一実施形態の環境調整システム1について説明する。
(1)全体構成
環境調整システム1の概要を、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は環境調整システム1の概略構成図であり、図2は環境調整システム1の概略ブロック図である。
環境調整システム1は、対象空間Rの空気環境及び照明状態の少なくとも一方を変更する環境変更部を有する。環境調整システム1は、対象空間Rの画像から対象空間Rに料理が存在するか否かを判定し、対象空間Rに料理が存在すると判定する場合に、対象空間Rの画像に基づいて環境変更部を制御して対象空間Rの空気環境や照明状態を調整する。
ここで、環境変更部が対象空間Rの空気環境を変更するとは、環境変更部が対象空間Rの温度、湿度、気流(風速及び/又は風向)、及び、臭いの少なくとも1つを変更可能であることを意味する。また、ここで、環境変更部が対象空間Rの照明状態を変更するとは、環境変更部が対象空間Rの照明の明るさ、照明の色、及び照明の態様(直接照明か間接照明か)の少なくとも1つを変更可能であることを意味する。
環境調整システム1の環境変更部は、対象空間Rの空気環境及び照明状態の少なくとも一方を変更するものであればよいが、本実施形態では、環境変更部は対象空間Rの空気環境及び照明状態の両方を変更する。ここでは、環境調整システム1の環境変更部は、対象空間Rの空気環境を変更する空気調和装置100と、対象空間Rの照明状態を変更する照明装置300と、を含む。空気調和装置100は、対象空間Rの温度、湿度、気流(風速及び風向)を変更可能である。なお、対象空間Rの空気環境を変更する機器は、空気調和装置に限定されるものではなく、空気清浄機、扇風機、換気扇等であってもよい。
本実施形態では、対象空間Rは人が生活する住宅の部屋である。ただし、対象空間Rは住宅の部屋に限定されるものではなく、対象空間Rは食堂やレストラン等の空間であってもよい。また、対象空間Rは1つの部屋の空間全体でなくてもよく、部屋内の一部の空間であってもよい。
本実施形態では、環境調整システム1により存在の有無が判定される料理には、食器に盛り付けられた料理や、食卓で調理される料理(鍋で調理される料理や、ホットプレート等で調理される料理)や、グラスやカップに入れられた飲料等を含む。なお、ここで列挙した環境調整システム1により存在の有無が判定される料理の種類は例示であり、環境調整システム1は、列挙した以外の料理の存在の有無を判定してもよく、列挙した料理の存在の一部又は全部を判断しなくてもよい。
環境調整システム1の構成の概略について説明する。
環境調整システム1は、空気調和装置100と、照明装置300と、サーバ200と、を主に含む(図1及び図2参照)。空気調和装置100(具体的には、後述する空気調和装置100のコントローラ50)と、照明装置300(具体的には、後述する照明装置300の照明コントローラ330)と、サーバ200とは、ネットワークNWにより通信可能に接続される。ネットワークNWは、ここではインターネットであるが、他のWANや、LANであってもよい。
空気調和装置100は、ある建物(住宅A)に設置されている(図1参照)。空気調和装置100は、室内機10の配置される住宅Aの部屋内(対象空間R)の空気調和を行う(図1参照)。
空気調和装置100は、対象空間Rの空気環境、特には対象空間Rの温度、湿度、及び気流(風速及び/又は風向)を変更可能である。空気調和装置100の室内機10は、対象空間Rに配置され、対象空間Rに空気を吹き出す送風機構の一例としての室内ファン12を有する。
照明装置300は、対象空間Rの照明状態を変更可能である。照明装置300は、対象空間Rに配置される第1照明機器310及び第2照明機器320を含む。ここでは、第1照明機器310は直接照明の照明機器であり、第2照明機器320は間接照明の照明機器である。
サーバ200は、各種処理を行うコンピュータである。サーバ200は、設置場所を限定するものではないが、通常、住宅Aとは別の場所に設置される。
なお、図1では、サーバ200は、住宅Aに設置されている空気調和装置100及び照明装置300とのみネットワークNWを介して通信可能に接続されているが、これに限定されるものではない。サーバ200は、ネットワークNWを介して複数の住宅(又は住宅以外の建物)の環境変更部(空気調和装置や照明装置等)と通信可能に接続されてもよい。言い換えれば、サーバ200は、住宅Aに設置された空気調和装置100及び照明装置300と共に環境調整システム1を構成すると共に、他の建物に設置された環境変更部と共に別の環境調整システムを構成してもよい。ここでは、説明の単純化のため、サーバ200は、住宅Aに設置されている空気調和装置100及び照明装置300とのみネットワークNWを介して接続されているものとする。
また、ここでは、説明の単純化のため、住宅Aは1つの部屋(対象空間R)のみを有し、住宅Aには対象空間Rの空気調和のために1台の空気調和装置100が設置され、空気調和装置100は対象空間Rに配置される室内機10を1台だけ有するものとする。また、ここでは、住宅Aには対象空間Rの照明のために第1照明機器310及び第2照明機器320を含む照明装置300が設置されているものとする。ただし、このような態様に限定されるものではない。例えば、住宅Aには、複数の部屋が存在し、複数の部屋のそれぞれに空気調和装置100及び照明装置300が設置されてもよい。また、ここでは、説明の単純化のため、空気調和装置100は、対象空間Rに室内機10を1台だけ有するものとするが、空気調和装置100は、対象空間Rに2台以上の室内機10を有していてもよい。また、対象空間Rには、空気調和装置100(室内機10)に加え、空気調和装置100とは種類が異なる対象空間Rの空気環境を変更する機器(例えば、空気清浄機、扇風機、換気扇等)が更に設置されていてもよい。
また、ここでは、サーバ200は1台のコンピュータであるが、これに限定されるものではない。サーバ200は、同じ場所に設置される、又は、互いに異なる場所に設置され互いにネットワークで接続される複数台のコンピュータで構成されてもよい。
(2)詳細構成
以下に、図1〜図4を参照しながら、空気調和装置100と、照明装置300と、サーバ200と、について更に説明する。また、以下では、空気調和装置100のコントローラ50と、照明装置300の照明コントローラ330と、サーバ200とにより構成される制御装置600とについても説明する。
なお、図3は、主にコントローラ50、照明コントローラ330、及びサーバ200により構成される制御装置600の概略ブロック図である。図4は、後述する制御装置600の記憶部670のパターンデータベース672に記憶される情報の一例である。
(2−1)空気調和装置
空気調和装置100は、室内機10が配置されている対象空間Rの冷房、除湿や暖房を行う装置である。ここでは、空気調和装置100の運転モードには、冷房運転モード、除湿運転モード、暖房運転モード及び送風運転モードが含まれる。なお、他の態様では、空気調和装置100は、例えば、冷房専用の装置であってもよい。ここでは、空気調和装置100は、蒸気圧縮冷凍サイクルを利用して冷房・暖房等を行う。
空気調和装置100は、室内機10と、室外機20と、室内機10と室外機20との間を接続する冷媒連絡配管(図示せず)と、リモートコントローラ30と、を主に有する(図1及び図2参照)。なお、図1には壁掛式の室内機10が描画されているが、空気調和装置100は、天井設置式(天井埋込式や天井吊下式)や床置式等の他のタイプの室内機を有するものであってもよい。
空気調和装置100では、室内機10と室外機20とが冷媒連絡配管を介して接続されることで、室内機10の室内熱交換器(図示省略)や、室外機20の圧縮機、室外熱交換器、膨張弁等(図示省略)が配管により接続され、冷媒回路が構成される。空気調和装置100は、冷媒回路内で冷媒を循環させ、対象空間Rの空気と冷媒回路を流れる冷媒との間で熱交換を行わせることで、室内機10の設置された対象空間Rの冷房・暖房等を行う。具体的には、空気調和装置100は、室内機10の室内ファン12(図2参照)を用いて、対象空間Rの空気を室内機10の筐体11(図1参照)内に取り込んで室内熱交換器に供給し、室内熱交換器の内部を流れる冷媒と熱交換を行った空気を対象空間Rに吹き出して、対象空間Rの冷房・暖房等を行う。なお、蒸気圧縮冷凍サイクルを利用した空気調和装置100の動作原理は公知であるため、ここでは説明を省略する。
室内機10は、図示しない室内熱交換器、室内ファン12、室内熱交換器や室内ファン12を内部に収容する筐体11、対象空間Rの温度を測定する温度センサ14、対象空間Rの湿度を測定する湿度センサ16、風向調節フラップ17及び室内コントローラ18を含む(図1及び図2参照)。室内ファン12は、対象空間Rに空気を吹き出す送風機構の一例である。室内ファン12は、限定するものではないが、例えば風量可変のファンである。風向調節フラップ17は、室内機10が空気を吹き出す吹出口に設けられ、図示しないモータで駆動されて室内ファン12が吹き出す空気の風向を調節する。室内コントローラ18は、例えば、CPU、メモリ、入出力ポート等を主に有するMCU(Micro Control Unit)である。また、室内機10には、カメラ400が搭載されている。カメラ400については、後ほど説明する。
室外機20は、図示しない圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、及び室外ファンや、室外コントローラ22を主に含む。室外コントローラ22は、例えば、CPU、メモリ、入出力ポート等を主に有するMCUである。
リモートコントローラ30は、空気調和装置100のユーザによる各種指示や各種情報の入力を受け付ける機器である。リモートコントローラ30は、CPU、メモリ、入出力ポート等を主に有するMCUを含む。また、リモートコントローラ30は、図示しない表示部を有し、表示部に現在の空気調和装置100の運転状態等を表示可能に構成されていてもよい。
室内コントローラ18と、室外コントローラ22と、リモートコントローラ30とは通信可能に接続されており、全体としてコントローラ50を構成する。空気調和装置100の動作は、コントローラ50により制御される。コントローラ50は、メモリに記憶されたプログラムを実行することで、リモートコントローラ30に入力されたユーザの指示や、空気調和装置100の各部に設けられたセンサの計測値に基づいて、空気調和装置100の各種機器の動作を制御する。なお、空気調和装置100の各部に設けられたセンサには、温度センサ14や湿度センサ16を含む。コントローラ50が動作を制御する空気調和装置100の機器には、例えば、室外機20の図示しない圧縮機、膨張弁、及び室外ファンや、室内機10の室内ファン12及び風向調節フラップ17を含む。コントローラ50によるこれらの機器の動作の一般的な制御については、一般に知られているためここでは説明は省略する。
コントローラ50は、図示しないモデム/ONUやルータ等を介してネットワークNWに接続され、照明装置300の照明コントローラ330及びサーバ200と通信可能に接続されている。コントローラ50は、照明コントローラ330及びサーバ200と共に制御装置600を構成する(図3参照)。制御装置600による対象空間Rの空気環境を変更するための空気調和装置100の制御については後述する。
(2−2)照明装置
照明装置300は、対象空間Rを照明する装置である。
照明装置300は、第1照明機器310と、第2照明機器320と、照明コントローラ330と、を主に含む。なお、照明装置300は、2つの照明機器310,320を有していなくてもよく、例えば、照明機器310,320のいずれか一方だけを有していてもよい。また、照明装置300は、3つ以上の照明機器を有していてもよい。
第1照明機器310は、直接照明の照明機器である。第1照明機器310は、例えば、天井に設けられている。第1照明機器310は、例えばLED電球を用いた照明機器である。第1照明機器310は、好ましくは調色機能を有し、照明の色を、昼光色、昼白色、電球色等に切換可能である。また、第1照明機器310は、好ましくは照明の明るさを変更可能である。
第2照明機器320は、第1照明機器310とは異なる照明機器である。第2照明機器320は、間接照明の照明機器である。なお、他の態様では、第2照明機器320も直接照明の照明機器であってもよい。第2照明機器320は、例えば、床や壁に設けられている。第2照明機器320は、例えばLED電球を用いた照明機器である。第2照明機器320も、第1照明機器310と同様に、好ましくは調色機能を有する、また、第2照明機器320も、第1照明機器310と同様に、好ましくは照明の明るさを変更可能である。
照明コントローラ330は、例えば、図示しないリモートコントローラに対する照明装置300のユーザによる各種指示に基づき、第1照明機器310及び第2照明機器320の動作を制御する。照明コントローラ330は、CPU、メモリ、入出力ポート等を主に有するMCUを含む。照明コントローラ330は、第1照明機器310及び第2照明機器320のオン/オフや、第1照明機器310及び第2照明機器320の照明の色や明るさ等を制御する。
照明コントローラ330は、図示しないモデム/ONUやルータ等を介してネットワークNWに接続され、空気調和装置100のコントローラ50及びサーバ200と通信可能に接続されている。照明コントローラ330は、コントローラ50及びサーバ200と共に制御装置600を構成する(図3参照)。制御装置600による対象空間Rの照明状態を変更するための照明装置300の制御(第1照明機器310及び第2照明機器320の制御)については後述する。
(2−3)カメラ
カメラ400は、対象空間Rを撮像する装置である。カメラ400は、例えば、静止画を撮像する装置である。ただし、後述する制御装置600の制御部620が、動画に基づいて、対象空間Rに料理が存在するか否かや、料理の種類や、料理の位置等を判定/判断する場合には、カメラ400は動画を撮像する装置であってもよい。また、カメラ400は、カラー画像を撮像することが好ましいが、モノクロ画像を撮像する装置であってもよい。カメラ400は、制御装置600と通信可能に接続される。カメラ400が撮像した画像(画像データ)は、制御装置600へと送信される。
カメラ400は、例えば、室内機10の筐体11の前面パネルの外面に配置されている(図1参照)。なお、カメラ400の配置される位置は、筐体11の前面パネルの外面に限定されるものではなく、適宜選択されればよい。例えば、カメラ400は、筐体11の下面に配置されてもよい。また、カメラ400は、筐体11上ではなく筐体11に隣接する位置等に取り付けられてもよい。ただし、カメラ400は、少なくとも対象空間Rの飲食が行われる場所(例えば料理が置かれる食卓)の画像が撮像可能な位置に設けられていることが好ましい。
なお、他の実施形態では、カメラ400は、室内機10とは独立した装置であって、筐体11とは離れた場所に配置されてもよい。この場合にも、カメラ400は、制御装置600と通信可能に接続され、制御装置600に対して画像データを送信可能に構成されていることが好ましい。
なお、本実施形態では、カメラ400は1台であるが、カメラ400の台数は1台に限定されるものではなく、カメラ400は複数台であってもよい。
(2−4)サーバ
サーバ200は、ネットワークNWを介して空気調和装置100のコントローラ50及び照明装置300の照明コントローラ330と通信可能に接続され、コントローラ50及び照明コントローラ330と共に制御装置600を構成するコンピュータである。サーバ200は、CPU、RAM、ROM、及びハードディスク等の外部記憶装置を主に備えている。サーバ200は、ROMや外部記憶装置等に記憶された各種プログラムを実行することで、コントローラ50及び照明コントローラ330と共に制御装置600として各種処理を実行する。
(2−5)制御装置
制御装置600は、空気調和装置100及び照明装置300の動作を制御する制御装置である。概括すると、制御装置600は、対象空間Rの画像に基づいて対象空間Rに料理が存在するか否かを判定し、対象空間Rに料理が存在すると判定される場合に、対象空間Rの画像に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御する。
制御装置600は、ネットワークNWにより通信可能に接続される空気調和装置100のコントローラ50と、照明装置300の照明コントローラ330と、サーバ200と、により構成される。
制御装置600は、機能部として、画像取得部610と、制御部620と、入力部640と、記憶部670と、を有する(図3参照)。
例えば、本実施形態では、サーバ200が画像取得部610と制御部620としての機能を、コントローラ50のリモートコントローラ30及び/又は照明装置300の図示しないリモートコントローラが入力部640としての機能を有する。また、サーバ200は、記憶部670のパターンデータベース672を有する。ただし、制御装置600は、全体として、後述する画像取得部610、制御部620、入力部640、及び記憶部670として機能すればよい。コントローラ50、照明コントローラ330及びサーバ200のそれぞれがどの機能を発揮するかは、適宜設計されればよい。
(2−5−1)画像取得部
画像取得部610は、対象空間Rの画像を取得する。具体的には、画像取得部610は、カメラ400から送信されてくる対象空間Rの画像(画像データ)を取得する。画像取得部610が取得した対象空間Rの画像は、記憶部670に記憶され、後述する制御部620による各種処理に使用される。
(2−5−2)制御部
制御部620は、画像取得部610の取得した画像から、対象空間Rに料理が存在するか否かを判定し、対象空間Rに料理が存在すると判定する場合に、画像取得部610が取得した画像に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。好ましくは、制御部620は、画像取得部610の取得した画像から対象空間Rにおける料理の位置を判断し、判断した料理の位置に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。また、好ましくは、制御部620は、画像取得部610の取得した画像から料理の種類を判断し、判断した料理の種類に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。また、好ましくは、制御部620は、画像取得部610の取得した画像から料理に生鮮品が含まれるか否かを判定し、料理に生鮮品が含まれると判定する場合に、室内ファン12の吹き出す空気が生鮮品に直接当たらないように空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。なお、ここでは、生鮮品とは、劣化の進みやすい食品であり、例えば未加熱で食される野菜(サラダ等)や海産物(刺身等)を含む。また、好ましくは、制御部620は、料理の温冷を判断し、判断した料理の温冷に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。例えば、制御部620は、判断した料理の温冷に基づいて、対象空間Rの温度を変更するように空気調和装置100を制御する。また、好ましくは、制御部620は、画像取得部610の取得した画像から料理を食する食事の進捗度を判断し、判断した食事の進捗度に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。
制御部620は、主に、料理判断部622、位置判断部626、進捗判断部628、及び機器制御部630として機能することで、上述した処理を行う。料理判断部622、位置判断部626、進捗判断部628及び機器制御部630について説明する。
(2−5−2−1)料理判断部
料理判断部622は、画像取得部610が取得した対象空間Rの画像に基づいて、対象空間Rに料理が存在するか否かを判定する。
また、好ましくは、料理判断部622は、画像取得部610が取得した対象空間Rの画像に基づいて、対象空間Rに存在する料理の種類を判断する。なお、料理判断部622は、料理名を料理の種類として判断してもよいし、料理のジャンルを料理の種類として判断してもよい。料理のジャンルの判断は、例えば、料理が和食、中華、洋食等のいずれかにあたるかの判断であってもよいし、料理が麺料理、鍋料理、飲料、お菓子等のいずれかにあたるかの判断であってもよい。また、対象空間Rに存在する料理の種類は、各料理に対して判断されるものではなくてもよく、料理全体してその種類が判断されてもよい。料理全体に対する料理の種類の判断は、例えば、料理が朝食、昼食、夕食のいずれにあたるかの判断であってもよいし、料理が全体として和食、中華、洋食等のいずれかにあたるかの判断等であってもよい。
また、好ましくは、料理判断部622は、画像取得部610が取得した対象空間Rの画像に基づいて、対象空間Rに存在する料理に生鮮品が含まれるか否かを判定する。なお、料理判断部622は、対象空間Rに存在する料理のジャンルが生鮮品のジャンルに当てはまるかを判断することで対象空間Rに存在する料理に生鮮品が含まれるか否かの判定を行ってもよい。また、他の態様では、料理判断部622は、対象空間Rに存在する料理の料理名を判断した上で、料理名からその料理が生鮮品を用いた料理であるか否かを判定してもよい。
また、好ましくは、料理判断部622は、画像取得部610が取得した対象空間Rの画像に基づいて、対象空間Rに存在する料理の温冷を判断する。なお、料理判断部622は、対象空間Rに存在する料理のジャンルが温かい食品/冷たい食品/それ以外のいずれのジャンルに当てはまるかを判断することで、対象空間Rに存在する料理の温冷の判断を行ってもよい。また、他の態様では、料理判断部622は、対象空間Rに存在する料理の料理名を判断した上で、料理名からその料理が温かい食品又は冷たい食品であるか判断してもよい。
料理判断部622は、学習済みの識別器624を用いて、画像取得部610が取得した対象空間Rの画像データに基づき、対象空間Rに料理が存在するか否か、存在する料理の種類は何か等を判定する(学習については後述する)。なお、料理判断部622がどのような判定/判断を行うかは、識別器624の学習内容による。
<識別器>
識別器624には、対象空間Rの画像が入力された際に、対象空間Rに料理が存在するか否かを判定結果として出力するように学習処理が行われている。また、識別器624には、対象空間Rの画像が入力された際に、対象空間Rに存在する料理の種類の判断結果や、対象空間Rに存在する料理に生鮮品が含まれるか否かの判定結果や、対象空間Rに存在する料理の温冷の判断結果を出力するように学習処理が行われていることが好ましい。
本実施形態では、識別器624には、機械学習による学習処理が行われている。ここで、機械学習とは、コンピュータが、ルールベースではなく(判断のための規則等が予め与えられなくても)、与えられた情報に基づいて学習し、自律的に判断のための規則を見つけ出すことが可能な技術・手法を意味する。
識別器624は、例えば教師あり学習により学習済みである。なお、ここで、教師あり学習とは、入力とこれに対応する出力の正解(例えば、料理の種類や、料理が生鮮品であるか否かや、料理の温冷等)とを関連付けたデータ(教師データ)を提供することで、識別器624に学習させる機械学習の手法を意味する。
例えば、学習中の識別器624には、判定対象の料理を様々な角度や大きさで撮影した画像と、その画像に写っている料理の種類(料理名であっても、料理のジャンルであってもよい)とを関連付けた多数のデータが教師データとして提供される。また、例えば、学習中の識別器624には、判定対象の料理を様々な角度や大きさで撮影した画像と、その画像に写っている料理が生鮮品であるか否とを関連付けた多数のデータが教師データとして提供される。例えば、具体的には、学習中の識別器624には、刺身や寿司を様々な角度や大きさで撮影した画像と、その画像に写っている料理が生鮮品であるという情報とを関連付けた多数のデータが教師データとして提供される。また、例えば、学習中の識別器624には、判定対象の料理を様々な角度や大きさで撮影した画像と、その画像に写っている料理が温かい料理/冷たい料理/常温の料理のいずれであるかとを関連付けた多数のデータが教師データとして提供される。例えば、学習中の識別器624には、アイスクリームや、氷の入ったグラスや、鍋料理や、熱燗の徳利等を様々な角度や大きさで撮影した画像と、その画像に写っている料理が冷たい料理である/温かい料理であるという情報とを関連付けた多数のデータが教師データとして提供される。
また、学習中の識別器624には、判定対象の料理自体は入っていない食器や調理器具(鍋やホットプレート等)を様々な角度や大きさで撮影した画像と、その画像に写っている食器に入れられる料理の種類やその画像に写っている調理器具で調理される料理の種類等とを関連付けた多数のデータが教師データとして提供されてもよい。つまり、言い換えれば、料理判断部622は、料理自体の画像ではなく、料理が入れられた食器等の画像から料理の種類等を判断してもよい(例えば、対象空間Rの画像に、グラスが写っていれば料理として冷たい飲料がある、鍋が写っていれば料理として温かい鍋料理がある等)。また、料理判断部622は、料理自体の画像ではなく、料理が入れられた食器等の画像から対象空間Rに料理が存在するか否かを判定してもよい。
識別器624が用いる学習アルゴリズムは、例えば、ニューラルネットワーク(ディープラーニングを含む)であるが、その他の公知の機械学習アルゴリズム(例えばSVM(Support Vector Machine)等)であってもよい。なお、ここで説明する料理判断部622の判定/判断処理が複数の処理に分割され、分割されたそれぞれの処理が異なる識別器で実行されるような場合には、識別器のそれぞれの学習には、互いに異なる学習アルゴリズムが利用されてもよい。
料理判断部622は、入力としての画像取得部610が取得した対象空間Rの画像に対し、学習済みの識別器624を用いて、対象空間Rに料理が存在するか否かを判定する。料理判断部622は、例えば、対象空間Rの画像中に、ある種類の料理が写っている領域が存在するかを判定する。料理判断部622は、例えば、対象空間Rの画像に表れる形状や色調等に基づいて、ある種類の料理が写っている領域が存在するかを判定する。つまり、ここでは、料理判断部622は、対象空間Rに料理が存在するか否かの判定と、対象空間Rに存在する料理の種類の判断とを同時に実行する。
また、好ましくは、料理判断部622は、対象空間Rに料理が存在すると判定される場合に、画像取得部610の取得した対象空間Rの画像から、対象空間Rに存在する料理に生鮮品が含まれるか否かの判定を行う。例えば、料理判断部622は、入力としての対象空間Rの画像に対し、学習済みの識別器624を用いて、対象空間Rに存在する料理に生鮮品が含まれるか否かを判定する。なお、料理判断部622は、識別器624を用いる代わりに、対象空間Rに存在する料理の料理名(例えば刺身)を判断した後に、所定のルールに従い(例えば、判断した料理名を生鮮品のリストと比較することで)、対象空間Rに存在する料理に生鮮品が含まれるか否かを判定してもよい。
また、好ましくは、料理判断部622は、対象空間Rに料理が存在すると判定される場合に、画像取得部610が取得した対象空間Rの画像から、対象空間Rに存在する料理の温冷を判断する。例えば、料理判断部622は、入力としての対象空間Rの画像に対し、学習済みの識別器624を用いて、対象空間Rに存在する料理の温冷を判断する。なお、料理判断部622は、識別器624を用いる代わりに、対象空間Rに存在する料理の料理名(例えばアイスクリーム)を判断した後に、所定のルールに従い(例えば、判断した料理名を温冷品のリストと比較することで)、対象空間Rに存在する料理の温冷を判断してもよい。
(2−5−3)位置判断部
位置判断部626は、料理判断部622が対象空間Rに料理が存在すると判定した場合に、画像取得部610が取得した対象空間Rの画像に基づいて、対象空間Rにおける料理(存在すると判定した料理)の位置を判断する。
例えば、位置判断部626は、料理判断部622が対象空間Rの画像中に料理が写っている領域(料理領域と呼ぶ)が存在すると判定した場合に、対象空間Rの画像中の料理領域の位置と現実の空間における料理の位置とを関連付けたデータベースや演算式等を用いて、対象空間Rの画像内の料理領域の位置から現実の空間における料理の位置を判断する。好ましくは、位置判断部626は、料理が空気調和装置100の室内機10に対してどの位置に存在するかを判断する。また、好ましくは、位置判断部626は、料理が照明装置300の第1照明機器310及び第2照明機器320に対してどの位置に存在するかを判断する。
なお、位置判断部626による料理の位置の判断手法は、ここに記載したような方法に限定されるものではなく、各種手法が適用されればよい。
(2−5−4)進捗判断部
進捗判断部628は、画像取得部610が取得した対象空間Rの画像に基づいて、対象空間Rに存在する食事を食する食事の進捗度を判断する。
例えば、進捗判断部628は、記憶部670に記憶されている、料理判断部622が対象空間Rにある料理が存在すると最初に判定した際に判定に用いた対象空間Rの画像と、直近に画像取得部610が取得した対象空間Rの画像とを比較することで、食事の進捗度を判断する。例えば、進捗判断部628は、対象空間Rの画像中の料理領域(例えば食器の画像も含む領域)の中で、実際に料理の存在する領域をエッジ検出等の手法で特定し、実際に料理の存在する領域の面積変化に基づいて食事の進捗度を判断してもよい。
また、進捗判断部628は、入力としての人の画像に対し人の動作内容の判断(特には人が飲食動作をしているか否かの判断)を出力する学習済みの識別器を用いて、人が飲食動作を開始した後、所定時間以上休止している場合に、食事が終了したという判断をしてもよい。
また、進捗判断部628は、食事の進捗度の異なる料理の画像と、その画像に写っている料理の食事の進捗度(進捗度を表す数値)とを関連付けた多数のデータを教師データとして用いて学習した識別器を用いて、対象空間Rの画像から食事の進捗度を判断してもよい。
なお、進捗判断部628による食事の進捗度の判断手法は、ここに記載したような方法に限定されるものではなく、各種手法が適用されればよい。
(2−5−5)機器制御部
機器制御部630は、料理判断部622が対象空間Rに料理が存在すると判定した場合に、対象空間Rの画像に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御する。例えば、機器制御部630は、料理判断部622が対象空間Rに料理が存在すると判定した場合に、主に対象空間Rに存在する料理の画像(好ましくは、料理が盛り付けられた食器や、料理が調理される鍋やホットプレートの画像を含む)に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御する。
機器制御部630は、例えば、料理判断部622が対象空間Rの画像に基づいて判断した料理の種類に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御する。また、機器制御部630は、例えば、料理判断部622が対象空間Rの画像に基づいて判定した料理に生鮮品が含まれているか否かに基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御する。また、機器制御部630は、例えば、料理判断部622が対象空間Rの画像に基づいて判定した料理の温冷に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御する。また、機器制御部630は、例えば、位置判断部626が対象空間Rの画像に基づいて判定した料理の位置に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御する。また、機器制御部630は、例えば、進捗判断部628が対象空間Rの画像に基づいて判定した食事の進捗度に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御する。
なお、機器制御部630は、料理の種類、料理に生鮮品が含まれているか否か、料理の温冷、料理の位置及び食事の進捗度のうちの1つの要素に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御してもよい。また、機器制御部630は、複数の要素の組合せに基づいて、空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御してもよい。
なお、機器制御部630は、料理判断部622が対象空間Rに料理が存在すると判定した場合に使用可能な、空気調和装置100及び照明装置300の制御パターンを複数有することが好ましい。言い換えれば、機器制御部630は、料理判断部622が対象空間Rに料理が存在すると判定した場合に、空気調和装置100及び照明装置300を様々な(少なくとも2種類以上の)制御内容で動作させることが可能であることが好ましい(なお、ここでは、空気調和装置100及び照明装置300の制御パターンという語は、空気調和装置100及び照明装置300の制御内容と概ね同じ意味で用いられる)。そして、機器制御部630は、料理判断部622が対象空間Rに料理が存在すると判定した場合に、例えば、料理判断部622が判定した料理の種類に応じた内容(制御パターン)で空気調和装置100を制御することが好ましい。
具体的な処理としては、料理判断部622が対象空間Rに料理が存在すると判定すると、機器制御部630は、記憶部670のパターンデータベース672を参照する。なお、パターンデータベース672には、例えば、図4のようなリストが記憶されている。図4のリストでは、料理の種類や、料理に生鮮品が含まれているか否かや、料理の温冷といった条件に対し、各条件に対応する空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御内容(制御パターン)が関連付けられている。
そして、機器制御部630は、料理判断部622が判断した料理の種類に対応する制御内容をパターンデータベース672から特定し、特定した制御内容で空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。また、例えば、機器制御部630は、料理判断部622による料理に生鮮品が含まれているか否かの判定結果や、料理判断部622による料理の温冷の判断結果に対応する制御内容をパターンデータベース672から特定し、特定した制御内容で空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。
なお、料理判断部622が対象空間Rに存在すると判定した料理が、パターンデータベース672において複数の条件に当てはまる場合が考えられる。例えば、図4のリストがパターンデータベース672に記憶されており、料理判断部622が、対象空間Rに存在する料理は鍋料理であり温かい料理であると判断したとする。この場合には、対象空間Rに存在する料理は、図4のリストの2つの条件に当てはまる。このような場合には、機器制御部630は、互いに矛盾しなければ複数の条件のそれぞれに対応する制御内容を全て実行してもよい。また、対象空間Rに存在すると判定された料理がパターンデータベース672において複数の条件に当てはまる場合、機器制御部630は、予め定められた優先度に基づいて、複数存在する対応する制御内容のうち一部だけを実施してもよい。
図4に示された制御内容について説明する。
設定温度高めという制御は、空気調和装置100の設定温度を(例えばリモートコントローラ30から設定された設定温度に対し)高めに設定するという制御である。例えば、設定温度高めの制御として、空気調和装置100の設定温度を、リモートコントローラ30から設定された設定温度に対し1度上げるというような制御が行われる。また、設定温度低めという制御は、空気調和装置100の設定温度を(例えばリモートコントローラ30から設定された設定温度に対し)低めに設定するという制御である。例えば、設定温度低めの制御として、空気調和装置100の設定温度を、リモートコントローラ30から設定された設定温度に対し1度下げるというような制御が行われる。このような制御が行われることで、料理を食べることで下降する/上昇する体温に合わせた適切な空気環境を実現できる。
また、図4中の風を当てないという制御は、空気調和装置100の室内機10の吹き出す空気の方向を、料理に直接当たらない方向に変更するという制御である。また、これに代えて、風を当てないという制御は、空気調和装置100の室内機10の吹き出す空気が料理まで届かないように、室内機10の室内ファン12の風量を減らすという制御であってもよい。このような制御が行われることで、(特に温風による)生鮮品の鮮度の劣化を抑制したり、温かい料理の温度の低下を抑制したり、料理から出る臭いや煙の拡散を抑制したりすることができる。なお風を当てないという制御を行う際には、機器制御部630は、位置判断部626が判断した料理の位置に基づいて、風向調節フラップ17の動作の制御(室内機10の風向の制御)や、室内ファン12の風量の制御を行うことが好ましい。
また、図4中の、照明明るめ/照明暗め、昼白色/電球色という制御は、照明装置300の第1照明機器310又は第2照明機器320の照明の明るさや色を、その設定に変更する制御である。このような制御が行われることで、その料理を食べるのに適した照明状態(例えば、朝食であれば比較的明るい照明状態、夕食であれば少し暗めのリラックスした空間を演出できる照明状態)を実現できる。
また、間接照明という制御は、通常は直接照明(第1照明機器310)が利用されている場合に、第1照明機器310を消灯して、照明を間接照明(第2照明機器320)に変更する制御である。このような制御が行われることで、その料理の飲食を行うのに適切な照明状態を実現できる。
なお、図4に示した制御内容は一例に過ぎず、各料理に対して、その料理を食べるのに適した空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御内容が適宜選択されればよい。例えば、図4では、制御内容として空気調和装置100による湿度の制御が含まれていないが、制御内容には湿度調整に関する内容が含まれてもよい。また、環境調整システム1に環境調整部として空気清浄機や換気扇が含まれるような場合には、制御内容には、(臭い対策等を目的として)空気清浄機や換気扇の運転を開始する制御が含まれてもよい。また、図4では、制御内容に、料理の位置に基づいて照明装置300を制御するような制御が含まれていないが、制御内容には、位置判断部626が判断した料理の位置に基づいて使用する照明機器や、照明の明るさや色を変更する制御が含まれてもよい。
さて、機器制御部630は、上記の空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御に代えて又は加えて、進捗判断部628が判断した食事の進捗度に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御することが好ましい。具体的には、機器制御部630は、パターンデータベース672に記憶された情報に基づいて、料理判断部622による料理の種類の判断結果等に対応する制御内容で空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御し始めた後、所定の食事の進捗度で、例えば本実施形態では食事が終わりかけた時に、空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御内容を変更することが好ましい。ここでは、食事が終わりかけた時に機器制御部630が実行する制御を終了時制御と呼ぶ。終了時制御の制御内容は、例えば、対象空間Rに料理が存在すると判定する前の空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御内容と同一の制御内容である。また、例えば、終了時制御の制御内容は、対象空間Rに料理が存在すると判定する前の空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御内容とも、対象空間Rに料理が存在すると判定された後の空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御内容とも異なるものであってもよい。例えば、機器制御部630は、終了時制御として、それ以前よりも(食事の進捗度が低い時よりも)照明の明るさを暗くするよう照明装置300を制御する。
このように、機器制御部630が、進捗判断部628が判断した食事の進捗度に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御することで、食事の進捗度に応じた快適な空間環境が実現されやすい。
(2−5−6)入力部
入力部640は、空気調和装置100及び照明装置300に対するユーザの指示を受け付ける機能部である。例えば、入力部640は、空気調和装置100のオン/オフ、運転モード(冷房運転、暖房運転、除湿運転、送風運転等)の設定、室内機10の風量や風向の設定等の指示を受け付ける。また、入力部640は、照明装置300のオン/オフ、第1照明機器310と第2照明機器320のいずれを点灯させるか、照明の明るさや色の設定等の指示を受け付ける。また、入力部640は、対象空間Rに料理が存在すると判定される場合に、機器制御部630が対象空間Rの画像(主には料理の画像)に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御することを許可するか否かの入力を受け付ける。機器制御部630が対象空間Rの画像に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御することを許可する旨の入力を入力部640が受け付けている場合に、機器制御部630が料理判断部622の判定結果等に基づいて空気調和装置100の動作を制御する。なお、機器制御部630が対象空間Rの画像に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御することを禁止する旨の入力を入力部640が受け付けている場合には、対象空間Rに料理が存在しても、これにより空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作は変更されない。
また、制御装置600では、パターンデータベース672に記憶される情報が、入力部640に対するユーザの入力に基づいて書き換え可能に構成されていることが好ましい。つまり、制御装置600では、対象空間Rに料理が存在すると判定される場合に、料理の種類等に応じて機器制御部630がどの様な制御内容で空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御するかは、ユーザの入力により変更可能に構成されていることが好ましい。なお、制御装置600では、パターンデータベース672に記憶されている全ての情報を書き換え可能でなくてもよく、例えば、図4に示したリストの一部の内容だけを書き換え可能に構成されていてもよい。
(2−5−7)記憶部
記憶部670は、制御装置600で用いられる各種情報を記憶している。例えば、記憶部670には、画像取得部610が取得した画像データが記憶される。
また、記憶部670は、情報の記憶領域として、パターンデータベース672を有している。パターンデータベース672に記憶される情報については既に説明したため、ここでは説明を省略する。
なお、パターンデータベース672には、予めデフォルトのデータが記憶されていてもよい。また、他の態様では、パターンデータベース672にはデフォルトのデータは記憶されておらず、制御装置600は、環境調整システム1の利用開始時等に、ユーザに対しパターンデータベース672に対する情報の入力を要求してもよい。
(3)対象空間の環境調整制御
図5を参照しながら、環境調整システム1による対象空間Rの環境制御について説明する。なお、ここで説明するフローチャートは制御フローの一例であって、制御フローを限定するものではない。
ここでは、料理判断部622は、所定時間毎に、画像取得部610が対象空間Rの画像(例えば、直前にカメラ400が撮像した画像)に基づいて、対象空間Rに料理が存在するか否かと、(料理が存在する場合に)その料理の種類は何かと、を判定しているものとする(ステップS1)。所定時間は、限定するものではないが、比較的短い時間(例えば1分毎)であることが好ましい。ステップS1の処理は、対象空間Rに料理が存在すると判定されるまで繰り返し実行される。
ステップS1において、料理判断部622が対象空間Rに、ある種類の料理(第1料理と呼ぶ)が存在すると判定したと場合には、処理はステップS2に進む。なお、ここでは、説明の単純化のため、第1料理の存在が判定された後、一連の制御フロー(ステップS2〜ステップS7)が終了するまでの間、他の料理が存在するという判定はされなかったものとする。
ステップS2では、位置判断部626が、画像取得部610が取得した対象空間Rの画像(ステップS1で対象空間Rに料理が存在するか否かの判定に用いられた画像)に基づいて、対象空間Rにおける第1料理の位置を判断する。好ましくは、位置判断部626は、第1料理と、空気調和装置100の室内機10及び照明装置300の照明機器310,320との位置関係を判断する。
次に、ステップS3では、料理判断部622が、第1料理に生鮮品が含まれているかの判定と、第1料理の温冷の判断(第1料理が温かい料理又は冷たい料理のいずれかであるかの判断)とを行う。なおステップS3の処理は、ステップS1で行われる第1料理の種類の判定と同時に行われてもよい。
次に、ステップS4では、機器制御部630が、記憶部670のパターンデータベース672を参照して、第1料理の種類の判断結果、第1料理に生鮮品が含まれているか否かの判定結果、第1料理の温冷の判断結果等の条件に対応する空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御内容(1つ又は複数)を特定する。また、機器制御部630は、特定された制御内容で空気調和装置100の制御を開始する。なお、料理の位置情報が空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御に必要な場合には、機器制御部630は、位置判断部626が対象空間Rの画像に基づいて判定した料理の位置に基づいて、空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。
次に、進捗判断部628は、画像取得部610が取得した対象空間Rの画像に基づいて、対象空間Rに存在する第1料理を食する食事の進捗度を判断する(ステップS5)。ステップS5の処理は、食事が終了間近である、又は、食事が終了したと判断するまで、所定時間毎に繰り返し実行される(ステップS6)。
ステップS6において、食事が終了間近である、又は、食事が終了したと判断されると、処理はステップS7へと進む。そして、機器制御部630は、進捗判断部628による食事の進捗度の判断結果に基づいて、空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。具体的には、機器制御部630は、前述の終了時制御を行う。
終了時制御の制御内容は、例えば、対象空間Rに第1料理が存在すると判定される前の(ステップS1でYesと判定される前に実行されていた)空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御内容と同一の制御内容である。この場合、機器制御部630が終了時制御を開始すると共に対象空間Rの環境制御の処理フローが一旦終了され、その後、再び処理フローはステップS1に戻る。
また、例えば、終了時制御の制御内容は、対象空間Rに第1料理が存在すると判定する前の空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御内容とも、ステップS4で特定された空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御内容とも異なるものであってもよい。この場合、例えば、機器制御部630は終了時制御を所定時間実行し、その後、空気調和装置100及び/又は照明装置300の制御内容を対象空間Rに第1料理が存在すると判定される前の制御内容に戻す。そして、対象空間Rの環境制御の処理フローが一旦終了され。その後、再び処理フローはステップS1に戻る。
(4)特徴
(4−1)
本実施形態の環境調整システム1は、環境変更部としての空気調和装置100及び照明装置300と、画像取得部610と、制御部620と、を備える。空気調和装置100は、対象空間Rの空気環境を変更する。照明装置300は、対象空間Rの照明状態を変更する。画像取得部610は、対象空間Rの画像を取得する。制御部620は、画像取得部610の取得した画像から、対象空間Rに料理が存在するか否かを判定する。制御部620は、対象空間Rに料理が存在すると判定する場合に、画像取得部610が取得した画像に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。
ここでは、料理の存在する空間(料理を食べる空間)の画像に基づき、その空間の空気環境や照明状態が制御されるので、料理を楽しむのに適した空間環境が実現されやすい。
(4−2)
本実施形態の環境調整システム1では、制御部620は、画像取得部610の取得した画像から対象空間Rにおける料理の位置を判断し、判断した料理の位置に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。
ここでは、料理の位置に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300が制御されるので、料理を楽しむのに適した空間環境が実現されやすい。
(4−3)
本実施形態の環境調整システム1では、制御部620は、画像取得部610の取得した画像から料理の種類を判断し、判断した料理の種類に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。
ここでは、料理の種類に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300が制御されるので、料理を楽しむのに適した空間環境が実現されやすい。
(4−4)
本実施形態の環境調整システム1では、空気調和装置100は、対象空間Rに空気を吹き出す送風機構の一例としての室内ファン12が吹き出す空気の気流を変更する。ここで、空気調和装置100が室内ファン12の吹き出す空気の気流を変更するとは、空気調和装置100が、室内ファン12の吹き出す空気の風向及び風量の少なくとも一方を制御することが可能であることを意味する。制御部620は、画像取得部610の取得した画像から料理に生鮮品が含まれるか否かを判定する。制御部620は、料理に生鮮品が含まれると判定する場合に、室内ファン12の吹き出す空気が生鮮品に直接当たらないように空気調和装置100を制御する。
具体的には、制御部620は、料理に生鮮品が含まれると判定する場合に、風向調節フラップ17の動作を制御して、室内ファン12の吹き出す空気が生鮮品に直接当たらないように空気調和装置100の室内機10を制御する。また、このような態様に代えて、制御部620は、料理に生鮮品が含まれると判定する場合に、室内ファン12の吹き出す空気の風量を制御して(風量を減らして)、生鮮品に空気が直接当たらないように空気調和装置100の室内機10を制御してもよい。
ここでは、生鮮品に直接風が当たらないように気流が制御されるので、生鮮品が乾燥/劣化する等の問題の発生を抑制することができる。
なお、特に空気調和装置100の室内機10が温風を吹き出す場合(空気調和装置100が暖房運転を行う場合)には、制御部620は、生鮮品に直接風が当たらないように室内ファン12の吹き出す空気の気流を制御することが好ましい。
(4−5)
本実施形態の環境調整システム1では、制御部620は、料理の温冷を判断し、判断した料理の温冷に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。
ここでは、料理の温冷に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300が制御されるので、料理を楽しむのに適した空間環境が特に実現されやすい。
(4−6)
本実施形態の環境調整システム1では、空気調和装置100は、対象空間Rの温度を変更する。制御部620は、判断した料理の温冷に基づいて、対象空間Rの温度を変更するように空気調和装置100を制御する。
ここでは、料理の温冷に基づいて対象空間Rの温度が変更されるので、料理を楽しむのに適した空間環境が特に実現されやすい。
(4−7)
本実施形態の環境調整システム1では、制御部620は、画像取得部610の取得した画像から料理を食する食事の進捗度を判断し、判断した食事の進捗度に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300を制御する。
ここでは、料理の進捗度に基づいて空気調和装置100及び/又は照明装置300が制御されるので、食事の進捗度に応じた快適な空間環境が実現されやすい。
(5)変形例
以下に上記実施形態の変形例を説明する。なお、各変形例の構成の一部又は全部は、他の変形例の構成の一部又は全部と互いに矛盾しない範囲で複数組み合わされてもよい。
(5−1)変形例A
上記実施形態では、環境調整システム1の制御装置600は、空気調和装置100のコントローラ50、照明装置300の照明コントローラ330、及びサーバ200により構成される。しかし、制御装置600の構成は、これに限定されるものではない。例えば、環境調整システム1にはサーバ200は含まれず、コントローラ50及び照明コントローラ330だけで制御装置600として機能してもよい。
また、環境調整システム1の制御装置600は、住宅Aに設置されるローカルのコントローラ(図示せず)と、サーバ200と、により構成されてもよい。なお、ローカルのコントローラは、空気調和装置100のコントローラ50及び照明装置300の照明コントローラ330とは別のコントローラである。そして、制御装置600の制御部620は、コントローラ50及び照明コントローラ330に対し指令を送信することで、空気調和装置100及び照明装置300を制御してもよい。
(5−2)変形例B
上記実施形態では、制御部620は、対象空間Rの画像から判定/判断される、料理の種類、料理に生鮮品が含まれているか否か、料理の温冷、料理の位置、及び食事の進捗度の全てを考慮して、空気調和装置100及び照明装置300の動作を制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、制御部620、この中の一部については、考慮せずに空気調和装置100及び照明装置300の動作を制御してもよい。
(5−3)変形例C
上記実施形態では、環境調整システム1がカメラ400を備えているが、これに限定されるものではない。環境調整システム1の画像取得部610は、システム外部のカメラ(例えば、ユーザの携帯情報端末)で撮像された画像を取得するようにしてもよい。
(5−4)変形例D
上記実施形態では、制御部620は、対象空間Rの画像から料理の温冷を判断しているが、料理の温冷の方法はこれに限定されるものではない。例えば、制御部620は、別途設けられるセンサ(図示せず、例えば赤外線カメラ)の温度計測結果に基づいて、料理の温冷を判断してもよい。
(5−5)変形例E
上記実施形態では、料理判断部622が機械学習により学習済みの識別器624を用いて対象空間Rに料理が存在するか否かの判定や、料理の種類の判断等を行うが、料理判断部622は必ずしも識別器624を用いてこれらの判定をしなくてもよい。例えば、人がルール(画像にαという特徴がある場合には、βという種類の料理が存在するというようなルール)を制御装置600に予め与えることが可能であれば、料理判断部622は、対象空間Rに料理が存在するか否か及び料理の種類をそのルールに基づいて判断してもよい。例えば、料理判断部622は、対象空間Rの画像中に鍋やホットプレートの形状等にマッチングする画像領域があれば、対象空間Rに温かい料理が存在していると判断するというルールに則って、対象空間Rに料理が存在するか否かを判定し、料理の種類を判断してもよい。
(5−6)変形例F
制御部620は、対象空間Rに存在する(単品の)料理の種類や料理の温熱等ではなく、複数存在する料理の種類の組合せや複数存在する料理の温熱の組合せに基づいて、空気調和装置100及び照明装置300の動作を制御してもよい。例えば、制御部620は、複数の料理に占める温かい料理の割合に応じて、対象空間Rの温度や照明の明るさ等を調整するように、空気調和装置100及び/又は照明装置300の動作を制御してもよい。
以上、本開示の実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。