JP6786619B2 - 歯科用連結部材、マウスピース及び歯列矯正器具 - Google Patents

歯科用連結部材、マウスピース及び歯列矯正器具 Download PDF

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Description

本願の技術は、歯科用連結部材、マウスピース及び歯列矯正器具に関する。
従来、睡眠時無呼吸症候群や顎関節症等の治療において、歯科用のマウスピースが用いられている。また、歯列を矯正するために歯列矯正器具が用いられている。このマウスピースとして、例えば特許文献1には、一対の調整可能なコネクター又はヘルブスト型器具を介して互いに連結した下顎弓エキスパンダー及び上顎弓エキスパンダーを包含する歯科矯正器具が開示されている。
特表2002−512073号公報
特許文献1に開示されている技術では、上顎及び下顎弓エキスパンダーは2つの入れ子式ヘルブスト型組立て品で相互に連結される。2つの組立て品は、後方管、前方管と、これら2つの管を貫通するロッドを含んでおり、後方管の中空体の後端外部に付けられたねじ山が、前方管の中空体の前端内側に付けられたねじ山に噛み合うことで、前方管及び後方管はねじ山によって連結される。
特許文献1のように、2つのネジ(螺合部及び被螺合部)を螺合させて、これらのネジが形成された部材(ロッド及び筒体)を連結する構造では、ネジの緩みを抑制して、部材の相対位置を維持することが望まれる。特に、歯科用のマウスピースや歯列矯正器具では、上顎又は下顎の歯列に装着される2つの歯科用器具の相対位置を維持することが望まれる。
本発明は、第1の側面において、上記事実を考慮し、螺合部と被螺合部の緩みを抑制した歯科用連結部材、マウスピース及び歯列矯正器具を得ることを目的とする。
また、特許文献1のように、筒状の管(外筒)に対し、挿入体が挿入される構造では、挿入体が外筒に対し過度に挿入されないように、挿入体の挿入範囲を適切に制限することが望まれる。しかし、たとえば、外筒の内部に2種類の内径を有する部分を形成して、この内径が変化する部分を、挿入体が接触する壁として用いる構造では、外筒の成形が難しい。
本発明は、第2の側面において、上記事実を考慮し、外筒への挿入体の過度の挿入を簡単な構造で制限できる歯科用連結部材、マウスピース及び歯列矯正器具を得ることを目的とする。
本発明の第1の側面に関する歯科用連結部材は、第一歯科用器具の第一取付部と連結される第一連結部を一方の端部領域に有し、他方の端部領域に螺合部を有する第一延伸体と、第二歯科用器具の第二取付部と連結される第二連結部を他方の端部領域に有し、前記螺合部が螺合される被螺合部を一方の端部領域の内周面に有する第二延伸体と、を有する。本歯科用連結部材は、前記螺合部と前記被螺合部のいずれか一方若しくは両方に、前記螺合部及び前記被螺合部の他方と螺合させるためのトルクが異なる異トルク部を有する。
本発明の第2の側面に関する歯科用連結部材は、第一歯科用器具の第一取付部と連結される第一連結部を一方の端部領域に備え、他方の端部領域に螺合部が形成された第一延伸体と、他方の端部領域に第二歯科用器具の第二取付部と連結される第二連結部を備え、一方の端部領域側の端部が開口された外筒と、一方の端部領域に前記螺合部が螺合される被螺合部が形成され、他方の端部領域が前記外筒に挿入される第三延伸体と、前記外筒の内周面から突出し、前記第三延伸体の前記他方の端部領域と対向する突起と、を有する。
本発明のマウスピースは、上記いずれかの歯科用連結部材と、前記第一歯科用器具としての下顎用ピースと、前記第二歯科用器具としての上顎用ピースと、を有する。
本発明の歯列矯正器具は、上記いずれかの歯科用連結部材と、下歯に取り付けられ歯列を矯正する前記第一歯科用器具としての下歯用取付具と、上歯に取り付けられ歯列を矯正する前記第二歯科用器具としての上歯用取付具と、を有する。
本発明は、第1の側面において、螺合部と被螺合部の緩みを抑制できる。
本発明は、第2の側面において、外筒への挿入体の過度の挿入を簡単な構造で制限できる。
図1は、本発明の例示的な実施形態に関するマウスピースを示す正面図である。 図2Aは、閉口時のマウスピースの状態を示す側面図である。 図2Bは、開口時のマウスピースの状態を示す側面図である。 図2Cは、歯科用連結部材を取外す時のマウスピースの状態を示す側面図である。 図3Aは、本発明の例示的な歯科用連結部材を示す平面図である。 図3Bは、図3AのB−B線断面図である。 図4Aは、第一実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す斜視図である。 図4Bは、第一実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す側面図である。 図5は、第二実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す斜視図である。 図6は、第三実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す斜視図である。 図7Aは、第四実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す斜視図である。 図7Bは、第四実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す側面図である。 図8Aは、第五実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す斜視図である。 図8Bは、第五実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す側面図である。 図8Cは、第五実施形態の歯科用連結部材の別のロッドの他方の端部領域を拡大して示す側面図である。 図9は、第六実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す側面図である。 図10は、第七実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す側面図である。 図11Aは、第八実施形態の歯科用連結部材の中筒の他方の端部領域を拡大して示す断面図である。 図11Bは、第八実施形態の歯科用連結部材の別の中筒の他方の端部領域を拡大して示す断面図である。 図12Aは、第九実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す斜視図である。 図12Bは、第九実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す側面図である。 図12Cは、第九実施形態の歯科用連結部材の別のロッドの他方の端部領域を拡大して示す側面図である。 図13は、第十実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す側面図である。 図14は、第十一実施形態の歯科用連結部材のロッドの他方の端部領域を拡大して示す側面図である。 図15Aは、第十二実施形態の歯科用連結部材の中筒の他方の端部領域を拡大して示す断面図である。 図15Bは、第十二実施形態の歯科用連結部材の別の中筒の他方の端部領域を拡大して示す断面図である。 図16は、第十三実施形態の歯科用連結部材を示す断面図である。 図17は、第十四実施形態の歯科用連結部材を示す断面図である。 図18は、第十五実施形態の歯科用連結部材を示す断面図である。 図19は、第十六実施形態の歯科用連結部材を示す平面図である。 図20Aは、第十七実施形態の歯科用連結部材を示す平面図である。 図20Bは、第十七実施形態の歯科用連結部材を示す断面図である。 図21は、第十七実施形態のマウスピースの歯科用連結部材を示す図20Aの21−21線断面図である。 図22は、第十八実施形態の歯科用連結部材を示す断面図である。 図23は、第十九実施形態の歯科用連結部材を示す断面図である。
以下の説明において、外筒、内筒もしくはロッドまたはこれらに付属する部材(たとえば、雄ネジ部など)の「一方の端部領域(軸方向一端部)」は、これらすべての部材についての同一方向の端部領域およびその周辺を示す。つまり、「一方の端部領域」は、これらすべての部材についての、歯科用連結部材をマウスピース又は歯列矯正器具に取り付けたときの下顎用歯科用器具(第一歯科用器具)側の軸方向端部およびその周辺を意味するか、または歯科用連結部材をマウスピース又は歯列矯正器具に取り付けたときの上顎用歯科用器具(第二歯科用器具)側の軸方向端部およびその周辺を意味する。また、「他方の端部領域」は、これらすべての部材についての、「一方の端部領域」とは反対側の端部領域およびその周辺を意味する。つまり、上顎用歯科用器具側の軸方向端部およびその周辺の反対側の端部領域は下顎用歯科用器具側の軸方向端部およびその周辺であり、下顎用歯科用器具側の軸方向端部およびその周辺の反対側の端部領域は上顎用歯科用器具側の軸方向端部およびその周辺を意味する。
同様に、外筒、内筒もしくはロッドまたはこれらに付属する部材(たとえば、雄ネジ部など)の「一方の端部領域側」は、これらすべての部材についての、一方の端部領域が形成される側の同一の方向を示す。つまり、「一方の端部領域側」は、これらすべての部材についての、歯科用連結部材をマウスピース又は歯列矯正器具に取り付けたときに下顎用歯科用器具(第一歯科用器具)側に向かう方向を意味するか、または歯科用連結部材をマウスピース又は歯列矯正器具に取り付けたときに上顎用歯科用器具(第二歯科用器具)側に向かう方向を意味する。また、「他方の端部領域側」は、これらすべての部材についての、「一方の端部領域側」とは反対側に向かう方向を意味する。
また、以下の説明において、雄ネジ部(螺合部)又は雌ネジ部(被螺合部)が「回転対称」であるとは、これらをロッドの軸心又は内筒の軸心方向に見た投影図が軸芯を中心に回転対称であることを意味する。
また、以下の説明において、雄ネジ部(螺合部)又は雌ネジ部(被螺合部)の「外径」及び「内径」は、対向するねじ山の頂点間の距離を意味する。
1.基本構成
1−1.マウスピース
マウスピース10は、いびきや歯軋り、睡眠時の無呼吸等を低減又は防止するために用いられる歯科用のマウスピースである。このマウスピース10は、一例において、図1に示すように、上顎の歯列に装着される上顎用歯科用器具(第二歯科用器具)12と、下顎の歯列に装着される下顎用歯科用器具(第一歯科用器具)14と、を備えている。
上顎用歯科用器具12及び下顎用歯科用器具14は、例えばアクリル樹脂で構成されているが、材料はアクリル樹脂に限定されない。例えば、上顎用歯科用器具12及び下顎用歯科用器具14は、曲げ弾性率が2000MPa以上3000MPa以下の単一の硬い材料や、10MPa以上300MPa以下の柔らかい材料と1000MPa以上3000MPa以下の硬い材料とを組み合わせた材料によって構成されていてもよい。
上顎用歯科用器具12及び下顎用歯科用器具14は、引張強度150N以上2000N未満、特に150N以上500N以下の比較的柔らかい材料で構成されていてもよい。その場合、マウスピース10は、装着時における上顎用歯科用器具12及び下顎用歯科用器具14の歯への追従性が高くなる。
この引張強度は、ニッシン標準模型を用いて作製したマウスピース(厚さ3mm)の上顎用歯科用器具又は下顎用歯科用器具における歯列6番にφ1.5mmの穴を開け、臼歯方向(歯列の後ろ方向)に引張試験をした際に裂けた強度をいう。
引張強度150N以上2000N未満の材料は、例えば、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系ゴム樹脂であり、中でもオレフィン系樹脂が好ましい。
オレフィン系樹脂は、オレフィンを単独重合してなる重合体、又はオレフィンと他の単量体とを重合してなる共重合体である。オレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン、メチルペンテン及びヘキセンなどを含む炭素数が2〜6のオレフィンが好ましい。他の単量体は、例えば、酢酸ビニルなどである。
オレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましく、ポリエチレン(PE)、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。
ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)との重縮合体であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。また、ウレタン系樹脂は、イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物との重縮合体であり、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。
ポリアミド系樹脂は、アミド結合によって多数のモノマーが結合してできたポリマーであり、例えば、ナイロン、パラ系アミド、メタ系アミドである。また、アクリル系ゴム樹脂は、アクリル系ゴムを主成分としたものであり、例えば、メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルのブロック共重合体である。
引張強度150N以上2000N未満の材料は、市販されているものであってもよく、例えば、ポリプロピレン樹脂であるプライムポリマー株式会社製のF327等であってもよい。
上顎用歯科用器具12は、歯列の中心から見て左右奥方(図1では歯列6番〜7番)の外壁面12Aに、外壁面12Aから突出した上取付部(第二取付部)16が設けられている。上取付部16は金属製である。
一方、下顎用歯科用器具14は、歯列の中心から見て左右奥方(図1では歯列3番〜4番)の外壁面14Aに、外壁面14Aから突出した下取付部(第一取付部)18が設けられている。下取付部18は金属製である。
上取付部16は、一端が上顎用歯科用器具12の外壁面12Aに固定された円柱形状の軸部20と、軸部20の他端(先端)に設けられたフランジ部22と、を備えている。フランジ部22は、長軸及び短軸を有する角丸長方形形状である。図2Aに示すように、上顎用歯科用器具12の下顎用歯科用器具14に対向する対向面12Bに対するフランジ部22の長軸の角度は、約90度である。
同様に、下取付部18は、一端が下顎用歯科用器具14の外壁面14Aに固定された円柱形状の軸部24と、軸部24の先端に設けられた角丸長方形形状のフランジ部26と、を備えている。図2Aに示すように、下顎用歯科用器具14の上顎用歯科用器具12に対向する対向面14Bに対するフランジ部26の長軸の角度は、約90度である。なお、対向面12Bに対するフランジ部22の長軸の角度、及び対向面14Bに対するフランジ部26の長軸の角度は、いずれも10度〜60度の範囲外であればよい。
右の上取付部16及び右の下取付部18には、金属製の歯科用連結部材28が取り付けられており、左の上取付部16及び左の下取付部18には、別の金属製の歯科用連結部材28が取り付けられている。歯科用連結部材28は、上取付部16に連結されたときに上取付部16の軸周りに回転可能であり、かつ、下取付部18に連結されたときに下取付部18の軸周りに回転可能である。歯科用連結部材28は、上顎用歯科用器具12と下顎用歯科用器具14とを開閉可能に連結するとともに、上顎用歯科用器具12に対して下顎用歯科用器具14が歯列の奥方へ移動しないように位置決めする。
マウスピース10は、歯列の中心からみて、上取付部16が下取付部18よりも奥方(奥歯側)に位置している。すなわち、マウスピース10は、装着時に歯科用連結部材28によって下顎用歯科用器具14(下顎)を前に押し出すPush型である。
1−2.歯科用連結部材
図3A及び図3Bは、マウスピース10に取り付けられる例示的な歯科用連結部材28を示す。歯科用連結部材28は、延伸体である筒体29を有する。筒体29は、図3A及び図3Bに示すように、一方の端部領域30P側の端部及び他方の端部領域30Q側の端部が開口された筒状の外筒30と、外筒30内に摺動可能に挿入された筒状の内筒32と、を有する。歯科用連結部材28はさらに、内筒32(筒体29)に挿入される延伸体であるロッド34を有する。
外筒30の外周面の一方の端部領域30Pと他方の端部領域30Qの間には、軸方向に沿って長孔30Aが形成されている。また、外筒30の他方の端部領域30Qの軸芯からオフセットした位置には、図1における上取付部16のフランジ部22に係合される角丸長方形形状の上側アイレット部30Bが形成されている。上側アイレット部30Bは、フランジ部22の相似形(長径及び短径を有する角丸長方形形状)であり、長径の方向が歯科用連結部材28の長手方向(外筒30の軸方向)と同じ方向となるように配置されている。
上側アイレット部30Bは、大きさがフランジ部22より一回り大きく形成されている。具体的には、上側アイレット部30Bの長径の長さL1は、図2Bに示すフランジ部22の長軸の長さR1より長い。
一方、上側アイレット部30Bの短径の長さL2は、図2Bに示すフランジ部22の短軸の長さR2より長く、かつフランジ部22の長軸の長さR1より短い。このため、上側アイレット部30Bは、長径の方向とフランジ部22の長軸の方向とが揃う位置でのみフランジ部22に着脱可能とされている。
内筒32の他方の端部領域32Qの外周面には、突起である被収容部32Aが突出形成されている。被収容部32Aは、直径が外筒30の長孔30Aの幅より小さく、長孔30A内に摺動可能に挿入されて収容されており、外筒30内での内筒32の摺動によって被収容部32Aも長孔30A内を摺動する。また、内筒32の一方の端部領域32Pの内周面には雌ネジ部32Bが形成されている。内筒32の一方の端部領域32Pの近傍の外周面には開口32Cが形成されている。
ロッド34の他方の端部領域34Qには、内筒32の雌ネジ部32Bに螺合される雄ネジ部34Aが形成されている。雄ネジ部34Aの一部には、軸方向に沿って非ネジ部36が設けられており、非ネジ部36には目盛36Aが形成されている。
一方、ロッド34の一方の端部領域34Pには、ロッド34の軸心RA上に、図1における下取付部18のフランジ部26に係合される角丸長方形形状の下側アイレット部34Bが形成されている。下側アイレット部34Bは、フランジ部26の相似形(長径及び短径を有する角丸長方形形状)であり、長径の方向が歯科用連結部材28の長手方向(ロッド34の軸方向)と同じ方向である。
また、上側アイレット部30Bと同様に、下側アイレット部34Bは、大きさはフランジ部26より一回り大きく形成されている。具体的には、下側アイレット部34Bの長径の長さL1は、図2Bに示すフランジ部26の長軸の長さR1より長い。
一方、下側アイレット部34Bの短径の長さL2は、図2Bに示すフランジ部26の短軸の長さR2より長く、かつフランジ部26の長軸の長さR1より短い。このため、下側アイレット部34Bは、長径の方向とフランジ部26の長軸の方向とが揃う位置でのみフランジ部26に着脱可能である。
歯科用連結部材28は、ロッド34を軸周りに回転させて、内筒32の雌ネジ部32Bへの雄ネジ部34Aの螺合量を調整することにより、長さが無段階に調整される。また、歯科用連結部材28は、内筒32が外筒30内を摺動することにより、上顎用歯科用器具12及び下顎用歯科用器具14の動きに追随する。
このとき、内筒32の被収容部32Aが外筒30の長孔30Aの両端部(図3Aにおける左右端部)に当接することによって、内筒32の軸方向における両方向の摺動が制限される。なお、上取付部16と下取付部18との距離(中心間距離)は、歯科用連結部材28によって通常、約18mm〜50mmの間で調整される。
1−3.作用、効果
この例示的なマウスピース10は、図1に示すように、上側アイレット部30Bが軸部20に掛かり、下側アイレット部34Bが軸部24に掛かることにより、上顎用歯科用器具12と下顎用歯科用器具14とが歯科用連結部材28によって連結された状態で歯列へ装着される。
このとき、図3A及び図3Bにおける雄ネジ部34Aの雌ネジ部32Bへの螺合量を調整することによって、上顎用歯科用器具12に対して下顎用歯科用器具14が歯列の奥方とならないように下顎用歯科用器具14の位置を調整する。なお、マウスピース10は、内筒32の開口32Cからロッド34の非ネジ部36に形成された目盛36Aを目視することができる。このため、ロッド34の雄ネジ部34Aを内筒32の雌ネジ部32Bへ螺合した際に、内筒32の開口32Cからロッド34の非ネジ部36に形成された目盛36Aを目視することにより、雄ネジ部34Aの螺合量を確認することができる。
また、マウスピース10は、閉口時には、図2Aに示すように、内筒32の被収容部32Aが外筒30の長孔30Aの上端部(図3Aにおける右端部)に当接することにより、下顎用歯科用器具14の歯列の奥方(図3Aにおける右方)への移動が制限される。
マウスピース10は、閉口時には、歯科用連結部材28の取付角度M、すなわち、上顎用歯科用器具12の対向面12Bに対する上側アイレット部30Bの長径の角度及び下顎用歯科用器具14の対向面14Bに対する下側アイレット部34Bの長径の角度は、約10度となる。
ここで、フランジ部22、26の長軸の対向面12B又は対向面14Bに対する角度は約90度とされているため、フランジ部22、26の長軸の角度と上側アイレット部30B、下側アイレット部34Bの長径の角度は揃わない。
このため、閉口時には、上側アイレット部30B、下側アイレット部34Bはフランジ部22、26を略通過不可能となる。すなわち、歯科用連結部材28を上取付部16及び下取付部18から取外すことは略不可能であり、上顎用歯科用器具12と下顎用歯科用器具14との連結状態が維持される。
同様に、マウスピース10は、開口時には、図2Bに示すように、歯科用連結部材28の取付角度N、すなわち、上顎用歯科用器具12の対向面12Bに対する上側アイレット部30Bの長径の角度及び下顎用歯科用器具14の対向面14Bに対する下側アイレット部34Bの長径の角度は、約40〜60度となる。
ここで、フランジ部22、26の長軸の対向面12B又は対向面14Bに対する角度は約90度とされているため、フランジ部22、26の長軸の角度と上側アイレット部30B、下側アイレット部34Bの長径の角度は揃わない。
このため、開口時にも、上側アイレット部30B、下側アイレット部34Bはフランジ部22、26を略通過不可能となる。すなわち、歯科用連結部材28を上取付部16及び下取付部18から取外すことは略不可能であり、上顎用歯科用器具12と下顎用歯科用器具14との連結状態が維持される。
なお、開口時には、内筒32が外筒30内を摺動することにより、歯科用連結部材28が上顎用歯科用器具12及び下顎用歯科用器具14の動きに追随する。このとき、内筒32の被収容部32Aは、外筒30の長孔30Aの上端部から下方(図3Bにおける左方)へ移動し、長孔30Aの下端部(図3Bにおける左端部)に当接する。
上顎用歯科用器具12及び下顎用歯科用器具14(上取付部16及び下取付部18)に対して歯科用連結部材28を着脱する場合には、まず、マウスピース10を歯列から取外す。そして、図2Cに示すように、歯科用連結部材28の取付角度が約90度となるように上顎用歯科用器具12と下顎用歯科用器具14とを互いに略水平方向に離間させる。
このとき、上顎用歯科用器具12の対向面12Bに対する上側アイレット部30Bの長径の角度、及び下顎用歯科用器具14の対向面14Bに対する下側アイレット部34Bの長径の角度も約90度となる。
すなわち、フランジ部22、26の長軸の角度と上側アイレット部30B、下側アイレット部34Bの長径の角度とが揃い、上側アイレット部30B、下側アイレット部34Bがフランジ部22、26を通過可能となる。このため、歯科用連結部材28を上取付部16及び下取付部18から取外すことができる。
マウスピース10は、ロッド34を軸周りに回転させることにより、雄ネジ部34Aの雌ネジ部32Bへの螺合量が調整される。ここで、ロッド34は、下側アイレット部34Bがフランジ部26に係合された状態では、軸周りに略回転不可能とされている。このため、マウスピース10の歯列への装着時において、ロッド34が回転して歯科用連結部材28の長さが不必要に変わることを防ぐことができる。
また、マウスピース10は、外筒30内に設けられた内筒32の被収容部32Aを、外筒30の軸方向両端部の間に形成された長孔30Aの両端部に当接させることで、内筒32の軸方向における両方向の摺動を制限している。
このため、外筒30の外部にナットのような部材を設けたり、外筒30の外側端部に内筒32やロッド34を当接させたりする構成と比較して、歯科用連結部材28及びマウスピース10を小型化することができる。
なお、内筒32の被収容部32Aが外筒30の長孔30A内を軸方向に移動する。このため、内筒32が外筒30内を摺動する際に、外筒30に対して軸周りに回転することを抑制することができる。
また、マウスピース10は、上取付部16及び下取付部18に角丸長方形形状のフランジ部22、26が設けられており、歯科用連結部材28の上側アイレット部30B及び下側アイレット部34Bがフランジ部22、26より一回り大きい角丸長方形形状(相似形)とされている。
さらに、上顎用歯科用器具12又は下顎用歯科用器具14の対向面12B、14Bに対するフランジ部22、26の長軸の角度が、歯科用連結部材28の取付角度の範囲外である約90度とされている。
このため、マウスピース10の歯列への装着状態では、上側アイレット部30B及び下側アイレット部34Bはフランジ部22、26に対して着脱が略不可能な程度まで抑制され、上顎用歯科用器具12と下顎用歯科用器具14との連結状態を維持することができる。
一方、マウスピース10の歯列への非装着状態では、上側アイレット部30B及び下側アイレット部34Bがフランジ部22、26に対して容易に着脱可能となる。つまり、マウスピース10に対する取付角度を変えるだけで、歯科用連結部材28を容易に着脱可能な状態及び着脱が抑制された状態に切替えることができる。
このため、上側アイレット部30B及び下側アイレット部34Bとフランジ部22、26とが接着もしくは螺合等されている構成と比較して、上顎用歯科用器具12と下顎用歯科用器具14とを容易に分離でき、メンテナンスや交換をすることが可能となる。
また、上側アイレット部30B及び下側アイレット部34Bが角丸長方形形状であるため、マウスピース10の歯列への装着時において、上取付部16の軸部20と上側アイレット部30B、及び下取付部18の軸部24と下側アイレット部34Bの間に隙間が形成される。この隙間内を軸部20、24が摺動することにより、上顎用歯科用器具12及び下顎用歯科用器具14の動きに歯科用連結部材28をより追随させることができる。
2.実施形態
以下に、歯科用連結部材の変形例である第一実施形態〜第十九実施形態を説明する。なお、第一実施形態〜第十二実施形態は、本発明の第1の側面における、螺合部と被螺合部の緩みを抑制するための歯科用連結部材の例であり、第十三実施形態〜第十六実施形態は、第一実施形態〜第十二実施形態のさらなる変形例として、これらの実施形態のいずれかに組み合わせて適用することができる実施形態であり、第十七実施形態〜第十九実施形態は、本発明の第2の側面における、外筒への挿入体の過度の挿入を簡単な構造で制限するための歯科用連結部材の例である。以下の各実施形態の説明において、以前の実施形態と重複する構成および当該構成による作用効果の説明は省略し、当該構成を説明した以前の実施形態の説明を適宜参照できるものとする。
本発明の第1の側面に関する第一実施形態〜第十二実施形態では、雄ネジ部34Aと雌ネジ部32Bのいずれか一方若しくは両方に、雄ネジ部34A及び雌ネジ部32Bの他方と螺合させるためのトルクが異なる異トルク部を設けて摩擦力がより大きい部分を形成し、トルクを解除した状態でも雌ネジ部32Bに対する雄ネジ部34Aの緩みを抑制するものである。
2−1.第一実施形態
第一実施形態の歯科用連結部材は、図4A及び図4Bに示すロッド134を有する。図4A及び図4Bに示すように、ロッド134には、他方の端部領域134Q側に、軸芯RAと直交する方向(図4Bにおける紙面手前−奥行き方向)に、雄ネジ部134Aの他方の端部領域134Qを部分的に分割する空隙部136が形成されている。空隙部136は、第一実施形態では、ロッド134の軸芯RAを通る略直方体状のスリット状である。言い換えると、空隙部136は、ロッド134の軸芯RAから外周方向に延びて雄ネジ部134Aを分割(2分割)するスリットである。したがって、ロッド134は、雄ネジ部134Aの他方の端部領域134Qが、空隙部136によって、図4Bにおける上下に略対称な2つの部分に分割されている。2つの分割部分は、軸芯RAを中心として180度の角度で略回転対称(略2回対称)である。図4Bに示す例では、空隙部136の長さL1(深さ)は、雄ネジ部134Aの軸芯RA方向の中間位置に達する長さである。
雄ネジ部134Aにおいて、このように上下に分割された部分に、空隙部136によって外径が拡大された拡径部134Eが形成されている。拡径部134Eの外径D1(図4Bにおける上下方向の寸法)は、他方の端部領域134Q側に向かって徐々に大きくなる。これに対し、雄ネジ部134Aにおいて、空隙部136が形成されていない部分は、一定の外径D2を有する一定径部134Fである。すなわち、雄ネジ部134Aは、一定の外径D2を有する一定径部134Fと、この一定径部134Fよりも大きな外径D1を有する拡径部134Eとを含んでいる。拡径部134Eは「大径部」の一例であり、一定径部134Fは「小径部」の一例であり、拡径部134Eおよび一定径部134Fは「異トルク部」かつ「異径部」の一例である。
拡径部134Eは、たとえばロッド134の製造時において、空隙部136を形成したのち、上下に分割された部分を、互いに離間する方向へ僅かに広げて形成することが可能である。空隙部136が形成されていることで、拡径部134Eは、ロッド134の軸芯RAに向かう方向(矢印E1方向)に弾性変形可能である。
拡径部134Eの先端部分の外径D1は、このように拡径部134Eが弾性変形した状態で、内筒32の雌ネジ部32Bに螺合される大きさに設定されている。これに対し、一定径部134Fは上記したように拡径部134Eよりは小さい外径D2を有しているが、内筒32の雌ネジ部32Bに螺合される大きさである。
雄ネジ部134Aを雌ネジ部32Bに螺合させると、拡径部134Eでは、一定径部134Fよりも、雌ネジ部32Bに対し強く接触し、回転時の雌ネジ部32Bとの摩擦力が大きい。すなわち、拡径部134Eがない構造の雄ネジ部と比較して、雌ネジ部32Bに螺合させる際の回転に大きなトルクを要する。
内筒32は、雌ネジ部32Bにおいて、一定の内径を有する。換言すれば、内筒32の内周面の内径が変化する部分を形成しない。そのため、内筒32は、雌ネジ部32Bの形成が容易な形状である。
第一実施形態のロッド134では、雄ネジ部134Aが、拡径部134Eと一定径部134Fとを含んでいる。拡径部134Eが形成されていることで、拡径部134Eが形成されていない雄ネジ部を有するロッドと比較して、雄ネジ部134Aを雌ネジ部32Bにねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きい。したがって、雄ネジ部134Aの螺合量の調整後、すなわちロッド134へのトルクを解除した状態でも、雄ネジ部134Aは雌ネジ部32Bに対し緩みが抑制される。これにより、ロッド134と内筒32との相対位置のズレが抑制される。そして、上顎用歯科用器具12に対する下顎用歯科用器具14の位置も、調整された位置に確実に維持できるようになる。
言い換えると、拡径部134Eが大きい部分は、一定径部134Fが小さい部分と比較して、筒体29の雌ネジ部32Bに対して強く接触しやすく、摩擦力が大きいので、雌ネジ部32Bに対する雄ネジ部134Aの緩みを抑制できる。また、雄ネジ部134Aは、一定径部134Fでも雌ネジ部32Bに螺合されるので、雌ネジ部32Bとの螺合状態で作用する力が雄ネジ部134A全体に分散され、雌ネジ部32Bに対する雄ネジ部134Aの緩みをさらに抑制できる。
また、拡径部134Eは、空隙部136が小さくなるように、ロッド134の径方向内側へ弾性的に変形可能である。すなわち、雌ネジ部32Bに対し拡径部134Eが弾性変形しつつ螺合するので、拡径部134Eの磨耗を抑制しつつ、拡径部134Eから雌ネジ部32Bへ荷重を作用させることができる。
また、空隙部136は、スリット状であるため、形成が容易である。
2−2.第二実施形態
第二実施形態の歯科用連結部材は、図5に示すロッド234を有する。このロッド234では、雄ネジ部234Aの他方の端部領域234Qに空隙部236が形成されている。空隙部236は、ロッド234の軸方向(矢印A1方向)に見て、ロッド234の軸芯RAを中心として、外周側へ放射状に3つ形成されている。言い換えると、空隙部236は、ロッド234の軸芯RAから外周方向に延びて雄ネジ部234Aを分割(3分割)するスリットである。すなわち、雄ネジ部234Aには、軸芯RAを中心として、軸方向に3つに分割された部分が形成されている。3つの分割部分は、軸芯RAを中心として120度の角度で略回転対称(略3回対称)である。
第二実施形態においても、雄ネジ部234Aが、拡径部234Eと一定径部234Fとを含んでいる。一方で、第二実施形態においても、内筒32は、雌ネジ部32Bにおいて、一定の内径を有する。したがって、拡径部234Eが形成されていない雄ネジ部を有するロッドと比較して、第二実施形態では、雄ネジ部234Aを雌ネジ部32Bにねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きい。雄ネジ部234Aの螺合量の調整後、雄ネジ部234Aは雌ネジ部32Bに対し緩みが抑制される。なお、拡径部234Eは「大径部」の一例であり、一定径部234Fは「小径部」の一例であり、拡径部234Eおよび一定径部234Fは「異トルク部」かつ「異径部」の一例である。
第二実施形態では、ロッド234の雄ネジ部234Aの他方の端部領域234Qに3つの分割部分が形成されており、2つの分割部分が形成された第一実施形態よりも分割部分が多い。このように分割部分を多くすると、分割部分のそれぞれは小さくなるので、径方向外側へ撓ませやすくなり、拡径部234Eの形成が容易である。これに対し、分割部分を少なくする構造では、空隙部も少なくて済むので、ロッドの加工や成形が容易である。なお、第二実施形態における分割領域の数は3つ以上であればよく、4つ(略4回対称)や6つ(略6回対称)などとしてもよい。言い換えると、空隙部236は、ロッド234の雄ネジ部234Aの他方の端部領域234Qを略3回対称以上の略回転対称な形状に分割するスリットであればよい。
2−3.第三実施形態
第三実施形態の歯科用連結部材は、図6に示すロッド334を有する。このロッド334では、他方の端部領域334Qに空隙部336が形成されている。空隙部336はスリットであるが、ロッド334の軸芯RAを避けて、軸芯RAからずれた位置に形成されている。したがって、拡径部334Eには、他方の端部領域334Q側から(矢印A1方向に)見て、相対的に小さい分割部(小分割部334G)と、大きい分割部(大分割部334H)とを含む、非回転対称な形状に分割されている。言い換えると、空隙部336は、雄ネジ部334Aを、ロッド334の軸芯RAを含む部分とロッド334の軸芯RAを含まない部分とに分割(2分割)するスリットである。小分割部334Gは、大分割部334Hよりも径方向外側(矢印E1と反対の方向)に変形しやすい。したがって、実質的にロッド334の拡径部334Eは、小分割部334Gが径方向外側に広がることで形成されている。ただし、大分割部334Hも径方向外側に広がる形状を採り得る。
第三実施形態においても、雄ネジ部334Aが、拡径部334Eと一定径部334Fとを含んでいる。一方で、第三実施形態においても、内筒32は、雌ネジ部32Bにおいて、一定の内径を有する。したがって、拡径部334Eが形成されていない雄ネジ部を有するロッドと比較して、雄ネジ部334Aを雌ネジ部32Bにねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きい。雄ネジ部334Aの螺合量の調整後、雄ネジ部334Aは雌ネジ部32Bに対し緩みが抑制される。なお、拡径部334Eは「大径部」の一例であり、一定径部334Fは「小径部」の一例であり、拡径部334Eおよび一定径部334Fは「異トルク部」かつ「異径部」の一例である。
第三実施形態では、小分割部334Gと大分割部334Hとが形成されており、小分割部334Gは大分割部334Hよりも径方向外側に変形させやすい。すなわち、ロッド334の拡径部334Eの外径D1(図6では図示省略、図4B参照)の弾性の調整が、たとえば第一実施形態のように、略回転対称な形状の分割部34Dを有する構造と比較して容易であり、拡径部334Eを雌ネジ部32Bに螺合させる際の摩擦力の調整も可能である。なお、図6では、ロッド334の雄ネジ部334Aの他方の端部領域334Qを2つの分割領域に分割しているが、形状または大きさが異なる3つ以上の分割領域に分割してもよい。
2−4.第四実施形態
第四実施形態の歯科用連結部材は、図7A及び図7Bに示すロッド434を有する。このロッド434では、他方の端部領域434Qに空隙部436が形成されている。空隙部436はスリットであり、深さ方向(雄ネジ部434の他方の端部領域側から一方の端部領域側へ向かう方向)の幅が変化する形状で、かつ、ロッド434の軸芯RAを通る位置で、軸芯RAを中心として略回転対称な形状に形成されている。
第四実施形態では、空隙部436の幅が大きい部分がより長く形成されるため、ロッド434の拡径部434E、すなわち、外径D1を有する部分が軸方向の一定範囲に及んでいる。換言すれば、第四実施形態では、第一実施形態と比較して、外径D1を有する範囲が、ロッド434の軸方向に長い。
第四実施形態においても、雄ネジ部434Aが、拡径部434Eと一定径部434Fとを含んでいる。一方で、第四実施形態においても、内筒32は、雌ネジ部32Bにおいて、一定の内径を有する。したがって、拡径部434Eが形成されていない雄ネジ部を有するロッドと比較して、雄ネジ部434Aを雌ネジ部32Bにねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きい。雄ネジ部434Aの螺合量の調整後、雄ネジ部434Aは雌ネジ部32Bに対し緩みが抑制される。
第四実施形態では、ロッド434の拡径部として、一定の外径D1を有する範囲が、ロッド434の軸方向に長い。このため、第一実施形態〜第三実施形態と比較して、広い範囲で拡径部を雌ネジ部32Bに接触させることで、大きな摩擦力を生じさせることができる。なお、図7A及び図7Bでは、ロッド434の雄ネジ部434Aの他方の端部領域434Qを2つの分割領域に分割しているが、3つ以上の分割領域に分割してもよい。
2−5.第五実施形態
第五実施形態の歯科用連結部材は、図8A及び図8Bに示すロッド534を有する。図8A及び図8Bに示すように、ロッド534には、雄ネジ部534Aの一部、特に、雄ネジ部534Aの他方の端部領域534Qの所定の長さL1の部分に、円錐台形形の形状を有する拡径部534Eが形成されている。雄ネジ部534Aにおいて、一方の端部領域34P(図3A及び図3B参照)側の部分(図8Bでは右側の部分)は、拡径部534Eが形成されていない部分であり、拡径部534Eよりも小さい外径D2の一定径部534Fである。
一定径部534Fの外径D2は、ロッド534の軸方向で一定である。これに対し、拡径部534Eの外径D1は、一定径部534Fと連続する部分から他方の端部領域534Q側に向かって大きくなっていく。そして、拡径部534Eの外径D1は、他方の端部領域534Q側の端部において最大である。なお、図8A及び図8Bに示す例では、外径D1は、他方の端部領域534Q側に向かって一次関数的に大きくなっているが、拡径部534Eの形状は、外径D1がこのような一次関数的に大きくなっていく形状に限られない。なお、外径D1が一次関数的に大きくなる形状だと、拡径部534Eの外径D1が急激に変化しないので、螺合時に拡径部534Eへの局所的な応力が発生することによる拡径部534Eの破損を抑制できる。
拡径部534Eは、たとえばロッド534の製造時において、雄ネジ部534Aを形成する前段階で、他方の端部領域534Q側の長さL1の部分を他方の端部領域534Q側の端部に向かって外径が大きくなっていくように形成しておく。そして、その後に、この長さL1の部分を含む所定範囲に雄ネジ部534Aを形成することで、拡径部534Eを含む雄ネジ部534Aをロッド534に形成することが可能である。
一定径部534F及び拡径部534Eは、軸線RAに対して略回転対称な、軸線RAを中心とする円形である。一定径部534Fの外径D2は、雌ネジ部32Bに螺合される大きさに設定されている。さらに、拡径部534Eの外径D1は、最大の外径を有する部分であっても、雌ネジ部32Bに螺合される大きさに設定されている。雄ネジ部534Aと雌ネジ部32Bの径方向の間隙は、一定径部534Fと雌ネジ部32Bの間では一定であるが、拡径部534Eと雌ネジ部32Bとの間では、他方の端部領域534Q側に向かって徐々に狭くなる。なお、雄ネジ部534Aと雌ネジ部32Bとが接触していると、この間隙はゼロになる。しかしながら、実際には、雄ネジ部534Aのフランクと雌ネジ部32Bのフランクとには僅かな間隙が生じている。そして、大径部534Eと雌ネジ部32Bとの間隙は、一定径部534Fと雌ネジ部32Bとの間隙よりも狭い。拡径部534Eにより、雄ネジ部と雌ネジ部との間の径方向の間隙が異なる部分が雄ネジ部32Aに生じている。なお、拡径部534Eおよび一定径部534Fは「異トルク部」かつ「異径部」の一例である。
雄ネジ部534Aを雌ネジ部32Bに螺合させると、拡径部534Eでは、一定径部534Fよりも、雌ネジ部32Bに対し強く接触し、回転時の雌ネジ部32Bとの摩擦力が大きい。すなわち、拡径部534Eがない構造の雄ネジ部と比較して、雌ネジ部32Bに螺合させる際の回転に大きなトルクを要する。
内筒32は、雌ネジ部32Bにおいて、一定の内径を有する。換言すれば、内筒32の内周面の内径が変化する部分を形成しない。そのため、内筒32は、雌ネジ部32Bの形成が容易な形状である。
第五実施形態において、図8Cに示す変形例のロッド534を用いてもよい。変形例のロッド534では、雄ネジ部534Aの外径D1が、雄ネジ部534Aが形成された範囲の略全域において、他方の端部領域534Q側の端部に向かって漸増している。換言すれば、雄ネジ部534Aにおいて、略全域で、異径部の一例である螺合大径部534Eが形成されている。
このように、雄ネジ部534Aの略全域で外径D1が変化する構造では、雄ネジ部534Aと雌ネジ部32B(被螺合部の一例)との間隙が雄ネジ部534Aの略全域で連続的に変化している。そして、この構造であっても、螺合部と被螺合部との径方向の間隙が少なくとも二種類の長さの間隙となる構造が実現されている。
2−6.第六実施形態
第六実施形態の歯科用連結部材は、図9に示すロッド634を有する。このロッド634では、雄ネジ部634Aにおいて、他方の端部領域634Qに円筒形の形状を有する拡径部634Eが形成されている。この拡径部634Eは他方の端部領域634Q側の端部から一定の長さL1の範囲で、一定の外径D1を有する形状である。なお、拡径部634Eおよび一定径部634Fは「異トルク部」かつ「異径部」の一例である。
第六実施形態においても、雄ネジ部634Aが、拡径部634Eと一定径部634Fとを含んでいる。したがって、拡径部634Eが形成されていない雄ネジ部を有するロッドと比較して、第六実施形態では、雄ネジ部634Aを雌ネジ部32Bにねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きい。雄ネジ部634Aの螺合量の調整後、雄ネジ部634Aは雌ネジ部32Bに対し緩みが抑制される。
第六実施形態では、拡径部634Eが一定の外径D1を有すると共に、軸方向に一定の長さL1で存在している。雄ネジ部634A、すなわち螺合部において、雌ネジ部32Bと強く接触する部分が軸方向に広がっているので、雄ネジ部634Aと雌ネジ部32Bとの螺合時の摩擦力が大きい部分を広く確保でき、雄ネジ部634Aを雌ネジ部32Bに螺合させる際の回転に要するトルクが安定する。
2−7.第七実施形態
第七実施形態の歯科用連結部材は、図10に示すロッド734を有する。このロッド734では、雄ネジ部734Aにおいて、他方の端部領域734Qに樽型の形状を有する拡径部734Eが形成されている。拡径部734Eは、他方の端部領域734Q側の端部から一定の長さL1の範囲に形成されている。また、第七実施形態では、この長さL1の範囲の中央において外径D1が最大となり、中央から離れるにしたがって外径D1が小さくなる形状である。なお、拡径部734Eおよび一定径部734Fは「異トルク部」かつ「異径部」の一例である。
第七実施形態においても、雄ネジ部734Aが、拡径部734Eと一定径部734Fとを含んでいる。したがって、拡径部734Eが形成されていない雄ネジ部を有するロッドと比較して、第七実施形態では、雄ネジ部734Aを雌ネジ部32Bにねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きい。雄ネジ部734Aの螺合量の調整後、雄ネジ部734Aは雌ネジ部32Bに対し緩みが抑制される。
第七実施形態では、拡径部734Eにおける軸方向の中央から他方の端部領域734Q側の端部に向けて先細りの形状である。したがって、雄ネジ部734Aを雌ネジ部32Bに螺合させるときの初期段階で、雄ネジ部734Aを雌ネジ部32Bに螺合させやすい。
2−8.第八実施形態
第八実施形態の歯科用連結部材は、図11Aに示す内筒832を有する。この内筒832では、雌ネジ部832Bに内径縮小部832Eが形成され、雌ネジ部832Bが異径部となっている。図11Aに示す例では、雌ネジ部832Bは、軸方向中央から一方の端部領域832P側の端部に向かって小さくなっていく内径D3を有する内径縮小部832Eを有する。これに対し、雌ネジ部832Bにおいて内径縮小部832Eが形成されていない部分は、一定の内径D4を有する。なお、第八実施形態の雄ネジ部は、ロッドの軸方向で一定の外径を有する。
第八実施形態では、このように雌ネジ部832Bにおいて内径D3が小さくなっていく部分が内径縮小部832Eである。雌ネジ部832Bとロッドの雄ネジ部の間隙は、内径縮小部832Eが形成されていない部分では一定であるが、内径縮小部832Eが形成されている部分では、内筒832の一方の端部領域832P側の端部に向かって徐々に狭くなる。
したがって、第八実施形態においても、異径部が形成されていな雌ネジ部を有する内筒と比較して、雄ネジ部34Aを雌ネジ部832Bにねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きい。このため、雄ネジ部の螺合量の調整後、雄ネジ部は雌ネジ部832Bに対し緩みが抑制される。なお、図11Aでは、雌ネジ部832Bの一部に内径縮小部832Eが形成されているが、雌ネジ部832Bの全部を内径縮小部832Eとしてもよい。また、なお、図11Aでは、雌ネジ部832Bは軸方向中央から一方の端部領域832P側の端部に向かって内径が小さくなっていく形状であるが、長さL1の範囲の中央において内径D3が最大となり、中央から離れるにしたがって内径D3が小さくなる樽型の形状であってもよい。
第八実施形態において、図11Bに示す第二変形例の内筒842を用いてもよい。第二変形例の内筒842では、内径縮小部842Eが、一方の端部領域842P側の端部から一定の長さL1の範囲で、一定の内径D3を有する形状である。第二変形例では、内径縮小部842Eが軸方向の一定の長さL1で存在している。雌ネジ部842Bにおいて、雄ネジ部と強く接触する部分が軸方向に広がっているので、雄ネジ部を雌ネジ部842Bに螺合させる際の回転に要するトルクが安定する。
2−9.第九実施形態
第九実施形態の歯科用連結部材は、図12A及び図12Bに示すロッド934を有する。図12A及び図12Bに示すように、ロッド934には、雄ネジ部934Aが形成された部分、特に、他方の端部領域934Qの所定の長さL1の部分に、螺合小ピッチ部934Gが形成されている。雄ネジ部934Aにおいて、一方の端部領域34P(図3A及び図3B参照)側の部分(図12Bでは右側の部分)は、螺合小ピッチ部934Gが形成されていない部分であり、螺合小ピッチ部934Gよりも大きいピッチP2の螺合大ピッチ部934Hである。
螺合大ピッチ部934HのピッチP2は、ロッド934の軸方向で一定であり、雌ネジ部32Bのピッチと等しい。これに対し、螺合小ピッチ部934GのピッチP1は、螺合大ピッチ部934Hと連続する部分から他方の端部領域934Q側の端部に向かって小さくなっていく。そして、螺合小ピッチ部934GのピッチP1は、他方の端部領域934Q側の端部において最小である。なお、図12A及び図12Bに示す例では、ピッチP1は、他方の端部領域934Q側の端部に向かって一次関数的に小さくなっていくが、螺合小ピッチ部934Gの形状は、ピッチP1がこのような一次関数的に小さくなっていく形状に限られない。なお、ピッチP1が一次関数的に小さくなる形状だと、螺合小ピッチ部934GのピッチP1が急激に変化しないので、螺合時に螺合小ピッチ部934Gへの局所的な応力が発生することによる螺合小ピッチ部934Gの破損を抑制できる。
螺合小ピッチ部934Gは、たとえばロッド934の製造時において、雄ネジ部934Aを形成する段階で、長さL1の部分を含む所定範囲ではピッチP1の雄ネジを形成する。そして、雄ネジ部934Aの範囲のうちこれ以外の範囲ではピッチP2の雄ネジを形成することで、螺合小ピッチ部934Gを含む雄ネジ部934Aをロッド934に形成することが可能である。
螺合大ピッチ部934H及び螺合小ピッチ部934Gは、軸線RAの方向(矢印A1方向)に見て、周方向で略対称、すなわち軸線RAを中心とする円形である。螺合大ピッチ部934HのピッチP2は、雌ネジ部32Bに螺合される大きさに設定されている、さらに、螺合小ピッチ部934GのピッチP1は、最小のピッチを有する部分であっても、雌ネジ部32Bに螺合される大きさに設定されている。雄ネジ部934Aと雌ネジ部32Bのピッチ差は、螺合大ピッチ部934Hと雌ネジ部32Bの間では一定(たとえば実質的にゼロ)であるが、螺合小ピッチ部934Gと雌ネジ部32Bとの間では、他方の端部領域934Q側の端部に向かって徐々に大きくなる。螺合大ピッチ部934H及び螺合小ピッチ部934Gは「異トルク部」かつ「異ピッチ部」の一例である。
雄ネジ部934Aを雌ネジ部32Bに螺合させると、螺合小ピッチ部934Gでは、螺合大ピッチ部934Hよりも、雌ネジ部32Bに対し強く接触し、回転時の雌ネジ部32Bとの摩擦力が大きい。すなわち、螺合小ピッチ部934Gがない構造の雄ネジ部と比較して、雌ネジ部32Bに螺合させる際の回転に大きなトルクを要する。
内筒32は、雌ネジ部32Bにおいて、一定の内径を有する。換言すれば、内筒32の内周面の内径が変化する部分を形成しない。そのため、内筒32は、雌ネジ部32Bの形成が容易な形状である。
第九実施形態において、図12Cに示す変形例のロッド934を用いてもよい。変形例のロッド934では、雄ネジ部934AのピッチP1が、雄ネジ部934Aが形成された範囲の略全域において、他方の端部領域934Q側の端部に向かって徐々に小さくなっている。換言すれば、雄ネジ部934Aにおいて、略全域で、異ピッチ部の一例である螺合小ピッチ部934Gが形成されている。
このように、雄ネジ部934Aの略全域でピッチP1が変化する構造では、雄ネジ部934Aと雌ネジ部32B(被螺合部の一例)とのピッチ差が雄ネジ部934Aの略全域で連続的に変化している。そして、この構造であっても、螺合部と被螺合部とのピッチ差が少なくとも二種類のピッチ差となる構造が実現されている。
2−10.第十実施形態
第十実施形態の歯科用連結部材は、図13に示すロッド1034を有する。このロッド1034では、雄ネジ部1034Aにおいて、他方の端部領域1034Qに螺合小ピッチ部1034Gが形成されている。この螺合小ピッチ部1034Gは他方の端部領域1034Q側の端部から一定の長さL1の範囲で、一定のピッチP1を有する形状である。
第十実施形態においても、雄ネジ部1034Aが、螺合小ピッチ部1034Gと螺合大ピッチ部1034Hとを含んでいる。したがって、螺合小ピッチ部1034Gが形成されていない雄ネジ部を有するロッドと比較して、第十実施形態では、雄ネジ部1034Aを雌ネジ部32Bにねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きい。雄ネジ部1034Aの螺合量の調整後、雄ネジ部1034Aは雌ネジ部32Bに対し緩みが抑制される。
第十実施形態では、螺合小ピッチ部1034Gが一定のピッチP1を有すると共に、軸方向に一定の長さL1で存在している。雄ネジ部1034A、すなわち螺合部において、雌ネジ部と強く接触する部分が軸方向に広がっているので、雄ネジ部1034Aを雌ネジ部に螺合させる際の回転に要するトルクが安定する。
2−11.第十一実施形態
第十一実施形態の歯科用連結部材は、図14に示すロッド1134を有する。このロッド1134では、雄ネジ部1134Aにおいて、他方の端部領域1134Qに螺合小ピッチ部1134Gが形成されている。螺合小ピッチ部1134Gは、他方の端部領域1134Q側の端部から一定の長さL1の範囲に形成されている。また、第十一実施形態では、この長さL1の範囲の中央においてピッチP1が最小となり、中央から離れるにしたがってピッチP1が大きくなる形状である。
第十一実施形態においても、雄ネジ部1134Aが、螺合小ピッチ部1134Gと螺合大ピッチ部1134Hとを含んでいる。したがって、螺合小ピッチ部1134Gが形成されていない雄ネジ部を有するロッドと比較して、第十一実施形態では、雄ネジ部1134Aを雌ネジ部32Bにねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きい。雄ネジ部1134Aの螺合量の調整後、雄ネジ部1134Aは雌ネジ部32Bに対し緩みが抑制される。
第十一実施形態では、螺合小ピッチ部1134Gにおける軸方向の中央から他方の端部領域1134Q側の端部に向けてピッチが大きくなる形状である。換言すれば、他方の端部領域1134Q側の端部では、雄ネジ部1134Aのピッチが、雌ネジ部のピッチに近い。したがって、雄ネジ部1134Aを雌ネジ部32Bに螺合させるときの初期段階で、雄ネジ部1134Aを雌ネジ部32Bに螺合させやすい。
2−12.第十二実施形態
第十二実施形態の歯科用連結部材は、図15Aに示す内筒1232を有する。この内筒1232では、雌ネジ部1232Bに異ピッチ部が形成されている。図15Aに示す例では、ピッチ縮小部1232Gが、一方の端部領域1232P側の端部から一定の長さL1の範囲に形成されており、雌ネジ部1232Bにおける軸方向中央から一方の端部領域1232P側の端部に向かってピッチP3が小さくなる。これに対し、雌ネジ部1232Bにおいてピッチ縮小部1232Gが形成されていない部分は、一定のピッチP4を有する。なお、第十二実施形態の雄ネジ部は、ロッドの軸方向で一定のピッチを有する。
第十二実施形態では、このように雌ネジ部1232BにおいてピッチP3が小さくなっていく部分がピッチ縮小部1232Gである。雌ネジ部1232Bとロッドの雄ネジ部のピッチ差は、ピッチ縮小部1232Gが形成されていない部分では一定であるが、ピッチ縮小部1232Gが形成されている部分では、内筒1232の一方の端部領域1232P側の端部に向かって徐々に大きくなる。
したがって、第十二実施形態においても、ピッチ縮小部が形成されていな雌ネジ部を有する内筒と比較して、雄ネジ部34Aを雌ネジ部1232Bにねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きい。このため、雄ネジ部の螺合量の調整後、雄ネジ部は雌ネジ部1232Bに対し緩みが抑制される。なお、図15Aでは、雌ネジ部1232Bは軸方向中央から一方の端部領域1232P側の端部に向かってピッチが小さくなっていく形状であるが、軸方向中央から一方の端部領域1232P側の端部に向かってピッチが大きくなっていく形状であってもよいし、長さL1の範囲の中央においてピッチが最大となり、中央から離れるにしたがって内径が小さくなる樽型の形状であってもよい。
第十二実施形態において、図15Bに示す第二変形例の内筒1242を用いてもよい。第二変形例の内筒1242では、ピッチ縮小部1232Gが、一方の端部領域1242P側の端部から一定の長さL1の範囲で、一定のピッチP3を有する形状である。第二変形例では、ピッチ縮小部1232Gが軸方向の一定の長さL1で存在している。雌ネジ部1242Bにおいて、雄ネジ部と強く接触する部分が軸方向に広がっているので、雄ネジ部を雌ネジ部42Bに螺合させる際の回転に要するトルクが安定する。
2−13.第十三実施形態
次に、本発明の第十三実施形態のマウスピースの歯科用連結部材1338について、図16を用いて説明する。
第十三実施形態の歯科用連結部材1338は、軸方向の一方の端部領域40P側の端部及び他方の端部領域40Q側の端部がいずれも開口された筒状の外筒40と、外筒40内に摺動可能に設けられた筒状の内筒42と、内筒42に係合されるロッド44と、を備えている。
外筒40は、一方の端部領域40P側の端部と他方の端部領域40Q側の端部の間に、外筒40の軸方向に沿って一対のスリット40Aが互いに対向する位置に形成されている。一方、内筒42の他方の端部領域42Qの近傍には、内筒42を径方向に貫通するように円柱形状のピン46が取付けられている。スリット40Aは、「制限部」の一例である。
ピン46の長径は、外筒40のスリット40Aの幅より一回り小さくされており、ピン46の長径方向の両端部は、内筒42の外周面から突出して一対のスリット40A内にそれぞれ摺動可能に挿入されている。
歯科用連結部材1338は、内筒42が外筒40内を摺動することにより長さが可変とされている。このとき、内筒42に取付けられているピン46が、外筒40のスリット40Aの両端部(図16における左右端部)に当接することにより、内筒42の軸方向における両方向の摺動が制限される。
第十三実施形態によれば、内筒42に取付けられたピン46を外筒40のに形成されたスリット40Aの両端部に当接させることで、外筒40内における内筒42の軸方向における両方向の摺動を制限している。このため、外筒40の外にナットのような内筒を設けたり、外筒40の外側端部に内筒42やロッド44を当接させたりする構成と比較して、歯科用連結部材1338を小型化することができる。
また、ピン46の両端部が外筒40の外周面に設けられた一対のスリット40Aにそれぞれ挿入されているため、内筒42が外筒40内を摺動する際に、外筒40に対して軸周りに回転することをより抑制することができる。
第十三実施形態においても、雄ネジ部44Aは、拡径部と一定径部(図4A、図4B、図5、図6、図7A、図7B、図8A、図8B、図8C、図9、図10、図11A及び図11B参照)と、または螺合小ピッチ部と螺合大ピッチ部(図12A、図12B、図13、図14)と、を含んでいる。したがって、雄ネジ部44Aを雌ネジ部にねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きく、雄ネジ部44Aは雌ネジ部に対し緩みが抑制される。
2−14.第十四実施形態
次に、本発明の第十四実施形態のマウスピースの歯科用連結部材1438について、図17を用いて説明する。
歯科用連結部材1438は、一方の端部領域50P側の端部及び他方の端部領域側の端部がいずれも開口された筒状の外筒50と、外筒50内に摺動可能に設けられた筒状の内筒52と、内筒52に係合されるロッド54と、を備えている。
外筒50の内部は、一方の端部領域50P側の端部と他方の端部領域側の端部との間に、一対のストッパ56A、56Bが設けられている。ストッパ56A、56Bは中空部を有する円筒形状とされており、外筒50の内周面に固定されている。ストッパ56A及び56Bは、「制限部」の一例である。
一方、内筒52の軸方向の長さは、ストッパ56A、56B間の長さ、すわなち、上端部側(図17における左端部側)のストッパ56Aの下端部から下端部側(図17における右端部側)のストッパ56Bの上端部までの長さより短くされており、内筒52は外筒50内のストッパ56A、56B間に挿入されている。
なお、内筒52の他方の端部領域52Pが、ストッパ56Aの下端部に当接する当接部52Bであり、内筒52の一方の端部領域52Pが、ストッパ56Bの上端部に当接する当接部52Cである。
また、ロッド54は、一方の端部領域の下側アイレット部54Bが外筒50から露出し、他方の端部領域の雄ネジ部54Aがストッパ56Bの中空部を通って外筒50内に挿入され、内筒52の雌ネジ部52Aに螺合されている。
歯科用連結部材1438は、内筒52が外筒50内のストッパ56A、56B間を摺動することにより長さが可変とされている。このとき、内筒52の当接部52B、52Cがそれぞれストッパ56A、56Bに当接することにより、内筒52の軸方向における両方向の摺動が制限される。
第十四実施形態によれば、外筒50内の一方の端部領域50P側の端部と他方の端部領域側の端部との間に設けられたストッパ56A、56Bによって、外筒50内での内筒52の軸方向における両方向の摺動を制限している。このため、外筒50の外に内筒やストッパを設ける構成と比較して、歯科用連結部材1438を小型化することができる。
第十四実施形態においても、雄ネジ部54Aは、拡径部と一定径部(図4A、図4B、図5、図6、図7A、図7B、図8A、図8B、図8C、図9、図10、図11A及び図11B参照)と、または螺合小ピッチ部と螺合大ピッチ部(図12A、図12B、図13、図14)と、を含んでいる。したがって、雄ネジ部54Aを雌ネジ部にねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きく、雄ネジ部54Aは雌ネジ部に対し緩みが抑制される。
2−15.第十五実施形態
次に、本発明の第十五実施形態のマウスピースの歯科用連結部材1538について、図18を用いて説明する。
歯科用連結部材1538は、一方の端部領域60P側の端部及び他方の端部領域60Q側の端部が開口された筒状の外筒60と、外筒60内に摺動可能に設けられた筒状の内筒62と、内筒62に係合されるロッド64と、を備えている。
外筒60の内部は、一方の端部領域60P側の端部と他方の端部領域60Q側の端部との間に、内径が外筒60の他の部分の内径より小さくされた縮径部66A、66Bが形成されている。なお、外筒60の他方の端部領域60Qの縮径部66Aは、外筒60の肉厚を厚くすることにより形成されており、外筒60の一方の端部領域60Pの縮径部66Bは、外筒60の下端部をかしめることにより形成されている。縮径部66A及び66Bは、「制限部」の一例である。
一方、内筒62の他方の端部領域62Qには、外径が内筒62の他の部分の外径より大きくされた拡径部68が一体的に形成されており、内筒62の拡径部68が外筒60の縮径部66A、66B間を摺動可能とされている。
また、内筒62の他方の端部領域62Qにおける拡径部68の端面中央部には、挿入溝68Aが形成されている。挿入溝68Aは六角形状であり、六角レンチ等の冶具が挿入可能である。
ロッド64は、他方の端部領域64Qに形成された雄ネジ部64Aが、内筒62の内周面に形成された雌ネジ部62Aに螺合されている。
歯科用連結部材1538は、内筒62が外筒60内を摺動することにより長さが可変とされている。このとき、内筒62の拡径部68が外筒60の縮径部66A又は縮径部66Bにそれぞれ当たることにより、内筒62の軸方向における両方向の摺動が制限される。
また、内筒62に対するロッド64の位置を調整する場合には、開口された外筒60の他方の端部領域60Q側の端部から内筒62の拡径部68の挿入溝68Aへと六角レンチを挿入する。そして、六角レンチを軸周りに回転させることにより、内筒62を軸周りに回転させて内筒62の雌ネジ部62Aへのロッド64の雄ネジ部64Aの螺合量を調整する。
第十五実施形態によれば、外筒60の内部の一方の端部領域60P側の端部と他方の端部領域60Q側の端部との間に形成された縮径部66A、66Bによって、外筒60内での内筒62の軸方向における両方向の摺動を制限している。
このため、外筒60の外にナットのような部材を設けたり、外筒60の外側端部に内筒62やロッド64を接触させたりする構成と比較して、歯科用連結部材1538を小型化することができる。
また、第十五実施形態によれば、内筒62を軸芯RA周りに回転させることにより、ロッド64を軸周りに回転させることなく、内筒62に対するロッド64の軸方向の位置を調整することができる。このため、ロッド64の下側アイレット部64Bが図1におけるフランジ部26に係合された状態で、簡単に歯科用連結部材1538の長さを調整することができる。
第十五実施形態においても、雄ネジ部64Aは、拡径部と一定径部(図4A、図4B、図5、図6、図7A、図7B、図8A、図8B、図8C、図9、図10、図11A及び図11B参照)と、または螺合小ピッチ部と螺合大ピッチ部(図12A、図12B、図13、図14)と、を含んでいる。したがって、雄ネジ部64Aを雌ネジ部にねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きく、雄ネジ部64Aは雌ネジ部に対し緩みが抑制される。
2−16.第十六実施形態
次に、本発明の第十六実施形態のマウスピースの歯科用連結部材1628について、図19を用いて説明する。
歯科用連結部材1628は、ロッド34と筒体1630とを有する。筒体1630は円筒状に形成されており、一方の端部領域部1630P側の端部及び他方の端部領域1630Q側の端部は開口されている。筒体1630の内周面には、第一実施形態の内筒32と同様に雌ネジ部32B(図19では図示省略、図3B参照)が形成されている。
第十六実施形態においても、雄ネジ部34Aは、拡径部34Eと一定径部34F(図4A、図4B、図5、図6、図7A、図7B、図8A、図8B、図8C、図9、図10、図11A及び図11B参照)と、または螺合小ピッチ部34Gと螺合大ピッチ部34H(図12A、図12B、図13、図14)と、を含んでいる。したがって、雄ネジ部34Aを雌ネジ部32Bにねじ込んで回転させるときに必要なトルクが大きく、雄ネジ部34Aは雌ネジ部32Bに対し緩みが抑制される。
2−17.第十七実施形態
第十七実施形態の歯科用連結部材1738は、図20A及び図20Bに示すように、一方の端部領域30P側の端部及び他方の端部領域30Q側の端部が開口された筒状の延伸体である外筒30と、外筒30内に摺動可能に挿入された筒状の延伸体である内筒32と、内筒32に挿入される延伸体であるロッド34と、を有する。内筒32は「挿入体」の一例である。
外筒30の内周面からは、突起70が突出されている。第十七実施形態では、上側アイレット部30Bの長手方向の中央から、突部30Cが突出されている。図21に示すように、突起70は、外筒30の内周面において、周方向の一部に設けられている。
外筒30には、この突部30Cが挿通される貫通孔30Rが形成されている。上側アイレット部30Bは、溶接、接着、カシメ等によって外筒30に固定される。このとき、上側アイレット部30Bは、外筒30の外周側で上取付部16に取り付けられ、かつ、突部30Cが、外筒30の内周面で内筒32の他方の端部領域32Q側の端面と対向する突起70となるように、貫通孔30Rを貫通して配置される。突部30Cの高さH1は、外筒30の肉厚よりも長い。このため、固定状態で、突起70の先端部分が外筒30の内周面に突出する。
ただし、突起70の高さH1は、図21に示すように、突部30Cの先端が外筒30の内周面の軸芯RAを避けて、軸芯RAからずれるように、過度に高くならない高さである。
突起70の軸方向の位置は、外筒30内で内筒32が他方の端部領域30Q側へ移動したときに、内筒32の他方の端部領域32Q側の端面が突起70に接触することで、この移動が所定範囲で制限される位置である。
第十七実施形態では、内筒32の他方の端部領域32Q側の端面が後述する突起70に当たることで、外筒30の他方の端部領域30Q側への内筒32の摺動が所定範囲に制限される。具体的には、閉口時には、図20Bに二点鎖線で示す位置で、内筒32の他方の端部領域32Q側の端面が突起70に当たることにより、外筒30の他方の端部領域30Q側への内筒32の摺動が制限され、下顎用歯科用器具14の歯列の奥方(図20Aにおける右方)への移動が制限される。また、被収容部32Aが外筒30の長孔30Aの一方の端部領域30P側の端部に当たることで、内筒32の一方の端部領域側への摺動が所定範囲に制限される。なお、上取付部16と下取付部18との距離(中心間距離)は、歯科用連結部材1738によって約18mm〜50mmの間で調整される。
このとき、内筒32の被収容部32Aは、外筒30の長孔30Aの上端部から下方(図20Bにおける左方)へ移動するが、長孔30Aの下端部(図20Bにおける左端部)に当接してもよいし、当接しなくてもよい。
また、第十七実施形態によれば、外筒30の内周面から突出された突起70に、内筒32の他方の端部領域32Q側の端面が当たることで、外筒30の他方の端部領域30Q側への内筒32の移動を所定範囲に制限している。
このため、外筒30の内周面を、内径が2段階あるいはそれ以上に変化するように形成して内筒32が接触する壁等を形成する必要がなく、外筒30の構造が簡単である。外筒の内周面に内径が変化する部分を形成しないので、外筒30の構造が簡単である。そして、外筒30の成形が容易であり、外筒30の製造コストを低減できる。
突起70は、図21に示すように、外筒30の内周面において、周方向の一部に形成される。全周にわたって突起70を形成しないので、外筒30の内周面の内径は一定であり、外筒30及び突起70の構造が簡単である。特に、上側アイレット部30Bは、外筒30の周方向の一部に設けられるため、この上側アイレット部30Bに突部30Cを形成することで、突起70を有する構造を実現できる。
突起70は、外筒30の内側において、軸芯RAに達しない高さH1を有している。このため、外筒30の他方の端部領域30Q側から治具等を差し入れる際に、突起70が邪魔にならず、治具等を挿入しやすい。
内筒32の被収容部32Aは、外筒30の長孔30A内を軸方向にのみ移動可能に収容されている。このため、内筒32が外筒30内を摺動する際に、外筒30に対して軸周りに回転することを抑制することができる。
2−18.第十八実施形態
第十八実施形態の歯科用連結部材1838は、図22に示すように、一方の端部領域60P側の端部と他方の端部領域60Q側の端部が開口された筒状の外筒60と、外筒60内に摺動可能に設けられた筒状の内筒62と、内筒62に係合されるロッド64と、を備えている。
外筒60の一方の端部領域60Pには、外筒60の他の部分より小さく縮径された縮径部66Bが形成されている。この縮径部66Bは、たとえば、外筒60の一方の端部領域60Pをかしめることにより形成されている。外筒60の一方の端部領域にはこのような縮径部66Bが形成されているが、外筒60の内周面の内径は一定である。縮径部66Bは「制限部」の一例である。
内筒62の他方の端部領域62Qには、外径が内筒62の他の部分の外径より大きくされた拡径部68が一体的に形成されている。内筒62の拡径部68は、他方の端部領域60Q側で外筒60の突起70と対向し、一方の端部領域60P側の端面が縮径部66Bと対向している。したがって、拡径部68は、突起70と縮径部66Bの間の範囲で摺動可能である。なお、内筒62の一部が縮径部66Bと対向していれば、拡径部68、すなわち外径が拡径された部分でなくてもよい。
内筒62の他方の端部領域62Qにおける拡径部68の端面中央部には、挿入溝68Aが形成されている。挿入溝68Aは六角形状であり、六角レンチ等の冶具が挿入可能である。
ロッド64は、他方の端部領域に形成された雄ネジ部64Aが、内筒62の内周面に形成された雌ネジ部62Aに螺合されている。なお、ロッド64の他方の端部領域側における端面には、当接部62Eが設けられている。当接部62Eは、拡径部68の一方の端部領域側の端面と対向している。
歯科用連結部材1838は、内筒62が外筒60内を摺動することにより長さが可変とされている。このとき、内筒62の拡径部68が突起70に当たることで、他方の端部領域側への内筒62の移動が一定範囲に制限される。また、内筒62の拡径部68が縮径部66Bに当たることにより、一方の端部領域側への内筒62の移動が制限される。
また、内筒62に対するロッド64の位置を調整する場合には、開口された外筒60の他方の端部領域60Q側の端部から内筒62の拡径部68の挿入溝68Aへと六角レンチ等の治具を挿入する。そして、六角レンチを軸周りに回転させることにより、内筒62を軸周りに回転させて内筒62の雌ネジ部62Aへのロッド64の雄ネジ部64Aの螺合量を調整する。突起70は、外筒60の内周面の軸芯RAを避けて、軸芯RAからずれているので、六角レンチ等の軸の挿入が容易である。
第十八実施形態によれば、外筒60の内周面の突起70により、他方の端部領域側への内筒62の移動を制限している。
このため、外筒60の内周面を、内径が変化する部位(壁等)を形成する必要がなく、外筒60の内周面の内径は一定であるので、構造が簡単である。外筒60の成形が容易であり、外筒60の製造コストの低減に寄与できる。
また、第十八実施形態によれば、内筒62を軸周りに回転させることにより、ロッド34を軸周りに回転させることなく、内筒62に対するロッド64の軸方向の位置を調整することができる。このため、ロッド64の下側アイレット部64Bが図1におけるフランジ部26に係合された状態で、簡単に歯科用連結部材1838の長さを調整することができる。
2−19.第十九実施形態
第十九実施形態の歯科用連結部材1938は、図23に示すように、上側アイレット部30Bが突部30C(図20B参照)を有しておらず、上側アイレット部30Bと突起70とは別体である。突起70は、外筒60の内周面に溶接、接着等によって固定されている。
このように、第十九実施形態では、上側アイレット部30Bと突起70とは別体であるので、突起70を設ける位置の自由度が高い。また、外筒60に、貫通孔30R(図20B参照)を形成しないので、外筒60の成形がさらに容易である。
なお、このような第十九実施形態に対し、突起70を上側アイレット部30Bに設けた構造(たとえば第十七実施形態や第十八実施形態)では、上側アイレット部30Bと突起70とが一体なので、部品点数が増加しない。また、突部30C(図20B、図21参照)を貫通孔30Rに差し入れることで、突起70が外筒30の内周面に突出した構造を容易に実現できる。上側アイレット部30Bを外筒30、60に固定すると同時に、突起70を外筒30、60に対し確実に位置決めして形成できる。
なお、第十七〜第十九実施形態において、突起70は、外筒30、60の内周面における周方向の一部に設けられている。突起70を外筒30、60の内周面において全周に設けないので、突起70の構造を簡素化できる。もちろん、突起70を外筒30、60の内周面において全周に設ける構造を排除するものではない。
3.その他の変形例
本発明は上記説明に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
例えば、上記説明では、マウスピース10は、歯列への非装着状態において、上側アイレット部30B及び下側アイレット部34Bが上取付部16及び下取付部18のフランジ部22、26に対して着脱可能である。
しかし、接着もしくは螺合等によって上側アイレット部30B及び下側アイレット部34Bがフランジ部22、26に対して着脱不可能に取付けられていてもよい。さらに、フランジ部22、26、上側アイレット部30B、及び下側アイレット部34Bの形状は、角丸長方形形状には限られず、真円形状等どのような形状とされていてもよい。
また、上記説明では、上側アイレット部30Bは、外筒30の軸心からオフセットした位置に形成されていたが、外筒30の軸心上に形成されていてもよい。さらに、ロッド34に目盛36Aを形成せず、内筒32の開口32Cから雄ネジ部34Aの上端の位置を目視することにより雄ネジ部34Aの螺合量を確認する構成としてもよい。
また、第十五実施形態では、外筒60の肉厚を厚くすることにより縮径部66Aを形成し、外筒60の下端部をかしめることにより縮径部66Bを形成していた。しかし、縮径部66A、66Bの形成方法は上記実施形態には限られず、縮径部66A、66Bが同一の方法で形成されていてもよい。また、拡径部68が内筒62に一体的に形成されていたが、別部材の拡径部68が内筒62の他方の端部領域62Qに接合される構成とされていてもよい。
また、第十七〜第十九実施形態では、突起70は、外筒30、60の内周面における周方向の一部に設けられており、突起70を外筒30、60の内周面において全周に設けないので、突起70の構造を簡素化できる。しかし、突起70を外筒30、60の内周面において全周に設ける構造を排除するものではない。
また、第十八実施形態及び第十九実施形態では、外筒60の下端部をかしめることにより縮径部66Bを形成していた。しかし、縮径部66Bの形成方法は上記実施形態には限られない。また、拡径部68が内筒62に一体的に形成されていたが、別部材の拡径部68が内筒62の他方の端部領域62Qに接合される構成とされていてもよい。
さらに、第一〜第十五実施形態及び第十七〜第十九実施形態では、ロッド34、44、54、64に雄ネジ部34A、44A、54A、64Aが形成されて螺合部を有する第一延伸体となり、内筒32、42、52、62に雌ネジ部32B、42A、52A、62Aが形成されて、内筒32、42、52、62と外筒30、40、50、60とが被螺合部を有する第二延伸体となっていた。しかし、ロッド34、44、54、64に雌ネジ部が形成されて被螺合部を有する第二延伸体となり、内筒32、42、52、62に雄ネジ部が形成されて、内筒32、42、52、62と外筒30、40、50、60とが螺合部を有する第一延伸体となった構造でもよい。この場合、ロッド34、44、54、64は、中実の円柱状の部材ではなく筒状の部材であってもよく、内筒32、42、52、62は、筒状の部材ではなく中実の円柱状の部材であってもよい。
同様に、第十六実施形態では、ロッド34に雄ネジ部34Aが形成されて螺合部を有する第一延伸体となり、筒体1630に雌ネジ部32Bが形成されて被螺合部を有する第二延伸体となっていた。しかし、ロッド34に雌ネジ部が形成されて被螺合部を有する第二延伸体となり、筒体1630に雄ネジ部が形成されて螺合部を有する第一延伸体となった構造でもよい。この場合、ロッド34は、中実の円柱状の部材ではなく筒状の部材であってもよく、筒体1630は、筒状の部材ではなく中実の円柱状の部材であってもよい。
さらに、第十七〜第十九実施形態では、ロッド34、64に雄ネジ部34A、64Aが形成されて螺合部を有する第一延伸体となり、内筒32、62に雌ネジ部32B、62Aが形成されて被螺合部を有する第三延伸体となっていた。しかし、ロッド34、64に雌ネジ部が形成されて被螺合部を有する第三延伸体となり、内筒32、62に雄ネジ部が形成されて、内筒32、62と外筒30、60とが螺合部を有する第一延伸体となった構造でもよい。この場合、挿入体である内筒32、62は、筒状の部材である必要はなく、中実の円柱状の部材であってもよい。
また、第一〜第十九実施形態では、ロッド34、44、54、64が中実の円柱状の部材とされていた(図3B、16、17、18、20B、22、23参照)が、ロッド34、44、54、64は中空の筒体であってもよい。ロッド34、44、54、64を中空の筒体とすると、歯科用連結部材を軽量化することができる。
第一〜第四実施形態において、雄ネジ部は、少なくとも二種類の外径を有していればよく、たとえば、3種類以上の外径を有する構造であってもよい。三種類以上の外径を有する雄ネジ部であっても、雌ネジ部へ螺合された状態で、外径の大きな部分が雌ネジ部に強く接触するので、回転時の摩擦抵抗が大きくなる。また、大径部と小径部を有する雄ネジ部(螺合部)であって、大径部が複数存在している構造でもよい。
第一〜第八実施形態において、螺合部(雄ネジ部はその例である)及び被螺合部(雌ネジ部はその例である)のいずれか一方もしくは両方に、異径部が形成されていることで、これらの間隙が少なくとも二種類の間隙となっていればよい。たとえば、螺合部の外径が変化すると共に被螺合部の内径も変化することで、これらの間隙が少なくとも二種類の間隙となっている構造でもよい。
第九〜第十二実施形態において、螺合部(雄ネジ部はその例である)及び被螺合部(雌ネジ部はその例である)のいずれか一方もしくは両方に、異ピッチ部が形成されていることで、これらのピッチ差が少なくとも二種類のピッチ差となっていればよい。たとえば、螺合部のピッチが変化すると共に被螺合部のピッチも変化することで、これらのピッチ差が少なくとも二種類のピッチ差となっている構造でもよい。
第十七〜第十九実施形態において、第一実施形態〜第十二実施形態のように、雄ネジ部と雌のいずれか一方若しくは両方に、雄ネジ部及び雌ネジ部の他方と螺合させるためのトルクが異なる異トルク部を設けて摩擦力がより大きい部分を形成し、トルクを解除した状態でも雌ネジ部に対する雄ネジ部の緩みを抑制する構成としてもよい。
また、上顎用歯科用器具12や下顎用歯科用器具14、上取付部16、下取付部18、歯科用連結部材28を構成する材料も、上記実施形態で挙げられた材料には限られない。例えば、上取付部16、下取付部18、及び歯科用連結部材28は金属製とされていたが、金属アレルギー患者へ適用でき、部材の強度を保持しつつ軽量化を図る、あるいは口腔内での違和感を減らすという点から、プラスチックで構成されていてもよい。
上記では、歯科用連結部材を用いた器具の例としてマウスピースを挙げたが、歯科用連結部材を用いた器具としては、この他に、たとえば、歯列矯正器具を挙げることができる。歯列矯正器具では、下歯に取り付けられ歯列を矯正する下歯用取付具と、上歯に取り付けられ歯列を矯正する上歯用取付具とを有する。これらの下歯用取付具や上歯用取付具は、歯列を矯正するためのエキスパンダーやワイヤ等を含んでいる。また、下歯用取付具は第一取付部を有し、上歯用取付具は第二取付部を有している。そして、上記各実施形態の歯科用連結器具を、下歯用取付具の第一取付部と、上歯用取付具の第二取付部とに連結することで、下歯用取付具と上歯用取付具との間に歯科用連結器具が配置されて、歯科用連結器具が下歯用取付具と上歯用取付具とを連結する。
[歯科用連結部材、マウスピース及び歯科矯正器具の構成例]
第一〜第十六実施形態によれば、
第一歯科用器具の第一取付部と連結される第一連結部を一方の端部領域に有し、他方の端部領域に螺合部を有する第一延伸体と、
第二歯科用器具の第二取付部と連結される第二連結部を他方の端部領域に有し、前記螺合部が螺合される被螺合部を一方の端部領域の内周面に有する第二延伸体と、
を有し、
前記螺合部と前記被螺合部のいずれか一方若しくは両方に、前記螺合部及び前記被螺合部の他方と螺合させるためのトルクが異なる異トルク部を有する、
歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、ネジの緩みを抑制して部材の相対位置を維持し、上顎又は下顎の歯列に装着される2つの歯科用器具の相対位置を維持することが容易である。
第一〜第八実施形態によれば、前記異トルク部は、前記螺合部と前記被螺合部との間の径方向の間隙が少なくとも二種類の長さとする異径部である、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合部と被螺合部の径方向の間隙が少なくとも二種類の長さの間隙となる異径部を有する。異径部のうち、間隙が狭い部分では、間隙が広い部分と比較して、螺合部と被螺合部とが強く接触しやすく、摩擦力が大きいので、螺合部と被螺合部との緩みを抑制できる。一方で、異径部のうち、螺合部と被螺合部の径方向の間隙が広い部分でも螺合部は被螺合部に螺合されるので、螺合部全体として被螺合部との螺合状態で作用する力が分散される。
第一〜第七実施形態によれば、
前記異径部は前記螺合部に設けられ、
前記螺合部は、
前記被螺合部に螺合される小径部と、
前記小径部よりも大きい外径を持ち、かつ、前記被螺合部に螺合される大径部と、
を有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合部に、外径が相対的に小さい小径部と、外径が相対的に大きい大径部を設けることで、少なくとも二種類の外径を持つ螺合部の構造を実現できる。
第一〜第四実施形態によれば、前記大径部は、前記第一延伸体が有する空隙部により前記螺合部が部分的に分割され、かつ外側に広げられてなる、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、第一延伸体が空隙部を有し、この空隙部が少なくなるように、大径部が第一延伸体の径方向内側へ弾性的に変形可能である。すなわち、被螺合部に対し大径部が弾性変形しつつ螺合するので、大径部の磨耗を抑制しつつ、大径部から被螺合部へ荷重を作用させることができる。
第一実施形態によれば、前記空隙部は、前記第一延伸体の軸芯から外周方向に延びて前記螺合部を分割するスリットである、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、空隙部がスリットなので、形成が容易である。
第二実施形態によれば、前記空隙部は、前記螺合部を3つ以上の部分に分割するスリットである、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、大径部を、第一延伸体の周方向で3つ以上に分割された形状にできる。このように分割された大径部は、弾性変形しやすくねじの挿入が容易である。
第三実施形態によれば、前記空隙部は、前記第一延伸体の軸芯を含む部分と前記第一延伸体の軸芯を含まない部分で前記螺合部を分割するスリットである、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、大径部が異なる形状の複数の部分に分割されるので、分割された部分の弾性の調整が可能であり、螺合部を被螺合部に螺合する際の摩擦力の調整が可能である。
第四実施形態によれば、前記空隙部は、深さ方向に幅の大きさが変化する形状を有するスリットである、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、分割された各部分で均等に被螺合部との摩擦力が作用する一方で、被螺合部との摩擦力が大きい部分をより広く形成することができる。
第六実施形態によれば、前記大径部は、その外径が前記第一延伸体の軸方向に一定な円筒形の形状を有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合部と被螺合部とが強く接触する部分が第一延伸体の軸方向の一定の範囲に存在する。このため、螺合部と被螺合部との螺合時の摩擦力が大きい部分を広く確保できる。
第五実施形態によれば、前記大径部は、その外径が前記第一延伸体の前記他方の端部領域側に向けて大きくなっていく円錐台形の形状を有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合大径部の外径が急激に変化しないので、螺合大径部への局所的な応力の発生を抑制できる。
第五、第七実施形態によれば、
前記異径部は前記螺合部に設けられ、
前記螺合部は、その外径が前記第一延伸体の軸方向に全域で変化する円錐台形または樽型の形状を有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合部の軸方向の広い範囲で、螺合部と被螺合部との径方向の間隙の長さが異なる部分を構成できる。
第五、第六実施形態によれば、
前記異径部は、前記第一延伸体の軸芯に対し回転対称な形状を有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合部と被螺合部とが径方向に偏って接触することが抑制される。
第一〜第七実施形態によれば、前記被螺合部は、その内径が前記第二延伸体の軸方向に一定である、上記記載の歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、被螺合部の形成が容易である。
第一〜第七実施形態によれば、前記異径部は、前記螺合部の前記他方の端部領域側に配置された、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合部を被螺合部に螺合する初期から摩擦力が大きい状態を実現し、螺合部と被螺合部との緩みを抑制できる
第一〜第七実施形態によれば、
第一歯科用器具の第一取付部と連結される第一連結部を一方の端部領域に備え、他方の端部領域に少なくとも二種類の外径を持つ螺合部が形成された第一延伸体と、
第二歯科用器具の第二取付部と連結される第二連結部を他方の端部領域に備え、前記螺合部が螺合される被螺合部を一方の端部領域の内周面に形成された第二延伸体と、
を有する、歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合部と被螺合部の径方向の間隙が少なくとも二種類の長さの間隙となる異径部を有する。異径部のうち、間隙が狭い部分では、間隙が広い部分と比較して、螺合部と被螺合部とが強く接触しやすく、摩擦力が大きいので、螺合部と被螺合部との緩みを抑制できる。一方で、異径部のうち、螺合部と被螺合部の径方向の間隙が広い部分でも螺合部は被螺合部に螺合されるので、螺合部全体として被螺合部との螺合状態で作用する力が分散される。
第九〜第十二実施形態によれば、前記異トルク部は、前記螺合部と前記被螺合部の螺合のピッチ差を少なくとも二種類のピッチ差とする異ピッチ部である、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、異ピッチ部、すなわちピッチが小さい、あるいは大きい部分では、螺合部と被螺合部との本来的なピッチである部分と比較して、螺合部と被螺合部とが強く接触しやすく、摩擦力が大きいので、螺合部と被螺合部との緩みを抑制できる。また、螺合部と被螺合部との本来的なピッチである部分でも螺合部は被螺合部に螺合されるので、螺合部全体として被螺合部との螺合状態で作用する力が分散される。
第九〜第十一実施形態によれば、
前記異ピッチ部は前記螺合部であり、
前記螺合部は、
前記被螺合部に螺合される螺合大ピッチ部と、
前記螺合大ピッチ部よりも小さいピッチを持ち前記被螺合部に螺合される螺合小ピッチ部と、
を有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合部に、ピッチが相対的に大きい螺合大ピッチ部と、ピッチが相対的に小さい螺合小ピッチ部を設けることで、螺合部と被螺合部のピッチの間隙が、少なくとも二種類の長さのピッチとなっている構造を実現できる。
第九〜第十一実施形態によれば、前記螺合部は、前記螺合小ピッチ部を前記他方の端部領域に有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合部を被螺合部に螺合する初期から摩擦力が大きい状態を実現し、螺合部と被螺合部との緩みを抑制できる。
第十実施形態によれば、前記螺合小ピッチ部は、そのピッチが前記第一延伸体の軸方向に一定である、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合部と被螺合部とが強く接触する部分が第一延伸体の軸方向の一定の範囲に存在する。このため、螺合部と被螺合部との螺合時の摩擦力が大きい部分を広く確保できる。
第九実施形態によれば、前記螺合小ピッチ部は、そのピッチが前記第一延伸体の前記他方の端部領域側に向けて小さくなっていく、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合小ピッチ部のピッチが急激に変化しないので、螺合小ピッチ部への局所的な応力の発生を抑制できる。
第九実施形態によれば、前記異ピッチ部は前記螺合部であり、前記螺合部は、そのピッチが前記第一延伸体の軸方向の全域で変化する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、螺合部の軸方向の広い範囲で、螺合部と被螺合部とのピッチの長さが異なる部分を構成できる。
第九〜第十二実施形態によれば、前記異ピッチ部は、前記第一延伸体の軸芯に対し回転対称な形状を有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、異ピッチ部において、螺合部と被螺合部とが径方向に偏って接触することが抑制される。
第九〜第十一実施形態によれば、前記被螺合部は、そのピッチが前記第二延伸体の軸方向に一定である、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、被螺合部の形成が容易である。
第一〜第十五実施形態によれば、
前記第二延伸体は、
前記第二連結部を前記他方の端部領域に有し、前記一方の端部領域側の端部が開口された外筒と、
前記一方の端部領域の内周面に前記被螺合部を有し、他方の端部領域が前記外筒に挿入される内筒と、
を有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、外筒内で内筒が摺動することで歯科用連結部材を第一歯科用器具及び第二歯科用器具の動きに追随させることができる。
第十三〜第十五実施形態によれば、前記外筒は、前記内筒の軸方向への摺動を制限する制限部を有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、外筒の軸方向両端部の間に形成された制限部によって内筒の軸方向における両方向の摺動を制限される。さらには、内筒が外筒内に挿入されているため、外筒の外部にナットのような部材を設ける構成と比較して歯科用連結部材を小型化することができる。
第一〜第七実施形態によれば、
前記内筒は、他方の端部領域の外周面に突起を有し、
前記外筒は、その外周面に軸方向に沿って配置されて、その端部で前記突起と当接して前記内筒の軸方向への摺動を制限する、前記制限部としての長孔を有する、
上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、内筒の外周面に形成された突起が外筒の外周面に形成された長孔の両端部に当接することにより、内筒の摺動が制限される。このとき、内筒の突起は外筒の長孔内を移動するため、内筒が外筒に対して軸周りに回転することを抑制しつつ、歯科用連結部材を第一歯科用器具及び第二歯科用器具の動きに追随させることができる。
第十三実施形態によれば、
前記内筒は、外周面に対向する一対の突起を有し、
前記外筒は、外周面の対向する位置に配置され、その端部で前記一対の突起のそれぞれと当接して前記内筒の軸方向への摺動を制限する、前記制限部としての一対の長孔を有する、
上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、内筒の突起が挿入されるスリットが外筒の外周面の対向する位置にそれぞれ形成されている。このため、内筒が外筒に対して軸周りに回転することを、より抑制することができる
第十四実施形態によれば、
前記外筒は、前記外筒の内部で軸方向に離間して設けられた、前記制限部としての一対のストッパを有し、
前記一対のストッパは、前記内筒と当接して前記内筒の軸方向への摺動を制限する、
上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、外筒の内部に設けられた一対のストッパ間に内筒が挿入されているため、ストッパによって内筒の軸方向における両方向の摺動が制限される。ストッパは外筒の内部に設けられているため、外筒の外部にストッパが設けられている構成と比較して歯科用連結部材を小型化することができる。
第十四実施形態によれば、
前記内筒は、拡径部を有し、
前記外筒は、その内周面が局所的に縮径された、前記制限部としての縮径部を有し、
前記外筒の縮径部は、前記内筒の拡径部と当接して前記内筒の軸方向への摺動を制限する、
上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、外筒の内周面に縮径部が形成され、内筒に拡径部が形成されている。このため、内筒の拡径部が外筒の縮径部に当接することにより、内筒の軸方向における両方向の摺動が制限される。なお、内筒の拡径部が外筒内で縮径部に当接するため、内筒の拡径部が外筒外で外筒に当接する構成と比較して歯科用連結部材を小型化することができる。
第十五実施形態によれば、前記内筒は、軸周りに回転することにより、前記内筒の前記被螺合部に対する前記第一延伸体の前記螺合部の螺合量を調整する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、内筒を軸周りに回転させることにより、第一延伸体を軸周りに回転させることなく内筒の被螺合部に対する第一延伸体の螺合部の螺合量を調整することができる。このため、第一延伸体の軸方向一端部が第一取付部に連結された状態で、歯科用連結部材の長さを調整することができる。
第十五実施形態によれば、
前記外筒は、他方の端部領域側の端部に開口を有し、
前記内筒は、他方の端部領域に冶具が挿入される挿入溝を有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、外筒の軸方向一端部から内筒の挿入溝に冶具を挿入し、冶具を軸周りに回転させることにより、内筒を軸周りに回転させることができる。これにより、第一延伸体を軸周りに回転させることなく内筒に対する第一延伸体の位置を調整することができるため、第一歯科用器具の第一取付部に第一延伸体が連結された状態で、歯科用連結部材の長さを調整することができる。
第一〜第十九実施形態によれば、
前記第一延伸体の前記螺合部は、目盛が形成された雄ネジ部であり、
前記内筒の前記被螺合部は、雌ネジ部であり、
前記内筒は、一方の端部領域の外周面に、前記内筒に挿入された前記第一延伸体の前記目盛りを確認するための開口を有する、
上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、第一延伸体の雄ネジ部の内筒の雌ネジ部への螺合量を調整することで、歯科用連結部材の長さを調整することができる。第一延伸体に目盛が形成され、内筒の軸方向一端部の外周面に開口が形成されているため、内筒の開口から目盛を目視することで、雄ネジ部の雌ネジ部への螺合量を目視で確認することができる。
第十七〜第十九実施形態によれば、
第一歯科用器具の第一取付部と連結される第一連結部を一方の端部領域に備え、他方の端部領域に螺合部が形成された第一延伸体と、
他方の端部領域に第二歯科用器具の第二取付部と連結される第二連結部を備え、一方の端部領域側の端部が開口された外筒と、
一方の端部領域に前記螺合部が螺合される被螺合部が形成され、他方の端部領域が前記外筒に挿入される第三延伸体と、
前記外筒の内周面から突出し、前記第三延伸体の前記他方の端部領域側の端面と対向する突起と、
を有する、歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、第三延伸体への第一延伸体の螺合量を調整することで、歯科用連結部材の長さを調整し、第一歯科用器具と第二歯科用器具の相対位置を調整することができる。また、外筒内で第三延伸体が摺動することで、歯科用連結部材を、第一歯科用器具及び第二歯科用器具の動きに追随させることができる。また、突起は、第三延伸体の軸方向他端部と対向しているので、第三延伸体が外筒内を摺動し、第三延伸体の軸方向他端部が突起に接触することで、第三延伸体の挿入を制限できる。外筒の内周面に突起を形成する簡単な構造で、第三延伸体の過度の挿入を制限できる。
第十七〜第十九実施形態によれば、前記外筒は、その前記内周面の内径が一定である、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、外筒の内周面に異径の部分を形成しないので、外筒の構造が簡単である。
第十七〜第十九実施形態によれば、前記突起は、前記外筒の内周面において周方向の一部から突出する位置に配置された、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、外筒の内周面で全周にわたって突起を形成しないので、外筒及び突起の構造が簡単である。
第十七〜第十九実施形態によれば、前記突起は、前記外筒の内周面の軸芯から外れた位置に配置された、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、突起が外筒の内周面の軸芯から外れた位置に配置されているので、突起が軸芯まで達する構造と比較して、突起は小型であり、外筒の軸方向一端部の開口された部分から治具等を挿入しやすい。
第十七〜第十九実施形態によれば、前記突起は、前記第二連結部と一体である、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、突起は第二連結部と一体なので、突起が第二連結部と別体の構造と比較して、部品点数が少ない。
第十七〜第十九実施形態によれば、
前記外筒は、貫通孔を有し、
前記第二連結部は、前記貫通孔を貫通して配置され、前記外筒の外周側で前記第二取付部と連結し、かつ、前記外筒の内周面で前記突起が前記第三延伸体の前記他方の端部領域側の他面と対向する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、外筒の外周側から、第二連結部の突起を貫通孔に差し入れることで、突起が外周の内周面に突出した構造を実現できる。突起を貫通孔に差し入れるので、外筒に対し突起を確実に位置決めできる。
第十八実施形態によれば、
前記外筒は、前記内筒の軸方向への摺動を制限する制限部を有し、
前記第三延伸体は、その一部が前記突起と前記制限部の間に配置される、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、第三延伸体の軸方向一端部側への移動を、所定範囲に制限できる。
第十八実施形態によれば、前記制限部は、前記外筒の内周面を縮径する縮径部である、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、第三延伸体の軸方向一端部側への移動を、外筒の縮径部に第三延伸体の拡径部が接触することで、所定範囲に制限できる。
第十七〜第十九実施形態によれば、前記第三延伸体は、内周面に前記螺合部が螺合される被螺合部を有する内筒である、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、第三延伸体の内部に第一延伸体をねじ込んで、第一延伸体の螺合部を第三延伸体の内面の被螺合部に螺合させることができる。
第十七〜第十九実施形態によれば、前記第三延伸体は、軸周りに回転することにより、前記第三延伸体の前記被螺合部に対する前記第一延伸体の前記螺合部の螺合量を調整する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、第一延伸体の軸方向一端部が第一取付部に連結された状態で、歯科用連結部材の長さを調整することができる。
第十八実施形態によれば、
前記外筒は、他方の端部領域側の端部に開口を有し、
前記第三延伸体は、他方の端部領域側の端部に冶具が挿入される挿入溝を有する、上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、外筒の軸方向一端部から第三延伸体の挿入溝に冶具を挿入し、冶具を軸周りに回転させることにより、第三延伸体を軸周りに回転させることができる。これにより、第一延伸体を軸周りに回転させることなく第三延伸体に対する第一延伸体の位置を調整することができるため、第一歯科用器具の第一取付部に第一延伸体が連結された状態で、歯科用連結部材の長さを調整することができる。
第十七実施形態によれば、
前記第一延伸体の前記螺合部は、目盛が形成された雄ねじ部であり、
前記第三延伸体の前記螺合部は、雌ねじ部であり、
前記第三延伸体は、一方の端部領域の外周面に開口を有する、
上記歯科用連結部材が提供される。
当該歯科用連結部材は、第一延伸体の雄ねじ部の、第三延伸体の雌ねじ部への螺合量を調整することで、歯科用連結部材の長さを調整することができる。第一延伸体に目盛が形成され、第三延伸体の軸方向一端部の外周面に開口が形成されているため、第三延伸体の開口から目盛を目視することで、雄ねじ部の雌ねじ部への螺合量を目視で確認することができる。
第一〜第十九実施形態によれば、
上記歯科用連結部材と、
前記第一歯科用器具としての下顎用ピースと、
前記第二歯科用器具としての上顎用ピースと、
を有する、マウスピースが提供される。
第一〜第十九実施形態によれば、
上記歯科用連結部材と、
下歯に取り付けられ歯列を矯正する前記第一歯科用器具としての下歯用取付具と、
上歯に取り付けられ歯列を矯正する前記第二歯科用器具としての上歯用取付具と、
を有する、歯列矯正器具が提供される。
本出願は、2016年10月17日出願の日本国出願番号2016−203869号、2016年11月8日出願の日本国出願番号2016−218139号、2016年11月25日出願の日本国出願番号2016−228731号及び2016年11月25日出願の日本国出願番号2016−228732号に基づく優先権を主張する出願であり、当該出願の明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された内容は本出願に援用される。
10 マウスピース
12 上顎用歯科用器具(第二歯科用器具)
12A 外壁面
14 下顎用歯科用器具(第一歯科用器具)
14A 外壁面
16 上取付部(第二取付部)
18 下取付部(第一取付部)
28 歯科用連結部材
29 筒体
30 外筒
30B 上側アイレット部
30C 突部
32 内筒
32B 雌ネジ部
32C 開口
34 ロッド
34A 雄ネジ部
34B 下側アイレット部
34E 拡径部(大径部)
34F 一定径部(小径部)
34G 螺合小ピッチ部
34H 螺合大ピッチ部
40 外筒
42 内筒
44 ロッド
48 歯科用連結部材
50 外筒
52 内筒
52A 雌ネジ部
54 ロッド
54A 雄ネジ部
54B 下側アイレット部
56A ストッパ
56B ストッパ
58 歯科用連結部材
60 外筒
62 内筒
62A 雌ネジ部
62E 当接部
62Q 他方の端部領域
64 ロッド
64A 雄ネジ部
64B 下側アイレット部
66A、66B 縮径部
68 拡径部
68A 挿入溝
70 突起
134 ロッド
134A 雄ネジ部
134E 拡径部
134F 一定径部
134Q 他方の端部領域
136 空隙部
234 ロッド
234A 雄ネジ部
234E 拡径部
234F 一定径部
234Q 他方の端部領域
236 空隙部
334 ロッド
334A 雄ネジ部
334E 拡径部
334F 一定径部
334G 小分割部
334H 大分割部
334Q 他方の端部領域
336 空隙部
434 ロッド
434A 雄ネジ部
434E 拡径部
434F 一定径部
434Q 他方の端部領域
436 空隙部
534 ロッド
534A 雄ネジ部
534E 拡径部
534F 一定径部
534Q 他方の端部領域
634 ロッド
634A 雄ネジ部
634E 拡径部
634F 一定径部
634Q 他方の端部領域
734 ロッド
734A 雄ネジ部
734E 拡径部
734F 一定径部
734Q 他方の端部領域
832 内筒
832B 雌ネジ部
832E 内径縮小部
832Q 他方の端部領域
842 内筒
842B 雌ネジ部
842E 内径縮小部
842Q 他方の端部領域
934 ロッド
934A 雄ネジ部
934G 螺合小ピッチ部
934H 螺合大ピッチ部
934Q 他方の端部領域
1034 ロッド
1034A 雄ネジ部
1034G 螺合小ピッチ部
1034H 螺合大ピッチ部
1034Q 他方の端部領域
1134 ロッド
1134A 雄ネジ部
1134G 螺合小ピッチ部
1134H 螺合大ピッチ部
1134Q 他方の端部領域
1232 内筒
1232B 雌ネジ部
1232G ピッチ縮小部
1232P 一方の端部領域
1242 内筒
1242B 雌ネジ部
1242P 一方の端部領域
1338 歯科用連結部材
1438 歯科用連結部材
1538 歯科用連結部材
1628 歯科用連結部材
1630 筒体
1630P 一方の端部領域
1630Q 他方の端部領域
1738 歯科用連結部材
1838 歯科用連結部材
1938 歯科用連結部材

Claims (21)

  1. 第一歯科用器具の第一取付部と連結される第一連結部を一方の端部領域に有し、他方の端部領域に螺合部を有する第一延伸体と、
    第二歯科用器具の第二取付部と連結される第二連結部を他方の端部領域に有し、前記螺合部が螺合される被螺合部を一方の端部領域の内周面に有する第二延伸体と、
    を有し、
    前記螺合部と前記被螺合部のいずれか一方若しくは両方に、前記螺合部及び前記被螺合部の他方と螺合させるためのトルクが異なる異トルク部を有
    前記第二延伸体は、
    前記第二連結部を前記他方の端部領域に有し、前記一方の端部領域側の端部が開口された外筒と、
    前記一方の端部領域の内周面に前記被螺合部を有し、他方の端部領域が前記外筒に挿入される内筒と、
    を有し、
    前記外筒は、前記他方の端部領域側の端部に開口を有し、
    前記内筒は、前記他方の端部領域に冶具が挿入される挿入溝を有する、
    歯科用連結部材。
  2. 前記異トルク部は、前記螺合部と前記被螺合部との間の径方向の間隙を少なくとも二種類の長さとする異径部である、請求項1に記載の歯科用連結部材。
  3. 前記異径部は前記螺合部に設けられ、
    前記螺合部は、
    前記被螺合部に螺合される小径部と、
    前記小径部よりも大きい外径を持ち、かつ、前記被螺合部に螺合される大径部と、
    を有する請求項2に記載の歯科用連結部材。
  4. 前記大径部は、前記第一延伸体が有する空隙部により前記螺合部が部分的に分割され、かつ外側に広げられてなる、請求項3に記載の歯科用連結部材。
  5. 第一歯科用器具の第一取付部と連結される第一連結部を一方の端部領域に有し、他方の端部領域に螺合部を有する第一延伸体と、
    第二歯科用器具の第二取付部と連結される第二連結部を他方の端部領域に有し、前記螺合部が螺合される被螺合部を一方の端部領域の内周面に有する第二延伸体と、
    を有し、
    前記螺合部と前記被螺合部のいずれか一方若しくは両方に、前記螺合部及び前記被螺合部の他方と螺合させるためのトルクが異なる異トルク部を有し、
    前記異トルク部は、前記螺合部が、前記被螺合部に螺合される小径部と、前記小径部よりも大きい外径を持ち、かつ、前記被螺合部に螺合される大径部と、を有し、かつ、前記大径部は、前記第一延伸体が有する空隙部により前記螺合部が部分的に分割され、かつ外側に広げられてなる、
    歯科用連結部材。
  6. 前記空隙部は、前記第一延伸体の軸芯から外周方向に延びて前記螺合部を分割するスリットである、請求項4または5に記載の歯科用連結部材。
  7. 前記空隙部は、深さ方向に幅の大きさが変化する形状を有するスリットである、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の歯科用連結部材。
  8. 前記被螺合部は、その内径が前記第二延伸体の軸方向に一定である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の歯科用連結部材。
  9. 前記異トルク部は、前記螺合部の前記他方の端部領域側に配置された、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の歯科用連結部材。
  10. 第一歯科用器具の第一取付部と連結される第一連結部を一方の端部領域に備え、他方の端部領域に少なくとも二種類の外径を持つ螺合部が形成された第一延伸体と、
    第二歯科用器具の第二取付部と連結される第二連結部を他方の端部領域に備え、前記螺合部が螺合される被螺合部を一方の端部領域の内周面に形成された第二延伸体と、
    を有し、
    前記第二延伸体は、
    前記第二連結部を前記他方の端部領域に有し、前記一方の端部領域側の端部が開口された外筒と、
    前記一方の端部領域の内周面に前記被螺合部を有し、他方の端部領域が前記外筒に挿入される内筒と、
    を有し、
    前記外筒は、前記他方の端部領域側の端部に開口を有し、
    前記内筒は、前記他方の端部領域に冶具が挿入される挿入溝を有する、
    歯科用連結部材。
  11. 前記異トルク部は、少なくとも二種類の、前記螺合部と前記被螺合部の螺合のピッチ差を有する、請求項1に記載の歯科用連結部材。
  12. 前記異トルク部は前記螺合部であり、
    前記螺合部は、
    前記被螺合部に螺合される螺合大ピッチ部と、
    前記螺合大ピッチ部よりも小さいピッチを持ち前記被螺合部に螺合される螺合小ピッチ部と、
    を有する、請求項11に記載の歯科用連結部材。
  13. 前記螺合部は、前記螺合小ピッチ部を前記他方の端部領域に有する、請求項12に記載の歯科用連結部材。
  14. 前記第二延伸体は、
    前記第二連結部を前記他方の端部領域に有し、前記一方の端部領域側の端部が開口された外筒と、
    前記一方の端部領域の内周面に前記被螺合部を有し、他方の端部領域が前記外筒に挿入される内筒と、
    を有し、
    前記外筒は、前記内筒の軸方向への摺動を制限する制限部を有する、
    請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の歯科用連結部材。
  15. 前記外筒は、前記外筒の内部で軸方向に離間して設けられた、前記制限部としての一対のストッパを有し、
    前記一対のストッパは、前記内筒と当接して前記内筒の軸方向への摺動を制限する、
    請求項14に記載の歯科用連結部材。
  16. 前記内筒は、軸周りに回転することにより、前記内筒の前記被螺合部に対する前記第一延伸体の前記螺合部の螺合量を調整する、請求項14又は請求項15に記載の歯科用連結部材。
  17. 前記外筒は、前記他方の端部領域側の端部に開口を有し、
    前記内筒は、前記他方の端部領域に冶具が挿入される挿入溝を有する、請求項14〜請求項16のいずれか1項に記載の歯科用連結部材。
  18. 前記第一延伸体の前記螺合部は、目盛が形成された雄ネジ部であり、
    前記内筒の前記被螺合部は、雌ネジ部であり、
    前記内筒は、一方の端部領域の外周面に、前記内筒に挿入された前記第一延伸体の前記目盛りを確認するための開口を有する、
    請求項14〜請求項17のいずれか1項に記載の歯科用連結部材。
  19. 第一歯科用器具の第一取付部と連結される第一連結部を一方の端部領域に備え、他方の端部領域に螺合部が形成された第一延伸体と、
    他方の端部領域に第二歯科用器具の第二取付部と連結される第二連結部を備え、一方の端部領域側の端部が開口された外筒と、
    一方の端部領域に前記螺合部が螺合される被螺合部が形成され、他方の端部領域が前記外筒に挿入される第三延伸体と、
    前記外筒の内周面から突出し、前記第三延伸体の前記他方の端部領域側の端面と対向する突起と、
    を有する歯科用連結部材。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の歯科用連結部材と、
    前記第一歯科用器具としての下顎用ピースと、
    前記第二歯科用器具としての上顎用ピースと、
    を有する、マウスピース。
  21. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の歯科用連結部材と、
    下歯に取り付けられ歯列を矯正する前記第一歯科用器具としての下歯用取付具と、
    上歯に取り付けられ歯列を矯正する前記第二歯科用器具としての上歯用取付具と、
    を有する、歯列矯正器具。
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