JP6788986B2 - 便座 - Google Patents
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Description
そこで、さらさらした肌触りを改良するために特許文献1の技術が提案されている。すなわち、この特許文献1では、球状のシリカゲル等を用いている。この技術では、シリカゲル等が球状であるため、さらさらした肌触りの感触が付与される。
すなわち、本発明の便座は、樹脂含有の球状粒子を有するコート層が表面に形成され、コート層には、撥水剤が含有されていることを特徴とする。
本発明の便座において、球状粒子がアクリルビーズであることが好ましい。アクリルビーズは、適度の硬度を有するから、球状粒子が圧力によって変形しにくく、圧力による光沢値の変化が抑制される。
コート層1は、便座表面の保護としての役割をもっており、表面硬度維持向上や耐汚染性向上、及び表面の艶を調整する。コート層1に含まれる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、尿素系樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
この樹脂を含むコート層1を形成するためのコート剤の形態も、水性、エマルジョン、溶剤系等いずれも可能で、且つコート層1の硬化も1液タイプでも、硬化剤を用いた2液タイプでも良い。中でも、イソシアネートを用いたウレタン系のコート剤は、作業性、価格、樹脂自体の凝集力等の観点からも望ましい。
コート層1は、トップクリア層であることが好ましい。この場合には、使用される樹脂としては、透明又は半透明のものが使用される。
ポリイソシアネート化合物は、特に限定されない。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソイアネート(IPDI)、メチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、メチルシクロヘキサノンジイソシアネート(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等から適宜選択できる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。耐候性等の観点からヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)が好ましい。
光安定剤としては、特に限定されず、公知の光安定剤を用いることができる。具体的には、ヒンダードアミン系等が例示される。
抗菌剤としては、特に限定されず、公知の抗菌剤を用いることができる。具体的には、無機系抗菌剤が好適に用いられる。銀、銅、亜鉛、ニッケル等の金属イオンをガラスやゼオライト等の固体粒子に担持させたものや、珪酸塩金属化合物、燐酸系ガラス、燐酸ジルコニウム化合物等が挙げられる。
難燃剤としては、特に限定されず、公知の難燃剤を用いることができる。難燃剤としては、具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が例示される。
これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、球状粒子は、コート層を形成する塗料に配合して用いるため、塗料が溶剤系である場合、球状粒子には耐溶剤性が要求される。よって、架橋型の球状粒子がさらに好適に用いられる。
また、球状粒子1Aは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
撥水剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
撥水剤の配合量は特に限定されない。通常、コート層1のポリオール100重量部に対して、1〜20重量部であり、好ましくは1.5〜15重量部であり、さらに好ましくは1.5〜10重量部である。1重量部未満の場合は後述する擬似尿染み試験での効果が弱い。1.5重量部以上で擬似尿染み試験で合格になる。20重量部より大きくすると効果は得られるが、塗料のコストは高くなるので20重量部以下が好ましい。コスト的に最適なのが1.5〜10重量部である。
本発明の便座において、基材2が備えられており、基材2の上にプライマー層3、カラー層4、上述のコート層1が順に配されていることが好ましい。ここでは、好ましい形態の構成について順に説明する。
基材2の材質は特に限定されず、樹脂、金属等が用いられる。基材2としては加工性の観点から、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えばPP(ポリプロピレン)、ABS、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルペンテン、ポリアセタール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等が例示される。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
プライマー層3は、基材の材質や表面状態を改善して、他の層との密着性を高める等の目的で使用される。
カラー層4の着色剤としては、カラー層4を着色することができるものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、ベンガラ、スピリットブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーン、ローダミン、キナクリドン、ローズベンガル、ダイレクトレッド、アシッドレッド、ベーシックレッド、モーダントレッド、ピグメントレッド、ダイレクトブルー、アシッドブルー、ベーシックブルー、ベーシックブルー、モーダントブルー、ピグメントブルー、ダイレクトグリーン、ベーシックグリーン、ピグメントイエロー、ニグロシン染料、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられる。上述したような顔料は、2種類以上を混合して用いたり、異なる色の顔料を混合して用いたりしてもよい。これにより色(色相、彩度、明度等)を調整したり、光学濃度を調整したりすることができる。
これらのなかでも、便座には、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、ピグメントグリーンが好適に使用される。
この樹脂を含むカラー層4を形成するためのコート剤の形態も、水性、エマルジョン、溶剤系等いずれも可能で、且つコート層の硬化も1液タイプでも、硬化剤を用いた2液タイプでも良い。中でも、イソシアネートを用いたウレタン系のコート剤は、作業性、価格、樹脂自体の凝集力等の観点からも望ましい。
ポリイソシアネート化合物は、特に限定されない。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソイアネート(IPDI)、メチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、メチルシクロヘキサノンジイソシアネート(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等から適宜選択できる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。耐候性等の観点からヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)が好ましい。
光安定剤としては、特に限定されず、公知の光安定剤を用いることができる。具体的には、ヒンダードアミン系等が例示される。
抗菌剤としては、特に限定されず、公知の抗菌剤を用いることができる。具体的には、無機系抗菌剤が好適に用いられる。銀、銅、亜鉛、ニッケル等の金属イオンをガラスやゼオライト等の固体粒子に担持させたものや、珪酸塩金属化合物、燐酸系ガラス、燐酸ジルコニウム化合物等が挙げられる。
難燃剤としては、特に限定されず、公知の難燃剤を用いることができる。難燃剤としては、具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が例示される。
これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
本実施形態の便座は、樹脂含有の球状粒子1Aを有するコート層1が表面に形成されているから、さらさらした肌触りがあり、光沢値の調整が容易である。
また、球状粒子1Aがアクリルビーズである場合には、アクリルビーズは、適度の硬度を有するから、球状粒子1Aが圧力によって変形しにくく、圧力による光沢値の変化が抑制される。これは、アクリルビーズの代わりに、ウレタンビーズを用いた場合にはない効果である。すなわち、ウレタンビーズを用いると、球状粒子1Aが圧力によって変形して、光沢値が変化するため、外観が良くない。
また、コート層1がトップクリア層であると、コート層1よりも下層のカラー層4の色等がコート層1を通して見えるから、カラー層4の色を便座の装飾として好適に利用することができる。
<実施例1>
図1に示す便座を用意した。まず、PP樹脂で射出成形により便座を成形した。
次に便座の表面(基材2の表面)をアルコール(IPA)により脱脂した。
次にオレフィン系のプライマーコート剤により、プライマー塗装を行った。その後、セッティング(常温、10分以上)して、プライマー層3を形成した。
続いて、ポリオールを主剤とし、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)UR、ヘキサメチレンジイソシアネート・オリゴマーを硬化剤とした2液硬化型ウレタン系のカラー層4のコート剤により、カラーベース塗装を行った。カラー層4のコート剤には、カーボンブラック、非結晶性シリカA、二酸化チタン、ベンガラ、ピグメントグリーン 7、銅フタロシアニンブルーが含有されていた。その後、セッティング(常温、10分以上)して、カラー層4を形成した。そして、焼き付け(70℃40分)、放冷を行った。
次に、ポリオールを主剤とし、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)UR、ヘキサメチレンジイソシアネート・オリゴマーを硬化剤とした2液硬化型ウレタン系のコート剤により、トップクリア塗装を行った。コート層1(トップクリア層)のコート剤には、平均粒径10μmのアクリル樹脂系のビーズを添加した。また、コート層1のコート剤には、撥水剤として、シリコーン変性ポリアクリレートのヒドロキシル誘導体を添加した。その後、セッティング(常温、10分以上)、焼き付け(70℃40分)、放冷を順に行って、コート層1を形成した。
なお、コート層1の膜厚は30μm〜40μmであった。また、アクリル樹脂系のビーズは、ポリオールの固形分100重量部に対して、112重量部となるように配合した。撥水剤は、ポリオールの固形分100重量部に対して、2.2重量部となるように配合した。
図2に示す便座を用意した。まず、PP樹脂で射出成形により便座を成形した。
次に便座の表面(基材2の表面)をアルコール(IPA)により脱脂した。
次にオレフィン系のプライマーコート剤により、プライマー塗装を行った。その後、セッティング(常温、10分以上)して、プライマー層3を形成した。
続いて、ポリオールを主剤とし、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)UR、ヘキサメチレンジイソシアネート・オリゴマーを硬化剤とした2液硬化型ウレタン系のカラー層4のコート剤により、カラーベース塗装を行った。カラー層4のコート剤には、カーボンブラック、非結晶性シリカA、二酸化チタン、ベンガラ、ピグメントグリーン 7、銅フタロシアニンブルーが含有されていた。その後、セッティング(常温、10分以上)して、カラー層4を形成した。そして、焼き付け(70℃40分)、放冷を行った。
次に、ポリオールを主剤とし、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)UR、ヘキサメチレンジイソシアネート・オリゴマーを硬化剤とした2液硬化型ウレタン系のコート剤により、トップクリア塗装を行った。コート層1(トップクリア層)のコート剤には、粉末シリカ1Bを用いた。その後、セッティングし(常温、10分以上)、焼き付け(70℃40分)、放冷を順に行って、コート層1を形成した。
なお、コート層1の膜厚は30μm〜40μmであった。
図3に示す便座を用意した。ここでは、撥水剤を練り込んだPP樹脂で射出成形により便座を成形した。
図3は、撥水剤が内部から表面に染み出している様子を模式的に示している。図3において球体は、撥水剤を意味し、符号2は基材を意味する。
20人のモニターに、実施例1及び比較例1の便座に着座してもらい、着座した際の快適性について評価してもらった。
評価としては、次の3つとした。また、評価とあわせてコメントも集計した。
(1)実施例1の方が着座性は優れ快適である
(2)実施例1及び比較例1も着座性は同等である
(3)比較例1の方が着座性は優れ快適である
評価結果を表1に示す。
次に、アクリル樹脂系のビーズにより光沢値の調整が可能であるか否かを確認した。具体的には、上述の実施例1において、アクリル樹脂系のビーズの平均粒径を変化させて表面の光沢値を測定した。
光沢値は、JIS K5600−4−7に準拠した鏡面光沢度計を使用して測定した。互いに直角の2方向で、各々につき3回の計6個の読み取りを行い、その平均値を測定した。
アクリル樹脂系のビーズの添加量と光沢値の関係を確認した。具体的には、上述の実施例1において、アクリル樹脂系のビーズの添加量をコート層に含まれるポリオールの固形分100重量部に対して、108重量部、112重量部、127重量部、130重量部、150重量部として試験した。
<防汚性の評価方法>
座裏に付着する尿染みを評価するため、尿染みを疑似尿での染みで置き換えて評価した。具体的には、疑似尿を便座に滴下し、乾燥固化させ、その拭き取り性を0〜100点で相対評価した。ここで「0点」とは、染みが全く消えない場合の点数とし、「100点」とは、染みがすべて消える場合の点数とした。
また、評価は、以下の表2のようにした。なお、この試験では、実施例1、比較例1、比較例2、及び基材(PP樹脂)について評価した。
http://www.face-kyowa.co.jp/science/theory/what_contact_angle/
結果を表3に示す。通常、アクリル樹脂系のビーズをコート層1に入れると、表面に凹凸ができるために汚れが付着しやすく、防汚性が劣ると考えられていた。ところが、実施例1では、アクリル樹脂系のビーズをコート層1に入れても防汚性が良好であった。その理由は明らかではないが、実施例1では、コート層1の中にアクリル樹脂系のビーズのみならず、撥水剤が含まれていたため、両者の相乗効果により、防汚性が良好となったものと思われる。これは、撥水剤の単独使用では得られない効果である。すなわち、実施例1は、撥水剤のみを用いた比較例2よりも防汚性が良好なことから、アクリル樹脂系のビーズが撥水剤と何らかの相互作用をして、防汚性が向上しているものと推測される。
1A…球状粒子
2…基材
3…プライマー層
4…カラー層
Claims (4)
- 主剤がポリオールである2液タイプのウレタン系のコート剤の硬化層たるコート層であり、樹脂含有の球状粒子を有する前記コート層が表面に形成された便座であって、
前記コート層には、撥水剤が含有されており、
前記球状粒子は、前記ポリオールの固形分100重量部に対して30〜300重量部の含有量のアクリルビーズであることを特徴とする便座。 - 前記球状粒子の平均粒子径は、12〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載の便座。
- 前記球状粒子が前記コート層の表面側に偏って存在しており、
表面から前記球状粒子の少なくとも一部が露出していることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の便座。 - 本便座には、基材が備えられており、
前記基材の上にプライマー層、カラー層、前記コート層が順に配されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の便座。
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