以下、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
以下、図1〜図8を参照して、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第1実施形態について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸とする。また、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。また、X軸に平行な方向を「X方向(第1の方向)」とも言い、Y軸に平行な方向を「Y方向(第2の方向)」とも言い、Z軸に平行な方向を「Z方向(第3の方向)」とも言う。また、各方向の矢印が向いた方向を「正」、その反対方向を「負」と言う。また、本願明細書で言う「水平」とは、完全な水平に限定されず、電子部品の搬送が阻害されない限り、水平に対して若干(例えば5°未満程度)傾いた状態も含む。また、図1、図3〜図8中(図9〜図11についても同様)の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言うことがある。
本発明の電子部品搬送装置10は、第1基部としてのシリンダ511と、シリンダ511に対して摺動可能な第1摺動部としてのピストン512と、ピストン512に配置された第2基部としての第1ブロック32、第2ブロック33および第3ブロック34と、第1ブロック32、第2ブロック33および第3ブロック34に対して摺動可能であり、電子部品に当接可能な第2摺動部としての吸着ノズル31と、を備え、第1基部としてのシリンダ511と第1摺動部としてのピストン512との間には、容積が変動可能な第1空間S1が形成され、第2基部としての第3ブロック34と第2摺動部としての吸着ノズル31との間には、容積が変動可能な第2空間S2が形成されている。
これにより、電子部品に個体差があっても、その差を、第1空間S1および第2空間S2内の作動流体Rの圧力または流入量を調節することにより、相殺することができる。そして、例えば電子部品に対する電気的な検査を検査部16で行なう際、電子部品の個体差によらず、電子部品の各端子を検査部の各端子に均一に当接させることができ、よって、その検査を正確に行なうことができる。
また、本発明の電子部品検査装置1は、本発明の電子部品搬送装置10を有し、さらに、電子部品を検査する検査部16を備える。すなわち、本発明の電子部品検査装置1は、第1基部としてのシリンダ511と、シリンダ511に対して摺動可能な第1摺動部としてのピストン512と、ピストン512に配置された第2基部としての第1ブロック32、第2ブロック33および第3ブロック34と、第1ブロック32、第2ブロック33および第3ブロック34に対して摺動可能であり、電子部品に当接可能な第2摺動部としての吸着ノズル31と、電子部品を検査する検査部16と、を備え、第1基部としてのシリンダ511と第1摺動部としてのピストン512との間には、容積が変動可能な第1空間S1が形成され、第2基部としての第3ブロック34と第2摺動部としての吸着ノズル31との間には、容積が変動可能な第2空間S2が形成されている。
これにより、前述した電子部品搬送装置10の利点を持つ電子部品検査装置1が得られる。また、検査部16にまで電子部品を搬送することができ、よって、当該電子部品に対する検査を検査部16で行なうことができる。また、検査後の電子部品を検査部16から搬送することができる。
以下、各部の構成について説明する。
図1、図2に示すように、電子部品搬送装置10を内蔵する電子部品検査装置1は、例えばBGA(Ball Grid Array)パッケージであるICデバイス等の電子部品を搬送し、その搬送過程で電子部品の電気的特性を検査・試験(以下単に「検査」と言う)する装置である。なお、以下では、説明の便宜上、前記電子部品としてICデバイスを用いる場合について代表して説明し、これを「ICデバイス90」とする。ICデバイス90は、本実施形態では平板状をなすものとなっている。また、ICデバイス90の下面には、半球状の複数の端子901が配置されている。
なお、ICデバイスとしては、前記のものの他に、例えば、「LSI(Large Scale Integration)」「CMOS(Complementary MOS)」「CCD(Charge Coupled Device)」や、ICデバイスを複数モジュールパッケージ化した「モジュールIC」、また、「水晶デバイス」、「圧力センサー」、「慣性センサー(加速度センサー)」、「ジャイロセンサー」、「指紋センサー」等が挙げられる。
また、電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)は、ICデバイス90の種類ごとに交換される「チェンジキット」と呼ばれるものを予め搭載して用いられる。このチェンジキットには、ICデバイス90が載置される載置部があり、その載置部としては、例えば、後述する温度調整部12、デバイス供給部14等がある。また、ICデバイス90が載置される載置部としては、前記のようなチェンジキットとは別に、ユーザーが用意する検査部16やトレイ200もある。
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1と、デバイス供給領域(以下単に「供給領域」と言う)A2と、検査領域A3と、デバイス回収領域(以下単に「回収領域」と言う)A4と、トレイ除去領域A5とを備え、これらの領域は、後述するように各壁部で分けられている。そして、ICデバイス90は、トレイ供給領域A1からトレイ除去領域A5まで前記各領域を矢印α90方向に順に経由し、途中の検査領域A3で検査が行われる。このように電子部品検査装置1は、各領域でICデバイス90を搬送する電子部品搬送装置10であるハンドラーと、検査領域A3内で検査を行なう検査部16と、制御部800とを備えたものとなっている。また、その他、電子部品検査装置1は、モニター300と、シグナルランプ400と、操作パネル700とを備えている。
なお、電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1、トレイ除去領域A5が配された方、すなわち、図2中の下側が正面側となり、検査領域A3が配された方、すなわち、図2中の上側が背面側として使用される。
トレイ供給領域A1は、未検査状態の複数のICデバイス90が配列されたトレイ200が供給される給材部である。トレイ供給領域A1では、多数のトレイ200を積み重ねることができる。
供給領域A2は、トレイ供給領域A1から搬送されたトレイ200上の複数のICデバイス90がそれぞれ検査領域A3まで搬送、供給される領域である。なお、トレイ供給領域A1と供給領域A2とを跨ぐように、トレイ200を1枚ずつ水平方向に搬送するトレイ搬送機構11A、11Bが設けられている。トレイ搬送機構11Aは、トレイ200を、当該トレイ200に載置されたICデバイス90ごとY方向の正側、すなわち、図2中の矢印α11A方向に移動させることができる移動部である。これにより、ICデバイス90を安定して供給領域A2に送り込むことができる。また、トレイ搬送機構11Bは、空のトレイ200をY方向の負側、すなわち、図2中の矢印α11B方向に移動させることができる移動部である。これにより、空のトレイ200を供給領域A2からトレイ供給領域A1に移動させることができる。
供給領域A2には、温度調整部(ソークプレート(英語表記:soak plate、中国語表記(一例):均温板))12と、デバイス搬送ヘッド13と、トレイ搬送機構15とが設けられている。
温度調整部12は、複数のICデバイス90が載置される載置部として構成され、当該載置されたICデバイス90を一括して加熱または冷却することができる「ソークプレート」と呼ばれる。このソークプレートにより、検査部16で検査される前のICデバイス90を予め加熱または冷却して、当該検査(高温検査または低温検査)に適した温度に調整することができる。図2に示す構成では、温度調整部12は、Y方向に2つ配置、固定されている。そして、トレイ搬送機構11Aによってトレイ供給領域A1から搬入されたトレイ200上のICデバイス90は、いずれかの温度調整部12まで搬送される。なお、この載置部としての温度調整部12は、固定されていることにより、当該温度調整部12上でのICデバイス90に対して安定して温度調整することができる。
デバイス搬送ヘッド13は、供給領域A2内でX方向およびY方向に移動可能に支持され、さらにZ方向にも移動可能な部分を有している。これにより、デバイス搬送ヘッド13は、トレイ供給領域A1から搬入されたトレイ200と温度調整部12との間のICデバイス90の搬送と、温度調整部12と後述するデバイス供給部14との間のICデバイス90の搬送とを担うことができる。なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド13のX方向の移動を矢印α13Xで示し、デバイス搬送ヘッド13のY方向の移動を矢印α13Yで示している。
トレイ搬送機構15は、全てのICデバイス90が除去された状態の空のトレイ200を供給領域A2内でX方向の正側、すなわち、矢印α15方向に搬送する機構である。そして、この搬送後、空のトレイ200は、トレイ搬送機構11Bによって供給領域A2からトレイ供給領域A1に戻される。
検査領域A3は、ICデバイス90を検査する領域である。この検査領域A3には、ICデバイス90に対して検査を行なう検査部16と、吸引部3を有するデバイス搬送ヘッド17とが設けられている。また、供給領域A2と検査領域A3とを跨ぐように移動するデバイス供給部14と、検査領域A3と回収領域A4とを跨ぐように移動するデバイス回収部18も設けられている。
デバイス供給部14は、温度調整部12で温度調整されたICデバイス90が載置される載置部として構成され、当該ICデバイス90を検査部16近傍まで搬送することができる「供給用シャトルプレート」または単に「供給シャトル」と呼ばれるものである。
また、この載置部としてのデバイス供給部14は、供給領域A2と検査領域A3との間をX方向、すなわち、矢印α14方向に沿って往復移動可能に支持されている。これにより、デバイス供給部14は、ICデバイス90を供給領域A2から検査領域A3の検査部16近傍まで安定して搬送することができ、また、検査領域A3でICデバイス90がデバイス搬送ヘッド17によって取り去られた後は再度供給領域A2に戻ることができる。
図2に示す構成では、デバイス供給部14は、Y方向に2つ配置されており、温度調整部12上のICデバイス90は、いずれかのデバイス供給部14まで搬送される。また、デバイス供給部14は、温度調整部12と同様に、当該デバイス供給部14に載置されたICデバイス90を加熱または冷却可能に構成されている。これにより、温度調整部12で温度調整されたICデバイス90に対して、その温度調整状態を維持して、検査領域A3の検査部16近傍まで搬送することができる。
デバイス搬送ヘッド17は、前記温度調整状態が維持されたICデバイス90が把持され、当該ICデバイス90を検査領域A3内で搬送する動作部である。このデバイス搬送ヘッド17は、検査領域A3内でY方向およびZ方向に往復移動可能に支持され、「インデックスアーム」と呼ばれる機構の一部となっている。これにより、デバイス搬送ヘッド17は、供給領域A2から搬入されたデバイス供給部14上のICデバイス90を検査部16上に搬送し、載置することができる。なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド17のY方向の往復移動を矢印α17Yで示している。また、デバイス搬送ヘッド17は、Y方向およびZ方向に往復移動可能に支持されているが、これに限定されず、X方向にも往復移動可能に支持されていてもよい。
また、デバイス搬送ヘッド17は、温度調整部12と同様に、把持したICデバイス90を加熱または冷却可能に構成されている。これにより、ICデバイス90における温度調整状態を、デバイス供給部14から検査部16まで継続して維持することができる。
検査部16は、電子部品であるICデバイス90を載置して、当該ICデバイス90の電気的特性を検査する載置部として構成されている。この検査部16には、ICデバイス90の端子901と電気的に接続される複数のプローブピン163が設けられている(図4、図5参照)。そして、ICデバイス90の端子901とプローブピン163とが電気的に接続される、すなわち、接触することにより、ICデバイス90の検査を行なうことができる。ICデバイス90の検査は、検査部16に接続されるテスターが備える検査制御部に記憶されているプログラムに基づいて行われる。なお、検査部16でも、温度調整部12と同様に、ICデバイス90を加熱または冷却して、当該ICデバイス90を検査に適した温度に調整することができる。
デバイス回収部18は、検査部16で検査が終了したICデバイス90が載置され、当該ICデバイス90を回収領域A4まで搬送することができる載置部として構成され、「回収用シャトルプレート」または単に「回収シャトル」と呼ばれる。
また、デバイス回収部18は、検査領域A3と回収領域A4との間をX方向、すなわち、矢印α18方向に沿って往復移動可能に支持されている。また、図2に示す構成では、デバイス回収部18は、デバイス供給部14と同様に、Y方向に2つ配置されており、検査部16上のICデバイス90は、いずれかのデバイス回収部18に搬送され、載置される。この搬送は、デバイス搬送ヘッド17によって行なわれる。
回収領域A4は、検査領域A3で検査され、その検査が終了した複数のICデバイス90が回収される領域である。この回収領域A4には、回収用トレイ19と、デバイス搬送ヘッド20と、トレイ搬送機構21とが設けられている。また、回収領域A4には、空のトレイ200も用意されている。
回収用トレイ19は、検査部16で検査されたICデバイス90が載置される載置部であり、回収領域A4内で移動しないよう固定されている。これにより、デバイス搬送ヘッド20等の各種可動部が比較的多く配置された回収領域A4であっても、回収用トレイ19上では、検査済みのICデバイス90が安定して載置されることとなる。なお、図2に示す構成では、回収用トレイ19は、X方向に沿って3つ配置されている。
また、空のトレイ200も、X方向に沿って3つ配置されている。この空のトレイ200も、検査部16で検査されたICデバイス90が載置される載置部となる。そして、回収領域A4に移動してきたデバイス回収部18上のICデバイス90は、回収用トレイ19および空のトレイ200のうちのいずれかに搬送され、載置される。これにより、ICデバイス90は、検査結果ごとに分類されて、回収されることとなる。
デバイス搬送ヘッド20は、回収領域A4内でX方向およびY方向に移動可能に支持され、さらにZ方向にも移動可能な部分を有している。これにより、デバイス搬送ヘッド20は、ICデバイス90をデバイス回収部18から回収用トレイ19や空のトレイ200に搬送することができる。なお、図2中では、デバイス搬送ヘッド20のX方向の移動を矢印α20Xで示し、デバイス搬送ヘッド20のY方向の移動を矢印α20Yで示している。
トレイ搬送機構21は、トレイ除去領域A5から搬入された空のトレイ200を回収領域A4内でX方向、すなわち、矢印α21方向に搬送する機構である。そして、この搬送後、空のトレイ200は、ICデバイス90が回収される位置に配されることとなる、すなわち、前記3つの空のトレイ200のうちのいずれかとなり得る。
トレイ除去領域A5は、検査済み状態の複数のICデバイス90が配列されたトレイ200が回収され、除去される除材部である。トレイ除去領域A5では、多数のトレイ200を積み重ねることができる。
また、回収領域A4とトレイ除去領域A5とを跨ぐように、トレイ200を1枚ずつY方向に搬送するトレイ搬送機構22A、22Bが設けられている。トレイ搬送機構22Aは、トレイ200をY方向、すなわち、矢印α22A方向に往復移動させることができる移動部である。これにより、検査済みのICデバイス90を回収領域A4からトレイ除去領域A5に搬送することができる。また、トレイ搬送機構22Bは、ICデバイス90を回収するための空のトレイ200をY方向の正側、すなわち、矢印α22B方向に移動させることができる。これにより、空のトレイ200をトレイ除去領域A5から回収領域A4に移動させることができる。
制御部800は、例えば、トレイ搬送機構11Aと、トレイ搬送機構11Bと、温度調整部12と、デバイス搬送ヘッド13と、デバイス供給部14と、トレイ搬送機構15と、検査部16と、デバイス搬送ヘッド17と、デバイス回収部18と、デバイス搬送ヘッド20と、トレイ搬送機構21と、トレイ搬送機構22Aと、トレイ搬送機構22Bの各部の作動を制御することができる。
オペレーターは、モニター300を介して、電子部品検査装置1の動作条件等を設定したり、確認したりすることができる。このモニター300は、例えば液晶画面で構成された表示画面301を有し、電子部品検査装置1の正面側上部に配置されている。図1に示すように、トレイ除去領域A5の図中の右側には、マウスを載置するマウス台600が設けられている。このマウスは、モニター300に表示された画面を操作する際に用いられる。
また、モニター300に対して図1の右下方には、操作パネル700が配置されている。操作パネル700は、モニター300とは別に、電子部品検査装置1に所望の動作を命令するものである。
また、シグナルランプ400は、発光する色の組み合わせにより、電子部品検査装置1の作動状態等を報知することができる。シグナルランプ400は、電子部品検査装置1の上部に配置されている。なお、電子部品検査装置1には、スピーカー500が内蔵されており、このスピーカー500によっても電子部品検査装置1の作動状態等を報知することもできる。
電子部品検査装置1は、トレイ供給領域A1と供給領域A2との間が第1隔壁231によって区切られており、供給領域A2と検査領域A3との間が第2隔壁232によって区切られており、検査領域A3と回収領域A4との間が第3隔壁233によって区切られており、回収領域A4とトレイ除去領域A5との間が第4隔壁234によって区切られている。また、供給領域A2と回収領域A4との間も、第5隔壁235によって区切られている。
電子部品検査装置1は、最外装がカバーで覆われており、当該カバーには、例えばフロントカバー241、サイドカバー242、サイドカバー243、リアカバー244、トップカバー245がある。
前述したように、デバイス搬送ヘッド17は、Y方向およびZ方向に移動可能に支持されている。デバイス搬送ヘッド17は、検査領域A3内でICデバイス90を搬送するものである。図3〜図5に示すように、デバイス搬送ヘッド17は、吸引部3と、姿勢調整部5と、断熱部6とを備えている。
吸引部3は、電子部品であるICデバイス90を吸引(吸着)により把持可能に構成された吸引ユニットである。この吸引部3は、吸着ノズル31と、第1ブロック32と、第2ブロック33と、第3ブロック34とを有している。なお、吸引部3の設置数は、図3〜図5に示す構成では1つであるが、これに限定されず、複数であってもよい。
真空発生源であるエジェクター72は、吸引部3に対して吸引力F3を与える。エジェクター72の作動により負圧が生じ、調圧機構であるレギュレーター73により、適宜圧力が調整されて、配管71、継手36を介して、内腔部324および内腔部333が負圧となる。
吸着ノズル31は、ICデバイス90を吸着することができるものであり、上面311と下面312とに開口する内腔部313を有する円筒状の部材で構成されている。内腔部313は、空気が通過する流路として機能する。そして、内腔部324および内腔部333が負圧となり、これに連通する内腔部313が負圧となること、すなわち、空気が内腔部313内を上方に向かって流れることにより、下面312の開口部(吸引口)314に吸引力F3が生じる。これにより、下面312を吸着面として、ICデバイス90を吸着することができる。また、内腔部313に空気が流入して圧力が上昇し、すなわち、空気が内腔部313内を下方に向かって流れるか、または、空気の上方への流れが停止することにより、吸引力F3が減少し、やがて消失して、ICデバイス90を下面312から解放する(離脱させる)ことができる。なお、以降では、ICデバイス90を吸引する方向、すなわち、吸引力F3が作用する方向を「吸引方向α3」と言うことがある。また、吸引方向α3は、Z方向の正側を向いている(図4参照)。
また、吸引力F3の最大値(吸引部3での最大吸引力)は、特に限定されず、例えば、−95kPa以上、−30kPa以下であるのが好ましく、−90kPa以上、−50kPa以下であるのがより好ましい。さらに、吸引部3の吸引力F3をレギュレーター73の圧力設定によって変更可能に構成されている。なお、レギュレーター73としては、例えば電空レギュレーターを用いるのが好ましい。これにより、吸引力F3を無段階に変更する(調整する)ことができる。このような吸引力F3により、吸着ノズル31に装着されているパッキン35(例えば本実施形態ではOリング)でシールされた領域の真空度を調整することができる。なお、本実施形態では、吸着ノズル31の真空度は、一定であるものとする。
吸着ノズル31の外周部には、その長手方向の途中に、外径が拡径したフランジ部315が突出して形成されている。フランジ部315は、第3ブロック34に当接して、吸着ノズル31が吸引部3から脱落するのを防止することができる(図3参照)。なお、フランジ部315の外周部と、凹部343の内周部との間には、パッキン43が設けられている。これにより、第2空間S2の圧力を保つことができる。
また、吸着ノズル31の外周部には、フランジ部315よりも上方に、溝316が形成されている。溝316は、吸着ノズル31の周方向に沿ってリング状に形成されている。そして、この溝316には、リング状のパッキン35が配置されている。これにより、パッキン35は、吸着ノズル31と第2ブロック33との間で圧縮されることとなる。
吸着ノズル31の上方には、第1ブロック32が配置されている。この第1ブロック32は、平坦な上面321と下面322とを有するブロック状(または板状)の部材で構成されている。また、第1ブロック32は、下面322と側面323とに開口する内腔部324を有している。この内腔部324は、吸着ノズル31の内腔部313と同様に、空気が通過する流路として機能する。
また、内腔部324には、側面323側から継手36が気密的に接続されている。継手36は、配管71を介してエジェクター72と接続されている。また、配管71の途中、すなわち、継手36とエジェクター72との間には、レギュレーター73が配置されている。
また、第1ブロック32には、例えば、吸着ノズル31に吸着されたICデバイス90を加熱するヒーター(図示せず)を内蔵することもできる。
第1ブロック32の下方には、第2ブロック33が配置されている。この第2ブロック33は、平坦な上面331と下面332とを有するブロック状(または板状)の部材で構成されており、上面331が第1ブロック32の下面322に接している。
第2ブロック33は、上面331と下面332とに開口する内腔部333を有している。内腔部333には、吸着ノズル31のフランジ部315よりも上側の部分が挿入されている。これにより、吸着ノズル31は、Z方向に移動することができる。
また、内腔部333も空気が通過する流路として機能し、この内腔部333を介して、吸着ノズル31の内腔部313と第1ブロック32の内腔部324とが連通する。これにより、空気が通過する一連の流路が形成される。
第2ブロック33の上面331側には、上面331に開放する溝334が内腔部333と同心的にリング状に形成されている。この溝334には、リング状のパッキン37が配置されている。これにより、パッキン37は、第1ブロック32と第2ブロック33との間で圧縮されることとなり、パッキン35とともに、前記一連の流路の気密性を維持することができる。
第2ブロック33の下面332側には、下面332に開放する溝335が内腔部333と同心的にリング状に形成されている。また、第2ブロック33は、溝335の内周面と、第2ブロック33の外周部とを連通する内腔部336を有している。この内腔部336には、外側から継手41が気密的に接続されている。継手41は、配管8(配管81)を介して作動流体供給部85に接続されている。
作動流体供給部85は、後述する第1空間S1と第2空間S2とに作動流体R(例えば、空気)を供給する。第1空間S1と第2空間S2とで共通の作動流体供給部を設けることにより、装置構成を簡素にすることができる。さらに、第1空間S1と第2空間S2とで、それぞれ専用の作動流体供給部を設けるのを省略することができる。よって、装置構成をさらに簡素にすることができる。また、第1空間S1および第2空間S2に作動流体Rが出入り可能となることにより、後述するように、ピストン512がシリンダ511内を摺動することができるとともに、吸着ノズル31が貫通孔344内を摺動することができる。
ここで、第1空間S1と第2空間S2とに供給される作動流体Rの圧力は、本実施形態では、同じ圧力であるが、異なっていてもよい。なお、作動流体供給部85は、作動流体の供給に加え、吸引(作動流体Rの回収)も行うことができる。
第2ブロック33の下方には、第3ブロック34が配置されている。第3ブロック34は、平坦な上面341と下面342とを有するブロック状(または板状)の部材で構成されており、上面341が第2ブロック33の下面332に接している。
第3ブロック34の上面341側には、上面341に開放し、平面視で、吸着ノズル31のフランジ部315よりも大きい凹部343が形成されている。この凹部343内で、フランジ部315がZ方向に移動することができる。そして、図3に示すように、フランジ部315が凹部343の底部に当接した状態では、吸着ノズル31の下側の位置での移動限界が規制され、よって、吸着ノズル31の脱落を防止することができる。これとは反対に、フランジ部315が第2ブロック33の下面332に当接した状態では、吸着ノズル31の上側の位置での移動限界が規制される。なお、吸着ノズル31の移動可能な可動域は、種々のICデバイス90の厚さに対応することができるよう、十分確保されている。また、凹部343と溝335とは、連通しており、凹部343と溝335とを合わせた空間が、作動流体Rが供給される第2空間S2として機能する。
また、凹部343の底部には、下面342まで貫通する貫通孔344が形成されている。貫通孔344からは、吸着ノズル31の位置に関わらず、フランジ部315よりも下側の部分が突出することができる。
第3ブロック34には、上面341から下面342までを貫通するガイド孔345が形成されている。図3〜図5に示す構成では、ガイド孔345は、2つ形成されている。各ガイド孔345には、検査部16のガイドピン164が挿入される。これにより、吸着ノズル31(吸引部3)がICデバイス90を検査部16に押圧するとき、ICデバイス90と検査部16との位置決めがなされる。この位置決めにより、ICデバイス90の各端子901と、検査部16の各プローブピン163とが接触することができる。
吸引部3よりも上方には、姿勢調整部5が配置されている。姿勢調整部5は、図5に示す状態で吸引部3の姿勢を調整する「コンプライアンスユニット」と呼ばれるものである。姿勢調整部5は、第1調整機構51と、第2調整機構52とを有している。
第1調整機構51は、吸引部3の姿勢調整のうち、吸引部3のX軸回りの姿勢調整と、吸引部3のY軸回りの姿勢調整とを担うものである。
第1調整機構51は、シリンダ511と、シリンダ511に対してZ方向に摺動可能なピストン512とを有している。シリンダ511は、内側に内腔部513を有している。この内腔部513の内側には、ピストン512が挿入されている。ピストン512は、フランジ部514と、フランジ部514と第2調整機構52とを連結するピストンロッド515とを有している。また、フランジ部514の外周部は、丸みを帯びている。これにより、ピストン512は、その丸みを帯びた外周部が、ピストン512の中心軸が傾斜するように姿勢を変更することができる。よって、ピストン512は、検査部16の当接部162の面の向きに倣うように姿勢を変更することができる。なお、ピストン512の丸みを省略し、ピストン512とは別体のパッキンを設けてもよい。この場合、パッキンが弾性体で構成されていれば、上記と同様に、ピストン512は、その中心軸が傾斜するように姿勢を変更することができる。
また、図3に示すように、シリンダ511には、内周部と外周部とを貫通する貫通孔516が設けられている。この貫通孔516には、外側から継手42が気密的に接続されている。継手42は、配管8(配管82)を介して作動流体供給部85に接続されている。
なお、配管8は、途中から配管81および配管82に分岐する構成となっている。また、配管8の、分岐点86と作動流体供給部85との間には、タンク83とレギュレーター84とが設けられている。レギュレーター84は、タンク83よりも作動流体供給部85側に配置されている。なお、レギュレーター84は、レギュレーター73と同様の構成とすることができる。
タンク83は、内側に、作動流体供給部85から供給された作動流体Rを貯留することができるものであり、作動流体Rのリザーバータンクまたはバッファータンクとして機能する。また、タンク83は、その内部空間が、配管81を介して第2空間S2と連通している。すなわち、タンク83は、第2空間S2と連通する第3空間として機能する。これにより、吸着ノズル31の移動により、第2空間S2の圧力が変動したとしても、タンク83と連通しているため、タンク83に作動流体Rが逃げるかまたは第3空間から作動流体Rが入り込むこととなる。よって、第2空間S2の内圧の変動を緩和することができる。その結果、吸着ノズル31がICデバイス90を安定的に押圧することができる。このように、タンク83は、第2空間S2の圧力の変動を緩和する緩和部として機能する。
第1調整機構51の下方には、第2調整機構52が配置されている。第2調整機構52は、Z方向に重ねられた2枚の板部材521を有している。これら2枚の板部材521は、相対的にXY平面方向に移動することができる。これにより、第2調整機構52は、吸引部3の姿勢調整のうち、吸引部3のX方向の姿勢調整と、吸引部3のY方向の姿勢調整と、吸引部3のZ軸回りの姿勢調整とを担うことができる。
また、姿勢調整部5は、連結部171を介して、デバイス搬送ヘッド17全体をY方向およびZ方向に往復移動可能に支持する機構(図示せず)に連結されている。
吸引部3と姿勢調整部5との間には、断熱部6が配置されている。断熱部6は、第1ブロック32に内蔵された前記ヒーターからの熱が姿勢調整部5に伝わるのを防止または抑制することができる。これにより、姿勢調整部5は、前記熱によって誤動作を起こすのが防止され、よって、正常に作動する、すなわち、吸引部3の姿勢を正確に調整することができる。
本実施形態では、断熱部6は、柱状をなす複数の断熱部材61で構成されている。各断熱部材61は、熱伝導率が比較的小さく、しかも複数が互いに離間して配置されている。なお、断熱部材61の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ガラスエポキシ樹脂等のような各種断熱材を用いることができる。第1ブロック32と板部材521とは、互いに離間する断熱部材61により接続され、かつ、各断熱部材61間は、空隙であるため、第1ブロック32と板部材521との熱伝導が抑制される。
前述したように、検査領域A3内には、検査部16が配置されている。検査部16は、電子部品であるICデバイス90が載置される載置部であり、その載置状態でICデバイス90に対する検査を行なうソケットである。図4、図5に示すように、検査部16は、検査部本体161と、当接部162と、プローブピン163と、ガイドピン164とを有している。
検査部本体161は、ICデバイス90が載置、収納される凹部(ポケット)165が凹没して形成されている。なお、凹部165の形成数は、図4や図5に示す構成では1つであるが、これに限定されず、複数であってもよい。
凹部165の底部には、ICデバイス90の端子901と同数のプローブピン163が突出して配置されている。
また、検査部16(載置部)は、検査部16(載置部)に載置された電子部品であるICデバイス90を吸引方向α3に付勢する電子部品付勢部166を有する。この電子部品付勢部166は、各プローブピン163に内蔵されたコイルバネで構成されている。これにより、ICデバイス90に対する吸引部3側からの押圧と相まって、ICデバイス90の各端子901と各プローブピン163とを十分に接触させることができる。よって、ICデバイス90に対する検査を正確に行なうことができる。
前述したように、検査領域A3内には、電子部品であるICデバイス90が載置される載置部である検査部16が配置可能である。そして、この載置部である検査部16は、当接部162を有している。当接部162は、板状部材で構成されており、検査部本体161上に重ねて設置されている。これにより、当接部162は、デバイス搬送ヘッド17が備える吸引部3の第3ブロック34の下面342と当接することができる。また、デバイス搬送ヘッド17は、吸引部3の姿勢を調整可能な姿勢調整部5を有している。ここで、例えば検査部16全体がXY平面(水平面)に対して1度傾斜していた場合を想定してみる。このような場合でも、図5に示すように、吸引部3と当接部162とが当接した状態においては、姿勢調整部5によって、吸引部3を、検査部16と同じ傾斜した姿勢にならわせることができる。このような吸引部3の姿勢調整は、ICデバイス90の各端子901と各プローブピン163との接触に寄与する。
ガイドピン164は、吸引部3の各ガイド孔345に対応して、検査部本体161に配置されている。各ガイドピン164は、検査部本体161に固定され、上方に向かって突出している。そして、前述したように、ガイドピン164が吸引部3のガイド孔345に挿入されることにより、ICデバイス90と検査部16との位置決めがなされる。これにより、ICデバイス90の各端子901と、検査部16の各プローブピン163とが接触することができる。
ところで、吸着ノズル31に吸着されたICデバイス90では、吸着ノズル31の下面312(吸着面)を基準としたとき、下面312から各端子901までの距離H90にばらつきが生じることがある。この原因としては、例えば、同種のICデバイス90であっても、ICデバイス90の厚さに違い(ばらつき)があったり、すなわち、厚さの誤差に大小があったり(図6、図7参照)、その他、ICデバイス90に反りが生じていたりすること(図8参照)等の個体差が挙げられる。なお、図6は、ICデバイス90自体に厚さの大小がある状態を示し、図7は、同種のICデバイス90同士でも、薄いICデバイス90や厚いICデバイス90がある状態を示し、図8は、ICデバイス90自体が反っている状態を示す。
例えば距離H90が比較的小さい場合、各端子901の中には、検査部16のプローブピン163にまで到達できない端子901が存在することがある。この場合、接触不良となり、正確な検査を行なうのが困難となる。
また、距離H90が比較的大きい場合、各端子901は、検査部16のプローブピン163に到達して接触することができるが、その接触圧が過剰となる端子901が存在することがある。この場合も、正確な検査を行なうのが困難となる。
そこで、本発明の電子部品検査装置1(電子部品搬送装置10)では、このような現象を解消することができる構成となっている。以下この構成および作用について図3〜図5を参照して説明する。
[1] 図3に示すように、デバイス搬送ヘッド17は、吸引部3には未だICデバイス90が吸引されていない状態となっている。なお、このとき、エジェクター72は、すでに吸引を行っている。また、第1空間S1および第2空間S2には、作動流体Rが供給されており、第1空間S1および第2空間S2は、陽圧となっている。第2空間S2が陽圧となっていることにより、吸着ノズル31のフランジ部315が第3ブロック34に当接した状態となる。
[2] そして、このデバイス搬送ヘッド17は、検査領域A3に進入していきたデバイス供給部14上のICデバイス90を、吸引部3で吸引することができる。これにより、デバイス搬送ヘッド17は図4に示す状態となる。この図4に示す状態では、ICデバイス90は、吸引力F3によって吸着ノズル31に吸着されている。また、前述したように、ICデバイス90の吸着時には、吸着ノズル31は、図3に示す状態よりもZ方向の正側(吸引方向α3)に移動している。すなわち、吸着ノズル31のフランジ部315は、第3ブロック34から離間した状態となっている。
そして、ICデバイス90を吸着したまま、デバイス搬送ヘッド17を移動させることにより、当該吸着されたICデバイス90を検査部16の凹部165の直上に配置することができる。
[3] その後、図5に示すように、デバイス搬送ヘッド17は、吸引部3が検査部16に当接するまで下降することができる。これにより、吸引部3は、検査部16の姿勢にならいつつ、ICデバイス90を検査部16の凹部165に押圧しつつ、収納することができる(以下、この状態を「押圧収納状態」という)。このとき、吸着ノズル31は、ICデバイス90を介して検査部16からの反力を受けて、図4に示す状態よりもさらにZ方向の正側に移動する。すなわち、押圧収納状態では、吸着ノズル31のフランジ部315は、図4に示す状態よりも、第3ブロック34との離間距離がさらに大きくなる。
このように、図5に示す押圧収納状態において、吸着ノズル31と第3ブロック34とが離間しているため、作動流体Rを第2空間S2にさらに供給することにより、吸着ノズル31は、−Z方向に移動することができる。よって、吸着ノズル31を介して、ICデバイス90を検査部16に向けて、検査に適した力で適度に付勢することができる。これにより、例えば図6〜図8に示すように、距離H90の大小に関わらず、ICデバイス90の各端子901を検査部16のプローブピン163に過不足なく均一に接触させる(当接させる)ことができ、よって、ICデバイス90に対する検査を正確に行なうことができる。
特に、ICデバイス90の個体差(上面の凹凸形状等)の程度によっては、吸引力F3’の大きさがICデバイス90毎に異なり、押圧収納状態において、吸着ノズル31が第3ブロック34と接触した状態となる可能性が有る。この場合、吸着ノズル31によって、ICデバイス90を検査部16の凹部165に対してさらに押圧するのが困難となる。これに対し、電子部品搬送装置10では、第2空間S2への作動流体Rの供給量を調節可能となっている。これにより、押圧収納状態において、吸着ノズル31が第3ブロック34に対して離間するように作動流体Rの供給量を調節することができる。よって、押圧収納状態において、吸着ノズル31によって、ICデバイス90を検査部16の凹部165に対してさらに押圧することができる。
また、第2基部としての第3ブロック34は、ICデバイス90(電子部品)が載置される電子部品載置部としての検査部16に当接可能である。これにより、第3ブロック34が検査部16を押圧して、第3ブロック34の姿勢を検査部16の当接部162の形状にならわす状態とすることができる。よって、このならわせた状態でICデバイス90に吸着ノズル31を当接させることができる。その結果、さらに確実に、ICデバイス90の各端子901を検査部16のプローブピン163に過不足なく均一に接触させる(当接させる)ことができ、よって、ICデバイス90に対する検査を正確に行なうことができる。
また、図3に示すように、第1摺動部としてのピストン512のフランジ部514が、第1空間S1内の作動流体Rを受ける第1受圧面M1の面積は、第2摺動部である吸着ノズル31が、第2空間S2内の作動流体Rを受ける第2受圧面M2の面積よりも大きい。これにより、本実施形態のように、第1空間S1と第2空間S2とに同じ量の作動流体Rを供給する構成では、第2受圧面M2が作動流体Rから受ける力を、第1受圧面M1が作動流体Rから受ける力よりも小さくすることができる。その結果、吸着ノズル31がICデバイス90を押圧する力(第2当接力)を、第3ブロック34が検査部16を押圧する力(第1当接力)よりも小さくすることができる。よって、吸着ノズル31がICデバイス90を過剰に押圧するのを防止することができる。
このように、電子部品搬送装置10では、第2摺動部である吸着ノズル31がICデバイス90(電子部品)に当接する当接力(第2当接力)と、第2基部の一部である第3ブロック34が電子部品載置部である検査部16に当接する当接力(第1当接力)とは、異なる。本実施形態では、前述したように、第2当接力は、第1当接力よりも小さいため、吸着ノズル31がICデバイス90を過剰に押圧するのを防止することができる。
また、第1受圧面M1が押圧するのは、第1受圧面M1よりも下側の部分である吸引部3全体である。これに対し、第2受圧面M2が押圧するのは、第2受圧面M2よりも下の部分である吸着ノズル31の一部である。そのため、第1受圧面M1の押圧力が第2受圧面M2の押圧力よりも大きくするのが好ましい。従って、第1受圧面M1の面積が第2受圧面M2の面積よりも大きくなっている。
なお、第1受圧面M1の面積は、第2受圧面M2の面積の2倍以上、20倍以下であるのが好ましく、3倍以上、15倍以下であるのがより好ましい。これにより、上記効果をより確実に発揮することができる。
なお、本実施形態では、第1摺動部としてのピストン512と、第2基部である第3ブロック34とは、別体で構成されているが、これらは一体形成されていてもよい。
<第2実施形態>
以下、図9を参照して本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、電子部品、第2基部および検査部の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
本実施形態では、ICデバイス90は、基板902と、基板902の+Z側の面に突出して設けられた突出部903とを有している。なお、基板902の−Z側の面には、複数の端子901が設けられている。また、突出部903の平面視の大きさは、吸着ノズル31の下端面と略同じ大きさである。
また、電子部品搬送装置10では、検査部16の凹部165は、基板902が入り込むことが可能な大きさとなっている。
また、本実施形態では、配管81と配管82とは、互いに独立した流路で構成され、配管81と配管82とには、それぞれ、タンク83、レギュレーター84および作動流体供給部85が接続されている。これにより、第1空間S1と第2空間S2の圧力を独立して調整することができる。すなわち、第1空間S1への作動流体Rの圧力と、第2空間S2への作動流体Rの圧力とをそれぞれ変更可能であり、それぞれ別個に設定可能である。よって、吸着ノズル31がICデバイス90を押圧する力と、第3ブロック34がICデバイス90および検査部16を押圧する力とを独立して調整することができる。このような構成は、図示はしないが、第1受圧面M1と第2受圧面M2との比が、所望の数値となるよう設計するのを省略することができ、有利である。なお、第1空間S1と第2空間S2との圧力の設定は、図1に示すモニター300上で操作する構成とすることができる。
また、このような構成とすることにより、第2摺動部としての吸着ノズル31がICデバイス90(電子部品)に当接する当接力と、第2基部の一部である第3ブロック34がICデバイス90(電子部品)に当接する当接力とを、異ならせることができる。これにより、例えば、基板902への負荷を減らしたい場合には、基板902への当接力を突出部903への当接力よりも弱めたり、突出部903への負荷を減らしたい場合には、突出部903への当接力を基板902への当接力よりも弱めたりすることができる。
また、電子部品搬送装置10では、吸引部3の第3ブロック34は、下面342から−Z方向に突出する突出部346を有している。この突出部346は、押圧収納状態では、検査部16の凹部165に入り込む。また、突出部346は、押圧収納状態では、ICデバイス90の基板902と当接する。すなわち、第2基部の一部である突出部346は、ICデバイス90(電子部品)の一部である基板902に当接可能である。これにより、突出部346がICデバイス90の基板902を押圧することができる。
また、押圧収納状態では、ICデバイス90の突出部903が、第3ブロック34の貫通孔344に入り込んでおり、吸着ノズル31によって押圧されている。第2基部の一部である第3ブロック34の突出部346と、第2摺動部である吸着ノズル31とは、ICデバイス90(電子部品)に対して異なる位置で当接する。これにより、突出部346がICデバイス90の基板902を押圧し、吸着ノズル31がICデバイス90の突出部903を押圧することができる。
また、押圧収納状態、第3ブロック34の下面342は、検査部16の当接部162と当接しており、検査部16は、第3ブロック34によって押圧されている。
このように、本実施形態では、吸着ノズル31がICデバイス90の突出部903を押圧し、第3ブロック34の突出部346がICデバイス90の基板902を押圧し、第3ブロック34の下面342が検査部16を押圧する。これにより、本実施形態のような段差を有するICデバイス90であっても、ICデバイス90の各端子901を検査部16のプローブピン163に過不足なく均一に接触させる(当接させる)ことができ、よって、ICデバイス90に対する検査を正確に行なうことができる。
<第3実施形態>
以下、図10を参照して本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、電子部品、第2基部の構成が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
本実施形態では、ICデバイス90は、突出部903の中心S903と、基板902の中心S902とが、X方向およびY方向にずれたものである。すなわち、突出部903は、基板902に対して偏心して配置されている。なお、「中心」とは、平面視形状が四角形の場合には、2本の対角線が交わった点のことを言う。
また、本実施形態では、中心S902と中心S903とのずれに合わせて、貫通孔344が、第3ブロック34の突出部346の中心に対して、X方向およびY方向にずれて配置されている。すなわち、貫通孔344は、突出部346に対して偏心して配置されている。これにより、貫通孔344内を摺動する吸着ノズル31は、ICデバイス90の突出部903を押圧することができる。
このように、本実施形態では、突出部903の中心S903と、基板902の中心S902とが、X方向およびY方向にずれたものであっても、ICデバイス90の各端子901を検査部16のプローブピン163に過不足なく均一に接触させる(当接させる)ことができ、よって、ICデバイス90に対する検査を正確に行なうことができる。
<第4実施形態>
以下、図11を参照して本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、検査部の構成が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
図11に示すように、デバイス供給部14は、検査前のICデバイス90(電子部品)が載置される検査前電子部品載置部であり、デバイス回収部18は、検査後のICデバイス90(電子部品)が載置される検査後電子部品載置部である。図11に示すように、デバイス供給部14とデバイス回収部18とは、ICデバイス90(電子部品)を載置して移動可能な可動部30としてユニット化されている。この可動部30は、デバイス供給部14とデバイス回収部18との他に、X方向移動機構7を有している。
デバイス供給部14は、ICデバイス90が載置、収納される凹部(ポケット)141が凹没して形成されている。本実施形態では、凹部141の形成数は、8個となっており、その配置態様は、デバイス搬送ヘッド17Aやデバイス搬送ヘッド17Bでの8個の吸引部3の配置態様と同じ、すなわち、X方向に4個、Y方向に4個ずつ配置された状態となっているのが好ましい。
デバイス回収部18も、ICデバイス90が載置、収納される凹部(ポケット)181が凹没して形成されている。本実施形態では、凹部181の形成数は、8個となっており、その配置態様は、デバイス搬送ヘッド17での8個の吸引部3の配置態様と同じ、すなわち、X方向に4個、Y方向に4個ずつ配置された状態となっているのが好ましい。
X方向移動機構7は、リニアガイド71Aと、デバイス供給部14とデバイス回収部18とを一括して支持する支持ベース72Aとを有している。リニアガイド71Aは、レール711Aと、2つのスライダー712Aとを有している。これら2つのスライダー712A上に支持ベース72Aが固定されている。
また、電子部品搬送装置10は、可動部30(図示の構成では、デバイス供給部14)に設けられ、力を検出可能な力検出部9を有している。力検出部9は、デバイス供給部14上のスペーサ73A上に配置されている。
力検出部9としては、特に限定されず、例えば、ロードセルを用いるのが好ましい。ロードセルは、歪ゲージが内蔵され、力の大きさを電気信号に変換する変換器である。これにより、当接力F90を設計値(計算値)ではなく、実測値としてできる限り正確に検出することができる。
また、力検出部9が検出した検出結果、すなわち、当接力の大きさは、制御部800の記憶部802に記憶される。
また、力検出部9は、デバイス供給部14上のスペーサ73A上に配置されており、第2摺動部である吸着ノズル31に当接した(吸着された)ICデバイス90(電子部品)と当接可能である。
このような本実施形態では、例えば、図11に示すように、ICデバイス90を押圧収納状態とするのに先立って、すなわち、検査を行う前に、ICデバイス90を力検出部9に押しつけ、その当接力F90を検出する。そして、検出した当接力F90に基づいて、押圧力の調整を行ったりすることができる。
また、当接力F90を検出するタイミングとしては、例えば、ICデバイス90が力検出部9に当接し始めた位置からさらに0.1mm以上、2.0mm以下の範囲内で下降した位置で検出するのが好ましい。
なお、上記のような当接力の検出は、ICデバイス90を用いず、ICデバイス90と大きさが同じ力検出部材を用いてもよい。
<第5実施形態>
以下、図12を参照して本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、第1摺動部の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図12に示すように、シリンダ511の内側には、弾性を有するダイアフラム53が設けられている。ダイアフラム53は、シリンダ511のZ方向の途中で、かつ、貫通孔516よりも−Z側に設けられている。このダイアフラム53は、その下面531がピストン512のフランジ部514と当接している。なお、図示はしないが、ダイアフラム53は、自然状態でX軸およびY軸と平行となっている。本実施形態では、このダイアフラム53よりも+Z側の空間が第1空間S1となる。
図12に示すように、ピストン512がダイアフラム53を+Z側に持ち上げてダイアフラム53を変形させている状態では、ピストン513は、ダイアフラム53が自然状態に戻ろうとする復元力を受ける。これにより、ダイアフラム53によって、XY平面に対する平行度を出すことができる。その結果、平行度を出した状態で、第3ブロック34は、検査部16を押圧することができる。
以上、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、電子部品搬送装置および電子部品検査装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の電子部品搬送装置および電子部品検査装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。