JP6808942B2 - インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物 - Google Patents
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Description
特に、インクジェット記録方式は、種々の機構によりインクの小滴を吐出し、記録用紙上に付着させることによりドットを形成し記録を行なうものできわめて簡便な記録方法である。また、インクジェット記録方式は本体が小型で価格が安く、記録時の騒音が少なく、カラー化、高密度化、高速化が進み、近年急速に普及している。
また、顔料を着色剤とするインクにより得られた画像は、着色成分が記録媒体表面近くに残りやすい。このため、着色剤の記録媒体表面への定着が十分でないと、画像を指や紙で擦った際の耐擦過性が悪く、顔料が紙から剥がれ落ちて汚れてしまう。特にコート紙のような普通紙に比べてインクを吸収しにくい紙の場合は紙表面にインク中の顔料が留まりやすく耐擦過性の悪化が顕著であった。
(1)少なくとも、水、水溶性有機溶剤、樹脂(A)で表面を被覆された樹脂被覆顔料、及び樹脂(B)を含む樹脂エマルジョンを含有するインクであって、
前記インクにおける前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有率が2質量%以上11質量%以下であり、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)は組成が同一の樹脂であり、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有量に対する前記樹脂(B)の含有量の割合が30質量%以上55質量%以下であり、
前記樹脂(B)を含むエマルジョンの体積平均粒径が8〜19nmであることを特徴とするインク。
本発明のインクは、水、水溶性有機溶剤、及び着色剤を少なくとも含有し、必要に応じて界面活性剤、浸透剤、その他の成分を含有してなる。
本発明のインクの用途は特に限定されず、インクジェット記録用、スプレー塗工用などの用途で使用できる。特に、インクジェット記録用インクとして使用することが好ましい。
以下では、本発明のインクをインクジェット記録用インクとして用いる場合を例にとって説明する。
本発明のインクは少なくとも、水、水溶性有機溶剤、樹脂(A)で表面を被覆された樹脂被覆顔料、及び樹脂(B)を含む樹脂エマルジョンを含有するインクであって、前記インクにおける前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有率が2質量%以上11質量%以下であり、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)は組成が同一の樹脂であり、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有量に対する前記樹脂(B)の含有量の割合が30質量%以上55質量%以下であり、前記樹脂(B)を含むエマルジョンの体積平均粒径が8〜19nmであることを特徴とする。
また樹脂(B)はエマルジョンとしてインク中に添加したものでもよいが、樹脂(A)と樹脂(B)が同一組成であればよいため、顔料被覆樹脂(A)が顔料から脱離してインク中に遊離したものでもよい。しかし遊離量や粒径を制御することが比較的難しいため、樹脂エマルジョンとしてインク中に添加する方が作業効率の観点から好ましい。
インクを所定の容器に入れ、遠心分離機(himac CS150GX、日立工機株式会社製)にて回転数58000rpmの条件で、6.5時間遠心分離し、容器中のインクの透明な上澄み液全量を採取した。採取した上澄み液を20mg計量し、TG−DTA(Thermo plus TG8120、株式会社リガク製)にて、試料をN2 500ml/minで25℃から500℃まで10℃/minで昇温し、その後Air 500ml/minで500℃で30minホールドして、TG曲線を求めた。得られたTG曲線より上澄み液中の樹脂(B)分の質量%を求め、インク全量に対する樹脂(B)の質量%に換算した。この値をαとする。
また遠心分離をする前のインクを20mg採取し、上記と同様の測定条件にてTG曲線を取得し、インク中の全樹脂量(樹脂(A)+樹脂(B))を質量%で算出し、これをβとする。
上記算出したα及びβより、α/βを行い、前記樹脂(A)及び(B)の合計の含有量に対する樹脂(B)の含有量を算出する。
前記ビニル系ポリマーとしては、(a)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びスチレン系モノマーからなる群より選ばれた1種以上のビニル系モノマーと、(b)塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと、(c)前記ビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能な成分とを含有するモノマー組成物を共重合させて得られたポリマーが好ましい。
前記塩生成基を有するカチオン性モノマーとしては、例えば、3級アミン含有不飽和モノマー、アンモニウム塩含有不飽和モノマーなどが挙げられる。その好ましい例としては、例えば、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
前記塩生成基を有するアニオン性モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマーなどが挙げられる。その好ましい例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
前記片末端に重合性官能基を有するマクロマーとしては、例えば、シリコーンマクロマー、スチレン系マクロマー、ポリエステル系マクロマー、ポリウレタン系マクロマー、ポリアルキルエーテルマクロマー、一般式:CH2=C(R5)COO(R6O)pR7(ただし、前記一般式中、R5は水素原子又は低級アルキル基、R6はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1以上30以下の2価の炭化水素基、R7は水素原子又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1以上30以下の1価の炭化水素基、pは1以上60以下の整数を示す)で表されるマクロマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、これらのモノマーは例示であってこれに限定されるものではない。前記低級アルキル基としては、例えば、炭素数1以上4以下のアルキル基などが挙げられる。
前記CH2=C(R5)COO(R6O)pR7のマクロマーとしては、ポリエチレングリコール(2以上30以下)(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(1以上30以下)(メタ)アクリレートが好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを示す。
前記共重合可能な成分の中では、マクロマーが好ましく、シリコーンマクロマー、スチレン系マクロマー及びポリアルキルエーテルマクロマーがより好ましい。
前記ポリエステル系ポリマーは、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られる。
〔アルコール成分〕
原料モノマーであるアルコール成分は、インクの高温での画像保存性及び乾燥後の定着性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むことが好ましい。
なお、本発明において、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物とは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンにオキシアルキレン基を付加した構造全体を意味するものである。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、具体的には下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
x及びyは、アルキレンオキサイドの付加モル数に相当する。さらに、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は2〜7が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜3がさらに好ましい。
また、x個のOR1とy個のR2Oは、各々同一であっても異なっていてもよいが、インクの高温での画像保存性及び乾燥後の定着性の観点から、同一であることが好ましい。
具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)等が挙げられる。前記アルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、初期定着性の観点から、好ましくは1,2−プロパンジオール及び水素添加ビスフェノールAの1種又は2種であり、吐出性の観点から、より好ましくは1,2−プロパンジオールであり、高温での画像保存性の観点から、より好ましくは水素添加ビスフェノールAである。
原料モノマーとして、アルコール成分以外にカルボン酸成分が用いられる。
例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、コハク酸、アルキル基及び/又はアルケニル基を有するコハク酸、アリルアルコール等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸類、デカリンジカルボン酸類等の脂環族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合を有するカルボン酸(不飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂環式カルボン酸)としては、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和脂肪族カルボン酸;テトラヒドロフタル酸等の不飽和脂環式カルボン酸等が挙げられる。反応性の観点から、フマル酸、マレイン酸及びテトラヒドロフタル酸が好ましく、フマル酸がより好ましい。
カルボン酸成分中、芳香族ジカルボン酸の含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、より更に好ましくは82モル%以上であり、また、好ましくは95モル%以下、より好ましくは92モル%以下、更に好ましくは88モル%以下である。
前記ポリウレタン系ポリマーは、任意のジオール化合物とジイソシアネート化合物を重付加させて得られる。このとき、好適なインクジェット適性を得るため、モノオール、トリオール化合物やモノイソシアネート、トリイソシアネート化合物を使用することもでき、また、所望の分子量を得るため、ジアミン、トリアミン、テトラアミン化合物を添加することも任意である。
上記のジオール化合物やジイソシアネート化合物は、炭素数1〜22の環構造を有していてもよい炭化水素基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、エーテル基等の任意の官能基を有していてもよい。
樹脂エマルション(B)は前記ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマーを水性媒体と混合して、水性分散液として得られる。
前記水性媒体とは、水を主成分とするもの、すなわち、水の含有量が50質量%以上の媒体である。環境安全性の観点から、水性媒体中の水の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは実質的に100質量%である。水 以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等の、水に溶解する有機溶媒が挙げられる。
樹脂(B)の体積平均粒子径が8nm未満であると、インク中の粘度が高くなりすぎてしまう可能性がある。また樹脂粒子の粒径が小さすぎると紙で画像を擦った際の摩擦係数が上昇してしまい耐擦過性が悪化する可能性がある。一方、樹脂(B)の体積平均粒子径が19nmを超えると画像表面が粗くなって光沢が低下してしまったり、インクジェットヘッドのノズル内壁に樹脂粒子が堆積しやすくなり吐出安定性が悪化したりする可能性がある。
樹脂(B)の体積平均粒子径は下記の方法に従って測定することができる。
また、インク中の樹脂エマルジョンの粒径を測定する場合は、インク中には顔料が含まれており、UPA−150では樹脂(B)の粒径は測定できない。その場合は、まずインクを凍結試料作成装置(JFDII EM−19500)で凍結させ、割断面を作成する。その後、割断面をカーボン蒸着し、蒸留水にて洗浄を行って、カーボンのレプリカ膜を作成し、それを透過型電子顕微鏡(JEM2100−M)にて加速電圧200kVで観察することによって樹脂(B)の粒径を測定することができる。
本発明ではインク中に不飽和結合を有する脂肪族ジアルコールをインク中の含有量として0.05〜0.7質量%含有することが好ましく、0.05〜0.25%であることがさらに好ましい。インク中に樹脂エマルジョンを添加すると、ヘッドからのインクの連続吐出において樹脂がノズルの内壁に付着してしまうことがある。樹脂が壁面に堆積されていくと、インクがノズルから正常に吐出されず、インク滴の速度が変化したり、曲がったり、サテライトが増加したりすることで画像品質を悪化させてしまうことがある。本発明では不飽和結合を有した脂肪族アルコールをインク中に含有させることでノズル壁面の樹脂の付着を抑制できることがわかった。この理由は定かではないが、不飽和結合を有した脂肪族アルコールが離型作用を発揮するためと考えられる。
本発明のインクは水溶性有機溶剤を含有する。
前記水溶性有機溶剤としては、沸点280℃以上300℃以下の水溶性有機溶剤(G)を含有し、かつ少なくとも沸点180℃以上190℃以下の水溶性有機溶剤(X)または沸点190℃以上200℃以下の水溶性有機溶剤(Y)のどちらか一方を含有することが好ましい。
本発明では耐擦過性、光沢性向上を目的として、樹脂エマルジョンを添加している。このことによりノズルのメニスカス部では乾燥により樹脂膜が形成されやすくなって、プリンタのメンテナンス性が悪化してしまう可能性が考えられる。プリンタのメンテナンス性を良好にするためには、高沸点溶剤を添加してインクとして乾燥しにくくすることが考えられるが、画像の乾燥性も同時に悪くなってしまう。これによりプリンタ出力時、印字直後に搬送ローラと接触することにより発生するオフセットや画像出力直後に画像が積み重ねられて荷重がかかることで発生するブロッキングが悪化する可能性がある。
水溶性有機溶剤(X)と(Y)は沸点が200℃以下であるため、プリンタで印字した画像の乾燥性が良好になりやすい。水溶性有機溶剤(G)は沸点が280℃以上であるため、プリンタのメンテナンス性を良好に保つことができる。
また、水溶性有機溶剤(Y)としては、沸点190℃以上200℃以下であれば適宜用いることができるが、例えば、1,2−ブタンジオール(沸点193℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、及び2−メチル−2,4−ペンタンジオール(沸点198℃)を用いることができる。
前記の沸点280℃以上の水溶性有機溶剤の含有量が2質量%以上であるとプリンタのメンテナンス性が向上し。一方6質量%以下であることにより画像の乾燥性が良好となる。
前記水溶性有機溶剤に加えて他の湿潤剤を用いても良く、そのような湿潤剤としては、尿素化合物、糖を含有するものが好ましい。前記糖類としては、例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)、多糖類が挙げられ、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、前記多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記糖類の還元糖(例えば、糖アルコール〔一般式:HOCH2(CHOH)nCH2OH(n=2以上5以下の整数)〕、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましい。前記糖アルコールとしては、例えば、D−ソルビトール、ソルビタン、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、キシリトールなどが挙げられる。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記水の前記記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機顔料、及び有機顔料のいずれであってもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、などが挙げられる。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
また、本発明で使用する各インクに含有される顔料は、本発明のために新たに製造されたものでも使用可能である。
前記顔料の前記インク中における含有量は、0.1質量%以上、50.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上、20.0質量%以下がより好ましい。
前記界面活性剤として、着色剤の種類や水溶性有機溶剤(湿潤剤)の組み合わせによって分散安定性を損なわず、表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものが好ましく、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が特に好ましい。
更に好ましくは、下記構造式で表されるフッ素系界面活性剤である。
CF3CF2(CF2CF2)m−CH2CH2O(CH2CH2O)nH
ただし、前記構造式中、mは0〜10の整数を表す。nは1〜40の整数を表す。
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、例えば、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−151N(オムノバ社製)などが挙げられる。これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から、DuPont社製のFS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW及びオムノバ社製のポリフォックスPF−151Nが特に好ましい。
(1)アニオン系フッ素系界面活性剤
アニオン系フッ素系界面活性剤としては、下記一般式(2)〜一般式(5)で表されるものが好適である。
ノニオン系フッ素系界面活性剤としては下記の一般式(6)、一般式(7)で表されるものが好適である。
オリゴマー型フッ素系界面活性剤としては下記の一般式(9)、一般式(10)で表されるものが好適である。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社などから容易に入手できる。
本発明の記録用インクは、浸透剤として、炭素数8〜11のポリオール化合物を少なくとも1種を含有することが好ましい。これらは、25℃の水中において0.2質量%〜5.0質量%の間の溶解度を有するものが好ましい。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]が特に好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤などが挙げられる。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイトなどが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどが挙げられる。
本発明の記録用インクは、水溶性有機溶剤(湿潤剤)、及び水、更に必要に応じて浸透剤、界面活性剤及びその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に樹脂エマルジョン、樹脂被覆顔料分散液を添加して攪拌混合して製造する。前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
本発明の記録用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
ここで、前記粘度は、例えば、粘度計(RE−550L、東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定することができる。
前記記録用インクの表面張力としては、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。前記表面張力が、35mN/mを超えると、記録用メディア上のインクのレベリングが起こりにくく、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
前記記録用インクのpHとしては、例えば、7〜12が好ましく、接液する金属部材の腐食防止の観点から8〜11がより好ましい。
本発明の記録用インクの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。これらの着色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うと、多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行うと、フルカラー画像を形成することができる。
本発明のインクは、容器に収容してインクカートリッジとして用いることができ、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を付設してもよい。
以下、本発明のインクカートリッジの実施の形態について図7〜9を参照して説明する。
図7は同インクカートリッジの外観斜視説明図、図8は同インクカートリッジのインク供給口部分のキャップ部材装着前の斜視説明図、図9は同インク供給口部分の分解斜視説明図である。
インク供給口部30は、インク収容部10に固定した口部材31と、口部材31の開口部31a内に配置され、インク供給口20が設けられた回転規制部材32と、インク収容部10の口部材31の開口部31a内に回転規制部材32を固定する固定部材33とを有し、固定部材33にキャップ部材40を装着している。
本発明で用いる記録媒体としては特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本発明で用いる記録媒体として、印刷用塗工紙であることが好ましい。印刷用塗工紙は一般的に普通紙よりもインク吸収性に劣るので、インクジェットに適用するためには印字後の乾燥手段と組み合わせて用いることが多いが画像の乾燥性に課題があった。本発明のインクは印刷用塗工紙に印字しても画像の乾燥性を満足することができる。
前記の市販品の中でもLumi Art Gloss紙を用いることが好ましい。Lumi Art Gloss紙はインク吸収性が低いため公知のインクジェットインクを使用すると満足な画像の乾燥性が得られないことがあるが、本発明のインクを用いると良好な乾燥性を得ることができる。
図1は本発明が適用されるインクジェット記録装置の模式図である。本発明が適用されるインクジェット記録装置300は記録媒体搬送部301と、記録媒体203に前処理液を塗布する前処理工程部302、画像形成工程部304、画像形成工程後の記録媒体に後処理液を塗布する後処理工程部305で構成されている。
図に示すように搬送ローラ201によって連続紙などの被記録媒体203は前処理液塗布装置204内に搬送される。前処理液塗布装置204には、前処理液205が貯留されており、前処理液205は攪拌・供給ローラ206、移送・薄膜化ローラ207によって塗布ローラ208のローラ面に薄膜状に転写される。
そして、塗布ローラ208は回転するプラテンローラ202に押し付けられながら回転し、その間を被記録媒体203が通過することで、表面に前処理液205を塗布する。
また塗布量については塗布ローラ208、プラテンローラ202の回転速度を変えることで調節することも可能である。塗布ローラ208,プラテンローラ202は駆動モーターなどの動力源によって駆動され、その動力源のエネルギーを変えることで回転速度を変化させ、塗布量を調節できる。
なお、インクの種類もKCMYに限らずライトシアンなどのフォトインク等を適用することもできる。
後述するこの後処理液は、記録用メディア上に透明な保護層を形成し得る成分を含有する。
本実施形態における後処理工程では、記録用メディアの画像表面の全体にわたって塗布しても、画像表面の特定の部分のみに塗布してもよい。より好ましくは印刷条件(記録媒体の種類や用紙に吐出されるインク量等)に応じて塗布量、塗布方法を変えることが望ましい。
後処理後乾燥装置は例えば図1のようなヒートローラ313、314からなる。この装置によれば、後処理液を塗布された連続紙は搬送ローラにより、ヒートローラに搬送される。ヒートローラは高温に熱せられており、後処理液を塗布された連続紙は、ヒートローラからの接触伝熱により、水分が蒸発し、乾燥される。乾燥手段としてはこれに限らず、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、温風装置などを適用することもでき、単体の装置を用いるのではなく例えばヒートローラと温風装置を組み合わせるなどをしても良い。
乾燥後の用紙は巻き取り装置308によって巻き取られるが、この巻き取り時の押圧が大きい場合には、裏面へ画像が転写する可能性がある。その際は必要に応じて図1のような巻き取り前乾燥部315を設けることも可能である。なお、この乾燥手段も上記に記載した構成(例えばヒートローラと温風装置の組み合わせ等)を適用することができる。
次に、この画像形成装置における記録ヘッドを構成する液滴吐出ヘッドの一例について図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図6は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
そして、振動板402の周縁部をフレーム部材430に接合し、このフレーム部材430には、圧電素子421及びベース基板422などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部431及び共通液室408となる凹部、この共通液室408に外部からインクを供給するためのインク供給穴432を形成している。このフレーム部材430は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
この振動板402に圧電素子421及び支柱部423を接着剤接合し、更にフレーム部材430を接着剤接合している。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録された記録物は、本発明のインク記録物である。
本発明のインク記録物は、前記記録媒体上に、本発明の前記記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
(製造例1)ビニル系ポリマーA1の合成
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成し、ビニル系ポリマーA1を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、15,000であった。
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.55gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール4.95g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成し、[ビニル系ポリマーA2]を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、11,000であった。
温度計、撹拌装置、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した内容積10Lの四つ口フラスコに、ビスフェノールAポリオキシプロピレン(2.2)付加物3500g、ビスフェノールAポリオキシエチレン(2.0)付加物1625g、水素化ビスフェノールA1180g、イソフタル酸3088g、酸化ジブチルスズ20gを入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、230℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、230℃で5時間反応を行った後、180℃まで降温し、フマル酸を116g加えた。200℃まで3時間かけて昇温を行った後、200℃8kPaにて反応させて、ポリエステル系ポリマーA3を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、18,000であった。
温度計、撹拌装置、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した内容積10Lの四つ口フラスコに、ビスフェノールAポリオキシプロピレン(2.2)付加物3500g、ビスフェノールAポリオキシエチレン(2.0)付加物1625g、水素化ビスフェノールA1180g、イソフタル酸2722g、酸化ジブチルスズ20gを入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、230℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、230℃で5時間反応を行った後、180℃まで降温し、フマル酸を464g加えた。200℃まで3時間かけて昇温を行った後、200℃8kPaにて反応させて、ポリエステル系ポリマーA4を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、12,000であった。
反応容器内に、予めモレキュラーシーブズ3A(和光純薬工業株式会社製)で脱水したアセトン(和光純薬工業株式会社製、特級)170g及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(日本サイテック社製、TMXDI)120g、ビスヒドロキシメチル酪酸(東京化成工業株式会社製)32g、水素化ビスフェノールAのEO(4モル)付加物(丸善石油化学株式会社製、HBPA―EO4)50g、トリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)50gを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、70℃に加温して一時間保持した後、75℃に昇温し、以後1時間毎に5度ずつ昇温を行い、90℃に達してから更に1時間保持した後、常温まで冷却し、ポリウレタン系ポリマーA5を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、17,000であった。
反応容器内に、予めモレキュラーシーブズ3A(和光純薬工業株式会社製)で脱水したアセトン(和光純薬工業株式会社製、特級)170g及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(日本サイテック社製、TMXDI)110g、ビスヒドロキシメチル酪酸(東京化成工業株式会社製)32g、水素化ビスフェノールAのEO(4モル)付加物(丸善石油化学株式会社製、HBPA―EO4)50g、トリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)50gを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、70℃に加温して一時間保持した後、75℃に昇温し、以後1時間毎に5度ずつ昇温を行い、90℃に達してから更に1時間保持した後、常温まで冷却し、ポリウレタン系ポリマーA6を得た。上述した方法により重量平均分子量を測定したところ、12,000であった。
(製造例7)樹脂被覆顔料分散液1〜36の製造
ビーカー内に合成したポリマーA1〜A6を50g入れ、下記表1に示す溶媒を添加して、濃度が50質量%のポリマー溶液になるように調整した。
表1に示す量のポリマー溶液と、表1に示す顔料42g、溶媒20g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いて溶剤及び水を留去し、更に粗大粒子を除くためにこの分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、顔料15質量%含有の樹脂被覆顔料分散液1〜36を得た。
(製造例8)樹脂エマルジョンB1〜B4の製造
表2に示すビニル系ポリマーを200g、アニオン性界面活性剤(花王(株)製、商品名:「ネオペレックスG−15」)を固形分として10gをメチルエチルケトン200gと混合し、25℃にて溶解させた。その後、イオン交換水600g、25%アンモニア水3.0gを、2000mLのSUS304製ステンレスビーカー中で混合し、超音波ホモジナイザー(ドクターヒールッシャー社製製品名:UP−400S)を用い、30℃400Wで表2に示した時間だけ分散処理した。その後50℃に昇温し、メチルエチルケトンを減圧留去した。その後、イオン交換水にて固形分30質量%に調整し、ビニル系ポリマーA1〜A2から成る樹脂エマルジョンB1〜B4を得た。また、上述した方法により測定した樹脂エマルジョンの体積平均粒径を表2に記載した。
表3に示すポリエステル系ポリマーを200g、アニオン性界面活性剤(花王(株)製、商品名:「ネオペレックスG−15」)を固形分として10gをメチルエチルケトン200gと混合し、25℃にて溶解させた。その後、イオン交換水600g、25%アンモニア水3.0gを、2000mLのSUS304製ステンレスビーカー中で混合し、超音波ホモジナイザー(ドクターヒールッシャー社製 製品名:UP−400S)を用い、30℃400Wで表3に示した時間だけ分散処理した。その後50℃に昇温し、メチルエチルケトンを減圧留去した。その後、イオン交換水にて固形分30質量%に調整し、ポリエステル系ポリマーA3〜A4から成る樹脂エマルジョンB5〜B7を得た。また、上述した方法により測定した樹脂エマルジョンの体積平均粒径を表3に記載した。
表4に示すポリウレタン系ポリマーを適量のアセトンで希釈し、固形分40%に調整しポリウレタンのアセトン溶液を得た。このポリウレタンのアセトン溶液150g、アニオン性界面活性剤(花王(株)製、商品名:「ネオペレックスG−15」)を固形分として10g、トリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製、特級)8g、イオン交換水600gを加えた後に、2000mLのSUS304製ステンレスビーカー中で混合し、超音波ホモジナイザー(ドクターヒールッシャー社製 製品名:UP−400S)を用い、30℃400Wで表4に示した時間だけ分散処理した。その後50℃に昇温し、エバポレータを用いてアセトンを減圧留去した。その後、イオン交換水にて固形分30質量%に調整し、ポリウレタン系ポリマーA5〜A6から成る樹脂エマルジョンB8〜B13を得た。また、上述した方法により測定した樹脂エマルジョンの体積平均粒径を表4に記載した。
各記録用インクの製造は、以下の手順で行った。
まず、下記表5に示す、水溶性有機溶剤、浸透剤、界面活性剤、防カビ剤、脂肪族ジアルコール、及び水を混合し、1時間撹拌を行い均一に混合した。この混合液に対して樹脂エマルジョンを添加して1時間撹拌し、樹脂被覆顔料分散液、消泡剤を添加し、1時間撹拌した。この分散液を平均孔径0.8μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、実施例1〜24及び比較例1〜12の各記録用インクを作製した。
インクの処方を表5−1及び表5−2に示した。
表5−1及び表5−2中の略号などは下記の意味を表す。
*ゾニールFS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル(Dupont社製、成分40質量%)
*ソフタノールEP−7025:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(日本触媒株式会社製、成分100質量%)
*ユニダインDSN−403N:パーフルオロアルキルポリエチレンオキシド付加反物
(ダイキン工業株式会社製、成分100質量%)
*Proxel GXL:1,2−benzisothiazolin−3−oneを主成分とした防カビ剤(アビシア社製、成分20質量%、ジプロピレングリコール含有)
*KM−72F:自己乳化型シリコーン消泡剤(信越シリコーン株式会社製、成分100質量%)
*サーフィノールAD01:脂肪族ジアルコール(日信化学工業株式会社、成分100質量%)
以上作製した記録用インクの構成をまとめたものを下記表6に示す。
<画像濃度>
実施例および比較例の各記録用インクをインクジェットプリンタ IPSIO GX5500(リコー社製)に充填した。次にLumi Art Gloss 130gsm 紙 (Stora Enso社製)をセットし、マイクロソフトワード2000で作成した64point文字「四角」の記載のあるチャートを、解像度600dpiで印字した。なお、「四角」とは、四角を塗り潰した文字(符号)であるが、使用禁止のため止むを得ず「四角」と表現したものである。
乾燥後の印刷物について、反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて画像濃度を測定し、下記基準で評価した。△までが許容範囲である。
〔評価基準〕
◎:Black : 1.6以上
Yellow : 1.1以上
Magenta: 1.4以上
Cyan : 1.6以上
○:Black : 1.3以上、1.6未満
Yellow : 1.0以上、1.1未満
Magenta: 1.1以上、1.4未満
Cyan : 1.3以上、1.6未満
△:Black : 1.1以上、1.3未満
Yellow : 0.8以上、1.0未満
Magenta: 0.9以上、1.1未満
Cyan : 1.1以上、1.3未満
×:Black : 1.1未満
Yellow : 0.8未満
Magenta: 0.9未満
Cyan : 1.1未満
実施例および比較例の各記録用インクをインクジェットプリンタ IPSIO GX5500(リコー社製)に充填した。次にLumi Art Gloss 130gsm 紙 (Stora Enso社製)をセットし、600dpiの解像度で印字を行った。印刷乾燥後、1.2mm四方に切ったLumi Art Gloss 130gsm 紙で印字部を20回擦り、紙へのインク付着汚れを、反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて測定し、擦った紙の地肌色を差し引いた濃度を下記基準で評価した。△までが許容範囲である。
◎:転写濃度が0.13未満
○:転写濃度が0.13以上0.17未満
△:転写濃度が0.17以上0.20未満
×:転写濃度が0.20以上
実施例および比較例の各記録用インクをインクジェットプリンタ IPSIO GX5500(リコー社製)に充填した。次に光沢メディアであるリコービジネスコートグロス100(地肌60°光沢:21)に解像度1200dpiでベタ印字を行なった。印字乾燥後、アトラス社製光沢度計Micro−Gross60°を用いて、60°光沢を測定し、下記基準で評価した。△までが許容範囲である。
◎:30%以上
○:25%以上30%未満
△:20%以上25%未満
×:20%未満
実施例および比較例の各インクを作製後、粘度を測定して初期粘度とした。その後、70℃の恒温槽に2週間静置してから取り出し、再度粘度を測定して保存後粘度とした。前記の初期粘度に対する保存後粘度の変化率を算出して下記基準で評価した。
インクの粘度は、粘度計(RE−550L、東機産業社製)を用いて25℃で測定した。△までが許容範囲である。
◎:粘度変化率が5%未満
○:粘度変化率が5%以上7%未満
△:粘度変化率が7%以上10%未満
×:粘度変化率が10%以上
実施例および比較例の各インクをインクジェットプリンタ IPSIO GX5500(リコー社製)に充填した。Microsoft Word2000にて作成した一色当りA4サイズ用紙の面積5%をベタ画像にて塗りつぶすチャートを連続200枚、マイペーパー(株式会社NBSリコー製)に打ち出し、打ち出し後の各ノズルの吐出乱れから評価した。印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−はやい」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。△までが許容範囲である。
◎:吐出乱れなし
○:1ch以上5ch未満で吐出乱れ、もしくは吐出しない部分あり
△:5ch以上10ch未満で吐出乱れ、もしくは吐出しない部分あり
×:10ch以上で吐出乱れ、もしくは吐出しない部分あり
実施例および比較例の各インクをインクジェットプリンタ IPSIO GX5500(リコー社製)に充填した。前記のプリンタを40℃の恒温槽にデキャップ状態で24時間静置した後に取り出して、プリンタドライバからヘッドリフレッシングを実施して下記基準で評価した。△までが許容範囲である。
◎:ヘッドリフレッシング4回未満に全ノズル吐出する
○:ヘッドリフレッシング4回以上7回未満に全ノズル吐出する
△:ヘッドリフレッシング7回以上10回未満に全ノズル吐出する
×:ヘッドリフレッシング10回以上で全ノズル吐出する
比較例10は樹脂(B)を含むエマルジョンの粒径が大きいため、画像表面に凹凸が生じ、光沢性の悪化がみられた。またノズル壁面へ樹脂が堆積しやすくなりインクの吐出安定性の悪化がみられた。
比較例11は、樹脂(B)を含むエマルジョンの粒径が小さいため、画像表面を樹脂が密に覆って平滑性が高くなりすぎてしまい、擦過時の摩擦力が高くなり耐擦過性の悪化がみられた。
201 搬送ローラ
202 プラテンローラ
203 記録媒体
204 前処理液付着(塗布)装置
205 前処理液
206 攪拌・供給ローラ
207 移送・薄膜化ローラ
208 塗布ローラ
209 圧力調整装置
300 インクジェット記録装置
301 記録媒体搬送部
302 前処理工程部
303 前処理後乾燥部
304 画像形成工程部
304K、304C、304M、304Y 記録ヘッド
304K−1、304K−2、304K−3、304K−4 ヘッドユニット
305 後処理工程部
306 後処理後乾燥部
307 給紙装置
308 巻き取り装置
309 ヘッドユニットのノズル面
310 印字ノズル
311 ヒートローラ
312 ヒートローラ
313 ヒートローラ
314 ヒートローラ
224 FPCケーブル
401 流路板
402 振動板
403 ノズル板
404 ノズル
405 ノズル連通路
406 液室
408 共通液室
409 インク供給口
421 積層型圧電素子
422 ベース基板
423 支柱部
430 フレーム部材
431 貫通部
432 インク供給穴
451 圧電材料
452 内部電極
453 個別電極
454 共通電極
1 液体カートリッジ
10 液体収容容器
20 液体供給口
30 液体供給口部
40 キャップ部材
41 密封部
42 保持部
43 情報記憶手段
44 ブリッジ部
51 栓部
52 レバー部
63 凹部
73 凸部
Claims (9)
- 少なくとも、水、水溶性有機溶剤、樹脂(A)で表面を被覆された樹脂被覆顔料、及び樹脂(B)を含む樹脂エマルジョンを含有するインクであって、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)は、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、又はポリウレタン系ポリマーであり、
前記インクにおける前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有率が2質量%以上11質量%以下であり、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)は組成が同一の樹脂であり、
前記樹脂(A)及び前記樹脂(B)の合計の含有量に対する前記樹脂(B)の含有量の割合が30質量%以上55質量%以下であり、
前記樹脂(B)を含むエマルジョンの体積平均粒径が8〜19nmであることを特徴とするインク。
但し、樹脂(A)と樹脂(B)の組成が同一であるとは、樹脂(A)及び樹脂(B)の重合に用いるモノマー種が同一であることを意味しており、重合形態、分子量は異なっていても良い。 - 前記樹脂(A)及び樹脂(B)がポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載のインク。
- 前記インク中に不飽和結合を有する脂肪族ジアルコールを0.05〜0.7質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインク。
- 前記水溶性有機溶剤が、沸点280℃以上300℃以下の水溶性有機溶剤(G)を含有し、かつ少なくとも沸点180℃以上190℃以下の水溶性有機溶剤(X)または沸点190℃以上200℃以下の水溶性有機溶剤(Y)のどちらか一方を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインク。
- シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクから選択される1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のインクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のインクに刺激を印加し、前記インクを飛翔させて記録用メディア上に画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項6に記載のインクカートリッジと、前記インクカートリッジから供給されるインクに刺激を印加し、前記インクを飛翔させて記録用メディア上に画像を記録するインク飛翔手段とを少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
- 記録用メディア上に、請求項1〜5のいずれかに記載のインクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
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