特許文献1のような従来の冷凍装置においては、各インジェクション弁が共通の上流側共通配管と接続され、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の流量を調整する流量調整弁が配置され、上流側共通配管と流量調整弁との間に中間圧冷媒と高圧の液冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器が配置されるのが一般的である。そのうえで、流量調整弁の開度が、各圧縮機から吐出される冷媒温度が目標値となるように制御される、又は過冷却熱交換器から流出する中間圧冷媒の過熱度が目標値となるように制御されるのが一般的である。
このような従来の冷凍装置において、いずれかのインジェクション弁の開度を変更した際には、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が変動し、所定時間が経過するまでの間、冷媒流量調整弁の開度を制御するうえで指標となる変数が不安定となることで流量調整弁の開度が不安定となる。この際、中間圧冷媒の圧力が大きくなる時には、過冷却熱交換器において中間圧冷媒と熱交換する高圧の液冷媒の温度が、想定される値よりも高くなる。その結果、流量調整弁の開度が安定するまでの間、高圧の液冷媒を送られる利用ユニットにおいて冷却能力が低下し、冷凍装置のCOP(Coefficient Of Performance)が低下する。
そこで、本発明の課題は、COPに優れる冷凍装置を提供することである。
本発明の第1観点に係る冷凍装置は、複数の圧縮機と、複数のインジェクション管と、複数のインジェクション弁と、上流側共通配管と、冷媒流量調整弁と、コントローラと、を備える。複数の圧縮機は、互いに並列に配置される。圧縮機は、低圧冷媒を吸入し、圧縮して、高圧冷媒として吐出する。インジェクション管は、いずれかの圧縮機に対応する。インジェクション管は、対応する圧縮機に接続される。インジェクション管は、対応する圧縮機に中間圧冷媒を流入させる。インジェクション弁は、いずれかのインジェクション管に対応する。インジェクション弁は、対応するインジェクション管に一端が接続される。インジェクション弁は、中間圧冷媒の流量を調整する。上流側共通配管は、各インジェクション弁の他端に接続される。上流側共通配管においては、各インジェクション弁に流入する中間圧冷媒が流れる。冷媒流量調整弁は、上流側共通配管の冷媒流れ上流側に配置される。冷媒流量調整弁は、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の流量を調整する。コントローラは、各インジェクション弁及び冷媒流量調整弁の動作を、状況に応じて制御する。コントローラは、いずれかのインジェクション弁の開度を変更する時に、中間圧力抑制制御を実行する。コントローラは、中間圧力抑制制御においては、冷媒流量調整弁の開度を中間圧力抑制開度に変更する。中間圧力抑制開度は、各圧縮機に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを抑制する開度である。コントローラは、吐出冷媒温度制御を実行する。吐出冷媒温度制御は、各インジェクション弁の開度を、最適開度に変更する制御である。最適開度は、対応する各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が目標値となる、インジェクション弁の開度である。コントローラは、吐出冷媒温度制御に伴い、中間圧力抑制制御を実行する。コントローラは、吐出冷媒温度制御においては、各圧縮機の最適インジェクション量を個別に算出する。最適インジェクション量は、圧縮機に流入する中間圧冷媒の最適な流量である。コントローラは、各圧縮機の最適インジェクション量に基づき、各インジェクション弁の最適開度を決定する。コントローラは、中間圧力抑制制御においては、中間圧力抑制開度を、上流側共通配管における冷媒流量が各圧縮機における最適インジェクション量の合計値となるとともに、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が同一となる開度に決定する。
本発明の第1観点に係る冷凍装置では、コントローラは、いずれかのインジェクション弁の開度を変更する時に中間圧力抑制制御を実行し、中間圧力抑制制御において冷媒流量調整弁の開度を中間圧力抑制開度(各圧縮機に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを抑制する開度)に変更する。これにより、いずれかのインジェクション弁の開度を変更した際に、冷媒流量調整弁の開度が中間圧力抑制開度に変更される。その結果、各インジェクション弁の開度を変更した際に、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが抑制される。このため、冷媒流量調整弁の開度を制御するうえで指標となる変数が不安定となることで冷媒流量調整弁の開度が不安定となることが抑制される。すなわち、上流側共通配管と冷媒流量調整弁との間に中間圧冷媒と高圧の液冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器が配置される場合であっても、過冷却熱交換器において中間圧冷媒と熱交換する高圧の液冷媒の温度が想定される値よりも高くなることが抑制される。よって、高圧の液冷媒を送られる利用ユニットにおける冷却能力が低下することが抑制される。したがって、冷凍装置のCOPの低下が抑制される。
また、各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が目標値に制御される。その結果、各圧縮機において、冷媒の状態が過度に過熱度のついた状態となる過熱運転状態や過度に湿り状態となる湿り運転状態となることが抑制される。よって、冷凍装置のCOPの低下が抑制されるとともに圧縮機の信頼性が確保される。
また、各圧縮機の最適インジェクション量が個別に算出され、各インジェクション弁の開度が最適インジェクション量に応じて制御される。その結果、各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が精度よく目標値に制御される。よって、圧縮機の信頼性が高精度に確保される。
また、中間圧力抑制開度が、上流側共通配管における冷媒流量が各圧縮機における最適インジェクション量の合計値となるとともに、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が同一となる開度に決定される。その結果、各インジェクション弁の開度を変更した際に、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力変動が精度よく抑制される。このため、冷凍装置のCOPの低下が高精度に抑制される。
なお、ここでの「中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が同一となる開度」については、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が完全に同一となる開度はもちろん、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が略同一となる開度も含む。すなわち、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が異なる場合でもその誤差が微差であれば、「中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が同一」であると解釈する。
本発明の第2観点に係る冷凍装置は、複数の圧縮機と、複数のインジェクション管と、複数のインジェクション弁と、上流側共通配管と、冷媒流量調整弁と、中間圧力センサと、コントローラと、を備える。複数の圧縮機は、互いに並列に配置される。圧縮機は、低圧冷媒を吸入し、圧縮して、高圧冷媒として吐出する。インジェクション管は、いずれかの圧縮機に対応する。インジェクション管は、対応する圧縮機に接続される。インジェクション管は、対応する圧縮機に中間圧冷媒を流入させる。インジェクション弁は、いずれかのインジェクション管に対応する。インジェクション弁は、対応するインジェクション管に一端が接続される。インジェクション弁は、中間圧冷媒の流量を調整する。上流側共通配管は、各インジェクション弁の他端に接続される。上流側共通配管においては、各インジェクション弁に流入する中間圧冷媒が流れる。冷媒流量調整弁は、上流側共通配管の冷媒流れ上流側に配置される。冷媒流量調整弁は、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の流量を調整する。中間圧力センサは、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力を検出する。コントローラは、各インジェクション弁及び冷媒流量調整弁の動作を、状況に応じて制御する。コントローラは、いずれかのインジェクション弁の開度を変更する時に、中間圧力抑制制御を実行する。コントローラは、中間圧力抑制制御においては、冷媒流量調整弁の開度を中間圧力抑制開度に変更する。中間圧力抑制開度は、各圧縮機に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを抑制する開度である。コントローラは、各インジェクション弁の開度を、対応する各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が目標値となる最適開度に変更する吐出冷媒温度制御を実行する。コントローラは、吐出冷媒温度制御においては、各圧縮機に流入する中間圧冷媒の最適な流量である最適インジェクション量を個別に算出し、各圧縮機の前記最適インジェクション量に基づき各インジェクション弁の最適開度を決定する。コントローラは、吐出冷媒温度制御に伴い中間圧力センサの検出値が所定値以上上昇する場合に、中間圧力抑制制御を実行する。
本発明の第2観点に係る冷凍装置では、コントローラは、いずれかのインジェクション弁の開度を変更する時に中間圧力抑制制御を実行し、中間圧力抑制制御において冷媒流量調整弁の開度を中間圧力抑制開度(各圧縮機に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを抑制する開度)に変更する。これにより、いずれかのインジェクション弁の開度を変更した際に、冷媒流量調整弁の開度が中間圧力抑制開度に変更される。その結果、各インジェクション弁の開度を変更した際に、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが抑制される。このため、冷媒流量調整弁の開度を制御するうえで指標となる変数が不安定となることで冷媒流量調整弁の開度が不安定となることが抑制される。すなわち、上流側共通配管と冷媒流量調整弁との間に中間圧冷媒と高圧の液冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器が配置される場合であっても、過冷却熱交換器において中間圧冷媒と熱交換する高圧の液冷媒の温度が想定される値よりも高くなることが抑制される。よって、高圧の液冷媒を送られる利用ユニットにおける冷却能力が低下することが抑制される。したがって、冷凍装置のCOPの低下が抑制される。
また、各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が目標値に制御される。その結果、各圧縮機において、冷媒の状態が過度に過熱度のついた状態となる過熱運転状態や過度に湿り状態となる湿り運転状態となることが抑制される。よって、冷凍装置のCOPの低下が抑制されるとともに圧縮機の信頼性が確保される。
また、各圧縮機の最適インジェクション量が個別に算出され、各インジェクション弁の開度が最適インジェクション量に応じて制御される。その結果、各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が精度よく目標値に制御される。よって、圧縮機の信頼性が高精度に確保される。
また、吐出冷媒温度制御によって中間圧力が特に上昇する場合に限って、中間圧力抑制制御が実行されるように構成することが可能となる。すなわち、吐出冷媒温度制御によって、COP低下が想定される程度に中間圧力が上昇しない場合には中間圧力抑制制御が行われず、必要な場合(すなわちCOP低下が想定される程度に中間圧力が上昇する場合)に限って中間圧力抑制制御が実行されるように構成しうる。
本発明の第3観点に係る冷凍装置は、第2観点に係る冷凍装置であって、低圧側冷媒配管と、低圧側圧力センサと、をさらに備える。低圧側冷媒配管では、各圧縮機へ流入する低圧冷媒が集合して流れる。低圧側圧力センサは、低圧側冷媒配管を流れる低圧冷媒の圧力を検出する。コントローラは、低圧側圧力センサの検出値及び中間圧力センサの検出値の差分値と、設定されている各インジェクション弁の開度と、に基づき、各インジェクション弁を通過する中間圧冷媒の流量を算出する。
これにより、各インジェクション弁の開度が変更前及び変更後に各圧縮機に流入する中間圧冷媒の流量が精度よく算出され、算出した値を、中間圧力抑制開度を決定する際に用いることが可能となる。その結果、中間圧力抑制開度を、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを高精度に抑制する開度に決定することが可能となる。
本発明の第4観点に係る冷凍装置は、複数の圧縮機と、複数のインジェクション管と、複数のインジェクション弁と、上流側共通配管と、冷媒流量調整弁と、コントローラと、を備える。複数の圧縮機は、互いに並列に配置される。圧縮機は、低圧冷媒を吸入し、圧縮して、高圧冷媒として吐出する。インジェクション管は、いずれかの圧縮機に対応する。インジェクション管は、対応する圧縮機に接続される。インジェクション管は、対応する圧縮機に中間圧冷媒を流入させる。インジェクション弁は、いずれかのインジェクション管に対応する。インジェクション弁は、対応するインジェクション管に一端が接続される。インジェクション弁は、中間圧冷媒の流量を調整する。上流側共通配管は、各インジェクション弁の他端に接続される。上流側共通配管においては、各インジェクション弁に流入する中間圧冷媒が流れる。冷媒流量調整弁は、上流側共通配管の冷媒流れ上流側に配置される。冷媒流量調整弁は、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の流量を調整する。コントローラは、各インジェクション弁及び冷媒流量調整弁の動作を、状況に応じて制御する。複数の圧縮機には、容量可変圧縮機と容量一定圧縮機とが含まれる。容量可変圧縮機は、運転容量可変の圧縮機である。容量一定圧縮機は、運転容量一定の圧縮機である。コントローラは、いずれかのインジェクション弁の開度を変更する時に、中間圧力抑制制御を実行する。コントローラは、中間圧力抑制制御においては、冷媒流量調整弁の開度を中間圧力抑制開度に変更する。中間圧力抑制開度は、各圧縮機に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを抑制する開度である。コントローラは、吐出冷媒温度制御を実行する。吐出冷媒温度制御は、各インジェクション弁の開度を、最適開度に変更する制御である。最適開度は、対応する各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が目標値となる、インジェクション弁の開度である。コントローラは、吐出冷媒温度制御に伴い、中間圧力抑制制御を実行する。コントローラは、吐出冷媒温度制御においては、各圧縮機の最適インジェクション量を個別に算出する。最適インジェクション量は、圧縮機に流入する中間圧冷媒の最適な流量である。コントローラは、各圧縮機の最適インジェクション量に基づき、各インジェクション弁の最適開度を決定する。コントローラは、容量一定圧縮機の最適インジェクション量と、容量可変圧縮機の回転数及び容量一定圧縮機の回転数の比と、に基づき容量可変圧縮機の最適インジェクション量を算出する。
本発明の第4観点に係る冷凍装置では、コントローラは、いずれかのインジェクション弁の開度を変更する時に中間圧力抑制制御を実行し、中間圧力抑制制御において冷媒流量調整弁の開度を中間圧力抑制開度(各圧縮機に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを抑制する開度)に変更する。これにより、いずれかのインジェクション弁の開度を変更した際に、冷媒流量調整弁の開度が中間圧力抑制開度に変更される。その結果、各インジェクション弁の開度を変更した際に、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが抑制される。このため、冷媒流量調整弁の開度を制御するうえで指標となる変数が不安定となることで冷媒流量調整弁の開度が不安定となることが抑制される。すなわち、上流側共通配管と冷媒流量調整弁との間に中間圧冷媒と高圧の液冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器が配置される場合であっても、過冷却熱交換器において中間圧冷媒と熱交換する高圧の液冷媒の温度が想定される値よりも高くなることが抑制される。よって、高圧の液冷媒を送られる利用ユニットにおける冷却能力が低下することが抑制される。したがって、冷凍装置のCOPの低下が抑制される。
また、各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が目標値に制御される。その結果、各圧縮機において、冷媒の状態が過度に過熱度のついた状態となる過熱運転状態や過度に湿り状態となる湿り運転状態となることが抑制される。よって、冷凍装置のCOPの低下が抑制されるとともに圧縮機の信頼性が確保される。
また、各圧縮機の最適インジェクション量が個別に算出され、各インジェクション弁の開度が最適インジェクション量に応じて制御される。その結果、各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が精度よく目標値に制御される。よって、圧縮機の信頼性が高精度に確保される。
また、運転容量可変の容量可変圧縮機と運転容量一定の容量一定圧縮機が混在する構成において、容量可変圧縮機の最適インジェクション量が精度よく算出される。よって、圧縮機の信頼性がさらに向上する。
本発明の第5観点に係る冷凍装置は、複数の圧縮機と、複数のインジェクション管と、複数のインジェクション弁と、上流側共通配管と、冷媒流量調整弁と、コントローラと、を備える。複数の圧縮機は、互いに並列に配置される。圧縮機は、低圧冷媒を吸入し、圧縮して、高圧冷媒として吐出する。インジェクション管は、いずれかの圧縮機に対応する。インジェクション管は、対応する圧縮機に接続される。インジェクション管は、対応する圧縮機に中間圧冷媒を流入させる。インジェクション弁は、いずれかのインジェクション管に対応する。インジェクション弁は、対応するインジェクション管に一端が接続される。インジェクション弁は、中間圧冷媒の流量を調整する。上流側共通配管は、各インジェクション弁の他端に接続される。上流側共通配管においては、各インジェクション弁に流入する中間圧冷媒が流れる。冷媒流量調整弁は、上流側共通配管の冷媒流れ上流側に配置される。冷媒流量調整弁は、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の流量を調整する。コントローラは、各インジェクション弁及び冷媒流量調整弁の動作を、状況に応じて制御する。コントローラは、いずれかのインジェクション弁の開度が変更される場合において、前記中間圧力センサの検出値が所定値以上上昇する場合に、冷媒流量調整弁の開度を中間圧力抑制開度に変更する中間圧力抑制制御を実行する。中間圧力抑制開度は、各圧縮機に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを抑制する開度である。
本発明の第5観点に係る冷凍装置では、コントローラは、いずれかのインジェクション弁の開度を変更する時に中間圧力抑制制御を実行し、中間圧力抑制制御において冷媒流量調整弁の開度を中間圧力抑制開度(各圧縮機に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを抑制する開度)に変更する。これにより、いずれかのインジェクション弁の開度を変更した際に、冷媒流量調整弁の開度が中間圧力抑制開度に変更される。その結果、各インジェクション弁の開度を変更した際に、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが抑制される。このため、冷媒流量調整弁の開度を制御するうえで指標となる変数が不安定となることで冷媒流量調整弁の開度が不安定となることが抑制される。すなわち、上流側共通配管と冷媒流量調整弁との間に中間圧冷媒と高圧の液冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器が配置される場合であっても、過冷却熱交換器において中間圧冷媒と熱交換する高圧の液冷媒の温度が想定される値よりも高くなることが抑制される。よって、高圧の液冷媒を送られる利用ユニットにおける冷却能力が低下することが抑制される。したがって、冷凍装置のCOPの低下が抑制される。
また、いずれかのインジェクション弁の開度が変更される場合において中間圧力が特に上昇する場合に限って、中間圧力抑制制御が実行されるように構成することが可能となる。すなわち、いずれかのインジェクション弁の開度が変更されたとしても、COP低下が想定される程度に中間圧力が上昇しない場合には中間圧力抑制制御が行われず、必要な場合(すなわちCOP低下が想定される程度に中間圧力が上昇する場合)に限って中間圧力抑制制御が実行されるように構成しうる。
本発明の第6観点に係る冷凍装置は、第5観点に係る冷凍装置であって、コントローラは、吐出冷媒温度制御を実行する。吐出冷媒温度制御は、各インジェクション弁の開度を、最適開度に変更する制御である。最適開度は、対応する各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が目標値となる、インジェクション弁の開度である。コントローラは、吐出冷媒温度制御に伴い、中間圧力抑制制御を実行する。
これにより、各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が目標値に制御される。その結果、各圧縮機において、冷媒の状態が過度に過熱度のついた状態となる過熱運転状態や過度に湿り状態となる湿り運転状態となることが抑制される。よって、冷凍装置のCOPの低下が抑制されるとともに圧縮機の信頼性が確保される。
本発明の第7観点に係る冷凍装置は、第6観点に係る冷凍装置であって、コントローラは、吐出冷媒温度制御においては、各圧縮機の最適インジェクション量を個別に算出する。最適インジェクション量は、圧縮機に流入する中間圧冷媒の最適な流量である。コントローラは、各圧縮機の最適インジェクション量に基づき、各インジェクション弁の最適開度を決定する。
これにより、各圧縮機の最適インジェクション量が個別に算出され、各インジェクション弁の開度が最適インジェクション量に応じて制御される。その結果、各圧縮機から吐出される高圧冷媒の温度が精度よく目標値に制御される。よって、圧縮機の信頼性が高精度に確保される。
本発明の第8観点に係る冷凍装置は、第7観点に係る冷凍装置であって、コントローラは、中間圧力抑制制御においては、中間圧力抑制開度を、上流側共通配管における冷媒流量が各圧縮機における最適インジェクション量の合計値となるとともに、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が同一となる開度に決定する。
これにより、中間圧力抑制開度が、上流側共通配管における冷媒流量が各圧縮機における最適インジェクション量の合計値となるとともに、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が同一となる開度に決定される。その結果、各インジェクション弁の開度を変更した際に、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力変動が精度よく抑制される。このため、冷凍装置のCOPの低下が高精度に抑制される。
なお、ここでの「中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が同一となる開度」については、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が完全に同一となる開度はもちろん、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が略同一となる開度も含む。すなわち、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が異なる場合でもその誤差が微差であれば、「中間圧力抑制開度に変更前と変更後における冷媒流量調整弁の前後差圧が同一」であると解釈する。
本発明の第9観点に係る冷凍装置は、第7観点または第8観点に係る冷凍装置であって、低圧側冷媒配管と、低圧側圧力センサと、をさらに備える。低圧側冷媒配管では、各圧縮機へ流入する低圧冷媒が集合して流れる。低圧側圧力センサは、低圧側冷媒配管を流れる低圧冷媒の圧力を検出する。コントローラは、低圧側圧力センサの検出値及び中間圧力センサの検出値の差分値と、設定されている各インジェクション弁の開度と、に基づき、各インジェクション弁を通過する中間圧冷媒の流量を算出する。
これにより、各インジェクション弁の開度が変更前及び変更後に各圧縮機に流入する中間圧冷媒の流量が精度よく算出され、算出した値を、中間圧力抑制開度を決定する際に用いることが可能となる。その結果、中間圧力抑制開度を、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを高精度に抑制する開度に決定することが可能となる。
本発明の第10観点に係る冷凍装置は、第7観点から第9観点のいずれかに係る冷凍装置であって、複数の圧縮機には、容量可変圧縮機と容量一定圧縮機とが含まれる。容量可変圧縮機は、運転容量可変の圧縮機である。容量一定圧縮機は、運転容量一定の圧縮機である。コントローラは、容量一定圧縮機の最適インジェクション量と、容量可変圧縮機の回転数及び容量一定圧縮機の回転数の比と、に基づき容量可変圧縮機の最適インジェクション量を算出する。
これにより、運転容量可変の容量可変圧縮機と運転容量一定の容量一定圧縮機が混在する構成において、容量可変圧縮機の最適インジェクション量が精度よく算出される。よって、圧縮機の信頼性がさらに向上する。
本発明の第11観点に係る冷凍装置は、第1観点から第10観点のいずれかに係る冷凍装置であって、コントローラは、中間圧力抑制制御においては、予め導出されている冷媒流量調整弁の開度と冷媒流量調整弁を通過する冷媒流量との相関関係に基づき、中間圧力抑制開度を決定する。
これにより、中間圧力抑制開度が、予め導出されている冷媒流量調整弁の特性に基づき決定される。その結果、各圧縮機に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが高精度に抑制される。
本発明の第1観点に係る冷凍装置では、各インジェクション弁の開度を変更した際に、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが抑制される。このため、冷媒流量調整弁の開度を制御するうえで指標となる変数が不安定となることで冷媒流量調整弁の開度が不安定となることが抑制される。よって、上流側共通配管と流量調整弁との間に中間圧冷媒と高圧の液冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器が配置される場合であっても、過冷却熱交換器において中間圧冷媒と熱交換する高圧の液冷媒の温度が想定される値よりも高くなって利用ユニットにおける冷却能力が低下することが抑制される。したがって、冷凍装置のCOPの低下が抑制される。また、冷凍装置のCOPの低下が高精度に抑制されるとともに圧縮機の信頼性が高精度に確保される。
本発明の第2観点に係る冷凍装置では、各インジェクション弁の開度を変更した際に、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが抑制される。このため、冷媒流量調整弁の開度を制御するうえで指標となる変数が不安定となることで冷媒流量調整弁の開度が不安定となることが抑制される。よって、上流側共通配管と流量調整弁との間に中間圧冷媒と高圧の液冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器が配置される場合であっても、過冷却熱交換器において中間圧冷媒と熱交換する高圧の液冷媒の温度が想定される値よりも高くなって利用ユニットにおける冷却能力が低下することが抑制される。したがって、冷凍装置のCOPの低下が抑制される。また、冷凍装置のCOPの低下が抑制されるとともに圧縮機の信頼性が高精度に確保される。また、必要な場合(すなわちCOP低下が想定される程度に中間圧力が上昇する場合)に限って中間圧力抑制制御が実行されるように構成しうる。
本発明の第3観点に係る冷凍装置では、中間圧力抑制開度を、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が上昇することを高精度に抑制する開度に決定することが可能となる。
本発明の第4観点に係る冷凍装置では、各インジェクション弁の開度を変更した際に、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが抑制される。このため、冷媒流量調整弁の開度を制御するうえで指標となる変数が不安定となることで冷媒流量調整弁の開度が不安定となることが抑制される。よって、上流側共通配管と流量調整弁との間に中間圧冷媒と高圧の液冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器が配置される場合であっても、過冷却熱交換器において中間圧冷媒と熱交換する高圧の液冷媒の温度が想定される値よりも高くなって利用ユニットにおける冷却能力が低下することが抑制される。したがって、冷凍装置のCOPの低下が抑制される。また、冷凍装置のCOPの低下が抑制されるとともに圧縮機の信頼性が高精度に確保される。また、運転容量可変の容量可変圧縮機と運転容量一定の容量一定圧縮機が混在する構成において、圧縮機の信頼性がさらに向上する。
本発明の第5観点に係る冷凍装置では、各インジェクション弁の開度を変更した際に、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが抑制される。このため、冷媒流量調整弁の開度を制御するうえで指標となる変数が不安定となることで冷媒流量調整弁の開度が不安定となることが抑制される。よって、上流側共通配管と流量調整弁との間に中間圧冷媒と高圧の液冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器が配置される場合であっても、過冷却熱交換器において中間圧冷媒と熱交換する高圧の液冷媒の温度が想定される値よりも高くなって利用ユニットにおける冷却能力が低下することが抑制される。したがって、冷凍装置のCOPの低下が抑制される。また、必要な場合(すなわちCOP低下が想定される程度に中間圧力が上昇する場合)に限って中間圧力抑制制御が実行されるように構成しうる。
本発明の第6観点に係る冷凍装置では、冷凍装置のCOPの低下が抑制されるとともに圧縮機の信頼性が確保される。
本発明の第7観点に係る冷凍装置では、圧縮機の信頼性が高精度に確保される。
本発明の第8観点に係る冷凍装置では、冷凍装置のCOPの低下が高精度に抑制される。
本発明の第9観点に係る冷凍装置では、中間圧力抑制開度を、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が上昇することを高精度に抑制する開度に決定することが可能となる。
本発明の第10観点に係る冷凍装置では、運転容量可変の容量可変圧縮機と運転容量一定の容量一定圧縮機が混在する構成において、圧縮機の信頼性がさらに向上する。
本発明の第11観点に係る冷凍装置では、各圧縮機に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが高精度に抑制される。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る冷凍装置100について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
(1)冷凍装置100
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍装置100の概略構成図である。冷凍装置100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、例えば冷蔵倉庫や店舗のショーケースの庫内等の利用側空間の冷却を行う装置である。冷凍装置100は、主として、熱源ユニット10と、複数(ここでは2台)の利用ユニット30(30a、30b)と、冷凍装置100の動作を制御するコントローラ50と、を有している。
冷凍装置100では、1台の熱源ユニット10と各利用ユニット30とが、ガス冷媒連絡配管G1及び液冷媒連絡配管L1を介して接続されることで、冷媒回路RCが構成されている。冷凍装置100では、冷媒回路RC内に封入された冷媒が、圧縮され、冷却又は凝縮され、減圧され、加熱又は蒸発された後に、再び圧縮される、という冷凍サイクルが行われる。冷媒回路RCには、例えば、R32やR410AのようなHFC冷媒が封入されている。なお、冷媒回路RCにおいては、例えばアンモニアやCO2等、HFC冷媒以外の冷媒が封入されていてもよい。
(1−1)熱源ユニット10
(1−1−1)熱源ユニット10に配置される回路要素
熱源ユニット10は、ガス冷媒連絡配管G1及び液冷媒連絡配管L1を介して利用ユニット30と接続されており、冷媒回路RCの一部を構成している。熱源ユニット10は、主として、冷媒回路RCを構成する回路要素として、複数(ここでは3台)の圧縮機11(第1圧縮機11a、第2圧縮機11b、第3圧縮機11c)と、熱源側熱交換器12と、レシーバ13と、過冷却熱交換器14と、第1膨張弁15と、第2膨張弁16と、圧縮機11と同数(ここでは3つ)のインジェクション弁17(第1インジェクション弁17a、第2インジェクション弁17b、第3インジェクション弁17c)と、ガス側閉鎖弁SV1と、液側閉鎖弁SV2と、を有している。
各圧縮機11は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入して圧縮し高圧冷媒として吐出する。圧縮機11は、例えばスクロール型式の圧縮機であり、ケーシング内において圧縮要素(図示省略)が圧縮機モータ(図示省略)によって回転駆動される密閉式構造を有している。本実施形態において、第1圧縮機11aは、運転時に圧縮機モータの回転数がインバータによって適宜制御される運転容量可変の「容量可変圧縮機」である。第2圧縮機11b及び第3圧縮機11cは、運転時における圧縮機モータの回転数が一定であり運転容量が一定の「容量一定圧縮機」である。第1圧縮機11a、第2圧縮機11b及び第3圧縮機11cは、互いに並列に配置されている。
熱源側熱交換器12は、冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の放熱器又は凝縮器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器12は、冷媒が流れる伝熱管(図示省略)を含んでおり、伝熱管内の冷媒と熱源側ファン19(後述)によって生成される空気流とが熱交換を行うように構成されている。
レシーバ13は、熱源側熱交換器12から流出した冷媒を一時的に溜める容器である。レシーバ13の内部には、冷媒回路RCに封入されている冷媒量に応じた容量の冷媒貯留空間が形成されている。
過冷却熱交換器14は、例えば二重管熱交換器である。過冷却熱交換器14は、2つの冷媒流路(第1流路141及び第2流路142)を形成されている。第1流路141は、レシーバ13から流出した冷媒が通過する流路である。第2流路142は、第1流路141を通過後、第2膨張弁16によって減圧された中間圧冷媒が通過する流路である。過冷却熱交換器14は、第1流路141内の冷媒と、第2流路142内の冷媒と、が熱交換を行うように構成されている。
第1膨張弁15は、開度制御が可能な電動膨張弁であり、開度に応じて通過する冷媒を減圧する。第1膨張弁15は、過冷却熱交換器14の第1流路141を通過した高圧の液冷媒を減圧して低圧の気液二相冷媒とする。
第2膨張弁16は、開度制御が可能な電動膨張弁である。第2膨張弁16は、開度に応じて通過する冷媒を減圧する、若しくは通過する冷媒の流量を増減させる。第2膨張弁16は、過冷却熱交換器14の第1流路141を通過して高圧の液冷媒を減圧して中間圧の気液二相冷媒/液冷媒(中間圧冷媒)とする。第2膨張弁16は、インジェクション弁17の上流側を流れる上流側共通配管(後述する第12配管P12)の冷媒流れ上流側に配置され、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の流量を調整する「流量調整弁」として機能する。
各インジェクション弁17は、開度制御が可能な電動膨張弁である。各インジェクション弁17は、開度に応じて通過する冷媒を減圧する、若しくは通過する冷媒の流量を増減させる。各インジェクション弁17は、対応する圧縮機11のインジェクション管(後述する第4配管P4)に一端が接続され、通過する中間圧冷媒の流量を調整する。ここで、第1インジェクション弁17aは、第1圧縮機11a及び第4配管P4a(後述)に対応する。第2インジェクション弁17bは、第2圧縮機11b及び第4配管P4b(後述)に対応する。第3インジェクション弁17cは、第3圧縮機11c及び第4配管P4c(後述)に対応する。
ガス側閉鎖弁SV1は、ガス冷媒連絡配管G1の一端に接続された手動弁である。液側閉鎖弁SV2は、液冷媒連絡配管L1の一端に接続された手動弁である。
(1−1−2)熱源ユニット10に配置される冷媒配管
熱源ユニット10は、各回路要素を接続する複数の冷媒配管(具体的には、第1配管P1と、圧縮機11の数と同数(3本)の第2配管P2(P2a、P2b、P2c)、第3配管P3(P3a、P3b、P3c)及び第4配管P4(P4a、P4b、P4c)と、第5配管P5−第12配管P12)を有している。
第1配管P1は、ガス側閉鎖弁SV1の一端と、各第2配管P2(吸入配管)の一端と、を個別に接続する。第1配管P1は、各圧縮機11の吸入配管を流れる冷媒(すなわち、各圧縮機11へ流入する低圧冷媒)が集合して流れる「低圧側冷媒配管」に相当する。
各第2配管P2は、いずれかの圧縮機11に対応し、対応する圧縮機11の吸入ポートに接続され、対応する圧縮機11に流入する低圧冷媒が流れる吸入配管として機能する。第2配管P2aは第1圧縮機11aに対応し、第2配管P2bは第2圧縮機11bに対応し、第2配管P2cは第3圧縮機11cに対応している。
各第3配管P3は、いずれかの圧縮機11に対応し、対応する圧縮機11の吐出ポートに接続され、対応する圧縮機11から吐出される高圧冷媒が流れる吐出配管として機能する。第3配管P3aは第1圧縮機11aに対応し、第3配管P3bは第2圧縮機11bに対応し、第3配管P3cは第3圧縮機11cに対応している。
各第4配管P4は、いずれかの圧縮機11に対応し、対応する圧縮機11のインジェクションポートに接続され、対応する圧縮機11の圧縮室内に中間圧冷媒を流入させる「インジェクション管」として機能する。第4配管P4aは第1圧縮機11aに対応し、第4配管P4bは第2圧縮機11bに対応し、第4配管P4cは第3圧縮機11cに対応している。
第5配管P5は、各第3配管P3の一端と、熱源側熱交換器12のガス側と、を個別に接続する。第5配管P5は、各圧縮機11の吐出配管を流れる冷媒(すなわち、各圧縮機11から吐出される高圧冷媒)が集合して流れる高圧側冷媒配管に相当する。
第6配管P6は、熱源側熱交換器12の液側と、レシーバ13の冷媒流入口と、を接続する。第7配管P7は、レシーバ13の冷媒流出口と、過冷却熱交換器14の第1流路141の一端と、を接続する。第8配管P8は、過冷却熱交換器14の第1流路141の他端と、第1膨張弁15の一端と、を接続する。第9配管P9は、第1膨張弁15の一端と、液側閉鎖弁SV2の一端と、を接続する。第10配管P10は、第8配管P8の一端と他端との間から延びて第2膨張弁16の一端に接続される。第11配管P11は、第2膨張弁16の他端と、過冷却熱交換器14の第2流路142の一端と、を接続する。
第12配管P12は、過冷却熱交換器14の第2流路142の他端と、各インジェクション弁17の他端と、を個別に接続する。より詳細には、第12配管P12は、一端が第2流路142に接続され、他端が3つに分岐しており各インジェクション弁17に個別に接続されている。第12配管P12は、各インジェクション弁17の他端に接続され、各インジェクション弁17に流入する中間圧冷媒が集合して流れる「上流側共通配管」として機能する。
なお、冷媒回路RCにおいては、第10配管P10、第2膨張弁16、第11配管P11、過冷却熱交換器14の第2流路142、第12配管P12、各インジェクション弁17、及び各第4配管P4によって、インジェクションラインJ1が構成されている。インジェクションラインJ1は、第8配管P8を流れる冷媒の一部を分岐して各圧縮機11に流入させる(インジェクションさせる)ための冷媒流路である。
(1−1−3)熱源ユニット10に配置される他の機器
熱源ユニット10は、熱源ユニット10外から熱源ユニット10内に流入して熱源側熱交換器12を通過した後に熱源ユニット10外へ流出する空気流を生成する熱源側ファン19を有している。熱源側ファン19は、熱源側熱交換器12を流れる冷媒の冷却源としての空気を熱源側熱交換器12に供給するための送風機である。熱源側ファン19は、例えばプロペラファンやシロッコファンであり、熱源側ファンモータ(図示省略)によって回転駆動される。
また、熱源ユニット10は、低圧側圧力センサ21、高圧側圧力センサ22、中間圧力センサ23、及び複数の吐出温度センサ25(第1吐出温度センサ25a、第2吐出温度センサ25b、第3吐出温度センサ25c)等、各種センサを有している。
低圧側圧力センサ21は、各圧縮機11の吸入配管(P2a、P2b、P2c)の冷媒流れ上流側に位置する第1配管P1(低圧側冷媒配管)に配置される。低圧側圧力センサ21は、第1配管P1を通過する冷媒(すなわち、各圧縮機11の吸入側における低圧冷媒)の圧力である低圧側圧力LPを検出する。
高圧側圧力センサ22は、各圧縮機11の吐出配管(P3a、P3b、P3c)の冷媒流れ下流側に位置する第5配管P5に配置される。高圧側圧力センサ22は、第5配管P5を通過する冷媒(すなわち、各圧縮機11の吐出側における高圧冷媒)の圧力である高圧側圧力HPを検出する。
中間圧力センサ23は、各圧縮機11のインジェクション管(P4a、P4b、P4c)の冷媒流れ上流側に位置する第12配管P12(上流側共通配管)に配置される。中間圧力センサ23は、第12配管P12を通過する冷媒(すなわち、各インジェクション弁17に流入する中間圧冷媒)の圧力である中間圧力MPを検出する。
吐出温度センサ25は、対応する圧縮機11に接続される吐出配管(P3a、P3b、又はP3c)に配置され、対応する圧縮機11から吐出される高圧冷媒の温度(吐出冷媒温度HT)を検出する。第1吐出温度センサ25aは第1圧縮機11aに対応し、第2吐出温度センサ25bは第2圧縮機11bに対応し、第3吐出温度センサ25cは第3圧縮機11cに対応している。
(1−2)利用ユニット30
利用ユニット30は、ガス冷媒連絡配管G1及び液冷媒連絡配管L1を介して熱源ユニット10と接続されており、冷媒回路RCの一部を構成している。本実施形態においては、1台の熱源ユニット10に対して2台の利用ユニット30(30a及び30b)が接続されている。各利用ユニット30は、互いに並列に配置されている。
各利用ユニット30は、利用側膨張弁31と、利用側熱交換器32と、を有している。利用側膨張弁31は、開度に応じて通過する冷媒を減圧する、若しくは通過する冷媒の流量を増減させる。利用側熱交換器32は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能して庫内の空気を冷却する熱交換器である。利用側熱交換器32は、冷媒が流れる伝熱管(図示省略)を含んでおり、伝熱管内の冷媒と利用側ファン35(後述)によって生成される空気流とが熱交換を行うように構成されている。
また、利用ユニット30は、利用ユニット30外から利用ユニット30内に流入して利用側熱交換器32を通過した後に利用ユニット30外(利用側空間)へ流出する空気流を生成する利用側ファン35を有している。利用側ファン35は、利用側熱交換器32を流れる冷媒の加熱源としての空気を利用側熱交換器32に供給するためのファンである。利用側ファン35は、例えば遠心ファンやシロッコファンであり、利用側ファンモータ(図示省略)によって回転駆動される。
(1−3)コントローラ50
コントローラ50は、冷凍装置100に含まれる各アクチュエータの動作を制御することで、冷凍装置100の運転状態を制御する制御ユニットである。コントローラ50は、熱源ユニット10及び/又は利用ユニット30に配置される基板に実装されている(図示省略)。コントローラ50は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。コントローラ50は、冷凍装置100に含まれる各アクチュエータと電気的に接続されており、信号の入出力を行う。また、コントローラ50は、冷凍装置100に含まれる各種センサと電気的に接続されており、検出結果に相当する信号を適宜入力される。コントローラ50の詳細については後述する。
(2)冷却運転時の冷媒回路RCにおける冷媒の流れ
以下、運転時における冷媒回路RC内の冷媒の流れについて説明する。冷凍装置100では、運転時に、利用ユニット30において要求される冷却負荷に応じて、第1圧縮機11a(容量可変圧縮機)が容量制御され、第2圧縮機11b及び第3圧縮機11c(容量一定圧縮機)が定格運転される。具体的には、低圧側圧力LP、高圧側圧力HP、及び/又は中間圧力MPに関し、それぞれの目標値が利用ユニット30で要求される冷却負荷に応じて設定され、設定された各目標値が実現されるように圧縮機11の駆動台数及び第1圧縮機11aの運転容量が制御される。これにより、冷媒回路RCに充填された冷媒が、主として、運転中のいずれかの圧縮機11、熱源側熱交換器12、レシーバ13、過冷却熱交換器14(第1流路141)、第1膨張弁15、利用側膨張弁31、利用側熱交換器32の順に循環する冷却運転(冷凍サイクル運転)が行われる。
冷却運転中、冷媒が吸入配管(P2a、P2b又はP2c)を介して駆動している圧縮機11に吸入されて圧縮された後、高圧冷媒として吐出される。ここで、冷凍サイクルにおける低圧は低圧側圧力センサ21によって検出される低圧側圧力LPであり、高圧は高圧側圧力センサ22によって検出される高圧側圧力HPであり、中間圧は中間圧力センサ23によって検出される中間圧力MPである。
各圧縮機11から吐出されたガス冷媒は、対応する吐出配管(P3a、P3b、P3c)を経て、第5配管P5において他の圧縮機11から吐出された冷媒と合流して流れ、熱源側熱交換器12のガス側端に流入する。なお、運転中の各圧縮機11においては、インジェクション管(第4配管P4)を介して圧縮室内に中間圧冷媒がインジェクションされ、吐出される高圧冷媒の温度が目標値となるように制御される。
熱源側熱交換器12のガス側端に流入したガス冷媒は、熱源側熱交換器12において、熱源側ファン19によって供給される空気と熱交換を行って放熱して凝縮し、高圧の液冷媒/気液二相冷媒となって熱源側熱交換器12の液側端から流出する。熱源側熱交換器12の液側端から流出した冷媒は、第6配管P6を経て、レシーバ13の冷媒流入口に流入する。レシーバ13に流入した冷媒は、レシーバ13において飽和状態の液冷媒として一時的に溜められた後に、レシーバ13の冷媒流出口から流出する。
レシーバ13の出口から流出した液冷媒は、第7配管P7を経て、過冷却熱交換器14の第1流路141に流入する。過冷却熱交換器14の第1流路141に流入した液冷媒は、過冷却熱交換器14において、第2流路142を流れる冷媒と熱交換を行ってさらに冷却され、過冷却状態の液冷媒となって過冷却熱交換器14から流出する。
過冷却熱交換器14から流出した過冷却状態の液冷媒は、第8配管P8を流れる。第8配管P8を流れる冷媒は、二手に分岐する。第8配管P8において二手に分岐した冷媒のうち、一方は第1膨張弁15に流入する。第1膨張弁15に流入した冷媒は、第1膨張弁15の開度に応じて減圧され低圧の気液二相冷媒となる。第1膨張弁15を通過した気液二相冷媒は、第9配管P9を経て液側閉鎖弁SV2を通過して、熱源ユニット10から流出する。
一方、第8配管P8において二手に分岐した冷媒のうち、他方はインジェクションラインJ1に流入する。インジェクションラインJ1に流入した冷媒は、第10配管P10を経て第2膨張弁16に流入する。第2膨張弁16に流入した冷媒は、第2膨張弁16の開度に応じて減圧され中間圧の液冷媒/気液二相冷媒となる。第2膨張弁16を通過した冷媒は、第11配管P11を経て過冷却熱交換器14の第2流路142に流入する。なお、インジェクションラインJ1を流れる冷媒流量は、主として、第2膨張弁16の開度や各インジェクション弁17の開度、又は駆動中の圧縮機11の周波数等に基づき変動する。
過冷却熱交換器14の第2流路142に流入した液冷媒は、過冷却熱交換器14において、第1流路141を流れる冷媒と熱交換を行って加熱され、中間圧の気液二相冷媒/ガス冷媒となって過冷却熱交換器14から流出する。過冷却熱交換器14から流出した中間圧の気液二相冷媒/ガス冷媒は、第12配管P12を流れる。なお、過冷却熱交換器14の第2流路142及び第12配管P12を流れる冷媒の流量は、第2膨張弁16の開度に応じて増減する。
第12配管P12を流れる冷媒は、3つに分岐して各インジェクション弁17に流入する。各インジェクション弁17に流入した冷媒は、インジェクション弁17の開度に応じて減圧/流量調整され、インジェクション管(第4配管P4)を経て圧縮機11の圧縮室内にインジェクションされる。
ここで、係るインジェクションは、圧縮機11から吐出される冷媒の温度を目標値に制御することを目的として行われる。すなわち、運転中の圧縮機11において圧縮後の高圧冷媒が過度に過熱度のついた状態となる過熱運転状態となると、圧縮機11の信頼性が低下する。係る事態となることを抑制すべく、状況に応じて圧縮機11へ最適な流量(最適インジェクション量)の中間圧冷媒がインジェクションされる。係る最適インジェクション量は、各吐出温度センサ25の検出値(すなわち吐出冷媒温度HT)に応じて、適宜調整される。
熱源ユニット10から流出した低圧の二相冷媒は、液冷媒連絡配管L1を経て各利用ユニット30に流入する。利用ユニット30に流入した冷媒は、利用側膨張弁31に流入し利用側膨張弁31の開度に応じて減圧/流量調整され、利用側熱交換器32の液側端に流入する。
利用側熱交換器32の液側端に流入した冷媒は、利用側熱交換器32において、利用側ファン35によって供給される空気と熱交換を行って蒸発し、低圧のガス冷媒となって利用側熱交換器32のガス側端から流出する。
利用側熱交換器32のガス側端から流出したガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管G1及びガス側閉鎖弁SV1を経て、熱源ユニット10に流入する。熱源ユニット10に流入した冷媒は、第1配管P1を流れて再び駆動中の圧縮機11に吸入される。
(3)コントローラ50の詳細
図2は、コントローラ50の概略構成と、コントローラ50に接続される各部と、を模式的に示したブロック図である。
コントローラ50は、熱源ユニット10に含まれる各アクチュエータ(具体的には、圧縮機11(圧縮機モータ)、第1膨張弁15、インジェクション弁17、及び熱源側ファン19(熱源側ファンモータ)と、各種センサ(低圧側圧力センサ21、高圧側圧力センサ22、中間圧力センサ23及び各吐出温度センサ25等)と、電気的に接続されている。また、コントローラ50は、各利用ユニット30(30a及び30b)に含まれるアクチュエータ(具体的には、利用側ファン35(利用側ファンモータ)及び利用側膨張弁31等)と電気的に接続されている。
コントローラ50は、主として、記憶部51と、入力制御部52と、駆動信号出力部53と、アクチュエータ制御部54と、を有している。なお、コントローラ50内におけるこれらの各部は、コントローラ50を構成する各要素(CPU、各種メモリ、通信モジュール、各種インターフェース、及び各種電気部品等)が有機的に機能することによって実現されている。
(3−1)記憶部51
記憶部51は、例えば、ROM、RAM、及び/又はフラッシュメモリ等の各種メモリで構成されており、複数の記憶領域を含む。例えば、記憶部51には、コントローラ50の各部における処理を定義した制御プログラムを記憶するためのプログラム記憶領域511が含まれている。
また、記憶部51には、特性情報記憶領域512が含まれている。特性情報記憶領域512は、冷凍装置100に含まれる各弁(具体的には、第2膨張弁16及び各インジェクション弁17等)のそれぞれの特性情報を個別に記憶するための記憶領域である。ここで、特性情報は、弁開度と、通過する冷媒の流量と、の相関関係を定義した情報であり、予め導出されている。
また、記憶部51には、センサ値記憶領域513が含まれている。センサ値記憶領域513は、冷凍装置100に含まれる各センサ(具体的には低圧側圧力センサ21、高圧側圧力センサ22、中間圧力センサ23、及び各吐出温度センサ25等)のそれぞれの検出値(すなわち、低圧側圧力LP、中間圧力MP、高圧側圧力HP、及び各吐出冷媒温度HT等)を個別に記憶するための記憶領域である。
また、記憶部51には、インジェクション量記憶領域514が含まれている。インジェクション量記憶領域514は、所定時間当たりにインジェクション管(P4)を介して各圧縮機11に流入する中間圧冷媒の流量(以下、「インジェクション量IJ1」と称する)の合計値(以下、「インジェクション合計流量F1」と称する)を特定する情報を記憶するための記憶領域である。
また、記憶部51には、インジェクション差分値記憶領域515が含まれている。インジェクション差分値記憶領域515は、後述する吐出冷媒温度制御に伴うインジェクション弁17の開度変更後の各インジェクション量(以下、「変更後インジェクション量IJ2」と称する)の合計値(以下、「変更後インジェクション合計流量F2」と称する)に関し、変更前のインジェクション量IJ1の合計値(インジェクション合計流量F1)との差分値DVを特定する情報を記憶するための記憶領域である。
また、記憶部51には、冷凍装置100に含まれる各弁(具体的には、第1膨張弁15、第2膨張弁16及び各インジェクション弁17等)の開度の状態を判別するための複数のフラグが設けられている。例えば、記憶部51には、第1フラグFL1、第2フラグFL2、第3フラグFL3及び第4フラグFL4が設けられている。各フラグは、所定数のビットを含み、対応する弁の開度の状態(例えばパルス数)に応じて立てられる。すなわち、各フラグの状態を参照することで、各弁の開度状態(現在開度)についてリアルタイムに判別可能となっている。本実施形態において、第1フラグFL1は第1インジェクション弁17aに対応し、第2フラグFL2は第2インジェクション弁17bに対応し、第3フラグFL3は第3インジェクション弁17cに対応し、第4フラグFL4は第2膨張弁16に対応している。
また、記憶部51には、ユーザによって入力される各種コマンド(例えば各利用ユニット30の設定温度等)を判別可能なコマンド判別フラグ(図示省略)等が設けられている。
(3−2)入力制御部52
入力制御部52は、コントローラ50に対して他の各部から出力された信号を取得して記憶部51に当該信号を格納する。例えば、入力制御部52は、各種センサ(21−23、25等)から出力された検出結果に相当する信号を受け、所定の識別データを付加してセンサ値記憶領域513に個別に格納する。
(3−3)駆動信号出力部53
駆動信号出力部53は、各アクチュエータ(11a―11c、15、16、17a―17c、19、35、36等)に対して所定の駆動信号(駆動電圧)を出力する。駆動信号出力部53は、複数のインバータ(図示省略)を含み、第1圧縮機11a、熱源側ファン19、及び各利用側ファン35に対しては、対応するインバータを介して駆動信号を出力する。
(3−4)アクチュエータ制御部54
アクチュエータ制御部54は、制御プログラムに沿って、状況に応じて、冷凍装置100(熱源ユニット10及び利用ユニット30)に含まれる各アクチュエータの動作を制御する。例えば、アクチュエータ制御部54は、設定温度や各種センサの検出値等に応じて、圧縮機11の回転数、熱源側ファン19及び各利用側ファン35の回転数、第1膨張弁15の開度、及び各利用側膨張弁31の開度を、コマンドの種別、冷却負荷の大きさ、及び各センサ(21、22、23、25)の検出値等に応じてリアルタイムに制御する。また、アクチュエータ制御部54は、各インジェクション弁17の動作を状況に応じて制御するINJ弁制御部55と、第2膨張弁16の動作を状況に応じて制御する第2膨張弁制御部56と、を含んでいる。
(3−4−1)INJ弁制御部55
INJ弁制御部55は、運転時に、各インジェクション弁17(17a、17b、17c)の開度を、各圧縮機11から吐出される高圧冷媒の温度が目標値となる最適開度に制御する吐出冷媒温度制御を実行する。
INJ弁制御部55は、吐出冷媒温度制御において、センサ値記憶領域513に格納されている各圧縮機11の吐出冷媒温度HTを適宜参照し、各吐出冷媒温度HTが目標値と合致するように、各圧縮機11に関し最適インジェクション量を個別に算出する。特に、INJ弁制御部55は、吐出冷媒温度制御において、吐出冷媒温度HTが目標値に合致する圧縮機11が存在する場合には、まず当該圧縮機11のインジェクション量IJ1を最適インジェクション量として算出し、算出した最適インジェクション量に基づき、他の圧縮機11のインジェクション量IJ1を算出する。
例えば、第2圧縮機11b(容量一定圧縮機)の吐出冷媒温度HTが目標値に合致し、第1圧縮機11a(容量可変圧縮機)及び第3圧縮機11c(容量一定圧縮機)の吐出冷媒温度HTが目標値と合致しない場合には、INJ弁制御部55は、まず、第2圧縮機11bの吐出冷媒温度HTが目標値と合致していることに基づき、第2圧縮機11bに関し現在のインジェクション量IJ1を最適インジェクション量として算出する。なお、第2圧縮機11bの現在のインジェクション量IJ1については、センサ値記憶領域513に格納されている中間圧力MPから低圧側圧力LPを除した差分値(以下、「圧力差DP」と称する)と、対応する第2インジェクション弁17bの現在開度と、に基づき算出される。
次に、「容量可変圧縮機」である第1圧縮機11aの最適インジェクション量については、第2圧縮機11bの最適インジェクション量と、第1圧縮機11aの回転数、及び第2圧縮機11bの回転数の比と、に基づき以下のような算出式(A)を用いて算出される。
第1圧縮機11aの最適インジェクション量=(第2圧縮機11bの最適インジェクション量+第1圧縮機11aの回転数)/第2圧縮機11bの回転数・・・(A)
そして、第2圧縮機11bと同様、「容量一定圧縮機」である第3圧縮機11cの最適インジェクション量については、第2圧縮機11bの最適インジェクション量と同一の流量として算出する。
また、例えば、第3圧縮機11cの吐出冷媒温度HTが目標値に合致し、第1圧縮機11a及び第2圧縮機11bの吐出冷媒温度HTが目標値と合致しない場合の処理については、上記例における第2圧縮機11bを第3圧縮機11cと読み替え、第3圧縮機11cを第2圧縮機11bと読み替えて行われる。
なお、吐出冷媒温度制御において、各圧縮機11の吐出冷媒温度HTの目標値、及び最適インジェクション量の算出方法については、入力されているコマンドの種別、冷却負荷の大きさや圧縮機11の回転数に応じて、所定の算出式が制御プログラムに個別に定義され、又は所定のテーブルがプログラム記憶領域511に格納されており、係る算出式及び/又はテーブルが用いられる。
INJ弁制御部55は、算出した各圧縮機11の最適インジェクション量に基づき、各インジェクション弁17の開度を個別に決定する。この際、INJ弁制御部55は、特性情報記憶領域512に格納されている各インジェクション弁17の特性情報(開度と通過する冷媒の流量との相関関係に関する情報)を参照し、係る特性情報に基づき最適インジェクション量に合致する開度(最適開度)をインジェクション弁17毎に個別に決定する。
その後、INJ弁制御部55は、各インジェクション弁17に対し、現在開度から最適開度に必要な駆動信号(パルス信号)を駆動信号出力部53に出力させる。また、INJ弁制御部55は、各インジェクション弁17の現在開度に基づき、記憶部51の所定のフラグ(FL1、FL2、FL3)を立てる。
(3−4−2)第2膨張弁制御部56
第2膨張弁制御部56は、状況に応じて第2膨張弁16の開度を個別に決定する。第2膨張弁制御部56は、運転中、中間圧力MP(すなわち、インジェクションラインJ1を流れる中間圧冷媒の圧力)が目標値となるように第2膨張弁制御部56の開度を決定する、中間圧力通常制御を実行する。中間圧力MPの目標値については、各圧縮機11の回転数や吐出冷媒温度HT等に基づき算出され、制御プログラムにおいて算出式が定義されている。
また、第2膨張弁制御部56は、吐出冷媒温度制御に伴い中間圧力センサ23の検出値が所定値以上上昇する場合には、中間圧力通常制御に優先して中間圧力抑制制御を実行する。より具体的には、第2膨張弁制御部56は、吐出冷媒温度制御に伴いいずれかのインジェクション弁17の開度が変更された際に、中間圧力MPが当該インジェクション弁17の開度が変更される前の状態よりも所定の第1閾値ΔTh1を超えて上昇する時に、中間圧力抑制制御を実行し、第2膨張弁16の開度を、各圧縮機11に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを抑制する中間圧力抑制開度に変更する。
係る中間圧力抑制制御により、第2膨張弁16の開度が、上流側共通配管(第12配管P12)における冷媒流量が各圧縮機11における最適インジェクション量の合計値となるとともに、中間圧力抑制開度への変更前と変更後における前後差圧が同一(略同一)となる開度に決定される。その結果、吐出冷媒温度制御に伴い各圧縮機11に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが抑制される。
なお、第1閾値ΔTh1については、設計仕様や設置環境に応じて最適な値が制御プログラムに定義されている。より具体的に、第1閾値ΔTh1は、冷凍装置100のCOP低下が想定される程度に中間圧力MPが上昇する場合の、中間圧力MPの変化前後における差分値に相当する値が予め選定されている。
第2膨張弁制御部56は、中間圧力抑制制御に関連して、インジェクション量算出部561と、差分値算出部562と、中間圧力抑制開度決定部563と、を含んでいる。
インジェクション量算出部561は、定期的に、記憶部51に含まれる各フラグ(FL1、FL2、FL3)から特定される各インジェクション弁17の現在開度と、圧力差DP(中間圧力MPから低圧側圧力LPを除した差分値)と、に基づき所定時間あたりに各インジェクション弁17を通過する中間圧冷媒の流量(インジェクション量IJ1)を個別に算出する。インジェクション量算出部561は、各圧縮機11のインジェクション量IJ1を算出後、算出した各インジェクション量IJ1の合計値を、所定時間あたりにインジェクションラインJ1を通過する冷媒(すなわち第2膨張弁16に流入する冷媒)の流量(インジェクション合計流量F1)として算出する。インジェクション量算出部561は、算出したインジェクション合計流量F1を、記憶部51のインジェクション量記憶領域514に格納する。
差分値算出部562は、吐出冷媒温度制御に伴い、第1フラグFL1、第2フラグFL2及び第3フラグFL3のいずれかの状態が変更されると、変更後の各フラグの状態から特定される各インジェクション弁17の現在開度、及び圧力差DPに基づき、変更後の各圧縮機11への所定時間あたりのインジェクション量(変更後インジェクション量IJ2)を個別に算出する。そして、差分値算出部562は、各圧縮機11の変更後インジェクション量IJ2を算出後、それぞれの変更後インジェクション量IJ2の合計値(変更後インジェクション合計流量F2)を算出する。その後、差分値算出部562は、算出した変更後インジェクション合計流量F2から、インジェクション量記憶領域514に記憶されているインジェクション合計流量F1を減じた差分値(以下、「差分値DV」と称する)を算出する。差分値算出部562は、算出した差分値DVを記憶部51のインジェクション差分値記憶領域515に格納する。
中間圧力抑制開度決定部563は、吐出冷媒温度制御に伴いいずれかのインジェクション弁17の開度が変更された際に、中間圧力MPが当該インジェクション弁17の開度が変更される前の状態よりも所定の第1閾値ΔTh1を超えて上昇する場合には、インジェクション差分値記憶領域515に記憶されている差分値DVに基づき、中間圧力抑制開度を新たに決定する。すなわち、中間圧力抑制開度決定部563は、吐出冷媒温度制御によって中間圧力MPが第1閾値ΔTh1を超えて上昇する場合に限って、中間圧力抑制制御を実行する。つまり、中間圧力抑制開度決定部563は、吐出冷媒温度制御によって、COP低下が想定される程度に中間圧力MPが上昇しない場合には中間圧力抑制制御を行わず、COP低下が想定される程度に中間圧力MPが上昇する場合に限って中間圧力抑制制御を実行する。
中間圧力抑制開度決定部563は、第2膨張弁16の現在開度から、差分値DVに応じて増減する開度を、中間圧力抑制開度として決定する。これにより、中間圧力抑制開度が、上流側共通配管(第12配管P12)における冷媒流量が各圧縮機11における最適インジェクション量の合計値となるとともに、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における第2膨張弁16の前後差圧が同一(略同一)となる開度に決定される。
なお、中間圧力抑制開度決定部563は、特性情報記憶領域512に格納されている第2膨張弁16の特性情報(開度と、所定時間あたりに通過する冷媒の流量と、の相関関係に関する情報)に基づき、中間圧力抑制開度を決定する。このため、中間圧力抑制開度が高精度に決定されるようになっている。
その後、中間圧力抑制開度決定部563は、第2膨張弁16に関し、現在開度から決定した中間圧力抑制開度に必要な駆動信号(パルス信号)を駆動信号出力部53に出力させる。
(4)コントローラ50の処理の流れ
以下、コントローラ50による吐出冷媒温度制御及び中間圧力抑制制御の流れの一例について、図3を参照しながら説明する。図3は、コントローラ50による吐出冷媒温度制御及び中間圧力抑制制御に係る処理の流れの一例について示したフローチャートである。図3では、特にステップS103−S106において吐出冷媒温度制御に係る処理が示されており、ステップS107−S112において中間圧力抑制制御に係る処理が示されている。なお、図3に示される処理の流れは、一例であり、適宜変更可能である。例えば、矛盾のない範囲でステップの順序が変更されてもよいし、一部のステップが他のステップと並列に実行されてもよい。また、コントローラ50は、吐出冷媒温度制御及び中間圧力抑制制御に係る処理を、他の制御に係る処理と並行して実行する。
コントローラ50は、運転中、図3に示すステップS101からS112に示すような流れで吐出冷媒温度制御及び中間圧力抑制制御に係る処理を実行する。
ステップS101において、コントローラ50は、各インジェクション弁17の現在開度と、圧力差DP(中間圧力MPから低圧側圧力LPを除した差分値)と、に基づき各圧縮機11のインジェクション量IJ1を個別に算出する。その後、ステップS102へ進む。
ステップS102において、コントローラ50は、算出した各インジェクション量IJ1の合計値を、インジェクション合計流量F1として算出する。その後ステップS103へ進む。
ステップS103において、コントローラ50は、各圧縮機11の吐出冷媒温度HTが目標値と合致する場合(すなわち、YESの場合)には、ステップS101に戻る。一方、各圧縮機11の吐出冷媒温度HTが目標値と合致しない場合(すなわち、NOの場合)にはステップS104へ進む。
ステップS104において、コントローラ50は、各吐出冷媒温度HTが目標値となるように、各圧縮機11に関し最適インジェクション量を個別に算出する。その後、ステップS105へ進む。
ステップS105において、コントローラ50は、各圧縮機11の最適インジェクション量、及び各インジェクション弁17の特性情報に基づき、最適インジェクション量に合致する開度(最適開度)をインジェクション弁17毎に個別に決定する。その後、ステップS106へ進む。
ステップS106において、コントローラ50は、各インジェクション弁17に対し、現在開度から最適開度に必要な駆動信号(パルス信号)を出力し、各インジェクション弁17を最適開度に制御する。その後、ステップS107へ進む。
ステップS107において、コントローラ50は、吐出冷媒温度制御により各インジェクション弁17の開度が最適開度に変更されたことに伴い、最適開度変更後の中間圧力MPが最適開度変更前の中間圧力MPよりも第1閾値ΔTh1以上上昇しない場合(すなわちNOの場合)には、ステップS101に戻る。一方、吐出冷媒温度制御により各インジェクション弁17の開度が最適開度に変更されたことに伴い、最適開度変更後の中間圧力MPが最適開度変更前の中間圧力MPよりも第1閾値ΔTh1以上上昇した場合(すなわちYESの場合)には、ステップS108へ進む。
ステップS108において、コントローラ50は、各インジェクション弁17の現在開度、及び圧力差DPに基づき、各圧縮機11へのインジェクション量(変更後インジェクション量IJ2)を個別に算出する。その後、ステップS109へ進む。
ステップS109において、コントローラ50は、各圧縮機11のインジェクション量(変更後インジェクション量IJ2)の合計値を変更後インジェクション合計流量F2として算出する。その後、ステップS110へ進む。
ステップS110において、コントローラ50は、変更後インジェクション合計流量F2からインジェクション合計流量F1を減じた差分値を、差分値DVとして算出する。その後、ステップS111へ進む。
ステップS111において、コントローラ50は、算出した差分値DVに基づき、中間圧力抑制開度を新たに決定する。より具体的には、コントローラ50は、第2膨張弁16の現在開度から差分値DVに応じて増減した開度を、中間圧力抑制開度として決定する。この際、コントローラ50は、第2膨張弁16の特性情報(開度と通過する冷媒の流量との相関関係に関する情報)に基づき、中間圧力抑制開度を決定する。その後、ステップS112へ進む。
ステップS112において、コントローラ50は、第2膨張弁16に関し、現在開度から決定した中間圧力抑制開度に必要な駆動信号(パルス信号)を出力し、第2膨張弁16を中間圧力抑制開度に制御する。その後、ステップS101に戻る。
(5)冷凍装置100の特徴
(5−1)
上記実施形態に係る冷凍装置100では、COPの低下が抑制されている。
すなわち、各圧縮機に接続されるインジェクション管に接続されたインジェクション弁の開度を、各圧縮機から吐出される冷媒の温度に基づいて調整することで、各圧縮機に流入させる中間圧冷媒の流量を調整する従来の冷凍装置では、各インジェクション弁が共通の上流側共通配管と接続され、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の流量を調整する流量調整弁が配置され、上流側共通配管と流量調整弁との間に中間圧冷媒と高圧の液冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器が配置されるのが一般的である。そのうえで、流量調整弁の開度が、各圧縮機から吐出される冷媒温度が目標値となるように制御される、又は過冷却熱交換器から流出する中間圧冷媒の過熱度が目標値となるように制御されるのが一般的である。
このような従来の冷凍装置において、いずれかのインジェクション弁の開度を変更した際には、上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力が変動し、所定時間が経過するまでの間、冷媒流量調整弁の開度を制御するうえで指標となる変数が不安定となることで流量調整弁の開度が不安定となる。この際、中間圧冷媒の圧力が大きくなる時には、過冷却熱交換器において中間圧冷媒と熱交換する高圧の液冷媒の温度が、想定される値よりも高くなる。その結果、流量調整弁の開度が安定するまでの間、高圧の液冷媒を送られる利用ユニットにおいて冷却能力が低下し、冷凍装置のCOPが低下する。
この点、上記実施形態の冷凍装置100は、コントローラ50が、各インジェクション弁17の開度変更時に中間圧力抑制制御を実行し、中間圧力抑制制御において第2膨張弁16(流量調整弁)の開度を中間圧力抑制開度(各圧縮機11に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを抑制する開度)に変更するように構成されている。
これにより、いずれかのインジェクション弁17の開度を変更した際、第2膨張弁16の開度が中間圧力抑制開度に変更されるようになっている。その結果、各インジェクション弁17の開度を変更した際に、上流側共通配管(P12)を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが抑制されている。このため、第2膨張弁16の開度を制御するうえで指標となる変数が不安定となることで冷媒流量調整弁の開度が不安定となることが抑制されている。すなわち、上流側共通配管(P12)と冷媒流量調整弁(第2膨張弁16)との間に中間圧冷媒と高圧の液冷媒とを熱交換させる過冷却熱交換器14が配置される構成において、過冷却熱交換器14において中間圧冷媒と熱交換する高圧の液冷媒の温度が想定される値よりも高くなることが抑制されるようになっている。
よって、高圧の液冷媒を送られる利用ユニット30における冷却能力が低下することが抑制されようになっており、冷凍装置100のCOPの低下が抑制されている。
(5−2)
上記実施形態に係る冷凍装置100は、コントローラ50が、各インジェクション弁17の開度を、最適開度(対応する各圧縮機11から吐出される高圧冷媒の温度が目標値となるインジェクション弁17の開度)に変更する吐出冷媒温度制御を実行し、吐出冷媒温度制御に伴い中間圧力抑制制御を実行するように構成されている。
これにより、運転中、各圧縮機11から吐出される高圧冷媒の温度が目標値に制御されるようになっている。その結果、各圧縮機11において、冷媒の状態が過度に過熱度のついた状態となる過熱運転状態や過度に湿り状態となる湿り運転状態となることが抑制されるようになっている。よって、冷凍装置100のCOPの低下が抑制されるとともに圧縮機11の信頼性が確保されている。
(5−3)
上記実施形態に係る冷凍装置100は、コントローラ50が、吐出冷媒温度制御において、各圧縮機11の最適インジェクション量(流入する中間圧冷媒の最適な流量)を個別に算出し、各圧縮機11の最適インジェクション量に基づき各インジェクション弁17の最適開度を決定するように構成されている。これにより、各圧縮機11の最適インジェクション量が個別に算出され、各インジェクション弁17の開度が最適インジェクション量に応じて制御されるようになっている。その結果、各圧縮機11から吐出される高圧冷媒の温度が精度よく目標値に制御されるようになっており、圧縮機11の信頼性が高精度に確保されるようになっている。
(5−4)
上記実施形態に係る冷凍装置100は、コントローラ50が、中間圧力抑制制御において、中間圧力抑制開度を、上流側共通配管(第12配管P12)における冷媒流量が各圧縮機11における最適インジェクション量の合計値となるとともに、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における第2膨張弁16の前後差圧が同一となる開度に決定するように構成されている。これにより、中間圧力抑制開度が、上流側共通配管(P12)における冷媒流量が各圧縮機11における最適インジェクション量の合計値となるとともに、中間圧力抑制開度に変更前と変更後における第2膨張弁16の前後差圧が同一となる開度に決定されるようになっている。その結果、各インジェクション弁17の開度を変更した際に、上流側共通配管(P12)を流れる中間圧冷媒の圧力変動が精度よく抑制されるようになっている。このため、冷凍装置100のCOPの低下が高精度に抑制されている。
(5−5)
上記実施形態に係る冷凍装置100は、コントローラ50が、吐出冷媒温度制御に伴い中間圧力センサ23の検出値(中間圧力MP;上流側共通配管を流れる中間圧冷媒の圧力)が第1閾値ΔTh1以上上昇する場合に中間圧力抑制制御を実行するように構成されている。これにより、吐出冷媒温度制御によって中間圧力MPが特に上昇する場合に限って、中間圧力抑制制御が実行されるように構成されている。すなわち、吐出冷媒温度制御によって、COP低下が想定される程度に中間圧力MPが上昇しない場合には中間圧力抑制制御が行われず、必要な場合(すなわちCOP低下が想定される程度に中間圧力MPが上昇する場合)に限って中間圧力抑制制御が実行されるように構成されている。
(5−6)
上記実施形態に係る冷凍装置100は、コントローラ50が、低圧側圧力センサ21の検出値(低圧側圧力LP)及び中間圧力センサ23の検出値(中間圧力MP)の差分値(圧力差DP)と、設定されている各インジェクション弁17の開度と、に基づき、各インジェクション弁17を通過する中間圧冷媒の流量(インジェクション量IJ1、変更後インジェクション量IJ2)を算出するように構成されている。これにより、各インジェクション弁17の開度変更前及び変更後における各圧縮機11に流入する中間圧冷媒の流量(インジェクション合計流量F1、変更後インジェクション合計流量F2)が精度よく算出され、算出した値を、中間圧力抑制開度を決定する際に用いることが可能となっている。
よって、中間圧力抑制開度を、上流側共通配管(P12)を流れる中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することを高精度に抑制する開度に決定することが可能となっている。
(5−7)
上記実施形態に係る冷凍装置100では、運転容量可変の容量可変圧縮機(第1圧縮機11a)と運転容量一定の容量一定圧縮機(第2圧縮機11b、第3圧縮機11c)と、が含まれ、コントローラ50が、容量一定圧縮機(11b)の最適インジェクション量と、容量可変圧縮機(11a)の回転数及び容量一定圧縮機(11b)の回転数の比と、に基づき容量可変圧縮機の最適インジェクション量を算出するように構成されている。これにより、容量可変圧縮機と容量一定圧縮機とが混在する構成において、容量可変圧縮機の最適インジェクション量が精度よく算出されるようになっている。
(5−8)
上記実施形態に係る冷凍装置100は、コントローラ50が、中間圧力抑制制御において、予め導出されている第2膨張弁16の特性情報(開度と通過する冷媒流量との相関関係)に基づき、中間圧力抑制開度を決定するように構成されている。これにより、中間圧力抑制開度が、予め導出されている第2膨張弁16の特性に基づき決定されるようになっている。その結果、第2膨張弁16を中間圧力抑制開度に変更後、各圧縮機11に流入する中間圧冷媒の圧力が過度に上昇することが高精度に抑制されるようになっている。
(6)変形例
上記実施形態は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
(6−1)変形例A
上記実施形態では、熱源ユニット10に配置される複数の圧縮機11のうち、容量可変圧縮機については第1圧縮機11aの1台であり、容量一定圧縮機は第2圧縮機11b、第3圧縮機11cの2台であった。しかし、容量可変圧縮機及び容量一定圧縮機の台数配分については、設計仕様に応じて適宜変更が可能である。例えば、容量可変圧縮機については2台又は3台であってもよい。また、例えば全ての圧縮機11を容量可変圧縮機としてもよい。また、例えば全ての圧縮機11を容量一定圧縮機としてもよい。
また、上記実施形態においては、圧縮機11は全部で3台配置されたが、圧縮機11の台数については、設計仕様に応じて適宜変更が可能である。例えば、圧縮機11は2台であってもよいし、4台以上であってもよい。係る場合、容量可変圧縮機及び容量一定圧縮機の台数配分については、適宜選択されればよい。
(6−2)変形例B
上記実施形態では、コントローラ50は、吐出冷媒温度制御に伴い中間圧力抑制制御を実行するように構成されていた。しかし、係る条件については適宜変更が可能である。例えば、コントローラ50は、吐出冷媒温度制御とは観点が異なる他の制御によっていずれかのインジェクション弁17の開度が変更される場合に、中間圧力抑制制御を実行するように構成されてもよい。また、例えば、コントローラ50は、吐出冷媒温度制御に関わらず、いずれかのインジェクション弁17の開度が変更される場合には、必ず中間圧力抑制制御を実行するように構成されてもよい。
(6−3)変形例C
上記実施形態では、コントローラ50は、吐出冷媒温度制御に伴い、中間圧力MPが第1閾値ΔTh1以上上昇する場合に限って、中間圧力抑制制御を実行するように構成されていた。しかし、係る条件については適宜変更が可能である。
例えば、コントローラ50は、いずれかのインジェクション弁17の開度が変更される場合において、中間圧力MPが上昇する時には、上昇値が第1閾値ΔTh1以上であるか否かに関わらず、必ず中間圧力抑制制御が実行するように構成されてもよい。係る場合、図3の処理の流れにおいて、ステップS107の処理においては、中間圧力MPが上昇しているか否かのみが判断され、上昇値が第1閾値ΔTh1以上であるか否かの判断については省略される。
また、例えば、コントローラ50は、いずれかのインジェクション弁17の開度が変更される場合には、必ず中間圧力抑制制御が実行するように構成されてもよい。係る場合、図3の処理の流れにおいて、ステップS107の処理が省略される。
(6−4)変形例D
上記実施形態における最適インジェクション量、最適開度、インジェクション量IJ1、変更後インジェクション量IJ2、インジェクション合計流量F1、変更後インジェクション合計流量F2、及び/又は中間圧力抑制開度の算出方法は、あくまでも一例であり、上記実施形態で説明した方法とは異なる算出方法が適宜採用されてもよい。
(6−5)変形例E
上記実施形態における冷媒回路RCの回路構成及び冷凍装置100に配置される機器については適宜変更が可能であり、一部の回路要素や機器については適宜省略が可能である。例えば、熱源ユニット10に配置されるレシーバ13や、各利用ユニット30に配置される利用側膨張弁31については必ずしも必要ではなく、適宜省略が可能である。また、利用側膨張弁31については電動膨張弁ではなく、感温式の膨張弁やキャピラリーチューブ等の減圧機構を採用してもよい。
また、冷媒回路RCにおいては、各回路要素や各機器に代えて/とともに、他の回路要素や機器が含まれていてもよい。例えば、冷媒回路RCにおいて、四路切換弁を新たに配置して、熱源ユニット10及び利用ユニット30間において冷却運転時とは逆サイクルで冷媒が流れるデフロスト運転や暖房運転を可能に構成してもよい。係る場合、四路切換弁は、第1配管P1を上下流に分割することで構成される各配管、及び第5配管P5を上下流に分割することで構成される各配管に接続され、逆サイクル時に熱源側熱交換器12が冷媒の蒸発器として機能するとともに利用側熱交換器32が冷媒の放熱器又は凝縮器として機能するように制御されればよい。
(6−6)変形例F
上記実施形態では、本発明が冷蔵倉庫や店舗のショーケースの庫内の冷却を行う冷凍装置100に適用されていた。しかし、これに限定されず、本発明は、他の冷凍装置にも適用可能である。例えば、本発明は、輸送コンテナ内の冷却を行う冷凍装置に適用されてもよい。また、例えば、本発明は、建物内の冷房等を行うことで空気調和を実現する空調システム(エアコン)や、給湯器やヒートポンプチラー等にも適用可能である。
(6−7)変形例G
上記実施形態では、1台の熱源ユニット10と、3台の利用ユニット30と、を有していた。しかし、冷凍装置100に配置される熱源ユニット10の台数については特に限定されず、2台以上であってもよい。また、冷凍装置100が有する利用ユニット30の台数については特に限定されず、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
(6−8)変形例H
上記実施形態では、コントローラ50の配置位置については特に限定していなかった。コントローラ50については、必ずしも熱源ユニット10及び/又は利用ユニット30と同一の空間に設置される必要はなく、熱源ユニット10及び/又は利用ユニット30と通信ネットワークを介して接続された遠隔地に設置されてもよい。また、コントローラ50を構成する各要素(CPU、メモリ、及び各種電気部品等)は必ずしも同一位置に設置される必要はなく、分散的に異なる空間に配置された各要素が通信ネットワークを介して接続されることでコントローラ50が構成されてもよい。