JP6801584B2 - マイクロチップ - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロチップに関し、さらに詳しくは、第1のマイクロチップ基板と第2のマイクロチップ基板とが接合されてなり、当該第1のマイクロチップ基板と当該第2のマイクロチップ基板との間に流路が形成されたマイクロチップに関する。
近年、生化学分野において、マイクロリアクタを用いて微量の試薬の分離、合成、抽出または分析などを行う手法が注目されている。このマイクロリアクタは、例えばシリコン、シリコーン樹脂またはガラスなどよりなる小さな基板上に、半導体微細加工技術によってマイクロスケールの分析用チャネルなどが形成されたマイクロチップよりなるものである。
このようなマイクロリアクタを用いた反応分析システムは、マイクロ・トータル・アナリシス・システム(以下、「μTAS」という。)と称されている。このμTASによれば、試薬の体積に対する表面積の比が大きくなることなどから高速かつ高精度の反応分析を行うことが可能となり、また、コンパクトで自動化されたシステムを実現することが可能となる。
また、μTASに用いられるマイクロチップは、典型的には一対のマイクロチップ基板が対向して接合された構造を有する。そして、少なくとも一方のマイクロチップ基板の接合面に微細な流路溝が設けられており、その流路溝によって微小流路(例えば、幅10〜数1000μm、深さ10〜数1000μm程度)が形成されている。マイクロチップ基板としては、製造が容易であり、光学的な検出も可能であることから、主にガラス基板が用いられている。また、最近では、軽量でありながらガラス基板に比べて破損しにくく、かつ、安価な樹脂基板を用いたマイクロチップの開発が進められている。
マイクロチップの製造において、2枚のマイクロチップ基板を接合する方法としては、接着剤を使用する方法、熱融着による方法が考えられる。しかしながら、これらの方法は、以下のような問題がある。
接着剤によって2枚のマイクロチップ基板を接合する方法においては、接着剤が微小流路を構成する空間に染みだして微小流路が閉塞したり、微小流路を構成する空間の一部が狭くなって微小流路の径が不均一となったり、また、流路壁面の均質な特性に乱れが生じたりする、という問題がある。しかも、得られたマイクロチップ(接合体)において、高温高湿環境下にて両基板の間に剥離が生じる、という問題もある。
また、熱融着によって2枚のマイクロチップ基板を接合する方法においては、加熱溶融温度以上で融着した場合には加熱段階で流路溝がつぶれてしまったり、流路溝が所定の断面形状に保持されなかったりするため、マイクロチップの高機能化が困難となる、という問題がある。
そこで、近年、紫外線をマイクロチップ基板の接合面に照射することによって、当該マイクロチップ基板の接合面を活性化させ、その後、マイクロチップ基板を貼り合わせることによって接合する方法が提案されている(例えば、特許文献1乃至特許文献4参照)。
特開2006−187730号公報 特開2008−19348号公報 国際公開第2008/087800号 特許第5152361号公報
しかしながら、紫外線を利用して2枚の基板を接合する公知の方法について、以下のような問題があることが判明した。
すなわち、基板の接合面に照射される紫外線の照度、基板同士を接合する際における加圧圧力、加熱温度および加熱時間などの条件を高い精度で管理しても、得られる接合体の接合状態にばらつきが生じている。そのため、接合体によっては、基板同士の接合力が弱く、両基板が容易に剥離することがある。
特に、紫外線を利用して、少なくとも一方のマイクロチップ基板に流路溝が設けられたマイクロチップ基板同士を接合してマイクロチップを得る場合には、得られたマイクロチップによっては、接合力が弱い部分から微小流路を通過する液体が漏出するという不具合が発生することも考えられる。
このような問題は、接合体を高温高湿環境下において保管した場合に顕著である。
而して、本発明の発明者らは紫外線を利用して2枚の基板を接合する方法について鋭意研究を重ねた。その結果、前述したような接合力が必ずしも十分でない接合体が得られるという不具合の原因は、必ずしも明らかではないが、例えば、以下のようなことが原因ではないかと考えた。
図10および図11を用いて説明する。
紫外線を利用して2枚の基板を接合する方法においては、まず、図10(a)に示すように、2枚の基板31,32(例えば、COP(Cyclo−Olefin Polymer)基板)の接合面31A,32Aに、紫外線L(例えば、波長172nmの真空紫外線)を、酸素を含む雰囲気中(例えば、大気中)で照射する。
このようにして紫外線Lが照射された基板31,32の接合面31A,32Aは活性化される。具体的には、下記(1)〜(3)に示すような状態となる。すなわち、基板31,32の接合面31A,32Aは、化学反応が生じやすい状態となる。
(1)接合面31A,32Aに付着していた有機物が分解・除去される。
(2)接合面31A,32Aにおいて高分子主鎖が切断されてラジカルが生成される。
(3)接合面31A,32Aに反応性の高い官能基(具体的には、酸素原子を含む官能基)が生成される。
ここに、基板31,32がCOP基板である場合には、図10(b)に示すように、基板31,32の接合面31A,32Aは、ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシ基(−COOH)およびアルデヒド基(−CHO)などの官能基が結合した状態になる。
次に、図10(c)に示すように、基板31,32における活性化した接合面31A,32A同士が密着するように、両基板を積層する。
このようにして積層した基板31,32を、適宜、加圧・加熱することにより、図10(d)に示すように、接合面31A,32B同士が接触した領域において脱水縮合反応が生じて酸素(O)の共有結合が生成され、その酸素の共有結合により、両ワークが強固に接合される。なお、脱水縮合反応の過程においては、図10(d)に示されているように、水(H2 O)と二酸化炭素(C2 O)が生成される。
而して、図11に示すように、得られた接合体においては、接合界面に、脱水縮合反応に寄与しなかった官能基(図11においては、ヒドロキシ基およびカルボキシ基が示されている。)が存在し、その官能基により、水分からの影響を受けやすい、具体的には、水分が浸透しやすい境界層が形成される場合がある。この境界層は、湿度条件によっては水分(H2 O)の浸透量が増加して、当該境界層に存在する水分量が多くなり、その結果、接合力(密着力)が低下し、場合によっては接合された両基板が容易に剥離するものと考えられる。
また、前述した境界層は、再現性よく形成されるものではないことから、基板31,32の接合面31A,32Aに照射される紫外線の照度、基板31,32同士を接合する際における加圧圧力、加熱温度および加熱時間などの条件を高い精度で管理しても、得られる接合体の接合状態にばらつきが生じていたものと考えられる。
そして、マイクロチップ40は、例えば、図12に示すように、表面(図12における上面)に試料が注入される注入口43Aと試料が排出される排出口44Aとが設けられており、当該注入口43Aおよび当該排出口44Aに連通する微小流路Rを内部に有するものである。このマイクロチップ40は、注入口用貫通孔43、排出口用貫通孔44およびこれらの貫通孔に連通する流路溝42が形成された第1のマイクロチップ基板41と、平板状の第2のマイクロチップ基板46とを接合することによって得られたものである。
このようなマイクロチップ40においては、第1のマイクロチップ基板41と第2のマイクロチップ基板46との接合部48(接合界面)において、前述した境界層が形成されている場合には、図13(a)に示すように、周囲環境雰囲気および微小流路Rの雰囲気を構成する気体中に存在する水分W(H2O分子)、並びに微小流路Rを流動する液体を構成する水分が、図13(b)に示すように、境界層に浸透する。そして、場合によっては、図13(c)に示すように、マイクロチップ40が、第1のマイクロチップ基板41と第2のマイクロチップ基板46とに分離してしまう事態も生じるおそれがある。
さらに、紫外線を利用して2枚の基板を接合する方法においては、各基板にうねりが生じること、あるいは基板表面(接合面)に微細な凹凸が存在していることなどに起因して、2枚の基板を高い均一性をもって接合することが容易ではない。而して、2枚の基板の接合界面に微小な隙間が生じ、その隙間に水分が侵入しやすくなる。そのため、接合界面に水分が侵入することに起因して、2枚の基板が剥離する事態が生じるおそれがある。このようなおそれは、基板同士を接合する際において、2枚の基板の積層体を加圧・加熱した場合に顕著である。
本発明は上記したような事情を鑑みてなされたものであって、その目的は、2枚の基板の接合部において高い強度の接合状態が達成され、貼り合わせ状態を長期間にわたって維持することが可能なマイクロチップを提供することにある。
本発明のマイクロチップは、第1のマイクロチップ基板および第2のマイクロチップ基板が接合されてなり、当該第1のマイクロチップ基板の表面に設けられた注入口および排出口に連通する、当該第1のマイクロチップ基板および第2のマイクロチップ基板の少なくとも一方の基板に形成された流路溝よりなる流路を内部に有するマイクロチップにおいて、
前記第1のマイクロチップ基板と前記第2のマイクロチップ基板との間には、前記流路に沿って環状に形成された内側接合部と、当該第1のマイクロチップ基板および当該第2のマイクロチップ基板のそれぞれの外周縁部に沿って形成された外側接合部とが形成されており、当該内側接合部と当該外側接合部との間に、当該内側接合部を囲繞するように密閉空間が形成されていることを特徴とする。
本発明のマイクロチップにおいては、前記密閉空間に、吸湿剤が充填されていることが好ましい。
本発明のマイクロチップにおいては、前記密閉空間が減圧状態とされていることが好ましい。
また、このような構成の本発明のマイクロチップにおいては、前記密閉空間の圧力が50kPa以下であることが好ましい。
本発明のマイクロチップにおいては、前記密閉空間に、乾燥不活性ガスが充填されていることが好ましい。
また、このような構成の本発明のマイクロチップにおいては、前記密閉空間の圧力が0.1MPa〜0.5MPaであればよく、0.1MPa〜0.2MPaであることがより好ましい。
本発明のマイクロチップにおいては、第1のマイクロチップ基板と第2のマイクロチップ基板との間において、流路と共に、当該流路を囲繞するように密閉空間が設けられており、両基板が内側接合部と外側接合部とによって接合されている。そのため、マイクロチップの外寸法が一定の場合、密閉空間の大きさによって接合面積を制御することができる。両基板を紫外線を利用して接合する場合、両基板を積層後、加圧したり、加圧および加熱などを行う。ここで、両基板の全面が接合領域である場合、両基板の全面を加圧することになるが、上記のように接合面積を制御して接合領域を適宜設定して加圧する場合、両基板の全面を加圧する場合よりも接合面に対して高い圧力分布均一性をもって接合されたものとなり、よって接合界面(内側接合部および外側接合部)における微小な隙間の形成を抑制しつつ、密閉空間を形成することが可能となる。
しかも、密閉空間において、吸湿剤を充填すること、減圧状態とすること、乾燥不活性ガスを充填することによって、水分吸着機能または水分ブロック機能を付与して水分制御空間とすることにより、接合界面(内側接合部および外側接合部)に水分が浸透しやすい境界層が形成された場合であっても、当該水分制御空間の作用によって当該境界層における水分量の増加を抑制することができる。
従って、本発明のマイクロチップによれば、第1のマイクロチップ基板と第2のマイクロチップ基板との接合部において、水分量が大きくなることに起因する2枚の基板の間の剥離の発生を抑制することができることから、2枚の基板の接合部に、高い強度の接合状態が得られ、また貼り合わせ状態を長期間にわたって維持することが可能となる。
また、本発明のマイクロチップにおいては、密閉空間が流路を囲繞するように設けられていることから、当該密閉空間の作用により、保温効果および断熱効果が得られる。
本発明のマイクロチップの構成の一例を、第1のマイクロチップ基板側から見た状態を示す説明図である。 図1のA−A線断面を示す断面図である。 本発明のマイクロチップにおいて、接合部に水分が浸透する状態を示す説明図である。 本発明のマイクロチップにおける密閉空間に水分吸着機能が付与された状態を示す説明図である。 本発明のマイクロチップにおける密閉空間に水分ブロック機能が付与された状態を示す説明図である。 本発明のマイクロチップを製造する方法の製造工程の一例を示す説明図である。 本発明のマイクロチップを製造する方法の製造工程の他の例を示す説明図である。 本発明のマイクロチップを製造する方法の製造工程のさらに他の例を示す説明図である。 本発明のマイクロチップの構成の他の例を示す説明図である。 紫外線を利用して2枚の基板を接合する方法における工程を示す説明図である。 図10に示した工程を経ることによって得られたマイクロチップにおける2枚の基板の接合界面を模式的に示す説明図である。 従来のマイクロチップの構成の一例を示す説明図である。 従来のマイクロチップにおいて2枚の基板の間に剥離が生じる過程を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明のマイクロチップの構成の一例を、第1のマイクロチップ基板側から見た状態を示す説明図である。図2は、図1のA−A線断面を示す断面図である。
このマイクロチップ10は、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16とが厚み方向に積層された状態で接合された略平板状のものであり、第1のマイクロチップ基板11の一面(図2における上面)が当該マイクロチップ10の表面とされている。マイクロチップ10の内部には、第1のマイクロチップ基板11の接合面(図2における下面)に形成された流路溝12よりなる微小流路Rが形成されている。すなわち、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との間には、第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16の面方向に伸びる微小流路Rが形成されている。この微小流路Rは、一端において第1のマイクロチップ基板11の一面(マイクロチップ10の表面)に設けられた注入口13Aに連通し、他端において当該第1のマイクロチップ基板11の表面に設けられた排出口14Aに連通している。
第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16は、光透過性材料よりなる板状体である。この第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16を構成する光透過性材料としては、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂などの光透過性を有するプラスチック材料、および、石英ガラス等のガラス材料などが挙げられる。また、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16とは、同一の構成材料からなるものであってもよく、また異なる構成材料からなるものであってもよい。
この図の例において、第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16は、いずれも、シクロオレフィンポリマー(COP)よりなるものである。第1のマイクロチップ基板11は、接合面の中央部に、直線状に伸びる、断面が矩形状の流路溝12が形成されており、また、当該流路溝12に連通する、円柱状の注入口用貫通孔13および円柱状の排出口用貫通孔14が形成された略矩形平板状のものである。また、第2のマイクロチップ基板16は、第1のマイクロチップ基板11の接合面と同等の縦横寸法の接合面(図2における上面)を有する矩形平板状のものである。そして、第1のマイクロチップ基板11に形成された流路溝12が、第2のマイクロチップ基板16によって閉塞されることにより微小流路Rが形成されている。
また、マイクロチップ10においては、当該マイクロチップ10の内部に、微小流路Rを囲繞するように環状の密閉空間Sが形成されている。この密閉空間Sは、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との間に形成されており、微小流路Rに沿って伸びる環状の内側接合部21とマイクロチップ10の外周面10Aに沿って伸びる環状の外側接合部26との間に位置している。外側接合部26は、第1のマイクロチップ基板11および第2およびマイクロチップ基板16のそれぞれの接合面の外周縁部が接合されることによって形成されたものである。また、密閉空間Sは、内側障壁部22によって微小流路Rと隔てられている。
この図の例において、第1のマイクロチップ基板11の接合面には、流路溝12を囲繞するように矩形環状の密閉空間用凹所15が形成されており、この密閉空間用凹所15が第2のマイクロチップ基板16によって閉塞されることにより密閉空間Sが形成されている。また、微小流路Rと密閉空間Sとを隔てる内側障壁部22は、第1のマイクロチップ基板11の接合面における流路溝12と密閉空間用凹所15との間に形成された内側土手部分によって構成されている。そして、第1のマイクロチップ基板11の接合面における内側土手部分と第2のマイクロチップ基板16の接合面とが接合されることによって内側接合部21が形成されている。また、第1のマイクロチップ基板11の接合面においては、密閉空間用凹所15の外方側、すなわち外周縁部に外側土手部分が形成されており、その外側土手部分と第2のマイクロチップ基板16の接合面(具体的には、第2のマイクロチップ基板16の接合面の外周縁部)とが接合されることによって外側接合部26が形成されている。そして、外側土手部分により、外側障壁部27が構成されている。
図1においては、内側接合部21と外側接合部26とが、破線によって囲まれて示されている。
密閉空間Sの容積は、マイクロチップ10において必要とされる接合面積(具体的には、内側接合部21に係る接合面積と外側接合部26に係る接合面積との合計面積)に応じ、第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16の構成材料などを考慮して適宜に定められる。
マイクロチップ10において、接合面積は、接合性(接合強さ)の観点から、接合面の面積(具体的には、第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16の接合面の面積)の10%以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜40%である。
接合面の面積が10%未満の場合、接合性が必ずしも良好とはならないおそれがある。また、接合面の面積が40%を超えると密閉空間Sの体積が相対的に小さくなり、結果として水分制御機能が不十分となるおそれがある。
内側障壁部22の厚み(幅寸法)、すなわち微小流路Rと密閉空間Sとの離間距離は、少なくとも0.5mm以上であることが好ましい。
内側障壁部22の厚みが過小である場合には、マイクロチップ基板成形用の金型における微細加工が必要になり製造コストが高くなる。また金型において精密な端部処理を行う必要がある。精密な端部処理を怠るとヒケやバリなど、貼り合わせにとって阻害要因となる形状を含んだマイクロチップ基板が成形されてしまうという問題が生じる。また貼り合わせ面積が微小になるため、接合によっては製造したマイクロチップの機械的強さ(接合強さ)が低下するほか、形成した流路をマイクロチップの微小流路Rとして使用する際に、流れる流体の注入圧力等で生じる外力によって内側障壁部が破断してしまう。したがって、マイクロチップとしての品質に問題が生じるおそれがある。
この図の例において、内側障壁部22の厚みは、0.5mmである。
また、外側障壁部27の厚み(幅寸法)も、内側障壁部22の厚みと同様に、0.5mm以上であることが好ましい。
外側障壁部27の厚みが過小である場合には、貼り合わせ面積が微小になるため、内側障壁部26のときと同様、接合によって製造したマイクロチップの機械的強さ(接合強さ)が低下するほか、外側障壁部の破断に対する耐性に余裕がなくなるなど、マイクロチップとしての品質に問題が生じるおそれがある。
この図の例において、外側障壁部27の厚みは、0.5mmである。
密閉空間Sは、内側接合部21および外側接合部26において、マイクロチップ10の周囲環境雰囲気および微小流路Rの雰囲気を構成する気体中に存在する水分(H2O分子)、並びに微小流路Rを流動する液体を構成する水分が浸透することに起因して水分量が増加することを抑制するための水分制御空間として用いられる。この水分制御空間は、水分吸着機能または水分ブロック機能を有するものである。
密閉空間Sが水分制御空間とされることにより、内側接合部21および外側接合部26における水分量が大きくなることに起因する第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との間の剥離の発生を抑制することができる。
具体的に説明すると、マイクロチップ10が、紫外線を照射した、第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16の接合面を密着する過程を経て接合されたものである場合には、接合界面(具体的には、内側接合部21および外側接合部26)において、境界層が形成されることがある。その境界層は、活性化された接合面に存在していた官能基(具体的には、ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシ基(−COOH)およびアルデヒド基(−CHO)など)の一部が、脱水縮合反応、すなわち酸素の共有結合の生成に寄与せずに、接合界面に残存することに起因して形成され、水分からの影響を受けやすい、具体的には、水分が浸透しやすいものである。然るに、密閉空間Sが水分制御空間とされることによれば、水分吸着機能または水分ブロック機能により、境界層における水分量の増加を抑制することができるため、当該境界層の水分量が大きくなることに起因する第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との間の剥離の発生を抑制することができる。
水分制御空間における水分吸着機能とは、内側接合部21に浸透した水分および外側接合部26に浸透した水分を吸着する機能である。
而して、水分制御空間が水分吸着機能を有する場合には、内側接合部21および外側接合部26に浸透した水分が、水分制御空間に吸着される。具体的に説明すると、図3に示すように、マイクロチップ10においては、当該マイクロチップ10の周囲環境雰囲気を構成する気体中に存在する水分Wが外側接合部26(境界層)に浸透する場合、および、微小流路Rの雰囲気を構成する気体中に存在する水分Wや微小流路Rを流動する液体を構成する水分が内側接合部21(境界層)に浸透する場合がある。そのような場合において、水分制御空間が水分吸着機能を有することによれば、図4に示すように、内側接合部21および外側接合部26に浸透した水分Wが、水分制御空間に吸着される。そのため、内側接合部21および外側接合部26の水分量、すなわち残留する浸透水分量を低減させることができる。
密閉空間Sに水分吸着機能を付与して、当該密閉空間Sを水分制御空間として利用するための手法としては、例えば、密閉空間Sに吸湿剤を充填する手法、および、密閉空間Sを減圧状態、すなわち減圧雰囲気(真空雰囲気)とする手法が挙げられる。
密閉空間Sに吸湿剤を充填する手法において、吸湿剤としては、種々の乾燥剤を用いることができる。乾燥剤の具体例としては、シリカゲルなどが挙げられる。また、乾燥剤の形状は、粉末状体、繊維体、フィルム体およびその他の形状であってもよく、また、乾燥剤は、密閉空間Sにおいて塗布膜に含有された状態で充填されていてもよい。
密閉空間Sを減圧状態とする手法において、減圧雰囲気における雰囲気圧力は、50kPa以下であることが好ましい。
本発明者らの実験によれば、減圧状態の密閉空間Sの圧力を50kPa以下とすることにより、内側接合部21および外側接合部26に浸透した水分の水分吸着機能を十分に密閉空間Sに持たせることが可能となり、水分に起因するマイクロチップ基板同士の剥離を十分に低減できることが分かった。
また、水分制御空間における水分ブロック機能とは、内側接合部21および外側接合部26に、マイクロチップ10の周囲環境雰囲気および微小流路Rの雰囲気を構成する気体中に存在する水分(H2O分子)、並びに微小流路Rを流動する液体を構成する水分が浸透することを抑制する機能である。
而して、水分制御空間が水分ブロック機能を有する場合には、図5に示すように、内側接合部21において、微小流路Rの雰囲気を構成する気体中に存在する水分Wや微小流路Rを流動する液体を構成する水分Wが浸透することを防止または十分に抑制することができる。また、外側接合部26において、マイクロチップ10の周囲環境雰囲気を構成する気体中に存在する水分Wが浸透することを防止または十分に抑制することができる。
密閉空間Sに水分ブロック機能を付与して、当該密閉空間Sを水分制御空間として利用するための手法としては、例えば、密閉空間Sに含有水分量が著しく低い乾燥不活性ガスを充填する、具体的には、密閉空間Sに、乾燥不活性ガスを、大気圧または大気圧より高い圧力(陽圧)で封入する手法が挙げられる。
密閉空間Sに大気圧または陽圧で乾燥不活性ガスを封入する手法において、乾燥不活性ガスを構成する不活性ガスとしては、窒素ガスが挙げられる。
また、乾燥不活性ガスにおける含有水分量は、露点温度−40℃以下であることが好ましい。
密閉空間Sに大気圧または陽圧で乾燥不活性ガスを封入する手法において、乾燥不活性ガスが封入された密閉空間Sの圧力は、0.1MPa〜0.5MPaであればよく、0.1MPa〜0.2MPaであることがより好ましい。
乾燥不活性ガスが充填された密閉空間Sの圧力が過小である場合には、水分ブロック機能が低下するおそれがある。
一方、乾燥不活性ガスが充填された密閉空間Sの圧力が過大である場合には、マイクロチップ基板同士の接合力が弱くなるおそれがある。
このような構成を有するマイクロチップ10は、密閉空間Sに付与する機能に応じた適宜の方法によって製造することができる。
以下、マイクロチップ10の製造方法の具体例を、図を用いて説明する。
以下において、第1の製造方法は、密閉空間Sを、吸湿剤を充填することによって水分吸着機能を有する水分制御空間として用いるマイクロチップ10を製造する方法である。第2の製造方法は、密閉空間Sを、減圧状態とすることによって水分吸着機能を有する水分制御空間として用いるマイクロチップ10を製造する方法である。また、第3の製造方法は、密閉空間Sに、大気圧または陽圧で乾燥不活性ガスを封入することによって、当該密閉空間Sを水分ブロック機能を有する水分制御空間として用いるマイクロチップ10を製造する方法である。
〔第1の製造方法〕
まず、図6に示すように、例えばCOPよりなる第1のマイクロチップ基板11と、例えばCOPよりなる第2のマイクロチップ基板16と、例えばシリカゲルよりなる吸湿剤29とを用意する。第1のマイクロチップ基板11は、接合面(図6(a)、図6(b)および図6(d)における上面)に流路溝12および密閉空間用凹所15が形成され、また注入口用貫通孔13および排出口用貫通孔14が形成された略矩形平板状のものである。また、第2のマイクロチップ基板16は、第1のマイクロチップ基板11の接合面と同等の縦横寸法の接合面(図6(c)における上面であって図6(d)における下面)を有する矩形平板状のものである。
(吸湿剤充填工程)
吸湿剤充填工程においては、図6(a)に示すように、第1のマイクロチップ基板11における密閉空間用凹所15に吸湿剤29を充填する。
この吸湿剤充填工程において、密閉空間用凹所15に吸湿剤29を充填する具体的な方法としては、例えば、粉末状の乾燥剤粉末をエタノールに分散させ、この分散液をピンセットや筆、ディスペンサーで密閉空間用凹所15の表面に塗布し、この塗布工程後の乾燥工程により溶媒であるエタノールを乾燥、除去することにより、当該密閉空間用凹所15に吸湿剤29を充填する手法が用いられる。
(紫外線照射工程)
紫外線照射工程においては、図6(b)および図6(c)に示すように、吸湿剤充填工程を経た第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面のそれぞれに対して、酸素を含む雰囲気中(例えば、大気中)において、波長200nm以下の真空紫外線L1,L2を照射する。
この紫外線照射工程を経ることにより、真空紫外線L1,L2が照射された第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面が活性化される。具体的には、接合面に付着していた有機物が分解・除去され、また、接合面においてラジカルが生成されると共に、反応性の高い官能基(具体的には、酸素原子を含む官能基)生成される。ここに、第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16がCOPよりなる場合には、第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面は、紫外線照射工程を経ることにより、ヒドロキシ基(−OH)、カルボキシ基(−COOH)およびアルデヒド基(−CHO)などの官能基が結合した状態となる。
紫外線照射工程において、真空紫外線L1,L2を放射する光源としては、波長172nmに中心波長を有する真空紫外線を放射するキセノンエキシマランプなどのエキシマランプを好適に用いることができる。
第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面の各々に照射される真空紫外線L1,L2の照度は、例えば10〜100mW/cm2 であり、特に40mW/cm2 が好ましい。
また、第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ16の接合面の各々に対する真空紫外線L1,L2の照射時間は、第1のマイクロチップ基板11および第2のマクロチップ基板16の構成材料、および第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16の接合面の状態などに応じ、吸湿剤29の種類を考慮して適宜設定されるが、例えば5〜120秒間であり、特に60秒間が好ましい。
(接合工程)
接合工程においては、図6(d)に示すように、紫外線照射工程を経た第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16を、それぞれの接合面が互いに密着した状態となるように積層する。その後、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との積層体を、加圧または加熱する。あるいは、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との積層体を、加圧しながら加熱する。
この接合工程を経ることにより、第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16の接合面同士が接触した領域、すなわち接合界面において、脱水縮合反応が生じて酸素(O)の共有結合が生成され、その酸素の共有結合により、両マイクロチップ基板が強固に接合される。その結果、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16とが接合され、密閉空間Sが、吸湿剤29の充填によって水分吸着機能を有する水分制御空間とされてなるマイクロチップ10が得られる。
接合工程において、加圧条件や加熱条件は、第1のマイクロチップ基板11の構成材料および第2のマイクロチップ基板16の構成材料に応じ、吸湿剤29の種類を考慮して適宜設定される。また、加圧時間および加熱時間は、加圧条件や加熱条件に応じた所定時間とされる。ここに、所定時間とは、基本的に、両マイクロチップ基板の接合界面において脱水縮合反応が進行し、両マイクロチップ基板の接合が十分になされるまでに要する時間である。
また、接合工程においては、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との積層体を加圧する場合には、必要に応じて、積層体を所定時間加圧した後、さらに所定時間加熱してもよい。具体的には、積層体の加圧状態を所定時間にわたって維持し、その後、その加圧状態を解除し、積層体の温度を所定温度まで上昇させ、その温度を、所期の接合状態が得られるまで維持するようにしてもよい。ここに、所定温度とは、積層体(第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16)に変形が生じることのない温度である。
積層体を加圧した後に加熱することによれば、加圧後の積層体における接合界面に、十分な接合状態が得られている部分と、十分な接合状態が得られていない部分とが混在している場合であっても、加熱により、十分な接合状態が得られていない部分において、その接合状態を、所期の状態とすることができる。
また、接合工程は、紫外線照射工程が完了してから10分間以内に行うことが好ましい。
紫外線照射工程が完了してから接合工程を開始するまでの時間が10分間を超える場合には、第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面に、水分(余剰水分)や不純物が再付着するおそれがある。そのため、得られるマイクロチップ10において、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との間に、高い強度の接合状態を確実に達成することが困難となるおそれがある。
〔第2の製造方法〕
まず、図7に示すように、例えばCOPよりなる第1のマイクロチップ基板11と、例えばCOPよりなる第2のマイクロチップ基板16とを用意する。第1のマイクロチップ基板11は、接合面(図7(a)および図7(c)における上面)に流路溝12および密閉空間用凹所15が形成され、また注入口用貫通孔13および排出口用貫通孔14が形成された略矩形平板状のものである。また、第2のマイクロチップ基板16は、第1のマイクロチップ基板11の接合面と同等の縦横寸法の接合面(図7(b)における上面であって図7(c)における下面)を有する矩形平板状のものである。
(紫外線照射工程)
紫外線照射工程においては、図7(a)および図7(b)に示すように、第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面のそれぞれに対して、酸素を含む雰囲気中(例えば大気中)において、波長200nm以下の真空紫外線L1,L2を照射する。
この紫外線照射工程を経ることにより、真空紫外線L1,L2が照射された第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面が活性化される。具体的には、接合面に付着していた有機物が分解・除去され、また、接合面においてラジカルが生成されると共に、反応性の高い官能基(具体的には、酸素原子を含む官能基)生成される。
紫外線照射工程において、真空紫外線L1,L2を放射する光源としては、波長172nmに中心波長を有する真空紫外線を放射するキセノンエキシマランプなどのエキシマランプを好適に用いることができる。
第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面の各々に照射される真空紫外線L1,L2の照度は、例えば10〜100mW/cm2 であり、特に40mW/cm2 が好ましい。
また、第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ16の接合面の各々に対する真空紫外線L1,L2の照射時間は、第1のマイクロチップ基板11および第2のマクロチップ基板16の構成材料、および第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16の接合面の状態などに応じて適宜設定されるが、例えば5〜120秒間であり、特に60秒間が好ましい。
(接合工程)
接合工程においては、まず、紫外線照射工程を経た第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16が存在する雰囲気、すなわち第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ16との接合を行う雰囲気を、減圧雰囲気(真空雰囲気)とする。次いで、図7(c)に示すように、第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16を、それぞれの接合面が互いに密着した状態となるように積層する。その後、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との積層体を、加圧または加熱する。あるいは、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との積層体を、加圧しながら加熱する。
この接合工程を経ることにより、第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16の接合面同士が接触した領域、すなわち接合界面において、脱水縮合反応が生じて酸素(O)の共有結合が生成され、その酸素の共有結合により、両マイクロチップ基板が強固に接合される。その結果、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16とが接合され、密閉空間Sが、減圧状態とされることによって水分吸着機能を有する水分制御空間とされてなるマイクロチップ10が得られる。
接合工程において、接合を行う雰囲気(減圧雰囲気)の雰囲気圧力は、50kPa以下とされる。
減圧雰囲気の雰囲気圧力が過大である場合には、得られるマイクロチップ10において、密閉空間Sに、所期の水分吸着機能を付与することができなくなるおそれがある。
また、接合工程において、加圧条件や加熱条件は、第1のマイクロチップ基板11の構成材料および第2のマイクロチップ基板16の構成材料に応じて適宜設定される。また、加圧時間および加熱時間は、加圧条件や加熱条件に応じた所定時間とされる。
また、接合工程においては、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との積層体を加圧する場合には、必要に応じて、積層体を所定時間加圧した後、さらに所定時間加熱してもよい。具体的には、積層体の加圧状態を所定時間にわたって維持し、その後、その加圧状態を解除し、積層体の温度を所定温度まで上昇させ、その温度を、所期の接合状態が得られるまで維持するようにしてもよい。ここに、所定温度とは、積層体(第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16)に変形が生じることのない温度である。
積層体を加圧した後に加熱することによれば、加圧後の積層体における接合界面に、十分な接合状態が得られている部分と、十分な接合状態が得られていない部分とが混在している場合であっても、加熱により、十分な接合状態が得られていない部分において、その接合状態を、所期の状態とすることができる。
また、接合工程は、紫外線照射工程が完了してから10分間以内に行うことが好ましい。
紫外線照射工程が完了してから接合工程を開始するまでの時間が10分間を超える場合には、第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面に、水分(余剰水分)や不純物が再付着するおそれがある。そのため、得られるマイクロチップ10において、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との間に、高い強度の接合状態を確実に達成することが困難となるおそれがある。
〔第3の製造方法〕
まず、図8に示すように、例えばCOPよりなる第1のマイクロチップ基板11と、例えばCOPよりなる第2のマイクロチップ基板16とを用意する。第1のマイクロチップ基板11は、接合面(図8(a)および図8(c)における上面)に流路溝12および密閉空間用凹所15が形成され、また注入口用貫通孔13および排出口用貫通孔14が形成された略矩形平板状のものである。また、第2のマイクロチップ基板16は、第1のマイクロチップ基板11の接合面と同等の縦横寸法の接合面(図8(b)における上面であって図8(c)における下面)を有する矩形平板状のものである。
(紫外線照射工程)
紫外線照射工程においては、図8(a)および図8(b)に示すように、第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面のそれぞれに対して、酸素を含む雰囲気中(大気中)において、波長200nm以下の真空紫外線L1,L2を照射する。
この紫外線照射工程を経ることにより、真空紫外線L1,L2が照射された第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面が活性化される。具体的には、接合面に付着していた有機物が分解・除去され、また、接合面においてラジカルが生成されると共に、反応性の高い官能基(具体的には、酸素原子を含む官能基)生成される。
紫外線照射工程において、真空紫外線L1,L2を放射する光源としては、波長172nmに中心波長を有する真空紫外線を放射するキセノンエキシマランプなどのエキシマランプを好適に用いることができる。
第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面の各々に照射される真空紫外線L1,L2の照度は、例えば10〜100mW/cm2 であり、特に40mW/cm2 が好ましい。
また、第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ16の接合面の各々に対する真空紫外線L1,L2の照射時間は、第1のマイクロチップ基板11および第2のマクロチップ基板16の構成材料、および第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16の接合面の状態などに応じて適宜設定されるが、例えば5〜120秒間であり、特に60秒間が好ましい。
(接合工程)
接合工程においては、まず、紫外線照射工程を経た第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16が存在する雰囲気、すなわち第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ16の接合を行う雰囲気を、含有水分量が著しく低い乾燥不活性ガスよりなる乾燥不活性ガス雰囲気とする。次いで、図8(c)に示すように、第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16を、それぞれの接合面が互いに密着した状態となるように積層する。その後、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との積層体を、加圧または加熱する。あるいは、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との積層体を、加圧しながら加熱する。
この接合工程を経ることにより、第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16の接合面同士が接触した領域、すなわち接合界面において、脱水縮合反応が生じて酸素(O)の共有結合が生成され、その酸素の共有結合により、両マイクロチップ基板が強固に接合される。その結果、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16とが接合され、密閉空間Sが、乾燥不活性ガスが充填されることによって水分ブロック機能を有する水分制御空間とされてなるマイクロチップ10が得られる。
接合工程において、乾燥不活性ガスとしては、含有水分量が露点温度で−40℃以下のガスが好適に用いられる。乾燥不活性ガスを構成する不活性ガスの具体例としては、例えば窒素ガスが挙げられる。
また、接合を行う雰囲気(乾燥不活性ガス雰囲気)の雰囲気圧力は、大気圧または大気圧より高い圧力(陽圧)とされ、具体的には、0.1MPa〜0.5MPaであればよく、0.1MPa〜0.2MPaであることがより好ましい。
乾燥不活性ガス雰囲気の雰囲気圧力が上記の範囲外である場合には、得られるマイクロチップ10において、密閉空間Sに、所期の水分ブロック機能を付与することができなくなったり、マイクロチップ基板同士の接合力が弱くなるおそれがある。
また、接合工程において、加圧条件や加熱条件は、第1のマイクロチップ基板11の構成材料および第2のマイクロチップ基板16の構成材料に応じて適宜設定される。また、加圧時間および加熱時間は、加圧条件や加熱条件に応じた所定時間とされる。
また、接合工程においては、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との積層体を加圧する場合には、必要に応じて、積層体を所定時間加圧した後、さらに所定時間加熱してもよい。具体的には、積層体に対して所定時間加圧状態を維持し、その後、その加圧状態を解除し、積層体の温度を所定温度まで上昇させ、その温度を、所期の接合状態が得られるまで維持するようにしてもよい。ここに、所定温度とは、積層体(第1のマイクロチップ基板11および第2のマイクロチップ基板16)に変形が生じることのない温度である。
積層体を加圧した後に加熱することによれば、加圧後の積層体における接合界面に、十分な接合状態が得られている部分と、十分な接合状態が得られていない部分とが混在している場合であっても、加熱により、十分な接合状態が得られていない部分において、その接合状態を、所期の状態とすることができる。
また、接合工程は、紫外線照射工程が完了してから10分間以内に行うことが好ましい。
紫外線照射工程が完了してから接合工程を開始するまでの時間が10分間を超える場合には、第1のマイクロチップ基板11の接合面および第2のマイクロチップ基板16の接合面に、水分(余剰水分)や不純物が再付着するおそれがある。そのため、得られるマイクロチップ10において、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との間に、高い強度の接合状態を確実に達成することが困難となるおそれがある。
以上のマイクロチップ10においては、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との間において、微小流路Rと共に、当該微小流路Rを囲繞するように密閉空間Sが設けられており、両基板が内側接合部21と外側接合部26とによって接合されている。そのため、密閉空間Sの大きさによって接合面積を制御することができることから、紫外線を利用して両基板を接合することによっても、両基板を高い均一性をもって接合することができる。すなわち、紫外線照射後に両基板を積層して接合する製造過程(接合工程)において、両基板の積層体を加圧する場合には、加圧時において、内側土手部分および外側土手部分に係る領域に加圧集中を生じさせることができるため、両基板をより高い均一性をもって接合することができると共に、内側接合部21および外側接合部26においてより大きな接合強さを得ることもできる。その結果、内側接合部21および外側接合部26(接合界面)における微小な隙間の形成が抑制される。
しかも、密閉空間Sに水分吸着機能または水分ブロック機能を付与して水分制御空間とすることにより、接合界面(内側接合部21および外側接合部26)に水分が浸透しやすい境界層が形成された場合であっても、当該水分制御空間の作用によって当該境界層における水分量の増加を抑制することができる。
従って、マイクロチップ10によれば、内側接合部21および外側接合部26において、水分量が大きくなることに起因する、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との間の剥離の発生を抑制することができることから、当該内側接合部21および外側接合部26に、高い強度の接合状態が得られ、また貼り合わせ状態を長期間にわたって維持することが可能となる。
また、本発明のマイクロチップによれば、密閉空間Sが微小流路Rを囲繞するように設けられていることから、当該密閉空間Sの作用により、保温効果および断熱効果が得られる。
そして、マイクロチップ10においては、密閉空間Sの水分制御空間としての機能(水分吸着機能および水分ブロック機能)は、有限のものであり、一定時間(有限時間)の経過後にはその機能が得られなくなる。しかしながら、通常、マイクロチップ10は、ディスポーザブル品であって、上記の有限時間よりも短い時間内において使い捨てされるものであることから、実用上、問題ない。
また、マイクロチップ10においては、密閉空間Sを、減圧状態とすることによって水分吸着機能を有する水分制御空間として用いる場合においては、減圧状態の密閉空間Sの吸引作用により、第1のマイクロチップ基板11と第2のマイクロチップ基板16との間における剥離の発生がより抑制される。なお、密閉空間Sには内側接合部21および外側接合部26を介して水分が侵入しやすくなるが、密閉空間Sに侵入した水分内側接合部21および外側接合部26を介して当該密閉空間Sの外部に排出されることはない。
本発明のマイクロチップにおいては、上記の実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第2のマイクロチップ基板は、光透過性材料よりなるフィルム状体であってもよい。第2のマイクロチップ基板を構成するフィルム状体においては、接合性(接合強さ)および水分制御性(水分吸着機能)の観点から、厚みが小さいことが好ましく、例えば、フィルム状体の厚みは、50〜200μmである。このような構成の第2のマイクロチップ基板を備えたマイクロチップにおいて、密閉空間は、当該密閉空間を減圧状態とする手法によって水分吸着機能が付与されて、水分制御空間として利用される。このマイクロチップにおいては、図9に示すように、密閉空間Sの圧力と周囲環境雰囲気の雰囲気圧力との差の作用によって第2のマイクロチップ基板19(フィルム状体)が密閉空間用凹所15の底面15Aに向かう方向に撓み、当該第2のマイクロチップ基板19の接合面が当該底面15Aに接触した状態となる。そのため、密閉空間Sは、内側障壁部22による壁面に沿って環状に伸びる、断面が略直角三角形状の環状空間と、外側障壁部27による壁面に沿って環状に伸びる、断面が略直角三角形状の環状空間とにより構成されることとなる。ここに、内側障壁部22または外側障壁部27と第2のマイクロチップ基板19との最大離間距離は、当該第2のマイクロチップ基板19の厚みに応じて、例えば0.1〜2mm程度となる。
このような構成のマイクロチップによれば、密閉空間Sにおいて水分制御性(水分吸着機能)を得ることができると共に、内側接合部21および外側接合部26においてより一層高い接合強さを得ることができる。
また、微小流路は、第1のマイクロチップ基板および第2のマイクロチップ基板の少なくとも一方の基板に形成された流路溝よりなるものであればよい。すなわち、流路溝は、第2のマイクロチップ基板のみに形成されていてもよく、また両マイクロチップ基板に形成されていてもよい。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(マイクロチップの製造例1)
図1および図2に示した構成に基いて、マイクロチップを作製した。
具体的には、まず、第1のマイクロチップ基板、第2のマイクロチップ基板および吸湿剤を用意した。
具体的には、第1のマイクロチップ基板としては、接合面とされる一面に、流路溝、当該流路溝に連通する貫通孔(注入口用貫通孔および排出口用貫通孔)および密閉空間用凹所が形成された略矩形平板状のCOP基板(縦寸法75.5mm×横寸法25.5mm×厚み3mm)を用意した。この第1のマイクロチップ基板において、流路溝は、幅800μm、長さ9000μm、深さ200μmの断面矩形状のものであり、接合面の中央部に形成されている。また、密閉空間用凹所は、幅1000μmの内側土手部分と幅1000μmの外側土手部分との間において、流路溝を囲繞するように形成された矩形環状のものであり、その断面形状は矩形状であって、深さは50μmである。
また、第2のマイクロチップ基板としては、矩形平板状のCOP基板(縦寸法75.5mm×横寸法25.5mm×厚み1mm)を用意し、また、吸湿剤(乾燥剤)としては、粉末状のシリカゲル、すなわちシリカゲル微粒子(平均粒径5.0μm)を用意した。
次いで、シリカゲル微粒子をエタノール中に分散させることによってシリカゲル分散液を調製し、そのシリカゲル分散液を、第1のマイクロチップ基板の密閉空間用凹所に塗布し乾燥することにより、当該密閉空間用凹所をシリカゲルで充填した(吸湿剤充填工程)。
さらに、吸湿剤充填工程を経た第1のマイクロチップ基板の接合面、および第2のマイクロチップ基板における接合面とされる一面に、各々、大気中において、紫外線照射装置を用いて、真空紫外線を照射した(紫外線照射工程)。用いた紫外線照射装置は、波長172nmの真空紫外線を、一辺が300mmの正方形状の照射エリアに対して紫外線透過窓を介して照射する構成のものである。この紫外線照射装置について、紫外線照度計「UIT−205+VUV−S172」(ウシオ電機株式会社製)を用いて窓面照度を確認したところ、およそ40mW/cm2 であった。また、照射時間は60秒間とした。また、真空紫外線照射に際して、紫外線照射装置における紫外線透過窓と接合面(具体的には、第1のマイクロチップ基板および第2のマイクロチップ基板の接合面)との離間距離(照射距離)は、大気中の酸素による真空紫外線の吸収を考慮して、3mmとした。また、真空紫外線照射に際して、紫外線照射装置における紫外線透過窓と接合面との間の処理雰囲気は、当該紫外線照射装置に係る照射空間の背面に配設した排気ダクトの吸気を使用して、周囲環境雰囲気を構成する気体(空気)を取り込むことによって構成した。
その後、アドテックエンジニアリング社製の貼り合わせ装置を用いて、第1のマイクロチップ基板と第2のマイクロチップ基板とを接合した。
具体的に説明すると、紫外線照射工程を経た第1のマイクロチップ基板と、紫外線照射工程を経た第2のマイクロチップ基板とを、接合面が互いに対向し、その間に、密閉空間に適合した大きさの塩化コバルト紙(塩化コバルト(II)六水和物の試験紙)を挟んだ状態で積層した。塩化コバルト紙としては、予め乾燥させたものを用いた。そして、得られた積層体を、貼り合わせ装置の加圧ステージ上に載置し、当該加圧ステージ上において、当該積層体を構成する2枚のマイクロチップ基板の水分を除去するために、200秒間以下の条件によって予備加熱を行った。また、それと同時に、貼り合わせ装置の処理空間において真空排気を行った後、当該処理空間の雰囲気を適宜調整した。その後、貼り合わせ装置によって、積層体を、加圧力3000Nおよび加熱温度130℃の条件によって300秒間にわたって加熱しながら加圧した。
このようにして、第1のマイクロチップ基板と第2のマイクロチップ基板とが接合されており、密閉空間に塩化コバルト紙が配設されたマイクロチップ(以下、「マイクロチップ(1)」ともいう。)を得た。このマイクロチップ(1)は、密閉空間に吸湿剤が充填されることによって当該密閉空間が水分吸着機能を有する水分制御空間とされたものである。
なお、密閉空間に塩化コバルト紙が配設された構造としたのは、下記に示すようにマイクロチップを評価するためである。
(マイクロチップの評価)
作製したマイクロチップ(1)を、恒温恒湿槽内に配置し、温度40℃、湿度95%RHの環境条件下において最大で2週間放置した後、塩化コバルト紙における呈色反応の発生の有無および呈色反応発生箇所の分布、並びに、剥離の発生の有無を目視にて確認した。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
(マイクロチップの製造例2)
実施例1のマイクロチップの製造例1において、吸湿剤充填工程を経なかったこと、および、接合工程において、貼り合わせ装置の処理空間の雰囲気を真空雰囲気(雰囲気圧力100Pa)としたこと以外は当該マイクロチップの製造例1と同様にして、マイクロチップ(以下、「マイクロチップ(2)」ともいう。)を作製した。このマイクロチップ(2)は、密閉空間を減圧状態(雰囲気圧が100Paの真空状態)とすることによって当該密閉空間が水分吸着機能を有する水分制御空間とされたものである。
(マイクロチップの評価)
作製したマイクロチップ(2)について、実施例1と同様の手法によって、塩化コバルト紙における呈色反応の発生の有無および呈色反応発生箇所の分布、並びに、剥離の発生の有無を目視にて確認した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
(マイクロチップの製造例3)
実施例2のマイクロチップの製造例2において、接合工程において、貼り合わせ装置の処理空間内の雰囲気を、含有水分量が露点温度換算で−40℃である乾燥窒素ガスの陽圧雰囲気(雰囲気圧力0.15MPa)としたこと以外は当該マイクロチップの製造例2と同様にして、マイクロチップ(以下、「マイクロチップ(3)」ともいう。)を作製した。このマイクロチップ(3)は、密閉空間に乾燥窒素ガスを陽圧(雰囲気圧0.15MPa)で封入することによって当該密閉空間が水分ブロック機能を有する水分制御空間とされたものである。
(マイクロチップの評価)
作製したマイクロチップ(3)について、実施例1と同様の手法によって、塩化コバルト紙における呈色反応の発生の有無および呈色反応発生箇所の分布、並びに、剥離の発生の有無を目視にて確認した。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
(マイクロチップの製造例4)
実施例2のマイクロチップの製造例2において、第2のマイクロチップ基板として、COP基板に代えて、厚みが100μmのCOP製のフィルム状体を用いたこと以外は当該マイクロチップの製造例2と同様にして、マイクロチップ(以下、「マイクロチップ(4)」ともいう。)を作製した。このマイクロチップ(4)は、密閉空間を減圧状態(雰囲気圧が100Paの真空状態)とすることによって当該密閉空間が水分吸着機能を有する水分制御空間とされたものである。
(マイクロチップの評価)
作製したマイクロチップ(4)について、実施例1と同様の手法によって、塩化コバルト紙における呈色反応の発生の有無および呈色反応発生箇所の分布、並びに、剥離の発生の有無を目視にて確認した。結果を表1に示す。
Figure 0006801584
表1から明らかなように、マイクロチップ(1)、マイクロチップ(2)、マイクロチップ(3)およびマイクロチップ(4)のいずれの場合においても、温度40℃、湿度95%RHの環境条件下において2週間放置しても、塩化コバルト紙における呈色反応は発生しなかった。また、剥離も確認されなかった。
10 マイクロチップ
10A 外周面
11 第1のマイクロチップ基板
12 流路溝
13 注入口用貫通孔
13A 注入口
14 排出口用貫通孔
14A 排出口
15 密閉空間用凹所
15A 底面
16 第2のマイクロチップ基板
19 第2のマイクロチップ基板
21 内側接合部
22 内側障壁部
26 外側接合部
27 外側障壁部
29 吸湿剤
31 基板
31A 接合面
32 基板
32A 接合面
40 マイクロチップ
41 第1のマイクロチップ基板
42 流路溝
43 注入口用貫通孔
43A 注入口
44 排出口用貫通孔
44A 排出口
46 第2のマイクロチップ基板
48 接合部
R 微小流路
S 密閉空間

Claims (6)

  1. 第1のマイクロチップ基板および第2のマイクロチップ基板が接合されてなり、当該第1のマイクロチップ基板の表面に設けられた注入口および排出口に連通する、当該第1のマイクロチップ基板および第2のマイクロチップ基板の少なくとも一方の基板に形成された流路溝よりなる流路を内部に有するマイクロチップにおいて、
    前記第1のマイクロチップ基板と前記第2のマイクロチップ基板との間には、前記流路に沿って環状に形成された内側接合部と、当該第1のマイクロチップ基板および当該第2のマイクロチップ基板のそれぞれの外周縁部に沿って形成された外側接合部とが形成されており、当該内側接合部と当該外側接合部との間に、当該内側接合部を囲繞するように密閉空間が形成されていることを特徴とするマイクロチップ。
  2. 前記密閉空間に、吸湿剤が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ。
  3. 前記密閉空間が減圧状態とされていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ。
  4. 前記密閉空間の圧力が50kPa以下であることを特徴とする請求項3に記載のマイクロチップ。
  5. 前記密閉空間に、乾燥不活性ガスが充填されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロチップ。
  6. 前記密閉空間の圧力が0.1MPa〜0.2MPaであることを特徴とする請求項5に記載のマイクロチップ。
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