本発明は、以下に説明する複数の発明を包含する発明群に属する発明であり、以下に、その発明群の実施の形態として、第1ないし第3の実施の形態について説明するが、そのうち、第1および第2の実施の形態が、本出願人が特許請求の範囲に記載した発明に対応するものである。
以下、本発明に係る油圧駆動ファン制御装置について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図1に示す油圧駆動ファン制御装置1は、例えばダンプトラック等の建設機械に搭載されている。油圧駆動ファン制御装置1は、油圧ポンプ2、油圧モータ6、油圧駆動ファン7、流量制御バルブ8、回転数検出器14、圧力検出器15、コントローラ16等により構成されている。
可変容量型油圧ポンプ2(以下、油圧ポンプ2という)は、タンク3と共に油圧源を構成している。油圧ポンプ2は、エンジン4の出力軸4Aに接続され、エンジン4によって駆動される。油圧ポンプ2の吸入ポートはタンク3に接続され、油圧ポンプ2の吐出ポートは、ファン管路5を介して油圧モータ6の流入ポートに接続されている。油圧ポンプ2は、タンク3内の作動油を吸込み、ファン管路5に圧油を吐出する。油圧ポンプ2の吐出流量Q1(L/min)は、油圧ポンプ2のポンプ容量q1(cc/rev)とエンジン4のエンジン回転数N1(min−1)とを乗じた値となる。
油圧ポンプ2は、例えば斜板2Aの傾転角を変化させることによりポンプ容量が変化するもので、容量可変部としての電磁駆動式のレギュレータ2Bを有している。レギュレータ2Bは、コントローラ16から供給されるポンプ制御量Cp(A)に応じて斜板2Aの傾転角を変化させ、油圧ポンプ2のポンプ容量を変化させる。ポンプ制御量Cpは、コントローラ16からの指令電流(ポンプ制御信号)としてレギュレータ2Bに供給される。なお、油圧ポンプ2を駆動する原動機としては、電動モータ、あるいはエンジンと電動モータとを組合せたハイブリッド式の原動機を用いることができる。
油圧モータ6は、固定容量型の油圧モータにより構成されている。油圧モータ6の出力軸6Aには、油圧駆動ファン7が取付けられている。油圧モータ6は、油圧ポンプ2から流入ポートに供給される圧油によって駆動され、油圧駆動ファン7を回転させる。油圧モータ6の流入ポートは、ファン管路5を介して油圧ポンプ2の吐出ポートに接続され、油圧モータ6の流出ポートはタンク3に接続されている。ここで、油圧モータ6の回転数N2(min−1)は、流量制御バルブ8を通過して油圧モータ6に供給される圧油の流量Q2(L/min)を、油圧モータ6の容量q2(cc/rev)で除した値となる。
油圧駆動ファン7は、油圧モータ6の出力軸6Aに取付けられ、油圧モータ6によって駆動される。本実施の形態では、油圧駆動ファン7の回転数と油圧モータ6の回転数とは同一である。油圧駆動ファン7は軸流ファンからなり、例えばダンプトラックに搭載されたラジエータ、オイルクーラ等の熱交換器(いずれも図示せず)に対して冷却風を供給する。ここで、油圧駆動ファン7のある回転数における動力L2(kW)と、油圧モータ6に供給される圧油の圧力P2(MPa)と、流量制御バルブ8を通過して油圧モータ6に供給される圧油の流量Q2(L/min)とは、下記数1の関係を有している。
流量制御バルブ8は、油圧ポンプ2と油圧モータ6との間に位置してファン管路5の途中に設けられている。流量制御バルブ8は、パイロット部としてのソレノイド部8Aを有する電磁弁により構成されている。流量制御バルブ8は、ソレノイド部8Aにコントローラ16からの制御信号が入力されることにより、ばね8Bに抗して開弁する。流量制御バルブ8は、コントローラ16からソレノイド部8Aに入力されるバルブ制御量Cv(A)に応じて、開口面積(バルブ開度)を変化させる。バルブ制御量Cvは、コントローラ16からの指令電流(バルブ制御信号)としてソレノイド部8Aに供給される。
ここで、流量制御バルブ8を通過して油圧モータ6に供給される圧油の流量Q2(L/min)は、下記数2によって求めることができる。なお、数2において、Cは縮流係数である。縮流係数Cは、ファン管路5および流量制御バルブ8の流路の形状、圧油の流速、圧油の粘度によって定められる。A1(mm2)は、流量制御バルブ8の開口面積である。P1(MPa)は、油圧ポンプ2の吐出圧(ファン管路5内の圧油の圧力)である。P2(MPa)は、油圧モータ6に供給される圧油の圧力である。ρ(kg/m3)は、圧油の密度である。
チェックバルブ9は、油圧モータ6と流量制御バルブ8との間に位置してファン管路5の途中に接続されている。チェックバルブ9は、タンク3からファン管路5に向かう作動油の流れを許し、逆向きの流れを阻止している。例えば油圧駆動ファン7が回転している状態で、流量制御バルブ8の開口面積が零となって油圧モータ6への圧油の供給が停止された場合には、油圧モータ6の流入ポート側に負圧が発生する。チェックバルブ9は、油圧モータ6の流入ポート側に負圧が発生したときに、タンク3内の作動油を油圧モータ6の流入ポートに供給する。これにより、油圧モータ6の回転数が急激に変動(停止)するのを抑えることができる。
リリーフバルブ10は、ファン管路5の途中に設けられている。リリーフバルブ10の流入ポートはファン管路5に接続され、リリーフバルブ10の流出ポートはタンク3に接続されている。リリーフバルブ10は、油圧ポンプ2からファン管路5に吐出される圧油の吐出圧を設定し、設定された吐出圧を越える過剰圧をタンク3に排出する。リリーフバルブ10は、油圧駆動ファン7を駆動するための油圧回路内の最大圧力を規定している。
作業機管路11は、ファン管路5の途中に設けられた分岐点5Aに接続されている。分岐点5Aは、油圧ポンプ2と流量制御バルブ8との間に配置されている。作業機管路11には、油圧アクチュエータからなる作業機12が接続されている。作業機12としては、例えばダンプトラックの荷台を昇降させるホイストシリンダ等の油圧アクチュエータ(図示せず)が用いられ、油圧ポンプ2からの圧油が供給されることにより、ダンプトラックの荷台を昇降させる。
作業機操作装置13は、例えばダンプトラックの運転室(図示せず)に設けられている。作業機操作装置13は、ホイストシリンダ等の作業機12を駆動するために操作され、作業機操作装置13の操作量に応じて作業機12が駆動される。作業機操作装置13は、コントローラ16の入力部16Aに接続され、作業機操作装置13に対する操作量に応じた検出信号が入力部16Aに供給される。
回転数検出器14は、エンジン4の近傍に設けられ、コントローラ16の入力部16Aに接続されている。回転数検出器14は、エンジン4の出力軸4Aの回転数であるエンジン回転数N1(min-1)を検出し、この回転数に応じた検出信号をコントローラ16の入力部16Aに供給する。
圧力検出器15は、油圧ポンプ2と流量制御バルブ8との間に位置してファン管路5の途中に設けられている。圧力検出器15は、コントローラ16の入力部16Aに接続されている。圧力検出器15は、ファン管路5に吐出した油圧ポンプ2の吐出圧P1(MPa)を検出し、この圧力に応じた検出信号をコントローラ16の入力部16Aに供給する。
コントローラ16は、入力部16A、出力部16B、記憶部16C、演算制御部16D、タイマー部16E等を有している。入力部16Aは、作業機操作装置13、回転数検出器14、圧力検出器15に接続されている。出力部16Bは、油圧ポンプ2のレギュレータ2B、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに接続されている。演算制御部16Dは、入力部16Aに供給された作業機操作装置13、回転数検出器14、圧力検出器15からの検出信号、およびタイマー部16Eからの出力時間に基づいて、油圧ポンプ2のレギュレータ2B、および流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに制御信号を供給する。即ち、演算制御部16Dは、バルブ制御部とポンプ制御部を構成している。タイマー部16Eは、演算制御部16Dに接続されている。
ここで、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに入力されるポンプ制御信号としてのポンプ制御量Cp(A)と、油圧ポンプ2のポンプ容量q1(cc/rev)との関係は、図2の特性線図のようになる。即ち、ポンプ制御量Cpが、第1のポンプ制御信号である第1ポンプ制御量Cp1となる場合には、ポンプ容量q1は、後述するファン所定回転数時のポンプ容量q1pとなる。ポンプ制御量Cpが、第2のポンプ制御信号である第2ポンプ制御量Cp2以上となる場合には、ポンプ容量q1は、最小のポンプ容量q1mとなる。ポンプ制御量Cpが、第3のポンプ制御信号である第3ポンプ制御量Cp3となる場合には、ポンプ容量q1は、後述するファンアイドリング回転数時のポンプ容量q1iとなる。
一方、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに入力されるバルブ制御信号としてのバルブ制御量Cv(A)と、流量制御バルブ8の開口面積A1(mm2)との関係は、図3の特性線図のようになる。即ち、バルブ制御量Cvが、第1のバルブ制御信号である第1バルブ制御量Cv1以下となる場合には、開口面積A1は最大の開口面積となる。バルブ制御量Cvが、第2のバルブ制御信号である第2バルブ制御量Cv2以上となる場合には、開口面積A1は零(0)となる。バルブ制御量Cvが、第3のバルブ制御信号である第3バルブ制御量Cv3となる場合には、開口面積A1は、ファンアイドリング回転数時の開口面積A1iとなる。
第1の実施の形態による油圧駆動ファン制御装置1は、上述の如き構成を有している。次に、油圧駆動ファン制御装置1の作動について、図4ないし図7を参照して説明する。
油圧駆動ファン制御装置1が搭載されたダンプトラックが停止状態から始動した場合には、コントローラ16は、図4に示される判別処理を行う。これにより、コントローラ16は、油圧駆動ファン7に対し、ファン所定回転数制御、ファンアイドリング回転数制御、ファン回転停止制御のいずれを適用するか判別する。このとき、コントローラ16の演算制御部16Dは、ファン所定回転数フラグの初期値をオフ、ファンアイドリング回転数フラグの初期値をオフ、ファン回転停止フラグの初期値をオンに設定する。また、油圧ポンプ2は、レギュレータ2Bによって最小のポンプ容量q1mに設定されている。
まず、コントローラ16は、ステップ1において、回転数検出器14により検出されたエンジン回転数N1と、作業機操作装置13の操作量とを取得し、記憶部16Cに記憶する。記憶部16Cには、過去の複数個のエンジン回転数N1が記憶されている。記憶されるエンジン回転数N1の個数が最大値に達した場合には、順次に最新のエンジン回転数N1に更新される。
次に、ステップ2において、演算制御部16Dは、作業機操作装置13によって作業機12が操作されているか否かを判定する。ステップ2において「YES」と判定した場合、即ち、作業機12が操作されている場合にはステップ3に進み、図7に示すファン回転停止制御を行う。
ステップ2において「NO」と判定した場合、即ち、作業機12が操作されていない場合にはステップ4に進む。演算制御部16Dは、ステップ4において、エンジン回転数N1が所定の閾値(以下、所定エンジン回転数N1sという)以上となる継続時間を計測する。この場合、演算制御部16Dは、記憶部16Cに記憶された複数個のエンジン回転数N1と、エンジン回転数N1の記憶処理を行うインターバル時間(タイマー部16Eの出力時間を基にした記憶部16Cの記憶周期)とに基づいて、所定エンジン回転数N1s以上となる継続時間を計測する。
次に、演算制御部16Dは、ステップ5において、エンジン回転数N1が所定エンジン回転数N1s以上の値のまま、タイマー部16Eの出力時間が一定時間以上継続しているか否かを判定する。ステップ5で「NO」と判定した場合にはステップ6に進み、図6に示すファンアイドリング回転数制御を行う。一方、ステップ5で「YES」と判定した場合にはステップ7に進み、図5に示すファン所定回転数制御を行う。
このように、コントローラ16は、作業機12が操作されていない状態で、エンジン回転数N1が所定エンジン回転数N1s以上の値のまま、タイマー部16Eの出力時間が一定時間以上に亘って継続している場合には、ファン所定回転数制御を行う。このファン所定回転数制御は、油圧駆動ファン7を、第1の回転数であるファン所定回転数で回転させる。また、コントローラ16は、作業機12が操作されていない状態で、エンジン回転数N1が所定エンジン回転数N1s以上の値のまま、タイマー部16Eの出力時間が一定時間以上に亘って継続していない場合には、ファンアイドリング回転数制御を行う。このファンアイドリング回転数制御は、油圧駆動ファン7を、ファン所定回転数よりも低速な第2の回転数であるファンアイドリング回転数で回転させる。さらに、コントローラ16は、作業機12が操作された場合には、油圧駆動ファン7を停止させるファン回転停止制御を行う。
次に、コントローラ16によるファン所定回転数制御について、図5を参照しつつ説明する。この場合、油圧駆動ファン7のファン所定回転数は、エンジン回転数N1が閾値である所定エンジン回転数N1s以上の値のまま、タイマー部16Eの出力時間が一定時間以上継続したときに設定される第1の回転数に対応している。
図5に示すファン所定回転数制御において、演算制御部16Dは、ステップ11でファンアイドリング回転数フラグをオフとした後、ステップ12において、ファン所定回転数時の油圧ポンプ2のポンプ容量q1pを記憶部16Cから読み込む。ファン所定回転数時のポンプ容量q1pは予め定められ、記憶部16Cに記憶されている。
次に、ステップ13において、演算制御部16Dは、ファン回転停止フラグがオンになっているか否かを判定する。ステップ13で「NO」と判定した場合には、ステップ17に進み、ステップ13で「YES」と判定した場合には、ステップ14に進む。ステップ14において、演算制御部16Dは、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力されるポンプ制御量Cpが、油圧ポンプ2を最小のポンプ容量q1mとするための第2ポンプ制御量(第2のポンプ制御信号)Cp2であるか否かを判定する。
ステップ14で「NO」と判定した場合には、ステップ15に進む。ステップ15において、演算制御部16Dは、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに第2ポンプ制御量Cp2を出力し、油圧ポンプ2を最小のポンプ容量q1mとした後、ステップ16に進む。このように、油圧駆動ファン7がファン所定回転数へと移行する初期段階では、ステップ13からステップ15を実行することにより、油圧駆動ファン7の始動時における油圧ポンプ2のポンプ容量q1が一度最小のポンプ容量q1mとなる。この結果、油圧駆動ファン7の回転が急激に変動するのを抑えることができる。
ステップ14で「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ16において、ファン回転停止フラグをオフにした後、ステップ17に進む。ステップ17において、演算制御部16Dは、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに出力されるバルブ制御量Cvが、流量制御バルブ8の開口面積A1を最大とするための第1バルブ制御量(第1のバルブ制御信号)Cv1であるか否かを判定する。ステップ17で「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ18において、第1バルブ制御量Cv1をソレノイド部8Aに出力し、流量制御バルブ8の開口面積A1を最大とする。この場合、演算制御部16Dは、第1バルブ制御量Cv1を所定の単位時間あたりの所定の変化量をもってソレノイド部8Aに出力する。このように、油圧駆動ファン7がファン所定回転数へと移行する初期段階では、ステップ17およびステップ18を実行することにより、油圧駆動ファン7の始動時に油圧モータ6に供給される圧油の流量を徐々に増大させることができる。この結果、油圧駆動ファン7の回転が急激に変動するのを抑えることができる。
ステップ17で「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ19において、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力されるポンプ制御量Cpが、油圧ポンプ2をファン所定回転数時のポンプ容量q1pとするための第1ポンプ制御量(第1のポンプ制御信号)Cp1であるか否かを判定する。ステップ19で「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ20において、第1ポンプ制御量Cp1をレギュレータ2Bに出力し、油圧ポンプ2をファン所定回転数時のポンプ容量q1pとする。この場合、演算制御部16Dは、第1ポンプ制御量Cp1を、所定の単位時間あたりの所定の変化量をもって出力する。このように、油圧駆動ファン7がファン所定回転数へと移行する初期段階では、ステップ19およびステップ20を実行することにより、油圧駆動ファン7の始動時に油圧ポンプ2のポンプ容量q1をファン所定回転数時のポンプ容量q1pへと徐々に増大させることができる。この結果、油圧駆動ファン7の回転が急激に変動するのを抑えることができる。
ステップ19で「YES」と判定した場合には、油圧ポンプ2のポンプ容量q1がファン所定回転数時のポンプ容量q1pとなっているため、油圧モータ6は、油圧駆動ファン7をファン所定回転数で回転させることができる。そして、演算制御部16Dは、ステップ21において、ファン所定回転数フラグをオンにした後、制御処理を終了する。
次に、コントローラ16によるファンアイドリング回転数制御について、図6を参照しつつ説明する。この場合、油圧駆動ファン7のファンアイドリング回転数は、エンジン回転数N1が閾値である所定エンジン回転数N1s以上の値のまま、タイマー部16Eの出力時間が一定時間以上継続しないときに設定される第2の回転数に対応している。ファンアイドリング回転数は、第1の回転数であるファン所定回転数よりも低速で、零(回転停止の状態)よりも多い値に設定されている。
図6に示すファンアイドリング回転数制御において、演算制御部16Dは、ステップ31でファン所定回転数フラグをオフとした後、ステップ32に進む。ステップ32において、演算制御部16Dは、ファンアイドリング回転数時の油圧モータ6に供給される圧油の圧力P2i(MPa)、流量制御バルブ8を通過する圧油の流量Q2i(L/min)、油圧ポンプ2のポンプ容量q1i(cc/rev)を記憶部16Cから読み込む。ファンアイドリング回転数時の圧力P2i、流量Q2i、ポンプ容量q1iは予め定められ、記憶部16Cに記憶されている。
次に、ステップ33において、演算制御部16Dは、圧力検出器15からの検出信号に基づいて、油圧ポンプ2の吐出圧P1を取得する。続くステップ34において、演算制御部16Dは、ファン回転停止フラグがオンになっているか否かを判定する。ステップ34で「NO」と判定した場合には、ステップ38に進み、ステップ34で「YES」と判定した場合には、ステップ35に進む。
ステップ35において、演算制御部16Dは、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力されるポンプ制御量Cpが、油圧ポンプ2を最小のポンプ容量q1mとするための第2ポンプ制御量(第2のポンプ制御信号)Cp2であるか否かを判定する。ステップ35で「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ36において、レギュレータ2Bに第2ポンプ制御量Cp2を出力し、油圧ポンプ2を最小のポンプ容量q1mとする。このように、油圧駆動ファン7がファンアイドリング回転数へと移行する初期段階では、ステップ34からステップ36を実行することにより、油圧駆動ファン7の始動時における油圧ポンプ2のポンプ容量q1が一度最小となる。この結果、油圧駆動ファン7の回転が急激に変動するのを抑えることができる。
ステップ35で「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ37において、ファン回転停止フラグをオフにした後、ステップ38に進む。
ステップ38において、演算制御部16Dは、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力されるポンプ制御量Cpが、油圧ポンプ2をファンアイドリング回転数時のポンプ容量q1iとするための第3ポンプ制御量(第3のポンプ制御信号)Cp3であるか否かを判定する。ステップ38で「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ39において、第3ポンプ制御量Cp3をレギュレータ2Bに出力し、油圧ポンプ2をファンアイドリング回転数時のポンプ容量q1iとする。この場合、演算制御部16Dは、第3ポンプ制御量Cp3を所定の単位時間あたりの所定の変化量をもって出力する。このように、油圧駆動ファン7がファンアイドリング回転数へと移行する初期段階では、ステップ38およびステップ39を実行することにより、油圧駆動ファン7の始動時に油圧ポンプ2のポンプ容量q1をファンアイドリング回転数時のポンプ容量q1iへと徐々に増大させることができる。この結果、油圧駆動ファン7の回転が急激に変動するのを抑えることができる。
ステップ38で「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ40において、ファンアイドリング回転数フラグをオンにした後、ステップ41に進む。ステップ41において、演算制御部16Dは、油圧駆動ファン7をファンアイドリング回転数に制御するため、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに出力する第3バルブ制御量(第3のバルブ制御信号)Cv3を算出する。この場合、演算制御部16Dは、油圧モータ6に供給される圧油の流量Q2が、ファンアイドリング回転数時の流量Q2iとなるための流量制御バルブ8の開口面積A1iを算出する。流量制御バルブ8の開口面積A1iは、前記数2に基づき、かつ油圧モータ6に供給される圧油の圧力P2を、ファンアイドリング回転数時に油圧モータ6に供給される圧油の圧力P2iとした上で、下記数3によって算出される。そして、演算制御部16Dは、流量制御バルブ8を開口面積A1iとするため、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに出力する第3バルブ制御量Cv3を算出する。
次に、演算制御部16Dは、ステップ42において、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに、算出した第3バルブ制御量Cv3を出力する。これにより、流量制御バルブ8の開口面積A1は、ファンアイドリング回転数時の開口面積A1iとなり、油圧モータ6は、油圧駆動ファン7をファンアイドリング回転数で回転させることができる。そして、演算制御部16Dは、制御処理を終了する。
次に、コントローラ16によるファン回転停止制御について、図7を参照しつつ説明する。
図7に示されるファン回転停止制御において、演算制御部16Dは、ステップ51でファン所定回転数フラグおよびファンアイドリング回転数フラグをオフとし、ファン回転停止フラグをオンとした後、ステップ52に進む。
ステップ52において、演算制御部16Dは、回転数検出器14により検出されたエンジン回転数N1と、圧力検出器15により検出された油圧ポンプ2の吐出圧P1と、作業機操作装置13の操作量とを取得する。
次に、ステップ53において、演算制御部16Dは、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに出力されるバルブ制御量Cvが、流量制御バルブ8の開口面積A1を零とするための第2バルブ制御量(第2のバルブ制御信号)Cv2であるか否かを判定する。ステップ53において、「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ54で流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに対し、第2バルブ制御量Cv2を出力する。これにより、流量制御バルブ8の開口面積A1が零となり、油圧モータ6の回転数N2は零へと移行する。
ステップ53において、「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ55において、ステップ52で取得したエンジン回転数N1と、油圧ポンプ2の吐出圧P1と、作業機操作装置13の操作量とに基づいて、作業機12の動作に必要なポンプ制御量Cpを算出する。
次に、ステップ56において、演算制御部16Dは、算出したポンプ制御量Cpを油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力し、油圧ポンプ2を、作業機12の動作に必要なポンプ容量q1とする。これにより、作業機12は、油圧ポンプ2から供給される圧油によって作動することができる。そして、演算制御部16Dは、制御処理を終了する。
次に、第1の実施の形態による油圧駆動ファン制御装置1の作用効果について、図8を参照しつつ説明する。図8は、ダンプトラックの稼動時におけるエンジン回転数N1、油圧ポンプ2のポンプ容量q1、油圧モータ6の回転数N2の変化を経時的に示している。
まず、時点t0からt1までの間は、ダンプトラックが、例えば荷下し場所に向けて走行している状態である。この時点t0からt1までの間は、特性線17で示すエンジン回転数N1は、閾値となる所定エンジン回転数N1s以上の値を、一定時間以上継続している。従って、時点t0からt1までの間は、油圧駆動ファン7は、図5に示すファン所定回転数制御によって制御される。これにより、特性線18で示す油圧ポンプ2のポンプ容量q1は、時点t0からt1までの間は、ファン所定回転数時のポンプ容量q1pとなる。また、流量制御バルブ8の開口面積A1は、最大となる。この結果、油圧駆動ファン7を駆動する油圧モータ6の回転数N2は、特性線19で示すように、時点t0からt1までの間はファン所定回転数となる。
次に、時点t1からt2までの間は、ダンプトラックが荷下し場所の近くで減速を開始し、荷下し場所で停止する。エンジン回転数N1は、速度調整のために特性線17のように細かく変動し、エンジン回転数N1が所定エンジン回転数N1s未満になると、油圧駆動ファン7は、図6に示すファンアイドリング回転数制御によって制御される。従って、油圧ポンプ2のポンプ容量q1は、特性線18のようにファンアイドリング回転数時のポンプ容量q1iへと移行する。また、流量制御バルブ8の開口面積A1は、ファンアイドリング回転数時の開口面積A1iに制御され、流量制御バルブ8を通過して油圧モータ6に供給される圧油の流量は、ファンアイドリング回転数時の流量Q2iに制御される。これにより、油圧駆動ファン7を駆動する油圧モータ6の回転数N2は、特性線19のようにファンアイドリング回転数に移行する。この結果、油圧モータ6に供給される圧油の流量Q2が、エンジン回転数N1の変動に伴って細かく変動するのを抑え、油圧駆動ファン7の回転数が急激に変動するのを抑えることができる。
ここで、油圧ポンプ2のポンプ容量q1は、ファンアイドリング回転数時のポンプ容量q1iを保持するが、エンジン回転数N1が変動するため、油圧ポンプ2の吐出流量Q1は変動する。しかし、流量制御バルブ8の開口面積A1は、ファンアイドリング回転数時の開口面積A1iに制御されている。このため、流量制御バルブ8を通過して油圧モータ6に供給される圧油の流量Q2は、ファンアイドリング回転数時の流量Q2iを保つことができ、油圧駆動ファン7の回転数の変動を抑えることができる。
次に、時点t2において、ダンプトラックは荷下し場所に停止し、荷下し作業を行うため、作業機操作装置13の操作に応じて作業機12が作動する。これにより、作業機12に油圧ポンプ2からの圧油が供給され、エンジン回転数N1は、作業機12の作動状態に応じて、特性線17のように細かく変動する。このとき、作業機操作装置13の操作量に応じた信号がコントローラ16に入力され、油圧駆動ファン7は、図7に示すファン回転停止制御によって制御される。これにより、流量制御バルブ8の開口面積A1は零に移行し、タンク3内の作動油は、チェックバルブ9を通じて油圧モータ6の流入ポートに供給される。従って、油圧モータ6は惰性によって回転し、油圧モータ6の回転数N2は、徐々に低下していく。
そして、時点t2からt3の間は、ダンプトラックが荷下し作業を行っており、油圧ポンプ2の吐出流量Q1は、作業機12に対する操作状態に応じて増減する。このため、エンジン回転数N1は、特性線17のように細かく変動する。このとき、流量制御バルブ8の開口面積A1は零のままであるため、油圧モータ6の惰性による回転が停止した後には、特性線19のように、油圧モータ6の回転数N2は零となる。この結果、作業機12が作動している間は、油圧駆動ファン7の回転数の変動を抑えることができる。
次に、時点t3において、ダンプトラックは、荷下し作業を終了し、例えば荷下し場所から積荷場所に向けて走行を開始する。このとき、ダンプトラックの速度が上昇していくときに、エンジン回転数N1は特性線17のように変動し、油圧駆動ファン7は、図6に示すファンアイドリング回転数制御によって制御される。このとき、油圧ポンプ2のポンプ容量q1は、特性線18のように最小値に設定された後、所定の単位時間あたりの所定の変化量で、ファンアイドリング回転数時のポンプ容量q1iに移行する。また、流量制御バルブ8の開口面積A1は、ファンアイドリング回転数時の開口面積A1iに制御され、油圧モータ6に供給される圧油の流量Q2は、ファンアイドリング回転数時の流量Q2iとなる。
そして、時点t3からt4までの間は、ダンプトラックが走行速度を調整するため、エンジン回転数N1は特性線17のように変動する。このとき、油圧ポンプ2のポンプ容量q1は、ファンアイドリング回転数時のポンプ容量q1iを保っているが、エンジン回転数N1が変動することにより、油圧ポンプ2の吐出流量Q1は変動する。しかし、流量制御バルブ8の開口面積A1は、ファンアイドリング回転数時の開口面積A1iに制御されている。このため、流量制御バルブ8を通過して油圧モータ6に供給される圧油の流量Q2は、ファンアイドリング回転数時の流量Q2iを保つことができ、油圧駆動ファン7の回転数の変動を抑えることができる。
次に、ダンプトラックの走行速度が上昇し、時点t4においてエンジン回転数N1が所定エンジン回転数N1sに達する。このとき、ダンプトラックが、荷下し場所付近で速度調整している場合や、作業機12を用いた荷下し作業を行っている場合と区別する必要がある。このため、エンジン回転数N1が、所定エンジン回転数N1s以上の値を、時点t4から一定時間ts以上となる時点t5まで継続するまでの間は、ファンアイドリング回転数制御が行われる。
そして、時点t5において、エンジン回転数N1が、所定エンジン回転数N1s以上の値を一定時間ts以上継続したときには、油圧駆動ファン7は、図5に示すファン所定回転数制御によって制御される。これにより、流量制御バルブ8の開口面積A1は、所定の単位時間あたりの所定の変化量で最大となる。また、油圧ポンプ2のポンプ容量q1は、特性線18で示すように、所定の単位時間あたりの所定の変化量で、ファン所定回転数時のポンプ容量q1pとなる。これにより、油圧モータ6の回転数N2は、特性線19で示すように、時点t5から緩やかにファン所定回転数へと移行する。この結果、油圧駆動ファン7の回転数が、エンジン回転数N1の変動に伴って急激に変化するのを抑え、油圧駆動ファン7の回転の変動を抑制することができる。
次に、時点t5からt6までの間は、例えばダンプトラックが積荷場所に向けて走行している状態であり、エンジン回転数N1は、一定時間ts以上にわたって所定エンジン回転数N1s以上の値を保っている。この時点t5からt6までの間は、ファン所定回転数制御が継続される。そして、時点t6において、ダンプトラックが減速走行に移行し、エンジン回転数N1が所定エンジン回転数N1s未満となると、油圧駆動ファン7は、上述した時点t1と同様に、ファンアイドリング回転数制御によって制御される。
かくして、第1の実施の形態による油圧駆動ファン制御装置1は、ダンプトラックの稼働時に、エンジン回転数N1が変動したとしても、油圧モータ6の回転数N2を、ファン所定回転数、ファンアイドリング回転数、零の3種類に設定することができる。これにより、油圧ポンプ2のポンプ容量q1を制御して油圧ポンプ2の吐出流量Q1の変動を抑えることができる。また、流量制御バルブ8の開口面積A1を制御して油圧モータ6に供給される圧油の流量Q2、圧力P2を制御することができる。従って、油圧モータ6の回転数N2が、エンジン回転数N1の変動に伴って細かく変動するのを抑えることができる。この結果、油圧回路内でのピーク圧やハンチングの発生を抑えることができ、油圧回路を構成する油圧モータ6、ファン管路5等の油圧機器の寿命を延ばすことができる。
しかも、油圧駆動ファン制御装置1は、油圧駆動ファン7を停止状態から回転させるときには、油圧ポンプ2のポンプ容量q1を一度最小のポンプ容量q1mとした後、ファン所定回転数時のポンプ容量q1p、あるいはファンアイドリング回転数時のポンプ容量q1iへと増加させる。この結果、油圧駆動ファン7の回転が急激に変動するのを抑え、油圧回路内でのピーク圧やハンチングの発生を抑えることができる。
さらに、油圧駆動ファン制御装置1は、油圧駆動ファン7の回転数を変化させるときには、流量制御バルブ8に対し、所定の単位時間あたりの所定の変化量をもってバルブ制御信号を出力すると共に、油圧ポンプ2に対し、所定の単位時間あたりの所定の変化量をもってポンプ制御信号を出力する。これにより、油圧モータ6に供給される圧油の流量を徐々に増大させることができる。この結果、油圧駆動ファン7の回転が急激に変動するのを抑えることができ、油圧回路内でのピーク圧やハンチングの発生を抑えることができる。
次に、図9ないし図13は、本発明の第2の実施の形態を示し、第2の実施の形態の特徴は、第1の実施の形態によるリリーフバルブ10を可変リリーフバルブとしたことにある。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
図9に示す油圧駆動ファン制御装置21は、第1の実施の形態によるものと同様に、油圧ポンプ2、油圧モータ6、油圧駆動ファン7、流量制御バルブ8、回転数検出器14、圧力検出器15、コントローラ16等により構成されている。しかし、油圧駆動ファン制御装置21は、ファン管路5の途中に可変リリーフバルブ22が設けられている点で、第1の実施の形態による油圧駆動ファン制御装置1とは異なっている。
可変リリーフバルブ22は、ファン管路5の途中に設けられ、油圧ポンプ2からファン管路5に吐出される圧油の吐出圧を設定し、過剰圧をタンク3に排出する。可変リリーフバルブ22は、圧力制御部22Aを有し、可変リリーフバルブ22のリリーフ圧Pr1(MPa)は、コントローラ16から圧力制御部22Aに出力されるリリーフ圧制御量Cr(A)に応じて変化する。リリーフ圧制御量Cr(A)は、コントローラ16からの指令電流(制御信号)として圧力制御部22Aに供給される。
ここで、コントローラ16から圧力制御部22Aに入力されるリリーフ圧制御量Cr(A)と、可変リリーフバルブ22のリリーフ圧Pr1(MPa)との関係は、図10の特性線図のようになる。即ち、リリーフ圧制御量Crが、第1リリーフ圧制御量Cr1となる場合には、リリーフ圧Pr1は、ファン所定回転数時のリリーフ圧Pr1pとなる。リリーフ圧制御量Crが、第2リリーフ圧制御量Cr2となる場合には、リリーフ圧Pr1は、最小のリリーフ圧Pr1mとなる。リリーフ圧制御量Crが、第3リリーフ圧制御量Cr3となる場合には、リリーフ圧Pr1は、ファンアイドリング回転数時のリリーフ圧Pr1iとなる。
第2の実施の形態による油圧駆動ファン制御装置21は、上述の如き構成を有するもので、次に、コントローラ16によるファン所定回転数制御について、図11を参照しつつ説明する。
図11に示されるファン所定回転数制御において、演算制御部16Dは、ステップ61でファンアイドリング回転数フラグをオフにする。次に、ステップ62において、演算制御部16Dは、ファン所定回転数時の油圧モータ6に供給される圧油の圧力P2、流量制御バルブ8を通過する圧油の流量Q2、油圧ポンプ2のポンプ容量q1p、可変リリーフバルブ22のリリーフ圧Pr1pを記憶部16Cから読み込む。
次に、ステップ63において、演算制御部16Dは、ファン回転停止フラグがオンになっているか否かを判定し、「NO」と判定した場合にはステップ67に進み、「YES」と判定した場合にはステップ64に進む。ステップ64において、演算制御部16Dは、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力されるポンプ制御量Cpが、第2ポンプ制御量Cp2であるか否かを判定する。ステップ64で「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ65において、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに第2ポンプ制御量Cp2を出力する。
ステップ64で「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ66においてファン回転停止フラグをオフにした後、ステップ67に進む。ステップ67において、演算制御部16Dは、可変リリーフバルブ22の圧力制御部22Aに対し、第1リリーフ圧制御量Cr1を出力し、可変リリーフバルブ22のリリーフ圧Pr1を、ファン所定回転数時のリリーフ圧Pr1pとする。
次に、ステップ68において、演算制御部16Dは、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに出力されるバルブ制御量Cvが、第1バルブ制御量Cv1であるか否かを判定する。ステップ68で「NO」と判定した場合には、ステップ69において、演算制御部16Dは、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに対し、所定の単位時間あたりの所定の変化量をもって第1バルブ制御量Cv1を出力する。一方、ステップ68で「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ70において、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力されるポンプ制御量Cpが、第1ポンプ制御量Cp1であるか否かを判定する。
ステップ70で「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ71において、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに対し、第1ポンプ制御量Cp1を所定の単位時間あたりの所定の変化量をもって出力する。ステップ70で「YES」と判定した場合には、油圧ポンプ2のポンプ容量q1がファン所定回転数時のポンプ容量q1pとなっているため、油圧モータ6は、油圧駆動ファン7をファン所定回転数で回転させることができる。そして、演算制御部16Dは、ステップ72において、ファン所定回転数フラグをオンにした後、制御処理を終了する。
次に、コントローラ16によるファンアイドリング回転数制御について、図12を参照しつつ説明する。
図12に示されるファンアイドリング回転数制御において、演算制御部16Dは、ステップ81でファン所定回転数フラグをオフにする。次に、ステップ82において、演算制御部16Dは、ファンアイドリング回転数時の油圧モータ6に供給される圧油の圧力P2、流量制御バルブ8を通過する圧油の流量Q2、油圧ポンプ2のポンプ容量q1i、可変リリーフバルブ22のリリーフ圧Pr1iを記憶部16Cから読み込む。
次に、ステップ83において、演算制御部16Dは、圧力検出器15からの検出信号に基づいて油圧ポンプ2の吐出圧P1を取得する。続くステップ84において、演算制御部16Dは、ファン回転停止フラグがオンになっているか否かを判定し、「NO」と判定した場合にはステップ88に進み、「YES」と判定した場合には、ステップ85に進む。ステップ85において、演算制御部16Dは、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力されるポンプ制御量Cpが、第2ポンプ制御量Cp2であるか否かを判定する。ステップ85で「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ86において、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに第2ポンプ制御量Cp2を出力する。
ステップ85で「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ87においてファン回転停止フラグをオフにした後、ステップ88に進む。ステップ88において、演算制御部16Dは、可変リリーフバルブ22の圧力制御部22Aに対し、第3リリーフ圧制御量Cr3を出力し、可変リリーフバルブ22のリリーフ圧Pr1を、ファンアイドリング回転数時のリリーフ圧Pr1iとする。これにより、油圧ポンプ2からファン管路5に吐出する圧油の吐出圧が、ファンアイドリング回転数時の吐出圧に制限される。
次に、ステップ89において、演算制御部16Dは、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力されるポンプ制御量Cpが、油圧ポンプ2をファンアイドリング回転数時のポンプ容量q1iとするための第3ポンプ制御量Cp3であるか否かを判定する。ステップ89で「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ90において、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに対し、第3ポンプ制御量Cp3を所定の単位時間あたりの所定の変化量をもって出力する。
ステップ89で「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ91において、ファンアイドリング回転数フラグをオンにした後、ステップ92に進む。ステップ92において、演算制御部16Dは、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに対し、所定の単位時間あたりの所定の変化量で第1バルブ制御量Cv1を出力し、流量制御バルブ8の開口面積A1を最大とする。このとき、ファン管路5内の圧力は、可変リリーフバルブ22によってファンアイドリング回転数時のリリーフ圧Pr1iに低下している。このため、開口面積A1が最大となった流量制御バルブ8を通過して油圧モータ6に供給される圧油の圧力P2を、ファンアイドリング回転数時の圧力P2iとし、油圧モータ6は、油圧駆動ファン7をファンアイドリング回転数で回転させることができる。
次に、コントローラ16によるファン回転停止制御について、図13を参照しつつ説明する。
図13に示されるファン回転停止制御において、演算制御部16Dは、ステップ101でファン所定回転数フラグおよびファンアイドリング回転数フラグをオフとし、ファン回転停止フラグをオンとした後、ステップ102に進む。ステップ102において、演算制御部16Dは、回転数検出器14により検出されたエンジン回転数N1と、圧力検出器15により検出された油圧ポンプ2の吐出圧P1と、作業機操作装置13の操作量とを取得する。
続くステップ103において、演算制御部16Dは、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに出力されるバルブ制御量Cvが、第2バルブ制御量Cv2であるか否かを判定する。ステップ103において、「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ104で流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに対し、第2バルブ制御量Cv2を出力する。これにより、流量制御バルブ8の開口面積A1が零となり、油圧モータ6の回転数N2は零へと移行する。
ステップ103において、「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ105で可変リリーフバルブ22の圧力制御部22Aに所定のリリーフ圧制御量Crを出力する。これにより、可変リリーフバルブ22のリリーフ圧Pr1が、作業機12の動作に必要な圧力に設定される。
続くステップ106において、演算制御部16Dは、ステップ102で取得したエンジン回転数N1と、油圧ポンプ2の吐出圧P1と、作業機操作装置13の操作量とに基づいて、作業機12の動作に必要なポンプ制御量Cpを算出する。そして、ステップ107において、演算制御部16Dは、算出したポンプ制御量Cpを油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力し、油圧ポンプ2を、作業機12の動作に必要なポンプ容量q1とする。これにより、作業機12は、油圧ポンプ2から供給される圧油によって作動することができる。
かくして、第2の実施の形態による油圧駆動ファン制御装置21は、第1の実施の形態と同様に、ダンプトラックの稼働状況に応じてエンジン回転数N1が変動したとしても、油圧モータ6の回転数N2を、ファン所定回転数、ファンアイドリング回転数、零の3種類に設定することができる。従って、油圧モータ6の回転数N2が、エンジン回転数N1の変動に伴って細かく変動するのを抑えることができる。
しかも、油圧駆動ファン制御装置21は、可変リリーフバルブ22によってファン管路5内の最大圧力を適宜に調整することができる。従って、油圧モータ6の回転数N2を、ファン所定回転数、ファンアイドリング回転数、零の3種類に制御するときに、それぞれの回転数に適したファン管路5内の最大圧力を設定することができる。
次に、図14ないし図17は、本発明の第3の実施の形態を示し、第3の実施の形態の特徴は、油圧駆動ファンに対するファンアイドリング回転数制御が行われず、ファン所定回転数制御とファン回転停止制御との2種類の制御が行われることにある。なお、第3の実施の形態による油圧駆動ファン制御装置の構成は、図1に示す油圧駆動ファン制御装置1と同一である。
コントローラ16は、図14に示される判別処理によって、油圧駆動ファン7に対し、ファン所定回転数制御とファン回転停止制御のどちらを適用するか判別する。
コントローラ16は、ステップ111において、回転数検出器14により検出されたエンジン回転数N1と、作業機操作装置13の操作量とを取得し、記憶部16Cに記憶する。次に、ステップ112において、演算制御部16Dは、作業機操作装置13によって作業機12が操作されているか否かを判定する。ステップ112において、「YES」と判定した場合にはステップ113に進み、図16に示すファン回転停止制御を行う。ステップ112において、「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ114でエンジン回転数N1が所定エンジン回転数N1s以上となる継続時間を計測する。
次に、ステップ115において、演算制御部16Dは、エンジン回転数N1が所定エンジン回転数N1s以上の値を一定時間以上継続しているか否かを判定する。ステップ115で「NO」と判定した場合にはステップ113に進み、図16に示すファン回転停止制御を行う。一方、ステップ115で「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ116に進み、図15に示すファン所定回転数制御を行う。
このように、第3の実施の形態では、コントローラ16は、作業機12が操作された場合と、エンジン回転数N1が所定エンジン回転数N1s以上の値を一定時間以上継続していない場合には、ファン回転停止制御を行う。また、コントローラ16は、エンジン回転数N1が所定エンジン回転数N1s以上の値を一定時間以上に亘って継続している場合には、ファン所定回転数制御を行う。
次に、コントローラ16によるファン所定回転数制御について、図15を参照しつつ説明する。
図15に示されるファン所定回転数制御において、演算制御部16Dは、ステップ121でファン所定回転数時の油圧ポンプ2のポンプ容量q1を記憶部16Cから読込み、ステップ122に進む。ステップ122において、演算制御部16Dは、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力されるポンプ制御量Cpが、第2ポンプ制御量Cp2であるか否かを判定する。ステップ122で「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ123において、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに対し、第2ポンプ制御量Cp2を出力する。ステップ122で「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ124において、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに出力されるバルブ制御量Cvが、第1バルブ制御量Cv1であるか否かを判定する。
ステップ124で「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ125において、ソレノイド部8Aに対し、所定の単位時間あたりの所定の変化量をもって第1バルブ制御量Cv1を出力する。ステップ124で「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ126において、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力されるポンプ制御量Cpが、第1ポンプ制御量Cp1であるか否かを判定する。
ステップ126で「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ127において、油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに対し、所定の単位時間あたりの所定の変化量をもって第1ポンプ制御量Cp1(A)を出力する。一方、ステップ126で「YES」と判定した場合には、油圧ポンプ2のポンプ容量q1がファン所定回転数時のポンプ容量q1pとなっているため、油圧モータ6は、油圧駆動ファン7をファン所定回転数で回転させることができる。そして、演算制御部16Dは、ステップ128において、ファン所定回転数フラグをオンにした後、制御処理を終了する。
次に、コントローラ16によるファン回転停止制御について、図16を参照しつつ説明する。
図16に示すファン回転停止制御において、演算制御部16Dは、ステップ131において、ファン所定回転数フラグをオフとした後、ステップ132に進む。ステップ132において、演算制御部16Dは、回転数検出器14により検出されたエンジン回転数N1と、圧力検出器15により検出された油圧ポンプ2の吐出圧P1と、作業機操作装置13の操作量とを取得する。
続くステップ133において、演算制御部16Dは、流量制御バルブ8のソレノイド部8Aに出力されるバルブ制御量Cvが、第2バルブ制御量Cv2であるか否かを判定する。ステップ133において、「NO」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ134でソレノイド部8Aに対し、第2バルブ制御量Cv2を出力する。これにより、流量制御バルブ8の開口面積A1が零となり、油圧モータ6の回転数N2は零へと移行する。
一方、ステップ133において「YES」と判定した場合には、演算制御部16Dは、ステップ135で作業機12の動作に必要なポンプ制御量Cpを算出する。そして、演算制御部16Dは、ステップ136において、算出したポンプ制御量Cpを油圧ポンプ2のレギュレータ2Bに出力する。これにより、油圧ポンプ2が、作業機12の動作に必要なポンプ容量q1となり、作業機12は、油圧ポンプ2から供給される圧油によって作動することができる。
次に、第3の実施の形態による油圧駆動ファン制御装置の作用効果について、図17を参照しつつ説明する。
図17において、時点t0からt1までの間は、ダンプトラックが、例えば荷下し場所に向けて走行し、時点t5からt6までの間は、ダンプトラックが積荷場所に向けて走行している状態である。この時点t0からt1までの間、および時点t5からt6までの間は、エンジン4のエンジン回転数N1は、特性線17で示すように、所定エンジン回転数N1s以上の値を一定時間ts以上にわたって継続している。この時点t0からt1までの間、および時点t5からt6までの間は、油圧駆動ファン7は、図15に示すファン所定回転数制御によって制御される。これにより、時点t0からt1までの間、および時点t5からt6までの間は、油圧駆動ファン7を駆動する油圧モータ6の回転数N2は、特性線23で示すように、ファン所定回転数となる。
次に、時点t1からt2までの間は、ダンプトラックが減速しながら荷下し場所に接近して停止する状態にあり、時点t2からt3までの間は、ダンプトラックが荷下し作業を行っている状態にある。また、時点t3からt4までの間は、ダンプトラックが走行速度を調整しながら荷下し場所から積荷場所へと走行する状態にある。この時点t1からt4までの間は、エンジン回転数N1は、特性線17で示すように細かく変動する。
第3の実施の形態では、時点t1からt5までの間は、油圧駆動ファン7は、図16に示すファン回転停止制御によって制御される。この時点t1からt5までの間は、流量制御バルブ8の開口面積A1は零となり、油圧駆動ファン7の惰性による回転が終了した後には、特性線23のように、油圧モータ6の回転数N2は零となる。この結果、油圧駆動ファン7は停止した状態を保持するので、エンジン回転数N1の変動に伴う油圧駆動ファン7の回転数の変動を抑えることができる。
かくして、第3の実施の形態によれば、ダンプトラックの稼働時に、エンジン回転数N1が、図17中の特性線17のように変動したとしても、油圧駆動ファン7を回転させる油圧モータ6の回転数N2を、特性線23のように、ファン所定回転数と零との2種類に制御することができる。従って、油圧モータ6の回転数N2が、図17中の二点鎖線で示す特性線24のように細かく変動するのを抑えることができる。この結果、油圧回路内でのピーク圧やハンチングの発生を抑えることができ、油圧回路を構成する油圧機器の寿命を延ばすことができる。
なお、実施の形態では、油圧ポンプ2のポンプ容量q1は、レギュレータ2Bに入力されるポンプ制御量Cpの値が小さいほど増加する場合を例に挙げている。しかし、本発明はこれに限らず、ポンプ制御量Cpの値が小さいほどポンプ容量q1が減少する構成としてもよい。
また、実施の形態では、ソレノイド部8Aに制御信号が入力されていないときには閉弁し、制御信号が入力されたときに開弁する常閉型の流量制御バルブ8を用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、常開型の流量制御バルブ8を用いてもよい。
また、実施の形態では、油圧駆動ファン7を停止状態から回転させるときには、油圧ポンプ2のポンプ容量q1を一度最小のポンプ容量q1mとした後、ファン所定回転数時のポンプ容量q1p、あるいはファンアイドリング回転数時のポンプ容量q1iへと増加させる場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、流量制御バルブ8の開口面積A1を一度最小とした後、ファン所定回転数時の最大の開口面積、あるいはファンアイドリング回転数時の開口面積A1iへと増加させる構成としてもよい。
また、実施の形態では、作業機12が作動している間は、油圧駆動ファン7の回転を停止させる場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば作業機12に供給すべき圧油の流量、圧力を確保した状態で、同時に油圧モータ6に圧油を供給することにより、作業機12の作動時に油圧駆動ファン7を回転させる構成としてもよい。