ基とのモル比(水酸基/カルボキシ基)は、好ましくは100/90〜100/120であり、より好ましくは100/95〜100/110、更に好ましくは100/100〜100/105である。
−ポリウレタン系ポリマー−
前記ポリウレタン系ポリマーは、任意のジオール化合物とジイソシアネート化合物を重付加させて得られる。このとき、好適なインクジェット適性を得るため、モノオール、トリオール化合物やモノイソシアネート、トリイソシアネート化合物を使用することもでき、また、所望の分子量を得るため、ジアミン、トリアミン、テトラアミン化合物を添加することも任意である。
ポリウレタンの原料となるジオール化合物としては、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA及びそのアルキレンオキシド付加物、水素化ビスフェノールA及びそのアルキレンオキシド付加物、シクロヘキサンジメタノール及びそのアルキレンオキシド付加物、ポリエステルジオール、ポリウレタンジオール、ビスヒドロキシメチルプロピオン酸、ビスヒドロキシメチル酪酸等が挙げられる。これらの中では、炭素数2〜30、特に炭素数2〜22のジオール化合物が好ましい。
ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの中では、炭素数6〜30、特に炭素数6〜22のジイソシアネート化合物が好ましい。
上記のジオール化合物やジイソシアネート化合物は、炭素数1〜22の環構造を有していてもよい炭化水素基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、エーテル基等の任意の官能基を有していてもよい。
前記ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマーの重量平均分子量は特に制限はないが、分散安定性、吐出性等の観点から5,000〜500,000が好ましく、10,000〜400,000がより好ましく、10,000〜300,000が特に好ましい。
本発明において、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、GPC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定できる。カラムはTSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15wt%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いる。前記THF試料溶液は測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/minで測定した。試料の分子量測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。前記標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
−樹脂エマルジョン(B)の製造−
樹脂エマルション(B)は前記ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマーを水性媒体と混合して、水性分散液として得られる。
前記水性媒体とは、水を主成分とするもの、すなわち、水の含有量が50質量%以上の媒体である。環境安全性の観点から、水性媒体中の水の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは実質的に100質量%である。水 以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等の、水に溶解する有機溶媒が挙げられる。
水性媒体中に前記樹脂を分散させる方法としては、樹脂をケトン系溶媒に溶解させ、中和剤を加えてイオン化し、次いで水を加えて水系に転相する方法、好ましくは、水を加えた後にケトン系溶媒を留去して水系に転相する方法が挙げられる。
本工程において、樹脂エマルジョンの水性分散液中の体積平均粒径を調整する方法としては、攪拌力、活性剤の量や種類、温度、中和剤の量や種類、溶媒の量や種類を、1つ以上変更することにより、調整する方法等が挙げられる。これらのうち、印字後の画像に影響を与えずに粒径を調整できることから、攪拌力を変更することにより、調整する方法が好ましい。
本発明は樹脂(B)を含むエマルジョンの体積平均粒径が8〜19nmであることを特徴とする。
樹脂(B)の体積平均粒子径が8nm未満であると、インク中の粘度が高くなりすぎてしまう可能性がある。また樹脂粒子の粒径が小さすぎると紙で画像を擦った際の摩擦係数が上昇してしまい耐擦過性が悪化する可能性がある。一方、樹脂(B)の体積平均粒子径が19nmを超えると画像表面が粗くなって光沢が低下してしまったり、インクジェットヘッドのノズル内壁に樹脂粒子が堆積しやすくなり吐出安定性が悪化したりする可能性がある。
樹脂(B)の体積平均粒子径は下記の方法に従って測定することができる。
樹脂エマルジョンの粒子径は、樹脂エマルジョン中の樹脂濃度が0.01質量%になるように純水で希釈し、日機装社製マイクロトラックUPA−150を用いて、23℃で測定することができる。ここでの体積平均粒径は50%平均粒径(D50)を意味している。
また、インク中の樹脂エマルジョンの粒径を測定する場合は、インク中には顔料が含まれており、UPA−150では樹脂(B)の粒径は測定できない。その場合は、まずインクを凍結試料作成装置(JFDII EM−19500)で凍結させ、割断面を作成する。その後、割断面をカーボン蒸着し、蒸留水にて洗浄を行って、カーボンのレプリカ膜を作成し、それを透過型電子顕微鏡(JEM2100−M)にて加速電圧200kVで観察することによって樹脂(B)の粒径を測定することができる。
<脂肪族ジアルコール>
本発明ではインク中に不飽和結合を有する脂肪族ジアルコールをインク中の含有量として0.05〜0.7質量%含有することが好ましく、0.05〜0.25%であることがさらに好ましい。インク中に樹脂エマルジョンを添加すると、ヘッドからのインクの連続吐出において樹脂がノズルの内壁に付着してしまうことがある。樹脂が壁面に堆積されていくと、インクがノズルから正常に吐出されず、インク滴の速度が変化したり、曲がったり、サテライトが増加したりすることで画像品質を悪化させてしまうことがある。本発明では不飽和結合を有した脂肪族アルコールをインク中に含有させることでノズル壁面の樹脂の付着を抑制できることがわかった。この理由は定かではないが、不飽和結合を有した脂肪族アルコールが離型作用を発揮するためと考えられる。
脂肪族ジアルコールの添加量が0.05質量%以上であることにより不飽和結合を有した脂肪族ジアルコールの離型作用が効果的に発揮され、樹脂のノズル内壁への付着が起こることがなく吐出安定性が良好となる。一方、0.7質量%以下であることによりインク中の樹脂の分散や顔料の分散が安定となり、インク滴の濡れ性を変化させることがなく、吐出安定性が良好となる。
<水溶性有機溶剤>
本発明のインクは水溶性有機溶剤を含有する。
前記水溶性有機溶剤としては、沸点280℃以上300℃以下の水溶性有機溶剤(G)を含有し、かつ少なくとも沸点180℃以上190℃以下の水溶性有機溶剤(X)または沸点190℃以上200℃以下の水溶性有機溶剤(Y)のどちらか一方を含有することが好ましい。
本発明では耐擦過性、光沢性向上を目的として、樹脂エマルジョンを添加している。このことによりノズルのメニスカス部では乾燥により樹脂膜が形成されやすくなって、プリンタのメンテナンス性が悪化してしまう可能性が考えられる。プリンタのメンテナンス性を良好にするためには、高沸点溶剤を添加してインクとして乾燥しにくくすることが考えられるが、画像の乾燥性も同時に悪くなってしまう。これによりプリンタ出力時、印字直後に搬送ローラと接触することにより発生するオフセットや画像出力直後に画像が積み重ねられて荷重がかかることで発生するブロッキングが悪化する可能性がある。
水溶性有機溶剤として、沸点280℃以上300℃以下の水溶性有機溶剤(G)、沸点180℃以上190℃以下の水溶性有機溶剤(X)、及び沸点190℃以上200℃以下の水溶性有機溶剤(Y)を含有することでメンテナンス性と画像乾燥性を両立させることができる。
水溶性有機溶剤(X)と(Y)は沸点が200℃以下であるため、プリンタで印字した画像の乾燥性が良好になりやすい。水溶性有機溶剤(G)は沸点が280℃以上であるため、プリンタのメンテナンス性を良好に保つことができる。
水溶性有機溶剤(X)と(Y)は単独ではなく併用する方がインクとしての所望の特性を発揮するためには好ましい。水溶性有機溶剤(X)単独の場合、インク中の含有量が多くなるため、乾燥性が悪くなったり、吐出が不安定になったりすることがある。また、水溶性有機溶剤(Y)単独の場合、インク経時安定性が悪化することがある。また、水溶性有機溶剤(X)と(Y)を併用することで画像の発色性が良好になることがある。
インク中における水溶性有機溶剤(X)の含有量は24質量%以上40質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤(X)の含有量が24質量%以上であることによりノズル内部でインクが増粘しやすくなることがなくプリンタのメンテナンス性が良好となる。40質量%以下であることにより乾燥性が良好となる。また、水溶性有機溶剤(X)と(Y)の比率X/Yが2より小さいと、2つを用いている効果が少なく、20より大きいとインク中の顔料の分散安定性が不安定になるためインクの経時安定性が劣ってしまう。また、X+Yが30質量%以上であることによりプリンタのメンテナンス性が良好となり、42質量%以下であることにより乾燥性が良好となる。
水溶性有機溶剤(X)としては、沸点180℃以上190℃以下であれば適宜用いることができるが、例えば2,3−ブタンジオール(沸点182℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、及びジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃)を用いることができる。
また、水溶性有機溶剤(Y)としては、沸点190℃以上200℃以下であれば適宜用いることができるが、例えば、1,2−ブタンジオール(沸点193℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、及び2−メチル−2,4−ペンタンジオール(沸点198℃)を用いることができる。
さらに、インク中における沸点280℃以上の水溶性有機溶剤の含有量が2質量%以上6質量%以下であることがプリンタのメンテナンス性を向上できる点で好ましい。前記沸点が200℃以上の水溶性有機溶剤としては公知のものを用いることができ、例えばグリセリン(沸点290℃)等を用いることができる。
前記の沸点280℃以上の水溶性有機溶剤の含有量が2質量%以上であるとプリンタのメンテナンス性が向上し。一方6質量%以下であることにより画像の乾燥性が良好となる。
<湿潤剤>
前記水溶性有機溶剤に加えて他の湿潤剤を用いても良く、そのような湿潤剤としては、尿素化合物、糖を含有するものが好ましい。前記糖類としては、例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)、多糖類が挙げられ、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、前記多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記糖類の還元糖(例えば、糖アルコール〔一般式:HOCH(CHOH)nCHOH(n=2以上5以下の整数)〕、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましい。前記糖アルコールとしては、例えば、D−ソルビトール、ソルビタン、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、キシリトールなどが挙げられる。
<水>
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記水の前記記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<着色剤>
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、及び有機顔料のいずれであってもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。
前記着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
前記カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15nm〜40nm、BET法による比表面積が、50〜300m/g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);Regal400R、同330R、同660R、Mogul L、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製)、などが挙げられる。
前記カラー用のものとして、イエローインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー2、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー75、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、などが挙げられる。
マゼンタインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばC.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド48(Ca)、C.I.ピグメントレッド48(Mn)、C.I.ピグメントレッド57(Ca)、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19、などが挙げられる。
シアンインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばC.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:34、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー66;C.I.バットブルー4、C.I.バットブルー60、などが挙げられる。
また、本発明で使用する各インクに含有される顔料は、本発明のために新たに製造されたものでも使用可能である。
なお、イエロー顔料としてピグメントイエロー74、マゼンタ顔料としてピグメントレッド122、ピグメントバイオレッド19、シアン顔料としてピグメントブルー15を用いることにより、色調、耐光性が優れ、バランスの取れたインクを得ることができる。
前記顔料の前記インク中における含有量は、0.1質量%以上、50.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上、20.0質量%以下がより好ましい。
前記顔料の平均粒径(D50)は、150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。なお、本発明における顔料の平均粒径は、23℃、55%RHの環境において、日機装株式会社製マイクロトラックUPA−150で動的光散乱法により測定した値を示す。これは、印字画像部の顔料粒子の乱反射を防ぎ、かつ濃度均一な印字画像を提供できるからである。
<界面活性剤>
前記界面活性剤として、着色剤の種類や水溶性有機溶剤(湿潤剤)の組み合わせによって分散安定性を損なわず、表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものが好ましく、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16であるものが好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16であるものがより好ましい。前記フッ素置換した炭素数が2未満であると、フッ素の効果が得られないことがあり、16を超えると、インク保存性などの問題が生じることがある。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、好ましい。
更に好ましくは、下記構造式で表されるフッ素系界面活性剤である。
CFCF(CFCF−CHCHO(CHCHO)
ただし、前記構造式中、mは0〜10の整数を表す。nは1〜40の整数を表す。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、例えば、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−151N(オムノバ社製)などが挙げられる。これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から、DuPont社製のFS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW及びオムノバ社製のポリフォックスPF−151Nが特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤の具体例としては、下記一般式(2)〜(10)で表わされる、アニオン系フッ素系界面活性剤、ノニオン系フッ素系界面活性剤、両性フッ素系界面活性剤及びオリゴマー型フッ素系界面活性剤を例示することができる。
(1)アニオン系フッ素系界面活性剤
アニオン系フッ素系界面活性剤としては、下記一般式(2)〜一般式(5)で表されるものが好適である。
Figure 0006808942
(ただし、前記構造式中、Rfは、下記構造式(1)、(2)で表されるフッ素含有疎水基の混合物を表す。Aは、−SOX、−COOX、又は−POX(ただし、Xは対アニオンであり、具体的には、水素原子、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、又はNH(CHCHOH)が挙げられる)を表す。)
Figure 0006808942
Figure 0006808942
(ただし、前記一般式(3)中、Rf’は、下記構造式(3)で表されるフッ素含有基を表す。Xは、前記と同じ意味を表す。nは1又は2の整数、mは2−nを表す。)
Figure 0006808942
(ただし、前記構造式(3)中、nは3〜10の整数を表す。)
Figure 0006808942
(ただし、前記一般式(4)中、Rf’及びXは、前記と同じ意味を表す。)
Figure 0006808942
(ただし、前記一般式(5)中、Rf’及びXは、前記と同じ意味を表す。)
(2)ノニオン系フッ素系界面活性剤
ノニオン系フッ素系界面活性剤としては下記の一般式(6)、一般式(7)で表されるものが好適である。
Figure 0006808942
(ただし、前記一般式(6)中、Rfは、前記と同じ意味を表す。nは5〜20の整数を表す。)
Figure 0006808942
(ただし、前記一般式(7)中、Rf’は、前記と同じ意味を表す。nは1〜40の整数を表す。)
(3)両性フッ素系界面活性剤
両性フッ素系界面活性剤としては下記の一般式(8)で表されるものが好適である。
Figure 0006808942
(ただし、前記一般式(8)中、Rfは、前記と同じ意味を表す。)
(4)オリゴマー型フッ素系界面活性剤
オリゴマー型フッ素系界面活性剤としては下記の一般式(9)、一般式(10)で表されるものが好適である。
Figure 0006808942
(ただし、前記一般式(9)中、Rf”は、下記構造式(4)で表されるフッ素含有基を表す。nは0〜10の整数を表す。Xは、前記と同じ意味を表す。)
Figure 0006808942
(ただし、前記構造式(4)中、nは1〜4の整数を表す。)
Figure 0006808942
(ただし、前記一般式(10)中、Rf”は、前記と同じ意味を表す。lは0〜10の整数、mは0〜10の整数、nは0〜10の整数をそれぞれ表す。)
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社などから容易に入手できる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(11)で表されるポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物、などが挙げられる。
Figure 0006808942
(ただし、前記一般式(11)中、m、n、a、及びbは整数を表す。R及びR’はアルキル基、アルキレン基を表す。)
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(いずれも、信越化学工業株式会社製)、などが挙げられる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
前記界面活性剤の前記記録用インク中における含有量は、0.01質量%〜3.0質量%が好ましく、0.5質量%〜2質量%がより好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満であると、界面活性剤を添加した効果が無くなることがあり、3.0質量%を超えると、記録用メディアへの浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
<浸透剤>
本発明の記録用インクは、浸透剤として、炭素数8〜11のポリオール化合物を少なくとも1種を含有することが好ましい。これらは、25℃の水中において0.2質量%〜5.0質量%の間の溶解度を有するものが好ましい。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]が特に好ましい。
その他のポリオール化合物として、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどが挙げられる。
その他の併用できる浸透剤としては、インク中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などが挙げられる。
前記浸透剤の前記記録用インクにおける含有量は、0.1質量%〜4.0質量%が好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、速乾性が得られず滲んだ画像となることがあり、4.0質量%を超えると、着色剤の分散安定性が損なわれ、ノズルが目詰まりしやすくなったり、また記録用メディアへの浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
<その他成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤などが挙げられる。
前記消泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばシリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点でシリコーン系消泡剤が好ましい。
前記pH調整剤としては、調合される記録用インクに悪影響を及ぼさずにpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。前記pHが7未満及び11を超えるとインクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きく、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどが挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイドなどが挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイトなどが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤などが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどが挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)などが挙げられる。
<インクの製造方法>
本発明の記録用インクは、水溶性有機溶剤(湿潤剤)、及び水、更に必要に応じて浸透剤、界面活性剤及びその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に樹脂エマルジョン、樹脂被覆顔料分散液を添加して攪拌混合して製造する。前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
<インクの物性>
本発明の記録用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
前記記録用インクの25℃での粘度は、5mPa・s〜25mPa・sが好ましい。前記インク粘度を5mPa・s以上とすることによって、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。一方、前記インク粘度を25mPa・s以下に抑えることで、吐出性を確保することができる。
ここで、前記粘度は、例えば、粘度計(RE−550L、東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定することができる。
前記記録用インクの表面張力としては、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。前記表面張力が、35mN/mを超えると、記録用メディア上のインクのレベリングが起こりにくく、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
前記記録用インクのpHとしては、例えば、7〜12が好ましく、接液する金属部材の腐食防止の観点から8〜11がより好ましい。
<インクセット>
本発明の記録用インクの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。これらの着色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うと、多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行うと、フルカラー画像を形成することができる。
<インクカートリッジ>
本発明のインクは、容器に収容してインクカートリッジとして用いることができ、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を付設してもよい。
以下、本発明のインクカートリッジの実施の形態について図7〜9を参照して説明する。
図7は同インクカートリッジの外観斜視説明図、図8は同インクカートリッジのインク供給口部分のキャップ部材装着前の斜視説明図、図9は同インク供給口部分の分解斜視説明図である。
このインクカートリッジ1は、内部にインクを収容するインク収容部10を有し、インク収容部10には外部にインクを供給するインク供給口20を有するインク供給口部30が設けられ、インク供給口部30を覆うキャップ部材40を備えている。
インク供給口部30は、インク収容部10に固定した口部材31と、口部材31の開口部31a内に配置され、インク供給口20が設けられた回転規制部材32と、インク収容部10の口部材31の開口部31a内に回転規制部材32を固定する固定部材33とを有し、固定部材33にキャップ部材40を装着している。
なお、回転規制部材32に設けられたインク供給口20は、インク収容部10の内部に収納されているインクを収容するインク収容部材にチューブなどを介して通じている。 ここでは、インク供給口部30は、口部材31、回転規制部材32及び固定部材33の別部材を組み合わせて構成しているが、これらの口部材31、回転規制部材32及び固定部材33を一体成型して一部品とすることもできるし、更にインク収容部10と一体成型することもできる。
次に、キャップ部材40の詳細について図10及び図11を参照して説明する。図10は同キャップ部材の初期状態の斜視説明図、図11は同じく分離状態の斜視説明図である。キャップ部材40は、液体供給口部30の液体供給口20を封じる密封部41と、収容した液体に関する情報を格納する情報記憶手段であるICチップ43を保持する保持部42とを有する。ここで、密封部41と保持部42とは、密封部41の外周面と保持部42の内周面との間に形成した破断可能な複数のブリッジ部44によって分離可能に連結されている。つまり、密封部41を保持部42に対して回転させることで、ブリッジ部44が破断されて、密封部41を保持部42から分離することができる。
密封部41は、液体供給口20に挿入されて液体供給口20を閉じる円柱状の栓部51と、栓部51を回転させる液体供給方向と直交する方向に延びるレバー部52を有している。保持部42は、外周面の対向する位置であって、液体カートリッジ1を装置本体(印刷機本体)に装填するときの装填方向に沿って、装置本体側の後述するガイド部材と接触するガイド受け面42a、42bが形成されている。
このキャップ部材40は、液体カートリッジ1を輸送するときには、液体供給口部30に装着されることで、密封部41の栓部51が液体供給口20内に挿入されて液体供給口20を閉じている。このとき、密封部41が液体供給口部30に固定されることで、保持部42は密封部41を介して液体供給口部30に固定された状態になる。そして、液体カートリッジ1を印刷機本体に装填して使用するときには、レバー部52を回転させて密封部41を回転させることで、密封部41と保持部42との間のブリッジ部44が破断されて、密封部41を保持部42から分離して取り外し、液体供給口20を閉じている栓部51を取り除き、液体供給口20を開口することができる。
<記録媒体>
本発明で用いる記録媒体としては特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本発明で用いる記録媒体として、印刷用塗工紙であることが好ましい。印刷用塗工紙は一般的に普通紙よりもインク吸収性に劣るので、インクジェットに適用するためには印字後の乾燥手段と組み合わせて用いることが多いが画像の乾燥性に課題があった。本発明のインクは印刷用塗工紙に印字しても画像の乾燥性を満足することができる。
市販品としては、OKトップコート、OKアストロ・グロス、OKノンリンクル、SA金藤+、OK金藤+、OKノンリンクル、(F)MCOP、OKアストロ・ダル、OKアストロ・マット、OKウルトラアクアサテン、OKエンボス絹目、OKエンボス梨地、OKエンボス布目、OKエンボスホームスパン、OKオプトグロス、OK嵩王、OKカサブランカ、OKカサブランカ−V、OKカサブランカ−X、OK金藤片面、OKコートL、OKコートLグリーン100、OKコートNグリーン100、OKコートV、OK中質コート(オフセット用)、OKトップコートS、OKトップコートダル、OKトップコートマットN、OKトリニティ、OKトリニティNaVi、OKトリニティNaVi−V、OKネオトップコート、OKネオトップコートマット、OKノンリンクルAL、OKノンリンクルDL、OKノンリンクルBL、OKホワイトL、OKマットコートLグリーン100、OKマットコートグリーン100、OKロイヤルコート、OKホワイトL、Zコート、Zコートグリーン100、ウルトラサテン金藤N、ゴールデンマット、サテン金藤N、ニューエイジ、ニューエイジグリーン100、ミラーコート・ゴールド、ミラーコート・プラチナ、ロイヤルコートL、ロストンカラー、PODスーパーグロス、PODグロスコート、PODマットコート(以上、王子製紙)、ブロードマットA、ブロードグロスA、ホワイトパールコートN、ニューVマット、パールコート、ディグニティ、ビスタグロス、NパールコートL、ユトリロ、EP−Dグロス、EP−Lグロス、EP−Lマット、EP−Dプレミアムホワイト、EP−スーパー上質、(以上、三菱製紙)、Hi−a、αマット、キンマリHi−L、ミューコート、ミューマット、ミューホワイト(以上、北越製紙)、Lumi Art Gloss紙(Stora Enso社製)などが挙げられる。
前記の市販品の中でもLumi Art Gloss紙を用いることが好ましい。Lumi Art Gloss紙はインク吸収性が低いため公知のインクジェットインクを使用すると満足な画像の乾燥性が得られないことがあるが、本発明のインクを用いると良好な乾燥性を得ることができる。
<記録装置>
図1は本発明が適用されるインクジェット記録装置の模式図である。本発明が適用されるインクジェット記録装置300は記録媒体搬送部301と、記録媒体203に前処理液を塗布する前処理工程部302、画像形成工程部304、画像形成工程後の記録媒体に後処理液を塗布する後処理工程部305で構成されている。
記録媒体搬送部301は、給紙装置307、複数の搬送ローラ、巻き取り装置308で構成されている。そして図1の記録媒体203はロール状に巻かれた連続紙(ロール紙)であり、記録媒体203は搬送ローラによって給紙装置から巻き出され、プラテン上を搬送されて巻き取り装置308によって巻き取られる。
記録媒体搬送部301から搬送された記録媒体203は、図1の前処理工程部302にて前処理液が塗布される。インクジェットでは、インクジェット専用紙以外の記録媒体に画像形成を行うと、滲み、濃度、色調や裏写りなどの品質問題や、耐水性、耐候性といった画像堅牢性に関わる問題が発生しており、この問題の解決手段として、記録媒体に画像を形成する前に、インクを凝集させる機能を有する前処理液を塗布して画像品質向上を図る技術を行っている。
前処理工程としては、印刷用紙表面に上記の前処理液を均一に塗布する塗布方法を用いればよく、特に制限はない。このような塗布方法として、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。
図2は本実施形態における前処理工程部302の概略図である。本実施例ではロールコート法について説明するが、他の前処理液塗布方法でもよい。
図に示すように搬送ローラ201によって連続紙などの被記録媒体203は前処理液塗布装置204内に搬送される。前処理液塗布装置204には、前処理液205が貯留されており、前処理液205は攪拌・供給ローラ206、移送・薄膜化ローラ207によって塗布ローラ208のローラ面に薄膜状に転写される。
そして、塗布ローラ208は回転するプラテンローラ202に押し付けられながら回転し、その間を被記録媒体203が通過することで、表面に前処理液205を塗布する。
またプラテンローラ202は圧力調整装置209によって、前処理液を塗布するときのニップ圧を調節することが可能である。このニップ圧を変えることで前処理液205の塗布量を変化させることができる。
また塗布量については塗布ローラ208、プラテンローラ202の回転速度を変えることで調節することも可能である。塗布ローラ208,プラテンローラ202は駆動モーターなどの動力源によって駆動され、その動力源のエネルギーを変えることで回転速度を変化させ、塗布量を調節できる。
このように、画像品質を向上させるための前処理液205を塗布ローラ208で被記録媒体203の記録領域に塗布する方法は、噴射ヘッドを用いて処理剤液を被記録媒体に吹き付けて処理を行なう方法に比べて、比較的粘度の高い前処理液205を被記録媒体203上に薄く塗布することができ、画像の滲みなどを一段と低減できるという特長を有している。
また前処理部には図1のように塗布工程の後に前処理後乾燥部303を設けてもよい。前処理後乾燥装置は例えば図1のようなヒートローラ311,312からなる。この装置によれば、前処理液を塗布された連続紙は搬送ローラにより、ヒートローラに搬送される。ヒートローラは50〜100℃の高温に熱せられており、前処理液を塗布された連続紙は、ヒートローラからの接触伝熱により、水分が蒸発し、乾燥される。乾燥手段としてはこれに限らず、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、温風装置などを適用することもでき、単体の装置を用いるのではなく例えばヒートローラと温風装置を組み合わせるなどをしても良い。また、前処理液を塗布する前に記録媒体を加熱しておくこと(プレヒート工程の追加)も有効である。
前処理工程後の記録媒体は、画像形成工程部にて画像データに応じた画像が形成される。この画像形成工程部304は、フルライン型のヘッドであり被記録媒体搬送方向上流側よりブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に対応可能な4つの記録ヘッド304K、304C、304M、304Yを配設して構成されている。例えば、ブラック(K)の記録ヘッド304Kは、図3に示すように搬送方向と直行する方向に短い4つのヘッドユニット304K−1、304K−2、304K−3、304K−4を千鳥状に配列させることで印刷領域幅を確保している。図4はヘッドユニット304K−1の拡大図である。同図に示すように304K−1のノズル面309には多数の印字ノズル310がヘッドユニット304K−1の長手方向に沿って配列されてノズル列を構成している。本実施形態ではノズル列は1列であるが複数列設けることもできる。なお、他の記録ヘッド304C、304M、304Yも同様の構成であり、4つの記録ヘッド304K、304C、304M、304Yは同じピッチを保持して搬送方向に配列されている。これにより、1回の記録動作で印刷領域幅全体への画像形成が可能となる。
なお、インクの種類もKCMYに限らずライトシアンなどのフォトインク等を適用することもできる。
画像形成工程後の記録媒体は、後処理工程部305にて後処理液が塗布される。
後述するこの後処理液は、記録用メディア上に透明な保護層を形成し得る成分を含有する。
本実施形態における後処理工程では、記録用メディアの画像表面の全体にわたって塗布しても、画像表面の特定の部分のみに塗布してもよい。より好ましくは印刷条件(記録媒体の種類や用紙に吐出されるインク量等)に応じて塗布量、塗布方法を変えることが望ましい。
この後処理液を塗布する方法としては、特に制限はなく後処理液の種類によって各種方法が適宜選択されるが、前記前処理液の塗布方法と同様の方法又は上記のインクジェット用インクを飛翔させる方法と同様の方法のいずれかを好適に用いることができる。これらの中でも、装置構成や後処理液の保存安定性の点からインクジェット用インクを飛翔させる方法と同様の方法が特に好ましい。この方法を用いることで、画像上の任意の箇所に必要な量だけ塗布することが可能となる。この後処理工程は、形成された画像表面に乾燥付着量が0.5g/m〜10g/mとなるように透明な樹脂を含む後処理液を付与して保護層を形成する工程である。
この後処理液の乾燥付着量は0.5g/m〜10g/mが好ましく、2g/m〜8g/mがより好ましい。この付着量が0.5g/m未満であると、画像品質(画像濃度、彩度、光沢度及び定着性)向上が殆ど見られず、10g/mを超えると、保護層の乾燥性が低下し、画像品質向上効果も飽和していることから経済的にも不利となる。
また後処理部には図1のように後処理後乾燥部306を設けてもよい。
後処理後乾燥装置は例えば図1のようなヒートローラ313、314からなる。この装置によれば、後処理液を塗布された連続紙は搬送ローラにより、ヒートローラに搬送される。ヒートローラは高温に熱せられており、後処理液を塗布された連続紙は、ヒートローラからの接触伝熱により、水分が蒸発し、乾燥される。乾燥手段としてはこれに限らず、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、温風装置などを適用することもでき、単体の装置を用いるのではなく例えばヒートローラと温風装置を組み合わせるなどをしても良い。
乾燥後の用紙は巻き取り装置308によって巻き取られるが、この巻き取り時の押圧が大きい場合には、裏面へ画像が転写する可能性がある。その際は必要に応じて図1のような巻き取り前乾燥部315を設けることも可能である。なお、この乾燥手段も上記に記載した構成(例えばヒートローラと温風装置の組み合わせ等)を適用することができる。
<ヘッドの構造>
次に、この画像形成装置における記録ヘッドを構成する液滴吐出ヘッドの一例について図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図6は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
この液滴吐出ヘッドは、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板401と、この流路板401の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板402と、流路板401の上面に接合したノズル板403とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル404が連通する流路であるノズル連通路405及び液室406、液室406にインクを供給するための共通液室408に連通するインク供給口409などを形成している。
また、振動板402を変形させて液室406内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列(図4では1列のみ図示)の積層型圧電素子421と、この圧電素子421を接合固定するベース基板422とを備えている。なお、圧電素子421の間には支柱部423を設けている。この支柱部423は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子421と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
また、圧電素子421には駆動回路(駆動IC)に接続するためのFPCケーブル222を接続している。
そして、振動板402の周縁部をフレーム部材430に接合し、このフレーム部材430には、圧電素子421及びベース基板422などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部431及び共通液室408となる凹部、この共通液室408に外部からインクを供給するためのインク供給穴432を形成している。このフレーム部材430は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
ここで、流路板401は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路405、液室406となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
振動板402は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。
この振動板402に圧電素子421及び支柱部423を接着剤接合し、更にフレーム部材430を接着剤接合している。
ノズル板403は各液室406に対応して直径10〜30μmのノズル404を形成し、流路板401に接着剤接合している。このノズル板403は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。
圧電素子421は、圧電材料451と内部電極452とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電素子421の交互に異なる端面に引き出された各内部電極452には個別電極453及び共通電極454が接続されている。なお、この実施形態では、圧電素子421の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室406内インクを加圧する構成としているが、圧電素子421の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室406内インクを加圧する構成とすることもできる。また、1つの基板422に1列の圧電素子421が設けられる構造とすることもできる。
このように構成した液滴吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子421に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子421が収縮し、振動板402が下降して液室406の容積が膨張することで、液室406内にインクが流入し、その後圧電素子421に印加する電圧を上げて圧電素子421を積層方向に伸長させ、振動板402をノズル404方向に変形させて液室406の容積/体積を収縮させることにより、液室406内の記録液が加圧され、ノズル404から記録液の滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子421に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板402が初期位置に復元し、液室406が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室408から液室406内に記録液が充填される。そこで、ノズル404のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
また本例ではインク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のものを適用したが(特公平2−51734号公報参照)、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特公昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで,インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などを適用することもできる。
<インク記録物>
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録された記録物は、本発明のインク記録物である。
本発明のインク記録物は、前記記録媒体上に、本発明の前記記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
−樹脂の合成−
(製造例1)ビニル系ポリマーA1の合成
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成し、ビニル系ポリマーA1を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、15,000であった。
(製造例2)ビニル系ポリマーA2の合成
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.55gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール4.95g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成し、[ビニル系ポリマーA2]を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、11,000であった。
(製造例3)ポリエステル系ポリマーA3の合成
温度計、撹拌装置、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した内容積10Lの四つ口フラスコに、ビスフェノールAポリオキシプロピレン(2.2)付加物3500g、ビスフェノールAポリオキシエチレン(2.0)付加物1625g、水素化ビスフェノールA1180g、イソフタル酸3088g、酸化ジブチルスズ20gを入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、230℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、230℃で5時間反応を行った後、180℃まで降温し、フマル酸を116g加えた。200℃まで3時間かけて昇温を行った後、200℃8kPaにて反応させて、ポリエステル系ポリマーA3を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、18,000であった。
(製造例4)ポリエステル系ポリマーA4の合成
温度計、撹拌装置、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した内容積10Lの四つ口フラスコに、ビスフェノールAポリオキシプロピレン(2.2)付加物3500g、ビスフェノールAポリオキシエチレン(2.0)付加物1625g、水素化ビスフェノールA1180g、イソフタル酸2722g、酸化ジブチルスズ20gを入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、230℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、230℃で5時間反応を行った後、180℃まで降温し、フマル酸を464g加えた。200℃まで3時間かけて昇温を行った後、200℃8kPaにて反応させて、ポリエステル系ポリマーA4を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、12,000であった。
(製造例5)ポリウレタン系ポリマーA5の合成
反応容器内に、予めモレキュラーシーブズ3A(和光純薬工業株式会社製)で脱水したアセトン(和光純薬工業株式会社製、特級)170g及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(日本サイテック社製、TMXDI)120g、ビスヒドロキシメチル酪酸(東京化成工業株式会社製)32g、水素化ビスフェノールAのEO(4モル)付加物(丸善石油化学株式会社製、HBPA―EO4)50g、トリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)50gを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、70℃に加温して一時間保持した後、75℃に昇温し、以後1時間毎に5度ずつ昇温を行い、90℃に達してから更に1時間保持した後、常温まで冷却し、ポリウレタン系ポリマーA5を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、17,000であった。
(製造例6)ポリウレタン系ポリマーA6の合成
反応容器内に、予めモレキュラーシーブズ3A(和光純薬工業株式会社製)で脱水したアセトン(和光純薬工業株式会社製、特級)170g及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(日本サイテック社製、TMXDI)110g、ビスヒドロキシメチル酪酸(東京化成工業株式会社製)32g、水素化ビスフェノールAのEO(4モル)付加物(丸善石油化学株式会社製、HBPA―EO4)50g、トリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)50gを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、70℃に加温して一時間保持した後、75℃に昇温し、以後1時間毎に5度ずつ昇温を行い、90℃に達してから更に1時間保持した後、常温まで冷却し、ポリウレタン系ポリマーA6を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、12,000であった。
−樹脂被覆顔料分散液の製造−
(製造例7)樹脂被覆顔料分散液1〜36の製造
ビーカー内に合成したポリマーA1〜A6を50g入れ、下記表1に示す溶媒を添加して、濃度が50質量%のポリマー溶液になるように調整した。
表1に示す量のポリマー溶液と、表1に示す顔料42g、溶媒20g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いて溶剤及び水を留去し、更に粗大粒子を除くためにこの分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、顔料15質量%含有の樹脂被覆顔料分散液1〜36を得た。
Figure 0006808942
−樹脂エマルジョンの製造−
(製造例8)樹脂エマルジョンB1〜B4の製造
表2に示すビニル系ポリマーを200g、アニオン性界面活性剤(花王(株)製、商品名:「ネオペレックスG−15」)を固形分として10gをメチルエチルケトン200gと混合し、25℃にて溶解させた。その後、イオン交換水600g、25%アンモニア水3.0gを、2000mLのSUS304製ステンレスビーカー中で混合し、超音波ホモジナイザー(ドクターヒールッシャー社製製品名:UP−400S)を用い、30℃400Wで表2に示した時間だけ分散処理した。その後50℃に昇温し、メチルエチルケトンを減圧留去した。その後、イオン交換水にて固形分30質量%に調整し、ビニル系ポリマーA1〜A2から成る樹脂エマルジョンB1〜B4を得た。また、上述した方法により測定した樹脂エマルジョンの体積平均粒径を表2に記載した。
Figure 0006808942
(製造例9)樹脂エマルジョンB5〜B7の製造
表3に示すポリエステル系ポリマーを200g、アニオン性界面活性剤(花王(株)製、商品名:「ネオペレックスG−15」)を固形分として10gをメチルエチルケトン200gと混合し、25℃にて溶解させた。その後、イオン交換水600g、25%アンモニア水3.0gを、2000mLのSUS304製ステンレスビーカー中で混合し、超音波ホモジナイザー(ドクターヒールッシャー社製 製品名:UP−400S)を用い、30℃400Wで表3に示した時間だけ分散処理した。その後50℃に昇温し、メチルエチルケトンを減圧留去した。その後、イオン交換水にて固形分30質量%に調整し、ポリエステル系ポリマーA3〜A4から成る樹脂エマルジョンB5〜B7を得た。また、上述した方法により測定した樹脂エマルジョンの体積平均粒径を表3に記載した。
Figure 0006808942
(製造例10)樹脂エマルジョンB8〜B13の製造
表4に示すポリウレタン系ポリマーを適量のアセトンで希釈し、固形分40%に調整しポリウレタンのアセトン溶液を得た。このポリウレタンのアセトン溶液150g、アニオン性界面活性剤(花王(株)製、商品名:「ネオペレックスG−15」)を固形分として10g、トリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製、特級)8g、イオン交換水600gを加えた後に、2000mLのSUS304製ステンレスビーカー中で混合し、超音波ホモジナイザー(ドクターヒールッシャー社製 製品名:UP−400S)を用い、30℃400Wで表4に示した時間だけ分散処理した。その後50℃に昇温し、エバポレータを用いてアセトンを減圧留去した。その後、イオン交換水にて固形分30質量%に調整し、ポリウレタン系ポリマーA5〜A6から成る樹脂エマルジョンB8〜B13を得た。また、上述した方法により測定した樹脂エマルジョンの体積平均粒径を表4に記載した。
Figure 0006808942
−記録用インクの作製−
各記録用インクの製造は、以下の手順で行った。
まず、下記表5に示す、水溶性有機溶剤、浸透剤、界面活性剤、防カビ剤、脂肪族ジアルコール、及び水を混合し、1時間撹拌を行い均一に混合した。この混合液に対して樹脂エマルジョンを添加して1時間撹拌し、樹脂被覆顔料分散液、消泡剤を添加し、1時間撹拌した。この分散液を平均孔径0.8μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、実施例1〜24及び比較例1〜12の各記録用インクを作製した。
インクの処方を表5−1及び表5−2に示した。
Figure 0006808942
Figure 0006808942
表中の数値は質量部を示す。
表5−1及び表5−2中の略号などは下記の意味を表す。
*ゾニールFS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル(Dupont社製、成分40質量%)
*ソフタノールEP−7025:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(日本触媒株式会社製、成分100質量%)
*ユニダインDSN−403N:パーフルオロアルキルポリエチレンオキシド付加反物
(ダイキン工業株式会社製、成分100質量%)
*Proxel GXL:1,2−benzisothiazolin−3−oneを主成分とした防カビ剤(アビシア社製、成分20質量%、ジプロピレングリコール含有)
*KM−72F:自己乳化型シリコーン消泡剤(信越シリコーン株式会社製、成分100質量%)
*サーフィノールAD01:脂肪族ジアルコール(日信化学工業株式会社、成分100質量%)
以上作製した記録用インクの構成をまとめたものを下記表6に示す。
Figure 0006808942
次に、以下に示す評価方法にて、実施例1〜24及び比較例1〜12の各記録用インクを評価した。結果を表7に示す。
<画像濃度>
実施例および比較例の各記録用インクをインクジェットプリンタ IPSIO GX5500(リコー社製)に充填した。次にLumi Art Gloss 130gsm 紙 (Stora Enso社製)をセットし、マイクロソフトワード2000で作成した64point文字「四角」の記載のあるチャートを、解像度600dpiで印字した。なお、「四角」とは、四角を塗り潰した文字(符号)であるが、使用禁止のため止むを得ず「四角」と表現したものである。
乾燥後の印刷物について、反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて画像濃度を測定し、下記基準で評価した。△までが許容範囲である。
〔評価基準〕
◎:Black : 1.6以上
Yellow : 1.1以上
Magenta: 1.4以上
Cyan : 1.6以上
○:Black : 1.3以上、1.6未満
Yellow : 1.0以上、1.1未満
Magenta: 1.1以上、1.4未満
Cyan : 1.3以上、1.6未満
△:Black : 1.1以上、1.3未満
Yellow : 0.8以上、1.0未満
Magenta: 0.9以上、1.1未満
Cyan : 1.1以上、1.3未満
×:Black : 1.1未満
Yellow : 0.8未満
Magenta: 0.9未満
Cyan : 1.1未満
<耐擦過性>
実施例および比較例の各記録用インクをインクジェットプリンタ IPSIO GX5500(リコー社製)に充填した。次にLumi Art Gloss 130gsm 紙 (Stora Enso社製)をセットし、600dpiの解像度で印字を行った。印刷乾燥後、1.2mm四方に切ったLumi Art Gloss 130gsm 紙で印字部を20回擦り、紙へのインク付着汚れを、反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて測定し、擦った紙の地肌色を差し引いた濃度を下記基準で評価した。△までが許容範囲である。
〔評価基準〕
◎:転写濃度が0.13未満
○:転写濃度が0.13以上0.17未満
△:転写濃度が0.17以上0.20未満
×:転写濃度が0.20以上
<光沢性>
実施例および比較例の各記録用インクをインクジェットプリンタ IPSIO GX5500(リコー社製)に充填した。次に光沢メディアであるリコービジネスコートグロス100(地肌60°光沢:21)に解像度1200dpiでベタ印字を行なった。印字乾燥後、アトラス社製光沢度計Micro−Gross60°を用いて、60°光沢を測定し、下記基準で評価した。△までが許容範囲である。
〔評価基準〕
◎:30%以上
○:25%以上30%未満
△:20%以上25%未満
×:20%未満
<経時安定性>
実施例および比較例の各インクを作製後、粘度を測定して初期粘度とした。その後、70℃の恒温槽に2週間静置してから取り出し、再度粘度を測定して保存後粘度とした。前記の初期粘度に対する保存後粘度の変化率を算出して下記基準で評価した。
インクの粘度は、粘度計(RE−550L、東機産業社製)を用いて25℃で測定した。△までが許容範囲である。
〔評価基準〕
◎:粘度変化率が5%未満
○:粘度変化率が5%以上7%未満
△:粘度変化率が7%以上10%未満
×:粘度変化率が10%以上
<吐出安定性>
実施例および比較例の各インクをインクジェットプリンタ IPSIO GX5500(リコー社製)に充填した。Microsoft Word2000にて作成した一色当りA4サイズ用紙の面積5%をベタ画像にて塗りつぶすチャートを連続200枚、マイペーパー(株式会社NBSリコー製)に打ち出し、打ち出し後の各ノズルの吐出乱れから評価した。印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−はやい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。△までが許容範囲である。
〔評価基準〕
◎:吐出乱れなし
○:1ch以上5ch未満で吐出乱れ、もしくは吐出しない部分あり
△:5ch以上10ch未満で吐出乱れ、もしくは吐出しない部分あり
×:10ch以上で吐出乱れ、もしくは吐出しない部分あり
<メンテナンス性>
実施例および比較例の各インクをインクジェットプリンタ IPSIO GX5500(リコー社製)に充填した。前記のプリンタを40℃の恒温槽にデキャップ状態で24時間静置した後に取り出して、プリンタドライバからヘッドリフレッシングを実施して下記基準で評価した。△までが許容範囲である。
〔評価基準〕
◎:ヘッドリフレッシング4回未満に全ノズル吐出する
○:ヘッドリフレッシング4回以上7回未満に全ノズル吐出する
△:ヘッドリフレッシング7回以上10回未満に全ノズル吐出する
×:ヘッドリフレッシング10回以上で全ノズル吐出する
Figure 0006808942
上記表7に示された結果から、顔料被覆樹脂(A)及び樹脂エマルジョンを構成する樹脂(B)の合計の含有率が2質量%以上11質量%以下であり、樹脂(A)及び樹脂(B)は組成が同一の樹脂であり、樹脂(A)及び樹脂(B)の合計の含有量に対する樹脂(B)の含有量の割合が30質量%以上55質量%以下であり、樹脂(B)を含むエマルジョンの体積平均粒径が8〜19nmである実施例のインクは、耐擦過性、光沢性、画像濃度が良好で、さらに経時安定性、吐出安定性、メンテナンス性に優れていることがわかった。
一方、比較例1や比較例3はインク中の全樹脂の割合が少なかったり、また全樹脂の割合が適正であっても、全樹脂中の樹脂(B)の割合が少ないため、樹脂被覆顔料同士の接着力の低下を招いたり、顔料間の隙間を十分に埋めることができず、耐擦過性や光沢性の悪化がみられた。比較例2や比較例4は全樹脂の割合が多かったり、また全樹脂の割合が適正であっても、全樹脂中の樹脂(B)の割合が多いため、ノズル壁面へ樹脂が付着したり、メニスカス乾燥時の樹脂膜の形成が顕著になってしまい、インクの吐出安定性やヘッドのメンテナンス性の悪化が見られた。また樹脂(B)の割合が多いため経時で樹脂エマルジョンの凝集が発生してしまいインクの安定性も悪かった。
比較例5〜9、12では樹脂(A)と樹脂(B)の樹脂組成が異なっていたため、親和性が弱く、樹脂被覆顔料同士の接着力の低下を招いたり、顔料間の隙間に樹脂エマルジョンがきれいに配置されず、耐擦過性や光沢性の悪化がみられた。また異種の樹脂が混合しているため、顔料や樹脂エマルジョンの分散が不安定になりやすく、経時でインク粘度が大きく変化した。
比較例10は樹脂(B)を含むエマルジョンの粒径が大きいため、画像表面に凹凸が生じ、光沢性の悪化がみられた。またノズル壁面へ樹脂が堆積しやすくなりインクの吐出安定性の悪化がみられた。
比較例11は、樹脂(B)を含むエマルジョンの粒径が小さいため、画像表面を樹脂が密に覆って平滑性が高くなりすぎてしまい、擦過時の摩擦力が高くなり耐擦過性の悪化がみられた。
(図1〜4について)
201 搬送ローラ
202 プラテンローラ
203 記録媒体
204 前処理液付着(塗布)装置
205 前処理液
206 攪拌・供給ローラ
207 移送・薄膜化ローラ
208 塗布ローラ
209 圧力調整装置
300 インクジェット記録装置
301 記録媒体搬送部
302 前処理工程部
303 前処理後乾燥部
304 画像形成工程部
304K、304C、304M、304Y 記録ヘッド
304K−1、304K−2、304K−3、304K−4 ヘッドユニット
305 後処理工程部
306 後処理後乾燥部
307 給紙装置
308 巻き取り装置
309 ヘッドユニットのノズル面
310 印字ノズル
311 ヒートローラ
312 ヒートローラ
313 ヒートローラ
314 ヒートローラ
(図5、図6について)
224 FPCケーブル
401 流路板
402 振動板
403 ノズル板
404 ノズル
405 ノズル連通路
406 液室
408 共通液室
409 インク供給口
421 積層型圧電素子
422 ベース基板
423 支柱部
430 フレーム部材
431 貫通部
432 インク供給穴
451 圧電材料
452 内部電極
453 個別電極
454 共通電極
(図7〜図11について)
1 液体カートリッジ
10 液体収容容器
20 液体供給口
30 液体供給口部
40 キャップ部材
41 密封部
42 保持部
43 情報記憶手段
44 ブリッジ部
51 栓部
52 レバー部
63 凹部
73 凸部
特開2013−248883号公報 特開2001−138629号公報 特開2012−25947号公報 特開2002−265831号公報

Claims (9)

  1. 少なくとも、水、水溶性有機溶剤、樹脂(A)で表面を被覆された樹脂被覆顔料、及び樹脂(B)を含む樹脂エマルジョンを含有するインクであって、
    前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)は、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、又はポリウレタン系ポリマーであり、
    前記インクにおける前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有率が2質量%以上11質量%以下であり、
    前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)は組成が同一の樹脂であり、
    前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有量に対する前記樹脂(B)の含有量の割合が30質量%以上55質量%以下であり、
    前記樹脂(B)を含むエマルジョンの体積平均粒径が8〜19nmであることを特徴とするインク。
    但し、樹脂(A)と樹脂(B)の組成が同一であるとは、樹脂(A)及び樹脂(B)の重合に用いるモノマー種が同一であることを意味しており、重合形態、分子量は異なっていても良い。
  2. 前記樹脂(A)及び樹脂(B)がポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載のインク。
  3. 前記インク中に不飽和結合を有する脂肪族ジアルコールを0.05〜0.7質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインク。
  4. 前記水溶性有機溶剤が、沸点280℃以上300℃以下の水溶性有機溶剤(G)を含有し、かつ少なくとも沸点180℃以上190℃以下の水溶性有機溶剤(X)または沸点190℃以上200℃以下の水溶性有機溶剤(Y)のどちらか一方を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインク。
  5. シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクから選択される1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のインクに刺激を印加し、前記インクを飛翔させて記録用メディア上に画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 請求項6に記載のインクカートリッジと、前記インクカートリッジから供給されるインクに刺激を印加し、前記インクを飛翔させて記録用メディア上に画像を記録するインク飛翔手段とを少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  9. 記録用メディア上に、請求項1〜5のいずれかに記載のインクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
JP2016026140A 2015-03-19 2016-02-15 インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物 Active JP6808942B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015056049 2015-03-19
JP2015056049 2015-03-19
JP2015078364 2015-04-07
JP2015078364 2015-04-07

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016183326A JP2016183326A (ja) 2016-10-20
JP6808942B2 true JP6808942B2 (ja) 2021-01-06

Family

ID=56924564

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016026140A Active JP6808942B2 (ja) 2015-03-19 2016-02-15 インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20160272828A1 (ja)
JP (1) JP6808942B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10233345B2 (en) 2016-03-17 2019-03-19 Ricoh Company, Ltd. Ink set, recording device, and method of recording
JP6957888B2 (ja) * 2017-02-07 2021-11-02 株式会社リコー インク、収容容器及び記録装置
JP6989424B2 (ja) * 2017-03-17 2022-01-05 三洋化成工業株式会社 ポリウレタン樹脂被覆顔料水分散体
JP7026882B2 (ja) 2018-03-16 2022-03-01 株式会社リコー 画像形成方法、及び画像形成装置
CN110272655A (zh) * 2019-07-09 2019-09-24 武汉威仕包装材料有限公司 一种塑料重膜包装袋印刷用水墨及其制备方法

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004189870A (ja) * 2002-12-11 2004-07-08 Fuji Xerox Co Ltd インクジェットインク、並びに、インクジェット記録方法
JP2006008891A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Canon Inc インクジェット記録用カラーインク、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法及びインクジェット記録画像
WO2006046747A1 (en) * 2004-10-28 2006-05-04 Ricoh Company, Ltd. Inkjet recording apparatus and inkjet recording method
JP5030515B2 (ja) * 2006-08-09 2012-09-19 株式会社リコー インクジェット用インク
WO2008032628A1 (en) * 2006-09-15 2008-03-20 Ricoh Company, Ltd. Ink for inkjet recording, ink set for inkjet recording, ink media set for inkjet recording, ink cartridge, inkjet recording method, and inkjet recording apparatus
US8664296B2 (en) * 2008-07-04 2014-03-04 Fujifilm Corporation Ink set for ink jet recording and ink jet recording method
US8173215B2 (en) * 2009-05-29 2012-05-08 Eastman Kodak Company Continuous ink jet ink compositions
JP5523772B2 (ja) * 2009-07-30 2014-06-18 富士フイルム株式会社 インクジェット用インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP2011195762A (ja) * 2010-03-23 2011-10-06 Seiko Epson Corp 水性インク組成物及びこれを用いたインクジェット記録方式の印刷方法
JP5775485B2 (ja) * 2011-09-29 2015-09-09 富士フイルム株式会社 インクジェット画像形成方法
JP5878722B2 (ja) * 2011-09-30 2016-03-08 大日本塗料株式会社 水系顔料インク組成物及びその印刷方法
JP5770664B2 (ja) * 2012-03-21 2015-08-26 富士フイルム株式会社 画像形成方法
JP2014070201A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Fujifilm Corp インクジェット記録用インクセット及び画像形成方法
JP5676734B1 (ja) * 2013-12-27 2015-02-25 株式会社Dnpファインケミカル インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録方法、及び印刷物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
US20160272828A1 (en) 2016-09-22
JP2016183326A (ja) 2016-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5601075B2 (ja) インクジェット用インク、並びにインクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物
US8435339B2 (en) Ink set, ink cartridge, inkjet recording method, and inkjet recording apparatus
JP6808942B2 (ja) インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物
US8845800B2 (en) Image forming method
JP5381015B2 (ja) インクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP6292065B2 (ja) インクジェット記録用インク、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成物
US10174217B2 (en) Ink, ink stored container, image forming method, liquid discharging apparatus, and image
US8722175B2 (en) Liquid composition, recording method, and recorded matter
JP5169179B2 (ja) インク及びインクセット、並びにこれらを用いたインクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
EP2621731A1 (en) Image forming method and image formed matter
WO2016038847A1 (en) Ink, ink set, and inkjet recording device
US10647129B2 (en) Printing method and set of processing fluid and ink
US10689536B2 (en) Ink, image forming method, image forming apparatus, and image formed product
US8979989B2 (en) Ink for inkjet recording, ink cartridge and inkjet recording apparatus
JP2017052930A (ja) インク、インク収容容器及びインクジェット記録装置
JP6613745B2 (ja) インク、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成物
JP2005178132A (ja) インクジェットヘッド及び画像記録装置
JP2019022972A (ja) 画像形成方法、及び画像形成装置
EP2178993B1 (en) Ink set, ink cartridge, inkjet recording method, and inkjet recording apparatus
JP2024047539A (ja) インク、画像形成装置、及び画像形成方法
JP2022191157A (ja) 組成液、液体吐出装置、及び、組成液の製造方法
JP6011182B2 (ja) インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、記録物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191205

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191224

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200605

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200624

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201123

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6808942

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151