ところが、上記の特許文献に開示のブレーキディスクには、以下のような解決すべき問題点が存在する。すなわち、上記のブレーキディスクでは、駆動部材と共に挿入部材を制動バンドに取り付けて挿入部材のタブをベルと板バネとの間に挟み込むことにより、ベルに対する制動バンドの移動時における板バネの弾性変形によってベルに傷付きが生じるのを回避する構成が採用されている。
この場合、この種のブレーキディスクでは、制動バンドへの摩擦パッドの接触時(自動車等の制動時)に制動バンドが非常に高い温度まで短時間で温度上昇させられる。このため、この種のブレーキディスクでは、制動バンドに取り付けられている駆動部材も制動バンドと共に短時間で非常に高い温度まで温度上昇させられる。
また、図9に示すように、上記の特許文献に開示のブレーキディスク1x(以下、上記の特許文献に開示のブレーキディスクに関する構成要素については、符号の末尾に「x」を付して説明する)では、磨耗耐性シートメタルの折り曲げ加工によって挿入部材20xが形成されているため、駆動部材15x(角筒状部15ax)とベル3x(ベル3xにおける凹部6xの内面)との間に挟み込まれているU字状部20axが非常に薄厚となっている。このため、このブレーキディスク1xでは、制動バンド2xの温度上昇に伴って駆動部材15xが温度上昇したときに、この熱がU字状部20axを介して瞬間的にベル3xに伝熱されることとなる。
この場合、この種のブレーキディスクでは、材料コストの低減、および加工容易性の観点から、ベル(ハウジング)がステンレススチールや鋳鉄で形成されている。しかしながら、ステンレススチール等で形成したベルの重量が非常に重いため、そのようなベルを備えたディスクローターを自動車に搭載した場合には、懸架装置の作動性、燃費、加速性および制動性を改善するのが困難となっている。
一方、出願人は、ブレーキディスク1xに存在する上記の問題点を改善すべく、ステンレススチール等で形成したベル3xに代えて、アルミニウムで形成したベル3Axを備えたブレーキディスク1Axを試作した。このブレーキディスク1Axによれば、ベル3Axの重量がベル3xよりも軽い分だけブレーキディスク1xよりも軽量となるため、ブレーキディスク1xを装着したときよりも、懸架装置の作動性、燃費、加速性および制動性が改善されることが確認された。
しかしながら、ブレーキディスク1x(1Ax)の構成では、前述したように、制動バンド2xの温度上昇時に、この熱が駆動部材15x(角筒状部15ax)から薄厚の挿入部材20x(U字状部20ax)を介してベル3x(3Ax)に短時間で伝熱される。また、ディスクローター1Axにおけるベル3Axを構成するアルミニウムは、ステンレススチール等と比較して熱伝導率や熱膨張率が高いことが知られている。このため、制動バンド2xの温度上昇時に駆動部材15xを介して熱が短時間で伝熱されることに起因して、ベル3Axにおける凹部6xの近傍だけが急激に温度上昇して熱膨張する。この結果、凹部6xの近傍においてベル3Axに微細クラックが生じ易く、最悪の場合には、ベル3Axに欠けや割れが生じて、ベル3Axに対する制動バンド2xのがたつきや、制動バンド2xの外れが生じるおそれがある。
このように、上記のブレーキディスク1x(1Ax)のようにベル3x(3Ax)と駆動部材15x(角筒状部15ax)との間に挟み込まれる部材(ブレーキディスク1x,1Axでは挿入部材20xのU字状部20ax)が薄厚の金属材料で形成された構成では、制動バンド2xの温度上昇に伴う破損等を招くことなく、懸架装置の作動性、燃費、加速性および制動性を改善するのが困難となっているという問題点が存在する。
本発明は、かかる解決すべき問題点に鑑みてなされたものであり、十分な耐久性および強度を備えつつ軽量化を図り得るディスクローター用ハウジングおよびディスクローターを提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1記載のディスクローター用ハウジングは、摩擦パッドが押し付けられる環状のローター本体を取り付け可能に構成されると共に当該ローター本体が取り付けられた状態で回転速低減対象の回転体に取付け可能に構成されたディスクローター用ハウジングであって、前記回転体に取り付けられるハウジング本体と、当該ディスクローター用ハウジングに複数の固定具を介して前記ローター本体を取り付けた状態において当該各固定具に接して当該ローター本体を前記ハウジング本体に対して非接触状態で支持する複数の固定具当接ブロックとを備え、前記ハウジング本体の外縁部には、前記各固定具当接ブロックを取付け可能に当該ハウジング本体の厚み方向に連通する開口部が複数形成され、前記各固定具当接ブロックは、前記ハウジング本体の熱伝導率よりも低い熱伝導率の材料で形成されると共に、前記開口部に取り付けられた状態において少なくとも当該開口部における当該ハウジング本体の回転方向手前側の内面に面的接触するように当該ハウジング本体に取り付けられた第1部材と、当該第1部材とは別体に形成されると共に前記開口部に取り付けられた状態において少なくとも当該開口部における当該ハウジング本体の回転方向先側の内面に面的接触するように前記ハウジング本体に取り付けられた第2部材とを備え、前記固定具を介して前記ローター本体から伝熱される熱を蓄熱して当該ハウジング本体に伝熱可能に構成されている。
請求項2記載のディスクローター用ハウジングは、摩擦パッドが押し付けられる環状のローター本体を取り付け可能に構成されると共に当該ローター本体が取り付けられた状態で回転速低減対象の回転体に取付け可能に構成されたディスクローター用ハウジングであって、前記回転体に取り付けられるハウジング本体と、当該ディスクローター用ハウジングに複数の固定具を介して前記ローター本体を取り付けた状態において当該各固定具に接して当該ローター本体を前記ハウジング本体に対して非接触状態で支持する複数の固定具当接ブロックとを備え、前記ハウジング本体の外縁部には、前記各固定具当接ブロックを取付け可能に当該ハウジング本体の厚み方向に連通する開口部が複数形成され、前記各固定具当接ブロックは、前記ハウジング本体の熱伝導率よりも低い熱伝導率の材料で形成されると共に、前記開口部に取り付けられた状態において少なくとも当該開口部における当該ハウジング本体の回転方向手前側の内面および当該ハウジング本体の回転方向先側の内面にそれぞれ面的接触した状態となるように形成されて固定用ネジによって当該ハウジング本体に固定され、前記固定具を介して前記ローター本体から伝熱される熱を蓄熱して当該ハウジング本体に伝熱可能に構成されている。
請求項3記載のディスクローター用ハウジングは、請求項1または2記載のディスクローター用ハウジングにおいて、前記ローター本体における前記摩擦パッドの接触面、および当該ローター本体における当該接触面と平行な一面のいずれかの面が接するように当該ローター本体を当該ディスクローター用ハウジングに取付け可能に構成され、前記各固定具当接ブロックは、当該ディスクローター用ハウジングに前記ローター本体を取り付けた状態において前記ローター本体における前記いずれかの面と前記ハウジング本体との間に挟み込まれて当該ローター本体と当該ハウジング本体との間に隙間を生じさせるローター当接部が設けられている。
請求項4記載のディスクローター用ハウジングは、請求項1から3のいずれかに記載のディスクローター用ハウジングにおいて、前記ハウジング本体は、アルミニウムで形成され、前記各固定具当接ブロックは、セラミックスおよびステンレススチールのいずれかで形成されている。
請求項5記載のディスクローターは、請求項1から4のいずれかに記載のディスクローター用ハウジングに前記各固定具を介して前記ローター本体が取り付けられている。
請求項1,2記載のディスクローター用ハウジングでは、各固定具当接ブロックを取付け可能にハウジング本体の厚み方向に連通する開口部がハウジング本体の外縁部に複数形成され、各固定具当接ブロックが、ハウジング本体の熱伝導率よりも低い熱伝導率の材料で形成されると共に、開口部に取り付けられた状態において少なくとも開口部におけるハウジング本体の回転方向手前側の内面およびハウジング本体の回転方向先側の内面にそれぞれ面的接触した状態となるように形成されて、固定具を介してローター本体から伝熱される熱を蓄熱してハウジング本体に伝熱可能に構成されている。また、請求項5記載のディスクローターでは、上記のディスクローター用ハウジングに各固定具を介してローター本体が取り付けられている。
したがって、請求項1,2記載のディスクローター用ハウジング、および請求項5記載のディスクローターによれば、ローター本体からの熱が各固定具を介してディスクローター用ハウジングに伝熱されるときに、固定具からの熱が固定具当接ブロックに一旦蓄熱されてから十分に長い時間をかけて緩やかにハウジング本体に伝熱されると共に、ハウジング本体および固定具当接ブロックの十分に広い面的接触部分を介してハウジング本体(開口部)の十分に広い領域に伝熱される。このため、ローター本体からの熱がハウジング本体に対して短時間で局部的に伝熱されることがない結果、ハウジング本体における固定具の近傍が局部的に熱膨張する事態が好適に回避される。したがって、このディスクローター用ハウジングおよびディスクローターによれば、微細クラック、欠けおよび割れがハウジング本体に生じる事態を回避することができる。これにより、ハウジング本体をステンレススチール以外の軽量な材料(例えばアルミニウム)で形成したとしても十分な耐久性を備えることができると共に、ディスクローター用ハウジングおよびディスクローターを十分に軽量化することができる。
また、請求項1記載のディスクローター用ハウジングでは、各固定具当接ブロックが、少なくとも開口部における回転方向手前側の内面に面的接触するようにハウジング本体に取り付けられた第1部材と、第1部材とは別体に形成されて少なくとも開口部における回転方向先側の内面に面的接触するようにハウジング本体に取り付けられた第2部材とを備えている。また、請求項5記載のディスクローターでは、上記のディスクローター用ハウジングに各固定具を介してローター本体が取り付けられている。したがって、請求項1記載のディスクローター用ハウジング、および請求項5記載のディスクローターによれば、ローター本体からの熱の伝熱に起因してハウジング本体における固定具の近傍が熱膨張したとしても、第1部材および第2部材が互いに接近する方向で移動させられる結果、ハウジング本体における第1部材および第2部材の取付け部位(開口部)に大きなストレスが生じる事態を好適に回避することができる。これにより、このディスクローター用ハウジングおよびディスクローターによれば、ディスクローター用ハウジングの耐久性を一層向上させることができる。
また、請求項2記載のディスクローター用ハウジングでは、各固定具当接ブロックが、固定用ネジによってハウジング本体に固定されている。また、請求項5記載のディスクローターでは、上記のディスクローター用ハウジングに各固定具を介してローター本体が取り付けられている。したがって、請求項2記載のディスクローター用ハウジング、および請求項5記載のディスクローターによれば、ディスクローター用ハウジングへのローター本体の取付けに先立ってハウジング本体から固定具当接ブロックが外れてしまったり、ディスクローター(ディスクローター用ハウジング)に加わる遠心力等によってハウジング本体から固定具当接ブロックが外れてしまったりする事態を好適に回避することができる。また、このディスクローター用ハウジングおよびディスクローターによれば、固定具当接ブロックがハウジング本体に対して密着した状態が維持されるため、ディスクローターの使用時にいわゆる「鳴き」が生じる事態も好適に回避することができる。
請求項3記載のディスクローター用ハウジングでは、ローター本体における摩擦パッドの接触面、およびローター本体における接触面と平行な一面のいずれかの面が接するようにローター本体を取付け可能に構成され、各固定具当接ブロックが、ディスクローター用ハウジングにローター本体を取り付けた状態においてローター本体におけるいずれかの面とハウジング本体との間に挟み込まれてローター本体とハウジング本体との間に隙間を生じさせるローター当接部が設けられている。また、請求項5記載のディスクローターでは、上記のディスクローター用ハウジングに各固定具を介してローター本体が取り付けられている。
したがって、請求項3記載のディスクローター用ハウジング、および請求項5記載のディスクローターによれば、ローター本体が温度上昇したときに、その熱がローター本体からハウジング本体に対して直接伝熱される事態を回避することができるため、ハウジング本体における固定具の近傍が局部的に熱膨張する事態を一層好適に回避することができる。
請求項4記載のディスクローター用ハウジングでは、ハウジング本体が、アルミニウムで形成され、各固定具当接ブロックが、セラミックスおよびステンレススチールのいずれかで形成されている。また、請求項5記載のディスクローターでは、上記のディスクローター用ハウジングに各固定具を介してローター本体が取り付けられている。したがって、請求項4記載のディスクローター用ハウジング、および請求項5記載のディスクローターによれば、軽量なハウジング本体を備えた分だけディスクローター用ハウジング(ディスクローター)を十分に軽量化することができると共に、熱伝導率が低い固定具当接ブロックの存在によってローター本体からの熱がハウジング本体に伝熱されるまでに要する時間を十分に長くすることができる結果、ハウジング本体における固定具の近傍が短時間で局部的に温度上昇して熱膨張する事態を一層好適に回避することができる。
以下、本発明に係るディスクローター用ハウジングおよびディスクローターの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1〜3に示すディスクローター1は、「ディスクローター」の一例である「2ピースディスクローター」であって、「回転体」(一例として、自動車のハブ:図示せず)に取り付けられて、「摩擦パッド」および「キャリパー」(共に図示せず)と相俟って「ブレーキ装置」を構成する。このディスクローター1は、ハウジング2、ローター本体3、および複数の固定具4を備えて構成されている。
ハウジング2は、「ディスクローター用ハウジング」の一例であって、ローター本体3を取り付け可能に構成されると共に、ローター本体3が取り付けられた状態で「回転体」に取付け可能に構成されている。このハウジング2は、ハウジング本体11、複数の保護ブロック12および複数の固定用ネジ13を備えて構成されている。
ハウジング本体11は、「ハウジング本体」の一例であって、アルミニウムによって円形浅皿状に形成されて「回転体」に取付け可能に構成されている。この場合、図2に示すように、ハウジング本体11の基部21(ハブやタイヤホイールに接する部位)には、ハブの位置決め用凸部(センターガイド:図示せず)を挿通可能な挿通孔23hと、ハブボルト、またはホイールボルト(図示せず)を挿通可能な複数の挿通孔24hとが形成されている。なお、挿通孔23hの開口径は、装着するハブにおけるセンターガイドの外径に応じて適宜変更され、各挿通孔24hの形成位置は、ハブボルトの植設位置、またはホイールボルトをネジ込むネジ孔の開口位置に応じて適宜変更される。
また、ハウジング本体11の基部21の周囲に設けられた環状の取付け部22(ハウジング本体11の外縁部)には、各保護ブロック12を取り付け可能にハウジング本体11の厚み方向に連通する複数の切欠き部25(「開口部」の一例)が形成されると共に、各固定用ネジ13(「固定用ネジ」の一例)を挿通可能な複数の挿通孔26hが形成されている。さらに、本例のディスクローター1では、ハウジング2(ハウジング本体11)の軽量化を目的として、複数の薄肉部27がハウジング本体11の外縁部(取付け部22)に形成されている。
保護ブロック12は、「固定具当接ブロック」の一例であって、ハウジング本体11における上記の各切欠き部25に取り付けられると共に、後述するように、各固定具4を介してハウジング2にローター本体3を取り付けた状態において各固定具4に接してローター本体3をハウジング本体11に対して非接触状態で支持することができるように構成されている。この場合、図1〜3に示すように、本例のディスクローター1(ハウジング2)では、第1ブロック12a(「第1部材」の一例)、および第1ブロック12aとは別体に形成された第2ブロック12b(「第2部材」の一例)の2つのブロックを備えて保護ブロック12が構成されている。
この場合、図4に示すように、本例のハウジング2における保護ブロック12では、後述するように、ローター本体3をハウジング2に取り付ける際に固定具4が当接する固定具当接部31と、ハウジング本体11の切欠き部25に保護ブロック12を固定する「固定部」として機能すると共にハウジング本体11とローター本体3との間に挟み込まれる「ローター当接部」として機能するローター当接部32とが第1ブロック12aおよび第2ブロック12bの双方に設けられている。また、第1ブロック12aおよび第2ブロック12bのローター当接部32には、固定用ネジ13をネジ込み可能なネジ孔33がそれぞれ形成されている。
さらに、第1ブロック12aは、ハウジング本体11における切欠き部25内の「回転方向(一例として、自動車が前進しているときにハブやディスクローター1が回転する方向:矢印Rの向き)」の手前側に取り付けられて、ハウジング本体11の挿通孔26hを挿通させた固定用ネジ13がネジ孔33にネジ込まれることでハウジング本体11に固定されている。
具体的には、第1ブロック12aは、ハウジング本体11の切欠き部25における「回転方向手前側の内面」の一例であるブロック接触面F21aに固定具当接部31のハウジング本体接触面F31aが面的に接触し、かつ「回転方向手前側の内面」の他の一例であるブロック接触面F22aにローター当接部32のハウジング本体接触面F32aが面的に接触すると共に、切欠き部25における回転方向に沿ったブロック接触面F21cの「回転方向手前側」の部位に固定具当接部31のハウジング本体接触面F31cが面的に接触し、かつ切欠き部25における回転方向に沿ったブロック接触面F22cの「回転方向手前側」の部位にローター当接部32のハウジング本体接触面F32cが面的に接触し、さらに、切欠き部25におけるブロック接触面F23の「回転方向手前側」の部位にローター当接部32のハウジング本体接触面F33が面的に接触するようにハウジング本体11に取り付けられている。
また、第2ブロック12bは、切欠き部25内の「回転方向」の先側に取り付けられて、ハウジング本体11の挿通孔26hを挿通させた固定用ネジ13がネジ孔33にネジ込まれることでハウジング本体11に固定されている。
具体的には、第2ブロック12bは、ハウジング本体11の切欠き部25における「回転方向先側の内面」の一例であるブロック接触面F21bに固定具当接部31のハウジング本体接触面F31bが面的に接触し、かつ「回転方向先側の内面」の他の一例であるブロック接触面F22bにローター当接部32のハウジング本体接触面F32bが面的に接触すると共に、切欠き部25における回転方向に沿ったブロック接触面F21cの「回転方向先側」の部位に固定具当接部31のハウジング本体接触面F31cが面的に接触し、かつ切欠き部25における回転方向に沿ったブロック接触面F22cの「回転方向先側」の部位にローター当接部32のハウジング本体接触面F32cが面的に接触し、さらに、切欠き部25におけるブロック接触面F23の「回転方向先側」の部位にローター当接部32のハウジング本体接触面F33が面的に接触するようにハウジング本体11に取り付けられている。
この保護ブロック12(第1ブロック12aおよび第2ブロック12b)は、「ハウジング本体の熱伝導率よりも低い熱伝導率の材料」の一例である「セラミックス」の一例のマシナブルセラミックスを切削加工することで上記の形状に形成されている。これにより、本例のディスクローター1では、後述するように、ローター本体3が温度上昇したときに、各固定具4を介してローター本体3から伝熱される熱が保護ブロック12に蓄熱されてからハウジング本体11に伝熱される。また、本例のディスクローター1では、各部が温度上昇していない状態において、第1ブロック12aと第2ブロック12bとの間に極く小さな隙間S1(図3,5参照)が生じるように構成されている。
ローター本体3は、「摩擦パッドが押し付けられる環状のローター本体」に相当し、一例として、セラミックカーボンで環状に形成されている。この場合、図2に示すように、本例のローター本体3では、ローター本体3を挟んで対向配置される一対の「摩擦パッド」の一方が押し付けられるパッド接触面F3(「摩擦パッドの接触面」の一例)に、各固定具4を取り付けるための複数の取付け孔3hが形成されている。また、本例のディスクローター1では、ローター本体3におけるパッド接触面F3がハウジング2に接するようにローター本体3をハウジング2に取り付け可能に構成されている(「いずれかの面」が「摩擦パッドの接触面」である構成の例)。
固定具4は、ハウジング2にローター本体3を固定する「固定具」の一例であって、図2,3に示すように、前述したブレーキディスク1x,1Axにおける駆動部材15xの角筒状部15axと同様に機能する本体部41と、駆動部材15xの突起と同様に機能する鍔部42と、ローター本体3に固定するための固定部43とを備えて構成されている。なお、実際の固定具4では、本体部41等を挿通させられる固定用ネジや、固定用ネジに螺着されるナット等を備えて固定具4が構成されているが、ディスクローター1の構成についての理解を容易とするために、固定具4の詳細な構造に関する図示および説明を省略する。
この場合、本例の固定具4は、ステンレススチール(一例として、SUS304)で形成されている。また、図3に示すように、本例の固定具4では、ハウジング2にローター本体3を取り付けた状態において、本体部41の対向する一対のハウジング当接面F4,F4の一方が切欠き部25に取り付けられた状態の第1ブロック12aにおける固定具当接面F35a(図4参照)に当接すると共に、当接面F4,F4の他方が切欠き部25に取り付けられた状態の第1ブロック12bにおける固定具当接面F35a(図4参照)に当接するように形成されている。
このディスクローター1の製造に際しては、まず、ハウジング2を製造する。具体的には、第1ブロック12aのハウジング本体接触面F31a,F32a,F31c,F32c,F33がハウジング本体11(切欠き部25)のブロック接触面F21a,F22a,F21c,F22c,F23にそれぞれ面的に接触するように第1ブロック12aを切欠き部25内に配置する。次いで、ハウジング本体11の挿通孔26hを挿通させた固定用ネジ13を第1ブロック12aのネジ孔33にネジ込むことにより、ハウジング本体11(切欠き部25内)に第1ブロック12aを固定する。
同様にして、第2ブロック12bのハウジング本体接触面F31b,F32b,F31c,F32c,F33がハウジング本体11(切欠き部25)のブロック接触面F21b,F22b,F21c,F22c,F23にそれぞれ面的に接触するように第2ブロック12bを切欠き部25内に配置する。次いで、ハウジング本体11の挿通孔26hを挿通させた固定用ネジ13を第2ブロック12bのネジ孔33にネジ込むことにより、ハウジング本体11(切欠き部25内)に第2ブロック12bを固定する。
このような第1ブロック12aおよび第2ブロック12bの取付け作業を各切欠き部25毎に順次実行することにより、ハウジング本体11に対する各保護ブロック12の固定が完了して、ハウジング2が完成する。なお、上記の取付け作業時における第1ブロック12aおよび第2ブロック12bの取付け順序については上記の例に限定されず、第1ブロック12aに先立って第2ブロック12bを取り付けて固定することもできる。また、各切欠き部25に対して第1ブロック12aおよび第2ブロック12bの一方だけをそれぞれ取り付けた後に、各切欠き部25に対して第1ブロック12aおよび第2ブロック12bの他方をそれぞれ取り付けることもできる。
続いて、完成したハウジング2にローター本体3を取り付ける。この際には、まず、ハウジング2の中心とローター本体3の中心とがハウジング2およびローター本体3の厚み方向で重なり、ハウジング本体11に取り付けられている各第1ブロック12aおよび各第2ブロック12b(各保護ブロック12)における各ローター当接部32のローター本体接触面F34(図4参照)が、ローター本体3のパッド接触面F3にそれぞれ面的に接触すると共に、かつ第1ブロック12aにおける固定具当接面F35aと第2ブロック12bにおける固定具当接面F35aとの間にローター本体3の各取付け孔3hが位置するようにハウジング2に対してローター本体3を位置合わせする。
次いで、固定具4の固定部43をローター本体3の取付け孔3hに挿入した状態で図示しない固定用ネジを固定具4に挿通させると共に固定用ネジの先端部にナットを螺着することにより、固定具4をローター本体3に固定する。この際には、図5,6に示すように、固定具4における本体部41のハウジング当接面F4が保護ブロック12(第1ブロック12aおよび第2ブロック12b)における固定具当接部31の固定具当接面F35aに接すると共に、固定具4の鍔部42が保護ブロック12(第1ブロック12aおよび第2ブロック12b)における固定具当接部31の固定具当接面F35b(図4参照)に接した状態となる。
このような固定具4の固定作業を各切欠き部25(各保護ブロック12)毎に順次実行することにより、各固定具4を介してハウジング2にローター本体3が固定されて、図1,5,6に示すように、ディスクローター1が完成する。
このディスクローター1では、図6に示すように、ハウジング2のハウジング本体11とローター本体3との間に各保護ブロック12(第1ブロック12aおよび第2ブロック12b)のローター当接部32が挟み込まれた状態となっており、これにより、ハウジング本体11とローター本体3との間に隙間S2が設けられている。これにより、このディスクローター1では、ローター本体3がハウジング本体11に対して直接的に接することなくハウジング2にローター本体3が固定されている。
また、図5,6に示すように、このディスクローター1では、各固定具4がハウジング本体11に取り付けられている各保護ブロック12(第1ブロック12aおよび第2ブロック12b)に接した状態でハウジング2に対してローター本体3を支持する構成が採用されている。これにより、このディスクローター1では、ローター本体3に固定されている固定具4がハウジング本体11に対して直接的に接することなくハウジング2にローター本体3が固定されている。
したがって、本例のディスクローター1では、ローター本体3が温度上昇したときに、その熱がハウジング2のハウジング本体11に対して直接伝熱されたり、ローター本体3からの熱が固定具4を介してハウジング本体11に対して直接伝熱されたりする事態が回避されている。具体的には、本例のディスクローター1では、ローター本体3が温度上昇したときに、その熱が、保護ブロック12(第1ブロック12aおよび第2ブロック12b)のローター当接部32に直接伝熱されると共に、固定具4の本体部41および鍔部42を介して保護ブロック12(第1ブロック12aおよび第2ブロック12b)の固定具当接部31に伝熱される。
この際に、本例のディスクローター1では、保護ブロック12(第1ブロック12aおよび第2ブロック12b)が、熱伝導率が低いマシナブルセラミックスで形成され、しかも、磨耗耐性シートメタル(シート状の材料)で形成されている挿入部材20xよりも十分に体積が大きくなっている。したがって、本例のディスクローター1では、ローター本体3が温度上昇したときに、ローター本体3から、直接、または固定具4を介して保護ブロック12に伝熱された熱が直ちにハウジング本体11に伝熱されることなく、保護ブロック12に一旦蓄熱されてからハウジング本体11に徐々に(緩やかに)伝熱されることとなる。
この場合、この種のディスクローター1の使用環境においては、ローター本体3が常に温度上昇した状態となる訳ではなく、ローター本体3に摩擦パッドが押し付けられているときにだけローター本体3が最高温度に達し、それ以外のときには、ローター本体3の温度がやや低下した状態となる。したがって、ローター本体3や固定具4からの熱を蓄熱可能に構成された保護ブロック12を熱エネルギーのバッファとして機能させることにより、ハウジング本体11における保護ブロック12との接触部近傍だけが短時間で急激に温度上昇する事態が好適に回避される。
また、本例のディスクローター1では、前述したように、ハウジング本体接触面F31a,F32a,F31c,F32c,F33がハウジング本体11(切欠き部25)のブロック接触面F21a,F22a,F21c,F22c,F23にそれぞれ面的に接触するように第1ブロック12aがハウジング本体11に固定されると共に、ハウジング本体接触面F31b,F32b,F31c,F32c,F33がハウジング本体11(切欠き部25)のブロック接触面F21b,F22b,F21c,F22c,F23にそれぞれ面的に接触するように第2ブロック12bがハウジング本体11に固定されている。
したがって、本例のディスクローター1では、保護ブロック12(第1ブロック12aおよび第2ブロック12b)に蓄熱された熱が、保護ブロック12およびハウジング本体11の各面的接触部分を介して保護ブロック12からハウジング本体11に伝熱される。このため、本例のディスクローター1では、従来のブレーキディスク1x,1Axにおける挿入部材20xや、「固定具当接ブロック」等に相当する部材がハウジング本体11に対して線的または点的に接した構成の「ディスクローター」とは異なり、ローター本体3が温度上昇したときに、ハウジング本体11における線的または点的な極く狭い領域の近傍が局部的に温度上昇する事態が好適に回避されている。
このように、ローター本体3の温度上昇時にローター本体3からの熱がハウジング本体11に対して十分に広い面的接触部分を介して十分に長い時間をかけて緩やかに伝熱される本例のディスクローター1では、ハウジング本体11における固定具4の近傍が短時間で局部的に温度上昇して局部的に熱膨張する事態が好適に回避されている。これにより、ハウジング本体11に微細クラックが生じたり、欠けや割れが生じたりする事態が好適に回避されている。
この場合、本例のディスクローター1では、前述したように軽量化を目的としてハウジング本体11がアルミニウムで形成されている。また、アルミニウムは、セラミックスやステンレススチールなどと比較して熱膨張率が高いことが知られている。したがって、ローター本体3や固定具4からの熱が保護ブロック12を介してハウジング本体11に伝熱されたときには、ハウジング本体11の取付け部22における保護ブロック12が取り付けられている部位の近傍が保護ブロック12よりも熱膨張し、切欠き部25におけるブロック接触面F21a,F22aとブロック接触面F21b,F22bとの間が狭まる方向でハウジング本体11が極く僅かに変形することとなる。
この際には、ハウジング本体11の上記のような熱膨張による変形に起因して、「固定具当接ブロック(保護ブロック)」をディスクローター1の回転方向(各図における矢印Rの向き)に沿って押し縮めようとする力が加わることがある。このため、本例のディスクローター1(ハウジング2)とは異なり、第1ブロック12aおよび第2ブロック12bに相当する部位がマシナブルセラミックスやステンレススチール等で一体的に形成された「固定具当接ブロック(保護ブロック)」(図示せず)を切欠き部25に固定した場合には、切欠き部25におけるブロック接触面F21c,F22c(回転方向に沿った面)に割れが生じたり、「固定具当接ブロック(保護ブロック)」にネジ込まれている固定用ネジ13が当接している挿通孔26hの口縁部に割れが生じたりするおそれがある。
一方、本例のディスクローター1では、前述したように、第1ブロック12a、および第1ブロック12aとは別体に形成された第2ブロック12bの2つのブロックを備えて保護ブロック12が構成されると共に、各部が温度上昇していない状態において、第1ブロック12aと第2ブロック12bとの間に極く小さな隙間S1が生じるように保護ブロック12が構成されてハウジング本体11に取り付けられている。したがって、上記したようにハウジング本体11の熱膨張による変形が生じたとしても、上記の隙間S1の範囲内で第1ブロック12aおよび第2ブロック12bが接近するように移動させられることで保護ブロック12をディスクローター1の回転方向(各図における矢印Rの向き)に沿って押し縮めようとする過剰に強い力が加わる事態が回避される。これにより、切欠き部25におけるブロック接触面F21c,F22cや挿通孔26hの口縁部に割れが生じる事態が好適に回避される。
このように、このハウジング2では、各保護ブロック12を取付け可能にハウジング本体11の厚み方向に連通する切欠き部25がハウジング本体11の取付け部22(外縁部)に複数形成され、各保護ブロック12が、ハウジング本体11の熱伝導率よりも低い熱伝導率の材料で形成されると共に、切欠き部25に取り付けられた状態において少なくとも切欠き部25におけるハウジング本体11の回転方向手前側の内面(本例では、ブロック接触面F21a,F22a)およびハウジング本体11の回転方向先側の内面(ブロック接触面F21b,F22b)にそれぞれ面的接触した状態となるように形成されて、固定具4を介してローター本体3から伝熱される熱を蓄熱してハウジング本体11に伝熱可能に構成されている。また、このディスクローター1では、上記のハウジング2に各固定具4を介してローター本体3が取り付けられている。
したがって、このハウジング2およびディスクローター1によれば、ローター本体3からの熱が各固定具4を介してハウジング2に伝熱されるときに、固定具4からの熱が保護ブロック12に一旦蓄熱されてから十分に長い時間をかけて緩やかにハウジング本体11に伝熱されると共に、ハウジング本体11および保護ブロック12の十分に広い面的接触部分を介してハウジング本体11(切欠き部25)の十分に広い領域に伝熱される。このため、ローター本体3からの熱がハウジング本体11に対して短時間で局部的に伝熱されることがない結果、ハウジング本体11における固定具4の近傍が局部的に熱膨張する事態が好適に回避される。したがって、このハウジング2およびディスクローター1によれば、微細クラック、欠けおよび割れがハウジング本体11に生じる事態を回避することができる。これにより、ハウジング本体11をステンレススチール以外の軽量な材料(例えばアルミニウム)で形成したとしても十分な耐久性を備えることができると共に、ハウジング2およびディスクローター1を十分に軽量化することができる。
また、このハウジング2では、各保護ブロック12が、少なくとも切欠き部25における回転方向手前側の内面(ブロック接触面F21a,F22a)に面的接触するようにハウジング本体11に取り付けられた第1ブロック12aと、第1ブロック12aとは別体に形成されて少なくとも切欠き部25における回転方向先側の内面(ブロック接触面F21b,F22b)に面的接触するようにハウジング本体11に取り付けられた第2ブロック12bとを備えている。また、このディスクローター1では、上記のハウジング2に各固定具4を介してローター本体3が取り付けられている。
したがって、このハウジング2およびディスクローター1によれば、ローター本体3からの熱の伝熱に起因してハウジング本体11における固定具4の近傍が熱膨張したとしても、第1ブロック12aおよび第2ブロック12bが互いに接近する方向で移動させられる結果、ハウジング本体11における第1ブロック12aおよび第2ブロック12bの取付け部位(切欠き部25)に大きなストレスが生じる事態を好適に回避することができる。これにより、このハウジング2およびディスクローター1によれば、ハウジング2の耐久性を一層向上させることができる。
さらに、このハウジング2では、ローター本体3におけるパッド接触面F3が接するようにローター本体3を取付け可能に構成され、各保護ブロック12が、ハウジング2にローター本体3を取り付けた状態においてローター本体3におけるパッド接触面F3とハウジング本体11との間に挟み込まれてローター本体3とハウジング本体11との間に隙間S2を生じさせるローター当接部32が設けられている。また、このディスクローター1では、上記のハウジング2に各固定具4を介してローター本体3が取り付けられている。
したがって、このハウジング2およびディスクローター1によれば、ローター本体3が温度上昇したときに、その熱がローター本体3からハウジング本体11に対して直接伝熱される事態を回避することができるため、ハウジング本体11における固定具4の近傍が局部的に熱膨張する事態を一層好適に回避することができる。
また、このハウジング2では、各保護ブロック12が、固定用ネジ13によってハウジング本体11に固定されている。また、このディスクローター1では、上記のハウジング2に各固定具4を介してローター本体3が取り付けられている。したがって、このハウジング2およびディスクローター1によれば、ハウジング2へのローター本体3の取付けに先立ってハウジング本体11から保護ブロック12が外れてしまったり、ディスクローター1(ハウジング2)に加わる遠心力等によってハウジング本体11から保護ブロック12が外れてしまったりする事態を好適に回避することができる。また、このハウジング2およびディスクローター1によれば、保護ブロック12がハウジング本体11に対して密着した状態が維持されるため、ディスクローター1の使用時にいわゆる「鳴き」が生じる事態も好適に回避することができる。
さらに、このハウジング2では、ハウジング本体11がアルミニウムで形成され、各保護ブロック12がセラミックスで形成されている。また、このディスクローター1では、上記のハウジング2に各固定具4を介してローター本体3が取り付けられている。したがって、このハウジング2およびディスクローター1によれば、軽量なハウジング本体11を備えた分だけハウジング2(ディスクローター1)を十分に軽量化することができると共に、熱伝導率が低い保護ブロック12の存在によってローター本体3からの熱がハウジング本体11に伝熱されるまでに要する時間を十分に長くすることができる結果、ハウジング本体11における固定具4の近傍が短時間で局部的に温度上昇して熱膨張する事態を一層好適に回避することができる。
なお、「ディスクローター用ハウジング」および「ディスクローター」の構成は、上記のハウジング2およびディスクローター1の構成の例に限定されない。例えば、回転方向手間側のブロック接触面F21aF22aや、回転方向先側のブロック接触面F21b,F22bだけでなく、回転方向に沿ったブロック接触面F21c,F22cにも面的に接触した状態で切欠き部25に取り付けられた保護ブロック12(第1ブロック12aおよび第2ブロック12b)を備えた構成を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、図7に示すディスクローター1A(「ディスクローター」の他の一例)におけるハウジング2A(「ディスクローター用ハウジング」の他の一例)のように、ハウジング本体11(切欠き部25)における回転方向に沿った面(この例では、ブロック接触面F21c等)に接する部位が存在しない保護ブロック52(「固定具当接ブロック」の他の一例)を備えて構成することもできる。
なお、同図に示すディスクローター1A(ハウジング2A)、および後に説明する図8のディスクローター1B(ハウジング2B)において上記のディスクローター1(ハウジング2)と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。このディスクローター1Aにおけるハウジング2Aは、前述したディスクローター1におけるハウジング2の保護ブロック12に代えて、「第1部材」の他の一例である第1ブロック52a、および「第2部材」の他の一例である第2ブロック52bの2つのブロックで構成された保護ブロック52がハウジング本体11の切欠き部25に取り付けられて構成されている。このような構成の保護ブロック52を採用したハウジング2Aおよびディスクローター1Aにおいても、前述したハウジング2およびディスクローター1と同様の効果を奏することができる。
また、「第1部材」および「第2部材」の両部材を備えて構成された「固定具当接ブロック」としての保護ブロック12,52の構成を例に挙げて説明したが、図8に示すディスクローター1B(「ディスクローター」のさらに他の一例)のハウジング2B(「ディスクローター用ハウジング」のさらに他の一例)のように、保護ブロック12における第1ブロック12aおよび第2ブロック12bに相当する部位が一体的に形成された保護ブロック62を「固定具当接ブロック」としてハウジング本体11(切欠き部25)に取り付ける構成を採用することもできる。
さらに、「開口部」の形状は、切欠き部25のような一端部開放形に限定されず、「ハウジング本体」の径方向に沿った長孔状とすることができる。また、ハウジング2がローター本体3のパッド接触面F3に接するようにハウジング2,2A,2Bに取り付ける構成について説明したが、「ローター本体」における「接触面」に平行なその「接触面」以外の平面がハウジング2,2A,2Bに接する構成を採用することもできる(「接触面と平行な一面」を「いずれかの面」とする構成の例)。
さらに、「固定具当接ブロック」については、その熱伝導率が「ハウジング本体」の熱伝導率よりも低いとの条件を満たす限り、マシナブルセラミックス以外の各種のセラミックスや、ステンレススチールなどの各種の材料で形成することができる。また、「ハウジング本体」についても、ハウジング本体11のようなアルミニウムに限定されず、セラミックカーボンや耐熱性樹脂材料等の各種の軽量素材で形成することができる。また、セラミックカーボンのローター本体3をハウジング2,2A,2Bに取り付けたディスクローター1,1A,1B等を例に挙げて説明したが、鋳鉄やステンレススチール等で形成した「ローター本体」を取付けることもできる。
加えて、「回転体」の一例である自動車のハブに取付け可能な構成を例に挙げて説明したが、「ディスクローター(ディスクローター用ハウジング)」の取付け対象(回転体)は、自動車に限定されず、モーターサイクル、鉄道車両および航空機等の車軸や、工作機械および発電機等の回転軸を「回転体」として取付け可能な構成を採用することもできる。