本実施形態に係る製造方法によって製造される壁パネルは、一方の面に樹脂材料からなるシートが貼着された金属材料からなる板材をライン搬送しながら所定形状に加工する加工ステップにより形成されて、ユニットバスの壁部に所定寸法の隙間を空けて並設されると共に、当該隙間に固形の乾式目地材が嵌入されることにより止水作用を生じさせた状態で使用されるものである。以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
(壁パネル)
先ず、本実施形態に係る壁パネル30の構成例について説明する。図1は、壁パネル30の表面側(ユニットバスの室内側)の斜視図であり、図2は、壁パネル30の裏面側(ユニットバスの室外側)の斜視図である。また、図3は、図1におけるIII−III線断面図であり、図4は、図1におけるIV−IV線断面図である。一例として、壁パネル30は、長辺寸法1000mm〜2300mm程度、短辺寸法300mm〜1200mm程度に形成されるが、これに限定されるものではない。また、図1等の各図面は、実寸法に対する厳密な縮尺によって表示するものではない。
壁パネル30を製造する材料には、一例として、金属材料(例えば、厚さ0.5mm程度の亜鉛めっき鋼等)からなる矩形(略長方形)の板材(詳細は後述)であって、一方の面に樹脂材料(例えば、厚さ0.1mm程度のポリエステル樹脂等)からなるシート(いわゆる「化粧シート」)39が貼着された鋼板(いわゆる「化粧鋼板」)10が用いられる(以下、単に「原材料」と称する場合がある)。シート39のデザインを変えることによって、ユニットバスの壁面デザインを変えることができ、多種多様なバリエーションの提供が可能となる(すなわち、シート39貼着面が壁パネル30の表面となる)。詳細は後述するが、この原材料10を用いて、四隅をプレス加工(切断加工)によって所定形状に加工した後、四辺をプレス加工(曲げ加工)によって所定形状に加工することにより壁面構成部が平面視長方形の壁パネル30が製造される。なお、原材料10の構成は上記の例に限定されるものではない。
壁パネル30の構成例として、原材料10の第1短辺15寄りの位置で、裏面側に90°、次いで裏面側に90°で折曲されることにより、図3に示すように断面U字状(より正確には、日本語カタカナのコ字状)の折曲部31を有している。また、原材料10の第2短辺16寄りの位置でが、表面側に90°、次いで裏面側に90°で折曲されることにより、図3に示すように断面L字状の折曲部32を有している。一方、原材料10の第1長辺17寄りの位置および第2長辺18寄りの位置で、それぞれ、裏面側に90°、次いで裏面側に120°、次いで裏面側に90°で折曲されることにより、図4に示すように断面三角形状の折曲部33、34を有している。ただし、この構成に限定されるものではない。
(ジョイナー)
続いて、本実施形態に係る壁パネル30同士を連結するジョイナー40、50の構成例について説明する。図5は、ユニットバスの角部(コーナー部)に配設されるコーナージョイナー40の平面図であり、図6は、ユニットバスの辺部(中間部)に配設される平ジョイナー50の平面図である。
コーナージョイナー40は、金属材料(例えば、亜鉛めっき鋼等)からなる長方形の板材を用いて、曲げ加工によって所定形状に加工して形成される。図5に示すように、板材の短手方向の端部(すなわち、長辺部)に、それぞれ、折曲されて形成される断面三角形状の折曲部41、42を有している。この折曲部41、42同士の間が開口部44となり、内部が中空部46となる構成を有している。
また、平ジョイナー50は、金属材料(例えば、亜鉛めっき鋼等)からなる長方形の板材を用いて、曲げ加工によって所定形状に加工して形成される。図6に示すように、板材の短手方向の端部(すなわち、長辺部)に、それぞれ、折曲されて形成される断面三角形状の折曲部51、52を有している。この折曲部51、52同士の間が開口部54となり、内部が中空部56となる構成を有している。
(使用方法)
続いて、本実施形態に係る壁パネル30を用いてユニットバスの壁部を構成する方法について説明する。概略として、壁パネル30は、連結用部品であるコーナージョイナー40および平ジョイナー50と共に、床部62(一例として、浅箱状の床パン)62の外周縁に沿って一周するように配設されて、ユニットバスの壁部を構成する。なお、コーナージョイナー40および平ジョイナー50の上端部および下端部には、樹脂材料からなるブロック部材66〜69が嵌合される構成となっている。以下、詳しく説明する。
先ず、図8に示すように、矩形状に形成された床部62の一の角部近傍位置(隣接位置)において、床部62の外縁部に一枚の壁パネル30(30A)を立設する。このとき、壁パネル30(30A)の折曲部31の折曲面31b(第1折曲面)と、床部62の外縁部の当接面62aに設けられた壁下パッキン64とが当接(密接)する構成となり、水の浸入防止が図られる。なお、壁下パッキン64の例として、樹脂材料等からなる公知の防水テープが用いられる。
次いで、床部62の所定位置(壁パネル30(30A)に隣接する角部位置)にコーナージョイナー40を立設する。具体的には、壁パネル30(30A)にコーナージョイナー40を取付けた後、コーナージョイナー40の下端部を床部62に配設されたブロック部材67に嵌め込むことにより、コーナージョイナー40および壁パネル30を所定位置に位置決めしながら立設する。
壁パネル30(30A)にコーナージョイナー40を取付ける際には、壁パネル30(30A)の折曲部33を、コーナージョイナー40の開口部44から中空部46内に挿入して折曲部42に係止した状態とする。このとき、折曲部33の折曲面33a(第2係止面)と、折曲部42の折曲面42a(第2支持面)とが当接した状態となる。
次いで、床部62の外縁部に一枚の壁パネル30(30B)を立設する。その際、壁パネル30(30B)の折曲部34を、コーナージョイナー40の開口部44から中空部46内に挿入して折曲部41に係止した状態とする。このとき、折曲部34の折曲面34a(第1係止面)と、折曲部41の折曲面41a(第1支持面)とが当接した状態となる。なお、壁パネル30(30A)の場合と同様に、壁パネル30(30B)の折曲部31の折曲面31b(第1折曲面)と、床部62の外縁部の当接面62aに設けられた壁下パッキン64とが当接(密接)する構成となり、水の浸入防止が図られる。
次いで、図9に示すように、コーナージョイナー40の上端部にブロック部材66を装着する。このブロック部材66は、壁パネル30(30A)の折曲部33(具体的には、中空部33d)、および壁パネル30(30B)の折曲部34(具体的には、中空部34d)にそれぞれ挿入される突起状の挿入部(不図示)が設けられている。この挿入部が折曲部33(中空部33d)および折曲部34(中空部34d)に挿入されることによって、ブロック部材66の外れ防止を図ることができ、壁パネル30(30A)の折曲面33a(第2係止面)がコーナージョイナー40の折曲部42の折曲面42a(第2支持面)に当接した状態で、且つ、壁パネル30(30B)の折曲面34a(第1係止面)がコーナージョイナー40の折曲部41の折曲面41a(第1支持面)に当接した状態で確実に固定することができる。ただし、ブロック部材66の構成は上記の例に限定されるものではない。
次いで、床部62の所定位置(壁パネル30Bに隣接する中間位置)に平ジョイナー50を立設する。具体的には、壁パネル30Bに平ジョイナー50を取付けた後、平ジョイナー50の下端部を床部62に配設されたブロック部材69に嵌め込むことにより、平ジョイナー50および壁パネル30を所定位置に位置決めしながら立設する。
壁パネル30(30B)に平ジョイナー50を取付ける際には、壁パネル30(30B)の折曲部33を、平ジョイナー50の開口部54から中空部56内に挿入して折曲部52に係止した状態とする。このとき、折曲部33の折曲面33a(第2係止面)と、折曲部52の折曲面52a(第4支持面)とが当接した状態となる。
次いで、図10に示すように、平ジョイナー50の上端部にブロック部材68(68A)を装着する。このブロック部材68(68A)は、壁パネル30(30B)の折曲部33(具体的には、中空部33d)に挿入される突起状の挿入部(不図示)が設けられている。この挿入部が折曲部33(中空部33d)に挿入されることによって、ブロック部材68(68A)の外れ防止を図ることができ、壁パネル30(30B)の折曲面33a(第2係止面)が平ジョイナー50の折曲部52の折曲面52a(第4支持面)に当接した状態で確実に固定することができる。ただし、ブロック部材68(68A)の構成は上記の例に限定されるものではない。
次いで、床部62の外縁部に一枚の壁パネル30(30C)を立設する。その際、壁パネル30(30C)の折曲部34を、平ジョイナー50の開口部54から中空部56内に挿入して折曲部51に係止した状態とする。このとき、折曲部34の折曲面34a(第1係止面)と、折曲部51の折曲面51a(第3支持面)とが当接した状態となる。なお、壁パネル30A、30Bの場合と同様に、壁パネル30Cの折曲部31の折曲面31b(第1折曲面)と、床部62の外縁部の当接面62aに設けられた壁下パッキン64とが当接(密接)する構成となり、水の浸入防止が図られる。
次いで、平ジョイナー50の上端部にブロック部材68(68B)を装着する。このブロック部材68(68B)は、壁パネル30(30C)の折曲部34(具体的には、中空部34d)に挿入される突起状の挿入部(不図示)が設けられている。この挿入部が折曲部34(中空部34d)に挿入されることによって、ブロック部材68(68B)の外れ防止を図ることができ、壁パネル30(30C)の折曲面34a(第1係止面)が平ジョイナー50の折曲部51の折曲面51a(第3支持面)に当接した状態で確実に固定することができる。ただし、ブロック部材68(68B)の構成は上記の例に限定されるものではない。
次いで、ユニットバスの設計仕様(ここでは、壁部の水平方向寸法)に応じて、壁パネル30Cにコーナージョイナー40を取付けて当該壁面を終端させるか、もしくは平ジョイナー50を取付けて当該壁面を延設させるか、いずれかの工程を実施する。なお、コーナージョイナー40もしくは平ジョイナー50のいずれを取付ける場合も、その取付け方法は前述したそれぞれの場合と同様であるため、繰り返しの説明を省略する。
このようにして、壁パネル30、コーナージョイナー40、および平ジョイナー50を順次組み立てることによって、床部62の外周縁に沿って一周するように壁部を形成することができる。その際、壁パネル30、コーナージョイナー40、および平ジョイナー50は、互いに引き合い一体化されており、特別な部材を設けることなくユニットバスの壁面を容易に形成できる。なお、このとき、壁パネル30の折曲面34a(第1係止面)、33a(第2係止面)と、対応するコーナージョイナー40の折曲面41a(第1支持面)、42a(第2支持面)、および平ジョイナー50の折曲面51a(第3支持面)、52a(第4支持面)とは、弾性的に係止された状態となる。
ところで、コーナージョイナー40に係止されて並設された壁パネル30同士の間、より具体的には、開口部44から中空部46内に挿入された一方の壁パネル30(30A)の折曲部33と他方の壁パネル30(30B)の折曲部34との間に隙間が生じた状態となっている。したがって、この隙間に、図7に示す乾式目地材60を嵌め込んで、閉塞して水の浸入を防止する工程を実施する。この乾式目地材60は、一例として、樹脂材料を用いて弾性変形可能な固形状に形成されている。すなわち、乾式目地材60は、基部60aの裏面(室外側の面)を壁パネル30の表面に弾性接触させると共に、突設部60bを壁パネル30の折曲部33(ここでは、第4折曲面33c)、折曲部34(ここでは、第3折曲面34c)に弾性接触させることによって、隙間の止水作用(壁内への水浸入防止作用)を生じさせる構成となっている。ただし、乾式目地材60の構成は上記の例に限定されるものではない。
同様に、平ジョイナー50に係止されて並設された壁パネル30同士の間、より具体的には、開口部54から中空部56内に挿入された一方の壁パネル30(30B)の折曲部33と他方の壁パネル30(30C)の折曲部34との間に隙間が生じた状態となっている。したがって、この隙間に、図7に示す乾式目地材60を嵌め込んで、閉塞して水の浸入を防止する工程を実施する。この乾式目地材60は、上記の通り、樹脂材料を用いて弾性変形可能な固形状に形成されている。すなわち、乾式目地材60は、基部60aの裏面(室外側の面)を壁パネル30の表面に弾性接触させると共に、突設部60bを壁パネル30の折曲部33(ここでは、第4折曲面33c)、折曲部34(ここでは、第3折曲面34c)に弾性接触させることによって、隙間の止水作用(壁内への水浸入防止作用)を生じさせる構成となっている。ただし、乾式目地材60の構成は上記の例に限定されるものではない。また、コーナー用と辺部(中間部)用とで、乾式目地材を別の構成としてもよい(不図示)。
これらの工程を経て、ユニットバスの壁部が構成される。
前述の通り、仮に、目地材として硬化性を有する液状樹脂材料が用いられる場合には、壁パネル30の外形寸法の形成精度が低いことに起因して隙間の形状や寸法にばらつきが生じていても、当該隙間を埋めて壁内(室内側とは逆の裏側)への水の浸入を防ぐことが可能となる。しかし、液状樹脂材料からなる目地材は施工に手間と時間がかかり、工期やコストが増加してしまう課題が生じる。そこで、本実施形態においては、図7に示すような樹脂材料を用いて形成される固形の乾式目地材60を使用することによって、施工作業の容易化を図り(図8〜図10参照)、工期の短縮およびコスト削減を可能としている。
しかしながら、固形の乾式目地材を使用するが故に、壁パネル30の外形寸法の形成精度が低くなる程、目地材が嵌入される隙間の止水作用が得られなくなり、壁内へ水が浸入してしまう課題が生じる。具体的には、各壁パネル30における長辺部の平行度(ここでは、第3折曲面34cと第4折曲面33cとの平行度)の形成精度が低ければ、長辺部が隣接する配置で複数の壁パネル30を並設して壁部を構成する際に、一方の壁パネル30の折曲面(ここでは、第4折曲面33c)と他方の壁パネル30の折曲面(ここでは、第3折曲面34c)との間の隙間が台形等のように歪んでしまい、固形の乾式目地材60を嵌め込んだ際に折曲面(第4折曲面33c、第3折曲面34c)との間に空隙ができて、水の浸入が生じてしまう。
ここで、上記の壁パネル30は、長方形の原材料10(前述の化粧鋼板)をプレス加工によって所定形状に形成して製造される。したがって、原材料10として四隅の直角度における形成時(切断加工時)の誤差(角度公差)が極力小さく設定された長方形の板材を使用して外形基準によるプレス加工を行えば、形成される壁パネル30の外形寸法の形成精度を高めることもできる。しかし、そのような原材料10を準備するためには、加工精度の高い高価な装置が必要となり、また、加工後の材料を計測して誤差を追い込む作業等も必要となり、結果的に、原材料10となる板材の原価が上昇してしまう課題が生じる。
そのため、本願発明者は、原材料10として四隅の直角度における形成時(切断加工時)の角度公差が比較的大きく設定された安価な長方形の板材を用いることができ、且つ、プレス加工によって形成される際の外形寸法の形成精度(特に、長辺部の平行度)を極めて高くすることが可能な以下の製造方法を案出するに至った。
(製造方法)
続いて、本実施形態に係る壁パネル30の製造方法について説明する。この製造方法は、原材料10をライン搬送しながら切断・折曲加工することによって所定形状の壁パネル30として製造する下記の主要ステップを備えている。また、製造には一つのラインで加工を行う製造装置100が用いられる。図11に製造装置100の説明図(平面視の概略構成図)を示す。なお、図中の矢印Xはライン搬送方向を示す。
原材料10には、長方形の板材(前述の化粧鋼板)が用いられる。ここで「長方形」の形状について、理想的には四隅の角度が全て90°(±0°)であるが、現実には形成時(切断加工時)に、四隅の角度に誤差(本願において「角度公差」と称する)が含まれる(すなわち、幾何学的に定義される長方形のみならず略長方形が含まれる)。一般的に、当該角度公差が小さい程、材料価格は高価となり、大きい程安価となる。
本実施形態に係る製造方法によれば、以下に示す特徴的な構成(ステップ)を備えることによって、四隅の直角度における形成時(切断加工時)の角度公差が比較的大きく設定された安価な長方形の板材を原材料10として用いることができる。当該原材料10の例について、わかりやすく強調して図示すれば、図12(a)に示すひし形の原材料10(10A)、図12(b)に示す台形の原材料10(10B)、図12(c)に示すキャンバーを有する原材料10(10C)等のような形状を有するものであっても使用することができる(説明用に形状を強調した図であり、実際の形状の縮小図ではない)。これらの例のように、原材料10として、四隅の直角度に比較的大きな角度公差が許容された長方形の板材、具体的には、四隅の角度(第1隅部11の角度θ1、第2隅部12の角度θ2、第3隅部13の角度θ3、第4隅部14の角度θ4)が、直角(90°)に対して、±0.5°以内の角度公差を有する長方形の板材を使用することができ、且つ、外形精度(特に、長辺部の平行度)が高精度の壁パネル30を製造することができる。以下、詳しく説明する。
先ず、原材料10となる長方形の板材(上記の角度公差が許容されたもの)を用意して、ライン上に搬入するステップを実施する(A1ステップ)。一例として、当該板材が複数枚、積層収納されたストッカー102内から、フィーダー等の搬送装置(不図示)を用いて、所定タクトで一枚ずつライン上(ここでは、始端部104上)に載置する方法等が採用できる。なお、その後の原材料10のライン搬送には、主としてベルトコンベア等の搬送装置(不図示)を用いる。一例として、回転移動部110(後述)までは第1短辺15側を先頭として搬送し、回転移動部110からは第2長辺18側を先頭として搬送するが、この構成に限定されるものではない。
次いで、A1ステップよりも後に、切断加工部106においてA2ステップを実施する。一例として、切断加工部106は、切断用の金型(不図示)を備えて構成されている。A2ステップとして、プレス加工(切断加工)により原材料10の所定位置に、仕様に応じた切欠きを形成するステップを実施する。
次いで、A2ステップよりも後に、短辺加工部108においてA3ステップを実施する。一例として、短辺加工部108は、折曲用のプレス金型130、原材料10の位置決めを行う位置決め装置(不図示)を備えて構成されている。A3ステップとして、プレス加工(折曲加工)により原材料10の短辺部に、仕様に応じた折曲部を形成するステップを実施する。本実施形態においては、原材料10における第1短辺15寄りの端部を二回折曲して折曲面31aおよび折曲面31b(第1折曲面)を有する折曲部31を形成する。また、原材料10における第2短辺16寄りの端部を二回折曲して折曲面32aおよび折曲面32b(第2折曲面)を有する折曲部32を形成する。
次いで、A3ステップよりも後に、回転移動部110においてA4ステップを実施する。一例として、回転移動部110は、原材料10を回転移動させてライン搬送の向きを変更する回転移動装置(不図示)を備えて構成されている。A4ステップとして、原材料10を面内方向に90°回転させるステップを実施する。
次いで、A4ステップよりも後に、長辺加工部112(112A)においてB1ステップを実施する。一例として、長辺加工部112(112A)は、折曲用のプレス金型140、原材料10の位置決めを行う際の基準位置を設定する突当て部142(142A、142B)、および基準位置から原材料10を押動して精密移動させて位置決めを行う位置決め装置144(144A、144B)を備えて構成されている。
B1ステップとして、原材料10の第1長辺17側の端部に設けられる基準線21(例えば、第1長辺17における所定位置21A、21B)を対応する突当て部142に突当てて(具体的には、基準線21Aを突当て部142Aに突当てて、基準線21Bを突当て部142Bに突当てる)、原材料10におけるプレス加工位置の位置決めを行う際の基準位置を設定する。なお、当該基準線の変形例として、A2ステップにおいて第1長辺側の端部に切欠き部を形成し、当該切欠き部における所定位置(直線状の部位)等を用いてもよい(不図示)。続いて、原材料10において折曲を行う所定位置(具体的には、基準線21に対して平行で且つ所定寸法離れた位置)で、原材料10をプレス加工により折曲して第3折曲面34cを形成するステップを実施する。この第3折曲面34cが、次のB2ステップにおいて長辺(ここでは、第1長辺17)に沿った折曲げ線で折曲する際の基準位置となる基準線として用いられる。なお、本実施形態においては、原材料10における第2長辺18寄りの端部を三回折曲して折曲面34a(第1係止面)、折曲面34b、および折曲面34c(第3折曲面)を有する折曲部34を形成するため、上記の所定位置として三つの位置が設定される。したがって位置決め装置144によって原材料10をライン搬送方向と同方向に移動させ、上記の所定位置がプレス金型140におけるプレス加工位置と一致するように位置決めを行ってプレス加工(折曲加工)を行う動作を三回(すなわち、三巡)行う。
本実施形態に係る製造装置100の長辺加工部112(112A)は、図13に示すように、位置決め装置144が突当て部142を移動させる機構を有しており、当該突当て部142が原材料10に当接して(すなわち、突当てた状態のまま)これを押動する構成としている。また、突当て部142は、ライン搬送方向に対して上下方向に進退動し、ライン搬送方向の終端側に突当て面を有している。ただし、この構成に限定されるものではない。
次いで、B1ステップよりも後に、長辺加工部112(112B)においてB2ステップを実施する。一例として、長辺加工部112(112B)は、折曲用のプレス金型146、原材料10の位置決めを行う際の基準位置を設定する突当て部148(148A〜148F)、および基準位置から原材料10を押動して精密移動させて位置決めを行う位置決め装置150を備えて構成されている。
B2ステップとして、基準線(ここでは、第3折曲面34c)を突当てる突当て部148(148A〜148F)を、設定される短辺(ここでは、第1折曲面31bおよび第2折曲面32b)の長さに応じて移動させて設定位置(ここでは、原材料10において折曲を行って第4折曲面33cを形成する位置)に位置決めを行うステップを実施する。ただし、本実施形態においては、前述の第3折曲面34c形成時と同様に、原材料10における第1長辺17寄りの端部を三回折曲して折曲面33a(第2係止面)、折曲面33b、および折曲面33c(第4折曲面)を有する折曲部33を形成する段階的な工程となっている。したがって位置決め装置150によって原材料10をライン搬送方向と逆方向に順次、移動および位置決めを行いながら、最終的に上記の設定位置に位置決めが行われる。
本実施形態に係る製造装置100の長辺加工部112(112B)は、図14に示すように、突当て部148として、常用突当て部148Aと選択突当て部148(148B〜148F)とを備えている。ここで、常用突当て部148Aは、一箇所設けられて、原材料10の長辺17、18の長さに関わらず常用される突当て部である。一方、選択突当て部148(148B〜148F)は、複数箇所(本実施形態においては五箇所としているが、これに限定されるものではない)設けられて、原材料10の長辺17、18の長さに応じて一箇所が選択されて用いられる突当て部である。例えば、長辺17、18の長さが1000mm程度に設定される場合には、常用突当て部148Aと共に、選択突当て部から148Bが選択して用いられる。あるいは、長辺17、18の長さが2300mm程度に設定される場合には、常用突当て部148Aと共に、選択突当て部から148Fが選択して用いられる。このように、長辺17、18の長さに応じて、最適な位置に突当て部(すなわち、選択突当て部148B〜148Fから選択される一つ)を配置することができるため、プレス加工(折曲加工)を行う際の原材料10の位置ずれを防ぎ、精度の高い形状に加工することが可能となる。
なお、製造装置100の長辺加工部112(112B)は、位置決め装置150が突当て部148(148A〜148F)を移動させる機構を有しており、当該突当て部148(148A〜148F)が原材料10に当接して(すなわち、突当てた状態のまま)これを押動する構成としている。また、突当て部148(148A〜148F)は、ライン搬送方向に対して上下方向に進退動し、ライン搬送方向の始端側に突当て面を有している。ただし、この構成に限定されるものではない。
ここで、本実施形態に係る位置決め装置150は、突当て部148(148A〜148F)をそれぞれ独立して移動可能に支持すると共に、自身移動可能に配設されるベース部152を備えている。これによれば、位置決め装置150におけるベース部152を移動させることによって、選択突当て部として148B〜148Fからどれを選択した場合であっても、常用突当て部148(148A)および選択突当て部148(148B〜148F)の両方を一括して移動させることが可能となる。
このように、常用される常用突当て部148(148A)と複数箇所設けられて選択的に用いられる選択突当て部148(148B〜148F)とを備えることによって、長辺長さの異なる多品種の壁パネル30を一つの長辺加工部112によって、すなわち一つのラインによって製造することが可能となる。したがって、製造装置100の簡素化および低コスト化を図ることができる。
しかしながら、そのような構成であるが故に生じる課題が二つある。一つ目の課題として、選択突当て部148(148B〜148F)が原材料10の形状(ここでは、長辺長さ)に応じて適宜、選択されて切替わるため、当該選択突当て部148(148B〜148F)と常用突当て部148(148A)とで、相互に位置ずれが生じてしまう原因となる。すなわち、選択突当て部148(148B〜148F)の突当て面148yと常用突当て部148(148A)の突当て面148xとは理想的には同一面内に配置されるべきところ、ライン搬送方向にずれが生じてしまう原因となる。
当該ずれが生じた状態で、折曲加工を行うと、図15(説明用に形状を強調した図である)に示すように、折曲の基準となる基準線(ここでは、第3折曲面34c)に対して、本来、平行となるようにプレス加工により折曲形成されるべき第4折曲面33cが、平行でない形状に形成されてしまうこととなる。すなわち、図16に示すように、図16(a)の形状の長方形の原材料10をプレス加工(折曲加工)して、理想的には図16(b)の形状のように長辺部の平行度(具体的には第3折曲面34cと第4折曲面33cとの平行度)が高い壁パネル30を形成すべきところ、図16(c)の形状のように長辺部の平行度(具体的には第3折曲面34cと第4折曲面33cとの平行度)が低い壁パネル30が形成されてしまう(図16(c)は、説明用に形状を強調した図である)。このような、長辺部の平行度が低い壁パネル30は、ユニットバスの壁部を構成するために並設した際に、隣接する一方の壁パネル30の折曲面(例えば、第4折曲面33c)と他方の壁パネル30の折曲面(例えば、第3折曲面34c)とが平行に保持できず、両者の間の隙間に乾式目地材60を嵌入しても空隙ができて、水の浸入が生じてしまうこととなる。
また、二つ目の課題として、多種類の(特に、長辺長さの異なる)原材料10を一つの長辺加工部112によってプレス加工するため、プレス金型146において、長手方向における使用頻度(すなわち、原材料10との接触頻度)に差が生じ、摩耗量が不均一となってしまう原因となる。具体的には、プレス金型146による原材料10のプレス加工(折曲加工)を行った際に、図17(説明用に形状を強調した図である)に示すように、通り精度の低下、すなわち基準線となる第3折曲面34cが長手方向の位置によって折曲角度のずれが生じてしまう原因となる。すなわち、図17(a)の形状のように板面に対する第3折曲面34cの折曲角度が90°に加工されるべきところ、図17(b)の形状のように当該折曲角度が90°からずれて加工されてしまう状態となる。なお、図17(b)に示すような第3折曲面34cの折曲角度の誤差は、原材料10の板材に貼着されるシート39の厚みが変化することによっても生じ得る(ただし、長手方向における折曲角度のばらつきの発生要因ではない)。
このような第3折曲面34cの折曲角度の誤差が生じる結果、一つ目の課題の場合と同様に、図16(c)に示す形状のように長辺部の平行度、具体的には第3折曲面34cと第4折曲面33cとの平行度が低い壁パネル30が形成されてしまう。すなわち、乾式目地材60による止水作用が十分に得られない壁パネル30となってしまう。
これらの課題に対し、本実施形態においては、下記の特徴的な構成(製造工程および装置構成)を備えて、その解決を図っている。
先ず、製造工程に関して、B2ステップよりも後に、長辺加工部112(112B)においてC1ステップを実施する。C1ステップとして、N(N=自然数)枚目までの原材料10に対して、基準線(前述の第3折曲面34c)を、常用突当て部148(148A)および選択突当て部148(148B〜148F)の二箇所に突当てて、基準線(第3折曲面34c)に対して平行で且つ所定寸法離れた位置で、原材料10をプレス加工により折曲するステップを実施する。
次いで、C1ステップよりも後に、長辺加工部112(112B)においてC2ステップを実施する。C2ステップとして、C1ステップで折曲した原材料10における所定箇所の形状(一例として、第1折曲面31b側および第2折曲面32b側のそれぞれの位置における第3折曲面34cと第4折曲面33cとの距離)の測定を行った後、設計値との比較を行って得られるずれ量が許容範囲を超えている場合(すなわち、平行度が許容範囲よりも低精度の場合)に、ベース部152に対して、常用突当て部148(148A)および選択突当て部148(148B〜148F)の一方もしくは両方を個別にライン搬送方向における前後方向に移動させることにより、常用突当て部148(148A)および選択突当て部148(148B〜148F)の設定位置の微調整を行うステップを実施する。すなわち、所定箇所の測定値のずれ量が許容範囲内に収まるまで、上記のC1、C2ステップを繰り返し実施する。
次いで、C2ステップよりも後に、長辺加工部112(112B)においてD1ステップを実施する。D1ステップとして、N+1枚目以降の原材料10に対して、基準線(第3折曲面34c)を、常用突当て部148(148A)および選択突当て部148(148B〜148F)の二箇所に突当てて、基準線(第3折曲面34c)に対して平行で且つ所定寸法離れた位置で、原材料10をプレス加工により折曲するステップを実施する。すなわち、N+1枚目以降の原材料10からの壁パネル30が仕様適合(長辺部の平行度が高精度)の製品として出荷される。
ここで、製造装置100の構成に関しては、ベース部152に配設される突当て部148を、当該ベース部152に対して突当て面の位置をライン搬送方向に沿って変更できるように移動させる移動機構を備えている。一例として、常用突当て部148(148A)を移動させる移動機構154を備える構成としている。あるいは変形例として、選択突当て部148(148B〜148F)をそれぞれ移動させる移動機構(図示しないが、移動機構154と同様の構成を採用し得る)を備える構成としてもよい。さらに別の変形例として、常用突当て部148(148A)を移動させる移動機構154と、選択突当て部148(148B〜148F)をそれぞれ移動させる移動機構(図示しないが、移動機構154と同様の構成を採用し得る)との両方を備える構成としてもよい。
一例として、移動機構154は、0.05mm以下の寸法精度で移動の設定が可能な電動アクチュエータを用いて構成される。この電動アクチュエータの例として、サーボモータによりボールネジを回転させることにより、当該ボールネジに螺合されると共にリニアガイドに可動支持されたスライダを移動させる構成を備えている。
すなわち、上記のC2ステップは、電動アクチュエータを用いて常用突当て部148(148A)および選択突当て部148(148B〜148F)の一方もしくは両方を個別に0.05mm以下の寸法精度で移動させることによって常用突当て部148(148A)および選択突当て部148(148B〜148F)の設定位置の微調整を行う工程を備えるものである。これによれば、製造される壁パネル30における長辺部の平行度(具体的には、第3折曲面34cと第4折曲面33cとの平行度)を極めて高精度に形成することが可能となる。
上記の構成(製造工程および装置構成)を備えることによって、前述のB1ステップに関して、プレス加工により原材料10を長辺(ここでは、第1長辺17)に沿った折曲げ線で板面に対して角度公差1°以内程度の低い精度で90°に折曲して折曲面(ここでは、第3折曲面34c)を形成し、当該折曲面34cを次工程(B2ステップ)で基準線として用いることが可能となる。
すなわち、壁パネル30の加工精度(形状精度)の高精度化を実現するうえで、B1ステップにおいて、原材料10を長辺(第1長辺17)に沿った折曲げ線で折曲加工する際に、角度公差の誤差が一定程度大きい(精度が一定程度低い)プレス金型140の使用を許容することできる。換言すれば、折曲の直角度が一定程度低い折曲面(第3折曲面34c)であっても、基準線として用いることができる。さらに、プレス金型140の不均一な摩耗に起因した通り精度が一定程度低い折曲面(第3折曲面34c)であっても、基準線として用いることができる。これによって、製造装置100の簡素化および低コスト化、さらには装置メンテナンスの簡易化を図ることができる。
このように、本実施形態に係る壁パネル30の製造方法によれば、密接に連携する上記の主要ステップを備えることによって、以下の顕著な効果を得ることができる。具体的には、原材料10として加工精度(すなわち、外形の形状精度)の低い板材、例えば、四隅の直角度に、切断加工時に生じる0.5°以内の角度公差が含まれる長方形の板材を用いることができるため、材料費の低コスト化を図ることができる。さらに、このような精度の低い板材を用いても、第1長辺側折曲面33cと第2長辺側折曲面34cとの平行度の公差(加工の誤差)が極めて小さい長方形の壁パネル30を製造することができる。
したがって、複数の壁パネル30を長辺部同士が隣接する配置でユニットバスの壁部に所定寸法の隙間を空けて並設し、当該隙間に固形の乾式目地材60を嵌入するだけで、高い止水作用(水の浸入防止作用)を得ることができる。すなわち、当該隙間を液状の目地材で埋めて止水する作業を行う必要が無いため、壁部の設置作業を簡易且つ短時間で行うことができ、現場施工費の低コスト化を図ることができる。
なお、D1ステップの後は、適宜、必要なステップを実施する。一例として、コーナー加工部114(114A、114B)において、原材料10のコーナー部をプレス加工によって所定形状に形成するE1、E2ステップを実施する。次いで、製造装置100における原材料10の加工が終了して所定形状に形成された状態の壁パネル30を、終端部116に載置するF1ステップを実施する。次いで、フィーダー等の搬送装置(不図示)を用いて、壁パネル30を一枚ずつライン上(ここでは、終端部116上)からストッカー118内に搬送して、積層収納するG1ステップを実施する。ただし、これらのステップに限定されるものではなく、E2ステップに続いて、その他の追加加工を行う構成としてもよい。なお、その場合は、必要な機構を製造装置100に設けて壁パネル30の追加加工を行ってもよく、あるいは、別の製造装置(不図示)に壁パネル30を搬送(移送)した後、追加加工を行ってもよい。
以上、説明した通り、本発明に係る壁パネルの製造方法によれば、原材料として四隅の直角度における角度公差が比較的大きく設定された安価な長方形の板材を用いることができ、且つ、外形寸法の形成精度(特に、長辺部の平行度)が極めて高い壁パネルを製造することが可能となる。これにより、目地材として液状樹脂ではなく固形の乾式目地材を用いる構成において、当該目地材が嵌入される隙間の止水性能を飛躍的に高めることが可能となる。したがって、ユニットバスの壁部を構成する際に、施工作業の容易化が図られ、工期の短縮およびコスト削減が可能となる。
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。この壁パネルはユニットバスの壁部を構成する際に好適に用いられるが、ユニットバス以外の壁部を構成する際にも用いることができるのは言うまでもない。