JP6790896B2 - 内燃機関の潤滑構造 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関のピストンを冷却するためのピストンジェットへオイルを供給する内燃機関の潤滑構造に関する。
エンジンの高出力化に伴いピストンの熱負荷が増大するため、ピストンの裏面にオイルを噴射してピストンを冷却するピストンジェットの重要性が増している。ピストンは、シリンダブロック内で往復運動しており、これに応じてコンロッドが大きな軌跡を描くため、ピストンの裏面へオイルを噴射するピストンジェットの配置は、非常に狭い範囲に限定されてしまう。
また、ピストンジェットへオイルを供給するオイル通路の配置も困難であり、更に、ピストンジェットからオイルを噴射させるための油圧の確保も必要になる。特許文献1には、ピストンへオイルを噴射するピストンジェット(噴射ノズル)に、クランクケース及びシリンダブロックに外付けされたオイル通路(オイル導管及びオイル分配管)を用いてオイルが供給されるものが開示されている。
特開2013−79623号公報
ところが、ピストンジェットへオイルを供給するオイル通路が複雑化すると、オイル通路の加工工数が増大してしまう。また、特許文献1に記載のように、エンジンに外付けされたオイル通路(オイル導管及びオイル分配管)を用いてピストンジェット(噴射ノズル)へオイルが供給されると、部品点数、組付工数、エンジンの重量及びコストが増大してしまう。更に、外付けされたオイル通路では、オイルが漏洩する恐れがある。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、ピストンジェットへオイルを供給するオイル通路を簡略化して部品点数等を抑制でき、更にピストンの冷却性能を向上させることができる内燃機関の潤滑構造を提供することにある。
本発明に係る内燃機関の潤滑構造は、下クランクケースの合せ面に上クランクケースが上方から結合されて構成されたクランクケースに設置されるオイルポンプと、前記下クランクケースに設けられて、前記オイルポンプから吐出されるオイルを内燃機関の各部へ供給するためのメインギャラリと、前記下クランクケースに設けられて、前記下クランクケースの前記合せ面に形成された合せ面オイル通路に前記メインギャラリからオイルを供給するオイル供給通路と、前記上クランクケースに設けられて、前記内燃機関のピストンへ向けてオイルを噴射するピストンジェットにオイルを導くためのサブギャラリと、前記下クランクケース及び前記上クランクケースに跨って設けられ、前記オイル供給通路から分岐して前記サブギャラリに連通し、前記オイル供給通路内のオイルを前記サブギャラリに導くオイル連絡通路と、を有することを特徴とする内燃機関の潤滑構造ものである。
本発明によれば、オイル連絡通路は、オイル供給通路から分岐して、下クランクケース及び上クランクケースに跨って設けられることから、複雑な形状にならず簡略化できる。そして、このオイル連絡通路が、クランクケースとは別体の部品で構成されないので、部品点数等を抑制できる。また、メインギャラリからのオイルは、その圧力が確保された状態で、オイル供給通路、オイル連絡通路及びサブギャラリを経てピストンジェットへ導かれる。このため、ピストンジェットから噴射されるオイルによって、ピストンの冷却性能を向上させることができる。
本発明に係る内燃機関の潤滑構造の一実施形態が適用されたエンジンを示す右側面図。 図1のII矢視図。 図1のエンジンにおけるクラッチカバー等を取り外して示す右側面図。 図2のエンジンにおけるシリンダアッセンブリを取り外して示す平面図。 図4の上クランクケースを取り外し下クランクケースを示す平面図。 図4及び図5のVI−VI線に沿う断面図。 図4及び図5のVII−VII線に沿う断面図。 図4及び図5のVIII−VIII線に沿う断面図。 図1のエンジンにおける潤滑系統を示す系統図。 本発明に係る内燃機関の潤滑構造の他の実施形態が適用されたエンジンの下クランクケースを示す斜視図。
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る内燃機関の潤滑構造の一実施形態が適用されたエンジンを示す右側面図である。また、図2は、図1のII矢視図である。これらの図1及び図2に示す内燃機関としてのエンジン10は、例えば自動二輪車に搭載されるものであり、クランクケース11にシリンダアッセンブリ12が前傾して結合される。
シリンダアッセンブリ12は、下方からシリンダブロック13、シリンダヘッド14及びヘッドカバー15が順次結合されて構成される。シリンダヘッド14の燃焼室(不図示)に供給される混合気の燃焼によって、シリンダブロック13内でピストン27が往復運動し、この往復運動が図示しないコンロッドを介してクランクシャフト23(図3)を回転させる。
クランクケース11は、図3にも示すように、下クランクケース16の合せ面16Aに上クランクケース17の合せ面17Aを上方から接触させ、この状態で上クランクケース17を下クランクケース16に結合させて構成される。下クランクケース16の下部には、エンジン潤滑用のオイルを貯留するオイルパン18が配置される。このオイルパン18内にオイルストレーナ19が配設されている。
下クランクケース16の前部にオイルフィルタ21が設置される。また、下クランクケース16の右側壁には、クラッチカバー22に被覆された状態でオイルポンプ20が設置される。このオイルポンプ20は、クランクシャフト23の回転力により図示しないクラッチ機構を介して回転駆動されるカウンタシャフト24の回転力によってポンプシャフト25が駆動され、このポンプシャフト25に回転一体のポンプロータ26が回転する。
下クランクケース16には、図5及び図6に示すように、オイルポンプ20のポンプシャフト25を挿通させるためのシャフト挿通孔30が設けられる。また、下クランクケース16には、シャフト挿通孔30の周囲の一方側領域に第2オイル吸入通路32(図9)が、他方側領域に第1オイル吐出通路33が、それぞれオイルポンプ20に連通可能に形成されている。
第2オイル吸入通路32は、エンジン10の上下方向に延在して下クランクケース16に形成された第1オイル吸入通路31に連通する。この第1オイル吸入通路31は、オイルパン18(図3)内のオイルストレーナ19に接続可能に設けられる。また、第1オイル吐出通路33は、図5及び図6に示すように、エンジン10の水平方向に延在して下クランクケース16に形成された第2オイル吐出通路34に連通する。この第2オイル吐出通路34は、オイルフィルタ21に接続可能に設けられる。
下クランクケース16には、図7に示すように、オイルフィルタ21に接続可能なオイル排出通路35が、第2オイル吐出通路34と平行して形成される。また、下クランクケース16には、オイル排出通路35に連通するメインギャラリ36が、図5及び図7に示すように、エンジン10の左右の幅方向に水平に延在し、オイル排出通路35に直交して形成される。
図3及び図9に示すように、オイルポンプ20のポンプロータ26が回転することで、オイルパン18内のオイルがオイルストレーナ19を経て第1オイル吸入通路31及び第2オイル吸入通路32に順次流入し、オイルポンプ20内に吸入されて昇圧される。この昇圧されたオイルは、図6及び図9に示すように第1オイル吐出通路33へ吐出され、第2オイル吐出通路34を流れてオイルフィルタ21に流入してろ過される。このろ過されたオイルは、図7及び図9に示すように、オイル排出通路35を経てメインギャラリ36に流入し、このメインギャラリ36からエンジン10の各部へ供給される。
オイルが供給されるエンジン10の各部としては、例えばクランクジャーナル部37、カウンタジャーナル部38、ドライブジャーナル部39、前側ピストンジェット40、及び後側ピストンジェット41等である。
図5に示すクランクジャーナル部37は、クランクシャフト23を回転自在に支持する部位である。このクランクジャーナル部37は、エンジン10が図2及び図4に示すように直列4気筒エンジンであるため、エンジン10の左側から第1クランクジャーナル部#1、第2クランクジャーナル部♯2、第3クランクジャーナル部#3、第4クランクジャーナル部#4、第5クランクジャーナル部#5が、エンジン10の左右の幅方向に所定間隔を隔てて、下クランクケース16に順次形成される。
各クランクジャーナル部37(第1クランクジャーナル部#1〜第5クランクジャーナル部#5)は、図5及び図7に示すように、クランクジャーナル用オイル通路42を介してメインギャラリ36に連通される。これらのクランクジャーナル部37(第1クランクジャーナル部#1〜第5クランクジャーナル部#5)は、クランクケース11におけるクランク室43に設けられる。
また、各クランクジャーナル部37(第1クランクジャーナル部#1〜第5クランクジャーナル部#5)は、クランクシャフト23との間にジャーナルメタル(不図示)を備える。そして、各クランクジャーナル部37(第1クランクジャーナル部#1〜第5クランクジャーナル部#5)には、ジャーナルメタルとクランクシャフト23との間に油膜が途切れないように、メインギャラリ36からクランクジャーナル用オイル通路42を経て適切な油圧でオイルが供給される。
図9に示すように、メインギャラリ36から各クランクジャーナル部37に供給されて各クランクジャーナル部37を潤滑した後のオイルは、第1クランクジャーナル部#1の場合にはオルタネータ44へ供給されてこれを潤滑し、第2クランクジャーナル部♯2及び第4クランクジャーナル部#4の場合には、コンロッド大端部45へ供給されて、このコンロッド大端部45とクランクシャフト23との摺動部を潤滑し、第5クランクジャーナル部#5の場合には、シリンダヘッド14内の動弁機構46へ供給されてこれを潤滑する。尚、第3クランクジャーナル部#3を潤滑した後のオイルは他所へ供給されることがない。
図5に示すカウンタジャーナル部38、ドライブジャーナル部39のそれぞれは、トランスミッション機構のカウントシャフト24(図3)、ドライブシャフト28をそれぞれ回転自在に支持する。これらのカウンタジャーナル部38とドライブジャーナル部39は、クランクケース11におけるミッション室47に設けられる。このうちのカウンタジャーナル部38は、下クランクケース16においてミッション室47を画成する互いに対向した側壁48A、48Bにそれぞれ形成される。ドライブジャーナル部39も、同様に、下クランクケース16における互いに対向した側壁48A、48Bに、カウンタジャーナル部38に隣接して形成される。
下クランクケース16においては、クランク室43とミッション47とを隔てる隔壁49が側壁48A及び48Bに連続して形成される。下クランクケース16の合せ面16Aでは、側壁48A、隔壁49及び側壁48Bの合せ面16Aに、合せ面オイル通路としてのミッション用オイル通路50が、カウンタジャーナル部38及びドライブジャーナル部39に連通して形成される。
ミッション用オイル通路50は、図5及び図8に示すように、後側オイル供給通路51を介してメインギャラリ36に連通する。この後側オイル供給通路51は、下クランクケース16におけるエンジン10の左右の幅方向中央位置に形成される。更に、この後側オイル供給通路51は、メインギャラリ36に連通し且つ下クランクケース16の合せ面16Aに平行な水平方向に延在して下クランクケース16に形成された水平延在通路部52と、この水平延在通路部52及びミッション用オイル通路50に連通し且つ下クランクケース16の合せ面16Aに対し垂直方向に延在して下クランクケース16に形成された垂直延在通路部53と、を有する。
従って、メインギャラリ36からのオイルは、図8及び図9に示すように、後側オイル供給通路51の水平延在通路部52、垂直延在通路部53を順次流れ、後述のオリフィス54を経て、図5に示すミッション用オイル通路50へ供給される。このミッション用通路50に供給されたオイルは、カウンタジャーナル部38及びドライブジャーナル部39に導かれ、カウントシャフト24とカウントジャーナル部38との摺動部位、ドライブシャフト28とドライブジャーナル部39との摺動部位をそれぞれ潤滑する。
上記オリフィス54は、後側オイル供給通路51の垂直延在通路部53における例えばミッション用オイル通路50との境界部位に配置される。このオリフィス54によって、後側オイル供給通路51からミッション用オイル通路50へ供給されるオイルの油圧が低下し、ミッション用オイル通路50内を流れるオイルの漏洩が防止される。
図4、図6及び図7に示すように、本実施形態のエンジン10では、各気筒に前側ピストンジェット40及び後側ピストンジェット41が配置される。これらの前側ピストンジェット40及び後側ピストンジェット41からピストン27の裏面へ向けてオイルが噴射されることで、熱負荷の高いピストン27が冷却される。
これらの前側ピストンジェット40及び後側ピストンジェット41は、本実施形態では、上クランクケース17において、この上クランクケース17に結合されたシリンダブロック13の下方位置に設置される。前側ピストンジェット40がピストン27に対して前方位置に、後側ピストンジェット41がピストン27に対して後方位置にそれぞれ位置づけられる。これにより、前側ピストンジェット40は、ピストン27の裏面における前方側へ向けて、また、後側ピストンジェット41は、ピストン27の裏面における後方側へ向けて、それぞれオイルを噴射する。
図7及び図9に示すように、前側ピストンジェット40には、下クランクケース16の前方側に形成された前側オイル供給通路55を経て、メインギャラリ36からオイルが供給される。この前側オイル供給通路55は、エンジン10の左右の幅方向中央位置で、下クランクケース16及び上クランクケース17に跨がって形成される。
図8及び図9に示すように、後側ピストンジェット41には、後側オイル供給通路51、この後側オイル供給通路51から分岐されたオイル連絡通路56、このオイル連絡通路56及び後側ピストンジェット41に連通したサブギャラリ57を経て、メインギャラリ36からオイルが供給される。オイル連絡通路56は、下クランクケース16及び上クランクケース17に跨がって直線状に形成され、後側オイル供給通路51の垂直延在通路部53及びサブギャラリ57に連通する。また、オイル連絡通路56は、エンジン10の左右の幅方向中央位置に位置づけられる。更に、オイル連絡通路56と後側オイル供給通路51は、下クランクケース16における同一の垂直面内に設けられる。
また、絞り部としての前記オリフィス54は、後側オイル供給通路51の垂直延在通路部53において、オイル連絡通路56が分岐する箇所の下流位置に設置されることになる。このため、オイル連絡通路56を流れるオイルには、メインギャラリ36の油圧が確保されることになり、この状態で、オイル連絡通路56からサブギャラリ57へオイルが導入される。
図4及び図8に示すように、サブギャラリ57は、上クランクケース17の上部に、エンジン10の左右の幅方向に沿って、上クランクケース17の左右の略全幅に亘って形成される。更に、サブギャラリ57は、エンジン10の側面視において、後側オイル供給通路51の垂直延在通路部53とメインギャラリ36との間に配置される。このサブギャラリ57におけるエンジン10の左右の幅方向中央位置に、オイル連絡通路56が連通する。また、各気筒に対応して設置されたそれぞれの後側ピストンジェット41が、サブギャラリ57に連通する。これにより、メインギャラリ36から後側オイル供給通路51及びオイル連絡通路56を経てサブギャラリ57に至ったオイルが、後側ピストンジェット41へ供給される。
ここで、上述のオイル連絡通路56は、図5に示すように、クランクジャーナル部37の第3クランクジャーナル部#3に近接して配置されている。第3クランクジャーナル部#3の後方はミッション室47であり、大きな空間が設けられている。第2クランクジャーナル部#2の後方には側壁48Aが、第4クランクジャーナル部#4の後方には側壁48Bがそれぞれ配置されることで、これらの第2クランクジャーナル部#2及び第4クランクジャーナル部#4の強度及び剛性は確保される。これに対し、第3クランクジャーナル部#3がオイル連絡通路56に近接して配置されることで、これらの第3クランクジャーナル部#3とオイル連絡通路56の周囲部分との間に湾曲形状の肉盛り補強部60を形成することが可能になる。このため、第3クランクジャーナル部#3は、この肉盛り補強部60によって強度及び剛性の向上が図られる。
図4、図7及び図8に示すように、上クランクケース17の上部には、サブギャラリ57の後方に隣接して、ブローバイガス中のオイルを分離するブリーザ室58が、上クランクケース17と一体に設けられている。このブリーザ室58にて分離されたオイルは、図4及び図5に示すオイル戻し通路59を経てオイルパン18(図3)に戻される。ブリーザ室58は、上クランクケース17に設置されたブリーザ室カバー61(図2)により上方から覆われる。
以上のように構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)〜(6)を奏する。
(1)図5及び図8に示すように、下クランクケース16の合せ面16Aに形成されたミッション用オイル通路50へメインギャラリ36からのオイルを供給する後側オイル供給通路51から分岐して、オイル連絡通路56が下クランクケース16及び上クランクケース17に跨がって設けられる。そして、このオイル連絡通路56からサブギャラリ57を経て、後側ピストンジェット41へオイルが導かれる。このように、オイル連絡通路56は、既存の後側オイル供給通路51から分岐して、下クランクケース16及び上クランクケース17に跨がって設けられることから、複雑な形状にならず簡略化できる。また、オイル連絡通路56が、クランクケース11とは別体の部品で構成されないので、部品点数、組付工数、エンジン10の重量及びコストを抑制できる。
また、メインギャラリ36からのオイルは、その油圧が確保された状態で、後側オイル供給通路51、オイル連絡通路56及びサブギャラリ57を経て後側ピストンジェット41へ導かれる。このため、後側ピストンジェット41及び前側ピストンジェット40から噴射されるオイルによって、ピストン27の冷却性能を向上させることができる。
(2)後側オイル供給通路51及びオイル連絡通路56は、下クランクケース16における同一の垂直面内に設けられて、下クランクケース16において左右方向の位置が一致する。このため、下クランクケース16に後側オイル供給通路51及びオイル連絡通路56を加工する際に、ドリル等の加工具を下クランクケース16に対して前後方向のみに移動または傾斜させるだけでよく、この加工具を下クランクケース16に対して左右方向に移動させる必要がない。この結果、後側オイル供給通路51及びオイル連絡通路56の加工を容易化できる。しかも、後側オイル供給通路51とオイル連絡通路56とが下クランクケース16における同一の垂直面内に設けられることで、オイル連絡通路56の通路長も短くなり、このオイル連絡通路56の加工時間を短縮できる。
(3)後側オイル供給通路51及びオイル連絡通路56は、エンジン10の左右の幅方向中央位置においてクランクケース11に設けられている。このため、後側オイル供給通路51からミッション用オイル通路50へ左右均等にオイルを供給でき、更に、オイル連絡通路56からサブギャラリ57へ左右均等にオイルを供給できる。
(4)後側オイル供給通路51の垂直延在通路部53には、オイル連絡通路56が分岐する箇所よりも下流位置(具体的には、後側オイル供給通路51の垂直延在通路部53におけるミッション用オイル通路50との境界部位)にオリフィス54が設けられている。このため、ミッション用オイル通路50へ流れるオイルに過大な油圧が作用しないので、ミッション用オイル通路50からのオイルの漏洩を防止できる。しかも、メインギャラリ36から後側オイル供給通路51、オイル連絡通路56及びサブギャラリ57を経て後側ピストンジェット41へ導かれるオイルには、後側ピストンジェット41からオイルを噴射させるための油圧が好適に確保できる。更に、オリフィス54を選択することで、後側ピストンジェット41へ導かれるオイルの油圧の調整も容易に実施できる。
(5)図4及び図8に示すように、エンジン10の側面視で、後側オイル供給通路51の垂直延在通路部53とメインギャラリ36との間に、サブギャラリ57が配置されている。このため、メインギャラリ36及びサブギャラリ37を含み、これらに連通する後側オイル供給通路51及びオイル連絡通路56が、クランクケース11の前後方向の一定範囲内に収まることで、上述のオイル通路(メインギャラリ36、後側オイル供給通路51、オイル連絡通路56及びサブギャラリ57)の構成を簡略化できる。このため、これらのオイル通路(メインギャラリ36、後側オイル供給通路51、オイル連絡通路56及びサブギャラリ57)の加工も容易化できる。
(6)クランクケース11では、メインギャラリ36から後側ピストンジェット41へオイルを導くオイル通路(後側オイル供給通路51、オイル連絡通路56及びサブギャラリ57)は、全てクランクケース11に形成され、クランクケース11とは別の部品によって形成されていない。このため、サブギャラリ57に隣接してブリーザ室58を、上クランクケース17に一体に設けることが可能になる。この結果、ブリーザ室58の容量を確保しつつ、エンジン10のコンパクト化を実現できる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、図10に示すように、クランクジャーナル部37の第3クランクジャーナル部#3とミッション室47の隔壁49とが連結部62により連結され、第3クランクジャーナル部#3とミッション用オイル通路50とが、下クランクケース16の連結部62の合せ面16Aに形成された連絡溝63を介して連通されてもよい。この連絡溝63は、ミッション用オイル通路50と同様に、下クランクケース16を型成形する際に合せ面16Aに形成された凹部と上クランクケース17の合せ面17Aとに囲まれて構成される。また、連絡溝63は、エンジン10の左右の幅方向中央位置でミッション用オイル通路50に連通する。
第3クランクジャーナル部#3を潤滑したオイルが、上述の連絡溝63を経てミッション用オイル通路50へ供給されることで、第3クランクジャーナル部#3の温度上昇を抑制できると共に、ミッション用オイル通路50からカウンタジャーナル部38及びドライブジャーナル部39へ供給されるオイルの量を十分に確保できる。また、連絡溝63が、エンジン10の左右の幅方向中央位置でミッション用オイル通路50に連通されることで、連絡溝63からのオイルをミッション用オイル通路50の左右に均等に分配して供給できる。更に、第3クランクジャーナル部#3とミッション室47の隔壁49とが連結部62で連結されたことで、第3クランクジャーナル部#3を補強して、この第3クランクジャーナル部#3の強度及び剛性を向上させることができる。
また、図9の破線に示すように、オイルフィルタ21にてろ過されたオイルをオイルクーラ63により冷却した後に、メインギャラリ36へ供給してもよい。更に、内燃機関であるエンジン10は、自動二輪車に搭載されるものに限らず、四輪自動車や船外機、水上車両に搭載されるエンジン、または汎用エンジンであってもよい。
10…エンジン(内燃機関)、11…クランクケース、16…下クランクケース、16A…合せ面、17…上クランクケース、20…オイルポンプ、24…カウンタシャフト、27…ピストン、28…ドライブシャフト、36…メインギャラリ、38…カウンタジャーナル部、39…ドライブジャーナル部、41…後側ピストンジェット、50…ミッション用オイル通路(合せ面オイル通路)、51…後側オイル供給通路、52…水平延在通路部、53…垂直延在通路部、54…オリフィス(絞り部)、56…オイル連絡通路、57…サブギャラリ、58…ブリーザ室。

Claims (8)

  1. 下クランクケースの合せ面に上クランクケースが上方から結合されて構成されたクランクケースに設置されるオイルポンプと、
    前記下クランクケースに設けられて、前記オイルポンプから吐出されるオイルを内燃機関の各部へ供給するためのメインギャラリと、
    前記下クランクケースに設けられて、前記下クランクケースの前記合せ面に形成された合せ面オイル通路に前記メインギャラリからオイルを供給するオイル供給通路と、
    前記上クランクケースに設けられて、前記内燃機関のピストンへ向けてオイルを噴射するピストンジェットにオイルを導くためのサブギャラリと、
    前記下クランクケース及び前記上クランクケースに跨って設けられ、前記オイル供給通路から分岐して前記サブギャラリに連通し、前記オイル供給通路内のオイルを前記サブギャラリに導くオイル連絡通路と、を有することを特徴とする内燃機関の潤滑構造。
  2. 前記オイル供給通路及び前記オイル連絡通路は、クランクケースにおける同一の垂直面内に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の潤滑構造。
  3. 前記オイル供給通路及び前記オイル連絡通路は、内燃機関の左右の幅方向中央位置に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の潤滑構造。
  4. 前記オイル供給通路には、前記オイル連絡通路が分岐する箇所よりも下流位置に、絞り部が配設されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内燃機関の潤滑構造。
  5. 前記オイル供給通路は、メインギャラリに連通し下クランクケースに水平方向に延在して設けられた水平延在通路部と、この水平延在通路部及び合せ面オイル通路に連通し前記下クランクケースに垂直方向に延在して設けられた垂直延在通路部とを有し、
    前記内燃機関の側面視で、前記メインギャラリと前記垂直延在通路部との間に、サブギャラリが配置されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の内燃機関の潤滑構造。
  6. 前記上クランクケースには、サブギャラリの後方に隣接してブリーザ室が設けられたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内燃機関の潤滑構造。
  7. 前記サブギャラリからオイルが導かれるピストンジェットは、ピストンの後側へ向けてオイルを噴射する後側ピストンジェットであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の内燃機関の潤滑構造。
  8. 前記合せ面オイル通路は、トランスミッション機構のカウンタシャフト、ドライブシャフトを支持するそれぞれのジャーナル部へオイルを導くミッション用オイル通路であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の内燃機関の潤滑構造。
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