<第1実施形態>
以下、第1の発明の第1実施形態に係るゲームシステムについて、図面を参照しつつ説明する。
以下の説明では、本実施形態のゲームシステムにより実現されるゲームの一例として、ゲームをプレイする2人のユーザ(以下、第1ユーザおよび第2ユーザ)がそれぞれモニタを見ながらコントローラを操作して互いに対戦する対戦ゲームを説明する。対戦ゲームは、例えば、第1ユーザおよび第2ユーザが、それぞれ、複数のキャラクタの中から一のキャラクタを選択し、コントローラを操作して自分のキャラクタを相手のキャラクタと戦わせる格闘ゲームである。
また、本実施形態では、この対戦ゲームが、コンピュータゲームが競技として催される大会、いわゆるEスポーツ(Electronic Sports)の大会において行われているものとして説明する。すなわち、本実施形態のゲームシステムは、大会に参加したユーザ用のモニタ33,34(ユーザ用表示部)(図1および図5参照)だけでなく、大会会場に訪れた観客用の大型のモニタ35(観客用表示部)(図1および図5参照)も備えている。
[ハードウェアの構成]
本実施形態のゲームシステムの構成について説明する。図1は、本実施形態に係るゲームシステム1の構成を示すブロック図である。ゲームシステム1は、後述する制御部21が格納されるゲーム装置2と、その外部装置として2つのコントローラ(操作部)31,32、3つのモニタ33,34,35、2つのヘッドホン36,37、少なくとも1つのスピーカ38を備えている。
ゲーム装置2は、ゲームプログラム26aを実行することにより、上述した対戦ゲームを実現する。ゲーム装置2は、その動作を制御するコンピュータである制御部21を備える。制御部21は、例えばCPUであり、ゲーム装置2の動作を制御する。制御部21には、記憶部22、メディアI/F部23、通信I/F部24、および入出力I/F部25が、それぞれバス21aを介して接続されている。
記憶部22は、例えば、大容量記録媒体であるHDD、マスクROMまたはPROMなどの半導体メモリであるROM、および、DRAMまたはSRAMなどから成るRAMで構成される。記憶部22には、後述する動画表示プログラム22a、リプレイ動画データ22b、予想読込時間データ22c、および広告動画データ22dが記憶されている。
メディアI/F部23は、上述の対戦ゲームを実行するためのゲームメディア26を装填可能なインターフェースである。ゲームメディア26は、例えばDVD−ROM等のディスク型記録媒体であり、その中にゲームの実行に必要なゲームプログラム26aおよびゲームデータ26bが記録されている。このゲームデータ26bには、対戦ゲームを実行するために必要な各種データが含まれる。
ゲームプログラム26aおよびゲームデータ26bは、ゲームメディア26から読み込まれて、記憶部22に記憶される。なお、本実施形態では、ゲーム起動時にゲームメディア26内の全てのゲームデータ26bを読み込まず、ゲームの進行状況(例えばゲームシーンの変わり目など)に応じて適宜必要となるゲームデータを読み込む。本明細書では、ゲームメディア26に記録された全ゲームデータと、記憶部22に適宜読み込まれるゲームデータを特に区別せず、「ゲームデータ26b」と表記する。
通信I/F部24は、インターネットまたはLANなどの通信ネットワークに対してゲーム装置2を接続するインターフェースである。例えば、ゲーム装置2は、外部と通信しながらゲームを進行させる場合に、通信I/F部24を介して、他のゲーム装置2との間で、および/または、サーバ装置との間で、データの送受信を行う。
入出力I/F部25は、外部装置である2つのコントローラ31,32、3つのモニタ33,34,35、2つのヘッドホン36,37、少なくとも1つのスピーカ38と信号を通信するインターフェースである。
2つのコントローラ31,32は、それぞれ、第1ユーザおよび第2ユーザによる対戦ゲームを行うための操作を受け付けて、その操作に対応した操作情報をゲーム装置2の制御部21に入力する装置である。コントローラ31,32は、例えばボタン等の操作子が設けられたゲームコントローラである。
モニタ33,34,35は、対戦ゲームにおけるゲーム画像を表示する表示装置であり、例えば液晶ディスプレイである。モニタ33,34,35のうち、モニタ33は、コントローラ31を操作する第1ユーザがゲーム画像を見るためのユーザ用表示部であり、モニタ34は、コントローラ32を操作する第2ユーザがゲーム画像を見るためのユーザ用表示部である。モニタ35は、Eスポーツの大会会場に訪れた観客がゲーム画像を見るための観客用表示部である。
ゲーム画像について、より詳しくは、ゲーム装置2が含むグラフィック処理部(図示略)が、制御部21の指示に従ってゲーム画像を動画形式で描画する。動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてモニタ33,34,35に表示される。なお、本実施形態では、ゲームメディア26からのデータ読み込み中は、ユーザ用のモニタ33,34と観客用のモニタ35とで表示される画像が異なる。これについて、詳細は後述する。
2つのヘッドホン36,37および少なくとも1つのスピーカ38は、対戦ゲームにおけるゲーム音声を出力する装置である。2つのヘッドホン36,37は、それぞれ第1ユーザおよび第2ユーザの頭部に装着されて使用されるユーザ用音響出力装置である。スピーカ38は、Eスポーツの大会会場の観客席にいる観客用の音響出力装置である。
ゲーム音声について、より詳しくは、ゲーム装置2が含むオーディオ処理部(図示略)が、制御部21の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生および合成したあと、そのゲーム音声をアナログ形式にデコードして、ヘッドホン36,37および少なくとも1つのスピーカ38から外部へと出力する。なお、本実施形態では、モニタ33,34,35の表示と同様に、ユーザ用の音響出力装置であるヘッドホン36,37と観客用の音響出力装置であるスピーカ38とで、ゲームメディア26からのデータ読み込み中に出力される音声が異なる。
[制御部の機能的構成]
図1には、ゲーム装置2の制御部21の機能的構成が示される。ゲーム装置2は、ゲームプログラム26aおよび動画表示プログラム22aを実行することにより、ゲーム進行手段41、動画保存手段42、読込手段43、時間取得手段44、動画決定手段45、および出力制御手段46として機能する。
ゲーム進行手段41は、コントローラ31に対する第1ユーザの操作およびコントローラ32に対する第2ユーザの操作に基づいてゲームを進行させる。
動画保存手段42は、モニタ33,34,35に表示されたゲーム動画の動画データを記憶部22に保存する。具体的には、動画保存手段42は、対戦ゲームにおける第1ユーザと第2ユーザとが対戦した対戦画面の動画(対戦動画)を、リプレイ動画データ22bとして記憶部22に記憶する。
なお、本実施形態では、動画保存手段42は、時間と関連付けられたコントローラ31,32の操作情報(キー入力情報)を、動画データとして保存する。すなわち、本明細書および特許請求の範囲における「動画データ」とは、特定の動画を画面上に再現することを可能にするデータであればよく、動画形式のデータだけでなく、動画を再現(または生成)するための情報(例えば、時間と関連付けられたコントローラ31,32の操作情報)も含まれる。
読込手段43は、ゲームの進行状況に応じて記憶媒体であるゲームメディア26からゲーム装置2の記憶部22にゲームデータ26bを読み込む。具体的には、読込手段43は、ゲームの進行状況に応じて、今後のゲームの進行のために読み込む必要があるゲームデータ26bを、ゲームメディア26から読み込む。今後のゲームの進行のために必要となるゲームデータ26bは、ゲームの種類などにより様々であるが、例えば、3次元空間のマップデータ、オブジェクトデータ、キャラクタデータなどである。
読込手段43がゲームデータ26bを読み込むのには、数秒から数十秒の時間がかかる。本実施形態では、ゲーム装置2が動画表示プログラム22aを実行することにより、この読込時間(いわゆるロード時間)に所定の動画を表示する動画表示処理を実行する。動画表示処理は、時間取得手段44、動画決定手段45、および出力制御手段46により実行される。
時間取得手段44は、ゲームデータ26bの読み込みに際して、ゲームデータ26bを読み込むのに要すると予想される予想読込時間を取得する。
詳しく説明すれば、データ読込直前のゲームの進行状況に応じて、今後のゲームの進行のために読み込む必要があるゲームデータ26bは決まり、また、読み込まれるゲームデータ26bのデータ量に応じて、読み込むのに要する時間が概ね決まる。このため、ゲーム進行状況が分かれば、読込に要する時間もある程度予想可能である。従って、本実施形態では、記憶部22に、ゲームの進行状況と対応付けて記憶された予想読込時間のデータである予想読込時間データ22cが記憶されている。時間取得手段44は、ゲームデータ26bが読み込まれる前のゲームの進行状況をゲーム進行手段41から取得する。そして、時間取得手段44は、予想読込時間データ22cから、ゲームデータ26bが読み込まれる前のゲームの進行状況に対応した予想読込時間を取得する。
予想読込時間データ22cは、ゲームの開始前に予め作成され、記憶部22に記憶される。図2に、予想読込時間データ22cにおけるゲームの進行状況と予想読込時間との対応関係の一例を示す。図2に示すように、ゲームの進行状況(例えば本実施形態で例示される対戦ゲームであれば、第1ユーザおよび第2ユーザがそれぞれキャラクタを選択して対戦を開始する状況、対戦が終了した状況、ゲームステージを選択した状況、など)に応じて、読み込まれるゲームデータ(より詳しくは、今後のゲームの進行のために読み込む必要があるゲームデータ)(図例では、ゲームデータX〜Z)は概ね決まっている。このため、例えば、予想読込時間データ22cは、読み込まれるゲームデータ26bのデータ量(図例では、ゲームデータX〜Zの各データ量)に基づき予想読込時間を決定することにより作成される。
なお、記憶部22に記憶される予想読込時間は、必ずしも読み込まれるゲームデータ26bのデータ量を基にして決定されたものでなくてもよい。例えば、予想読込時間データ22cは、ゲームにおける複数の進行状況に対して、それぞれ、どれくらいの読込時間が発生したかを複数回計測し、その計測結果に基づき予想読込時間を決定することにより作成されてもよい。
動画決定手段45は、時間取得手段44により取得された予想読込時間に基づいて、予想読込時間に応じた長さの動画を、後述する出力制御手段46により出力される動画として決定する。本実施形態では、動画決定手段45は、予想読込時間に応じた長さの動画として、予想読込時間と同じ時間または予想読込時間より短い時間の動画を、出力制御手段46により出力される動画として決定する。動画決定手段45は、動画選択手段45aおよび動画生成手段45bを含む。
動画選択手段45aは、予め記憶部22に記憶された広告動画データ22dに含まれる複数の広告動画の中から、取得された予想読込時間と同じ時間または予想読込時間より短い時間の広告動画を選択する。そして、動画決定手段45は、動画選択手段45aが選択した広告動画を、後述する出力制御手段46により出力される動画として決定する。
図3は、広告動画データ22dの一例を説明するための模式図である。広告動画データ22dは、複数の広告動画およびそれら広告動画のそれぞれの動画時間(言い換えれば、動画の再生時間)を含む。広告動画データ22dは、ゲーム開始前に予め作成され、記憶部22に記憶される。例えば、動画選択手段45aは、時間取得手段44が取得した予想読込時間が6秒である場合、記憶部22に記憶された6秒以下の時間の広告動画(図3の例では、動画データAまたは動画データB)選択する。
動画生成手段45bは、動画保存手段42により保存されたリプレイ動画データ22bから、予想読込時間と同じ時間または予想読込時間より短い時間の動画を生成する。そして、動画決定手段45は、動画生成手段45bが生成した動画を、後述する出力制御手段46により出力される動画として決定する。
図4は、動画生成手段45bによる動画の生成を説明するための模式図である。図4では、一回の対戦プレイが複数のラウンドにより構成された対戦ゲームにおいて、動画生成手段45bが、第1ラウンドと第2ラウンドの間の読込時間に表示される動画を生成する例が示される。
第1ラウンドの対戦中、上述の動画保存手段42は、第1ラウンドのリプレイ動画データ22bとして、第1ユーザおよび第2ユーザの操作情報を記憶している。第1ラウンドが終了すると、読込手段43がその状況に応じたゲームデータ26bの読み込みを開始し、また、時間取得手段44は、ゲームデータ26bを読み込むのに要すると予想される予想読込時間を取得する。
その後、動画生成手段45bは、読込を開始する直前の対戦動画、つまり第1ラウンドのリプレイ動画データ22bを用いて、予想読込時間(例えば3秒)より短い時間(例えば2秒)の動画を生成する。本実施形態では、図4に示すように、動画生成手段45bは、リプレイ動画の中の最後のシーンを、予想時間より短い所定時間分だけ抽出して、リプレイ動画を生成する。リプレイ動画の中の最後のシーンは、その対戦(ラウンド)における勝負が決定したシーンであり、観客にとって見る価値の高いシーンである可能性が高いためである。
なお、本実施形態では、動画保存手段42は、記憶部22に記憶したリプレイ動画データ22bを、例えば図4の例を用いれば第2ラウンド開始後など、所定のタイミングで記憶部22から削除する。リプレイ動画データ22bを記憶部22に蓄積することで、記憶部22におけるデータ保存可能な空き領域が縮小されるのを抑制するためである。
このように、本実施形態では、動画決定手段45は、動画選択手段45aが選択した広告動画か、あるいは、動画生成手段45bが生成した動画を、後述する出力制御手段46により出力される動画として決定する。
出力制御手段46は、モニタ33,34,35への出力を制御する。図5は、ゲーム実行中とデータ読み込み中のモニタ33,34,35の表示を説明するための模式図である。図5(A)に示すように、ゲームプレイ中、出力制御手段46は、全てのモニタ33,34,35に、同じゲーム画面を出力する。一方、図5(B)に示すように、ゲームデータ26bを読み込む間、出力制御手段46は、ユーザ用表示部であるモニタ33,34と観客用表示部であるモニタ35とで、異なる映像を表示する。
具体的には、出力制御手段46は、ゲームデータ26bを読み込む間、動画決定手段45が決定した動画を観客用表示部であるモニタ35に出力する。なお、図5(B)では、モニタ35に動画生成手段45bにより生成された動画が表示される例が示される。一方、出力制御手段46は、ゲームデータ26bを読み込む間、動画決定手段45が決定した動画をユーザ用表示部であるモニタ33,34には出力せず、データ読み込み中であることを示す所定の画像を出力する。
[動画表示処理の流れ]
次に、動画表示処理の流れを、図6を参照して説明する。
動画表示処理は、ゲームデータ26bの読み込みに際して開始される。
動画表示処理では、図6に示すように、まず時間取得手段44が、ゲームデータ26bの読み込みに際して、ゲームデータ26bを読み込むのに要すると予想される予想読込時間を取得する(ステップS1)。なお、ゲームデータ26bの読み込み開始のタイミングと予想読込時間の取得タイミングが完全に一致する必要はなく、時間取得手段44は、ゲームデータ26bの読み込み開始の直前または直後に予想読込時間を取得してもよい。
次に、動画決定手段45が、取得された予想読込時間に基づいて、予想読込時間と同じ時間または予想読込時間より短い時間の動画を決定する(ステップS2)。
具体的には、動画選択手段45aが予想読込時間と同じ時間または予想読込時間より短い時間の広告動画を選択するか、あるいは、動画生成手段45bが予想読込時間と同じ時間または予想読込時間より短い時間の動画を生成する。そして、動画決定手段45は、動画選択手段45aが選択した広告動画または動画生成手段45bが生成した動画を、データ読み込み中にモニタ35に表示される動画として決定する。
ステップS2において、動画選択手段45aが広告動画を選択するか、動画生成手段45bが動画を生成するかは、例えば、ゲームの進行状況、予想読込時間の長さ、あるいは読み込まれるゲームデータ量などに応じて、動画決定手段45が決定する。
ステップS2のあと、出力制御手段46が、ゲームデータ26bを読み込む間、動画決定手段45が決定した動画を観客用表示部であるモニタ35に出力して(ステップS3)、動画表示処理は終了する。すなわち、モニタ35には、予想読込時間より短い動画が表示され、その動画が終了したあとに、ゲームデータ26bの読み込みが終了し、ゲームプレイ画面が表示される。
以上をまとめると、本実施形態のゲームシステム1は、第1ユーザおよび第2ユーザの操作をそれぞれ受け付けるコントローラ31,32(操作部)と、ゲーム画像が表示されるモニタ35(表示部)と、ゲームデータ26bが記憶されたゲームメディア26(記憶媒体)と、制御部21(コンピュータ)とを備えたゲームシステム1であって、コントローラ31,32に対するユーザの操作に基づいてゲームを進行させるゲーム進行手段41と、ゲームの進行状況に応じてゲームメディア26から前記ゲームデータ26bを読み込む読込手段43と、前記ゲームデータ26bを読み込む間、所定の動画を前記モニタ35に出力する出力制御手段46と、前記ゲームデータ26bの読み込みに際して、前記ゲームデータ26bを読み込むのに要すると予想される予想読込時間を取得する時間取得手段44と、取得された前記予想読込時間に基づいて、前記予想読込時間に応じた長さの動画を、前記所定の動画として決定する動画決定手段45と、を備える。
[発明の効果]
本実施形態のゲームシステム1によれば、ゲームデータ26bを読み込む間に表示される動画として、予想読込時間に応じた長さの動画が決定され、モニタ35に表示される。これにより、ゲームデータ26bの読み込みが終了することによって、データ読み込み中に表示していた動画が途中で終了されるのを抑制することができる。
また、本実施形態のゲームシステム1によれば、予め記憶部22に、予想読込時間データ22c、すなわち、ゲームの進行状況と対応付けて予想読込時間が記憶されているため、時間取得手段44は、容易に予想読込時間を取得できる。
また、本実施形態のゲームシステム1によれば、出力制御手段46は、ゲームデータ26bを読み込む間、動画決定手段45が決定した動画を、観客用表示部であるモニタ35には出力し、ユーザ用表示部であるモニタ33,34には出力しない。これにより、上述したようなEスポーツの大会などにおいて、観客には動画決定手段45が決定した動画を見せる一方で、ゲームをプレイするユーザには、動画決定手段45が決定した動画を見せないようにしてゲームに集中させることができる。
また、本実施形態のゲームシステム1によれば、動画決定手段45は、動画保存手段42により保存されたリプレイ動画データ22bから、予想読込時間に応じた長さの動画を生成し、出力制御手段46により出力される動画として決定する。このため、予想読込時間に適した動画をモニタ35に表示できる。
(変形例)
第1の発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、第1の発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、ゲームシステム1により実現されるゲームとして、2人のユーザが互いに対戦する対戦ゲームが例示されたが、第1の発明のゲームシステムにより実現されるゲームはこれに限定されない。例えば、ゲームシステムにより実現されるゲームは、3人以上が同時にプレイするゲームであってもよいし、レーシングゲームにおけるタイムアタックなど1人でプレイするゲームであってもよい。
また、ゲームシステム1は、ユーザ用のモニタ33,34と観客用の大型モニタ35とを備えていたが、第1の発明が備える表示部の数や種類はこれに限定されない。例えば、第1の発明のゲームシステムは、観客用表示部を備えなくてもよい。また、出力制御手段46は、動画決定手段が決定した動画を、ユーザ用表示部に出力してもよい。
また、上記実施形態では、ゲーム装置2の記憶部22に、動画表示プログラム22a、リプレイ動画データ22b、予想読込時間データ22c、および広告動画データ22dが記憶されたが、第1の発明はこれに限定されない。例えば、第1の発明のゲームシステムは、ゲーム装置2に接続された外部の記憶装置を備えてもよく、この外部記憶装置に、動画表示プログラム22a、リプレイ動画データ22b、予想読込時間データ22c、および広告動画データ22dの一部または全部が記憶されてもよい。例えば、動画保存手段42は、ゲーム装置2に接続される外付けハードディスクや通信ネットワークを介してゲーム装置2に接続されるサーバ装置などの外部の記憶装置に、リプレイ動画データ22bを保存してもよい。すなわち、第1の発明における「所定の記憶装置」は、第1の発明における「記憶部」でもよいし、「記憶部」でなくてもよい。
また、上記実施形態では、動画表示プログラム22aが、ゲームプログラム26aとは別のプログラムとして説明されたが、動画表示プログラム22aがゲームプログラム26aに組み込まれていてもよい。
また、第1の発明のゲームシステムは、ゲーム画像を描画するゲーム装置2とモニタ35の間に、ゲームデータ26b読込中のモニタ35の表示を制御する装置を別途含んでもよい。例えば、ゲーム装置と観客用モニタのそれぞれと通信し、観客用モニタに表示される映像を、ゲーム装置から受信したゲームの映像と動画決定手段が決定した動画との間で切り替える動画切替装置を備えてもよい。この場合、ゲーム装置の制御部が、ゲーム進行手段、動画保存手段および読込手段として機能し、動画切替装置の制御部が、時間取得手段、動画決定手段、出力制御手段として機能してもよい。すなわち、第1の発明の「コンピュータ」は複数の装置の制御部により構成されてもよい。
また、上記実施形態では、時間取得手段44は、ゲームデータ26bが読み込まれる前のゲームの進行状況をゲーム進行手段41から取得したが、時間取得手段44がゲームの進行状況を取得する方法はこれに限られない。例えば、ゲーム進行状況は、ゲームプレイ中のゲーム画像を公知の画像認識技術を用いて認識することによって判断されてもよい。この場合、時間取得手段44は、ゲーム進行手段41と無関係に予想読込時間を取得できるため、ゲームプログラムを含む市販のゲームソフトに対して汎用的に適用しやすい。
また、上記実施形態では、時間取得手段44が予想読込時間を取得するために利用した予想読込時間データ22cは、ゲームの進行状況と対応付けられた予想読込時間を示すデータであったが、予想読込時間はゲームの進行状況と対応付けられたものでなくてもよい。
例えば、予想読込時間データ22cは、ゲームの進行状況の代わりに、読み込まれるゲームデータ26bのデータ量と対応付けて予想読込時間を示すデータであってもよい。この場合、時間取得手段44は、記憶部22に記憶された予想読込時間データ22cから、読込手段43により読み込まれるゲームデータ26bのデータ量に対応した予想読込時間を記憶部22から取得してもよい。
なお、この場合の予想読込時間データ22cは、例えば、読み込まれるゲームデータ26bのデータ量を変えて読込時間を複数回計測し、その計測結果に基づき予想読込時間を決定することにより作成されたものであってもよい。
例えば、予想読込時間データ22cを作成する際、読込時間の計測結果の平均値を予想読込時間に設定してもよい。この場合、動画決定手段45は、予想読込時間と同じ時間ではなく、予想読込時間より短い時間の動画を決定することが望ましい。また、例えば、予想読込時間データ22cを作成する際、読込時間を複数回計測したうちの最長の読込時間を予想読込時間に設定してもよい。
また、時間取得手段44は、記憶部22に記憶された予想読込時間(すなわち、予想読込時間データ22c)を用いずに、予想読込時間を取得してもよい。例えば、時間取得手段44は、読み込まれるゲームデータ26bのデータ量に基づいて、予想読込時間を算出してもよい。この場合、予め予想読込時間を設定しておく(つまり、予想読込時間データ22cを作成する)手間を省くことができる。時間取得手段44は、読み込まれるゲームデータ26bのデータ量に加えて、読込時間の長さに影響を与える他の情報(コンピュータの性能(スペック)やコンピュータの処理負荷など)を用いて、予想読込時間を算出してもよい。
また、時間取得手段44は、記憶部22に記憶された予想読込時間データ22cの利用と、予想読込時間の算出をゲームの進行状況に応じて使い分けてもよい。例えば、ゲームデータ26bが読み込まれる前のゲームの進行状況が、予め用意した予想読込時間データ22cに含まれている場合には、その進行状況に対応した予想読込時間を取得し、予想読込時間データ22cに含まれていない場合には、読み込まれるゲームデータ26bのデータ量などに基づき、予想読込時間を計算で求めてもよい。
また、上記実施形態では、動画決定手段45は、予想読込時間に応じた長さの動画として、予想読込時間と同じ時間または予想読込時間より短い時間の動画を、出力制御手段46により出力される動画として決定したが、「予想読込時間に応じた長さの動画」はこれに限られない。例えば、「予想読込時間に応じた長さの動画」には、予想読込時間と同じ時間または予想読込時間より短い時間の動画の他、ゲーム進行に過度に待ち状態が発生しない程度の予想読込時間より長い時間の動画が含まれる。「ゲーム進行に過度に待ち状態が発生しない程度の予想読込時間より長い時間の動画」とは、例えば、予想読込時間の110%の長さの動画、または予想読込時間より1秒長い時間の動画である。
動画決定手段45が予想読込時間より長い時間の動画を決定した結果、予想どおりに、動画決定手段45が決定した動画がモニタに再生されている途中でゲームデータの読込が終了した場合、出力制御手段46は、再生されている動画が終了するまで、ゲームプレイ画面の表示を遅らせてもよい。また、動画決定手段45が予想読込時間と同じまたはそれより短い時間の動画を決定したにもかかわらず、予想に反して、動画決定手段45が決定した動画がモニタに再生されている途中でゲームデータの読込が終了した場合にも、出力制御手段46は、再生されている動画が終了するまで、ゲームプレイ画面の表示を遅らせてもよい。
動画決定手段45は、動画選択手段45aおよび動画生成手段45bの双方を含まなくてもよく、動画選択手段45aおよび動画生成手段45bのうちの一方のみ含んでもよい。
また、動画選択手段45aが選択する動画は、1つである必要はなく、合計の動画再生時間が予想読込時間に応じた長さになりさえすれば、複数の動画を選択してもよい。図3の例を用いて説明すれば、例えば、動画選択手段45aは、時間取得手段44が取得した予想読込時間が10秒である場合、動画時間が3秒である動画データAと動画時間が7秒である動画データCとを選択してもよい。すなわち、動画決定手段45は、予想読込時間より短い時間の複数の動画を決定してもよい。
また、動画決定手段45は、動画選択手段45aおよび動画生成手段45bの組み合わせにより、予想読込時間に応じた長さの動画を、読込時間に表示する動画として決定してもよい。例えば、時間取得手段44が取得した予想読込時間が3秒である場合、動画選択手段45aが、動画時間が1秒間である動画データを選択し、動画生成手段45bが、リプレイ動画データに基づき、2秒間分のリプレイ動画データを生成してもよい。そして、動画決定手段45は、動画選択手段45aが選択した1秒間の動画と動画生成手段45bが生成した2秒間のリプレイ動画の組み合わせを、読込時間に表示する動画として決定してもよい。
また、例えば、時間取得手段44が取得した予想読込時間が3秒である場合、動画生成手段45bが、リプレイ動画データに基づき、3秒間分のリプレイ動画データを生成してもよい。そして、動画選択手段45aが、3秒のリプレイ動画の片隅にワイプ表示するための動画時間3秒間の動画データを選択してもよい。
動画生成手段45bは、モニタに表示された対戦動画から一部画面表示が変更されたリプレイ動画データを生成してもよい。例えば、動画生成手段45bは、実際の対戦画面では表示されていなかった広告画像付きのリプレイ動画データ(例えば背景、フロアなどに広告画像のテクスチャが貼られた動画データ)を生成してもよい。
なお、広告動画データ22dに含まれる複数の広告動画は、互いに同じ動画時間の広告動画が含まれてもよい。動画選択手段45aは、予め定めた順番に広告動画を選択してもよいし、広告主が納める広告料などに応じて優先順位づけして選択してもよい。
また、図4には、動画生成手段45bが、リプレイ動画の中の最後のシーンを予想時間より短い所定時間分だけ抽出して、データ読込時間中に表示するための動画を生成したが、動画生成手段45bによる動画の生成方法は、これに限定されない。例えば、動画生成手段45bは、リプレイ動画の中から、1つまたは複数の動画部分を、予想時間と同じまたは予想時間より短い時間だけ抽出して、データ読込時間中に表示するための動画を生成してもよい。例えば、動画生成手段45bは、リプレイ動画の中で、単位時間あたりの所定のパラメータ(キャラクタの体力ゲージなど)の変化率が最も高いシーンが含まれるように動画を生成してもよい。
例えば、動画生成手段45bは、リプレイ動画を所定の時間で分割し、分割した動画部分(リプレイシーン)に重み付けをしてもよい。そして、動画生成手段45bは、分割した複数の動画部分の中で、重み付けの高いものを順に選択して、予想読込時間に応じた長さの動画を生成してもよい。出力制御手段46は、予想読込時間が実際の読込時間より長かった場合に、動画生成手段45bに選択されなかった動画部分の中で重み付けの高い順に、追加でモニタ45に出力してもよい。また、動画生成手段45bは、分割した複数の動画部分の中で、予想読込時間に応じた時間だけ重み付けの最も高い動画部分が複数回繰り返し表示される動画を生成してもよい。重み付けの高い動画部分が多い場合、動画生成手段45bは、予想読込時間より長い動画を生成してもよく、この場合、出力制御手段46は、生成した動画が終了するまで、ゲームプレイ画面の表示を遅らせてもよい。
上記実施形態では、動画生成手段45bは、データ読込を開始する直前の動画データを用いたが、動画生成手段45bは、データ読込を開始する直前の動画ではなく、それより前の過去のリプレイ動画から生成してもよい。動画保存手段42は、記憶部22に記憶したリプレイ動画データ22bを削除しなくてもよい。
動画選択手段45aは、広告動画でなく、例えば、記憶部22に予め用意された、対戦ユーザのプロフィール動画などの別の種類の複数の動画の中から選択してもよい。また、動画生成手段45bが、動画保存手段42が保存したリプレイ動画データから、データ読込時間中に表示するための動画を生成したが、記憶部22に予め用意した別の種類の動画データから、データ読込時間中に表示するための動画を生成してもよい。
<第2実施形態>
以下、第2の発明の第2実施形態に係るゲームシステムについて説明する。本実施形態では、ゲームデータの読み込み待ち時間ではなく、ユーザがゲーム戦略を考える間の待ち時間の動画再生に関する。
本実施形態のゲームシステムにより実現されるゲームの一例として、対戦型のコンピュータカードゲームを説明する。この対戦ゲームでは、ゲームをプレイする2人のユーザ(以下、第1ユーザおよび第2ユーザ)がそれぞれゲーム戦略を設定するための戦略設定画面を見ながらコントローラを操作して、ゲーム戦略を設定する。例えば、第1ユーザおよび第2ユーザは、それぞれ、使用可能な複数のカードの中からプレイ中に使用するカードを選択してデッキをつくる。この対戦ゲームでは、戦略を設定できる時間(以下、戦略設定時間)が、予め設定されている。戦略設定時間内にゲーム戦略の設定が互いに完了すると、その時点からゲームのプレイが開始される。ユーザが戦略設定時間内に戦略の設定が完了しない場合、自動的に戦略の設定が締め切られ、ゲームのプレイが開始される。
また、本実施形態でも、この対戦ゲームがEスポーツの大会において行われているものとして説明する。すなわち、本実施形態のゲームシステムも、上記第1実施形態と同様に、大会に参加したユーザ用のモニタ33,34(ユーザ用表示部)だけでなく、大会会場に訪れた観客用の大型のモニタ35(観客用表示部)も備える。
本実施形態のゲームシステムのハードウェアの構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、制御部21の機能的構成について、第1実施形態と重複する説明は省略する。
[制御部の機能的構成]
本実施形態では、出力制御手段46が、戦略設定画面をモニタ33,34のそれぞれに出力する。モニタ33に表示された戦略設定画面では、コントローラ31に対する第1ユーザの操作に基づいてゲーム戦略が設定され、モニタ34に表示された戦略設定画面では、コントローラ32に対する第2ユーザの操作に基づいてゲーム戦略が設定される。また、出力制御手段46が、戦略設定画面がモニタ33,34に出力されている間、所定の動画を観客用のモニタ35に出力する。
また、本実施形態では、時間取得手段44は、予想読込時間を取得する代わりに、戦略設定画面が出力される最長時間である戦略設定時間を取得する。時間取得手段44は、例えば記憶部22に記憶されたゲームプログラムまたはゲームデータから戦略設定時間を取得する。
また、動画決定手段45は、記憶部22に記憶された複数の広告動画データ22d(短編動画のデータ)の中から、合計の動画再生時間が戦略設定時間(例えば60秒)に応じた長さとなるように一つまたは複数の広告動画データ22dを選択し、モニタ35に表示される上述の所定の動画として決定する。例えば、動画決定手段45は、戦略設定時間が60秒である場合、合計の動画再生時間が例えば60秒になるように、例えば10秒の広告動画を6つ選択してもよい。
本実施形態では、ゲーム装置2は、ゲームプログラム26aおよび動画表示プログラム22aを実行することにより、第1実施形態で説明された機能部に加え、さらに判定手段としても機能する。
判定手段は、各ユーザのゲーム戦略の設定が完了したか否かを判定する。出力制御手段46は、判定手段により全てのユーザのゲーム戦略の設定が完了したと判定された後であって、且つ、判定手段により判定された時点で出力中の広告動画の再生が終了したときに、モニタ35への広告動画の出力を終了する。
なお、出力制御手段46は、モニタ35への広告動画の出力を終了したあとに、モニタ33,34,35へゲームプレイ画面を表示させる。
以上説明したように、本実施形態では、動画決定手段45は、戦略設定時間に応じた長さの動画を決定するため、戦略設定時間が終了することによって、ユーザが戦略を設定している間にモニタ35に表示していた動画が途中で終了されるのを抑制することができる。
また、戦略設定時間内に第1ユーザおよび第2ユーザのゲーム戦略の設定が互いに完了すると、戦略設定時間の終了を待たずに、設定完了時点からゲームのプレイが開始されることになる。この場合でも、出力制御手段46は、判定手段によりゲーム戦略の設定が完了したと判定された後であって、且つ、判定手段により判定された時点で出力中の広告動画の再生が終了したときに、モニタ35への広告動画の出力を終了する。そして、広告動画の出力が終了してから、ゲームのプレイが開始される。従って、予め設定した戦略設定時間よりも比較的短い時間に戦略の設定が完了した場合にも、ユーザが戦略を設定している間にモニタ35に表示していた動画が途中で終了されるのを抑制することができる。
(変形例)
第2の発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、第2の発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、第2実施形態でも、上述した第1実施形態の変形と同様の変形が可能である。
例えば、第2実施形態のゲームシステムにより実現されるゲームは、3人以上が同時にプレイするゲームであってもよいし、レーシングゲームにおけるタイムアタックなど1人でプレイするゲームであってもよい。例えば動画決定手段45は、広告動画でなく、例えば、記憶部22に予め用意された、対戦ユーザのプロフィール動画などの別の種類の複数の動画の中から選択してもよい。
また、第2の発明は、オンライン対戦ゲームにも適用可能である。すなわち、第2の発明のゲームシステムは、例えば、第1ユーザが入力する第1ゲーム装置と、第2ユーザが入力する第2ゲーム装置と、第1ユーザと第2ユーザとが互いに対戦プレイするプレイ画面を観客用の大型モニタへの出力を制御する装置を備えてもよい。この場合、第1ゲーム装置の制御部、第2ゲーム装置の制御部、および大型モニタの出力を制御する装置の制御部の少なくとも1つが、第2の発明の各機能部として機能する。
「戦略設定時間に応じた長さの動画」には、戦略設定時間と同じ時間または戦略設定時間より短い時間の動画の他、ゲーム進行に過度に待ち状態が発生しない程度の戦略設定時間より長い時間の動画が含まれる。「ゲーム進行に過度に待ち状態が発生しない程度の戦略設定時間より長い時間の動画」とは、例えば、戦略設定時間の110%の長さの動画、または戦略設定時間より1秒長い時間の動画である。
例えば、ゲームをプレイする2人のユーザのうち、一方のユーザがゲーム戦略の設定を完了し、他方のユーザがゲーム戦略の設定中である場合、ゲーム戦略の設定を完了したユーザには待ち時間が発生する。この場合、出力制御手段46は、ゲーム戦略の設定を完了したユーザのためのモニタに、広告動画を出力してもよい。また、この場合、動画決定手段45は、記憶部22に記憶された複数の広告動画データ22d(短編動画のデータ)の中から、合計の動画再生時間が、ゲーム戦略の設定が完了した時点から戦略設定時間の終了までの長さに応じた長さとなるように複数の広告動画データ22dを選択し、ゲーム戦略の設定を完了したユーザのためのモニタに表示される上述の所定の動画として決定してもよい。