JP6789093B2 - 支柱の補強方法および加熱システム - Google Patents

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Description

本発明は、リブ等の障害物を含む支柱を補強する補強方法および加熱システムに関する。
近年、道路附属物である照明柱や標識柱の老朽化対策の必要性が唱えられている。
これらの金属管柱には、その基礎構造として、基礎コンクリート内に埋込されたものや、ベースプレート構造によって基礎コンクリートにボルト止めされたものがある。
例えば、特許文献1には、支柱の防錆処理、防食処理を行う補強方法として、繊維強化プリプレグを支柱に巻回させて樹脂を硬化させる現場硬化軟質炭素繊維強化プリプレグおよび炭素繊維強化プラスチック板による構築物強化方法について開示されている。
特開平1−197532号公報 特開2000−18473号公報
しかしながら、上記従来の支柱の補強方法では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された支柱の補強方法では、支柱の外周面に設けられたリブ等の障害物について何ら考慮されていない。
よって、貼り付けられた炭素繊維強化プリプレグに含まれる樹脂を硬化させるために、通常のバンドヒータや熱風発生機を用いて加熱すると、支柱底部、鉄製リブ、または地盤に熱が移動して、樹脂に対して均一な加熱を行うことができず、樹脂の硬化不良が発生するおそれがある。
特に、リブ等の障害物の周辺は、効率よく熱を伝達して樹脂を硬化させることが困難である。
本発明の課題は、リブ等の障害物を含む支柱を補強する際に、支柱の外周部分を均一に加熱して、補強繊維に含浸させた樹脂を効果的に硬化させることが可能な支柱の補強方法および加熱システムを提供することにある。
第1の発明に係る支柱の補強方法は、支柱における障害物を含む外周部分を、補強繊維を用いて補強する方法であって、補強繊維配置工程と、加熱部材取付工程と、均熱板配置工程と、硬化工程と、を備えている。補強繊維配置工程は、支柱における外周部分に未硬化状態の樹脂を含浸させた補強繊維を配置する。加熱部材取付工程は、補強繊維の外周面に帯状の加熱部材を巻回させた状態で取り付ける。均熱板配置工程は、補強繊維の外周面と加熱部材の内周面との間に、障害物の形状に合わせて加熱部材の端部から突出するように、熱伝導率が200W/m・K以上であって加熱部材から付与された熱を補強繊維に伝達する均熱板を配置する。硬化工程は、加熱部材を駆動する加熱システムを駆動し、均熱板を介して、補強繊維に含浸させた樹脂に熱を付与して硬化させる。
ここでは、例えば、リブ等の障害物が外周面に配置された支柱の外周部分を補強するために、補強繊維に含浸させた樹脂に熱を付与して硬化させる際に、補強繊維の外周面に巻回される帯状の加熱部材と、補強繊維と加熱部材との間に設けられ加熱部材から付与される熱を樹脂に伝達する均熱板とを用いる。そして、均熱板は、支柱に設けられた障害物等の形状に合わせて、加熱部材の端部から突出するように配置されている。
ここで、補強対象となる支柱としては、例えば、道路端に設置される照明灯、信号機等の支柱が含まれる。そして、支柱における障害物としては、支柱の下端部に設けられたリブ、中程に設けられたボックス状の部分等、支柱の外周面から突出した部分等が含まれる。
また、加熱部材としては、例えば、内部にニクロム線(電熱線)を含む帯状のバンドヒータ等を用いることができる。
また、支柱の補強に用いられる補強繊維としては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アクリル繊維等を用いることができる。
さらに、補強繊維に含浸される樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル等の樹脂を用いることができる。
また、補強繊維の外周面と加熱部材の内周面との間に挿入される均熱板としては、例えば、銅やアルミニウム等のように、熱伝導率が200W/m・K以上の金属等の板材を用いることができる。
これにより、リブ等の障害物を含む支柱の外周面に配置された補強繊維に対して、加熱部材の端部から突出するように配置された均熱板を介して、ほぼ均一に熱を付与して、補強繊維に含浸された樹脂を硬化させることができる。
つまり、障害物の形状に合わせて加熱部材の端部から突出するように配置された均熱板によって、障害物の周辺に配置された樹脂に対して、加熱部材からの熱をほぼ均一に付与することができる。
この結果、リブ等の障害物を含む支柱を補強する際に、支柱の外周部分を均一に加熱して、補強繊維に含浸させた樹脂を効果的に硬化させ、硬化不良等の不具合の発生を抑制することができる。
第2の発明に係る支柱の補強方法は、第1の発明に係る支柱の補強方法であって、加熱部材取付工程では、仮固定具を用いて加熱部材を仮止めした後、締付け具を用いて加熱部材を補強繊維の外周面を巻回した状態で締め付ける。
ここでは、支柱の補強部分に取り付けられた補強繊維の外周面に加熱部材を取り付ける際に、仮固定具を用いて仮止めした後、締付け具によって加熱部材を締め付ける。
ここで、仮固定具としては、例えば、リング状の部材が回動自在に支持されるレバー部材を含む係合部と、リング状の部材が係止される被係合部とを有する、いわゆるパッチン錠等を用いることができる。
また、締付け具としては、例えば、加熱部材による補強繊維の外周面を締め付ける締付け力を調整可能なネジ等を用いることができる。
これにより、加熱部材取付工程では、加熱部材を仮止めして締付け力も緩めにしておくことで、均熱板配置工程において、補強繊維の外周面と加熱部材の内周面との間における所定の位置に、均熱板を挿入することができる。
よって、障害物の形状に合わせて、均熱板を所望の位置へ配置して、加熱部材から付与された熱を、補強繊維に含浸された樹脂に対して効果的に伝達して硬化させることができる。
第3の発明に係る支柱の補強方法は、第2の発明に係る支柱の補強方法であって、均熱板配置工程では、補強繊維の外周面と加熱部材の内周面との間に均熱板を挿入した後、締付け具を用いて加熱部材を補強繊維の外周面に向かって締め付ける。
ここでは、均熱板配置工程において、補強繊維の外周面と加熱部材の内周面との間に均熱板を挿入した後、締付け具によって締付け力を増加させる。
これにより、支柱の障害物に合わせて均熱板を配置した後、締付け具によって加熱部材の締付けを行うことができる。よって、均熱板を所望の位置へ配置した状態で、加熱部材を締め付けて固定することができる。
第4の発明に係る支柱の補強方法は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る支柱の補強方法であって、補強繊維配置工程の前に、支柱の外周面、あるいは補強繊維の内周面に、接着剤を塗布する接着剤塗布工程を、さらに備えている。
ここでは、補強繊維を支柱の外周面に配置する前段階として、支柱の外周面と補強繊維の内周面とを接着するための接着剤を塗布する。
ここで、塗布される接着剤としては、例えば、補強繊維配置工程において、垂れてしまうことのない粘度を有するエポキシ等の樹脂を用いることができる。
なお、塗布される接着剤は、支柱の外周面および補強繊維の内周面のずれか一方に塗布されていればよいが、双方の面に塗布されていてもよい。
これにより、補強繊維を支柱の外周面に貼り付ける際に接着剤の接着力を利用することができる。
第5の発明に係る支柱の補強方法は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る支柱の補強方法であって、均熱板は、加熱部材よりも大きい面積を有している。
ここでは、均熱板として、加熱部材よりも面積が大きい板材を用いている。
ここで、均熱板および加熱部材の面積とは、補強繊維の外周面に対して当接する面積を意味している。
これにより、加熱部材だけでは熱を均等に付与しにくいリブ等の障害物等の周囲に対しても、均熱板を介して均等に熱を伝達することができる。
第6の発明に係る支柱の補強方法は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る支柱の補強方法であって、均熱板は、加熱部材における熱発生部分に対応する部分から、熱発生部分に対応しない部分にまで延伸している。
ここでは、加熱部材における熱発生部分に対応する位置だけでなく、熱発生部分に対応していない位置にも延伸した均熱板を配置している。
ここで、加熱部材における熱発生部分としては、例えば、帯状の加熱部材に内蔵されたニクロム線等が配置された部分が含まれる。
これにより、加熱部材だけでは熱を均等に付与しにくいリブ等の障害物等の周囲に対しても、均熱板を介して均等に熱を伝達することができる。
第7の発明に係る支柱の補強方法は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る支柱の補強方法であって、均熱板は、支柱に含まれる障害物の形状に合わせて形成された切欠き部を有している。
ここでは、均熱板に、リブ等の障害物に合わせて形成された、単数または複数の切欠き部を設けている。
ここで、切欠き部とは、リブ等の障害物の形状に沿って形成された均熱板の加工部分を意味している。
これにより、加熱部材だけでは熱を均等に付与しにくいリブ等の障害物等の周囲に対しても、切欠き部が形成された均熱板を介して均等に熱を伝達することができる。
第8の発明に係る支柱の補強方法は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る支柱の補強方法であって、加熱部材は、複数に分割可能な状態で構成されている。
ここでは、帯状の加熱部材として、例えば、支柱に取り付けられる際に分割可能な分割構造を採用している。
ここで、加熱部材は、支柱の外周面に配置された補強繊維の外周面側から熱を付与するために、補強繊維の外周面に巻回される。
このとき、帯状の加熱部材を単数の部品として構成した場合には、補強繊維の外周面に巻回することが難しい場合がある。
これにより、加熱部材として複数に分割された構造を採用することで、補強繊維の外周面に対して、加熱部材を容易に装着することができる。
第9の発明に係る加熱システムは、支柱における障害物を含む外周部分を、補強繊維を用いて補強する際に、補強繊維に含浸された未硬化状態の樹脂を加熱して硬化させる加熱システムであって、加熱部材と、固定部と、均熱板と、を備えている。加熱部材は、発熱する。固定部は、支柱の外周面に加熱部材を巻回した状態で固定する。均熱板は、補強繊維の外周面と加熱部材の内周面との間に配置され、障害物の形状に合わせて加熱部材の端部から突出するとともに、熱伝導率が200W/m・K以上であって加熱部材から付与された熱を補強繊維に伝達する。
ここでは、例えば、リブ等の障害物が外周面に配置された支柱の外周部分を補強するために、補強繊維に含浸させた樹脂に熱を付与して硬化させるために用いられる加熱システムにおいて、補強繊維の外周面に巻回される加熱部材と、補強繊維と加熱部材との間に設けられ加熱部材から付与される熱を樹脂に伝達する均熱板とを用いる。そして、均熱板は、支柱に設けられた障害物等の形状に合わせて、加熱部材の端部から突出するように配置されている。
ここで、補強対象となる支柱としては、例えば、道路端に設置される照明灯、信号機等の支柱が含まれる。そして、支柱における障害物としては、支柱の下端部に設けられたリブ、中程に設けられたボックス状の部分等、支柱の外周面から突出した部分等が含まれる。
また、加熱部材としては、例えば、内部にニクロム線を含む帯状のバンドヒータ等を用いることができる。
また、支柱の補強に用いられる補強繊維としては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アクリル繊維等を用いることができる。
さらに、補強繊維に含浸される樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル等の樹脂を用いることができる。
また、補強繊維の外周面と加熱部材の内周面との間に挿入される均熱板としては、例えば、銅やアルミニウム等のように、熱伝導率が200W/m・K以上の金属等の板材を用いることができる。
これにより、リブ等の障害物を含む支柱の外周面に配置された補強繊維に対して、加熱部材の端部から突出するように配置された均熱板を介して、ほぼ均一に熱を付与して、補強繊維に含浸された樹脂を硬化させることができる。
つまり、障害物の形状に合わせて加熱部材の端部から突出するように配置された均熱板によって、障害物の周辺に配置された樹脂に対して、加熱部材からの熱をほぼ均一に付与することができる。
この結果、リブ等の障害物を含む支柱を補強する際に、支柱の外周部分を均一に加熱して、補強繊維に含浸させた樹脂を効果的に硬化させ、硬化不良等の不具合の発生を抑制することができる。
第10の発明に係る加熱システムは、第9の発明に係る加熱システムであって、均熱板は、加熱部材よりも大きい面積を有している。
ここでは、均熱板として、加熱部材よりも面積が大きい板材を用いている。
ここで、均熱板および加熱部材の面積とは、補強繊維の外周面に対して当接する面積を意味している。
これにより、加熱部材だけでは熱を均等に付与しにくいリブ等の障害物等の周囲に対しても、均熱板を介して均等に熱を伝達することができる。
第11の発明に係る加熱システムは、第9または第10の発明に係る加熱システムであって、均熱板は、加熱部材における熱発生部分に対応する部分から、熱発生部分に対応しない部分にまで延伸している。
ここでは、加熱部材における熱発生部分に対応する位置だけでなく、熱発生部分に対応していない位置にも延伸した均熱板を配置している。
ここで、加熱部材における熱発生部分としては、例えば、帯状の加熱部材に内蔵されたニクロム線等が配置された部分が含まれる。
これにより、加熱部材だけでは熱を均等に付与しにくいリブ等の障害物等の周囲に対しても、均熱板を介して均等に熱を伝達することができる。
第12の発明に係る加熱システムは、第9から第11の発明のいずれか1つに係る加熱システムであって、均熱板は、支柱に含まれる障害物の形状に合わせて形成された切欠き部を有している。
ここでは、均熱板に、リブ等の障害物に合わせて形成された、単数または複数の切欠き部を設けている。
ここで、切欠き部とは、リブ等の障害物の形状に沿って形成された均熱板の加工部分を意味している。
これにより、加熱部材だけでは熱を均等に付与しにくいリブ等の障害物等の周囲に対しても、切欠き部が形成された均熱板を介して均等に熱を伝達することができる。
第13の発明に係る加熱システムは、第9から第12の発明のいずれか1つに係る加熱システムであって、加熱部材は、複数に分割可能な状態で構成されている。
ここでは、帯状の加熱部材として、例えば、支柱に取り付けられる際に分割可能な分割構造を採用している。
ここで、加熱部材は、支柱の外周面に配置された補強繊維の外周面側から熱を付与するために、補強繊維の外周面に巻回される。
このとき、帯状の加熱部材を単数の部品として構成した場合には、補強繊維の外周面に巻回することが難しい場合がある。
これにより、加熱部材として複数に分割された構造を採用することで、補強繊維の外周面に対して、加熱部材を容易に装着することができる。
第14の発明に係る加熱システムは、第9から第13の発明のいずれか1つに係る加熱システムであって、固定部は、加熱部材を補強繊維の外周面において仮止めする仮固定具と、仮固定具によって仮止めされた状態の加熱部材を、補強繊維の外周面に向かって締め付ける締付け具と、を有している。
ここでは、補強繊維の外周面に巻回させた状態で加熱部材を取り付けるための固定部として、加熱部材を仮止めする仮固定具と、仮止めされた加熱部材を内径側へ締め付ける締付け具とを用いる。
ここで、仮固定具としては、例えば、リング状の部材が回動自在に支持されるレバー部材を含む係合部と、リング状の部材が係止される被係合部とを有する、いわゆるパッチン錠等を用いることができる。
また、締付け具としては、例えば、加熱部材による補強繊維の外周面を締め付ける締付け力を調整可能なネジ等を用いることができる。
これにより、加熱部材を取り付ける際に、加熱部材を仮止めして締付け力も緩めにしておくことで、均熱板を配置する工程において、補強繊維の外周面と加熱部材の内周面との間における所定の位置に、均熱板を挿入することができる。そして、均熱板を挿入した後、締付け具を用いて、加熱部材を補強繊維の外周面に向かって締めつけることができる。
よって、障害物の形状に合わせて、均熱板を所望の位置へ配置して、加熱部材から付与された熱を、補強繊維に含浸された樹脂に対して効果的に伝達して硬化させることができる。
本発明に係る支柱の補強方法によれば、リブ等の障害物を含む支柱を補強する際に、支柱の外周部分を均一に加熱して、補強繊維に含浸させた樹脂を効果的に硬化させることができる。
本発明の一実施形態に係る支柱の補強方法によって補強される支柱の構成を示す斜視図。 図1の支柱が地中に設置された状態を示す側面図。 図1の支柱を補強する補強繊維に含浸された樹脂を加熱するために、支柱に取り付けられた加熱システムの構成を示す側面図。 図3の加熱システムの平面図。 図3の加熱システムの構成を示すA−A線矢視断面図。 図3の加熱システムを示す側面図。 図6の加熱システムに含まれる固定バンドの構成を示す側面図。 図6の加熱システムに含まれる加熱部材の構成を示す側面図。 図6の加熱システムに含まれる均熱板の構成を示す側面図。 本発明の一実施形態に係る支柱の補強方法の流れを示すフローチャート。
本発明の一実施形態に係る支柱の補強方法および加熱システム10について、図1〜図10を用いて説明すれば以下の通りである。
本実施形態に係る支柱の補強方法は、図1に示す支柱50における所定箇所を補強するための方法であって、後述する加熱システム10を用いて実施される。
(補強対象となる支柱50の構造)
本実施形態において補強対象となる支柱50は、管状または柱状の構造物であって、例えば、照明柱および標識柱などの支柱構造物である。支柱50は、図1に示すように、円筒状の管柱部51と、4つのリブ52と、土台部53とを備えている。そして、支柱50は、図2に示すように、リブ52および土台部53を含む下端部分が、土やアスファルト中に埋められた状態で立設される。
なお、補強される支柱50は、既設のものであってもよいし、新設されるものであってもよい。また、補強対象が既設の支柱50である場合には、すでに外周面等に劣化が生じているものであってもよい。
既設の支柱50を補強対象とする場合には、地中に埋設された支柱50の下部を覆う土等を掘り起こして補強処理が行われる。
支柱50の材質としては、特に限定さるものではないが、金属、樹脂、およびモルタル硬化物などが挙げられる。
支柱50の断面形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、円および多角形をはじめ、あらゆる形状のものが含まれる。また、支柱50は、中実構造であってもよいし中空構造であってもよい。
本実施形態では、支柱50の補強構造体は、支柱50の長手方向における土等に埋められた下端部付近において、管柱部51の外周面51aの全周を、後述する樹脂が含浸された補強繊維20によって被覆されることで構成される。
管柱部51は、図1に示すように、金属等で形成された円筒状の構造物であって、外周面51aにおける下端部分に4つのリブ52が溶接によって接合されている。また、管柱部51の下端には、土台部53が溶接によって接合されている。
また、管柱部51は、図2に示すように、リブ52および土台部53を含む下端部分が地中に埋設されている。
4つのリブ52は、図1に示すように、管柱部51の外周面51aに対して略直角な方向に沿って突出するように、周方向において約90度間隔で設けられている。また、4つのリブ52は、溶接によって、土台部53と管柱部51の外周面51aとにそれぞれ接合されている。
ここで、これらの4つのリブ52は、後述する補強繊維20を貼り付けて固定する際の障害物となる。
また、4つのリブ52は、図2に示すように、支柱50が設置された状態において、地中に埋設される。
なお、リブ52の数、設置間隔等については、4つ、90度間隔に限定されるものではなく、例えば、6つ、60度間隔等で設けられていてもよい。
土台部53は、図1に示すように、支柱50をその下端部において支持するベースプレートであって、管柱部51の軸心方向に対して略垂直な方向に沿って配置されている。
そして、土台部53は、図2に示すように、支柱50が設置された状態において、リブ52とともに地中に埋設される。
そして、本実施形態の支柱50の補強方法では、管柱部51の外周面51aにおける、図2に示す地面GLに対応する部分付近に対して、補強繊維20を巻回させて含浸させた樹脂を硬化させることで、支柱50が補強される。
なお、埋設状態における管柱部51の外周面51aの地面GLに対応する部分周辺および地中に埋設されたリブ52の周辺は、劣化しやすいため、以下の加熱システム10を用いた補強方法によって補強される。
(加熱システム10の構成)
本実施形態の加熱システム10は、支柱50における所定の箇所を補強するために、本支柱50の補強方法において用いられ、管柱部51の外周面51aに巻回された補強繊維20に含浸された未硬化状態のマトリックス樹脂を加熱して硬化させる。
より具体的には、加熱システム10は、図3に示すように、埋設状態における管柱部51の外周面51aにおける地面GLに対応する部分から地中に埋設されたリブ52が設けられた部分にかけて巻回された補強繊維20に含浸されたマトリックス樹脂を加熱する。
本実施形態では、特に、支柱50の外周面51aにおけるリブ52等の障害物が設けられた部分を補強するために設けられた補強繊維20に含浸されたマトリックス樹脂を効果的に加熱して硬化させるために、以下のような構成を備えている。
なお、補強繊維20に含浸されるマトリックス樹脂としては、エポキシ樹脂、ジシアンジアミド(DICY-7)、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール2PHZ−PW、ポリメタクリル酸エステル系有機微粒子を用いることができる。
また、補強繊維20には、繊維素材として、ガラス繊維が含まれている。
加熱システム10は、図3および図4に示すように、固定バンド(固定部)11、角パイプ12、バンドヒータ(加熱部材)13、均熱板14を備えている。
(固定バンド11)
固定バンド(固定部)11は、円筒状の固定部材であって、2つ部品に分割可能な分割構造を有している。そして、固定バンド11は、内周側に配置されるバンドヒータ13等を固定するために、加熱システム10の最外周側に配置されている。そして、固定バンド11は、図5および図6に示すように、帯状の外周面に、パッチン錠(仮止め具)11aと、締付けネジ(締付け具)11bと、を有している。
パッチン錠11aは、図3に示すように、固定バンド11を補強繊維20の外周面に仮固定するために、支柱50の長手方向に沿って2つ設けられている。そして、パッチン錠11aは、リング状の部材が回動自在に支持されるレバー部材を含む係合部と、リング状の部材が係止される被係合部とを有している。
これにより、リング状の部材を被係合部に係止させてレバー部材を回動させることで、2つに分割された固定バンド11の一端を容易に連結することができる。
なお、パッチン錠11aは、一般的な構造であることから、ここでは詳細な説明を省略する。
締付けネジ11bは、図3および図7に示すように、固定バンド11の外周面におけるパッチン錠11aとは反対側に、支柱50の長手方向に沿って2つ設けられている。そして、締付けネジ11bは、螺合した状態で回転させることで、周方向に2分割された固定バンド11の周方向における隙間を調整する。
これにより、パッチン錠11aによって仮固定された状態の固定バンド11の内径を調整して、固定バンド11によってバンドヒータ13を締め付けることができる。
(角パイプ12)
角パイプ12は、図4に示すように、断面視において略四角形の中空パイプであって、固定バンド11の内周面に溶接によって接合されている。そして、角パイプ12は、支柱50の外周面51aにおける補強部分に貼り付けられた補強繊維20の外周面に巻回されたバンドヒータ13の外周面と、固定バンド11の内周面との間に挟まれる位置において、リブ52を避けるように、周方向において90度間隔で4つ設けられている。
これにより、固定バンド11の締付けネジ11bを回転させて締め付けていくと、角パイプ12を介して、外周面における4箇所からバンドヒータ13が内径側に押し付けられる。
また、4本の角パイプ12は、図3および図6に示すように、支柱50の長手方向において、固定バンド11よりも下方に向かって長く、バンドヒータ13の長さと略同等の長さを有している。
これにより、4本の角パイプ12を介して外周側から固定バンド11によって締め付けることで、支柱50の長手方向における固定バンド11の長さがバンドヒータ13の長さよりも短い場合でも、リブ52の部分を避けながら、固定バンド11の締付け力を、補強繊維20の下方まで充分に伝達することができる。
この結果、補強繊維20の外周面側から内径側に向かって、バンドヒータ13を全体的に押し付けることができる。
(バンドヒータ13)
バンドヒータ(加熱部材)13は、内部にニクロム線等の発熱部分を含む帯状の部材であって、図4に示すように、補強繊維20の外周面に巻回される。そして、バンドヒータ13は、補強繊維20の外周面に巻回された状態で、補強繊維20に含浸されたマトリックス樹脂を加熱して硬化させる。
なお、バンドヒータ13は、支柱50の周方向において2つに分割された構造を有しており、接着剤によって支柱50の外周面51aにおける補強部分を覆うように貼り付けられる。
また、バンドヒータ13は、図8に示すように、突出部13a、切欠き部13b、およびリード線13cを有している。
突出部13aは、図3に示すように、埋設状態における地面GL付近から、リブ52の部分を避けて、外周面51aにおけるリブ52との連結部分の周辺まで延伸した部分であって、切欠き部13bの両側に設けられている。そして、突出部13aは、リブ52の長さに相当する支柱50の外周面51aの部分に巻回された補強繊維20を加熱するために、支柱50の長手方向においてリブ52と同等の長さを有している。
切欠き部13bは、図3に示すように、支柱50の下端部に設けられたリブ52を避けるように、突出部13aの間に4つ形成されている。また、切欠き部13bは、突出部13aと同様に、支柱50の長手方向においてリブ52と同等の長さを有している。
リード線13cは、図5および図6に示すように、バンドヒータ13内のニクロム線等の加熱部分に電流を供給するために、バンドヒータ13の外周面に設けられた電極部分に接続されており、固定バンド11の外側へと導出されている。
(均熱板14)
均熱板14は、厚さtが0.3mmで熱伝導率が372W/m・Kの銅製の板材を用いて形成されている。そして、均熱板14は、バンドヒータ13において発生させた熱を、補強繊維20に含浸されたマトリックス樹脂に対して伝達するために、図4に示すように、バンドヒータ13の内周面と補強繊維20の外周面との間に設けられている。
また、均熱板14は、図9に示すように、突出部14a、切欠き部14bを有している。
突出部14aは、バンドヒータ13の突出部13aと同様に、図3に示すように、埋設状態における地面GL付近から、リブ52の部分を避けて、外周面51aにおけるリブ52との連結部分の周辺まで延伸した部分であって、切欠き部14bの両側に設けられている。そして、突出部14aは、リブ52の長さに相当する支柱50の外周面51aの部分に巻回された補強繊維20を加熱するために、支柱50の長手方向においてリブ52と同等の長さを有している。
切欠き部14bは、バンドヒータ13の切欠き部13bと同様に、図3に示すように、支柱50の下端部に設けられたリブ52を避けるように、突出部14aの間に、4つ形成されている。また、切欠き部14bは、突出部14aと同様に、支柱50の長手方向においてリブ52と同等の長さを有している。
また、均熱板14は、図3および図6に示すように、側面視において、補強繊維20の外周面において、バンドヒータ13よりも支柱50の長手方向に大きい。具体的には、均熱板14は、支柱50の長手方向において、バンドヒータ13の端部から約10mm程度突出するように、突出部14aが配置されている。
さらに、均熱板14は、図4に示すように、上面視において、補強繊維20の外周面におけるリブ52の周辺において、バンドヒータ13よりも周方向に大きい。具体的には、均熱板14は、周方向において、バンドヒータ13の両端からそれぞれ約10mm程度突出するように、突出部14aが配置されている。
つまり、均熱板14は、バンドヒータ13における加熱部に対向配置された部分から加熱部のない部分にかけて配置されている。
これにより、均熱板14は、図6に示すように、リブ52の近傍において、周方向における両端および下端部から約10mm程度突出しており、バンドヒータ13よりも大きい面積を有する。
ここで、リブ52の近傍に配置された補強繊維20に熱を付与するために、バンドヒータ13をリブ52の近接配置することも考えられる。しかし、このような構成では、バンドヒータ52が直接的にリブ52に接触するリスクを伴うため、好ましくない。
そこで、本実施形態では、バンドヒータ13の代わりに、リブ52の近傍まで突出した均熱板14を用いている。
これにより、補強繊維20の外周面において、リブ52との連結部分の近傍等のように、バンドヒータ13が設けられていない領域に対しても、バンドヒータ13よりも大きい面積を有する均熱板14を介して加熱することができる。
<支柱50の補強方法>
本実施形態の支柱50の補強方法は、上述したように、支柱50における所定の部分を補強するために、図10に示すフローチャートに従って実施される。
具体的には、本実施形態の支柱50の補強方法では、管柱部51の外周面51aに巻回された補強繊維20に含浸された未硬化状態のマトリックス樹脂に熱を加えて硬化させて、支柱50の補強を行う。
まず、ステップS1では、未硬化状態のマトリックス樹脂を含浸した補強繊維20の内周面側(支柱50の外周面51a側)に、支柱50の外周面51aに補強繊維20を貼り付けるための接着剤が塗布される。
また、接着剤としては、例えば、常温硬化エポキシ樹脂系接着剤(エスダインジョイナーWG)を用いることができる。そして、その塗布量は、例えば、1,600g/mである。
次に、ステップS2では、支柱50の外周面51aにおける補強箇所に、接着剤が塗布された補強繊維20を貼り付ける。
本実施形態では、支柱50の外周面51aにおける地面GL(図2参照)に相当する部分から、外周面51aから突出する4つのリブ52との接合部分を含む範囲が補強される。よって、補強繊維20は、リブ52の形状に合わせて切欠き等が形成・加工され、外周面51aに配置される。
次に、ステップS3では、支柱50の外周面51aに巻回された補強繊維20の外周面に、シリコン系の離型シート(図示せず)が貼り付けられる。
なお、離型シートは、後述するバンドヒータ13を用いて補強繊維20に含浸されたマトリックス樹脂を硬化させた後、補強繊維20の外周面とバンドヒータ13の内周面とが接着されないようにするために用いられる。
次に、ステップS4では、加熱システム10の固定バンド11に設けられたパッチン錠11aと締付けネジ11bとを用いて補強繊維20の外周面にバンドヒータ13を仮固定する。
具体的には、補強繊維20の外周面にバンドヒータ13を接触配置し、バンドヒータ13の外周面側に、固定バンド11の内周面における4箇所に溶接接合された角パイプ12を当接させた状態で、固定バンド11で仮固定する。
固定バンド11で仮固定する際には、固定バンド11を巻回した状態で、先にパッチン錠11aを係止・固定した後、締付けネジ11bを緩めに締めていく。
本実施形態の加熱システム10では、バンドヒータ13は、離型シートを介して補強繊維20の外周面に接触する内周面側に、バンドヒータ13よりも大きい面積を有する均熱板14が取り付けられている。
そして、バンドヒータ13および均熱板14は、支柱50に設けられたリブ52の部分を避けるように、それぞれ、切欠き部13b、切欠き部14bを有している。
均熱板14は、バンドヒータ13よりも面積が大きいため、バンドヒータ13の端部から突出した状態で、補強繊維20の外周面とバンドヒータ13の内周面との間に設けられる。
なお、本実施形態では、バンドヒータ13は、円筒状の部材を2分割した2ピース型のヒータであって、上述したように、支柱50のリブ52の部分を避けるように切欠き部13bが形成されている。
そして、均熱板14は、厚さtが0.3mm、熱伝導率が372W/m・Kの銅製の板状部材であって、バンドヒータ13の端部から約10mm突出する大きさを有している。
次に、ステップS5では、固定バンド11の締付けネジ11bを締めていき、バンドヒータ13を内周面側に配置された補強繊維20に向かって締め付ける。なお、締め付けネジの締め付けトルクは、0.5〜1.5N・m程度とする。
次に、ステップS6では、バンドヒータ13を所定の温度になるまで加熱する。本実施形態では、150〜180℃の範囲で維持されるように、バンドヒータ13を加熱制御する。
このとき、補強繊維20の表面温度を測定し、リブ52の近傍に配置された補強繊維20の表面温度が130℃を超えるまで、バンドヒータ13によって加熱する。
次に、ステップS7では、バンドヒータ13が所定温度まで加熱された後、所定時間が経過するまで加熱を継続する。本実施形態では、所定時間は10分に設定されている。
これにより、所定時間加熱された補強繊維20は、支柱50のリブ52の部分を避けるようにバンドヒータ13と均熱板14とが配置された状態で効果的に加熱される。このため、補強繊維20は、リブ52を避けるように形成された切欠き部分まで十分な熱が付与されて硬化する。
この結果、外周面51aにリブ52等の障害物を有する支柱50において、リブ52付近に設けられた補強繊維20のマトリックス樹脂の硬化不良の発生を抑制することができる。
次に、ステップS8では、固定バンド11の締付けネジ11bを緩めて固定バンド11を取り外した後、補強繊維20の外周面からバンドヒータ13、離型シートを取り外す。
本実施形態の支柱50の補強方法によれば、リブ52を避けるようにリブ52の近傍に配置された補強繊維20に対して、バンドヒータ13の端部から突出するように配置された均熱板14を介して、ほぼ均一に熱を付与することができる。
よって、補強繊維20に含浸されたマトリックス樹脂の全体を効果的に硬化させることができる。
つまり、リブ52の形状に合わせて形成されたバンドヒータ13およびバンドヒータ13よりも大きい均熱板14によって、リブ52の周辺に配置された補強繊維20に含浸されたマトリックス樹脂に対して、確実に熱を付与することができる。
この結果、支柱50におけるリブ52等の障害物を含む部分を補強する際に、リブ52周辺における補強繊維20に含浸させたマトリックス樹脂の硬化不良等の不具合の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態の支柱50の補強方法によれば、例えば、補強作業を実施する現場等において、バンドヒータ13の形状を変更することなく、均熱板14の形状をリブ52等の障害物に合わせて形成することで、上記の効果を得ることができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、ステップS4において、予め内周面側に均熱板14が貼り付けられた状態のバンドヒータ13を、補強繊維20の外周面に仮固定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、バンドヒータ(加熱部材)を補強繊維の外周面に仮固定した後、バンドヒータの内周面と補強繊維の外周面との間に、均熱板を挿入してもよい。
すなわち、バンドヒータの設置と、均熱板の設置とを別々の工程において実施してもよい。
この場合でも、バンドヒータの端部から突出する均熱板を介して、補強繊維に含浸されたマトリックス樹脂を加熱することで、上記と同様の効果を得ることができる。
(B)
上記実施形態では、バンドヒータ13を補強繊維20の外周面に仮固定し、締め付ける工程を、仮固定具としてのパッチン錠11aと締付けネジ11bとを用いて実施する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、バンドヒータの固定については、上記パッチン錠と締付けネジの組み合わせ以外にも、他の固定部材を用いて実施してもよい。
(C)
上記実施形態では、支柱50の外周面51aに補強繊維20を配置する際に、補強繊維20の内周面側に接着剤を塗布し、接着剤の接着力を利用して補強繊維20を支柱50の補強箇所に固定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、接着剤を用いることなく、補強繊維に含浸されたマトリックス樹脂の硬化によって、補強繊維を支柱の外周面に固定してもよい。
また、接着剤を用いる場合でも、補強繊維の内周面側ではなく、支柱の外周面側に塗布してもよい。あるいは、補強繊維の内周面と支柱の外周面との双方に、接着剤を塗布してもよい。
(D)
上記実施形態では、均熱板14として、銅製の板材を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、200W/m・K以上の熱伝導率が高い金属であれば、銅以外にも、アルミニウム等の他の金属によって形成された均熱板を用いてもよい。
(E)
上記実施形態では、固定バンド11の内周面側に溶接接合された角パイプ12を4つ用いてバンドヒータ13を締め付ける例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、固定バンドの内周面側に設けられる角パイプの数は、4つに限定されるものではなく、6本、8本等、他の本数であってもよい。
また、角パイプの利用は、本発明において必須ではなく、角パイプを用いずにリブ等の障害物付近のバンドヒータを径方向内側へ締め付けることが可能な他の部材を用いてもよい。
(F)
上記実施形態では、支柱50の外周面51aにおける補強時の障害物として、4つのリブ52が設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、支柱の外周面に設けられるリブの数は、4つに限定されるものではなく、5つ、6つ、8つ等、他の数であってもよい。
この場合には、バンドヒータ(加熱部材)および均熱板の切欠き部も、リブの数に合わせて形成されていればよい。
また、リブ以外にも、支柱の中程に設けられたボックス状の部分、支柱の外周面から突出した部分等が障害物として設けられた支柱の補強に対しても、本発明の適用は可能である。
この場合でも、バンドヒータ(加熱部材)および均熱板の切欠き部を、障害物の形状、数等に合わせて形成することで、上記と同様の効果を得ることができる。
(G)
上記実施形態では、補強繊維20に含浸されたマトリックス樹脂として、エポキシ系の樹脂を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、およびシリコン樹脂等の他の熱硬化性樹脂を用いてもよい。
(H)
上記実施形態では、補強繊維20に含まれる繊維素材として、ガラス繊維を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、補強繊維に含まれる繊維素材は、ガラス繊維に限定されるものではなく、例えば、金属繊維その他の無機繊維;カーボン繊維、アラミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、塩化ビニル繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリスチレン繊維、およびアセテート繊維その他の有機合成繊維;麻および竹その他の天然繊維;ならびにレーヨンその他の再生繊維等から選択して用いられてもよい。
また、上述した補強繊維に含まれる繊維素材は、1種類の繊維素材が単独で用いられてもよいし、複数種類の繊維素材が組み合わされて用いられてもよい。
本発明の支柱の補強方法は、リブ等の障害物を含む支柱を補強する際に、支柱の外周部分を均一に加熱して、補強繊維に含浸させた樹脂を効果的に硬化させることができるという効果を奏することから、道路附属物である照明柱や標識柱等の各種支柱の補強方法に対して広く適用可能である。
10 加熱システム
11 固定バンド(固定部)
11a パッチン錠(仮止め具)
11b 締付けネジ(締付け具)
12 角パイプ
13 バンドヒータ(加熱部材)
13a 突出部
13b 切欠き部
13c リード線
14 均熱板
14a 突出部
14b 切欠き部
20 補強繊維
50 支柱
51 管柱部
51a 外周面
52 リブ(障害物)
53 土台部
GL 地面(グランドレベル)
S ステップ

Claims (14)

  1. 支柱外周部分を、補強繊維を用いて補強する方法であって、
    前記支柱の前記外周部分には、複数の障害物が設置され、前記複数の障害物は、前記支柱の長手方向に延び、前記支柱の外周面に対して略直角方向に突出し、前記支柱の周方向に間隔をあけて配置されており、
    前記支柱前記外周面上未硬化状態の樹脂を含浸させた補強繊維を前記障害物を避けて配置する補強繊維配置工程と、
    前記補強繊維の外周面に帯状の加熱部材を巻回させた状態で取り付ける加熱部材取付工程と、
    前記補強繊維の外周面と前記加熱部材の内周面との間に、前記障害物の形状に合わせて前記加熱部材の端部から突出するように、熱伝導率が200W/m・K以上であって前記加熱部材から付与された熱を前記補強繊維に伝達する均熱板を配置する均熱板配置工程と、
    前記加熱部材を駆動する加熱システムを駆動し、前記均熱板を介して、前記外周面上に配置されている前記補強繊維に含浸させた前記樹脂に熱を付与して硬化させる硬化工程と、
    を備え
    前記均熱板が、前記補強繊維の前記外周面のうち前記障害物と前記長手方向に隣接する部位と接触する板状部と、前記板状部から前記長手方向に延伸して前記補強繊維の前記外周面のうち前記障害物と前記周方向に隣接する部位と接触する一対の突出部と、前記一対の突出部の間に形成されて前記板状部および前記突出部が前記補強繊維と接触する状態で前記障害物が挿通される切欠き部と、を有する、
    支柱の補強方法。
  2. 前記加熱部材取付工程では、仮固定具を用いて前記加熱部材を仮止めした後、締付け具を用いて前記加熱部材を前記補強繊維の外周面を巻回した状態で締め付ける、
    請求項1に記載の支柱の補強方法。
  3. 前記均熱板配置工程では、前記補強繊維の外周面と前記加熱部材の内周面との間に前記均熱板を挿入した後、前記締付け具を用いて前記加熱部材を前記補強繊維の外周面に向かって締め付ける、
    請求項2に記載の支柱の補強方法。
  4. 前記補強繊維配置工程の前に、前記支柱の外周面、あるいは前記補強繊維の内周面に、接着剤を塗布する接着剤塗布工程を、さらに備えている、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の支柱の補強方法。
  5. 前記均熱板は、前記加熱部材よりも大きい面積を有している、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の支柱の補強方法。
  6. 前記均熱板は、前記加熱部材における熱発生部分に対応する部分から、前記熱発生部分に対応しない部分にまで延伸している、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の支柱の補強方法。
  7. 前記均熱板は、前記支柱の前記周方向に分割可能な状態で構成されており、
    第1の均熱板の一方の突出部と、前記第1の均熱板と前記周方向に隣接する第2の均熱板の一方の突出部との間に、前記障害物が挿通される切欠き部が形成される
    請求項1から6のいずれか1項に記載の支柱の補強方法。
  8. 前記均熱板の前記板状部は、前記一対の突出部それぞれに対して前記周方向の両側に突出した部分を有する、
    請求項7に記載の支柱の補強方法。
  9. 前記加熱部材は、複数に分割可能な状態で構成されている、
    請求項1からのいずれか1項に記載の支柱の補強方法。
  10. 支柱外周部分を、補強繊維を用いて補強する際に、前記補強繊維に含浸された未硬化状態の樹脂を加熱して硬化させる加熱システムであって、
    前記支柱の前記外周部分には、複数の障害物が設置され、前記複数の障害物は、前記支柱の長手方向に延び、前記支柱の外周面に対して略直角方向に突出し、前記支柱の周方向に間隔をあけて配置され、前記補強繊維は、前記支柱の前記外周面上に前記障害物を避けて配置され、当該システムは、
    発熱する加熱部材と、
    前記支柱の外周面に前記加熱部材を巻回した状態で固定する固定部と、
    前記補強繊維の外周面と前記加熱部材の内周面との間に配置され、前記障害物の形状に合わせて前記加熱部材の端部から突出するとともに、熱伝導率が200W/m・K以上であって前記加熱部材から付与された熱を前記補強繊維に伝達する均熱板と、
    を備え
    前記均熱板が、前記補強繊維の前記外周面のうち前記障害物と前記長手方向に隣接する部位と接触する板状部と、前記板状部から前記長手方向に延伸して前記補強繊維の前記外周面のうち前記障害物と前記周方向に隣接する部位と接触する一対の突出部と、前記一対の突出部の間に形成されて前記板状部および前記突出部が前記補強繊維と接触する状態で前記障害物が挿通される切欠き部と、を有する、
    加熱システム。
  11. 前記均熱板は、前記加熱部材よりも大きい面積を有している、
    請求項10に記載の加熱システム。
  12. 前記均熱板は、前記加熱部材における熱発生部分に対応する部分から、前記熱発生部分に対応しない部分にまで延伸している、
    請求項10または11に記載の加熱システム。
  13. 前記加熱部材は、複数に分割可能な状態で構成されている、
    請求項10から12のいずれか1項に記載の加熱システム。
  14. 前記固定部は、前記加熱部材を前記補強繊維の外周面において仮止めする仮固定具と、前記仮固定具によって仮止めされた状態の前記加熱部材を、前記補強繊維の外周面に向かって締め付ける締付け具と、を有している、
    請求項10から13のいずれか1項に記載の加熱システム。
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