JP6787685B2 - 荷電粒子線治療装置、及びリッジフィルタ - Google Patents

荷電粒子線治療装置、及びリッジフィルタ Download PDF

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Description

本発明は、荷電粒子線治療装置、及びリッジフィルタに関する。
従来、荷電粒子線を照射する荷電粒子線治療装置が知られている。このような荷電粒子線治療装置は、荷電粒子線の拡大ブラッグピークを生成するためのリッジフィルタを有する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−314324号公報
上述のような荷電粒子線治療装置において、リッジフィルタは、幅方向に並設される複数のフィンと、フィンを支持する土台部と、を有している。ここで、土台部に対してフィンを取り付ける場合に、フィンと土台部との間にずれが生じると、拡大ブラッグピークが所望の特性からずれてしまうという問題がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、拡大ブラッグピークを所望の特性に近づけることができる荷電粒子線治療装置及びリッジフィルタを提供することを目的とする。
本発明に係る荷電粒子線治療装置は、荷電粒子を加速して荷電粒子線を出射する加速器と、荷電粒子線の拡大ブラッグピークを生成するリッジフィルタを有し、荷電粒子線を被照射体へ照射する照射部と、加速器から出射された荷電粒子線を照射部へ輸送する輸送ラインと、を備え、リッジフィルタは、荷電粒子線の照射方向と直交する方向である幅方向へ並べられる複数のフィンと、フィンを支持する土台部と、を有し、フィンは、土台部と一体的に形成されている。
本発明に係る荷電粒子線治療装置では、リッジフィルタは、荷電粒子線の照射方向と直交する方向である幅方向へ並べられる複数のフィンと、フィンを支持する土台部と、を有している。このような構成において、フィンは、土台部と一体的に形成されている。従って、フィンと土台部との間の位置精度を向上することができる。フィンと土台部との位置精度が向上することで、フィンの所望の位置に荷電粒子線を通過させることができる。これにより、拡大ブラッグピークを所望の特性に近づけることができる。
また、複数のフィンのうち、少なくとも幅方向における最も外側に位置するフィンは、幅方向における中央側へ向けて傾いていてよい。幅方向における外側のフィンに対しては、荷電粒子線は基軸から傾斜した状態にて入射する。従って、それに対応するように、少なくとも幅方向における最も外側に位置するフィンが、幅方向における中央側へ向けて傾くことにより、荷電粒子線がフィン内を通過する距離を所望の値に近づけることができる。これにより、拡大ブラッグピークを所望の特性に近づけることができる。
また、フィンは、幅方向における外側に位置するものほど、傾斜角度が大きくてよい。荷電粒子線は、幅方向における外側ほど基軸からの傾きが大きくなるため、フィンの傾斜角度を荷電粒子線の傾きに対応させることができる。
また、それぞれのフィンに対して、その中心を通る軸線を設定した場合、フィンは、それぞれの軸線が予め設定された点で交わるように傾斜していてよい。このような構成により、それぞれのフィンの傾斜角度を荷電粒子線の傾きに対応させることができる。
また、複数のフィンのうち、少なくとも幅方向における最も外側に位置するフィンは、中央側に位置するフィンの高さよりも低く、外側に位置するフィンの密度は、中央側に位置するフィンよりも高く、中央側に位置するフィンは、土台部と一体的に形成されていてよい。このような構成により、荷電粒子線の傾きが大きくなる幅方向における外側では、フィンの高さと密度を調整することによって、荷電粒子線の傾きに応じて減衰量を調整することができる。一方、荷電粒子線の傾きが小さくなる幅方向における内側では、フィンを土台部と一体的に形成することで、フィンの位置精度を向上させることができる。
本発明に係るリッジフィルタは、荷電粒子線の拡大ブラッグピークを生成する荷電粒子線治療装置用のリッジフィルタであって、荷電粒子線の照射方向と直交する方向である幅方向へ並べられる複数のフィンと、フィンを支持する土台部と、を有し、フィンは、土台部と一体的に形成されている。
本発明に係るリッジフィルタによれば、上述の荷電粒子線治療装置と同様の作用・効果を得ることができる。
本発明によれば、拡大ブラッグピークを所望の特性に近づけることができる。
図1は、本発明の実施形態に係る荷電粒子線治療装置を設置した建屋の断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る荷電粒子線治療装置の照射部付近の構成を示す斜視図である。 図3は、本発明の実施形態に係る荷電粒子線治療装置の概略構成図である。 図3に示す照射部の概略構成図である。 図4に示すリッジフィルタの拡大断面図である。 図4に示すリッジフィルタをZ軸方向負側から見た図である。 変形例に係るリッジフィルタの拡大断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る荷電粒子線治療装置、及びリッジフィルタについて説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る荷電粒子線治療装置を設置した建屋の断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る荷電粒子線治療装置の照射部付近の構成を示す斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係る荷電粒子線治療装置の概略構成図である。図3に示すように、荷電粒子線治療装置1は、患者13の体内の腫瘍(被照射体)14に対し、荷電粒子線Rを照射するものである。荷電粒子線Rとは、電荷をもった粒子を高速に加速したものであり、例えば陽子線、重粒子(重イオン)線、電子線等が挙げられる。
なお、以下の説明においては、「X軸方向」、「Y軸方向」、「Z軸方向」という語を用いて説明する。「Z軸方向」とは、荷電粒子線Rの基軸AXが延びる方向である。なお、「基軸AX」とは、後述の走査電磁石3a,3bで偏向しなかった場合の荷電粒子線Rの照射軸とする。図3では、基軸AXに沿って荷電粒子線Rが照射されている様子を示している。なお、以下の説明では、基軸AXに沿って荷電粒子線Rが照射される方向を「荷電粒子線Rの照射方向」であるものとする。「X軸方向」とは、Z軸方向と直交する平面内における一の方向である。「Y軸方向」とは、Z軸方向と直交する平面内においてX軸方向と直交する方向である。
図1及び図3に示すように、荷電粒子線治療装置1は、加速器2と、照射部(照射ノズル)8を備える回転ガントリー3と、輸送ライン40と、制御装置7と、を備えている。図1に示すように、荷電粒子線治療装置1は、建物の中に設置されている。図1に示す例では、建物は複数階(ここでは2階)の建物であり、加速器2及び回転ガントリー3は、それぞれの階層の部屋に設置されている。輸送ライン40は、建物の各階層にわたって設けられており、加速器2と回転ガントリー3の照射部8(図2参照)を接続している。照射部8による荷電粒子線の照射方向は、回転ガントリー3の回転によって変更可能である。
加速器2は、荷電粒子を加速して、荷電粒子線Rを出射する。加速器2として、例えば、サイクロトロン、シンクロトロン、サイクロシンクロトロン、ライナック等が挙げられる。加速器2で発生した荷電粒子線Rは、輸送ライン40によって照射部8へ輸送される。この加速器2は、制御装置7に接続されており、制御装置7によってその動作が制御される。
輸送ライン40は、加速器2から出射された荷電粒子線Rを照射部8へ輸送するラインである。輸送ライン40には、図示されない偏向電磁石等が複数設けられている。
照射部8は、走査電磁石3a,3bと、モニタ4a,4bと、散乱体5と、リッジフィルタ22と、ディグレーダ30と、マルチリーフコリメータ24と、ボーラス26と、患者コリメータ27と、を備える。なお、ディグレーダ30及び患者コリメータ27は省略してもよい。
走査電磁石3a,3bは、それぞれ一対の電磁石から構成され、制御装置7から供給される電流に応じて一対の電磁石間の磁場を変化させ、当該電磁石間を通過する荷電粒子線Rを走査する。X軸方向走査電磁石3aは、X軸方向に荷電粒子線Rを走査し、Y軸方向走査電磁石3bは、Y軸方向に荷電粒子線Rを走査する。これらの走査電磁石3a,3bは、基軸AX上であって、加速器2の下流側にこの順で配置されている。
モニタ4aは、荷電粒子線Rのビーム位置を監視し、モニタ4bは、荷電粒子線Rの線量の絶対値と荷電粒子線Rの線量分布とを監視する。各モニタ4a,4bは、監視した監視情報を制御装置7に出力する。モニタ4aは、荷電粒子線Rの基軸AX上であって、加速器2の下流側でX軸方向走査電磁石3aの上流側に配置されている。モニタ4bは、基軸AX上であってディグレーダ30の下流側に配置されている。ただし、各モニタ4a,4bの位置は特に限定されない。
散乱体5は、通過する荷電粒子線Rを、照射軸と直交する方向に広がりを持つ幅広のビームに拡散する。この散乱体5は、板状を呈し、例えば厚さ数mmのタングステンで形成されている。散乱体5は、基軸AX上において、走査電磁石3bの下流側でモニタ4bの上流側に配置されている。
リッジフィルタ22は、荷電粒子線Rの線量分布を調整するものである。具体的には、リッジフィルタ22は、患者13の体内の腫瘍14の厚さ(照射方向の長さ)に対応するように、荷電粒子線Rに拡大ブラッグピーク(SOBP)を与える。これにより、荷電粒子線Rのブラッグピークが厚さ方向(ここではZ軸方向)に一様に広がる。リッジフィルタ22は、基軸AX上において散乱体5の下流側でモニタ4bの上流側に配置されている。なお、リッジフィルタ22の詳細な説明は、後述する。
ディグレーダ30は、基軸AX上においてリッジフィルタ22とモニタ4bとの間に配置されている。ディグレーダ30は、通過する荷電粒子線Rのエネルギーを低下させて当該荷電粒子線Rの飛程を調整する。なお、飛程の調整は、加速器2の直後に設けられたディグレーダ(不図示)によって荒調整が行われ、照射部8内のディグレーダ30で微調整が行われてよい。ディグレーダ30は、基軸AX上であって、走査電磁石3a,3b、散乱体5、及びリッジフィルタ22よりも荷電粒子線Rの下流側に設けられ、患者13の体内における荷電粒子線Rの最大到達深さを調整する。ただし、ディグレーダ30の位置は特に限定されない。ディグレーダ30は、X軸方向及びY軸方向に拡がる板状の部材である。
マルチリーフコリメータ(Multi Leaf Collimator:以下、「MLC」という)24は、照射方向と垂直な平面方向における荷電粒子線Rの形状(平面形状)を整形するものであり、複数の櫛歯を含む遮線部24a,24bを有している。遮線部24a,24bは、互いに突き合わせるように配置されており、これらの遮線部24a,24b間には、開口部24cが形成されている。このMLC24は、開口部24cに荷電粒子線Rを通過させることで、開口部24cの形状に対応する輪郭に荷電粒子線Rを切り取る。
また、MLC24は、Z軸方向と直交する方向に遮線部24a,24bを進退させることで、開口部24cの位置及び形状を変化することが可能となっている。さらに、MLC24は、リニアガイド28で照射方向に沿って案内されており、Z軸方向に沿って移動可能になっている。このMLC24は、モニタ4bの下流側に配置されている。
ボーラス26は、荷電粒子線Rの最大到達深さの部分の立体形状を、腫瘍14の最大深さ部分の形状に合わせて整形する。このボーラス26の形状は、例えば、腫瘍14の輪郭線と、X線CTのデータから求められる周辺組織の電子密度とに基づいて算出される。ボーラス26は、基軸AX上においてMLC24の下流側に配置されている。患者コリメータ27は、荷電粒子線Rの平面形状を腫瘍14の平面形状に合わせて最終的に整形するものである。この患者コリメータ27は、基軸AX上においてボーラス26の下流側に配置されており、MLC24の代わりとして用いられてもよいし、MLC24と患者コリメータ27の双方を用いてもよい。ボーラス26及び患者コリメータ27は、照射部8の先端部8aに設けられている。
制御装置7は、例えばCPU、ROM、及びRAM等により構成されている。この制御装置7は、モニタ4a,4bから出力された監視情報に基づいて、加速器2、走査電磁石3a,3b、散乱体5、リッジフィルタ22、ディグレーダ30、及びMLC24のそれぞれの動作を必要に応じて制御する。
図3に示す荷電粒子線治療装置1により、ワブラー法(ブロードビーム法)によって荷電粒子線Rの照射を行う場合、所定の飛程に調整可能なディグレーダ30をセットすると共に、MLC24の遮線部24a,24bが進退されて開口部24cが所定形状とされる。
続いて、加速器2から荷電粒子線Rを出射する。出射された荷電粒子線Rは、走査電磁石3a,3bによって円を描くように走査されて散乱体5によって拡散された後、リッジフィルタ22、ディグレーダ23、MLC24、ボーラス26及び患者コリメータ27によって整形及び調整される。これにより、腫瘍14の形状に沿った一様照射範囲でもって腫瘍14に荷電粒子線Rが照射されることとなる。
なお、図3では、ワブラー法による荷電粒子線治療装置1を例示したが、必要な構成要素のセット・退避を切り替えることで、ワブラー法と他の照射方法(例えば、スキャニング法や積層原体法)とを切替可能な構成としてもよい。また、本実施形態に係るリッジフィルタ22は、拡大ブラッグピークを生成する場合であれば照射方式に関わらず用いることができるため、スキャニング法や積層原体法による照射の際に用いてもよい。
次に、リッジフィルタ22の構成の詳細について、図4〜図6を用いて説明する。なお、本実施形態では、X軸方向が請求項における「幅方向」に該当するものとして説明するが、XY平面におけるいずれの方向が「幅方向」に該当してもよい。また、以降の説明の「X軸方向(幅方向)における中央」とは基軸AXの位置を示す。「X軸方向(幅方向)における外側」とは基軸AXから遠ざかる方向を示し、「X軸方向(幅方向)における内側」とは基軸AXへ近づく方向を示す。
リッジフィルタ22は、荷電粒子線Rの照射方向(基軸AXが延びる方向)と直交する方向であるX軸方向(幅方向)へ並べられる複数のフィン12と、当該フィン12を支持する土台部11と、を有している。リッジフィルタ22の材料として、例えば、アルミニウム、樹脂等を用いてよい。
フィン12は、一定の形状にてY軸方向へ延びて、X軸方向に所定の間隔で互いに平行に複数並設される部材である。本実施形態では、フィン12は、横断面視(ここではY軸方向視)において三角形状を有している。土台部11は、複数のフィン12を固定するためのものである。また、土台部11は、照射方向から見たときに、中央側が開口する枠状の形状を有していてもよく(図6参照)、開口が存在せずに中実であってもよい。本実施形態では、土台部11は、六角形の枠状をなしているが形状は特に限定されず、他の多角形状であってもよく、円形であってもよい。このような土台部11に対して、フィン12のY軸方向における両端部が固定されている。また、土台部11の形状は枠状でなくともよく、リッジフィルタ22としての機能を発揮できる限り、どのような形状であってもよい。
本実施形態では、フィン12は、土台部11と一体的に形成されている。ここで、「一体的に形成」されている状態とは、例えば、一塊の材料を削り出し加工等することで、フィン12と土台部11との間の境界面が存在せず、両部分が一体となっている状態である。なお、一体的に形成するための加工法として、削り出しの他、3Dプリンターを用いた積層造形等を採用してよい。なお、本実施形態では、複数のフィン12の全部が土台部11と一体的に形成されているが、一部のフィン12のみが土台部11と一体的に形成されていてもよい。一部のフィン12と土台部11が別体として形成されている場合、別体として形成されているフィン12は、土台部11に対して、ねじ止め、土台部11に設けられた溝へのはめ込み等の固定方法によって固定される。
図5(a)に示すように、幅方向における中央位置(または中央位置付近)に配置されるフィン12A(以降、他のフィン12と区別するため、中央位置のフィン12をフィン12Aと称する)は、荷電粒子線Rが基軸AXに沿って照射される位置に配置される。これにより、フィン12Aの軸線CLは基軸AXと一致する。従って、フィン12Aの横断面は、基軸AXを基準として線対称な形状をなしている。ここでは、フィン12Aは、二等辺三角形をなしている。ここで、基軸AXと軸線CLとがなす角度を「傾斜角度θ」と定義した場合、フィン12Aの傾斜角度は0°となる。
ここで、フィン12のうち、X軸方向における外側の位置(すなわち基軸AXから離れた位置)に配置されているフィン12に対しては、荷電粒子線Rが基軸AXから傾斜した状態で入射する(図5(b)参照)。この理由は、走査電磁石で走査されることで、外側の位置のフィン12へは、荷電粒子線Rが基軸AXに対して傾斜した状態で進行するためである。従って、X軸方向における外側の位置に配置されているフィン12は、荷電粒子線Rの傾きに合わせて、傾斜していてよい。フィン12は、X軸方向における中央側へ向けて傾いている。本実施形態において、フィン12が傾斜しているとは、フィン12の三角形に対して設定された軸線CLが基軸AXに対して傾斜していることを示す。ここでは、傾斜角度θは、0°よりも大きくなる。ただし、図5(b)では、基軸AXと平行な直線と軸線CLがなす角度に「θ」を付している。このように、傾斜角度θが0°より大きくなると、フィン12の横断面形状はX軸方向における負側と正側とで非対称な形状となる。ここでは、フィン12の横断面は、X軸方向負側の側面12aがX軸方向正側の側面12bよりも短い三角形となる。
例えば、図5(a)の右側のフィン12に示すように、荷電粒子線R(ここでは仮想的な荷電粒子線Rの照射であるため、VRで示している)が基軸AXに対して傾斜して照射されるのに対して、フィン12が傾斜していないと、荷電粒子線VRがフィン12を通過する距離が短くなって、所望の値より減衰量が少なくなる場合がある。または、入射位置によっては荷電粒子線VRがフィン12を通過する距離が、フィン12が傾斜していない場合に比して長くなって、所望の値より減衰量が大きくなる場合もある。更に、荷電粒子線VRが複数のフィン12を通過してしまい、所望の値より減衰量が大きくなる場合もある。以上より、荷電粒子線Rの入射角度に応じてフィン12が傾斜していない場合、所望の拡大ブラッグピークを得ることが出来ない場合がある。一方、図5(b)のように、荷電粒子線Rの傾斜に合わせてフィン12が傾斜することで、荷電粒子線Rがフィン12内を通過する距離を所望の値に近づけることができるため、拡大ブラッグピークを所望の特性に近づけることができる。
なお、フィン12の軸線CLは、当該フィン12の中心を通る線である。例えば、軸線CLは、フィン12のX軸方向内側における角部P(ここでは、フィン12のX軸方向負側の側面12aと底面12cとの間の角部)から外側の側面12bへ向かって仮想的な底辺BLを設定することで二等辺三角形を作成する。このように作成された二等辺三角形の中心線が軸線CLとして設定されてよい。または、X軸方向における底面12cの中央と、頂点TPとを結ぶ線が軸線CLとして設定されてもよい。
なお、フィン12を傾斜させる場合の条件は特に限定されないが、所定のパラメータを一定にした状態でフィン12を傾斜させてよい。例えば、傾斜させるフィン12と中央位置におけるフィン12Aとの面積比を一定としてよい。また、傾斜させるフィン12の高さH(フィン12の頂点TPと土台部11の表面との間のZ軸方向における寸法)と中央位置におけるフィン12Aの高さHとを一定としてよい。あるいは、傾斜させるフィン12内を通過する軸線CLの長さLと、中央位置におけるフィン12A内を通過する軸線CLの長さL(高さHと等しくなる)とを一定としてよい。
複数のフィン12のうち、少なくとも一部のフィン12が傾斜していてよい。X軸方向における外側の方が、荷電粒子線Rの入射角度が大きくなる。従って、複数のフィン12のうち、少なくともX軸方向(幅方向)における最も外側に位置するフィン12は、X軸方向における中央側へ向けて傾いていてよい。
また、フィン12は、X軸方向(幅方向)における外側に位置するものほど、傾斜角度θが大きくてよい。この時、リッジフィルタ22中の全てのフィン12の傾斜角度θが、X軸方向における位置に合わせて一つずつ変化してよい。ただし、複数個ずつ傾斜角度θが変化してもよい。例えば、中央付近の複数個のフィン12の傾斜角度は0°であり、当該グループに隣り合う複数個のフィン12が同一傾斜角度θにて傾斜していてよい。
また、フィン12の傾斜角度θが一つずつ変化する場合、フィン12は、それぞれの軸線CLが予め設定された点で交わるように傾斜していてよい。図4に示す例では、走査電磁石3a内に設定される点SP(スキャニングの起点となる点である)にて、各フィン12の軸線CLが交わっている。ただし、全てのフィン12の軸線CLが点SPで交わってもよく、一部のフィン12の軸線CLが点SPで交わってもよい。
次に、本実施形態に係る荷電粒子線治療装置1及びリッジフィルタ22の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る荷電粒子線治療装置1では、リッジフィルタ22は、Z軸方向(荷電粒子線の照射方向)と直交する方向であるX軸方向(幅方向)へ並べられる複数のフィン12と、フィン12を支持する土台部11と、を有している。このような構成において、フィン12は、土台部11と一体的に形成されている。従って、フィン12と土台部11との間の位置精度を向上することができる。フィン12と土台部11との位置精度が向上することで、フィン12の所望の位置に荷電粒子線Rを通過させることができる。これにより、拡大ブラッグピークを所望の特性に近づけることができる。
また、複数のフィン12のうち、少なくともX軸方向における最も外側に位置するフィン12は、X軸方向における中央側へ向けて傾いていてよい。X軸方向における外側のフィン12に対しては、荷電粒子線Rは基軸AXから傾斜した状態にて入射する。従って、それに対応するように、少なくともX軸方向における最も外側に位置するフィン12が、X軸方向における中央側へ向けて傾くことにより、荷電粒子線Rがフィン12内を通過する距離を所望の値に近づけることができる。これにより、拡大ブラッグピークを所望の特性に近づけることができる。
また、フィン12は、X軸方向における外側に位置するものほど、傾斜角度θが大きくてよい。荷電粒子線Rは、X軸方向における外側ほど基軸AXからの傾きが大きくなるため、フィン12の傾斜角度θを荷電粒子線Rの傾きに対応させることができる。
また、それぞれのフィン12に対して各々のX軸方向における中心を通る軸線CLを設定した場合、フィン12は、それぞれの軸線CLが予め設定された点SPで交わるように傾斜していてよい。このような構成により、それぞれのフィン12の傾斜角度θを荷電粒子線Rの傾きに対応させることができる。
実施形態に係るリッジフィルタ22は、荷電粒子線Rの拡大ブラッグピークを生成する荷電粒子線治療装置1用のリッジフィルタ22である。リッジフィルタ22は、X軸方向へ並べられる複数のフィン12と、フィン12を支持する土台部11と、を有し、フィン12は、土台部11と一体的に形成されている。
本実施形態に係るリッジフィルタ22によれば、上述の荷電粒子線治療装置1と同様の作用・効果を得ることができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、各フィンを同一の材料で構成したが、一部のフィンを異なる材料で形成してもよい。図7に示す複数のフィン12のうち、少なくともX軸方向における最も外側に位置するフィン15は、中央側に位置するフィン12の高さHよりも低い。また、外側に位置するフィン15の密度は、中央側に位置するフィン12よりも高い。また、中央側に位置するフィン12は、土台部11と一体的に形成されている。このようなフィン15に用いられる材料として、鉄、真鍮等を採用してよい。
このような構成により、荷電粒子線Rの傾きが大きくなるX軸方向における外側では、フィン15の高さと密度を調整することによって、荷電粒子線Rの傾きに応じて減衰量を調整することができる。一方、荷電粒子線Rの傾きが小さくなるX軸方向における内側では、フィン12を土台部と一体的に形成することで、フィン12の位置精度を向上させることができる。
また、フィンの形状は、完全な三角形でなくともよく、例えば頂点が丸みを帯びた形状や、側面が緩やかに湾曲したような形状であってもよい。
1…荷電粒子線治療装置、2…加速器、8…照射部、11…土台部、12,15…フィン、22…リッジフィルタ、40…輸送ライン。

Claims (5)

  1. 荷電粒子を加速して荷電粒子線を出射する加速器と、
    前記荷電粒子線の拡大ブラッグピークを生成するリッジフィルタを有し、前記荷電粒子線を被照射体へ照射する照射部と、
    前記加速器から出射された前記荷電粒子線を前記照射部へ輸送する輸送ラインと、を備え、
    前記リッジフィルタは、
    前記荷電粒子線の照射方向と直交する方向である幅方向へ並べられる複数のフィンと、
    前記荷電粒子線の照射方向から見たときに中央側が開口し、前記幅方向に直交する方向における前記フィンの両端部を支持する土台部と、を有し、
    複数の前記フィンの全部は、一つの前記土台部と一体的に形成されている、荷電粒子線治療装置。
  2. 複数の前記フィンのうち、少なくとも前記幅方向における最も外側に位置するフィンは、前記幅方向における中央側へ向けて傾いている、請求項1に記載の荷電粒子線治療装置。
  3. 前記フィンは、前記幅方向における外側に位置するものほど、傾斜角度が大きい、請求項2に記載の荷電粒子線治療装置。
  4. それぞれの前記フィンに対して、その中心を通る軸線を設定した場合、前記フィンは、それぞれの前記軸線が予め設定された点で交わるように傾斜している、請求項1〜3の何れか一項に記載の荷電粒子線治療装置。
  5. 荷電粒子線の拡大ブラッグピークを生成する荷電粒子線治療装置用のリッジフィルタであって、
    前記荷電粒子線の照射方向と直交する方向である幅方向へ並べられる複数のフィンと、
    前記荷電粒子線の照射方向から見たときに中央側が開口し、前記幅方向に直交する方向における前記フィンの両端部を支持する土台部と、を有し、
    複数の前記フィンの全部は、一つの前記土台部と一体的に形成されている、リッジフィルタ。
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