JP6787039B2 - 多層構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア性樹脂層を有する多層構造体の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、高レベルのガスバリア性と透明性を有する多層構造体の製造方法に関するものである。
食品や様々な物品を包装するための包装材料には、多様な包装形態を達成すべく、任意の形状に加工することが容易なポリオレフィン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂が多用されている。さらに食品の鮮度や品質を長期間保つため、酸素の透過を防ぐガスバリア層を設け、酸素等の透過を防止していた。
かかるガスバリア層として、ポリアミド系樹脂からなる層や、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、EVOHと称することがある)等のガスバリア性樹脂からなる層が使用されている。これらの樹脂は透明性を有し、かつ熱可塑性を有するため、溶融成形により多様な製品を工業生産することが可能であり、広く包装材料に用いられている。
ここで、EVOHは水酸基を豊富に有し、ポリアミド系樹脂はアミド結合を豊富に有するため、それぞれ水素結合を有し酸素の透過を阻害するためガスバリア性に優れる。しかしながら、樹脂内に水が浸入すると樹脂間の水素結合が弱まり、ガスバリア性が低下するため、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂でEVOHやポリアミド系樹脂等のガスバリア性樹脂を挟持した多層構造体として各種包装用途へ用いられることが多い。
特開昭54−087783号公報 特開2003−073506号公報 特開2012−172047号公報
近年の成形技術の進歩に伴う包装材の多機能多層化や、廃棄物削減要求に伴う包装材の薄膜化に伴い、多層構造体におけるガスバリア性樹脂層の厚みを薄くすることが求められている。しかしながら、このような多層構造体のガスバリア性能は、ガスバリア性樹脂層の厚みに依存するため、ガスバリア性樹脂層の厚みを薄くすると所望のガスバリア性が得られ難い傾向があった。
本発明者らは、上記のようにガスバリア性樹脂層の厚みが薄い場合であっても高度なガスバリア性を得るために、種々の手法を鋭意検討した結果、多層構造体におけるガスバリア性樹脂層の結晶化度を高める点に着目した。しかしながら、単にガスバリア性樹脂層の結晶化度を高めることでガスバリア性能を向上させる場合、フィルムの透明度が低下する傾向がある。そこで、ガスバリア性樹脂層の厚みが薄い場合であっても、高度なガスバリア性と透明性を有する多層構造体が求められていた。
本発明者らは上記事情に鑑みさらに鋭意検討の結果、エチレン構造単位の含有量が20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物およびポリアミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つを含むガスバリア性樹脂層を含む多層構造体を製造するにあたり、空冷インフレーション成形法を採用し、かつ前記多層構造体が溶融状態でダイスから押出されてからフロストラインに到達するまでに長時間をかけることで、高度なガスバリア性を有し、かつ透明性が高い良好な多層構造体を得ることが可能となることを見出した。
このような多層構造体をインフレーション成形法にて得る場合、溶融樹脂が円形のダイスからチューブ状に押出された後、TD方向(フィルムの流れ方向対して垂直方向)に内圧で膨らませる。このとき、ガスバリア性樹脂層の厚みが薄くなることで、TD方向に膨らみやすくなり、フィルム物性の異方性が出るのを防ぐことを目的に、ダイスからフロストラインに到達するまでの時間を短く設定することが一般的であった。
しかしながら、本発明者らは空冷インフレーション法を採用し、かつ前記多層構造体が溶融状態でダイスから吐出されてから、あえて長時間をかけてフロストラインに到達させることで、ガスバリア性樹脂層を長時間をかけてインフレーションされながら結晶化させた結果、高度なガスバリア性と透明性を有する多層構造体が得られるものと推測される。
すなわち、本発明の要旨は、エチレン構造単位の含有量が20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物およびポリアミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つを含むガスバリア性樹脂層を含む多層構造体の製造方法であって、前記製造方法が空冷式インフレーション法であり、前記多層構造体がインフレーション成形機のダイスより押出されてからフロストラインに到達するまでの時間が、3秒以上であることを特徴とする多層構造体の製造方法に存する。
本発明の、エチレン構造単位の含有量が20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物およびポリアミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つを含むガスバリア性樹脂層を含む多層構造体の製造方法であって、前記製造方法が空冷式インフレーション法であり、前記多層構造体がインフレーション成形機のダイスより押出されてからフロストラインに到達するまでの時間が、3秒以上である多層構造体の製造方法を採用することにより、高度なガスバリア性と透明性を有する多層構造体が得られる。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
本発明は、ガスバリア性樹脂層を含む多層構造体の製造方法を提供するものである。かかる多層構造体の各層について説明する。
<ガスバリア性樹脂層>
本発明におけるガスバリア性樹脂層に用いるガスバリア性樹脂としては、具体的にはエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物、ポリアミド樹脂などが挙げられる。EVOHは水酸基を豊富に有し、ポリアミド系樹脂はアミド結合を豊富に有するため、それぞれ水素結合を有し酸素の透過を阻害するためガスバリア性に優れる。しかしながら、樹脂内に水が浸入すると樹脂間の水素結合が弱まり、ガスバリア性が低下する傾向がある。
中でも、透明性が高く、廃棄面での問題が少ない、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、EVOHと表記することがある)が好ましい。
本発明でガスバリア性樹脂として用いるEVOHについて説明する。
本発明で用いるEVOHは、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させた後にケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いることができるが、一般的にはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行ない得る。
すなわち、本発明で用いるEVOHは、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、場合によってはケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、市場からの入手のしやすさや製造時の不純物の処理効率がよい点から、代表的には酢酸ビニルが用いられる。この他、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等があげられ、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルである。これらは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
EVOHにおけるエチレン構造単位の含有量は、ISO14663に基づいて測定した値であり、通常20〜60モル%、好ましくは25〜50モル%、特に好ましくは25〜40モル%、殊更に好ましくは25〜30モル%である。かかる含有量が少なすぎると、高湿時のガスバリア性、溶融成形性が低下する傾向があり、逆に多すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。
EVOHにおけるビニルエステル成分のケン化度は、JIS K6726(ただし、EVOHは水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて測定した値であり、通常90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%、特に好ましくは99〜100モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合にはガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
また、上記EVOHのメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は、通常0.5〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは3〜35g/10分である。かかるMFRが高すぎると、製膜性が低下する傾向がある。また、MFRが低すぎると溶融押出が困難となる傾向がある。
また、本発明に用いられるEVOHは、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば10モル%以下)で、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。
上記コモノマーは、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類や、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−メチレンプロパン−1,3−ジオール等のヒドロキシ基含有オレフィン類や、そのエステル化物である、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、2−アセトキシ−1−アリルオキシ−3−ヒドロキシプロパン、3−アセトキシ−1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート類、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンモノビニルエーテル、グリセリンモノイソプロペニルエーテル等のグリセリンモノ不飽和アルキルエーテル類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタアクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル等のハロゲン化アリル化合物類、アリルアルコール、ジメトキシアリルアルコール等のアリルアルコール類、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のコモノマーがあげられる。
さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOHを用いることもできる。
特に、ヒドロキシ基含有オレフィン類を共重合したEVOHは、二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも側鎖に1級水酸基を有するEVOH、特には、1,2−ジオールを側鎖に有するEVOHが好ましい。
また、本発明で使用されるEVOHは、異なる他のEVOHとの混合物であってもよく、上記他のEVOHとしては、エチレン構造単位の含有量が異なるもの、ケン化度が異なるもの、メルトフローレート(MFR)が異なるもの、他の共重合成分が異なるもの等をあげることができる。
本発明でガスバリア性樹脂層として用いるポリアミド樹脂について説明する。
本発明で使用されるポリアミド樹脂は、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)等のホモポリマーがあげられる。また、共重合ポリアミド樹脂としては、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)等の脂肪族ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体、ポリ−P−フェニレンテレフタルアミドや、ポリ−P−フェニレン・3−4'ジフェニルエーテルテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド、非晶性ポリアミド、これらのポリアミド樹脂をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族アミンで変性したものやメタキシリレンジアンモニウムアジペート等があげられる。あるいは、これらの末端変性ポリアミド樹脂であってもよく、好ましくは末端変性ポリアミド樹脂である。
上記末端変性ポリアミド樹脂とは、具体的には例えば、炭素数1〜22の炭化水素基で変性された末端変性ポリアミド樹脂であり、市販のものを用いてもよい。より詳細には、例えば末端変性ポリアミド樹脂の末端COOH基の数[X]と、末端CONR12基(但し、R1は炭素数1〜22の炭化水素基、R2は水素原子または炭素数1〜22の炭化水素基)の数[Y]が、
100×Y/(X+Y)≧5
を満足する末端変性ポリアミド樹脂が好ましく用いられる。
上記末端変性ポリアミド樹脂は、通常の未変性ポリアミド樹脂のカルボキシル基を末端調整剤によりN−置換アミド変性したものであり、変性前のポリアミド樹脂が含有していたカルボキシル基の総数に対して5%以上変性されたポリアミド樹脂である。かかる変性量が少なすぎると、ポリアミド樹脂中のカルボキシル基が多く存在することとなり、かかるカルボキシル基が溶融成形時にEVOHと反応してゲル等を発生し、得られたフィルムの外観が不良となりやすい傾向がある。かかる末端変性ポリアミド樹脂は、例えば特公平8−19302号公報に記載の方法にて製造することができる。
本発明におけるガスバリア性樹脂層においては、上記ガスバリア性樹脂をマトリクスとした樹脂組成物を用いることも可能である。この時、ガスバリア性樹脂の量は、ガスバリア性樹脂層全体に対して通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。かかる量が少なすぎる場合は、本発明の効果が充分に得られない傾向がある。
特に、本発明の多層構造体を熱水殺菌処理食品の包装材として用いた場合、上記包装材の熱水殺菌処理後に、包装材端部にてガスバリア性樹脂層のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物が溶出することを防止する目的で、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とポリアミド樹脂を混合することが好ましい。ポリアミド樹脂は、アミド結合がエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物のOH基および/またはエステル基との相互作用によりネットワーク構造を形成することが可能であり、これにより、熱水殺菌処理時のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の溶出を防止することができる。従って、レトルト食品やボイル食品の包装材として本発明の多層構造体を用いる場合には、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物とポリアミド樹脂を混合することが好ましい。エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物/ポリアミド樹脂の含有比は、重量比にて通常99/1〜70/30であり、好ましくは97/3〜75/25、特に好ましくは95/5〜85/15である。ポリアミド樹脂の重量比率が大きすぎる場合には、ロングラン成形性およびガスバリア性が低下する傾向がある。ポリアミド樹脂の重量比率が小さすぎる場合には、熱水殺菌処理後のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の溶出抑制効果が低下する傾向がある。
上記ガスバリア性樹脂層には、本発明の趣旨を阻害しない範囲内(例えば、30重量%以下、好ましくは10重量%以下)において、従来公知の可塑剤、フィラー、クレー(モンモリロナイト等)、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核材、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を含んでいてもよい。
<疎水性熱可塑性樹脂層>
本発明における多層構造体は、疎水性熱可塑性樹脂層を有することが好ましい。かかる疎水性熱可塑性樹脂層に用いる疎水性熱可塑性樹脂は、上記ガスバリア性樹脂以外の公知一般の非水溶性熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体等のポリエチレン系樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合体ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリペンテン、ポリ環状オレフィン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等のエラストマー;エチレン−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル基または酸無水物基を含有するポリオレフィン樹脂等の接着性樹脂等が挙げられる。
本発明の効果を効果的に得られる点で好ましくはポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の疎水性熱可塑性樹脂である。特に好ましくはポリオレフィン系樹脂であり、殊に好ましくはポリエチレン系樹脂である。
上記ポリオレフィン系樹脂の密度は限定されないが、通常0.85g/cm3〜0.96g/cm3、好ましくは0.87g/cm3〜0.95g/cm3である。また、ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は特に限定されないが、成形性の点から通常0.01〜50g/10分、さらには0.1〜10g/10分のものが好ましい。かかるMFRは、ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂の場合は190℃、荷重2.16kgでの値を意味し、ポリプロピレン系樹脂の場合は230℃、荷重2.16kgでの値を意味する。
上記疎水性熱可塑性樹脂層には、本発明の趣旨を阻害しない範囲内(例えば、30重量%以下、好ましくは10重量%以下)において、従来公知の可塑剤、フィラー、クレー(モンモリロナイト等)、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核材、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を含んでいてもよい。
<接着性樹脂層>
本発明における多層構造体は、ガスバリア性樹脂層と疎水性熱可塑性樹脂層間に接着性樹脂層を有することが好ましい。かかる接着性樹脂層に用いる接着性樹脂は、公知一般の接着性樹脂を用いることができ、一般にはカルボキシル基または酸無水物基を含有するポリオレフィン系樹脂を用いる。
かかる樹脂は、例えばオレフィンモノマーとカルボキシル基または酸無水物基を有するモノマーを共重合したり、ポリオレフィン系樹脂にカルボキシル基または酸無水物基を有するモノマーをグラフトしたりすることにより得られる。
カルボキシル基としては、例えば、不飽和ジカルボン酸や不飽和モノカルボン酸が挙げられる。具体的には、不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、ハイミック酸、シトラコン酸、イタコン酸等が挙げられ、不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、ブタン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、ドデセン酸、リノール酸、アンゲリカ酸、けい皮酸等が挙げられる。また酸無水物基としては、例えば、前記の不飽和ジカルボン酸または不飽和モノカルボン酸の酸無水物が挙げられ、具体的には、無水マレイン酸、無水ハイミック酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸の無水物等が挙げられる。カルボキシル基または酸無水物基は2種以上が併用されていても良い。これらのうち、特に無水マレイン酸は、ガスバリア性樹脂層との接着性が良いことから好適である。
カルボキシル基または酸無水物基を含有するポリオレフィン系樹脂(A)の原料として用いるポリオレフィン樹脂(以下、ベース樹脂と称する場合がある)は上記したポリオレフィン系樹脂を用いることが可能である。
かかるベース樹脂としては例えば、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレンと他のモノマーとの共重合体、プロピレンと他のモノマーとの共重合体等が挙げられ、他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数3〜20程度のα―オレフィンや、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/またはメタクリル酸を意味する。
かかる接着性樹脂の密度は、通常0.85g/cm3〜0.96g/cm3、好ましくは0.87g/cm3〜0.95g/cm3である。また、ポリオレフィン樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、成形性の点から通常0.01〜50g/10分、さらには0.1〜10g/10分のものが好ましい。ここで、ベース樹脂のMFRは、ベース樹脂がエチレン系重合体またはブテン系重合体の場合は190℃、荷重2.16kgでの値を意味し、ベース樹脂がプロピレン系重合体の場合は230℃、荷重2.16kgでの値を意味する。
<多層構造体の製造方法>
本発明は、エチレン構造単位の含有量が20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物およびポリアミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つを含むガスバリア性樹脂層を含む多層構造体を製造するにあたり、空冷インフレーション成形法を採用し、かつ前記多層構造体が溶融状態でダイスから押出されてからフロストラインに到達するまでに長時間をかけてインフレーションされながら結晶化することで、高度なガスバリア性を有し、かつ透明性が高い良好な多層構造体を得ることが可能となる。
以下、かかる多層構造体の製造方法ついて説明する。空冷インフレーション成形法では、通常、(1)所望の多層構造体を構成するように複数の押出機により溶融した樹脂を、ダイスから多層構造体として押出す工程、(2)押出した溶融状態の多層構造体に空気を供給し、インフレーション(バブル状に膨らませて延伸)する工程、(3)エアリングから冷却風を吹付け、冷却する工程、(4)得られた多層構造体を引き取る工程、を有する。
このとき、多層構造体が溶融状態から固体状態へと変化する境目をフロストラインという。かかるフロストラインは樹脂の屈折率が変化する位置であるため、目視で識別することが可能である。そしてかかるフロストラインの位置は、冷却風のエアリングの位置、冷却風の風向き、風量、温度等により調節することが可能である。
かかる空冷インフレーション成形法は、一般に重力に逆らう方向に実施される。すなわち、上記工程(1)におけるダイス口は通常重力に逆らう方向に設けられ、上記工程(2)における空気は通常重力に逆らう方向、すなわち下方から上方に向かって流される。
上記押出機温度は、通常150〜300℃、好ましくは180〜250℃の範囲から選択される。上記ダイス温度は通常150〜300℃、好ましくは180〜250℃である。かかる温度が高すぎる場合、用いる樹脂が熱劣化しやすくなる傾向があり、低すぎる場合、用いる樹脂が未溶融となりやすい傾向がある。
本発明においては、多層構造体が溶融状態で上記ダイスより押し出されてから上記フロストラインに到達するまでの時間を3秒以上とすることが最も重要である。好ましくは4〜10秒であり、特に好ましくは5〜8秒である。かかる時間が短すぎる場合、ガスバリア性の向上効果が低下する傾向があり、長すぎる場合、透明性が低下したり、成形性が不安定となる傾向がある。かかる時間は、引き取り速度やフロストラインの位置を調節することにより調節することが可能である。そしてかかるフロストラインの位置は、冷却風のエアリングの位置、冷却風の風向き、風量、温度等により調節することが可能である。
多層構造体の引取速度は、通常1〜50m/分、好ましくは3〜30m/分、特に好ましくは5〜20m/分、殊更に好ましくは10〜20m/分である。かかる速度が早すぎる場合、ガスバリア性の向上効果が低下する傾向があり、遅すぎる場合、樹脂圧が上昇したりドローダウンが起こる等してフィルム厚みが不安定となる傾向がある。
また、本発明においては、上記ダイスからフロストラインまでの距離を、目的とする多層構造体におけるガスバリア性樹脂層の厚みにより調節することも好ましい。このとき、上記ダイスからフロストラインまでの距離が、上記多層構造体におけるガスバリア性樹脂層の厚みに対して通常1×104〜600×104倍である。好ましくは5×104〜400×104倍特に好ましくは10×104〜100×104、殊更に好ましくは10×104〜50×104である。また、ダイスからフロストラインまでの距離が通常50〜300cm、好ましくは80〜250cmである。かかる距離が短すぎる場合、ガスバリア性の向上効果が低下する傾向があり、長すぎる場合透明性が低下したり、成形性が不安定となる傾向がある。かかるフロストラインの位置は、冷却風のエアリングの位置、冷却風の風向き、風量、温度等により調節することが可能である。
冷却風の温度は、通常5〜40℃、好ましくは10〜30℃、特に好ましくは10〜20℃である。かかる温度が高すぎる場合、透明性が低下したり、成形性が不安定になるという傾向があり、低すぎる場合、ガスバリア性の向上効果が低下する傾向がある。
上記インフレーション成形機におけるダイスの形状は通常円形である。かかるダイス径は通常100〜3000mm、好ましくは150〜1000mm、特に好ましくは150〜500mmである。かかる大きさが上記範囲である場合、本発明の効果がより効率的に得られる傾向がある。
また、本発明の製造方法においては、ブローアップ比が通常1〜5、好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2である。かかる比率が大きすぎる場合、ドローダウンが発生するなどしてフィルム厚みが不安定となる傾向があり、小さすぎる場合、成形性が不安定になる傾向がある。
本発明の製造方法によって得られる多層構造体は、必要に応じて(加熱)延伸処理を行うことも可能である。延伸処理は、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、二軸延伸の場合は同時延伸であっても逐次延伸であってもよい。また、延伸方法としてはロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。延伸温度は、通常40〜170℃、好ましくは60〜160℃程度の範囲から選ばれる。延伸温度が低すぎた場合は延伸性が不良となり、高すぎた場合は安定した延伸状態を維持することが困難となる。
なお、延伸後に寸法安定性を付与することを目的として、次いで熱固定を行なってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、例えば上記延伸した多層構造体(延伸フィルム)を、緊張状態を保ちながら通常80〜180℃、好ましくは100〜165℃で、通常2〜600秒間程度熱処理を行なう。
また、本発明の製造方法によって得られる多層構造体を用いて得られてなる多層延伸フィルムをシュリンク用フィルムとして用いる場合には、熱収縮性を付与するために、上記の熱固定を行わず、例えば延伸後のフィルムに冷風を当てて冷却固定するなどの処理を行なえばよい。
さらに、場合によっては、本発明の多層構造体からカップやトレイ状の多層容器を得ることも可能である。多層容器の作製方法としては、通常絞り成形法が採用され、具体的には真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト式真空圧空成形法等があげられる。さらに、多層パリソン(ブロー前の中空管状の予備成形物)からチューブやボトル状の多層容器を得る場合はブロー成形法が採用され、具体的には押出ブロー成形法(双頭式、金型移動式、パリソンシフト式、ロータリー式、アキュムレーター式、水平パリソン式等)、コールドパリソン式ブロー成形法、射出ブロー成形法、二軸延伸ブロー成形法(押出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出成形インライン式二軸延伸ブロー成形法等)等があげられる。
本発明の製造方法によって得られる多層積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液または溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行なうことができる。
<多層構造体>
本発明の製造方法によって得られる多層構造体はガスバリア性樹脂層を含むものである。その層構成は目的とする用途により選択可能である。好ましくは疎水性熱可塑性樹脂層を有するものであり、さらに好ましくは疎水性熱可塑性樹脂層および接着性樹脂層を有する。殊更に好ましくは、接着性樹脂層を介して疎水性熱可塑性樹脂層とガスバリア性樹脂層を積層してなるものである。
多層構造体の層構成としてさらに詳細には、ガスバリア性樹脂層をα、接着性樹脂層をβ、疎水性熱可塑性樹脂層をγ、とするとき、例えばα/β/γ、γ/β/α/β/γ、γ/β/α/α/β/γ、γ/β/α/β/α/β/γ等任意の組み合わせが可能である。また、このような多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品当等を再溶融成形して得られる、該ガスバリア性樹脂と疎水性熱可塑性樹脂との混合物を含むリサイクル層を設けても良い。かかるリサイクル層は本発明の多層構造体において疎水性熱可塑性樹脂層として考慮するが、特にリサイクル層Rとするとき、例えばα/β/R、α/β/R/γ、γ/α/β/R、R/β/α/β/R、γ/R/β/α/β/R/γ等とすることも可能である。
尚、同種層が複数ある場合は、層の樹脂種や組成が同一であっても異なってもよい。
本発明の製造方法によって得られる多層構造体の厚み、さらには多層構造体を構成するガスバリア性樹脂層、疎水性熱可塑性樹脂層、接着性樹脂層の厚みは、層構成、ガスバリア性樹脂の種類、疎水性熱可塑性樹脂の種類、接着性樹脂層の種類、用途や包装形態、要求される物性等により適宜設定されるものである。なお、下記の数値は、特記しない限り接着性樹脂層、ガスバリア性樹脂層、疎水性熱可塑性樹脂層のうち少なくとも1種の層が2層以上存在する場合には、同種の層の厚みを総計した値である。
本発明の製造方法によって得られる多層構造体の厚みは、目的とする用途により任意に選択可能であるが、通常10〜300μm、好ましくは20〜200μm、特に好ましくは30〜150μm、殊更に好ましくは50〜100μmである。かかる値が上記範囲である場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
ガスバリア性樹脂層は、通常1〜100μm、好ましくは2〜50μm、特に好ましくは3〜30μm、殊更に好ましくは3〜10μmである。かかる厚みが薄すぎる場合には、ガスバリア性の向上効果が低下する傾向ある。また、厚すぎる場合には、成形性が低下する傾向がある。
疎水性熱可塑性樹脂層は通常5〜300μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜150μm、殊更に好ましくは20〜100μmである。かかる値が上記範囲である場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
そして、接着性樹脂層は、通常0.5〜100μm、好ましくは1〜50μm、特に好ましくは2〜30μm、殊更に好ましくは3〜10μmである。かかる値が上記範囲である場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
前記多層構造体の厚みに対するガスバリア性樹脂層の厚みが、ガスバリア性樹脂層の厚み(μm)多層構造体の厚み(μm)にて通常0.003〜0.5であり、好ましくは0.01〜0.3、特に好ましくは0.05〜0.1である。かかる値が上記範囲である場合、本発明の効果がより効率的に得られる傾向がある。
また、多層構造体における疎水性熱可塑性樹脂層とガスバリア性樹脂層の厚み比(疎水性熱可塑性樹脂層/ガスバリア性樹脂層)は、各層が複数ある場合は同種の層の厚みを総計した値にて、通常50/50〜99/1、好ましくは60/40〜95/5、特に好ましくは70/30〜90/10である。かかる値が上記範囲である場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
多層構造体におけるガスバリア性樹脂層と接着性樹脂層の厚み比(ガスバリア性樹脂層/接着性樹脂層)は、各層が複数ある場合は同種の層の厚みを総計した値にて、通常10/90〜99/1、好ましくは20/80〜95/5、特に好ましくは40/60〜90/10、殊に好ましくは40/60〜60/40である。かかる値が上記範囲である場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
さらに、多層構造体における疎水性熱可塑性樹脂層と接着性樹脂層の厚み比(疎水性熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層)は、各層が複数ある場合は同種の層の厚みを総計した値にて、通常10/90〜99/1、好ましくは20/80〜95/5、特に好ましくは50/50〜90/10、殊に好ましくは70/30〜90/10である。かかる値が上記範囲である場合、本発明の効果がより効果的に得られる傾向がある。
上記のようにして本発明の製造方法によって得られる多層構造体は、包装材料として有用である。かかる多層構造体からなる袋、カップ、トレイ、チューブ、ボトル等の容器、蓋材等は、例えば生肉、畜肉加工品(ハム、ベーコン、ウインナー等)加工米等の一般的な食品や調理済み食品、マヨネーズ、ケチャップ、ソース、味噌、わさび、からし、焼肉等のたれ、ゼリー、プリン、ヨーグルト等の半固形状食品・調味料、発酵食品、サラダ油等の油脂食品、スープ、みりん、清酒、ビール、ワイン、ジュース、紅茶、スポーツドリンク、ミネラルウォーター、牛乳等の液体状飲料、ペットフード、化粧品、医薬品、洗剤、香粧品、工業薬品、農薬、燃料等各種の用途に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、実施例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
<評価方法>
<ガスバリア性>
多層構造体のガスバリア性能を酸素透過度にて評価した。評価サンプルとして、得られた多層構造体を酸素透過率測定装置(Mocon社製「Ox−tran2/20」)を使用し、温度20℃、湿度は65%RH条件下で測定した。かかる値が低いほど、ガスバリア性が優れることを表す。
<透明性>
多層構造体におけるガスバリア性能の透明性をヘイズにて評価した。
評価サンプルとして、得られた多層構造体から疎水性熱可塑性樹脂層を剥がしガスバリア性樹脂層のみを取り出した。得られたガスバリア性樹脂層のみのフィルム表面に流動パラフィンを塗り、ヘイズメーター((株)日本電色工業社製「NDH 2000」)を使用してガスバリア性樹脂層の内部ヘイズを測定した。
また、多層構造体の疎水性熱可塑性樹脂層とガスバリア性樹脂層間に接着性樹脂層がありガスバリア層のみを取り出せない場合、多層構造体を評価サンプルとした。得られた多層構造体のフィルム表面に流動パラフィンを塗り、ヘイズメーター((株)日本電色工業社製「NDH 2000」)を使用して多層構造体の内部ヘイズを測定した。
かかる数値が低いほど、透明性が優れることを示す。
[実施例1]
ガスバリア性樹脂として、エチレン構造単位含有量29モル%、ケン化度99.6モル%、MFR3.7g/10分(210℃、荷重2160g)のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと表記することがある)を用いた。
疎水性熱可塑性樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、PEと表記することがある)(日本ポリエチレン株式会社製「UF421」)を用いた。
接着性樹脂として、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂(lyondellbasel社製「Plexar PX3236」)を用いた。
〔多層構造体の製造〕
直径40mmの第1〜9押出機、直径200mmのスパイラルダイ、ピンチロール及びフィルム引取機からなる9種9層インフレーション成形機を用い、多層構造がPE/PE/PE/接着性樹脂/EVOH/接着性樹脂/PE/PE/PEであり、各層厚み(μm)は、10/10/5/5/5/5/5/10/10、多層構造体の厚み65μmの多層構造体を得た。このとき、ダイス温度を200℃、冷却風温度を13℃、引取速度18m/分、ブローアップ比1.5、ダイスからフロストラインまでの距離を200cmとした。多層構造体がダイスから押し出されてからフロストラインに到達するまでの時間は6.7秒であった。
かかる多層構造体の断面をマイクロスコープ(HiROX社製「DIGITAL MICROSCOPE KH−1300」)により観察した結果、PE/PE層間は接着され界面が確認できなかった。
また、EVOH層とPE層間は接着性樹脂層により接着されており剥離できなかった。
得られた多層構造体について、上記評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、ダイスからフロストラインまでの距離を50cmとした以外は同様にして多層構造体を得、同様の評価を行った。多層構造体がダイスから押し出されてからフロストラインに到達するまでの時間は1.7秒であった。結果を表1に示す。
Figure 0006787039
比較例1においては多層構造体が押出機のダイスから溶融状態で押し出されてフロストラインに到達するまで1.7秒であった。かかる製造方法によって得られた多層構造体のガスバリア性は0.41cc/m2・day・atmであり、多層構造体の透明性は6%であった。
しかしながら、本発明の製造方法を用いた実施例1においては、押出機のダイスから溶融状態で押し出されてからフロストラインに到達するまで6.7秒とすることで比較例1よりも顕著にガスバリア性が向上した。また、透明性についても低下しすぎず優れたものであることが分かった。
[実施例2]
ガスバリア性樹脂として、エチレン構造単位含有量29モル%、ケン化度99.6モル%、MFR3.7g/10分(210℃、荷重2160g)のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(以下、EVOHと表記することがある)を用いた。
疎水性熱可塑性樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、PEと表記することがある)(日本ポリエチレン株式会社製「UF421」)を用いた。
〔多層構造体の製造〕
直径40mmの第1〜9押出機、直径200mmのスパイラルダイ、ピンチロール及びフィルム引取機からなる9種9層インフレーション成形機を用い、多層構造がPE/PE/PE/PE/EVOH/PE/PE/PE/PEであり、各層厚み(μm)は、10/10/7.5/7.5/5/7.5/7.5/10/10、多層構造体の厚み75μmの多層構造体を得た。このとき、ダイス温度を200℃、冷却風温度を13℃、引取速度10m/分、ブローアップ比1.6、ダイスからフロストラインまでの距離を110cmとした。多層構造体がダイスから押し出されてからフロストラインに到達するまでの時間は6.5秒であった。
かかる多層構造体の断面をマイクロスコープ(HiROX社製「DIGITAL MICROSCOPE KH−1300」)により観察した結果、PE/PE層間は接着され界面が確認できなかった。
得られた多層構造体について、上記評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例において、ダイスからフロストラインまでの距離を160cmとした以外は同様にして多層構造体を得、同様の評価を行った。多層構造体がダイスから押し出されてからフロストラインに到達するまでの時間は9.4秒であった。結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例において、ダイスからフロストラインまでの距離を40cmと変更した以外は同様にして多層構造体を得、同様の評価を行った。多層構造体がダイスから押し出されてからフロストラインに到達するまでの時間は2.4秒であった。結果を表2に示す。
Figure 0006787039
比較例2においては多層構造体が押出機のダイスから溶融状態で押し出されてフロストラインに到達するまで2.4秒であった。かかる製造方法によって得られた多層構造体のガスバリア性は0.34cc/m2・day・atmであり、ガスバリア性樹脂層のみの透明性は0.6%であった。
しかしながら、本発明の製造方法を用いた実施例1,2においては、それぞれ押出機のダイスから溶融状態で押し出されてからフロストラインに到達するまで6.5秒、9.4秒とすることで比較例1よりもガスバリア性が向上した。また、透明性についても低下しすぎず、優れたものであることが分かった。

Claims (6)

  1. エチレン構造単位の含有量が20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物およびポリアミド樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つを含むガスバリア性樹脂層を含む多層構造体の製造方法であって、前記製造方法が空冷式インフレーション法であり、前記多層構造体がインフレーション成形機のダイスより押出されてからフロストラインに到達するまでの時間が、3秒以上であることを特徴とする多層構造体の製造方法。
  2. 前記インフレーション成形機のダイスからフロストラインまでの距離が、前記多層構造体におけるガスバリア性樹脂層の厚みの1×104〜600×104倍であることを特徴とする請求項1記載の多層構造体の製造方法。
  3. 前記多層構造体が、疎水性熱可塑性樹脂層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の多層構造体の製造方法。
  4. 前記多層構造体の厚みに対するガスバリア性樹脂層の厚みが、ガスバリア性樹脂層の厚み(μm)多層構造体の厚み(μm)にて0.003〜0.5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層構造体の製造方法。
  5. 前記多層構造体の厚みが、10〜300μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層構造体の製造方法。
  6. さらに、前記多層構造体を引取速度10〜50m/分で引き取る工程を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層構造体の製造方法。
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