JP6801847B2 - L型プレキャストコンクリート製品を使用したトンネル監視員通路の簡単な構築方法 - Google Patents

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Description

本発明は自動車道路等のトンネル内の走行路線の側部の、トンネル側壁ぎわに設けるL型プレキャストコンクリート製品による監視員通路の簡単な構築方法に関するものである。この監視員通路をトンネル側壁ぎわに新設する方法であり、また、トンネル内の走行路線の側部のトンネル側壁ぎわに敷設されている既存の高さの低い監査廊の上方にL型プレキャストコンクリート製品による監視員通路をさらに構築することによって、既存の低い監査廊等をより高さのあるコンクリート製の立壁版で防護された安全な監視員通路へと簡易に改築する方法に関する。
従来から、自動車道路の山岳トンネルや都会における地下トンネルなどのトンネルの建設工事では、トンネル側壁際の路肩部分に監査廊を設けたり、監査廊より高さが高く安全性の高い監視員通路の敷設が行われてきている。監査廊とは、完成後のトンネルのひび割れや漏水等の異常の有無の観察などのメンテナンスのために設けられているものであるが、その通路高は25cm程度である。
他方、監視員通路では、たとえば幅員0.75m、通路面の高さは90cm程度である。高さが高い分だけ安全に作業がすることができるものの、製造コストも嵩む。またトンネル高さとして、通路上に2.0mの建築限界を確保することもあわせて求められているので、安易にどこにでも設置はできない。そして、トンネルの掘削自体は非常に困難な作業であり、決して容易ではないから、監視員通路のためというだけで建築限界の必要高さを充足させるために掘削領域を安易に増やすことはできない。
そこで、新設であってもトンネル設計上の自由度は高くなく、既存のトンネルの場合もその構造とも折り合いをつけながら、通路面高さを車道から90cm程度確保したうえで、通路上方空間も2mの建築限界を充足するように十分に確保していることが求められている。
そして、高速道路などでは、1km以上の全長のトンネルでは監視員通路を設置することが基本的に要請されているので、既存のトンネルも新設のトンネルも、いずれも、監視員通路を構築する必要性は高まっている。
さて、これらのトンネル内のトンネル側壁際に敷設する監視員通路の構築においては、これまでもL型プレキャストコンクリート製品が用いられてきている。これらのL型プレキャストコンクリート製品は、トンネル側壁際の所定の位置に従前は固定されるようにして配列設置されている。たとえばトンネル側壁ぎわの所定の位置に監視員通路用のL型キャストコンクリート製品を配置したうえで、トンネルの鉛直方向、横断方向および長手方向の3方向の全域にわたってブロックの空間に生コンクリートを打設していき固定する必要があるものであった。
さらに、監査廊より高い通行面を備えた監視員通路を設置する場合、すなわち、既存の監査廊の上に監視員通路を構築する置き換えの場合、従来の方法では、L型プレキャストコンクリート製品のトンネルの鉛直方向での固定には、設置基盤である監査廊に、測量により枕木で高さ調整を行うなどしてから、通行面高さ25cmの監査廊の上に高さ75cmで長さ200cmのL型プレキャストコンクリート製品をモルタルで高さを調整しつつ固定している。
そして、トンネルの横断方向については、トンネル側壁とL型プレキャストコンクリート製品の幅40cmの底版との間に生じる幅55cmの間隙に現場打ちでフレッシュコンクリートを充填している。これにより、走行自動車が運転を誤ってL型プレキャストコンクリート製品に衝突しても、L型プレキャストコンクリート製品を横断方向のトンネル側壁ぎわにコンクリート製品が移動してしまわないようになっている。
また、L型プレキャストコンクリート製品の立壁版の上にはさらに高さ80cmの手摺りを設け、立壁版の上端と平行な高さ位置のトンネル側壁との略90cmの間を監視員通路に形成し、監視員通路の内部には裏込め材を充填している。そして、監視員通路のトンネル側壁ぎわ下端を窪ませ、幅10cmの水路を設けている。
そして、こうした従来の構築方法の1つが、トンネル側壁際の基礎コンクリート上平面にL型プレキャストコンクリート擁壁を載置して、さらにL型擁壁の縦壁とトンネル側壁との間、すなわち底版上と底版延長部の上の空所に裏込め材を充填し、裏込め材の上に現場打ちのコンクリートを打設して上平面に監視員通路に形成する方法である(例えば、特許文献1参照。)。
また、既存の自動車走行用トンネルの監査廊はその高さが低く、例えば通行面の高さが自動車走路から25cmなので、この監査廊のみでトンネル内の状況を点検監視作業をすることは危険が大きい。そこで、これらの高さの低い監査廊を嵩上げして、例えば高さ80cmの手摺りを備えた、監視員に安全な通行面の高さを90cm程度確保した監視員通路へと改築したいとの要請がある。
しかし、L型プレキャストコンクリート製品を使って上述のような方法で監視員通路に改築する場合、L型プレキャストコンクリート製品をトンネル内に搬入した後のL型プレキャストコンクリート製品の高さ調整やフレッシュコンクリートの打設などの作業は、車道側から行う作業とならざるを得ず、工事中は走行車線の車線規制が必然的に不可避となる。
すなわち、L型プレキャストコンクリート製品の側面や下面をモルタルやフレッシュコンクリートで打設して固定する作業のために、トンネル内の自動車道路のうち、監視員通路を構築する側の一車線の走行車線を長期間にわたって通行規制する必要が生じる。すると、山岳トンネルなどの、例えば片側一車線である自動車道路の場合だと、工事期間中の長期間にわたってトンネル内で片側交互通行による車線規制を強いられることとなる。すると、工事の間、交通渋滞が避けられず、利用者にも多大な不便をかけることとなっている。
さらに、監査廊上に設置したL型プレキャストコンクリート製品とトンネル側壁の間をコンクリートで充填してしまうと、監査廊脇にあった既存の水路が流し込まれたコンクリートで埋まってしまうこととなる。そこで、トンネル側壁を洗浄した際の洗浄水やトンネル内の水を排水するためには、閉塞させた水路を別途に新たに確保する必要が生じていた。
そこで、本願出願人は、これらの点を改善するべく、既設の監査廊を監視員通路へと改築する方法として、立壁版と底版からなるL型プレキャストコンクリート製品の底版の端とトンネル側壁の間に間隙を設け、さらに、底版の四隅部に高さ調整用ボルトを挿着し、立壁版の長さ方向の端に連結用固定金具を有するL型プレキャストコンクリート製品を監査廊上に仮置きし、このL型プレキャストコンクリート製品を順次トンネルの長手方向に載置し、その上部に規定の高さ2mの建築限界を確保しつつ、L型プレキャストコンクリート製品の底版の端とトンネル側壁の間の間隙のあいだに楔を1個挿着し、高さ調整用ボルトを回転して底版の高さ調整し、連接したL型プレキャストコンクリート製品の端部を順次に連結用固定金具で連結する方法を発明している(特許文献2参照。)。
たしかに、上記出願人の先行発明はトンネルとの間隙に楔を入れることで簡易的な位置調整をしている。これによって、仮置きしたL型プレキャストコンクリートブロックを用いて監査廊を監視員通路へと改造することができるので、従来のコンクリートを流して養生固定する改造方法に比して、車線規制する走行規制期間が極めて短期間で済むものとなった。そこで、モルタルで固定したりフレッシュコンクリートを流し込んで固定する作業が不要とはなった。もっとも、トンネル側壁との間の間隙は必ずしも一定幅ではないことから、その調整のしやすさという点では、不十分なところが多く、隙間の大きさによっては対応しきれないことがあった。
特開2002−327600号公報(第2頁の段落0003、図8) 特開2012−87554号公報(特許第5340245号公報)
前記の間隙が一定とはならないのは、たとえば、トンネル側壁は、トンネルは湾曲や傾斜している箇所などもあるので、真っ直ぐな一様の側面からなる平面とは限らないことから、トンネル内に、L型プレキャストコンクリートブロックの底版の端をトンネル側壁に沿うように近接させるとしても、不可避的に間隙が生じやすいからである。また、トンネルはNATM工法によってロックボルトと吹き付けコンクリートでトンネル内側壁が仕上げられていることから、厚みが均一となるよりも誤差があることも踏まえて間隙の幅を簡便に調整しうる仕組みが求められている。
もっとも、隣接するL型プレキャストコンクリートブロックを連結して配列していく際には、車両走行側に立設された立壁版の表面を面一に揃えておくことは重要である。それは単に美観上面一なほうが見映えがよいというにとどまらず、車両の安全な走行のうえでも重要な要素といえるからである。余計な凹凸があると、万が一の接触事故時に車両が継ぎ目にひっかかるなどして、立壁版の側端に車両が衝突する際にオフセット衝突のような局所的な衝撃発生原因にもつながる危険性があるからである。そこで、隣接ブロックと表を面一に揃えて並べていくことは優先されることとなる。L型プレキャストコンクリートブロックを、表面をきれいに並べることが優先して配されることにすれば、トンネル側壁との間隙はより一定とはならず、どうしても内側では、ばらつきが生じることとなる。しかし、プレキャストコンクリートブロックは、型枠である程度画一的な形状で製造されて搬送されてくるのであるから、裏側の幅にあわせて底版の奥行きを代えるといったことが簡易にできることはなく、間隙が不揃いに生じることとなる。
さらに、トンネル内で車両が過失によりふらついて、立壁版と接触することはしばしば見受けられるところである。そして、こうした衝突事故の発生は避けられないのであるから、L型プレキャストコンクリートブロックの重量(数トン)のみにまかせると、衝突でずれてしまうので、動かないようにブロックを固定しておくことも要請されている。とはいえ、現場打ちのコンクリート打設で固定するようでは工期が短縮できず、走行規制時間も大きくなってしまう。そこで、走行規制を短くする工期短縮の要請に応えるべく、モルタルで固定したりフレッシュコンクリートを流し込んで固定する作業をせずに、簡易簡便に、不揃いな間隙に対応しながら、配列を崩さずに簡単簡便に固定しうる対応方法が必要とされている。
たしかに、上記出願人の先行発明(特許文献2参照。)では、底版端とトンネル側壁との間隙のあいだに楔を1つ用いて埋めることで、短期の工事が実現できてはいる。しかしながら、楔1つでは調整できる間隙の振り幅はさほど大きくなく、立壁版の表面を面一に揃えたことでトンネル内側壁との距離は不揃いになりやすく、NATM工法による吹き付けのトンネル内側壁との間隙のすべてに対応するには、限界があり、まだまだ間隙への対応は十分には見込めないものであった。また、楔での間隙充填は、いわば楔1個の一点との点接触で支承するものである。すると、壁との接触面が点となって極めて小さいことから、短期的な固定には対処しうるところはあっても、ひとたび軽くヒットした衝撃が加われば、当初の楔が効かなくなってしまうことも起こりうる。
そして、楔ブロックでは、角度が壁面と同じにはならないことから、ぴったりと隙間にはまるとは限らないものであり、底版の突端部と壁面の双方と角度がぴったり沿わないならば、点接触や線接触といった局所的な接地となるので、衝突荷重を楔ブロックで受け止めることができずに、楔のブロックが圧潰してしまうこともありえる。だからといって、間隔が種々であり、角度もバラバラであるトンネルにおいて、楔ブロックを何種類も用意して種々の角度に対応しうるよう取り揃えることは困難であり、非現実的である。1個の楔をつかって埋めるには、適用幅が少なく、埋まっても点や線で接触するので、局所的に圧力が集中する問題は残ったままであった。さらに楔が間隔よりも大きいと、むしろ楔を入れ込む余地がなく、一方で、そうした空間でも隙間が空いているかぎり、車両等の衝撃が加われば、監視員通路のブロックがずれてしまうので、隙間をそのままにすることも適切とはいえない。このように狭い間隔は放置されており、楔すら使えない状況にあった。
また、地震などの長期的な状況変化によっては、楔が効かず弛んでしまうこともありえる。点接触や線接触ゆえにそうした時間変化までは十分な考慮がされておらず、さらなる対策を講じる必要があった。
そして、楔の使用では間隙を充填する余地が必ずしも大きくとれないことから、面一に配するにも限界が生じやすく、十分ではなかった。そこで、コンクリート打設のような時間のかかる工法を用いずに、より汎用的で簡便な工夫とともに、立壁版表を面一に揃えて配列しうることが求められている。そして、間隔が大きくなれば1個の楔だけで対応しうる幅とは限らなくなるので、適用幅を大きく確保できる設置方法であることも要請されている。
また、コンクリートブロックは季節変化による温度の違いで伸縮することが知られており、一般に10℃の気温変動で1mのコンクリートが0.1mm程度伸縮する(熱膨張係数を10×10-6/℃とした場合。)。本件のコンクリートブロックはたとえば5m程度のL型ブロックを複数基長手方向に連接していくことで数百から数千mもの通路を形成しうることからすると、こうした長さ方向での伸縮は最終的に無視できないものとなる。隣接ブロックが迫るようでは、欠けたり、連接箇所でガタガタずれて真っ直ぐ配置しなくなることもありえるからである。そこで、コンクリートブロックの伸縮に対応しうる締結方法で固定しつつも連接していくことが要請されている。つまり、1基1基のブロックの荷重では衝突に対して十分に対応しきれずとも、連結していくことで十分な耐力を発揮しうることから、そのために遊びをもたせずに固定することは難しいものの、伸縮に対応することで複数基の荷重を利用した連結を確保しておくことも要請されている。
そして、トンネル側壁付近の水を排水しうる水路が既設である場合に、この排水路をそのまま活用できるように、コンクリート打設で埋めてしまうのではなく、排水経路を確保しつつ、面一にブロックを配置していく工法による設置が望まれている。もっとも、底版の下に排水する余地を確保すると、底版全体の面接触によるコンクリートブロックの自重による摩擦抵抗が得にくくなることから、衝突時に移動しやすくなる。そこで、コンクリートを打設することなく、衝突荷重に抗しうる安全性は確保したうえで、こうした排水対応しうることも要請されている。
さらに、本発明は、監視員通路を設置する方法に関するものであるところ、トンネル内の側壁際に監視員通路を設置する場合には、トンネルの大きさに限界があることを前提にしなければならない一方で、トンネル側壁際に設置の監視員通路の上方には、高さ2mの建築限界を確保することが規定されている。そこで、トンネルの大きさの限界内でありながら、かつ、監視員通路の上の高さ2mの建築限界を守って監視員通路を構築する必要がある。しかも、工事期間中の車線規制をできるだけ短期間として利用者の便を図るものとしなければならない、という基本的なトンネル内での施工という枠組みも充足しうるものである要請にも対応する必要がある。そして、トンネルは上方が断面アーチ状に湾曲していることが多いので、トンネル側面端に寄せすぎると、上方に2mの空間を確保しにくい場面もありえるので、位置調整が容易な構築方法であることも望まれている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、トンネル内の走行路線の側部のトンネル側壁ぎわにL型プレキャストコンクリート製品を用いたトンネル監視員通路を簡便に構築する方法であって、監視員通路の上の高さ2mの建築限界を遵守しうるように位置調整が可能であって、隣接ブロック同士の立壁版の表面を面一に揃えて配置しつつも、コンクリート打設による固定を用いることなく、複数基のコンクリートブロックの荷重を衝突への耐力として利用しつつも、簡易簡便にトンネル側壁と接することで安全な配列を実現しうるものであって、季節変化によるコンクリートブロックの収縮や長期使用による環境変化にも追従しやすく間隔幅への適応性の高い、かつ、下方の排水処理構造を閉塞せずに利用しうる対応性の高い、簡便な工法を提供することである。
本発明の課題を解決するための第1の手段は、横長矩形の立壁版と、該立壁版の長手方向下端部裏面から水平方向に突き出た底版とからなる断面L型のプレキャスト製コンクリートブロックを、該底版の水平方向に突き出た突端部を長手方向にわたってトンネル内側壁の下端部近傍に位置させつつ、該立壁版を内側壁裏面とトンネル内側壁と離間対向させるように直立させ、該立壁版の表面をトンネル中央に面するようにして配し、さらに、該立壁版の表面と略面一になるように隣接するコンクリートブロックの立壁版の短手端部を揃えるように突き合わせつつ配置することで、複数基の前記コンクリートブロックを長手方向に順次連接可能に仮置きしていく仮配置工程と、前記底版の水平方向に突き出た突端部とトンネル内側壁の下端部との間隙のあいだに、内部に充填材の封入された袋体を、1個もしくは複数個積層して投入する、袋体支持工程とを含み、複数基の前記コンクリートブロックを連接させて一連のコンクリートブロック群からなる基台とした後、底版上方に天板を設けて通行面とし、天板下を配線・配管用空間となしうる、トンネル内側壁際の監視員通路の構築方法である。
その第2の手段は、前記第1の手段に記載の断面L型のプレキャスト製コンクリートブロックは、底版底面にトンネル床面との間に排水用空洞部を確保しうるブロックであって、該底版の水平方向に突き出た突端部を長手方向にわたってトンネル内側壁の下端部近傍に位置させつつ、該立壁版を内側壁裏面とトンネル内側壁と離間対向させるように直立させて立壁版表面をトンネル中央に面するようにして配し、さらに、該立壁版の表面と略面一になるように隣接するコンクリートブロックの立壁版の短手端部を揃えるように突き合わせつつ配置することで、複数基の前記コンクリートブロックを長手方向に順次連接可能に仮置きしていく仮配置工程と、該コンクリートブロックの底版のレベルを調整してトンネル床面との排水用空洞部を形成するとともに立壁版が垂直となるように調整するレベル出し工程と、前記底版の水平方向に突き出た突端部とトンネル内側壁の下端部との間隙のあいだに、内部に充填材の封入された袋体を、1個もしくは複数個積層して投入する、袋体支持工程とを含み、複数基の前記コンクリートブロックを連接させて一連のコンクリートブロック群からなる基台とした後、底版上方に天板を設けて通行面とし、天板下を配線・配管用空間とする、トンネル内側壁際の監視員通路の構築方法である。
その第3の手段は、前記第2の手段に記載の断面L型のプレキャスト製コンクリートブロックは、該底版に底版底面から下方に向けて突出量が調整可能なレベル調整用治具を備え、前記レベル出し工程では該レベル調整用治具の下方への突出量を変えることでレベルを調整することを特徴とするトンネル内側壁際の監視員通路の構築方法である。
その第4の手段は、前記複数基の断面L型のプレキャスト製コンクリートブロックの連接は、長手方向に伸縮自在な治具を用いて締結されていることを特徴とする、第1から第3のいずれか1の手段に記載のトンネル内側壁際の監視員通路の構築方法である。
その他の手段は、前記袋体内の充填材はセメント成分を含む粒体であって、間隙への充填後に袋体内部でセメント硬化することを特徴とする、第1から第4のいずれか1の手段に記載のトンネル内側壁際の監視員通路の構築方法である。
さらなる他の手段は、前記袋体内の充填材が無収縮セメントである第1から第4のいずれか1の手段に記載のトンネル内側壁際の監視員通路の構築方法である。
その第5の手段は、前記袋体支持工程は、間隙のあいだに、袋体に加えて隙間充填ブロックを1個ないし複数組み合わせて間隙の横断方向に積層させるように充填するものであること、を特徴とする第1から第4のいずれか1の手段に記載のトンネル内側壁際の監視員通路の構築方法である。
その第6の手段は、前記袋体支持工程に用いる袋体と組み合わせて積層される隙間充填ブロックは、間隙の横断方向の断面形状が梯形の隙間充填ブロックであって、複数個の隙間充填ブロックを間隙の横断方向に積層して詰めていくときは、間隙の横断方向の断面形状が梯形の隙間充填ブロック複数個を各々のテーパーの向きを隣接する隙間充填ブロックごとに順次反転させるようテーパーな斜面同士を当接させるように積層させるようにして詰めていくことを特徴とする第5の手段に記載のトンネル内側壁際の監視員通路の構築方法である。
その第7の手段は、横長矩形の立壁版と、該立壁版の長手方向下端部裏面から水平方向に突き出た底版とからなる断面L型のプレキャスト製コンクリートブロックを、該底版の水平方向に突き出た突端部を長手方向にわたってトンネル内側壁の下端部近傍に位置させつつ、該立壁版を内側壁裏面とトンネル内側壁と離間対向させるように直立させ、該立壁版の表面をトンネル中央に面するようにして配し、さらに、該立壁版の表面と略面一になるように隣接するコンクリートブロックの立壁版の短手端部を揃えるように突き合わせつつ配置することで、複数基の前記コンクリートブロックを長手方向に順次連接可能に仮置きしていく仮配置工程と、前記底版の水平方向に突き出た突端部とトンネル内側壁の下端部との間隙のあいだに、間隙の横断方向の断面形状が梯形の隙間充填ブロック複数個を、各々のテーパーの向きを隣接する隙間充填ブロックごとに順次反転させるようテーパーな斜面同士を当接させるように積層させるように挿し入れる積層支持工程とを含み、複数基の前記コンクリートブロックを連接させて一連のコンクリートブロック群からなる基台とした後、底版上方に天板を設けて通行面とし、天板下を配線・配管用空間となしうる、トンネル内側壁際の監視員通路の構築方法である。
さて、これらの手段において用いる断面L型のプレキャスト製コンクリートブロックは、立壁版は垂直に立ち上がった壁であり、底版はこれと直交している。このブロックを複数基トンネル内に配置していく際には、立壁版の表面を隣接するブロックの表面と略面一になるように、互いの端の高さを揃えて、スムーズになるように配置していく。すると、垂直な横長長方形の立壁版の裏面下端部から水平に突き出た底版は、その突端をトンネル内側壁の下部に隣接させることとなるも、立壁版の表面を揃えて連接させていくので、底版の突端とトンネル内側壁の間には、ある程度の隙間が生じていくこととなる。
そこで、この隙間を、従前の1個の楔を間隙に挿し入れた点接触による固定に変えて、充填材の封入された袋を詰めて隙間を埋めていくことによって、袋の当接する面による接触で固定しうるものとなっている。この袋体を差し入れる手順によると、当初流動性のある充填材が袋に入っているので、形状変化しやすく追従性があるので間隙へ上方から差し入れての充填が袋状であることで取扱いしやすい。そして、袋のなかで形状を自在に変形できるので、隙間に対応して十分に面接触するように入り込むので、間隙のサイズに適合しやすく簡便な扱いで実施しうるものとなっている。こうしたこと袋状の充填材を差し入れて固定することが、本発明の方法の特徴のひとつとなっている。このように、不定形で形状を変化させやすい流動する充填材入りの袋を隙間に詰めていくと、袋の形状が隙間に沿うように変形できるので、隙間に十分に入り込んで面で支えることができるのである。
さて、充填材は、当初は流動できる粒状であるものの、これをセメント成分を含ませることで時間経過で固化させることができるので、隙間を埋めたままの状態を安定的に保持することもでき、流動することなく、位置止めとしての機能を果たすこととなる。さらに、充填材が無収縮セメントである場合には、袋内の成分が収縮変化しにくいので、硬化によって収縮することがなく、面接触を十分に確保したままより安定的に間隙を埋めることができる。コンクリートブロック1基の間隙に1〜3箇所程度差し入れれば間隙を埋める保持機能を果たすことができる。
こうした袋体による充填支持は、トンネル内側壁下端部とコンクリートブロックの底版の突端部との間の長手方向の間隙に、たとえば1m程度の間隔をあけて適用する。すなわち、5mのブロック長ならば4〜5箇所である。ひとつのL型プレキャスト製コンクリートブロックにつき充填支持する袋体の個数が多ければ、車両の衝突等で加わる力がそれらの袋体の数だけ分散されることとなるので、より好適といえる。いずれにせよ、袋体による面接触による支持は圧力を分散させやすいので、楔による場合よりも圧力分散に向いている。
さて、まずこの充填材の袋体単体で間隙を埋める場合は、1つの袋体でもって間隙サイズに充填するのであれば、充填する袋体のサイズは間隙よりも大きなものを選択することとなる。
他方、1つの袋体のサイズをそれほど大きなものとせず、あるいは定型の肉厚な平板的なサイズのものとしておき、間隔のあいだに複数の袋体を積層させるように重ね合わせていき、間隙に充填していくものであってもよい。袋体同士は互いに押し合って面接触するものの、袋で囲まれているので積層しても袋の中身は逃げにくい。そこで、組み合わせた場合も強度上の問題はなく、むしろ袋が小さいので、積層すれば、大きな袋体で充填材が流動しすぎるような場面でも、積層によって適切に間隙を埋めて断面L型プレキャスト製コンクリートブロックを支持固定できることとなる。
さらに、複数の袋体を積層するほかに、1以上の袋体と、隙間充填用ブロックとを間隙の間に組み合わせて積層することによって、断面L型プレキャスト製コンクリートブロックの底版を裏面側から支持固定することでもよい。隙間充填用ブロックとの組み合わせであっても、形状が変化しうる袋体によって隙間が適切に埋まるので、フィットすることで面接触による衝撃等で加わる力が適切に分散されるからである。
この隙間充填用ブロックは、ブロックの厚みが上下方向で異なるブロックであって、たとえば表面と裏面が20cm四方のブロックの断面が、梯形をしているもの(たとえば、上底が5cm、下底が7cmの台形など)が好適である。このブロックの上下で厚みが異なる向きで間隔の間に配置する。そして、この隙間充填用ブロックを複数組み合わせる場合には、隣り合う隙間充填用ブロック同士では、上下をひっくり返して用いる。梯形のテーパー部を上下入れ替えて組み合わせるので、隙間充填用ブロックの厚み方向に圧力が加わったときでも、テーパーな斜面の向きが異なることから、滑りにくく、ブロックが動きにくいといえる。また、間隙が多少変化しても、その間隙に台形のブロックが入り込めるので、間隔を埋めることができる。
そこで、複数の隙間充填用ブロックを、上下の厚みが互い違いになるように入れ替えながら積層させ、トンネル内側壁下端部とL型プレキャスト製コンクリートブロックの底版の突端部との間の間隙を、これらの隙間充填用ブロックの積層のみで埋めて支持固定することもできる。隙間充填用ブロックのみであっても、上下入れ替えたブロックの組み合わせによって接触面積を増すことができるほか、間隔の調整がしやすい。
また、コンクリートブロックの底版の底面には、トンネル内側壁付近の水をブロック下の空洞を通水して下方の排水口に導水できるように、ブロック底面の一部を切り欠いて空洞としたり、あるいは、底面のレベル調整治具を利用してブロックの底面とトンネル床面との間を浮かせて排水用空洞部を確保しうるものとしてもよい。一般にトンネルの床面は、中央から排水溝に向かって微小な傾斜がとられている場合があるので、こうした場合には、レベル調整治具を利用して底版の高さを調整すれば、雨水等を底版の下を通水させる通路を確保しうることとなり、排水溝を閉塞したりすることも避けることができる。
また、レベル調整用治具は、たとえば、底版の長辺の途中などに適宜間隔をあけて数カ所設けるものとする。レベル調整をすることで直角に折れ曲がる断面L型のブロックの立壁版が垂直に立ち上がるようにすることができる。こうした作業は、仮置き後にレベル調整用治具のボルトの突出量を調整することで簡易に実現しうる。また立壁版が垂直になっていれば、トンネル全体が上り坂や下り坂の場合でも、底版はトンネル内の道路の長手方向の傾斜に追従しうることとなる。
また、ブロック同士を長手方向に順次連結する際、数ミリ単位のコンクリートブロックの伸縮にも対応しうる伸縮自在な締結具を用いると、熱膨張などの伸縮を吸収しつつも、伸縮方向にのみ移動しうるゆるやかな締結であって、それ以外の方向にはしっかり固定されているので、複数基の荷重を利用しながら衝突等への姿勢維持をすることができる。具体的には、ブロック同士の締結は、立壁版の裏面の端部に上中下に数カ所、連結プレートをボルトで固定するものとするなどすればよいが、連結プレートの下孔を長手方向にスライド可能な細長い横孔とすることで、長手方向にのみ伸縮自在としておくことができる。また、左右のブロックそれぞれにアンカーを設置し、アンカー間にボルトを通してあらかじめ長手方向に遊びをもたせた状態でナットを締結することでもよい。(こうした状態を緩やかな締結状態と呼ぶこととする。)
さて、単独のブロックでも数トンの重量があることからすれば、もちろん、車両の衝突等で簡単にブロックが動くわけではないものの、連接されるとさらにブロックは動きにくくなる。もっとも、本発明では、底面側に排水用空洞部があることから、トンネル床面と底版の底面が接触している接触面積は小さく、摩擦抵抗による自重単体のみによる姿勢維持には限界がある。そこで、本発明の構成では、特に連接しておくことで得られる荷重を共用できるメリットは大きいところがあり、単純に遊びなく固定することではかえって歪んでしまうことから、あらかじめ伸縮を吸収しうる治具を連結具とすることで緩やかな締結状態で固定しておくことができれば、余計な伸縮によるストレスの影響を生じさせることなく互いのブロック同士を長手方向に連結しうるものとなる。
底版の上方の空間には、立壁版の上部付近に、天板を配しているので、これを監視員通路の歩行部とすることができる。そこで、高い位置を歩くことができるようになっている。この天板は、底板の上に配した鋼製フレーム枠の上に金属製板材を設置するなどすればいいので、現場打ちのコンクリート打設が不要となっている。また、天板下のフレーム枠のなかを配線や配管を適宜通せる配線・配管用空間とすることができるので、有効活用も可能である。
なお、本発明の立壁版上方にさらに手摺り等を適宜配することができることはいうまでもない。
本発明の手段の方法によると、本発明の監視員通路用のコンクリートブロックを仮置きした後、トンネル内側壁の下端部と監視員通路の基台となるコンクリートブロックの底版の突端部との間に生じる間隙を、流動性の高い袋状の充填材を用いて数カ所充填することとなる。
すると、あらかじめ充填材が袋詰めされている関係で、現場でコンクリートを流すような手間に比べて、極めて作業効率よく、加えて袋を適宜間隔を開けて配することになるので、数カ所充填するのみの作業で進めていくことができる。そして、あらかじめ充填材が袋に入っていることから、持ち運べる取扱い性が良好であり、流動性があるので不定形である特性から、間隙への追従性が高く、適切に隙間を埋めることができる。トンネル内側壁やブロック底版突端部との間隔にぴたりと納まることができ、面接触をしながら十分に間隙を埋めて位置ずれしないように埋めることができる。そして、面で当接することから、接点が分散するので、それだけ強い衝撃にも耐えうることとなる。そして、楔とは異なり、点接触ではなく、充填材が間隙に入り込んで底版突端とトンネル内側壁との間とに面接触するので、ちょっとした振動などの変化にも強く、長期的な環境変化への追従性を得やすい工法となっている。
また、1つの袋体で充填するには間隙が大きすぎる場合には、袋体を重ねて間隙に充填することもできるので、袋体は柔軟に間隙に適用していくことができる。また、隙間充填用ブロックとして楔ブロックや方形の小ブロックと袋体とを組み合わせて併用することもできる。こうした隙間充填ブロックの周囲にも袋体が流動して充填されるので、楔ブロックが従前のように点接触となることがなく、面接触で力を分散して支持しうることとなる。
他方、トンネル内側壁やブロック底版突端部との間隔が狭くて従前の楔ブロックが入らないような空隙の場合にも、流動性ある充填材を袋体に収納することによって、内部の充填材は形状を変えながら隙間に入り込むようにして沿うことができるので、従前よりも広狭いずれの間隔にも幅広く対応しうるものとなっている。
そして、セメント硬化させることで充填後に固化させた場合には、よりしっかりとコンクリートブロックの動きを抑制して固定することできる。適宜間隔を開けて袋を詰めていけるので、隙間を全部コンクリートで埋めていく場合に比べて無駄も少なくセメントの量も少なく保てる。
また、トンネル内側壁は、トンネルのカーブも含め、もともと真っ直ぐな一様な平面とは限らないので、コンクリートブロックの底版の突端をトンネル内側壁下端に直接突き合わせてしまうと、複数のコンクリートブロックの立壁版の表面が揃わず、ガタガタとずれてしまうこととなる。しかし、車両と面する立壁版表面がガタガタずれていると、走行車両がブロック同士の境にぶつかった際に、オフセット衝突のような大きな事故にもつながりかねない。この点、本発明によると、立壁版の表面端を隣接ブロックの端と面の位置を揃えるように接続することになるので、こうした端部への衝突による事故被害の拡大が低減しうるものとなっている。他方において、トンネル内側壁との関係では、コンクリートブロック底版突端との間に隙間が生じることは避けがたいものとなっている。本発明は、こうした不可避に生じる隙間を簡易、簡便に、確実に充填して埋めつつ、十分な衝撃対応力を付与しうる面接触となる袋体を用いて、飛び飛びに配置することで全体としての作業性を高めている。
また本発明において、複数の袋体を間隙の間に積層配置する場合には、袋体1つではカバーしきれない間隙サイズまで対応でき、袋体に収まっている充填材は袋体の内部で流動しうるとはいえ、それ以上に変形しないので、充填材は適切に間隙にとどまることができ、複数の袋体が互いに迫り合って面接触するので、立壁版にヒットする車両の衝撃力が加わっても全体で適切に受け止めることができる。
さらに、複数の袋体を積層する変わりに1個以上の袋体と、隙間充填用ブロックとを間隙の間に組み合わせて積層する場合には、形状が変化しうる袋体によって隙間が適切に埋まるので、フィットすることで面接触による衝撃等で加わる力を適切に分散させることができ、他方、隙間充填用ブロックを間隙に大まかに差し入れることができるので、作業性が高くコストも低く抑えられる。
そして、隙間充填用ブロックを、ブロックの厚みが上下方向で異なる断面梯形なブロックとした場合には、積層するブロック同士を上下の厚みが入れ替わる向きで間隔の間に配置することができる。すると、この隙間充填用ブロックを複数組み合わせる場合には、上下が入れ替わったブロック同士がテーパーな角度の異なる斜面で当接するので、圧力が加わったときでも、テーパーな斜面の向きが異なることから滑りにくく、ブロックの余計な動きを抑えることができる。他方、間隙が多少変化しても、その間隙に断面梯形のブロックが入り込めることとなるので、間隔を埋めることもできる。
そこで、トンネル内側壁下端部とL型プレキャスト製コンクリートブロックの底版の突端部との間の間隙を、複数の隙間充填用ブロックを適宜上下入れ替えて厚みを互い違いにしながら積層させるだけでも、上下入れ替えたブロックの組み合わせによって壁面との接触面積を増すことができるし、間隔の調整にも適切に対応することができる。
もっとも、複数の断面梯形の隙間充填用ブロックを上下に向きを入れ替える際に、間隔の調整のために、さらにブロックを上下にずらして積層させていくことになると、隙間充填用ブロック同士の接触面積が局所的に小さくなるので、衝撃によって隙間充填用ブロックが損壊したり吹き飛んだりすることが起こりうる。そこで、複数の隙間充填用ブロックを積層する際にも、適切な袋体と組み合わせることによって、隙間形状への適合性が十分に得られるようになり、面接触を十分広範囲に適切に保つことがより容易に簡便にできるようになる。
また、本発明の手段の方法によると、全体の工期が短期間で実施できるので、車線等の走行規制の範囲や時間を短く留めることができ、規制の影響を低減しうる。たとえば、走行規制をする期間は、設置工事作業のうち、仮置きするための監査廊上の測量を行い、次いでL型プレキャストコンクリート製品をトンネル内に搬入し、監査廊上の正規の位置に仮置きするまでの間のみであって、その間、トンネル内の監視員通路設置側の走行車線の1車線のみを走行規制すれば足りる。L型プレキャストコンクリート製品の仮置きが終了すると、その後のL型プレキャストコンクリート製品の設置および固定作業は、単に底版の高さ調整を行い、底版の端部とトンネル側壁との間隙に充填材の入った袋を差し入れ、さらに長手方向のL型プレキャストコンクリート製品を連結する連結用固定金具のボルトによる締結する作業であるから、これらの上記のその後の作業は、全て仮置きしたL型プレキャストコンクリート製品の立壁版裏面側で進めることもできるからである。作業員は、L型のブロックの立壁版に守られることから、最低限の安全性は確保できる。このように、本発明によると、車線規制する期間を短期間に留めることができる。
一方、従来の方法では、L型プレキャストコンクリート製品の底版を既存の監査廊上にモルタルで固定したり、トンネル側壁とトンネル内側壁と底板突端との間にフレッシュコンクリートを流し込んで固定する作業が必要であるが、こうした打設工事が不要となる。したがって、本発明の方法の手段では、トンネル内の交通の障害となる走行規制期間が極めて短くなる利点がある。
また、本発明の方法によると、コンクリートブロックの長さをより横長なものとすることができるので、連接する頻度を減らすこともできる。そのようにしても、コンクリートブロック底版の突端とトンネル内側壁との間の隙間は、適切に充填材入りの袋で埋められるので、長さを短くする要請よりも、長大化を優先しうる余地が大きくなったからである。長大化すれば、万が一コンクリートブロックに車両がヒットしても、長大な分だけ自重が重いことから、簡単にはひとつひとつのブロックが動きにくくなる。そこで長大化しうること自体も、安全に寄与しうるといえる。
さらに、監視員通路の敷設をする際、従前の排水溝の上に構築してしまう場合も考えられる。しかし、トンネル内の水を排水するうえで、これらの排水溝の周囲を上方に配置するコンクリートブロックで閉塞してしまうことは問題があり、別途に排水溝を確保する必要が生じてしまう。本発明の手段のように、底版の底面にトンネル床面との間に排水用空洞部を確保しうるものとすると、排水が可能となるので、既存のトンネルに本発明を適用する際に、そうした困難が少なくなり、工事内容の負担も小さいものとなる。
そして、本発明の手段によると、コンクリートブロックを基台としてその底版の上部に、歩行用の天板を設置することとなる。すると、従前工法では実施していた基台の内部天板面までのコンクリート打設が不要となるばかりか、その天板下の内部を利用可能な空洞とすることができるので、配管、配線を通せる空間として利用することができる。
また、トンネルの大きさは、掘削の負荷を考えると、もともと限りがあるので、トンネルを大きくせずに監視員通路を構築しなければならない。そして、監視員通路である以上、上方空間に一定の高さを確保する必要があり、確保するべき建築限界は高さ2mとされている。また、断面がアーチ状に湾曲するトンネルでは、トンネル中央のほうが天井が高い。そこで、本発明によると、L型コンクリートブロックの底版をトンネル内側壁に接触させる必要がなく、その隙間を充填材の袋で埋めることもできることから、若干であるが、道路中央寄りに監視員通路を位置させることができ、建築限界2mの高さをより確保しやすいものとなっている。そして、流動性のある無定形な袋であることから、こうした調整の幅が大きく、従前の楔のみによる場合よりも柔軟に種々の間隙サイズに対応しうるものとなっている。
本発明の方法による監視員通路を片側に配したトンネルの模式的横断図である。 本発明の方法による監視員通路の拡大配置図である。 本発明に用いるL型プレキャストコンクリートブロックをトンネル内側壁近傍に仮置きした様子を示す図である。 本発明に用いるL型プレキャストコンクリートプロックの底版突端部とトンネル内側壁との間隙に、充填材の袋体を複数積層して投入する様子を示した図である。 本発明に用いるL型プレキャストコンクリートプロックの底版突端部とトンネル内側壁との間隙に、充填材の袋体と上下向きを互い違いにした断面梯形の隙間充填ブロックとを積層して投入する様子を示した図である。 L型プレキャストコンクリートブロックを長手に連結用固定金具で緩やかに締結する様子を裏面から示した図である。スリットをボルトが移動しうるので長手方向に伸縮しうる。 L型プレキャストコンクリートブロックの立壁版の上端に設けたアンカーによる連結固定金具を拡大して示した図である。ボルトをナットに遊びをもたせて締結することで長手方向に伸縮しうる。 充填剤の袋体に充填材を量を変えて封入することで種々の間隙に対応できる様子を示す説明図である。
本発明の実施の形態を以下適宜図面を参照しつつ説明する。先ず、図1に一般的なトンネルの横断形状を示す。このトンネル内側壁(1)の側部に設置の例えばトンネル中央部に走行車線(2)を備えたトンネル路面(3)上に、断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)を用いて高さ90cmの通行面の天板(17)を備えた監視員通路(4)を構築する方法について以下に説明する。
なお、この方法による監視員通路の構築においては、トンネルに新設する場合も、トンネルに既存の高さ25cmほどの監査廊の上に改築する場合のいずれにも本発明の断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)を仮置きして袋体で間隙を埋めて連接していく一連の手順は共通しており、本発明を適用しうる。そこで、ここでは、新設の監視員通路における方法を例に説明しているものの、他の場合についてを排除するものではないことを付言する。
(断面L型プレキャスト製コンクリートブロックについて)
まず、本件の監視員通路(4)の基台に用いる断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)について説明する。この断面L型プレキャスト製コンクリートブロックは、その断面がL型で垂直な立壁版(7)と立壁版の下端から直角方向に突出する底版(8)とからなる。そして、この断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)を複数基、長手方向に順次連接していくと、監視員通路(4)の基台となる。立壁版は、横長の矩形であり、その横幅はたとえば長さ500cm(なお、ブロックの長さが長ければ自重によって衝突で動きにくくなることから、横幅は1500cm程度であってもよい。)で、高さは、88cmであり、底版の厚みが15cm、立壁版の厚みが11cmである。なお、この高さは、所望する監視員通路の高さによって変動する。この断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)は、あらかじめ設計された型枠により、工場で同形状のブロックを複数基製造したうえで、現場にトラックで搬送して重機でその場に仮置きして連接していくものである。なお、重機で搬送吊り下げるためのフックを適宜断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)に設けておいてもよい。また、連結用のアンカーやボルトを固定する穴や、ジョイントの下穴、レベル調整治具のボルト挿通孔なども、型枠成型の際にあらかじめ適宜設けておくことができる。なお、立壁版(7)の表は、化粧面としておくことができる。
(仮置配置について)
この断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)は、現場まで搬送されると、底版(8)の突端部(11)をトンネル内側壁(1)の下端近傍に、直接突端部(11)を当接させないようにして配置される(図3参照。)。この際、底版(8)をトンネル内側壁(1)に当接させないのは、走行車線(2)に向けられた立壁版(7)の表面が、隣接するブロック(6)の立壁版の表と面一に揃えるためには、トンネル内側壁(1)とのあいだに間隙(12)をむしろ設けておくほうが調整がしやすくなるからである。すなわち、トンネルのカーブやNATM工法による吹き付けの構造上、トンネル内側壁(1)に底版(8)の突端部(11)を当接させていくと、連接したブロックの立壁版(7)の表面がズレてしまい、面一に揃えるのが困難となるからである。
断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)は、長手方向に連接されていくものである。そして、隣接するコンクリートブロック(6,6)の当接しあう長手方向側端部(10,10)には、その連接の便宜のために、切欠きと突起を組み合わせて位置決めのガイドとしてもよい。たとえば、プレキャストによる型枠製造の時点で、一方のブロックの側端部に高さ5cm、幅5cm、奥行き3cm程度の凸部を設け、これに対向する隣接ブロックの側端部の該当位置には凸部が受け入れ可能な凹部を設けておき、互いに嵌め合い可能なように誘導しておくとよい。このようにすれば、立壁版(7)の表面を面一に揃える位置決めがしやすくなるからである。
そして、トンネル内側壁(1)と底版(8)の突端部(11)とのあいだの間隙(12)は、立壁版(7)の表面を面一に揃えることに加えて、監視員通路(4)の歩行面となる天板(17)の上方空間が建築限界である2mを確保しうる位置どりであることにも資する。間隔(12)の幅を調整してトンネル中央よりに断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)を配置させることができるからである。すなわち、自動車道路のトンネルは、断面がアーチ型もしくは馬蹄型であり、トンネル内側壁(1)に近い部分の天井は一般にトンネル中央部よりも低い。そこで、監視員通路の歩行面の高さを高くすることから、その上方空間を確保するには、調整できたほうが有利といえるからである。その際、あらかじめトンネル内側壁(1)に当接するように底版(8)の幅を拡げることは困難なので、プレキャスト製品である以上、一般的に間隙(12)が広くなることから、これに適切に対応する必要が生じているのである。仮置き後は、走行車線規制を一部といても、最低限の作業者の安全性は確保しうることとなるので、状況によっては極めて早めに規制を解除することができる。
(レベル調整と排水経路の確保について)
さて、断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)は、嵌め合い部分の凸凹をかみ合わせながら、仮配置で置かれていく。その際、トンネル路面(3)では、トンネルの水路に向かって微かに傾斜していたりすることが一般的なので、立壁版が垂直に立設できるように、底版(8)の底面側には、レベル調整用治具としてのレベル調整用ボルト(14)を長手方向に数カ所離間して配している。そして、図3に示すような底版(8)の上からレベル調整ボルト(14)を送り回して、底版下方のボルトの突出量を調整していくことによって、トンネル路面(3)と接したボルトに底版を支承させることで、立壁版を垂直姿勢に保持するようにする。なお、トンネル自体が長さ方向に傾斜している場合であっても、立壁版は垂直姿勢を保持することができればよいので、トンネルの長さ方向の傾斜に底版が倣って配することは問題なく可能である。
このように垂直姿勢とするレベル調整をすると、底版(8)の下方には、トンネル路面(3)との間に空洞部が生じる。これをトンネル内側壁(1)付近に生じている水を排水路(20)の円形水路等へと流しこむための通路として利用することで、排水用空洞部(21)とすることができる。
もちろん、レベル調整で生じる空隙を兼用で流用せずとも、底版の底面の一部を底版の突端部から立壁版の付近まで切り欠いて、排水用空洞部(21)を積極的に設けることもできる。このようにすれば、レベル調整が必要でない場合であっても、偶然に排水路(20)の直上に断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)を配して排水路(20)を閉塞してしまうことを避けることが十分にできる。排水路(20)は従前から存在しているものであり、トンネルの構造上動かせないことも多いので、新設するよりはこれを活かせるほうが簡便であるといえる。
他方、断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)には、その配置の際には、その自重を利用して耐衝撃に備えたいところがある。できるだけ車両との接触によって移動しにくくしようと考えるならば、ブロック(6)をトンネル路面(3)に直置きするか、トンネル路面(3)の上に敷モルタルなどでレベルや面を均すなどしてからブロック(6)を面接触させることを企図したうえで、その上に置くようにするのが従前の設置方法であった。
そこで、本発明においては、敷モルタルを底版の全体に敷くのではなく、意図的に敷かない部分を設けると、断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)を安定的に配置することができつつも、排水用空洞部(21)を確保することができる。そこで、敷きモルタルをあらかじめ敷くのではなく、レベル調整ボルト(14)の送り回しによるレベル調整の後に、その隙間の一部にグラウト(無収縮モルタル)を充填していくようにすることで、排水用空洞部(21)を残しつつ、他の隙間は埋めるようにしてもよい。このような充填作業は、仮置き後にできるので、走行車線の規制後でも立壁版の裏側で施工作業を進めることが可能である。
(連接について)
断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)と隣接する断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)とを連接していく場合、あらかじめ両端に設けたボルトやアンカーの下孔を利用するなどして、ブロック同士を連接していく。その場合、立壁版(7)や底版(8)の端部のボルトを、ブロックの長手方向に伸縮可能に緩やかな締結状態とする。
連接に用いる長手方向に伸縮自在な治具は、断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)の連接される長手方向に遊びをもたせた状態で固定するものであればいずれも適用可能である。たとえば、底版(8)の上面や、立壁版(7)の裏面に、横長スリット(25)の間プレートを複数配し、それぞれ、双方の断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6,6)とボルト(22)で固定する。その際、横長スリットを長手方向の向きと揃えておき、少なくともボルトの一方がスライド可能として長手方向への遊びとなるようにを設けておくことで、長手方向に伸縮自在とすることができる(図6参照)。また、双方のブロック(6)の側端部にU字状のアンカー(24)を埋設し、アンカー間を長手方向のボルト(22)で連結するようにしてナット(23,23)で係止する際に、ボルトが長手方向に数mmスライドできるように遊びをもたせた状態で、ナットを締結しておく(図7参照)。さらに、たとえば、樹脂が付されたナットや、二重ナットなどの弛まないナットを用いるなどすることで、ナットのその後の意図しない弛緩は避けることができる。
なお、プレートやアンカーによる固定に加えて、断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)の側端部にジョイントピンを埋設可能な孔を設けておき、ジョイントピンを挿入する構成を組み合わせてもよい。こうすることで、衝撃によって立壁版(7)がトンネル内側壁(1)方向へ押し込まれることをより抑制でき、面一な立壁版(7)の表面の揃った状態を保持しやすくなる。
(袋体支持工程および積層支持工程)
次に間隙(12)へ袋体や、隙間充填ブロックの投入による袋体支持工程およびに積層支持工程ついて説明する。前記の間隙(12)には、この袋体(15)は、たとえばその容量が0.1〜10リットル程度のサイズの密閉性を備えた袋であり、内部には、充填材(26)として、流動性のある砂や、セメントペースト、コンクリート、モルタル、無収縮セメント、無収縮モルタル(グラウト材)などを封入することができる。袋体(15)は、間隙(12)にセットする際には内部の充填材(26)が流動性を備えた袋であり、袋のサイズを変更するか、あるいは、袋に充填する充填剤の投入量を間隙(12)にあわせて調整していくことで(図8(b)(c)参照。)、間隙(12)の幅にみあった充填材入りの袋体(12)として、単体あるいは積層によって十分な面接触を確保しつつ配置させることが容易にできる。充填材は、粉状あるいはペースト状であることから流動性が高い。そこで、充填していくと、無定形に袋体の形状を変えていきながら間隙の幅や角度、凹凸に沿うようにして面接触を保ちながら充填していくこととなるので、衝突荷重を1点に集中さあせずに分散して面で受けとめることができる。この袋体(15)を間隙(12)の隙間の一部分に間隔を開けて投入することで、底版がトンネル内側壁(1)のほうへと動かないように保持することが容易となるほか、連接した際には袋体の充填により支持された隣接のブロックとも連携して衝突荷重が分散されるので、L型プレキャストコンクリートブロックの自重を増やさずとも動きにくくすることでそのポテンシャルを十分に引き出すことができる。
たとえば、無収縮モルタルを2リットル封入した袋体(15)に、反応に適量の水を投入し、封をして、硬化する前に間隙(12)へと差し入れる。その際、たとえば、袋体の厚みが3cm程度で、間隔が9cm程度であれば、袋体(15)3袋を間隙(12)のあいだに積層して、間隙(12)のあいだに充填する。袋体(15)のなかのモルタルは流動性があるものの、動ける範囲は限られていることから、互いに密着して、面接触した状態のまま硬化する。硬化後は、無収縮なので、隙間が大きく変動することはなく、充填された状態を保持しうる。そして、間隙(12)に挿し入れる袋体(15)の充填間隔は、状況に応じて、たとえば50cm〜5m程度とすることができ、充填箇所には間隙(12)を埋めるように袋体(15)を1個あるいは積層させる。たとえば、5mの長さの底版(8)であれば、1m程度の間隔で4〜5箇所に袋体(12)を充填していくことができる。このように、断面L型プレキャスト製コンクリートブロック(6)1基の底版の間隙(12)に1カ所以上袋体(15)が充填されていれば、後方から支持することができる。
袋体(15)は、間隙(12)に1カ所1個ずつ充填する以外に、上記のとおり1カ所に複数袋を積層して充填することができる(図4参照。)。さらに、袋体(15)は、充填材が硬化する前は流動性があり、袋体(15)の追従するかぎり不定形で形状を沿わせることができる。そこで、隙間充填ブロック(16)と袋体(15)を組み合わせても、間隙(12)に入り込み、面接触しうる形で底版(8)をしっかりと支持することができる。
袋体(15)と組み合わせる隙間充填ブロック(16)は、たとえば、厚み5cm、20cm四方のコンクリート製ブロックなどである。そして、直方体に限らず、さらにこの厚み方向の断面を上下が平行な辺となる梯形(台形)とし、上4cm、下5cmといった形状であると積層時の厚みの調整がしやすいので好適である。たとえば、この厚み方向の断面が梯形の隙間充填ブロック(16)複数枚を厚みを出すために積層する際に、梯形の断面形状の上下を隣接するブロック同士でひっくり返すような向きで組み合わせて積層していく。いわばハの字と逆ハの字の組み合わせとなることから、平行な面が繰り返される場合と異なり、積層されたブロック同士が滑りにくくなる。そこで、衝撃等の圧力に抗することがより良好にできる。また、間隙の厚みが積層されたブロックの厚みとぴったりこない場合に、上下にブロックをずらしながら積層することで厚みを簡単に調整することができる(図5参照。)。そこで、適切な厚みでもって間隙に充填することもできる。
さらに、袋体(15)を用いずに、こうした梯形の断面を備えた平板状のブロックを隙間充填ブロック(16)として、複数枚積層させていく際に、ブロック毎に上下の向きを入れ替えて、断面のハの字と逆ハの字とを繰り返すようにしていくと、厚みを容易に調整可能となる。一枚を少し上にずらしてセットすれば、厚みがその分だけ薄くできる。一方、一旦テンションがかかれば、そうそう外れないし、セット直前に上から押し込めば、その分だけ圧がかかるので、外れにくくしっかり押し当てることが可能ともなるので、調整しやすく扱いもしやすい。
(基台設置後の天板等の設置)
さて、上記の工程を経ることで、断面L型プレキャストコンクリートブロック(6)を複数基長手方向に連接していき、たとえば、100〜150m程度の長大な基台を形成していくことができる。そして、これらの基台据付後に、底版(8)の上方、立壁版(7)の裏面の空間上に、監視員が歩行するための天板(17)を設置する。従前は、この空間に裏込め材を入れてから、コンクリートを現場で打設していたが、それだと養生に時間も要するし、作業中の走行車線の規制が必要となる。そこで、金属製の天板(17)を、たとえばL型の金属フレームの上に設置するようにして、立壁版(7)の裏面上部に天板(17)の一端をボルトで固定する。すると、天板(17)の下方には配線や配管を通すことのできる空間が形成される。この配線・配管用空間(18)は、裏込め材を使用して埋めてしまう場合とは異なり、新設の配線や配管などをこの空間を利用して通すことができるので、無駄なくスペースを活用できることとなる。また、さらに、立壁版(7)の上端(9)からは、手摺り(19)を立設し、転落を防止する。以上のような手順で、図2に示す監視員通路を簡便に構築することができる。
1 トンネル内側壁
2 走行車線
3 トンネル路面
4 監視員通路
5 監査廊
6 断面L型プレキャストコンクリートブロック
7 立壁版
8 底版
9 上端(立壁版の)
10 長手方向側端部(立壁版の)
11 突端部(底版の)
12 間隙(底板とトンネル側壁間の)
13 連結用固定金具
14 レベル調整用ボルト
15 袋体
16 隙間充填ブロック
17 天板
18 配線・配管用空間
19 手摺り
20 排水路
21 排水用空洞部
22 ボルト
23 ナット
24 アンカー
25 横長スリット
26 充填材

Claims (7)

  1. 横長矩形の立壁版と、該立壁版の長手方向下端部裏面から水平方向に突き出た底版とからなる断面L型のプレキャスト製コンクリートブロックを、
    該底版の水平方向に突き出た突端部を長手方向にわたってトンネル内側壁の下端部近傍に位置させつつ、
    該立壁版を内側壁裏面とトンネル内側壁と離間対向させるように直立させ、該立壁版の表面をトンネル中央に面するようにして配し、
    さらに、該立壁版の表面と略面一になるように隣接するコンクリートブロックの立壁版の短手端部を揃えるように突き合わせつつ配置することで、複数基の前記コンクリートブロックを長手方向に順次連接可能に仮置きしていく仮配置工程と、
    前記底版の水平方向に突き出た突端部とトンネル内側壁の下端部との間隙のあいだに、内部に充填材の封入された袋体を、1個もしくは複数個積層して投入する、袋体支持工程とを含み、
    複数基の前記コンクリートブロックを連接させて一連のコンクリートブロック群からなる基台とした後、底版上方に天板を設けて通行面とし、天板下を配線・配管用空間となしうる、トンネル内側壁際の監視員通路の構築方法。
  2. 前記請求項1に記載の断面L型のプレキャスト製コンクリートブロックは、底版底面にトンネル床面との間に排水用空洞部を確保しうるブロックであって、
    該底版の水平方向に突き出た突端部を長手方向にわたってトンネル内側壁の下端部近傍に位置させつつ、
    該立壁版を内側壁裏面とトンネル内側壁と離間対向させるように直立させて立壁版表面をトンネル中央に面するようにして配し、
    さらに、該立壁版の表面と略面一になるように隣接するコンクリートブロックの立壁版の短手端部を揃えるように突き合わせつつ配置することで、複数基の前記コンクリートブロックを長手方向に順次連接可能に仮置きしていく仮配置工程と、
    該コンクリートブロックの底版のレベルを調整してトンネル床面との排水用空洞部を形成するとともに立壁版が垂直となるように調整するレベル出し工程と、
    前記底版の水平方向に突き出た突端部とトンネル内側壁の下端部との間隙のあいだに、内部に充填材の封入された袋体を、1個もしくは複数個積層して投入する、袋体支持工程とを含み、
    複数基の前記コンクリートブロックを連接させて一連のコンクリートブロック群からなる基台とした後、底版上方に天板を設けて通行面とし、天板下を配線・配管用空間とする、トンネル内側壁際の監視員通路の構築方法。
  3. 請求項2に記載の断面L型のプレキャスト製コンクリートブロックは、該底版に底版底面から下方に向けて突出量が調整可能なレベル調整用治具を備え、前記レベル出し工程では該レベル調整用治具の下方への突出量を変えることでレベルを調整することを特徴とするトンネル内側壁際の監視員通路の構築方法。
  4. 前記複数基の断面L型のプレキャスト製コンクリートブロックの連接は、長手方向に伸縮自在な治具を用いて締結されていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のトンネル内側壁際の監視員通路の構築方法。
  5. 前記袋体支持工程は、間隙のあいだに、袋体に加えて隙間充填ブロックを1個ないし複数組み合わせて間隙の横断方向に積層させるように充填するものであること、を特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のトンネル内側壁際の監視員通路の構築方法。
  6. 前記袋体支持工程に用いる袋体と組み合わせて積層される隙間充填ブロックは、間隙の横断方向の断面形状が梯形の隙間充填ブロックであって、複数個の隙間充填ブロックを間隙の横断方向に積層して詰めていくときは、間隙の横断方向の断面形状が梯形の隙間充填ブロック複数個を各々のテーパーの向きを隣接する隙間充填ブロックごとに順次反転させるようテーパーな斜面同士を当接させるように積層させるようにして詰めていくことを特徴とする請求項5に記載のトンネル内側壁際の監視員通路の構築方法。
  7. 横長矩形の立壁版と、該立壁版の長手方向下端部裏面から水平方向に突き出た底版とからなる断面L型のプレキャスト製コンクリートブロックを、
    該底版の水平方向に突き出た突端部を長手方向にわたってトンネル内側壁の下端部近傍に位置させつつ、
    該立壁版を内側壁裏面とトンネル内側壁と離間対向させるように直立させ、該立壁版の表面をトンネル中央に面するようにして配し、
    さらに、該立壁版の表面と略面一になるように隣接するコンクリートブロックの立壁版の短手端部を揃えるように突き合わせつつ配置することで、複数基の前記コンクリートブロックを長手方向に順次連接可能に仮置きしていく仮配置工程と、
    前記底版の水平方向に突き出た突端部とトンネル内側壁の下端部との間隙のあいだに、間隙の横断方向の断面形状が梯形の隙間充填ブロック複数個を、各々のテーパーの向きを隣接する隙間充填ブロックごとに順次反転させるようテーパーな斜面同士を当接させるように積層させるように挿し入れる積層支持工程とを含み、
    複数基の前記コンクリートブロックを連接させて一連のコンクリートブロック群からなる基台とした後、底版上方に天板を設けて通行面とし、天板下を配線・配管用空間となしうる、トンネル内側壁際の監視員通路の構築方法。
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