JP5169179B2 - インク及びインクセット、並びにこれらを用いたインクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献3には、強塩基性物質を含むインクが提案されているが、ロジンサイズされた酸性紙では効果があるものの、アルキルケテンダイマー及びアルケニルスルホコハク酸をサイズ剤とした紙には効果がなく、酸性紙でも2色重ね部分では効果がない。
また、特許文献4には、多価アルコール誘導体及びペクチンを含有するインクが提案されている。これは増粘剤としてペクチンを添加し、滲みを防止するものであるが、ペクチンは水酸基を親水基とする非イオン性であるため、印字休止後の吐出安定性に欠けるという問題があった。前記問題に対しては、カラー画像を形成する際に、マルチパス印字を行い、紙に対するインクの浸透量を抑えて画像濃度を向上させることで現状は対応しているが、より高速な印字をするためには、紙に対するインクの浸透性については、2次色での紙の厚み方向への浸透を抑えることが課題となっている。
また、特許文献8には、画像の色境界にじみを防止するため、着色剤が顔料であるインクが、着色剤が染料であるインクに接触することで凝集又は増粘するインクセットが提案されている。しかし、この提案のインクセットを用いた画像のうち、染料インクで記録した画像部分の耐水性及び耐光性は顔料インクで記録した画像部分より劣るため、経時での画像全体のカラーバランスに欠けるという問題がある。
しかし、これらの提案は、いずれも普通紙上での高い文字品位を達成するため、インク中の顔料濃度及び樹脂添加量の多い高固形分のインクであり、十分な吐出信頼性を維持することは困難なものである。
<1> 少なくとも水分散性着色剤、水分散性樹脂、湿潤剤、浸透剤、及び水を含有してなり、
前記水分散性着色剤が、(1)分散剤の不存在下で水に分散可能な黒顔料分散体、及び(2)ポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性である有機顔料を含有してなる、少なくとも3つの異なる色相のポリマーエマルジョンを含有することを特徴とするインクである。
<2> 水分散性着色剤及び水分散性樹脂のインクにおける合計固形分含有量が、12質量%〜16質量%である前記<1>に記載のインクである。
<3> 少なくとも3つの異なる色相のポリマーエマルジョンが蛍光性を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクである。
<4> 少なくとも3つの異なる色相を有するカラーインク、及び黒インクからなるインクセットであって、
前記カラーインクが、着色剤としてポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性の有機顔料を含有してなるポリマーエマルジョンを含み、
前記黒インクが、前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクであることを特徴とするインクセットである。
<5> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のインク、又は前記<4>に記載のインクセットにおける各インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<6> 少なくとも3つの異なる色相を有するカラーインク、及び黒インクからなるインクセットにおける各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録媒体上にカラー画像を記録するインク飛翔工程を含むインクジェット記録方法において、
前記カラーインクが、着色剤としてポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性の有機顔料を含有してなるポリマーエマルジョンを含み、
前記黒インクが、前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法である。
<7> 記録媒体表面の60度光沢度が40以下である前記<6>に記載のインクジェット記録方法である。
<8> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<6>から<7>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<9> 少なくとも3つの異なる色相を有するカラーインク、及び黒インクからなるインクセットにおける各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録媒体上にカラー画像を記録するインク飛翔手段を有するインクジェット記録装置において、
前記カラーインクが、着色剤としてポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性の有機顔料を含有してなるポリマーエマルジョンを含み、
前記黒インクが、前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録装置である。
<10> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<9>に記載のインクジェット記録装置である。
<11> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のインク、又は前記<4>に記載のインクセットを用いて、記録媒体上に形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
<12> 前記<3>に記載のインク、又は前記<3>に記載のインクを用いて記録媒体上に形成したインク記録物に単色光を照射した際に表れる特定の蛍光スペクトルによりインクの種類を判定することを特徴とするインクの同定方法である。
前記水分散性着色剤が、(1)分散剤の不存在下で水に分散可能な黒顔料分散体、及び(2)ポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性である有機顔料を含有してなる、少なくとも3つの異なる色相のポリマーエマルジョンを含有する。
本発明のインクにおいては、前記(1)分散剤の不存在下で水に分散可能な黒顔料分散体としては、好ましくはカーボンブラック表面の酸化処理による自己分散型カーボンブラックが用いられる。前記黒顔料分散体は、インク中の添加量を高くすることで、黒文字品位、画像濃度を上げることができるが、画像定着性に劣る。また、水分散性樹脂を添加することで、画像定着性を付与できるが、インクジェット記録における吐出信頼性に欠け、また光沢紙上の画像光沢を得ることが困難である。一方、前記(2)少なくとも3つの色相の異なるポリマーエマルジョンを添加することにより、前記黒顔料分散体、及び水分散性樹脂の添加量を抑えることができ、黒文字品位に代表される画像特性を落とすことなく、吐出信頼性を確保することができる。更に好ましくは蛍光性を有する有機顔料を添加することで、カーボンブラックのみでは同定できない単色光によるインク又はインク記録物の同定が可能となる。
本発明のインクは、少なくとも水分散性着色剤、水分散性樹脂、湿潤剤、浸透剤、及び水を含有してなり、界面活性剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記水分散性着色剤は、(1)分散剤の不存在下で水に分散可能な黒顔料分散体、及び(2)ポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性である有機顔料を含有してなる、少なくとも3つの異なる色相のポリマーエマルジョンを含有する。
前記(1)の黒顔料分散体と、前記(2)の少なくとも3つの異なる色相のポリマーエマルジョンとの混合割合は、前記(1)の黒顔料分散体100質量部に対し、前記(2)のポリマーエマルジョンの合計量が10質量部〜1,000質量部であることが好ましく、50質量部〜300質量部がより好ましい。
前記自己分散性顔料の体積平均粒径(D50)は、インク中において0.01μm〜0.16μmが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類;銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
前記黒色顔料に使用されるカーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックであり、一次粒径が15nm〜40nm、BET法による比表面積が、50m2/g〜300m2/g、DBP吸油量が、40ml/100g〜150ml/100g、揮発分が0.5%〜10%、pHが2〜9を有するものが好ましい。
このようなカーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、Raven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255(いずれも、コロンビア社製);Regal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch700、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160、カラーブラックS170、プリンテックス35、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック6、スペシャルブラック5、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック4(いずれも、デグッサ社製)、などが挙げられる。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2、−SO2NH2、−SO2NHCOR(ただし、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表す)などが挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SO3Mがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
前記「水不溶性又は水難溶性」とは、20℃で水100質量部に対し有機顔料が10質量部以上溶解しないことを意味する。また、前記「溶解する」とは、目視で水溶液表層又は下層に有機顔料の分離や沈降が認められないことを意味する。
前記少なくとも3つの異なる色相のポリマーエマルジョンは蛍光性を有することが好ましい。
前記「蛍光性を有する」とは、特定波長の光(励起光)を吸収して励起状態となり、該励起状態から基底状態に戻る際に、蛍光としてエネルギーを放出する特性を持つ蛍光物質を含有していることを意味し、各種蛍光分析装置などを用いて蛍光スペクトル測定を行うことで既知の蛍光物質を定量的に確認することができる。
前記「3つの異なる色相」には、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーなどの単一色の明らかに色相の異なる場合の外、本発明では、中間色でも色相角の異なる組み合わせを含む。
前記有機顔料を含有させたポリマー微粒子(着色微粒子)の体積平均粒径は、前記インク中において0.01μm〜0.16μmが好ましい。
前記有機顔料としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ、カーボンブラックなどが挙げられる。
イエロー用では、例えば、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、23、24、34、35、37、42、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、153、などが挙げられる。
マゼンタ用では、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、などが挙げられる。
シアン用では、例えばC.I.ピグメントブルー1、2、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63などが挙げられる。
また、中間色としてはレッド、グリーン、ブルー用として、例えばC.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37、C.I.ピグメントグリーン7,36などが挙げられる。
前記水溶性樹脂としては、例えばスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等;アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つの単量体からなるブロック共重合体、あるいはランダム共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型樹脂であり、これらの中でも質量平均分子量3,000〜20,000のものが、インクジェット用インクに用いた場合に、分散液の低粘度化が可能であり、かつ分散も容易であるという利点があるので特に好ましい。
高分子分散剤を含有することで記録紙への浸透が抑制される。その一方で、高分子分散剤を含有することで自己分散型顔料の凝集が抑えられるため、自己分散型顔料が横方向にスムーズに拡がることができる。そのため、広く薄くドットが拡がり、理想的なドットが形成できると考えられる。
また、前記分散剤として使用できる水溶性界面活性剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤)の具体例としては、下記のものが挙げられる。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリル及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、などが挙げられる。
前記カチオン性界面活性剤としては、例えばアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えばジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
水不溶性の顔料を有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法としては、従来公知のすべての方法を用いることが可能である。従来公知の方法として、化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法などが挙げられる。具体的には、以下の方法が挙げられる。
(i)界面重合法(2種のモノマーもしくは2種の反応物を、分散相と連続相に別々に溶解しておき、両者の界面において両物質を反応させて壁膜を形成させる方法)
(ii)in−situ重合法(液体又は気体のモノマーと触媒、もしくは反応性の物質2種を連続相核粒子側のどちらか一方から供給して反応を起こさせ壁膜を形成させる方法)
(iii)液中硬化被膜法(芯物質粒子を含む高分子溶液の滴を硬化剤などにより、液中で不溶化して壁膜を形成する方法)
(iv)コアセルベーション(相分離)法(芯物質粒子を分散している高分子分散液を、高分子濃度の高いコアセルベート(濃厚相)と希薄相に分離させ、壁膜を形成させる方法)
(v)液中乾燥法(芯物質を壁膜物質の溶液に分散した液を調製し、この分散液の連続相が混和しない液中に分散液を入れて、複合エマルションとし、壁膜物質を溶解している媒質を徐々に除くことで壁膜を形成させる方法)
(vi)融解分散冷却法(加熱すると液状に溶融し常温では固化する壁膜物質を利用し、この物質を加熱液化し、その中に芯物質粒子を分散し、それを微細な粒子にして冷却し壁膜を形成させる方法)
(vii)気中懸濁被覆法(粉体の芯物質粒子を流動床によって気中に懸濁し、気流中に浮遊させながら、壁膜物質のコーティング液を噴霧混合させて、壁膜を形成させる方法)
(viii)スプレードライング法(カプセル化原液を噴霧してこれを熱風と接触させ、揮発分を蒸発乾燥させ壁膜を形成させる方法)
(ix)酸析法(アニオン性基を含有する有機高分子化合物類のアニオン性基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和することで水に対する溶解性を付与し着色剤と共に水性媒体中で混練した後、酸性化合物で中性又は酸性にし、有機化合物類を析出させ着色剤に固着せしめた後に中和し分散させる方法)
(x)転相乳化法(水に対して分散能を有するアニオン性有機高分子類と着色剤とを含有する混合体を有機溶媒相とし、前記有機溶媒相に水を投入するかもしくは、水に前記有機溶媒相を投入する方法)
これらの中ではカルボン酸基又はスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。
また、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート又はそれらの(共)重合体)、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体などが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールの完全ケン物は、水溶性が低く、熱水には解け易いが冷水には解けにくいという性質を有しており特に好ましい。
なお、マイクロカプセル化の方法によって、それに適した有機高分子類を選択することが好ましい。例えば、界面重合法による場合は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エポキシ樹脂などが適している。in−situ重合法による場合には、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどが適している。液中硬化法による場合には、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルブミン、エポキシ樹脂などが適している。コアセルベーション法による場合には、ゼラチン、セルロース類、カゼインなどが適している。また、微細で、かつ均一なマイクロカプセル化顔料を得るためには、前記以外にも従来公知のカプセル化法すべてを利用することが可能である。
また、上記に挙げたようなマイクロカプセル化の際に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルキルアルコール類;ベンゾール、トルオール、キシロール等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;クロロホルム、二塩化エチレン等の塩素化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、などが挙げられる。なお、上記の方法により調製したマイクロカプセルを遠心分離又は濾過などによりこれらの溶剤中から一度分離して、これを水及び必要な溶剤とともに撹拌し、再分散を行い、目的とするインクが得られる。以上の方法で得られるカプセル化顔料の平均粒径は50nm〜180nmが好ましい。
このように樹脂被覆することによって顔料が記録媒体にしっかりと付着することにより、インク記録物の擦過性を向上させることができる。
前記水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水分散性樹脂の添加量を多くできる点から樹脂微粒子が好ましい。
前記分散相成分としての樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン溶液中の樹脂微粒子の含有量:製造後のインク中の含有量ではない)は、一般的には10質量%〜70質量%が好ましい。
また、前記樹脂微粒子の粒径は、特にインクジェット記録装置に使用することを考慮すると、体積平均粒径10nm〜1,000nmが好ましく、100nm〜300nmがより好ましい。この体積平均粒径は樹脂エマルジョン中での粒径であるが、安定なインクの場合、樹脂エマルジョン中の粒径とインク中の樹脂微粒子粒径には大きな違いはない。前記体積平均粒径が大きいほどエマルジョンの添加量を多くすることができる。前記体積平均粒径が、10nm未満であると、エマルジョンの添加量を多くすることができないことがあり、1,000nmを超えると、信頼性が低下することがある。ただし、必ずしもこれ以外の範囲の粒径のエマルジョンでも使用できないことはない。これらはエマルジョン種によらず一般的傾向である。
ここで、前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。具体的には、エマルジョン水溶液を信号レベルの最適範囲内に希釈し、transparency-YES,仮にReflactive Index1.49, Partial Density1.19,Spherical Particles-YES,媒体-水の条件で測定する。ここでは、50%の値を体積平均粒径とした。
前記樹脂エマルジョンとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販の樹脂エマルジョンとしては、例えば、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン;大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン;日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン;サイデン化学株式会社製)、プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂エマルジョン;ローム・アンド・ハース社製)、ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン;東洋インキ製造株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン;御国色素株式会社製)、などが挙げられる。これらの中でも、定着性が良好である点からアクリルシリコーンエマルジョンが特に好ましい。
前記ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(理学電気株式会社製)を用いて測定することができ、具体的には、樹脂エマルジョン水溶液の常温乾燥膜の樹脂片を示差走査熱量計で−50℃付近より昇温し、段差が発生する温度により求めることができる。
前記湿潤剤は、乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止することを目的として添加される。
前記湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、その他の湿潤剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、などが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、などが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン、などが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、などが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、などが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、などが挙げられる。
前記その他の湿潤剤としては、糖を含有してなるのが好ましい。該糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類を含む)、多糖類、などが挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール〔一般式:HOCH2(CHOH)nCH2OH(ただし、n=2〜5の整数を表す)で表される〕、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましく、該糖アルコールとしては、マルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
これら湿潤剤の中でも、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール及び3−メチル−1,3−ブタンジオールが、保存安定性、吐出安定性の点から特に好ましい。
前記浸透剤はインクと記録媒体の濡れ性を向上させ、浸透速度を調整する目的で添加される。
前記浸透剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類;2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等のジオール類;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、着色剤の種類、湿潤剤、浸透剤などの組合せによって、分散安定性を損なわない界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、印刷用紙に印刷する場合には、表面張力が低く、レベリング性の高いものが好ましく、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、フッ素系界面活性剤が特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、特に好ましい。
前記パーフルオロアルキルカルボン化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);Zonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製);PF−151N(オムノバ社製)、などが挙げられる。これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW及びオムノバ社製のPF−151Nが特に好ましい。
(1)アニオン性フッ素系界面活性剤
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社などから容易に入手できる。
前記アセチレングリコール系の界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。該アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品として、例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなどが挙げられる。
このような界面活性剤としては、市販品として日光ケミカルズ株式会社、日本エマルジョン株式会社、日本触媒株式会社、東邦化学株式会社、花王株式会社、アデカ株式会社、ライオン株式会社、青木油脂株式会社、三洋化成工業株式会社などから容易に入手できる。
前記界面活性剤は、これらに限定されるものではなく、単独で用いても、複数のものを混合して用いてもよい。単独ではインク中で容易に溶解しない場合も、混合することで可溶化され、安定に存在することができる。
R1−O−(CH2CH2O)h−R2 ・・・構造式(1)
ただし、前記構造式(1)中、R1は、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基、又は炭素数6〜14の分岐していてもよいパーフルオロアルキル基を表す。R2は、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
ただし、前記構造式(2)中、R1は、炭素数6〜14の分岐していてもよいアルキル基を表す。R2は、水素原子、又は分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。hは、5〜20の整数を表す。
前記含有量が、0.01質量%未満であると、界面活性剤を添加した効果が無くなることがあり、3.0質量%を超えると、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、などが挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、等が挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、等が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等が挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、等が挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、等が挙げられる。
前記粘度は、25℃で、1.0mPa・s〜20mPa・sが好ましく、吐出安定性の観点から3.0mPa・s〜10.0mPa・sがより好ましい。
前記表面張力としては、25℃で、40mN/m以下が好ましく、17mN/m〜40mN/mがより好ましい。前記表面張力が、40mN/m以下であれば、ほとんどの記録用メディアに対しても速やかな定着が可能になる。
前記pHとしては、例えば、3〜11が好ましく、接液する金属部材の腐食防止の観点から6〜10がより好ましい。
本発明のインクセットは、少なくとも3つの異なる色相を有するカラーインク、及び黒インクからなり、
前記カラーインクが、着色剤としてポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性の有機顔料を含有してなるポリマーエマルジョンを含み、
前記黒インクが、本発明の前記インクである。
前記インクジェット記録方法では、インクセットの各インクを熱エネルギーや機械エネルギー等により、印字ノズルから微小液滴として飛翔させ、これを記録媒体上に付着させ、カラー画像を形成させる。
前記記録媒体としては、前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、普通紙及び印刷用塗工紙の少なくともいずれかが好ましい。
前記記録媒体表面の60度光沢度は40以下が好ましく、光沢紙では20〜40がより好ましい。前記60度光沢度が40を超えると、画像光沢が光沢紙の光沢より極端に低下し、画像に違和感を感じることがある。
本発明のインクカートリッジは、本発明のインク、又は本発明の前記インクセットにおける各インクを容器中に収容してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋を少なくとも有するもの、プラスチックケース、などが好適に挙げられる。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段等を有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程等を含む。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、少なくとも3つの異なる色相を有するカラーインク、及び黒インクからなるインクセットにおける各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録媒体上にカラー画像を記録する工程である。
前記インク飛翔手段は、少なくとも3つの異なる色相を有するカラーインク、及び黒インクからなるインクセットにおける各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録媒体上にカラー画像を記録する手段である。
前記カラーインクが、着色剤としてポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性の有機顔料を含有してなるポリマーエマルジョンを含み、
前記黒インクが、本発明の前記インクである
前記インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
また、インクジェットノズルのノズル径は、30μm以下が好ましく、1μm〜20μmが好ましい。
インクを飛翔させるヘッドが、インク吐出面に撥水加工処理を施したノズルプレートを有することが好ましく、該撥水加工が、PTFE−Ni共析加工、フッ素樹脂加工、及びシリコーン樹脂加工から選ばれるいずれかであることが好ましい。
また、インクジェットヘッド上にインクを供給するためのサブタンクを有し、該サブタンクにインクカートリッジから供給チューブを介してインクが補充されるように構成することが好ましい。
前記インクジェット記録方法によるインク付着量は、1.5g/m2〜15g/m2が好ましい。
無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルト表面を帯電させて記録媒体を保持しながら搬送する搬送手段を有することが好ましい。この場合、帯電ローラーに±1.2kV〜±2.6kVのACバイアスを加えて搬送ベルトを帯電させることが特に好ましい。
図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、ヘッド13はインクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン、又はプラスチック板等と発熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成される保護層16、アルミニウム、金、アルミニウム−銅合金等で形成される電極17−1及び17−2、HfB2、TaN、TaAl等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層18、熱酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される蓄熱層19、シリコン、アルミニウム、窒化アルミニウム等の放熱性のよい材料で形成される基板20から構成されている。
ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置される。本実施形態の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
上記ブレード61、キャップ62、及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面に水分、塵埃等の除去が行われる。
インクは、外部の図示しないインクタンクから、インク供給口を通って共通インク室6に供給される。共通インク室6に供給されたインクは、インク供給路7を通って、互いに独立したインク室5にそれぞれ供給される。インク室5は、その底壁8が図6の上下方向に弾性変位可能なダイヤフラムとして機能するように薄肉に形成されている。したがって、この底壁8の部分を、以後の説明の都合上、ダイヤフラム8と称して説明することもある。
本発明のインク記録物は、本発明の前記インク、又は本発明の前記インクセットを用いて、記録媒体上に形成された画像を有してなる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、普通紙及び印刷用塗工紙の少なくともいずれかが好ましい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
本発明のインクの同定方法は、少なくとも3つの異なる色相のポリマーエマルジョンが蛍光性を有する本発明の前記インク、又は該インクを用いて記録媒体上に形成したインク記録物に単色光を照射した際に表れる特定の蛍光スペクトルによりインクの種類を判定することができる。これにより、偽造防止等の認証用インクとして適用可能となる。
前記「蛍光性を有する」とは、上述したとおりの意味を表す。
−表面処理ブラック顔料分散液の調製−
CTAB比表面積が150m2/g、DBP吸油量100ml/100gのカーボンブラック90gを、2.5規定の硫酸ナトリウム溶液3,000mlに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行った。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。
得られたカーボンブラックを水洗し、乾燥させて、固形分30質量%となるよう純水中に分散させ、充分に撹拌してブラック顔料分散液を得た。
得られたブラック顔料分散体の平均粒子径(D50)を測定したところ103nmであった。なお、平均粒子径(D50)の測定は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)を用いた。
−蛍光性を有し、ポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性である有機マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調製−
<ポリマー溶液Aの調製>
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液Aを800g得た。
ポリマー溶液Aを28gと、C.I.ピグメントレッド122を42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、更に粗大粒子を除くためにこの分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、顔料15質量%含有、固形分20質量%のマゼンタポリマー微粒子の水分散体を得た。
得られたマゼンタポリマー微粒子水分散体の平均粒子径(D50)を測定したところ127nmであった。なお、平均粒子径(D50)の測定は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)を用いた。
得られたマゼンタポリマー微粒子分散体は、蛍光分光光度計による測定で蛍光性を有していた。
−蛍光性を有し、ポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性である有機シアン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例2において、C.I.ピグメントレッド122を銅フタロシアニン顔料に変更した以外は、調製例2と同様にして、シアンポリマー微粒子分散体を調製した。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)で測定した平均粒子径(D50)は93nmであった。
得られたシアンポリマー微粒子分散体は、蛍光分光光度計による測定で蛍光性を有していた。
−蛍光性を有し、ポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性である有機イエロー顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例2において、顔料C.I.ピグメントレッド122を顔料C.I.ピグメントイエロー74に変更した以外は、調製例2と同様にして、イエローポリマー微粒子分散体を調製した。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)で測定した平均粒子径(D50)は76nmであった。
得られたイエローポリマー微粒子分散体は、蛍光分光光度計による測定で蛍光性を有していた。
<インクセット1の作製>
(1)下記組成を混合し、これを平均孔径0.45μmのテフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターで濾過して、黒インク1を作製した。
−インク組成−
・調製例1の表面処理ブラック顔料分散液・・・15.0質量%
・調製例2のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・7.0質量%
・調製例3のシアン顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・7.0質量%
・調製例4のイエロー顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・7.0質量%
・アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン(固形分40質量%)・・・12.5質量%
・ジプロピレングリコール・・・20.0質量%
・グリセリン・・・10.0質量%
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2.0質量%
・フッ素系界面活性剤(ゾニールFS−300、DuPont社製)・・・1.0質量%
・デヒドロ酢酸ナトリウム・・・0.2質量%
・イオン交換水・・・残量
−インク組成−
・調製例4のイエロー顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・40.0質量%
・アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン(固形分40質量%)・・・10.0質量%
・1,3−ブタンジオール・・・24.0質量%
・グリセリン・・・8.0質量%
・1,2−ヘキサンジオール・・・1.0質量%
・ソフタノールEP−7025(日本触媒株式会社製)・・・1.0質量%
・イオン交換水・・・残量
−インク組成−
・調製例2のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・50.0質量%
・アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン(固形分40質量%)・・・7.5質量%
・1,3−ブタンジオール・・・24.0質量%
・グリセリン・・・8.0質量%
・1,2−ヘキサンジオール・・・1.0質量%
・ソフタノールEP−7025(日本触媒株式会社製)・・・1.0質量%
・イオン交換水・・・残量
−インク組成−
・調製例3のシアン顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・40.0質量%
・アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン(固形分40質量%)・・・10.0質量%
・1,3−ブタンジオール・・・24.0質量%
・グリセリン・・・8.0質量%
・1,2−ヘキサンジオール・・・1.0質量%
・ソフタノールEP−7025(日本触媒株式会社製)・・・1.0質量%
・イオン交換水・・・残量
<インクセット2の作製>
(5)下記組成を用いる以外は、前記インクセット1の(1)と同様にして、黒インク2を作製した。
−インク組成−
・調製例1の表面処理ブラック顔料分散液・・・8.0質量%
・調製例2のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・16.0質量%
・調製例3のシアン顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・16.0質量%
・調製例4のイエロー顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・16.0質量%
・アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン(固形分40質量%)・・・5.0質量%
・ジプロピレングリコール・・・20.0質量%
・グリセリン・・・10.0質量%
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2.0質量%
・フッ素系界面活性剤(ゾニールFS−300、DuPond社製)・・・1.0質量%
・デヒドロ酢酸ナトリウム・・・0.2質量%
・イオン交換水・・・残量
<インクセット3の作製>
実施例1のインクセット1において、黒インク1の代わりに下記組成の黒インク3を用いた以外は、インクセット1と同様にして、インクセット3を作製した。
−インク組成−
・調製例1の表面処理ブラック顔料分散液・・・26.0質量%
・アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン(固形分40質量%)・・・12.5質量%
・ジプロピレングリコール・・・20.0質量%
・グリセリン・・・10.0質量%
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2.0質量%
・フッ素系界面活性剤(ゾニールFS−300、DuPont社製)・・・1.0質量%
・デヒドロ酢酸ナトリウム・・・0.2質量%
・イオン交換水・・・残量
<インクセット4の作製>
実施例2のインクセット2において、黒インク2の代わりに下記組成の黒インク4を用いた以外は、インクセット2と同様にして、インクセット4を作製した。
−インク組成−
・調製例2のマゼンタ顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・16.0質量%
・調製例3のシアン顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・16.0質量%
・調製例4のイエロー顔料含有ポリマー微粒子分散体・・・16.0質量%
・アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン(固形分40質量%)・・・5.0質量%
・ジプロピレングリコール・・・20.0質量%
・グリセリン・・・10.0質量%
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・2.0質量%
・フッ素系界面活性剤(ゾニールFS−300、DuPont社製)・・・1.0質量%
・デヒドロ酢酸ナトリウム・・・0.2質量%
・イオン交換水・・・残量
サーマルインクジェット方式の各色ノズル径18μm、600dpiピッチの300ノズルを有するインクジェットプリンター、(2)積層PZTを液室流路の加圧に使用した各色ノズル径28μm、(3)200dpiピッチの300ノズルを有するインクジェットプリンター、及び(4)静電アクチュエーターを液室流路の加圧に使用した各色300ノズルを有するインクジェットプリンターを用いて、それぞれ印字を行い、黒文字品位、2色重ね部境界の滲み、色調、及び濃度を目視により総合的に、下記基準で評価した。なお、印字用紙としては、市販の再生紙、上質紙、ボンド紙、及び印刷用グロス紙を用いた。
〔評価基準〕
5:紙種によらず黒文字品位が高く、2色重ね部境界のにじみがなく、画像濃度が高く、鮮明性、色再現性が高い
4:上記5で画像濃度がやや低い
3:色境界滲みは少ないが紙種により文字品位が劣る
2:紙種により色境界滲みが発生する
1:上記2で画像濃度も低く鮮明性に劣る
得られた各画像サンプルを30℃の水に1分間浸漬し、処理前後の画像濃度の変化をX−Rite938(X−Rite社製)にて測定し、下記式から耐水性(耐色率%)を求めた。なお、印字用紙としては、市販の再生紙、上質紙、ボンド紙、及び印刷用グロス紙を用いた。
耐色率(%)=〔1−(処理後の画像濃度/(処理前の画像濃度)〕×100
〔評価基準〕
5:耐色率がいずれの紙でも10%以下である
4:耐色率がいずれの紙でも20%以下である
3:耐色率がいずれの紙でも30%未満である
2:耐色率がいずれの紙でも30%以上である
1:耐色率がいずれの紙でも50%以上である
光沢度計(ビックケミー・ジャパン社製、4501−マイクログロス60°)にて、印刷用グロス紙に印字したブラックベタ画像の60度光沢度と、グロス紙の地肌の60度光沢度とを比較し、以下の基準で評価した。なお、グロス紙の地肌の60度光沢度は25であった。
〔評価基準〕
○:画像光沢度が地肌光沢度以上となる
×:画像光沢度が地肌光沢度より低下する
各インクをポリエチレン容器に入れ、−20℃、5℃、20℃、及び70℃でそれぞれの条件下で3カ月間保存し、それぞれの保存後の表面張力、粘度、沈澱物析出、及び粒子径の変化の有無を調べ、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:どの条件で保存しても、すべての物性の変化が10%未満
×:すべての物性が10%以上変化あり
ノズル径30μm、128ノズルを有するPZTで駆動するヘッドを有するプリンタを使用して動作中にキャップ、クリーニング等が行われないでどれだけ印字休止しても復帰できるかを調べた。23℃、50%RH環境にて1時間休止後、復帰し噴射方向がずれるか、あるいは吐出液滴の質量が変化するかで信頼性を評価し、下記の基準で評価した。
〔評価基準〕
5:特に問題なし
4:滴質量の変化が小であり、噴射方向曲がりが限度内である
3:噴射方向曲がり小である
2:滴質量変化大であるが、目詰まり発生はない
1:顕著な目詰まりが発生した
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適である。
2 シリコン基板
3 ノズルプレート
4 ホウ珪酸ガラス基板
5 インク室
6 共通インク室
7 インク供給路
8 底壁
9 凹部
91 対向壁
92 表面
10 セグメント電極
13 ヘッド
14 インク流路(ノズル)
15 発熱素子基板
16 保護層
17−1、17−2 電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
40 インク収容部
42 栓
44 廃インクを受容するインク吸収体
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
69 ベルト
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 大気連通口
80 インク流路
81 オリフィスプレート
82 振動板
83 圧電素子
84 基板
Claims (12)
- 少なくとも水分散性着色剤、水分散性樹脂、湿潤剤、浸透剤、及び水を含有してなり、
前記水分散性着色剤が、(1)分散剤の不存在下で水に分散可能な黒顔料分散体、及び(2)ポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性である有機顔料を含有してなる、少なくとも3つの異なる色相のポリマーエマルジョンを含有することを特徴とするインク。 - 水分散性着色剤及び水分散性樹脂のインクにおける合計固形分含有量が、12質量%〜16質量%である請求項1に記載のインク。
- 少なくとも3つの異なる色相のポリマーエマルジョンが蛍光性を有する請求項1から2のいずれかに記載のインク。
- 少なくとも3つの異なる色相を有するカラーインク、及び黒インクからなるインクセットであって、
前記カラーインクが、着色剤としてポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性の有機顔料を含有してなるポリマーエマルジョンを含み、
前記黒インクが、請求項1から3のいずれかに記載のインクであることを特徴とするインクセット。 - 請求項1から3のいずれかに記載のインク、又は請求項4に記載のインクセットにおける各インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
- 少なくとも3つの異なる色相を有するカラーインク、及び黒インクからなるインクセットにおける各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録媒体上にカラー画像を記録するインク飛翔工程を含むインクジェット記録方法において、
前記カラーインクが、着色剤としてポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性の有機顔料を含有してなるポリマーエマルジョンを含み、
前記黒インクが、請求項1から3のいずれかに記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。 - 記録媒体表面の60度光沢度が40以下である請求項6に記載のインクジェット記録方法。
- 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項6から7のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 少なくとも3つの異なる色相を有するカラーインク、及び黒インクからなるインクセットにおける各インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて記録媒体上にカラー画像を記録するインク飛翔手段を有するインクジェット記録装置において、
前記カラーインクが、着色剤としてポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性の有機顔料を含有してなるポリマーエマルジョンを含み、
前記黒インクが、請求項1から3のいずれかに記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項9に記載のインクジェット記録装置。
- 請求項1から3のいずれかに記載のインク、又は請求項4に記載のインクセットを用いて、記録媒体上に形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
- 請求項3に記載のインク、又は請求項3に記載のインクを用いて記録媒体上に形成したインク記録物に単色光を照射した際に表れる特定の蛍光スペクトルによりインクの種類を判定することを特徴とするインクの同定方法。
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