JP6791101B2 - 静電容量式圧力センサ - Google Patents

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Description

本発明は、静電容量式圧力センサに関する。
従来から、コンデンサの静電容量の変化を検知して、コンデンサに印加される圧力を測定するセンサが知られている(例えば、特許文献1)。そして、このような圧力センサを、可撓性を有する基板を用いて形成した、シート状の圧力センサが提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3)。
特許文献2には、ポリイミドからなる第1柔軟基板に、第1および第2ワイヤが形成され、その下に第1及び第2電極が形成され、その上にコイルが形成され、該コイル上には第2柔軟基板が蒸着される構造の、柔軟圧力センサが開示されている。そして、このような構成の柔軟圧力センサを、前記第1電極と前記第2電極とが対向するようにして血管に巻付け、第1電極、第2電極間の静電容量の変化を検出することで、血圧を測定することが記載されている。
また、特許文献3には、第1の弾性体シートと、前記第1の弾性体シートの主面に設けられた複数の第1の柱状突起と、前記第1の弾性体シートの前記主面側に接着され、複数の第1の電極と、複数の第1の穴部と、を有する第1のフレキシブル基板と、前記第1のフレキシブル基板と対向して配置され、複数の第2の電極と、複数の第2の穴部と、を有する第2のフレキシブル基板と、前記第2のフレキシブル基板の前記第1のフレキシブル基板と対向する面とは反対の面側に接着される第2の弾性体シートと、を具備し、前記第1の柱状突起は、前記複数の第1の穴部をそれぞれ貫通し、前記第2のフレキシブル基板と近接または接触する先端部分を有し、前記第2の柱状突起は、前記複数の第2の穴部をそれぞれ貫通し、前記第1のフレキシブル基板と近接または接触する先端部分を有する、静電容量式の圧力センサが開示されている。
特開2006−194771号公報 特開2006−108657号公報 特開2009−2740号公報
上記の様に、従来の静電容量式のシート型圧力センサは、対向する第1、第2の基板のいずれもが柔軟性を有する(即ち、いずれもが容易に変形する)構造であるため、圧力センサに力が印加された際に、印加される力とセンサ中空部における静電容量との関係が安定せず(即ち、圧力算出の基準となる値が安定せず)、測定精度が低くなるという問題があった。
また、例えば上記特許文献3に記載の圧力センサのように、第1、第2の基板それぞれの電極部分を対向させ、中空部を形成するようにしてこれらの基板を接合する構造であると、基板同士を接合する際に、電極部分の位置がずれて、中空部(コンデンサ)が適切に形成されない状態で接合されることが生じるという問題がある。特に、一のフレキシブル基板上に複数の電極を設け、複数のセンサを備える一のシート型センサを形成する場合においては、全ての電極について正確な位置合わせを行うことは困難である。このように電
極部分の位置ずれが生じると、圧力及びその分布が正確に測定できなくなってしまう。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、2つの基板を接合して形成される静電容量式のシート型圧力センサにおいて、電極部分の位置がずれて接合された場合であっても、測定精度の低下を抑止することができる技術の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る圧力センサは、可撓性を有し、一方の面の一部の領域に第1の電極及び第2の電極が設けられるフレキシブル基板と、前記第1の電極及び第2の電極と対向し、かつ離間して配置される第3の電極を備える硬質基板と、前記第1の電極と前記第3の電極とを絶縁された状態で接合するととともに、前記第1の電極と前記第3の電極との間に中空部を形成する壁部と、を有しており、前記中空部において、前記第1の電極が前記第3の電極に対して撓むことで生じる静電容量の変化を検出することにより、前記第1の電極と前記第3の電極との対向面に向けて印加される圧力を測定する、静電容量式圧力センサであって、平面視において、前記フレキシブル基板における前記第1の電極及び前記第2の電極が設けられる前記一部の領域の面積が、前記硬質基板の面積よりも大きい、ことを特徴とする。
上記の様な構成であると、圧力センサに力が印加された場合に、硬質基板に設けられた第3の電極は撓むこと無く、第1の電極のみが第3の電極に向けて撓みを生じることになるため、圧力センサに印加される力とセンサ中空部における静電容量との相関関係が安定し、良好な精度で圧力測定を行うことが可能になる。
また、平面視において、フレキシブル基板上の第1の電極と第2の電極とが占める領域の面積が、前記硬質基板の面積よりも大きくなるように形成されているため、製造過程において前記第1電極と前記第3電極を接合する際に電極部の位置がある程度ずれたとしても、静電容量の変化を検出するための前記中空部を確保することができ、測定精度の低下を抑止することができる。
また、前記フレキシブル基板は前記第1の電極と前記第2の電極の組を複数備えており、該複数組の前記第1の電極と第2の電極に対応する複数の前記硬質基板を有する構成であってもよい。このような構成により、複数のセンサの集合を一つのシート型圧力センサとして活用することができる。
また、前記複数組の前記第1の電極及び第2の電極は前記フレキシブル基板上に所定間隔を置いて格子状に配置されていてもよい。このような構成であると、フレキシブル基板に印加される圧力の分布を計測することも可能になる。
また、前記第1の電極はグラウンドに接続されていていてもよい。上記の様な構成の圧力センサの場合、通常は第1の電極が設けられるフレキシブル基板を測定対象物に接触させて、圧力の検出が行われる。このため、対象物に接触する側である第1電極をグラウンドに接続することにより、漏電を抑止して電気的な安全性を高める事ができる。
本発明によれば、2つの基板を接合して形成される静電容量式のシート型圧力センサにおいて、電極部分の位置がずれて接合された場合であっても、測定精度の低下を抑止する技術を提供することができる。
図1Aは適用例に係る圧力センサの一例を示す概略平面図である。図1Bは適用例に係る圧力センサの一例を示す概略断面図である。 図2は、実施形態に係る圧力センサの一例を示す第1の図である。 図3は、実施形態に係る圧力センサの一例を示す第2の図である。 図4は、静電容量測定回路の構成の一例を示す図である。 図5Aは、圧力センサに圧力が印加される前の状態の一例を示す図である。図5Bは、圧力センサに圧力が印加されたときの状態の一例を示す図である。 図6Aは、実施形態に係る圧力センサの製造工程の一例を示す第1の図である。図6Bは、実施形態に係る圧力センサの製造工程の一例を示す第2の図である。図6Cは、実施形態に係る圧力センサの製造工程の一例を示す第3の図である。図6Dは、実施形態に係る圧力センサの製造工程の一例を示す第4の図である。図6Eは、実施形態に係る圧力センサの製造工程の一例を示す第5の図である。 図7Aは、実施形態に係る圧力センサの製造工程の一例を示す第6の図である。図7Bは、実施形態に係る圧力センサの製造工程の一例を示す第7の図である。 図8Aは、実施形態に係る圧力センサの製造工程の一例を示す第8の図である。図8Bは、実施形態に係る圧力センサの製造工程の一例を示す第9の図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の一例について説明する。
<適用例>
本発明は例えば、図1に示す次のような圧力センサ9として適用することができる。図1Aは本適用例に係る圧力センサ9の概略平面図、図1Bは図1AのX−X線における概略断面図である。圧力センサ9は、いわゆる静電容量式による圧力センサであり、全体的な構造は、可撓性を有するシート状のフレキシブル基板910と、硬質の絶縁材料にて形成される硬質基板920とが接合された構成となっている。
フレキシブル基板910には、フレキシブル基板910の変形に応じて一定程度の可撓性を有する可動電極911、及び信号線912などの配線が設けられる。なお、可動電極911には、電極の表面にメッキ部が形成されていても良い。一方、硬質基板920上には固定電極921、絶縁部922、メタル部923が設けられる。そして、フレキシブル基板910と硬質基板920は、それぞれの電極が形成された面が対向するようにして、接合されている。具体的にはフレキシブル基板910側の可動電極911と、硬質基板920側のメタル部923が接合される構造となっている。
可動電極911は、フレキシブル基板910上において近接して配置される第1可動電極911aと第2可動電極911bとから構成されている。即ち、一組の第1可動電極911aと第2可動電極911bが、一の可動電極911となる。第1可動電極911aは固定電極921と絶縁され、中空部930において固定電極921に対して撓む構成となっている。即ち、第1可動電極911aがコンデンサを構成する電極の役割を果たす部分となる。また、第2可動電極は固定電極921と電気的に接続されており、コネクタ950と信号線912によって接続されている。なお、第1可動電極911aはコネクタ950とグラウンド線913によって接続されている。
また、絶縁部922は、硬質基板920及び固定電極921の可動電極911と対向する側の面の一部を覆うように形成され、メタル部923は、絶縁部922上に形成される。そして、固定電極921の上面のうち、絶縁部922で覆われていない部分とメタル部923によって囲まれた部分が、中空部930となり、誘電層として機能する。
即ち、第1可動電極911a、固定電極921、中空部930でコンデンサが構成される。ここで、第1可動電極911aが圧力を受けると中空部930において撓むことで、
第1可動電極911aと固定電極921の距離が近くなるため、中空部930における静電容量の値が大きくなる。当該変化は電気的に検出(出力)することができるため、静電容量の値の変化から第1可動電極911aと固定電極921との距離、即ち圧力センサ9に印加された圧力を測定する事ができる。
ところで、静電容量の値の変化から圧力センサに印加された圧力を正しく測定するためには、圧力センサに印加される圧力の強さと、これを受けて変化する(コンデンサを構成する)両電極の距離と、静電容量の値との関係が一意的に定まっている必要がある。しかしながら、コンデンサを構成する電極の両方が可撓性を有する基板に形成されているような場合には、印加圧力と両電極の距離と静電容量の値との関係は安定せず、精度良く圧力を測定することができない。
この点、本適用例における圧力センサ9は、固定電極921が硬質の硬質基板920上に設けられているため容易には変形せず、圧力を受けた場合には可動電極911と固定電極921との距離は当該印加圧力に応じて変化し、両電極の距離に反比例して静電容量の値が変化する。このため、印加された圧力を精度良く計測する事ができる。
また、本適用例における圧力センサ9は、フレキシブル基板910において、一組の第1可動電極911aと第2可動電極911bからなる、一の可動電極911全体の占める領域の面積が、平面視で略矩形状に形成されており、その面積は硬質基板920よりも大きい構成となっている。このようにすることによって、可動電極911と固定電極921とを接合する際にある程度の位置ずれが生じたとしても、固定電極921を可動電極911の範囲内に位置させることができる。即ち、圧力センサ9の静電容量センサとしての機能を確保し、測定精度の低下を抑止することができる。
<実施形態>
(圧力センサ100の構成)
次に、図2〜図8を参照して、本発明のより詳細な実施形態について説明する。図2および図3は実施形態に係る静電容量式圧力センサの一例を示す図である。図2は圧力センサ100を平面視した図の一例であり、図3は図2のA−A線における断面図の一例である。図2では、平面視においては目視できない固定基板側メッキ部24、第1中空部18、第2中空部19、固定電極22および基板部21が点線で示されている。図2では、3つの圧力センサ100(100a、100b、100c)が例示されるとともに、コネクタ200および静電容量測定回路300も例示される。3つの圧力センサ100a、100b、100cは、シート基板11を共有する。
図3を参照すると理解できるように、圧力センサ100は、可動電極12を含み可撓性を有する可動部10と固定電極22を含む固定基板部20とを備える。圧力センサ100は、可動部10の可動電極12と固定基板部20の固定電極22とが対向するように、可動部10と固定基板部20とを接合して形成される。
可動電極12は、第1可動電極121および第1可動電極121と離間して設けられる第2可動電極122を含む。第1可動電極121と固定電極22との間には、第1中空部18が形成される。第1中空部18形成されることで、シート基板11上の第1可動電極121に相当する領域に圧力が印加されたときに、可動部10は固定基板部20に向けて変形可能となる。また、第2可動電極122と固定電極22との間には、第2中空部19が形成される。
図2では、第1中空部18および第2中空部19の断面形状は略円形に形成されているが、第1中空部18および第2中空部19の断面形状が略円形に限定されるわけではない
。第1中空部18および第2中空部19の断面形状は、略多角形に形成されていてもよく、例えば、略四角形、略六角形、略八角形等であってもよい。
以下、本明細書において、図2における第2中空部19から第1中空部18に向かう方向を右、その逆方向を左とする。また、図2において、圧力センサ100aから圧力センサ100cに向かう方向を後ろ、その逆方向を前とする。さらに、図3における可動部10から固定基板部20に向かう方向を下、その逆方向を上とする。
可動部10は、シート基板11、可動電極12、可動部側メッキ部14を含む。シート基板11は、可撓性を有する部材(例えば、ポリイミド)で形成される。シート基板11の厚さは、例えば、25μmである。ここで、シート基板11の厚さは、シート基板11の上下方向の長さである。シート基板11の下方向の面には導電性を有する部材(例えば銅)によって形成される可動電極12が設けられる。可動電極12は、上述のように、第1可動電極121および第1可動電極121と離間して設けられる第2可動電極122を含む。可動電極12の厚さは、例えば、10μmである。第1可動電極121の左右方向の長さは、例えば、2.0mmである。第2可動電極122の左右方向の長さは、例えば、0.5mmである。第1可動電極121および第2可動電極122の前後方向の長さは、例えば、1mmから2mmである。第1可動電極121と第2可動電極122との間の距離は、例えば、0.1mmである。可動電極12の下方向の面には、可動部側メッキ部14が設けられる。可動部側メッキ部14は、第1可動電極121の下方向の面に設けられる第1メッキ部141と第2可動電極122の下方向の面に設けられる第2メッキ部142を含む。可動部側メッキ部14は、例えば、金メッキによって形成される。
固定基板部20は、基板部21、固定電極22、絶縁部23および固定基板側メッキ部24を含む。基板部21は、容易には変形しない部材(例えば、ガラス)で形成される。基板部21の厚さは、例えば、300μmから600μmである。また、基板部21の前後方向の長さは、可動電極12部分全体が占める領域の前後方向の長さよりも短く設定されており、基板部21の左右方向の長さは、可動電極12部分全体が占める領域の左右の長さよりも短く設定されている。即ち、圧力シート1を平面視した際の固定基板部20の面積は、可動電極12全体部分が占める領域の面積よりも小さくなる様に設定されている。
基板部21が容易には変形しない部材で形成されるため、シート基板11への圧力の印加により可動部10が撓んでも、固定基板部20の変形は抑制される。基板部21の上側の面上には導電性を有する部材(例えばクロム)によって形成された固定電極22が配置される。さらに、固定電極の22の周囲を囲むとともに、固定電極22の上方の一部を覆う絶縁部23が設けられる。
絶縁部23は絶縁体(例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)や二酸化ケイ素)によって形成される。絶縁部23の厚さは、例えば、0.5μmである。絶縁部23には、平面視において第1可動電極121と固定電極22とが重なる領域の一部に上述した第1中空部18の一部を形成する箇所が設けられる。また、平面視において第2可動電極122と固定電極22とが重なる領域の一部には上述した第2中空部19を形成するための箇所が設けられる。
絶縁部23において、第1中空部18の一部および第2中空部19を形成するための箇所は、絶縁部23の可動部10側の面から固定電極22側の面まで達する貫通孔として形成される。第1中空部18を平面視したときの直径は、例えば、0.6mmから1.2mmである。圧力センサ100を平面視した場合において、第2中空部19の面積は、第1中空部18の面積よりも小さい。すなわち、第2中空部19を平面視したときの直径は、
第1中空部18を平面視したときの直径よりも小さい。圧力が印加されていないときにおける第1中空部18の第1可動電極121と固定電極22との間の距離dは、例えば、1μmである。
絶縁部23の上側の面の一部の他、第2中空部19の内側面および底部には、固定基板側メッキ部24が設けられる。固定基板側メッキ部24は、第3メッキ部241と第4メッキ部242を含む。
第3メッキ部241は、絶縁部23の上側の面において、第1中空部18の一部を形成する貫通孔の縁近傍の領域に当該箇所を囲むようにして設けられる。このようにして第3メッキ部241に囲まれた部分と絶縁部23に設けられた貫通孔によって形成される空間が第1中空部18であり、本発明における「壁部」は絶縁部23に設けられた貫通孔の内壁と、第3メッキ部241とによって構成される。
第4メッキ部242は、絶縁部23の上側の面において第2中空部19を形成するための貫通孔の縁近傍の領域に当該箇所を囲むようにして設けられるとともに、該貫通孔の内側面、及び該貫通孔の底部に該当する固定電極22の上面にも設けられる。即ち、第4メッキ部242は、絶縁部23の上側の面の上方から第2可動電極122に向けて突出して形成される部分と、貫通孔の内部を覆う部分とから形成され、これらに囲まれた空間が第2中空部19となる。なお、固定基板側メッキ部24は、例えば、金メッキによって形成される。
可動部側メッキ部14と固定基板側メッキ部24とが接合されることで可動部10と固定基板部20とが一体となり、圧力センサ100が形成される。また、第2メッキ部142と第4メッキ部242とが接合されることで、第2可動電極122と固定電極22とが電気的に接続される。
第2可動電極122とコネクタ200とは第2可動電極122から延びる信号線15によって接続される。また、圧力センサ100a、100bの第1可動電極121の間および圧力センサ100b、100cの第1可動電極121の間は、第1可動電極121から延びるグランド(GND)線16aによって接続される。
図2において、隣り合った圧力センサ100の間の距離は、例えば、0.1mmから0.3mmである。すなわち、GND線16aの長さは、0.1mmから0.3mmである。さらに、圧力センサ100cの第1可動電極121は、第1可動電極121から延びるGND線16bによってコネクタ200と接続される。すなわち、圧力センサ100a、100b、100cでは、GNDが共有される。
図2および図3を参照すると理解できるように、圧力センサ100では、信号線15とGND線16のいずれもがシート基板11の下側の面に形成される。すなわち、圧力センサ100では、第1可動電極121から延びる配線と固定電極22から延びる配線とが同一の層に形成される。圧力センサ100は、このような構成を採用することで、簡易な配線構造が実現される。
上述した構成を有する圧力センサ100は、距離d(図2参照)離れて配置された第1可動電極121の固定電極22と重なり合う領域と固定電極22の第1可動電極121と重なり合う領域とを電極板とするコンデンサとして動作する。コンデンサの静電容量Cは、例えば、上述した距離dおよび第1可動電極121と固定電極22とが重なり合う領域の面積S(図3参照)を用いて、数式C=ε0ε×S/d(式1)によって算出される。
上記(式1)において、ε0は真空の誘電率であり、εrは大気の比誘電率である。すなわち、(式1)によれば、可動部10に力が加えられることによって生じる第1可動電極121と固定電極22との間の距離dの変動に応じて、静電容量Cが変動することがわかる。
このため、静電容量Cの変動を検出することで、可動部10に印加された力を検出出来る。また、圧力Pは、例えば、上述した面積Sを用いて、数式P=F/S(式2)によっ
て算出される。
上記(式2)において、Fは圧力センサ100に印加される力の大きさである。上述の通り、基板部21は容易には変形しない部材によって形成されるため、圧力センサ100に力が印加されても圧力算出の基準となる面積Sの変動が抑制される。そのため、圧力センサ100は、基板部21が容易に変形する部材で形成された圧力センサよりも高い精度で圧力を検出できる。
図4は、静電容量測定回路300の構成の一例を示す図である。図4では、圧力センサ100a、100b、100cも例示されている。また、図4では、コネクタ200の図示は省略している。静電容量測定回路300は、2つのマルチプレクサ301(図中では、MUXと記載)とコンバータ302を備える。
マルチプレクサ301の各々には、圧力センサ100a、100b、100cの静電容量の変動に伴う信号が信号線15を介して入力される。マルチプレクサ301の各々は、圧力センサ100a、100b、100cから入力された信号のうち選択されたひとつを出力する。図4において、マルチプレクサ301が出力する信号の選択に用いられる選択信号の図示は省略されている。
マルチプレクサ301の各々から出力された信号はコンバータ302に入力される。コンバータ302は、例えば、マルチプレクサ301から入力される信号値と圧力との対応関係を記憶している。コンバータ302が管理する対応関係は、例えば、入力される信号値と圧力との対応を示すテーブルであってもよいし、入力される信号値から圧力を算出する数式であってもよい。コンバータ302は、例えば、当該対応関係にしたがって、マルチプレクサ301から入力された信号値を、圧力を示す信号値に変換し、圧力を示す信号値を出力する。
図5Aは、圧力センサ100に圧力が印加される前の状態の一例を示し、図5Bは、圧力センサ100に圧力が印加されたときの状態の一例を示す。圧力センサ100では、第1中空部18の上方から圧力が印加されると、図5Bに例示されるように、シート基板11および第1可動電極121を含む可動部10が印加された力に応じて固定基板部20の方向に向けて撓む。また、圧力センサ100に力が印加されなくなると、圧力センサ100は図5Bの状態から図5Aの状態に戻る。
すなわち、圧力センサ100では、印加された力に応じて、第1可動電極121と固定電極22との間の距離dが変動する。距離dが変動すると、(式1)により、圧力センサ100の静電容量が変動する。例えば、図2に例示される静電容量測定回路300によって圧力センサ100の静電容量の変動が測定されることで、圧力センサ100に印加された圧力が検出される。
ところで、圧力センサ100は、第1中空部18の他に第2中空部19を有する。第2中空部19の内側面には、上述の通り、固定電極22から第2可動電極122に達する円筒形状の第4メッキ部242が形成される。
固定電極22と第2可動電極122とを電気的に接続するだけであれば、第4メッキ部242を円筒形状に形成せずに、一本の配線で接続するだけでも足りる。しかしながら、本実施形態に係る圧力センサ100は、離間して設けられる第1可動電極121と第2可動電極122のいずれもがシート基板11を共有している。そのため、第1可動電極121の上方から力が印加されると、第1可動電極121が固定電極22側に撓むともに、第2可動電極122も固定電極22側に歪む。
圧力の高精度な検出のためには、第1可動電極121は、前後方向および左右方向において偏りなく固定電極22に対して撓むことが好ましい。しかしながら、上記のように第2可動電極122が固定電極22側に歪んでしまうと、第1可動電極121は当該歪みの影響を受け、固定電極22に対して偏り無く撓むことが困難となる。
そのため、本実施形態に係る圧力センサ100では、第4メッキ部242を平面視したときの断面形状を略円形または略多角形の中空形状に形成している。このことにより、固定電極22と第2可動電極122とを一本の配線で接続する構成に比べて、圧力が印加された際の第2可動電極122部分における歪みが抑制される。これによって、第1可動電極121が固定電極22に対して撓む際に、前後方向および左右方向における偏りが生じることが抑制される。さらに、一本の配線で第2可動電極122を支える場合よりも、断面形状が略円形または略多角形に形成された第4メッキ部242は安定して第2可動電極122を支えることができる。
(圧力センサ100の製造工程)
図6から図8は、圧力センサ100の製造工程の一例を示す図である。以下、図6から図8を参照して、圧力センサ100の製造工程の一例について説明する。
(固定基板部20の製造工程)
図6Aから図6Eは固定基板部20の製造工程の一例を示す。図6Aでは、基板部21の可動部10に対向する面上に固定電極22が形成される。続いて、図6Bでは、固定電極22を覆うように絶縁膜231が形成される。さらに、図6Bでは、絶縁膜231の可動部10に対向する面上にレジスト膜51が形成される。図6Cでは、レジスト膜51に対して所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いてフォトレジストを行うことで、絶縁膜231上に所定パターンのレジスト膜51が形成される。図6Dでは、エッチング処理が行われ、さらにレジスト膜51が除去されることで、絶縁部23が形成される。図6Eでは、絶縁部23の可動部10に対向する面上に固定基板側メッキ部24が形成される。図6Eに例示される工程では、固定基板側メッキ部24を形成しない領域にメッキレジストが行われた上でメッキ処理を行うことで、所望の領域に固定基板側メッキ部24が形成される。なお、固定基板側メッキ部24の形成はスパッタリングにより形成してもよい。即ち、スパッタ装置にて絶縁部23の可動部10に対向する面上にメッキ層を成膜した後で、レジストを塗布してエッチングすることによって固定基板側メッキ部24のパターンを形成するのであってもよい。
(可動部10の製造工程)
図7Aおよび図7Bは可動部10の製造工程の一例を示す。図7Aでは、可撓性を有するシート基板11の固定基板部20に対向する面上に可動電極12が形成される。さらに、可動電極12の固定基板部20に対向する面に対してメッキ処理が行われることで、可動部側メッキ部14が形成される。図7Bでは、可動部側メッキ部14の固定基板部20に対向する面上において、第1可動電極121および第2可動電極122に相当する領域に対してエッチングレジストが行われた上でエッチングが行われることで、第1可動電極121および第2可動電極122が形成される。
(可動部10と固定基板部20の接合工程)
図8Aおよび図8Bは、固定基板部20と可動部10とを接合する工程の一例を示す。図8Aでは、可動部10と固定基板部20とが接合される。接合方法には特に限定は無い。可動部10と固定基板部20とは、例えば、常温接合によって接合されてもよい。常温接合では、例えば、可動部10の可動部側メッキ部14の固定基板部20に対向する面と固定基板部20の固定基板側メッキ部24の可動部10に対向する面に対して、当該面を平滑にする処理と、当該面から不純物を除去して清浄にする処理が行われる。これらの処理が施された可動部側メッキ部14と固定基板側メッキ部24とが接触すると、可動部側メッキ部14と固定基板側メッキ部24との間で働く分子間力によって、可動部10と固定基板部20とが接合される。図8Bでは、図6Aから図8Aまでの工程によって製造された圧力センサ100をシート基板11を共有する形で3つ並べた様子を例示する。圧力センサ100は、図8Bに例示するように、シート基板11を共有して複数の圧力センサ100を並べることで、圧力検出の対象とする面積を広げることが可能である。
<変形例>
なお、上記の実施形態は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明はその技術的思想の範囲内で種々の変更および組み合わせが可能である。例えば、上記実施形態では、複数の圧力センサ100a、100b、100cから得た信号をマルチプレクサ301によって選択した上でコンバータ302に入力し、これについての圧力値を出力するようにていたが、このような選択を行わず、複数の圧力センサ100a、100b、100cの圧力値それぞれを出力するようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、圧力センサ100a、100b、100cはシート基板11を共有してアレイ状に一列に配置されていたが、これを複数列設けて、圧力センサが格子状に配置されるようにしてもよい。
また、可動部10と固定基板部20の接合工程において可動部側メッキ部14及び固定基板側メッキ部24の表面を平坦化する処理を行わずに、可動部10、固定基板部20それぞれの製造工程で、表面の平坦性を担保するようにしてもよい。例えば、可動部10の製造工程において、シート基板11に対して可動電極12となる金属(例えば銅)をCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理して平坦にし、その上にスパッタ装置で可動
部側メッキ部14を成膜するのであってもよい。
100、100a、100b、100c・・・圧力センサ
10・・・可動部
11・・・シート基板
12・・・可動電極
121・・・第1可動電極
122・・・第2可動電極
14・・・可動部側メッキ部
141・・・第1メッキ部
142・・・第2メッキ部
15・・・信号線
16、16a、16b・・・GND線
18・・・第1中空部
19・・・第2中空部
20・・・固定基板部
21・・・基板部
22・・・固定電極
23・・・絶縁部
24・・・固定基板側メッキ部
241・・・第3メッキ部
242・・・第4メッキ部
51・・・レジスト膜
200・・・コネクタ
231・・・絶縁膜
300・・・静電容量測定回路
301・・・マルチプレクサ
302・・・コンバータ

Claims (4)

  1. 可撓性を有し、一方の面の一部の領域に第1の電極及び第2の電極が設けられるフレキシブル基板と、
    前記第1の電極及び第2の電極と対向し、かつ離間して配置される第3の電極を備える硬質基板と、
    前記第1の電極と前記第3の電極とを絶縁された状態で接合するととともに、前記第1の電極と前記第3の電極との間に中空部を形成する壁部と、を有しており、
    前記中空部において、前記第1の電極が前記第3の電極に対して撓むことで生じる静電容量の変化を検出することにより、前記第1の電極と前記第3の電極との対向面に向けて印加される圧力を測定する、静電容量式圧力センサであって、
    平面視において、前記フレキシブル基板における前記第1の電極及び前記第2の電極が設けられる前記一部の領域の面積が、前記硬質基板の面積よりも大きい、静電容量式圧力センサ。
  2. 前記フレキシブル基板は前記第1の電極及び前記第2の電極の組を複数備えており、該複数組の前記第1の電極及び前記第2の電極に対応する複数の前記硬質基板を有する、ことを特徴とする、請求項1に記載の静電容量式圧力センサ。
  3. 前記複数組の前記第1の電極と前記第2の電極は前記フレキシブル基板上に所定間隔を置いて格子状に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の静電容量式圧力センサ。
  4. 前記第1の電極は、グラウンドに接続されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の静電容量式圧力センサ。
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