JP6794143B2 - 噴射製品 - Google Patents

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Description

本発明は、噴射製品に関する。より詳細には、本発明は、塗布面で垂れ落ちにくい噴射製品に関する。また、本発明は、エアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に切り替え可能であり、ポンプ噴射状態では炭酸ガスの気泡を含んだ状態で内容物を噴射することのできる噴射製品に関する。
特許文献1には、原液と、原液に一部が溶解する炭酸ガスとが含まれる内容物を充填する容器本体と、容器本体に取り付けられ、容器本体から原液を取り込み、加圧するポンプ機構とを備える加圧式噴射製品が開示されている。この加圧式噴射製品は、エアゾール噴射を行うことにより原液が少なくなり噴射の勢いが弱くなると、ポンプ噴射に切り替えることができ、これにより、一定の噴射圧力で内容物を噴射する。
特開2015−182813号公報
特許文献1に記載の加圧式噴射製品は、エアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に切り替えられると、容器内の炭酸ガスが排出される。そのため、ポンプ噴射状態では、内容物には、大気圧における飽和溶解量の炭酸ガスが溶解しているのみである。その結果、特許文献1の加圧式噴射製品は、ポンプ噴射状態において噴射される内容物には炭酸ガスが少ない。また、噴射された内容物は、塗布面において垂れ落ちやすい。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、エアゾール噴射状態では噴射された後に増粘して塗布面から垂れ落ちにくく、ポンプ噴射状態では大気圧における飽和溶解量の炭酸ガスのみでなく、気泡状態の炭酸ガスも含んだ状態で噴射することができる、噴射製品を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明には、以下の構成が主に含まれる。
(1)原液と炭酸ガスとからなる内容物が充填される容器本体と、前記容器本体に取り付けられるバルブ機構と、前記バルブ機構に取り付けられる噴射部材と、を備え、前記原液は、第1のpHでは前記原液を低粘度ゲルの状態とし、前記第1のpHよりも高い第2のpHでは前記原液を増粘させて、前記低粘度ゲルよりも粘度の高い高粘度ゲルの状態とする会合型増粘剤を含み、前記バルブ機構は、炭酸ガスの圧力により前記内容物を噴射するエアゾール噴射状態と、前記内容物を加圧して噴射するポンプ噴射状態とに変位可能である、噴射製品。
このような構成によれば、エアゾール噴射状態では、原液中に炭酸ガスが加圧状態で溶解されており、内容物は、pHが低く(第1のpH)、低粘度ゲルの状態である。そのため、噴射製品は、エアゾール噴射状態では、比較的粘度が低く、炭酸ガスが高濃度で溶解している内容物を噴射し得る。噴射された内容物は、塗布面にて炭酸ガスが気化することによりpHが高められ、粘度が上昇してゲル状態となる。その結果、吐出された内容物は、塗布面にて留まりやすく、垂れ落ちにくい。また、バルブ機構は、炭酸ガスの圧力により内容物を噴射するエアゾール噴射状態と、内容物を加圧して噴射するポンプ噴射状態とに変位可能である。このような変位が行われると、噴射製品は、容器本体内の炭酸ガスが放出され、容器本体内が大気と連通し、大気圧となる。これにより、内容物中に溶解していた炭酸ガスが気化し、内容物のpHが高められ(第2のpH)、高粘度ゲルの状態となる。その結果、内容物は、大気圧における飽和溶解量の炭酸ガスが溶けているだけでなく、炭酸ガスの気泡が高粘度ゲル状態の内容物中に分散した状態となる。この炭酸ガスの気泡は粘度により内容物中での上昇が抑制されて長時間分散する。そのため、噴射製品は、ポンプ噴射状態では、粘度が高く、炭酸ガスの気泡を含有している内容物を噴射し得る。噴射された内容物は、高粘度ゲルの状態であるため、塗布面にて留まりやすく、垂れ落ちにくい。また、このように、本発明の噴射製品は、ポンプ噴射状態では、塗布面に対して、大気圧における飽和溶解量の炭酸ガスのみでなく、気泡として内容物中に分散した炭酸ガスも適用できるため、多くの炭酸ガスを塗布面に付与し得る。
(2)前記バルブ機構の変位を制御するため切替部材をさらに備える、(1)記載の噴射製品。
このような構成によれば、切替部材は、バルブ機構におけるエアゾール噴射状態とポンプ噴射状態との変位を制御し得る。そのため、本発明の噴射製品は、たとえば切替部材によって、バルブ機構がエアゾール噴射状態となるよう制御されている場合には、誤ってポンプ噴射状態に変位されることが防がれる。その結果、噴射製品は、誤動作が防がれ、利便性がよい。
(3)前記会合型増粘剤は、カルボキシル基含有ポリマーである、(1)または(2)記載の噴射製品。
このような構成によれば、カルボキシル基含有ポリマーを含む内容物は、粘度が高くてもバルブ機構や噴射部材内の通路における流動性が優れる。そのため、内容物は、噴射されやすい。
(4)前記バルブ機構は、筒状のハウジングと、前記ハウジング内に上下方向に摺動自在に収容されるステムを含むバルブ本体とを備え、前記切替部材は、前記ステムの摺動可能距離を調整することにより、前記バルブ機構を前記エアゾール噴射状態と前記ポンプ噴射状態とに切り替える、(2)または(3)記載の噴射製品。
このような構成によれば、切替部材は、ステムの摺動可能距離を調整することにより、バルブ機構による変位を制御し得る。そのため、操作者は、たとえば切替部材を操作するだけで、バルブ機構がエアゾール噴射状態となるよう機能するか、ポンプ噴射状態となるよう機能するかを調整することができる。
(5)前記バルブ本体は、前記ステムと協働して前記ハウジング内を上下方向に摺動するピストン部材をさらに備え、前記ハウジングは、前記容器本体の気相部分と、前記ハウジングの内部空間とを連通する気相連通孔が形成されており、前記ピストン部材は、前記エアゾール噴射状態において、前記気相連通孔を閉止しており、前記エアゾール噴射状態から前記ポンプ噴射状態に切り替えられた際に、前記気相連通孔を開放し、前記気相部分の炭酸ガスを前記ハウジングの内部空間を通過させて外部に放出し、前記原液は、前記ピストン部材によって前記気相連通孔が開放されて前記容器本体内の圧力が低められることにより、溶解していた前記炭酸ガスの一部が溶出され、pHが高められ、前記会合型増粘剤によるゲル化が促進される、(4)記載の噴射製品。
このような構成によれば、操作者は、ピストン部材を介した一連の操作によって、容易にエアゾール噴射状態とポンプ噴射状態とを切り替えることができる。
本発明によれば、エアゾール噴射状態では噴射された後に増粘して塗布面から垂れ落ちにくく、ポンプ噴射状態では大気圧における飽和溶解量の炭酸ガスのみでなく、気泡状態の炭酸ガスも含んだ状態で噴射することができる、噴射製品を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態の噴射製品の模式的な断面図である。 図2は、本発明の一実施形態の噴射製品のバルブ機構の拡大図である。 図3は、本発明の一実施形態の切替部材の動作を説明するための斜視図である。 図4は、本発明の一実施形態の切替部材の動作を説明するための斜視図である。 図5は、本発明の一実施形態の噴射製品がエアゾール噴射状態に変位しているバルブ機構の拡大図である。 図6は、本発明の一実施形態の噴射製品がポンプ噴射状態に変位している模式的な断面図である。 図7は、本発明の一実施形態の噴射製品がポンプ噴射状態に変位しているバルブ機構の拡大図である。
[噴射製品]
本発明の一実施形態の噴射製品について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の噴射製品1の模式的な断面図である。図2は、図1に示される本実施形態の噴射製品1のバルブ機構の拡大図である。図1および図2に示される噴射製品1は、噴射動作が行われていない状態(非噴射状態)である。本実施形態の噴射製品1は、原液と炭酸ガスとからなる内容物が充填される容器本体2と、容器本体2に取り付けられるバルブ機構3と、バルブ機構3に取り付けられる噴射部材4とを主に備える。バルブ機構3は、炭酸ガスの圧力により内容物を噴射するエアゾール噴射状態と、内容物を加圧して噴射するポンプ噴射状態とに変位可能である。また、本実施形態の噴射製品1において、エアゾール噴射状態とポンプ噴射状態との切り替えは、使用者が噴射部材4を適宜操作することにより行うことができるほか、後述する切替部材を操作することにより行うこともできる。以下、それぞれについて説明する。なお、以下に示される実施形態は一例であり、噴射製品1の構成は、エアゾール噴射状態とポンプ噴射状態とを適宜切り替えることができる構成であれば特に限定されない。
<容器本体2>
容器本体2は、内容物を充填するための容器であり、有底筒状の本体部21と、本体部21よりも小径であり本体部21の上部に一体的に設けられた筒状の首部22とを含む。首部22の上部には開口が形成されている。開口は、内容物を充填する際の充填口であり、内容物の充填後にバルブ機構3により閉止される。
容器本体2を構成する材料は、特に限定されない。容器本体2を構成する材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン等の合成樹脂やアルミニウム、ブリキなどの金属が例示される。合成樹脂を用いる場合は、たとえば、日光による内容物の劣化を防止するために紫外線吸収剤が含有されてもよく、炭酸ガスの透過を防止するために容器本体2の外表面または内面に炭素やシリカなどが蒸着されてもよい。首部22の外周には、後述するネジキャップ62と接続するための雄ネジ部23が形成されている。
<バルブ機構3>
バルブ機構3は、容器本体2内を密封し、容器本体2から原液5を取り込んで炭酸ガスの圧力で噴射するための、さらには容器本体2から原液5を取り込んで加圧するための部材である。バルブ機構3は、好適には、筒状のハウジング6と、ハウジング6内に収容されるバルブ本体7と、後述するピストン部材の上方向への変位を制御する当接部材8とを主に備える。バルブ本体7は、ハウジング6内を上下方向に摺動自在に収容されるステム71(内部ステム74および外部ステム75)を含む。本実施形態において、バルブ機構3は、エアゾール噴射を行うエアゾール噴射状態と、ポンプ噴射を行うポンプ噴射状態とに変位する可能である。エアゾール噴射状態およびポンプ噴射状態の詳細は、後述される。
(ハウジング6)
ハウジング6は、筒状のハウジング本体61と、ハウジング本体61に接続され、ハウジング本体61を容器本体2に取り付けるためのネジキャップ62とを備える。
ハウジング本体61は、容器本体2から取り込まれる原液5が通過または一時的に貯留される第1空間S1と、後述する容器本体2の気相部分に存在する気体状態の炭酸ガスが通過する第2空間S2とを内部に備える円筒状の部材である。第1空間S1と第2空間S2とは、後述するピストン部材72により区画される。ハウジング本体61は、後述する外部ステム75が出没する開口が形成された上端と、容器本体2に貯留される原液5を取り込むためのチューブ63が接続される下端とを有する。
ハウジング本体61の上端には、径方向の外側へ突出するフランジ部61aが周設されている。フランジ部61aは、容器本体2にハウジング本体61を位置決めするための部位であり、フランジ部61aの大きさ(外径)は、容器本体2の首部22の外径と略一致する。フランジ部61aの下面と首部22の上端とは、ガスケット64を介して位置決めされる。ハウジング本体61は、フランジ部61aにより位置決めされた状態において、ハウジング本体61の外周壁と容器本体2の首部22の内周壁とは離間している。
ハウジング本体61の下端近傍には、ハウジング本体61よりも径の小さな小径部61bが形成されている。小径部61bには、チューブ63が差し込まれる連結溝61cが形成されている。チューブ63は、容器本体2の内底近傍まで延びる比較的長尺の円筒状部材であり、連結溝61cに差し込まれる一端と、容器本体2に貯留された原液5中に浸漬され、原液5を取り込むための開口が形成された他端とを有する。
小径部61bの中央には、容器本体2からチューブ63を介して取り込まれる原液5をハウジング本体61の第1空間S1に導入するための液相連通孔61dが形成されている。液相連通孔61dと第1空間S1との接続箇所には、ボール弁機構65が設けられている。
ボール弁機構65は、容器本体2から第1空間S1への一方向に原液5を取り込むための弁機構である。ボール弁機構65は、ハウジング本体61の下端近傍において、ハウジング本体61の内周壁が径方向の内側へ膨出することにより形成された凹部65aと、凹部65aに落とし込まれたボール65bとを含む。ボール65bは、噴射部材4を操作しないときは自重により液相連通孔61dと第1空間S1との連通箇所を閉止する。一方、ボール65bは、バルブ機構3が後述されるエアゾール噴射を行うエアゾール噴射状態にある場合において、容器本体2内の炭酸ガスによる圧力により、原液5がチューブ63から第1空間S1内へ流入する液流によって持ち上げられ、液相連通孔61dと第1空間S1との連通箇所を開放する。また、ボール65bは、バルブ機構3が後述されるポンプ噴射を行うポンプ噴射状態にある場合において、液相連通孔61dを閉鎖しピストン部材の降下により第1空間S1内の原液を加圧して噴射し、また噴射後にピストン部材の上昇により容器本体2内の原液5が第1空間S1に取り込まれる際に発生する液流によって持ち上げられ、液相連通孔61dと第1空間S1との連通箇所を開放する。
ハウジング本体61の側周壁には、後述するピストン部材72により適宜開閉される気相連通孔61eが形成されている。気相連通孔61eは、ポンプ噴射状態に切り替える際に、第2空間S2と容器本体2の内部空間(気相部分)とを接続し、気相部分の炭酸ガスを第2空間S2を通過させて外部に放出するための孔である。また、ポンプ噴射後に容器本体内の原液が第1空間S1内に導入される際に外部の空気を容器本体内に導入するための孔である。気相連通孔61eは、非噴射状態または後述されるエアゾール噴射状態ではピストン部材72により閉止され、バルブ機構3がエアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に変位する際にピストン部材72が下方向に摺動されることにより開放される。
ネジキャップ62は、当接部材8の上面を押さえ、中央に開口が形成された円盤状の天板62aと、天板62aの外周縁から下方へ設けられた側周部62bと、天板62aの内周縁から上方へ設けられた円筒状の装着部62cとを有する。側周部62bの内周壁には、首部22の雄ネジ部23と接続するための雌ネジ部62dが形成されている。装着部62cは、内周壁において径方向内側へ周設されたカバー部62eと、外周壁において径方向の外側へ突出するよう周設された係合部62fとを備える。カバー部62eは、ハウジング本体61に対して後述する当接部材8を位置決めするため部位である。係合部62fは、噴射部材4をネジキャップ62に取り付けるための部位である。
(バルブ本体7)
バルブ本体7は、容器本体2から取り込まれた原液5を噴射部材4に送るための部材であり、ハウジング本体61内に上下方向に摺動自在に収容されるステム71と、ステム71と協働してハウジング6内を上下方向に摺動するピストン部材72と、ステム71を上方に付勢するバネ部材73とを備える。
ステム71は、非噴射状態においてピストン部材72と当接することにより、原液5が第1空間S1から外部に噴射されることを防ぐための内部ステム74と、内部ステム74の上部に装着され、ハウジング本体61の上端に形成された開口から出没する外部ステム75とからなる。内部ステム74と外部ステム75とは、同軸上に設けられており、ハウジング本体61内を一体的に上下方向に摺動する。
内部ステム74は、下向きの略椀状であり、下面にバネ部材73の上端が接続される比較的大径の椀状部74aと、椀状部74aよりも小径であり、椀状部74aの上面中央から上方に延びる円筒状の円筒部74bとを含む。
椀状部74aの上面と円筒部74bとの接続箇所には、ピストン部材72の内側摺動部76の下端が当接する環状の当接溝74hが形成されている。椀状部74aの下面には、バネ部材73の上端が挿入される。椀状部74aの外周縁には、椀状部74aの上下方向に延びる切欠き溝741aが形成されている。また、椀状部74aの下面のうち、外周縁近傍は、後述するポンプ噴射状態において、ハウジング本体61の内周面から径方向の内側に膨出した当接段部61fと当接する。ステム71は、ポンプ噴射状態において、当接段部61fと当接することにより、下方への摺動が制止される。
外部ステム75は、ハウジング61内に取り込まれた原液5がさらに通過する外部ステム内通路75aが形成されており、円錐台状のスカート部75bと、スカート部75bの上端から上方にかけて縮径された筒状部75cとを含む。筒状部75cの上端は、容器本体2から突出しており、噴射部材4が取り付けられる。筒状部75cの外径は、当接部材8の内径よりもわずかに小さい。そのため、バルブ機構3がエアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に変位する際に、容器本体2内の気相部分の炭酸ガスは、外部ステム75の外周壁と当接部材8の内周壁とにより画定される通路(ガス放出通路)が画定される。
スカート部75bの内周面には、バルブ機構3が後述するエアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に変位する際に、ピストン部材72に押し当てられる当接段部75dが形成されている。スカート部75bの内径は、円筒部74bの外径よりも大きい。そのため、スカート部75bの内周壁と円筒部74bの外周壁とは離間される。このように離間されて形成された空間には、後述するピストン部材72の上部内側摺動部76aが挿入される。
筒状部75cの内径は、円筒部74bの外径と同程度である。そのため、外部ステム75は、円筒部74bの上部を筒状部75cの下端側から挿入することにより内部ステム74に装着される。
ピストン部材72は、ハウジング本体61の内部空間を第1空間S1と第2空間S2とに区画するとともに、第1空間S1と第2空間S2とを適宜連通させるとともに、気相連通孔61eを適宜開閉するための部材である。ピストン部材72は、内部ステム74および外部ステム75と適宜協働してハウジング本体61内を上下方向に摺動する。ピストン部材72は、内部ステム74の外周壁に沿って摺動する内側摺動部76と、ハウジング本体61の内周壁に沿って摺動する外側摺動部77と、内側摺動部76と外側摺動部77とを連結する連結環78とを含む。連結環78は、内側摺動部76と外側摺動部77との中心近傍をつなぐ。
内側摺動部76は、第1空間S1と第2空間S2とを適宜連通させるための部位であり、連結環78との接続箇所の上部に相当する上部内側摺動部76aと、連結環78との接続箇所の下部に相当する下部内側摺動部76bとを含む。
上部内側摺動部76aの上端は、内部ステム74の外周壁と外部ステム75のスカート部75bの内周壁との間に形成される空間に挿入され、バルブ機構3が非噴射状態からエアゾール噴射状態に変位する際に外部ステム75および内部ステム74が下方向へ摺動されると、内部ステム74の外周壁と外部ステム75の内周壁とにより形成される空間により深く挿入される。なお、エアゾール噴射状態からポンプ噴射状態へ変位する際には、ピストン部材72は、下部内側摺動部76bを当接溝74hと当接させ、その後、ステム71と一体的に下方に摺動する。
下部内側摺動部76bは、バネ部材73により内部ステム74が上方向に付勢されると、椀状部74aの当接溝74h近傍と下端とが当接し、上方向に付勢される。
外側摺動部77は、気相連通孔61eを適宜開閉する円柱状の部材であり、ハウジング本体61の内周壁に沿って摺動する。また、外側摺動部77は、連結環78との接続箇所の上部に相当する上部外側摺動部77aと、連結環78との接続箇所の下部に相当する下部外側摺動部77bとを含む。
上部外側摺動部77aの上端は、バネ部材73により内部ステム74を介して上方向に付勢されると、後述する当接部材8の下端と当接する。
連結環78は、内側摺動部76と外側摺動部77とを連結する部位である。
ピストン部材72を構成する材料としては、合成樹脂、シリコーンゴム、合成ゴム等の弾性力のある材料が例示される。
バネ部材73は、ステム71を上方に付勢するための部材であり、椀状部74aの下面と接続される上端と、凹部65aの周囲に取り付けられる下端とを有する。バネ部材73は、ハウジング本体61内において圧縮した状態で配置されており、内部ステム74を上方に付勢する。また、バネ部材73の下端は、ボール65bの径よりも小さくなるよう、径方向の内側に向かって縮径されている。これにより、後述するエアゾール噴射状態およびポンプ噴射状態において容器本体2から原液5から取り込まれる際の液流によりボール65bが上方向に押し上げられた場合であっても、ボール65bは、バネ部材73の下端によって制止される。
このように構成されたバルブ本体7は、ネジキャップ62の雌ネジ部62dを容器本体2の雄ネジ部23に螺合させることにより、容器本体2に固定される。
(当接部材8)
当接部材8は、ハウジング本体61の開口部に嵌入されてステム71と当接してステムを位置決めし、さらにピストン部材72の上部外側摺動部77aの上端と当接してピストン部材を位置決めする部材である。これら当接部材8、ステム71およびハウジング本体61は、いずれも、たとえばガスケット等によって閉止されていない。そのため、気相連通孔61eを介して容器本体2の気相から取り込まれた炭酸ガスは、当接部材8およびハウジング本体61のわずかな間隙や、当接部材8およびステム71のわずかな間隙等から、外部に放出され得る。
当接部材8は、ネジキャップ62の裏面と接触する天面部81と、ハウジング本体61の開口部に嵌入される筒状の当接脚部82とを含む。天面部81は、ネジキャップ62の裏面と、ハウジング本体61のフランジ部61aとによって挟持される。これにより、当接部材8は、位置決めされる。当接脚部82の下端は、上部外側摺動部77aの上端と当接し、非噴射状態でのピストン部材72の位置を規定する。
<噴射部材4>
噴射部材4は、外部ステム75に装着される噴射ノズル41と、ネジキャップ62に装着される操作部42とを含む。
噴射ノズル41は、L字型の筒状体であり、筒状部75cの上端と接続される一端と、先端ノズル43が接続される他端とを備える。噴射ノズル41の外周壁には、後述するレバー42bの本体部42hに形成された軸受に軸支される回動軸41aが設けられている。噴射ノズル41の一端の下面41cには、係止溝41b(図3参照)が形成されている。係止溝41bは、バルブ機構3が後述されるエアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に変位する際に切替部材9の係止突起95を係止するために設けられている。係止溝41bの深さは、係止突起95の高さと同程度である。
先端ノズル43は、原液5の噴射方向や噴射形状等を調整するための治具であり、噴射ノズル41に接続される一端と、原液5が噴射される噴射孔43aが形成された他端とを備える。本実施形態の噴射製品1は、先端ノズル43にメカニカルブレークアップ機構を備えたノズルチップ43bが装着されている。メカニカルブレークアップ機構は、原液5を広範囲に均一に噴霧するための機構であり、原液5に旋回力を与えて適度な大きさに微細化するための溝(チャンネル)を有する。
操作部42は、第1空間S1に貯留される原液5を噴射するためにステム71を摺動させるための部位であり、装着部62cに装着されるレバー支持部42aと、レバー支持部42aに軸支されたレバー42bとを含む。
レバー支持部42aは、円筒状の本体部42cと、本体部42cの側壁から突出する支持アーム42dとを備える。本体部42cは、装着部62cが挿入される環状溝42eが形成されており、環状溝42eの内面には、装着部62cの係合部62fが係合する係合溝42fが形成されている。レバー支持部42aは、環状溝42eに装着部62cが挿入され、係合部62fと係合溝42fとが係合されることにより、ネジキャップ62に装着される。支持アーム42dの上端近傍には、後述するレバー42bに設けられる軸受(図示せず)に軸支される回動軸42gが形成されている。
レバー42bは、使用者が噴射時に操作する部位であり、支持アーム42dに軸支される軸受が形成された一端と、先端ノズル43が露出される他端とを含む本体部42hと、本体部42hの他端から下方に延設されたトリガー部42iとを含む。本体部42hは、中央部分に、回動軸41aが軸支される軸受(図示せず)が形成されている。トリガー部42iは、噴射時に使用者によって操作される。
このように構成された噴射部材4によれば、使用者がトリガー部42iを引くことにより、レバー42bは回動自在に軸支された後端を基点として回動し、かつ、中央部分に形成された軸受を介して噴射ノズル41を下方に押し下げる。
<切替部材9>
切替部材9は、バルブ機構3を後述する非噴射状態、エアゾール噴射状態およびポンプ噴射状態に変位させる際に好適に使用される治具である。また、切替部材9は、ステム71の摺動可能距離を調整することにより、バルブ機構3をエアゾール噴射状態とポンプ噴射状態とに切り替えるための治具である。図1および図2に加え、図3を参照して、本実施形態の切替部材9が説明される。図3は、切替部材9の動作を説明するための斜視図である。なお、本実施形態において切替部材9は、必須ではない。
切替部材9は、本体部42cに装着するための円筒状の装着部91と、噴射ノズル41の一端と当接して噴射ノズル41の下方向への移動を適宜制止するための円筒状の当接部92とからなる本体部90と、本体部90の外周壁において径方向の外側に膨出するよう形成された板状の操作部93とを備える。本体部90の外周壁には、一部が切り欠かれた切欠部94が形成されている。装着部91と当接部92とは、外径が同程度であり、一体的に形成されている。また、装着部91の中心孔91aの径は、当接部92の中心孔92bの径よりも大きく、本体部42cの外径と同程度である。そのため、装着部91は、切欠部94を介して本体部42cに嵌め込むことにより本体部42cに取り付けることができる。一方、当接部92の中心孔92bの径は、外部ステム75の外径よりもわずかに大きい。そのため、装着部91を本体部42cに装着することによって切替部材9を本体部42cおよび外部ステム75の外周に取り付けた場合に、中心孔92bを画定する内周縁は、外部ステム75の外周壁と接触しない。これにより、外部ステム75は、上下方向に摺動される際に、切替部材9(当接部92)により摺動が阻害されることがない。
当接部92の上面92aには、係止突起95が形成されている。係止突起95は、噴射ノズル41の一端の下面に形成された係止溝41bに適宜係合される。
切替部材9は、いくらか弾性を有する樹脂からなる。そのため、切替部材9は、切欠部94を押し広げて、装着部91を本体部42cに嵌め込むことにより、容易に本体部42cおよび外部ステム75の外周に取り付けることができる。同様に、切替部材9は、切欠部94を押し広げて、本体部42cから容易に取り外すことができる。
当接部92は、切替部材9が本体部42cに取り付けられた状態において、噴射ノズル41の一端側の下面41cと本体部42cの上面との間に挟まれるように配置される。そのため、噴射ノズル41は、下面41cと係止突起95の上面とが当接することにより下方向への移動が規制される。
操作部93は、使用者が切替部材9を操作する際に指先同士で摘まむ部位である。使用者は、操作部93を操作することにより、切替部材9を本体部42cおよび外部ステム75の軸周りに回動させることができる。切替部材9を操作して非噴射状態、エアゾール噴射状態およびポンプ噴射状態にそれぞれ切り替える方法については後述される。
(内容物)
内容物は、容器本体2に充填され、原液5と炭酸ガスとを含む。原液5は、噴射部材4が操作されることにより、容器本体2からバルブ機構3に供給される。具体的には、原液5は、チューブ63の下端から取り込まれ、第1空間S1を通過または第1空間S1に一時的に貯留された後、外部ステム75の外部ステム内通路75a、噴射ノズル41のノズル内通路41dに供給され、噴射孔43aより噴射される。
・原液5
原液5は、会合型増粘剤を含む。会合型増粘剤は、第1のpHでは原液5を低粘度ゲルの状態とする性質を有し、第1のpHよりも高い第2のpHでは原液を増粘させて、低粘度ゲルよりも粘度の高い高粘度ゲルの状態とする性質を有する増粘剤である。このような会合型増粘剤は、第1のpHでは原液5を低粘度ゲルの状態にして噴射しやすくし、第2のpHでは高粘度ゲルの状態にして気泡の上昇を抑制し長時間分散させるために配合される。また、会合性増粘剤は、第1のpHで噴射された後に、塗布面において液だれを防止し付着性を維持する等の目的で配合される。なお、本実施形態において、「低粘度ゲル」とは、たとえば20℃における粘度が100mPa・sを超え、20000mPa・s以下であるようなゲルをいう。このような低粘度ゲル状態の原液5は、後述する炭酸ガスの圧力により噴射することができる。また、本実施形態において、「高粘度ゲル」とは、たとえば20℃における粘度が30000mPa・s以上であるようなゲルをいう。このような高粘度ゲル状態の原液5は、炭酸ガスの気泡を長く分散させることができる。さらに、本実施形態において、第1のpHおよび第2のpHの範囲としては特に限定されない。これらpHは、原液5中に添加される有効成分や、充填される炭酸ガスの量、会合型増粘剤の種類、含有量等によって適宜変動し得る。一例を挙げると、第1のpHは、20℃において2〜6、さらには3〜5程度である。また、第2のpHは、20℃において5〜9、さらには5.5〜8程度(ただし、第2のpHは、第1のpHよりも高い)である。
具体的には、会合型増粘剤は、カルボキシビニルポリマーなどのカルボキシル基含有ポリマー、(アクリル酸/イタコン酸ステアレス)コポリマー、(アクリル酸/イタコン酸セテス)コポリマー、アクリル酸/アミノアクリレート/C10−30アルキルPEG−20イタコン酸)コポリマーなどのアクリル酸とイタコン酸エステルの共重合体等が例示される。これらの中でも、特にエアゾール容器内と外気との圧力差により流動しやすくなり、バルブ機構や噴射部材内の通路における流動性が優れ噴射しやすい点から、会合型増粘剤は、カルボキシル基含有ポリマーであることが好ましい。
会合型増粘剤の含有量は、原液5中、0.1質量%(固形分基準)以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。また、会合型増粘剤の含有量は、3.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましい。会合型増粘剤の含有量が0.1質量%未満の場合、得られる原液5の粘度が低く、塗布面に噴射された後、垂れ落ちやすい傾向がある。さらに、会合型増粘剤の含有量が0.1質量%未満の場合、ポンプ噴射状態にしてゲル状態に戻った際に内容物中で発生した気体の炭酸ガスが短時間で浮上しやすくなり、炭酸ガスを高濃度で噴射しにくくなる。一方、会合型増粘剤の含有量が3.0質量%を超える場合、炭酸ガスが原液に溶解して第1のpHに調整された場合であっても、原液5の粘度が低下しにくく低粘度ゲルの状態にならず、炭酸ガスの圧力では噴射しにくくなる傾向がある。
また、原液5は、会合型増粘剤を配合する際の溶媒として、水性溶媒を好適に含む。また、水性溶媒は、会合型増粘剤のほか、適宜、後述する有効成分を配合する際の溶媒として含まれる。
水性溶媒としては、精製水、イオン交換水などの水、エタノール、イソプロパノールなどの1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、およびこれらの混合物等が例示される。これらの中でも、会合型増粘剤の溶解性が優れ、所定の粘度に調整しやすい点から、水性溶媒は、水を60質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましい。また、水性溶媒は、水のみであることが好ましく、水を99.5質量%以下含むことがより好ましい。
水性溶媒の含有量は、原液5中、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましい。また、水性溶媒の含有量は、原液5中、99.8質量%以下であることが好ましく、99.5質量%以下であることがより好ましい。水性溶媒の含有量が80質量%未満である場合、会合型増粘剤は、水性溶媒に溶解しにくく、原液5が所定の粘度に調整されにくく、原液の安定性が低下しやすい傾向がある。一方、水性溶媒の含有量が99.8質量%を超える場合、後述する有効成分等を配合しにくくなり、所望の効果が得られにくくなる傾向がある。
本実施形態において、原液5は、pH調整剤、緩衝液、有効成分、指示薬、油分、界面活性剤、パウダー等が含まれてもよい。
pH調整剤は、原液5のpHを特定の範囲に調整して会合型増粘剤を会合させて原液5の粘度を調整するために適宜配合される。pH調整剤としては特に限定されない。一例を挙げると、pH調整剤は、トリエタノールアミン(TEA)、ジエタノールアミン(DEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)などの有機アルカリ、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ等である。pH調整剤が含有されることにより、原液5のpHは、5〜10(好ましくは5.5〜9)に調整され、原液5の粘度が調整され得る。
緩衝液は、ポンプ噴射状態に切り替えて気相の炭酸ガスを外部に排出した際に急激なpH変動を防止して安定に原液の粘度を上昇させるために適宜配合される。緩衝液としては、クエン酸ナトリウム水溶液、クエン酸水溶液などがあげられる。
有効成分としては、塩化カルプロニウムやトウガラシチンキなどの血行促進剤、酢酸トコフェロールやパンテノールなどのビタミン類、サリチル酸やレゾルシンなどの角質溶解剤、センブリ抽出液やローズマリー抽出液などの各種抽出物、ミントやメントールなどの清涼剤、塩化セチルピリジニウムやイソプロピルメチルフェノールなどの殺菌消毒剤、グリチルリチン酸ジカリウムやトラネキサム酸などの抗炎症剤、キシリトールなどの甘味料、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ヒアルロン酸などの保湿剤、香料、エデト酸二ナトリウムなどのキレート剤、パラベン、フェノキシエタノール、メチルイソチアリゾンなどの防腐剤、各種オイル成分等が例示される。
指示薬としては、ブロモチモールブルー(BTB)、メチルレッド等が例示される。
油分としては、炭化水素油、エステル油、シリコーンオイル、油脂、高級アルコール、高級脂肪酸、ロウ類などが例示される。
界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEアルキルエーテル、POE・POPアルキルエーテルなどのノニオン性界面活性剤、脂肪酸石鹸などのアニオン性界面活性剤、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ラウリルベタインなどの両性界面活性剤、N−アシルグルタミン酸塩などのアミノ酸系界面活性剤、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコン系界面活性剤等が例示される。
パウダーは、制汗効果、収斂効果、日焼け止め効果等を付与するためや、使用感を向上させるための補助剤等として用いられる。パウダーとしては、クロルヒドロキシアルミニウムなどの制汗剤、酸化チタン、酸化亜鉛などの紫外線散乱剤、ゼオライトなどの発熱剤、シクロペンタシロキサン・ジメチコンクロスポリマーや(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーなどのシリコーンパウダー、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルなどの樹脂パウダー、タルク、シリカなどが例示される。
原液5を調製する方法は特に限定されない。一例を挙げると、原液5は、会合型増粘剤を水性溶媒の一部に溶解させてゲル基剤を調製し、pH調整剤を水性溶媒の残部に溶解させてpH調整液を調製し、ゲル基剤にpH調整液を滴下・混合することにより増粘させて調製することができる。この場合、得られる原液5の20℃における粘度は、30000mPa・s以上であることが好ましく、40000mPa・s以上であることがより好ましい。また、原液5の20℃における粘度は、150000mPa・s以下であることが好ましく、130000mPa・s以下であることがより好ましい。原液5の粘度が30000mPa・s未満である場合、ポンプ噴射状態にして内容物中で発生した気体の炭酸ガスが短時間で浮上しやすくなり、炭酸ガスを高濃度で噴射しにくくなる。一方、原液5の粘度が150000mPa・sを超える場合、炭酸ガスが充填されることによりpHが低下している第1状態であっても、原液5は、粘度が高く低粘度ゲルの状態になりにくく、噴射されにくい傾向がある。
・炭酸ガス
炭酸ガスは、容器本体2の気相部分に所定の圧力に圧縮された状態で主に存在し、原液5を加圧する。また、本実施形態において、炭酸ガスは、原液5中に溶解されることにより、原液5を第1のpHにして粘度を低下させて低粘度ゲルの状態とし、内容物を噴射しやすくするために配合される。また、炭酸ガスは、噴射された後、噴射された内容物中に溶解していた炭酸ガスが気化して、塗布面等で原液5のpHを高め、粘度を上げる。そのため、炭酸ガスは、塗布面に付着した内容物を垂れ落ちにくくすることができる。
さらに、本実施形態の噴射製品1は、バルブ機構3が後述するエアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に切り替えられることにより、容器本体2内の気相部分に存在する炭酸ガスが外部に放出され、容器本体2内が大気圧となる。その結果、原液5中に溶解していた炭酸ガスの一部が気化して多数の気泡が発生する。原液5中に溶解していた炭酸ガスが減ると、原液5のpH(第2のpH)が気化前における第1のpHと比較して高くなり、会合型増粘剤の会合が進み、内容物が高粘度ゲルの状態となる。このような高粘度ゲルの状態の内容物中には、気化した炭酸ガスの気泡の上昇が抑制されて分散状態で維持され得る。また、このような内容物は、ポンプ噴射の操作が行われることによって噴射され得る。噴射された内容物は、原液5中に溶解している炭酸ガスだけでなく、気泡状態で分散している炭酸ガスも含まれる。そのため、本実施形態の噴射製品1によれば、ポンプ噴射を行うことによって、塗布面に多くの炭酸ガスを付与することができる。すなわち、本実施形態の噴射製品1は、炭酸ガスによって低pH(第1のpH)に調整されていた原液5を、エアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に切り替えることにより炭酸ガスを気化させ、pHを第2のpHに高めることにより、低粘度ゲルの状態から高粘度ゲルの状態に変化させることを特徴とする。
炭酸ガスが充填された後の容器本体2の内圧(平衡圧力(25℃でのゲージ圧))は、0.2MPa以上であることが好ましく、0.3MPa以上であることがより好ましい。また、容器本体2の内圧は、1.0MPa以下であることが好ましく、0.9MPa以下であることがより好ましい。容器本体2の内圧が0.2MPa未満である場合、原液5中に溶解する炭酸ガスの量が少なく、原液5の粘度を充分に低下することができず、エアゾール噴射状態において、内容物を噴射しにくくなる傾向がある。一方、容器本体2の内圧が1.0MPaを超える場合、エアゾール噴射状態において、原液5の噴射が強くなり過ぎる傾向がある。
なお、本実施形態の噴射製品1は、炭酸ガスのほか、窒素、圧縮空気、亜酸化窒素、水素およびこれらの混合物等の圧縮ガスが充填されてもよい。
<バルブ機構3の変位の一例>
次に、上記構成の噴射製品1を用いて原液5を噴射する場合におけるバルブ機構3の変位が、図1〜図3に加えて図4〜図6を参照して説明される。図4は、切替部材9の動作を説明するための斜視図である。図5は、エアゾール噴射を行うエアゾール噴射状態に変位しているバルブ機構3の模式的な拡大図である。図6は、バルブ機構3がポンプ噴射を行うポンプ噴射状態に変位している噴射製品1の模式的な断面図である。図7は、ポンプ噴射を行うポンプ噴射状態に変位しているバルブ機構3の模式的な拡大図である。
(非噴射状態)
まず、原液を噴射しない非噴射状態(噴射前の状態)では、図1に示されるように、切替部材9は、当接部92(図3参照)が本体部42cに嵌め込まれている。また、切替部材9は、係止突起95が噴射ノズル41の下面41cと当接するように適宜回動されている。この状態では、噴射ノズル41は、下方向に移動することができない。その結果、バルブ機構3は、バネ部材73により内部ステム74、外部ステム75およびピストン部材72が上方へ付勢された状態で維持される。この場合、内部ステムの当接溝74hがピストン部材の下部内側摺動部76bの下端に強く当接してシール部を形成し第1空間S1と第2空間S2との連通が遮断されており、かつ、気相連通孔61eが閉止されている。そのため、原液5は噴射されない。また、噴射ノズル41は、下方向に移動することができないため、原液は、誤って噴射されることがない。
(エアゾール噴射状態)
一方、図4に示されるように、切替部材9の係止突起95が係止溝41bと対応する位置まで回動されると、バルブ機構3は、非噴射状態からエアゾール噴射を行うエアゾール噴射状態に容易に変位することができる。具体的には、図4に示されるように、係止突起95が係止溝41bと対応する位置まで回動されると、使用者はトリガー部42iを操作することができる。これにより噴射ノズル41が下方向に可能な範囲で押し下げられると、係止突起95は、係止溝41b内に挿入され、係止される。その結果、内部ステム74と外部ステム75とは、一体となって下方へ摺動する。このときピストン部材72は外部ステム75と当接しないため移動せず、内部ステム74と外部ステム75とが、係止溝41bの深さ分(係止突起95の高さ分)だけ下降する。その結果、図5に示されるように、この変位により、ピストン部材の下部内側摺動部76bの下端は、内部ステム74の当接溝74hから離れる。これにより、第1空間S1と第2空間S2とは連通される。すなわち、容器本体2内と外部とが連通される。なお、この際、気相連通孔61eは、ピストン部材72の上部外側摺動部材77aによって閉止されたままである。容器本体2内と外部とが連通されると、容器本体2内は炭酸ガスにより加圧されているため、炭酸ガスにより加圧されている原液5がボール65bを上方向に持ち上げて、第1空間S1に供給される。さらに、この原液5は、第2空間S2に供給され、外部ステム内通路75aを通過して、噴射孔43a(図1参照)より噴射される。このように、エアゾール噴射状態では、原液5は、炭酸ガスによる加圧力により連続的に噴射される。図5において、矢印A1は、容器本体2から取り込まれる原液5の流れを示している。
噴射された内容物は、内容物中に溶解していた炭酸ガスが気化する。これにより、内容物のpH(第2のpH)は、容器本体2内に充填されていた際のpH(第1のpH)よりも高くなる。その結果、噴射された内容物は、原液に含まれる会合性増粘剤の会合が亢進され、ゲル状態となる。したがって、内容物は、塗布面に付着したまま留まりやすく、垂れ落ちにくい。
ところで、エアゾール噴射状態では、炭酸ガスによる加圧力で原液5を噴射するため、使用を続けることにより原液5が減少し、容器本体2の気相部分の容積が増える。この場合、炭酸ガスによる加圧力が低下することとなる。炭酸ガスによる加圧力が低下すると、原液5は、充分な噴射圧で噴射されにくくなる。そこで、本実施形態の噴射製品1は、バルブ機構3をエアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に変位させることにより、原液5をポンプ噴射することができる。
(ポンプ噴射状態への切り替え)
切替部材9(図3、4参照)が取り外されると、バルブ機構3は、エアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に容易に変位することができる。具体的には、図6に示されるように、切替部材9が取り外されると、使用者はトリガー部42i(図1参照)をさらに操作することができ、噴射ノズル41は、エアゾール噴射状態(図5参照)からさらに下方向に可能な範囲で押し下げられる。この際、図7に示されるように、内部ステム74と外部ステム75とは、スカート部75bの当接段部75dがピストン部材72の上部内側摺動部76aの上端に当接するまで一体となって下方へ摺動し、その後、内部ステム74、外部ステム75およびピストン部材72が一体となってさらに下方へ摺動する。この変位により、気相連通孔61eが上部外側摺動部77aの外周壁による閉止から開放される。これにより、容器本体2内の気相部分に存在する炭酸ガスが外部に放出され、容器本体2内が大気圧となる。矢印A2は、容器本体2の気相から外部に放出される炭酸ガスの流れを示している。その結果、原液5中に溶解していた炭酸ガスの一部が気化して多数の気泡が発生する。原液5中に溶解していた炭酸ガスが減ると、原液5のpH(第2のpH)は、気化前のpH(第1のpH)と比較して高くなる。その結果、原液5中の会合型増粘剤の会合が進み、内容物がゲル状態となる。このようなゲル状態の内容物中には、気化した炭酸ガスの気泡が分散状態で維持され得る。
(ポンプ噴射状態)
本実施形態の噴射製品1は、ポンプ噴射状態で、図6に示されるように、使用者がトリガー部42iを操作すると、ピストン部材が下方に摺動して第1空間S1の容積が大きく減少する。この際、ボール65bは、第1空間S1の容積の減少による下方向への付勢によって沈み、液相連通孔61dを閉止する。その結果、第1空間S1に貯留されていた原液(図示せず)は、加圧され、第2空間S2に供給され、外部ステム内通路75aを通過して、噴射孔43a(図1参照)より噴射される。噴射された原液5には、原液5中に溶解している炭酸ガスだけでなく、気泡状態で分散している炭酸ガスも含まれる。そのため、本実施形態の噴射製品1によれば、ポンプ噴射を行うことによって、塗布面に多くの炭酸ガスを付与することができる。
その後、使用者によるトリガー部42iの操作が止められると、復帰動作および第1空間S1への原液の取り込み動作が開始される。すなわち、バネ部材73の付勢力により、内部ステム74および外部ステム75、ピストン部材72は、上方へ押し上げられて元の位置に戻され、第1空間S1と第2空間S2との連通が再び閉止される。また、気相連通孔61eは、上部外側摺動部77aの外周壁により再び閉止される。なお、内部ステム74、ピストン部材72および外部ステム75の上方への摺動は、上部外側摺動部77aの上端が当接部材8の当接脚部82の下端と当接することにより制止される。
このように、バネ部材73により、内部ステム74、外部ステム75およびピストン部材72が一体となって押し上げられる際、第1空間S1と第2空間S2との連通は閉止されている。そのため、ボール65bも上方へ移動し、液相連通孔61dと第1空間S1とを連通箇所を開放し、第1空間S1には、容器本体2から新たに一定量の原液5が取り込まれる。
以上、本実施形態の噴射製品1は、エアゾール噴射状態では、原液中に炭酸ガスが加圧状態で溶解されており、内容物は、pHが低く(第1のpH)、低粘度ゲルの状態である。そのため、噴射製品1は、エアゾール噴射状態では、比較的粘度の低い内容物を噴射し得る。噴射された内容物は、塗布面にて炭酸ガスが気化することによりpHが高められ、ゲル状態となる。その結果、吐出された内容物は、塗布面にて留まりやすく、垂れ落ちにくい。また、バルブ機構は、炭酸ガスの圧力により内容物を噴射するエアゾール噴射状態と、内容物を加圧して噴射するポンプ噴射状態とに変位可能である。このような変位が行われると、噴射製品1は、容器本体内の気相にある炭酸ガスが放出され、容器本体内が大気と連通し、大気圧となる。これにより、内容物中に溶解していた炭酸ガスが気化し、内容物のpHが高められ(第2のpH)、高粘度ゲルの状態となる。その結果、内容物は、大気圧における飽和溶解量の炭酸ガスが溶けているだけでなく、炭酸ガスの気泡がゲル状態の内容物中に分散した状態となる。そのため、噴射製品1は、ポンプ噴射状態では、粘度の高い内容物を噴射し得る。噴射された内容物は、高粘度ゲルの状態であるため、塗布面にて留まりやすく、垂れ落ちにくい。また、このように、本発明の噴射製品1は、ポンプ噴射状態では、塗布面に対して、大気圧における飽和溶解量の炭酸ガスのみでなく、気泡として内容物中に分散した炭酸ガスも適用できるため、多くの炭酸ガスを塗布面に付与し得る。
<噴射製品1の製造方法>
(第1の実施形態)
本発明の一実施形態の噴射製品1の製造方法は、上記した噴射製品1を製造する方法であり、原液充填工程と、炭酸ガスによるpH調整工程とを含む。なお、本実施形態の噴射製品1の製造方法は、これら原液充填工程と炭酸ガスによるpH調整工程とを含んでいればよく、他の工程は特に限定されない。
・原液充填工程
原液充填工程は、調製後のゲル状態の原液5を容器本体2に充填する工程である。原液5は、容器本体2の開口から、容器本体2内に充填され得る。なお、原液5は、容器本体2にゲル基剤とpH調整液を別々に充填し、容器本体内で増粘させてゲル状態にしてもよい。
・炭酸ガスによるpH調整工程
炭酸ガスによるpH調整工程は、炭酸ガスを充填し、原液5の調製後のpHを第1のpHに下げ、原液5を低粘度ゲルの状態に変化させる工程である。炭酸ガスを充填する方法は特に限定されない。一例を挙げると、炭酸ガスは、容器本体2の開口を閉止するためにバルブ機構3を取り付けた後、ステム71と当接部材8との隙間等から充填し得る。また、炭酸ガスをアンダーカップ充填した後にバルブ機構3を取り付けて密封してもよい。
pH調整工程を経た容器本体2には、バルブ機構3に噴射部材4が取り付けられる。これにより、噴射製品1が作製され得る。
以上、本実施形態の噴射製品1の製造方法によれば、炭酸ガスを充填することによって原液のpHを下げ、これにより、エアゾール噴射の可能な低粘度ゲルの状態の内容物が加圧充填された噴射製品1を製造することができる。得られた噴射製品1によれば、エアゾール噴射状態では、噴射された後に増粘して塗布面から垂れ落ちにくい噴射物が得られる。また、ポンプ噴射状態では大気圧における飽和溶解量の炭酸ガスのみでなく、気泡状態の炭酸ガスも含んだ状態で噴射することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
(実施例1)
以下の処方にしたがって原液A、原液B、原液Cを調製し、混合した。得られた原液230gをポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した。耐圧容器の開口部に図1に示すバルブ機構を取り付け、ステムから炭酸ガスを充填して飽和圧力を0.4MPa(25℃)に調整した。バルブ機構に噴射部材を取り付け、噴射製品を製造した。なお、原液の外観は青緑色透明ゲルであり、pHは7.8であり、粘度は97,000(mPa・s)であった。
(原液A) ゲル基剤
カルボキシビニルポリマー 1.5
1,3−ブチレングリコール 5.0
メチルシソチアリゾン 0.1
精製水 93.4
合計 100.0(質量%)
(原液B) pH調整液
水酸化ナトリウム 0.5
精製水 99.5
合計 100.0(質量%)
(原液C) 緩衝液
クエン酸ナトリウム 0.1質量%水溶液 98.5
クエン酸 0.1質量%水溶液 1.5
合計 100.0(質量%)
(原液)
原液A 40.0
原液B 55.0
原液C 4.3
指示薬(BTB溶液) 0.7
合計 100.0(質量%)
(実施例2)
以下の処方の原液Dを用いたこと以外は実施例1と同様にして噴射製品を製造した。なお、原液の外観は青緑色透明ゲルであり、pHは7.5であり、粘度は70,000(mPa・s)であった。
(原液D)
カルボキシビニルポリマー 1.5
1,3−ブチレングリコール 5.0
エタノール 20.0
メチルシソチアリゾン 0.1
精製水 73.4
合計 100.0(質量%)
(比較例1)
原液として精製水に適量のBTBを添加したものを用いたこと以外は実施例1と同様にして噴射製品を製造した。なお、原液のpHは7.5であり、粘度は1(mPa・s)であった。
エアゾール噴射状態の性状について評価した。なお、評価に際して、第1のpHおよび第1の粘度は、以下の方法により算出した。
(第1のpH)
精製水にBTBを適量添加し、これにpH調整剤(クエン酸、炭酸水素ナトリウム)にて所定のpHに調整して、pH確認用の基準溶液を調整した。また、この基準溶液の色を基準色とした。同様の方法にて、いくつかの基準色を示すようpHに調整した複数の基準溶液を調整した(調整した基準溶液のpHは、3〜8であった)。これらに対して、上記実施例および比較例で調整した噴射製品を用いて、エアゾール噴射状態における内容物の色と、上記複数の基準溶液の色とを比較し、それぞれの実施例および比較例のpHを求め、第1のpHとした。
(第1の粘度)
精製水にカルボキシビニルポリマーとトリエタノールアミンを添加して所定の複数の粘度に調整したゲルを調製した。得られた複数のゲルの20℃における粘度を基準粘度とした。これらのゲルをそれぞれポリエチレンテレフタレート製耐圧容器に充填した(調整した基準粘度は1000〜100000mPa・sとした)。これらとは別に、上記実施例および比較例で調整した噴射製品に関して、エアゾール噴射状態の内容物が充填されたポリエチレンテレフタレート製耐圧容器を45度傾けた。上記複数のゲルの粘度の中から、同様の流動性を示すゲルを選定し、第1の粘度とした。
(噴射状態)
垂直に立てたガラス板に対して、噴射孔が30cm離れる位置からエアゾール噴射状態で1秒間噴射したときの状態を評価した。
○:内容物は、ガラス板に付着して粘度上昇した。
×:内容物は、ガラス板に付着したが、すぐに垂れ落ちた。
エアゾール噴射にて原液を100g噴射したのち、ポンプ噴射状態に切り替えて、気相の炭酸ガスを排出した後の性状(気泡の分散性および噴射状態)について評価した。なお、評価に際して、第2のpHおよび第2の粘度は、以下の方法により算出した。
(第2のpH)
第1のpHと同様にして、ポンプ噴射状態の内容物の色に近い基準色を選択し、これを第2のpHとした。
(第2の粘度)
第1の粘度と同様にして、ポンプ噴射状態の内容物が充填されているポリエチレンテレフタレート製耐圧容器を45度傾けたときの流動性を元に、第2の粘度を算出した。
(気泡分散性)
エアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に切り替えた後、25℃の恒温室に静置して気泡の分散性を評価した。
◎:気泡は、2週間後でも、試験開始直後と気泡の状態はほとんど変わらず分散していた。
○:気泡は、試験開始直後に比べて少なくなったが、2週間後でも分散していた。
×:気泡は、試験開始直後に消失した。
(噴射状態)
垂直に立てたガラス板に対して、噴射孔が30cm離れる位置からポンプ噴射状態でトリガー部を1回噴射操作したときの状態を評価した。
○:内容物は、ガラス板に付着して粘度上昇した。
×:内容物は、ガラス板に付着したが、すぐに垂れ落ちた。
Figure 0006794143
Figure 0006794143
表1および表2に示されるように、実施例1および実施例2の噴射製品では、エアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に切り替えられることにより、原液のpHが第1のpHから第2のpHに高まり、原液中の会合型増粘剤(カルボキシビニルポリマー)の会合が進行して、内容物は低粘度ゲルから高粘度ゲルになった。その結果、発生した炭酸ガスの気泡が分散し続けた。なお、ポンプ噴射状態の内容物のpHは原液調合後のpH(7.5)よりも約1低く、外観も酸性側の色を呈しており、炭酸ガスが溶解されていることがわかった。また、粘度も原液状態よりも低いため、実施例1および実施例2の噴射製品は、ポンプ噴射することができた。これらの噴射製品は、エアゾール噴射状態では、炭酸ガスが高圧下で高濃度に溶解している内容物を噴射することができ、噴射された内容物は塗布面にて付着して粘度が上昇し、垂れ落ちが発生しなかった。また、ポンプ噴射状態では炭酸ガスが溶解している原液に炭酸ガスの気泡を含有した状態で噴射することができた。
一方、会合型増粘剤を含んでいない比較例1の噴射製品は、エアゾール噴射状態からポンプ噴射状態に切り替えた場合にpHが上昇したが、内容物がゲル化しなかった。そのため、発生した気泡は、分散せずにすぐに消失した。また、この噴射製品では、エアゾール噴射状態およびポンプ噴射状態のいずれであっても、内容物は、細かな霧状に噴射され、塗布面にて付着せずに垂れ落ちた。
1 噴射製品
2 容器本体
21 本体部
22 首部
23 雄ネジ部
3 バルブ機構
4 噴射部材
41 噴射ノズル
41a 回動軸
41b 係止溝
41c 下面
41d ノズル内通路
42 操作部
42a レバー支持部
42b レバー
42c 本体部
42d 支持アーム
42e 環状溝
42f 係合溝
42g 回動軸
42h 本体部
42i トリガー部
43 先端ノズル
43a 噴射孔
43b ノズルチップ
5 原液
6 ハウジング
61 ハウジング本体
61a フランジ部
61b 小径部
61c 連結溝
61d 液相連通孔
61e 気相連通孔
61f 当接段部
62 ネジキャップ
62a 天板
62b 側周部
62c 装着部
62d 雌ネジ部
62e カバー部
62f 係合部
63 チューブ
64 ガスケット
65 ボール弁機構
65a 凹部
65b ボール
7 バルブ本体
71 ステム
72 ピストン部材
73 バネ部材
74 内部ステム
741a 切欠き溝
74a 椀状部
74b 円筒部
74h 当接溝
75 外部ステム
75a 外部ステム内通路
75b スカート部
75c 筒状部
75d 当接段部
76 内側摺動部
76a 上部内側摺動部
76b 下部内側摺動部
76b 下部内側摺動部
77 外側摺動部
77a 上部外側摺動部
77b 下部外側摺動部
78 連結環
8 当接部材
81 天面部
82 当接脚部
9 切替部材
90 本体部
91 装着部
91a 中心孔
92 当接部
92a 上面
92b 中心孔
93 操作部
94 切欠部
95 係止突起
A1 原液の流れ
A2 炭酸ガスの流れ
S1 第1空間
S2 第2空間

Claims (5)

  1. 原液と炭酸ガスとからなる内容物が充填される容器本体と、前記容器本体に取り付けられるバルブ機構と、前記バルブ機構に取り付けられる噴射部材と、を備え、
    前記原液は、
    第1のpHでは前記原液を低粘度ゲルの状態とし、
    前記第1のpHよりも高い第2のpHでは前記原液を増粘させて、前記低粘度ゲルよりも粘度の高い高粘度ゲルの状態とする会合型増粘剤を含み、
    前記バルブ機構は、炭酸ガスの圧力により前記内容物を噴射するエアゾール噴射状態と、前記内容物を加圧して噴射するポンプ噴射状態とに変位可能であり、
    前記第1のpHは、20℃において、2〜6であり、
    前記第2のpHは、20℃において、5〜9であり(ただし、第2のpHは第1のpHよりも高い)、
    前記低粘度ゲルの粘度は、20℃において、100mPa・sを超え、20000mPa・s以下であり、
    前記高粘度ゲルの粘度は、20℃において、30000mPa・s以上であり、
    前記会合型増粘剤の含有量は、原液中、0.1〜3.0質量%(固形分換算)である、噴射製品。
  2. 前記バルブ機構の変位を制御するため切替部材をさらに備える、請求項1記載の噴射製品。
  3. 前記会合型増粘剤は、カルボキシル基含有ポリマーである、請求項1または2記載の噴射製品。
  4. 前記バルブ機構は、筒状のハウジングと、前記ハウジング内に上下方向に摺動自在に収容されるステムを含むバルブ本体とを備え、
    前記切替部材は、前記ステムの摺動可能距離を調整することにより、前記バルブ機構を前記エアゾール噴射状態と前記ポンプ噴射状態とに切り替える、請求項2または3記載の噴射製品。
  5. 前記バルブ本体は、前記ステムと協働して前記ハウジング内を上下方向に摺動するピストン部材をさらに備え、
    前記ハウジングは、
    前記容器本体の気相部分と、前記ハウジングの内部空間とを連通する気相連通孔が形成されており、
    前記ピストン部材は、
    前記エアゾール噴射状態において、前記気相連通孔を閉止しており、
    前記エアゾール噴射状態から前記ポンプ噴射状態に切り替えられた際に、前記気相連通孔を開放し、前記気相部分の炭酸ガスを前記ハウジングの内部空間を通過させて外部に放出し、
    前記原液は、前記ピストン部材によって前記気相連通孔が開放されて前記容器本体内の圧力が低められることにより、溶解していた前記炭酸ガスの一部が溶出され、pHが高められて前記第2のpHになり、前記会合型増粘剤によるゲル化が促進される、請求項4記載の噴射製品。
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