JP6794051B2 - バリ取り方法、バリ取り装置の制御装置、バリ取り装置用の制御プログラム - Google Patents
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Description
しかし、一般的なNC工作機では、バリ取り用工具600を2次元方向に同時に移動させる(同時2軸制御)ことができるものの、3次元方向に同時に移動させる(同時3軸制御)ことができない。
バリ取り用工具600を3次元方向に同時に移動させることができるのは、高価な高性能NC工作機に限られており、バリ取りのためにこのような高価な高性能NC工作機を用いることは、コストの上昇につながってしまう。
第1の孔に、当該第1の孔の径方向から第2の孔が交差しており、前記第1の孔と前記第2の孔との交差部の稜線部分に発生したバリを、軸部の先端に球状の刃部が設けられた切削工具を用いて除去するバリ取り方法であって、
前記軸部の先端側を前記第2の孔に挿入し、前記刃部の外周を前記稜線部分に対向させた初期位置に配置する配置ステップと、
前記配置ステップに続いて、前記稜線部分に発生したバリを、前記稜線部分の周方向の全周に亘って取り除くバリ取りステップと、
前記バリ取りステップに続いて、前記刃部を前記稜線部分から離間させたのち、前記第2の孔から退避させる退避ステップと、を有しており、
前記稜線部分では、当該稜線部分の周方向に連なって複数の切削範囲が設定されており、
前記バリ取りステップは、
前記刃部の位置を、2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、前記刃部を前記切削範囲における切削開始点に位置決めする位置決めステップと、
前記刃部を前記軸部の軸線回りに回転させながら、前記刃部の位置を、前記切削開始点から2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、前記切削範囲を切削する切削ステップと、を有しており、
前記バリ取りステップでは、前記位置決めステップと前記切削ステップとを交互に実施しながら、前記複数の切削範囲を順番に切削し、
前記位置決めステップにおいて前記刃部の位置を2次元方向に変位させた場合、前記切削ステップにおいて前記刃部の位置を1次元方向に変位させ、
前記位置決めステップにおいて前記刃部の位置を1次元方向に変位させた場合、前記切削ステップにおいて前記刃部の位置を2次元方向に変位させる構成のバリ取り方法とした。
以下、実施の形態にかかるバリ取り装置1について説明する。
バリ取り装置1は、バリ取り用工具7と被切削物であるワークWとを相対的に移動させて、ワークWに発生したバリBを除去する装置である。
駆動モータ35は、バリ取り用工具7を同時に3次元方向に変位させることができず、同時に変位させることができるのは、最大で任意の2方向のみである。
X軸、Y軸、Z軸は、機械本体3が地面に据え付けられた状態で、X軸とY軸が水平方向で互いに直交する2方向に沿うようになっており、Z軸が鉛直方向に沿うようになっている。
テーブル送りモータ35X、35Y、工具送りモータ35Z及び主軸モータ35S(以下、駆動モータ35とも標記する。)は、例えばサーボモータである。
制御装置2は、図1に示すように、CPU20、ROM21、RAM22等で構成されており、機械本体3とは別体の例えば汎用のコンピュータからなる。
制御装置2は、工具データ記憶部23と、加工データ記憶部24と、駆動能力データ記憶部25と、表示部26と、入力操作部27と、を備えている。
入力操作部27は、オペレータによって、例えば、各記憶部に記憶されているデータの中から所望のデータを選択又は編集したり、機械本体3にワークWの加工を開始させたり、加工プログラムを新規作成したりするなどの操作が行われる。
図2は、バリ取り用工具7を説明する図である。
図2の(a)は、バリ取り用工具7が主軸34へ取り付けられた状態を説明する図である。
図2の(b)は、バリ取り用工具7の刃部71を拡大した図である。
図2の(c)は、図2の(b)におけるA−A矢視図である。
主軸34は、主軸モータ35Sの回転に応じてZ軸回りに回転駆動されるようになっており、加工テーブル311との対向面(主軸端34a)には、後記する工具ホルダ6のテーパシャンク部61を挿入するためのテーパ穴341が形成されている(図中、破線部分)。
工具ホルダ6は、主軸34のテーパ穴341に挿入されるテーパシャンク部61(図中、破線部分)と、当該テーパシャンク部61の大径端部61aに設けられたフランジ部62を有している。フランジ部62のテーパシャンク部61とは反対側の端面62aには、中央部に略筒形状の工具保持部63が設けられている。工具保持部63の長手方向におけるフランジ部62とは反対側の端部63aでは、コレット(図示せず)を介してバリ取り用工具7が相対回転不能に取付けられるようになっている。
図2の(a)に示すように、バリ取り用工具7は、略円柱状を成す軸部72と、軸部72の一端72a側に形成された略球状の刃部71から構成された、いわゆる球面カッターである。
軸部72の他端側72bは、コレットを介して工具保持部63(工具ホルダ6)に相対回転不能に取り付けられるようになっている。
図2の(b)、(c)に示すように、刃部71は、球体の直径D1が軸部72の直径D2よりも大径となっており(D1>D2)、外周面には、Z軸周りの周方向に等間隔で切刃710、710、710、710を有している。
切刃710は、Z軸方向における刃部71の一端から他端にかけて形成されていると共に、所定角度αだけ傾斜してZ軸を横切るようになっている。
(1)制御装置2からモータアンプ36に入力された駆動指令に応じて、バリ取り用工具7を主軸モータ35Sによって回転駆動させる。
(2)加工テーブル311をテーブル送りモータ35X、35YによってX軸方向及び/又はY軸方向に移動させる。
(3)主軸ヘッド33を工具送りモータ35ZによってZ軸方向に移動させる。
バリ取り用プログラムがスタートすると、制御装置2の工具データ記憶部23及び加工データ記憶部24から、バリ取り用工具7の工具長、工具径、工具摩耗量、工具回転速度、加工原点などに関するデータが読み出される(ステップS01)。
ここで、初期位置とは、後記する稜線部分215に対向する位置であって、プログラムで定めた位置である。
なお、バリ取り用工具7が、初期位置に配置されていない場合(ステップS03、No)は、当該初期位置に配置されるまで配置ステップが実施される。
なお、バリ取り用工具7が、プログラムで定めたバリ取り終了位置に到達していない場合(ステップS05、No)は、当該バリ取り終了位置に到達するまでバリ取りステップが実施される。
なお、バリ取り用工具7が、プログラムで定めた退避完了位置に到達していない場合(ステップS07、No)は、当該退避完了位置に到達するまで退避ステップが実施される。
図4は、固定プーリ200に形成された油路230内に発生するバリBを説明する図である。
図4の(a)は、固定プーリ200に形成された油路230(第1油孔210、第2油孔220)を説明する図である。
図4の(b)は、図4の(a)におけるA−A断面を模式的に示した図である。
図4の(c)は、図4の(b)におけるB−B断面を模式的に示した図である。
図4の(d)は、固定プーリ200の油路230のみを模式的に表した図であり、交差部の稜線部分215を説明する図ある。
第1油孔210は、軸部250の長手方向における一端250aに開口しており、この一端250aから離れる方向に延出している。
第2油孔220は、第1油孔210に対して、軸線X1の径方向から連通(交差)しており、固定プーリ200では、第1油孔210と第2油孔220とで、1つの油路230を形成している。
図4の(a)に示すように、油路230(第1油孔210、第2油孔220)は、第1油孔210の孔径d1方が、第2油孔220の孔径d2よりも孔径が大きくなっている(d1>d2)。
ここで、孔径の異なる油路を形成する場合、大径側を形成した後で、小径側を形成するのが通常である。
よって、油路230を形成する場合、第1油孔210(大径側)の穴あけ加工を行った後、第2油孔220(小径側)の穴あけ加工を行う。
図5の(a)は、図4の(d)のC領域を拡大した図である。
図5の(b)は、稜線215を軸線X1の周方向に沿って展開した図である。
図5の(c)は、図5の(a)における油路230を、面Aで切断した断面を模式的に示した図である。
図5の(a)、(c)に示すように、稜線215は、第1油孔210の外周に沿って形成されており、軸線X1方向から見て、稜線215は、軸線X1周りの周方向に沿う弧状を成している。
図5の(b)に示すように、稜線215を軸線X1の周方向に沿って展開すると、稜線215は、長さW1の長軸と、長さW2の短軸を持つ略楕円形状を成している。
この稜線215は、軸線X1に沿う方向が短軸となり、軸線X1と軸線Z1の両方に直交する軸線(以下、軸線Y1と標記する)に沿う方向が長軸となる向きの楕円形状を成している。
この稜線215は、長軸側の端縁215a、215a側の曲率が、短軸側の端縁215b、215b側の曲率よりも大きくなっている。
図5の(c)に示すように、稜線215の長軸側の端縁215a、215aは、軸線X1と軸線Z1との交点からZ1方向に所定長さh2離れた位置に位置している。
稜線215の短軸側の端縁215b、215bは、軸線X1と軸線Z1との交点からZ1方向に、上記h2より長い所定長さh1離れた位置に位置している。
図7の(a)は、図4の(b)におけるA領域を拡大した図であり、配置ステップでのバリ取り用工具7の移動軌跡(配置パスT)と、退避ステップでのバリ取り用工具7の移動軌跡(退避パスU)を説明する図である。
図7の(b)は、図7の(a)におけるA−A矢視図であり、稜線215を複数の座標点(P1〜P28)で示した図である。なお、稜線215以外の部分は省略してある。
図7の(c)は、刃部71で稜線215のバリ取りを行うバリ取りステップでのバリ取り用工具7の移動軌跡(バリ取りパスS)を説明する図である。
ここで、図7の(c)では、縦軸をZ方向、横軸をXY平面方向として、バリ取りステップにおける刃部71の移動軌跡を示している。
また、図7の(c)では、刃部71が稜線215の切削を行いながら移動する場合の移動軌跡(切削加工)を実線矢印で示しており、刃部71が稜線215の切削を行なわずに移動する場合の移動軌跡(位置決め)を破線矢印で示している。なお、実線矢印と破線矢印とが重なる部分については、見やすくするために間隔を空けて記載している(例えば、図7の(c)におけるP8、P22)。
実施の形態にかかるプログラム8は、N1からN71で示す各行ごとに順番に指令するようになっている。
なお、破線矢印で示す軸移動速度は、実線矢印で示す軸移動速度よりも高く設定されている。
図6に示すように、固定プーリ200は、機械本体3に対して、軸線X1がX軸方向に沿うように、軸線Z1がZ軸方向に沿うように、軸線Y1がY軸方向に沿うように設置されている。さらに固定プーリ200は、治具Jによって加工テーブル311上で移動不能に固定されている。なお、稜線215にかかる部分を強調して記載しており、その他の部分の形状は簡略化して記載してある。
この加工原点Oを基準として作製されたプログラム8(図8参照)と、このプログラム8に基づく機械本体3の動作について説明する。
N1〜N3にかかる部分は、バリ取り用工具7をZ軸方向に沿って第2油孔220に挿入した後、さらに刃部71の切刃710を稜線215に対向させた初期位置に配置させる配置パスT用のプログラム81である。
N4〜N68にかかる部分は、配置パスTに続いて、稜線215に発生したバリBを、稜線215の周方向の全周に亘って取り除くバリ取りパスS用のプログラム82である。
N69〜N71にかかる部分は、バリ取りパスSに続いて、刃部71を稜線215から離間させた後、バリ取り用工具7を第2油孔220から退避させる退避パスU用のプログラム83である。
このプログラム8に基づいて指令されるバリ取り装置1は、図7に示すような動作をする。
なお、各座標点Pの間隔は、図5の(b)で示す稜線215の展開図の曲率に基づいて設定されている。例えば、長軸側の端縁215a、215a周辺など、曲率の大きい領域の座標点Pの間隔は、短軸側の端縁215b、215b周辺など、曲率の小さい領域の座標点Pの間隔より大きく設定されている。
実施の形態では、稜線215における隣接する座標点の間(例えば、P1−P2間、P2−P3間など)を、1回あたりの切削範囲として設定している。そのため、稜線215は、当該稜線215の周方向で複数の切削範囲に区画されており、複数の切削範囲が周方向に連なって稜線215を規定している。
実施の形態では、稜線215のバリ取り(バリ取りパスS)は、稜線215上に設定した座標点の番号順で実施される。そして、刃部71の位置を稜線215に沿って変位させている間(バリ取りパスSの間)、バリ取り用工具7(刃部71)は、図7の(b)において矢印で示す方向に回転している。
図8で示すプログラム8のうち、配置パスT用のプログラム81(N1〜N3)について説明する。
図7の(a)に示すように、配置パスTでは、バリ取り用工具7をZ軸方向に沿って第2油孔220に挿入した後、刃部71の切刃710を稜線215に対向する位置(初期位置(P1x、P1y、P1z―Δh))に配置されるまでバリ取り用工具7を移動させる。
これで、バリ取り用工具7が、初期位置(P1x、P1y、P1z―Δh)に配置され、配置パスT(配置ステップ)が終了する。
稜線215は、Z軸方向から見て略円形を成しており、X軸とY軸とによって、第1象限から第4象限に分けることができる(図7の(b)参照)。
ここで、バリ取り用工具7が、例えば第1象限から第2象限へ移動する場合など、象限間を跨るときにXY平面に対する稜線215の傾斜方向が逆転する。
そこで、バリ取りパスSでは、稜線215を第1象限から第4象限に分けて説明する。
図8で示すプログラム8のうち、P1〜P8(第1象限)までのバリ取りパスS用のプログラム82(N4〜N20)について説明する。
ここで、P1でのバリ取りは、稜線215における最初のバリ取りであるので、配置パスTにおける初期位置(P1x、P1y、P1z―Δh)が、バリ取りパスSにおける切削開始点に相当する。
バリ取り用工具7が切削開始点(P1x、P1y、P1z―Δh)に配置された後、バリ取り用工具7をZ方向にΔhだけ上方に移動させて、バリ取り用工具7の刃部71と稜線215を接触させて切削を行う(図7の(a)中、実線矢印S1、図8のN4)。
そうすると、P1(P1x、P1y、P1z)でのバリ取りが完了する。この際のバリ取り用工具7の移動が、最初の切削範囲での切削加工に相当する。
そして、バリ取り用工具7をZ方向に(P2z)まで上方に移動させて、バリ取り用工具7の刃部71と稜線215を接触させて切削を行う(図7の(c)中、実線矢印S1、図8のN6)。この際のバリ取り用工具7の移動が、次の切削範囲での切削加工に相当する。これにより、P2(P2x、P2y、P2z)でのバリ取りが完了する。
以下、同様にして、P8(P8x、P8y、P8z)までこの動作を繰り返してバリ取りを行う(Z方向で切削(図7の(c)中、実線矢印S1)、XY平面に沿う方向で位置決め(図7の(c)中、破線矢印S2)、図8のN20まで。)。
ここで、第1象限における稜線215の曲率は、第2象限側に向かって小さくなる(図5の(b)参照)。そうすると、P1からP8へ進むにつれて、1回のバリ取りで刃部71と稜線215とが接触する領域(後記する窪みK)が小さくなる。よって、P1からP8に進むにつれて、バリ取りの間隔を小さくする必要があるので、バリ取り用工具7のXY平面に沿う方向の移動量を小さくしている(図7の(b)参照)。
この場合、バリ取り用工具7は、XY平面に沿う方向への移動(位置決めに係る移動)速度は、Z方向上方への移動(切削に係る移動)速度よりも高く設定されている。
図8で示すプログラム8のうち、P9〜P15(第2象限)までのバリ取りパスS用のプログラム82(N21〜N36)について説明する。
以下同様にして、P15(P15x、P15y、P15z)までこの動作を繰り返してバリ取りを行う(Z方向で位置決め(図7の(c)中、破線矢印S1)、XY平面に沿う方向で切削(図7の(c)中、実線矢印S2)、図8のN36まで)。
ここで、第2象限における稜線215の曲率は、第3象限側に向かって大きくなる(図5の(b)参照)。そうすると、P9からP15へ進むにつれて、1回のバリ取りで刃部71と稜線215とが接触する領域(後記する窪みK)が大きくなる。よって、P9からP15に進むにつれて、バリ取りの間隔を大きくしても良く、バリ取り用工具7のXY平面に沿う方向の移動量を大きくしている(図7の(b)参照)。
この場合、バリ取り用工具7は、Z方向下方への移動(位置決めに係る移動)速度は、XY平面に沿う方向への移動(切削に係る移動)速度よりも高く設定されている。
図8で示すプログラム8のうち、P16〜P22(第3象限)までのバリ取りパスS用のプログラム82(N37〜N52)について説明する。
以下同様にして、P22(P22x、P22y、P22z)までこの動作を繰り返してバリ取りを行う(Z方向で切削(図7の(c)中、実線矢印S1)、XY平面に沿う方向で位置決め(図7の(c)中、破線矢印S2)、図8のN52まで)。
ここで、第3象限における稜線215の曲率は、第4象限側に向かって小さくなる(図5の(b)参照)。そうすると、P16からP22へ進むにつれて、1回のバリ取りで刃部71と稜線215とが接触する領域(後記する窪みK)が小さくなる。よって、P16からP22に進むにつれて、バリ取りの間隔を小さくする必要があるので、バリ取り用工具7のXY平面に沿う方向の移動量を小さくしている(図7の(b)参照)。
この場合、バリ取り用工具7は、XY平面に沿う方向への移動(位置決めに係る移動)速度は、Z方向上方への移動(切削に係る移動)速度よりも高く設定されている。
図8で示すプログラム8のうち、P23〜P1(第4象限)までのバリ取りパスS用のプログラム82(N53〜N68)について説明する。
以下同様にして、P1(P1x、P1y、P1z)までこの動作を繰り返してバリ取りを行う(Z方向で位置決め(図7の(c)中、破線矢印S1)、XY平面に沿う方向で切削(図7の(c)中、実線矢印S2)、図8のN68まで。)。
ここで、第4象限における稜線215の曲率は、第1象限側に向かって大きくなる(図5の(b)参照)。そうすると、P23からP1へ進むにつれて、1回のバリ取りで刃部71と稜線215とが接触する領域(後記する窪みK)が大きくなる。よって、P23からP1に進むにつれて、バリ取りの間隔を大きくしても良く、バリ取り用工具7のXY平面に沿う方向の移動量を大きくしている(図7の(b)参照)。
この場合、バリ取り用工具7は、Z方向下方への移動(位置決めに係る移動)速度は、XY平面に沿う方向への移動(切削に係る移動)速度よりも高く設定されている。
図8で示すプログラム8のうち、退避パスU用のプログラム83(N69〜N71)について説明する。
図7の(a)に示すように、退避パスUでは、刃部71の切刃710を稜線215から離間させた後、バリ取り用工具7を第2油孔220から退避させる。
次に、XY平面に沿う方向にのみ加工原点Oに移動させる(図7の(a)中、破線矢印U2、図8のN70)。そして、バリ取り用工具7をZ方向に沿って、退避完了位置(例えば、Z200.0)まで上方に移動させる。これにより、第2油孔220からバリ取り用工具7を退避させるようになっている(図7の(a)中、破線矢印U3、図8のN71)。
これで、バリ取り用工具7が、退避完了位置に到達し、稜線215の退避パスU(退避ステップ)が終了する。そして、全てのバリ取りプログラムが終了する。
隣接する座標点(P1〜P28)の間隔について説明する。
図9は、稜線215における固定プーリ200とバリ取り用工具7との接触状態を説明する図である。
図9の(a)は、図7の(a)におけるD領域を拡大した図である。
図9の(b)は、図7の(b)におけるC−C矢視図である。
図9の(c)は、図7の(b)におけるD−D矢視図である。
なお、図9の(b)と(c)は、バリ取り用工具7を境に、バリ取り前とバリ取り後における稜線215周りの表面状態を示している。
そうすると、刃部71と稜線215とが接触した場合、長軸側の端縁215a、215a周辺の座標点に形成される窪みKは、短軸側の端縁215b、215b周辺の座標点に形成される窪みKより大きくなる。
なお、図9の(b)、(c)では、座標点P15と座標点P8周りについて説明したが、これは座標点P1に隣接する座標点の間隔や、座標点P22に隣接する座標点の間隔ついても同様である。
(1)第1油孔210(第1の孔)に、当該第1油孔210の径方向から第2油孔220(第2の孔)が交差しており、第1油孔210と第2油孔220との交差部の稜線215(稜線部分)に発生したバリBを、軸部72の先端に球状の刃部71が設けられたバリ取り用工具7(切削工具)を用いて除去するバリ取り方法であって、
軸部72の先端側を第2油孔220に挿入し、刃部71の切刃710(外周)を稜線215に対向させた初期位置に配置する配置ステップと、
配置ステップに続いて、稜線215に発生したバリBを、稜線215の周方向の全周に亘って取り除くバリ取りステップと、
バリ取りステップに続いて、刃部71を稜線215から離間させたのち、第2油孔220から退避させる退避ステップと、を有しており、
稜線215では、当該稜線215上に複数の座標点(P1〜P28)が設定されて、隣接する座標点の間が1回あたりの切削範囲とされることで、周方向に連なって複数の切削範囲が稜線215上に設定されており、
バリ取りステップは、
刃部71の位置を、2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、刃部71を切削範囲における切削開始点に位置決めする位置決めステップと、
刃部71をZ軸(軸部72の軸線)回りに回転させながら、刃部71の位置を、切削開始点から2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、切削範囲を切削する切削ステップと、を有しており、
バリ取りステップでは、位置決めステップと切削ステップとを交互に実施しながら、稜線215上に設定された複数の切削範囲を順番に切削する構成とした。
Z軸方向(挿入方向)に交差する方向への刃部71の移動を規制した状態で、刃部71を、Z軸方向で稜線215に近づく方向に直線状に変位させる第1変位(図7の(c)における上向き矢印S1で示す移動)と、
Z軸方向に交差する方向への刃部71の移動を規制した状態で、刃部71を、Z軸方向で稜線215から離れる方向に直線状に変位させる第2変位(図7の(c)における下向き矢印S1で示す移動)と、
Z軸方向への刃部71の移動を規制した状態で、刃部71を、Z軸方向に交差する方向で直線状に変位させる第3変位(図7の(c)における右向き矢印S2で示す移動)と、があり、
バリ取りを実施する切削範囲が、切削開始点から次の切削範囲側に離れるにつれて、軸部72の基端に近づく方向に変化する場合には、切削ステップにおいて刃部71の第1変位を実施すると共に、位置決めステップにおいて刃部71の第3変位を実施し、
バリ取りを実施する切削範囲が、切削開始点から次の切削範囲側に離れるにつれて、軸部72の基端から離れる方向に変化する場合には、切削ステップにおいて刃部71の第3変位を実施すると共に、位置決めステップにおいて刃部71の第2変位を実施し、
位置決めステップにおける刃部71の移動速度を、切削ステップにおける刃部71の移動速度よりも速い速度で実施する構成とした。
(7)第1油孔210(第1の孔)に、当該第1油孔210の径方向から第2油孔220(第2の孔)が交差しており、第1油孔210と第2油孔220との交差部の稜線215(稜線部分)に発生したバリBを、軸部72の先端に球状の刃部71が設けられたバリ取り用工具7(切削工具)を用いて除去するバリ取り装置1の制御装置2であって、
軸部72の先端側を第2油孔220に挿入し、刃部71の切刃710(外周)を稜線215に対向させた初期位置に配置する配置手段と、
稜線215に発生したバリBを、稜線215の周方向の全周に亘って取り除くバリ取り手段と、
刃部71を稜線215から離間させたのち、第2油孔220から退避させる退避手段と、
稜線215上に複数の座標点(P1〜P28)を設定して、隣接する座標点の間を1回あたりの切削範囲とすることで、周方向に連なる複数の切削範囲を稜線215上に設定する切削範囲設定手段と、を有し、
バリ取り手段は、
刃部71の位置を、2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、刃部71を切削範囲における切削開始点に位置決めする位置決め手段と、
刃部71をZ軸(軸部72の軸線)回りに回転させながら、刃部71の位置を、切削開始点から2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、切削範囲を切削する切削手段と、を有しており、
バリ取り手段は、
位置決め手段による刃部71の移動(変位)と切削手段による刃部71の移動(変位)とを交互に実施しながら、複数の切削範囲を順番に切削する構成とした。
(8)第1油孔210(第1の孔)に、当該第1油孔210の径方向から第2油孔220(第2の孔)が交差しており、第1油孔210と第2油孔220との交差部の稜線215(稜線部分)に発生したバリBを、軸部72の先端に球状の刃部71が設けられたバリ取り用工具7(切削工具)を用いて除去するバリ取り装置1用のプログラムであって、
コンピュータを、
軸部72の先端側を第2油孔220に挿入し、刃部71の切刃710(外周)を稜線215に対向させた初期位置に配置する配置手段、
稜線215上に複数の座標点(P1〜P28)を設定して、隣接する座標点の間を1回あたりの切削範囲とすることで、周方向に連なる複数の切削範囲を稜線215上に設定する切削範囲設定手段、
刃部71の位置を、2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、刃部71を切削範囲における切削開始点への位置決めする位置決め手段、
刃部71をZ軸(軸部72の軸線)回りに回転させながら、刃部71の位置を、切削開始点から2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、切削範囲を切削する切削手段、
位置決め手段による刃部71の移動(変位)と切削手段による刃部71の移動(変位)とを交互に実施しながら、複数の切削範囲を順番に切削して、稜線215に発生したバリBを、稜線215の周方向の全周に亘って取り除くバリ取り手段、
刃部71を稜線215から離間させたのち、第2油孔220から退避させる退避手段、
として機能させる構成とした。
よって、第2油孔220の穴あけ加工とバリ取りを、別々の加工機で行う場合に必要な段取り作業を短縮することができる。
2 制御装置
3 機械本体
4 外部装置
6 工具ホルダ
7 バリ取り用工具(切削工具)
8 プログラム
34 主軸
37 駆動部
71 刃部
72 軸部
81 配置パスT用プログラム
82 バリ取りパスS用プログラム
83 退避パスU用プログラム
200 固定プーリ(ワークW)
215 稜線(交差部の稜線部分)
210 第1油孔(第1の孔)
220 第2油孔(第2の孔)
230 油路
311 加工テーブル
710 切刃(刃部の外周)
B バリ
J 治具
K 窪み
O 加工原点
P 座標点
T 配置パス(配置手段)
S バリ取りパス(バリ取り手段)
S1 矢印(第1変位、第2変位)
S2 矢印(第3変位)
U 退避パス(退避手段)
X 軸
Y 軸
Z 軸
X1 軸線
Y1 軸線
Z1 軸線
Claims (8)
- 第1の孔に、当該第1の孔の径方向から第2の孔が交差しており、前記第1の孔と前記第2の孔との交差部の稜線部分に発生したバリを、軸部の先端に球状の刃部が設けられた切削工具を用いて除去するバリ取り方法であって、
前記軸部の先端側を前記第2の孔に挿入し、前記刃部の外周を前記稜線部分に対向させた初期位置に配置する配置ステップと、
前記配置ステップに続いて、前記稜線部分に発生したバリを、前記稜線部分の周方向の全周に亘って取り除くバリ取りステップと、
前記バリ取りステップに続いて、前記刃部を前記稜線部分から離間させたのち、前記第2の孔から退避させる退避ステップと、を有しており、
前記稜線部分では、当該稜線部分の周方向に連なって複数の切削範囲が設定されており、
前記バリ取りステップは、
前記刃部の位置を、2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、前記刃部を前記切削範囲における切削開始点に位置決めする位置決めステップと、
前記刃部を前記軸部の軸線回りに回転させながら、前記刃部の位置を、前記切削開始点から2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、前記切削範囲を切削する切削ステップと、を有しており、
前記バリ取りステップでは、前記位置決めステップと前記切削ステップとを交互に実施しながら、前記複数の切削範囲を順番に切削し、
前記位置決めステップにおいて前記刃部の位置を2次元方向に変位させた場合、前記切削ステップにおいて前記刃部の位置を1次元方向に変位させ、
前記位置決めステップにおいて前記刃部の位置を1次元方向に変位させた場合、前記切削ステップにおいて前記刃部の位置を2次元方向に変位させることを特徴とするバリ取り方法。 - 前記位置決めステップにおける前記刃部の変位量と、前記切削ステップにおける前記刃部の変位量は、前記稜線部分における前記バリ取りを実施する領域の設計上の座標位置に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1に記載のバリ取り方法。
- 前記位置決めステップにおける前記刃部の変位量と、前記切削ステップにおける前記刃部の変位量は、前記稜線部分における前記バリ取りを実施する領域の前記設計上の座標位置に対するバラツキを考慮して設定されていることを特徴とする請求項2に記載のバリ取り方法。
- 前記位置決めステップにおける前記刃部の変位量と、前記切削ステップにおける前記刃部の変位量は、前記稜線部分における前記バリ取りを実施する領域の曲率に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1に記載のバリ取り方法。
- 前記位置決めステップにおける前記刃部の変位速度を、前記切削ステップにおける前記刃部の変位速度よりも速い速度で実施することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のバリ取り方法。
- 前記バリ取りステップにおける、前記刃部の位置の変位には、
前記挿入方向に交差する方向への前記刃部の変位を規制した状態で、前記刃部を、前記挿入方向で前記稜線部分に近づく方向に直線状に変位させる第1変位と、
前記挿入方向に交差する方向への前記刃部の変位を規制した状態で、前記刃部を、前記挿入方向で前記稜線部分から離れる方向に直線状に変位させる第2変位と、
前記挿入方向への前記刃部の変位を規制した状態で、前記刃部を、前記挿入方向に交差する方向で直線状に変位させる第3変位と、があり、
前記バリ取りを実施する前記切削範囲が、前記切削開始点から離れるにつれて、前記軸部の基端に近づく方向に変化する場合には、前記切削ステップにおいて前記刃部の前記第1変位を実施すると共に、前記位置決めステップにおいて前記刃部の前記第3変位を実施し、
前記バリ取りを実施する前記切削範囲が、前記切削開始点から離れるにつれて、前記軸部の基端から離れる方向に変化する場合には、前記切削ステップにおいて前記刃部の前記第3変位を実施すると共に、前記位置決めステップにおいて前記刃部の前記第2変位を実施し、
前記位置決めステップにおける前記刃部の変位速度を、前記切削ステップにおける前記刃部の変位速度よりも速い速度で実施することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のバリ取り方法。 - 第1の孔に、当該第1の孔の径方向から第2の孔が交差しており、前記第1の孔と前記第2の孔との交差部の稜線部分に発生したバリを、軸部の先端に球状の刃部が設けられた切削工具を用いて除去するバリ取り装置の制御装置であって、
前記軸部の先端側を前記第2の孔に挿入し、前記刃部の外周を前記稜線部分に対向させた初期位置に配置する配置手段と、
前記稜線部分に発生したバリを、前記稜線部分の周方向の全周に亘って取り除くバリ取り手段と、
前記刃部を前記稜線部分から離間させたのち、前記第2の孔から退避させる退避手段と、
前記稜線部分を当該稜線部分の周方向で複数に区画して、前記周方向に連なって複数の切削範囲を設定する切削範囲設定手段と、を有し、
前記バリ取り手段は、
前記刃部の位置を、2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、前記刃部を前記切削範囲における切削開始点に位置決めする位置決め手段と、
前記刃部を前記軸部の軸線回りに回転させながら、前記刃部の位置を、前記切削開始点から2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、前記切削範囲を切削する切削手段と、を有しており、
前記バリ取り手段は、
前記位置決め手段による刃部の変位と前記切削手段による刃部の変位とを交互に実施しながら、前記複数の切削範囲を順番に切削し、
前記位置決め手段で前記刃部の位置を2次元方向に変位させた場合、前記切削手段では前記刃部の位置を1次元方向に変位させ、
前記位置決め手段で前記刃部の位置を1次元方向に変位させた場合、前記切削手段では前記刃部の位置を2次元方向に変位させることを特徴とするバリ取り装置の制御装置。 - 第1の孔に、当該第1の孔の径方向から第2の孔が交差しており、前記第1の孔と前記第2の孔との交差部の稜線部分に発生したバリを、軸部の先端に球状の刃部が設けられた切削工具を用いて除去するバリ取り装置用のプログラムであって、
コンピュータを、
前記軸部の先端側を前記第2の孔に挿入し、前記刃部の外周を前記稜線部分に対向させた初期位置に配置する配置手段、
前記稜線部分を当該稜線部分の周方向で複数に区画して、前記周方向に連なって複数の切削範囲を設定する切削範囲設定手段、
前記刃部の位置を、2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、前記刃部を前記切削範囲における切削開始点への位置決めする位置決め手段、
前記刃部を前記軸部の軸線回りに回転させながら、前記刃部の位置を、前記切削開始点から2次元方向または1次元方向に直線状に変位させて、前記切削範囲を切削する切削手段、
前記位置決め手段による刃部の変位と前記切削手段による刃部の変位とを交互に実施しながら、前記複数の切削範囲を順番に切削して、前記稜線部分に発生したバリを、前記稜線部分の周方向の全周に亘って取り除くバリ取り手段、
前記刃部を前記稜線部分から離間させたのち、前記第2の孔から退避させる退避手段、
として機能させ、
前記コンピュータは、
前記位置決め手段で前記刃部の位置を2次元方向に変位させた場合、前記切削手段では前記刃部の位置を1次元方向に変位させ、
前記位置決め手段で前記刃部の位置を1次元方向に変位させた場合、前記切削手段では前記刃部の位置を2次元方向に変位させることを特徴とするバリ取り装置用のプログラム。
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