JP6796229B1 - カチオン電着塗料の塗装方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、低温での反応性を高めた電着塗料組成物では、長期の貯蔵安定性(浴安定性)が不十分となり、その結果、塗膜の仕上がり性や防食性などが劣る場合がある。
しかしながら、基体樹脂の塗料及び塗装と、硬化剤の塗料及び塗装とを分けることで塗料の貯蔵安定性(浴安定性)は改善されるものの、塗膜内に硬化剤が均一に存在しない場合があることから防食性などが劣ることがある。また、塗装工程や洗浄工程などの工程が増えるため、既存の設備では対応できず、新たに設備を増設する必要がある。
<複素粘度の測定方法>
カチオン電着塗料を電着塗装して得られた未架橋の塗膜をヘラでかきとり、回転式レオメータを用いて、未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する温度で複素粘度を測定する。
本発明において、「化合物」とは、モノマー、オリゴマー、ポリマー(樹脂)などを含んだ総称である。
本発明において、「架橋」とは、化学反応により化合物同士又は化合物内において橋架け構造を形成する反応であり、例えば、縮合反応、付加反応、重合反応、重付加反応、エステル交換反応などそれ自体既知のものを特に制限なく用いることができる。
以下、本発明に関して詳細に述べる。
乾燥及び架橋の工程は、同時に進行することもあるが、乾燥(水性溶媒の蒸発)がある程度進むにつれ架橋が起こることが一般的である。また、本発明の架橋は一部架橋及び全部架橋を含むものである。
この架橋反応が起こる前の塗着塗膜の「複素粘度」が1Pa以上500Pa以下の範囲内であることが好適である。
複素粘度の測定方法としては、下記の方法で行うことができる。
なお、本発明において、塗着塗料とは、電着塗装及び水洗した後で且つ乾燥及び架橋工程を行う前の未乾燥及び未架橋の塗膜のことであり、下記の測定は水洗1分後の測定値である。
カチオン電着塗装及び水洗を行った未架橋の塗膜をヘラでかきとり、回転式レオメータ(HAAKE社製RS150)を用いて、乾燥及び架橋を行う温度で複素粘度を測定した。
複素粘度が上記の範囲内に入ることで、低温架橋の塗装方法であっても垂直面の仕上がり性(タレ性)と水平面の仕上がり性(平滑性)のバランスが取ることができる。
電磁誘導加熱を用いた場合、塗装物表面の温度は上記と同じ温度(通常10℃以上120℃以下、好ましくは10℃以上100℃以下、より好ましくは10℃以上80℃以下、特に好ましくは10℃以上60℃以下)であるが、焼き付け時間としては、通常1分間以上15分間以下、好ましくは1分間以上12分間以下、より好ましくは1分間以上9分間以下である。
本発明の塗装方法に用いられるカチオン電着塗料は、樹脂(A)を含有することが好ましい。樹脂(A)としては、例えば、カチオン性官能基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂などの樹脂を好適に含有することができ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができ、なかでも、防食性の観点からエポキシ樹脂(A−1)が好ましい。
エポキシ樹脂(A−1)としては、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)が好ましく、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)の塗料中の含有量としては、樹脂固形分当たり20質量%以上80質量%以下含有することが好ましく、30質量%以上70質量%以下含有することがより好ましい。
ウレタン化反応、マイケル付加反応、及びエポキシとチオールとの反応において、樹脂(A)とその他の化合物(B)の組み合わせとしては、下記表1の組み合わせが好適である。
(注1)活性水素基:1級アミノ基、2級アミノ基、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性官能基
(注2)活性水素基(ドナー成分):1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基、活性メチレン基、及びチオール基(メルカプト基)からなる群より選ばれる少なくとも1種の活性水素基
(注3)α,β−不飽和カルボニル基(アクセプター成分):(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、マレイン酸化合物の不飽和カルボニル基、フマル酸化合物の不飽和カルボニル基、及びイタコン酸化合物の不飽和カルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種のα,β−不飽和カルボニル基
エポキシ樹脂(A−1)としては、1分子中にエポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する樹脂であり、その分子量は、少なくとも300、好ましくは400〜4,000、さらに好ましくは800〜2,500の範囲内の数平均分子量及び少なくとも160、好ましくは180〜2,500、さらに好ましくは400〜1,500の範囲内のエポキシ当量を有するものが適している。かかるエポキシ樹脂としては、例えば、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリン(例えば、エピクロルヒドリン等)との反応によって得られるものを使用することができる。
また、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂としては、中でも、ビスフェノールAから誘導される下記式(1)の樹脂が好適である。
ポリアルキレンオキシド鎖中のアルキレン基としては、炭素数が2〜8のアルキレン基が好ましく、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基がより好ましく、プロピレン基が特に好ましい。
アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)は、例えば、エポキシ樹脂(A−1)にアミノ基を付加することで得ることができる。
エポキシ樹脂(A−1)にアミノ基が付加された化合物としては、例えば、(1)エポキシ樹脂と第1級モノ−及びポリアミン、第2級モノ−及びポリアミン又は第1、2級混合ポリアミンとの付加物(例えば、米国特許第3,984,299号明細書参照);(2)エポキシ樹脂とケチミン化された第1級アミノ基を有する第2級モノ−及びポリアミンとの付加物(例えば、米国特許第4,017,438号 明細書参照);(3)エポキシ樹脂とケチミン化された第1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物とのエーテル化により得られる反応物(例えば、特開昭59−43013号公報参照)等を挙げることができる。なお、1個のエポキシ基との1個のアミノ基(1級又は2級)が反応した場合、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)は、エポキシ基より1個の水酸基を含有することになる。また、水酸基含有の1級又は2級アミノ基含有化合物を反応させた場合においてもアミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)は、エポキシ基由来以外の水酸基を含有することができる。
(1A)活性水素基〔1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基〕に関しては、前述したアミノ基を付加する方法でアミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)に1級アミノ基、2級アミノ基及び/又は水酸基を含有せしめることができる。また、水酸基及びカルボキシル基を有する化合物とエポキシ樹脂(A−1)とを反応させることで水酸基を含有せしめることができる。
なお、本明細書におけるアミン価は、JIS K 7237−1995に準じて測定する。全て樹脂固形分当たりのアミン価(mgKOH/g)である。
その他の化合物(B)は、樹脂(A)の官能基と架橋反応をする反応性官能基を有する化合物(B−1)を含有することが好ましい。
反応性官能基を有する化合物(B−1)の反応性官能基としては、表1に記載した官能基(1B)〜(5B)を好適に用いることができ、化合物(B−1)としては、例えば、下記化合物が挙げられる。
上記活性水素基含有アクリルモノマーとしては、例えば、2−エトキシマロニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−シアノアセトキシエチル(メタ)アクリレート、N−(2−シアノアセトキシエチル)アクリルアミド、N−(2−プロピオニルアセトキシブチル)アクリルアミド、N−(4−アセトアセトキシメチルベンジル)アクリルアミド、N−(2−アセトアセチルアミノエチル)アクリルアミド、2−(N−アセトアセチルアミノエチル)(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、分子末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
反応触媒(C)としては、上記架橋反応の触媒としてそれ自体既知のものを特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、亜鉛化合物、ビスマス化合物、有機錫化合物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、第4級アンモニウム化合物、3級アミン化合物、グアニジン化合物、アミジン化合物、3級ホスフィン化合物、フォスファゼン化合物、3級スルホニウム化合物、4級ホスホニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
また、塩基性触媒としては、塗料の仕上がり性及び塗膜の耐水性の観点から、分子量が100以上の化合物であることが好ましく、200以上の化合物であることがより好ましく、300以上の化合物であることが更に好ましい。
顔料分散ペーストの顔料配合量は、カチオン電着塗料の樹脂固形分100質量部あたり、1質量部以上100質量部以下、特に10質量部以上50質量部以下の範囲内が好ましい。
上記のように金属被塗物を電着塗装した後、さらに電着塗膜の一部または全部に上塗り塗料を塗装することが好ましい。上塗り塗料としては、例えば、中塗り塗料、ベース塗料、及びクリヤー塗料を順次塗装し、焼付硬化する工程が好ましい。本発明の塗装方法による電着塗膜において、もし未架橋部分があったとしても上塗り塗料の焼付硬化工程により、完全架橋することができる。
被塗物にカチオン電着塗料を電着塗装した後、任意選択で30℃以上100℃以下のプレヒートを実施し、第2のカチオン電着塗料を乾燥膜厚5μm以上40μm以下(好ましくは10μm以上30μm以下)で電着塗装することで、厚塗り、及びつき回り性が向上し、優れた防食性を有する塗膜が得られる。また、カチオン電着塗料の塗装後に高温(121℃以上)の焼付をすることなく第2のカチオン電着塗料の塗装をするため、2コート2ベーク型の複層電着塗装と比べてエネルギーコストを削減できる。そして、さらなるエネルギーコスト削減の観点から、プレヒート(加熱乾燥)は低温かつ短時間であることが好ましく、プレヒートしないことがより好ましい。
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER828EL(商品名、三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)1000部に、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量700になるまで反応させた。次に、ジエタノールアミン126部及びジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物160部を加え、120℃で4時間反応させた後、必要に応じてエチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂(A1)溶液を得た。得られたアミノ基含有エポキシ樹脂(A1)は、アミン価100mgKOH/g、数平均分子量1650であった。
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER1001(商品名、三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量475、数平均分子量950)950部、ジエタノールアミン126部、ジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物160部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、120℃で4時間反応させた後、必要に応じてエチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂(A2)溶液を得た。得られたアミノ基含有エポキシ樹脂(A2)は、アミン価136mgKOH/g、数平均分子量1200であった。
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、式(1)のエポキシ樹脂(n=約1.0、エポキシ当量320、数平均分子量640)640部、ジエタノールアミン126部、ジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物160部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、120℃で4時間反応させた後、必要に応じてエチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂(A3)溶液を得た。得られたアミノ基含有エポキシ樹脂(A3)は、アミン価180mgKOH/g、数平均分子量900であった。
加熱装置、攪拌機、窒素導入管及び分留塔を有する反応装置に、アジピン酸146部、トリメチロールプロパン136.5部を仕込み、乾燥窒素下で加熱を開始し、230℃まで徐々に昇温してエステル化反応を行った。230℃を保持し、樹脂酸価2mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を行った後、170℃まで冷却し、必要に応じてエチレングリコールモノブチルエーテルを加えて、樹脂固形分80質量%のポリエステルポリオール(A4)溶液を得た。得られたポリエステルポリオール(A4)は、樹脂固形分の酸価2mgKOH/g、水酸基価376mgKOH/g、数平均分子量900であった。
攪拌機、加熱装置、冷却装置、減圧装置を備えた4つ口フラスコに、「スミジュールN3300」(商品名、住化バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネート由来のイソシアヌレート構造含有ポリイソシアネート)250部及びメチルエチルケトン125部を仕込み、30℃に加熱した。次いで、3,5−ジメチルピラゾール126部を攪拌しながら2時間かけて徐々に添加し、攪拌下、その反応混合物を赤外分光法によって、遊離のイソシアネート基が検出されなくなるまで30℃にて反応させた。更に必要に応じてメチルイソブチルケトンを加えて固形分70%のブロック化ポリイソシアネート化合物(B1)を得た。得られたピラゾールブロックのブロック化ポリイソシアネート化合物のNCO量は14.4%、重量平均分子量は800であった。なお、本明細書において、NCO量は、樹脂固形分100質量部に対するNCO基の量(%)を意味する。
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER828EL(商品名、三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)370部、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン230部、イソブチルメチルケトン500部を加え、120℃に昇温し、5時間反応させた。その後、必要に応じてイソブチルメチルケトンを加えて、固形分50%のエポキシ樹脂付加アミン触媒溶液を得た。
フラスコにトリレンジイシシアネート(TDI)696部、メチルイソブチルケトオキシム(MIBK)304部を加えて60℃に昇温し、2エチルヘキシルアルコール520部を滴下し、NCO価110.5になるまで反応させ、樹脂固形分80%の部分ブロックイソシアネートAを得た。
次に、この部分ブロックイソシアネートA 380部に、70℃でジメチルエタノールアミン89部を滴下し、実質的にNCOが無くなるまで反応させ、エチレングリコールモノブチルエーテル34.75部で希釈した後、90%の乳酸100部で中和して80%の乳酸中和アミノ基含有ブロックイソシアネートBを得た。
別のフラスコに、jER828EL(商品名、三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)1125部、ビスフェノールA 456部及びトリフェニルホスホニュウムアイオダイト1.1部を加え、170℃でエポキシ当量790になるまで反応させたのち、MIBK279部で希釈し、ついで上記部分ブロックイソシアネートA760部を加え実質的にNCOが無くなるまで100℃で反応させた。
次いでエチレングリコールモノブチルエーテル630部を加えて80℃まで冷却し、80%の乳酸中和アミノ基含有ブロックイソシアネートB 860部を加え、酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させた後、必要に応じてプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて、固形分60%の4級アンモニウム塩基を含有する顔料分散用樹脂溶液を得た。
製造例7の顔料分散用樹脂溶液8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー9.0部、カーボンブラック0.3部、及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にメトキシプロパノール30部及びイソブタノール30部を入れ、100℃で加熱し、エチルアクリレート30部、n−ブチルアクリレート60部、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩10部、イソブタノール10部、t−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物を4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソブタノール10部からなる混合物を1時間滴下した。次いで1時間攪拌熟成した後、必要に応じてプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて、固形分濃度50%の4級塩型乳化剤を得た。重量平均分子量は10,000であった。
製造例1で得られたアミノ基含有エポキシ樹脂(A1)溶液62.5部(固形分50部)、製造例4で得られたポリエステルポリオール(A4)溶液37.5部(固形分30部)、製造例6のエポキシ樹脂付加アミン触媒溶液10.6部(固形分5.3部)、及び10%ギ酸3.2部を配合し、均一に攪拌した後、強く攪拌しながら脱イオン水を徐々に滴下し、固形分32%のエマルション粒子Aを得た。
続いて製造例5で得られたブロック化ポリイソシアネート化合物(B1)28.5部(固形分20部)及び製造例9で得られた4級塩型乳化剤を、その他の化合物(B)〔化合物(B1)〕に対して固形分で5%配合し、強く攪拌しながら脱イオン水を徐々に滴下し、固形分32%のエマルション粒子Bを得た。
上記のエマルション粒子A、エマルション粒子B、製造例8で得られた55%の顔料分散ペースト52.4部(固形分28.8部)、及び脱イオン水を徐々に加え、固形分20%のカチオン電着塗料(X−1)を得た。
塗料配合を下記表2及び表3とした以外は全て製造例10と同様にしてカチオン電着塗料(X−2)〜(X−30)を調製した。
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL(商品名、ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量350)1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、ジエタノールアミン160部及びジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物65部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル480gを加え、固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂(A4)溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂(A4)は、アミン価59mgKOH/g、数平均分子量2100であった。
反応容器中に、コスモネートM−200(商品名、三井化学社製、クルードMDI)270部及びメチルイソブチルケトン127部を加え70℃に昇温した。この中にエチレングリコールモノブチルエーテル236部を1時間かけて滴下して加え、その後、100℃に昇温し、この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネート基の吸収がなくなったことを確認し、更にメチルイソブチルケトンを加えて樹脂固形分70%のブロックイソシアネート硬化剤(B2)を得た。得られた、アルコール系化合物をブロック剤とするブロックイソシアネート硬化剤(B2)のNCO量は16.7%であった。
製造例7で得た固形分60%の4級アンモニウム塩基を含有する顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー6部、カーボンブラック0.3部、水酸化ビスマス3部、及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストNo.2を得た。
製造例40で得られたアミノ基含有エポキシ樹脂(A4)87.5部(固形分70部)、製造例41で得られたブロック化ポリイソシアネート化合物(B2)37.5部(固形分30部)を混合し、さらに10%酢酸13部を配合して均一に攪拌した後、脱イオン水を強く攪拌しながら約15分間を要して滴下して固形分34%のエマルションを得た。
次に、上記エマルション294部(固形分100部)、製造例42で得た顔料分散ペーストNo.2 52.4部、脱イオン水350部を加え、固形分20%のカチオン電着塗料(X−31)を製造した。
(注4)「jER828EL」:商品名、三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370
(注5)「イミダゾール化合物」:2,4−ジアミノ−6−[2‘−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−S−トリアジン(四国化成製)
以下、カチオン電着塗装を1回行った場合の実施例及び比較例について説明する。
[実施例1 カチオン電着塗料の塗装方法(Y−1)]
化成処理(商品名、パルボンド#3020、日本パーカライジング社製、リン酸亜鉛処理剤)を施した冷延鋼板(150mm(縦)×70mm(横)×0.8mm(厚))を被塗物として、製造例10で得られたカチオン電着塗料(X−1)を固形分濃度が20%となるように調整し、浴温28℃、負荷電圧250V、180秒(30秒にて昇電圧)の条件で乾燥膜厚15μmとなるように電着塗装及び水洗をして、35℃と70℃と110℃の温度でそれぞれ20分間加熱乾燥(架橋)した場合の電着塗装板を得た。それぞれ被塗物を、水平方向に設置した場合と垂直方向に設置した場合について、後述する方法で、複素粘度の測定と仕上がり性(水平、垂直)を評価した。評価結果を下記表4及び5に示す。
仕上がり性(水平、垂直)の評価としては、S〜Bが合格であり、Cが不合格である。
下記表4及び5とした以外は、実施例1と同様にしてカチオン電着塗装を行った。
また、上記実施例1〜25の塗装方法で得られた電着塗膜上に下記の工程で上塗り塗料を塗装し、良好な仕上がり性の複層塗膜が得られることを確認した。
実施例及び比較例で行ったカチオン電着塗装の後、水洗をして得られた未乾燥及び未架橋の塗膜をヘラでかきとり、回転式レオメータ(HAAKE社製RS150)を用いて、35℃、70℃、及び110℃の温度で、それぞれ複素粘度を測定した。なお、測定は塗装後1分後に行った。
表中のI〜VIの記号は下記の通りである。
I:複素粘度が200Pa以上500Pa以下
II:複素粘度が100Pa以上200Pa未満
III:複素粘度が10Pa以上100Pa未満
IV:複素粘度が1以上10Pa未満
V:複素粘度が1Pa未満
VI:複素粘度が500Pa超え
実施例及び比較例において、試験板を水平状態にして、加熱乾燥(35℃、70℃、及び110℃でそれぞれ加熱乾燥した場合について、試験板の塗面の表面粗度値(Ra)を表面粗度計(商品名「サーフテスト301」、株式会社ミツトヨ製)を用いて、カットオフ0.8mmにて測定し、以下の基準で評価した。
評価は、S〜Bが合格であり、Cが不合格である。
S:表面粗度値(Ra)が0.2未満
A:表面粗度値(Ra)が0.2以上0.25未満
B:表面粗度値(Ra)が0.25以上0.3未満
C:表面粗度値(Ra)が0.3以上
実施例及び比較例において、試験板を垂直状態にして、加熱乾燥(35℃、70℃及び110℃でそれぞれ加熱乾燥した場合について、試験板の塗面の表面粗度値(Ra)を、表面粗度計(商品名「サーフテスト301」、株式会社ミツトヨ製)を用いて、カットオフ2.5mmにて測定し、以下の基準で評価した。
評価は、S〜Bが合格であり、Cが不合格である。
S:表面粗度値(Ra)が0.2未満
A:表面粗度値(Ra)が0.2以上0.25未満
B:表面粗度値(Ra)が0.25以上0.3未満
C:表面粗度値(Ra)が0.3以上
以下に、カチオン電着塗料を用いてカチオン電着塗装した後、さらに第2のカチオン電着塗料を電着塗装し、120℃より高い温度で加熱硬化して、塗膜を形成する場合について説明する。
(カチオン電着塗装)
化成処理(商品名、パルボンド#3020、日本パーカライジング社製、リン酸亜鉛処理剤)を施した冷延鋼板(150mm(縦)×70mm(横)×0.8mm(厚))を被塗物として、製造例10で得られたカチオン電着塗料(X−1)を固形分濃度が20%となるように調整し、浴温28℃、負荷電圧250V、180秒(30秒にて昇電圧)の条件で乾燥膜厚15μmとなるように電着塗装及び水洗をした。その後、加熱乾燥なし(雰囲気温度25℃)1枚と、70℃及び110℃で20分間加熱乾燥(架橋)した2枚の合計3枚の電着塗装板を得た。
続いて、製造例43で得られたカチオン電着塗料(X−31)(第2のカチオン電着塗料)を固形分濃度が20%となるように調整し、浴温28℃、負荷電圧250V、180秒(30秒にて昇電圧)の条件で乾燥膜厚15μmとなるように電着塗装及び水洗をして、170℃の温度で20分間加熱乾燥(架橋)して、複層膜の電着塗装板を得た。
下記表8及び9に示すようにした以外は、実施例26と同様にしてカチオン電着塗装を行った。
なお、上記実施例における塗装方法(Z−1)〜(Z−25)に関して、第一のカチオン電着塗料(X−1)〜(X−25)を塗装後、加熱乾燥なし(25℃)の場合の複素粘度を測定したが、実施例1〜25で測定した乾燥温度35℃の評価区分(I〜VI)と同じであった。
上記実施例1から50について、カチオン電着塗装後、及び第2のカチオン電着塗装後の電着塗装膜の防食性の評価を行った。実施例1から25を、表6及び表7に示し、実施例26から50を、表8及び表9に示す。
なお、表6及び表7の実施例1から25の防食性の評価について、表中に、塗装方法を前出のY−1〜Y−25と記載しているが、これらは、上記実施例26から50におけるカチオン電着塗装後に評価したものであるので、加熱乾燥温度「35℃」の水準は、「加熱乾燥なし(25℃)」の水準と記載している。
評価は、A及びBが合格であり、Cが不合格である。
A:錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で1.0mm以下
B:錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で1.0mmを超え、かつ5.0mm以下
C:錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で5.0mmを超える
Claims (16)
- カチオン電着塗料の塗装方法であって、
第1のカチオン電着塗料を電着塗装して未架橋の塗膜を形成し、前記未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する工程を有し、
前記第1のカチオン電着塗料が、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)を含む樹脂(A)と、前記樹脂(A)と10℃以上120℃以下の温度で架橋反応を行うその他の化合物(B)とを含有し、
前記未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する温度が、10℃以上120℃以下であり、
下記方法で測定される塗着塗料の複素粘度が、1Pa以上500Pa以下であるカチオン電着塗料の塗装方法。
<複素粘度の測定方法>
前記カチオン電着塗料を電着塗装して得られた前記未架橋の塗膜をヘラでかきとり、回転式レオメータを用いて、前記未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する温度で複素粘度を測定する。 - 前記カチオン電着塗料中に、前記アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)を樹脂固形分当たり20質量%以上80質量%以下含有し、
前記アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)の数平均分子量が、800以上である請求項1に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。 - 前記カチオン電着塗料が、前記その他の化合物(B)を樹脂固形分当たり5質量%以上80質量%以下含有する請求項2に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記その他の化合物(B)が、反応性官能基を有する化合物(B−1)を含有する請求項3に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記その他の化合物(B)の重量平均分子量が、1000未満である請求項3又は4に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記その他の化合物(B)の重量平均分子量が、100以上である請求項3〜5のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記樹脂(A)成分及び前記その他の化合物(B)成分が、前記カチオン電着塗料中に別々の水分散体として存在する請求項3から6のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記カチオン電着塗料の架橋反応が、マイケル付加反応、エポキシ基とチオール基との反応、及びアニオン重合反応から選ばれる少なくとも1種である請求項1から7のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記カチオン電着塗料が、さらに、反応触媒(C)を含有する請求項1から8のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記反応触媒(C)が、マイクロカプセル化触媒(C−1)である請求項9に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記樹脂(A)及び前記その他の化合物(B)が、前記カチオン電着塗料中に別々の水分散として存在し、前記樹脂(A)及び前記その他の化合物(B)が、それぞれマイケル付加反応アクセプター成分及びマイケル付加反応ドナー成分、又は、マイケル付加反応ドナー成分及びマイケル付加反応アクセプター成分を含有するものであって、前記カチオン電着塗料の架橋反応が、マイケル付加反応を含む請求項3に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記カチオン電着塗料を電着塗料浴として、前記電着塗料浴に金属被塗物を浸漬し、電着塗装をした後、さらに第2のカチオン電着塗料を電着塗装し、次いで120℃より高い温度で加熱硬化せしめる請求項11に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記カチオン電着塗料を電着塗料浴として、前記電着塗料浴に金属被塗物を浸漬し、電着塗装する請求項1から10のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記カチオン電着塗料を電着塗料浴として、前記電着塗料浴に金属被塗物を浸漬し、電着塗装後、電磁誘導加熱により乾燥及び架橋せしめる請求項1から10のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記カチオン電着塗料の電着塗装をした後、さらに第2のカチオン電着塗料を電着塗装し、次いで120℃より高い温度で加熱硬化せしめる請求項13に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
- 前記カチオン電着塗料の電着塗装をした後、プレヒートをすることなく第2のカチオン電着塗料を電着塗装し、次いで120℃より高い温度で加熱硬化せしめる請求項13に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
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