JP6787464B2 - 化粧板及び該化粧板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧板及び該化粧板の製造方法に関する。
近年、インクジェットプリンターを用いたインクジェット印刷法の普及により、建材や加飾成形品等に用いられている化粧シートにおいても、多品種・小ロットにも対応できることや絵柄層として複雑な柄(文字、数字そして図形等)を印刷することが可能となった。
更に、インクジェット印刷法は印刷する基材がフィルムに限らず、平板や凹凸や曲面を備えた基材に対しても印刷が可能というメリットがある。
しかし、インクジェット印刷法で印刷された絵柄層は基材の最表面にあることから、耐傷性や耐汚染性及び耐候性等の表面性能が不十分であり、その絵柄層を保護するために透明性樹脂フィルムが必要であった。
このような透明性樹脂フィルムとして、例えば、特許文献1には、トリアジン系紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤とを含む透明ポリプロピレンの一方の面に保護層、他方の面に粘着層を設けたオーバーラミネートフィルムが開示されている。
しかしながら、従来の透明性樹脂フィルムを備えた化粧板では、透明性樹脂フィルムが凹凸形状を有することにより意匠性は向上されたが、上記凹凸形状を有することによる透明性樹脂フィルムの厚みの差により耐候性にバラツキが生じ、特に薄膜部において耐候性能が劣ることがあり改善の余地があった。特にインクジェット印刷法で印刷された絵柄層は多種多様なインキが用いられており、その傾向が顕著であった。
特開2005−120255号公報
本発明は、透明性樹脂フィルムの最表面に凹凸形状を形成したとしても、該透明性樹脂フィルムの凹凸形状の凹部において優れた耐候性を有することができる化粧板、及び、該化粧板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するため鋭意検討した結果、厚み方向において、基材、絵柄層、接着剤層、及び、透明性樹脂フィルムがこの順に積層されており、上記透明性樹脂フィルムは、前記接着剤層が積層された側と反対側に凹凸形状を有し、上記接着剤層は、紫外線吸収剤を含有することにより、表面へ凹凸形状を形成したとしても、耐候性に優れた化粧板を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、厚み方向において、基材、絵柄層、接着剤層、及び、透明性樹脂フィルムがこの順に積層されており、上記透明性樹脂フィルムは、上記接着剤層が積層された側と反対側に凹凸形状を有し、上記接着剤層は、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする化粧板である。
本発明の化粧板において、上記透明性樹脂フィルムの凹凸形状の凹部の厚みは、80μm以上であるであることが好ましい。
また、上記透明性樹脂フィルムは、上記接着剤層が積層された側に凹凸形状を有していてもよい。
また、上記接着剤層が積層された側に凹凸形状を有している場合、上記接着剤層の厚みは、10μm以上であり、かつ、上記透明性樹脂フィルムの上接着剤層が積層された側に有する凹凸形状のJIS B 0601(2001)で定義されるRzmaxよりも大きいこと好ましい。
また、上記透明性樹脂フィルムの上記接着剤層が積層された側に有する凹凸形状のJIS B 0601(2001)で定義されるRzmaxが、80μm以下であることが好ましい。
また、上記接着剤層は、紫外線吸収剤を0.5質量%以上2質量%以下で含有することが好ましい。
また、上記接着剤層に含有される紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤であることが好ましい。
本発明の化粧板の製造方法は、上記化粧板の製造方法であって、透明性樹脂フィルムの絵柄層が積層された側の面に接着剤層を形成する工程、及び、上記接着剤層を介して、上記透明性樹脂フィルムと上記絵柄層とを貼り合わせる工程を有することを特徴とする。
本発明の化粧板、及び、本発明の化粧板の製造方法により得られる化粧板は、透明性樹脂フィルムの最表面に凹凸形状を形成したとしても、耐候性に優れる。
本発明の化粧板の好ましい一例の断面を示す模式図である。 本発明の化粧板を構成する透明性樹脂フィルムの好ましい一例の断面を示す模式図である。 本発明の化粧板を構成する透明性樹脂フィルムの好ましい一例の断面を示す模式図である。
まずは、本発明の化粧板について説明する。
本発明の化粧板は、厚み方向において、基材、絵柄層、接着剤層、及び、透明性樹脂フィルムがこの順に積層されており、上記透明性樹脂フィルムは、上記接着剤層が積層された側と反対側に凹凸形状を有し、上記接着剤層は、紫外線吸収剤を含有する。
従来の化粧板では、透明性樹脂フィルムが凹凸形状を有することにより厚みの差が生じ、その中での透明性樹脂フィルムの厚みが薄い箇所において紫外線吸収剤が少量になり十分な耐候性が得られなかったが、本発明の化粧板では、絵柄層と透明性樹脂フィルムとの間に有する接着剤層が紫外線吸収剤を含有するため、透明性樹脂フィルムの厚みが薄い箇所においても十分な耐候性を得ることができる。
本発明の化粧板の好ましい一例について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の化粧板10は、厚み方向において、基材11、絵柄層12、接着剤層13、及び、透明性樹脂フィルム20がこの順に積層されており、透明性樹脂フィルム20は、接着剤層13が積層された側と反対側に凹凸形状を有し、接着剤層13は、紫外線吸収剤を含有する。
以下、本発明の化粧板の各構成について説明する。
上記基材としては特に限定されず、例えば、本発明の化粧板の用途に合わせて適宜決定される。
上記基材を構成する材料としては特に限定されず、例えば、樹脂材料、木質材料、金属材料等公知の材料が挙げられる。その中でも、上記基材を構成する材料としては、剛性や軽さを備える樹脂材料や木質材料が好ましい。また、これらの複合材料であっても良い。
上記樹脂材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などのポリビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸系樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)などのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの熱可塑性樹脂の単体及び共重合体、あるいは、これらの混合樹脂が好ましく挙げられる。なかでも、ポリオレフィン樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アイオノマー等が好ましい。更に、上記樹脂材料は、発泡されていてもよい。
また、上記木質材料としては、例えば、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材等が挙げられ、また、芯材としては、これらの素材から作られた突板、木材単板、木材合板(LVLを含む)、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、集成材等のいずれか、ないし、これらを適宜積層した積層材であってもよい。
上記金属材料としては、例えば、鉄等が挙げられる。
また、上記基材は、無機化合物を含んでいてもよい。無機化合物を含むことで上記基材の線膨張係数を低減させることができ、結果として後述する透明性樹脂フィルムの耐水性を向上させることができる。
また、上記基材が複数の樹脂からなる基材を有する場合、該複数の樹脂からなる基材を形成する樹脂の種類は同じであっても異なっていてもよく、また複数の樹脂からなる基材の厚みは同じであっても異なっていてもよい。
本発明において、上記基材は、中空構造であっていてもよいし、基材の一部にスリット溝や貫通穴を設けてもよい。
上記基材の厚みとしては特に限定されず、例えば、0.01mm以上が好ましく、0.1mm以上50mm以下がより好ましい。
なお、基材は平板以外の略板状も含み、凹凸や曲面を備えているものも含まれる。
本発明の化粧板は、上記基材の一方に絵柄層が積層されている。
上記絵柄層は、本発明の化粧板に装飾性を付与する層であり、例えば、均一に着色が施された隠蔽層(ベタ印刷層)でもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される図柄層であってもよいし、隠蔽層と図柄層とを組み合わせた層(以下、模様層)であってもよい。
上記隠蔽層を設けることにより、上述した基材が着色していたり色ムラがあったりする場合に、意図した色彩を与えて表面の色を整えることができる。
また、図柄層を設けることで、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など、あるいはこれらを複合した寄木、パッチワークなどの模様を化粧板に付与することができる。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷などによっても形成される。
上記絵柄層に用いられるインキ組成物としては、バインダー樹脂に顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタンーアクリル樹脂、ウレタン−アクリル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ニトロセルロース樹脂などが好ましく挙げられる。上記バインダー樹脂としてはこれらの中から任意のものを、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、上記着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料、又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが好ましく挙げられる。
上記絵柄層の厚みとしては特に限定されず、例えば、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上600μm以下がより好ましい。上記絵柄層の厚みが上記範囲内にあれば、本発明の化粧板に優れた意匠を付与することができ、また隠蔽性を付与することができる。
なお、突板等のように予め上記基材自体が意匠性を備えている場合には、絵柄層を設けなくてもよい。
本発明の化粧板は、上記絵柄層と後述する透明性樹脂フィルムとの間に、接着剤層を有する。
上記接着剤層は、上記絵柄層と、後述する透明性樹脂フィルムとの間に設けられる層であり、紫外線吸収剤を含有することにより、本発明の化粧板に優れた耐候性能を付与することができる。
また、上記接着剤層を有することにより、上記絵柄層と後述する透明性樹脂フィルムとの密着性をより強固にすることもできる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、有機系又は無機系の紫外線吸収剤を用いることができる。なかでも、透明性に優れる有機系の紫外線吸収剤が好適に用いられる。
上記有機系の紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サルチル酸フェニル、4−t−ブチル−フェニル−サリシレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤が挙げられる。
なかでも、耐候性能や意匠性、ブリード抑制等を好適に付与する観点から、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
上記トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、 4,4’,4’’−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリイミノ)トリス安息香酸トリス(2−エチルヘキシル)、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、 N,N’,N’’−トリ(m−トリル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、2,4,6−トリス(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール等が挙げられる。その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤等も用いることができる。或いは、高い透明度を要求されない場合は、無機系紫外線吸収剤を添加することもできる。無機系紫外線吸収剤としては、粒径0.2μm以下の酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄等を用いることもできる。
また、上記紫外線吸収剤の含有量としては、使用する紫外線吸収剤の紫外線吸収能により適宜決定される。
上記紫外線吸収剤としてトリアジン系紫外線吸収剤を用いる場合、上記接着剤層中0.5質量%以上2質量%以下で含有することが好ましい。
上記接着剤層中の含有量が0.5質量%未満であると、耐候性能を十分に付与できないことがあり、上記接着剤層中の含有量が2質量%を超えると、上記接着剤層の透明性が損なわれ化粧板の意匠性が低下したり、上記絵柄層と後述する透明性樹脂フィルムとの密着性が十分に得られず、本発明の化粧板の加工適性が低下したりすることがある。
上記紫外線吸収剤の含有量は、1質量%以上1.5質量%以下であることがより好ましい。
上記接着剤層は、バインダー樹脂を含有することが好ましい。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、アクリル−ウレタン共重合体樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。後述する表面保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物にウレタンアクリレートオリゴマーを配合する場合は、上記絵柄層と後述する透明性樹脂フィルムとの密着性や生産時の効率からウレタン樹脂が好ましい。
上記接着剤層の厚みは特に限定はされないが、厚みが10μm以上であり、かつ、上記透明性樹脂フィルムの前記接着剤層が積層された側に凹凸形状を有する場合、その凹凸形状のJIS B 0601(2001)で定義されるRzmaxよりも大きいことが好ましい。
上記接着剤層の厚みが10μm以上であり、かつ、後述する透明性樹脂フィルムの上記接着剤層が積層された側に有する凹凸形状のJIS B 0601(2001)で定義されるRzmaxよりも大きければ、上記絵柄層と後述する透明性樹脂フィルムとの密着性を好適に確保できる。
一方で、上記接着剤層の厚みが10μm未満であると、上記絵柄層と後述する透明性樹脂フィルムとの密着性を十分に付与できない場合があり、後述する透明性樹脂フィルムの上記接着剤層が積層された側に有する凹凸形状のJIS B 0601(2001)で定義されるRzmaxよりも小さい場合には、上記絵柄層と後述する透明性樹脂フィルムとの間に気泡が入り込み意匠性が低下することがある。
なお、上記接着剤層は、シリカ等の無機微粒子を含んでいてもよい。
上記接着剤層の貼着方法は特に限定されないが、例えば、加熱溶融法や熱ラミネート法、そして水系接着剤や感熱接着剤、感圧接着剤のほか、ホットメルト接着剤等を用いてラミネートすることにより得ることができる。
本発明の化粧板は、上記接着剤層の上記絵柄層が積層された側と反対側に透明性樹脂フィルムが積層されている。
上記透明性樹脂フィルムは、本発明の化粧板に耐久性(耐傷性、耐汚染性、耐候性等)を付与する機能を有する。
上記透明性樹脂フィルムは、上記接着剤層が積層された側と反対側に凹凸形状を有する。上記接着剤層が積層された側と反対側に有する凹凸形状の深さとしては特に限定されないが、例えば、JIS B 0601(1982)に規定される中心線平均粗さRaが1μm以上30μm以下の範囲内になるように適宜調整することが好ましい。
上記透明性樹脂フィルムは、上記接着剤層が積層された側に凹凸形状を有していてもよい。
上記透明性樹脂フィルムは、上記接着剤層が積層された側に凹凸形状を有する場合、その凹凸形状のJIS B 0601(2001)で定義されるRzmaxが、80μm以下であることが好ましい。
上記接着剤層が積層された側に有する凹凸形状のJIS B 0601(2001)で定義されるRzmaxが80μmを超えると、上記絵柄層と上記透明性樹脂フィルムとの間に気泡が入り込みやすくなり、本発明の化粧板の意匠性が低下することがある。
上記接着剤層が積層された側に有する凹凸形状のJIS B 0601(2001)で定義されるRzmaxが60μm以下であることがより好ましい。
なお、上記Rzmaxは、例えば、表面粗さ測定器(「SURFCOM−FLEX−50A」、東京精密社製)を用い、下記の条件により表面粗さRzを測定し、その測定値の最大のものを意味する。
(測定条件)
測定回数:n=5(任意の5点)
算出規格:JIS′01
測定種別:粗さ測定
評価長さ:12.5mm
カットオフ値:2.5mm
測定速度:0.60mm/s
フィルタ種別:ガウシアン
形状除去:直線
λs値:8.0μm
凹凸形状に方向性がある場合には、流れ方向とその垂直方向を測定し、両者で数値の大きなものをRzmaxとする。
上記透明性樹脂フィルムが有する凹凸形状を形成する方法としては特に限定されず、例えば、熱によるエンボス加工、賦形シートによって凹凸形状を転写させる方法等が挙げられる。
熱によるエンボス加工としては、例えば、周知の枚葉、又は、輪転式のエンボス機によるエンボス加工を施す方法が挙げられる。
また、エンボスの柄模様としては、例えば、砂目、ヘアライン、梨地、木目版導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、万線条溝等が挙げられる。
また、エンボス加工する際の温度としては特に限定されないが、加熱圧着成形時に凹凸模様が消失する所謂エンボス戻りが少なくなる温度が好ましい。
また、上記接着剤層が積層された側に凹凸形状を有する場合、上記透明性樹脂フィルムの双方の側について、上記方法により凹凸形状を形成しても良いし、上記透明性樹脂フィルムの一方の側について、上記方法により凹凸形状を形成し、該一方の側に形成した凹凸形状に追従させて他方の側の凹凸形状を形成しても良い。
上記透明性樹脂フィルムの厚みは特に限定されないが、凹凸形状の凹部の厚みが80μm以上であることが好ましい。上記透明性樹脂フィルムの凹凸形状の凹部の厚みが80μm未満であると、本発明の化粧板に十分な耐久性(耐摩耗性、耐傷性)を付与できないことがある。
ここで、上記「凹凸形状の凹部」とは、図2に示したように、上記透明性樹脂フィルムの厚みのうち最も薄い部分を指すものであり、上記透明性樹脂フィルムの断面を顕微鏡観察することにより、確認することができる。
上記透明性樹脂フィルムの凹凸形状の凹部の厚みの上限は特に限定されないが、例えば、500μmであることが好ましい。
上記透明性樹脂フィルムは、より優れた耐久性(耐傷性、耐汚染性、耐候性等)を付与する観点から、熱可塑性樹脂層と表面保護層とを有することが好ましい。
上記熱可塑性樹脂層と上記表面保護層との密着性をより強固にするために、上記熱可塑性樹脂層と上記表面保護層との間にプライマー層を有していても良く、上記絵柄層と上記透明性樹脂フィルムとの密着性をより強固にするために、上記絵柄層と上記透明性樹脂フィルムとの間にもプライマー層を有していても良い。
本発明の化粧板を構成する透明性樹脂フィルム20の好ましい一例について説明する。
上記透明性樹脂フィルム20は、熱可塑性樹脂層22と表面保護層用プライマー層23と表面保護層24が積層され、熱可塑性樹脂層22の表面保護層24を有する側と反対側に接着用プライマー層21を有することが好ましい。
また、上記透明性樹脂フィルム20は、上記絵柄層との密着性を強固にする観点から、上記絵柄層と接着用プライマー層21とが対向して積層されることが好ましい。
以下、上記透明性樹脂フィルムの各構成について説明する。
上記熱可塑性樹脂層は、上記絵柄層を保護する役割を果たす層であり、上記熱可塑性樹脂層は、透明である限り、後述する絵柄層が視認できる範囲であれば、半透明でも着色されていてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナレフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタール酸共重合体樹脂、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体樹脂、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体樹脂等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アイオノマー等が挙げられる。なかでも、引張強度が高く、耐薬品性能に優れ、生産工程面で優れていることからポリプロピレンが好適に用いられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
上記熱可塑性樹脂層は、未延伸であってもよいが必要に応じて1軸延伸又は2軸延伸されたものであってもよい。
また、上記熱可塑性樹脂層の厚みとしては特に限定されないが、好ましい下限は20μm、好ましい上限は500μm未満であり、より好ましい下限は60μm、より好ましい上限は420μmである。上記熱可塑性樹脂層の厚みが20μm未満であると、引張強度が不十分となり上記絵柄層の表面を保護できないことがあり、500μm以上であると、上記透明性樹脂フィルムの透過率が低下し絵柄層の絵柄の視認性が低下してしまうことがある。
上記熱可塑性樹脂層は、1層により構成されていてもよいし、2層以上の層により構成される積層体でもよい。
また、上記熱可塑性樹脂層が複数の層から構成される場合、形成する樹脂の種類は同じであっても異なっていてもよく、また複数の樹脂からなる基材の厚みは同じであっても異なっていてもよい。
上記熱可塑性樹脂層を2層以上に積層する方法としては、一般的な方法であれば限定されず、ドライラミネート法や押出し熱ラミネート等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂層は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、けん化処理、グロー放電処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線(UV)処理、及び火炎処理等の表面処理を行ってもよい。
上記表面保護層は、上記透明性樹脂フィルムに優れた耐久性(耐傷性、耐汚染性、耐候性等)を付与する層であり、より好適に絵柄層の表面保護が可能となり、本発明の化粧板自体の傷付きによる意匠性の低下を好適に防止できる。
なお、上記表面保護層は、単一の層構成であってもよく、同一又は異なる材料からなる複数の層構成であってもよいし、下記に示す材料を混合させてもよい。
上記表面保護層としては、特に限定されないが、例えば、2液硬化型樹脂や電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物からなるものが挙げられ、該架橋硬化物は透明であることが好ましく、透明である限り、前述した絵柄層が視認できる範囲であれば、半透明でも着色されていてもよい。
上記2液硬化型樹脂としては、上記接着剤層のバインダー樹脂を用いればよい。
上記電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和結合又はカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(以下、所謂プレポリマー、マクロモノマー等も包含する)及び/又は分子中にラジカル重合性不飽和結合又はカチオン重合性官能基を有するモノマーが好ましく用いられる。なお、ここで電離放射線とは、分子を重合或いは架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子を意味し、通常は、電子線(EB)又は紫外線(UV)が一般的である。
上記オリゴマー又はモノマーとしては、例えば、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。これらオリゴマー、モノマーは、単独で用いるか、或いは複数種混合して用いることができる。なお、本明細書において、上記(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
上記分子中にラジカル重合性不飽和基を有するオリゴマーとしては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレー
ト、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート等のオリゴマーが好ましく使用でき、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーがさらに好ましい。分子量としては、通常250〜10万程度のものが用いられる。
また、上記分子中にラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、多官能モノマーが好ましく、多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート{5官能(メタ)アクリレート}、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート{6官能(メタ)アクリレート}等が挙げられる。ここで、多官能モノマーとは、複数のラジカル重合性不飽和基を有するモノマーをいう。
本発明において、上述の電離放射線硬化性樹脂組成物がウレタンアクリレートオリゴマー及び多官能モノマーからなる電離放射線硬化性樹脂成分を含むことがさらに好ましく、電離放射線硬化性樹脂成分として、ウレタンアクリレートオリゴマー/多官能モノマー(質量比)が6/4〜9/1であることが特に好ましい。この質量比の範囲であれば、耐擦傷性により優れたものにできる。
なお、必要に応じ、上記電離放射線硬化性樹脂成分に加えて、単官能モノマーを本発明の目的に反しない範囲で適宜使用しても良い。
上記単官能モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記電離放射線硬化性樹脂組成物を紫外線にて架橋させる場合、電離放射線硬化性樹脂組成物に光重合開始剤を添加することが好ましい。
上記電離放射線硬化性樹脂組成物がラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合、上記光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用いることができる。
また、上記電離放射線硬化性樹脂組成物がカチオン重合性不飽和基を有する樹脂系の場合、上記光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。なお、これらの光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬化性樹脂成分100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
なお、上記電離放射線硬化性樹脂組成物には、更に必要に応じて各種添加剤を加えても良い。これらの添加剤としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、ワックス、弗素樹脂等の滑剤、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、染料、顔料等の着色剤等である。
なお、電離放射線の電子線源としては、例えば、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、70〜1000keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用できる。また、電子線の照射線量は、例えば、1〜10Mrad程度であることが好ましい。
また、上記電離放射線の紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用でき、上記紫外線の波長としては通常190〜380nmの波長域が主として用いられる。
上記表面保護層の厚みとしては特に限定されないが、好ましい下限は0.1μm、好まし上限は50μmであり、より好ましい下限は1μm、より好ましい上限は30μmである。上記表面保護層の厚みが0.1μm未満であると、十分に耐久性(耐傷性、耐汚染性、耐候性等)を付与することができないことがあり、50μmを超えると、上記透明性樹脂フィルムの透過率が低下し絵柄層の絵柄の視認性が低下してしまうことがある。
上記プライマー層(接着用プライマー層21及び表面保護層用プライマー層23)は、バインダー樹脂を含有することが好ましい。
上記プライマー層(接着用プライマー層21及び表面保護層用プライマー層23)に含有されるバインダー樹脂としては、上述した接着剤層で用いられるバインダー樹脂を好適に用いることができる。
上記プライマー層(接着用プライマー層21及び表面保護層用プライマー層23)は、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
特に上記接着用プライマー層21が紫外線吸収剤を含有することにより、本発明の化粧板に好適に耐候性を付与することができる。
上記紫外線吸収剤としては、上述した接着剤層で用いられる紫外線吸収剤を好適に用いることができる。
上記透明性樹脂フィルムの厚みは特に限定されないが、凹凸形状の凹部の厚みが80μm以上であることが好ましい。上記透明性樹脂フィルムの凹凸形状の凹部の厚みが80μm未満であると、本発明の化粧板に十分な耐久性(耐摩耗性、耐傷性)を付与できないことがある。
ここで、上記「凹凸形状の凹部」とは、上記透明性樹脂フィルムの厚みのうち最も薄い部分を指すものであり、図2に示したように、表面保護層24の凹凸形状の最も深い凹部を含む部分であり、上記透明性樹脂フィルム20の断面を顕微鏡観察することにより、確認することができる。なお、上記透明性樹脂層20の表面保護層24側の凹凸形状の最も深い凹部の底から、反対側の面までの長さが「凹凸形状の凹部の厚み」である。
なお、表面保護層24側の面から凹凸形状を形成することで、反対側の面にまで凹凸形状が生じている場合には、図3に示すように、上記透明性樹脂層20の表面保護層24側の凹凸形状の最も深い凹部に対応して反対側の面には突起部が発生することになるが、透明性樹脂層20の表面保護層24側の凹凸形状の最も深い凹部の底から、このような突起部の存在する反対側の面までの長さが「凹凸形状の凹部の厚み」となる。
上記透明性樹脂フィルムの凹凸形状の凹部の厚みの上限は特に限定されないが、例えば、500μmであることが好ましい。
なお、図2に示したように、表面保護層24を有する側の面から、反対側の面までの長さが上記透明性樹脂フィルム20の総厚みである。該総厚みの好ましい下限は100μm、好ましい上限は500μmであり、より好ましい下限は140μm、より好ましい上限は460μmである。
上記プライマー層(接着用プライマー層21及び表面保護層用プライマー層23)は、厚みが0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。0.5μm以上であれば、上記透明性樹脂フィルムと上記表面保護層又は上記絵柄層との密着性を好適に確保でき、10μm以下であれば、上記透明性樹脂フィルムが厚くなり過ぎず、十分な透明性が得られ、化粧板の意匠性が好適に確保できる。
本発明の化粧板の製造方法としては、例えば、加熱溶融法や熱ラミネート法、そして水系接着剤や感熱接着剤、感圧接着剤の他、ホットメルト接着剤、上述した接着剤層を形成する接着剤等を用いて、上記基材、上記絵柄層、及び、上記透明性樹脂フィルムを積層させる方法等が挙げられる。
なかでも、上記透明性樹脂フィルムの上記絵柄層が積層された側の面に上記接着剤層を形成する工程、及び、上記接着剤層を介して、上記透明性樹脂フィルムと上記絵柄層とを貼り合わせる工程を有することが好ましい。
このような本発明の化粧板を製造する方法もまた、本発明の一態様である。
上記透明性樹脂フィルムの上記接着剤層が積層された側に凹凸形状を有する場合には、上記凹凸形状に空気が入り込む、いわゆるエアガミが発生し、意匠性が低下することがある。
本発明の化粧板の製造方法では、上記透明性樹脂フィルムの上記絵柄層に積層される側の面に接着剤層を形成する工程を有するので、上記凹凸形状の凹部にも接着剤層を入り込ますことができ、上述したエアガミの発生を防止し、意匠性の低下を抑制することができる。
本発明の化粧板の厚みとしては特に限定されず、例えば、0.05mm以上が好ましく、1mm以上50mm以下であることがより好ましい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
透明ポリプロピレンフィルム(厚み60μm)を用意し、該透明ポリプロピレンフィルムの一方の面に、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂を塗工し、厚み2μmの接着用プライマー層を得た。次いで、透明ポリプロピレンフィルムのもう一方の面(接着用プライマー層の反対面側)に、透明ポリプロピレン系樹脂(厚み80μm)を溶融押し出し、それらを熱ラミネート方式で積層した。
上記透明ポリプロピレン系樹脂(厚み80μm)の表面(接着用プライマーの反対面側)にコロナ処理を施した後、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂であるプライマーを厚み2μmとなるように塗工した。
その後、プライマーを塗工した面に表面保護層として電離放射線硬化型樹脂であるウレタンアクリレートオリゴマーをグラビアコート方式で塗工した後、加速電圧165keV、5Mradの条件で電子線を照射し、厚み15μmの表面保護層を形成した。
上記表面保護層側を赤外線非接触方式のヒーターで加熱した後、直ちに熱圧によるエンボス加工を行い、凹凸形状を賦形し、透明性樹脂フィルムを作成した。得られた透明性樹脂フィルムは、厚みが159μmであり、凹凸形状の凹部の厚みが100μm、Rzmaxは40μmであった。
その一方で、HDF(高密度繊維板)(厚み3mm)を用意し、上記HDFの一方の面に、インクジェットプリンターにて厚み2μmの絵柄層を設けて基材を準備した。
得られた透明性樹脂フィルムの接着用プライマー層を有する側の面に、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ポリエステル樹脂を塗布して厚み50μmの接着剤層を形成し、得られた透明性樹脂フィルムの接着用プライマー層と上記絵柄層とが対向するように積層した。このとき、上記2液硬化型ポリエステル樹脂に、トリアジン系紫外線吸収剤(製品名アデカスタブLA−46、ADEKA社製)を1質量%となるように添加した。
その後、10kg/mの圧力を掛け3日間、常温環境下で養生し、化粧板を得た。
(実施例2)
2液硬化型ポリエステル樹脂に、トリアジン系紫外線吸収剤(製品名アデカスタブLA−46、ADEKA社製)を0.5質量%なるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして化粧板を作製した。得られた透明性樹脂フィルムの厚み、凹凸形状の凹部の厚みは表1に示す通りであった。
(実施例3)
2液硬化型ポリエステル樹脂に、トリアジン系紫外線吸収剤(製品名アデカスタブLA−46、ADEKA社製)を2質量%なるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして化粧板を作製した。得られた透明性樹脂フィルムの厚み、凹凸形状の凹部の厚みは表1に示す通りであった。
(実施例4)
透明ポリプロピレンフィルム(厚み60μm)に代えて、透明ポリプロピレンフィルム(厚み50μm)を用い、上記透明ポリプロピレンフィルム(厚み50μm)の一方の面に、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂を塗工し、厚み2μmの接着用プライマー層を得た。次いで、上記透明ポリプロピレンフィルム(厚み50μm)のもう一方の面(接着用プライマー層の反対面側)に、透明ポリプロピレン系樹脂(厚み50μm)を溶融押し出し、それらを熱ラミネート方式で積層した。その後、実施例1と同様にして表面保護層用プライマー層及び表面保護層を形成した後、実施例1とは異なる浅いエンボス版にてエンボス加工を行い、透明性樹脂フィルムを得た。
得られた透明性樹脂フィルムの接着用プライマー層を有する側の面に、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ポリエステル樹脂を塗布して厚み10μmの接着剤層を形成し、得られた透明性樹脂フィルムの接着用プライマー層と絵柄層とが対向するように積層した。
上記以外は実施例1と同様にして化粧板を作製した。得られた透明性樹脂フィルムの厚み、凹凸形状の凹部の厚みは表1に示す通りであった。
(実施例5)
2液硬化型ポリエステル樹脂に、トリアジン系紫外線吸収剤(製品名アデカスタブLA−46、ADEKA社製)を0.5質量%なるように添加したこと以外は、実施例4と同様にして化粧板を作製した。得られた透明性樹脂フィルムの厚み、凹凸形状の凹部の厚みは表1に示す通りであった。
(実施例6)
透明ポリプロピレンフィルム(厚み60μm)を用意し、該透明ポリプロピレンフィルムの一方の面に、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂を塗工し、厚み2μmの接着用プライマー層を得た。次いで、透明ポリプロピレンフィルムのもう一方の面(接着用プライマー層の反対面側)に、透明ポリプロピレン系樹脂(厚み60μm)を溶融押し出し、それらを熱ラミネート方式で積層した。
その後、実施例1と同様にして表面保護層用プライマー層及び表面保護層を形成した後、実施例1とは異なる浅いエンボス版にてエンボス加工を行い、透明性樹脂フィルムを得た。
得られた透明性樹脂フィルムの接着用プライマー層を有する側の面に、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ポリエステル樹脂を塗布して厚み40μmの接着剤層を形成し、得られた透明性樹脂フィルムの接着用プライマー層と絵柄層とが対向するように積層した。このとき、上記2液硬化型ポリエステル樹脂に、トリアジン系紫外線吸収剤(製品名アデカスタブLA−46、ADEKA社製)を0.5質量%となるように添加した。
上記以外は実施例1と同様にして化粧板を作製した。得られた透明性樹脂フィルムの厚み、凹凸形状の凹部の厚みは表1に示す通りであった。
(実施例7)
2液硬化型ポリエステル樹脂に添加する紫外線吸収剤を、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(製品名アデカスタブLA−36、ADEKA社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして化粧板を作製した。得られた透明性樹脂フィルムの厚み、凹凸形状の凹部の厚みは表1に示す通りであった。
(比較例1)
2液硬化型ポリエステル樹脂への紫外線吸収をしないこと以外は、実施例4と同様に化粧板を得た。得られた透明性樹脂フィルムの厚み、凹凸形状の凹部の厚みは表1に示す通りであった。
(実施例8)
実施例4とは異なる深いエンボス版にてエンボス加工を行ったこと以外は実施例4と同様に透明性樹脂フィルム及び化粧板を作製した。得られた透明性樹脂フィルムの厚み、凹凸形状の凹部の厚みは表1に示す通りであった。
(実施例9)
透明ポリプロピレンフィルム(厚み60μm)に代えて、透明ポリプロピレンフィルム(厚み80μm)を用い、上記透明ポリプロピレンフィルム(厚み80μm)の一方の面に、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂を塗工し、厚み2μmの接着用プライマー層を得た。次いで、上記透明ポリプロピレンフィルム(厚み80μm)のもう一方の面(接着用プライマー層の反対面側)に、透明ポリプロピレン系樹脂(厚み80μm)を溶融押し出し、それらを熱ラミネート方式で積層した。その後、実施例1と同様にして表面保護層用プライマー層及び表面保護層を形成した後、実施例1とは異なる深いエンボス版にてエンボス加工を行い、透明性樹脂フィルムを得た。
得られた透明性樹脂フィルムの接着用プライマー層を有する側の面に、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ポリエステル樹脂を塗布して厚み100μmの接着剤層を形成し、得られた透明性樹脂フィルムの接着用プライマー層と絵柄層とが対向するように積層した。
上記以外は実施例2と同様にして化粧板を作製した。得られた透明性樹脂フィルムの厚み、凹凸形状の凹部の厚みは表1に示す通りであった。
(実施例10)
実施例4と同様にして得た透明性樹脂フィルムの接着用プライマー層を有する側の面に、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ポリエステル樹脂を塗布して厚み5μmの接着剤層を形成し、得られた透明性樹脂フィルムの接着用プライマー層と絵柄層とが対向するように積層した。
上記以外は実施例4と同様にして化粧板を作製した。得られた透明性樹脂フィルムの厚み、凹凸形状の凹部の厚みは表1に示す通りであった。
(実施例11)
2液硬化型ポリエステル樹脂に、トリアジン系紫外線吸収剤(製品名アデカスタブLA−46、ADEKA社製)を3質量%なるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして化粧板を作製した。得られた透明性樹脂フィルムの厚み、凹凸形状の凹部の厚みは表1に示す通りであった。
<Rzmaxの測定>
実施例1〜12並びに比較例1及び2で得られた化粧板における透明性樹脂フィルムの絵柄層が積層される側に有する凹凸形状のJIS B 0601(2001)で定義されるRzmaxは、表面粗さ測定器(「SURFCOM−FLEX−50A」、東京精密社製)を用い、下記の条件で測定した。
(測定条件)
測定回数:n=5(任意の5点)
算出規格:JIS′01
測定種別:粗さ測定
評価長さ:12.5mm
カットオフ値:2.5mm
測定速度:0.60mm/s
フィルタ種別:ガウシアン
形状除去:直線
λs値:8.0μm
凹凸形状に方向性がある場合には、流れ方向とその垂直方向を測定し、両者で数値の大きなものをRzmaxとした。
(評価方法)
<耐摩耗性(テーバー摩耗試験)>
実施例及び比較例で得られた化粧板について、フローリングの日本農林規格;摩耗A試験に準拠し、テーバー式摩耗試験機(理学工業(株)製)と摩耗輪(S−42)を用いて荷重1kgで試験を行い、1000回転させた時の絵柄模様層の柄残りを評価した。その結果を表1に示した。
++:絵柄模様層が8割以上残っている
+:絵柄模様層が半分以上8割未満以上残っている
−:絵柄模様層が半分未満残っている
<耐候性試験後の色差>
実施例及び比較例で得られた化粧板を、下記の条件に設定した超促進耐候試験機(岩崎電気(株)製 アイスーパーUVテスター)に投入し、20時間照射と4時間結露を1サイクルとし、17サイクル運転した後、取り出した。
(促進試験条件)
・ブラックパネル温度:63℃
・湿度:50%RH
・照射強度:60W/m(365nm)
その後、上記促進試験の前後の化粧板の色差変化を、色彩色差計(ミノルタ(株)製CR−300)で測定した。すなわち、促進試験前後の化粧板のL値、a値、b値を測定し、下記式1により色差変化ΔEを算出した。その結果を表1に示した。
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2 式1
++:ΔE<1.0
+:1.0≦ΔE<1.5
−:ΔE≧1.5
ΔL=|L値(耐候性試験後)−L値(耐候性試験前)|
Δa=|a値(耐候性試験後)−a値(耐候性試験前)|
Δb=|a値(耐候性試験後)−a値(耐候性試験前)|
<意匠性>
実施例及び比較例で得られた化粧板について、印刷柄を目視にて評価した。その結果を表1に示した。
+++:印刷柄が明瞭に見える
++:印刷柄が僅かに曇って見える
+:印刷柄が僅かに黄変して見える
−:印刷柄が明瞭に見えない
<加工適性(密着強度)>
実施例及び比較例について、得られた透明性樹脂フィルムの凹凸形状を有する側と反対側面と、基材の絵柄層を備える面とが接するように積層した際に、密着強度を評価した。その結果を表1に示した。
++:問題なく密着していた(密着強度20N/25mmを超える)
+:密着強度が僅かに弱かった(密着強度15N/25mm以上、20N/25mm以下)
−:密着強度が非常に弱かった(密着強度15N/25mm未満)
密着強度は、実施例及び比較例にて得られた化粧板について、テンシロン万能試験機「RTC−1250A」(オリエンテック製)を用いて、引張速度200mm/min、剥離角度180°方向で透明性樹脂フィルムと、絵柄層が積層された基材との間を剥がした際の剥離強度[N/25mm幅]の最大値を測定し、密着強度とした。
Figure 0006787464
表1より、実施例1〜11で得られた化粧板では、耐候性に優れることが確認された。
特に、透明性樹脂フィルムの凹凸形状の凹部の厚み、及び、Rzmax、並びに、接着剤層の厚みが所定の範囲であり、トリアジン系紫外線吸収剤を用いた実施例1〜6では、耐摩耗性、意匠性及び加工適性においても優れていた。
一方で、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いた実施例7では、黄変が生じてしまい、意匠性においてわずかに劣っており、また、加工特性においても劣っていた。また、透明性樹脂フィルムの凹凸形状の凹部が80μm未満であった実施例8では、耐摩耗性において劣っていた。また、透明性樹脂フィルムのRzmaxが80μmを超える実施例9、接着剤層の厚みが10μm未満の実施例10では、エアガミが発生したため意匠性において劣っていた。また、接着剤層に紫外線吸収剤を3質量%含有する実施例11では、透明性が低下してしまい、意匠性において劣っていた。
紫外線吸収剤を含有する層を有さない比較例1では、耐候性において劣っていた。
本発明によれば、耐候性にも優れる化粧板を提供できる。本発明の化粧板は、耐候性にも優れるので建材である建具や引き戸等の扉、床剤、壁、天井、そして様々な加飾成型体等に好適に用いられる。
10 化粧板
11 基材
12 絵柄層
13 接着剤層
20 透明性樹脂フィルム
21 接着用プライマー層
22 熱可塑性樹脂層
23 表面保護層用プライマー層
24 表面保護層

Claims (7)

  1. 厚み方向において、基材、絵柄層、接着剤層、及び、透明性樹脂フィルムがこの順に積層されている化粧板であって、
    前記透明性樹脂フィルムは、前記接着剤層が積層された側と反対側に凹凸形状を有し、
    前記凹凸形状の凹部の厚みは、80μm以上であり、
    前記接着剤層は、紫外線吸収剤を含有する
    ことを特徴とする化粧板。
  2. 前記透明性樹脂フィルムは、前記接着剤層が積層された側に凹凸形状を有する請求項記載の化粧板。
  3. 前記接着剤層の厚みは、10μm以上であり、かつ、前記透明性樹脂フィルムの前記接着剤層が積層された側に有する凹凸形状のJIS B 0601(2001)で定義されるRzmaxよりも大きい請求項記載の化粧板。
  4. 前記透明性樹脂フィルムの前記接着剤層が積層された側に有する凹凸形状のJIS B 0601(2001)で定義されるRzmaxが、80μm以下である請求項又は記載の化粧板。
  5. 前記接着剤層は、紫外線吸収剤を0.5質量%以上2質量%以下で含有する請求項1、2、3又は4記載の化粧板。
  6. 前記接着剤層に含有される紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤である請求項1、2、3、4又は5記載の化粧板。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の化粧板の製造方法であって、
    透明性樹脂フィルムの絵柄層が積層された側の面に接着剤層を形成する工程、及び、
    前記接着剤層を介して、前記透明性樹脂フィルムと前記絵柄層とを貼り合わせる工程を有する
    ことを特徴とする化粧板の製造方法。
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