JP6802133B2 - リザーブタンク - Google Patents

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Description

本開示は、リザーブタンクに係り、特に冷媒の循環経路に設けられるリザーブタンクに関する。
車両に搭載されるエンジン等を冷却する冷媒の循環経路に完全密閉型のリザーブタンクが設けられる。リザーブタンクには、冷媒の圧力調整や冷媒量の調整等のために、冷媒と共に空気の存在が必要になるが、リザーブタンクを冷媒が流れる際に冷媒に空気が巻き込まれ気泡が混入すると、エンジン等における冷却効率が低下する。
特許文献1には、気泡混入防止のために互いに分離壁で仕切られた複数の冷媒室を経由して冷媒を流通させるリザーブタンクが述べられている。ここで、分離壁に1つ設けられた連通口からタンク底部の流出口に向けて冷媒が流れると、流出口の上方側に渦流が生じ気泡が混入しやすいことを指摘する。そこで、流出口に向けて冷媒室を対称的に配置し、流出口の真上で2つの冷媒流を衝突させて流速を落とし、渦流の発生を抑制することが開示されている。
特許文献2には、リザーブタンクを複数の冷媒室に分離し、分離壁の底面側に冷媒の連通口、上方側に空気の連通口を設け、各冷媒室において、冷媒の液面の上方側に空気が存在している状態で液面が低下すると、流れる冷媒に空気が巻き込まれやすいことを指摘する。そこで、空気のみが貯留される空気室を設け、冷媒室の空気の量を減らし、冷媒室の液面を上げることが開示されている。
特許文献3には、流入口側から流出口側に向かって底面が下がって行くリザーブタンクが開示されている。このリザーブタンクにおいて流入口から流出口に向かって複数の冷媒室を設け、分離壁に同じ開口面積の連通口を設けると、分離壁の全面積に対する連通口の占める割合である開口面積比が流出口側で小さくなって流路抵抗が大きくなり、流速が次第に低速になる。さらに各連通口の位置が一直線とならないようにして、連通口を通った冷媒が分離壁に衝突させることで、液面の上方側の空気層へ向けて冷媒流を立ち上げることで、気泡を空気層に逃がすことができると述べている。
特許文献4では、流入口が液面より上方側に設けられるリザーブタンクでは、流入口から液面に向かって流れ落ちる冷媒に気泡が巻き込まれることを指摘する。そこで、流入口の真下に底面から突き出るバッフルを設け、気泡を液面の上方側に逃がし、気泡が無くなった冷媒のみが流出口に向かう構成が開示されている。
特開2014−118884号公報 特開2013−249791号公報 特開2017−101573号公報 特開平5−209522号公報
リザーブタンクにおいて、冷媒に気泡が混入することを防止する方法の1つは、液面を高くすることであるが、リザーブタンクが大型化することとなり、車載スペースの確保が難しい。別の方法として、分離壁を介して分離された複数の冷媒室に冷媒を流して流速を落とすこと、あるいは、2つの冷媒流れを衝突させて流速を落とすことがある。ここで、衝突させる2つの冷媒流れの速度が共に高速であると、衝突時に上方側へ立ち上がる冷媒量が大きくなり、空気を巻き込む恐れが大きくなる。そこで、冷媒室を流れる冷媒に空気が巻き込まれることを効果的に抑制可能で、しかも大型化を伴わないリザーブタンクが要望される。
本開示に係るリザーブタンクは、冷媒が外部から流入する流入冷媒室と、冷媒が外部へ流出する流出冷媒室と、流入冷媒室側から冷媒が流れ込む中間冷媒室と、を少なくとも有し、流入冷媒室と流出冷媒室と中間冷媒室とは分離壁によって互いに仕切られており、流入冷媒室と流出冷媒室とを仕切る分離壁に設けられた第1連通口と、中間冷媒室と流出冷媒室とを仕切る分離壁に設けられた第2連通口と、流出冷媒室において、第1連通口に向い合って突き出し、第1連通口から流れて来る冷媒の一部を第2連通口側に向けるリブ壁と、を備える。
上記構成によれば、流出冷媒室には、第1連通口と第2連通口の2方向から冷媒が流れて来るが、第1連通口から流れて来る冷媒はリブ壁に衝突し、リブ壁の両側に分割されて流れるので、流速が落ちる。リブ壁の両側に流れて流速が落ちた冷媒の一部は第2連通口側に向かい、そこで第2連通口から流れて来る冷媒と衝突し、さらに流速が落ちる。この衝突において、流速が落ちた第1連通口からの冷媒の流れの一部と、第2連通口からの冷媒の流れとは、流速が異なるが共に低速であるので、衝突によって液面側へ向かう速度成分が小さく、液面の上方側の空気を巻き込む恐れが抑制される。
上記構成のリザーブタンクによれば、冷媒室を流れる冷媒に空気が巻き込まれることを効果的に抑制できる。
実施の形態のリザーブタンクの斜視図である。 図1の下側本体部の上面図である。 図2のIII−III線に沿った断面図である。 実施の形態のリザーブタンクにおける冷媒の流れを示す模式図である。 実施の形態のリザーブタンク内部を流れる冷媒について、図3のV−V線で示す高さ位置における流速分布を示す図である。 図5よりも上方側で、図3のVI−VI線で示す高さ位置における流速分布を示す図である。 図6よりもさらに上方側で、図3のVII−VII線で示す高さ位置における流速分布を示す図である。 比較例として、第1連通口及びリブ壁を備えないリザーブタンクの内部を流れる冷媒の流速分布の例を示す図である。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下において、車両搭載用でエンジンを冷却する冷媒のためのリザーブタンクを述べるが、これは説明のための例示であって、冷媒の循環経路に設けられるリザーブタンクであれば用途は問わない。例えば、車両がハイブリッド車両であってインバータ回路等のパワーコントロールユニットを有し、このパワーコントロールユニットを冷却する冷媒のためのリザーブタンクであってもよい。以下では、冷媒は、ロングライフクーラント(LLC)と呼ばれる不凍液を述べるが、これは説明のための例示であって、これ以外の冷却水等であってもよい。
以下では、流入冷媒室側から冷媒が流れ込み、流出冷媒室に冷媒が流れる中間冷媒室を1つとして、リザーブタンクは3つの冷媒室に分離されるものとするが、これは説明のための例示であって、中間冷媒室の数を複数としてもよい。
以下に述べる形状、寸法、冷媒量等は、説明のための例示であって、リザーブタンクの仕様等により、適宜変更が可能である。また、以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、車両搭載用のリザーブタンク10の斜視図である。リザーブタンク10は、車両のエンジンを冷却する冷媒の循環経路に設けられる。冷媒には、ロングライフクーラント(LLC)が用いられ、エンジンとラジエータと冷媒循環ポンプを含む冷媒の循環経路の途中に設けられる。リザーブタンク10は、循環経路を流れる冷媒の圧力調整や、冷媒量調整のために、所定量の冷媒を一時的に貯留するタンクである。貯留可能な冷媒量は、エンジンの仕様等によって定められるが、数100cmから数L(リットル)の間である。一例を挙げると、満水量で、約600cm程度である。これは説明のための例示であり、リザーブタンク10の仕様によって異なる。
リザーブタンク10は、上側本体部12と下側本体部20とが接合部18で一体化された容器である。上側本体部12には、冷媒の流入部14と、最上部に冷媒の注入口16とが設けられる。下側本体部20には、冷媒の流出部30が設けられる。流入部14と流出部30とは、一方端が図示しない冷媒の循環経路に接続され、他方端がリザーブタンク10の内壁面の開口部に接続されるパイプである。取付部22は、下側本体部20において、流出部30と反対側の外壁にリザーブタンク10を車両に取り付ける場合の基準面となる搭載面を有する張出部である。リザーブタンク10は、接合部18で一体化された状態において、流入部14と流出部30と、場合によって注入口16に設けられる空気穴とを除いて、液密の密閉容器である。
図1に、直交する3方向として、X方向とY方向とZ方向を示す。X方向は、後述する分離壁24に平行な方向であり、Y方向は、後述する分離壁26に平行な方向であり、Z方向は上下方向で、リザーブタンク10の内部空間に貯留される冷媒の液面に垂直な方向である。Z方向は、下側本体部20から上側本体部12に向かう方向が上方側の方向、反対方向が下方側の方向である。したがって、XY面が冷媒の液面に平行な面となり、Z方向に沿って液面の高さを示すことができる。
冷媒は、リザーブタンク10において、上側本体部12の内側壁面と下側本体部20の内側壁面とで囲まれた収容空間に収容される。リザーブタンク10に平均的貯留量の冷媒が収容されるときの液面の高さ位置は、接合部18よりも上方側で、流入部14が設けられる高さ位置よりやや低い。これは説明のための例示であって、リザーブタンク10に収容される冷媒量は、冷媒の循環経路の動作状態によって変動する。収容空間において液面の高さよりも上方側の部分は、空気が存在する空間である。この空気存在空間の多寡を利用して、冷媒の圧力調整や冷媒量調整を行うことができる。
冷媒は、冷媒の循環経路のラジエータ側から上側本体部12の流入部14を介して、リザーブタンク10の収容空間に流入し、リザーブタンク10の中を流れて、下側本体部20の流出部30からエンジン側に流出する。冷媒がリザーブタンク10の収容空間を流れる際に、液面の上方側の空気を巻き込むことが生じ得る。冷媒に空気が巻き込まれると、冷媒の冷却能力が低下するので、流出部30の他方端である下側本体部20の内壁面における開口部31(図2、図3参照)の近傍の液面側では、空気を巻き込まないように、静かに冷媒が流れることが望ましい。流出部30は、下側本体部20に設けられるので、以下では、下側本体部20の構造と、冷媒の流れ方について説明する。
図2は、下側本体部20の上面図であり、図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。リザーブタンク10の内部の収容空間は、3つの分離壁24,26,28によって、流入冷媒室32、流出冷媒室34、中間冷媒室36の3つの冷媒室に仕切られる。図2、図3は、下側本体部20の部分であるが、3つの分離壁24,26,28は、図2、図3の下側本体部20のみならず、上側本体部12にも同様に設けられ、接合部18において一体的に接続される。
流入冷媒室32は、上側本体部12側に設けられる流入部14から冷媒が流入する冷媒収容空間である。流出冷媒室34は、下側本体部20の底面側の斜面に流出部30が設けられる冷媒収容空間である。中間冷媒室36は、流入冷媒室32側から流れて来る冷媒を受け入れ、流出冷媒室34側に流す中間に設けられる冷媒収容空間である。リザーブタンク10において、通常状態の液面は、接合部18よりも上方側の上側本体部12の側にあるので、下側本体部20の流入冷媒室32、流出冷媒室34、中間冷媒室36は、冷媒で満たされている。
分離壁24は、流入冷媒室32と流出冷媒室34とを仕切る壁部で、第1連通口42が設けられる。流入冷媒室32に流入した冷媒の一部は、第1連通口42を通って、中間冷媒室36を経由せずに直接的に流出冷媒室34に流れる。
分離壁26は、中間冷媒室36と流出冷媒室34とを仕切る壁部で、第2連通口44が設けられる。第2連通口44は、流入冷媒室32に流入した冷媒が中間冷媒室36を経由して流出冷媒室34に流れる際に通る開口部である。
分離壁28は、流入冷媒室32と中間冷媒室36とを仕切る壁部で、中間連通口46が設けられる。中間連通口46は、流入冷媒室32に流入した冷媒であって、第1連通口42へ流れ込まなかった冷媒が中間冷媒室36に流れ込む開口部である。
以下に、第1連通口42、第2連通口44、中間連通口46の大きさ、配置位置について、図2、図3を用いて説明する。以下の各連通口の大きさ、配置位置は、説明のための例示であって、リザーブタンク10の仕様によって適宜変更が可能である。
分離壁24に設けられる第1連通口42、分離壁26に設けられる第2連通口44、分離壁28に設けられる中間連通口46は、それぞれの分離壁において、Z方向に沿った開口寸法がX方向またはY方向に沿った開口寸法よりも大きい長円形開口である。そこで、長円形開口の差し渡しの長い方を開口長径と呼び、差し渡しの短い方を開口短径と呼ぶ。長円形開口に代えて、円形開口であってもよい。
第1連通口42は、流出部30の他方端である開口部31の位置よりも上方側の斜面内壁に開口長径の下端があり、下側本体部20の収容空間のZ方向に沿った高さH20のほぼ1/2の高さ位置に開口長径の上端がある。開口短径は、分離壁24のX方向に沿った壁幅のほぼ中央位置に設けられ、開口短径の長さは、分離壁24の壁幅の約1/3である。
第2連通口44は、下側本体部20のほぼ底面の位置に開口長径の下端があり、高さH20のほぼ3/4の高さ位置に開口長径の上端がある。開口短径は、分離壁26のY方向に沿った壁幅のほぼ中央位置に設けられ、開口短径の長さは、分離壁26の壁幅の約1/2である。第2連通口44は、3つの連通口の間で最も大きな開口面積を有する。
中間連通口46は、下側本体部20のほぼ底面の位置に開口長径の下端があり、高さH20のほぼ1/2の高さ位置に開口長径の上端がある。中間連通口46の開口長径の上端は、第1連通口42の開口長径の上端よりもやや下方側に位置する。開口短径は、分離壁28のY方向に沿った壁幅の中央位置から分離壁24側寄りに設けられ、開口短径の長さは、分離壁28の壁幅の約1/3である。
斜面仕切部38は、中間冷媒室36に設けられ、分離壁24の延長線上に延びて、そのX方向に沿った寸法は、中間冷媒室36の底面側で長く、接合部18側でゼロになる三角形の仕切板である。斜面仕切部38は、中間冷媒室36において、冷媒の流れを案内する機能を有する。即ち、中間連通口46から流れ込んだ冷媒は、斜面仕切部38に沿ってX方向に流れ、中間冷媒室36の内壁面に当たって方向を変換しながら、再び斜面仕切部38に沿い、第2連通口44に向かって蛇行的に流れる。蛇行的に流れることによって、冷媒の流速が低下する。これによって、第2連通口44から流出冷媒室34に流れ込む冷媒の流速は、第1連通口42を介して流入冷媒室32から直接的に流出冷媒室34に流れ込む冷媒の流速よりも低速となる。
流出冷媒室34に設けられるリブ壁40は、第1連通口42に向い合って突き出す縦壁部である。図3に示すように、リブ壁40は、X方向における配置位置が、第1連通口42のほぼ中央に向き合う位置に設定され、高さ方向では、下側本体部20の斜面における開口部31よりは上方側となる底面から、接合部18のすぐ真下の位置まで延びる縦壁である。リブ壁40のX方向に沿った厚さは、第1連通口42のX方向に沿った開口幅よりも十分に小さく設定される。リブ壁40のY方向に沿った突出量は、流出部30の他方側である開口部31までは突き出さず、第2連通口44の開口短径と一部重なる程度に突出する。したがって、流入冷媒室32から第1連通口42を通って流れ込む冷媒は、リブ壁40に衝突し、リブ壁40の両側に分割されて流れる。第2連通口44側に向けられた冷媒は、第2連通口44から流れて来る低速の冷媒と衝突する。衝突する位置は、流出部30の他方端である開口部31のほぼ真上となる。
図4は、リザーブタンク10の下側本体部20における冷媒の流れを示す模式図である。流入部14から流入冷媒室32に流れ込む冷媒50は、第1連通口42に向かう冷媒51と、中間連通口46に向かう冷媒52とに分かれる。中間連通口46を通った冷媒52は、中間冷媒室36において、斜面仕切部38に案内され、中間冷媒室36の内壁に沿って蛇行する冷媒53となり、低速となって第2連通口44を通って流出冷媒室34に流れる冷媒54となる。一方、第1連通口42を通った冷媒51は、リブ壁40に衝突し、リブ壁40の両側に流れる冷媒55,56に分割される。このときに、流速が低下する。第2連通口44側に向けられた冷媒56は、前述の冷媒54と衝突し、さらに流速が低下する。衝突領域60は、流出冷媒室34における流出部30の他方端である開口部31のほぼ真上である。
衝突領域60においては、リブ壁40によって分割されて低速となった冷媒56の流れと、中間冷媒室36を蛇行して低速になった冷媒54の流れとが衝突するが、いずれも冷媒50,51,52の流速に比較して低速になっている。したがって、2つの流れの衝突によって生じる上方側へ向かって立ち上がる冷媒の速度成分も低速となるので、液面側に冷媒が立ち上がり液面の上方側の空気を巻き込む恐れが抑制される。
図5から図7は、下側本体部20における冷媒の流れ分布をシミュレーションした結果を示す図である。シミュレーションは、流出部30における流出速度を所定速度に設定し、Z方向の高さ位置を変えて、その高さ位置における冷媒の流れを求めた。各図において、細い線の流線は、冷媒の流れ方向を示す。流速は、斜め斜線の密度で示し、二重斜め線を付した部分が最も流速が速い領域で、斜め斜線が1本の部分が中間程度の流速の領域で、斜め斜線を付さず流線のみが示される部分が最も低速の領域である。
図5は、図3のV−V線の高さ位置における冷媒の流れ分布を示す図である。V−V線の高さ位置は、流出部30の他方端である開口部31の上端近くの高さ位置で、第1連通口42、第2連通口44、中間連通口46のいずれも含む高さ位置である。このときの冷媒の流れ分布は、流入冷媒室32に流入した高速の冷媒が、第1連通口42を経て流出冷媒室34へ流れ込むと共に、中間連通口46を経て中間冷媒室36に流れ込むことが示される。中間冷媒室36に流れ込んだ冷媒の速度は中間冷媒室36の内部を蛇行するうちに低速になり、流入冷媒室32から流れてきた高速の冷媒と、第2連通口44付近で衝突し、流速が低下する。
図6は、図3のVI−VI線の高さ位置における冷媒の流れ分布を示す図である。VI−VI線の高さ位置は、V−V線よりも上方側の位置で、第1連通口42と第2連通口44のそれぞれのほぼ中央部を通る高さ位置で、中間連通口46の上端付近である。このときの冷媒の流れ分布は、流入冷媒室32から第1連通口42を通って流出冷媒室34に流れ込んだ高速の冷媒が、リブ壁40に衝突し、リブ壁40の両側に流れる冷媒に分割されることが示される。このとき、中間冷媒室36を蛇行して流れ低速となった冷媒は、第2連通口44を通って流出冷媒室34に流れ込み、リブ壁40によって第2連通口44側に向けられた冷媒と衝突し、流速が低下する。衝突領域60は、リブ壁40と第2連通口44のほぼ中間で、図3を参照すると、ほぼ、流出部30の他方端である開口部31の真上の領域である。
図7は、図3のVII−VIIの高さ位置における冷媒の流れ分布を示す図である。VII−VII線の高さ位置は、VI−VI線よりもさらに上方側で、第1連通口42の上端、中間連通口46の上端よりも上方側の位置で、第2連通口44のみを通る高さ位置である。このときの冷媒の流れ分布は、中間冷媒室36及び流出冷媒室34において低速であり、特に、流出冷媒室34においては、流速もほぼ平均的となっている。図6、図7を参照すると、VI−VI線の高さ位置で異なる2方向からの冷媒が衝突しても、いずれも蛇行やリブ壁40による流れの分割によって低速であるので、上方側に立ち上がる冷媒量が少なく、そのためVII−VIIの高さ位置の速度を乱さないためであることが示唆される。
比較例として、第1連通口及びリブ壁を備えないリザーブタンクの内部を流れる冷媒の流速分布の例を図8に示す。ここでは、流入冷媒室33、流出冷媒室35、中間冷媒室37の大きさをほぼ同じとした。図8に示されるように、単に3つの冷媒室を通すだけでは、流出冷媒室35における冷媒の流れには渦が生じており、これによって、液面からの空気を冷媒中に巻き込む恐れがあることが分かる。
これに対し、図2、図3の構成によれば、流出冷媒室34には、第1連通口42と第2連通口44の2方向から冷媒が流れて来るが、第1連通口42から流れて来る冷媒はリブ壁40に衝突し、リブ壁40の両側に分割されて流れるので、流速が落ちる。リブ壁40の両側に流れて流速が落ちた冷媒の一部は第2連通口44側に向かい、そこで第2連通口44から流れて来る冷媒と衝突し、さらに流速が落ちる。この衝突において、流速が落ちた第1連通口42からの冷媒の流れの一部と、第2連通口44からの冷媒の流れとは、流速が異なるが共に低速であるので、衝突によって液面側へ向かう速度成分が小さく、液面の上方側の空気を巻き込む恐れが抑制される。
10 リザーブタンク、12 上側本体部、14 流入部、16 注入口、18 接合部、20 下側本体部、22 取付部、24,26,28 分離壁、30 流出部、31 開口部、32,33 流入冷媒室、34,35 流出冷媒室、36,37 中間冷媒室、38 斜面仕切部、40 リブ壁、42 第1連通口、44 第2連通口、46 中間連通口、50,51,52,53,54,55,56 冷媒、60 衝突領域。

Claims (1)

  1. 冷媒が外部から流入する流入冷媒室と、冷媒が外部へ流出する流出冷媒室と、前記流入冷媒室側から冷媒が流れ込む中間冷媒室と、を少なくとも有し、
    前記流入冷媒室と前記流出冷媒室と前記中間冷媒室とは分離壁によって互いに仕切られており、
    前記流入冷媒室と前記流出冷媒室とを仕切る分離壁に設けられた第1連通口と、
    前記中間冷媒室と前記流出冷媒室とを仕切る分離壁に設けられた第2連通口と、
    前記流出冷媒室において、前記第1連通口に向い合って突き出し、前記第1連通口から流れて来る冷媒の一部を前記第2連通口側に向けるリブ壁と、
    を備える、リザーブタンク。
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