JP6806836B2 - コンクリート基礎の健全性評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリート基礎の健全性評価方法に関し、特に、コンクリート基礎内を伝播する弾性波を用いたコンクリート基礎の健全性評価方法に関する。
道路・鉄道や橋梁、ビルなど各種の建築構造物には、多くのコンクリート基礎が利用されている。コンクリート基礎は、図1に示すように、複数の杭に接続して配置されている。杭については、その内部状態を評価する「杭の損傷調査方法」が従来より確立されているが、コンクリート基礎(フーチング部分)についての健全性評価方法は未だ確立していない。
その理由は、杭の形状は同一断面で長さが数十メートルという単純な形状である。例えば、プレキャストコンクリート杭(製品)は直径が300mm〜1200mm程度、長さが数十メートルという形状である。
そして、杭の健全性評価の一例としては、杭天端面あるいは杭真上のコンクリート基礎上面側に受信センサー(加速度計)を設置し、受信センサーから10〜30cm離れた位置をハンマーで3〜5回打撃して弾性波(衝撃弾性波ともいう)の測定波形と再現性を確認し、健全性を評価している。その波形から、先端反射の位置(推定杭長)と、クラックや断面欠損の有無(位置)を確認している。
これに対し、コンクリート基礎は、厚さが例えば3〜4mのように、形状・寸法が杭とは異なり、建築構造物毎に様々な形状・寸法のものが利用されている。このため、従来の杭に関する健全性評価方法は、単純にコンクリート基礎に適用することができないという問題が生じる。
検査対象部材がコンクリート基礎の場合には、杭のような単一断面で、天端面の面積(直径)がφ300〜1200mm程度と小さい場合とは異なり、部材面積が広くなる。杭の場合は、1箇所(3〜5回打撃)で評価するが、その方法のままでは、打撃位置真下の状態だけの品質推定に留まり、コンクリート基礎全体を評価しているとは捉え難い。打撃位置の真下以外のところにクラックや明らかな打ち継ぎ不良があると、それは検出できないということになる。
特許文献1には、コンクリート健全度判定方法として、加速度計を内蔵したインパルスハンマーを用いて、打撃入力の既知量とコンクリート中を伝播した打撃音(振動)とによる解析で、打撃入力最大振幅に対する打撃音出力最大振幅の比(振幅比)、打撃入力値の実効値と打撃音出力値の実効値の比(実効値比)、打撃入力の周波数スペクトルと打撃音周波数スペクトルの間の伝達関数の重心(周波数重心)のパラメーターから、コンクリートの性状を評価することが提案されている。
これらの各種パラメーターがコンクリート構造物の性状と関連が深いことは理解できる。しかしながら、具体的に、当該パラメーターの結果がどのようになれば、どう評価されるのかは、構造物の構造によって異なり、熟練した技術者でなければ、適正な判断をすることが極めて難しいという問題があった。
特許第4456723号公報
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、熟練した技術者で無くても、コンクリート基礎の内部状況を簡便な方法で確実に評価できる、コンクリート基礎の健全性評価方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明のコンクリート基礎の健全性評価方法は、以下の技術的特徴を有する。
(1) コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLと、該往復時間Tにより、以下の式1で実測弾性波速度Cを算出する弾性波速度算出工程と、
(式1) C=L÷(T/2)
該実測弾性波速度Cとコンクリートの標準弾性波速度Cとを比較し、該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えたことを特徴とする。
(2) コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、コンクリートの標準弾性波速度Cと、該往復時間Tにより、以下の式2で該コンクリート基礎の上面から底面までの推測基礎厚さLを算出する基礎厚さ算出工程と、
(式2) L=C×(T/2)
該推定基礎厚さLと、予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLとを比較し、該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えたことを特徴とする。
(3) コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、コンクリートの標準弾性波速度Cと、予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLとにより、以下の式3で算出される標準往復時間Tと、計測した往復時間Tとを比較し、
(式3) T=L÷C×2
該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えたことを特徴とする。
(4) 上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のコンクリート基礎の健全性評価方法において、該コンクリート基礎の下側には杭が該コンクリート基礎に接続して配置されており、該特定位置は、該特定位置の鉛直方向には該杭が接続されていない場所であることを特徴とする。
(5) 上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のコンクリート基礎の健全性評価方法において、該特定位置の面と該特定位置の鉛直方向に位置する該底面の面とは、互いに平行であることを特徴とする。
(6) 上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のコンクリート基礎の健全性評価方法において、該特定位置毎に、所定間隔で配置される複数の測定点を設け、該弾性波測定工程で得られた測定波形の中で採用する測定波形は、該コンクリート基礎内の埋設鉄筋位置を避けた測定点の測定波形であることを特徴とする。
本発明は、コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLと、該往復時間Tにより、以下の式1で実測弾性波速度Cを算出する弾性波速度算出工程と、
(式1) C=L÷(T/2)
該実測弾性波速度Cとコンクリートの標準弾性波速度Cとを比較し、該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えているため、実測弾性波速度と標準弾性波速度とを比較するという、客観的な方法でコンクリート基礎の内部状況が評価できる。その結果、熟練した技術者で無くても、コンクリート基礎の内部状況を簡便な方法で確実に評価できる、コンクリート基礎の健全性評価方法を提供することが可能となる。
また、本発明は、コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、コンクリートの標準弾性波速度Cと、該往復時間Tにより、以下の式2で該コンクリート基礎の上面から底面までの推定基礎厚さLを算出する基礎厚さ算出工程と、
(式2) L=C×(T/2)
該推定基礎厚さLと、予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLとを比較し、該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えているため、推定基礎厚さLと予め特定される基礎厚さLとを比較するという、客観的な方法でコンクリート基礎の内部状況が評価できる。その結果、熟練した技術者で無くても、コンクリート基礎の内部状況を簡便な方法で確実に評価できる、コンクリート基礎の健全性評価方法を提供することが可能となる。
さらに、本発明は、コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、コンクリートの標準弾性波速度Cと、予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLとにより、以下の式3で算出される標準往復時間Tと、計測した往復時間Tとを比較し、
(式3) T=L÷C×2
該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えているため、計測した往復時間Tと標準往復時間Tとを比較するという、客観的な方法でコンクリート基礎の内部状況が評価できる。その結果、熟練した技術者で無くても、コンクリート基礎の内部状況を簡便な方法で確実に評価できる、コンクリート基礎の健全性評価方法を提供することが可能となる。
コンクリート基礎と杭との配置関係を説明する側面図である。 本発明のコンクリート基礎の健全性評価方法を行う様子を示す写真である。 本発明のコンクリート基礎の健全性評価方法の結果を示す例である。 本発明のコンクリート基礎の健全性評価方法を含む総合評価方法を示すフロー図である。 本発明のコンクリート基礎の健全性評価方法を含む総合評価の結果を示す例である。
以下、本発明のコンクリート基礎の健全性評価方法について、好適例を用いて詳細に説明する。
本発明に係る第1の発明は、コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLと、該往復時間Tにより、以下の式1で実測弾性波速度Cを算出する弾性波速度算出工程と、
(式1) C=L÷(T/2)
該実測弾性波速度Cとコンクリートの標準弾性波速度Cとを比較し、該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えていることを特徴とする。
また、本発明に係る第2の発明は、コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、コンクリートの標準弾性波速度Cと、該往復時間Tにより、以下の式2で該コンクリート基礎の上面から底面までの推定基礎厚さLを算出する基礎厚さ算出工程と、
(式2) L=C×(T/2)
該推定基礎厚さLと、予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLとを比較し、該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えていることを特徴とする。
また、本発明に係る第3の発明は、コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、コンクリートの標準弾性波速度Cと、予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLとにより、以下の式3で算出される標準往復時間Tと、計測した往復時間Tとを比較し、
(式3) T=L÷C×2
該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えたことを特徴とする。
上記第1乃至第3の発明は、共に、基礎の厚さ(L)=弾性波速度(C)×往復時間の半分(T/2)という基本式に基づくものである。ただし、コンクリート基礎の内部状況を評価するために使用されるパラメータが、第1の発明では「弾性波速度(C)」であり、第2の発明では「基礎の長さ(L)」であり、そして、第3の発明では「往復時間(T)」であるに過ぎない。
そして、何れの発明の場合も、「計測した往復時間T」、「コンクリートの標準弾性波速度C0」、「予め特定されるコンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さL」が必要であることには変わりがない。
打撃手段としては、プラスチック製ハンマー、スチール製ハンマー、さらには、加速度計付きハンマーなど各種のハンマーが用途によって、使用することができる。図2は、加速度計付きハンマーを使用して測定である。コンクリート基礎の上面(天端面)をハンマーで打撃する際には、約20〜30cmの高さから軽く振り下ろすように打撃する。計測波形の再現性を得るため、打撃は同じ強さで行うことが重要である。
弾性波の測定は、打撃する特定位置の近傍に加速度計のセンサー部分を配置して行われる。加速度計付きハンマーは、コンクリート表面に生じた弾性波のノイズ部分を補正する機能も備えており、測定結果の判断がより確実に行うことが可能である。
本発明では、コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩くことで発生する弾性波を利用している。そして、打撃後に発生したコンクリート基礎の厚さ方向に向かう弾性波は、コンクリート基礎の底面で反射し、再度、コンクリート基礎の上面に達する。
このような弾性波を利用するため、図1のように、コンクリート基礎の下側に杭が接続して配置されている場合には、打撃手段で打撃する特定位置は、該特定位置の鉛直方向には該杭が接続されていない場所であることが、好ましい。これは、杭が存在する場合には、弾性波がさらに杭に伝播し、結果としコンクリート基礎の底面で反射する弾性波が少なくなるためである。
また、上面の特定位置から弾性波が向かう方向と、底面で反射した弾性波が該特定位置に確実に戻ってくるためには、特定位置の面と該特定位置の鉛直方向に位置する底面の面とは、互いに平行であることが、好ましい。
また、より正確な測定を行うためには、着目する弾性波の進路に対して、コンクリート基礎内の埋設鉄筋も避けることが、より好ましい。このためには、図2にも示すように、測定を行う特定位置(測定箇所)毎に、所定間隔で配置される複数の測定点(図2では4つの測定点)を設けて、測定を行っている。そして、測定した波形の中で採用する測定波形としては、コンクリート基礎内の埋設鉄筋位置を避けた測定点の測定波形を使用することが、好ましい。
一つの測定点で複数回測定し、測定波形を平均することで、打撃時に発生する弾性波のバラツキを補正することが可能となる。
図3は、特定位置(測定箇所)で測定した結果であり、1つの測定箇所に対して3つの測定点(各図の「測定No」参照)で測定されている。また、各測定点での波形は、5回の打撃を行い測定した結果の平均を示している。
図3の左側はスチール製ハンマー(質量1.3kg)で打撃して計測した結果であり、右側は加速度付きハンマー(質量3.0kg)で打撃して計測した結果である。図3に記載の「パルスエコー法(PEM法)」とは、打撃時の速度波形だけを使用する方法であり、打撃に使用するハンマーには加速度計は必要としない。また、「PIT−FV法」とは、打撃時の速度波形と打撃力(加速度)の両方を測定する方法である。PEM法では衝撃パルスの内側に入り隠れていることがある、パイル頭頂部近くの欠陥が、PIT−FV法ではより明らかになる。また、PIT−FV法では、打撃した際の入力波が計測でき、受信センサー側(加速度計)が検知した入力波と比較することで、打撃位置近傍の損傷が発見しやすくなる。
測定に使用した機器は、製品名「PIT」(Pile Dynamics,Inc.(アメリカ、PDI社品(パイルダイナミックス社))製)である。
図3の右側のグラフの方が、左側のグラフよりノイズがカットされており、波形の特異点が判別し易くなっている。
コンクリート基礎の上面を打撃した瞬間は、波形が下側に振れ、基礎の底面で反射した弾性波も波形が下側に振れて観測される。波形のグラフから測定される往復時間Tを計測し、その計測結果と、標準弾性波速度として4000m/sとに基づき、上記式2を使用して「推定基礎厚さL」を算出している。
本発明における「予め特定されるコンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さL」とは、測定前に既知の値であり、具体的には、コンクリート基礎の設計で設定されている数値である。図3では、フーチング厚さとして3300mmを「設計値」に設定している。
スチール製ハンマーを使用した測定結果では、測定点1で3720mm、測定点2で3100mm、測定点3で3380mmとなっている。また、加速度計付きハンマーを使用した測定結果では、測定点1で3780mm、測定点2で3930mm、測定点3で3840mmとなっており、設計値3300mmに比較的近い値が得られていることから、当該特定位置(測定箇所)におけるコンクリート基礎の内部は「良」と判断することができる。
標準弾性波速度Cの値に、どのような値を代入するかによって、上記「推定基礎厚さ」設定は変化する。ここでは、「コンクリート工学ハンドブック」(岡田清,六車熙、編集。朝倉書店発行)に掲載されている、以下の表1のような目安から、4000m/sを選定している。
図3では、基礎厚さの推定値と設計値とを比較することで、評価したが、本発明にも記載しているように、弾性波速度や往復時間を比較しても同様に評価することが可能であることは、言うまでもない。
次に、本発明のコンクリート基礎の健全性評価方法を用いて、コンクリート基礎の健全性を総合的に評価する方法について説明する。
図4は、測定結果から5つの評価を経て、総合的にコンクリート基礎の健全性を評価する手順を記載したものである。
(基礎コンクリート(天端面))
最初に、基礎の上面(天端面)で試験位置を位置に偏りが生じないように、複数の特定位置(測定箇所)設定する。
(インテグリティ試験機による測定)
健全性評価を行うための弾性波測定器である「インテグリティ試験機」を用いて試験を行う。具体的には、以下の手順で試験を行う。
(1) 1測定箇所あたりの測定点数(受信センサーの設置位置を変える回数)は、埋設鉄筋位置を避けた1測定点以上とする(図2の写真参照、図2では4測定点としている)。
(2) 1測定点毎に3〜5回打撃を加えて測定波形を得る。この際、測定波形を平均した波形を得ることも可能である。
(3) 1測定箇所あたり3測定点の測定波形を収集する。
(4) 測定箇所を変える毎に、上記(1)〜(3)を繰り返し、測定箇所毎に測定波形を収集する。
得られた測定波形から、以下の手順で評価1〜5の評価を行う。
(評価1)
測定波形自体を観察して、評価を行う。これは、杭の評価と同様な手法であるが、まずは測定波形を見て、波形の再現性、先端反射位置(基礎の厚さや、杭がある場合は杭長に係る波形の特異点の確認)、異常な波形の有無からクラックの有無の判定も可能である。
(評価2)
コンクリート基礎の設計による基板の厚さLと、測定波形から判断される往復時間Tとに基づき、上記式1により、実測弾性波速度Cを算出する。そして、一例として、上記表1で示す縦波速度(弾性波速度)とコンクリートの品質の対比表を用いて、実測弾性波速度Cに対する評価を行う。
表1のような、換算した弾性波速度の評価は、公的研究機関が提供する資料や種々の文献に記載されるコンクリートの標準的な弾性波速度と比較し、「健全といわれる速度であるかどうか」「通常のコンクリートでは確認されないような弾性波速度ではないか」を確認して判定する。
本発明で示したように、「基礎の長さ」や「往復時間」などを用いて評価しない理由は、多くのコンクリート基礎のような同一断面形状でない場合(途中で断面変化が生じる場合)、同一断面の場合に比べて弾性波によって求められる長さ(厚さ)の測定精度は劣ることが既往の研究で確認されているためである。これを長さで評価するのではなく速度に換算し、1測定点あるいは1測定箇所で異常な速度であることがわかった場合は、(a)内部に欠陥があるか、(b)基礎等の部材厚さが設計通りではないか、いずれかの疑いがあると推定する要因と成り得る。内部に欠陥があるかどうかは波形で推定されるが、そこに「弾性波速度」という指標も加えて評価をすることで、より評価を行いやすくする目的と、波形の読み取りに要する経験値の差の改善にも繋がる。また、同一形状の基礎群を対象として調査を行った場合、相対評価が行いやすく、詳細調査の必要性の検討材料にも使用できるためである。
(評価3)
評価3では、測定波形の再現性の有無を、同じ試験箇所の測定点間、測定箇所間で比較して評価する。これは、再現性があれば内部は安定していると解釈でき、再現性がなければ内部異常も疑う可能性がでてくるため、再現性確認を取り入れた。具体的な評価の例としては、3測定点の波形が類似し再現性がある場合の評価「○」、2測定点が類似し1測定点が異なる場合の評価「△」、3測定点とも類似していない場合の評価「×」とした。
(評価4)
評価4では、基礎の厚さの範囲内における波形の状態を評価する。評価3と重なるところはあるが、再現性確認と併せて、特に設計厚さLの範囲内(波形の往復時間Tの範囲内)の波形を特に注視し、内部異常の有無を判定する。具体的な評価の例としては、「設計厚さ内に明確な波形の異常は確認できない」場合の評価「○」、「波形が不明確」な場合の評価「△」、「波形に明らかな乱れがあり、判定不可」の場合の評価「×」とした。
(評価5)
評価5では、評価1〜4に基づき、総合的な評価を行う。評価1〜4の結果を用いて基礎毎に状態を判定する。評価5を行っておくことで、基礎毎の状態を相対的に評価でき、対策の要否判定や優先順位付けをするための要素となり得る。具体的な例としては、「内部損傷の可能性が低い」場合の評価「良好」、「内部損傷の可能性が高い」場合の評価「不良」、「内部損傷の可能性が判定できない」場合の評価「不確定」とした。
図5は、評価2(「弾性波速度に異常はないか」欄参照)、評価3(「反射波形の再現性はあるか」欄参照)、評価4(「反射波形に異常はないか」欄参照)、評価5(「総合評価」欄参照)の一例を示す評価表である。
現時点では、コンクリート基礎に対する健全性の調査・評価方法については、明確に示された従来技術、マニュアル、指針というものはないが、本発明によって、図5のように、コンクリート基礎に対して弾性波法を利用して健全性を調査する方法(健全性評価方法)を用いることで、健全性評価の方法がより明確になった。
これにより、例えば、非破壊手法でコンクリート基礎内部の状態を全体的に調べて評価してもらいたいという施設管理者の要望にも答えることができる。しかも、結果に明らかな異常が確認された場合、構造体にボーリング痕(傷)をつけたくないという施設管理者に対して、ボーリング調査を提案する材料に成り得る(一次調査の手段となる)。
本発明では、従来の杭の検査で行われる測定波形の解析に加えて、(1)多点で実施、(2)弾性波速度で評価、(3)多点の再現性を比較確認、(4)多点の測定厚さまでの波形評価、(5)総合評価を組み合わせることによって、構造物群の基礎に対して一斉に調査した際に、基礎毎の相対評価や二次調査(詳細調査)が必要な基礎の選定や優先順位付けを行い易くすることも可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、熟練した技術者で無くても、コンクリート基礎の内部状況を簡便な方法で確実に評価できる、コンクリート基礎の健全性評価方法を提供することが可能となる。

Claims (6)

  1. コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、
    該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、
    該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、
    予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLと、該往復時間Tにより、以下の式1で実測弾性波速度Cを算出する弾性波速度算出工程と、
    (式1) C=L÷(T/2)
    該実測弾性波速度Cとコンクリートの標準弾性波速度Cとを比較し、該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えたことを特徴とするコンクリート基礎の健全性評価方法。
  2. コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、
    該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、
    該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、
    コンクリートの標準弾性波速度Cと、該往復時間Tにより、以下の式2で該コンクリート基礎の上面から底面までの推定基礎厚さLを算出する基礎厚さ算出工程と、
    (式2) L=C×(T/2)
    該推定基礎厚さLと、予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLとを比較し、該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えたことを特徴とするコンクリート基礎の健全性評価方法。
  3. コンクリート基礎の内部の状況を評価するコンクリート基礎の健全性評価方法において、
    該コンクリート基礎の上面の特定位置を打撃手段で叩き、該特定位置の近傍で該上面に伝達される弾性波を測定する弾性波測定工程と、
    該弾性波測定工程で測定された測定波形から、該コンクリート基礎の底面で反射された波形部分を特定し、弾性波の往復時間Tを計測する往復時間計測工程と、
    コンクリートの標準弾性波速度Cと、予め特定される該コンクリート基礎の上面から底面までの基礎厚さLとにより、以下の式3で算出される標準往復時間Tと、計測した往復時間Tとを比較し、
    (式3) T=L÷C×2
    該コンクリート基礎の内部の状況を評価する評価工程とを備えたことを特徴とするコンクリート基礎の健全性評価方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のコンクリート基礎の健全性評価方法において、該コンクリート基礎の下側には杭が該コンクリート基礎に接続して配置されており、該特定位置は、該特定位置の鉛直方向には該杭が接続されていない場所であることを特徴とするコンクリート基礎の健全性評価方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のコンクリート基礎の健全性評価方法において、該特定位置の面と該特定位置の鉛直方向に位置する該底面の面とは、互いに平行であることを特徴とするコンクリート基礎の健全性評価方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のコンクリート基礎の健全性評価方法において、該特定位置毎に、所定間隔で配置される複数の測定点を設け、該弾性波測定工程で得られた測定波形の中で採用する測定波形は、該コンクリート基礎内の埋設鉄筋位置を避けた測定点の測定波形であることを特徴とするコンクリート基礎の健全性評価方法。
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