JP6789527B2 - 遭難者捜索救助支援システム、遭難者捜索救助支援方法、救難タグ、救命具、遠隔管理システム、遠隔管理方法および管理タグ - Google Patents

遭難者捜索救助支援システム、遭難者捜索救助支援方法、救難タグ、救命具、遠隔管理システム、遠隔管理方法および管理タグ Download PDF

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この発明は、遭難者捜索救助支援システム、遭難者捜索救助支援方法、救難タグ、救命具、遠隔管理システム、遠隔管理方法および管理タグに関し、例えば、事故等によって船舶から海に投げ出された人や山で迷った人等の遭難者を早期に捜索し救助し、あるいは、牛等の家畜やその他の各種物品の位置、動き等を離れた位置から把握し管理するのに適用して好適なものである。
従来、例えば、海上で船舶の事故や転落等によって人が海に投げ出された場合、船員等がそれに気がついた時は直ぐに救助に向かうことが可能であるが、船員等がそれに気が付かなかった時は救助が大幅に遅れてしまう可能性がある。また、船舶が転覆してしまった場合には、船員が遭難信号を出せない限り、救助が大幅に遅れてしまう可能性がある。
このような場合に備えて、従来、GPS信号を利用した遭難救助支援システム(特許文献1参照)およびGPS信号を利用した捜索システム(特許文献2参照)が提案されている。特許文献1の遭難救助支援システムは、遭難事故があった場合その事故発生情報と位置情報と時間情報を発信する携帯型端末と、この携帯型端末を管理するホストコンピュータと、これらの携帯型端末およびホストコンピュータ間をリンクする通信手段とから構成される。そして、事故発生情報は携帯型端末の起動と同時に第1波としてホストコンピュータに発信し、位置情報は測位衛星による測位情報(GPS信号)を受信後第2波としてホストコンピュータに発信し、時間情報は携帯型端末が起動してからの積算時間として第1波および第2波中に含めて発信し、救助機関等に事故の発生の連絡、捜索救助活動の要請、遭難者の位置情報の提供等を行う。この遭難救助支援システムでは、海難事故を想定した場合の例として、携帯型端末を遭難者が着用する救命胴衣に備えておくことが記載されている。また、特許文献2の捜索システムは、捜索対象者に装着され、少なくともGPSシステムから取得した位置情報を周囲に発信する捜索対象モジュールと、捜索対象モジュールの周辺領域に所定の間隔で二次元状に分布し、捜索対象モジュールから発信された信号を受信するとともに、分布している他のモジュールとの間でリレー方式でネットワークを構築する複数の中継モジュールと、複数の中継モジュールから発信された信号のうちいずれかを受信し、受信した信号から捜索対象モジュールおよび中継モジュールの位置関係に基づくネットワークの構築状態を演算し、ネットワークを経由して捜索対象モジュールの位置情報を取得する演算装置とを備え、捜索対象者の救難活動を行う。この捜索システムでは、海難事故を想定した場合の例として、捜索対象モジュールを遭難者が着用する救命胴衣に備えておくことが記載されている。
一方、牛等の家畜を放牧地に放牧する場合、放牧された家畜から離れた位置からリアルタイムで家畜の位置を把握するシステムとして、放牧家畜遠隔管理システムが知られている(特許文献3参照)。この放牧家畜遠隔管理システムでは、例えば、牛に首輪を取り付けて放牧地に放牧する。この首輪は、GPS衛星からの電波を受信し、現在位置等のデータを出力するGPS受信機、このGPS受信機からのデータから所望のデータを抽出し、この抽出したデータに予め設定されている牛の識別コードを付加した移動位置信号(牛位置データ)にして送出する位置データ生成部、この位置データ生成部からの牛位置データを送信する無線機およびこれらに電力を供給する電源部を備えている。電源部は、GPS受信機に対しては、10分から20分毎に一度電力を供給する。従って、首輪の無線機から、10分から20分毎に牛位置データが送信される。監視センター側では、GPS衛星からの電波に基づいて自らの位置を求めるとともに牛位置データを受信し、監視センターの画像処理装置が牛位置データの受信時刻に一致する自らの位置との差に基づいて、画面上における放牧地の地図の各画像の位置を移動させて、牛位置データに基づく点画像を地図上に表示する。
特開平11−263292号公報 特開2015−176418号公報 特開平10−160820号公報
しかしながら、特許文献1の遭難救助支援システムでは、携帯型端末およびホストコンピュータ間をリンクする通信手段として通信衛星、衛星地球局およびネットワーク管理局が必要であるため大規模なシステムとなるだけでなく、携帯型端末のGPS受信機や通信装置等の消費電力は大きいと考えられ、従って携帯型端末を長期間使用可能とするためには大容量の重たいバッテリーを使用せざるを得ず、使用者の負担が大きいという問題がある。さらに、特許文献2の捜索システムは、システムが複雑であるだけでなく、捜索対象モジュールのGPS受信機や通信装置等の消費電力は大きいと考えられ、従って捜索対象モジュールを長期間使用可能とするためには大容量の重たいバッテリーを使用せざるを得ず、使用者の負担が大きいという問題がある。
また、特許文献3の放牧家畜遠隔管理システムでは、GPS受信機に対しては10分から20分毎に一度電力を供給するようにしているためGPS受信機の消費電力の低減を図ることができるものの、位置データ生成部および無線機には本体の電源がオンになっている間常時、電力を供給しているため、電源部の電池はかなり容量の大きいものが必要と考えられ、必然的に電源部の重量はかなり大きくならざるを得ず、従って首輪の重量はかなり大きくなると考えられる。このため、牛に大きな負担を掛けることになり、無用のストレスを与えるおそれが高い。しかも、このような大容量の電池を用いたとしても、GPS受信機、位置データ生成部および無線機全体の電力消費量が大きいため、電池を頻繁に交換しなければならず、交換の手間が掛かると考えられる。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、海や山等で事故等によって遭難した遭難者の位置や動き等を遠隔でニアタイムで正確に把握することができ、しかも遭難者が使用する救命具や遭難者自身に装着される救難タグの電力消費量の大幅な低減を図ることができ、それによって救難タグに取り付けられる電池の容量の低減による救難タグの軽量化および電池の交換頻度の大幅な減少を図ることができる遭難者捜索救助支援システムおよび遭難者捜索救助支援方法ならびにそれらに用いられる救難タグおよび救命具を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、放牧地に放牧される牛等の家畜、より一般的には各種の被管理対象物の位置や動き等を遠隔でニアタイムで正確に把握し管理することができ、しかも被管理対象物に装着される管理タグの電力消費量の大幅な低減を図ることができ、それによって管理タグに取り付けられる電池の容量の低減による管理タグの軽量化および電池の交換頻度の大幅な減少を図ることができ、被管理対象物が牛等の家畜のような生物である場合、それに対して無用のストレスを与えるおそれがない遠隔管理システムおよび遠隔管理方法ならびにそれらに用いられる管理タグを提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は、
救難タグ装着対象物に装着される、GPS受信機と、通信装置と、上記GPS受信機および上記通信装置の動作を制御し、上記GPS受信機で受信されるGPS信号より上記救難タグ装着対象物の位置情報を取得し、この位置情報を上記通信装置から外部に送信する処理装置と、上記GPS受信機、上記通信装置および上記処理装置に電力を供給する電源とを有する救難タグを有し、
上記救難タグは、時刻t1 に上記電源をオンとし、次いで上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置情報を取得した後の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとし、次いで上記時刻t3 または上記時刻t3 の前後の時刻t4 に上記通信装置をオンとして上記位置情報を上記通信装置から送信し、次いで時刻t5 に上記通信装置をオフとし、次いで時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を時刻t7 まで継続し、上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を10分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行うように構成されている遭難者捜索救助支援システムである。
救難タグの構成要素であるGPS受信機、通信装置、処理装置および電源の構成は特に限定されず、それぞれ個別素子で構成してもよいし、いずれか二つ以上を一体に構成したものを用いてよく、必要に応じて選ばれる。例えば、通信装置および処理装置をワンチップ化してもよい。この遭難者捜索救助支援システムにおいては、GPS受信機は、コールドスタートの状態で使用される。この遭難者捜索救助支援システムにおいては、救難タグの電力消費量を抑える観点より、救難タグは、好適には、時刻t1 に上記電源をオンとし、上記時刻t1 から10ミリ秒以内の時刻t2 に上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置情報を取得した直後の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとし、上記時刻t3 または上記時刻t3 の前後の時刻t4 に上記通信装置をオンとして上記位置情報を上記通信装置から送信し、上記時刻t3 または上記時刻t4 から5秒以内の時刻t5 に上記通信装置をオフとし、上記時刻t5 から1秒以内の時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を時刻t7 まで1秒以上継続し、上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を5分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行うように構成される。救難タグの電力消費量をより一層抑える観点より、時刻t1 から時刻t2 までの時間、時刻t2 から時刻t3 までの時間、時刻t3 または時刻t4 から時刻t5 までの時間はできるだけ短くするのが望ましい。好適には、時刻t1 から時刻t2 までの時間は10マイクロ秒以内、より好適には5マイクロ秒以内、時刻t2 から時刻t3 までの時間は5分以内、好適には3分以内、より好適には1分以内で可能な限り短くし、時刻t3 または時刻t4 から時刻t5 までの時間は4秒以内であり、時刻t1 から時刻t6 までの時間は1分以内である。時刻t1 から時刻t7 までの時間は、救難タグ装着対象物の位置や動き等を遠隔でニアタイムで正確に把握し管理することができ、しかも救難タグの電力消費量の低減を図ることができるように救難タグ装着対象物に応じて選択される。
電源は、典型的には、救難タグに取り付けられた電池であり、使用する電池は特に限定されず、必要に応じて選ばれる。電源は、無線電力通信により外部から送信される電力を利用するものであってもよい。
この遭難者捜索救助支援システムにおいては、好適には、救難タグの通信装置から送信される位置情報が遭難現場付近の中継機に受信される。中継機では、必要に応じて位置情報の信号の増幅が行われる。中継機は少なくとも一つあればよいが、複数あることが望ましい。中継機は、例えば、水上(海、湖、川等)では漁船、旅客船、遊覧船、水産庁の監視船等の各種の船舶に備えられ、陸上では公設または私設の各種の施設(山では山小屋や避難所等)内に備えられ、あるいは、ヘリコプター等の航空機に搭載される。そして、例えば、救難タグの通信装置から送信される位置情報が中継機に受信された後、この中継機から当該位置情報が遭難者の捜索救助を行う捜索救助機関に送信される。捜索救助機関は、例えば、水上では漁業共同組合、海上保安庁、警察等、陸上では警察、山岳救助隊等である。特に遭難者が水上の遭難者である場合には、水の流れ等により遭難者の位置が変化することが多いため、通信装置から最初に送信される位置情報を基に捜索を行っても発見までに時間がかかってしまうおそれがある。このような場合に備えるため、好適には、捜索救助機関が、救難タグの通信装置から送信される位置情報が船舶に搭載された中継機に受信された時刻と、当該時刻における遭難現場付近の気象情報(風向、風速等)および水の流れの情報(流れの向き、流速等)とから当該時刻以降の任意の時刻における救難タグ装着対象物の位置をコンピュータシミュレーションにより予測し、捜索救助隊に送信する。こうすることで、遭難者の捜索に要する時間の短縮を図ることができ、ひいては迅速に遭難者の救助を行うことができる。遭難者には、海や山で事故等によって遭難した遭難者だけでなく、例えば、認知症等により徘徊する高齢者や道に迷った子供等も含まれる。
救難タグは、破損や冠水等を防止するために、容器、取り分け密閉容器、好適には防水性の容器に収納され、当該容器が救難タグ装着対象物に内蔵され、または、救難タグ装着対象物の例えば外側等に取り付けられる。
救難タグ装着対象物は、基本的にはどのようなものであってもよいが、例えば、救命具、登山用品、遭難者等である。救命具は、例えば、救命胴衣、救命ブイ、救命ボート等である。登山用品は、例えば、ウエストバッグ、ジャケット、ジャンパー、レインウェア、リュックサック等である。救命具、登山用品、遭難者等に救難タグを装着する部位や装着方法等は必要に応じて選択される。遭難者が認知症等の高齢者や子供等である場合には、救難タグ装着対象物は、これらの高齢者、子供等が一般的に身に付ける物、例えば、ウエストバッグ、ジャケット、ジャンパー、リュックサック等である。
また、この発明は、
救難タグ装着対象物に、GPS受信機と、通信装置と、上記GPS受信機および上記通信装置の動作を制御し、上記GPS受信機で受信されるGPS信号より上記救難タグ装着対象物の位置情報を取得し、この位置情報を上記通信装置から外部に送信する処理装置と、上記GPS受信機、上記通信装置および上記処理装置に電力を供給する電源とを有する救難タグを装着した状態で、時刻t1 に上記電源をオンとするステップと、
上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置情報を取得した後の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとするステップと、
上記時刻t3 または上記時刻t3 の前後の時刻t4 に上記通信装置をオンとして上記位置情報を上記通信装置から送信し、時刻t5 に上記通信装置をオフとするステップと、
時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を時刻t7 まで継続するステップとを有し、
上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を10分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行う遭難者捜索救助支援方法である。
この遭難者捜索救助支援方法においては、救難タグの電力消費量を抑える観点より、救難タグは、好適には、上記時刻t1 から10ミリ秒以内の時刻t2 に上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置情報を取得した直後の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとし、上記時刻t3 または上記時刻t3 の前後の時刻t4 に上記通信装置をオンとして上記位置情報を上記通信装置から送信し、上記時刻t3 または上記時刻t4 から5秒以内の時刻t5 に上記通信装置をオフとし、上記時刻t5 から1秒以内の時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を時刻t7 まで1秒以上継続し、上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を5分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行う。この遭難者捜索救助支援方法の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、上記の遭難者捜索救助支援システムの発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明は、
救難タグ装着対象物に装着される、GPS受信機と、通信装置と、上記GPS受信機および上記通信装置の動作を制御し、上記GPS受信機で受信されるGPS信号より上記救難タグ装着対象物の位置情報を取得し、この位置情報を上記通信装置から外部に送信する処理装置と、上記GPS受信機、上記通信装置および上記処理装置に電力を供給する電源とを有する救難タグであって、
時刻t1 に上記電源をオンとし、次いで上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置情報を取得した後の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとし、次いで上記時刻t3 または上記時刻t3 の前後の時刻t4 に上記通信装置をオンとして上記位置情報を上記通信装置から送信し、次いで時刻t5 に上記通信装置をオフとし、次いで時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を時刻t7 まで継続し、上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を10分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行うように構成されていることを特徴とする救難タグである。
この救難タグの発明においては、その性質に反しない限り、上記の遭難者捜索救助支援システムの発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明は、
被管理対象物に取り付けられる、GPS受信機と、通信装置と、上記GPS受信機および上記通信装置の動作を制御し、上記GPS受信機で受信されるGPS信号より上記被管理対象物の位置データを取得し、この位置データを上記通信装置から外部に送信する処理装置と、上記GPS受信機、上記通信装置および上記処理装置に電力を供給する電源とを有する管理タグを有し、
上記管理タグは、時刻t1 に上記電源をオンとし、次いで上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置データを取得した後の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとし、次いで上記時刻t3 または上記時刻t3 の前後の時刻t4 に上記通信装置をオンとして上記位置データを上記通信装置から送信し、次いで時刻t5 に上記通信装置をオフとし、次いで時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を時刻t7 まで継続し、上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を10分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行うように構成されている遠隔管理システムである。
管理タグの構成要素であるGPS受信機、通信装置、処理装置および電源の構成は特に限定されず、それぞれ個別素子で構成してもよいし、いずれか二つ以上を一体に構成したものを用いてよく、必要に応じて選ばれる。例えば、通信装置および処理装置をワンチップ化してもよい。この遠隔管理システムにおいては、GPS受信機は、コールドスタートの状態で使用される。この遠隔管理システムにおいては、管理タグの電力消費量を抑える観点より、管理タグは、好適には、時刻t1 に上記電源をオンとし、上記時刻t1 から10ミリ秒以内の時刻t2 に上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置データを取得した直後の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとし、上記時刻t3 または上記時刻t3 の前後の時刻t4 に上記通信装置をオンとして上記位置データを上記通信装置から送信し、上記時刻t3 または上記時刻t4 から5秒以内の時刻t5 に上記通信装置をオフとし、上記時刻t5 から1秒以内の時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を時刻t7 まで1秒以上継続し、上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を5分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行うように構成される。管理タグの電力消費量をより一層抑える観点より、時刻t1 から時刻t2 までの時間、時刻t2 から時刻t3 までの時間、時刻t3 または時刻t4 から時刻t5 までの時間はできるだけ短くするのが望ましい。好適には、時刻t1 から時刻t2 までの時間は10マイクロ秒以内、より好適には5マイクロ秒以内、時刻t2 から時刻t3 までの時間は5分以内、好適には3分以内、より好適には1分以内で可能な限り短くし、時刻t3 または時刻t4 から時刻t5 までの時間は4秒以内であり、時刻t1 から時刻t6 までの時間は1分以内である。時刻t1 から時刻t7 までの時間は、被管理対象物の位置や動き等を遠隔でニアタイムで正確に把握し管理することができ、しかも管理タグの電力消費量の低減を図ることができるように被管理対象物に応じて選択される。
電源は、典型的には、管理タグに取り付けられた電池であり、使用する電池は特に限定されず、必要に応じて選ばれる。電源は、無線電力通信により外部から送信される電力を利用するものであってもよい。
この遠隔管理システムの一つの例では、管理タグの通信装置から送信される位置データを受信する中継機およびこの中継機から転送される位置データを受信し、被管理対象物の管理を行う管理センターをさらに有する。被管理対象物の位置データは複数の中継機を経由して管理センターに受信されることもあるし、中継機から更に、インターネット等の電気通信回線(無線または有線)を経由して管理センターに受信されることもある。あるいは、被管理対象物の位置データは、通信装置から直接、管理センターの画像表示装置に送信されるようにしてもよい。この遠隔管理システムの他の例では、中継機を設けず、管理タグから直接、位置データを受信し、被管理対象物の管理を行う管理センターをさらに有する。管理センターには、典型的には、画像表示装置が設けられ、この画像表示装置の画面に管理エリアの画像および管理エリア内の被管理対象物の位置が表示される。中継機は、管理エリア全体で被管理対象物の遠隔管理が可能となるように、管理エリア内に一つまたは複数設置される。
被管理対象物は、管理エリア内で何らかの動きがあるものであれば、基本的にはどのようなものであってもよく、生物であっても非生物であってもよいし、生物と非生物とが混在してもよい。生物である被管理対象物は、例えば、家畜、家畜以外の動物、人(ヒト)等である。動物は、具体的には、例えば、牛(乳牛、肉牛を含む)、水牛、ジャワ牛、バンテーン、ヤク、ヒツジ、ヤギ、アンテロープ、シカ、ガゼル、キリン、ラクダ、アルパカ、リャマ、グアナコ、ビクーニャ、マメジカ、ネズミジカ等の脊椎動物偶蹄類(反芻動物)やウマ、ロバ等の脊椎動物奇蹄類等であるが、これに限定されるものではない。非生物である被管理対象物は、各種の物品(商品、製品等)であり、これらが段ボール等の包装箱に収納されているものも含む。被管理対象物への管理タグの取り付けは、被管理対象物の種類や状況等に応じて行うことができる。例えば、被管理対象物が家畜である場合、管理タグは、家畜の首にはめられる首輪等に取り付けられたり、耳、胴体、足首等に取り付けられる。また、商品や製品等では、管理タグはこれらに直接取り付けられることもあるし、包装箱に取り付けられることもある。
また、この発明は、
被管理対象物に、GPS受信機と、通信装置と、上記GPS受信機および上記通信装置の動作を制御し、上記GPS受信機で受信されるGPS信号より上記被管理対象物の位置データを取得し、この位置データを上記通信装置から外部に送信する処理装置と、上記GPS受信機、上記通信装置および上記処理装置に電力を供給する電源とを有する管理タグを装着した状態で、時刻t1 に上記電源をオンとするステップと、
上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置データを取得した後の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとするステップと、
上記時刻t3 または上記時刻t3 の前後の時刻t4 に上記通信装置をオンとして上記位置データを上記通信装置から送信し、時刻t5 に上記通信装置をオフとするステップと、
時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を時刻t7 まで継続するステップとを有し、
上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を10分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行う遠隔管理方法である。
この遠隔管理方法においては、管理タグの電力消費量を抑える観点より、管理タグは、好適には、上記時刻t1 から10ミリ秒以内の時刻t2 に上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置データを取得した直後の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとし、上記時刻t3 または上記時刻t3 の前後の時刻t4 に上記通信装置をオンとして上記位置データを上記通信装置から送信し、上記時刻t3 または上記時刻t4 から5秒以内の時刻t5 に上記通信装置をオフとし、上記時刻t5 から1秒以内の時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を時刻t7 まで1秒以上継続し、上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を5分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行う。この遠隔管理方法の発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、上記の遠隔管理システムの発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明は、
被管理対象物に取り付けられる、GPS受信機と、通信装置と、上記GPS受信機および上記通信装置の動作を制御し、上記GPS受信機で受信されるGPS信号より上記被管理対象物の位置データを取得し、この位置データを上記通信装置から外部に送信する処理装置と、上記GPS受信機、上記通信装置および上記処理装置に電力を供給する電源とを有する管理タグであって、
時刻t1 に上記電源をオンとし、次いで上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置データを取得した後の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとし、次いで上記時刻t3 または上記時刻t3 の前後の時刻t4 に上記通信装置をオンとして上記位置データを上記通信装置から送信し、次いで時刻t5 に上記通信装置をオフとし、次いで時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を時刻t7 まで継続し、上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を10分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行うように構成されていることを特徴とするものである。
この管理タグの発明においては、上記以外のことについては、その性質に反しない限り、上記の遠隔管理システムの発明に関連して説明したことが成立する。
この発明によれば、少なくとも10分未満、例えば5分未満の時間間隔でもGPS信号を取得して救難タグ、従ってこの救難タグが装着された救難タグ装着対象物の位置情報を取得することができるため、救難タグ装着対象物の位置や動き等を遠隔でニアタイムで正確に把握することができ、しかもGPS受信機、通信装置等のオン時間が極めて短くこれらの電力消費量が少ないため、救難タグ装着対象物に装着される救難タグの電力消費量の大幅な低減を図ることができ、それによって救難タグに取り付けられる電池の容量の低減による救難タグの軽量化および電池の交換頻度の大幅な減少を図ることができる。
また、この発明によれば、少なくとも10分未満、例えば5分未満の時間間隔でもGPS信号を取得して被管理対象物の位置データを取得することができるため、被管理対象物の位置や動き等を遠隔でニアタイムで正確に把握し管理することができ、しかもGPS受信機、通信装置等のオン時間が極めて短くこれらの電力消費量が少ないため、被管理対象物に装着される管理タグの電力消費量の大幅な低減を図ることができ、それによって管理タグに取り付けられる電池の容量の低減による管理タグの軽量化および電池の交換頻度の大幅な減少を図ることができ、被管理対象物が牛等の家畜のような生物である場合、それに対して無用のストレスを与えるおそれがない。
この発明の第1の実施の形態による遭難者捜索救助支援システムの全体構成を示す略線図である。 この発明の第1の実施の形態による遭難者捜索救助支援システムにおいて用いられる救難タグ装着対象物の具体例を示す略線図である。 この発明の第1の実施の形態による遭難者捜索救助支援システムにおいて用いられる救難タグ装着対象物の具体例を示す略線図である。 この発明の第1の実施の形態による遭難者捜索救助支援システムにおいて用いられる救難タグを示す略線図である。 この発明の第1の実施の形態による遭難者捜索救助支援システムにおける救難タグのGPS受信機、処理装置および通信装置への電力の供給方法を示す略線図である。 この発明の第1の実施の形態による遭難者捜索救助支援システムの全体構成の具体例を示す略線図である。 この発明の第2の実施の形態による遠隔管理システムの全体構成を示す略線図である。 この発明の第2の実施の形態による遠隔管理システムにより放牧地に放牧された多数の牛の位置データを取得する例を示す略線図である。 この発明の第2の実施の形態による遠隔管理システムにより放牧地に放牧された多数の牛のうちの1頭の移動軌跡を取得する例を示す略線図である。
以下、発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」と言う。)について説明する。
〈第1の実施の形態〉
[遭難者捜索救助支援システム]
図1は第1の実施の形態による遭難者捜索救助支援システムの全体構成を示す。
図1に示すように、この遭難者捜索救助支援システムにおいては、救難タグ装着対象物10に救難タグ20が取り付けられる。救難タグ20には識別コードが付与されており、この識別コードにより救難タグ20が取り付けられた救難タグ装着対象物10の識別が可能になっている。救難タグ装着対象物10は、例えば、救命胴衣、救命ブイ、救命ボート等の救命具、ウエストバッグ、ジャケット、ジャンパー、レインウェア、リュックサック等の登山用品、人等であるが、これに限定されるものではない。
図2A、BおよびCにそれぞれ救命胴衣、救命ブイおよび救命ボートの例を示す。図2Aに示す救命胴衣11においては、人の首に掛けることができるようになっているチューブ状の本体11aの両端にバンド11b、11c、11dを介して腰に巻くベルト11eが取り付けられている。ベルト11eにはバックル11fが取り付けられている。本体11aのバンド11cに近い側の端部にはファスナー11gが設けられており、このファスナー11gを開けたところの本体11aの内部に防水性の円筒状のカプセル11hが収納されている。カプセル11hの内部に救難タグ20が収納されている。図示は省略するが、本体11aの内部には、本体11aの一端に取り付けられたタブを引っ張ることにより本体11aを空気で膨らませることができる機構が設けられている。図2Bに示す救命ブイ12においては、チューブ状の輪12aにファスナー12bが設けられており、このファスナー12bを開けたところの輪12aの内部に防水性の円筒状のカプセル12cが収納されている。カプセル12cの内部に救難タグ20が収納されている。図2Cに示す救命ボート13においては、底13aの上に開閉可能な防水性のボックス13bが設けられており、このボックス13bの内部に防水性の円筒状のカプセル13cが収納されている。カプセル13cの内部に救難タグ20が収納されている。救命ボート13の後端には船外機13dが取り付けられている。必要に応じて、カプセル11h、12c、13cの内部に収納された救難タグ20の電源のオン/オフをカプセル11h、12c、13cの外部に取り付けられたスイッチにより行うことができるように構成することができる。
図3AおよびBにそれぞれウエストバッグおよびリュックサックの例を示す。図3Aに示すウエストバッグ14においては、ベルト14aにバックル14bおよび財布や小物等を入れるためのバッグ14cに加えてバッグ14dが取り付けられており、このバッグ14dの内部に防水性のカプセル14eが収納されている。カプセル14eの内部に救難タグ20が収納されている。図3Bに示すリュックサック15においては、ファスナー15aで開閉可能なポケットに防水性のカプセル15bが収納されている。カプセル15bの内部に救難タグ20が収納されている。必要に応じて、カプセル14e、15bの内部に収納された救難タグ20の電源のオン/オフをカプセル14e、15bの外部に取り付けられたスイッチにより行うことができるように構成することができる。
後に詳述するが、救難タグ20はGPS受信機、処理装置(プロセッサ)および通信装置を有し、全球測位衛星システムを構成する複数のGPS衛星30から送られるGPS信号をGPS受信機により受信し、処理装置においてこのGPS信号より救難タグ装着対象物10の位置情報(緯度、経度)を取得し、こうして取得した位置情報を通信装置により外部に送信する。こうして救難タグ20の通信装置から送信された位置情報は中継機40により受信され、内蔵のメモリ(図示せず)に記録される。中継機40は位置情報の受信、記録および送信の機能を有する限り、基本的にはどのようなものであってもよい。中継機40は、水上では漁船、旅客船、遊覧船、水産庁の監視船等の各種の船舶に搭載された無線設備を用いることができ、あるいは別途設けることもでき、陸上では各種の公設または私設の施設(漁業共同組合、山岳施設等)内に設けられた無線設備を用いることができ、あるいは別途設けることもできる。中継機40は、山では山小屋、避難所等に設けられる。中継機40のメモリに記録された位置情報は、無線または有線により捜索救助機関50に送信され、捜索救助機関50に備えられた捜索救助用の画像表示装置により受信される。そして、この画像表示装置の画面に捜索エリアの画像および捜索エリア内の救難タグ装着対象物10の位置が表示されるようになっている。この画像表示装置の画面には、必要に応じて、インターネットで提供される地図情報を表示することができ、この地図情報に救難タグ装着対象物10の位置が表示されるようにしてもよい。捜索救助機関50は、海上では漁業共同組合、海上保安庁、警察等、陸上では警察等である。GPS衛星30としては、最も好適には、最大で数cmの測位精度を得ることができる準天頂衛星システム「みちびき」の準天頂衛星が用いられるが、これに限定されるものではない。
図4は救難タグ20の詳細を示す。図4に示すように、この救難タグ20は、基板21上にGPS受信機22、処理装置23、通信装置24、電源を構成する電池25、電源レギュレータ26および電源レギュレータ27を有する。図示は省略するが、GPS受信機22にはアンテナが設けられ(あるいは接続され)、このアンテナによりGPS信号を受信することができるようになっている。また、図示は省略するが、通信装置24にもアンテナが設けられ(あるいは接続され)、このアンテナにより信号を送信することができるようになっている。処理装置23のGND端子、電源レギュレータ26のGND端子および電源レギュレータ27のGND端子は電池25の負極と接続され、処理装置23のVCC端子、電源レギュレータ26のVCC端子および電源レギュレータ27のVCC端子はスイッチ28を介して電池25の正極と接続されている。スイッチ28が閉じた状態では、処理装置23のGND端子およびVCC端子間、電源レギュレータ26のGND端子およびVCC端子間、電源レギュレータ27のGND端子およびVCC端子間に電池25の電圧がそれぞれ印加される。GPS受信機22のGND端子およびVCC端子間には、電源レギュレータ26により昇圧もしくは降圧および安定化された電圧が印加されるようになっている。また、通信装置23のGND端子およびVCC端子間には、電源レギュレータ27により昇圧もしくは降圧および安定化された電圧が印加されるようになっている。電源レギュレータ26および電源レギュレータ27への電力の供給、従ってGPS受信機22および通信装置24への電力の供給は、処理装置23のCTR端子から送出される制御信号により制御されるようになっている。また、電池25に接続されたスイッチ28のオン/オフは、ボタン等によりマニュアルで行うことができる。なお、スイッチ28を省略し、電池25を取り付けると同時に電源が入るようにしてもよい。処理装置23のCTR端子から送出される制御信号により制御されるようになっている。この制御方法の詳細は後述する。GPS受信機22のデータ入出力端子RDおよびSDはそれぞれ処理装置23のデータ入出力端子RDおよびSDと接続されている。通信装置24のデータ入出力端子RDおよびSDはそれぞれ処理装置23のデータ入出力端子RDおよびSDと接続されている。電池25は、一つであっても複数であってもよく、一次電池であっても二次電池であってもよく、救難タグ20の用途等によって必要に応じて選ばれる。救難タグ20の軽量性を重視する用途では、電池25として例えば単三電池3本または4本が用いられ、救難タグ20が低消費電力であることによりこの場合でも長期間に亘って救難タグ20を使用し続けることができる。
[遭難者捜索救助支援システムの動作方法]
救難タグ装着対象物10に救難タグ20を装着する。救難タグ20の装着方法は、例えば図2および図3に示す方法等、救難タグ装着対象物10に応じて適宜選択される。
救難タグ20(本体)の電源のオン/オフは、遭難者が自ら行ってもよいし、自動的に行われるようにしてもよい。例えば、救難タグ20が装着された救命胴衣を付けた遭難者が海上で船舶から投げ出された場合、遭難者がスイッチ28を閉じて救難タグ20(本体)の電源をオンとする。あるいは、救難タグ20が装着された救命胴衣を付けた遭難者が海上で船舶から投げ出された時の衝撃を加速度センサー等により検出し、その検出信号によりスイッチ28をオンとしたり、救命胴衣が海水に接触した時の化学反応を利用して着水を検知し、その検出信号によりスイッチ28をオンとしたりすることにより、自動的にスイッチ28をオンとすることができる。こうしてスイッチ28がオンとなることによって、処理装置23がオンとなり、遭難者捜索救助支援システムの動作が開始する。具体的には、処理装置23のCTR端子から送出される制御信号により、GPS受信機22および通信装置24の電源のオン/オフを制御する。
GPS受信機22、処理装置23および通信装置24の電源のオン/オフのタイミングを図5に示す。図5に示すように、時刻t1 に電源をオンとする。時刻t1 から10ミリ秒以内、好適には例えば5ミリ秒以内の時刻t2 にコールドスタートの状態でGPS受信機22をオンとして計測を開始する。計測を開始するとGPS信号が取得される。取得されたGPS信号は処理装置23に送られ、救難タグ装着対象物10の位置情報が求められる。GPS信号より最初の位置情報を取得した直後の時刻t3 にGPS受信機22をオフとする。時刻t3 に通信装置24をオンとして処理装置23により取得された位置情報を通信装置24から送信する。時刻t3 から5秒以内の時刻t5 に通信装置24をオフとする。時刻t5 から10ミリ秒以内、好適には例えば5ミリ秒以内の時刻t6 にスリープ状態としてこのスリープ状態を時刻t7 まで1秒以上、好適には1分以上継続する。そして、時刻t1 から時刻t6 までの時間を10分以内、好適には5分以内、より好適には1分以内とし、時刻t1 から時刻t7 までの動作を繰り返し行う。これらの動作は、処理装置23に組み込まれた所定のプログラムに従って実行される。時刻t1 から時刻t7 までの時間の一例を挙げると、15分以上25分以下、例えば20分であるが、これに限定されるものではない。
上述のようにして通信装置24から送信された救難タグ装着対象物10の位置情報は中継機40に送信され、この中継機40から捜索救助機関50の画像表示装置に送信される。救難タグ装着対象物10の位置情報は複数の中継機40を経由することもあるし、中継機40から更に、インターネット等の電気通信回線(無線または有線)を経由することもある。あるいは、救難タグ装着対象物10の位置情報は、通信装置24から直接、捜索救助機関50の画像表示装置に送信されるようにしてもよい。こうして捜索救助機関50の画像表示装置に受信された位置情報は、この画像表示装置の画面に表示された捜索エリアの画像上に表示される。必要に応じて、特定の救難タグ装着対象物10に注目し、捜索エリア内におけるこの救難タグ装着対象物10の移動軌跡を調べることができる。好適には、地図上に救難タグ装着対象物10の位置を示す。そして、この救難タグ装着対象物10の位置情報を捜索救助隊60に送信する。捜索救助隊60は、船舶に乗船し、ヘリコプター等の航空機に搭乗し、あるいは自動車に乗車している。
特に救難タグ装着対象物10が救命胴衣、救命ブイ、救命ボート等である場合には、救難タグ20が装着された救命胴衣を付けた遭難者が海上にいる時あるいは救難タグ20が装着された救命ブイや救命ボートに遭難者がつかまり、あるいは乗船している時、風向、風速等の気象条件や海流の方向、流速等により、最初に救難タグ20の通信装置24から送信され、中継機40を介して捜索救助機関50に送信された救難タグ装着対象物10の位置からずれてしまう。そこで、捜索救助機関50において、救難タグ20の通信装置24から送信される位置情報が船舶の中継機40に受信された時刻と、当該時刻における遭難現場付近の気象情報(風向、風速等)および海水の流れの情報(潮の流れの向き、流速等)とから当該時刻以降の任意の時刻における救難タグ装着対象物10の位置をコンピュータシミュレーションにより予測する。そして、こうして予測した救難タグ装着対象物10の最新の位置情報を捜索救助隊60に送信する。こうすることで、遭難者の捜索に要する時間の短縮を図ることができ、ひいては迅速に遭難者の救助を行うことができる。
図6は、救難タグ20が装着された救命胴衣を付けた遭難者70が海上を漂流している場合を想定した遭難者捜索救助支援システムの全体構成の一例を示す。図6に示すように、この例では、GPS衛星30として準天頂衛星システム「みちびき」の準天頂衛星が用いられる。この準天頂衛星から送られる緯度経度情報が救難タグ20のGPS受信機22により受信される。遭難者70が付けている救命胴衣に装着された救難タグ20から送信される電波の到達範囲を円で示す。海上を捜索用の巡視船80が航行し、上空を捜索用のヘリコプター90が飛行している。巡視船80が電波の到達範囲に入ると、遭難者70が付けている救命胴衣に装着された救難タグ20から送信される緯度経度情報が巡視船80に搭載されているアンテナおよび受信端末により受信され、ディスプレイに表示される。同様に、ヘリコプター90が電波の到達範囲に入ると、遭難者70が付けている救命胴衣に装着された救難タグ20から送信される緯度経度情報がヘリコプター90に搭載されているアンテナおよび受信端末により受信され、ディスプレイに表示される。こうして救命胴衣、従って遭難者70の位置が判明するため、巡視船80およびヘリコプター90がその位置に急行することができ、遭難者70を迅速に救助することができる。
一例として、海に落ちた遭難者の捜索救助を行う場合の遭難者捜索救助支援システムの具体例について説明する。
1.船舶の乗員等が救難タグ20に加えて塩分センサーを装着した救命胴衣を付ける。救難タグ20には、後述のように、通信装置23から信号が送信されていることを確認するための信号送信確認ボタン、スイッチ28を強制的に閉じる送信ボタン、遭難者が生存していることを知らせる生存信号ボタン、GPS受信機22に送信されるメッセージを流すスピーカー等が接続されている。
2.乗員等が海に落ちると、救命胴衣に装着した塩分センサーが海水に接触して塩分を感知することにより塩分センサーから電気的出力が発生し、この電気的出力が送られることで救難タグ20のスイッチ28が閉じ、時刻t1 〜t7 の動作が開始する。こうしてGPS受信機22が位置情報(緯度経度情報)を取得し、この位置情報が救助信号(あるいは救難信号)とともに通信装置24から送信される。何らかの理由により位置情報等が通信装置24から送信されない場合に備えて救難タグ20のスイッチ28を強制的に閉じる送信ボタンが救難タグ20に取り付けられているので、位置情報等が通信装置24から送信されない場合はこの送信ボタンを押す。
3.通信装置24から送信される位置情報等は船舶側のコンピュータ(パーソナルコンピュータ)やスマートフォンに送られ、ブザー等により通知される。
4.位置情報等が送信されたコンピュータやスマートフォンのディスプレイに遭難者(乗員等)の位置情報等をグーグルマップに表示する。グーグルマップに表示する位置情報等は緯度、経度、乗組員番号等を含む。
5.コンピュータやスマートフォンから救助信号を確認したことを救難タグ20のGPS受信機22にメッセージ送信する。メッセージ送信は、例えば、救助信号を受信したこと、これから捜索船が救助に向かうこと、何分後に現場に到着予定であること等である。
6.遭難者の捜索に時間がかかっている場合は救難タグ20のGPS受信機22に捜索船から安否確認メッセージを送り、スピーカーから流すことで安否確認を行う。
7.安否確認メッセージを聴いた遭難者は生存信号ボタンを押す。生存信号ボタンが押されると、生存信号がコンピュータやスマートフォンに送られ、遭難者が生存していることが伝えられる。
〈実施例1〉
基板21としての76mm×50mm程度の大きさの長方形のプリント基板上に、GPS受信機22として市販のGPS受信機(GPS−125A−077相当品)、処理装置23としてオープンソースハードウェアのArduino Pro Mini 3.3V(消費電流約25mA)、通信装置24として市販の工事設計認証取得済み920MHz帯LoRaモジュールES920LR(消費電流約40mA)、電源レギュレータ26、27として市販の出力電圧3.3VのレギュレータNJM2884U1−33、電池25として市販の公称電圧1.5Vの単三電池3本を直列に接続した出力電圧4.5Vのものを搭載したものを救難タグ20として用いた。この出力電圧4.5VをNJM2884U1−33により3.3Vに降圧した。電池容量は約2000mAhと考えられる。この救難タグの重量は、プラスチック製の保護カバーを含めて約110gであり、例えば救命胴衣に取り付けても重量増加は少ないため、救命胴衣を装着する人に負担は生じないと考えられる。図5に示す電源タイムチャートにおいて、時刻t1 でコールドスタートの状態で電源をオンとした。t1 からt2 までの時間は数マイクロ秒、t2 からt3 までの時間は1〜50秒、時刻t3 で計測を終了し、通信装置23をオンとした。時刻t3 から1ミリ秒後に通信を開始し、送信できた場合もできなかった場合も通信開始後1秒以内に通信を終了し、時刻t3 から数ミリ秒後の時刻t5 に通信装置24をオフとした。その後、時刻t5 から1マイクロ秒後の時刻t6 から管理タグはスリープ状態となる。時刻t7 で電源を再度オンとした。加速試験を行うために、t1 からt7 までの時間を約30〜90秒(平均1分程度)とし、t1 からt7 までの処理を繰り返し行った。
この遭難者捜索救助支援システムの性能確認テストのためにこの遭難者捜索救助支援システムにより実際に位置情報を取得した。具体的には、戸建て住宅の3階のベランダに中継機を設置し、上記の救難タグ20を体に装着した被験者が戸建て住宅から近くの複数施設(建屋)を有する広い公園内を自由に歩きまわり、時には戸建て住宅から1km以上離れ、再び戸建て住宅に戻るまで、位置情報を取得した。その結果、被験者の歩行に伴う位置情報の変化を逐次得ることができ、移動軌跡を正確に求めることができた。
上記の加速度試験の結果より、電池が切れて救難タグ20を使用することができなくなるまでの期間を1時間に1回、位置情報を取得・送信したとして計算すると約200日となる。救難タグ20を装着して救難タグ20の動作を開始してから、途中で電池交換を行うことなく、単三電池3本で約200日間もの長期間にわたって救難タグ20を使用することができることは、従来の一般的な管理タグでは精々、1ヶ月以内の期間しか使用することができないことを考えると、極めて驚くべきことである。
〈実施例2〉
実施例1と同様な救難タグ20を用いた。防水性を得るためにこの救助タグ20をプラスチック製のカプセルに収納し、このカプセルを市販の救命胴衣に装着した。管理タグ120の電源タイムチャートは実施例1と同様である。ただし、t1 からt7 までの時間は20分とした。
長崎県の海において、上記の救命胴衣を付けたダイバーに船から海に落ちてもらった。その結果、救命胴衣に装着された救難タグ20によりダイバーの海上の位置情報を実用的な範囲でニアタイムで取得することができ、この遭難者捜索救助支援システムの有効性が検証された。
この第1の実施の形態による遭難者捜索救助支援システムによれば、次のような種々の利点を得ることができる。すなわち、救難タグ装着対象物10に救難タグ20を装着するだけで捜索エリア内の位置情報を実用的な範囲でニアタイムで取得することができる。このため、救難タグ装着対象物10の位置や動き等を十分に実用的な範囲で把握することができ、救難タグ装着対象物10が装着された遭難者あるいは救難タグ装着対象物10が装着された救命ブイ、救命ボート等につかまり、あるいは乗船した遭難者を迅速に捜索することができ、それによって迅速に救助を行うことができる。また、救難タグ20の消費電力の大幅な低減を図ることができるため、電池25として容量が小さいものを用いても長期間に亘って救難タグ20を使用し続けることができ、電池25の交換頻度の大幅な低減を図ることができる。また、電池25として容量が小さいものを用いることができるので、電池25の軽量化を図ることができ、ひいては救難タグ20の軽量化を図ることができる。このため、人が着用する救命胴衣、ウエストバッグ、リュックサック等に、あるいは人の首に掛けるネックレス等に救難タグ20を取り付けても、負担は殆どなく、無用のストレスを与えるおそれがない。
〈第2の実施の形態〉
[遠隔管理システム]
図7は第2の実施の形態による遠隔管理システムの全体構成を示す。
図7に示すように、この遠隔管理システムにおいては、被管理対象物110に管理タグ120が取り付けられる。被管理対象物110は一つまたは複数あり、複数の場合はそれぞれの被管理対象物110に一つの管理タグ120が取り付けられる。各管理タグ120には識別コードが付与されており、この識別コードにより管理タグ120が取り付けられた被管理対象物110の識別が可能になっている。被管理対象物110は、牛等の家畜に代表される生物や各種の物品等である。被管理対象物110に管理タグ120を取り付ける位置や取り付け方は被管理対象物110の種類、性状等に応じて適宜選択することができる。例えば、被管理対象物110が牛等の家畜である場合、管理タグ120は好適には家畜の首にはめられる首輪に取り付けられ、首輪に別体として取り付けられる場合もあるし首輪に一体に設けられる場合もある。管理タグ120は救難タグ20と同様に構成されている。すなわち、管理タグ120はGPS受信機、処理装置(プロセッサ)および通信装置を有し、全球測位衛星システムを構成する複数のGPS衛星130から送られるGPS信号をGPS受信機により受信し、処理装置においてこのGPS信号より被管理対象物110の位置データを取得し、こうして取得した位置データを通信装置により外部に送信する。こうして管理タグ120の通信装置から送信された位置データは中継機140により受信され、内蔵のメモリ(図示せず)に記録される。中継機140は、管理エリア全体をカバーするように一つまたは複数設置する。そして、中継機140のメモリに記録された位置データは、無線または有線により管理センター150に送信され、管理センター150に備えられた管理用の画像表示装置により受信される。そして、この画像表示装置の画面に管理エリアの画像および管理エリア内の被管理対象物110の位置が表示されるようになっている。GPS衛星130としては、最も好適には、最大で数cmの測位精度を得ることができる準天頂衛星システム「みちびき」の準天頂衛星が用いられるが、これに限定されるものではない。
[遠隔管理システムの動作方法]
遠隔管理を行う一つまたは複数の被管理対象物110に管理タグ120を装着する。例えば、被管理対象物110が牛等の家畜である場合には、その首にはめる首輪等に管理タグ120を取り付ける。管理タグ120の装着方法は特に限定されないが、例えば、家畜の首にはめた時の首輪の上部あるいは下部にバンド等により管理タグ120を固定する。被管理対象物110が物品である場合には、その物品に直接、あるいはこの物品を梱包した包装箱に管理タグ120を取り付ける。あるいは、物品を梱包した包装箱内に管理タグ120を入れるだけでもよい。
スイッチ28を閉じて管理タグ120(本体)の電源をオンとする。それによって、処理装置23がオンとなり、遠隔管理システムの動作が開始する。具体的には、処理装置23のCTR端子から送出される制御信号により、GPS受信機22および通信装置24の電源のオン/オフを制御する。
GPS受信機22、処理装置23および通信装置24の電源のオン/オフのタイミングは第1の実施の形態において説明した通りである(図5参照)。例えば、被管理対象物110が放牧されている牛である場合、時刻t1 から時刻t7 までの時間は例えば25分以上35分以下、例えば30分であるが、これに限定されるものではない。
上述のようにして通信装置24から送信された被管理対象物110の位置データは中継機140に送信され、この中継機140から管理センター150の画像表示装置に送信される。被管理対象物110の位置データは複数の中継機140を経由することもあるし、中継機140から更に、インターネット等の電気通信回線(無線または有線)を経由することもある。あるいは、被管理対象物110の位置データは、通信装置24から直接、管理センター150の画像表示装置に送信されるようにしてもよい。こうして管理センター150の画像表示装置に受信された位置データは、この画像表示装置の画面に表示された管理エリアの画像上に表示される。必要に応じて、特定の被管理対象物110に注目し、管理エリア内におけるこの被管理対象物110の移動軌跡を調べることができる。好適には、地図上に被管理対象物110の位置を示す。
図8は、牧場において、100頭の牛の首輪に上記の管理タグを取り付けて放牧を行う場合に、この遠隔管理システムにより牛の位置データ(経度、緯度)を取得する例を示す。図8中、+印が個々の牛の位置を示す。図9は、100頭の牛から選んだ1頭の牛の移動軌跡を1日のある時間内に追跡する場合の例を示す。好適には、地図上に牛の位置を示す。
〈実施例3〉
実施例1において用いた救助タグ20を管理タグ120として用いた。この管理タグ120の重量は、プラスチック製の保護カバーを含めて約110gであり、牛の首輪に取り付けても重量増加は少ないため、首輪を牛の首にはめても牛に負担は生じないと考えられる。管理タグ120の電源タイムチャートは実施例1と同様である。加速試験を行うために、t1 からt7 までの時間を約30〜90秒(平均1分程度)とし、t1 からt7 までの処理を繰り返し行った。
この遠隔管理システムの牧場主や酪農家等のユーザの間では数時間に1回程度の頻度で位置データを取得することができれば十分に実用的であると考えられていることから、上記の加速度試験の結果より、電池が切れて管理タグ120を使用することができなくなるまでの期間を1時間に1回、位置データを取得・送信したとして計算すると約200日となる。管理タグ120を装着して管理を行い始めてから、途中で電池交換を行うことなく、単三電池3本で約200日間もの長期間にわたって管理タグ120を使用することができることは、従来の管理タグでは精々、1ヶ月以内の期間しか使用することができないことを考えると、極めて驚くべきことである。
〈実施例4〉
実施例1において用いた救助タグ20を管理タグ120として用いた。管理タグ120の電源タイムチャートは実施例1と同様である。ただし、t1 からt7 までの時間は、1分(加速試験を行う場合)と20分との二種類とした。
北海道根室市の牧場において、この管理タグ120を10頭の牛の首輪に取り付けて放牧を行い、この遠隔管理システムにより牛の位置データ(経度、緯度)を取得した。その結果、牛の位置データをニアタイムで正確に取得することができた。管理タグ120が電池切れで使用不可となるまでの時間は、t1 からt7 までの時間が1分の場合は3日、t1 からt7 までの時間が20分の場合は60日であった。
この第2の実施の形態による遠隔管理システムによれば、次のような種々の利点を得ることができる。すなわち、遠隔管理を行う被管理対象物110に管理タグ120を装着するだけで管理エリア内の位置データを実用的な範囲でニアタイムで取得することができる。このため、被管理対象物110の位置や動き等を十分に実用的な範囲で把握することができ、被管理対象物110を良好に管理することができる。また、管理タグ120の消費電力の大幅な低減を図ることができるため、電池25として容量が小さいものを用いても長期間に亘って管理タグ120を使用し続けることができ、電池25の交換頻度の大幅な低減を図ることができる。また、電池25として容量が小さいものを用いることができるので、電池25の軽量化を図ることができ、ひいては管理タグ120の軽量化を図ることができる。このため、例えば牛等の家畜の首輪に管理タグ120を取り付けても、首輪の重量増加が少ないため、家畜に生じる負担は殆どなく、無用のストレスを与えるおそれがない。また、被管理対象物110がコンテナ等であれば、例えば1日1回、位置データを取得・送信するだけでも十分に実用的なケースもあり、より長期間、電池25の交換の手間を省くことができるため、ランニングコスト、取り分け人件費の削減に寄与することが可能となる。
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構成、構造、形状等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構成、構造、形状等を用いてもよい。
また、上述の実施の形態においては、スイッチ28により電源のオン/オフを行うことができるように構成されているが、スイッチ28を省略し、電池25と処理装置23、通信装置24および電源レギュレータ26、27とが常時接続されるようにしてもよい。
10…救難タグ装着対象物、20…救難タグ、21…基板、22…GPS受信機、23…処理装置、24…通信装置、25…電池、26、27…電源レギュレータ、28…スイッチ、30…GPS衛星、40…中継機、50…捜索救助機関、60…捜索救助隊、70…遭難者、80…巡視船、90…ヘリコプター、110…被管理対象物、120…管理タグ、130…GPS衛星、140…中継機、150…管理センター

Claims (10)

  1. 救難タグ装着対象物に装着される、GPS受信機と、通信装置と、上記GPS受信機および上記通信装置の動作を制御し、上記GPS受信機で受信されるGPS信号より上記救難タグ装着対象物の位置情報を取得し、この位置情報を上記通信装置から外部に送信する処理装置と、上記GPS受信機、上記通信装置および上記処理装置に電力を供給する、電池からなる電源とを有し、上記電源のオン/オフにより上記処理装置をオン/オフし、上記処理装置からの制御信号により上記GPS受信機および上記通信装置のオン/オフを制御する救難タグを有し、
    上記救難タグは、時刻t1 に上記電源をオンとし、次いで上記時刻t1 から5マイクロ秒以内の時刻t2 にコールドスタートの状態で上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置情報を取得した後であって上記時刻t2 から1秒以上50秒以内の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとし、上記時刻t3 に上記通信装置をオンとして通信を開始し、上記位置情報を上記通信装置から送信できた場合もできなかった場合も通信開始後1秒以内に通信を終了して上記時刻t3 から4秒以内の時刻t5 に上記通信装置をオフとし、次いで上記時刻t5 から1秒以内の時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を上記時刻t6 から1分以上の時刻t7 まで継続し、上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を1分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行うように構成されている遭難者捜索救助支援システム。
  2. 上記救難タグの上記通信装置から送信される位置情報が遭難現場付近の中継機に受信される請求項1記載の遭難者捜索救助支援システム。
  3. 上記救難タグの上記通信装置から送信される位置情報が上記中継機に受信された後、上記中継機から当該位置情報が遭難者の捜索救助を行う捜索救助機関に送信される請求項2記載の遭難者捜索救助支援システム。
  4. 上記遭難者が水上の遭難者である場合において、上記捜索救助機関が、上記救難タグの上記通信装置から送信される位置情報が遭難現場付近の船舶に搭載された上記中継機に受信された時刻と、当該時刻における遭難現場付近の気象情報および水の流れの情報とから当該時刻以降の任意の時刻における上記救難タグ装着対象物の位置をコンピュータシミュレーションにより予測し、捜索救助隊に送信する請求項3記載の遭難者捜索救助支援システム。
  5. 上記救難タグは容器に収納され、当該容器が上記救難タグ装着対象物に内蔵され、または、上記救難タグ装着対象物に取り付けられている請求項1〜4のいずれか一項記載の遭難者捜索救助支援システム。
  6. 上記救難タグ装着対象物は救命具、登山用品または遭難者である請求項1〜5のいずれか一項記載の遭難者捜索救助支援システム。
  7. 上記救命具は救命胴衣、救命ブイまたは救命ボートであり、上記登山用品はウエストバッグ、ジャケット、ジャンパー、レインウェアまたはリュックサックである請求項6記載の遭難者捜索救助支援システム。
  8. 救難タグ装着対象物に、GPS受信機と、通信装置と、上記GPS受信機および上記通信装置の動作を制御し、上記GPS受信機で受信されるGPS信号より上記救難タグ装着対象物の位置情報を取得し、この位置情報を上記通信装置から外部に送信する処理装置と、上記GPS受信機、上記通信装置および上記処理装置に電力を供給する、電池からなる電源とを有し、上記電源のオン/オフにより上記処理装置をオン/オフし、上記処理装置からの制御信号により上記GPS受信機および上記通信装置のオン/オフを制御する救難タグを装着した状態で、時刻t1 に上記電源をオンとするステップと、
    上記時刻t1 から5マイクロ秒以内の時刻t2 にコールドスタートの状態で上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置情報を取得した後であって上記時刻t2 から1秒以上50秒以内の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとするステップと、
    上記時刻t3 に上記通信装置をオンとして通信を開始し、上記位置情報を上記通信装置から送信できた場合もできなかった場合も通信開始後1秒以内に通信を終了して上記時刻t3 から4秒以内の時刻t5 に上記通信装置をオフとするステップと、
    上記時刻t5 から1秒以内の時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を上記時刻t6 から1分以上の時刻t7 まで継続するステップとを有し、
    上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を1分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行う遭難者捜索救助支援方法。
  9. 救難タグ装着対象物に装着される、GPS受信機と、通信装置と、上記GPS受信機および上記通信装置の動作を制御し、上記GPS受信機で受信されるGPS信号より上記救難タグ装着対象物の位置情報を取得し、この位置情報を上記通信装置から外部に送信する処理装置と、上記GPS受信機、上記通信装置および上記処理装置に電力を供給する、電池からなる電源とを有し、上記電源のオン/オフにより上記処理装置をオン/オフし、上記処理装置からの制御信号により上記GPS受信機および上記通信装置のオン/オフを制御する救難タグであって、
    時刻t1 に上記電源をオンとし、次いで上記時刻t1 から5マイクロ秒以内の時刻t2 にコールドスタートの状態で上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置情報を取得した後であって上記時刻t2 から1秒以上50秒以内の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとし、上記時刻t3 に上記通信装置をオンとして通信を開始し、上記位置情報を上記通信装置から送信できた場合もできなかった場合も通信開始後1秒以内に通信を終了して上記時刻t3 から4秒以内の時刻t5 に上記通信装置をオフとし、次いで上記時刻t5 から1秒以内の時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を上記時刻t6 から1分以上の時刻t7 まで継続し、上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を1分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行うように構成されていることを特徴とする救難タグ。
  10. GPS受信機と、通信装置と、上記GPS受信機および上記通信装置の動作を制御し、上記GPS受信機で受信されるGPS信号より救命具の位置情報を取得し、この位置情報を上記通信装置から外部に送信する処理装置と、上記GPS受信機、上記通信装置および上記処理装置に電力を供給する、電池からなる電源とを有し、上記電源のオン/オフにより上記処理装置をオン/オフし、上記処理装置からの制御信号により上記GPS受信機および上記通信装置のオン/オフを制御する救難タグを有し、
    上記救難タグは、時刻t1 に上記電源をオンとし、次いで上記時刻t1 から5マイクロ秒以内の時刻t2 にコールドスタートの状態で上記GPS受信機をオンとして計測を開始し、上記GPS信号より最初の位置情報を取得した後であって上記時刻t2 から1秒以上50秒以内の時刻t3 に上記GPS受信機をオフとし、上記時刻t3 に上記通信装置をオンとして通信を開始し、上記位置情報を上記通信装置から送信できた場合もできなかった場合も通信開始後1秒以内に通信を終了して上記時刻t3 から4秒以内の時刻t5 に上記通信装置をオフとし、次いで上記時刻t5 から1秒以内の時刻t6 に上記電源をスリープ状態としてこのスリープ状態を上記時刻t6 から1分以上の時刻t7 まで継続し、上記時刻t1 から上記時刻t6 までの時間を1分以内とし、上記時刻t1 から上記時刻t7 までの動作を繰り返し行うように構成されている救命具。
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