JP6800764B2 - 基礎部材 - Google Patents

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Description

本発明は、基礎部材に関する。さらに詳しくは、車庫やテラス等の支柱を設置する際に使用される基礎部材に関する。
車庫やテラス等を設置する場合、支柱の基端部をコンクリート基礎に埋設して支柱をコンクリート基礎に固定する。具体的には、支柱を設置する場所の地面に支柱の基端部を埋設するための孔(以下基礎孔という)を形成し、この基礎孔に支柱を立てた状態で基礎孔にコンクリートを打設して支柱をコンクリート基礎に固定する。例えば、支柱が100mm×160mm程度であれば、基礎孔は700mm×700mm程度の大きさに形成され、支柱は基礎孔の中心部に配置される。なお、コンクリート基礎による支柱を支持する強度(以下、支柱支持強度という場合がある)を高くするために、必要に応じて基礎孔内には構造配筋も設置される。
車庫やテラス等の支柱は隣家との境界部分に設けることが多いが、その場合、支柱から隣家との境界までのスペースの有効活用が難しい。とくに、隣家の外壁などの近傍に車庫やテラス等の支柱を設ける場合には、支柱から隣家の外壁までの空間はデッドスペースとなってしまう。
近年、車庫やテラス等の支柱をできるだけ隣家の境界に近づけて設置することによってデッドスペースを少なくすることが行われている。具体的には、基礎孔は従来と同じ位置に形成するが、基礎孔内において支柱を設置する位置を中心部から隣家の境界側に大きくずらして設置することが行われている。
この方法の場合、支柱と隣家の外壁との間のデッドスペースは小さくできるが、コンクリート基礎において、隣家の外壁側の部分はコンクリートの量(いわゆるかぶり)が少なくなってしまう。すると、コンクリート基礎による支柱支持強度が低下してしまう可能性がある。
そこで、基礎孔内において支柱を設置する位置を中心部からずらして(偏芯させて)設置しても、コンクリート基礎による支柱支持強度の低下を防ぐ技術が開発されている(特許文献1〜3)。
特許文献1には、支柱の偏芯側の面(基礎孔の中心から離れた面)に取り付けられる板状の第1金具と、第1金具との間に支柱を挟むように設けた板状の第2金具と、を使用する支柱の支持構造が開示されている。この支持構造では、第1および第2金具が支柱の側方まで張り出した部分を有しており、両金具の張り出し部の間に空間が形成されるようになっている。そして、特許文献1には、支柱に加わる荷重を張り出した部分で受けることができるから、支柱の立設強度(支柱支持強度)を高くできる旨が記載されている。
特許文献2には、支柱の偏芯側の面に取り付けられる板状の偏芯側縦部材と、偏芯側の面から離間した状態となるように設置される板状の反偏芯側縦部材と、この一対の縦部材を連結するバー部材と、を使用する支柱の支持構造が開示されている。また、バー部材に連結された支柱押え部材と偏芯側縦部材とによって支柱を挟んで一対の縦部材を支柱に固定する構成も開示されている。そして、特許文献2には、支柱に加わる荷重を反偏芯側縦部材で受けることができるから、支柱支持強度の低下を防止できる旨が記載されている。
しかし、特許文献1の構造では、第1および第2金具間の隙間が狭いので、この隙間にはコンクリートが流入しずらくなっており、コンクリートの充填が不十分になってしまう可能性がある。
また、特許文献2の構造では、バー部材や支柱押え部材、反偏芯側縦部材を有しており、これらの部材がコンクリートを流入する際の障害となるので、コンクリートの流入性はさらに悪くなる。そのため、コンクリートの打設に手間がかかるし、部材間にコンクリートを十分に流入させることができない虞がある。
コンクリート基礎では構造配筋を設けて、この構造配筋と支柱を連結することによってコンクリート基礎の支柱支持強度を高くする場合がある。しかし、特許文献1の構造では、第1、第2金具と構造配筋を連結することが困難であり、第1、第2金具の存在によって構造配筋と支柱との連結も困難になる。とくに、特許文献2の構造の場合には、縦部材が存在することによって基礎孔内に構造配筋を設置すること自体が困難になる。
一方、特許文献3には、支柱にUボルトを連結して、Uボルトを配筋として機能させることによってコンクリート基礎の支柱支持強度を高くする技術が開示されている。この方法の場合には、Uボルトが設けられているだけであるので、コンクリートを打設する際の障害が少なくなるし、構造配筋の設置も可能と考えられる。
特開2009−167669号公報 特開2006−152586号公報 特開2006−83683号公報
しかし、特許文献3の技術では、支柱の偏芯側側面ではなく、中心側の面に支柱とUボルトを連結する鉄板を設けているため、支柱に対して偏芯側から加わる力に対して十分な支柱支持強度を発揮できないおそれがある。
しかも、特許文献3の構造の場合、支柱を仮設置する際には、支柱だけで自立させなければならず、仮設置した際に支柱を安定して立たせておくことが難しい。この点は特許文献1の構造でも同様である。
さらに、特許文献1〜3の構造では、いずれも支柱に対して引き抜く方向(支柱の軸方向)に力が加わった場合にその力に対して抵抗となる部材が無い。したがって、特許文献1〜3の構造では、支柱を引き抜くような力に対する十分な支柱支持強度をコンクリート基礎に発揮させることは難しい。
本発明は上記事情に鑑み、コンクリート基礎に十分な支柱支持強度を発揮させることができる基礎部材を提供することを目的とする。
第1発明の基礎部材は、支柱の基端部に取り付けられて該支柱の基端部とともにコンクリート基礎に埋設される基礎部材であって、前記支柱の側面に取り付けられる固定部材と、該固定部材に両端が連結され、該固定部材との間に前記支柱を配置し得る収容空間が形成されるように両端間で曲げられた軸状の配筋部材と、該配筋部材に取り付けられた抵抗部材と、を備えており、該抵抗部材は、コンクリート基礎に埋設された状態において、前記支柱の軸方向に加わる力に対して抵抗となる抵抗表面を有し、該抵抗表面が前記支柱の軸方向と交差するように配置されており、該抵抗部材が、前記配筋部材に連結される固定板と、該固定板と連結されている前記抵抗表面を有する抵抗板と、を有する部材であることを特徴とする。
第2発明の基礎部材は、第1発明において、前記抵抗部材が、一枚の板材から形成された断面L字状の部材であることを特徴とする。
第3発明の基礎部材は、第1または第2発明において、前記抵抗部材の一端が前記支柱の基端部側の端縁と同一平面上に位置するように、前記固定部材が前記支柱に取り付けられることを特徴とする。
第4発明の基礎部材は、第1または第2発明において、前記抵抗部材の一端が前記固定部材の一端と同一平面上に位置し、かつ、前記抵抗部材の一端および前記固定部材の一端が前記支柱の基端部側の端縁よりも突出した状態となるように、前記固定部材が前記支柱に取り付けられることを特徴とする。
第5発明の基礎部材は、第1、第2、第3または第4発明において、前記配筋部材を複数本備えていることを特徴とする。
第6発明の基礎部材は、第1、第2、第3、第4または第5発明において、前記配筋部材に連結される構造配筋を備えていることを特徴とする。
第1、第2発明によれば、基礎部材を取り付けた支柱の基端部をコンクリート基礎などに埋設すれば、支柱を傾けたり引き抜いたりする力に対して抵抗部材が抵抗となるので、コンクリート基礎に十分な支柱支持強度を発揮させることができる。しかも、配筋部材が軸状の部材(軸材)を曲げて形成したものでありコンクリートを打設する際に障害となりにくいので、コンクリート基礎を適切に形成することができる。配筋部材と抵抗部材とをしっかりと連結できるので、支柱支持強度を高くすることができる。
第3発明によれば、支柱を立てた際に、抵抗部材を脚のように機能させることができるので、支柱を仮設置した際に安定して立てておくことができる。
第4発明によれば、固定部材と抵抗部材を脚として支柱を立てることができる。しかも、支柱の基端部側の端縁にコンクリートのかぶりを十分に設けることができるので、コンクリート基礎の強度を高めることができる。
第5、第6発明によれば、支柱とコンクリート基礎との連結強度を高くできる。
(A)は支柱Pの基端部に本実施形態の基礎部材1を取り付けた(設置した)状態の概略斜視図であり、(B)は本実施形態の基礎部材1を基礎孔BHに配置した状態の概略正面図である。 本実施形態の基礎部材1を基礎孔BHに配置した状態の概略説明図であって、(A)は(B)のA−A線断面図であり、(B)は側面図である。 本実施形態の基礎部材1を使用してコンクリート基礎BCに支柱Pを立設した車庫Cの概略説明図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。 構造配筋20を備えた基礎部材1を基礎孔BHに配置した状態の概略説明図であって、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。 他の実施形態の基礎部材1の概略説明図である。 支柱Pの基端部側の端縁を基礎孔BHの内底面から浮かして設置した状態の概略説明図であって、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
本発明の基礎部材は、支柱の基端部をコンクリート基礎に埋設して設置する際に使用される基礎部材であって、コンクリート基礎による支柱支持強度を高めることができる構造としたことに特徴を有している。
本発明の基礎部材が使用される支柱はとくに限定されない。例えば、車庫やテラス等の支柱のように、屋根部材等を片持ちで支持する構造を有する構造物の支柱に採用することができる。とくに、コンクリート基礎に対して偏った位置に支柱を設置する(支柱を偏芯させて設置する)際に、支柱の基端部(支柱においてコンクリート基礎に埋設される部分)に取り付けられる部材として適している。
とくに、地面に形成された基礎孔に支柱の基端部を配置してコンクリート基礎に支柱の基端部を埋設させる場合において(図2参照)、基礎孔の中心から支柱を偏芯させて設置する場合に、支柱支持強度を高めるために使用できる。
以下では、代表として、屋根部材が片持ちで支柱によって支持されている車庫において、その支柱を基礎孔の中心から偏芯させて設置する場合を説明する。
(車庫Cについて)
図3において、符号Pは車庫Cの支柱を示している。この車庫Cは、複数本の支柱Pによって支えられた屋根部材Rを備えており、屋根部材Rの一端縁に複数本の支柱Pの上端が連結されている。つまり、車庫Cは、屋根部材Rが複数本の支柱Pによって片持ちで支持されている。
この複数本の支柱Pは、その基端部がコンクリート基礎BCに埋設されている。より詳しくは、複数本の支柱Pは、その基端部に本実施形態の基礎部材1が取り付けられており、その基端部がコンクリート基礎BCに埋設されている。つまり、複数本の支柱Pは、その基端部が本実施形態の基礎部材1とともにコンクリート基礎BCに埋設されている。
本実施形態の基礎部材1は、後述するような抵抗部材5を備えている。すると、風などの外力に起因して、図3(B)に矢印F1,F3で示す方向の力や、矢印F2で示す支柱Pを引き抜くような力が支柱Pに加わった場合に、その力に対して抵抗部材5が抵抗となる。具体的には、矢印F1〜F3に示すような力が支柱Pに加わった場合、これらの力F1〜F3に起因して、支柱Pには、その軸方向に加わる力(より詳しくいえば、支柱Pの軸方向の分力、図1、2では上下方向の力)が作用する。しかし、後述するような抵抗部材5が設けられていれば、その力に対して抵抗部材5が抵抗となる。したがって、支柱Pに本実施形態の基礎部材1を取り付けておけば、コンクリート基礎BCに十分な支柱支持強度を発揮させることができる。
(本実施形態の基礎部材1)
以下に、本実施形態の基礎部材1の構造を詳細に説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態の基礎部材1は、固定部材2と、この固定部材2に連結された2本の配筋部材3と、2本の配筋部材3のうち下方の配筋部材3に取り付けられた抵抗部材5と、を備えている。
(固定部材2)
図1および図2に示すように、固定部材2は支柱Pの側面に取り付けられる部材であり、その幅が支柱Pの幅より長くなるように形成されている。具体的には、固定部材2は、板状の部材を曲げてその一面(支柱Pと対向する面2a、以下対向面2aという)から凹んだ溝状の凹み部2sを有するように形成された部材である。この凹み部2sは支柱Pが配置される部分であり、その幅が支柱Pの幅と同等または同等以上となるように形成されている。
なお、支柱Pの側面のうち、固定部材2が取り付けられる側面はとくに限定されない。しかし、上述したように、地面Gに形成された基礎孔BHの中心から支柱Pを偏芯させて設置する場合には、基礎孔BHの中心から遠い側の側面(つまり支柱の偏芯側の側面、図2では右側の側面)に取り付けることが望ましい。
また、固定部材2を支柱Pの側面に取り付ける方法はとくに限定されない。例えば、図2(A)に示すようにボルトb等によって固定部材2を支柱Pの側面に取り付けてもよいし、溶接等の方法によって固定部材2を支柱Pの側面に固定してもよい。
(配筋部材3)
図1に示すように、2本の配筋部材3は、鉄筋や棒鋼などの軸状の部材(以下、軸材という場合がある)をその両端間で曲げて形成された部材である。2本の配筋部材3は、固定部材2の凹み部2sの軸方向(図1、図2(B)では上下方向)に沿って並ぶように配設されており、その両端が固定部材2の対向面2aに連結されている。しかも、2本の配筋部材3は、その両端が凹み部2sの両側に位置するように、固定部材2の対向面2aに連結されている。かかる形状となっているので、配筋部材3と固定部材2との間に支柱Pを配置し得る収容空間3hが形成される。さらに、2本の配筋部材3は、収容空間3hに配置された支柱Pと配筋部材3との間に隙間ができる大きさに形成されている。
(抵抗部材5)
図1および図2に示すように、抵抗部材5は、例えばアングル材のような一枚の板材を曲げて形成された部材である。この抵抗部材5は、配筋部材3に連結される固定板5aと、固定板5aと略直交するように連結された抵抗板5bと、を有している。つまり、抵抗部材5は、断面L字状に形成された部材である。
この抵抗部材5の固定板5aには、配筋部材3を挿通する一対の孔5h,5hが形成されている。具体的には、一対の孔5h,5hに配筋部材3を挿通すれば、配筋部材3に固定板5aが取り付けられ、固定部材2の対向面2aおよび固定部材2の凹み部2sの軸方向と抵抗板5bの表面、つまり、抵抗表面5fとが略直交するように一対の孔5h,5hが形成されている。なお、略直交とは、直交する場合と、直交する状態よりも若干傾いた状態をも含む概念である。
(本実施形態の基礎部材1の使用方法)
上記のごとき構成を有する本実施形態の基礎部材1は、以下のように使用することができる。
まず、固定部材2の凹み部2sに支柱Pの基端部を配置して、ボルトb等によって固定部材2を支柱Pの側面に取り付ける。
ついで、2本の配筋部材3のうち、一方の配筋部材3を抵抗部材5の一対の孔5h,5hに挿通させ、配筋部材3に抵抗部材5を取り付ける。
そして、2本の配筋部材3の両端を固定部材2に連結すれば、固定部材2と2本の配筋部材3とによって支柱Pが囲まれた状態となる。しかも、抵抗部材5の抵抗表面5fが、固定部材2の対向面2aおよび凹み部2sの軸方向と略直交するように配置される。言い換えれば、抵抗部材5は、その抵抗表面5fが、支柱Pの軸方向(図1、図2(B)では上下方向)と交差するように配置される。
本実施形態の基礎部材1が支柱Pに取り付けられると、この支柱Pを基礎孔BHに立てて配置する。なお、基礎孔BHの内底面には、その表面が平坦かつ水平になるように下地コンクリートSBが設けられているので、支柱Pはほぼ鉛直状態に配置される。
支柱Pが基礎孔BHに立てて配置されると、基礎孔BHにコンクリートが打設される。すると、コンクリート基礎BCが形成され、このコンクリート基礎BCに支柱Pの基端部とともに本実施形態の基礎部材1が埋設される。なお、コンクリート基礎BCが打設されると、通常は、地面Gおよびコンクリート基礎BCを隠すように土間コンクリートDが打設される。
上記のように、本実施形態の基礎部材1では配筋部材3が軸材を曲げて形成されており、かつ、支柱Pと配筋部材3との間に隙間があることで、基礎孔BHにコンクリートを打設したときに、コンクリートが流入する際の障害となりにくい。すると、基礎孔BH内に空隙などができないようにコンクリートを打設できるので、コンクリート基礎BCを適切に形成することができる。つまり、基礎孔BH内にコンクリートが十分に充填されたコンクリート基礎BCを形成することができる。
しかも、抵抗部材5の抵抗表面5fが支柱Pの軸方向と交差するように配置されているので、支柱Pを傾けたり引き抜いたりする力(図3の矢印F1〜F3の力)に対して、抵抗部材5が抵抗となる。具体的には、支柱Pに軸方向の力が加わっても、抵抗部材5がその力と直交する抵抗表面5fを有するので、支柱Pの軸方向に加わる力に対して抵抗部材5の抵抗表面5fが大きな抵抗となる。したがって、本実施形態の基礎部材1を支柱Pの基端部に取り付け支柱Pとともにコンクリート基礎BCに埋設すれば、コンクリート基礎BCに十分な支柱支持強度を発揮させることができる。
なお、本実施形態の基礎部材1では、抵抗部材5だけでなく固定部材2も支柱Pを傾ける力に対して抵抗となるので、コンクリート基礎BCに十分な支柱支持強度を発揮させやすくなる。つまり、支柱Pの側方から加わる力(図3の矢印F1、F3の力)に対して、固定部材2も抵抗として機能させることができる。地面Gに形成された基礎孔BHの中心から支柱Pを偏芯させて設置する場合には、基礎孔BHの中心から遠い側の側面(つまり偏芯側の側面、図2では右側の側面)に固定部材2を取り付ければ、支柱Pの側方から加わるF3の力に対して、固定部材2が抵抗として機能しやすくなる。
また、本実施形態の基礎部材1を支柱Pに取り付ける場合は、抵抗部材5の一端(以下、抵抗部材5における抵抗板5bの下面5gという場合がある)が支柱Pの基端部側の端縁(図1、図2では支柱Pの下端)とほぼ同一平面上に位置するように固定部材2を支柱Pに取り付けることが望ましい。かかる構成とすれば、支柱Pを立てる際に抵抗部材5を脚として機能させることができる。つまり、図2に示すように、支柱Pを基礎孔BHに仮設置した際に、支柱Pを安定して立てておくことができる。
(支柱Pを浮かして設置する例)
なお、本実施形態の基礎部材1を抵抗部材5における抵抗板5bの下面5gが支柱Pの基端部側の端縁(以下、支柱Pの下端という場合がある)とほぼ同一平面上に位置するように支柱Pに取り付けた場合、支柱Pの下端は基礎孔BHの内底面に接触するように配置される。この場合、支柱Pは安定して立てておくことができるが、支柱Pの下端におけるコンクリートのかぶりが少なくなる。
しかし、本実施形態の基礎部材1を使用した場合、支柱Pの下端を基礎孔BHの内底面から浮かすことによって、支柱Pの下端に充填されるコンクリートの量(いわゆるかぶり)を多くすることができる。
具体的には、図6に示すように、抵抗部材5における抵抗板5bの下面5gと固定部材2の一端(以下、固定部材2の下端という場合がある)とが同一平面上に位置するように、固定部材を支柱Pに取り付ける。しかも、抵抗部材5における抵抗板5bの下面5gおよび固定部材2の下端が支柱Pの下端から突出した状態になるようにする。このように本実施形態の基礎部材1を支柱Pに取り付け、抵抗部材5における抵抗板5bの下面5gと固定部材2の下端を基礎孔BHの内底面に接触させれば、下端を基礎孔BHの内底面から浮かした状態で支柱Pを立てることができる。すると、支柱Pの下端と基礎孔BHの内底面との間に隙間BSが形成され、その部分にコンクリートを流入させることができるので、支柱Pの下端におけるコンクリートのかぶりを多くすることができる。そのため、コンクリート基礎BCの強度を高くすることができる。なお、本実施形態の基礎部材1によって支柱Pの下端を浮かせる場合、浮かせる高さが支柱Pの幅以上となっていることが望ましい。例えば、支柱Pが100mm×160mmの断面を有する場合には、支柱Pの下端を浮かせる高さを160mm以上とすれば十分なかぶりを設けることができる。
(抵抗部材5について)
抵抗部材5は、配筋部材3に取り付けた際に、抵抗表面5fを有する抵抗板5bが上記のごとき機能を発揮するようになっていればよく、固定板5aと抵抗板5bとの連結の方法はとくに限定されない。例えば、上述のとおり、一枚の板材を曲げて断面L字状に形成したものでもよいし、2枚の板材を溶接やボルト止め等の公知の方法で連結して断面L字状に形成してもよい。
また、抵抗部材5の断面形状も、断面L字状に限られない。例えば、抵抗板5bを固定板5aの上下方向の中間に設けて断面略T字状の抵抗部材5としてもよい。
また、抵抗部材5は、鉄やステンレス等で形成されたものを使用できるが、その素材はとくに限定されない。しかし、強度やコンクリートとの親和性の点では、鉄製の抵抗部材5が好ましい。
抵抗部材5は、抵抗板5bを固定板5aの下端だけでなく、固定板5aの上端に設けてもよい(図5(A)の抵抗部材5A参照)。つまり、抵抗部材5として、固定板5aと一対の抵抗板5b,5bによって断面が略コ字状に形成されたものを使用してもよい。かかる構造の抵抗部材5Aでも、上述した断面L字状の抵抗部材5と同等の機能を発揮させることができる。
さらに、抵抗部材5は、下方の配筋部材3に取り付けると、抵抗部材5の一端(抵抗部材5の下端)が固定部材2の一端(固定部材2の下端)とほぼ同一平面上に位置するように形成されていることが望ましい(図1(B)、図2(B)参照)。かかる構成の場合、抵抗部材5の下端が支柱Pの基端部側の端縁(支柱Pの下端)とほぼ同一平面上に位置するように本実施形態の基礎部材1を支柱Pに取り付ければ、固定部材2の下端、支柱Pの下端、抵抗部材5の下端をほぼ同一平面上に配置することができる。すると、支柱Pを基礎孔BHに仮設置した際に、より安定した状態で支柱Pを立てておくことができる。例えば、図1に示すような断面L字状の抵抗部材5の場合、抵抗部材5の下端(抵抗板5bの下面5g)が固定部材2の下端とほぼ同一平面上に位置するようにすればよい。とくに、抵抗板5bの下面5gが基礎孔BHの内底面を面接触するようにすれば、支柱Pを立てた際の安定性を高くできる。
なお、抵抗部材5を連結する配筋部材3は、最下段の配筋部材3に限られない。つまり、抵抗部材5の一端が支柱Pの下端と同じ高さでなく、かつ、基礎孔BHの内底面に接触してない状態としてもよい。この場合には、抵抗部材5は脚としては機能しないが、支柱Pの軸方向に加わる力に対する抵抗として機能させることはできる(図5(A)参照)。
そして、抵抗部材5を支柱Pの軸方向に加わる力に対する抵抗として機能させるだけであれば、抵抗部材5は単なる板状の部材で形成してもよい。例えば、図5(B)に示すように、板状の抵抗部材5pであっても、その抵抗表面5fが支柱Pの軸方向と交差するように配設されていれば、抵抗部材5を支柱Pの軸方向に加わる力に対する抵抗として機能させることができる。
なお、抵抗部材5は、鉄やステンレス等で形成されたものを使用できるが、その素材はとくに限定されない。しかし、強度やコンクリートとの親和性の点では、鉄製の抵抗部材5が好ましい。
また、上記説明では、抵抗部材5が板状の部材で形成されている場合を説明した。しかし、抵抗部材5は、その全体またはその一部が板状でなくてもよい。その場合でも、上述したような抵抗表面を有するようになっていれば、板状の部材で形成された抵抗部材5と同様に、支柱Pの軸方向に加わる力に対する抵抗として機能させることはできる。
(固定部材2について)
上記例では、固定部材2として、対向面2aに支柱Pを配置する凹み部2sを有する場合を説明したが、対向面2aに凹み部2sは必ずしも設けなくてもよい。固定部材2として、凹み部2sを設けない部材、つまり、単なる平板を固定部材2として使用してもよい。しかし、固定部材2として、対向面2aに凹み部2sを設けた部材を使用すれば、固定部材2を支柱Pに安定して連結でき、かつ、対向面2aと基礎孔BHの内面との間の隙間に充填されるコンクリートの量(かぶり)を多くできるので、コンクリート基礎BCに支柱Pの基端部を埋設した際に、コンクリート基礎BCに十分な支柱支持強度を発揮させやすくなる。
また、固定部材2の幅(図1では、左右方向の長さ)は支柱Pの幅よりも広くなっていればよく、固定部材2の幅はとくに限定されない。固定部材2の幅が支柱Pの幅よりも広ければ、固定部材2において支柱Pからはみ出している部分を支柱Pに加わる力に対する抵抗として機能させることができるという利点が得られる。一方、固定部材2の幅が広すぎると、基礎部材1が支柱Pの設置に際して邪魔になる場合がある。したがって、固定部材2の幅は、支柱Pの幅に対して約1.5〜5倍程度が望ましい。例えば、支柱Pの幅100mmであれば、固定部材の幅300mm程度とすれば、固定部材2を支柱Pに加わる力に対する抵抗として機能させつつ、基礎部材1が支柱Pの設置に際して邪魔になることがない。
さらに、固定部材2は板材に限られずブロック状でもよい。つまり、固定部材2は、支柱Pに固定でき、配筋部材3を連結できるような構成を有していればよい。しかし、固定部材2を板材とすれば、基礎孔BHに埋設されるコンクリートの量を多くできる。とくに、基礎孔BHに対して支柱Pを偏芯させた場合、偏芯させた側において、固定部材2と基礎孔BHの内面との間の隙間(図2のKSの部分)に充填されるコンクリートの量(いわゆるかぶり)を多くできる。すると、基礎孔BHに対して支柱Pを偏芯させた場合でも、コンクリート基礎BCに十分な支柱支持強度を発揮させやすくなる。
なお、固定部材2は、鉄やステンレス等で形成されたものを使用できるが、その素材はとくに限定されない。しかし、強度やコンクリートとの親和性の点では、鉄製の固定部材2が好ましい。
(配筋部材3について)
上記例では、配筋部材3が2本の場合を説明したが、配筋部材3を設ける本数はとくに限定されない。1本でもよいし、3本以上でもよい。
また、配筋部材3の太さもとくに限定されず、一般的な構造配筋に使用される鉄筋と同等程度の太さ(6〜16mm)とすることができる。例えば、配筋部材3として、12mmの鉄筋を曲げて形成したものを使用することもできる。また、市販されている適切な軸径や大きさのUボルトを使用することもできる。
さらに、上記例では、配筋部材3がU字状、つまり、一対の平行な軸部とその軸部の端部間に位置する弧状の曲線部と、を有する形状とした場合を説明した。しかし、配筋部材3の形状はとくに限定されず、配筋部材3と固定部材2との間に支柱Pを配置することができ、かつ、支柱Pと配筋部材3との間に隙間が形成できる構造を有していればよい。例えば、一対の平行な軸部とその軸部の端部間を繋ぐ直線状の軸部とからなる略コの字状の配筋部材3を使用することができる。また、配筋部材3全体が弧状となったものを使用することもできる。
なお、配筋部材3は、鉄やステンレス等で形成された棒材や軸材を使用できるが、その素材はとくに限定されない。しかし、強度やコンクリートとの親和性の点では、鉄製の配筋部材3が好ましい。
(構造配筋20を備えた基礎部材1)
また、図4に示すように、基礎部材1は、配筋部材3に連結してコンクリート基礎BCに埋設される構造配筋20を備えていてもよい。例えば、鉄筋が格子状に組み合わされた構造配筋20を配筋部材3と連結して配置し、この構造配筋20を基礎部材1とともにコンクリート基礎BCに埋設する。すると、基礎部材1だけでなく構造配筋20もコンクリート基礎BCと支柱Pとを連結する機能を発揮するので、コンクリート基礎BCと支柱Pとの結合が強くなる。しかも、支柱Pに加わる力をコンクリート基礎BCに均一に加えることができるので、コンクリート基礎BCに十分な支柱支持強度を発揮させることができる。
なお、構造配筋20の鉄筋間の隙間や鉄筋の密度はとくに限定されない。コンクリートを打設する際に、コンクリートの流れが悪くならない程度の密度であればよい。つまり、コンクリートを打設してコンクリートが固化した際に、コンクリート基礎BCに空洞などが形成されないように構造配筋20が構成されていればよい。
(他の実施形態の基礎部材1)
上記例では、抵抗部材5が脚のように機能する場合を説明したが、配筋部材3を屈曲して、屈曲した部分を脚のように機能させてもよい(図5(C))。この場合でも、図3における矢印F3の方向への力が加わった際には、支柱Pを支持する脚として配筋部材3が機能するので、コンクリート基礎BCによる支柱支持強度を高くすることができる。
本発明の基礎部材は、車庫やテラス、駐輪場、バス停、遊歩道等に設置される雨除け構築物等の支柱とコンクリート基礎との結合強度を高くする部材として適している。
1 基礎部材
2 固定部材
3 配筋部材
3h 収容空間
5 抵抗部材
5a 固定板
5b 抵抗板
5f 抵抗表面
20 構造配筋
C 車庫
P 支柱
R 屋根部材
BC コンクリート基礎
BH 基礎孔

Claims (6)

  1. 支柱の基端部に取り付けられて該支柱の基端部とともにコンクリート基礎に埋設される基礎部材であって、
    前記支柱の側面に取り付けられる固定部材と、
    該固定部材に両端が連結され、該固定部材との間に前記支柱を配置し得る収容空間が形成されるように両端間で曲げられた軸状の配筋部材と、
    該配筋部材に取り付けられた抵抗部材と、を備えており、
    該抵抗部材は、
    コンクリート基礎に埋設された状態において、前記支柱の軸方向に加わる力に対して抵抗となる抵抗表面を有し、該抵抗表面が前記支柱の軸方向と交差するように配置されており、
    該抵抗部材が、
    前記配筋部材に連結される固定板と、
    該固定板と連結されている前記抵抗表面を有する抵抗板と、を有する部材である
    ことを特徴とする基礎部材。
  2. 前記抵抗部材が、
    一枚の板材から形成された断面L字状の部材である
    ことを特徴とする請求項1記載の基礎部材。
  3. 前記抵抗部材の一端が前記支柱の基端部側の端縁と同一平面上に位置するように、前記固定部材が前記支柱に取り付けられる
    ことを特徴とする請求項1または2記載の基礎部材。
  4. 前記抵抗部材の一端が前記固定部材の一端と同一平面上に位置し、かつ、前記抵抗部材の一端および前記固定部材の一端が前記支柱の基端部側の端縁よりも突出した状態となるように、前記固定部材が前記支柱に取り付けられる
    ことを特徴とする請求項1または2記載の基礎部材。
  5. 前記配筋部材を複数本備えている
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の基礎部材。
  6. 前記配筋部材に連結される構造配筋を備えている
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の基礎部材。
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