JP6796229B1 - カチオン電着塗料の塗装方法 - Google Patents

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Abstract

カチオン電着塗料の塗装方法であって、カチオン電着塗料を電着塗装して未架橋の塗膜を形成し、未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する工程を有し、未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する温度が、10℃以上120℃以下であり、下記方法で測定される塗着塗料の複素粘度が、1Pa以上500Pa以下であるカチオン電着塗料の塗装方法。<複素粘度の測定方法>カチオン電着塗料を電着塗装して得られた未架橋の塗膜をヘラでかきとり、回転式レオメータを用いて、温度で複素粘度を測定する。

Description

本発明は、カチオン電着塗料の塗装方法に関する。
従来から、カチオン電着塗料は塗装作業性が優れ、形成した塗膜の防食性が良好なことから、これらの性能が要求される自動車部品、電気機器部品及びその他の工業用機器等に広く利用されている。
一般に、カチオン電着塗料組成物は、カチオン性樹脂(例えば、アミノ基含有エポキシ樹脂等)と硬化剤(架橋剤ともいう。例えば、ブロック化ポリイソシアネート化合物等)から成る樹脂成分を混合して水性媒体中で分散した樹脂エマルションの成分、および顔料分散樹脂で分散された顔料を含む顔料分散ペーストの成分の2成分を混合した形態で提供される。この塗料組成物を塗装浴に用い、被塗物を陰極、また対極を陽極として通電し、被塗物上に析出塗膜を形成させた後、該析出塗膜を加熱することによって、架橋硬化された塗膜が形成される。
上記の塗膜形成時の加熱は、通常、160℃より高い温度で行なっているが、エネルギーコスト削減のために、低温(10〜120℃、好ましくは10〜100℃、より好ましくは10〜80℃、特に好ましくは10〜60℃)で行なうことが求められてきている。これは、低温焼付けと呼ばれている。
上記低温焼付け(または常温乾燥での硬化)を行なうためには、低温硬化性のブロック化ポリイソシアネート化合物を硬化剤に用いることが一般的である。例えば、特許文献1には、オキシムでブロックされたイソシアネートを含むカチオン電着塗料を用いて低温硬化することが開示されている。また、特許文献2には、100〜160℃の低温焼付け型電着塗料が開示されており、オキシム系及びラクタム系でブロックされたブロック化ポリイソシアネート化合物が比較的低温で解離(反応)できると記載がある。さらに、特許文献3には、特定のブロックイソシアネート基を有する自己架橋樹脂を用いることで120℃以下の低温で硬化可能であり、カチオン電着塗料としても利用できることが開示されている。
しかしながら、低温での反応性を高めた電着塗料組成物では、長期の貯蔵安定性(浴安定性)が不十分となり、その結果、塗膜の仕上がり性や防食性などが劣る場合がある。
また、特許文献4には、基体樹脂(アミン付加エポキシ樹脂)の電着塗装をした後、水分散性を付与したブロック化ポリイソシアネート硬化剤の水分散体を電着塗装して、得られた塗膜を60〜150℃で加熱乾燥する低温焼付けの塗膜形成方法が開示されている。
しかしながら、基体樹脂の塗料及び塗装と、硬化剤の塗料及び塗装とを分けることで塗料の貯蔵安定性(浴安定性)は改善されるものの、塗膜内に硬化剤が均一に存在しない場合があることから防食性などが劣ることがある。また、塗装工程や洗浄工程などの工程が増えるため、既存の設備では対応できず、新たに設備を増設する必要がある。
特開平10−120947号公報 特開平7−300698号公報 特開平4−39322号公報 特開2004−27255号公報
本発明が解決しようとする課題は、貯蔵安定性、塗膜の低温硬化性、防食性及び仕上がり性(水平肌及び垂直肌)に優れたカチオン電着塗料組成物の塗装方法を提供することである。
発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、10〜120℃の温度で乾燥及び架橋工程を行うカチオン電着塗料の塗装方法であって、塗着塗料の複素粘度が1〜500Paの範囲内である塗装方法によって、上記課題の解決が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のカチオン電着塗料の塗装方法を提供するものである。
項1 カチオン電着塗料の塗装方法であって、カチオン電着塗料を電着塗装して未架橋の塗膜を形成し、未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する工程を有し、未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する温度が、10℃以上120℃以下であり、下記方法で測定される塗着塗料の複素粘度が、1Pa以上500Pa以下であるカチオン電着塗料の塗装方法である。
<複素粘度の測定方法>
カチオン電着塗料を電着塗装して得られた未架橋の塗膜をヘラでかきとり、回転式レオメータを用いて、未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する温度で複素粘度を測定する。
項2 項1に記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、カチオン電着塗料が、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)を含む樹脂(A)を含有し、カチオン電着塗料中に、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)を樹脂固形分当たり20質量%以上80質量%以下含有し、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)の数平均分子量が、800以上であることが好ましい。
項3 項2に記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、カチオン電着塗料は、さらに、その他の化合物(B)を樹脂固形分当たり5質量%以上80質量%以下含有することが好ましい。
項4 項3に記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、その他の化合物(B)は、反応性官能基を有する化合物(B−1)を含有することが好ましい。
項5 項3又は4に記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、その他の化合物(B)の重量平均分子量は、1000未満であることが好ましい。
項6 項3から5のいずれかに記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、その他の化合物(B)の重量平均分子量は、100以上であることが好ましい。
項7 項3から6のいずれかに記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、樹脂(A)成分及びその他の化合物(B)成分が、カチオン電着塗料中に別々の水分散体として存在することが好ましい。
項8 項1から7のいずれかに記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、カチオン電着塗料の架橋反応は、マイケル付加反応、エポキシ基とチオール基との反応、及びアニオン重合反応から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
項9 項1から8のいずれかに記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、カチオン電着塗料が、さらに、反応触媒(C)を含有することが好ましい。
項10 項9に記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、反応触媒(C)は、マイクロカプセル化触媒(C−1)であることが好ましい。
項11 項3に記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、樹脂(A)及びその他の化合物(B)は、カチオン電着塗料中に別々の水分散として存在し、樹脂(A)及びその他の化合物(B)は、それぞれマイケル付加反応アクセプター成分及びマイケル付加反応ドナー成分、又は、マイケル付加反応ドナー成分及びマイケル付加反応アクセプター成分を含有するものであって、カチオン電着塗料の架橋反応は、マイケル付加反応を含むことが好ましい。
項12 項11に記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、カチオン電着塗料を電着塗料浴として、電着塗料浴に金属被塗物を浸漬し、電着塗装をした後、さらに第2のカチオン電着塗料を電着塗装し、次いで120℃より高い温度で加熱硬化せしめることが好ましい。
項13 項1から10のいずれかに記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、カチオン電着塗料を電着塗料浴として、電着塗料浴に金属被塗物を浸漬し、電着塗装することが好ましい。
項14 項1から10のいずれかに記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、カチオン電着塗料を電着塗料浴として、電着塗料浴に金属被塗物を浸漬し、電着塗装後、電磁誘導加熱により乾燥及び架橋せしめることが好ましい。
項15 項13に記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、カチオン電着塗料の電着塗装をした後、さらに第2のカチオン電着塗料を電着塗装し、次いで120℃より高い温度で加熱硬化せしめることが好ましい。
項16 項13に記載のカチオン電着塗料の塗装方法において、カチオン電着塗料の電着塗装をした後、プレヒートをすることなく第2のカチオン電着塗料を電着塗装し、次いで120℃より高い温度で加熱硬化せしめることが好ましい。
本発明のカチオン電着塗料の塗装方法は、良好な塗料安定性(浴安定性)を確保した上、常温又は低温で硬化したとしても、得られた塗膜は、低温硬化性、防食性及び仕上がり性(水平肌及び垂直肌)に優れる。
本発明において、「水性溶媒」とは、水及び/又は親水性溶媒を主成分とする溶媒のことであり、親水性溶媒としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル(例えばメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル等)、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例えばメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル等)、グライム系溶媒(例えばエチレングリコールジメチルエーテル等)、ジグライム系溶媒(例えばジエチレングリコールジメチルエーテル等)、アルコール系溶媒(例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等)、ブロピレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(例えばメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル等)、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル(例えばメチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル等)等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明において、「化合物」とは、モノマー、オリゴマー、ポリマー(樹脂)などを含んだ総称である。
本発明において、「架橋」とは、化学反応により化合物同士又は化合物内において橋架け構造を形成する反応であり、例えば、縮合反応、付加反応、重合反応、重付加反応、エステル交換反応などそれ自体既知のものを特に制限なく用いることができる。
以下、本発明に関して詳細に述べる。
本発明の塗装方法は、金属被塗物をカチオン電着塗料浴に浸漬し、次いでカチオン電着塗装する塗装方法であって、その後、10℃以上120℃以下の温度で乾燥及び架橋工程を行う塗装方法である。
乾燥及び架橋の温度は、エネルギーコスト削減の観点から、通常120℃以下であり、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。また、乾燥性及び硬化性の観点から、通常10℃以上であり、20℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。
乾燥及び架橋の工程は、同時に進行することもあるが、乾燥(水性溶媒の蒸発)がある程度進むにつれ架橋が起こることが一般的である。また、本発明の架橋は一部架橋及び全部架橋を含むものである。
この架橋反応が起こる前の塗着塗膜の「複素粘度」が1Pa以上500Pa以下の範囲内であることが好適である。
複素粘度は、耐タレ性(被塗物の垂直肌での仕上がり性)の観点から、通常1Pa以上であり、5Pa以上が好ましく、10Pa以上がより好ましい。また、水平での仕上がり性の観点から、通常500Pa以下であり、200Pa以下が好ましく、100Pa以下がより好ましい。
複素粘度の測定方法としては、下記の方法で行うことができる。
なお、本発明において、塗着塗料とは、電着塗装及び水洗した後で且つ乾燥及び架橋工程を行う前の未乾燥及び未架橋の塗膜のことであり、下記の測定は水洗1分後の測定値である。
<複素粘度の測定方法>
カチオン電着塗装及び水洗を行った未架橋の塗膜をヘラでかきとり、回転式レオメータ(HAAKE社製RS150)を用いて、乾燥及び架橋を行う温度で複素粘度を測定した。
複素粘度が上記の範囲内に入ることで、低温架橋の塗装方法であっても垂直面の仕上がり性(タレ性)と水平面の仕上がり性(平滑性)のバランスが取ることができる。
本発明の塗装方法の被塗物としては、自動車ボディ、2輪車部品、家庭用機器、その他の機器等が挙げられ、金属を含む被塗物であれば特に制限はない。
被塗物としての金属鋼板としては、冷延鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−鉄二層めっき鋼板、有機複合めっき鋼板、Al素材、Mg素材など、並びにこれらの金属板を必要に応じてアルカリ脱脂等の表面を洗浄化した後、リン酸塩化成処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理を行ったものが挙げられる。
カチオン電着塗装方法としては、一般的には、電着塗料を脱イオン水等で固形分濃度が約5質量%以上40質量%以下とし、好ましくは10質量%以上25質量%以下とし、さらにpHを4.0以上9.0以下、好ましくは5.5以上7.0以下の範囲内に調整したカチオン電着塗料を浴として、通常、浴温15℃以上35℃以下に調整し、負荷電圧100V以上400V以下、好ましくは150V以上350V以下の条件で被塗物を陰極として通電することによって行う。
塗膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、一般的には、乾燥塗膜に基づいて5μm以上40μm以下、好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内とすることができる。
また、本発明においては、エネルギーコスト削減及び工程時間短縮の観点から、加熱乾燥設備として電磁誘導加熱を用いることができる。
電磁誘導加熱を用いた場合、塗装物表面の温度は上記と同じ温度(通常10℃以上120℃以下、好ましくは10℃以上100℃以下、より好ましくは10℃以上80℃以下、特に好ましくは10℃以上60℃以下)であるが、焼き付け時間としては、通常1分間以上15分間以下、好ましくは1分間以上12分間以下、より好ましくは1分間以上9分間以下である。
カチオン電着塗料
本発明の塗装方法に用いられるカチオン電着塗料は、樹脂(A)を含有することが好ましい。樹脂(A)としては、例えば、カチオン性官能基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂などの樹脂を好適に含有することができ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができ、なかでも、防食性の観点からエポキシ樹脂(A−1)が好ましい。
また、樹脂(A−1)はカチオン性官能基を有することが好ましく、カチオン性官能基としては、カチオン性のものであれば好適に用いることができる。なかでも、アミノ基、4級アンモニウム塩基、スルホニウム基などが好ましく、アミノ基がより好ましい。
エポキシ樹脂(A−1)としては、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)が好ましく、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)の塗料中の含有量としては、樹脂固形分当たり20質量%以上80質量%以下含有することが好ましく、30質量%以上70質量%以下含有することがより好ましい。
また、カチオン電着塗料中に樹脂(A)以外のその他の化合物(B)を含有することが好ましく、塗料中の含有量としては、樹脂固形分当たり5質量%以上80質量%以下含有することが好ましく、10質量%以上49質量%以下含有することがより好ましい。
その他の化合物(B)は樹脂(A)と10℃以上120℃以下の温度で架橋反応を行い、架橋塗膜を得ることができるものである。架橋反応としては、ウレタン化反応、マイケル付加反応、エポキシ基とチオール基との反応、及びアニオン重合反応から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、ウレタン化反応、マイケル付加反応、及び/又はエポキシ基とチオール基との反応であり、さらに好ましくは、ウレタン化反応、及び/又はマイケル付加反応であり、特に好ましくは、マイケル付加反応である。
ウレタン化反応、マイケル付加反応、及びエポキシとチオールとの反応において、樹脂(A)とその他の化合物(B)の組み合わせとしては、下記表1の組み合わせが好適である。
表1中、活性水素基とは、表1中の(注1)、(注2)及び(注3)を以下に説明する。
(注1)活性水素基:1級アミノ基、2級アミノ基、及び水酸基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性官能基
(注2)活性水素基(ドナー成分):1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基、活性メチレン基、及びチオール基(メルカプト基)からなる群より選ばれる少なくとも1種の活性水素基
(注3)α,β−不飽和カルボニル基(アクセプター成分):(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、マレイン酸化合物の不飽和カルボニル基、フマル酸化合物の不飽和カルボニル基、及びイタコン酸化合物の不飽和カルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種のα,β−不飽和カルボニル基
また、架橋反応の触媒として、電着塗料中に反応触媒(C)を含有することが好ましい。
エポキシ樹脂(A−1)
エポキシ樹脂(A−1)としては、1分子中にエポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する樹脂であり、その分子量は、少なくとも300、好ましくは400〜4,000、さらに好ましくは800〜2,500の範囲内の数平均分子量及び少なくとも160、好ましくは180〜2,500、さらに好ましくは400〜1,500の範囲内のエポキシ当量を有するものが適している。かかるエポキシ樹脂としては、例えば、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリン(例えば、エピクロルヒドリン等)との反応によって得られるものを使用することができる。
上記ポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン[水添ビスフェノールF]、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン[水添ビスフェノールA]、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどを挙げることができる。
また、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂としては、中でも、ビスフェノールAから誘導される下記式(1)の樹脂が好適である。
ここで、n=0〜8で示されるものが好適である。
かかるエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、三菱化学(株)からjER828EL、jER1002、jER1004、jER1007なる商品名で販売されているものが挙げられる。
また、エポキシ樹脂(A−1)としては、樹脂骨格中にポリアルキレンオキシド鎖を含有しているエポキシ樹脂を使用することができる。通常、このようなエポキシ樹脂は、(α)エポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有するエポキシ樹脂と、アルキレンオキシド又はポリアルキレンオキシドを反応せしめてポリアルキレンオキシド鎖を導入する方法、(β)上記ポリフェノール化合物と、エポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有するポリアルキレンオキシドとを反応せしめてポリアルキレンオキシド鎖を導入する方法などにより得ることができる。また、既にポリアルキレンオキシド鎖を含有しているエポキシ樹脂を用いてもよい(例えば、特開平8−337750号公報参照)。
ポリアルキレンオキシド鎖中のアルキレン基としては、炭素数が2〜8のアルキレン基が好ましく、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基がより好ましく、プロピレン基が特に好ましい。
また、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂(A−1)として、t−ブチルカテコール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂も好適に用いることができ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。ノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ダウケミカルジャパン社製フェノールノボラック樹脂DEN−438、東都化成社製クレゾールノボラック樹脂YDCN−703などが挙げられる。
アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)
アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)は、例えば、エポキシ樹脂(A−1)にアミノ基を付加することで得ることができる。
エポキシ樹脂(A−1)にアミノ基が付加された化合物としては、例えば、(1)エポキシ樹脂と第1級モノ−及びポリアミン、第2級モノ−及びポリアミン又は第1、2級混合ポリアミンとの付加物(例えば、米国特許第3,984,299号明細書参照);(2)エポキシ樹脂とケチミン化された第1級アミノ基を有する第2級モノ−及びポリアミンとの付加物(例えば、米国特許第4,017,438号 明細書参照);(3)エポキシ樹脂とケチミン化された第1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物とのエーテル化により得られる反応物(例えば、特開昭59−43013号公報参照)等を挙げることができる。なお、1個のエポキシ基との1個のアミノ基(1級又は2級)が反応した場合、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)は、エポキシ基より1個の水酸基を含有することになる。また、水酸基含有の1級又は2級アミノ基含有化合物を反応させた場合においてもアミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)は、エポキシ基由来以外の水酸基を含有することができる。
上記(1)のアミノ基含有エポキシ樹脂の製造に使用される第1級モノ−及びポリアミン、第2級モノ−及びポリアミン又は第1、2級混合ポリアミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミンなどのモノ−もしくはジ−アルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノールなどのアルカノールアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのアルキレンポリアミンなどを挙げることができる。
上記(2)のアミノ基含有エポキシ樹脂の製造に使用されるケチミン化された第1級アミノ基を有する第2級モノ−及びポリアミンとしては、例えば、上記(1)のアミン付加エポキシ樹脂の製造に使用される第1、2級混合ポリアミンのうち、例えば、ジエチレントリアミンなどにケトン化合物を反応させて生成させたケチミン化物を挙げることができる。
上記(3)のアミノ基含有エポキシ樹脂の製造に使用されるケチミン化された第1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物としては、例えば、上記(1)のアミノ基含有エポキシ樹脂の製造に使用される第1級モノ−及びポリアミン、第2級モノ−及びポリアミン又は第1及び2級混合ポリアミンのうち、第1級アミノ基とヒドロキシル基を有する化合物、例えば、モノエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどにケトン化合物を反応させてなるヒドロキシル基含有ケチミン化物を挙げることができる。
また、エポキシ樹脂(A−1)に表1の各種反応性官能基を含有させる方法としては、例えば、下記の方法が考えられる。
(1A)活性水素基〔1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基〕に関しては、前述したアミノ基を付加する方法でアミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)に1級アミノ基、2級アミノ基及び/又は水酸基を含有せしめることができる。また、水酸基及びカルボキシル基を有する化合物とエポキシ樹脂(A−1)とを反応させることで水酸基を含有せしめることができる。
(2A)活性水素基〔1級アミノ基、2級アミノ基、水酸基、活性メチレン基、チオール基〕に関しては、1級アミノ基、2級アミノ基、及び水酸基は前述した通りである。活性メチレン基に関しては、例えば、マロン酸、マロン酸アルキル、アセト酢酸、イソブチリル酢酸、ベンゾイル酢酸、プロピオニル酢酸などの活性メチレン基含有化合物を上記エポキシ樹脂のエポキシ基と反応することで活性メチレン基を含有せしめることができる。また、チオール基(メルカプト基)に関しては、例えば、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、ジチオサリチル酸、メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸などのチオール基含有化合物を上記エポキシ樹脂のエポキシ基と反応させることでチオール基(メルカプト基)を含有せしめることができる。これらの(2A)活性水素基は1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
(3A)α,β−不飽和カルボニル基〔(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、マレイン酸化合物の不飽和カルボニル基、フマル酸化合物の不飽和カルボニル基、イタコン酸化合物の不飽和カルボニル基〕に関しては、例えば、(1)上記エポキシ樹脂の活性水素基に対して、イソシアナトエチル(メタ)アクリレートを反応させたもの、(2)上記エポキシ樹脂のエポキシ基に対して、(メタ)アクリル酸化合物、マレイン酸化合物、フマル酸化合物、イタコン酸化合物などを反応させたもの、などが挙げられ、これらの(3A)α,β−不飽和カルボニル基は1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
(4A)及び(5A)エポキシ基に関しては、上記エポキシ樹脂のエポキシ基を好適に用いることができる。
(1A)〜(5A)のアミン化合物及びその他の化合物のエポキシ樹脂(A−1)への付加反応は、通常、適当な溶媒中で、約80〜約170℃、好ましくは約90〜約150℃の温度で1〜6時間程度、好ましくは1〜5時間程度で行なうことができる。
反応溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノールなどのアルコール系、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系化合物;あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)の数平均分子量としては、仕上がり性、防食性などの観点から、800以上が好ましく、より好ましくは1,000〜50,000の範囲内であり、さらに好ましくは1,200〜10,000の範囲内である。
アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)のアミン価としては、樹脂固形分を基準として、通常10mgKOH/g以上であり、20〜200mgKOH/gの範囲内が好ましく、30〜180mgKOH/gの範囲内がより好ましい。
なお、本明細書におけるアミン価は、JIS K 7237−1995に準じて測定する。全て樹脂固形分当たりのアミン価(mgKOH/g)である。
また、本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。具体的には、ゲルパーミュエーションクロマトグラフとして、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」及び「TSKgel G−2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min及び検出器RIの条件下で測定することができる。
このようにして得たアミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)の水性溶媒中への分散方法としては、特に制限はなく、それ自体既知の方法を用いることができるが、アミノ基含有エポキシ樹脂溶液を酸化合物で中和し、分散することが好ましい。
上記酸化合物としては、公知の酸化合物を特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などのカルボン酸化合物を含む有機酸等が挙げられる。これらの酸化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、なかでも、有機酸が好ましく、特にカルボン酸化合物がより好ましく用いることができる。
また、別の分散方法として、乳化剤を用いることもできる。乳化剤としては、特に制限なく用いることができ、例えば、ノニオン性、カチオン性、アニオン性乳化剤が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、ノニオン性及び/又はカチオン性乳化剤が好ましく、カチオン性乳化剤がより好ましい。
その他の化合物(B)
その他の化合物(B)は、樹脂(A)の官能基と架橋反応をする反応性官能基を有する化合物(B−1)を含有することが好ましい。
反応性官能基を有する化合物(B−1)の反応性官能基としては、表1に記載した官能基(1B)〜(5B)を好適に用いることができ、化合物(B−1)としては、例えば、下記化合物が挙げられる。
(1B)ブロック化ポリイソシアネート基を有する化合物としては、ブロック化ポリイソシアネート化合物が挙げられ、ブロック化ポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤とのほぼ化学理論量での付加反応生成物である。ブロック化ポリイソシアネート化合物で使用されるポリイソシアネート化合物としては、公知のものを使用することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI[ポリメチレンポリフェニルイソシアネート]、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の環化重合体又はビゥレット体;又はこれらの組合せを挙げることができる。
特に、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI等(好ましくはクルードMDI等)の芳香族ポリイソシアネート化合物が、防食性の観点から、より好ましい。
一方、イソシアネートブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックするものであり、そして付加によって生成するブロック化ポリイソシアネート化合物は、塗装後に溶媒が蒸発し、さらに塗膜温度がブロック化ポリイソシアネート化合物の解離温度に達した際、ブロック剤が解離してイソシアネート基を再生することが望ましい。
なかでも、イソシアネートブロック剤としては、低温硬化性(解離温度)の観点から、ピラゾール系化合物、活性メチレン系化合物、オキシム系化合物、フェノール系化合物、ラクタム系化合物、アルコール系化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ピラゾール系化合物及び/又は活性メチレン系化合物がより好ましく、ピラゾール系化合物が特に好ましい。ピラゾール系化合物としては、3,5−ジメチルピラゾール及び/又は3−メチルピラゾールが好ましく、3,5−ジメチルピラゾールがより好ましい。
(2B)α,β−不飽和カルボニル基(アクセプター成分)を有する化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物、(メタ)アクリルアミド基含有化合物、マレイン酸系化合物、フマル酸系化合物、イタコン酸系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のα,β−不飽和カルボニル基を有する化合物である。
上記α,β−不飽和カルボニル基を有する化合物は、1分子中に1個以上(好ましくは複数個)のアクセプター成分(α,β−不飽和カルボニル基)を含有するものであれば特に制限はなく、上記(メタ)アクリロイルオキシ基含有化合物としては、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、レソルシノールジグリシジルエーテルジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アクリル化エポキシジアクリレート、アリルウレタンジアクリレート、脂肪族ウレタンジアクリレート、ポリエステルジアクリレートなどのジアクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトキシ化グリセロールトリアクリレート、プロポキシ化グリセロールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、アリルウレタントリアクリレート、脂肪族ウレタントリアクリレート、メラミントリアクリレート、脂肪族エポキシトリアクリレート、エポキシノボラックトリアクリレート、ポリエステルトリアクリレートなどのトリアクリレート;ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシ化ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、アリルウレタンテトラアクリレート、脂肪族ウレタンテトラアクリレート、メラミンテトラアクリレート、エポキシノボラックテトラアクリレートなどのテトラアクリレート;ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、メラミンペンタアクリレートなどのペンタアクリレートなどが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
上記α,β−不飽和カルボニル基を有する化合物として、その骨格が樹脂であるものも好適に用いることができる。製造方法としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を合成し、(1)樹脂のカルボキシル基に対してグリシジル(メタ)アクリレートを反応させたもの、(2)樹脂の水酸基に対してイソシアナトエチル(メタ)アクリレートを反応させたもの、(3)樹脂のエポキシ基に対して(メタ)アクリル酸化合物、マレイン酸化合物、フマル酸化合物、イタコン酸化合物などを反応させたもの、などが挙げられる。
また、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などを含む多価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールとの重縮合反応によって得られるポリエステル樹脂や、多価アルコールの代わりに多価アミンを使用して重縮合反応によって得られるポリアミド樹脂なども好適に用いることができる。他の例として、例えば、多官能ポリイソシアネート化合物に水酸基含有及びアクリロイル基を有する化合物(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなど)を反応して得られるウレタン化合物などがある。
(3B)活性水素基(ドナー成分)を有する化合物としては、1級アミノ基含有化合物、2級アミノ基含有化合物、水酸基含有化合物、活性メチレン基含有化合物、チオール基(メルカプト基)含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の活性水素基含有化合物である。なかでも、上記活性水素基としては、活性メチレン基含有化合物及び/又は1級及び/又は2級アミノ基含有化合物が好ましい。
上記活性水素基含有化合物は、1分子中に1個以上(好ましくは複数個)の活性水素基を含有するものであれば特に制限はなく、例えば、メチルアセトアセタート、エチルアセトアセタート、t−ブチルアセトアセタート、2−エチルヘキシルアセトアセタート、ラウリルアセトアセタート、アセトアセタニリド、2−アセトアセトキシエチルメタクリラート、アリルアセトアセタート、ブタンジオールジアセトアセタート、1,6−ヘキサンジオールジアセトアセタート、ネオペンチルグリコールジアセトアセタート、シクロヘキサンジメタノールジアセトアセタート、エトキシル化ビスフェノールAジアセトアセタート、トリメチロールプロパントリアセトアセタート、グリシントリアセトアセタート、ポリカプロラクトントリアセトアセタート、ペンタエリスリトールテトラアセトアセタートなどの活性メチレン基含有化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミンなどの1級及び/又は2級アミノ基含有化合物;ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)などのチオール基(メルカプト基)含有化合物;アルカンジオール、ポリ(オキシアルキレン)グリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの水酸基含有化合物、若しくはこれらの反応物などが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
上記活性水素基含有化合物として、その骨格が樹脂であるものも好適に用いることができる。具体的には、例えば、下記の(例1)〜(例5)が挙げられる。
(例1)活性水素基含有アクリルモノマーと他のアクリルモノマーとを共重合して得たアクリル樹脂。
上記活性水素基含有アクリルモノマーとしては、例えば、2−エトキシマロニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−シアノアセトキシエチル(メタ)アクリレート、N−(2−シアノアセトキシエチル)アクリルアミド、N−(2−プロピオニルアセトキシブチル)アクリルアミド、N−(4−アセトアセトキシメチルベンジル)アクリルアミド、N−(2−アセトアセチルアミノエチル)アクリルアミド、2−(N−アセトアセチルアミノエチル)(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、分子末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(例2)マロン酸を含むジカルボン酸化合物とジオール化合物とを重縮合して得たポリエステル樹脂。
(例3)マロン酸を含むジカルボン酸化合物とジグリシジル化合物とを付加縮合して得たエポキシ樹脂。
(例4)マロン酸を含むジカルボン酸化合物とジアミン化合物とを重縮合して得たポリアミド樹脂。
(例5)樹脂(例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂等)に活性水素基含有化合物を付加して得た変性樹脂。なかでも、樹脂の種類としては活性水素基変性エポキシ樹脂及び/又は活性水素基変性アクリル樹脂が好ましく、活性水素基変性エポキシ樹脂がより好ましい。ここで、活性水素基変性樹脂とは活性水素基を含有する樹脂という意味である。
なお、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)と区別するため、その他の化合物(B)の上記活性水素基含有化合物としては、アミノ基を有するエポキシ樹脂は除くものとする。
(4B)チオール基を有する化合物としては、チオール基(メルカプト基)を含有する化合物であれば、それ自体既知のものを特に制限なく好適に用いることができる。市販品としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)[商品名「アデカハードナーEH317」、アデカ(株)製]、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、[商品名「カレンズMT PEI」、昭和電工(株)製]、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、[商品名「カレンズMT BDI」、昭和電工(株)製]、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、[商品名「カレンズMT NRI」、昭和電工(株)製]、ポリエーテルポリチオール、[商品名「jERキュアQX11」、三菱化学(株)製]などが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
また、樹脂にチオール含有化合物を付加して得たものであってもよく、例えば、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、ジチオサリチル酸、メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸などのチオール基含有化合物とエポキシ樹脂との反応により得られるチオール基含有樹脂を好適に用いることができる。
(5B)3級アミノ基を有する化合物としては、それ自体既知のものを特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、3級アミノ基含有化合物、アミノフェノール化合物、イミダゾール化合物などが挙げられる。アミノフェノール化合物としては、アミノ基を有するフェノール化合物であり、例えば、2−アミノフェノール、4−アミノフェノール、ジメチルアミノフェノール、ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノールなどが挙げられる。イミダゾール化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダソール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
また、各種樹脂に3級アミノ基を有するものであってもよく、例えば、前述したエポキシ樹脂に2級アミノ基を反応させる方法、アクリル樹脂の原料となる共重合モノマーとして3級アミノ基含有重合性不飽和モノマー(N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど)を用いる方法などが挙げられる。
上記その他の化合物(B)の重量平均分子量は、1,000未満であることが好ましく、100以上かつ1,000未満であることがより好ましく、200以上かつ1,000未満であることが更に好ましい。
上記その他の化合物(B)の水性溶媒中の分散方法としては、その他の化合物(B)を単独で乳化する方法が挙げられる。単独で乳化する方法として、親水性官能基を付加して乳化する方法、乳化剤を用いて乳化する方法、親水性樹脂などと混ぜて乳化する方法などが挙げられる。貯蔵性の観点から、樹脂(A)成分及びその他の化合物(B)成分が、カチオン電着塗料組成物中に別々の樹脂粒子成分として含有されることが好ましい。ここで、「単独で乳化する」とは、実質的に、樹脂(A)及びその他の化合物(B)の一方の成分が他方の成分の分散粒子に含有されないことを意味する。実質的にとは、一方の成分が他方の成分の分散粒子に含まれる含有量が、例えば、固形分で3質量%未満であり、好ましくは1質量%未満であり、より好ましくは0.1質量%未満であることを意味する。
反応触媒(C)
反応触媒(C)としては、上記架橋反応の触媒としてそれ自体既知のものを特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、亜鉛化合物、ビスマス化合物、有機錫化合物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、第4級アンモニウム化合物、3級アミン化合物、グアニジン化合物、アミジン化合物、3級ホスフィン化合物、フォスファゼン化合物、3級スルホニウム化合物、4級ホスホニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
反応触媒(C)としては、触媒性能の観点から塩基性触媒であることが好ましく、アミジン化合物、グアニジン化合物、フォスファゼン化合物などの強塩基性触媒であることが好ましい。
上記アミジン化合物としては、それ自体既知のものを特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−ノネン−5(DBN)、1,5−ジアザビシクロ[4,4,0]−デセン−5、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7(DBU)、5−ヒドロキシプロピル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7、5−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7等が挙げられる。
上記グアニジン化合物としては、それ自体既知のものを特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジメチルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG)等が挙げられる。これらの触媒は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
反応触媒としては、特に触媒性能の観点から、酸解離定数(pKa)が、10以上のものであることが好ましく、12以上のものであることがより好ましい。
また、塩基性触媒としては、塗料の仕上がり性及び塗膜の耐水性の観点から、分子量が100以上の化合物であることが好ましく、200以上の化合物であることがより好ましく、300以上の化合物であることが更に好ましい。
塩基性触媒を高分子量化させる方法としては、例えば、アミジン触媒又はグアニジン触媒の場合では、(1)アミジン触媒又はグアニジン触媒の1級又は2級アミノ基と、エポキシ基又はイソシアネート基などの反応性官能基含有化合物とを反応させる方法、(2)アミジン触媒又はグアニジン触媒とカルボジイミド化合物とを反応させる方法、などが挙げられ、いずれも好適に用いることができる。
また、反応触媒はマイクロカプセル化したマイクロカプセル化触媒(C−1)として塗料内に含有してもよい。
反応触媒の配合量としては、塗料中の樹脂固形分を基準として、樹脂成分を除いた触媒成分が、0.1質量%以上20質量%以下の範囲内であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下の範囲内であることがより好ましく、0.5質量%以上7質量%以下の範囲内であることが特に好ましい。
本発明の塗装方法で用いることができるカチオン電着塗料としては、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)以外に、顔料分散ペースト、樹脂各種(アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂)、各種添加剤(界面活性剤、表面調整剤、中和剤)、溶媒等を必要に応じて含有することができる。
顔料分散ペーストは、着色顔料、防錆顔料、及び体質顔料などの顔料をあらかじめ微細粒子に分散したものであって、例えば、顔料分散用樹脂、顔料、及び中和剤などの各種添加剤を配合し、ボールミル、サンドミル、ペブルミル等の分散混合機中で分散処理して、顔料分散ペーストを調製することができる。
顔料分散用樹脂としては、公知のものを特に制限なく使用でき、例えば水酸基及びカチオン性基を有するエポキシ樹脂やアクリル樹脂、3級アミン型エポキシ樹脂、4級アンモニウム塩型エポキシ樹脂、3級スルホニウム塩型エポキシ樹脂、3級アミン型アクリル樹脂、4級アンモニウム塩型アクリル樹脂、3級スルホニウム塩型アクリル樹脂などを使用できる。
顔料としては、公知のものを特に制限なく使用でき、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着色顔料;クレー、マイカ、バリタ、炭酸カルシウム、シリカなどの体質顔料;防錆顔料等を添加することができる。
顔料分散ペーストの顔料配合量は、カチオン電着塗料の樹脂固形分100質量部あたり、1質量部以上100質量部以下、特に10質量部以上50質量部以下の範囲内が好ましい。
本発明で用いるカチオン電着塗料は、各溶液浴の溶媒中に、水が50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上含有していることが好適である。
本発明で用いるカチオン電着塗料において、活性水素基とブロックイソシアネート基、マイケルドナー成分(活性水素基)とアクセプター成分(α,β−不飽和カルボニル基)、エポキシ基とチオール基(メルカプト基)の含有割合としては、反応性官能基比(モル比)で、通常0.3/1以上1/0.3以下であり、好ましくは0.5/1以上1/0.5以下、好ましくは0.7/1以上1/0.7以下であることが、貯蔵安定性が良好で、仕上がり性、防食性に優れた塗装物品を得る為にも好適である。
また、カチオン電着塗料の樹脂のアミン価としては、上記の塗料特性及び塗膜性能の点から、樹脂固形分を基準として、アミン価が、通常5mgKOH/g以上200mgKOH/g以下、好ましくは10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の範囲内であることが好適である。
上記のように金属被塗物を電着塗装した後、さらに電着塗膜の一部または全部に上塗り塗料を塗装することが好ましい。上塗り塗料としては、例えば、中塗り塗料、ベース塗料、及びクリヤー塗料を順次塗装し、焼付硬化する工程が好ましい。本発明の塗装方法による電着塗膜において、もし未架橋部分があったとしても上塗り塗料の焼付硬化工程により、完全架橋することができる。
また、本発明の他の実施態様として、カチオン電着塗料(第1のカチオン電着塗料)を塗装した後、さらに第2のカチオン電着塗料を電着塗装することができる。第2のカチオン電着塗料としては、特に限定されず、既知のカチオン電着塗料を塗装することができる。第2のカチオン電着塗料は、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)とブロック化ポリイソシアネート化合物を含有し、樹脂固形分の総量を基準にして、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)40質量%以上90質量%以下(好ましくは55質量%以上85質量%以下、さらに好ましくは60質量%以上80質量%以下)、ブロック化ポリイソシアネート10質量%以上60質量%以下(好ましくは15質量%以上45質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上40質量%以下)を含有することが好ましい。
上記ブロック化ポリイソシアネートとは、ポリイソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応による生成物である。ブロック化ポリイソシアネートで使用されるポリイソシアネート化合物としては、公知のものを特に制限無く使用することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI[ポリメチレンポリフェニルイソシアネート]などの芳香族ポリイソシアネート化合物;ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の環化重合体又はビゥレット体;又はこれらの組合せが挙げられる。
防食性向上の観点から、特にトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI等の芳香族ポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。
一方、上記イソシアネートブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックするものであり、付加反応によって生成するブロック化ポリイソシアネート化合物は、常温において安定であるが、塗膜の焼付け温度(通常約100〜約200℃)に加熱した際、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基を再生する。
ブロック化ポリイソシアネート(B)で使用されるイソシアネートブロック剤としては、公知のものを特に制限無く使用することができ、例えば、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾールなどのフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系化合物;ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム系化合物;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン電着塗料は、さらに任意選択で、界面活性剤や表面調整剤等の各種添加剤、顔料分散ペースト、水や有機溶剤及び中和剤などを十分に混合して、水溶化又は水分散化して得ることができる。
本発明の他の実施態様として、一般的には、脱イオン水等で固形分濃度を約5質量%以上40質量%以下とし、好ましくは10質量%以上25質量%以下とし、さらにpHを4.0以上9.0以下、好ましくは5.5以上7.0以下の範囲内に調整したカチオン電着塗料を浴として、通常、浴温15℃以上35℃以下に調整し、負荷電圧が100V以上400V以下、好ましくは150V以上350V以下で、被塗物を陰極として通電することによって電着塗装してもよい。
被塗物にカチオン電着塗料を電着塗装した後、任意選択で30℃以上100℃以下のプレヒートを実施し、第2のカチオン電着塗料を乾燥膜厚5μm以上40μm以下(好ましくは10μm以上30μm以下)で電着塗装することで、厚塗り、及びつき回り性が向上し、優れた防食性を有する塗膜が得られる。また、カチオン電着塗料の塗装後に高温(121℃以上)の焼付をすることなく第2のカチオン電着塗料の塗装をするため、2コート2ベーク型の複層電着塗装と比べてエネルギーコストを削減できる。そして、さらなるエネルギーコスト削減の観点から、プレヒート(加熱乾燥)は低温かつ短時間であることが好ましく、プレヒートしないことがより好ましい。
続いて、上記の複層膜(第1及び第2のカチオン電着塗膜)を120℃より高い温度(好ましくは120℃以上200℃以下)で加熱硬化せしめることで第1及び第2のカチオン電着塗料は完全に架橋することができる。複層膜は乾燥膜厚10μm以上80μm以下(好ましくは20μm以上70μm以下)であることが好適である。
上記のように金属被塗物を第1及び第2のカチオン電着塗料で電着塗装した後、さらに複層電着塗膜の一部または全部に上塗り塗料を塗装することが好ましい。上塗り塗料としては、例えば、中塗り塗料、ベース塗料、及びクリヤー塗料を順次塗装し、焼付硬化する工程が好ましい。
本発明のカチオン電着塗料の塗装方法によって得られた塗膜は、良好な塗料安定性(浴安定性)を確保しながら、低温硬化性、防食性及び仕上がり性(水平肌及び垂直肌)に優れる。具体的には、本発明の塗装方法により塗装された自動車ボディは、塗膜の仕上がり性が良好であり、また、本発明の塗装方法で用いられるカチオン電着塗料は、長期間にわたって貯蔵安定性が良好である。
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
製造例1 アミノ基含有エポキシ樹脂(A1)
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER828EL(商品名、三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)1000部に、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量700になるまで反応させた。次に、ジエタノールアミン126部及びジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物160部を加え、120℃で4時間反応させた後、必要に応じてエチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂(A1)溶液を得た。得られたアミノ基含有エポキシ樹脂(A1)は、アミン価100mgKOH/g、数平均分子量1650であった。
製造例2 アミノ基含有エポキシ樹脂(A2)
撹拌機、温度計、及び還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER1001(商品名、三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量475、数平均分子量950)950部、ジエタノールアミン126部、ジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物160部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、120℃で4時間反応させた後、必要に応じてエチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂(A2)溶液を得た。得られたアミノ基含有エポキシ樹脂(A2)は、アミン価136mgKOH/g、数平均分子量1200であった。
製造例3 アミノ基含有エポキシ樹脂(A3)
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、式(1)のエポキシ樹脂(n=約1.0、エポキシ当量320、数平均分子量640)640部、ジエタノールアミン126部、ジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物160部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、120℃で4時間反応させた後、必要に応じてエチレングリコールモノブチルエーテルを加え、固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂(A3)溶液を得た。得られたアミノ基含有エポキシ樹脂(A3)は、アミン価180mgKOH/g、数平均分子量900であった。
製造例4 ポリエステルポリオール(A4)
加熱装置、攪拌機、窒素導入管及び分留塔を有する反応装置に、アジピン酸146部、トリメチロールプロパン136.5部を仕込み、乾燥窒素下で加熱を開始し、230℃まで徐々に昇温してエステル化反応を行った。230℃を保持し、樹脂酸価2mgKOH/g以下となるまでエステル化反応を行った後、170℃まで冷却し、必要に応じてエチレングリコールモノブチルエーテルを加えて、樹脂固形分80質量%のポリエステルポリオール(A4)溶液を得た。得られたポリエステルポリオール(A4)は、樹脂固形分の酸価2mgKOH/g、水酸基価376mgKOH/g、数平均分子量900であった。
製造例5 ブロック化ポリイソシアネート化合物(B1)
攪拌機、加熱装置、冷却装置、減圧装置を備えた4つ口フラスコに、「スミジュールN3300」(商品名、住化バイエルウレタン社製、ヘキサメチレンジイソシアネート由来のイソシアヌレート構造含有ポリイソシアネート)250部及びメチルエチルケトン125部を仕込み、30℃に加熱した。次いで、3,5−ジメチルピラゾール126部を攪拌しながら2時間かけて徐々に添加し、攪拌下、その反応混合物を赤外分光法によって、遊離のイソシアネート基が検出されなくなるまで30℃にて反応させた。更に必要に応じてメチルイソブチルケトンを加えて固形分70%のブロック化ポリイソシアネート化合物(B1)を得た。得られたピラゾールブロックのブロック化ポリイソシアネート化合物のNCO量は14.4%、重量平均分子量は800であった。なお、本明細書において、NCO量は、樹脂固形分100質量部に対するNCO基の量(%)を意味する。
製造例6 エポキシ樹脂付加アミン触媒
撹拌機、温度計、および還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER828EL(商品名、三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)370部、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン230部、イソブチルメチルケトン500部を加え、120℃に昇温し、5時間反応させた。その後、必要に応じてイソブチルメチルケトンを加えて、固形分50%のエポキシ樹脂付加アミン触媒溶液を得た。
製造例7 顔料分散樹脂
フラスコにトリレンジイシシアネート(TDI)696部、メチルイソブチルケトオキシム(MIBK)304部を加えて60℃に昇温し、2エチルヘキシルアルコール520部を滴下し、NCO価110.5になるまで反応させ、樹脂固形分80%の部分ブロックイソシアネートAを得た。
次に、この部分ブロックイソシアネートA 380部に、70℃でジメチルエタノールアミン89部を滴下し、実質的にNCOが無くなるまで反応させ、エチレングリコールモノブチルエーテル34.75部で希釈した後、90%の乳酸100部で中和して80%の乳酸中和アミノ基含有ブロックイソシアネートBを得た。
別のフラスコに、jER828EL(商品名、三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370)1125部、ビスフェノールA 456部及びトリフェニルホスホニュウムアイオダイト1.1部を加え、170℃でエポキシ当量790になるまで反応させたのち、MIBK279部で希釈し、ついで上記部分ブロックイソシアネートA760部を加え実質的にNCOが無くなるまで100℃で反応させた。
次いでエチレングリコールモノブチルエーテル630部を加えて80℃まで冷却し、80%の乳酸中和アミノ基含有ブロックイソシアネートB 860部を加え、酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させた後、必要に応じてプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて、固形分60%の4級アンモニウム塩基を含有する顔料分散用樹脂溶液を得た。
製造例8 顔料分散ペーストNo.1
製造例7の顔料分散用樹脂溶液8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー9.0部、カーボンブラック0.3部、及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
製造例9 乳化剤
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にメトキシプロパノール30部及びイソブタノール30部を入れ、100℃で加熱し、エチルアクリレート30部、n−ブチルアクリレート60部、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩10部、イソブタノール10部、t−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物を4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソブタノール10部からなる混合物を1時間滴下した。次いで1時間攪拌熟成した後、必要に応じてプロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて、固形分濃度50%の4級塩型乳化剤を得た。重量平均分子量は10,000であった。
製造例10 カチオン電着塗料(X−1)
製造例1で得られたアミノ基含有エポキシ樹脂(A1)溶液62.5部(固形分50部)、製造例4で得られたポリエステルポリオール(A4)溶液37.5部(固形分30部)、製造例6のエポキシ樹脂付加アミン触媒溶液10.6部(固形分5.3部)、及び10%ギ酸3.2部を配合し、均一に攪拌した後、強く攪拌しながら脱イオン水を徐々に滴下し、固形分32%のエマルション粒子Aを得た。
続いて製造例5で得られたブロック化ポリイソシアネート化合物(B1)28.5部(固形分20部)及び製造例9で得られた4級塩型乳化剤を、その他の化合物(B)〔化合物(B1)〕に対して固形分で5%配合し、強く攪拌しながら脱イオン水を徐々に滴下し、固形分32%のエマルション粒子Bを得た。
上記のエマルション粒子A、エマルション粒子B、製造例8で得られた55%の顔料分散ペースト52.4部(固形分28.8部)、及び脱イオン水を徐々に加え、固形分20%のカチオン電着塗料(X−1)を得た。
製造例11〜39 カチオン電着塗料(X−2)〜(X−30)
塗料配合を下記表2及び表3とした以外は全て製造例10と同様にしてカチオン電着塗料(X−2)〜(X−30)を調製した。
製造例40 アミノ基含有エポキシ樹脂(A4)
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL(商品名、ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量350)1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、ジエタノールアミン160部及びジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物65部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル480gを加え、固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂(A4)溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂(A4)は、アミン価59mgKOH/g、数平均分子量2100であった。
製造例41 ブロック化イソシアネート硬化剤(B2)
反応容器中に、コスモネートM−200(商品名、三井化学社製、クルードMDI)270部及びメチルイソブチルケトン127部を加え70℃に昇温した。この中にエチレングリコールモノブチルエーテル236部を1時間かけて滴下して加え、その後、100℃に昇温し、この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネート基の吸収がなくなったことを確認し、更にメチルイソブチルケトンを加えて樹脂固形分70%のブロックイソシアネート硬化剤(B2)を得た。得られた、アルコール系化合物をブロック剤とするブロックイソシアネート硬化剤(B2)のNCO量は16.7%であった。
製造例42 顔料分散ペーストNo.2
製造例7で得た固形分60%の4級アンモニウム塩基を含有する顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー6部、カーボンブラック0.3部、水酸化ビスマス3部、及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストNo.2を得た。
製造例43 カチオン電着塗料(X−31)
製造例40で得られたアミノ基含有エポキシ樹脂(A4)87.5部(固形分70部)、製造例41で得られたブロック化ポリイソシアネート化合物(B2)37.5部(固形分30部)を混合し、さらに10%酢酸13部を配合して均一に攪拌した後、脱イオン水を強く攪拌しながら約15分間を要して滴下して固形分34%のエマルションを得た。
次に、上記エマルション294部(固形分100部)、製造例42で得た顔料分散ペーストNo.2 52.4部、脱イオン水350部を加え、固形分20%のカチオン電着塗料(X−31)を製造した。
表2及び表3の(注4)及び(注5)を以下に説明する。
(注4)「jER828EL」:商品名、三菱化学社製、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量370
(注5)「イミダゾール化合物」:2,4−ジアミノ−6−[2‘−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−S−トリアジン(四国化成製)
<カチオン電着塗装(単層膜)>
以下、カチオン電着塗装を1回行った場合の実施例及び比較例について説明する。
[実施例1 カチオン電着塗料の塗装方法(Y−1)]
化成処理(商品名、パルボンド#3020、日本パーカライジング社製、リン酸亜鉛処理剤)を施した冷延鋼板(150mm(縦)×70mm(横)×0.8mm(厚))を被塗物として、製造例10で得られたカチオン電着塗料(X−1)を固形分濃度が20%となるように調整し、浴温28℃、負荷電圧250V、180秒(30秒にて昇電圧)の条件で乾燥膜厚15μmとなるように電着塗装及び水洗をして、35℃と70℃と110℃の温度でそれぞれ20分間加熱乾燥(架橋)した場合の電着塗装板を得た。それぞれ被塗物を、水平方向に設置した場合と垂直方向に設置した場合について、後述する方法で、複素粘度の測定と仕上がり性(水平、垂直)を評価した。評価結果を下記表4及び5に示す。
仕上がり性(水平、垂直)の評価としては、S〜Bが合格であり、Cが不合格である。
[実施例2〜25及び比較例1〜5 カチオン電着塗料の塗装方法(Y−2)〜(Y−30)]
下記表4及び5とした以外は、実施例1と同様にしてカチオン電着塗装を行った。
(上塗り塗料の塗装)
また、上記実施例1〜25の塗装方法で得られた電着塗膜上に下記の工程で上塗り塗料を塗装し、良好な仕上がり性の複層塗膜が得られることを確認した。
電着塗膜上に、中塗り塗料(商品名「TP−65」、関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂系有機溶剤型塗料)20μm、ベース塗料(商品名「WBC−713」、関西ペイント製、アクリル樹脂・アミノ樹脂系水性着色塗料)15μm、クリヤー塗料(商品名「マジクロンKINO−1210」、関西ペイント社製、及びアクリル樹脂系溶剤型上塗りクリヤー塗料)30μmを順次塗装し、140℃の温度で30分焼き付けた。なお、記載している膜厚は全て硬化膜厚である。
(複素粘度の測定方法)
実施例及び比較例で行ったカチオン電着塗装の後、水洗をして得られた未乾燥及び未架橋の塗膜をヘラでかきとり、回転式レオメータ(HAAKE社製RS150)を用いて、35℃、70℃、及び110℃の温度で、それぞれ複素粘度を測定した。なお、測定は塗装後1分後に行った。
表中のI〜VIの記号は下記の通りである。
I:複素粘度が200Pa以上500Pa以下
II:複素粘度が100Pa以上200Pa未満
III:複素粘度が10Pa以上100Pa未満
IV:複素粘度が1以上10Pa未満
V:複素粘度が1Pa未満
VI:複素粘度が500Pa超え
(仕上がり性(水平))
実施例及び比較例において、試験板を水平状態にして、加熱乾燥(35℃、70℃、及び110℃でそれぞれ加熱乾燥した場合について、試験板の塗面の表面粗度値(Ra)を表面粗度計(商品名「サーフテスト301」、株式会社ミツトヨ製)を用いて、カットオフ0.8mmにて測定し、以下の基準で評価した。
評価は、S〜Bが合格であり、Cが不合格である。
S:表面粗度値(Ra)が0.2未満
A:表面粗度値(Ra)が0.2以上0.25未満
B:表面粗度値(Ra)が0.25以上0.3未満
C:表面粗度値(Ra)が0.3以上
(仕上がり性(垂直))
実施例及び比較例において、試験板を垂直状態にして、加熱乾燥(35℃、70℃及び110℃でそれぞれ加熱乾燥した場合について、試験板の塗面の表面粗度値(Ra)を、表面粗度計(商品名「サーフテスト301」、株式会社ミツトヨ製)を用いて、カットオフ2.5mmにて測定し、以下の基準で評価した。
評価は、S〜Bが合格であり、Cが不合格である。
S:表面粗度値(Ra)が0.2未満
A:表面粗度値(Ra)が0.2以上0.25未満
B:表面粗度値(Ra)が0.25以上0.3未満
C:表面粗度値(Ra)が0.3以上

表4及び表5に示すように、本発明のカチオン電着塗装方法によれば、水平方向と垂直方向のいずれの仕上がり性も良好であった。
<カチオン電着塗装(複層膜)>
以下に、カチオン電着塗料を用いてカチオン電着塗装した後、さらに第2のカチオン電着塗料を電着塗装し、120℃より高い温度で加熱硬化して、塗膜を形成する場合について説明する。
[実施例26 カチオン電着塗料の塗装方法(Z−1)]
(カチオン電着塗装)
化成処理(商品名、パルボンド#3020、日本パーカライジング社製、リン酸亜鉛処理剤)を施した冷延鋼板(150mm(縦)×70mm(横)×0.8mm(厚))を被塗物として、製造例10で得られたカチオン電着塗料(X−1)を固形分濃度が20%となるように調整し、浴温28℃、負荷電圧250V、180秒(30秒にて昇電圧)の条件で乾燥膜厚15μmとなるように電着塗装及び水洗をした。その後、加熱乾燥なし(雰囲気温度25℃)1枚と、70℃及び110℃で20分間加熱乾燥(架橋)した2枚の合計3枚の電着塗装板を得た。
(第2のカチオン電着塗装)
続いて、製造例43で得られたカチオン電着塗料(X−31)(第2のカチオン電着塗料)を固形分濃度が20%となるように調整し、浴温28℃、負荷電圧250V、180秒(30秒にて昇電圧)の条件で乾燥膜厚15μmとなるように電着塗装及び水洗をして、170℃の温度で20分間加熱乾燥(架橋)して、複層膜の電着塗装板を得た。
[実施例27〜50 カチオン電着塗料の塗装方法(Z−2)〜(Z−25)]
下記表8及び9に示すようにした以外は、実施例26と同様にしてカチオン電着塗装を行った。
なお、上記実施例における塗装方法(Z−1)〜(Z−25)に関して、第一のカチオン電着塗料(X−1)〜(X−25)を塗装後、加熱乾燥なし(25℃)の場合の複素粘度を測定したが、実施例1〜25で測定した乾燥温度35℃の評価区分(I〜VI)と同じであった。
また、上記実施例26〜50の塗装方法で得られた複層電着塗膜上に、前述した「上塗り塗料の塗装」により上塗り塗料を塗装し、良好な仕上がり性の複層塗膜が得られることを確認した。
(防食性)
上記実施例1から50について、カチオン電着塗装後、及び第2のカチオン電着塗装後の電着塗装膜の防食性の評価を行った。実施例1から25を、表6及び表7に示し、実施例26から50を、表8及び表9に示す。
なお、表6及び表7の実施例1から25の防食性の評価について、表中に、塗装方法を前出のY−1〜Y−25と記載しているが、これらは、上記実施例26から50におけるカチオン電着塗装後に評価したものであるので、加熱乾燥温度「35℃」の水準は、「加熱乾燥なし(25℃)」の水準と記載している。
得られた試験板の素地に達するように塗膜にカッターナイフでクロスカット傷を入れ、これをJIS Z−2371に準じて、35℃ソルトスプレー試験を1000時間行い、カット部からの片側での錆、フクレ幅によって以下の基準で防食性を評価した。評価結果を表6から表9に示す。
評価は、A及びBが合格であり、Cが不合格である。
A:錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で1.0mm以下
B:錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で1.0mmを超え、かつ5.0mm以下
C:錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で5.0mmを超える
なお、防食性の評価は、全て塗板を水平方向に設置し、加熱乾燥したものである。






表6から9に示すように、第1カチオン電着塗装のみの場合(単層膜)及び第1及び第2のカチオン電着を塗装した場合(複層膜)の電着塗装板は、いずれも良好な防食性を得ることができた。

Claims (16)

  1. カチオン電着塗料の塗装方法であって、
    第1のカチオン電着塗料を電着塗装して未架橋の塗膜を形成し、前記未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する工程を有し、
    前記第1のカチオン電着塗料が、アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)を含む樹脂(A)と、前記樹脂(A)と10℃以上120℃以下の温度で架橋反応を行うその他の化合物(B)とを含有し、
    前記未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する温度が、10℃以上120℃以下であり、
    下記方法で測定される塗着塗料の複素粘度が、1Pa以上500Pa以下であるカチオン電着塗料の塗装方法。
    <複素粘度の測定方法>
    前記カチオン電着塗料を電着塗装して得られた前記未架橋の塗膜をヘラでかきとり、回転式レオメータを用いて、前記未架橋の塗膜を乾燥及び架橋する温度で複素粘度を測定する。
  2. 記カチオン電着塗料中に、前記アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)を樹脂固形分当たり20質量%以上80質量%以下含有し、
    前記アミノ基含有エポキシ樹脂(A−2)の数平均分子量が、800以上である請求項1に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  3. 前記カチオン電着塗料が、前記その他の化合物(B)を樹脂固形分当たり5質量%以上80質量%以下含有する請求項2に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  4. 前記その他の化合物(B)が、反応性官能基を有する化合物(B−1)を含有する請求項3に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  5. 前記その他の化合物(B)の重量平均分子量が、1000未満である請求項3又は4に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  6. 前記その他の化合物(B)の重量平均分子量が、100以上である請求項3〜5のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  7. 前記樹脂(A)成分及び前記その他の化合物(B)成分が、前記カチオン電着塗料中に別々の水分散体として存在する請求項3から6のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  8. 前記カチオン電着塗料の架橋反応が、マイケル付加反応、エポキシ基とチオール基との反応、及びアニオン重合反応から選ばれる少なくとも1種である請求項1から7のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  9. 前記カチオン電着塗料が、さらに、反応触媒(C)を含有する請求項1から8のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  10. 前記反応触媒(C)が、マイクロカプセル化触媒(C−1)である請求項9に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  11. 前記樹脂(A)及び前記その他の化合物(B)が、前記カチオン電着塗料中に別々の水分散として存在し、前記樹脂(A)及び前記その他の化合物(B)が、それぞれマイケル付加反応アクセプター成分及びマイケル付加反応ドナー成分、又は、マイケル付加反応ドナー成分及びマイケル付加反応アクセプター成分を含有するものであって、前記カチオン電着塗料の架橋反応が、マイケル付加反応を含む請求項3に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  12. 前記カチオン電着塗料を電着塗料浴として、前記電着塗料浴に金属被塗物を浸漬し、電着塗装をした後、さらに第2のカチオン電着塗料を電着塗装し、次いで120℃より高い温度で加熱硬化せしめる請求項11に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  13. 前記カチオン電着塗料を電着塗料浴として、前記電着塗料浴に金属被塗物を浸漬し、電着塗装する請求項1から10のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  14. 前記カチオン電着塗料を電着塗料浴として、前記電着塗料浴に金属被塗物を浸漬し、電着塗装後、電磁誘導加熱により乾燥及び架橋せしめる請求項1から10のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  15. 前記カチオン電着塗料の電着塗装をした後、さらに第2のカチオン電着塗料を電着塗装し、次いで120℃より高い温度で加熱硬化せしめる請求項13に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
  16. 前記カチオン電着塗料の電着塗装をした後、プレヒートをすることなく第2のカチオン電着塗料を電着塗装し、次いで120℃より高い温度で加熱硬化せしめる請求項13に記載のカチオン電着塗料の塗装方法。
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